説明

分析カードのチャンバを熱的に隔離するためのデバイスおよび方法

分析カード、ならびに分析カードのチャンバを隔離するためのデバイスおよび方法を記載する。分析カードは、軟化温度を有する1つまたは複数の材料、例えばプラスチックから形成される基板を備え、該基板は、それぞれの反応チャンバと連通するチャンネルを画定する。分析カードは、チャンネルの領域で少なくとも軟化温度まで加熱しうる。軟化されたプラスチックは変形させることができ、これは例えば基板を軟化させるために熱を与えても与えなくてもよいツールを用いて為しうる。このようにして、基板のプラスチックによってチャンネルを少なくとも部分的に閉塞させることができ、それにより、反応チャンバを隔離することができる。また、本発明は、分析カードを加熱して変形させるためのピンを含むツールデバイスを製造する方法にも関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府支援
本発明は、米国空軍規約FA7014-06-C-0017に基づく米国政府による支援によってなされたものであり得る。米国政府は、本明細書において記載される本発明において特定の権利を有し得る。
【0002】
発明の分野
本発明は、分析カードのチャンバを隔離するためのデバイスおよび方法に関し、特に、分析カードの少なくとも一部を軟化させるおよび/または変形させることによって分析カードのチャンバを隔離するためのデバイスおよび方法に関する。また、本発明は、分析カードの一部を加熱して変形させるための1つまたは複数のツールを含むツールデバイスを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
病気の検出および監視は、通例、様々なタイプの生物学的検査を使用する。多くの場合、この分野で行なわれるべき必要がある検査は数多く存在するため、これらの検査に関連するコストおよび時間を減らすことが一般に望ましい。そのようなコストおよび時間を減らすために通例使用される技術は、例えば熱サイクルユニットまたは他の同様のデバイスの各実行中に多数の比較的小さいサンプルを同時に検査することである。複数のウェル、検出チャンバ、または反応チャンバを有する基板が、そのようなサンプル中の多数の検体を同時に検査するために使用されており、前記チャンバには1つまたは複数のチャンネルを通じて流体サンプルが分配され、チャンネルには前記チャンバが接続される。時として「マイクロカード」、「分析カード」、または「分析カートリッジ」と称されるそのような基板により、比較的少ない量のサンプルを、異なる検体特有の試薬が予め取り込まれてもよい多数の検出チャンバ、例えば96個、384個、またはそれ以上の検出チャンバへ分配することができる。そのような基板は、それらの使用のためのシステムおよび方法に加えて、例えば米国特許第6,126,899号(特許文献1)、米国特許第6,272,939号(特許文献2)、および米国特許公開第2004/0157343号(特許文献3)に記載されている。
【0004】
チャンネルがチャンバまたは検出チャンバ同士を接続する基板では、サンプル処理中、例えば熱サイクル中にチャンバ間が流体連通する可能性があり、それにより、接続されたチャンバ内で反応物が相互汚染される場合がある。当技術分野において、相互汚染の可能性を減らすために様々な方策が開示されている。例えば、米国特許第6,126,899号(特許文献1)は、チャンバを互いに隔離するために、鉱油または粘性高分子溶液などの付加的流体で供給チャンネルを満たすことを開示している。米国特許第6,068,751号(特許文献4)は、処理チャンバを互いに隔離するために閉じられるバルブを処理チャンバ間で使用することを開示している。米国特許公開第2004/0157343号(特許文献3)は、一連のチャンバのそれぞれを1つの共通のチャンネルに接続する各装填通路を、各装填通路に隣接する基板カバーを変形させることによりシールすることを開示している。カバーは、装填通路に対応する位置にボス(boss)または突起を有する熱転写ブロックと基板とを接触させることにより変形される。ボスは、カバー材料の変形を容易にするために加熱することができる。
【0005】
しかしながら、チャンバまたは検出チャンバ同士の間の汚染を防止するためのこれらおよび他のデバイスならびに方法は、適切、安全、確実、および高速な様式で行なうことができない。以上に照らして、以前の方法の欠点を克服するシステムおよび方法の必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,126,899号
【特許文献2】米国特許第6,272,939号
【特許文献3】米国特許公開第2004/0157343号
【特許文献4】米国特許第6,068,751号
【発明の概要】
【0007】
概要
本発明は、分析カード、および分析カードのチャンバを隔離するための方法に関する。この態様において、分析カードは、軟化温度を有するプラスチックから形成される基板を備え、該基板は、第1のチャンバと連通する第1のチャンネル、および第2のチャンバと連通する第2のチャンネルを画定する。本方法は、分析カードを第1および第2のチャンネルの領域で少なくとも軟化温度まで加熱する段階と;基板のプラスチックによって第1および第2のチャンネルの両方を少なくとも部分的に閉塞させるように単一のツールを用いて分析カードを第1および第2のチャンネルの領域で同時に変形させる段階とを備える。本方法は、変形されたプラスチックを冷却させる段階を含んでもよい。
【0008】
一態様において、加熱段階は、加熱ツールおよび基板を接触させることを含む。基板を加熱ツールと接触させることは、ツールをチャンネル内へ挿入すること、および/またはチャンネルに隣接する基板の領域と接触することを含みうる。加熱段階は、超音波エネルギ源を基板に適用することを含みうる。あるいは、加熱段階は、光もしくはレーザビームまたは加熱エアジェットを基板へと方向付けることを含みうる。
【0009】
ツールを用いた接触および/もしくは圧力によって基板が変形されることに加えて、またはこれに代えて、変形段階は、基板の軟化領域の表面張力に起因して自然発生的に起こってもよい。表面張力に起因して水滴が毛細管へ自然発生的に流れ込むのと同じ様式で、基板の軟化領域からの材料は、機械的なツールの適用を伴うことなくチャンネル内へ自然発生的に流れ込んでもよい。基板の軟化領域における適切に設計された特徴を有するチャンネルにより、表面張力が、材料を基板から局部的に引き寄せてチャンネルを閉塞することができるとともに、チャンネルが完全に閉塞された後にこの充填作用を自動的に止めることができる。基板材料が冷めた後、それにより、チャンネルが永久的に閉塞される。この技術の利点は、受動機構を使用し、そのため、ツールの機械的適用の必要性がないという点である。
【0010】
また、変形段階は、重力によって基板の軟化領域を変形できるようにすることを含んでもよい。更に、変形段階は、空気圧または真空を基板に適用することを含んでもよい。更にまた、変形段階は、慣性応力を基板に引き起こすように分析カードを移動させることを含んでもよく、それにより、基板は、チャンネルを局部的に満たすように変形して流れる。容器が動かされているときに容器内の液体の表面がその形状を変えることができるのと同じ様式で、慣性力、したがって応力を引き起こす動き、例えば回転動作(遠心力)または衝撃的直線動作(スライド)にカードを晒すことにより、基板の軟化領域がチャンネル内へ流入させられてもよい。
【0011】
基板および、例えばツールの様々な空間的配置が想定し得る。例えば、加熱段階および変形段階は、チャンネルが直接に隣接するまたはほぼ隣接する基板の側から分析カードを加熱して変形することを含んでもよい。これに加えてまたはこれに代えて、加熱段階および変形段階は、チャンネルが直接に隣接するまたはほぼ隣接する基板の側と反対の基板の側から分析カードを加熱して変形することを含んでもよい。
【0012】
本発明は、その他の態様によれば、分析カードの反応チャンバを隔離するための方法に関する。この態様において、分析カードは、軟化温度を有するプラスチックから形成される基板を備え、該基板は、第1の表面および第1の表面と反対側の第2の表面を有し、基板がチャンバを画定し、基板は、第1の表面に隣接してチャンバと連通するチャンネルを更に画定し、基板は、チャンネルの少なくとも一部と位置合わせされる凹部を第2の表面に更に画定する。チャンバおよびチャンネルは、基板の第1の表面に付着される第2の層によってシールされてもよい。本方法は、分析カードを凹部およびチャンネルの領域で少なくとも軟化温度まで加熱する段階と;基板のプラスチックがチャンネルを少なくとも部分的に閉塞するように分析カードを凹部の領域で変形させる段階とを備えてもよい。本方法は、変形されたプラスチックを冷却させる段階を含んでもよい。
【0013】
また、加熱段階および変形段階は、加熱ツールで基板の凹部の表面を接触して該表面に圧力を適用することを含んでもよい。これに加えてまたはこれに代えて、加熱段階は、超音波エネルギ源、光もしくはレーザビーム、または加熱エアジェットを基板の凹部の表面へ適用することを含んでもよい。一態様では、基板が2つ以上のチャンバおよび2つ以上のチャンネルを画定し、各チャンバがそれと連通するそれぞれのチャンネルを有し、加熱段階および変形段階は、2つ以上のチャンネルを含む領域で分析カードを同時に加熱して変形する。2つの以上のチャンネルを含む領域は、単一の加熱ツールとの接触によって同時に加熱されてもよい。
【0014】
本発明は、その他の態様によれば、分析カードのチャンバを隔離するための方法に関する。この態様において、分析カードは、第1の軟化温度を有する第1の材料および第2の軟化温度を有する第2の材料から形成される基板を備え、該基板がチャンバと連通するチャンネルを画定し、第2の材料がチャンネルに隣接する。本方法は、分析カードをチャンネルの領域で少なくとも第2の軟化温度まで加熱する段階と;第2の材料がチャンネルを少なくとも部分的に閉塞するように分析カードをチャンネルの領域で変形させる段階とを備える。
【0015】
第1および第2の材料は、第1および第2のタイプまたはグレードのプラスチックであってもよく、第1の軟化温度は第2の軟化温度よりも高い。加熱段階は、第2の軟化温度よりも高いが第1の軟化温度より低い温度まで分析カードをチャンネルの領域で加熱することを含んでもよい。また、チャンネルが基板の第1の表面に隣接して位置されてもよく、基板の第2の表面が第1の表面と反対側にあって凹部を含み、凹部がチャンネルの少なくとも一部と位置合わせされる。有利なことに、第2の材料が凹部のそれぞれの底面とチャンネルとの間に配置されてもよく、それにより、第2の材料が少なくとも第2の軟化温度まで加熱されると、第2の材料がチャンネルを閉塞するために変形できる。一態様において、方法は、変形されたプラスチックを冷却する段階を更に備えてもよい。また、加熱段階および変形段階は、加熱ツールを基板の凹部の表面と接触して該表面に圧力を適用することを含んでもよい。あるいは、第2の材料は、チャンネルの形成を完了するために基板の第1の表面に結合される薄い切片であってもよい。この態様において、加熱段階および変形段階は、チャンネル上の第2の材料を熱源と接触させることにより第2の材料がチャンネルを少なくとも部分的に閉塞するようにさせることを含んでもよい。
【0016】
本発明は、その他の態様によれば、分析カードに関する。分析カードは、軟化温度を有するプラスチックから形成される基板を含んでもよく、基板は、第1の表面および第1の表面と反対側の第2の表面を有する。基板がチャンバを画定してもよく、基板は、第1の表面に隣接してチャンバと連通するチャンネルを更に画定する。チャンバおよびチャンネルは、基板の第1の表面に付着される第2の層によってシールされてもよい。基板は、チャンネルの少なくとも一部と位置合わせされる凹部を第2の表面に画定してもよく、分析カードを凹部およびチャンネルの領域で少なくとも軟化温度まで加熱すると、分析カードは凹部の領域で、基板のプラスチックがチャンネルを少なくとも部分的に閉塞できるように変形されるように構成されている。変形されたプラスチックは、チャンバの隔離を維持するように冷却されてもよい。
【0017】
分析カードは、加熱ツールによって適用される熱および圧力によって変形されるように構成されてもよい。これに加えてまたはこれに代えて、基板は、超音波エネルギ源、光もしくはレーザビーム、または加熱エアジェットの適用によって加熱されるように構成されてもよい。基板は2つ以上のチャンバおよび2つ以上のチャンネルを画定してもよく、各チャンバがそれと連通するそれぞれのチャンネルを有し、2つ以上のチャンネルは、同時に加熱されて変形されるように配置されてもよい。2つ以上のチャンネルは、単一の加熱ツールとの接触によって同時に加熱されるように配置されてもよい。プラスチックは、第1の軟化温度を有する第1の領域、および第2の軟化温度を有する第2の領域を含んでもよく、第1の軟化温度は第2の軟化温度よりも高い。分析カードは、第2の軟化温度よりも高いが第1の軟化温度より低い温度までチャンネルの領域で加熱されるように構成されてもよい。一態様において、プラスチックの第2の領域は、凹部とチャンネルとの間に配置されてもよく、それにより、第2の領域は、少なくとも第2の軟化温度まで加熱されるように且つチャンネルを閉塞するために変形できるように構成される。
【0018】
本発明は、その更に他の態様によれば、ツールデバイスを製造する方法に関し、ツールデバイスは、分析カードを加熱して変形させるためのピンを含む。本方法は、貫通穴を画定する硬質絶縁体を設ける段階と;レジスト層を絶縁体に適用する段階であって、レジスト層が、絶縁体の貫通穴と一致する穴を伴ってパターニングされる段階と;レジスト層および硬質絶縁体を貫通してピンを打ち込む段階と;レジスト層を剥離させてピンを露出させる段階と;ピンを連結する導電経路を形成する段階とを備えてもよい。また、方法は、例えば等方性ウェットエッチングプロセスを行なうことによりピンを滑らかに丸める段階を含んでもよい。また、ピンを連結する導電経路を形成する段階は、ツールデバイスの背面に金属層をパターニングすることを含んでもよい。
【0019】
以下、本発明のデバイスおよび方法の更なる特徴について更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一態様に係る、分析カードの平面図である。
【図2】本発明の一態様に係る、分析カードの側断面図である。
【図3】図1に示される本発明の態様に係る、分析カードの分解斜視図である。
【図4】図4(a)は、本発明の一態様に係る、分析カードの組み立て平面図、図4(b)は、本発明の一態様に係る、分析カードの組み立て斜視図である。
【図5】図5(a)〜図5(d)は、分析カードの反応チャンバを隔離するために、本発明の一態様にしたがって行なうことができる段階を示している。
【図6】図6(a)〜図6(d)は、チャンネルが直接に隣接するまたはほぼ隣接する基板の側から加熱ツールを用いて分析カードを加熱して変形することにより反応チャンバを隔離する、本発明の一態様に係る方法を概略的に示している。
【図7】超音波エネルギ源を適用することにより基板に熱を適用する、本発明の一態様に係る方法を概略的に示す側面図である。
【図8】放射エネルギ源によって加熱される、本発明の一態様に係る分析カードを示している。
【図9】図9(a)〜図9(d)は、チャンネルが直接に隣接するまたはほぼ隣接する基板の側と反対の基板の側から加熱ツールを用いて分析カードを加熱して変形することにより反応チャンバを隔離する、本発明の一態様に係る方法を概略的に示している。
【図10】図10(a)〜図10(d)は、閉塞されるべきチャンネルと位置合わせされていない基板の領域で加熱ツールを用いて分析カードを加熱して変形することにより反応チャンバを隔離する、本発明の一態様に係る方法を概略的に示している。
【図11】図11(a)および図11(b)は、2つ以上のチャンネルを含む基板の領域を加熱して変形するために1つまたは複数のツールのうちの各々が使用されてもよい、本発明の一態様に係る構成を示している。
【図12】加熱ツールを用いて基板へ熱を適用する、本発明の一態様に係る方法であって、基板が複数のタイプまたはグレードのプラスチックから形成される方法を概略的に示す側面図である。
【図13】分析カードを含む、本発明の一態様に係るシステムの分解斜視図である。
【図14】本発明の一態様にしたがって、ツールデバイスを製造するまたは組み立てるために使用されてもよい段階を示すフローチャートである。
【図15】図15(a)および図15(b)はそれぞれ、図14のフローチャートに示される段階にしたがって形成される、ツールデバイスの斜視上面図および斜視下面図である。
【図16】図16(a)〜図16(d)は側断面図、および図16(e)は下面図であり、図14のフローチャートに示される段階にしたがって形成されるツールデバイスを集合的に示している。
【図17】図17(a)および図17(b)は、一態様にしたがって本発明の方法が使用されるときの反応チャンバ内の温度への影響を示す検査結果、すなわちDelta Rn曲線を与えるグラフである。
【図18】様々な濃度を有するFlu AのPCRを示す検査結果、すなわちCt値を与えるグラフである。24-ウェル分析カード中へサンプルを導入し、ウェルを熱的に隔離した。384-ウェルプレートおよびピン接合(pin staking)による分析カードで同じサンプルのPCRを対照および比較のために行った。
【図19】図19(a)および図19(b)は、異なる2つの分析--Flu Bおよび肺炎マイコプラズマ--を用いてスポットされる分析カードにおける1kコピー/□Lの濃度を有するFlu BのPCRを示している。図19(a)は、24個のウェルにおけるスポットパターンを示している。図19(b)は、24個のウェルの熱的隔離による1kコピー/mLのFlu BサンプルのPCRからのDelta Rn曲線を示している。同一の分析カードを満たし、対照のためにピン接合によってウェルが隔離された。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
本発明は、本発明の様々な態様によれば、分析カードの反応チャンバを隔離するためのデバイスおよび方法に関する。
【0022】
図1は、本発明の一態様に係る、分析カード10の平面図である。分析カード10は1つまたは複数の反応チャンバ18を含んでもよい。分析カード10は、任意の数および配置の反応チャンバ18を有するように構成されてもよい。一態様において、分析カード10は、典型的には、96個、384個、またはそれ以上の個々の反応チャンバを含んでもよく、各反応チャンバは、典型的には、例えば7cm×11cm×0.2cmのカードサイズ中に約1.0mμL以下の容積を有する。図1に示される例において、カードサイズは1.5”(38.1mm)×2.0”(50.8mm)×1mmであってもよい。分析カード10における反応チャンバ18の数は例えば1〜数千の間で任意に変えてもよく、また、個々の反応チャンバ容積は例えば0.001μL〜1000μLの間で変えてもよい。カードサイズは約1cm×1cm〜約25cm×25cmの間で変えてもよい。
【0023】
分析カード10は入口ポート12を含んでいてもよく、入口ポート12を通じてサンプルが導入される。バスチャンネル14が入口ポート12から延びる。供給チャンネル16がバスチャンネル14から分岐して反応チャンバ18へ通じる。通気チャンネル20が反応チャンバ18から通気ポート22へと延びる。図1に示される態様の例において、バスチャンネル14は、分析カード10の幅の実質的な部分にわたって延びるとともに分岐点19を有し、分岐点19から1つまたは複数の供給チャンネル16がそれぞれの反応チャンバ18へ向けて分岐する。チャンネルおよびポートの任意の配置が使用されてもよいことが理解されるべきである。例えば、各チャンバは、サンプル入力点から独立したチャンネルを有してもよく、また、バスチャンネルが存在しない。あるいは、1つのチャンバが流体チャンネルによって他のチャンバに対して直接に連結されてもよい。
【0024】
反応チャンバ、チャンネルおよびポートの様々な配置に加えて、分析カード10は、本発明の様々な態様によれば、様々な異なる層から形成されてもよい。例えば、図2は、本発明の一態様に係る分析カード10の側断面図である。分析カード10は、第1の表面40および第1の表面40と反対側の第2の表面42を有する例えば環状オレフィンポリマー(COP)から形成される基板41を含む。分析カード10は、その第2の表面42に接着される、感圧接着剤(PSA)で裏打ちされた金属箔層44も含み、金属箔層44は例えばアルミニウムから形成される。チャンネル16は分析カード10の基板41内に画定されており、チャンネル16は第2の表面42に隣接する。チャンネル16はそれぞれの反応チャンバ18と連通する。あるいは、分析カード10は、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、または他のプラスチックから形成されてもよい。チャンネルは、PSAで裏打ちされた箔またはプラスチックシートを用いてシールされてもよい。チャンネルは、超音波溶着、熱積層、溶剤結合、および当技術分野において公知の他の手段により、形成または成型プラスチックの別の層でシールされてもよい。
【0025】
図3は、本発明の他の態様に係る、分析カード100の分解斜視図である。より具体的には、図3は、分析カードアセンブリ100の更なる構成要素を示している。図示されるように、分析カードアセンブリ100はガス透過性膜142を含む。一態様において、ガス透過性膜142は疎水性である。ガス透過性膜142には、PSAで裏打ちされたフィルム143が隣接する。一態様では、PSA裏打フィルム143は疎水性である。また、PSA裏打フィルムは両側が裏打ちされていてもよい。PSA裏打フィルム143には、例えばCOPによって形成される基板141が隣接する。基板141には、例えばアルミホイルであってもよいPSA裏打フィルム144が隣接する。基板141は、それによって画定されるチャンネルの配置を有していてもよく、ガス透過性膜142およびPSA裏打フィルム143は、以下で更に詳しく説明されるように、互いのそれぞれの開口と位置合わせし且つ基板141の一部と位置合わせする1つまたは複数の開口を有してもよい。
【0026】
図4(a)および図4(b)は分析カード100の更なる外観を与える。具体的には、図4(a)は、本発明の一態様に係る、分析カード100の組み立て平面図であり、一方、図4(b)は、該分析カード100の組み立て斜視図である。図4(a)は、ガス透過性膜142およびPSA裏打フィルム143のそれぞれの開口が互いに位置合わせできる配置を示している。また、図4(a)は、ガス透過性膜142およびPSA裏打フィルム143のそれぞれの開口が基板141の様々なポート、チャンネルおよびチャンバと位置合わせできる配置を示している。図4(b)は、ガス透過性膜142、PSA裏打フィルム143、基板141、およびPSA裏打フィルム144が分析カード100を形成するために位置合わせされて組み立てられるときに、開口が凹部191を形成し得ることを示す潜在的な図を与えており、凹部の配置および目的については以下で更に詳しく説明する。分析カード100、ならびにその様々な層および特徴は任意の適した厚さまたは深さを有してもよいが、一態様において、分析カード100は約1mmの厚さを有してもよく、一方反応チャンバ18の深さは約500〜700μmであってもよく、チャンネル16の深さは約60μmであってもよく、また、凹部191およびチャンネル16のそれぞれの対向配置される下面同士の間の分析カード100の厚さは約240〜440μmであってもよい。
【0027】
本発明は、一態様によれば、分析カードの反応チャンバを隔離するための方法も含む。図5(a)〜図5(d)は、分析カード10の反応チャンバ18を隔離するために本発明の一態様にしたがって行なわれうる段階を示している。例えば、図5(a)は、チャンネル16が反応チャンバ18と連通している分析カード10を示している。図5(b)は、分析カード10がチャンネル16の領域で所定温度まで加熱される状態を示しており、前記所定温度は、チャンネルの領域における基板41の少なくとも軟化温度であることが有利である。分析カード10をチャンネル16の領域で所定温度まで加熱できる方法は様々あり、その方法の一部については以下で更に詳しく説明する。図5(c)は、分析カード10が変形された状態を示している。分析カード10をチャンネル16の領域で変形させることができる様々な方法が存在し、その方法の一部については以下で更に詳しく説明する。基板41のプラスチックによってチャンネル16が少なくとも部分的に閉塞されるように分析カード10が変形される。有利には、基板41のプラスチックによってチャンネル16が完全に閉塞されるように分析カード10が変形され、それにより、チャンネル16が対応する反応チャンバ18を隔離する。幾つかの態様では、例えば図5(d)に示されるように、反応チャンバ18が隔離されたままとなるようにチャンネル16を閉塞し続けるために、変形されたプラスチックがその変形形状を保つように冷却されてもよい。あるいは、基板41に付着される層44が、熱源によって加熱されてチャンネル16内へと崩れることによりチャンネルを閉塞する温度軟化プラスチックからなっていてもよい。
【0028】
前述したように、分析カード10をチャンネル16の領域で所定温度まで加熱できる方法は様々ある。例えば、加熱段階は、基板41を加熱ツールと接触させることを含んでもよい。図6(a)〜図6(d)は、加熱ツールを用いて分析カード10を加熱して変形することにより反応チャンバ18を隔離する方法を概略的に示している。例えば、図6(a)は、チャンネル16が反応チャンバ18と連通した状態の分析カード10を示している。図6(b)は、ツール43を分析カード10と接触させることにより分析カード10が加熱される状態を示している。あるいは、ツール43は、分析カード10と実際に接触することなく分析カード10を加熱してもよい。一態様において、加熱ツール43は、例えば136℃の軟化温度を有するCOP基板141を加熱するために約150〜250℃の温度まで加熱されてもよい。当業者であれば分かるように、異なるグレードのCOPおよび異なるプラスチックは異なる軟化点を有する。温度は、各用途に最適化されうる。
【0029】
ツール43は任意の適した形状またはサイズであってよく、いくつかについては以下で更に詳しく説明する。また、ツール43が加熱され得る温度、ツール43と分析カード10との間の接触の持続時間、および適用される圧力の大きさは、予め決定されてもよく、加熱プロセス中にオペレータによって決定されてもよい。有利には、分析カード10が少なくともチャンネル16の領域で所定温度まで、例えばチャンネル16の領域における基板41の少なくとも軟化温度まで加熱されるようにするために、ツールの形状およびサイズ、温度、持続時間、ならびに適用圧力の任意のファクタまたは全てのファクタを変えることができる。このような分析カード10の加熱により、チャンネル16の領域は、該領域が加熱されなかった場合よりも容易に変形されるようになる。
【0030】
図6(c)は、ツール43が分析カード10に対して圧力を適用することにより分析カード10が変形される状態を示している。図示の態様では、ツール43がチャンネル16の直上に位置されるとともに、ツール43の動き(矢印Aとして示される)が分析カード10の表面42に対して垂直である。チャンネル16の領域で分析カード10を変形させることができる様式は、チャンネル16に対するツール43の接触位置、ツールの動きの方向、適用圧力の大きさ、および他のファクタを変えることによって変えられてもよいことが認識されるべきである。図6(c)に示される態様において、分析カード10は、基板41のプラスチックがチャンネル16を完全に閉塞するように変形される。図6(d)に示されるように、基板41の変形されたプラスチックは、チャンネル16の閉塞が維持されるように冷却させてもよい。
【0031】
先と同様に、本発明では、多くのファクタに応じて、分析カード10を加熱する熱源またはツールの相対位置が変えられてもよいことを認識されたい。例えば、一態様において、熱源またはツールは、チャンネル16に直接に隣接するまたはほぼ隣接する表面と反対側の基板の第1の表面(チャンネルの位置に応じて上面であっても下面であってもよい)に作用する。図9(a)〜図9(d)は、チャンネル16に直接に隣接するまたはほぼ隣接する表面と反対側の基板の第1の表面に対して適用される加熱ツールを用いて分析カード10を加熱して変形することにより反応チャンバ18を隔離する方法を概略的に示している。例えば、図9(a)は、チャンネル16が反応チャンバ18と連通している分析カード10を示している。この場合、チャンネル16は、分析カード10の下面に隣接して位置される。図9(b)は、分析カード10の上面に位置される凹部191の表面とツール43を接触させることによって分析カード10が加熱される状態を示しており、凹部191はチャンネル16の一部と位置合わせされる。図示の態様において、ツール43は、それが凹部191に入り込むことができるようにする形状またはサイズを有する。任意の適したサイズおよび形状のツール43が使用されてもよいことを認識されたい。
【0032】
図9(c)は、ツール43が分析カード10に対して圧力を適用することにより分析カード10が変形される状態を示している。図示の態様では、ツール43がチャンネル16の凹部191の直上に位置されるとともに、ツール43の動き(矢印Aとして示される)が分析カード10の表面42に対して垂直である。図9(c)に示される態様において、分析カード10は、基板41のプラスチックがチャンネル16を完全に閉塞するように変形される。図9(d)に示されるように、基板41の変形されたプラスチックは、チャンネル16の閉塞が維持されるように冷却することができる。図9(d)は、ツール43によって変形されて閉塞されなかったチャンネル16の隠れた部分を破線で示している。
【0033】
基板に対して熱を適用することができる様々な他の方法が存在する。例えば、一態様において、加熱段階は、超音波エネルギ源を適用することを含む。図7は、超音波エネルギ源を適用することによって基板へ熱を適用する方法を概略的に示す側面図である。図示の態様では、超音波エネルギ源が超音波ホーン51からなる。例えば、図7は、チャンネル16が反応チャンバ18と連通している分析カード10を示している。図7は、分析カード10が超音波ホーン51によって加熱される状態を示しており、超音波ホーン51は分析カード10に隣接して位置される。より具体的には、図7は、分析カード10が超音波ホーン51によって加熱され、分析カード10に形成される凹部191内またはその近傍に超音波ホーン51が位置される状態を示している。そのような凹部191により、チャンネル16を含む分析カード10の領域を、チャンネル16が位置する側とは反対の分析カード10の側で分析カード10に対して位置されるツールによって加熱することができ、それにより、チャンネル16を含む分析カード10の領域を加熱するために必要とされる熱量を少なくすることができる。ツール、例えば超音波エネルギ源51が分析カード10に実際に接触してまたは接触することなく分析カード10を加熱してもよいことを認識されたい。
【0034】
これに加えてまたはこれに代えて、加熱段階は、光もしくはレーザビーム、または他の放射エネルギ源を用いて基板へ熱を加えることを含んでもよい。図8は、分析カード10が放射エネルギ源53によって加熱される状態を示しており、この場合、放射エネルギ源53は、分析カード10に形成される凹部191内、またはその近傍に位置される。前述したように、そのような凹部191により、チャンネル16を含む分析カード10の領域を、チャンネル16が位置する側と反対の分析カード10の側に位置される放射エネルギ源53によって加熱することができ、それにより、チャンネル16を含む分析カード10の領域を加熱するために必要とされる熱量を減少させることができる。先と同様に、放射エネルギ源53は分析カード10に実際に接触してまたは接触することなく分析カード10を加熱してもよいことを認識されたい。これに加えてまたはこれに代えて、加熱段階は、加熱エアジェットを用いて基板へ熱を適用することを含んでもよい。一態様によれば、ツール43の先端だけで熱を発生させるために電磁誘導が使用されてもよい。電磁誘導の使用は、ツールを非常に急速に加熱でき且つインダクタへの電流の除去時にツールを急速に冷却できるという点で有利となり得る。更に、ツール43の先端だけで熱を発生させることにより、プロセス中に使用される熱量を減らすことができ、それにより、プロセスの安全性および信頼性が高まる。具体的には、熱の使用が少ないことにより、反応チャンバ内のサンプルを意図せずに加熱する可能性、または無傷のままであることが望まれる基板41の任意の部分を不注意に軟化させもしくは変形させる可能性を減らす構成が可能となる。
【0035】
図10(a)〜図10(d)は、閉塞されるべきチャンネル16と位置合わせされていない基板41の領域で加熱ツールを用いて分析カード10を加熱して変形することにより反応チャンバ18が隔離される本発明の更なる態様を概略的に示している。例えば、図10(a)は、チャンネル16が反応チャンバ18と連通している分析カード10を示している。図10(b)は、チャンネル16と位置合わせされていない、すなわち、チャンネル16に対してオフセットされる基板41の領域で分析カード10と接触するツール43によって分析カード10が加熱される状態を示している。あるいは、ツール43は、分析カード10と実際に接触することなく分析カード10を加熱してもよい。
【0036】
先と同様に、ツール43は任意の適した形状またはサイズであってもよく、その例については以下で更に詳しく説明する。また、ツール43が加熱され得る温度、ツール43と分析カード10との間の接触の持続時間は、様々であってよく、また、予め決定されてもよく、または加熱プロセス中にオペレータによって決定されてもよい。有利には、分析カード10は、少なくともチャンネル16の領域で、例えばチャンネル16に直接に隣接する基板の少なくとも何らかの部分を含む領域における基板41の少なくとも軟化温度である所定温度まで加熱される。このような分析カード10の加熱は、チャンネル16の変形を容易にし得る。
【0037】
図10(c)は、ツール43が分析カード10に対して圧力を適用することにより分析カード10が変形される状態を示している。図示の態様では、ツール43がチャンネル16の側部に位置されるとともに、ツール43の動き(矢印Aとして示される)に加えてツール43の形状が、加熱された基板の何らかの部分を変位させる、すなわちチャンネル16へ押し込むようになっている。チャンネル16に対するツール43の接触位置、ツールの動作方向、および適用圧力の大きさは、チャンネル16の領域での分析カードの適切な変形を達成するように変えられてもよいことが明らかであろう。図10(c)に示される態様において、分析カード10は、基板41のプラスチックがチャンネル16を完全に閉塞するように変形される。図10(d)に示されるように、基板41の変形されたプラスチックは、チャンネル16の閉塞が維持されて反応チャンバ18が隔離されたままとなるように冷却されてもよい。
【0038】
これに加えてまたはこれに代えて、基板の第2の表面上、すなわちチャンネル16が直接に隣接するまたはほぼ隣接する表面上の分析カード10の少なくとも一部に対して熱が適用されてもよい。そのような構成は、先に十分に説明したように例えば図6(a)〜図6(d)に示されている。先と同様、図6(a)〜図6(d)および図9(a)〜図9(d)はいずれも、チャンネル16が分析カード10の下面に隣接して位置されている状態を示しているが、それに代えて、チャンネル16は、その位置によって、本明細書において記載されるデバイスおよび方法にしたがって加熱および/または変形できる限り、分析カード10の上面に隣接して位置されてもよく、または上面と下面との間の任意の位置に位置されてもよいことが明らかであろう。
【0039】
前述したように、基板41のプラスチックがチャンネル16を少なくとも部分的に閉塞するべく加熱された分析カード10を変形させることができる方法は様々ある。前述した様々な図、例えば図6(a)〜図6(d)および図9(a)〜図9(d)は、分析カード10を加熱して該カードに圧力を適用することにより加熱されたプラスチックの少なくとも一部を変位させる単一のツール43を用いて分析カード10を加熱して変形することによって反応チャンバ18を隔離する方法を概略的に示している。任意の数の異なるツールを使用して分析カード10を加熱しおよび/または変形してもよいことが明らかであろう。また、加熱された分析カード10は、ツールを使用することなく(例えば重力によって)、分析カード10を加熱するために使用されるツールと同じであってもよいもしくは同じでなくてもよいツールを使用することによって、または分析カード10と接触するようにおよび/もしくは分析カード10に対して圧力を適用するように構成される任意の1つまたは複数の異なるツールを使用することによって変形されてもよい。
【0040】
また、様々なファクタ、例えば使用されるプラスチックのタイプまたはグレード、プラスチックの軟化度合い、チャンネル16のサイズおよび形状、ツール43のサイズおよび形状、ならびに他のファクタに応じて、様々な大きさの接触および/または圧力(接触および/または圧力が無いことも含む)が使用されてもよいことが明らかであろう。また、言うまでもなく、そのようなファクタに応じてツール43および分析カード10の相対位置が変えられてもよい。更に、加熱された分析カード10、またはその少なくとも一部は、チャンネル16が直接に隣接するまたはほぼ隣接する基板の表面に対して、またはそれに加えてもしくはそれに代えて基板の反対の表面に対して接触および/または圧力を適用することによって変形されてもよい。
【0041】
更にまた、加熱された分析カード10、または分析カード10の少なくとも一部は、基板の表面に対して接触および/または圧力を適用する必要がない方法によって変形されてもよい。例えば、分析カード10、または分析カード10の少なくとも一部は、基板の軟化された領域に対して表面張力を適用することによって変形されてもよい。これに加えてまたはこれに代えて、分析カード10、または分析カード10の少なくとも一部は、重力が分析カード10の軟化領域を変形できるようにすることによって変形されてもよい。また、分析カード10、または分析カード10の少なくとも一部は、基板に対する空気圧または真空の適用によって変形されてもよい。更に、分析カード10、または分析カード10の少なくとも一部は、慣性応力を基板に引き起こすように分析カードを移動させることにより軟化プラスチックを変形させることによって変形されてもよい。
【0042】
以上、ツール43を使用して分析カード10の領域を加熱して変形することにより単一の反応チャンバ18を隔離する様々な構成を有するように本発明を説明してきた。あるいは、本発明は、2つ以上のチャンネルを含む基板の領域を加熱して変形するために1つまたは複数のツールのそれぞれが使用され得る構成を使用してもよい。このように、単一のツールを使用して複数の反応チャンバを隔離してもよい。図11(a)および図11(b)はそのような構成を示している。具体的には、図11(a)は、複数の凹部191が形成される分析カード10を示している。これらの凹部191のそれぞれは、複数のチャンネル16と位置合わせされるように寸法付けられて形成されて位置されてもよい。具体的には、図11(a)に示されるように、それぞれの凹部191が楕円形状を有していてもよく、凹部の内部は、それぞれの反応チャンバ18内に通じる2つのチャンネル16のそれぞれと位置合わせされる。
【0043】
これらの凹部191のそれぞれは、例えば図11(b)に示されるようなツールを受けるように構成されてもよい。各ツールは、それが分析カードのそれぞれの凹部191に隣接する分析カード10の領域を加熱しおよび/または変形させるために使用されるときに、2つのチャンネル16のそれぞれの加熱および少なくとも部分的な閉塞、ならびに好ましくは完全な閉塞を引き起こすように構成されることが有利である。本発明は、任意の数のそれぞれのチャンバを隔離するために、ツールが任意の数のチャンネルと位置合わせできるか、またはさもなければ任意の数のチャンネルを加熱しおよび/もしくは変形するように構成され得る構成を使用してもよいことが認識されるであろう。
【0044】
以上説明した様々な態様は、基板41が単一のタイプのプラスチックから形成されることを記載しているが、本発明は、基板41が複数のタイプのプラスチックから形成される態様を含む。例えば、図12は、加熱ツール43を用いて基板に対して熱を適用する方法を概略的に示す側面図であり、この場合、基板41は、例えば共成形によって複数のタイプのプラスチックから形成される。図12は、チャンネル16が反応チャンバ18と連通している分析カード10を示している。図12は、第1の材料、例えば第1のタイプのプラスチックから主に形成され、且つ第1の材料と異なる第2の材料、例えば第2のプラスチックから形成されるチャンネル16に隣接する領域165を有する分析カード10を示している。より具体的には、図12は、分析カード10をツール43によって加熱できる構成を示しており、ツール43は、分析カード10に画定される分析カード10の凹部191内、またはその近傍に位置され、チャンネル16とツール43との間に第2の材料が配置される。一態様では、第1の材料の軟化温度は第2の材料165の軟化温度より高くありうる。これにより、第1の材料がその軟化温度に達することなく、チャンネル16を含む分析カード10の領域内にある第2の材料165を溶融させることができる、または該第2の材料をその変形に適する温度まで加熱することができる。そのような配置は、第1の材料から形成される基板41の部分を不注意に軟化または変形させる可能性を減らすことができる。そのような可能性の更なる減少は、例えば凹部191を使用して、チャンネル16が位置される側と反対の分析カード10の側にツールを作用させることにより、図示の構成で達成されうる。先と同様に、そのような構成は、チャンネル16を含む分析カード10の領域を加熱するために必要とされる熱量を減らすことができ、したがって、反応チャンバ内のサンプルを意図せずに加熱する可能性または無傷のままが望まれる基板41の任意の部分を不注意に軟化もしくは変形させる可能性を減らすことができる。領域165は、前述した任意の様式で加熱および/または変形されるように任意の適した位置でチャンネル16に対して位置されてもよいことが明らかであろう。
【0045】
前述した任意の様々な態様に係る本発明の分析カードは、システムで用いるように構成されてもよい。例えば、図13は、支持デバイス303を含むシステム300の分解斜視図である。支持デバイス303は1つまたは複数の孔3013を含む。また、システム300は、既に説明した任意の態様に示される分析カード10も含んでおり、分析カード10は1つまたは複数の孔3012を更に含む。システム300はツールデバイス301を更に含む。ツールデバイス301は1つまたは複数のポスト3011を含む。また、ツールデバイス301は、任意の適した構成で配置されてもよい1つまたは複数のツール43を含む。分析カード10のそれぞれの部分、例えば閉塞されるべきチャンネル16とツール43との位置合わせを容易にするため、ツールデバイスのポスト3011は、分析カード10の孔3012内および支持デバイス303の孔3013内に挿入されるように構成される。無論、前述したような分析カードのチャンバを隔離する働きをし得るこれらの構成要素、または他の構成要素の任意の適した配置がそのようなシステムで使用されてもよい。
【0046】
反応チャンバ18の隔離は、1つのチャンバから他のチャンバへのチャンネルを通じた反応物質の拡散を防止することによるそれぞれの反応チャンバ内での反応の相互汚染の防止、および反応チャンバ内への気泡の侵入防止を含む、多数の望ましい目的を果たすことができる。本発明の分析カードおよび方法では、チャンバ隔離を安全、正確、および確実に達成することができる。例えば、前述したように、分析カード10は、分析カード10に画定される凹部191内またはその近傍に位置されるデバイス、例えば加熱ツール43または超音波ホーン51によって加熱されてもよい。そのような凹部191により、チャンネル16を含む分析カード10の領域を、チャンネル16が位置される側と反対の分析カード10の側に位置されるツールによって加熱することができる。そのような構成は、チャンネル16を含む分析カード10の領域を加熱するために必要とされる熱量を減らしうるとともに、反応チャンバ内のサンプルを意図せずに加熱する可能性または無傷のままが望まれる基板41の任意の部分を不注意に軟化させもしくは変形させる可能性を減らしうる。
【0047】
更なる利点は、2つ以上のチャンネルを含む基板の領域を加熱して変形するためのツールの使用によって得られる。具体的には、例えば図11(a)に示されるように、本発明の分析カードは、複数のチャンネル16と位置合わせされるツールを受けるように寸法付けられて形成され得る領域、例えば凹部191を含んでもよい。ツールを2つ以上のチャンネル16と位置合わせすることにより、複数の反応チャンバ18を単一のツールにより隔離できる。結果として、所与の数の反応チャンバ18を隔離するために必要とされ得るツールの数を減らすことができ、それにより、他の分析カードシステムおよび方法と比べてコストならびに複雑さを低減しうる。
【0048】
更なる利点は、ツールデバイスが複数のツールを含む場合に得られ、各ツールは、チャンネルを含む基板の領域を加熱して変形するために使用されうる。具体的には、例えば図12に示されるように、本発明の分析カードは複数のツール43を含んでもよく、各ツールは、1つのチャンネル16(または、複数のチャンネル16)と位置合わせされるように寸法付けられて形成されてもよい。それぞれがチャンネルを含む基板の領域を加熱して変形するために使用されてもよい複数のツールを含むツールデバイスを使用することにより、ツールデバイスの単一の適用により複数の反応チャンバ18を隔離することができる。結果として、所与の数の反応チャンバ18を隔離するために必要とされ得る段階の数を減らすことができ、それにより、他の分析カードシステムおよび方法と比べてコストならびに複雑さを低減しうる。
【0049】
更にまた、本発明の分析カードは、基板41が例えば共成形によって複数のタイプの材料から形成されることにより利点を与えうる。具体的には、例えば図13に示されるように、本発明の分析カードは、第1の領域が第1の材料、例えば第1のタイプのプラスチックから形成されるとともに、第2の領域、例えばチャンネルに直接に隣接する領域が、第1の材料と異なる第2の材料、例えば第2のプラスチックから形成されてもよい。この様式において、第1の材料の軟化温度は第2の材料165の軟化温度より高くありうる。これにより、第1の材料がその軟化温度に達することなく、チャンネル16を含む分析カード10の領域内にある第2の材料165を溶融させることができるか、または該第2の材料をその変形に適する温度まで加熱することができる。熱の少ない使用により、反応チャンバ内のサンプルを意図せずに加熱する可能性または無傷のままが望まれる基板41の任意の部分を不注意に軟化させもしくは変形させる可能性を減らす構成が可能となりうる。
【0050】
実施例
本発明の方法は、その一態様にしたがって、例えば図4(a)および図4(b)に示されるような分析カード100を用いて検査された。より具体的には、アルミ箔キャリアを有するPSA裏打フィルム144が成形COP基板141上に積層され、組み付けられたCOP分析カード100が図13に示されるようにセットアップされた。その後、図13に示される3つの構成要素がCarverプレス内で2つの平坦なプラテン間に配置され、ここで、ツールデバイス301に隣接する側のプラテンが200℃まで加熱され、一方、他方のプラテンは室温に維持された。2つのプラテンは、支持デバイス303およびツールデバイス301の表面積全体がそれらのそれぞれの隣接するプラテンと接触するまで締めつけられた。ツール43の温度は、ツール43に接着される熱電対によって監視された。ツール43の温度がおおよそ200℃に達した場合には、2つのプラテンが約5秒間にわたって約150lbsの圧力まで更に締めつけられた。その後、締めつける力を急速に解放した。この手続きが完了された後、結果を検査するためにPSA裏打フィルム144を剥離させた。COP基板141が変形されているのが観察された。
【0051】
また、前述した検査は、様々な条件、例えば180℃〜250℃の範囲の温度および約50〜150lbsの範囲の圧力を使用して行なわれた。これらの検査の全てにおいて、前述した検査の結果に類似する結果が得られた。
【0052】
ツール43の高温が反応チャンバ18内に位置される検体サンプルへ望ましくなく伝えられるかどうかを決定し、それにより、その可能性を最小限に抑えるため、ツールの適用中に反応チャンバ18内の温度を測定するべく更なる検査が行なわれた。熱電対(Omega Engineering, model 5SRTC-TT-T-40-36)が熱伝導性のエポキシ(Omega Engineering, model OB 200)を用いて反応チャンバ18内に埋め込まれた。約300℃の表面温度を有するはんだごてをCOP基板141のチャンネル領域に対して3秒間にわたって手で押し付け、熱電対からの読み取り温度が監視された。測定された温度は、反応チャンバ18に対するツール43の位置に依存し、且つ24℃〜38℃の範囲となることが分かった。温度測定結果は、本発明の方法が反応チャンバ18内の検体サンプルおよびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)混合物または逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応混合物(RT-PCR)に対して悪影響を及ぼさないことを示している。
【0053】
200℃の温度を有するツール43が2.5秒間にわたって接触されたときの反応チャンバ18内の温度を示すために数値計算データが収集された。このとき、ツール43は、500μmの深さを有する凹部191を含んだ分析カード100と接触された。反応チャンバ18内の最大温度が約34℃であることが決定された。数値計算は、ツール43の熱い温度が反応チャンバ18内の検体サンプルおよびPCR混合物に対して悪影響を及ぼさないことを再び確認した。
【0054】
前述した検査が行なわれた後、分析カード100においてリアルタイムPCRによるDNA増幅が行なわれた。肺炎連鎖球菌(10kコピー/μLの濃度)のサンプルが分析カード100の24個の全てのチャンバ内に与えられた。その後、約300℃の表面温度を有するはんだごてを適用することにより、チャンネル16および通気チャンネル20が塞がれた。比較目的のため、同じ対象サンプルで調製された他の分析カードに対して室温のツールが適用された。リアルタイムPCRによるDNA増幅は、2つの分析カードに関して、Applied Biosystems 7900HT Real-Time PCR Systemにおいて行なわれた。図17(a)および図17(b)は、Delta Rn曲線を示すグラフである。対照分析カードは、それに関する結果が図17(a)に示されており、0.16の標準偏差を伴って22.10の平均Ct値を示した。一方、本発明にしたがって熱が加えられた分析カード100は、それに関する結果が図17(b)に示されており、0.22の標準偏差を伴って22.30の平均Ct値を示した。一連のPCR実行は、同じ結果、すなわち前述した様々な態様に係る本発明の方法が反応チャンバ隔離に適することを示した。
【0055】
48℃での逆転写酵素(RT)を含むリアルタイムPCRによるDNA増幅も分析カード100において行なわれた。Flu Aのサンプルが分析カード100の24個の全てのウェル内に与えられた。その後、約240℃の熱的隔離歯温度(thermal isolation teeth temperature)を用いた熱的隔離を適用することにより、チャンネル16および通気チャンネル20が塞がれた。比較目的のため、同じ対象サンプルで調製された他の分析カードに対して室温のツールが適用された。リアルタイムPCRによるDNA増幅は、Applied Biosystems 7900HT Real-Time PCR Systemにおいて行なわれた。5つの異なる濃度のFlu Aサンプルが5つの異なる分析カード内で増幅された。図18は、Ct値変化を濃度の関数として示すグラフを示している。対照および比較のため、室温ウェル隔離方法によって与えられるCt値および384-ウェルプレートPCRによって与えられるCt値もグラフに示されている。全てのCt値が単一の曲線に倒れこむという事実は、分析カードに適用される熱的隔離がRT段階に影響を及ぼさないことを示すとともに、前述した様々な態様に係る本発明の方法が反応チャンバ隔離に適していることを示している。
【0056】
図19は、乾燥試薬を用いた分析カード100でのPCR実験を説明した。図19(a)に示されるように、2つの異なる分析(Flu Bおよび肺炎マイコプラズマのそれぞれに関するプライマー、プローブ、および酵素)がチェッカーボードパターンでスポットされた。1kコピー/□Lの濃度を有するサンプルFlu Bが分析カード100の24個の全てのウェルに与えられた。その後、約240℃の熱的隔離歯温度を用いた熱的隔離を適用することにより、チャンネル16および通気チャンネル20が塞がれた。比較目的のため、同じ対象サンプルで調製された他の分析カードに対して室温のツールが適用された。リアルタイムPCRによるDNA増幅が、2つの分析カードに関して、Applied Biosystems 7900HT Real-Time PCR Systemにおいて行なわれた。図19(a)および図19(b)は、Delta Rn曲線を示すグラフである。Flu Bに関するウェルでは増幅が成功したが、肺炎マイコプラズマに関するウェルでは増幅が検出されなかった。このことは、熱的隔離法がウェル間の相互汚染をうまく防止することを示している。
【0057】
本発明は、その様々な態様によれば、ツールデバイスを製造または組み立てる方法にも関する。図14は、以下で更に十分に説明する図15(a)および図15(b)に示されるツールデバイス、例えばホットステーカヘッド(hot staker head)201を製造または組み立てるために使用されうる段階を示すフローチャートである。図14を参照すると、段階1401において、ツールデバイス、例えばホットステーカヘッド201の製造または組み立ては、硬質絶縁体であってもよい絶縁体に、プレートアップ(plate-up)に備える貫通穴を設ける段階を含みうる。図16(a)は、プレートアップに備える貫通穴204を有するそのような硬質絶縁体203を示す側断面図である。
【0058】
図14に示されるフローチャートの段階1402では、レジスト層が加えられる。図16(b)は、レジスト層205が硬質絶縁体203に対して加えられた状態を示す側断面図である。また、段階1402において、レジスト層は、絶縁体の穴と一致する穴を伴ってパターニングされる。図16(b)に示されるように、レジスト層205は、硬質絶縁体203の穴204と一致する穴206を伴ってパターニングされる。
【0059】
図14に示されるフローチャートの段階1403では、ピンが全ての層を貫通して打ち込まれる。図16(c)は、ピン207が全ての層を貫通して、例えばレジスト層205および硬質絶縁体203を貫通して打ち込まれている状態を示す側断面図である。図14に示されるフローチャートの段階1404では、レジスト層が剥離されてピンが露出される。図16(d)は、レジスト層205が剥離されてピン207が露出された状態を示す側断面図である。また、段階1404では、ピン207を滑らかに丸めるために等方性ウェットエッチングプロセスが行なわれてもよい。
【0060】
図14に示されるフローチャートの段階1405では、デバイスの背面上の金属層がパターニングされて、ピン207を連結する導電経路が形成される。そのようなパターン208の一例が図16(e)に示されており、この図は、前述した方法によって形成されるホットステーカヘッドの下面図を提供する。ピン207を連結する導電経路を形成するために任意の適したパターンが使用されてもよいことを認識されたい。
【0061】
ここで図15(a)および図15(b)を参照すると、図14のフローチャートに記載される段階にしたがって形成されるツールデバイス、例えばホットステーカヘッド201の斜視上面図および斜視下面図がそれぞれ与えられている。ピン207の任意の配置が使用されてもよく、ピン207は、前述した様々な方法に記載される、例えば加熱ツール43を形成して該加熱ツールとして機能することを認識されたい。一態様では、硬質の断熱絶縁ベース(例えばセラミック)が、分析カード上でシールされるべき点に対応するピン207のアレイを形成するためのベースとして使用されてもよい。図15(a)を参照すると、ホットステーカピン207は、エッジコネクタ能力を含むように設計される抵抗ヒータ素子の状態へと互いに接続されてもよい。
【0062】
前述したツールデバイスを製造するまたは組み立てる方法、および分析カードのチャンバを隔離するための方法におけるツールデバイスの使用は、従来の製造・組み立て方法と比べて利点を与え得る。先と同様に、接合プロセスに熱を導入することにより、分析カードに作用する過度な下向きの力を大きく減少または回避しうる。更に、基板材料を溶融および/または変形させるために使用される熱量が非常に局在化される。更にまた、本発明は、本明細書において説明した様々な態様によれば、任意の加熱面の熱塊(thermal mass)を減少させることができ、したがって、分析カードの高感度領域に対して熱を導入する可能性を減らすことができる。
【0063】
したがって、本発明の幾つかの前述した目的および利点が最も効果的に達成される。当業者であれば分かるように、本発明の思想および範囲から逸脱することなく、前述した例示的な態様の多数の変更がなされてもよい。例えば、本発明は、等温増幅、臨床化学分析などの他の生化学分析で使用されてもよい。本発明の様々な例示的態様について本明細書において詳しく説明して開示してきたが、それによってこの発明が限定されないことが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析カードのチャンバを隔離するための方法であって、分析カードが、軟化温度を有するプラスチックから形成される基板を備え、基板が、第1のチャンバと連通する第1のチャンネル、および第2のチャンバと連通する第2のチャンネルを画定する、以下の段階を備える方法:
分析カードを第1および第2のチャンネルの領域で少なくとも軟化温度まで加熱する段階と;
基板のプラスチックによって第1および第2のチャンネルの両方を少なくとも部分的に閉塞させるように、単一のツールを用いて分析カードを第1および第2のチャンネルの領域で同時に変形させる段階。
【請求項2】
変形されたプラスチックを冷却させる段階を更に備える、請求項1記載の方法。
【請求項3】
加熱段階が、加熱されているツールと基板を接触させること、超音波エネルギ源を基板に適用すること、光またはレーザビームの一方を用いて基板へ熱を適用すること、ならびに、加熱エアジェットを用いて基板へ熱を適用すること、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
基板を加熱ツールと接触させることが、ツールをチャンネル内へ挿入すること、および、チャンネルに隣接する基板の領域と接触させること、のうちの少なくとも一方を含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
変形段階が、基板の軟化領域に表面張力を適用すること、重力によって基板の軟化領域を変形できるようにすること、空気圧または真空を基板に適用すること、および、慣性応力を基板に引き起こすように分析カードを移動させること、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
加熱段階および変形段階が、チャンネルが直接に隣接するまたはほぼ隣接する基板の側から分析カードを加熱して変形させることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
加熱段階および変形段階が、チャンネルが直接に隣接するまたはほぼ隣接する基板の側と反対の基板の側から分析カードを加熱して変形させることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
分析カードのチャンバを隔離するための方法であって、分析カードが、軟化温度を有するプラスチックから形成される基板を備え、基板が、チャンバおよび該チャンバと連通するチャンネルを画定し、基板が、該基板の表面に凹部を更に画定し、凹部が、チャンネルの少なくとも一部と位置合わせされる、以下の段階を備える方法:
分析カードを凹部およびチャンネルの領域で少なくとも軟化温度まで加熱する段階と;
基板のプラスチックがチャンネルを少なくとも部分的に閉塞するように、分析カードを凹部の領域で変形させる段階。
【請求項9】
変形されたプラスチックを冷却させる段階を更に備える、請求項8記載の方法。
【請求項10】
加熱段階および変形段階が、加熱ツールを基板の凹部の表面と接触させて該表面に圧力を適用することを含む、請求項8記載の方法。
【請求項11】
加熱段階が、超音波エネルギ源を基板の凹部の表面に適用すること、光またはレーザビームの一方を用いて基板の凹部の表面へ熱を適用すること、加熱エアジェットを用いて基板へ熱を適用すること、のうちの少なくとも1つを含む、請求項8記載の方法。
【請求項12】
基板が2つ以上のチャンバおよび2つ以上のチャンネルを画定し、各チャンバがそれぞれのチャンネルを有し、加熱段階および変形段階が、該2つ以上のチャンネルを含む領域で分析カードを同時に加熱して変形する、請求項8記載の方法。
【請求項13】
2つ以上のチャンネルを含む領域は、単一の加熱ツールとの接触によって同時に加熱される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
分析カードのチャンバを隔離するための方法であって、分析カードが、第1の軟化温度を有する第1の材料および第2の軟化温度を有する第2の材料から形成される基板を備え、基板が、チャンバと連通するチャンネルを画定し、第2の材料が、チャンネルに隣接する、以下の段階を備える方法:
分析カードをチャンネルの領域で少なくとも第2の軟化温度まで加熱する段階と;
第2の材料がチャンネルを少なくとも部分的に閉塞するように、分析カードをチャンネルの領域で変形させる段階。
【請求項15】
第1の材料が、第1のタイプのプラスチックであり、第2の材料が、第1のタイプのプラスチックとは異なる第2のタイプまたはグレードのプラスチックである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
第1の軟化温度が、第2の軟化温度よりも高く、加熱段階が、第2の軟化温度よりも高いが第1の軟化温度よりも低い温度まで分析カードをチャンネルの領域で加熱することを含む、請求項14記載の方法。
【請求項17】
チャンネルが基板の第1の表面に隣接して位置され、基板の第2の表面が第1の表面と反対側にあって凹部を含み、凹部がチャンネルの少なくとも一部と位置合わせされ、第2の材料が凹部のそれぞれの底面とチャンネルとの間に配置され、それにより、第2の材料が少なくとも第2の軟化温度まで加熱されると、第2の材料がチャンネルを閉塞するために変形でき、変形されたプラスチックを冷却する段階を更に備え、加熱段階および変形段階が、加熱ツールを基板の凹部の表面と接触させて該表面に圧力を適用することを含み、かつ、変形された材料を冷却することを更に備える、請求項14記載の方法。
【請求項18】
軟化温度を有するプラスチックから形成される基板を備える分析カードであって、基板が、チャンバ、および該チャンバと連通するチャンネルを画定し、基板が、チャンネルの少なくとも一部と位置合わせされる凹部を表面に更に確定し、分析カードを凹部およびチャンネルの領域で少なくとも軟化温度まで加熱すると、基板のプラスチックが変形されてチャンネルを少なくとも部分的に閉塞する、分析カード。
【請求項19】
基板が2つ以上のチャンバおよび2つ以上のチャンネルを画定し、各チャンバがそれぞれのチャンネルを有し、該2つ以上のチャンネルのそれぞれの少なくとも一部が、同時に加熱されて変形されるように凹部に隣接して位置され、変形されたプラスチックが、チャンネルの少なくとも部分的な閉塞を維持するように冷却される、請求項18記載の分析カード。
【請求項20】
プラスチックが、第1の軟化温度を有する第1の領域および第2の軟化温度を有する第2の領域を含むか、または第1の軟化温度を有する第1の材料および第2の軟化温度を有する第2の材料を含み、第1の軟化温度が、第2の軟化温度よりも高い、請求項18記載の分析カード。
【請求項21】
軟化温度を有するプラスチックから形成される基板を備える分析カードであって、基板が、第1のチャンバと連通する第1のチャンネルおよび第2のチャンバと連通する第2のチャンネルを画定する、分析カードと;
分析カードが第1および第2のチャンネルの領域で少なくとも軟化温度まで加熱されるときに、分析カードを第1および第2のチャンネルの領域で同時に変形させ、基板のプラスチックによって第1および第2のチャンネルの両方を少なくとも部分的に閉塞させるようなサイズおよび形状を有するツールと、
を備えるシステム。
【請求項22】
ツールが、加熱されるとともに、チャンネル内へ挿入されるように分析カードに対して位置されること、および、チャンネルに隣接する基板の領域と接触するように分析カードに対して位置されること、の少なくとも一方がなされる、請求項21記載のシステム。
【請求項23】
分析カードを加熱するための超音波エネルギ源、分析カードを加熱するための光またはレーザビーム、および、分析カードを加熱するための加熱エアジェット、のうちの少なくとも1つを含む、請求項21記載のシステム。
【請求項24】
加熱されたツールが、チャンネルが直接に隣接するまたはほぼ隣接する基板の側から分析カードを加熱して変形するように分析カードに対して位置される、請求項21記載のシステム。
【請求項25】
加熱されたツールが、チャンネルが直接に隣接するまたはほぼ隣接する基板の側と反対の基板の側から分析カードを加熱して変形するように分析カードに対して位置される、請求項21記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【公表番号】特表2010−540905(P2010−540905A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526015(P2010−526015)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/077092
【国際公開番号】WO2009/079052
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(505443045)アプライド バイオシステムズ インコーポレーティッド (2)
【Fターム(参考)】