説明

分析システムに対するインサートを備えるデバイス

【課題】サンプル調製段階の種々の試薬を最終的な測定用混合物へと持ち越さずに簡素な流体流を許容するというデバイスを提供すること。
【解決手段】吐出開口を有する第1チャンバと、吐出開口を抜け出る第1チャネルと、を有する流体式ユニットを備える本体を具備する分析デバイスにおいて、第1チャンバは、該第1チャンバの壁部に接触する各リブ間の凹所と、第2チャネルとを備えるインサートを更に含み、インサートは、該インサートが吐出開口と係合されないという第1位置に配置され、インサートは上記第1位置から、第1チャンバ内の第2位置であって第2チャネルが第1チャネルを第1チャンバ内へと延在させる如くインサートが吐出開口に対して係合されるという第2位置へと移動可能であり、且つ、インサートは、吐出開口の方を指向する部分において第1チャンバの形状と同様である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1および第2チャンバと、上記第1チャンバから上記第2チャンバに至るチャネルとを有する流体分析用の流体式デバイスと、上記デバイスの使用方法と、上記デバイスを用いて流体を分析する機器と、上記デバイスおよび上記機器を含むシステムとに関する。
【0002】
本発明に係る上記流体式デバイスの適用分野は主として、たとえば核酸の分析を行う健康管理における流体の分析である。本デバイスを用いて実施される分析は相当に優れている、と言うのも、本デバイスは汚染により引き起こされる不正確さを回避するからである。
【背景技術】
【0003】
特に分析試験室においては、便利であると共に安全かつ高信頼性である手法で分析を行うことが大きな関心事である。特に問題なのは、ひとつの試薬から他の試薬への持ち越しである。故に、サンプルおよび/または試薬の分析のためのデバイスであって一連の手順において順次的な試薬の汚染を最小限とするデバイスが提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
EP318256においては、流体が強制的に通過されるチャンバを備えるデバイスが示されている。このデバイスは、一回より多い分析を実施し得ない。
【0005】
WO93/22058においては、各々が異なる温度を有する数個のチャンバを有するデバイスが開示されている。このデバイスにおける流体流は複雑である。
【0006】
本発明の目的は、先行技術に係るデバイスとの比較において優れた特性を有するデバイス、特に、免疫学的検定およびPCR塩基増幅技術における如く、サンプル調製段階の種々の試薬を最終的な測定用混合物へと持ち越さずに簡素な流体流を許容するというデバイスを提供するに在る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の主題は、
a)吐出開口を有する第1チャンバと、
b)上記吐出開口を抜け出る第1チャネルと、
を備える流体式ユニットを備える本体を具備する分析デバイスにおいて、
上記第1チャンバは第2チャネルを備えるインサートを更に含み、
上記インサートは、該インサートが上記吐出開口と係合されないという第1位置に配置され、
上記インサートは上記第1位置から、上記第1チャンバ内の第2位置であって上記第2チャネルが上記第1チャネルを上記第1チャンバ内へと延在させる如く該インサートが上記吐出開口に対して係合されるという第2位置へと移動可能であることを特徴とする分析デバイスである。
【0008】
本発明の第2の主題は、
−本発明の包括的または好適な実施例における本発明に係るデバイスを保持する取付具と、
−上記デバイス内に到達するアクチュエータであって上記インサートを上記第1位置から上記第2位置まで移動させる自由度を有するというアクチュエータを備えるヘッドとを備える分析機器である。
【0009】
本発明の別の主題は、
−本発明の包括的または好適な実施例における本発明に係るデバイスと、
−本発明に係る機器とを具備する、
デバイス内の流体を分析するシステムである。
【0010】
本発明の別の主題は、
流体の分析に対する本発明の包括的または好適な実施例における本発明に係るデバイスの使用法である。
【0011】
本発明の更に別の主題は、
−本発明の包括的または好適な実施例における本発明に係るデバイスまたは本発明の包括的または好適な実施例における本発明に係るシステムを配備する段階と、
−上記第1チャンバ内に流体を導入する段階と、
−上記流体の他の各成分から、上記流体の所定成分であって上記第1チャンバに関係付けられた成分を解放する段階と、
−上記吐出開口および上記第1チャネルを介して結果的流体を、分析されるべき上記成分を固定化する固相を包含する第2チャンバ内に移送することにより上記成分を上記固相に対して結合させる段階と、
−流体が上記吐出開口に向けて上記第2チャネルを通り上記インサートを通過可能であり且つ凹所を通過可能であるが、上記凹所に進入した場合には上記第1チャネル内には進入し得ない様に、上記インサートを上記吐出開口に向けて上記第2位置へと移動させる段階と、
−上記第2チャネルを通して上記第2チャンバ内へと第2流体を導入する段階と、
を有する、流体の成分の分析方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のデバイスは、特に分析の分野における流体の物理的処理および化学的処理の如き流体の処理の間において一般的に実施され又は好適であるという流体作用に対して有用である。本発明に依れば、複雑な流体式方法さえも可能とされる。但し、本発明は単純な段階に対してさえも、利点を提供する。実施例においては、一種類より多い流体が並行して処理され得る。
【0013】
本発明に従い処理され得る流体は、特定の処理に対して委ねられるべき任意の関心流体とされ得る。好適には、上記流体は液体である。更に好適には、上記液体は水溶液である。本発明に係るデバイスの好適な使用法においては、液体の成分またはそれに由来する化合物の分析が意図される。診断用デバイスにおいて液体は、分析において測定されるべき例えば核酸または抗原などの化合物を含有する。斯かる液体は、川からの水もしくは土壌から抽出された液体などの環境からの液体、または、ジュースもしくは植物もしくは果樹からの抽出物などの食物流体、または、血液、尿、脳脊髄液もしくはリンパ液などの人間もしくは動物の体から得られた流体、または、それから導出される血清もしくは血漿などの液体、または、上述の液体から分離される成分を含む液体から成る群から選択され得る。上記液体は更に、該液体の成分の分析に対して有用である付加的成分、または、上記デバイス内で実施されるべき化学反応に対する試薬を含有し得る。これらの試薬は、たとえば標識化されたオリゴヌクレオチド・プローブもしくは染料などの、標識化された結合物から成り得る。斯かる試薬は概略的に、当業者に公知である。
【0014】
本発明に係るデバイスは、少なくとも一個の流体式ユニットを備える。該流体式ユニットは少なくとも、1個のチャンバと1本の第1チャネルとを備える。以下において流体式ユニットとは、デバイス内における複数のキャビティであって、該複数のキャビティの内のひとつのキャビティ内に導入された流体が、当該構造物の別のキャビティへと流入し得るか、または、当該構造物の別のキャビティ内へと強制的に流入し得るという複数のキャビティの構造物であると理解されるべきである。たとえば最も単純な場合にこれは、上記チャンバおよび上記チャネルが相互に接続されて上記チャンバからの流体が上記チャネルに進入すべく強制され得ることで達成される。複数の異なるサンプルの分析が同一デバイスにおいて実施されるべき場合、上記デバイスは好適には一個を超える流体式ユニットを包含する。この場合に各流体式ユニットは、上記デバイスにおける他の流体式ユニットの個々の流体的挙動から独立した流体的挙動を呈する。
【0015】
チャンバとチャネルとを備えるデバイスは公知である。1個より多いチャンバまたは/および1本より多いチャネルを有するデバイスも公知である。しかしそれらの先行技術のデバイスは、同一のチャンバを通して第1流体の後で導入された一切の流体は、該チャンバ内に残存する上記第1流体の残留物により汚染されるという問題がある。本発明は特に、第1チャンバの後における流体経路内に如何に多くの他のチャンバもしくはチャネルが配置されるかに関わらずに、引き続く第2もしくは第3のチャンバよりも該第1チャンバが相当に大きな体積を有するという場合に対して、この問題を解決する。
【0016】
少なくとも一個のチャンバと、該単一もしくは複数のチャンバを抜け出る少なくとも一本のチャネルとを有するデバイスの製造も公知である。斯かるデバイスは、熱可塑性有機材料を用いて射出成形方法により容易に調製され得る。この場合に一切の成形型は、各チャンバおよび各チャネルは成形型プロセスを通して材料が存在しないままとされる如く構成される。材料の中実ブロックを除去加工してチャンバおよびチャネルのための空間とする如き他の方法も利用可能である。
【0017】
本発明に係るデバイスは、少なくとも一個の本体を含む。本体とは、デバイス全体の一部分であって該デバイスに対して堅固さまたは剛性を提供する一部分である。故に、上記本体は好適には堅固である。好適には上記本体は、熱可塑性材料、更に好適には熱可塑性有機ポリマから選択された材料で形成される。最も好適には上記熱可塑性有機ポリマは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネートおよびポリメチル・メタクリレートから成る群から選択される。更に好適には上記材料は、少なくとも分析に対して必要とされる部分にて、光透過性である。上記本体は、上記デバイス内で実施されるべき処理段階の量および種類に依存して、20〜199mmの長さ、8〜30mmの横幅、および、40〜150mmの高さを有し得る。通常は、分析されるべき単一もしくは複数種類の流体が多量であるほど、上記本体の体積は大きい。
【0018】
本発明に依ればチャネルとは、上記デバイス内のキャビティであって自身の幅および高さよりも大きな長手寸法を有するキャビティである。チャネルは好適には、該チャネルの幅および高さを画成する壁部により局限される。好適実施例においてチャネルの壁部は、上記デバイスの上記本体内に形成された溝の表面と、上記本体の上記溝の縁部に対して緊密にシールされた表面とにより画成される。上記デバイス内に形成されたチャネルは好適には、10mm2未満、好適には0.01〜2mm2である断面積を有する。上記デバイスを貫通して流体を搬送するチャネルは好適には、流体を維持するチャンバまたは/および好適には化学反応であるプロセスを実施するチャンバよりも小さな寸法を有する。
【0019】
チャネルの用途は、たとえば、
−上記デバイス内における(たとえば各チャンバなどの)2つの箇所の間における流体の供与、
−上記デバイス内への流体の供与または該デバイスからの流体の吐出、
−流体の測定、または/および、
−流体の処理、または、該流体内に溶解もしくは懸濁された物質の処理、
などの如く多様とされ得る。
【0020】
本発明に依ればチャンバとは、上記デバイス内における別の種類のキャビティである。該キャビティの寸法は、意図された上記チャンバの用途に基づいて変更される。上記チャンバの用途は、たとえば、
−たとえばサンプルもしくは試薬の保存、受容または/および供与、
−たとえば流体内の物質の分析などの、流体の処理、または/および、
−(たとえば光学的吸収または蛍光測定などのための)流体の物理的もしくは化学的特性の測定、
などの如く多様とされ得る。
【0021】
本発明の上記デバイスの上記第1チャンバは、該チャンバ内に収容された上記インサートに対して特に適合されたチャンバである。第1の特徴として、上記第1チャンバは吐出開口を有する。この開口は、流体が上記チャンバを出射するのを許容すべく設計される。その流体は次に、上記チャンバを抜け出るチャネルにより受容される。そのチャネルは、上述された如きチャネルとされ得る。それは、上記デバイスの内側の、好適には上記デバイス内の、好適には上記デバイス内のキャビティであるという他の任意の箇所へと至り得る。
【0022】
上記チャネルの形状は、上記チャンバの上記吐出開口を通して上記チャンバから流体を受容し得る如く、上記吐出開口に適合する。
【0023】
本発明に依れば、上記第1チャンバは第2チャネルを備えるインサートを更に含み、上記インサートは該インサートが上記吐出開口に対して係合されないという第1位置に配置され、上記インサートは上記第1位置から、上記第2チャネルが上記第1チャネルを上記第1チャンバ内へと延在させる如く上記当該インサートが上記吐出開口に対して係合されるという第2位置へと移動可能である。
【0024】
上記第1位置から第2位置までの上記インサートの移動は、上記デバイス内における該インサートの位置を強制的に変更することにより達成され得る。これは、たとえば機械的、電気的または磁気的な任意の力により達成され得る。上記インサートは、上記第1位置から所定経路に沿い上記第2位置へと摺動し得る。
【0025】
上記第2位置における上記インサートのこの配置によれば、対象者または上記機器は、第1流体が上記チャンバを通過した後で、選択的に上記第1流体の残留物による当該第2流体の汚染なしで、第2流体を上記第1チャンバ内へと導入し得る。故に、上記第1チャネルを通過した溶液の少量の残余物は、重力により又は上記システムの振動により上記第1チャンバの底部へと押しやられるときに上記第1チャネル内に進入し得ずに、第2位置において今や近傍とされた上記凹所内に捕捉される。
【0026】
これは、上記インサート内への上記チャネル、すなわち上記第1チャネルに至る上記第2チャネル内へと流体を導入することにより行われる。先の処理段階から依然として存在する一切の量の第1流体は、上記第1チャンバ内、特に上記第1チャンバの壁部と上記インサートとの間の上記凹所内に残存する、と言うのも、該第1流体は上記チャンバ内へと延在する上記第2チャネルを通過し得ないからである。
【0027】
これを達成するために、以下の措置のひとつ以上が、または全ての措置さえもが取られ得る。
【0028】
第1の措置においては、上記吐出開口の回りの領域における上記第1チャンバの内部と上記インサートの形状とが、上記第1および第2チャネル間の接続部をシールすべく適合化され得る。好適には、上記吐出開口の方を指向する上記インサートの部分における該インサートの形状は、上記第1チャンバの形状と同様である。更に好適には、上記吐出開口は上記第1チャネルから上記第1チャンバ内へと円錐状に拡大し、且つ、上記インサートは好適には同一角度を以て円錐状に狭まる。この角度は好適には、上記吐出開口からの流出の軸心であって上記チャンバを抜け出る上記第1チャネルの方向と同一とされ得る軸心に対し、5〜85°、更に好適には20〜60°に選択される。
【0029】
上記シール面積は10mm2もの小ささとされ得るが、好適には20〜314mm2、更に好適には40〜77.5mm2である。
【0030】
第2の措置において上記インサートは、上記第1チャンバの壁部に接触する各リブ間の凹所を更に備える。故に、上記インサートが上記第1位置に在るときに流体は、上記第2チャネルを通り且つ上記凹所を通り、上記吐出開口を通り上記第1チャネル内へと上記インサートを通過し得る。他方、上記インサートが上記第2位置に在るときに流体は、上記第2チャネルを貫通して上記吐出開口に向けて上記インサートを通過可能であり且つ上記各凹所を通過可能であるが、上記各凹所に進入しまたは/および該各凹所を通過したときには上記第1チャネル内に進入はし得ない。
【0031】
第3の措置において各リブは、上記第1チャンバの内部に接触する上記インサートの部分に配置される。上記各リブは、上記チャンバ内における上記インサートの厳密な位置決めを実現する。この位置決め性を向上するために、上記インサートが移動可能である上記チャンバの部分であって各リブと接触する部分は、上記インサートの各リブの移動の経路の全体に亙り一定直径を有する。この直径は、上記インサートに対する一定圧力であって上記インサートを規定位置に保持するに十分なほど大きいが操作者が上記インサートをその所定経路に沿い移動させることを許容するほどに十分に小さい一定圧力が在る如く選択される。これは、上記チャンバ壁部およびインサートに対して特に各リブの部分においてプラスチック材料を用いることにより達成され得る。射出成形プロセスにおいて、上記チャンバに対してその内部形状を与える成形型の形状は、各リブの外側部分に対して形状を与える成形型の形状よりも僅かに小寸に選択されるべきである。
【0032】
上記各リブの助力により上記インサートが案内されるという上記チャンバの部分の形状は、上記インサートが移動することを許容する任意の形状を有し得る。好適には、移動の経路に沿う上記部分の直径は、たとえば円形、矩形または正方形などの様に単純である。これは主として更に容易な製造を理由とすることから、他の任意の形状も可能であるが好適さは少ない。
【0033】
代替実施例において上記チャンバの壁部は、上記各凹所および各リブを備える。この場合に上記インサートは、当該円筒の周縁部が上記チャンバの内径よりも少し大寸であるという円筒形状を有し得る。
【0034】
更に別の実施例においては、上記チャンバおよびインサートの両方がリブおよび凹所を有する。これは、上記インサートに対する上記チャンバの案内特性を向上させると確信される。
【0035】
好適には、上記インサートの周縁部の回りには3〜20本、更に好適には4〜10本のリブが在る。各リブの間に各凹所が在る。それらの凹所は、該凹所内に第1流体が捕捉されるのを許容する任意の形状を取り得る。それらは、同様に見えても良く、または、異なっても良い。
【0036】
第1好適実施例において上記インサートの外側形状は、該インサートの頂部を除き、上記第1チャンバの形状と同様である。上記頂部は、外壁からの当該所定距離よりも残存流体の小滴の高さが小さいことから上記外壁における残存流体の小滴は当該鍔部と上記外壁との間に捕捉される様に上記外壁から所定距離を有するという鍔部が上記インサートの上記頂部上に形成される様に、上記デバイスの外側輪郭から中央に向けて増大すべく円錐状であり且つ上記内側の第2チャネルから増大する様に円錐状であるという円形カラーを有する。
【0037】
更なる好適実施例においては上記インサートの外壁と上記第1チャンバの内壁との間に付加的な凹所が形成されることで少なくとも3本、好適には20本までもリブが形成されることにより、上記第1チャンバの上記内壁から上記インサートの本体は離間して維持され、且つ、上記インサートをその第1位置から第2位置へと移動するために必要な力が減少される。上記インサートの頂部は上記円錐状カラーを備えているが、今度は上記カラーは上記第1チャンバの内壁に到達しない。
【0038】
上記インサートが上記第2位置に在るときに上記第1チャンバの上記吐出開口に進入し得ない流体の体積は、好適には10〜500μlである。これは、先の処理から上記第1チャンバの壁部に対して付着した流体の小滴であって後時に加えられた流体と共に上記デバイスを通る流体流に対して進入したならば第2流体を汚染するであろうという小滴を保持するに十分である。
【0039】
上記インサートの形状は、該インサートの特定用途により更に影響され得る。たとえば、上記チャンバの取入開口を指向する上記インサートの形状は上記吐出開口から離間する方を指向する上記第2チャネルの端部にて円錐状部分を備えることが好適である。これにより、上記インサートをその移動経路上で上記吐出開口に向かい移動させるアクチュエータに対する該インサートの更に良好な相互作用が許容される。更に上記円錐形状は、第2流体を第2チャネル内に案内することを助力し得る。
【0040】
上記インサートの全体的サイズは、上記第1チャンバのサイズに依存する。好適には、上記インサートの直径が好適に0.1〜0.3mmだけ僅かに大寸であれば、該インサートの直径は上記チャンバの最大直径より大きくはない。上記インサートは、上記第1チャンバ内における該インサートの完全な合致を保証すべく弾性材料で作成される。上記インサートの直径に対する好適な寸法は、0.1mm〜10cm、更に好適には0.2mm〜20mmである。上記インサートの長さは、0.1mm〜10cm、更に好適には0.1cm〜3cmとされ得る。上記移動経路に沿う各リブの長さは、0.1mm〜5cm、好適には0.2mm〜3cmとされ得る。
【0041】
上記第1チャンバの内壁は、少なくとも一本の、好適には同一本数のバーを備え、該バーは、上記インサートを上記第1位置から上記第2位置へと移動させるピペット先端との間の力が、該バーが上記インサートを上記位置に保持する摺動力より大きい場合にも上記インサートを上記第2位置に保持する。故に、ピペットは上記インサートを上記第2位置から引き出し得ない、と言うのも、上記バーは上記インサートが戻り移動するのを阻止するからである。
【0042】
上記第2チャネルの長さは好適には、0.1mm〜10cm、好適には1mm〜5cmである。好適には上記チャネルは管状であるが、好適にはアクチュエータに対する相互作用に対して設計された部分にて、円錐状部分も含み得る。
【0043】
好適には本発明は、上記デバイス内において上記インサートを第1位置から第2位置へと移動させるアクチュエータを備える。これは、上記デバイスの内側または該デバイスの外側における種々の手段により達成され得る。好適実施例において上記アクチュエータは、上記デバイスを取り扱う機器内に収容されたデバイスである。その場合に上記アクチュエータは、分析デバイスから構造的に独立的とされ得る。この場合、本発明に係る上記デバイスは好適には、上記アクチュエータが貫通して上記第1チャンバの内部に進入することで上記インサートを上記チャンバの吐出開口に向けて押し進めるという開口を有する。この開口は、上記チャンバ内へと流体が貫通導入された開口とされ得る。そして更に好適には、この開口は上記チャンバの上側開口である。
【0044】
最初の使用において上記チャンバは、たとえば一定体積の試薬流体を加えて元のサンプル内で溶解反応を実施するために大容量のサンプルを受容すべく使用される。チャンバの体積は、1Lより小さく、好適には1μl〜100mlとされ得る。斯かるチャンバの好適実施例は、たとえば核酸などの当該細胞の構成成分を解放する細胞を含む流体の細胞成分の溶解(lysis)の如き化学的サンプル調製のためのチャンバである。斯かるチャンバは、溶解チャンバと称され得る。溶解チャンバは平坦チャンバとされる必要はなく、好適には、サンプルと溶解のための試薬とを導入するための上側開口とチャネルに対する吐出口としての下側開口とを有する少なくとも部分的な管形状を有する。化学的サンプルの調製が実施される条件は、公知であると共に、本発明に対して容易に適用され得る。
【0045】
好適な場合において、本発明に係る上記流体式ユニットは第2チャンバを付加的に備える。このチャンバは、上記第1チャネルにより上記第1チャンバに対して流体的に接続される。流体式ユニットは、たとえば上記デバイスの内部における他のチャンバへと流体を更に搬送するために、または、上記デバイスにおける流体の更なる処理のために、更に多くのチャネルおよび/またはチャンバを含み得る。
【0046】
流体内の核酸分析物の測定のために有用である好適実施例において、各流体式ユニットは、第1チャンバすなわち溶解チャンバと、上記第1チャンバの吐出口部分から、好適には取入口部分を介して第2の好適には平坦なチャンバであって核酸を可逆的に結合し得るフリースを備えるという第2チャンバに至る第1チャネルとを包含する。第3チャネルは、上記第2チャンバの吐出口部分から好適には当該第3チャンバの取入口部分を介して第3チャンバに至り、且つ、第4チャネルは上記第3チャンバの吐出口部分から上記デバイスの吐出ポートに至る。これらのチャンバの内の任意のチャンバは、本発明に係るチャンバとされ得る。好適には、本発明に従い定義される上記チャンバは、溶解チャンバであり、且つ、本発明に係る上記第1チャンバである。
【0047】
更に好適には上記流体式ユニットは、上記第2チャンバから照射および検出のための第3チャンバに至る第3チャネルを更に備える。
【0048】
流体経路において、上記実施例にては第4チャネルである最終チャネルは、吐出ポートを通り上記デバイスから引き出される。本発明に係る上記デバイスの、更に好適には流体式ユニットの吐出ポートは、流体が制御様式で上記デバイスを出射することを許容する一方で処理の間に流体の偶発的な流出を回避すべく設計された上記デバイスの開口である。故に好適には上記開口は、たとえば中空ニードルにより穿刺され得るストッパによりシールされる。
【0049】
本発明に係る上記デバイスは、有意なだけの個数の流体式ユニットを備え得る。多すぎる個数は、上記デバイスの取り扱いが更に困難であることを考慮すると不都合であり得る。たとえばこの場合には、機器内に多すぎるアクチュエータが流体的に収容される必要があり得る。1個のデバイスにおいては2〜16個の流体式ユニット、更に好適には4〜8個のユニットを使用することが好適であることが判明している。
【0050】
上記デバイスを便利に取り扱うために、各流体式ユニットは好適には平行様式で配置される。これは、個々の流体式ユニットのチャンバおよびチャネルが幾何学的に相互に平行であることを意味する。その場合に一切の取入ポートおよび吐出ポートは上記デバイスの同一側に配置され、好適には、たとえば取入ポートなどの一方の種類のポートはデバイスの一方の縁部に沿い、且つ、たとえば吐出ポートなどの他方の種類のポートは別の縁部に沿い配置される。2つの異なる種類の取入ポートが在るとしても、それらはデバイスの同一の側もしくは縁部に配置され得る。
【0051】
本発明に係るデバイス全体の形状およびサイズは主として、該デバイスにより提供されるべき機能により決定される。更に、上記デバイスにおける流体の種類および量、および、実施されるべき段階の種類および数が、上記デバイスの幾何学的および機能的特性を更に決定する。
【0052】
此処で使用される理解内容に従う流体式デバイスは、0.1μm2より大きく、更に好適には10μm2〜10mm2の断面積を備える一本以上のチャネルを有する。上記デバイスは更にまたは代替的に、上記チャネルより大きな断面積を有する一個以上のチャンバを備え得る。流体式デバイスのチャンバは、10μl〜3ml、更に好適には1μl〜5mlの体積を有し得る。
【0053】
本発明に係る上記デバイスは、該デバイスを受容または/および処理する機器と相互作用する凹所および突出部の如き付加的要素を備え得る。好適には上記デバイスは、該デバイスを把持して機器内の所定位置まで搬送し所定姿勢で固定する把持器に対して係合する溝を含む。
【0054】
図1aには、本発明に係るデバイスの第1好適実施例が示される。本発明に係るデバイス(1)は、第1チャンバ(3)内の移動可能インサート(2)が第1位置に在ることから、該チャンバからの流体がインサート(2)内の第2チャネル(5)と、上記インサートの各リブとチャンバ(3)の底部/吐出口部分(4)の壁部との間の凹所との両方を通り第1チャネル(6)内へと自由に出射可能であるという状態で示される。この状況のリブおよび凹所は、図2bに更に詳細に示される。上記デバイスは、各々が上記インサートを備えた8個の平行な分析ユニットを含む。上記チャンバおよびインサートは、破断図で示される。
【0055】
図1bは、上記デバイス(1)が第2位置に在ることで、インサート(2)とチャンバ(3)の底部(4)との間ではなく、インサート(2)内のチャネル(5)を通してのみ第1チャネル(6)内へと流体の出射を許容するという該デバイスを示している。
【0056】
図2aは第1位置に在るインサート(2)を立体図で示す第1チャンバの下部の拡大図である一方、図2bは同一状況を破断図で示し、図2cは上記インサートを第2位置とした破断図である。各図には、第1チャネル(6)、底部(4)、この場合にはインサート(2)の周縁部の回りにて6本の凹所であると共に幾つかは隠されているという凹所(8)、リブ(7)、および、(破断状態においてのみ視認可能である)上記第2チャネルが示される。
【0057】
更に好適には、本発明に係るデバイスは、本体と、少なくとも一個のシール壁部との複合体である。この場合、当該チャネルを通り流体が上記デバイスのチャンバおよび取入および吐出ポートに進入または/および離脱し得るというチャネルの断面積に関わらず、上記本体内の一切のキャビティは該本体に対して取付けられたシール壁部により閉じられる。
【0058】
好適には上記本体は、1600〜19200mm2、更に好適には7200〜12000mm2の面積に亙り概略的に平坦な領域を有する。この領域は以下においてはシール領域と称される。平坦という語句は、本体の材料に対して十分な熱が付与されることでシール用ユニットと接触する本体の部分が溶融され得る如くシール用ユニットが本体に対して接近して熱的に接触することを許容すべく、デバイスの外側に向かう本体が幾何学的に均一であることを意味する。他の部分において上記本体は、たとえば該本体内に形成されたチャンバの近傍において上記平坦表面から隆起する領域を含み得る。
【0059】
シール壁部は好適には、概略的に平坦な材料片である。それは、1種類の材料から作成され得るか、または、複合体とされ得る。好適にはそれは、本体よりも堅固さが少ない箔の形態を有する。本発明に依れば、上記シール壁部が、本体と同一の熱可塑性材料であって熱可塑性部分と称される部分と、上記熱可塑性部分の溶融温度よりも高い溶融温度を有する材料で作成された担体部分との複合体であれば非常に好適であることが見出された。好適には、上記担体部分は上記シール壁部に対して引裂強度を提供すべく選択される。上記引裂強度は、シール・プロセスの信頼性に対して重要である。好適な引裂強度は、好適には5〜50、更に好適には6〜40N/mm2である。上記担体部分に対する好適な材料は、種々の金属箔から成る群から選択され、更に好適には上記材料はアルミニウムから成る。上記箔の厚みは好適には、40〜400μmである。
【0060】
好適には上記シール壁部は熱伝達壁部である。熱伝達壁部は好適には、熱伝達材料、すなわち、良好な熱伝導率を有する材料から成る。好適な熱伝達材料はアルミニウムおよび銅から成る群から選択され、更に好適にはアルミニウムである。好適には上記熱伝達壁部は2層を備え、好適には、各層の一方は金属層であり且つ第2層は熱可塑性層であり、各層は相互に対して溶着される。
【0061】
上記キャビティを囲繞する領域において上記本体に対するシール壁部の適切な、特に液密なシール作用を確実とすべく、上記シール壁部は好適には実質的に平面的である。実質的に平面的とは、それがその表面の80%以上、好適には90%以上、最も好適には100%に亙り平坦であることを意味する。上記シール壁部に対するシール作用に対して意図された本体の部分は、上記キャビティを囲繞する領域と同様の範囲まで実質的に平面的とされるべきであるが、シール後に上記デバイス内にチャネルまたはチャンバを形成することが意図された溝は除外する。
【0062】
上記シール壁部は好適には、20〜100μm、更に好適には50〜250μmの厚みである。好適には、デバイスの本体毎に1個のシール壁部が在り、本体においてシールされるべき全ての溝を覆う。
【0063】
これらの構成要素間において上記流体式ユニットには、少なくとも一個のキャビティが形成される。キャビティは、少なくとも一個のチャンバおよび少なくとも一本のチャネルを備える。故に本発明に係る流体式ユニットは、第1チャンバと称される少なくとも一個のチャンバ、および、第1チャネルと称される少なくとも一本のチャネルを必要とする。この流体式ユニットは、たとえば、流体経路の開始部であって当該アクチュエータがチャンバの内部に進入し得る如く上記デバイスの外側からアクチュエータによりアクセス可能であるという流体経路の開始部にて、上記デバイスの所定位置に配置される。
【0064】
上記2つの部材、すなわち本体およびシール壁部は、公知の方法により接合され得る。上記シール壁部は熱可塑性ポリマから成る薄寸壁部であり且つ堅固な本体はたとえばポリスチレンなどのポリマで作成されるという好適実施例において、上記2つの部材は組み合わされてから、たとえばレーザ溶着、超音波溶着、熱シールまたは接着などの溶着によりシールされ得る。上記2つの部材はまた単に、相互にクランプ止めまたはピン止めされ得る。
【0065】
上記接合方法、本体の材料およびシール壁部の材料は、相互に適合すべく選択されねばならない。たとえば、接合方法がレーザ溶着であるならば、本体およびシール壁部の材料は(たとえばポリプロピレンなどの)同一材料であるが、2つの材料の一方はレーザ・エネルギを吸収するために着色される。接合方法が超音波溶着ならば、典型的には両方の材料が同一である。接合方法が熱シールであるなら、シール壁部は、本体に対して熱的にシールされ得る熱シール可能な壁部である。
【0066】
上記の製造方法においては、特に上記デバイスが付加的要素を含むならば更なる組立て段階が加えられ得る。
【0067】
本発明の別の主題は、
−本発明またはその好適実施例に係るデバイスを保持する取付具と、
−上記デバイス内に到達するアクチュエータであって上記インサートを上記第1位置から上記第2位置まで移動させる自由度を有するというアクチュエータを備えるヘッドとを備える、
機器である。
【0068】
上記デバイスを確実に保持して計装を行うために、上記機器は上記デバイスを保持する取付具を備える。この取付具はまた、望まれたときに上記デバイスの流体式ユニット内へと流体が導入され得るという位置にも上記デバイスを保持し得る。上記取付具は、上記デバイスを保持すべく必要とされるだけ、上記デバイスの外側形状に対して適合され得る。上記取付具は、上記デバイスの夫々の部分に適合する形状を有する弾性係合手段を含み得る。斯かる形状的適合は、上記取付具における突出部であって上記デバイスにおける凹所内に挿入され得る突出部により提供され得るが、逆も同様である。
【0069】
更に、本発明に係る上記機器は、上記デバイス内に到達するアクチュエータであって上記インサートを上記第1位置から上記第2位置まで移動させる自由度を有するというアクチュエータを備えるヘッドを備える。本発明の意味におけるアクチュエータとは、上記インサートを上記第1位置から上記第2位置へと押し進める剛性を有するデバイスである。上記インサートを引張力により戻り移動させる必要はない。好適実施例において上記第1チャンバの内壁は、上記インサートを上記第2位置に保持するバーを有する。本発明に係る好適なアクチュエータは、分注器のソケットに対して取付けられたピペット先端である。これは、上記インサートを移動させる付加的デバイスは必要でないという利点を有する。これに加え、時間の掛かるデバイスの交換の必要が無い。本発明の分注段階、好適には洗浄手順の第1供与段階で使用されたピペット先端を用いて上記インサートを吐出開口に向けて単に押し進めることが可能である。斯かるピペット先端および分注器は、当業者に取り概略的に公知である。実験室において現在使用されている機器と比較しての唯一の適合化は、ピペット先端の端部位置を厳密に上記第2位置へと調節することである。プロセス段階を制御するコンピュータ・プログラムは、上記インサートを上記第2位置に向けて押し進めるために更に前方に移動させるべく調節される必要がある。既存の機器に対する付加的な構築ブロックは必要でない。
【0070】
本発明に係る上記機器は、能動的および受動的取り扱いの両方と見做されるべき上記デバイスに対する流体の供与または送給および除去または受容の機能を履行するデバイスを備え得る。たとえば、第1流体取り扱いユニットからの流体の受容は、圧力下の流体を上記デバイスに付与して該流体を該デバイス内へと押圧することにより、または、流体を上記デバイス内へと吸引すべく負圧を適用することにより行われ得ると共に、上記デバイスから外部への流体の除去もしくは送給は、たとえば第1取入ポートを介して液体もしくは気体の如き流体を圧送することによりキャビティに対して圧力を付与するか、または、取入ポートを介して流体を吸引すべく上記キャビティに対して負圧を適用することにより達成され得る。適切な手段としては、シリンジポンプが挙げられる。上記液体取り扱いユニットは、上記デバイスが上記機器の所定位置内へと載置されたときに該液体取り扱いユニットが一切の入力および出力箇所に作用し得る如く、上記機器内に載置される。上記デバイスの取入または吐出ポートに対する上記ヘッドの位置は、制御ユニットにより制御され得る。
【0071】
好適には、この機器は分析機器である。流体、または、その任意の成分を分析する機器は、概略的に公知である。それらは、分析に対して概略的に公知のユニットを含む。好適なユニットは、上記デバイス内に収容された流体の例えば光学特性などの特性もしくは特性変化を測定する光学機器、流体を第1位置から一個以上の他の位置へと移動させる機構、および、管、槽または試薬容器から流体を上記デバイス内へと供与または/および吸引する液体取り扱いユニットである。上記で指摘された如く上記機器は、本発明に係る上記デバイスの流体式ユニット内へと流体を供与すべく、または/および、該デバイスから液体を除去すべく使用されるヘッドを備える。
【0072】
上記機器は更に好適に、好適には加熱または/および冷却素子であるヒータを含む。この素子は、好適には上記熱伝達壁部を介してヒータまたは/および冷却器に対する上記チャンバからの熱伝達、ヒータまたは/および冷却器から上記チャンバに対する熱伝達が可能である如く、好適には上記デバイス内のチャンバに流体が収容されるときに該素子が上記シール壁部の外側にて上記デバイスに接触しまたは接触し得る如く、位置される。加熱または/および冷却素子を備える機器の例は、熱サイクル器(thermocycler)である。熱サイクル器は概略的に、所定の変化特性(profile)の異なる温度を反復様式で流体に適用することが知られている。例示的な熱サイクル器は、EP 0 236 069に記述されている。好適な加熱または/および冷却素子は、ペルチェ素子、抵抗加熱素子、および、ファンを備えた金属ブロックの如き受動的冷却素子から成る群から選択される。
【0073】
本発明においては、好適には流体式ユニットの各々に対し、加熱されるべき流体を収容するチャンバの近傍の上記シール壁部に接触すべく上記デバイスに対して移動される位置において上記機器内に各々が配置された少なくとも一個の熱サイクル器ユニットが在る。好適には、これは上記で指摘された如く上記第3チャンバである。更に好適には、各熱サイクル器は独立して調整可能であり、すなわち各熱サイクル器は異なる熱的変化特性が適用され得る。熱的変化特性は、上記チャンバ内において到達されるべき温度と、この温度に維持されるべき時間長とにより定義される。コンピュータ制御によれば、異なる変化特性が達成され得る。上記デバイス上に配備される遮断体によれば、隣接する各流体式ユニット間で異なる熱的変化特性を使用する可能性が促進される。
【0074】
上記デバイスにおいて実施されるプロセスの間における液体の特性の監視または特性の変化の監視を実施するために、上記機器は更に、上記流体式ユニット内のチャンバの透明壁部に対して光学的に接続された検出モジュールなどの特性監視ユニットを備える。適切な検出モジュールは、概略的に公知であると共に、上記デバイス内に流体が存在する間に実施される特性または特性変化の種類に依存する。たとえば特性が蛍光信号などの光信号における変化であるなら、上記検出モジュールは、上記デバイスの流体式ユニット、好適には上記第4チャンバの如きそのデバイスの検出チャンバが照射され得る如く上記機器内に位置された光源と、上記デバイス内に収容された流体から光線を受けると共に評価ユニットに対して電気信号を送信する好適には感光セルである光線受容ユニットとを備える。上記検出モジュールは上記機器内において、上記チャンバ内に収容された流体から発せられる光を検出し得る箇所に配置される。好適には、上記チャンバ内へと光を衝当させるべく配置された照射モジュールも在るなら、この光は好適には、流体内の成分を励起するか又は吸収もしくは変化されるという特性を有する。
【0075】
もし上記デバイスにおいて実施されるべきプロセスが、該デバイスにおける電極もしくは加熱壁部の如き該デバイスの構成要素の接続性であって上記機器の電気回路に対する接続性を必要とするなら、好適には、上記デバイスが上記機器内に挿入されるときに上記機器上の当該コネクタが上記デバイス上の対応物に対して接続される如く配置された位置にて上記機器上にはコネクタが配備される。
【0076】
本発明の別の主題は、
−本発明の包括的または好適な実施例における本発明に係るデバイスと、
−本発明の包括的または好適な実施例における本発明に係る機器と、
を備える、デバイスにおける流体を分析するシステムである。
【0077】
好適には、本発明に係る上記システムは付加的に、(たとえば廃棄物収集のための)流体容器、または/および、一個以上の試薬容器を備える。
【0078】
本発明の更なる主題は、サンプルの分析方法における、本発明の包括的または好適な実施例における本発明に係るデバイスの使用法である。
【0079】
故に本発明の別の主題は、
−本発明またはその好適実施例に係るデバイスまたは本発明またはその好適実施例に係るシステムを配備する段階と、
−上記第1チャンバ内に流体を導入する段階と、
−上記流体の他の各成分から、上記流体の所定成分であって上記第1チャンバに関係付けられた成分を解放する段階と、
−上記吐出開口および上記第1チャネルを介して結果的流体を、分析されるべき上記成分を固定化する固相を包含する第2チャンバ内に移送することにより上記成分を上記固相に対して結合させる段階と、
−流体が上記吐出開口に向けて上記第2チャネルを通り上記インサートを通過可能であり且つ上記凹所を通過可能であるが、上記凹所を通過した場合には上記第1チャネル内には進入し得ない様に、上記インサートを上記吐出開口に向けて上記第2位置へと移動させる段階と、
−上記第2チャネルを通して上記第2チャンバ内へと第2流体を導入する段階と、
を有する、一種類より多い種類の流体の成分の分析方法である。
【0080】
上記第2流体は上記第2チャネルおよび上記第1チャネルを介して導入され得る、と言うのも、上記第2チャネルは上記第1チャネルに対して直接的に接続されるからである。
【0081】
上記各流体、好適には分析されるべきサンプルまたは/および試薬は、たとえば各流体を夫々の流体式ユニットにおける開口内へと分注するなどにより、公知方法に従い上記デバイス内に導入され得る。好適には各流体は、たとえばピペット先端を担持するヘッドの如き上記機器に対して上記で概説されたヘッドにより、夫々の第1チャンバ内への上記取入ポートを通して上記流体式ユニット内に導入される。これらのチャンバにおいて各サンプルは、分析されるべき該サンプルの成分であって該サンプル内に結合され得る成分を、一切の細胞区画から解放すべく処理される。核酸の分析に対してこれは、細胞膜を分解するカオトロピック塩およびプロテアーゼによる化学的処理と、たとえば溶解混合物を37℃〜87℃まで加温することによる物理的処理との組み合わせにより細胞を分断する段階を含み得る。厳密な条件は、特定種類のサンプルおよび溶解溶液および/または溶解に対して使用された酵素に依存し得る。幾つかのサンプルは、他のサンプルよりも苛酷な条件を必要とし得る。溶解を達成するために各サンプルは、たとえば該溶解に対する処理のための試薬に対して接触されねばならない。これは好適には、サンプルの各々の部分標本および試薬をチャンバ内へと分注することにより行われる。
【0082】
上記デバイス内においてサンプル調製の実施のみが意図されるなら、上記プロセスは、たとえば上記第1チャネルを介して混合物を取出すことにより、上記チャンバから前処理サンプルを取出すことにより完了され得る。但し上記デバイスにおいては、本発明の更なる実施例を含み得るか含まない他の段階が加えられ得る。
【0083】
本発明に係る方法がサンプル内における分析を含めて実施されるべきであれば、例えばサンプル溶解の後などの第1チャンバにおける処理の後において本発明に係る方法は、たとえば前処理されたサンプルなどの上記段階の成果物を更なる処理のために第2チャンバ内へと搬送する段階を含まねばならない。これは好適には、流体を正圧または負圧に委ねて、上記第1チャンバを離脱して上記吐出口部分を通して上記第1チャネル内へ至らせることにより行われる。好適実施例において各流体は、サンプルの各成分の精製目的で上記第2チャンバ内へと移送される。固定化されるべき一切の成分は、該チャンバ内に収容された孔性材料に対して結合される。
【0084】
本発明に係る特に好適な実施例は、好適には上記で概説されたアクチュエータにより上記インサートが上記第2位置へと移動された後に上記第2流体を上記第2チャネルを通して上記第2チャンバ内へと導入する段階を備える。好適には上記第2流体は、洗浄流体および/または溶出緩衝液および/またはマスタ混合物から成る群から選択される。洗浄緩衝液は、上記孔性材料に固定化された成分から流体の一切の自由成分を除去すべく設計された流体である。斯かる緩衝液は当業界で公知であると共に、好適には、固定化のために使用された流体よりも低い塩濃度を含む。溶出緩衝液は好適には、上記流体の成分またはそれに由来する成分の検出のための試薬を含む。溶出緩衝液とマスタ混合物との混合物は、プライマ、プローブ、酵素および試薬などの、核酸の増幅および検出のための試薬を更に含む。
【0085】
検定を行うために上記方法は好適には先ず、上記孔性材料上に固定化された成分を洗い出してからそれらを上記材料から溶出する段階を備える。
【0086】
次に溶出物は好適には、検出のために上記第3チャンバへと導かれる。これは、好適には上記第2チャネルを通して上記デバイスに対し流体を供給することにより行われ得る。これにより流体は、上記第3チャネルを通して上記第3チャンバへと押しやられる。
【0087】
上記チャンバは好適には、上記第3チャネルの取入口部分の逆側における該チャンバの端部にて、上記出力ポートである別の流体ポートに通ずる第4チャネルに対する吐出口部分を更に含む。
【0088】
好適実施例において各流体式ユニットには、上記流体を物理的もしくは化学的に処理する段階を許容する少なくとも一個のチャンバ、更に好適には上記で概説された第3チャンバが在る。好適には物理的処理は、加熱および冷却(熱的な処理)、混合および照射、および、それらの任意の組み合わせの群から選択された処理である。上記デバイスのチャンバの任意の壁部を通し、任意の熱処理が実施され得る。好適には、加熱は上記シール壁部を通して行われる。
【0089】
第1好適実施例において、物理的処理はポリメラーゼ連鎖反応(PCR、EP 0 201 184)において使用された如き熱サイクルである。
【0090】
別の好適実施例において、各流体式ユニットにおける上記第1チャンバまたは上記第3チャンバは好適には、検出チャンバ、更に好適には増幅/検出チャンバである。このチャンバ内において好適には、分析されるべき上記成分またはそれに由来する成分を表す特性が、元の液体の成分の有無または量の尺度として測定される。
【0091】
検出は、照射および監視を含む2段階プロセスとされ得る。上記チャンバ内の流体を照射した後、上記チャンバ内の内容物すなわち上記流体の特性が監視される。上記流体の特性を監視する上記段階は、上記本体の壁部を通して実施され得る。監視プロセスの要件により、上記チャンバを局限する壁部の特性が決定される。たとえば、流体から発せられる光を、機器における上記デバイスの外側に配置された検出器ユニットを用いて測定するには、チャンバから発せられる光に対して壁部の透明性が必要である。この場合、壁部の材料はこの光に対して透過性を有する材料である。上記監視が更に、上記チャンバ内に収容される流体に対して上記壁部を通して光を衝当させることを必要とするなら、上記壁部の材料は上記衝当光に対して透過性を有するものとされるべきである。
【0092】
検出は、上記流体内の複数の成分もしくは試薬の内のひとつの成分もしくは試薬が測定可能吸収を有する波長の光により上記キャビティ内の液体を照射することにより行われ得る。上記液体の吸光度、または、経時的なもしくは標準的液体と比較しての上記液体の吸光度の一切の変化を測定するために、たとえば蛍光などの上記キャビティを離脱する光の測定が使用され得る。
【0093】
化学的処理は、化学反応の実施である。好適には、上記第3チャンバにおいて化学反応の実施が検出される。好適な化学反応は、上記流体の任意の成分の化学組成を改変する反応である。更に好適には化学反応は、プライマ伸張、ハイブリダイゼーション、変性および溶解から成る群から選択される。最も好適には上記化学反応は、上記で言及された如きPCR、または、EP 0 543 942に記述された如く一定の場合にはリアルタイムPCRと称される均一系PCRの如きPCRの改良版である。リアルタイムPCRにおいて信号は、必ずしも増幅反応の終了時においてではなく、最初および最後の熱サイクルの間において少なくとも一回だけ測定される。
【0094】
PCRを含むべく組み合わされた増幅/検出を実施するために、上記チャンバの内容物は循環様式で加熱および冷却される。効率的な熱サイクルを達成するために、上記第3チャンバを覆うシール壁部は、熱サイクル器から該チャンバ内への熱伝達を促進する金属部分、すなわち熱伝達箔を包含する。均一系PCRは、熱サイクルの略々最初から、上記本体内の透明窓部を通しての検出を許容する。
【0095】
この分析方法の非常に好適な実施例において、分析されるべき液体の成分は、たとえばC型肝炎ウィルスのゲノムの一部などの、上記流体に包含されると推測される核酸である。その場合に分析用の試薬、好適には溶出緩衝液は、たとえば、上記核酸の特定断片を増幅するプライマ、および、増幅された断片に対して結合するプローブなどの試薬を含む。斯かる反応の非常に好適な実施例は、EP 0 543 942に開示されている。上記チャンバ内に収容された流体に対して熱サイクルを適用するために、使用される機器は、核酸を増幅するために必要な変化特性の温度へと上記チャンバの内容物をもたらす複合加熱/冷却ブロックを含む。その場合、上記流体における吸収または蛍光の変化は、上記流体内で測定されるべき核酸の測定値として使用される。
【0096】
ひとつのデバイスの異なる流体式ユニット内における処理に対して使用される試薬は、同一とされ得るか又は異なり得る。たとえば、もし第1流体式ユニットにおいてはHBVが検出されるべきであり且つ第2ユニットにおいてはHIVが検出されるべきであれば、異なるユニットにおけるサンプルの2つの部分標本に対してはサンプル溶解および精製のために同一の手順および試薬が使用され得るが、増幅および検出のためには増幅されるべき異なる配列を反映する異なる試薬(溶出緩衝液およびマスタ混合物)が使用されねばならない。配列固有の増幅および検出のために適切な試薬は、当業者に公知であり且つ同様に適用され得る。
【0097】
好適実施例は、本発明に係る機器の説明において上記に詳述された。
【0098】
本発明に係る上記デバイスの利点は、該デバイスが、該デバイスにおいて引き続いて使用される流体の汚染を簡素な手法で回避することである。更に好適実施例においては、たとえば異なる分析物が測定される又は実施される化学反応が異なることから分析物が異なるとしても、数種の分析を並列に行うことが可能である。
【0099】
上記発明は明確化および理解のために一定の詳細さを以て記述されたが、当業者が本開示を読破すれば、本発明の真の有効範囲から逸脱せずに形態および詳細の種々の変更が為され得ることは明らかであろう。たとえば、上述された全ての技術および装置は、種々の組み合わせで使用され得る。本出願において引用された全ての公報、特許、特許出願および/または他の文献は、個々の公報、特許、特許出願および/または他の文献が全ての目的で言及したことにより援用されると個別に示されたのと同一の程度まで、それらの全ての開示内容は言及したことにより全ての目的に対して援用される。
【実施例1】
【0100】
本発明に係るデバイスの製造:
a)図1aに示されたデバイスは、以下の如く調製される。
図1aに係るデバイスの外側形状を反映する二部材式の成形型は、ポリプロピレンにより充填される(射出成形便覧2004、第77頁、ハンゼル出版社[Handbuch SpritzgieBen, 2004, Hanser Verlag, page 77])(工業材料−合成樹脂ガイドブック、第83〜89頁、2001年8月、ハンゼル出版社版[Werkstoff-Fuhrer Kunststoffe, 2001, 8. Auflage Hanser Verlag, pages 83-89])。
大寸チャンバは、その下部に管状区画(直径:14mm、高さ:40mm)を有する。底部における角度は65°であった。凝固の後、ポリプロピレン本体に対してはポリプロピレン(30μm)およびアルミニウム(110μm)の箔が熱溶着により溶着される。吐出開口は、シリコン・ストッパにより閉じられる。
b)図2aから図2cに示されたインサートが、射出成形により僅かに弾性的なポリマから作成された(リブを含む直径:14mm、リブの高さ:12mm、チャネル幅:0.8mm、上記デバイスと同一の下側角度)。上記インサートは、項目a)で作成されたデバイスのチャンバの管状部分の上部内へと挿入された。
c)第2チャンバ内に、ガラス繊維フリースが挿入される。上記デバイスは次に、シール箔(熱伝達箔)によりシールされる。
【実施例2】
【0101】
実施例1のひとつのデバイスにおけるサンプル調製およびPCRおよび検出を含むプロセスの実施:
第1段階において、実施例1において製造されたデバイスは上記機器の処理区域内に装填される。これは、上記デバイスの上部における凹所に係合する把持器を用いて行われる(図2aから図2cの参照番号8を参照)。次に、8個のピペット先端を担持するヘッドを用いて第1チャンバ(3を参照)の各々に対して定量用の標準溶液が添加される。上記ピペット先端は廃棄される。次に、再び並列分注を用いて、プロテイナーゼKを含む溶解溶液が各チャンバに添加される。次に、新たなピペット先端を用いて、7個のサンプルの部分標本および1個の陰性対照が第1チャンバの各々に対して添加される。上記先端は、各チャンバ内の混合物を吸引および吐出して十分に混合することにより溶液を混合すべく使用される。次に、上記先端は第1チャンバ内に留まり乍ら、上記混合物は72℃で10分間に亙り温置されて溶解される。
【0102】
次に上記システムに対しては圧力が付与されることで、上記混合物は上記第1チャンバの吐出口部分(4を参照)を通して、ガラス・フリースが充填された第2チャンバ(5を参照)内に搬送される。一切の核酸はガラス表面に結合する一方、液体は吐出ポートを通して取出される。上記液体を回収すべく、上記吐出ポートに対しては中空の鋼鉄ニードルが嵌合される。次に上記ピペット先端は、上記インサートの下側の円錐状部分が上記デバイスの上記チャンバの底部の円錐状部分に接触するまで、下方移動される。これにより上記インサートは上記底部に向けて押し進められることから、上記チャンバの吐出開口を通過する液体に対しては、該インサートの内部における上記チャネルのみが残置される。溶解チャンバの壁部からの流体の数個の小滴は、壁部から上記底部に向かい移動したが、上記インサートの上記凹所内に保持された。
【0103】
ピペット先端の取出しの後、上記インサートの円錐状部分内には新たなピペット先端の組を用いて洗浄液体(400μl)が分注されて上記第2チャンバを通して吸引されたことから、結合した核酸から不純物が除去された。これは3回反復される。
【0104】
第1チャンバ内のインサートの円錐状部分に対しては溶出緩衝液の分取物(70μl)が添加され、且つ、該溶出緩衝液は、溶出された液体が第3チャンバ内に留まる様に上記流体式ユニットを通して分注される。
【0105】
上記第3チャンバ内の液体は、以下の熱サイクルに委ねられる:
第1サイクル:
50℃で120秒。UNG段階。
5サイクル:
+4℃/秒で95℃として15秒。変性。
−4℃/秒で59℃として50秒。35秒後に徐冷および蛍光測定。
45サイクル:
+4℃/秒で91℃として15秒。変性。
−4℃/秒で52℃として50秒。35秒後に徐冷および蛍光測定。
【0106】
各サイクルの徐冷段階の間においては、照射の間において上記プローブの励起波長の光が各第3チャンバ内に衝当され且つ該第3チャンバ内で蛍光が測定される。定量基準を用い、標準的な計算に従い各サンプルにおける核酸の量が測定される。第8のサンプルは、陰性チェックとして使用される。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1a】第1チャンバ内における可動インサートが第1位置に在ることから該チャンバからの流体がインサート内のチャネルと、インサートとチャンバの底部の壁部との間における凹所との両方を通り第1チャネル内へと自由に出射可能であり、第1デバイスは各々がインサートを備えた8個の平行な分析ユニットを含み、チャンバおよびインサートは破断図で示されるという本発明に係る第1デバイスを示す図である。
【図1b】デバイスが第2位置に在ることで、インサートとチャンバの底部との間ではなく、インサート内のチャネルを通してのみ第1チャネル内へと流体の出射を許容するというデバイスを示す図である。
【図2a】第1位置に配置されたインサートの全体的な拡大図である。
【図2b】第1位置に配置されたインサートの破断拡大図である。
【図2c】チャンバの底部へと移動された第2位置に配置されたインサートの破断拡大図である。
【符号の説明】
【0108】
1 本発明に係るデバイス
2 インサート
3 第1チャンバ
4 吐出口部分
5 第2チャネル
6 第1チャネル
7 リブ
8 凹所
9 第2チャンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)吐出開口を有する第1チャンバと、
b)前記吐出開口を抜け出る第1チャネルと、
を備える流体式ユニットを備える本体を具備する分析デバイスにおいて、
前記第1チャンバは、該第1チャンバの壁部に接触する各リブ間の凹所と、第2チャネルとを備えるインサートを更に含み、
前記インサートは、該インサートが前記吐出開口と係合されないという第1位置に配置され、
前記インサートは前記第1位置から、前記第1チャンバ内の第2位置であって前記第2チャネルが前記第1チャネルを前記第1チャンバ内へと延在させる如く前記インサートが前記吐出開口に対して係合されるという第2位置へと移動可能であり、且つ、
前記インサートは、前記吐出開口の方を指向する部分において前記第1チャンバの形状と同様であることを特徴とする、分析デバイス。
【請求項2】
前記吐出開口は、前記第1チャネルから前記第1チャンバ内へと円錐状に拡大する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記インサートが前記第1位置に在るとき、流体は、前記第2チャネルを通り且つ前記凹所を通り、前記吐出開口を通り前記第1チャネル内へと通過できる、請求項1または請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記インサートが前記第2位置に在るとき、流体は、前記第2チャネルを通り前記吐出開口に向けて前記インサートを通過可能であり且つ前記凹所を通過可能であるが、前記凹所を通過した場合には前記第1チャネル内には進入し得ない、請求項1から請求項3のいずれか一つの請求項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記インサートは、前記吐出開口から離間する方を指向する前記第2チャネルの端部にて円錐状部分を更に有する、請求項1から請求項4のいずれか一つの請求項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記インサートが前記第2位置に在るときに前記第1チャンバの吐出開口に進入し得ない流体の体積は5〜1,000μlである、請求項1から請求項5のいずれか一つの請求項に記載のデバイス。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一つの請求項に記載のデバイスを保持する取付具と、
前記デバイス内に到達するアクチュエータであって前記インサートを前記第1位置から前記第2位置まで移動させる自由度を有するというアクチュエータを有するヘッドとを具備する、分析機器。
【請求項8】
前記ソケットに取付けられた2つ以上のピペット先端であって外側円錐形状を有する吐出開口を有するピペット先端を更に具備する、請求項7に記載の分析機器。
【請求項9】
請求項1から請求項6のいずれか一つの請求項に記載のデバイスと、
請求項7または請求項8に記載の分析機器とを具備する、
デバイス内の流体を分析するシステム。
【請求項10】
流体供与ユニットを更に具備する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
流体の分析に対する請求項1から請求項6のいずれか一つの請求項に記載のデバイスの使用法。
【請求項12】
請求項1から請求項6のいずれか一つの請求項に記載のデバイスまたは請求項8または請求項9に記載のシステムを配備する段階と、
前記第1チャンバ内に流体を導入する段階と、
前記流体の他の各成分から、前記流体の所定成分であって前記第1チャンバに関係付けられた成分を解放する段階と、
前記吐出開口および前記第1チャネルを介して結果的流体を、分析されるべき成分を固定化する固相を包含する第2チャンバ内に移送することにより前記成分を前記固相に対して結合させる段階と、
流体が前記吐出開口に向けて前記第2チャネルを通り前記インサートを通過可能であり且つ前記凹所内に捕捉され得るが、前記凹所内に捕捉された場合には前記第1チャネル内には進入し得ない様に、前記インサートを前記吐出開口に向けて前記第2位置へと移動させる段階と、
前記第2チャネルを通して前記第2チャンバ内へと第2流体を導入する段階と、
を有する、流体の成分の分析方法。
【請求項13】
前記第2流体は、前記インサートの前記第2チャネル内に液密様式で付けられたピペット先端を通して導入される、請求項12記載の分析方法。
【請求項14】
前記第2流体は洗浄緩衝液である、請求項12または請求項13に記載の分析方法。
【請求項15】
前記第2チャネルを通して前記第2チャンバ内に第3流体を導入する段階を更に有する、請求項12から請求項14のいずれか一つの請求項に記載の分析方法。
【請求項16】
前記第2チャンバから前記第3流体を前記成分と共に第3チャンバ内へと取出す段階と、
前記成分を含有する前記第3流体を前記第3チャンバ内で熱処理する段階とを更に有する、請求項12から請求項15のいずれか一つの請求項に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【公開番号】特開2008−20457(P2008−20457A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−182949(P2007−182949)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】