分析チャンバーの平面動作を確保する方法及び装置
チャンバー内に静止状態で存在する生物学的液体サンプルを撮像する装置及び方法が提供される。チャンバーは生物学的液体サンプルを間に静止状態で存在させる第一パネルと第二パネルとを有する。少なくとも一方の第一及び第二パネルは可撓性を備える。チャンバーは横断面積で定義される一以上のフィールドを有する。装置はフィールド照明装置と、チャンバー・フラットナーと、位置決め装置と、解像機構とを備える。フィールド照明装置は対物レンズを有する。チャンバー・フラットナーは、窓及びカバー・プレートを有する被写体台を備える。チャンバー・フラットナーは、チャンバー内部の実質的に全てのフィールドのための実質的に均一なZ軸位置を仮定するようにチャンバーを動作可能である。位置決め装置は、対物レンズ及びチャンバーを互いに相対的に位置させる。解像機構はチャンバー内のサンプルを撮像する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国特許法(U.S.C.35)第119条に基づく2009年12月31日出願の米国仮特許出願第61/291,688号の優先権の利益を主張するものであり、これに開示された内容は参照により本願に援用される。
【0002】
本発明は、分析チャンバー内に配置された生物検体を撮像する方法及び装置に関し、特に、平坦な配向方向に配置する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、例えば全血液(whole blood)や尿、脳髄(cerebrospinal)、体腔内(body cavity fluids)等の生物学的液体サンプルは、スライドガラス上に塗布して顕微鏡の下に塗りつけて検査される無希釈の微量な微粒子や細胞を有する。塗布標本の異なる領域は、スライドをX−Y平面で操作することで検査されていた。フォーカスは、顕微鏡対物レンズに対してスライドの位置をZ軸に沿って変化することで実現される。これらの技術を用いることで、妥当な結果を達成することは可能だが、これらは技術者の経験や技能に大きく依存する。様々な分野のサンプルを手動で検査することも労働集約的(labor intensive)であり、そのため市販の検査室用途に用いることは実際に不可能である。
【0004】
チャンバー内に静止状態で存在する生物学的液体サンプル(biologic fluid samples)を分析する自動装置が知られている。一般的にこれらの装置は、サンプルをX−Y平面上に維持する。画像フォーカスは、一方又は両方のサンプル、もしくは、光学装置をZ軸に沿って相対的に移動させることで実現される。このような分析を効率的に行うために、異なる高さの焦点合わせを正確に迅速に行う必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、分析チャンバー内に配置された生物検体を撮像する方法及び装置に関し、平坦な配向方向に配置することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、チャンバー内に静止状態で存在する生物学的液体サンプルを撮像する装置が提供される。チャンバーは、その間に生物学的液体サンプルを静止状態で存在させる第一のパネルと第二のパネルとを備えている。第一及び第二のパネルの少なくとも一方は可撓性を備えている。
【0007】
チャンバーは、横断面積によって定義される一以上のフィールドを有する。装置は、フィールド照明装置(field illuminator)と、チャンバー・フラットナー(chamber flattener)と、位置決め装置(positioner)と、解像機構(image dissector)とを備えている。フィールド照明装置は対物レンズを有する。チャンバー・フラットナーは、窓及びカバー・プレートを有する被写体台(platen)を備えている。
【0008】
チャンバー・フラットナーは、チャンバー内部の実質的に全てのフィールドのための実質的に均一なZ軸位置を仮定するように、チャンバーを動作可能である。位置決め装置は、対物レンズ及びチャンバーを互いに相対的に位置させるのに適用される。解像機構は、チャンバー内のサンプルを撮像するのに適用される。
【0009】
本発明の他の態様によれば、生物学的液体サンプルのチャンバーを対物レンズに対して配向させる装置が提供される。装置は、被写体台と、カバー・プレートとを有する。被写体台は、窓及び磁気源を有する。カバー・プレートは、チャンバー孔及び、チャンバー孔に隣接する変形可能な少なくとも一つのフラップを有するチャンバー接触パネル(chamber contact panel)を備えている。チャンバー接触パネルは、磁気的に引き付ける部材を有する。
【0010】
カバー・プレートは、その間にチャンバーが配置されることを許容するように、被写体台に対して位置される。磁気源及びチャンバー接触パネルは、カバー・プレートと被写体台との間に配置されたチャンバーの少なくとも一方のパネルが実質的に平坦な位置を仮定するように、互いに十分に引き付けられる。
【0011】
本発明の他の態様によれば、チャンバーの第一のパネルと第二のパネルとの間に静止状態で存在する生物学的液体サンプルを撮像する方法が提供される。第一及び第二のパネルの少なくとも一方は可撓性を備えると共に、チャンバーは横断面積によって定義される一以上のフィールドを有する。
【0012】
方法は、a)チャンバーを対物レンズに対してZ軸位置に位置させるステップと、b)チャンバー内部に存在する実質的に全てのフィールドのために実質的に均一なZ軸位置を仮定するように、チャンバーを平坦にするステップと、c)サンプルに焦点合わせするように、一方又は両方のチャンバー及び対物レンズを互いに相対的に移動させるステップと、d)被写体台の窓を通して生物学的液体サンプルを撮像するステップとを備えている。
【0013】
本発明の方法及び利点は、以下に記載する詳細な説明及び添付図面から明らかになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、分析チャンバー内に配置された生物検体を撮像する方法及び装置に関し、平坦な配向方向に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の分析装置を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明の分析装置を示す模式的な概略図である。
【図3】図3は、本実施形態のサンプル分析カートリッジにおいて、カートリッジの液体モジュール部分が開位置にある状態を示す図解的な平面図である。
【図4】図4は、図3に示すカートリッジにおいて、液体モジュールがハウジング内に閉じられ、かつ、画像処理トレイがハウジングの外側に配置された状態を示す部分的な分解図である。
【図5】図5は、分析チャンバーを示す模式的な部分断面図である。
【図6】図6は、本実施形態の分析チャンバーとチャンバー・フラットナーとを示す模式的な図である。
【図7】図7は、本実施形態の分析チャンバーとチャンバー・フラットナーとを示す模式的な図である。
【図8】図8は、本実施形態の分析チャンバーとチャンバー・フラットナーとを示す模式的な図である。
【図9】図9は、本実施形態のチャンバー・フラットナー・被写体台のチャンバー側面を示す平面図である。
【図10】図10は、図9に示す本実施形態のチャンバー・フラットナー・被写体台を反対側から視た平面図である。
【図11】図11は、本実施形態のカバー・プレートを示している。
【図12】図12は、本実施形態のカバー・プレート及び枠体が対物レンズのハウジングに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図13】図13は、本実施形態のカバー・プレートが対物レンズのハウジングに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図14】図14は、対物レンズのハウジングに取り付けられたカバー・プレートの実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1,2に示すように、分析装置17は、分析対象である生物学的サンプル(例えば、抗凝固処置(anti-coagulated)、全血)の包含に適用される分析チャンバー20(図4,5参照)を備えたサンプル分析カートリッジ18を受容するように構成されている。装置17は、フィールド照明装置22と、解像機構24と、位置決め装置26と、分析チャンバー・フラットナー27と、プログラム可能な分析装置28とを備えている。
【0017】
説明上の目的で、“分析”及び“解析”の用語は、任意の検査や液体サンプルの検査に限定されず、生物学的液体サンプル内の構成成分の検査(例えば、目視、列挙型等)を含むものとして定義される。
【0018】
分析装置17は、本願明細書にそのまま援用される2009年12月18日に出願された同時係属の米国特許出願第61/287,955号、米国特許出願第12/061,394号及び、米国特許出願第10/599,695号明細書に記載されている多種類のサンプル分析チャンバー20に使用することが可能である。本発明の目的において、特に記されない限り、本発明は米国特許出願第61/287,955号公報に開示された分析チャンバー及びカートリッジに使用されるものとして記載される。本発明はこれに限定されないが、上述のチャンバー20及びカートリッジ18を使用する。
【0019】
図3〜5に示すように、サンプル分析カートリッジ18は、液体モジュール(fluid module)30と、画像処理トレイ(image tray)32と、ハウジング34とを備えている。液体モジュール30は、例えば指やヒールスティック(heel stick)等の被検体収集サイト(subject collection site)から注射器で取り出した液体サンプルを受容するように構成されたサンプル・ポート(sample port)36を備えている。液体サンプルは、画像処理トレイ32内にロックされた分析チャンバー20に選択的に移動可能なカートリッジ18内に吸引される。
【0020】
図5に示すように、分析チャンバー20は、第一のパネル38と、第二のパネル40とを備えている。これらパネル38,40の少なくとも一方は、パネル38,40間に配置された生物学的液体サンプルが分析目的のために画像処理されるように、十分な透明性を備えている。好ましくは、第一及び第二のパネル38,40は、互いに平行に位置合わせされると共に、互いに表面39,41を対向させて間隔を隔てて配置されている。
【0021】
パネル38,40間の位置合わせは、光が一方のパネル38に垂直に伝達すると共に、他方のパネル40も透明の場合は、一方のパネル38、サンプル、他方のパネル40を透過することができる領域を定めている。対向するパネル表面の離間距離(以下、チャンバー20の“高さ”42ともいう)は、二つの表面39,41間に配置された生物学的液体サンプルが両表面39,41と接触する距離で設定されている。
【0022】
米国特許出願第10/599,695号明細書に開示された実施形態を含む他の実施形態において、第一及び第二のパネル38,40は互いに少なくとも三つのセパレータ44(一般的な球状ビーズ)により区分けされている。購入可能な球状のポリスチレンビーズを含むセパレータの例として、Thermo Scientific of Fremont社(米国カリフォルニア州)のカタログ番号4204Aに直径4ミクロン(4μ)のものが開示されている。
【0023】
少なくとも一方のパネル38,40又はセパレータ44は、チャンバー高さ42がセパレータ44の平均高さと近似することを許容するために、十分な可撓性を備えている。相対柔軟度(relative flexibility)は、セパレータ44内の小さな許容自由度にかかわらず、チャンバー20を実質的に均一な高さにする。
【0024】
パネルの一枚(例えば、第一のパネル38)がセパレータ44及び他のパネル(例えば、第二のパネル40)よりも可撓性のある部材で形成されているこれらの実施形態において、可撓性がある第一のパネル38は周囲のセパレータ44よりも大きい特定のセパレータ44にオーバーレイ(overlay)すると共に、大きなセパレータ44の周囲にテントのように屈曲する。この方法において、小さなローカル領域は平均チャンバー高さ42から逸脱するが、全てのチャンバーのサブ領域(テント領域を含む)における平均高さはセパレータの平均外径に非常に近似する。結果的に、実質的に均一なチャンバーのZ軸位置を確立する目的において、柔軟なパネルの偏移は重要にならない。
【0025】
他の実施形態において、接着材料(例えば、UV硬化性接着剤)のビード51は、パネル38,40間に配置されると共に、パネル38,40を互いに付着させるように作動可能である。透明プラスティックフィルムを含むパネル材料は、例えばアクリル樹脂、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terphthalate:PET)、環式オレフィン共重合体(cyclic olefin copolymer:COC)である。他の実施形態において、一枚のパネル(例えば、下方に延伸されたパネル)は、材料帯で厚さ約50ミクロン(50μ)に形成され、他のパネル(例えば、上部パネルに延伸されたパネル)は同一の材料ではあるが、厚さ約23ミクロン(23μ)に形成されている。
【0026】
チャンバー20は、約0.2〜1.0マイクロリットル(μl)のサンプルを保持する一般的なサイズであるが、その大きさは特定の容量に限定されず、分析用途に応じて変更することができる。ここでいう“静止状態”の定義は、サンプルが分析のためにチャンバー20内に配置されると共に、分析の間は意図的に動かされないことをいう。主に血液サンプルのブラウン運動(Brownian motion)によって生じる本発明の使用を不能にしない血液サンプル内の拡張運動は、構成成分(constituents)を形成する。
【0027】
図2に示すように、フィールド照明装置22は、光源と、対物光学素子(例えば、対物レンズ48、フィルター等)とを備えている。光源は、複数の分析のために十分な長波長領域(例えば約340nm〜670nm)の光を発生する。光源は、例えばキセノンアークランプ、タングステンハロゲンランプ、LED、拍動性源など、選択的に所望波長の光を単一の発生源もしくは複数の発生源から発生させることが可能である。
【0028】
フィールド照明装置22から放射される光の通路は、サンプルが蛍光発光もしくは透過光の何れを用いて分析されるかに依存する。蛍光発光が用いられた場合、フィールド照明装置22内の光源から放射される光がチャンバー20内に静止状態で存在するサンプル上に直接照射されるように、対物レンズ48は光線の焦点を合わせる。
【0029】
光線は、解像機構24上に入射するサンプル画像の断面領域によって定義される、サンプルの少なくとも一部のフィールドを照射する。光は、サンプル内に物質(例えば蛍光色素)を生じさせて蛍光を発させると共に、特定波長の光を放射する。放射された光は、対物レンズ48を通過して戻ると共に、解像機構24によって捕捉される。透過光が用いられた場合、フィールド照明装置22は、液体サンプルが存在するチャンバーの第一のパネル38及び第二のパネル40(これらは光の透過を許容するように十分な透明性を備える)の間に、光を方向付けて透過させるように構成されている。伝達される光は、対物レンズ48を透過した後、解像機構24によって捕捉される。
【0030】
位置決め装置26は、対物レンズ48及び分析チャンバー20の相対位置を変化させるのに適用される。対物レンズ48及び分析チャンバー20の相対位置の変化は、例えば対物レンズ48及び分析チャンバー20の一方を他方に対して関連する全ての軸(例えば、X,Y,Z)に沿って移動させるか、又は、チャンバー20を特定の軸(例えば、X,Y軸)に沿って移動させると共に、レンズを他の軸(例えば、Z軸)に沿って移動させる等、多くの異なった方法で実現することができる。
【0031】
簡略化のために、位置決め装置26は、分析チャンバー20と結合して、固定された対物レンズ48に対してカートリッジ18を複数の移動軸(例えば、X,Y,Z)に沿って移動させるのに適用される。しかしながら、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0032】
チャンバー20は、チャンバー20内に存在するサンプルの全フィールドを対物レンズ48で捕捉すると共に、Z軸に沿った移動を許容してサンプル高さに対する焦点位置を変化させるように、X−Y平面を移動可能に構成されている。対物レンズ48に対するチャンバー20の動作は、これに限定されるものではないが、例えば対物レンズ48に対するチャンバー20の連続動作(continuous motion)やインクリメント動作(incremental movement)を選択的に制御可能なステッパ・モータ等、多くの異なる装置によって実現される。
【0033】
適用可能な解像機構24は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)タイプのデジタル画像解像機構であって、好ましくはピクセル当たりの解像度を少なくとも8ビット、最も好ましくは12ビット備えている。解像機構24は、データ・ファイル・バージョンを用いて、光画像をリアルタイムもしくは経時的に確認できる電子データフォーマットに変換する。あるいは、CMOS以外の解像機構24が光画像の電子データフォーマットへの変換に用いられてもよい。
【0034】
図6,7に示すように、分析チャンバー・フラットナー27は、可撓性の分析チャンバー・パネル(例えば、一方又は両方の分析チャンバー・パネル38,40)を平坦に処理するのに適用されて、サンプル・チャンバー20と対物レンズ48(図2参照)との相対的位置決めを促進するために平面の基準点を定める。水平かつ平らなチャンバー配置は、サンプルの実質的に大部分(好ましくは全て)の分析フィールドを同一のZ軸上に位置させる。その結果、サンプル内の焦点面を探すのに要求される時間が実質的に低減されて、サンプル内の全フィールドを撮像する性能は大幅に向上される。
【0035】
図6,7に示す第一の実施形態において、チャンバー・フラットナー27は、被写体台54と、圧縮空気供給源56(例えば、正圧や吸引)とを備えている。被写体台54は、チャンバー側面58と、対向側面60と、これら二つの平面間に延びる実質的に固定された透明窓62とを有する。窓62は、チャンバー20が窓62に位置合わせされた時、すなわちチャンバー20内に配置された全てのサンプルが窓62を通して視認可能になる時に、光がチャンバー・パネル38,40の大部分を透過できる大きさで形成されている。
【0036】
図6は、圧縮空気供給源56が真空を引いているチャンバー・フラットナー27の実施形態を示している。チャンバー側面58に向けて開口する一以上のポート64は、窓62に隣接して配置されている。一以上のポート64の外側に配置されたエアー・シール66は、チャンバー・パネル40と接触するように配置されている。
【0037】
チャンバー・パネル40がエアー・シール66と接触する位置に配置されると、圧縮空気供給源56によって引かれる真空は、チャンバー・パネル40、被写体台54及び、エアー・シール66で形成されるポケット内の圧力を低下させる。圧力が十分に低下すると、チャンバー・パネル38,40は水平で平らな被写体台の窓62に引き付けられる。その結果、X−Y平面上に延びるサンプル・チャンバー20は、実質的に全てのフィールドにサンプルが包含されるように、実質的に均一なZ軸位置に維持される。サンプルが撮像された後、真空は解放される。
【0038】
図7に示す実施形態において、チャンバー・フラットナー27は、サンプル・チャンバー20を被写体台の窓62に向けて押圧する正圧を供給するのに適用される圧縮空気供給源56を備えている。被写体台の窓62と対向するチャンバー20の側部に配置されたエアー・シール68は、例えば高圧空気のためのポケットを形成するように構成されている。
【0039】
チャンバー20が被写体台の窓62に位置合わせされると、圧縮空気供給源56からの正圧はポケットに向けられ、結果的にチャンバー20を水平で平らな被写体台の窓62に向けて押圧する。その結果、X−Y平面上に延びるサンプル・チャンバー20は、実質的に全てのフィールドにサンプルが包含されるように、実質的に均一なZ軸位置に維持される。サンプルが撮像された後、真空は解放される。
【0040】
図8〜12に示すように、第二実施形態のチャンバー・フラットナー27は、被写体台70と、カバー・プレート72と、一以上のマグネット73(図10参照)とを備えている。被写体台70は、チャンバー側面74と、第二の側面76と、これら二つの平面74,76の間に延びる実質的に固定された透明窓78とを有する。窓78は、チャンバー20が窓78に位置合わせされた時に、光がチャンバー・パネル38,40の大部分を透過できる大きさで形成されている。
【0041】
図10に示す実施形態において、チャンバー・フラットナー27は、以下に詳述するカバー・プレート72を十分に引き付ける複数(例えば4個)のマグネット73を備えている。被写体台70の第二の側面76に、各マグネット73に対する溝80が配置されている。溝80は、第一の端部82と第二の端部84との間に延在する。各溝80の第一の端部82は、チャンバー・フラットナー27が結合された時にカバー・プレート72と位置合わせされる窓78の近傍に配置されている。各溝80の第二の端部84は、チャンバー・フラットナー27が結合された時にカバー・プレート72と位置合わせされない窓78から離間して配置されている。被写体台70は、許容可能な平坦公差内の平坦なチャンバー側面74を構成する実質的に固定された非磁性材料で形成されている。
【0042】
カバー・プレート72は、チャンバー接触パネル71と、第一の側部フランジ102と、第二の側部フランジ104とを有する。チャンバー接触パネル71は、チャンバー孔86(図11参照)と、チャンバー孔86に接触する少なくとも一つのフラップ88とを有する薄い平坦形状で形成されている。図11に示すチャンバー接触パネル71の実施形態は、互いに隣接するフラップ88から溝90によって分離された4つのフラップ88を有する。チャンバー接触パネル71の特定の幾何学的形状は、異なるチャンバー20構造に対応するように改変することができる複数のフラップ88を備えている。
【0043】
フラップ88は、以下に述べるように、互いに変形することを許容させる片持ち支持構造で構成されている。チャンバー接触パネル71は、マグネットに引き付けられる部材(例えば、420シリーズのマルテンサイト系ステンレス鋼)を備える(又は形成される)ことができる。
【0044】
図8,12に示す本実施形態において、カバー・プレート72は、第一の側部フランジ102と、第二の側部フランジ104とを備えている。第一の側部フランジ102及び第二の側部フランジ104は、対物レンズ・ハウジング94にスライド可能に設けられた枠体92にチャンバー接触パネル71を取り付けさせる。枠体92(及び、取り付けられたカバー・プレート72)は、Z軸方向に移動可能である。
【0045】
図8,10に示すように、第二実施形態に係るチャンバー・フラットナー27の動作において、被写体台70はチャンバー20の近傍に配置される。各マグネット73は、溝80の第二の端部84内に配置されて被写体台の窓78から離間する。対物レンズ48(及び、取り付けられた枠体92、カバー・プレート72)は、チャンバー20に向けて移動される。対物レンズ48がZ軸方向に所定距離を移動すると、カバー・プレート72の一部を構成するチャンバー接触パネル71は、チャンバー20の一枚のパネル38と接触する。
【0046】
焦点合わせのために、対物レンズ48をチャンバー20に向けてさらに移動させる必要がある場合、枠体92は対物レンズ・ハウジング94を摺動上昇させて、チャンバー20に対する対物レンズ48の移動を妨げない。カバー・プレート72がチャンバー20に接触するよりも前又は後に、溝80内に配置された各マグネット73は、各溝80の第二の端部84から第一の端部82へと移動される。溝80内におけるマグネット73の移動は多数の方法で達成されると共に、本発明は特定の実施形態に限定されるものではない。
【0047】
各マグネット73が溝80の第一の端部82に位置される時に、チャンバー接触パネル71の各フラップ88が第一の端部82と位置合わせされるので、マグネット73はその内部に配置される。各マグネット73は、位置合わせされたフラップ88を被写体台70に向けて引き付ける。その結果、各フラップ88は、チャンバー20を被写体台70の水平で平らなチャンバー側面74に向けて押圧して、チャンバー20内に存在する実質的に全てのサンプルのために実質的に均一なZ軸位置を仮定させる。撮像が完了すると、各マグネット73は各溝80の第二の端部84に移動してチャンバー接触パネル71の位置合わせから外れ、その結果、カバー・プレート72の引き付け力は解放される。
【0048】
チャンバー・フラットナーの代替実施形態において、各マグネット73は電磁石とされる。これらの実施形態において、マグネット73は被写体台70内の固定位置に配置されて、チャンバー接触パネル71のフラップ88と位置合わせされる。電磁石の動作は、上述したように引き付け力を与えるように調整される。
【0049】
第二のチャンバー・フラットナー27の代替実施形態において、各カートリッジ18は、チャンバー接触パネル71を有する分析装置ではなく、チャンバー接触パネル71を含むことができる。さらにチャンバー・フラットナー27は、分析チャンバーに向けて移動可能な対物レンズに関連して上述されている。代替実施形態において、一方又は両方の対物レンズ48及びチャンバー20は、互いに対して移動可能に構成されている。チャンバー・フラットナー27は、マグネットに取り付けられたチャンバー接触パネル71及び、被写体台内に配置されたマグネットに関連して上述されている。代替実施形態において、チャンバー接触パネル71は磁性材料で形成することができ、被写体台はマグネットに引き付けられる部材から形成することができる。これらの実施形態は、本発明に有用性を示すと共に、本発明がこれに限定されないことを示している。
【0050】
図13,14に示すように、第三実施形態に係るチャンバー・フラットナー27は、被写体台170と、カバー・プレート172と、一以上のマグネット73(図10参照)とを備えている。カバー・プレート172は、第一の側部フランジ174と、第二の側部フランジ176と、後部フランジ178と、チャンバー接触パネル171とを備えている。
【0051】
フランジ174,176,178は、それぞれ切欠き(cut-out)108を有する。切欠き108は、それぞれ三つ以上の平坦部110(図14中に110a〜cで示す)と、三つ以上の角部112(図14中に112a〜cで示す)とを有する。切欠き108の角部112は、それぞれ半径r1を有する。
【0052】
三つのピン114は対物レンズ・ハウジング94に固定され、対物レンズ・ハウジング94からその軸心に対して直角な方向に外側へ突出する。各フランジの切欠き108は、ピン114が挿入貫通される大きさで形成されている。一つのピン114が第一の側部フランジ102の切欠き108に挿入貫通され、他のピン114が第二の側部フランジ104の切欠き108に挿入貫通され、他のピン114が後部フランジ106の切欠き108に挿入貫通されるように、ピン114は対物レンズ・ハウジング94に向けて配向される。ピン114は半径r2を有する。ピン114の半径r2は、フランジ切欠き108の角部112における半径r1よりも大きい。
【0053】
代替実施形態において、角部112の幾何学形状は均一ではなく、かつ、円弧以外で形成される。これらの実施形態において、ピン114の断面幾何学形状は、全てのピン114が一つの角部112内に完全に収容されないように形成されている。
【0054】
第三実施形態に係るチャンバー・フラットナー27の動作において、カートリッジ18及び協働する分析チャンバー20は、カバー・プレート172と接触しないように、最初にZ軸位置に位置される(図2に模式的に示される位置決め装置26によって)。カバー・プレート172はピン114によってZ軸位置に維持され、カバー・プレート172のフランジ174,176,178はピン114にぶら下がる。この初期位置において、各ピン114は対応するフランジ切欠き108に正確に二点(例えば、第一平坦部110a及び第二平坦部110b)で接触する。
【0055】
図14は、カバー・プレート172がチャンバー20の上部パネル38に接触してピン114によって支持されている状態を示している。ピン114の半径r2が切欠き108における角部112の半径r1よりも大きいので、ピン114は切欠き108の角部112a〜cに接触することができない。この構成は、カバー・プレート172がピン114にぶら下がる時のロックを阻止し、位置決め装置26が対物レンズ48(図15参照)と分析チャンバー20との相対位置を変更する時に、カバー・プレート172の位置決め及び配向が補助されるため、有利である。
【0056】
位置決め装置26が分析チャンバー20及び対物レンズ48の相対的なZ軸位置を変更すると共に、チャンバー20がカバー・プレート172と接触すると、カバー・プレート172の一以上のフランジ174,176,178はピン114から上昇(すなわち、これらは既にぶら下がっていない)される。被写体台170内に配置されたマグネットは、チャンバー接触パネル171を分析チャンバー20に向けて引き付ける上述した方法で動作する。その結果、チャンバー接触パネル171の各フラップ88(図11参照)は、チャンバー20を被写体台170の水平かつ平らなチャンバー側面74(図9参照)に向けて押圧して、チャンバー20内に存在する実質的に全てのサンプルのために実質的に均一なZ軸位置を仮定させる。
【0057】
焦点合わせのために、チャンバー20を対物レンズ48(すなわち、Z軸平面)に向けてさらに移動させる必要がある場合、カバー・プレート172(フランジ174,176,178を含む)は、チャンバー20の対物レンズ48からピン114もしくはフランジ174,176,178と接触しない対物レンズ・ハウジング94までの相対的な移動を妨げない。同様に、チャンバー20の異なる領域を検査するためにチャンバー20をX−Y平面上でさらに移動させる必要がある場合、カバー・プレート172(フランジ174,176,178を含む)は、チャンバー20の対物レンズ48からピン114もしくはフランジ174,176,178と接触しない対物レンズ・ハウジング94までの相対的な移動を妨げない。撮像が完了すると、各マグネット73は各溝80の第二の端部84に移動してカバー・プレート172の位置合わせから外れ、その結果、カバー・プレート172の引き付け力が解放される。
【0058】
図5,8〜12に示す第四実施形態に係るチャンバー・フラットナー27において、チャンバーは、1)一方又は両方のチャンバー・パネル38,40(図5参照)間に配置された磁気粒子を含む接着剤ビード51と、2)一方又は両方のパネル38,40に適用される磁性材料を含む被膜とを備えている。この実施形態は、上述した第二実施形態に類似する被写体台72を利用する。
【0059】
動作の間、チャンバー20は近傍に配置された被写体台72を撮像するために位置される。各マグネット73は、それぞれの溝80の第二の端部84から被写体台の窓78に隣接する第一の端部82まで移動する。接着剤ビード51内に配置された磁性部材及び、又は被膜は、マグネット73に引き付けられ、チャンバー40を被写体台70の水平かつ平らなチャンバー側面74に向けて押圧して、チャンバー20内に存在する実質的に全てのサンプルのために実質的に均一なZ軸位置を仮定させる。撮像が完了すると、各マグネット73は各溝80の第二の端部84に移動してチャンバー20の位置合わせから外れ、その結果、チャンバー20の引き付け力が解放される。
【0060】
プログラム可能な分析装置28は、本実施形態の方法を実行するのに必要な機能を選択的に作動させるようにプログラムされた中央演算処理装置(CPU)を備えている。プログラム可能な分析装置28の機能性は、ハードウェア,ソフトウェア、もしくは、これらの組み合わせによって実施されることに留意すべきである。当業者であれば、過度の実験を要することなく、ここに記載された機能を作動させるように中央演算処理装置をプログラム可能である。
【0061】
プログラム可能な分析装置28は、チャンバー20内に静止状態で存在する液体サンプルを撮像するように、フィールド照明装置22、解像機構24、位置決め装置26及び、チャンバー・フラットナー27と電気的に接続されており、これらの作動を調整するようにプログラムされている。
【0062】
例えば、空気圧(正圧又は吸引)の供給源56を利用するこれらチャンバー・フラットナー27の実施形態において、プログラム可能な分析装置は、空気圧供給源を最適な時間と方法(例えば、圧力、期間等)で作動するようにプログラムすることが可能である。たいていの場合、分析装置17は、サンプルの複数のフィールド(例えば、50〜100)を撮像する処理を含む、チャンバー20内にある全サンプルの撮像を行うように作動する。
【0063】
以上、本発明を特定の実施形態を参照して説明したが、本発明を逸脱しない範囲で種々の変更や同等の部材に代替されることは当業者に理解されるであろう。さらに、特定の状況や部材を本質的範囲から逸脱しない本発明の教示に適用するために多くの修正がおこなわれるであろう。すなわち、本発明の実行のために最良の形態として説明した特定の実施形態に限定されないことを意図している。
【符号の説明】
【0064】
17 分析装置
20 分析チャンバー
22 フィールド照明装置
24 解像機構
26 位置決め装置
27 チャンバー・フラットナー
38,40 チャンバー・パネル
48 対物レンズ
54 被写体台
62 透明窓
【技術分野】
【0001】
本願は、米国特許法(U.S.C.35)第119条に基づく2009年12月31日出願の米国仮特許出願第61/291,688号の優先権の利益を主張するものであり、これに開示された内容は参照により本願に援用される。
【0002】
本発明は、分析チャンバー内に配置された生物検体を撮像する方法及び装置に関し、特に、平坦な配向方向に配置する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、例えば全血液(whole blood)や尿、脳髄(cerebrospinal)、体腔内(body cavity fluids)等の生物学的液体サンプルは、スライドガラス上に塗布して顕微鏡の下に塗りつけて検査される無希釈の微量な微粒子や細胞を有する。塗布標本の異なる領域は、スライドをX−Y平面で操作することで検査されていた。フォーカスは、顕微鏡対物レンズに対してスライドの位置をZ軸に沿って変化することで実現される。これらの技術を用いることで、妥当な結果を達成することは可能だが、これらは技術者の経験や技能に大きく依存する。様々な分野のサンプルを手動で検査することも労働集約的(labor intensive)であり、そのため市販の検査室用途に用いることは実際に不可能である。
【0004】
チャンバー内に静止状態で存在する生物学的液体サンプル(biologic fluid samples)を分析する自動装置が知られている。一般的にこれらの装置は、サンプルをX−Y平面上に維持する。画像フォーカスは、一方又は両方のサンプル、もしくは、光学装置をZ軸に沿って相対的に移動させることで実現される。このような分析を効率的に行うために、異なる高さの焦点合わせを正確に迅速に行う必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、分析チャンバー内に配置された生物検体を撮像する方法及び装置に関し、平坦な配向方向に配置することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、チャンバー内に静止状態で存在する生物学的液体サンプルを撮像する装置が提供される。チャンバーは、その間に生物学的液体サンプルを静止状態で存在させる第一のパネルと第二のパネルとを備えている。第一及び第二のパネルの少なくとも一方は可撓性を備えている。
【0007】
チャンバーは、横断面積によって定義される一以上のフィールドを有する。装置は、フィールド照明装置(field illuminator)と、チャンバー・フラットナー(chamber flattener)と、位置決め装置(positioner)と、解像機構(image dissector)とを備えている。フィールド照明装置は対物レンズを有する。チャンバー・フラットナーは、窓及びカバー・プレートを有する被写体台(platen)を備えている。
【0008】
チャンバー・フラットナーは、チャンバー内部の実質的に全てのフィールドのための実質的に均一なZ軸位置を仮定するように、チャンバーを動作可能である。位置決め装置は、対物レンズ及びチャンバーを互いに相対的に位置させるのに適用される。解像機構は、チャンバー内のサンプルを撮像するのに適用される。
【0009】
本発明の他の態様によれば、生物学的液体サンプルのチャンバーを対物レンズに対して配向させる装置が提供される。装置は、被写体台と、カバー・プレートとを有する。被写体台は、窓及び磁気源を有する。カバー・プレートは、チャンバー孔及び、チャンバー孔に隣接する変形可能な少なくとも一つのフラップを有するチャンバー接触パネル(chamber contact panel)を備えている。チャンバー接触パネルは、磁気的に引き付ける部材を有する。
【0010】
カバー・プレートは、その間にチャンバーが配置されることを許容するように、被写体台に対して位置される。磁気源及びチャンバー接触パネルは、カバー・プレートと被写体台との間に配置されたチャンバーの少なくとも一方のパネルが実質的に平坦な位置を仮定するように、互いに十分に引き付けられる。
【0011】
本発明の他の態様によれば、チャンバーの第一のパネルと第二のパネルとの間に静止状態で存在する生物学的液体サンプルを撮像する方法が提供される。第一及び第二のパネルの少なくとも一方は可撓性を備えると共に、チャンバーは横断面積によって定義される一以上のフィールドを有する。
【0012】
方法は、a)チャンバーを対物レンズに対してZ軸位置に位置させるステップと、b)チャンバー内部に存在する実質的に全てのフィールドのために実質的に均一なZ軸位置を仮定するように、チャンバーを平坦にするステップと、c)サンプルに焦点合わせするように、一方又は両方のチャンバー及び対物レンズを互いに相対的に移動させるステップと、d)被写体台の窓を通して生物学的液体サンプルを撮像するステップとを備えている。
【0013】
本発明の方法及び利点は、以下に記載する詳細な説明及び添付図面から明らかになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、分析チャンバー内に配置された生物検体を撮像する方法及び装置に関し、平坦な配向方向に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の分析装置を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明の分析装置を示す模式的な概略図である。
【図3】図3は、本実施形態のサンプル分析カートリッジにおいて、カートリッジの液体モジュール部分が開位置にある状態を示す図解的な平面図である。
【図4】図4は、図3に示すカートリッジにおいて、液体モジュールがハウジング内に閉じられ、かつ、画像処理トレイがハウジングの外側に配置された状態を示す部分的な分解図である。
【図5】図5は、分析チャンバーを示す模式的な部分断面図である。
【図6】図6は、本実施形態の分析チャンバーとチャンバー・フラットナーとを示す模式的な図である。
【図7】図7は、本実施形態の分析チャンバーとチャンバー・フラットナーとを示す模式的な図である。
【図8】図8は、本実施形態の分析チャンバーとチャンバー・フラットナーとを示す模式的な図である。
【図9】図9は、本実施形態のチャンバー・フラットナー・被写体台のチャンバー側面を示す平面図である。
【図10】図10は、図9に示す本実施形態のチャンバー・フラットナー・被写体台を反対側から視た平面図である。
【図11】図11は、本実施形態のカバー・プレートを示している。
【図12】図12は、本実施形態のカバー・プレート及び枠体が対物レンズのハウジングに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図13】図13は、本実施形態のカバー・プレートが対物レンズのハウジングに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図14】図14は、対物レンズのハウジングに取り付けられたカバー・プレートの実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1,2に示すように、分析装置17は、分析対象である生物学的サンプル(例えば、抗凝固処置(anti-coagulated)、全血)の包含に適用される分析チャンバー20(図4,5参照)を備えたサンプル分析カートリッジ18を受容するように構成されている。装置17は、フィールド照明装置22と、解像機構24と、位置決め装置26と、分析チャンバー・フラットナー27と、プログラム可能な分析装置28とを備えている。
【0017】
説明上の目的で、“分析”及び“解析”の用語は、任意の検査や液体サンプルの検査に限定されず、生物学的液体サンプル内の構成成分の検査(例えば、目視、列挙型等)を含むものとして定義される。
【0018】
分析装置17は、本願明細書にそのまま援用される2009年12月18日に出願された同時係属の米国特許出願第61/287,955号、米国特許出願第12/061,394号及び、米国特許出願第10/599,695号明細書に記載されている多種類のサンプル分析チャンバー20に使用することが可能である。本発明の目的において、特に記されない限り、本発明は米国特許出願第61/287,955号公報に開示された分析チャンバー及びカートリッジに使用されるものとして記載される。本発明はこれに限定されないが、上述のチャンバー20及びカートリッジ18を使用する。
【0019】
図3〜5に示すように、サンプル分析カートリッジ18は、液体モジュール(fluid module)30と、画像処理トレイ(image tray)32と、ハウジング34とを備えている。液体モジュール30は、例えば指やヒールスティック(heel stick)等の被検体収集サイト(subject collection site)から注射器で取り出した液体サンプルを受容するように構成されたサンプル・ポート(sample port)36を備えている。液体サンプルは、画像処理トレイ32内にロックされた分析チャンバー20に選択的に移動可能なカートリッジ18内に吸引される。
【0020】
図5に示すように、分析チャンバー20は、第一のパネル38と、第二のパネル40とを備えている。これらパネル38,40の少なくとも一方は、パネル38,40間に配置された生物学的液体サンプルが分析目的のために画像処理されるように、十分な透明性を備えている。好ましくは、第一及び第二のパネル38,40は、互いに平行に位置合わせされると共に、互いに表面39,41を対向させて間隔を隔てて配置されている。
【0021】
パネル38,40間の位置合わせは、光が一方のパネル38に垂直に伝達すると共に、他方のパネル40も透明の場合は、一方のパネル38、サンプル、他方のパネル40を透過することができる領域を定めている。対向するパネル表面の離間距離(以下、チャンバー20の“高さ”42ともいう)は、二つの表面39,41間に配置された生物学的液体サンプルが両表面39,41と接触する距離で設定されている。
【0022】
米国特許出願第10/599,695号明細書に開示された実施形態を含む他の実施形態において、第一及び第二のパネル38,40は互いに少なくとも三つのセパレータ44(一般的な球状ビーズ)により区分けされている。購入可能な球状のポリスチレンビーズを含むセパレータの例として、Thermo Scientific of Fremont社(米国カリフォルニア州)のカタログ番号4204Aに直径4ミクロン(4μ)のものが開示されている。
【0023】
少なくとも一方のパネル38,40又はセパレータ44は、チャンバー高さ42がセパレータ44の平均高さと近似することを許容するために、十分な可撓性を備えている。相対柔軟度(relative flexibility)は、セパレータ44内の小さな許容自由度にかかわらず、チャンバー20を実質的に均一な高さにする。
【0024】
パネルの一枚(例えば、第一のパネル38)がセパレータ44及び他のパネル(例えば、第二のパネル40)よりも可撓性のある部材で形成されているこれらの実施形態において、可撓性がある第一のパネル38は周囲のセパレータ44よりも大きい特定のセパレータ44にオーバーレイ(overlay)すると共に、大きなセパレータ44の周囲にテントのように屈曲する。この方法において、小さなローカル領域は平均チャンバー高さ42から逸脱するが、全てのチャンバーのサブ領域(テント領域を含む)における平均高さはセパレータの平均外径に非常に近似する。結果的に、実質的に均一なチャンバーのZ軸位置を確立する目的において、柔軟なパネルの偏移は重要にならない。
【0025】
他の実施形態において、接着材料(例えば、UV硬化性接着剤)のビード51は、パネル38,40間に配置されると共に、パネル38,40を互いに付着させるように作動可能である。透明プラスティックフィルムを含むパネル材料は、例えばアクリル樹脂、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terphthalate:PET)、環式オレフィン共重合体(cyclic olefin copolymer:COC)である。他の実施形態において、一枚のパネル(例えば、下方に延伸されたパネル)は、材料帯で厚さ約50ミクロン(50μ)に形成され、他のパネル(例えば、上部パネルに延伸されたパネル)は同一の材料ではあるが、厚さ約23ミクロン(23μ)に形成されている。
【0026】
チャンバー20は、約0.2〜1.0マイクロリットル(μl)のサンプルを保持する一般的なサイズであるが、その大きさは特定の容量に限定されず、分析用途に応じて変更することができる。ここでいう“静止状態”の定義は、サンプルが分析のためにチャンバー20内に配置されると共に、分析の間は意図的に動かされないことをいう。主に血液サンプルのブラウン運動(Brownian motion)によって生じる本発明の使用を不能にしない血液サンプル内の拡張運動は、構成成分(constituents)を形成する。
【0027】
図2に示すように、フィールド照明装置22は、光源と、対物光学素子(例えば、対物レンズ48、フィルター等)とを備えている。光源は、複数の分析のために十分な長波長領域(例えば約340nm〜670nm)の光を発生する。光源は、例えばキセノンアークランプ、タングステンハロゲンランプ、LED、拍動性源など、選択的に所望波長の光を単一の発生源もしくは複数の発生源から発生させることが可能である。
【0028】
フィールド照明装置22から放射される光の通路は、サンプルが蛍光発光もしくは透過光の何れを用いて分析されるかに依存する。蛍光発光が用いられた場合、フィールド照明装置22内の光源から放射される光がチャンバー20内に静止状態で存在するサンプル上に直接照射されるように、対物レンズ48は光線の焦点を合わせる。
【0029】
光線は、解像機構24上に入射するサンプル画像の断面領域によって定義される、サンプルの少なくとも一部のフィールドを照射する。光は、サンプル内に物質(例えば蛍光色素)を生じさせて蛍光を発させると共に、特定波長の光を放射する。放射された光は、対物レンズ48を通過して戻ると共に、解像機構24によって捕捉される。透過光が用いられた場合、フィールド照明装置22は、液体サンプルが存在するチャンバーの第一のパネル38及び第二のパネル40(これらは光の透過を許容するように十分な透明性を備える)の間に、光を方向付けて透過させるように構成されている。伝達される光は、対物レンズ48を透過した後、解像機構24によって捕捉される。
【0030】
位置決め装置26は、対物レンズ48及び分析チャンバー20の相対位置を変化させるのに適用される。対物レンズ48及び分析チャンバー20の相対位置の変化は、例えば対物レンズ48及び分析チャンバー20の一方を他方に対して関連する全ての軸(例えば、X,Y,Z)に沿って移動させるか、又は、チャンバー20を特定の軸(例えば、X,Y軸)に沿って移動させると共に、レンズを他の軸(例えば、Z軸)に沿って移動させる等、多くの異なった方法で実現することができる。
【0031】
簡略化のために、位置決め装置26は、分析チャンバー20と結合して、固定された対物レンズ48に対してカートリッジ18を複数の移動軸(例えば、X,Y,Z)に沿って移動させるのに適用される。しかしながら、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0032】
チャンバー20は、チャンバー20内に存在するサンプルの全フィールドを対物レンズ48で捕捉すると共に、Z軸に沿った移動を許容してサンプル高さに対する焦点位置を変化させるように、X−Y平面を移動可能に構成されている。対物レンズ48に対するチャンバー20の動作は、これに限定されるものではないが、例えば対物レンズ48に対するチャンバー20の連続動作(continuous motion)やインクリメント動作(incremental movement)を選択的に制御可能なステッパ・モータ等、多くの異なる装置によって実現される。
【0033】
適用可能な解像機構24は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)タイプのデジタル画像解像機構であって、好ましくはピクセル当たりの解像度を少なくとも8ビット、最も好ましくは12ビット備えている。解像機構24は、データ・ファイル・バージョンを用いて、光画像をリアルタイムもしくは経時的に確認できる電子データフォーマットに変換する。あるいは、CMOS以外の解像機構24が光画像の電子データフォーマットへの変換に用いられてもよい。
【0034】
図6,7に示すように、分析チャンバー・フラットナー27は、可撓性の分析チャンバー・パネル(例えば、一方又は両方の分析チャンバー・パネル38,40)を平坦に処理するのに適用されて、サンプル・チャンバー20と対物レンズ48(図2参照)との相対的位置決めを促進するために平面の基準点を定める。水平かつ平らなチャンバー配置は、サンプルの実質的に大部分(好ましくは全て)の分析フィールドを同一のZ軸上に位置させる。その結果、サンプル内の焦点面を探すのに要求される時間が実質的に低減されて、サンプル内の全フィールドを撮像する性能は大幅に向上される。
【0035】
図6,7に示す第一の実施形態において、チャンバー・フラットナー27は、被写体台54と、圧縮空気供給源56(例えば、正圧や吸引)とを備えている。被写体台54は、チャンバー側面58と、対向側面60と、これら二つの平面間に延びる実質的に固定された透明窓62とを有する。窓62は、チャンバー20が窓62に位置合わせされた時、すなわちチャンバー20内に配置された全てのサンプルが窓62を通して視認可能になる時に、光がチャンバー・パネル38,40の大部分を透過できる大きさで形成されている。
【0036】
図6は、圧縮空気供給源56が真空を引いているチャンバー・フラットナー27の実施形態を示している。チャンバー側面58に向けて開口する一以上のポート64は、窓62に隣接して配置されている。一以上のポート64の外側に配置されたエアー・シール66は、チャンバー・パネル40と接触するように配置されている。
【0037】
チャンバー・パネル40がエアー・シール66と接触する位置に配置されると、圧縮空気供給源56によって引かれる真空は、チャンバー・パネル40、被写体台54及び、エアー・シール66で形成されるポケット内の圧力を低下させる。圧力が十分に低下すると、チャンバー・パネル38,40は水平で平らな被写体台の窓62に引き付けられる。その結果、X−Y平面上に延びるサンプル・チャンバー20は、実質的に全てのフィールドにサンプルが包含されるように、実質的に均一なZ軸位置に維持される。サンプルが撮像された後、真空は解放される。
【0038】
図7に示す実施形態において、チャンバー・フラットナー27は、サンプル・チャンバー20を被写体台の窓62に向けて押圧する正圧を供給するのに適用される圧縮空気供給源56を備えている。被写体台の窓62と対向するチャンバー20の側部に配置されたエアー・シール68は、例えば高圧空気のためのポケットを形成するように構成されている。
【0039】
チャンバー20が被写体台の窓62に位置合わせされると、圧縮空気供給源56からの正圧はポケットに向けられ、結果的にチャンバー20を水平で平らな被写体台の窓62に向けて押圧する。その結果、X−Y平面上に延びるサンプル・チャンバー20は、実質的に全てのフィールドにサンプルが包含されるように、実質的に均一なZ軸位置に維持される。サンプルが撮像された後、真空は解放される。
【0040】
図8〜12に示すように、第二実施形態のチャンバー・フラットナー27は、被写体台70と、カバー・プレート72と、一以上のマグネット73(図10参照)とを備えている。被写体台70は、チャンバー側面74と、第二の側面76と、これら二つの平面74,76の間に延びる実質的に固定された透明窓78とを有する。窓78は、チャンバー20が窓78に位置合わせされた時に、光がチャンバー・パネル38,40の大部分を透過できる大きさで形成されている。
【0041】
図10に示す実施形態において、チャンバー・フラットナー27は、以下に詳述するカバー・プレート72を十分に引き付ける複数(例えば4個)のマグネット73を備えている。被写体台70の第二の側面76に、各マグネット73に対する溝80が配置されている。溝80は、第一の端部82と第二の端部84との間に延在する。各溝80の第一の端部82は、チャンバー・フラットナー27が結合された時にカバー・プレート72と位置合わせされる窓78の近傍に配置されている。各溝80の第二の端部84は、チャンバー・フラットナー27が結合された時にカバー・プレート72と位置合わせされない窓78から離間して配置されている。被写体台70は、許容可能な平坦公差内の平坦なチャンバー側面74を構成する実質的に固定された非磁性材料で形成されている。
【0042】
カバー・プレート72は、チャンバー接触パネル71と、第一の側部フランジ102と、第二の側部フランジ104とを有する。チャンバー接触パネル71は、チャンバー孔86(図11参照)と、チャンバー孔86に接触する少なくとも一つのフラップ88とを有する薄い平坦形状で形成されている。図11に示すチャンバー接触パネル71の実施形態は、互いに隣接するフラップ88から溝90によって分離された4つのフラップ88を有する。チャンバー接触パネル71の特定の幾何学的形状は、異なるチャンバー20構造に対応するように改変することができる複数のフラップ88を備えている。
【0043】
フラップ88は、以下に述べるように、互いに変形することを許容させる片持ち支持構造で構成されている。チャンバー接触パネル71は、マグネットに引き付けられる部材(例えば、420シリーズのマルテンサイト系ステンレス鋼)を備える(又は形成される)ことができる。
【0044】
図8,12に示す本実施形態において、カバー・プレート72は、第一の側部フランジ102と、第二の側部フランジ104とを備えている。第一の側部フランジ102及び第二の側部フランジ104は、対物レンズ・ハウジング94にスライド可能に設けられた枠体92にチャンバー接触パネル71を取り付けさせる。枠体92(及び、取り付けられたカバー・プレート72)は、Z軸方向に移動可能である。
【0045】
図8,10に示すように、第二実施形態に係るチャンバー・フラットナー27の動作において、被写体台70はチャンバー20の近傍に配置される。各マグネット73は、溝80の第二の端部84内に配置されて被写体台の窓78から離間する。対物レンズ48(及び、取り付けられた枠体92、カバー・プレート72)は、チャンバー20に向けて移動される。対物レンズ48がZ軸方向に所定距離を移動すると、カバー・プレート72の一部を構成するチャンバー接触パネル71は、チャンバー20の一枚のパネル38と接触する。
【0046】
焦点合わせのために、対物レンズ48をチャンバー20に向けてさらに移動させる必要がある場合、枠体92は対物レンズ・ハウジング94を摺動上昇させて、チャンバー20に対する対物レンズ48の移動を妨げない。カバー・プレート72がチャンバー20に接触するよりも前又は後に、溝80内に配置された各マグネット73は、各溝80の第二の端部84から第一の端部82へと移動される。溝80内におけるマグネット73の移動は多数の方法で達成されると共に、本発明は特定の実施形態に限定されるものではない。
【0047】
各マグネット73が溝80の第一の端部82に位置される時に、チャンバー接触パネル71の各フラップ88が第一の端部82と位置合わせされるので、マグネット73はその内部に配置される。各マグネット73は、位置合わせされたフラップ88を被写体台70に向けて引き付ける。その結果、各フラップ88は、チャンバー20を被写体台70の水平で平らなチャンバー側面74に向けて押圧して、チャンバー20内に存在する実質的に全てのサンプルのために実質的に均一なZ軸位置を仮定させる。撮像が完了すると、各マグネット73は各溝80の第二の端部84に移動してチャンバー接触パネル71の位置合わせから外れ、その結果、カバー・プレート72の引き付け力は解放される。
【0048】
チャンバー・フラットナーの代替実施形態において、各マグネット73は電磁石とされる。これらの実施形態において、マグネット73は被写体台70内の固定位置に配置されて、チャンバー接触パネル71のフラップ88と位置合わせされる。電磁石の動作は、上述したように引き付け力を与えるように調整される。
【0049】
第二のチャンバー・フラットナー27の代替実施形態において、各カートリッジ18は、チャンバー接触パネル71を有する分析装置ではなく、チャンバー接触パネル71を含むことができる。さらにチャンバー・フラットナー27は、分析チャンバーに向けて移動可能な対物レンズに関連して上述されている。代替実施形態において、一方又は両方の対物レンズ48及びチャンバー20は、互いに対して移動可能に構成されている。チャンバー・フラットナー27は、マグネットに取り付けられたチャンバー接触パネル71及び、被写体台内に配置されたマグネットに関連して上述されている。代替実施形態において、チャンバー接触パネル71は磁性材料で形成することができ、被写体台はマグネットに引き付けられる部材から形成することができる。これらの実施形態は、本発明に有用性を示すと共に、本発明がこれに限定されないことを示している。
【0050】
図13,14に示すように、第三実施形態に係るチャンバー・フラットナー27は、被写体台170と、カバー・プレート172と、一以上のマグネット73(図10参照)とを備えている。カバー・プレート172は、第一の側部フランジ174と、第二の側部フランジ176と、後部フランジ178と、チャンバー接触パネル171とを備えている。
【0051】
フランジ174,176,178は、それぞれ切欠き(cut-out)108を有する。切欠き108は、それぞれ三つ以上の平坦部110(図14中に110a〜cで示す)と、三つ以上の角部112(図14中に112a〜cで示す)とを有する。切欠き108の角部112は、それぞれ半径r1を有する。
【0052】
三つのピン114は対物レンズ・ハウジング94に固定され、対物レンズ・ハウジング94からその軸心に対して直角な方向に外側へ突出する。各フランジの切欠き108は、ピン114が挿入貫通される大きさで形成されている。一つのピン114が第一の側部フランジ102の切欠き108に挿入貫通され、他のピン114が第二の側部フランジ104の切欠き108に挿入貫通され、他のピン114が後部フランジ106の切欠き108に挿入貫通されるように、ピン114は対物レンズ・ハウジング94に向けて配向される。ピン114は半径r2を有する。ピン114の半径r2は、フランジ切欠き108の角部112における半径r1よりも大きい。
【0053】
代替実施形態において、角部112の幾何学形状は均一ではなく、かつ、円弧以外で形成される。これらの実施形態において、ピン114の断面幾何学形状は、全てのピン114が一つの角部112内に完全に収容されないように形成されている。
【0054】
第三実施形態に係るチャンバー・フラットナー27の動作において、カートリッジ18及び協働する分析チャンバー20は、カバー・プレート172と接触しないように、最初にZ軸位置に位置される(図2に模式的に示される位置決め装置26によって)。カバー・プレート172はピン114によってZ軸位置に維持され、カバー・プレート172のフランジ174,176,178はピン114にぶら下がる。この初期位置において、各ピン114は対応するフランジ切欠き108に正確に二点(例えば、第一平坦部110a及び第二平坦部110b)で接触する。
【0055】
図14は、カバー・プレート172がチャンバー20の上部パネル38に接触してピン114によって支持されている状態を示している。ピン114の半径r2が切欠き108における角部112の半径r1よりも大きいので、ピン114は切欠き108の角部112a〜cに接触することができない。この構成は、カバー・プレート172がピン114にぶら下がる時のロックを阻止し、位置決め装置26が対物レンズ48(図15参照)と分析チャンバー20との相対位置を変更する時に、カバー・プレート172の位置決め及び配向が補助されるため、有利である。
【0056】
位置決め装置26が分析チャンバー20及び対物レンズ48の相対的なZ軸位置を変更すると共に、チャンバー20がカバー・プレート172と接触すると、カバー・プレート172の一以上のフランジ174,176,178はピン114から上昇(すなわち、これらは既にぶら下がっていない)される。被写体台170内に配置されたマグネットは、チャンバー接触パネル171を分析チャンバー20に向けて引き付ける上述した方法で動作する。その結果、チャンバー接触パネル171の各フラップ88(図11参照)は、チャンバー20を被写体台170の水平かつ平らなチャンバー側面74(図9参照)に向けて押圧して、チャンバー20内に存在する実質的に全てのサンプルのために実質的に均一なZ軸位置を仮定させる。
【0057】
焦点合わせのために、チャンバー20を対物レンズ48(すなわち、Z軸平面)に向けてさらに移動させる必要がある場合、カバー・プレート172(フランジ174,176,178を含む)は、チャンバー20の対物レンズ48からピン114もしくはフランジ174,176,178と接触しない対物レンズ・ハウジング94までの相対的な移動を妨げない。同様に、チャンバー20の異なる領域を検査するためにチャンバー20をX−Y平面上でさらに移動させる必要がある場合、カバー・プレート172(フランジ174,176,178を含む)は、チャンバー20の対物レンズ48からピン114もしくはフランジ174,176,178と接触しない対物レンズ・ハウジング94までの相対的な移動を妨げない。撮像が完了すると、各マグネット73は各溝80の第二の端部84に移動してカバー・プレート172の位置合わせから外れ、その結果、カバー・プレート172の引き付け力が解放される。
【0058】
図5,8〜12に示す第四実施形態に係るチャンバー・フラットナー27において、チャンバーは、1)一方又は両方のチャンバー・パネル38,40(図5参照)間に配置された磁気粒子を含む接着剤ビード51と、2)一方又は両方のパネル38,40に適用される磁性材料を含む被膜とを備えている。この実施形態は、上述した第二実施形態に類似する被写体台72を利用する。
【0059】
動作の間、チャンバー20は近傍に配置された被写体台72を撮像するために位置される。各マグネット73は、それぞれの溝80の第二の端部84から被写体台の窓78に隣接する第一の端部82まで移動する。接着剤ビード51内に配置された磁性部材及び、又は被膜は、マグネット73に引き付けられ、チャンバー40を被写体台70の水平かつ平らなチャンバー側面74に向けて押圧して、チャンバー20内に存在する実質的に全てのサンプルのために実質的に均一なZ軸位置を仮定させる。撮像が完了すると、各マグネット73は各溝80の第二の端部84に移動してチャンバー20の位置合わせから外れ、その結果、チャンバー20の引き付け力が解放される。
【0060】
プログラム可能な分析装置28は、本実施形態の方法を実行するのに必要な機能を選択的に作動させるようにプログラムされた中央演算処理装置(CPU)を備えている。プログラム可能な分析装置28の機能性は、ハードウェア,ソフトウェア、もしくは、これらの組み合わせによって実施されることに留意すべきである。当業者であれば、過度の実験を要することなく、ここに記載された機能を作動させるように中央演算処理装置をプログラム可能である。
【0061】
プログラム可能な分析装置28は、チャンバー20内に静止状態で存在する液体サンプルを撮像するように、フィールド照明装置22、解像機構24、位置決め装置26及び、チャンバー・フラットナー27と電気的に接続されており、これらの作動を調整するようにプログラムされている。
【0062】
例えば、空気圧(正圧又は吸引)の供給源56を利用するこれらチャンバー・フラットナー27の実施形態において、プログラム可能な分析装置は、空気圧供給源を最適な時間と方法(例えば、圧力、期間等)で作動するようにプログラムすることが可能である。たいていの場合、分析装置17は、サンプルの複数のフィールド(例えば、50〜100)を撮像する処理を含む、チャンバー20内にある全サンプルの撮像を行うように作動する。
【0063】
以上、本発明を特定の実施形態を参照して説明したが、本発明を逸脱しない範囲で種々の変更や同等の部材に代替されることは当業者に理解されるであろう。さらに、特定の状況や部材を本質的範囲から逸脱しない本発明の教示に適用するために多くの修正がおこなわれるであろう。すなわち、本発明の実行のために最良の形態として説明した特定の実施形態に限定されないことを意図している。
【符号の説明】
【0064】
17 分析装置
20 分析チャンバー
22 フィールド照明装置
24 解像機構
26 位置決め装置
27 チャンバー・フラットナー
38,40 チャンバー・パネル
48 対物レンズ
54 被写体台
62 透明窓
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバーが断面面積で定められる一以上のフィールドを有すると共に、チャンバーの第一のパネル及び第二のパネルの少なくとも一方が可撓性を有し、第一のパネルと第二のパネルとの間に静止状態で存在する生物学的液体サンプルを撮像する装置であって、
対物レンズを有するフィールド照明装置と、
窓付きの被写体台を有すると共に、チャンバー内に存在する実質的に全てのフィールドのために実質的に均一なZ軸位置を仮定するようにチャンバーを動作可能なチャンバー・フラットナーと、
対物レンズ及びチャンバーを互いに相対的に位置させるのに適用される位置決め装置と、
チャンバー内に存在するサンプルの撮像に適用される解像機構と、を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
位置決め装置が一以上の対物レンズ及びチャンバーを互いに対して移動軸に沿って移動させる制御と、フィールド照明装置及び解像機構の一以上のサンプル撮像の制御に適用されるプログラム可能な分析装置をさらに備える請求項1記載の装置。
【請求項3】
フィールド照明装置が、その内部に対物レンズが配置される対物レンズ・ハウジングをさらに備える請求項2記載の装置。
【請求項4】
チャンバー・フラットナーが、チャンバー孔及びチャンバー孔に隣接する少なくとも一つの変形可能なフラップを含むチャンバー接触パネルを備えたカバー・プレートを含む請求項3記載の装置。
【請求項5】
被写体台及びチャンバー接触パネルが、磁気力によって互いに選択的に引き付けられる請求項4記載の装置。
【請求項6】
被写体台が、一以上のマグネットと、マグネットに引き付けられる部材を含むチャンバー接触パネルとを有する請求項5記載の装置。
【請求項7】
少なくとも一つの被写体台及びチャンバー接触パネルが、磁気力によってチャンバーに選択的に引き付けられる請求項4記載の装置。
【請求項8】
カバー・プレートが、対物レンズにスライド可能に取り付けられた枠体にカバー・プレートを取り付ける複数のフランジを備える請求項4記載の装置。
【請求項9】
カバー・プレートが切欠きを有する複数のフランジを備え、チャンバー・フラットナーがフィールド照明装置のハウジングから外側に延びると共に切欠きに受容される複数のピンをさらに備える請求項4記載の装置。
【請求項10】
各ピンは横断面形状を有すると共に、各切欠きは移行部分によって互いに接続された少なくとも三つの角部を有し、ピンの横断面形状が移行部分によって角部との接触を阻止される請求項9記載の装置。
【請求項11】
ピン及びカバー・プレートが、X−Y平面上のZ軸に沿ったカバー・プレートと対物レンズとの間の相対移動を許容する請求項10記載の装置。
【請求項12】
チャンバーにその内部に存在する実質的に全てのフィールドのために実質的に均一なZ軸位置を仮定させるように、チャンバー・フラットナーがチャンバーの少なくとも一枚のパネルに作用する圧力を生じさせる圧縮空気供給源をさらに備える請求項1記載の装置。
【請求項13】
圧縮空気供給源が、被写体台の窓に対してチャンバーを引き付ける吸引力を生じさせる請求項12記載の装置。
【請求項14】
圧縮空気供給源が、被写体台の窓に対してチャンバーを押圧する正圧力を生じさせる請求項12記載の装置。
【請求項15】
少なくとも一つのビードと、チャンバーに配置された皮膜とをさらに備え、ビード及び皮膜は磁気的に引き付けられる部材を含むと共に、ビード及び又はチャンバー・パネルの磁気性皮膜は被写体台に配置されたマグネットに引き付けられる請求項1記載の装置。
【請求項16】
生物学的液体サンプルを対物レンズに対して配向するための装置であって、
窓及び磁気源を有する被写体台と、
少なくとも一つの変形可能なフラップが隣接するチャンバー孔及び、磁気的に引き付ける部材を有すると共に、被写体台との間にチャンバーを配置するように位置されるカバー・プレートと、を備え、
チャンバーの少なくとも一枚のパネルが実質的に平坦な位置を仮定する被写体台とカバー・プレートとの間に配置されるように、磁気源及びチャンバー接触パネルが互いに十分に引き付けられることを特徴とする装置。
【請求項17】
カバー・プレートが、チャンバー接触パネルに取り付けられる複数のフランジと、フランジに取り付けられる枠体とを備えると共に、枠体が対物レンズのハウジングにスライド可能に取り付けられる請求項16記載の装置。
【請求項18】
対物レンズのハウジングに取り付けられる複数のピンを備えると共に、カバー・プレートがピンを受容する大きさで形成された切欠きを有する複数のフランジを備える請求項17記載の装置。
【請求項19】
チャンバーが断面面積で定められる一以上のフィールドを有すると共に、チャンバーの第一のパネル及び第二のパネルの少なくとも一方が可撓性を有し、第一のパネルと第二のパネルとの間に静止状態で存在する生物学的液体サンプルを撮像する方法であって、
チャンバーを対物レンズに対してZ軸位置に位置させるステップと、
チャンバー内部に存在する実質的に全てのフィールドのために実質的に均一なZ軸位置を仮定するように、チャンバーを平坦にするステップと、
サンプルに焦点合わせするように、一方又は両方のチャンバー及び対物レンズを互いに相対的に移動させるステップと、
被写体台の窓を通して生物学的液体サンプルを撮像するステップと、を備えることを特徴とする方法。
【請求項20】
チャンバーを平坦にするステップは、チャンバーの一方の側部に配置された窓を有する被写体台と、チャンバーの他方の側部に適用されたカバー・プレートとを備えたチャンバー・フラットナーをチャンバーに適用させることを含む請求項19記載の方法。
【請求項21】
被写体台が、磁気源と、磁気的に引き付ける部材を有するチャンバー接触パネルを含むカバー・プレートとを備える請求項20記載の方法。
【請求項1】
チャンバーが断面面積で定められる一以上のフィールドを有すると共に、チャンバーの第一のパネル及び第二のパネルの少なくとも一方が可撓性を有し、第一のパネルと第二のパネルとの間に静止状態で存在する生物学的液体サンプルを撮像する装置であって、
対物レンズを有するフィールド照明装置と、
窓付きの被写体台を有すると共に、チャンバー内に存在する実質的に全てのフィールドのために実質的に均一なZ軸位置を仮定するようにチャンバーを動作可能なチャンバー・フラットナーと、
対物レンズ及びチャンバーを互いに相対的に位置させるのに適用される位置決め装置と、
チャンバー内に存在するサンプルの撮像に適用される解像機構と、を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
位置決め装置が一以上の対物レンズ及びチャンバーを互いに対して移動軸に沿って移動させる制御と、フィールド照明装置及び解像機構の一以上のサンプル撮像の制御に適用されるプログラム可能な分析装置をさらに備える請求項1記載の装置。
【請求項3】
フィールド照明装置が、その内部に対物レンズが配置される対物レンズ・ハウジングをさらに備える請求項2記載の装置。
【請求項4】
チャンバー・フラットナーが、チャンバー孔及びチャンバー孔に隣接する少なくとも一つの変形可能なフラップを含むチャンバー接触パネルを備えたカバー・プレートを含む請求項3記載の装置。
【請求項5】
被写体台及びチャンバー接触パネルが、磁気力によって互いに選択的に引き付けられる請求項4記載の装置。
【請求項6】
被写体台が、一以上のマグネットと、マグネットに引き付けられる部材を含むチャンバー接触パネルとを有する請求項5記載の装置。
【請求項7】
少なくとも一つの被写体台及びチャンバー接触パネルが、磁気力によってチャンバーに選択的に引き付けられる請求項4記載の装置。
【請求項8】
カバー・プレートが、対物レンズにスライド可能に取り付けられた枠体にカバー・プレートを取り付ける複数のフランジを備える請求項4記載の装置。
【請求項9】
カバー・プレートが切欠きを有する複数のフランジを備え、チャンバー・フラットナーがフィールド照明装置のハウジングから外側に延びると共に切欠きに受容される複数のピンをさらに備える請求項4記載の装置。
【請求項10】
各ピンは横断面形状を有すると共に、各切欠きは移行部分によって互いに接続された少なくとも三つの角部を有し、ピンの横断面形状が移行部分によって角部との接触を阻止される請求項9記載の装置。
【請求項11】
ピン及びカバー・プレートが、X−Y平面上のZ軸に沿ったカバー・プレートと対物レンズとの間の相対移動を許容する請求項10記載の装置。
【請求項12】
チャンバーにその内部に存在する実質的に全てのフィールドのために実質的に均一なZ軸位置を仮定させるように、チャンバー・フラットナーがチャンバーの少なくとも一枚のパネルに作用する圧力を生じさせる圧縮空気供給源をさらに備える請求項1記載の装置。
【請求項13】
圧縮空気供給源が、被写体台の窓に対してチャンバーを引き付ける吸引力を生じさせる請求項12記載の装置。
【請求項14】
圧縮空気供給源が、被写体台の窓に対してチャンバーを押圧する正圧力を生じさせる請求項12記載の装置。
【請求項15】
少なくとも一つのビードと、チャンバーに配置された皮膜とをさらに備え、ビード及び皮膜は磁気的に引き付けられる部材を含むと共に、ビード及び又はチャンバー・パネルの磁気性皮膜は被写体台に配置されたマグネットに引き付けられる請求項1記載の装置。
【請求項16】
生物学的液体サンプルを対物レンズに対して配向するための装置であって、
窓及び磁気源を有する被写体台と、
少なくとも一つの変形可能なフラップが隣接するチャンバー孔及び、磁気的に引き付ける部材を有すると共に、被写体台との間にチャンバーを配置するように位置されるカバー・プレートと、を備え、
チャンバーの少なくとも一枚のパネルが実質的に平坦な位置を仮定する被写体台とカバー・プレートとの間に配置されるように、磁気源及びチャンバー接触パネルが互いに十分に引き付けられることを特徴とする装置。
【請求項17】
カバー・プレートが、チャンバー接触パネルに取り付けられる複数のフランジと、フランジに取り付けられる枠体とを備えると共に、枠体が対物レンズのハウジングにスライド可能に取り付けられる請求項16記載の装置。
【請求項18】
対物レンズのハウジングに取り付けられる複数のピンを備えると共に、カバー・プレートがピンを受容する大きさで形成された切欠きを有する複数のフランジを備える請求項17記載の装置。
【請求項19】
チャンバーが断面面積で定められる一以上のフィールドを有すると共に、チャンバーの第一のパネル及び第二のパネルの少なくとも一方が可撓性を有し、第一のパネルと第二のパネルとの間に静止状態で存在する生物学的液体サンプルを撮像する方法であって、
チャンバーを対物レンズに対してZ軸位置に位置させるステップと、
チャンバー内部に存在する実質的に全てのフィールドのために実質的に均一なZ軸位置を仮定するように、チャンバーを平坦にするステップと、
サンプルに焦点合わせするように、一方又は両方のチャンバー及び対物レンズを互いに相対的に移動させるステップと、
被写体台の窓を通して生物学的液体サンプルを撮像するステップと、を備えることを特徴とする方法。
【請求項20】
チャンバーを平坦にするステップは、チャンバーの一方の側部に配置された窓を有する被写体台と、チャンバーの他方の側部に適用されたカバー・プレートとを備えたチャンバー・フラットナーをチャンバーに適用させることを含む請求項19記載の方法。
【請求項21】
被写体台が、磁気源と、磁気的に引き付ける部材を有するチャンバー接触パネルを含むカバー・プレートとを備える請求項20記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2013−516647(P2013−516647A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547174(P2012−547174)
【出願日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/062046
【国際公開番号】WO2011/082109
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(501354521)アボット ポイント オブ ケア インコーポレイテッド (21)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/062046
【国際公開番号】WO2011/082109
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(501354521)アボット ポイント オブ ケア インコーポレイテッド (21)
【Fターム(参考)】
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