説明

分析物の定量的移動方法

【課題】ある量の分析物を移動する方法。
【解決手段】次の工程:所定の初期量の少なくとも分析物と液体との実質的に均質な混合物を前処置し、ある濃度値または既知量の分析物を混合物中に得る工程;支持体2を有するサンプリングデバイス1の少なくとも回収部3(ここで、回収部3は、支持体2の第1の部分2aと、フロック加工された回収部3またはフロック加工されたタンポンを規定するように、支持体2の第1の部分2aにフロック加工により付着および配置された複数の繊維6と、を含む。)を混合物中に導入して、混合物の一部を回収部3上に回収する工程;および混合物からサンプリングデバイス1の回収部3を抜き出し、所定の既知量の移動対象の混合物をサンプリング部3上に保持する工程を含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析物の定量的移動方法に関する。本発明の方法は、例えば臨床、診断および一般解析の領域で適用可能であり、種々の性質の分析または検査のために所定の既知量の分析物をサンプリングし、使用場所に向けて移動することを可能とする。
【0002】
本発明の方法は、特に種々の物質(例えば、微生物、抗体/抗原、抗微生物物質、ヌクレオチド、抗生物質、ホルモン、DNA配列、酵素、培地の栄養剤または選択剤、および一般的には有機物質、生体物質または生物由来の物質)の回収および移動に適用可能である。
【背景技術】
【0003】
先行技術には、種々の分析または診断ニーズのために既知量の分析物(例えば有機または生体物質)を使用しなければならない例が非常に多くある。例えば、微生物学的性質を検証するためのカンパニープログラムは、参照標準が示す要件が満たされていることを検証するための標準微生物培養の使用を含む。この目的のために、実験室的方法および手順を検証しその有効性を確認する微生物制御が行われる。例えば、微生物培養に用いる培地の選択成分および栄養成分の有効性の制御、または微生物の不活化操作の有効性の検証、またはその他の目的のための制御が行われる。
【0004】
同定する物質のポジティブおよびネガティブコントロールを備え、キット自体の制御および検証ならびに分析するサンプルの試験および調製を可能にする診断キットが、さらなる公知の例として示されている。例えば、現在または以前の感染症の診断を目的とした細菌の調査および同定試験では、例えば黄色ブドウ球菌の凝集試験の場合、その細菌のサンプルを用いて行うポジティブコントロールは明らかな凝集を示さなければならず、一方同じ細菌のネガティブコントロールは分析プロトコルに示された所定の時間内において凝集を示してはならない。
【0005】
さらなる例として、食品マトリックス阻害物質用の検査キットでは、例えば乳質検査における抗微生物物質の調査の場合、抗生物質を含む溶液を用いて行うポジティブコントロールは、設定時間内に、かつ試験手順に従って陽性結果を示さなければならない。
【0006】
ポジティブコントロールは通常、液体または凍結乾燥されたペレット状で供給されるか、あるいは再水和されたポジティブコントロールは安定性に乏しくその実用寿命が著しく限られるため、使用前に再水和される粉末状で供給される。さらに、支持体上に供給されるコントロールの場合、定量的放出は通常限定的である。そのため、陽性試験反応を得るために、各検査の定量的閾値を超えるように調査対象物質のコントロールサンプルを過剰に使用する一般的な傾向がある。
【0007】
微生物抵抗性試験の分野では公知の通り、微生物の単離後に、どの物質がどの濃度で微生物に効くかを判定する必要がある。通常これらの試験は、既知のマトリックス溶液から始まる一連の段階希釈液を調製することにより行われる。この希釈液を調製する手順は手間がかかるため、分析室で行われるプロセスの生産性に対してマイナスの経済効果がある。実験室で通常使用される公知のタイプの回収および移動デバイスは、例えば、パスツールピペット、シリンジ、パッドまたはスプーンで構成される。
【0008】
上記例の全てにおいて、また一般的には、分析物移動およびそれに続くその分析の全てにおいて、数多くの問題点がある。これらの問題点は、例えば分析物の調製手順の複雑さならびに分析物の移動および保存の困難さに関係がある。分析物の多くは、長期間にわたって保存するために、非常に特異的で制御された環境条件を必要とすることに留意されたい。また、分析物の正しい定量化は複雑な場合が多いが、非常に少量の分析物を用いる場合には特にそうである。これは、所望の少量を得るためには、必要な時に既知濃度の分析溶液を調製し、調製直後に溶液の一部を直接除去するほかないからである。
【0009】
しばしば、分析の実行を可能にするために、長くて複雑で費用のかかる操作が必要となる。さらに、種々の公知の分析方法では、比較試験または他の分析を行うために極めて正確な量の分析物を使用することが必要となるが、多くの場合、細やかかつ手の込んだ操作をしなければ、これを達成するのは困難である。言い換えれば、その必要があるたびに種々のタイプの分析物を当該用途に適した量および様式で利用するのは先行技術では不可能である。
【発明の概要】
【0010】
本発明の主な目的は、先行技術が直面する問題の1つまたは複数を取り除くことである。本発明の目的はまた、サンプルを得ることおよび分析物を定量的に正しくかつ正確に移動することを可能にする、様々な量の分析物の移動方法を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、回収、移動、保存または処理が困難である分析物にとっても非常に有効である、分析物の定量的移動方法を提供することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、ユーザー側での汚染のリスクを低減する、分析物の定量的移動方法を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、広範囲の分析物に適用可能かつ有効である、分析物の定量的移動方法を提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、非常に少量かつ正確な量の分析物を分析または診断試験に直ちに提供できる、分析物の定量的移動方法を提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、所定の既知量の分析物および/または任意の量(非常に少量でもよい。)の分析物のための事前供給型サンプリングデバイスの実現を可能にし、および/または広範囲の分析物について実現可能であり、および/または事前供給型デバイスが直ちに使用できる状態で分析物を提示する、分析物の定量的移動方法を提供することである。
【0016】
本発明のさらなる目的は、広範囲の診断分析および試験の実施に伴う複雑さ、時間およびコストの大幅な削減を可能にする、定量的な分析物移動方法を提供することである。
【0017】
本発明のさらなる目的は、簡便かつ経済的に使用できる、定量的な分析物移動方法を提供することである。
【0018】
これらの目的および以下の説明でより完全に明らかになるその他の目的は、添付の1つまたは複数のクレーム(1つずつもしくは組み合わせ、または記載された特徴の1つまたは複数との組み合わせ)に記載される分析物の定量的移動方法によって実質的に達成される。
【0019】
本発明は、混合物を実質的に均質にする工程が、ボルテックスによりおよび/または振盪デバイスを用いた攪拌により行われる、添付の方法クレームの1つまたは複数に記載の方法にも関する。
【0020】
本発明は、所定の既知量の分析物が供給された事前供給型デバイスを実現する工程をさらに含む、添付の方法クレームの1つまたは複数に記載の方法にも関する。
【0021】
本発明はまた、少なくとも回収部を挿入しその回収部を抜き出す工程が操作者により手動で行われ、および/または少なくとも回収部を混合物に挿入する前に、密封された滅菌パックから滅菌デバイスを抜き出す工程をさらに含む、添付の方法クレームの1つまたは複数に記載の方法に関する。
【0022】
本発明はまた、回収部を混合物に挿入する工程が、少なくとも微小容器中への回収部の直接含浸によりまたは微容量用ポンプにより行われる、添付の方法クレームの1つまたは複数に記載の方法に関する。
【0023】
本発明はまた、クレーム1〜8に記載の方法の工程を行うための、添付の方法クレームの1つまたは複数に記載のデバイスの使用に関する。非限定的な例として、本発明のいくつかの好適な実施形態の詳細な説明を以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の方法のいくつかの実施形態を模式的に示したフローチャートである。
【図2】本発明の一実施形態のデバイスの側面図である。
【図2a】図2のデバイスの回収部に関する詳細図である。
【図3】本発明の一実施形態の容器である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の分析物の定量的移動方法を図示したものである。この方法は、少なくとも次の工程:所定の初期量の少なくとも分析物と液体との実質的に均質な混合物を前処置する工程(図1中の工程A);少なくとも混合物中に既知濃度の分析物を得る工程(工程A4);および支持体2を有するサンプリングデバイス1の少なくとも回収部3(ここで、回収部3は、支持体2の第1の部分2aと、フロック加工された回収部3またはフロック加工されたパッドを規定するように、支持体2の第1の部分2aにフロック加工により付着および配置された複数の繊維6と、を含む。)を混合物中に挿入して、混合物の一部を回収部3上に回収する工程(工程B)を含む。
【0026】
本明細書において、「実質的に均質」という表現は、構成成分がもはや識別不能であり単相(例えば溶液)をなしている、一般的に均質と定義される混合物に関する。また、通常は不均質と見なされるが、肉眼レベルでは、種々の構成成分の区別を排除する高レベルの相互混合を示す種々のタイプの混合物にも関する。例えば「実質的に均質」は、混合物の構成成分の混合工程が慎重に行われるおかげで限られた時間しか得られないとしても、十分に少量で実質的に一定である各物質を指すために使用される。言い換えれば、「実質的に均質」は、サンプリングデバイス1の回収部3により回収可能な所定量のサンプリング可能な混合物に含まれる分析物の量を十分な精度で測定することが可能な、分析物と液体との混合物にも関する。実質的に均質な混合物の目的部分は混合物の様々なゾーンにおいて所望の濃度が規定可能であり実質的に均一であるため、混合物は飽和していてもしていなくてもよく、また底部残渣があってもよい。
【0027】
本発明の方法は、移動対象の所定の既知量の混合物をサンプリングデバイス1の回収部3上に保持しながら、混合物から回収部3を抜き出す工程(図1中の工程C)をさらに含む。本発明の方法は、例えば微生物、抗体/抗原、抗微生物物質、ヌクレオチド、抗生物質、ホルモン、DNA配列、酵素、有機物質、生体物質または生物由来の物質、培地の栄養剤または選択剤等の分析物を移動することを目的としてもよい。混合物を前処置する工程は、所定の初期量の分析物を前処置する副工程(工程A1)、所定の初期量の分析物と液体とを混合して所定の初期量の分析物と液体との混合物を得る副工程(工程A2)、および/または例えばボルテックスによりおよび/または振盪デバイスを用いた振盪により混合物を実質的に均質にする副工程(工程A3)を含んでもよい。混合物は、例えば適当な容器中で前処置してもよい。混合物中に既知濃度値の分析物を得る工程は、既知量の分析物と既知量の液体との混合および/または混合物中の分析物の濃度値の測定により行うことができる。
【0028】
本発明の方法は、混合物からサンプリングデバイスの回収部3を抜き出す際に回収部3に有効に保持される混合物の量を測定する工程(工程C1)をさらに含んでもよい。この測定工程は、回収部3の挿入前の混合物の初期重量と回収部3の抜き出し後の混合物の最終重量との比較、または混合物への挿入前のサンプリングデバイス1の重量と混合物からの抜き出し後のサンプリングデバイス1の重量との比較により行うことができる。
【0029】
本発明の方法は、少なくとも、移動対象の所定量の混合物が供給された回収部3を脱水、乾燥(工程D)または凍結乾燥(工程E)して、所定量の乾燥または凍結乾燥分析物を回収部3上に有する事前供給型サンプリングデバイス1を得る工程をさらに含んでもよい。乾燥工程は、例えば、オーブンでの乾燥もしくは強制換気または特定の分析物の処理に適した他の公知の方法により行うことができる。事前供給型サンプリングデバイス1は、支持体2と、所定の既知量の移動対象の分析物および/または所定の既知量の移動対象の乾燥分析物が供給された、フロック加工された回収部3と、を含む。
【0030】
本発明の方法はまた、回収部3を真空容器(公知のタイプであるため図中には示さない。)に挿入し、容器内に減圧または真空を発生させる工程を含んでもよい。この減圧または真空発生工程は、乾燥または凍結乾燥工程中に行っても、乾燥または凍結乾燥工程とは独立に別の時点に行ってもよい。
【0031】
本発明の方法は、例えば少なくとも栄養液および/または水和液で、回収部3上の所定量の乾燥または凍結乾燥分析物を蘇生または再水和させて、回収部3上に所定量の再水和分析物を得る工程(工程F)をさらに含んでもよい。
【0032】
本発明の方法は、分析物の分析が可能になるように、ディッシュ上への直まきまたは液体培地中での希釈により、移動対象の所定量の混合物または所定量の分析物の少なくとも85%を放出する工程(工程G)をさらに含んでもよい。本発明の方法はまた、このように放出された分析物を分析する1つまたは複数の工程を含んでもよい。
【0033】
本発明の方法は、分析物が供給された回収部3を容器7(例えば試験管)に挿入する工程、容器7をキャップ5またはカバーで閉じて回収部3を含む容器7を移動させる工程、および/または分析物を液化および/または保存するための所定量の物質8を容器7中で前処置する工程、および/または分析物が液化するように、分析物付き回収部3を含む容器7を所定の速度で攪拌、振盪または回転する工程をさらに含んでもよい。
【0034】
以下、ある量の分析物を移動する機能を有する本発明の一実施形態のサンプリングデバイス1について説明する。
【0035】
図面を参照すると、1は、全体で、種々の性質および組成の様々な量の分析物をサンプリングし移動するための手動のデバイス1を表す。サンプリングデバイス1は、細長くおよび/またはほぼ棒状であってもよい支持体2を含む。支持体2は、その縦方向に沿って可変であってもよい任意のセクションを有してもよい。支持体2は、分析物のための回収部3を規定する第1の部分2a(例えば端部)、中心にありほぼ棒状である第2の部分2b、および操作者が支持体2を手で把持することができる端部であり、またはさらなる把持部4(例えば試験管のカバー5)に連結可能な第3の部分2cを備えている。
【0036】
分析物のための回収部3は、パッドの形態をとってもよい。回収部3はフロック加工されており、支持体の第1の端部2a上で複数の繊維6をフロック加工させることにより実現されている。第1の端部上でフロック加工されている繊維6は、非親水性材料(例えばナイロン)からなっていてもよいが、回収部3は、繊維6の性質および支持体2上の繊維6の分布による毛細管現象の影響で親水性である。言い換えると、回収部3は、分析物に対して実質的に非吸収性の材料からなる繊維6の連続層であって、吸収により所定量の分析物を保持することができ、そして、例えば回収部3を特別な放出面に擦ることにより、分析時点でその量の分析物を定量的に放出することができる、規則的な複数の毛管孔隙9の形態をとる繊維6の連続層を示してもよい。
【0037】
このタイプのフロック加工されたパッドの例は、同じ出願人が保有する欧州特許第1,608,268号に示されており、フロック加工されたパッドの構造に関するその内容は参照目的で本明細書中に組み込まれている。
【0038】
上記特許に記載の通り、フロック加工による堆積により、サンプリングデバイス1の関連端部上に、規則的に配置され、支持体2の第1の部分2aの各点においてほぼ垂直であり、かつ繊維6のそれぞれが隣接する繊維6とほぼ平行である、複数の繊維6の連続的かつ均質な層が形成される。対応する規則的な複数の毛管孔隙9は繊維6の間に規定され、孔隙9内では、毛細管現象による吸収により所定量の分析物を回収かつ保持することができる。
【0039】
次いで、フロック加工された層は、例えば表面に擦ることによりまたは希釈剤中での分析物の希釈により、回収された分析物を定量的に放出することができる。フロック加工された回収部3は、実質的に既知量の分析物および/または混合物を回収するように、または例えば5〜1000マイクロリットル、10〜500マイクロリットル、50〜200マイクロリットルまたは80〜120マイクロリットルの混合物を回収するように構成され寸法が定められている。繊維6は、例えば、支持体2上に、ほぼ規則的にかつ回収部3上に実質的に連続的な層を形成するように配置され、かつ/あるいは毛細管現象により混合物を吸収するように構成された複数の毛管孔隙9を規定するように回収部3上に配置されている。繊維は、1.7〜3.3Dtexの線密度または繊度および/または0.6〜3mmの長さを有する。繊維6は、支持体2の回収部3上で、例えば1mm当たり50〜500本または1mm当たり100〜200本の表面密度でフロック加工されていてもよい。繊維の層は、例えば1mm当たり少なくとも0.5μl、1mm当たり少なくとも0.6μl、1mm当たり少なくとも0.7μl、または1mm当たり少なくとも0.75μlの吸収能を規定することができる。繊維6は、実質的に非親水性の材料、または混合物もしくは分析物を吸着しない材料、および/またはポリアミド、レーヨン、ポリエステル、炭素繊維、アルギン酸塩、または混合物に対して非吸着性である天然材料、またはそれらの材料の混合物の中から選択される材料からなっていてもよい。
【0040】
支持体2は、縦方向に2〜20cm、3〜18cmまたは6〜16cmの長さ、および/または支持体2の中心軸に対する垂直断面において0.5〜5mm、1〜3mmまたは1.5〜2.5mmの厚さまたは直径を示してもよい。
【0041】
回収部3は、縦方向に8〜0.5cmまたは5〜1cmの長さ、および/または繊維6を含めて10〜1mm、8〜2mmまたは5〜2.5mmの直径または厚さを示してもよい。
【0042】
回収部3は、サンプリングする分析物の具体的なタイプに適した任意の形状(例えば円形)をとることができ、また、1つまたは複数の尖った端を有してもよい。
【0043】
支持体2は、例えば輸送用の容器7への回収部3の挿入が容易となるように、第1の端部と第2の端部との間の支持体2の中間位置での支持体2の選択的破壊を容易にするための中間の弱い部分が設けられていてもよい。
【0044】
サンプリングデバイス1は、特定のタイプの分析物または特定の量の分析物を回収するように特異的に構成された異なる形態または形状を有する回収部3が各支持体に設けられた複数の支持体を含んでもよい。サンプリングデバイス1は、内部閉じ込め部10およびアクセス開口11を有する、分析物輸送用容器7をさらに含んでもよい。容器7は、例えば生体物質または生物由来の物質のサンプルを輸送するための試験管であってもよい。サンプリングデバイス1は、容器7を選択的に閉じるために開口アクセスに着脱可能に取り付けることができるキャップ5をさらに含んでもよい。
【0045】
サンプリングデバイス1は、少なくとも、容器7または別の有効な位置に入れられた乾燥または除湿要素(例えば、ケイ素ゲルを含有する袋)をさらに含んでもよい。容器7および/またはキャップ5および/または支持体2は、ポリスチロール、ポリスチレン、ポリプロピレン等のプラスチック材料、および/または生体物質または生物由来の物質とともに用いるのに適した材料で実現することができる。容器7および/またはキャップ5および/または支持体2は滅菌されていてもよい。
【0046】
サンプリングデバイス1は、分析物の回収に使用する前に支持体2および/または容器7およびキャップ5を入れておくことができる密封パック(公知のタイプのものであるため図示しない。)をさらに含んでもよい。支持体2、パック、容器7およびキャップ5は無菌であってもよい。
【0047】
本発明は、診断または化学検査(例えばポジティブまたはネガティブコントロール)を行うため、または水性溶媒中の不安定な物質を培地に移動するためのキットであって、少なくとも上記タイプのサンプリングデバイス1を含み、サンプリングデバイス1の回収部3上の所定量の混合物を乾燥または凍結乾燥させる手段および/またはサンプリングデバイス1の回収部3上の所定量の乾燥または凍結乾燥分析物を蘇生させる手段(例えば、栄養液および/または水和液を含有する試験管)をさらに含むキットの実現をさらに可能にする。
【0048】
すでに述べたように、本発明は、所望の使用時点に回収分析物をほぼ完全に放出し、ここで、使用可能な分析物の量は回収したサンプル分析物の少なくとも85%である、分析物移動用の事前供給型デバイスの設計および実現を可能にする。
【0049】
事前供給型デバイスは、種々の用途、とりわけ診断、化学、医薬、化粧品、食品、水管理等の分野に適用することができる。サンプリング可能で、その後実験室で使用可能な分析物としては、例えば下記のものが挙げられる。
生物学的および微生物学的性質の分析物(例えば、微生物、抗体、抗原、ホルモン作用物質、DNAのオリゴヌクレオチドまたは配列、酵素)
化学的性質の分析物(例えば、抗生物質、タンパク質を含む栄養剤、選択剤)
【0050】
本発明の特徴および利点をよりよく理解するため、好適な実施形態(繊維6(例えばナイロン繊維)の層がフロック加工により端部に堆積されているパッドで構成される。)を参照して、実際の操作の具体的かつ非限定的ないくつかの例を以下に示す。さらなる用途は、種々の生体または環境領域に由来する有機物質の移動である。さらに、単に本発明の非限定的な例示として、事前供給型システムの適用の主な分野を各試験の被験物質と関連付けてまとめた表を示す。
【0051】
【表1】

【実施例】
【0052】
実施例1:
本発明の第1の実施形態において、本発明は、例えば微生物分野における品質管理キットの実現のために、ある量の生きている安定な微生物の移動に適用される。事前供給型サンプリングデバイスは生きている微生物の移動のために実現され、適当な脱水プロセスの後に、生きている安定な微生物集団の保存および輸送を可能にする。同時に、サンプリングデバイス1は、パッドの形態で、ディッシュもしくは固体基板上への分析物サンプルの直まきまたは溶媒中もしくは液体培地中での希釈に適したシステムを提供する。キットは、吸収およびそれに続く凍結乾燥プロセスを通じて既知濃度の所定の微生物コロニーが回収されるフロック加工パッドを含む。これらのデバイスの適用分野は、種々の臨床および食品領域に及ぶ。キットは、凍結乾燥させたコロニーを蘇生させる手段、すなわち栄養液および/または水和液を含む試験管を含む。
【0053】
以下、大腸菌ATCC25922に関する具体例を説明する。しかしながら、他の微生物でも同様の結果を得ることができる。
【0054】
本実施例においては、凍結乾燥させた微生物が事前に供給されたフロック加工パッドは定量的形態で実現される。すなわち、約300UFCの大腸菌がパッド上に移動され、凍結乾燥プロセスに供され、次いで乾燥プロセスの最後に回復される。凍結乾燥させた微生物が事前に供給されたデバイスは、例えば製薬業界、水および排水試験、食品業界、化粧品業界、その他の種々の分野での微生物学的品質管理における参照標準として使用することができる。
【0055】
分析方法の標準化を保証するこれらのデバイスを実現するために必須の条件は、サンプリングデバイス1の回収部3上に置かれたサンプルが使用中に完全に放出されなければならないということである。事前供給型サンプリングデバイス1を実現するために、約300UFC全量が各パッド上に確実に移動するように、既知濃度の微生物溶液を用いてフロック加工された回収部3に吸収させる。使用される注入微生物の量は、パッドの場合、例えば10〜200μLであり、特定の場合には100μLである。使用される微生物懸濁液の濃度は約3000UFC/mLであり、所望の濃度の微生物懸濁液は、細胞の活性を維持可能な凍結保護物質および中和剤を含有する保存手段中で直接実現される。微生物懸濁液を用いたパッドの注入は、マイクロウェルへの直接含浸により達成され、同様に微容量用ポンプを使用してもよい。パッドは、減圧および凍結乾燥(すなわち脱水)を支え得る適当な減圧容器中に挿入し、プロセスの最後に容器を減圧状態で直接密封する。サンプリングデバイス1の既知量移動に対する適格性を調べるために行う試験は、堆積コロニーの回復、種々の保存条件下での経時的な活性および安定性を確認することに関する。試験は、固体培地上への播種により、または既知量(具体的には500μL)の溶液への水和物質の溶解により直接行った。移動を確認するための比較は、マイクロピペットを用いて回収したサンプルを同様に播種することによって行った。
【0056】
下の表では、大腸菌が事前に供給されたパッドを固体培地上に直まきすることによって行ったカウントの平均値が報告されており、微生物懸濁液の移動のための従来の容積法(例えばマイクロピペット)を用いて得られた同様の結果と比較されている。データは、50個の事前供給型パッドのサンプルに関する。
【0057】
【表2】

【0058】
下の表では、事前供給型パッドを500μL PBS中で希釈し、そのようにして戻したサンプル全量を固体培地上に播種することによって行ったカウントの平均値が報告されており、微生物懸濁液の移動のための従来の容積法(例えばマイクロピペット)を用いて得られた同様の結果と比較されている。データは、50個の事前供給型パッドのサンプルに関する。
【0059】
【表3】

【0060】
フロック加工されたパッドは、凍結乾燥プロセスにより微生物コロニーを維持するための優れた定量的移動デバイスであることが示された。システムの再現性は、その経時的な安定性と同様、良好である。
【0061】
実施例2:
本発明の第2の実施形態において、サンプリングデバイス1は、免疫酵素タイプの側方流動診断システムにおける品質管理キット(例えば、インフルエンザ、Strep A、MRSA、HIV、RSV等のためのキット)に含まれている。特定の場合に、サンプリングデバイス1は抗原/抗体の移動に使用され、脱水プロセスの後に分析物の保存および安定化を可能にする。当該試験のLOD(検出限界、すなわちカットオフ)に従って調節した量の分析物が事前に供給されたこのシステムは、基準診断キットで使用可能なポジティブコントロールを提供する。
【0062】
キットは、既知濃度の所定の抗原または抗体が吸収およびそれに続く乾燥プロセスにより置かれた、フロック加工されたパッドを含む。これらのデバイスの適用分野は、種々の臨床および製薬領域に及ぶ。キットは、試験の完了を可能にする手段を含む。これらのデバイスは、キットが感受性を示す抗原または抗体を搭載している(ポジティブコントロールの場合)か、いずれの抗原/抗体も搭載していないか、キットの標的とは異なる抗原/抗体を搭載した(ネガティブコントロールの場合)デバイスである。
【0063】
さらに、これらのコントロールには、試験の陽性および陰性結果がいかにして提示されるかを最終ユーザーに示す目的がある。高分子組成物の連続した層を備えたサンプリングデバイス1により、吸着剤タイプと移動した分析物との相互作用が可能になり、層の内部で吸収されることなく溶媒手段により分析物が完全に回収されるようになる。この表面相互作用メカニズムは、使用中の分析物の完全放出を確実にするものである。
【0064】
実施例3:
本発明の第3の実施形態において、サンプリングデバイス1は、ミルクおよび派生物中の阻害物質を調査するための品質管理キットに含まれているが、他の食品マトリックスについても同様に適用可能である。この場合、サンプリングデバイス1は抗微生物物質の移動のためのものであり、引き続き適当な脱水システムが分析物を保存することを可能にする。所定量の抗微生物物質が事前に供給されたこのシステムにより、再水和後に、ミルクサンプル中での参照試験用のポジティブコントロールが提供される。キットは、既知濃度の所定の抗生物質が乾燥プロセスにより付着した、フロック加工されたパッドを含む。キットは、試験の実施を可能にする手段を含む。これらのデバイスは、キットが感受性を示す抗生物質を搭載している(ポジティブコントロールの場合)か、いずれの抗生物質も搭載していないか、キットの標的とは異なる抗生物質を搭載した(ネガティブコントロールの場合)デバイスである。さらに、これらのコントロールには、試験の陽性および陰性結果がいかにして提示されるかを最終ユーザーに示す目的がある。
【0065】
実施例4:
本発明の第4の実施形態において、サンプリングデバイス1は、所定の微生物の抗生物質耐性(MIC、最小阻止濃度)を検証するためのキットに含まれている。この場合、抗微生物物質の移動のためのサンプリングデバイス1は、引き続き適当な脱水システムが堆積抗生物質を安定化させ、これらの抗生物質を微生物耐性試験に利用できるようにすることを可能にする。キットは、異なる既知濃度の抗微生物物質が吸収および乾燥のプロセスを通じて付着した、一連のフロック加工されたパッドを含む。これらのデバイスの適用分野は、種々の臨床および製薬分野に及ぶ。
【0066】
実施例5:
本発明の第5の実施形態において、サンプリングデバイス1は、生化学的方法による品質管理キットに含まれている。この場合、サンプリングデバイス1はヌクレオチドの移動のためのものであり、適当な脱水プロセスの後に分析物の保存および安定化を可能にする。当該試験のカットオフに従って調節された量の分析物が事前に供給されたこのシステムにより、基準診断方法に使用可能なポジティブコントロールが提供される。キットは、既知濃度の所定のヌクレオチドが吸収およびそれに続く乾燥プロセスを通じて付着した、フロック加工されたパッドを含む。これらのデバイスの適用分野は、種々の臨床および製薬領域に及ぶ。キットは、試験の完了を可能にする手段を含む。これらのデバイスは、ポジティブコントロールの場合は、基準計器の反応物と反応し得るヌクレオチドを搭載しており、ネガティブコントロールの場合はヌクレオチドを搭載していない。さらに、これらのコントロールには、試験の陽性および陰性結果がいかにして提示されるかを最終ユーザーに示す目的がある。
【0067】
実施例6:
本発明の第6の実施形態において、サンプリングデバイス1は、ホルモンを検出するための試験(例えば妊娠検査、ドーピング検査等)における品質管理用キットに含まれている。この場合、サンプリングデバイス1はホルモンを移動するためのものであり、脱水プロセスの後に分析物の保存および安定化を可能にする。当該試験のLOD(検出限界、すなわちカットオフ)に従って調節した量の分析物が事前に供給されたこのシステムにより、基準診断キットで使用可能なポジティブコントロールが提供される。
【0068】
キットは、既知濃度の所定のホルモンが吸収およびそれに続く乾燥プロセスにより付着した、フロック加工されたパッドを含む。これらのデバイスの適用分野は、種々の臨床および食品領域に及ぶ。
【0069】
キットは、試験の完了を可能にする手段を含む。これらのデバイスは、キットが感受性を示すホルモンを搭載している(ポジティブコントロールの場合)か、いずれのホルモンも搭載していないか、キットの標的ホルモンとは異なるホルモンを搭載した(ネガティブコントロールの場合)デバイスである。さらに、これらのコントロールには、陽性および陰性の試験結果がいかにして提示されるかを最終ユーザーに示す目的がある。
【0070】
実施例7:
本発明の第7の実施形態において、サンプリングデバイス1は、種々の身体部位に由来する生体試料または地表面回収物からの環境試料の定量的移動のためのキットに含まれている。具体的には、サンプリングデバイス1は臨床検体(例えば、尿、糞便、気管支洗浄物、鼻孔、膣、咽頭、鼠径部およびその他の表面パッド)の定量的移動に使用される。この用途は、試料の微生物汚染の制御に関する。
【0071】
実施例8:
本発明の第8の実施形態において、サンプリングデバイス1は、一定量の有機試料(例えば、精液、唾液、血液)の定量的移動に用いられる。この用途は、試料中に含まれる核酸の分析に関する。
【0072】
実施例9:
本発明のさらなる実施形態において、サンプリングデバイス1は、培地のための所定の栄養剤および/または選択剤の移動、保存および放出用キットに含まれている。サンプリングデバイス1は、培地生産力を増強させるための物質(例えば、アミノ酸、糖、タンパク質)または特に吸収および脱水した際に他の微生物の増殖を抑制しながら所定の微生物の増殖を可能にする物質(例えば、塩、抗生物質、化学物質)の定量的移動のためのものであるが、これにより、適正な量の液体培地中で直接使用可能な事前供給型システムを得ることが可能になる。培地の富化に用いられる物質の多くは水和状態での安定性が低く、これにより培地自体の使用が制限される。事前供給型サンプリングデバイス1の利点は、システムが入手可能かつ直ちに使用可能であるため、取るべき処置の管理を簡略化することにより培地の耐用年数を延ばすことが可能になり、また、培地自体の保存が可能になる点にある。これらのデバイスの適用分野は、種々の臨床、食品および製薬領域に及ぶ。
【0073】
本発明は、以下の利点の1つまたは複数を提供する。
【0074】
第1に、本発明は、先行技術が直面する問題を取り除く方法、およびその方法に従って実現されるデバイスの実現を可能にする。
【0075】
本発明の方法は、種々のタイプの分析物のサンプリングおよび定量的に正しくかつ正確な移動を、サンプリング、移動、保存または処理が困難な分析物であっても非常に効率的に達成することを可能にする。
【0076】
さらに、本発明は、直ちに使用可能な事前供給量の実現のおかげで、非常に少なくかつ正確な量で、分析または診断試験に直ちに使用可能な分析物を提供する。
【0077】
本発明は、広範囲にわたる診断分析および試験の実施に伴う複雑さ、時間およびコストを著しく低減することを可能にする。
【0078】
本発明により、様々な抗微生物物質が事前に供給されたシステムが実現できる。このおかげで、種々の量の抗微生物物質が事前に供給されたシステムに加えられた培地への微生物の注入により、微生物の感受性および抵抗性を容易に規定することが可能になる。
【0079】
さらに、本発明により、特定の場合の適用に適した形態の定量的なポジティブまたはネガティブコントロールを得ることが可能になり、キットの応答とポジティブコントロールの有効濃度とを相関させることができるようになり、その結果、過剰な標準試料の使用が避けられるという利点がもたらされる。
【0080】
用途それ自体に直ちに適応可能な形態の所定量の凍結乾燥微生物が事前に供給されたシステムの適用により、関連手順のコストおよび時間を著しく低減することが可能になる。
【0081】
最後に、本発明は簡便かつ経済的に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある量の分析物(例えば、微生物、抗体/抗原、抗微生物物質、ヌクレオチド、抗生物質、ホルモン、DNA配列、酵素、有機物質、生体物質または生物由来の物質、培地の栄養剤または選択剤)を移動する方法であって、少なくとも次の工程:
所定の初期量の少なくとも分析物と液体との実質的に均質な混合物を前処置し、ある濃度値または既知量の分析物を混合物中に得る工程;
支持体(2)を有するサンプリングデバイス(1)の少なくとも回収部(3)(ここで、回収部(3)は、支持体(2)の第1の部分(2a)と、フロック加工された回収部(3)またはフロック加工されたタンポンを規定するように、支持体(2)の第1の部分(2a)にフロック加工により付着および配置された複数の繊維(6)と、を含む。)を混合物中に導入して、混合物の一部を回収部(3)上に回収する工程;および
混合物からサンプリングデバイス(1)の回収部(3)を抜き出し、所定の既知量の移動対象の混合物をサンプリング部(3)上に保持する工程
を含む、方法。
【請求項2】
混合物を前処置する工程は、
所定の初期量の分析物を前処置する工程、
所定の初期量の分析物と液体とを混合して、液体中に所定の初期量の分析物を含む混合物を得る工程、および/または
混合物を実質的に均質にする工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
混合物中に既知濃度値の分析物を得る工程は、既知量の分析物と既知量の液体との混合および/または混合物中の分析物の濃度値の測定により行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
混合物からサンプリングデバイス(1)の回収部(3)を抜き出す際に回収部(3)に有効に保持される混合物の量を測定する工程をさらに含み、および/または測定工程は、回収部(3)挿入前の混合物の初期重量と回収部(3)抜き出し後の混合物の最終重量との比較、または混合物への挿入前のサンプリングデバイス(1)の重量と混合物からの抜き出し後のサンプリングデバイス(1)の重量との比較により行われる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも、移動対象の所定量の混合物が供給された回収部(3)を乾燥または凍結乾燥させて、所定量の乾燥または凍結乾燥分析物を回収部(3)上に有する事前供給型サンプリングデバイス(1)を得る工程をさらに含み、および/または回収部(3)を真空容器中に挿入し真空容器中に実質的に真空の状態を作り出す工程を、乾燥または凍結乾燥工程中に、または乾燥または凍結乾燥工程とは独立にさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
例えば少なくとも栄養液および/または水和液で、回収部(3)上の所定量の乾燥または凍結乾燥分析物を蘇生または再水和させて、回収部(3)上に所定量の再水和分析物を得る工程をさらに含み、および/または分析物の分析が可能になるように、移動対象の所定量の混合物または所定量の分析物の少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%を、ディッシュ上への直まきまたは液体培地中での希釈により放出する工程をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
フロック加工された回収部(3)は、実質的に既知量の混合物を受けるように、または5〜1000マイクロリットルの混合物、10〜500マイクロリットルの混合物、50〜200マイクロリットルの混合物または80〜120マイクロリットルの混合物を回収するように、および/または1mm当たり少なくとも0.5μl、1mm当たり少なくとも0.6μl、1mm当たり少なくとも0.7μlまたは1mm当たり少なくとも0.75μlの量を回収するように構成され、かつ/あるいは繊維(6)は、支持体(2)の第1の部分(2a)上に実質的に規則正しく、かつ実質的に連続した層を回収部(3)上に形成するように配置され、および/または毛細管現象により混合物を吸収するように構成された複数の毛管孔隙(9)を規定するように回収部(3)上に配置されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
繊維(6)は、1.7〜3.3Dtexの線密度または繊度、および/または0.6〜3mmの長さ、および/または1mm当たり50〜500本もしくは1mm当たり100〜200本の、回収部(3)上の繊維(6)の表面密度を有し、および/または混合物に対して実質的に非親水性または非吸着性の材料からなり、および/またはポリアミド、レーヨン、ポリエステル、炭素繊維、アルギン酸塩、または混合物に対して非吸着性である天然材料、またはそれらの混合物より選択される材料からなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
支持体(2)とフロック加工された回収部(3)とを含む事前供給型サンプリングデバイス(1)であって、回収部(3)は、所定の既知量の移動対象の分析物および/または所定の既知量の移動対象の乾燥分析物を供給され、好ましくは請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法により実現される、事前供給型サンプリングデバイス(1)。
【請求項10】
診断または化学検査(例えばポジティブまたはネガティブコントロール)を行うため、または水和相の不安定な物質を培地に移動するためのキットであって、少なくとも、請求項1〜8のいずれか一項により実現されるサンプリングデバイス(1)を含み、かつ/あるいはサンプリングデバイス(1)の回収部(3)上の所定量の混合物を乾燥または凍結乾燥させる手段および/またはサンプリングデバイス(1)の回収部(3)上の所定量の乾燥または凍結乾燥分析物を蘇生させる手段(例えば、栄養液および/もしくは水和液を含む試験管)をさらに含む、キット。

【図1】
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【図2】
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【図2a】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−5476(P2012−5476A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−12182(P2011−12182)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(511021077)
【Fターム(参考)】