説明

分析物を検出するためのNMR装置

【課題】本発明は、多様な分析物の検出を行うためにカスタマイズすることができる、超常磁性ナノセンサーをもつ小型で一体型のNMRによる分析物検出装置を提供する。
【解決手段】本発明の分析物検出装置は、一般的には、それぞれがNMR用微小コイルに囲まれるか、そのすぐ周囲にあり、各ウェルが、液体試料を、標的分析物が存在すると自己集合または離散する磁性ナノ粒子とともに含んでいるために、測定された液体試料のNMR特性が変化する1つ以上のウェルをもつ。本装置は、例えば、ポイント・オブ・ケア診断および/または現場使用のための携帯用装置として使用することが可能であり、または、本装置を、患者の体内において、対象とする1つ以上の生物種を継続的または間欠的に観察するために埋め込むことも可能である。

【発明の詳細な説明】
【先行出願】
【0001】
本出願は、2005年8月31日に出願された米国仮出願第60/713,176号の利益を主張するものである。この文献の本文は、その全文を参照することにより本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般に、分析物を検出するための装置に関係する。より具体的には、ある実施形態において、本発明は、それぞれがNMR用微小コイルに囲まれるか、そのすぐ周囲にある小さな1個以上のウェルであって、標的分析物が存在すると自己集合または拡散して、液体試料の測定されるNMR特性を変化させる磁性ナノ粒子とともに液体試料を入れるウェルを備えた検出装置に関する。
【背景技術】
【0003】
生物適合性磁気ナノセンサーが、生物媒体(biological media)における分子相互作用を検出するために設計されている。標的結合すると、これらのナノセンサーは、試料の隣接する水分子(または遊離水素をもつ任意の溶媒分子)のスピンスピン緩和時間に変化を生じさせ、それを古典的な磁気共鳴(NMR/MRI)技術によって検出することができる。したがって、これらのナノセンサーを液体試料で使用すると、例えば、低分子、特異的DNA、RNA、タンパク質、炭水化物、生物、および病原体(例えば、ウイルス)などの分析物が非常に低い濃度で存在することを、低いフェムトモル範囲(約0.5から約30fmol)の感度で検出することが可能になる。
【0004】
一般的に、磁気ナノセンサーは、それらの目的とする分子標的に結合するか、さもなければ連結して、クラスター(凝集体)またはナノ集合体を形成する超常磁性ナノ粒子である。超常磁性ナノ粒子が集合してクラスターになり、その有効断面積が大きくなると、ナノ集合体は、周囲にある水(または他の溶媒)のプロトンのスピンをより効率的に離調するようになり、測定される緩和率(1/T2)の促進がもたらされると考えられる。さらに、特定の分析物を検出するための「順方向」試験法または「逆方向」試験法を開発することができるよう、ナノ集合体形成が、(例えば、温度変化、化学分解、pH変化などによって)可逆的になるように設計することができる。順方向(クラスター形成)型および逆方向(クラスター分離)型の試験法を用いて、非常に多様な生物関連物質を検出することができる。さらに、スピン格子緩和時間(T1)は、ナノ粒子集合体形成に無関係であると考えられるため、同じ溶液内でナノ集合した状態および拡散した状態の両方における濃度を測定するために利用することができる。
【0005】
磁気ナノセンサーの例は、Perezら、「分子相互作用を探索するためのナノセンサーとしての磁気ナノセンサーの使用(Use of Magnetic Nanoparticles as Nanosensors to Probefor Molecular Interactions), ChemBio Chem, 2004, 5, 261-264、および米国特許出願公開第2003/0092029号明細書(Josephsonら)に記載されている。これらの文献は、その全文が参照することにより本明細書に組み込まれる。磁気ナノセンサーの例は、厚さ約10nmのデキストランコートに囲まれた直径約3〜約5nmの単結晶の酸化鉄ナノ粒子であるため、生じた粒子の平均サイズが約25〜約30nmの粒子などである。
【0006】
例えば、金属酸化物粒子コアのデキストランコートをエピクロルヒドリンで架橋してからアンモニアで処理して官能性アミノ基を生じさせるなどして、より安定にコートしたアミノ官能性のナノセンサーを調製することができる。1粒子あたり40個のアミノ基をもち、平均粒子サイズが約40〜50nmである、アミノ化された架橋酸化鉄ナノ粒子(アミノ−CLIO)が作製されている。これらの粒子は、120℃で30分間定温放置されるなどの苛酷な処理にも、サイズを変えたり、デキストランコートを失ったりすることなく耐えることができる。アミノ−CLIO中のアミノ基は、N−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)による二官能性架橋によって反応することができ、一連のスルフヒドリル基をもつ生体分子の結合を可能にする。これにより、ユニークな生物学的特性をもつ生体分子−ナノ粒子結合体が生じる。得られた超常磁性ナノ粒子は、センサーとしての用途に加えて、特定の分子標的を画像化する上でも有益であり、また、細胞を標識および追跡するための試薬としても有益である。
【0007】
現行の診断システムは、例えば、マイクロアレイ技術、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、インサイツハイブリダイゼーション、抗体による免疫試験法(例えば、酵素結合免疫吸着測定法)、化学発光法、比濁分析法、および/または測光法を含む。これらのシステムでは、NMRを利用したナノセンサーシステムによって可能となる高感度での多様な測定を行うことができない。
【0008】
グルコースオキシダーゼを染み込ませた検査用細片を用いて操作する携帯用血糖測定器など、NMRを利用しない様々なポイント・オブ・ケア生物学的測定法が開発されてきた。しかし、これらのシステムは、検査室が必要とする感度、検量、および保守ができないため、通常、中央病院型の試験法ほど信頼性はない。また、これらの携帯用システムは、NMRを利用したナノセンサーシステムによって可能になる感度も有していないし、多数の分析物の検出に簡単に適合させることもできない。
【0009】
上記で引用したJosephsonら、およびPerezらの文献には、市販の緩和測定装置とMRIユニットを用いるナノセンサーによる古典的なNMR緩和法の応用法が記載されている。しかし、これらのユニットは、大型のNMR RFコイルおよび大型の磁石を必要とし、大がかりで、高価であり、また、磁気ナノセンサーと一緒に使用できるよう調整することもできない。
【0010】
より安く、市販可能で、磁気ナノセンサーとともに使用するのに適したNMRによる分析物検出装置が必要となる。
【発明の開示】
【0011】
本発明は、多様な分析物の検出を行うためにカスタマイズすることができる、超常磁性ナノセンサーをもつ小型で一体型のNMRによる分析物検出装置を提供する。この装置は、例えば、ポイント・オブ・ケア診断用、および/または現場使用用の携帯型ユニットとして使用することができ、あるいは、患者の体内で対象となる1つ以上の生物学的種を継続的または間欠的に観察するために埋め込むことも可能である。
【0012】
一つの構造において、この装置は、液体試料を入れるための小さなウェルが多数並んだもの(例えば、100、1000、10,000、またはそれ以上の「マイクロウェル」)であって、各ウェルが、ウェル中の液体試料をバイアス磁界およびRF励起に曝露して生じさせたエコー応答を検出する極小型ラジオ周波数(RF)コイルに囲まれているものを有する。この装置の一部であってもよく、また、その外側にあってもよい1個以上の磁石を用いて磁界を形成する。本明細書において、「ウェル」は、液体試料の任意のローカライザー、例えば、くぼみ、容器、支持体、流路、リザーバ、沈下した容積(sunken volume)、コンパートメント、陥凹部、開口部の有無を問わない筐体、チューブ、ボウル、半透膜、2つの相の界面(例えば、有機−無機界面、親水−疎水界面、オリゴフィリック−オリゴフォビック界面など)、および/または2種類の流体(ガスおよび/または液体)の間の界面などを意味する。
【0013】
超常磁性ナノ粒子を、液体試料を導入する前に、マイクロウェルの上または中に予め付着させるか、あるいは、ナノ粒子を、液体試料と一緒にウェルの中に導入することもできる。ナノ粒子は、その表面状に結合成分をもつが、これは、液体試料中の(i)分析物、(ii)別の結合成分、および/または(iii)凝集誘導分子に結合する働きをする。これらの結合成分は、検出すべき1つ以上の分析物が存在するときにナノ粒子の凝集または離散が起きるようにカスタマイズすることができる。
【0014】
ナノ粒子の超常磁気特性は、水(または遊離水素を含むその他の溶媒)の緩和速度を促進し、この促進は粒子の凝集または離散によって変化する。対象とする分析物の存在および/または濃度を、たとえ非常に低い濃度、例えば、100フェムトモル以下であってもNMR緩和法によって検出することができる。分析物の凝集による効果が、凝集状態のT2緩和時間による効果と一緒になるため、このように高い感度を達成することができる。
【0015】
好ましい実施形態において、本装置は、分析物検出感度の上昇に向けたいくつかの技術的発展を提供する。それらには、例えば、(i)複数のマイクロウェルを使用すること、(ii)その断面が空間的に変化するウェルを使用すること、(iii)高い充填率をもつウェル/コイルの組合せを設計すること、(iv)エコーシグナル調節のための電気素子を、RF検知コイルのすぐ近くの周囲に置くこと、(v)高いQ係数をもつRF検知コイルを使用すること、(vi)バイアス磁界を作り出すために1つ以上の希土類磁石を使用すること、(vii)液体試料のすぐ近くの周囲に磁石を置くこと、および(viii)特定の分析物を検出するために、被覆ナノ粒子およびウェル/コイル形状をカスタマイズすることによって可能になる帯域幅の低減などがある。本発明の実施形態は、これらの技術的進歩の組合せの内、1つ以上を利用してもよい。
【0016】
複数のマイクロウェルを使用することにより、さらに検出感度、繰り返し再現性、および精度が向上する。サンプリング用のウェルを重複させることにより、分析物を複数回、実質的に同時に測定することが可能になる。さらに、ウェルの中で使用されるナノ粒子表面の結合成分をカスタマイズして、より高い感度と精度を提供することができる。例えば、異なったウェルで使用されるナノ粒子および/または結合成分の濃度、および/または結合成分の種類を変えて、標的分析物のより高感度の検出、および/またはより高精度の濃度測定を行うことができる。また、較正用に予め確保した1個以上のウェルを入れることで内蔵型自己較正も可能である。例えば、実質的に分析物による影響を受けない、既知のNMR緩和特性を有する1個以上のウェルを較正専用にすることができる。
【0017】
ウェル/コイル対の配列を使用することに加えて、本装置の分析物検出感度を向上させる別の技術的特徴は、磁界内で分析物を濃縮するために断面が空間的に変化するウェルを使用することである。例えば、各ウェルに断面積が大きい部分と小さい部分をもたせることができる。結合成分で被覆された超常磁性ナノ粒子は、強磁界内では、分析物を含む凝集体を差動させる。バイアス磁界は、磁性ナノ粒子の凝集体の中にトラップされた標的分析物を、ウェルの断面積の大きい方からウェルの断面積の小さい方へと磁界の方向に移動させる。この方法で、分析物はウェルの断面積の小さな所に濃縮される。ウェルの断面積の小さな所は、溶液のエコー応答を検知するためのRFコイルに囲まれている。このようにして、分析物を、例えば1000倍に濃縮することができ、それによって、装置の感度を約1000倍に上げることができる。NMR緩和応答を引き起こすために使用される磁石および/または磁界は、検出感度を向上させるために標的分析物を濃縮するのにも相乗的に利用される。本装置は、多数のマイクロウェル、およびこれらのウェルの狭い部分を取り囲む極小型RFコイルの配列を含むことが可能である。
【0018】
本装置の分析物検出感度を向上させるさらに別の技術的特徴は、高い充填率を備えるために構成されたウェルおよびRFコイルを使用することである。本明細書において、充填率は、1ウェル中の液体試料量を、RFコイルで囲まれた体積で割ったものである。向上した分析物検出感度は、充填率が少なくとも約0.1、好ましくは約0.7、およびより好ましくは約1であるウェルとRFコイルを用いて達成することができる。例えば、一つの実施形態において、本装置は、各ウェル/コイルを組み合わせた充填率が約1である、極小型RFコイルに囲まれたマイクロウェルのアレイを含む。
【0019】
本装置の分析物検出感度を向上させるさらに別の技術的特徴は、エコーシグナルを調節するための電気素子を、RFコイルのすぐ近くの周囲に置くことである。ウェルのサイズが小さいため、例えば、対応するRFコイルの1ミリメートル以内にシグナル調節用電子装置を置くことが容易になる。電気素子によって行われるエコーシグナル調節には、例えば、エコーシグナルの増幅、整流、および/またはデジタル化などを含む。この電気素子は(この用語が、本明細書において単数形で使用される場合)、1個以上の別々の電気部品を有しうる。
【0020】
分析物検出感度を向上させるさらなる技術的特徴は、高いQ係数をもつRF検知コイルを使用することである。RFコイルの線質係数、すなわちQ係数は、それの誘導子としての効率の尺度であり、本明細書においては、所定の周波数、例えば、ラーモア周波数におけるRFコイルの抵抗に対する誘導リアクタンスの割合であると定義される。高いQ係数をもつコイルを使用すると、装置の感度が向上する。
【0021】
分析物検出感度を向上させる別の技術的特徴は、バイアス磁界を作り出すために希土類磁石を使用することである。希土類磁石の例には、例えば、NdFe14B(ネオジム−鉄−ホウ素)などのネオジム磁石、およびSmCoなどのサマリウムコバルト磁石がある。これは、磁界の強度を最大にするのに役立ち、感度を向上させる。
【0022】
本装置の別の技術的特徴は、液体試料のすぐ近くの周囲にバイアス磁界を形成するために使用される、例えば希土類磁石を、例えば、約1ミリメートル以内に置くことである。これにより、0.5テスラで動作する市販のユニットに対して、例えば、約1から約2テスラの強度をもつバイアス磁界を形成することが可能になる。システムの超小型設計および装置の一体性により、液体試料のすぐ近くの周囲に磁石を置くことが容易になる。
【0023】
装置の感度は、狭い帯域幅を使用できることによっても向上する。この意味での帯域幅は、シグナル処理連鎖の振幅ロールオフである。帯域幅が広くなるほど、周波数とともにロールオフはより平坦になる。どの周波数を検出すべきかが明確でないときには、より広い帯域幅を使用しなければならないが、帯域幅を増加させると、ノイズが増大する。狭い帯域幅を用いるほど、ノイズは小さくなる(そして、シグナル対ノイズ比、すなわちS/Nが大きくなる)が、検出すべき周波数が正確に分からなければ用いることは可能でない。本装置では、各ウェル中で検出すべき分析物が分かっていて、一般的には、予め決められているため、また、被覆ナノ粒子および/またはウェル/コイル形状を、特定の分析物が検出できるように明確にカスタマイズすることができるため、低減させた帯域幅を使用することが可能になる。さらには、例えば、種々のウェル内のナノ粒子上で異なった結合成分を使用したりすることによって、種々の分析物を検出するために種々のウェルをカスタマイズできるため、多数の分析物を検出することも可能である。
【0024】
電子装置のさらなるカスタマイズ化も可能である。例えば、所定のウェルに対する電子装置を、ウェル内の分析物/ナノ粒子の組合せタイプ、ならびに/またはウェル内の分析物および/もしくはナノ粒子の濃度に少なくとも一部基づいて、明確に特定できる周波数特性に合わせることも可能である。さらに、所定の対象とする分析物、および/または所定の対象とするナノセンサーに関する検出の感度/正確さを最適にするために1つ以上のパルスシーケンスの使用法を開発することもできる。
【0025】
好ましい実施形態において、本装置は、低電力を使用し、現行のNMRシステムよりも低い強度の磁界、例えば、約7T(テスラ)よりも低い、約5Tよりも低い、約4Tよりも低い、約3Tよりも低い、約2Tよりも低い、約1Tの、または約1Tよりも低い磁界で動作することができる。通常、より高い感度を必要とする試験法ほど、高い磁界強度を利用する一方、より低い感度を必要とする試験法には、低い磁界強度(例えば、1T未満)が利用される。電源は、いかなる電源であってもよく、例えば、電池または任意の電源でよい。電源の例は、携帯電話に使用されるリチウムイオン電池など(またはそれに類似した)リチウムイオン電池が考えられる。
【0026】
ナノ粒子の凝集は平衡過程である。ナノ粒子は、特定の時間の間(例えば、行うべき測定をするのに十分な時間)凝集することができ、その後、離散した状態に戻る。したがって、ウェル内に局在しているナノ粒子を再利用することができ、試験が終る度に入れ替える必要はない。このことは、ユニットの利便性と低費用を推し進める。
【0027】
ナノ粒子(およびそれに結合している結合成分)には適応性があるため、本装置は、数多くの生物学的診断機能を果たすことができる。本装置をカスタマイズして、特定の機能を果たさせたり、例えば、カスタマイズされた凍結乾燥ナノ粒子をその上に付着させたマイクロウェルのアレイを有する交換可能なカートリッジにより、1つ以上の機能を果たすように適合させたりすることができる。
【0028】
本装置を用いて、高感度かつ低費用で生物学的診断を迅速に行うことができる。本装置は、携帯用にすることができ、また、試料用ウェルを含むチップ、モジュール、またはカートリッジ、および携帯用読取り装置(リモート型または付属型)を含むこともできるため、このユニットは、救急救命士、緊急治療室で働く人々、または緊急医療処置を行う医療従事者にとって現場で役立つ。本装置の用途は、救急救命士(例えば、救急車の中や現場での)、緊急救命室で働く人々、またはその他の軍事用もしくは民政用の医療に従事する人々による使用などである。また、本装置は、例えば、糖尿病の治療で血糖値を観察するなど、小児もしくは成人の家庭での健康管理をするのにも適している。家庭で診断を行えば、医師に対する必要性や通院を抑制することができる。本装置の埋め込み型によって、対象となる生物学的種、例えば、いくつか例を挙げると、グルコース、クマディン、細菌(例えば、手術後)、および/または薬物(例えば、用量を調節するため)などを継続的に観察することができるようになる。
【0029】
本装置を用いて、非常に広い範囲の生物活性物質やその他の分析物を検出することができる。現在の方法(例えば、化学発光法、比濁法、測光法、および/またはその他の光学的/分光学的方法)のうち、どの1つの方法も、たとえ、本明細書記載の実施形態によって可能となった感度向上なくしては、NMRによって可能となる多様な分析を行うことができない。本明細書記載の発明の実施形態によってもたらされる感度向上によって、現行のNMR技術を超えた範囲と適応性をもった分析がさらに可能になる。例えば、本発明の実施形態は、例えば、任意のタンパク質(例えば、癌のバイオマーカー、血清タンパク質、細胞表面タンパク質、タンパク質断片、改変タンパク質)、任意の感染症(例えば、細菌による表面分子または分泌分子、ウイルスによるコア核酸、細胞表面修飾など)、および広い範囲のガスおよび/または低分子を検出するために用いることができ、また適している。
【0030】
本明細書記載のNMR装置を用いて適当な投薬量を検出して維持することが改善されると、より幅広い薬物を開発することができるようになる。薬物は、マニュアルで、または自動的に(例えば、自動薬物計量装置による)投与することができ、本装置を用いて間欠的または継続的に観察することができる。したがって、体内で有毒な濃度になるのを避けつつ、投薬量をより正確に調節することができ、薬物をより正確に治療範囲内で維持することができるようになる。そのため、その毒性によって、現在使用されていない薬物も、本明細書記載の装置で観察すれば、治療的用途を認められるようになるかもしれない。
【0031】
適正なトリアージおよび/または治療を行うために、本装置によって迅速に診断することができる病状には、例えば、痛み、発熱、感染症、心臓疾患(例えば、卒中、血栓症、および/または心臓発作)、胃腸障害、腎臓および尿道の障害、皮膚障害、血液疾患、および/または癌などがある。現在の検査法では未だ診断可能ではない疾患に対する感染症バイオマーカーおよび癌バイオマーカーの検査法を、本明細書記載のNMR装置を用いて開発し実施することができる。
【0032】
本装置は、野外における化学兵器および/または生物兵器、例えば、神経ガス、血液剤、びらん剤、肺剤、無能力化剤(例えば、催涙剤)、炭疽病、エボラ、腺ペスト、コレラ、野兎病、ブルセラ症、Q熱、チフス、脳炎、天然痘、リシン、SEB、ボツリヌス毒、サキシトキシン、マイコトキシン、および/またはその他の毒素を検出するために使用することができる。
【0033】
本装置は、複数の分析物を検出できるように適合することができるため、1つのユニットを用いて、多数のICU検査(例えば、PICU、SICU、NICU、CCU、およびPACUなど)を迅速かつ1回の採血で行うことができる。また、これらの検査は、緊急治療室の中、診療所の中、野外医療の場(例えば、救急車、軍の医療部隊など)、家庭、病院の中、および/または臨床検査室の中でも行うことができる。本装置は、このような多重化能力があるため、例えば、標的の検証診断(validation diagnostics)を行うことによって、創薬過程における有用なツールとなる。
【0034】
1つ以上の分析物の測定を、1回の採取、臨時の採取、間欠的な投与、半継続的な投与、継続的な投与、連続的曝露、および/または継続的曝露に基づいて行うことができる。測定には、1つ以上の分析物の存在を検出すること、および/または試料に存在する1つ以上の分析物の濃度を測定することが含まれる。
【0035】
本装置が、埋め込み式ユニットとして使用される場合、一つの実施形態では、ナノ粒子を入れた半透性ポーチ、およびバイアス磁界用の永久磁石のセットを有する。埋め込み型ユニットは、小型、例えば、直径約2mmで、長さが約5mmであって、腕に埋め込まれるものであってもよい。読取りは、心拍数モニタバンドと似たようなバンドで、体外にある読取り装置が、埋め込まれた装置の近くで、非侵襲的に測定が行われるよう腕の回りに置かれたバンドを用いて行うことができる。バンドは、RFコイルおよび関する電子装置を有してもよい。
【0036】
埋め込み型装置の別の実施形態において、このユニットは、すべてが埋め込まれるRFの励起および/または検知コイル、バイアス磁石、ナノ粒子ポーチ、および電源とともに深く埋め込むことができる。埋め込み型装置の別の実施形態では、バイアス磁石、RFの励起および/または検知コイル、および電子装置がすべて外部に存在する。ナノ粒子ポーチを、例えば、腕の中に埋め込み、バンド上の読取り装置が、シグナル側バイアス磁石、RFコイル、および電子装置を有する。このバンドは、時計バンドのように装着して、ワイヤを身体に通すことなく、対象とする分析物を継続的または間欠的に観察できるようになる。この埋め込み装置は電源を必要とせず、電力は、患者が身体の外に装着した読取り装置によって提供される。
【0037】
一つの態様において、本発明は、分析物を検出するための装置であって、磁性粒子および分析物を含む液体試料を保持するためのウェルを形成する支持体、前記支持体に結合成分を結合している磁性粒子、および、液体試料の周囲に配置されたRFコイルであって、1個以上の磁石およびRF励起を用いて形成したバイアス磁界に液体試料を曝露することによって生じるエコー応答を検出するよう構成されている、約10μmから約1000μmの特徴的な寸法を有するRFコイルを含む装置に関する。
【0038】
この特徴的な寸法は、例えば、コイルの直径(例えば、内径、外径、または平均直径)、コイルの長さ、またはコイルの深さであってもよい。ある実施形態において、RFコイルは、約900μm以下、約800μm以下、約700μm以下、約600μm以下、約500μm以下、約400μm以下、または約300μm以下の直径をもつ。ある実施形態において、RFコイルは、約900μm以下、約800μm以下、約700μm以下、約600μm以下、約500μm以下、約400μm以下、または約300μm以下の長さまたは深さをもつ。
【0039】
ある実施形態において、ウェルとRFコイルは、少なくとも約0.1の充填率を備えるよう構成されているが、ただし、充填率は、RFコイルに囲まれた体積で割り算したウェル中の液体試料量のことである。別の実施形態では、充填率は、少なくとも約0.2、少なくとも約0.3、少なくとも約0.4、少なくとも約0.5、少なくとも約0.6、少なくとも約0.7、少なくとも約0.8、少なくとも約0.9、少なくとも約0.95、または約1である。
【0040】
ウェルは、好ましくはマイクロウェルであるが、これは、ウェル内の液体試料量が約1mLよりも少ないことを意味する。ある実施形態において、ウェル中の液体試料量は、約800μLよりも少ないか、約700μLよりも少ないか、約600μLよりも少ないか、約500μLよりも少ないか、約400μLよりも少ないか、約300μLよりも少ないか、約200μLよりも少ないか、約100μLよりも少ないか、約10μLよりも少ないか、約1μLよりも少ないか、約500nLよりも少ないか、約300nLよりも少ないか、約100nLよりも少ないか、約50nLよりも少ないか、約20nLよりも少ないか、約5nLよりも少ないか、約2nLよりも少ないか、または約1nLよりも少ない。
【0041】
RFコイルは、好ましくはマイクロウェルであるが、これは、RFコイルに囲まれた体積が約1mLよりも少ないことを意味する。ある実施形態において、RFコイルに囲まれた体積は、約800μLよりも少ないか、約700μLよりも少ないか、約600μLよりも少ないか、約500μLよりも少ないか、約400μLよりも少ないか、約300μLよりも少ないか、約200μLよりも少ないか、約100μLよりも少ないか、約10μLよりも少ないか、約1μLよりも少ないか、約500nLよりも少ないか、約300nLよりも少ないか、約100nLよりも少ないか、約50nLよりも少ないか、約20nLよりも少ないか、約5nLよりも少ないか、約2nLよりも少ないか、または約1nLよりも少ない。
【0042】
ある実施形態において、(i)ウェル内の液体試料量、および(ii)RFコイルに囲まれた体積の一方または両方が、約1mLよりも少ない。ある実施形態では、(i)ウェル内の液体試料量、および(ii)RFコイルに囲まれた体積の一方または両方が、約800μLよりも少ないか、約700μLよりも少ないか、約600μLよりも少ないか、約500μLよりも少ないか、約400μLよりも少ないか、約300μLよりも少ないか、約200μLよりも少ないか、約100μLよりも少ないか、約10μLよりも少ないか、約1μLよりも少ないか、約500nLよりも少ないか、約300nLよりも少ないか、約100nLよりも少ないか、約50nLよりも少ないか、約20nLよりも少ないか、約5nLよりも少ないか、約2nLよりも少ないか、または約1nLよりも少ない。
【0043】
本装置は、さらに、RFコイルと連結した電気素子であって、エコー応答に対応するシグナルを少なくとも部分的に調整するよう構成されている電気素子を有することができる。例えば、この電気素子は、エコー応答に対応するシグナルを増幅、整流、伝達、および/またはデジタル化するための前置増幅装置、増幅装置、整流装置、伝達装置、および/またはデジタル化装置を有することができる。ある実施形態において、電気素子は、以下のうちの少なくとも一つを行うことができるよう構成されている。(i)シグナルを増幅する、(ii)シグナルを整流する、(iii)シグナルをデジタル化する。電気素子(この用語が本明細書において単数形で使用される場合)は、1個以上の別々の電気部品を有することができる。例えば、電気素子は、パワースプリッター、電力結合装置、前置増幅装置、ミキサー、低帯域通過フィルター、および/または低雑音増幅装置など、図14に示されている部品を任意に組み合わせたものを有することができる。
【0044】
好ましくは、RFコイルは、電気素子に対して十分な近さに配置されて、少なくとも1のQ係数を備える。ただし、Q係数(線質係数)は、所定の周波数、例えば、ラーモア周波数におけるRFコイルの抵抗に対するその誘導リアクタンスの割合である。ある実施形態において、Q係数は少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、または少なくとも約125である。RFコイルと電気素子との近さは、シグナルを維持する上で重要であり、感度を上昇させる。
【0045】
RFコイルは、ウェルの周囲に配置される場合、ウェルを形成する支持体と一体化していてもよい。支持体は、基質材料からエッチングされたウェルをもつ基質であってもよい。あるいは、支持体が、ウェルの底を形成し、RFコイルそれ自体が、ウェルの1つ以上の側部の一部または全部として用いられていてもよい。
【0046】
好ましくは、RFコイルは、電気素子の1センチメートル以内に配置されている。ある実施形態において、RFコイルは、電気素子の5ミリメートル以内、電気素子の3ミリメートル以内、電気素子の2ミリメートル以内、電気素子の1ミリメートル以内、電気素子の500マイクロメートル以内、電気素子の100マイクロメートル以内、電気素子の50マイクロメートル以内、または電気素子の5マイクロメートル以内に配置されている。
【0047】
磁性粒子は、その表面に結合成分をもつ超常磁性ナノ粒子を含むことができる。この結合成分は、好ましくは、分析物の有無または濃度に応じて、磁性粒子の凝集を変える働きをする。磁性粒子は、Fe、Si、Sn、An、Ti、Bi、Zr、および/またはZnの酸化物および/または水酸化物を含むことができる。磁性粒子は、好ましくは超常磁性であり、約1nmから約100nmの結晶サイズをもつ。磁性ナノ粒子は、好ましくは、直径が約1から約25nm、約3から約10nm、または約5nmの金属酸化物コアを有する。結合成分は、以下のものの1つ以上の1種以上を含むことができる。アミノ酸、核酸、オリゴヌクレオチド、治療剤、治療剤の代謝産物、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物、多糖体、ウイルス、および/または細菌。例えば、一つの実施形態において、結合成分は、1つ、2つ、またはそれ以上の種類のオリゴヌクレオチド、および/または1つ、2つ、またはそれ以上の種類のタンパク質を含むことができる。結合成分は、ポリマーであってもよいし、または、1つ以上の磁性粒子に結合しているか、それ以外の方法で会合しているポリマーの一部であってもよい。結合成分は、好ましくは官能基を含み、例えば、結合成分は、以下のものの1つ以上の1種以上を含むことができる。アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、アミン基、イミン基、エポキシ基、ヒドロキシル基、チオール基、アクリレート基、および/またはイソシアノ基。
【0048】
分析物は、以下のものの1つ以上の1種以上を含むことができる。タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、アミノ酸、核酸、オリゴヌクレオチド、治療剤、治療剤の代謝産物、RNA、DNA、抗体、生物、ウイルス、細菌、炭水化物、多糖体、およびグルコース。また、分析物は、例えば、脂質、ガス(例えば、酸素、二酸化炭素)、電解質(例えば、ナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸、BUN、クレアチニン、グルコース、マグネシウム、リン酸、カルシウム、アンモニア、乳酸)、リポタンパク質、コレステロール、脂肪酸、糖タンパク質、プロテオグリカン、および/またはリポポリ多糖。さらに、本明細書において、「分析物の検出」は、1つ以上の分析物を含む溶液の物理的性質を測定すること、例えば、溶液の双極子モーメント、イオン化、可溶性/飽和、粘性、ゲル化、結晶化、および/または相転移を測定することも意味する。
【0049】
バイアス磁界は、実質的に均一であってもよいし、空間的勾配があってもよい。本装置それ自体が、1つ以上の磁石の少なくとも1つを有していてもよい。1つ以上の磁石の少なくとも1つが、装置の外側にあってもよい。RF励起は、RF励起コイルを介して伝達されても、ウェルの回りに配置されたRFコイル(ただし、ウェルの回りに配置されたコイルは、「検知」コイルとも呼ばれる)から離れていてもよい。一つの実施形態において、RF励起は、ウェルの回りに配置されたRFコイルを介して伝達されてもよい。例えば、RFコイルは、RF励起を伝達し、かつ、エコー応答を検出することができる(このRFコイルは、励起コイルと検知コイルを兼ねる)。
【0050】
本装置(または、その構成要素)をチップ上に作ることができる。例えば、本装置(または、その構成要素)をMEMS(微小電気機械システム)法で作ることができる。支持体(例えば、ウェルを形成するもの)は、例えば、プラスチック、ポリマー、フィルム、流体、流体界面、液体−液体界面、有機(流体)−無機(流体)界面、および/または金属などである。支持体は、ガラス、Si、および/またはSiGeなどでもよい。ある実施形態において、連続的に読取るために、液体試料を支持体上に流す(液体は、必ずしも支持体上に静置されなくてもよい)。
【0051】
RFコイルは、チップの表面上に配置することができる。RFコイルは、巻きソレノイド、平面コイル、サドルコイル、ヘルムホルツコイル、またはMEMSソレノイドコイルであってもよい。
【0052】
ある実施形態において、磁性粒子は、例えば、液体試料をウェル内に導入する前に、ウェルを形成する支持体の表面上に置かれている。この粒子は、プリンタ(例えば、ドットマトリックスプリンタまたはレーザープリンタ)と一緒に支持体(例えば、基質)上に置くことができ、および/または、粒子は、液体を導入すると再構成できるものであってもよい。ある実施形態において、磁性粒子は凍結乾燥されている。
【0053】
結合成分は、好ましくは、以下のものの少なくとも1つ(i、ii、および/またはiii)に結合する働きをする。(i)分析物、(ii)前記結合成分の別のもの、(iii)前記液体試料中の凝集誘導分子。このようにして、結合成分は、多重結合した磁性粒子の凝集体を、液体試料中における分析物の有無または濃度に応じて生じさせる。凝集誘導分子の一例はアビジンであり、例えば、結合成分がビオチンを含む場合には使用することができる。別の実施形態において、凝集誘導分子はビオチンであり、結合成分がアビジンを含む。あるいは、液体試料中における分析物の有無または濃度に応じて、多重結合した磁性粒子の凝集体を離散させることができる。結合および/または連結は、好ましくは可逆的であり、そのため凝集および/または離散も可逆的な平衡移動プロセスである。
【0054】
凝集体は、例えば、その最も大きい寸法で約100nmから約500nmのおおよそのサイズをもつことが可能である。ある実施形態において、凝集体は、約50nmよりも大きい、約100nmよりも大きい、約200nmよりも大きい、または約300nmよりも大きいおおよそのサイズを有する。凝集体は、結合成分を介して結合している、例えば、約2〜約20個の磁性粒子を含むことができる。磁性粒子は、その最も大きい寸法で約5nm〜約500nmの平均寸法を有する。ある実施形態において、磁性粒子は、その最も大きな寸法で約500nmよりも小さい、その最も大きな寸法で約200nmよりも小さい、その最も大きな寸法で約100nmよりも小さい、その最も大きな寸法で約50nmよりも小さい、その最も大きな寸法で約40nmよりも小さい、その最も大きな寸法で約30nmよりも小さい、または、その最も大きな寸法で約20nmよりも小さい平均サイズを有する。最も大きな寸法とは、例えば直径である。
【0055】
さらに、本装置は、エコー応答に対応するシグナルを受信するために構成された読取り装置を有することができる。この読取り装置は、シグナルを処理するための電気素子と、分析物の有無または濃度を表示するためのディスプレイを有することができる。例えば、読取り装置は、エコー応答に対応するシグナルによるT2緩和時間の変化を測定して、分析物の有無または濃度を表示することができる。読取り装置は、バイアス磁界を形成するための磁石、および/またはRF励起を提供するためのRF励起コイルを有することができる。読取り装置は、ウェルおよび/または検知コイルから空間的に離れていてもよい。例えば、本装置が埋め込み可能物を有する場合、読取り装置を体外で保持してもよい。本装置は、埋め込み可能であり、皮膚を貫通するワイヤなしで操作することができる。その他の実施形態では、皮膚を貫通する1つ以上の構成要素を有してもよい。
【0056】
本装置は携帯型でもよい。例えば、本装置は、約1キログラムよりも、約500グラムよりも、約400グラムよりも、約300グラムよりも軽くてもよい。
【0057】
別の態様において、本発明は、分析物を検出するための装置であって、磁性粒子および分析物を含む液体試料を保持するための複数のウェルであって、この磁性粒子が、それに結合している結合成分を有し、および、各ウェルについて、ウェルの回りに配置されたRFコイルであって、1個以上の磁石およびRF励起を用いて形成したバイアス磁界に液体試料を曝露することによって生じるエコー応答を検出するよう構成されているRFコイルを有する装置に関する。上記実施形態の構成要素についての説明は、本発明の本実施形態にも適用することができる。
【0058】
ウェルとRFコイルは、好ましくは小型である。例えば、ある実施形態において、(i)各ウェル内の液体試料量、および(ii)各RFコイルに囲まれた体積の一方または両方が、約1mLよりも少ない。ある実施形態では、(i)ウェル内の液体試料量、および(ii)RFコイルに囲まれた各体積の一方または両方が、約800μLよりも少ないか、約700μLよりも少ないか、約600μLよりも少ないか、約500μLよりも少ないか、約400μLよりも少ないか、約300μLよりも少ないか、約200μLよりも少ないか、約100μLよりも少ないか、約10μLよりも少ないか、約1μLよりも少ないか、約500nLよりも少ないか、約300nLよりも少ないか、約100nLよりも少ないか、約50nLよりも少ないか、約20nLよりも少ないか、約5nLよりも少ないか、約2nLよりも少ないか、または約1nLよりも少ない。
【0059】
ウェルは、好ましくは、例えば2−D(2次元)または3−D(3次元)の配列に配置されている。本装置は、液体を複数のウェルに分配できるよう構成することができる。例えば、マイクロ流体工学の技術分野において、液体を複数のウェルに分配できることが知られている方法によって流路を設計することができる。例えば、この設計により、シリンジ型ポンプなど、1つ以上の体積移送式ポンプまたはマイクロポンプを用いた圧力駆動流が可能にすることができる。この設計により、電気浸透ポンプによる動電学的な流れも、さらに、または代替的に可能にすることができる。
【0060】
ウェルは、1つ以上の較正専用のウェルを有することができる。例えば、1つ以上のウェルが、分析物によって実質的な影響を受けない既知の測定可能な特性を持ってもよい。
【0061】
これら複数のウェルは、1つ以上の分析物の検出または濃度測定を可能にする。例えば、異なった結合成分をもつ磁性粒子を、複数の分析物を検出するための異なったウェルに配置する。ある実施形態においては、反復測定を行うために同じ結合成分をもつ磁性粒子を異なったウェルに配置し、それによって正確さを向上させる(ただし、向上した正確さとは、検出感度の向上を意味することができる)。ある実施形態において、同一の結合成分(同一種の結合成分)をもつ磁性粒子を、液体試料における分析物の濃度変化を検出するために異なったウェルに配置する。ある実施形態において、異なったウェルでは、その中に配置された結合成分の濃度が異なっている。ある実施形態において、異なった結合成分をもつ磁性粒子が、分析物を検出するために異なったウェルに配置されるが、ただし、これら異なった結合成分は、分析物の濃度に比例して磁性粒子の凝集または離散を促進する。
【0062】
本装置は、さらに、各ウェルについて、ウェルに対応したRFコイルと連結した電気素子であって、少なくとも部分的には、エコー応答に対応したシグナルを調整するよう構成された電気素子を有することができる。例えば、各電気素子は、エコー応答に対応したシグナルを増幅、整流、伝達、および/またはデジタル化するための増幅装置、整流装置、伝達装置、および/またはデジタル化装置をさらに有することができる。ある実施形態において、各電気素子は、以下のうちの少なくとも一つを行うことができるよう構成されている。(i)対応するウェルからのシグナルを増幅する、(ii)シグナルを整流する、(iii)シグナルをデジタル化する。電気素子(この用語が本明細書において単数形で使用される場合)は、1個以上の別々の電気部品を有することができる。
【0063】
各RFコイルは、好ましくは、対応する電気素子に対して十分な近さに配置されて、少なくとも1のQ係数を備える。ただし、Q係数(線質係数)は、所定の周波数、例えば、ラーモア周波数におけるRFコイルの抵抗に対するその誘導リアクタンスの割合である。ある実施形態において、Q係数は少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、または少なくとも約125である。
【0064】
各RFコイルが、その各ウェルの周囲に配置される場合、ウェルを形成する基質と一体化して(例えば、埋め込まれて)いてもよい。あるいは、基質が、各ウェルの底として用いられ、各RFコイルが、ウェルの1つ以上の側部の一部または全部として用いられていてもよい。好ましくは、各RFコイルは、対応する電気素子の1センチメートル以内に配置されている。ある実施形態において、RFコイルは、電気素子の5ミリメートル以内、電気素子の3ミリメートル以内、電気素子の2ミリメートル以内、電気素子の1ミリメートル以内、電気素子の500マイクロメートル以内、電気素子の100マイクロメートル以内、電気素子の50マイクロメートル以内、または電気素子の5マイクロメートル以内に配置されている
【0065】
結合成分は、好ましくは、分析物の有無または濃度に応じて、磁性粒子の凝集を変える働きをする。この磁性粒子は、その表面に結合成分をもつ超常磁性ナノ粒子などを含んでもよい。この磁性粒子は、Fe、Si、Sn、An、Ti、Bi、Zr、および/またはZnの酸化物および/または水酸化物を含むことができる。磁性粒子は、好ましくは超常磁性であり、約1nmから約100nmの結晶サイズをもつ。磁性ナノ粒子は、好ましくは、直径が約1から約25nm、約3から約10nm、または約5nmの金属酸化物コアを有する。結合成分は、以下のものの1つ以上の1種以上を含むことができる。アミノ酸、核酸、オリゴヌクレオチド、治療剤、治療剤の代謝産物、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物、多糖体、ウイルス、および/または細菌。例えば、一つの実施形態において、結合成分は、1つ、2つ、またはそれ以上の種類のオリゴヌクレオチド、および/または1つ、2つ、またはそれ以上の種類のタンパク質を含むことができる。結合成分は、ポリマーであってもよいし、または、1つ以上の磁性粒子に結合しているか、それ以外の方法で会合しているポリマーの一部であってもよい。結合成分は、好ましくは官能基を含み、例えば、結合成分は、以下のものの1つ以上の1種以上を含むことができる。アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、アミン基、イミン基、エポキシ基、ヒドロキシル基、チオール基、アクリレート基、および/またはイソシアノ基。
【0066】
分析物は、以下のものの1つ以上の1種以上を含むことができる。有機低分子、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、アミノ酸、核酸、オリゴヌクレオチド、治療剤、治療剤の代謝産物、RNA、DNA、抗体、生物、ウイルス、細菌、炭水化物、多糖体、およびグルコース。また、分析物は、例えば、脂質、ガス(例えば、酸素、二酸化炭素)、電解質(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニア、乳酸塩、乳酸)、リポタンパク質、コレステロール、脂肪酸、糖タンパク質、プロテオグリカン、および/またはリポポリ多糖。さらに、「分析物の検出」は、1つ以上の分析物を含む溶液の物理的性質を測定すること、例えば、溶液の双極子モーメント、イオン化、可溶性/飽和、粘性、ゲル化、結晶化、および/または相転移を測定することも意味する。
【0067】
バイアス磁界は、実質的に均一であってもよいし、空間的勾配があってもよい。本装置それ自体が、1つ以上の磁石の少なくとも1つを有していてもよい。1つ以上の磁石の少なくとも1つが、装置の外側にあってもよい。RF励起は、RF励起コイルを介して伝達されても、ウェルの回りに配置されたRFコイル(ただし、ウェルの回りに配置されたコイルは、「検知」コイルとも呼ばれる)から離れていてもよい。一つの実施形態において、RF励起は、ウェルの回りに配置されたRFコイルを介して伝達されてもよい。例えば、RFコイルは、RF励起を伝達し、かつ、それぞれのウェル内の液体試料からのエコー応答を検出することができる(この場合、このRFコイルはそれぞれ、励起コイルとしても、検知コイルとしても働く)。
【0068】
本装置(または、その構成要素)は、チップ上に作ることができる。例えば、本装置(または、その構成要素)をMEMS(微小電気機械システム)法で作ることができる。
【0069】
RFコイルは、チップの表面上に配置することができる。RFコイルは、巻きソレノイド、平面コイル、サドルコイル、ヘルムホルツコイル、および/またはMEMSソレノイドコイルなどでもよい。
【0070】
ある実施形態において、磁性粒子は、例えば、液体試料をウェル内に導入する前に、ウェル(例えば、ウェルがエッチングされたり、組み込まれたりしている基質)の表面上に置かれている。この粒子は、プリンタと一緒に支持体上に置くことができ、および/または、粒子は、液体を導入すると再構成できるものであってもよい。ある実施形態において、磁性粒子は凍結乾燥されている。
【0071】
結合成分は、好ましくは、以下のものの少なくとも1つ(i、ii、および/またはiii)に結合する働きをする。(i)分析物、(ii)前記結合成分の別のもの、(iii)液体試料中の凝集誘導分子。このようにして、結合成分は、多重結合した磁性粒子の凝集体を、液体試料中における分析物の有無または濃度に応じて生じさせる。凝集誘導分子の一例はアビジンであり、例えば、結合成分がビオチンを含む場合には使用することができる。別の実施形態において、凝集誘導分子はビオチンであり、結合成分がアビジンを含む。あるいは、液体試料中における分析物の有無または濃度に応じて、多重結合した磁性粒子の凝集体を離散させることができる。
【0072】
本装置は、乾燥した(例えば凍結乾燥した)磁性粒子を予め入れたウェルの配列を含む交換式および/または代替可能なカートリッジを有することができる。カートリッジは、特定の分析物の検出および/または濃度測定を行うために設計することができる。本装置は、それぞれが、さまざまな分析物の検出および/または濃度測定を行うために設計されており、さまざまなカートリッジとともに使用することができる。このカートリッジは、1つ以上の磁石および/またはRF励起コイルを有する筐体に簡便に挿入したり取り出したりできるような大きさにすることができる。
【0073】
さらに、本装置は、ウェルからのエコー応答に対応するシグナルを受信するために構成された読取り装置を有することができる。この読取り装置は、シグナルを処理するための電気素子と、分析物の有無または濃度を表示するためのディスプレイを有することができる。例えば、読取り装置は、エコー応答に対応するシグナルによるT2緩和時間の変化を測定して、分析物の有無または濃度を表示することができる。読取り装置は、バイアス磁界を形成するための磁石、および/またはRF励起を提供するためのRF励起コイルを有することができる。読取り装置は、ウェルおよび/または検知コイルから空間的に離れていてもよい。例えば、本装置が哺乳動物の体内で実施するのに適合している場合、読取り装置は体外で保持してもよい。本装置は、埋め込み可能であり、皮膚を貫通するワイヤなしで操作することができる。その他の実施形態では、皮膚を貫通する1つ以上の構成要素を有してもよい。
【0074】
本装置は携帯型でもよい。例えば、本装置は、約1キログラムよりも、約500グラムよりも、約400グラムよりも、約300グラムよりも軽くてもよい。
【0075】
さらに別の態様において、本発明は、液体試料を保持するために1つ以上のウェルを形成している支持体、および、その支持体上に配置された、上記1つ以上のウェルの内部で再構成させるための、結合成分を結合している乾燥超常磁性粒子を含む装置であって、結合成分が、液体試料中の分析物の有無または濃度に応じて、液体試料中の磁性粒子の凝集を変える働きをしている装置に関する。上記実施形態の構成要素についての説明は、本発明の本実施形態にも適用することができる。
【0076】
一つの実施形態において、本装置は、1つ以上のウェルの各々について、ウェルの回りに配置されたRFコイル、およびRFコイルに連結した電気素子をさらに有する。ただし、このRFコイルは、1個以上の磁石およびRF励起を用いて形成したバイアス磁界にウェル中の液体試料を曝露することによって生じるエコー応答を検出するよう構成されており、この電気素子は、エコー応答に対応するシグナルを少なくとも一部調整するよう構成されている。
【0077】
ある実施形態において、本装置は分析物検出システムの構成部である。例えば、ある実施形態において、本装置は、乾燥した(例えば凍結乾燥した)磁性粒子を予め入れたウェルの配列を含む交換式および/または代替可能なカートリッジである。このカートリッジは、特定の分析物の検出および/または濃度測定を行うために設計することができる。さまざまな分析物の検出および/または濃度測定を行うために、さまざまなカートリッジを設計することができる。カートリッジそれ自体が、対応するウェル内の液体試料からのエコー応答を検出するよう構成されているRFコイルを有することができ、あるいは、RFコイルは、カートリッジから離れていてもよい。例えば、制御装置が、バイアス磁界を形成するための1つ以上の磁石、および/またはRF励起を伝達するためのRF励起コイルを有する場合には、このカートリッジを制御装置で操作するよう設計することができる。
【0078】
ある実施形態において、本装置は、RF励起を伝達するためのRF励起コイルをさらに有するが、ただし、このRF励起コイルは、1つ以上のウェルの回りに配置された1つ以上のRFコイル(例えば、エコー応答を検知するためのRFコイル)とは別の物である。1つ以上のウェルの各々について、各RFコイルが、そのRFコイルに連結している電気素子から1センチメートル以内、1ミリメートル以内、または100μm以内に配置されている。電気素子は、以下のうちの少なくとも一つを行うことができるよう構成することができる。(i)エコー応答に対応するシグナルを増幅する、(ii)シグナルを整流する、(iii)シグナルをデジタル化する。
【0079】
結合成分は、好ましくは、分析物の有無または濃度に応じて、超常磁性粒子の凝集を変える働きをする。この超常磁性粒子は、その表面に結合成分をもつ超常磁性ナノ粒子を含んでもよい。この超常磁性粒子は、Fe、Si、Sn、An、Ti、Bi、Zr、および/またはZnの酸化物および/または水酸化物を含むことができる。超常磁性粒子は、約1nmから約100nmの結晶サイズをもつ。超常磁性粒子は、好ましくは、直径が約1から約25nm、約3から約10nm、または約5nmの金属酸化物コアを有する。結合成分は、以下のものの1つ以上の1種以上を含むことができる。アミノ酸、核酸、オリゴヌクレオチド、治療剤、治療剤の代謝産物、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物、多糖体、ウイルス、および/または細菌。例えば、一つの実施形態において、結合成分は、1つ、2つ、またはそれ以上の種類のオリゴヌクレオチド、および/または1つ、2つ、またはそれ以上の種類のタンパク質を含むことができる。結合成分は、ポリマーであってもよいし、または、1つ以上の超常磁性粒子に結合しているか、それ以外の方法で会合しているポリマーの一部であってもよい。結合成分は、好ましくは官能基を含み、例えば、結合成分は、以下のものの1つ以上の1種以上を含むことができる。アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、アミン基、イミン基、エポキシ基、ヒドロキシル基、チオール基、アクリレート基、および/またはイソシアノ基。
【0080】
分析物は、以下のものの1つ以上の1種以上を含むことができる。タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、アミノ酸、核酸、オリゴヌクレオチド、治療剤、治療剤の代謝産物、RNA、DNA、抗体、生物、ウイルス、細菌、炭水化物、多糖体、およびグルコース。また、分析物は、例えば、脂質、ガス(例えば、酸素、二酸化炭素)、電解質(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニア、乳酸塩、乳酸)、リポタンパク質、コレステロール、脂肪酸、糖タンパク質、プロテオグリカン、および/またはリポポリ多糖。さらに、「分析物の検出」は、1つ以上の分析物を含む溶液の物理的性質を測定すること、例えば、溶液の双極子モーメント、イオン化、可溶性/飽和、粘性、ゲル化、結晶化、および/または相転移を測定することも意味する。
【0081】
1つ以上のウェルの各々について、ウェル、およびウェルの回りに配置されたRFコイルは、好ましくは、充填率が少なくとも約0.7、少なくとも約0.9、または約1になるよう構成されている。
【0082】
本装置は、さらに、各ウェルについて、各ウェルからのエコー応答に対応するシグナルを受信するように設置された読取り装置を有することができる。
【0083】
本発明の別の態様において、本発明は、液体試料を保持するための1つ以上のウェルを形成している支持体を有する装置であって、試料が磁性粒子と分析物を含み、磁性粒子が、それに結合した結合成分をもち、この結合成分が、液体試料中の上記磁性粒子の有無または濃度に応じて、液体試料中の上記磁性粒子の凝集を変える働きをし、また、ウェルの少なくとも1つが、磁界の存在下で、粒子の凝集体が、大きい方の断面の領域から小さい方の断面の領域へ移動して、凝集体とともに運ばれた分析物を濃縮するような変化する断面を有する装置に関する。上記実施形態の構成要素についての説明は、本発明の本実施形態にも適用することができる。
【0084】
ある実施形態において、本装置は、1つ以上のウェルの各々について、ウェルの回りに配置されたRFコイル、およびRFコイルに連結した電気素子を有する。このRFコイルは、1個以上の磁石およびRF励起を用いて形成したバイアス磁界にウェル中の液体試料を曝露することによって生じるエコー応答を検出するよう構成されており、この電気素子は、エコー応答に対応するシグナルを少なくとも一部調整するよう構成されている。好ましい実施形態において、少なくとも1つの結合成分は、以下のものの少なくとも1つに結合する(それにより、凝集体を生じさせる)働きをする。(i)分析物、(ii)前記結合成分の別のもの、(iii)液体試料中の凝集誘導分子。
【0085】
結合成分は、以下のものの1つ以上の1種以上を含むことができる。アミノ酸、核酸、オリゴヌクレオチド、治療剤、治療剤の代謝産物、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物、多糖体、ウイルス、および/または細菌。
【0086】
分析物は、以下のものの1つ以上の1種以上を含むことができる。タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、アミノ酸、核酸、オリゴヌクレオチド、治療剤、治療剤の代謝産物、RNA、DNA、抗体、生物、ウイルス、細菌、炭水化物、多糖体、およびグルコース。また、分析物は、例えば、脂質、ガス(例えば、酸素、二酸化炭素)、電解質(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニア、乳酸塩、乳酸)、リポタンパク質、コレステロール、脂肪酸、糖タンパク質、プロテオグリカン、および/またはリポポリ多糖を含んでもよい。さらに、「分析物の検出」は、1つ以上の分析物を含む溶液の物理的性質を測定すること、例えば、溶液の双極子モーメント、イオン化、可溶性/飽和、粘性、ゲル化、結晶化、および/または相転移を測定することも意味する。
【0087】
別の態様において、本発明は、分析物を検出するための装置であって、磁性粒子および分析物を含む液体試料を保持するためのウェルを形成する支持体であって、磁性粒子が、それに結合している結合成分を有する支持体、および、液体試料の周囲に配置されたRFコイルであって、1個以上の磁石およびRF励起を用いて形成したバイアス磁界に液体試料を曝露することによって生じるエコー応答を検出するよう構成されているRFコイルを有し、このウェルおよびRFコイルが、少なくとも約0.1の充填率を備えるよう構成されている装置に関する。ある実施形態において、充填率は、少なくとも約0.7、少なくとも約0.9少なくとも約0.95、または約1になるよう構成されている。上記実施形態の構成要素についての説明は、本発明の本実施形態にも適用することができる。
【0088】
別の態様において、本発明は、分析物を検出するための装置であって、磁性粒子および分析物を含む液体試料を保持するためのウェルを形成する支持体であって、磁性粒子が、それに結合している結合成分を有する支持体、および、液体試料の回りに配置されたRFコイルであって、1個以上の磁石およびRF励起を用いて形成したバイアス磁界に液体試料を曝露することによって生じるエコー応答を検出するよう構成されているRFコイルを有し、(i)RFコイルに囲まれている体積、(ii)液体試料量の少なくとも1つが約1mLよりも少ない装置に関する。ある実施形態において、この(i)およびこの(ii)の一方または両方が、約800μLよりも少ないか、約700μLよりも少ないか、約600μLよりも少ないか、約500μLよりも少ないか、約400μLよりも少ないか、約300μLよりも少ないか、約200μLよりも少ないか、約100μLよりも少ないか、約10μLよりも少ないか、約1μLよりも少ないか、約500nLよりも少ないか、約300nLよりも少ないか、約100nLよりも少ないか、約50nLよりも少ないか、約20nLよりも少ないか、約5nLよりも少ないか、約2nLよりも少ないか、または約1nLよりも少ない。上記実施形態の構成要素についての説明は、本発明の本実施形態にも適用することができる。
【0089】
別の態様において、本発明は、分析物を検出するための装置であって、磁性粒子および分析物を含む液体試料を保持するためのウェルを形成する支持体であって、磁性粒子が、それに結合している結合成分を有する支持体、液体試料の周囲に配置されたRFコイルであって、1個以上の磁石およびRF励起を用いて形成したバイアス磁界に液体試料を曝露することによって生じるエコー応答を検出するよう構成されているRFコイル、およびRFコイルと連結した電気素子であって、少なくとも部分的には、エコー応答に対応したシグナルを調整するよう構成された電気素子を有し、このRFコイルが、電気素子に対して十分な近さに配置されて、少なくとも1のQ係数を備え、このQ係数(線質係数)は、所定の周波数、例えば、ラーモア周波数におけるRFコイルの抵抗に対するその誘導リアクタンスの割合である装置に関する。ある実施形態において、Q係数は少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、または少なくとも約125である。上記実施形態の構成装置についての説明は、本発明の本実施形態にも適用することができる。
【0090】
RFコイルは、ウェルの周囲に配置される場合、ウェルを形成する支持体と一体化していてもよい。支持体は、基質材料からエッチングされたウェルをもつ基質であってもよい。あるいは、支持体が、ウェルの底を形成し、RFコイルそれ自体が、ウェルの1つ以上の側部の一部または全部として用いられていてもよい。好ましくは、RFコイルは、電気素子の1センチメートル以内に配置されている。ある実施形態において、RFコイルは、電気素子の5ミリメートル以内、電気素子の3ミリメートル以内、電気素子の2ミリメートル以内、電気素子の1ミリメートル以内、電気素子の500マイクロメートル以内、電気素子の100マイクロメートル以内、電気素子の50マイクロメートル以内、または電気素子の5マイクロメートル以内に配置されている。
【0091】
別の態様において、本発明は、以下の(i)〜(vii)の装置のいずれか1つ(またはいずれかの組合せ)を用いて、試料中の1つ以上の分析物を測定する方法に関する。
(i)磁性粒子および分析物を含む液体試料を保持するためのウェルを形成する支持体であって、磁性粒子が、それに結合している結合成分を有する支持体、および、液体試料の周囲に配置されたRFコイルであって、1個以上の磁石およびRF励起を用いて形成したバイアス磁界に液体試料を曝露することによって生じるエコー応答を検出するよう構成されていて、約10μmから約1000μmの特有の寸法をもつRFコイルを有する装置;
(ii)磁性粒子および分析物を含む液体試料を保持するための複数のウェルであって、この磁性粒子が、それに結合している結合成分を有するウェル、および、各ウェルについて、ウェルの周囲に配置されたRFコイルであって、1個以上の磁石およびRF励起を用いて形成したバイアス磁界に液体試料を曝露することによって生じるエコー応答を検出するよう構成されているRFコイルを有する装置;(iii)液体試料を保持するために1つ以上のウェルを形成している支持体、および、その支持体上に配置された、上記1つ以上のウェルの内部で再構成させるための、結合成分を結合している乾燥超常磁性粒子を含む装置であって、結合成分が、液体試料中の分析物の有無または濃度に応じて、液体試料中の磁性粒子の凝集を変える働きをしている装置;(iv)液体試料を保持するための1つ以上のウェルを形成している支持体を有する装置であって、試料が磁性粒子と分析物を含み、磁性粒子が、それに結合した結合成分をもち、この結合成分が、液体試料中の上記磁性粒子の有無または濃度に応じて、液体試料中の上記磁性粒子の凝集を変える働きをし、また、ウェルの少なくとも1つが、磁界の存在下で、粒子の凝集体が、大きい方の断面の領域から小さい方の断面の領域へ移動して、凝集体とともに運ばれた分析物を濃縮するような変化する断面を有する装置;(v)磁性粒子および分析物を含む液体試料を保持するためのウェルを形成する支持体であって、磁性粒子が、それに結合している結合成分を有する支持体、および、液体試料の周囲に配置されたRFコイルであって、1個以上の磁石およびRF励起を用いて形成したバイアス磁界に液体試料を曝露することによって生じるエコー応答を検出するよう構成されているRFコイルを有し、このウェルおよびRFコイルが、少なくとも約0.1の充填率を備えるよう構成されている装置;(vi)磁性粒子および分析物を含む液体試料を保持するためのウェルを形成する支持体であって、磁性粒子が、それに結合している結合成分を有する支持体、および、液体試料の回りに配置されたRFコイルであって、1個以上の磁石およびRF励起を用いて形成したバイアス磁界に液体試料を曝露することによって生じるエコー応答を検出するよう構成されているRFコイルを有し、(A)RFコイルに囲まれている容量、(B)液体試料量の少なくとも1つが約1mLよりも少ない装置;および/または(vii)磁性粒子および分析物を含む液体試料を保持するためのウェルを形成する支持体であって、磁性粒子が、それに結合している結合成分を有する支持体、液体試料の回りに配置されたRFコイルであって、1個以上の磁石およびRF励起を用いて形成したバイアス磁界に液体試料を曝露することによって生じるエコー応答を検出するよう構成されているRFコイル、およびRFコイルと連結した電気素子であって、少なくとも部分的に、エコー応答に対応したシグナルを調整するよう構成された電気素子を有し、このRFコイルが、電気素子に対して十分な近さに配置されて、少なくとも1のQ係数を備えるが、このQ係数(線質係数)は、所定の周波数、例えば、ラーモア周波数におけるRFコイルの抵抗に対するその誘導リアクタンスの割合である装置。上記実施形態の構成装置についての説明は、本発明の本実施形態にも適用することができる。
【0092】
ある実施形態において、本装置によって測定される1つ以上の分析物は、1つ以上の生物活性物質を含む。ある実施形態において、試料は、研究用試料、細胞試料、および/または生物由来試料などである。ある実施形態において、本方法は生体内で行われる(例えば、装置が埋め込み可能な場合)。ある実施形態において、本測定工程は、試料中の1つ以上の分析物の濃度を定量する工程を含む。ある実施形態において、本測定工程は、試料中に1つ以上の分析物が存在することを検出する工程を含む。ある実施形態において、本測定工程は、1つ以上の分析物を継続的に観察する工程、1つ以上の分析物を半継続的に観察する工程、および/または1つ以上の分析物を間欠的に観察する工程を含む。ある実施形態において、本測定工程は、1つ以上の分析物を生体内で継続的に観察する工程を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0093】
本発明の目的および特徴は、以下に説明する図面、ならびに請求の範囲を参照することによって、よりよく理解することができる。図面は、必ずしも正確な縮尺ではなく、本発明の原理を例示するに当たっては、通常、強調が加えられている。図面中、さまざまな図のすべてにわたって、同じ符号は同じ部分を示すために用いられている。
【0094】
本発明は、例示的な実施例および例示的な実施形態に言及して、本明細書に例示的に示され説明されているが、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、形態および細部にさまざまな変更を加えることができることは、当業者に理解されているはずである。
【0095】
本願発明の装置、システム、方法、およびプロセスは、本明細書に記載された実施形態からの情報を用いて開発された変形物および適合物を包含する。本明細書に記載された装置、システム、方法、およびプロセスを適合および/または変形することは、関連技術分野の当業者により実施することも可能である。
【0096】
本明細書全般にわたり、装置およびシステムが例示的な構成を有する、含む、もしくは備えると記載されている場合、またはプロセスおよび方法が例示的な工程を有する、含む、もしくは備えると記載されている場合には、基本的に記載された構成からなる、またはそれらからなる、本発明の装置およびシステムがさらにあり、また、基本的に記載された処理工程からなる、またはそれらからなる、本発明によるプロセスおよび方法があるものとする。量に関して「約」という用語を使用することは、その量を包含するものとする。例えば、「約10μm」は、本明細書では、「10μm」、および記載されたものに関しておよそ10μmであると当該技術分野において理解される値を含むものとする。
【0097】
本発明が実施可能である限り、工程の順序、またはある操作を行う順序は重要でないと理解されるべきである。さらに、2つ以上の工程または操作を同時に行ってもよい。
【0098】
本明細書において、例えば、背景技術の節において、刊行物に言及していることは、本明細書に提示された請求項のいずれについても、その刊行物が先行技術として用いられることを承認するものではない。背景技術の節は、明確さのために設けられたものであって、何れの請求項についても、先行技術の説明としての意味をもつものではない。
【0099】
本明細書において、「ナノ粒子」は、少なくとも約200nmより小さい寸法をもつ粒子を意味する。
【0100】
本明細書において、「微小粒子」は、少なくとも約200μmより小さい寸法をもつ粒子を意味する。
【0101】
本明細書において、ある物体の「特有の寸法」は、この物体の特有の寸法であって、例えば、身長はヒトの特有の寸法である。
【0102】
本明細書において、「充填率」は、ウェル内の液体試料量をRFコイルに囲まれた体積で割り算された値を意味する。
【0103】
本明細書において、RFコイルの「線質係数」または「Q係数」は、誘導子としての効率の尺度であると理解され、所定の周波数、例えば、ラーモア周波数におけるRFコイルの抵抗に対するRFコイルの誘導リアクタンスの割合と定義される。
【0104】
本明細書において、「結合した」とは、共有結合、非共有結合によって付着または結合していること、ならびに/またはファンデルワールス力、水素結合、および/もしくはその他の分子間力を介して結合していることを意味するものと理解される。
【0105】
以下の見出しは、一般的な構成の手引きとして提供されているものであって、本発明の所与の要素に対する根拠を、特定の説明の節に限定するために用いてはならない。
【0106】
ナノ粒子 本明細書に記載されたナノ粒子は米国特許出願公開第2003/0092029号明細書に記載されたものを含み、この文献の本文は、その全文を参照することにより本明細書に組み込まれる。このナノ粒子は結合体の形態、すなわち1つ以上の結合成分を結合させた磁性ナノ粒子(例えば、オリゴヌクレオチド、核酸、ポリペプチド、または多糖体)の形態をとることができる。結合成分は、標的分析物(またはアビジンなど凝集誘導分子)との特定の相互作用を生じさせる。結合成分は、選択された標的分析物、例えば、核酸、ポリペプチド、または多糖体に特定的に結合し、または、結合成分は、別の結合成分に結合して、標的分子によって開裂される凝集体を形成するように設計することもできる。結合によって結合体の凝集が生じ、その結果、水溶液中の隣接する水プロトン(または非水溶媒中の遊離プロトン)のスピン−スピン緩和時間(T2)が減少する。開裂によって、凝集体が拡散して別々の結合体に分かれると、その結果、水溶液中の隣接する水プロトン(または非水溶液中の遊離プロトン)のスピン−スピン緩和時間(T2)が増加する。
【0107】
この結合体は、その酸化鉄または酸化金属の超常磁性によって高い緩和能をもつ。この結合体のR1緩和能は約5〜約30mM−1sec−1、例えば、10、15、20、または25mM−1sec−1である。この結合体のR2緩和能は約15〜約100mM−1sec−1の間、例えば、25、50、75、または90mM−1sec−1である。結合体は、通常、R2のR1に対する比が約1.5〜約4、例えば、約2、2.5、または3である。この結合体は、通常、酸化鉄含有量が、粒子の総質量の約10%よりも多く、例えば、15%、20%、25%または30%よりも多い。
【0108】
ナノ粒子は、単分散粒子(ナノ粒子1個につき、1つの磁性物質の単結晶、例えば、超常磁性酸化鉄などの酸化金属の単結晶)、または多分散粒子(ナノ粒子1個につき、複数の結晶、例えば、2個、3個、または4個の結晶)であってもよい。また、磁性酸化鉄は、コバルト、マグネシウム、亜鉛、またはこれらの金属の鉄との混合物を含んでもよい。本明細書において、「磁性」という用語は、例えば、常磁性化合物、超常磁性化合物、およびマグネタイト、γ−酸化鉄、金属鉄など、正の磁化率の高い物質を意味する。結合体を生成するのに有用なナノ粒子の重要な特徴および要素には以下のものがある:(i)高緩和能、すなわち水(またはその他の溶媒)の緩和に対し強い効果があること、(ii)結合成分が共有結合的に付着することができる官能基、(iii)相互作用的部分がナノ粒子に対して弱く非特異的に結合すること、および/または(iv)溶液中での安定性、すなわち、ナノ粒子が沈殿しないこと。
【0109】
このナノ粒子は、官能基を介して結合成分に結合することができる。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、前記官能基を含むポリマーと会合し、酸化金属を互いに分散状態に保つのにも役に立っている。このポリマーは、ポリエチレングリコールもしくはシランなどであるが、これらに限られない合成ポリマー、天然ポリマー、または合成ポリマーもしくは天然ポリマーンの誘導体、またはこれらを組み合わせたものであってもよい。ポリマーは親水性であってもよい。いくつかの実施形態において、ポリマー「被膜」は、磁性酸化金属を囲む連続した薄膜ではなく、酸化金属に付着して、これを取り巻いている「メッシュ状」または「雲状」の延伸ポリマー鎖である。このポリマーは、デキストラン、プラナン(pullanan)、カルボキシデキストラン、カルボキシメチルデキストラン、および/または還元型カルボキシメチルデキストランなど、多糖類および誘導体を含むことができる。この酸化金属は、互いに接触しているか、またはポリマーによって個別に捕捉されているか、または包囲されている1つ以上の結晶の集合体であってもよい。
【0110】
別の実施形態において、ナノ粒子は非重合性官能基組成物に会合している。会合したポリマーをもたない安定化された機能化ナノ粒子を合成する方法は、例えば、Halbreichら、Biochimie, 1998 80 (5-6):379-90,に記載されている。
【0111】
ナノ粒子は外形寸法が約1〜100nmよりも小さくともよい。酸化金属は、直径約1〜25nm、例えば、約3〜10nm、または約5nmの結晶の形態であってもよい。いくつかの実施形態におけるポリマー成分は、例えば、厚さ5〜20nm、またはそれ以上の被膜の形態であってもよい。ナノ粒子の外形寸法は約15〜200nm、例えば、約20〜100nm、約40〜60nm、または約50nmである。
【0112】
ナノ粒子は、さまざまな方法で調製することができる。ナノ粒子は、ナノ粒子を結合成分に結びつける官能基を有することが好ましい。
【0113】
カルボキシ官能基化ナノ粒子は、例えば、ゴーマン(Gorman)の方法に従って作製することができる(国際公開第00/61191号パンフレット参照)。この方法では、還元カルボキシメチル(CM)デキストランを市販のデキストランから合成する。このCM−デキストラン塩および鉄塩を混合してから、水酸化アンモニウムで中和する。得られたカルボキシ官能化ナノ粒子を、アミノ官能基化オリゴヌクレオチドとカップリングさせるために用いることができる。
【0114】
また、カルボキシ官能基化ナノ粒子は、多糖体被覆ナノ粒子から、強塩基中でブロモ酸またはクロロ酢酸と反応させてカルボキシル基を付着させることによって作製することもできる。さらに、カルボキシ官能基化粒子は、アミノ官能基化ナノ粒子から、無水コハク酸または無水マレイン酸などの試薬を用いてアミノ基をカルボキシ基に変換することによって作製することができる。
【0115】
ナノ粒子の大きさは、反応条件を調整して、例えば、米国特許第5,262,176号明細書に記載されているように、塩基で鉄塩を中和する際に低温を用いることにより調節することができる。例えば、米国特許第5,492,814号明細書に記載されているように、遠心分離法、限外濾過法、またはゲル濾過法を用いて粒子を分画することによって、均一な粒子サイズの物質を作成することもできる。
【0116】
ナノ粒子は、モルデイ(Molday)の方法(Molday, R. S.およびD. MacKenzie, 「細胞を標識およびの磁気選別するための免疫特異的強磁性鉄−デキストラン試薬(Immunospecific ferromagnetic iron-dextranreagents for the labeling and magnetic separation of cells)」、J. Immunol. Methods, 1982, 52(3):353-67)によって合成し、過ヨウ素酸塩で処理してアルデヒド基を形成させることもできる。そして、このアルデヒド含有ナノ粒子をジアミン(例えば、エチレンジアミンまたはヘキサンジアミン)と反応させることができるが、これによりシッフ塩基を形成させ、その後、水素化ホウ素ナトリウムまたはシアノ水素化ホウ素ナトリウムで還元することができる。
【0117】
デキストラン被覆ナノ粒子を作製してエピクロルヒドリンと架橋結合させることができる。アンモニアを添加するとエポキシ基と反応して、アミン基が生じる。Hogemann, D.ら、「遺伝子発現の効率的な検出を可能にするためのMRIプローブの改良」(Improvement of MRI probes to allow efficient detection of gene expression)Bioconjug. Chem. 2000, 11(6):941-6、およびJosephsonら、「新規の超常磁性−Tatペプチド結合体による高効率の細胞内磁気標識法(High-efficiency intracellular magnetic labeling with novel superparamagnetic-Tat peptideconjugates)」、Bioconjug. Chem., 1999, 10(2):186-91参照。この物質は架橋酸化鉄または「CLIO」として知られており、アミンにより官能基化されるとアミン−CLIOまたはNH−CLIOと呼ばれる。
【0118】
カルボキシ−官能化ナノ粒子は、エチレンジアミンやヘキサンジアミンなどの水溶性のカルボジイミドやジアミンを用いて、アミノ−官能化磁性粒子に転換させることができる。
【0119】
オリゴヌクレオチドまたはポリペプチドなどのビオチン化された結合成分とともに用いるために、アビジンまたはストレプタアビジンをナノ粒子に付着させることができる。例えば、Shenら「磁気標識されたセクレチンは、膵腺房細胞へのレセプター親和性を保持する(Magnetically labeled secretin retains receptor affinity to pancreas acinar cells)」、Bioconjug. Chem., 1996, 7(3):311-6参照。同様に、アビジン標識結合成分とともに用いるためにビオチンを付着させることができる。
【0120】
低分子量化合物は、限外濾過法、透析法、磁気分離法、またはその他の手段によってナノ粒子から分離することができる。未反応のオリゴヌクレオチドは、例えば、磁気分離法またはサイズ排除クロマトグラフィーによってオリゴヌクレオチド−ナノ粒子結合体から分離することができる。
【0121】
結合成分 一般的に、結合成分は、標的分子に、または、別の結合成分に(あるいは、ある実施形態では、凝集誘導分子に)特定的に結合するか、さもなければ連結、例えば、共有結合的に、もしくは非共有結合的に結合するか、またはハイブリダイズする、合成または天然の分子である。例えば、結合成分は、特定の相補的核酸標的にハイブリダイズする合成オリゴヌクレオチドであってもよい。また、結合成分は、抗原、またはタンパク質−タンパク質相互作用に対する抗体であってもよい。また、結合成分は、対応する標的に結合する多糖体であってもよい。ある実施形態において、結合成分は、別の結合成分に結合させられたときに、溶液中の酵素などの標的分子に対する基質として働くよう設計または選択することができる。
【0122】
結合成分は、例えば、オリゴヌクレオチド結合成分、ポリペプチド結合成分、抗体結合成分、および多糖体結合成分などである。
【0123】
オリゴヌクレオチド結合成分 ある実施形態において、結合成分は、さまざまな化学法のいずれかを用いて、例えば、ナノ粒子上の官能基に対して3'末端側または5'末端側に、一重の、例えば、共有結合によって、ナノ粒子に付着/結合しているオリゴヌクレオチドである。
【0124】
オリゴヌクレオチド結合成分は、化学合成法を利用して構築することができる。二本鎖DNA結合成分は、当該技術分野において周知の手順を用いて酵素的連結反応によって構築することができる。例えば、核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)は、天然ヌクレオチド、またはその分子の生物学的安定性を増加させたり、相補鎖間で形成される二本鎖の物理的安定性を増加させたりするために設計されるさまざまに改変されたヌクレオチドを用いて化学的に合成することができる。例えば、ホスホロチオエート誘導体、およびアクリジン置換型ヌクレオチドを用いることもできる。核酸は、核酸がサブクローニングされている発現ベクターを用いて、生物学的に作製することもできる。
【0125】
一つの方法では、それぞれが水(または、その他の溶媒)の緩和に強い影響を及ぼす、少なくとも2つのオリゴヌクレオチド磁性ナノ粒子集団が用いられる。オリゴヌクレオチド−ナノ粒子結合体は、標的オリゴヌクレオチドを反応して、凝集体を形成する(例えば、100〜500nm)。この凝集体は、室温で長時間、例えば、一晩静置すると、大きなクラスター(ミクロン大の粒子)を形成して溶液から沈降する。好ましい実施形態では磁気共鳴法を用いて溶媒の緩和特性を測定するが、その特性は磁性オリゴヌクレオチドナノ粒子の混合物が標的核酸と反応して凝集体を形成すると変化する。
【0126】
ある実施形態では、それぞれが特定の配列のオリゴヌクレオチドをもち、それぞれがナノ粒子1個につき、例えば共有結合によって付着したオリゴヌクレオチドのコピー(copy)を1つ以上もつ、少なくとも2種類の磁性酸化金属ナノ粒子の混合物が使用される。例えば、この測定手順には、オリゴヌクレオチド−ナノ粒子結合体の集団の混合物を調製すること、およびこの混合物を標的核酸と反応させることを含ませることができる。あるいは、オリゴヌクレオチド−ナノ粒子結合体は、逐次的に標的と反応させることもできる。ある実施形態は、磁気共鳴法を用いて、オリゴヌクレオチド−ナノ粒子結合体と標的核酸との反応を検出することを特徴とする。標的が存在すると、散在している結合体が自己集合して小さな凝集体を形成する。
【0127】
例えば、オリゴヌクレオチド結合成分は、共有結合を介して、官能化ポリマー、または非重合性表面官能基化された酸化金属に結合させることができる。後者の方法において、ナノ粒子を、Albrechtら、Biochimie, 1998 80(5-6): 379-90の方法に従って合成することができる。ジメチルカプトコハク酸が酸化鉄に結合すると、カルボキシル官能基を生じさせる。
【0128】
ある実施形態において、オリゴヌクレオチドは、酸化金属に会合した官能化ポリマーを介して磁性ナノ粒子に付着している。いくつかの実施形態において、ポリマーは親水性である。ある実施形態において、前記結合体は、末端アミノ基、末端スルフヒドリル基、または末端リン酸基を有するオリゴヌクレオチド、および親水性ポリマー上にアミノ基またはカルボキシ基を有する、超常磁性酸化鉄ナノ粒子を用いて作製される。カルボキシ誘導体化ナノ粒子およびアミノ誘導体化ナノ粒子を合成する方法がいくつかある。
【0129】
ポリペプチド結合成分 ある実施形態において、結合成分は、単一の共有結合によって、ポリペプチドの生物学的活性に影響を及ぼさないよう、さまざまな化学反応のいずれかを用いて、付着させられているポリペプチド(すなわち、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチド)である。一つの実施形態において、その改変がポリペプチドの生物学的活性に影響を及ぼさないような位置にある1個のよく反応するシステイン残基のチオール基を介して付着が行われる。これに関連して、C−末端またはN−末端にシステインをもつ直鎖状ポリペプチドを使用すると、アルカンチオールがオリゴヌクレオチドの3’末端または5’末端にチオール基を生じさせるのと同じように、単一のチオールがもたらされる。SPDPなどであって、ナノ粒子のアミノ基およびポリペプチドのチオール基と反応する類似の2官能性結合試薬は、結合成分をもつ任意のチオールとともに用いることができる。結合成分として用いられるポリペプチドの種類は、例えば、抗体、抗体断片、ならびに天然および合成のポリペプチド配列であってもよい。このペプチド結合成分には、通常、結合パートナー、すなわち、これらが選択的に結合する分子がある。
【0130】
結合成分としてペプチドを用いることには、いくつかの利点がある。例えば、結合部位あたりの質量が小さいことである。例えば、ナノ粒子あたり2064個の鉄原子を想定して計算すると、最大20個の2kDa(ドルトン)ペプチドが付着することができる。タンパク質(一般的に約30kDaよりも大きい)のような大きな結合成分では、同じ質量の付着ポリペプチドは、ナノ粒子あたり約1〜4個の結合成分しか生じさせない。また、ポリペプチドをナノ粒子に付着させるために、生物学的活性に必要となる残基から遠位に、ユニークな反応性残基をもつようにすることができる。この反応性残基は、システインチオール、N−末端アミノ基、C−末端カルボキシル基、またはアスパラギン酸もしくはグルタミン酸のカルボキシル基などであってもよい。ペプチド上の単一の反応性残基は、ユニークな付着部位を確実にするために用いられる。これらの設計原理は、化学合成されたペプチド、または生物学的に産生されたポリペプチドを用いて行うことができる。
【0131】
また、結合成分は、天然(野生型)のポリペプチドまたはタンパク質に由来するアミノ酸配列を含むこともできる。例えば、天然型ポリペプチドは、ホルモン、(例えば、サイトカイン、成長因子など)、血清タンパク質、ウイルスタンパク質(例えば、赤血球凝集素)、細胞外基質タンパク質、レクチン、または細胞表面タンパク質の細胞外ドメインであってもよい。一般的には、得られた結合成分−ナノ粒子を用いて、結合成分と反応する分析物が試験用培地に存在することを測定する。
【0132】
タンパク質ホルモンの例には、PDGFレセプターを結合する血小板由来成長因子(PDGF)、Igfレセプターを結合するインスリン様成長因子I型およびII型、NGFレセプターを結合する神経成長因子(NGF)、FGFレセプター(例えば、aFGFおよびbFGF)を結合する線維芽細胞成長因子(FGF)、EGFレセプターを結合する上皮細胞成長因子(EGF)、TGFレセプターを結合するトランスフォーミング増殖因子(TGF、例えば、TGF−αおよびTGF−β)、エリスロポイチン(erythropoitin)レセプターを結合するなどエリスロポエチン、成長ホルモンレセプターを結合する成長ホルモン(例えば、ヒト成長ホルモン)、ならびにインスリンレセプターに結合するプロインスリン、インスリ、A−鎖インスリン、およびB−鎖インスリンがある。
【0133】
レセプター結合成分は、細胞の表面におけるレセプターのクラスター形成を検出して画像化するのに有用である。有用な細胞外ドメインは、ノッチタンパク質、デルタタンパク質、インテグリン、カドヘリン、およびその他の細胞接着分子などの細胞外ドメインである。
【0134】
抗体結合成分 他のポリペプチド結合成分は、少なくとも1つの免疫グロブリンドメイン、および典型的には、少なくとも2つのそのようなドメインを含む免疫グロブリン結合成分を含む。「免疫グロブリンドメイン」は、抗体分子のドメイン、例えば、可変ドメインまたは定常ドメインを意味する。「免疫グロブリンスーパーファミリードメイン」は、免疫グロブリンに関連した3次元構造を有するドメインを意味するが、非免疫グロブリン分子に由来するものである。免疫グロブリンドメインおよび免疫グロブリンスーパーファミリードメインは、典型的には、約7つのβ−ストランドからなる2つのβ−シート、および保存されているジスルフィド結合を含む(例えば、WilliamsおよびBarclay Ann. Rev Immunol.1988 6:381-405参照)。Igスーパーファミリードメインのドメインを含むタンパク質には、T細胞レセプター、CD4、血小板由来成長因子レセプター(PDGFR)、および細胞間接着分子(ICAM)などがある。
【0135】
免疫グロブリン結合成分の1つのタイプが抗体である。本明細書において、「抗体」という用語は、完全長の2本鎖免疫グロブリン分子、ならびにその抗原結合部位および断片を意味し、合成変異体などがある。典型的な抗体は、2つの重(H)鎖可変領域(本明細書においてはVHと略す)、および2つの軽(H)鎖可変領域(本明細書においてはVLと略す)を含む。VH領域およびVL領域は、さらに、「フレームワーク領域」(FR)と呼ばれる、より保存された領域とともに散在する、「相補性決定領域」(CDR)と呼ばれる超可変性領域に細分することができる。フレームワーク領域およびCDRの範囲は、はっきりと定義されている(Kabat,E.A ら「免疫学的目的のタンパク質の配列」(Sequences of Proteins of Immunological Interest), Fifth Edition, 米国保健社会福祉省(U.S. Department of Health and Human Services), NIH PublicationNo. 91-3242、およびChothia, C.ら(1987) J. Mol. Biol. 196:901-917参照)。VHおよびVLはそれぞれ、3つのCDRおよび4つのFRからなり、アミノ末端側からカルボキシ末端側まで、FR1、CDRl、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順に並んでいる。
【0136】
また、抗体は、軽鎖または重鎖の一部分として定常領域を含むこともできる。軽鎖は、COOH−末端にκまたはλの定常領域遺伝子(CLと呼ばれる)を含むことができる。重鎖は、例えば、γ定常領域(約330個のアミノ酸をコードする、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)を含むことができる。ガンマ定常領域は、例えば、CH1、CH2、およびCH3を含むことができる。「完全長抗体」という用語は、VLおよびCLを含む1つのポリペプチドと、VH、CH1、CH2、およびCH3を含む別のポリペプチドを含むタンパク質を意味する。
【0137】
本明細書において、抗体の「抗原結合性断片」という用語は、標的に特異的に結合する能力を保持する完全長抗体の1つ以上の断片を意味する。抗原結合性断片の例には、以下のものが含まれるが、それらに限定されない:(i)VL、VH、CL、およびCH1というドメインからなる1価の断片である抗原結合(Fab)断片;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって結びつけられている2つの抗原結合(Fab)断片を含む2価性断片であるF(ab’)断片;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単腕のVLドメインおよびVHドメインからなるFv断片;(v)VHドメインからなるdAb断片(Wardら、(1989) Nature 341:544-546);(vi)単離された相補性決定領域(CDR)。さらに、Fv断片の2つのドメインであるVLドメインおよびVHドメインは、別の遺伝子によってコードされているが、これらを、VL領域とVH領域が対合して1価分子(1本鎖Fv(scFv)として知られている、例えば、Birdら、(1988) Science 242:423-426、およびHustonら、(1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879- 5883参照)を形成する単一のタンパク質鎖とすることを可能にする合成リンカーにより、組換え法を用いて連結することができる。このような1本鎖抗体は、「抗原結合性断片」という用語の範囲にも包含される。
【0138】
ある実施形態において、結合成分は、例えば、多様な化学反応のいずれかを用いて、例えば、共有結合などの一重結合によって、両末端のどちらか一方で、ナノ粒子上の官能基に連結された多糖体である。これらの多糖体は合成のものであっても、天然のものであってもよい。単糖類、2糖類、3糖類、および多糖類を結合成分として用いることができる。これらは、ナノ粒子への適当な付着化学反応とともに用いる場合、例えば、グリコシド、N−グリコシルアミン、O−アシル誘導体、O−メチル誘導体、オサゾン、糖アルコール類、糖酸類、糖リン酸類などを含む。
【0139】
連結を達成する方法は、アビジンを磁性ナノ粒子に結合させ、アビジン−ナノ粒子を市販のビオチン化多糖体と反応させて、多糖体−ナノ粒子結合体を得ることである。例えば、シアル化ルイス多糖が、ビオチン化試薬として市販されており、アビジン−CLIOと反応する(Syntesome, Gesellschaft fur medizinische Biochemie mbH.参照)。シアル化ルイスx4糖(Sle)は、白血球の表面上に存在していて、白血球を動員するための炎症カスケードの一部として機能する、選択を行うことが知られているタンパク質によって結合される。
【0140】
さらに別の標的成分は、非タンパク性成分、例えば、糖鎖付加修飾成分(ルイス抗原など)、または別の非タンパク性有機分子を含む。
【0141】
生物活性物質 本発明の実施形態は、試料中の1つ以上の分析物の濃度を検出および/または測定するための装置および/またはシステムを含む。この分析物は、1つ以上の生物活性のある物質および/もしくは代謝物、マーカー、ならびに/または生物活性物質の指標などでもよい。生物活性物質は、単一物、または混合物であると表現することができる。「生物活性物質」という用語に制限はないが、医薬品;ビタミン;ミネラルサプリメント;疾患もしくは疾病を治療、予防、診断、治癒もしくは緩和するために用いられる物質;または身体の構造もしくは機能に影響を及ぼす物質;または所定の生理環境に置かれると生物学的に活性化されるか、もしくはさらに活性が強くなるプロドラッグなどが含まれる。
【0142】
有用な生物活性物質の広義のカテゴリーの非限定例は、以下の治療薬カテゴリーを含む。すなわち、同化剤、制酸剤、抗喘息剤、抗コレステロール血症剤および抗脂質剤、抗凝血剤、抗痙攣剤、止寫剤、制吐剤、抗感染剤、抗炎症剤、抗躁剤、制嘔吐剤、抗悪性腫瘍剤、抗肥満剤、解熱剤および鎮痛剤、鎮痙剤、抗血栓剤、抗尿酸血症剤、抗狭心症剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、食欲抑制剤、生物製剤、大脳拡張剤、冠動脈拡張剤、鬱血除去剤、利尿剤、診断剤、赤血球造血剤、去痰剤、胃腸用鎮痛剤、血糖上昇剤、催眠剤、血糖降下剤、イオン交換樹脂、緩下剤、ミネラルサプリメント、粘液溶解剤、神経筋剤、末梢血管拡張剤、向精神剤、鎮静剤、興奮剤、甲状腺剤および抗甲状腺剤、子宮弛緩剤、ビタミン類、ならびにプロドラック類。
【0143】
より具体的には、有用な生物活性物質の非限定例は、以下の治療薬カテゴリーを含む。すなわち、鎮痛薬、例えば、非ステロイド性抗炎症剤、オピエート(鎮静)作用薬、およびサリチル酸塩など;抗ヒスタミン剤、例えば、H遮断剤およびH遮断剤など;抗感染剤、例えば、駆虫剤、抗嫌気性菌剤、抗生物質、アミノ配糖体系抗生物質、抗真菌性抗生物質、セアロスポリン系抗生物質、マクロライド系抗生物質、種々のβ−ラクタム系抗生物質、ペニシリン系抗生物質、キノロン系抗生物質、スルホンアミド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、抗抗酸菌剤、抗結核性抗抗酸菌剤、抗原虫剤、抗マラリア原虫剤、抗ウイルス剤、抗レトロウイルス剤、疥癬虫殺虫剤、および泌尿器抗感染剤など;抗悪性腫瘍剤、例えば、アルキル化剤、ナイトロジェンマスタード系アルキル化剤、ニトロソウレア系アルキル化剤、代謝拮抗剤、プリン類似体系代謝拮抗剤、ピリミジン類似体系代謝拮抗剤、ホルモン系抗悪性腫瘍剤、天然型抗悪性腫瘍剤、抗生物質系抗悪性腫瘍剤、およびビンカアルカロイド系天然型抗悪性腫瘍剤など;自律神経作用剤、例えば、抗コリン作用剤、抗ムスカリン性抗コリン作用剤、麦角アルカロイド類、副交感神経作動剤、コリン作用剤系副交感神経作動剤、コリンエステラーゼ阻害剤系副交感神経作動剤、交感神経遮断剤、α−交感神経遮断剤、β−交感神経遮断剤、交感神経模倣剤、およびアドレナリン作用剤系交感神経作動剤など;心血管作用剤、例えば、抗狭心症剤、β−遮断剤系抗狭心症剤、カルシウムチャネル遮断剤系抗狭心症剤、硝酸薬抗狭心症剤、抗不整脈剤、強心配糖体抗不整脈剤、クラスI抗不整脈剤、クラスII抗不整脈剤、クラスIII抗不整脈剤、クラスIV抗不整脈剤、降圧剤、α−遮断剤系降圧剤、アンジオテンシン交換酵素阻害剤(ACE阻害剤)系降圧剤、β−遮断剤系降圧剤、カルシウムチャネル遮断剤系降圧剤、中枢作用性アドレナリン作用剤系降圧剤、利尿降圧剤、末梢血管拡張性降圧剤、抗脂血剤、胆汁酸抑制剤系抗脂血剤、HMG−COA還元酵素阻止剤系脂血剤、変力作用剤、強心配糖体変力作用剤、および血栓溶解剤など;外皮用剤、例えば、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、副腎皮質ステロイド系抗炎症剤、鎮痒剤/局所麻酔剤、局所用抗感染剤、抗真菌性局所用抗感染剤、抗ウイルス性局所用抗感染剤、および局所用抗悪性腫瘍剤など;電解剤および腎臓剤、例えば、酸性化剤、アルカリ化剤、利尿剤、炭酸脱水素阻害剤系利尿剤、ループ系利尿剤、浸透圧利尿剤、カリウム保持性利尿剤、チアジド系利尿剤、電解質補充剤、および尿酸排出促進剤など;酵素、例えば、膵酵素および血栓溶解酵素など;胃腸剤、例えば、止瀉剤、制吐剤、胃腸系抗炎症剤、サリチル酸系胃腸抗炎症剤、制酸性抗潰瘍剤、胃酸ポンプ阻害剤系抗潰瘍剤、胃粘膜用抗潰瘍剤、H−遮断剤系抗潰瘍剤、胆石溶解剤、消化剤、催吐剤、緩下剤および便軟化剤、ならびに蠕動促進剤など;全身麻酔剤、例えば、吸入麻酔剤、ハロゲン化吸入麻酔剤、静脈麻酔剤、バルビツール系静脈麻酔剤、ベンゾジアゼピン系静脈麻酔剤、およびオピエート作用剤系静脈麻酔剤など;血液作用剤、例えば、抗貧血剤、造血性抗貧血剤、凝固剤、抗凝固剤、止血性凝固剤、血小板抑制剤系凝固剤、血栓溶解酵素系凝固剤、および血漿増量剤など;ホルモン剤およびホルモン修飾剤、例えば、妊娠中絶剤、副腎剤、副腎皮質ステロイド系副腎剤、アンドロゲン剤、抗アンドロゲン剤、抗糖尿病剤、スルホニル尿素系抗糖尿病剤、抗低血糖剤、経口避妊剤、黄体ホルモン避妊剤、エストロゲン剤、妊娠促進剤、分娩促進剤、副甲状腺剤、下垂体ホルモン剤、黄体ホルモン剤、抗甲状腺剤、甲状腺ホルモン剤、および子宮収縮抑制剤など;免疫生物学的薬剤、例えば、免疫グロブリン、免疫抑制剤、トキソイド、およびワクチンなど;局所麻酔剤、例えば、アミド系局所麻酔剤およびエステル系局所麻酔剤など;筋骨格剤、例えば、抗痛風剤系抗炎症剤、副腎皮質ステロイド系抗炎症剤、金化合物系抗炎症剤、免疫抑制性膠炎症剤、非ステロイド系炎症剤(NSAID)、サリチル酸系抗炎症剤、骨格筋弛緩剤、神経筋遮断剤系骨格筋弛緩剤、および逆神経筋遮断剤系骨格筋弛緩剤など;神経剤、例えば、抗痙攣剤、バルビツール酸系抗痙攣剤、ベンゾジアゼピン系抗痙攣剤、抗片頭痛剤、抗パーキンソン病剤、抗めまい剤、オピエート作用剤、およびオピエート拮抗剤など;眼科剤、例えば、抗緑内障剤、β−遮断剤系抗緑内障剤、縮瞳性抗緑内障剤、散瞳剤、アドレナリン作用剤系散瞳剤、抗ムスカリン系散瞳剤、眼科用麻酔剤、眼科用抗感染剤、眼科用アミノ配糖体系抗感染剤、眼科用マクロライド系抗感染剤、眼科用キノロン系抗感染剤、眼科用スルホンアミド系抗感染剤、眼科用テトラサイクリン系抗感染剤、眼科用抗炎症剤、眼科用副腎皮質ステロイド系抗炎症剤、および眼科用非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)など;向精神剤、例えば、抗うつ剤、複素環系抗うつ剤、モノアミン酸化酵素阻害剤(MAOI)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、3環系抗うつ剤、抗躁病剤、抗精神病剤、フェノチアジン系抗精神病剤、抗不安剤、鎮痛剤、および催眠剤、バルビツール系の鎮痛剤および催眠剤、ベンゾジアゼピン系の抗不安剤、鎮痛剤、および催眠剤、ならびに覚醒剤など;呼吸器薬、例えば、鎮咳剤、気管支拡張剤、アドレナリン作用剤系気管支拡張剤、抗ムスカリン系気管支拡張剤、去痰剤、粘液溶解剤、呼吸器用抗炎症剤、および呼吸器用副腎皮質ステロイド系抗炎症剤など;毒物学的薬剤、例えば、解毒剤、重金属拮抗剤/キレート剤、薬物乱用薬、抑制性薬物乱用薬、および退薬性薬物乱用薬など;無機物;ならびにビタミン類、例えば、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、およびビタミンKなど。
【0144】
上記のカテゴリーの生物学的活性物質の種類の例には、以下のものなどがある:非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)系鎮痛剤、例えば、ジクロフェナク、イブプロフェン、ケトプロフェン、およびナプロキセンなど;オピエート作用剤系鎮痛剤、例えば、コデイン、フェンタニル、ヒドロモルフォン、およびモルヒネなど;サリチル酸系鎮痛剤、例えば、アスピリン(ASA)(腸溶コートされたASA)など;H−遮断剤系抗ヒスタミン剤、例えば、クレマスチンおよびテルフェナジンなど;H−遮断剤系抗ヒスタミン剤、例えば、シメチジン、ファモチジン、ニザジン、およびラニチジンなど;抗感染剤、例えば、ムピロシンなど;抗嫌気性菌抗感染剤、例えば、クロラムフェニコールおよびクリンダマイシンなど;抗真菌性抗生物質である抗感染剤、例えば、アンホテリシンb、クロトリマゾール、フルコナゾール、およびケトコナゾールなど;マクロライド系抗生物質である抗感染剤、例えば、アジスロマイシンおよびエリスロマイシンなど;種々のβ-ラクタム系抗生物質である抗感染剤、例えば、アズトレオナムおよびイミペネムなど;ペニシリン系抗生物質である抗感染剤、例えば、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンG、およびペニシリンVなど;キノロン系抗生物質である抗感染剤、例えば、シプロフロキサシンおよびノルフロキサシンなど;テトラサイクリン系抗生物質である抗感染剤、例えば、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、およびテトラサイクリンなど;抗結核抗ミコバクテリア性抗感染剤、例えば、イソニアジド(INH)、およびリファンピンなど;抗原虫性抗感染剤、例えば、アトバコンおよびダプソンなど;抗マラリア抗原虫性抗感染剤、例えば、クロロキンおよびピリメタミンなど;抗レトロイウルス性抗感染剤、例えば、リトナビルおよびジドブジンなど;抗ウイルス性抗感染剤、例えば、アシクロビル、ガンシクロビル、インターフェロンα、およびリマンタジンなど;アルキル化抗悪性腫瘍剤、例えば、カルボプラチンおよびシスプラチンなど;ニトロン尿素系アルキル化抗悪性腫瘍剤、例えば、カルムスチン(BCNU)など;代謝拮抗剤系抗悪性腫瘍剤、例えば、メトトレキセートなど;ピリミジン類似体系代謝拮抗剤系抗悪性腫瘍剤、例えば、フルオロウラシル(5−FU)およびゲムシタビンなど;ホルモン性抗悪性腫瘍剤、例えば、ゴセレリン、ロイプロリド、およびタモキシフェンなど;天然型抗悪性腫瘍剤、例えば、アルデスロイキン、インターロイキン−2、ドセタキセル、エトポシド(VP−16)、インターフェロンα、パクリタキセル、およびトレチノイン(ATRA)など;抗生物質系天然型抗悪性腫瘍剤、例えば、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダルノルビシン、ドキソルビシン、およびマイトマイシンなど;ビンカアルカロイド系天然型抗悪性腫瘍剤、例えば、ビンブラスチンおよびビンクリスチンなど;自律神経剤、例えば、ニコチンなど;抗コリン作用性自律神経剤、例えば、ベンズトロビンおよびトリヘキシフェニルジルなど;抗ムスカリン性抗コリン作用性自律神経剤、例えば、アトロピンおよびオキシブチニンなど;麦角アルカロイド系自律神経剤、例えば、ブロモクリプチンなど;コリン作動剤系副交感神経作動剤、例えば、ピロカルピンなど;コリンエステラーゼ阻害剤系副交感神経作動剤、例えば、ピリドスチグミンなど;α−遮断剤系交感神経遮断剤、例えば、パラゾシンなど;9−遮断剤系交感神経遮断剤、例えば、アテノロールなど;アドレナリン作用剤系交感神経遮断剤、例えば、アルブテロールおよびドブタミンなど;心血管作用剤、例えば、アスピリン(ASA)(腸溶コートされたASA)など;i−遮断剤系抗狭心症剤、例えば、アテノロールおよびプロプラノロールなど;カルシウムチャネル遮断剤系抗狭心症剤、例えば、ニフェジピンおよびベラパミルなど;硝酸系抗狭心症剤、例えば、硝酸イソソルビド(ISDN)など;強心配糖体系抗不整脈剤、例えば、ジゴキシンなど;クラスI抗不整脈剤、例えば、リドカイン、メキシレチン、フェニトイン、プロカインアミド、およびキニジンなど;クラスII抗不整脈剤、例えば、アテノロール、メトプロロール、プロプラノロール、およびチモロールなど;クラスIII抗不整脈剤、例えば、アミオダロンなど;クラスIV抗不整脈剤、例えば、ジルチアゼムおよびベラパミルなど;α−遮断剤系降圧剤、例えば、プラゾシンなど;アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)系降圧剤、例えば、カプトプリルおよびエナラプリルなど;β−遮断剤系降圧剤、例えば、アテノロール、メトプロロール、ナドロール、およびプロパノロールなど;カルシウムチャネル遮断剤系降圧剤、例えば、ジルチアゼムおよびニフェジピンなど;中枢作用性アドレナリン系降圧剤、例えば、クロニジンおよびメチルドパなど;利尿剤系降圧剤、例えば、アミロライド、フロセミド、ヒドロクロロチアジド(HCTZ)、およびスピロノラクトンなど;末梢血管拡張剤系降圧剤、例えば、ヒドララジンおよびミノキシジルなど;抗脂血剤、例えば、ゲムフィブロジルおよびプロブコールなど;胆汁酸抑制剤系抗脂血剤、例えば、コレスチラミンなど;HMG−CoA還元酵素阻害剤系抗脂血剤、例えば、ロバスタチンおよびプラバスタチンなど;変力剤、例えば、アムリノン、ドブタミン、およびドーパミンなど;強心配糖体系変力剤、例えば、ジゴキシンなど;血栓溶解剤、例えば、アルテプラーゼ(TPA)、アニストレプラーゼ、ストレプトキナーゼ、およびウロキナーゼなど;外皮用剤、例えば、コルチシン、イソトレチノイン、メトトレキセート、ミノキシジル、トレチノイン(ATRA);皮膚科用副腎皮質ステロイド系抗炎症剤、例えば、ベタメタゾンおよびデキサメタゾンなど;抗真菌性局所用抗感染剤、例えば、アンホテリシンB、クロトリマゾール、ミコナゾール、およびニスタチンなど;抗ウイルス性局所用抗感染剤、例えば、アシクロビルなど;局所用抗悪性腫瘍剤、例えば、フルオロウラシル(5−FU)など;電解剤および腎臓剤、例えば、ラクツロースなど;ループ系利尿剤、例えば、フロセミドなど;カリウム保持性利尿剤、例えば、トリアムテレンなど;チアジド系利尿剤、例えば、ヒドロクロロチアジド(HCTZ)など;尿酸排泄促進剤、例えば、プロベネシドなど;リボヌクレアーゼおよびデオキシリボヌクレアーゼなどの酵素;血栓溶解酵素、例えば、アルテプラーゼ、アニストレプラーゼ、ストレプトキナーゼ、およびウロキナーゼなど;制吐剤、例えば、プロクロルペラジンなど;サリチル酸系胃腸抗炎症剤、例えば、スルファサラジンなど;胃酸ポンプ阻害剤系抗潰瘍剤、例えば、オメプラゾールなど;H−遮断剤系抗潰瘍剤、例えば、シメチジン、ファモチジン、ニザチジン、およびラニチジンなど;消化剤、例えば、パンクレリパーゼなど;蠕動促進剤、例えば、エリスロマイシンなど;オピエート作用剤系静脈麻酔剤、例えば、フェンタニルなど;造血性抗貧血剤、例えば、エリスロポエチン、フィルグラスチム(G−CSF)、およびサルグラモスチム(GM−CSF);凝固剤、例えば、抗血友病因子1〜10(AHF1〜10)など;抗凝固剤、例えば、ワルファリンなど;血栓溶解酵素凝固剤、例えば、アルテプラーゼ、アニストレプラーゼ、ストレプトキナーゼ、およびウロキナーゼなど;ホルモン剤およびホルモン修飾剤、例えば、ブロモクリプチンなど;妊娠中絶剤、例えば、メトトレキセートなど;抗糖尿病剤、例えば、インスリンなど;経口避妊剤、例えば、エストロゲン剤および黄体ホルモン剤など;黄体ホルモン系避妊剤、例えば、レボノルゲストレルおよびノルゲストレルなど;エストロゲン剤、例えば、結合型エストロゲン剤、ジエチルスチルベストロール(DES)、エストロゲン(エストラジオール、エストロン、およびエストロピペート)など;妊娠促進剤、例えば、クロミフェン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、およびメノトロピン類など;カルシトニンなどの副甲状腺剤;下垂体ホルモン、例えば、デスモプレシン、ゴセレリン、オキシトシン、およびバソプレシン(ADH)など;プロゲスチン剤、例えば、メドロキシプロゲステロン、ノルエチンドロン、およびプロゲステロンなど;甲状腺ホルモン剤、例えば、レボチロキシンなど;免疫生物学的薬剤、例えば、インターフェロンβ−1bおよびインターフェロンγ−1bなど;免疫グロブリン剤、例えば、免疫グロブリンIM、IMIG、IGIMおよび免疫グロブリンIV、IVIG、IGIVなど;アミド系局所用麻酔剤、例えば、リドカインなど;エステル系局所用麻酔剤、例えば、ベンゾカインおよびプロカインなど;筋骨格副腎皮質ステロイド系抗炎症剤、例えば、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、およびプレドニゾンなど;筋骨格系抗炎症性免疫抑制剤、例えば、アザチオプリン、シクロホスファミド、およびメトトレキセートなど;筋骨格系非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、例えば、ジクロフェナク、イブプロフェン、ケトプロフェン、ケトルラク(ketorlac)、およびナプロキセンなど;骨格筋弛緩剤、例えば、バクロフェン、シクロベンザプリン、およびジアゼパムなど;逆神経筋遮断剤系骨格筋弛緩剤、例えば、ピリドスチグミンなど;神経科用薬剤、例えば、ニモジピン、リルゾール、タクリンおよびチクロピジンなど;抗痙攣剤、例えば、カルバマゼピン、ギャバベンチン、ラモトリジン、フェニトイン、およびバルプロ酸など;バルビツール酸系抗痙攣剤、例えば、フェノバルビタールおよびプリミドンなど;ベンゾジアゼピン系抗痙攣剤、例えば、クロナゼパム、ジアゼパム、およびロラゼパムなど;抗パーキンソン病剤、例えば、ブロモクリプチン、レボドパ、カルビドパ、およびペルゴリドなど;抗眩暈症剤、例えば、メクリジンなど;オピエート作用剤、例えば、コデイン、フェンタニル、ヒドロモルフォン、メタドン、およびモルヒネなど;オピエート拮抗剤、例えば、ナロキソンなど;β−遮断剤系抗緑内障剤、例えば、チモロールなど;縮瞳性抗緑内障剤、例えば、ピロカルピンなど;眼科用アミノ配糖体系抗感染剤、例えば、ゲンタマイシン、ネオマイシン、およびトブラマイシンなど;眼科用キノロン系抗感染剤、例えば、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、およびオフロキサシンなど;眼科用副腎皮質ステロイド系抗炎症剤、例えば、デキサメタゾンおよびプレドニゾロンなど;眼科用非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、例えば、ジクロフェナクなど;抗精神病剤、例えば、クロザピン、ハロペリドール、およびリスペリドンなど;ベンゾジアゼピン系の抗不安剤、鎮静剤および催眠剤、例えば、クロナゼパム、ジアゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、およびプラゼパムなど;覚醒剤、例えば、メチルフェニデートおよびペモリンなど;鎮咳剤、例えば、コデインなど;気管支拡張剤、例えば、テオフィリンなど;アドレナリン作用剤系気管支拡張剤、例えば、アルブテロールなど;呼吸器用副腎皮質ステロイド系抗炎症剤、例えば、デキサメタゾンなど;解毒剤、例えば、フルマゼニルおよびナロキソンなど;重金属拮抗剤/キレート剤、例えば、ペニシラミンなど;剤物乱用抑制剤、例えば、ジスルフィラム、ナルトレキソン、およびニコチンなど;退薬性薬物乱用剤、例えば、ブロモクリプチンなど;無機物、例えば、鉄分、カルシウム、およびマグネシウムなど;ビタミンB化合物、例えば、シアノコバラミン(ビタミンB12)およびナイアシン(ビタミンB)など;ビタミンC化合物、例えば、アスコルビン酸など;およびビタミンD化合物、例えば、カルシトリオールなど;組み換えβ−グルカン;ウシ免疫グロブリン濃縮物;ウシスーパオキシドジスムターゼ;フルオロウラシル、エピネフリン、およびウシコラーゲンを含む処方剤;組み換えヒルジン(r−Hir)、HIV−1免疫原;ヒト抗TAC抗体;組み換えヒト成長ホルモン(r−hGH);組み換えヒトヘモグロビン(r−Hb);組み換えヒトメカセルミン(r−IGF−1);組み換えインターフェロンβ−1a;ルノグラスチム(G−CSF);






オランザピン;組み換え甲状腺刺激ホルモン(r−TSH);トポテカン;アシクロビルナトリウム;アルデスロイキン;アテノロール;硫酸ブレオマイシン、ヒトカルシトニン;サケカルシトニン;カルボプラチン;カルムスチン;ダクチノマイシン、ダウノルビシンHCl;ドセタキセル;ドキソルビシンHCl;エポエチンアルファ;エトポシド(VP−16);フルオロウラシル(5−FU);ガンシクロビルナトリウム;硫酸ゲンタマイシン;インターフェロンα;酢酸ロイプロリド;メペリジンHCl;メタドンHCl;メトトレキセートナトリウム;パクリタキセル;ラニチジンHCl;硫酸ビンブラスチン;ならびにジドブジン(AZT)。
【0145】
上記カテゴリーの生物学的活性物質のさらに具体的な例には、以下のものが含まれる。すなわち、抗悪性腫瘍剤、例えば、アンドロゲン阻害剤、代謝拮抗剤、細胞毒性剤、および免疫調節剤など;鎮咳剤、例えば、デキストロメトルファン、臭化水素酸デキストロメトルファン、ノスカピン、クエン酸カルベタペンタン、および塩酸クロルフェジアノールなど;抗ヒスタミン剤、例えば、マレイン酸クロルフェニラミン、酒石酸フェニンダミン、マレイン酸ピリラミン、コハク酸ドキシラミン、およびクエン酸フェニルトロキサミンなど;鬱血除去剤、例えば、塩酸フェニレフリン、塩酸フェニルプロパノールアミン、塩酸プソイドエフェドリン、およびエフェドリンなど;さまざまなアルカロイド剤、例えば、リン酸コデイン、硫酸コデインおよびモルヒネなど;無機補助剤、例えば、塩化カリウム、塩化亜鉛、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、ならびに他のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩など;イオン交換樹脂、例えば、コレスチラミンなど;N−アセチルプロカインアミンなどの抗不整脈剤;解熱剤および鎮痛剤、例えば、アセトアミノフェン、アスピリンおよびイブプロフェンなど;食欲抑制剤、例えば、塩酸フェニルプロパノールアミンまたはカフェインなど;グアイフェネシンなどの去痰剤;制酸剤、例えば、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムなど;生物剤、例えば、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質およびアミノ酸、ホルモン、インターフェロンもしくはサイトカイン、ならびにその他の生物活性ペプチド化合物、例えば、変異体および類似体を含むインターロイキン1〜18、RNase、DNase、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)および類似体、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)、トランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)、線維芽細胞成長因子(FGF)、腫瘍壊死因子−αおよびβ(TNF−αおよびβ)、神経成長因子(NGF)、成長ホルモン放出因子(GHRF)、上皮細胞成長因子(EGF)、線維芽細胞成長因子相同因子(FGFHF)、肝細胞増殖因子(HGF)、インスリン増殖因子(IGF)、浸潤阻害因子−2(IIF−2)、骨形態形成タンパク質1〜7(BMP1〜7)、ソマトスタチン、チモシン−α−1、T−グロブリン、スーパオキシドジスムターゼ(SOD)、補体因子、hGH、tPA、カルシトニン、ANF、EPO、およびインスリンなど;ならびに抗感染剤、例えば、抗真菌剤、抗ウイルス剤、消毒剤、および抗生物質など。
【0146】
また、生物活性物質には、放射線増感剤、例えば、メトクロプラミド、センサミド(sensamide)またはノイセンサミド(neusensamide)(Oxigene社製造);プロフィロマイシン(Vion社作製);RSR13(Allos社作製);チミタック(Thymitaq)(Agouron社作製)、エタニダゾールまたはロベングアン(lobenguane)(Nycomed製造);ガドリニウムテキサフリン(Pharmacyclics社作製);BuDR/ブロキシン(Broxine)(NeoPharm社作製);IPdR(Sparta社作製);CR2412(Cell Therapeutic社作製);LlX(Terrapin社作製)などもある。
【0147】
生物活性物質には、以下のものがある:胃腸管または消化器系用の医薬品、例えば、制酸剤、還流抑制剤、整腸剤、抗ドーパミン作動薬、プロトンポンプ阻害薬、H2−受容体拮抗薬、細胞保護薬、プロスタグランジン類似薬、緩下薬、鎮痙薬、止瀉薬、胆汁酸抑制薬、およびオピオイドなど;循環器系用医薬品、例えば、β−受容体遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、利尿薬、強心配糖体、抗不整脈薬、硝酸塩、抗狭心症薬、血管収縮薬、血管拡張薬、末梢血管賦活薬、ACE阻害薬、アンジオテンシン受容体遮断薬、α遮断薬、抗凝血薬、ヘパリン、HSGAG、抗血小板薬、線維素溶解薬、抗血友病因子、止血薬、脂質低下薬、およびスタチンなど;中枢神経系用医薬品、例えば、催眠薬、麻酔薬、抗精神病薬、抗鬱薬、制吐薬、抗痙攣薬、抗癲癇薬、抗不安薬、バルビツール酸塩、運動障害薬、興奮剤、ベンゾジアゼピン、シクロピロロン、ドーパミン拮抗薬、抗ヒスタミン薬、コリン作用薬、抗コリン薬、催吐薬、カンナビノイド、5−HT拮抗薬など;疼痛および/または意識用の医薬品、例えば、NSAID、オピオイド、およびパラセタモールなどの希用薬、三環系抗鬱薬、および抗痙攣薬など;筋骨格疾病用、例えば、NSAID、筋弛緩剤、および神経筋薬抗コリンエステラーゼなど;眼用医薬品、例えば、アドレナリン作動神経細胞遮断薬、収斂薬、眼潤滑剤、局所麻酔薬、交感神経模倣薬、副交感神経遮断薬、散瞳薬、毛様体麻痺薬、抗生物質、局所用抗生物質、サルファ剤、アミノ配糖体、フルオロキノロン、抗ウイルス薬、抗真菌薬、イミダゾール、ポリエン、NSAID、副腎皮質ステロイド、肥満細胞阻害薬、アドレナリン作用薬、β−遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬/高浸透圧剤、コリン作用薬、縮瞳薬、副交感神経刺激薬、プロスタグランジン作用薬/プロスタグランジン拮抗薬、ニトログリセリンなど;耳、鼻および中咽頭用の医薬品、例えば、交換神経模倣薬、抗ヒスタミン薬、抗コリン薬、NSAID、ステロイド、消毒薬、局所麻酔薬、抗真菌薬、耳垢溶解薬など;呼吸器系用医薬品、例えば、気管支拡張薬、NSAID、抗アレルギー薬、鎮咳薬、粘液溶解薬、鬱血除去薬、副腎皮質ステロイド、β−受容体拮抗薬、抗コリン薬、ステロイドなど;内分泌障害用医薬品、例えば、アンドロゲン、抗アンドロゲン薬、ゴナドトロピン、副腎皮質ステロイド、成長ホルモン、インスリン、抗糖尿病薬、甲状腺ホルモン、抗甲状腺薬、カルシトニン、ジホスホン酸塩、およびバソプレシン類似薬など;生殖器官または泌尿器官用の医薬品、例えば、抗真菌薬、アルカリ化薬、キノロン、抗生物質、コリン作用薬、抗コリン薬、抗コリンエステラーゼ薬、鎮痙薬、5−α還元酵素阻害薬、選択的α−1遮断薬、およびシルデナフィルなど;避妊用医薬品、例えば、経口避妊薬、殺精子薬、および持続性避妊薬など;産婦人科用医薬品、例えば、NSAID、抗コリン薬、止血剤、抗線維素溶解薬、ホルモン補充療法薬、骨調節薬、β−受容体作用薬、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、LHRHガモレン酸、ゴナドトロピン放出阻害薬、黄体ホルモン薬、ドーパミン作用薬、エストロゲン、プロスタグランジン、ゴナドレリン、クロミフェン、タモキシフェン、およびジエチルスチルベストロールなど;皮膚用医薬品、例えば、軟化薬、鎮痒薬、抗真菌薬、消毒薬、疥癬虫殺虫剤、シラミ撲滅剤、タール製品、ビタミンA誘導体、ビタミンD類似体、角質溶解薬、研磨剤、全身性抗生物質、局所用抗生物質、ホルモン、消炎薬(desloughing agent)、浸出液吸収薬、線維素溶解薬、タンパク質分解薬、日焼け止め、制汗剤、および副腎皮質ステロイドなど;感染症および寄生症用の医薬品、例えば、抗生物質、抗真菌薬、抗ハンセン菌薬、抗結核薬、抗マラリア薬、駆虫薬、抗アメーバ薬、抗ウイルス薬、抗原虫薬、および抗血清など;免疫系用医薬品、例えば、ワクチン、免疫グロブリン、免疫抑制薬、インターフェロン、モノクローナル抗体など;アレルギー性疾患用医薬品、例えば、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、およびNSAIDなど;栄養用医薬品、例えば、強壮剤、鉄剤、電解剤、ビタミン類、抗肥満薬、同化薬、血液製剤、および食物剤など;腫瘍性疾患用医薬品、例えば、細胞毒性薬、性ホルモン、アロマターゼ阻害薬、ソマトスタチン阻害薬、組み換えインターロイキン、G−CSF、およびエリスロポエチンなど;診断用医薬品、例えば、造影剤など;ならびに癌用医薬品(抗癌剤)。
【0148】
疼痛用医薬品(例えば、鎮痛薬)の例には以下のものがある。すなわち、オピノイド、例えば、ブプレノルフィン、ブトルファノール、デキストロプロポキシフェン、ジヒドロコデイン、フェンタニル、ジアモルヒネ(ヘロイン)、ヒドロモルフォン、モルヒネ、ナルブフィン、オキシコドン、オキシモルフォン、ペンタジシン、ペチジン(メペリジン)、およびトラマドールなど;サリチル酸および誘導体、例えば、アセチルサリチル酸(アスピリン)、ジフルニサル、およびエテンザミドなど;ピラゾロン類、例えば、アミノフェナゾン、メタミゾール、およびフェナゾンなど;アニリド類、例えば、パラセタモール(アセトアミノフェン)、フェナセチンなど;ならびに、その他、ジコノチドおよびテトラジロカナビノール(tetradyrocannabinol)など。
【0149】
血圧用薬(例えば、血圧降下薬および利尿剤)の例には以下のものがある。すなわち、抗アドレナリン作用薬、例えば、クロニジン、ドキサゾシン、グアネチジン、グアンファシン、メカミラミン、メチルドパ、モクソニジン、プラゾシン、レシナミン、およびレセルピンなど;血管拡張薬、例えば、ジアゾキシド、ヒドララジン、ミノキシジル、およびニトロプルシドなど;低限界(low ceiling)利尿薬、例えば、ベンドロフルメチアジド、クロロチアジド、クロルタリドン、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、キネタゾン、マーサリル、メトラゾン、およびテオブロミンなど;高限界(high ceiling)利尿薬、例えば、ブメタニド、フロセミド、およびトラセミドなど;カリウム保持性利尿薬、例えば、アミロリド、エプレレノン、スピロノラクトン、およびトリアムテレン;ならびにその他の血圧降下薬、例えば、ボセンタンおよびケタンセリンなど。
【0150】
抗血栓薬(例えば、血栓溶解薬、抗凝血薬、および血小板凝集阻害薬)の例には以下のものがある。すなわち、ビタミンK拮抗薬、例えば、アセノクマロール、クロリンジオン、ジクマロール、ジフェナジオン、ビスクマ酢酸エチル、フェンプロクモン、フェンニンジオン、チオクロマロール、およびワルファリンなど;ヘパリン群(血小板凝集阻止薬)、例えば、アンチトロンビンIII、ベミパリン、ダルテパリン、ダナパロイド、エノキサパリン、ヘパリン、ナドロパリン、パルナパリン、レビパリン、スロデキシド、およびチンザパリン;他の血小板凝集阻止薬、例えば、アブシキシマブ、アセチルサリチル酸(アスピリン)、アロキシプリン、ベラプロスト、ジタゾール、カルバサラートカルシウム、クロリクロメン、クロピドグレル、ジピリダモール、エポプロステノール、エプチフィバチド、インドブフェン、イロプロスト、ピコタミド、プラスグレル、チクリピジン、チロフィバン、トレプロスチニル、およびトリフルサルなど;酵素、例えば、アルテプラーゼ、アンクロド、アニストレプラーゼ、ブリナーゼ、ドロトレコギンα、フィブリノリジン、プロセインC、レテプラーゼ、サルプラーゼ、ストレプトキナーゼ、テネクテプラーゼ、およびウロキナーゼなど;トロンビン直接阻害薬、例えば、アルガトロバン、ビバリルジン、デシルジン、レピルジン、メラガトラン、およびキシメラガトランなど;その他の抗血栓薬、例えば、ダビガトラン、デフィブロチド、デルマタン硫酸、フォンダパリヌクス、およびリバロキサバンなど;その他、クエン酸塩、EDTA、およびシュウ酸塩など。
【0151】
抗痙攣薬の例には、以下のものがある。すなわち、バルビツール酸塩、例えば、バルベキサクロン、メタルビタール、メチルフェノバルビタール、フェノバルビタール、およびプリミドンなど;ヒダントイン類、例えば、エトトイン、ホスフェニトイン、メフェニトイン、およびフェニトインなど;オキサゾリジンジオン類、例えば、エタジオン、パラメタジオン、およびトリメタジオンなど;スクシンイミド類、例えば、エトサクシミド、メスキシミド、およびフェンスクシミドなど;ベンゾジアゼピン類、例えば、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼプ酸、ジアゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、およびニトラゼパムなど;カルボキサミド類、例えば、カルバマゼピン、オキシカルバマゼピン、ルフィナマイドなど;脂肪酸誘導体、例えば、バルプロミドおよびバルノクタミドなど;カルボン酸、例えば、バルプロ酸、チアギャビンなど;GABA類似体、例えば、ギャバペンチン、プレガバリン、プロガビド、およびギババトリン(givabatrin)など;トピラメートなどの単糖類;スチリペントールなどの芳香族アリル型アルコール類;尿素類、例えば、フェナセミドおよびフェネトライドなど;カルバメート類、例えば、エミルカメート、フェルバメート、およびメプロバメートなど;ピロリジン類、例えば、ブリバラセタム、レベチラセタム、ネフィラセタム、およびセレトラセタムなど;サルファ剤、例えば、アセタゾラミド、エトキシゾラミド、スルチアム、およびゾニサミドなど;プロピオン酸塩類、例えば、ベクラミドなど;アルデヒド類、例えば、パラアルデヒドなど;ならびに臭化物、例えば、臭化カリウムなど。
【0152】
抗癌薬の例には以下のものがある。すなわち、アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドリアマイシン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ビスナフィドジメシレート;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナールナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール;クロランブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;クリスナトールメシレート;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;デザグアニンメシレート;ジアジクオン;ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン;エダトレキセート;塩酸エフロルニチン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;リン酸エストラムスチンナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン;フォスキドン;フォストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシウレア;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモフォシン;インターフェロンα−2a;インターフェロンα−2b;インターフェロンα−n1;インターフェロンα−n3;インターフェロンβ−Ia;インターフェロンγ−Ib;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;メイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキセート;メトトレキセートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン;マイトマイシン;ミトスペル;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;マイコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルフォスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;プラゾフリン;リボプリン;ログレチミド;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルフォセートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル;タリソマイシン;テコガランナトリウム;テガフール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;塩酸トポテカン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシビリン;トリメトレキセート;グルクロン酸トリメトレキセート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;および塩酸ゾルビシンなど。
【0153】
その他の生物活性物質には、基礎および臨床薬理学(Basic and Clinical Pharmacology)(LANGE BasicScience), KatzungおよびKatzung, ISBN 0071410929, McGraw- Hill Medical, 9thedition (2003)に記載されているものなどがある。
【0154】
病状 本発明の実施形態は、広範な病状の任意のものを診断、管理、および/または治療する際に1つ以上の生物活性物質を観察する上で用いることができる。病状のさまざまなカテゴリーには、例えば、以下のものなどがある。すなわち、疼痛障害;体温変化障害(例えば、発熱);自律神経機能不全障害(例えば、失神、筋肉痛、運動障害、知覚麻痺、感覚消失、精神錯乱、認知症、記憶喪失、睡眠障害);眼、耳、鼻および咽頭の障害;循環機能および/または呼吸機能の障害(例えば、呼吸困難、肺水腫、咳、喀血、高血圧症、心筋梗塞、低酸素症、チアノーゼ、心血管虚脱、鬱血性心不全、浮腫、ショック);消化管機能障害(例えば、嚥下障害、下痢、便秘、消化管出血、黄疸、腹水、消化不良、嘔気、嘔吐);腎臓および泌尿器系機能の障害(例えば、アシドーシス、アルカローシス、体液および電解質の平衡異常、高窒素血症、尿の異常);性機能および生殖の障害(例えば、勃起不全、月経障害、多毛症、男性化、不妊症、妊娠関連障害、および標準的測定);皮膚の障害(例えば、湿疹、乾癬、座瘡、酒さ、皮膚感染症、免疫性皮膚疾患、光線過敏症);血液の障害(例えば、血液学的疾患);遺伝子の障害(例えば、遺伝性疾患);薬物反応の障害(例えば、有害薬物反応);ならびに栄養の障害(例えば、肥満、摂食障害、栄養評価)。本発明の実施形態が有用である、その他の医療分野には、腫瘍学(例えば、腫瘍、悪性腫瘍、血管新生、傍腫瘍性症候群、腫瘍性偶発症);血液学(例えば、貧血症、異常血色素症、巨赤芽球性貧血、溶血性貧血、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、骨髄機能不全、真性多血症、骨髄増殖性疾患、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ性悪性疾患、形質細胞疾患、輸血生物学、移植);鬱血(例えば、血液凝固障害および血栓症、血小板および血管壁の障害);ならびに、感染症(例えば、敗血症、敗血症ショック、原因不明の発熱、心内膜炎、刺傷、火傷、骨髄炎、膿瘍、食中毒、胎盤内炎症性疾患、細菌性疾患(グラム陽性菌、グラム陰性菌、種々の細菌(ノカルジア菌、アクチノマイセス菌、混合菌)、マイコバクテリア、スピロヘータ、リケッチア、マイコプラズマ);クラミジア感染症;ウイルス(DNA、RNA)感染症、真菌感染症、および藻類感染症;原虫感染症および蠕虫感染症;内分泌疾患;栄養疾患;ならびに代謝性疾患などが含まれる。
【0155】
本発明の実施形態が有用である、その他の病状および/または医療分野には、ハリソン内科学(Harrison 's Principles of Internal Medicine)、Kasper et al., ISBN 0071402357, McGraw-Hill Professional, 16th edition (2004)に記載されたもの、およびロビンス基礎病理学(Robbins Basic Pathology)、Kumar, Cotran, and Robbins, eds., ISBN 1416025340, Elsevier, 7th edition (2005)に記載されたものなどがある。
【0156】
本明細書に記載された発明のさまざまな実施形態を用いて実施することができる医学的検査(例えば、血液検査、尿検査、および/またはヒトもしくは動物のその他の組織検査)には、以下のものが含まれる。例えば、一般的な化学検査(例えば、分析物は、アルブミン、血中尿素窒素、カルシウム、クレアチニン、マグネシウム、リン、総タンパク質、および/または尿酸など);電解質検査(例えば、分析物は、ナトリウム、カリウム、塩化物、および/または二酸化炭素など);糖尿病検査(例えば、分析物は、ブドウ糖、ヘモグロビンA1C、および/またはミクロアルブミンなど);脂質検査(例えば、分析物は、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、コレステロール、トリグリセリド、低密度リポタンパクコレステロール、および/または高密度リポタンパクコレステロールなど);栄養評価(例えば、分析物は、アルブミン、プレアルブミン、トランスフェリン、レチノール結合タンパク質、α1−酸性糖タンパク質、および/またはフェリチンなど);肝臓検査(例えば、分析物は、アラニントランスアミナーゼ、アルブミン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、直接型ビリルビン、γグルタミルトランスアミナーゼ、乳酸脱水素酵素、免疫グロブリンA、免疫グロブリンG、免疫グロブリンM、プレアルブミン、総ビリルビン、および/または総タンパク量などがある);心臓検査(例えば、分析物は、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、心臓トロンポニン−1、クレアチンキナーゼ、クレアチンキナーゼMBイソ酵素、高感度CRP、マスクレアチンキナーゼMBイソ酵素ミオグロビン、および/またはN−末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチドなど);貧血検査(例えば、分析物は、フェリチン、葉酸、ホモシステイイン、ハプトグロビン、鉄分、可溶性トランスフェリン受容体、総鉄結合能、トランスフェリン、および/またはビタミンB12など);膵臓検査(例えば、分析物は、アミラーゼおよび/またはリパーゼなど);腎障害(例えば、分析物は、アルブミン、α1−ミクログロブリン、α2−マクログロブリン、β2−ミクログロブリン、シスタチンC、レチノール結合タンパク質、および/またはトランスフェリンなど);骨検査(例えば、分析物は、アルカリホスファターゼ、カルシウム、および/またはリンなど);癌マーカーモニタリング(例えば、分析物は、総PSA量など);甲状腺検査(例えば、分析物は、遊離チロキシン、遊離トリヨードチロニン、チロキシン、甲状腺刺激ホルモン、および/またはトリヨードチロニンなど);受胎能検査(例えば、分析物は、β−ヒト絨毛性ゴナドトロピンなど);治療薬物モニタリング(例えば、分析物は、カルバマゼピン、ジゴキシン、ジギトキシン、ゲンタマイシン、リドカイン、リチウム、N−アセチルプロカインアミド、フェノバルビタール、フェニトイン、プロカインアミド、テオフィリン、トブラマイシン、バルプロ酸、および/またはバンコマイシンなど);免疫抑制薬(例えば、分析物は、シクロスポリンA、シロリムス、および/またはタクロリムスなど);補体活性および/または自己免疫疾患の検査(例えば、分析物は、C3補体、C4補体、C1阻害剤、C反応性タンパク質、および/またはリウマチ因子など);ポリクローン性/単クローン性異常γグロブリン血症(例えば、分析物は、免疫グロブリンA、免疫グロブリンG、免疫グロブリンM、κ型および/またはλ型のIg軽鎖、免疫グロブリンGサブクラス1、2、3、および/または4など);感染症の検査(例えば、分析物は、抗ストレプトリジンOなど);炎症性疾患の検査(例えば、分析物は、α1−酸性糖タンパク質、α1−アンチトリプシン、セルロプラスミン、C反応性タンパク質、および/またはハプトグロビンなど);アレルギー検査(例えば、分析物は、免疫グロブリンEなど);尿タンパク質検査(例えば、分析物は、α1−ミクログロブリン、免疫グロブリンG、κ型および/またはλ型のIg軽鎖、ミクロアルブミン、および/または尿/脳脊髄液タンパク質など);CSF−タンパク質の検査(例えば、分析物は、免疫グロブリンGおよび/または尿/脳脊髄液タンパク質など);毒物学的検査(例えば、分析物は、血清アセトアミノフェン、血清バルビツール酸、血清ベンゾジアゼピン、血清サリチル酸塩、血清三環系抗鬱薬、および/または尿中エチルアルコールなど);および/または乱用薬物の検査(例えば、分析物は、アンフェタミン、コカイン、バルビツール酸塩、ベンゾジアゼピン、エクスタシー、メタドン、アヘン、フェンシクリジン、テトラヒドロカンナビノイド、プロポキシフェン、および/またはメタカロンなど)。ある実施形態において、NMR装置は、巨大で高価な統合型分析器、例えば、化学発光、比濁法、光度測定法、および/または多重センサー技術を組み込んだ統合型分析器に置き換わることができる。その他の分析物には、ティーツ臨床化学および分子診断学教科書(the Tietz Textbook of Clinical Chemistryand Molecular Diagnostics)、Burtis, Ashwood,およびBruns, ISBN 0721601898, Elsevier, 4th edition (2006)に記載されたものなどがある。
【0157】
NMRシステム/装置 図1は、RF励起に対する液体試料のエコー応答を検出して、液体試料中の分析物の有無および/または濃度を検出するためのNMRシステム100の概略図である。バイアス磁石102は、試料106を通り抜けるバイアス磁界Bb104を作り出す。ナノ粒子は、液体試料106がウェル108の中に導入されるまでは、試料用ウェル108の中で凍結乾燥状態になっている(本明細書において、「ウェル」という用語は、あらゆるくぼみ、容器、または支持体を含む)が、液体試料をウェル108の中に導入する前に、ナノ粒子を試料106に添加することも可能である。RFコイル110およびRFオシレータ112は、バイアス磁界Bbの一次関数である、ラーモア周波数におけるRF励起をもたらす。RFコイル110は、試料ウェル108の回りに巻き付いている。RF励起は、水プロトン(または非水性溶媒中の遊離プロトン)のスピンに不安定性を生じさせる。RF励起をオフにすると、プロトンが「緩和」して、元の状態に戻り、分析物の濃度に特定のRFシグナルを発する。コイル110がRFアンテナとして働いて、緩和の「エコー」を検出する。目的とするエコーは、そのうちに(通常10〜300ミリ秒)減衰し、T2シグナルと呼ばれる。コイル110からのRFシグナルを114で増幅され、バイアス磁界Bbにおける励起に対するT2(減衰時間)応答を測定するために処理される。ウェル108は、マイクロリットル単位の分析物を入れた小型の毛細管チューブであって、その回りに微小コイルを巻き付けられている。あるいは、このコイルは、ウェル108の周囲またはその近傍に図2A〜Eのいずれかに示したように構成することもできる。
【0158】
図2A〜Eは、微小NMRコイル(RFコイル)の構成を図示したものである。図2Aは、長さ約100μmの巻きソレノイドコイル200を示す。図2Bは、直径約1000μmの「平面」コイル202を示す(このコイルは、有限厚(finite thickness)をもつため、正確には平面ではない)。図2Cは、長さ×幅が100μm×500μmで、約0.02μLの体積を形成しているMEMSソレノイドコイル204を示している。図2Dは、MEMSヘルムホルツコイル206の構成の概略を示し、また、図2Eは、サドルコイル220の構成の概略を示している。
【0159】
伝統的なNMR(非MRS)検出法に用いる巻きソレノイド微小コイル200については、Seeberら「核磁気共鳴および画像化のための高感度微小受信コイル装置の設計と試験(Design and testing of high sensitivity micro-receiver coil apparatus for nuclear magnetic resonance and imaging)」、Ohio State University, Columbus, Ohioに記載されている。伝統的なNMR検出法に使用される平面微小コイル202については、Massinら、「マイクロNMR分光法のための高Q係数RF平面微小コイル(High Q factor RF planar microcoil for micro-scale NMR spectroscopy)」、 Sensors and Actuators A 97-98, 280- 288 (2002)に記載されている。ヘルムホルツコイル206の構造は、試料保持用のウェル208、上部Si層210、底部Si層212、および付着金属コイル214を特徴とする。伝統的なNMR検出法に使用されるヘルムホルツコイル206の構造の一例が、Symsら、「磁気共鳴分光法のためのMEMSヘルムホルツコイル(MEMS Helmholz Coils for Magnetic Resonance Spectroscopy)」、Journal of Micromechanics and Micromachining 15 (2005) S1-S9に記載されている。
【0160】
異なったコイル構造によって、異なったパフォーマンス特性をもたらされるため、微小NMR−MRS技術を例示的に実施するために、コイル構造を選択または適合させることができる。例えば、これらのコイル形状のそれぞれが異なった性能と磁界配列とをもつ。平面コイル202は、コイルの平面に垂直のRF磁界をもつ。ソレノイドコイル200は、コイルの軸の下側にRF磁界をもち、ヘルムホルツコイル206は、2つの長方形コイル214を横断するRF磁界を有する。ヘルムホルツコイル206およびサドルコイル220は、ウェルの上下に永久磁石バイアス磁界を設置することを可能にする横断磁界を有する。ヘルムホルツコイル206およびサドルコイル220が、チップを設計するには最も効果的であるが、試料とMRSナノ粒子が微量チューブに保持される場合には、ソレノイドコイル200が最も効果的である。
【0161】
マイクロNMR装置は、コイルを巻くかプリントして、または、微小電気機械システム(MEMS)半導体製造技術によって作ることができる。例えば、巻き付けられたかプリントされたコイル/試料ウェルのモジュールは、直径約100μmか、1センチメートルまたはそれよりも大きい。MEMSユニットまたはMEMSチップ(半導体工程においてウエハー上で金型として製造されるため、このように名付けられている)は、特定の寸法において、例えば、約10μmから約1000μmのコイルをもつことができる。巻き付けられたかプリントされたコイル/試料ウェルの構造は、本明細書においてモジュールと呼ばれ、またMEMS用のものはチップと呼ばれる。例えば、液体試料108を、コイルが巻き付けられているチューブ(例えば、毛細管、ピペット、またはマイクロチューブ)の中に保持することができ、または、RFコイルがウェルの回りにあるチップ上のウェルの中で保持することもできる。
【0162】
図3は、液体試料を入れるための微小ウェル302の中で磁性ナノ粒子を用いるNMRシステムであって、ウェル302が基質(チップ、支持体)306上でRFコイル304に囲まれており、バイアス磁界を発生させるための磁石308が基質306上に置かれているNMRシステム300の概略図である。このマイクロNMRユニット300は、MEMS技術を用いて製造することができる。MRSナノ粒子を含むウェル302は、RFコイル304に囲まれ、ついで、バイアス磁界磁石308に囲まれている。この永久磁石は、基質306上に置かれている。シグナルを増幅および/またはその他調整するための電子装置310が、RFコイル304のすぐ周囲に図示されている。この構造は、MEMSシリコン法で作ることができるが、その場合、コイル304と磁石308をチップの表面上に付着させ、標準的な半導体製造技術を用いて電子装置310を作製する。
【0163】
図4Aは、微小ウェル402の中で磁性ナノ粒子を用いるNMRシステムであって、上下(top−to−bottom)バイアス磁界406を発生させるための磁石404がチップ上に置かれていないNMRシステム400の概略図である。磁石404は、ウェル402の上下にある。バイアス磁界406は、外部磁石404によって生じる。NMRに必要な高バイアス磁界406を作り出すためには、バイアス磁石404を、ウェル402とRFコイル408の非常に近いところに置かなければならない。これは、寸法が非常に小さく、永久磁石をウェル/コイルから1mm以内に持って来ることができるため、マイクロNMR設計によって行うことができる。この構成では、RFコイルは、そのRF磁界410が、2つの磁石404によって作り出されたバイアス磁界406に垂直である初期の磁界を有するヘルムホルツコイル206またはサドルコイル220が選択される。この構成では、チップ上のRFコイル408が、RF励起とRFエコー検知の両方の機能を備える。回路412が、励起モードと検知モードの切り換えを行わなければならない。
【0164】
図4Bは、微小ウェル402の中で磁性ナノ粒子を用いるNMRシステム420であって、側側(side−to−side)バイアス磁界を発生させるための磁石404がチップ上に置かれていないNMRシステム420の概略図である。磁石404はウェルに近接している。
【0165】
図5Aは、単一のウェル402を、外部RF励起コイル502とともに有するNMRシステム500の概略図である。磁石404はチップの外部にあってもよいし、磁石404はチップに付着していてもよい。この構成におけるRF励起は、別個の外部にあるRFコイル502によって与えられる。これによって、製造上の制限(例えば、材料、厚さ、断面などの選択)によって制約を受ける可能性のあるチップ上の検知コイル408とは別個の励起RFコイル502の最適化が可能になる。この構成では、励起磁界は、マイクロNMRユニットの外側を巻いているソレノイド502によって作り出され、ソレノイド502は、バイアス磁石404によって作り出されたRF検知コイル408の平面内にあるバイアス磁界に垂直な磁界を作り出す。
【0166】
モジュール法は(MEMS法と対照的に)、図1のNMR構成100の微細化をもたらす。液体試料をMRSナノ粒子とともに、ソレノイド型RFコイル110で回りを巻かれた小型チューブ108に入れて、バイアス磁界104の内側に置く。このシステムのMEMSシステムに対する長所は、そのより大量の試料、または物理的により大きな分析物および/またはMRS粒子にある。
【0167】
多数のウェル/コイルユニットのパネルまたは配列をさまざまな実施形態で使用することができる。パネルには、分析物の検出および/または分析物の濃度測定の感度、精度、および/または再現性を高めるために重複した試験/ナノ粒子を入れることができる。多重試験により、さまざまな診断テストを同時に行うことができる。図5Bは、ウェル522の配列を、外部RF励起コイル502および外部バイアス磁石404とともに有するNMRシステム520の概略図である。
【0168】
複数ウェルの構成が図6A〜Dに示されている。図6Aは、単一のウェル/コイルの組合せ600を示している。このウェル/コイルの組合せ600を、図6Bの多重ウェルアレイ610は図に示されているように、所望の数だけ繰り返し備える。図6Cは、異なった分析物を検出するためにカスタマイズされた、異なったナノ粒子を含む複数のウェルを有するNMRシステム611の概略図である。異なった試験用のナノ粒子を各ウェル612、614、616、618に入れて、異なった分析物の検査を考案する。図6Dは、精度、感度、および/または再現性を高めるために多重データ点(重複測定値)を得るための同一のナノ粒子とともにウェルのグループを有するNMRシステム620の概略図である。一定の試験に必要な高い精度、感度、および/または再現性をもたらすために、例えば、分析物Aを検出するためのウェル622、624、626、628、および分析物Bを検出するための630、632、634で一定の試験を重複して行う。
【0169】
図7は、電気部品など、NMRシステム700の主要構成要素を図示したブロック図である。励起RFがRF発生装置708によってもたらされている時に、センサー(緩和測定装置T2センサー)702が、試料ウェル704からの緩和エコーを、シグナル処理ユニット706に与える。
【0170】
図8は、複数のウェルおよび検知コイルおよび外部RF励起コイルを有するNMRシステム800のブロック図である。このブロック図は、この構成における基本回路要素を有する。RF検知コイルとその関連受動素子810を示すが、この関連受動素子810は、対応するウェルからの周波数応答に適した誘導子、抵抗素子、および/またはコンデンサ素子を有する。各シグナルを、オンチップ増幅装置820によって増幅し、多重化またはスイッチ830で多重化されてオフチッププロセッサ840に送られるか、または、多重化またはスイッチ830で逐次的に切り換えられてオフチッププロセッサ840に送られる。切り換えるのが実用的である。なぜなら、例えば、100個の試料ウェルを順に用いると、1回のエコーパルスは約500ms続くため、経過する処理時間は約50秒以下でもよい。オフチッププロセッサ840がデータを管理し、時間ドメイン842と周波数ドメイン844の両方の解析を行って、ナノ粒子凝集の作用を検出する。RF発生装置850が、適当なラーモア周波数で外部RFコイル860を駆動してバイアス磁界を形成する。RF発生装置850は、オフチッププロセッサ840によって制御されてもよいし、されなくてもよい。
【0171】
図9は、複数のウェルおよび検知コイルを有するが、外部RF励起コイルは有していない(検知コイルが励起コイルとしても作用する)NMRシステム900のブロック図である。オンチップ要素は、RF励起シグナルが多重化またはスイッチ830を通過して、増幅装置820とその関連回路を迂回路815で迂回して直接コイル810に行くことを除けば、図8と同じものである。
【0172】
オフチップ処理は、時間ドメインおよび周波数ドメインの解析と、RF発生装置とを有し、読取り装置かそれと同様の携帯型またはデスクトップ型の装置の中で行うことができる。また、この読取り装置は、バイアス磁界用永久磁石および/またはRF励起コイル有していてもよい。図10は、チップまたはモジュールの受信装置/読取装置1000の概略図である。このチップまたはモジュールは試料用プレート1002の上に置かれ、このプレートが、バイアス磁界用永久磁石1004の間にあり、外部励起コイル1006(もし使用されるのであれば)の内側にあるスロットに挿入される。機械的スライド1008を用いて、試験用チップまたはモジュール1002を、永久磁石1004の間にある検査用スロットの中に押し入れる。読取り装置1000は、ケース1010の中に一部または全部が格納されていてもよく、入力用キーパッド1012および/またはディスプレイ1014を外観とすることができる。
【0173】
図11は、磁気分析物濃縮装置1100の概略図であるが、この装置は、強い磁界の中で標的凝集物を差動させるMRSナノ粒子の作用を利用している。バイアス磁界1102は、磁性ナノ粒子の凝集物中に捕捉された標的分子を、ウェルの断面積の大きい部分1104から、ウェルの断面積の小さい部分1106の方向に選択的に移動させ、それによって、RF検知コイル1108の領域内で試料を濃縮する。この例では、約1μLの体積を占める凝集体は約1nLの体積に濃縮されて、元の濃度の約1000倍の濃度となる。その結果、装置の感度が約1000倍に上昇する。NMR緩和応答を誘導するために用いられる磁石および/または磁界を相乗的に用いて、検出感度を向上させるために標的分析物を濃縮する。この装置は、多数のマイクロウェルと、それらのウェルの狭い部位1106を囲む極小型RFコイルとの配列を有することもできる。
【0174】
図12は、シリンジ型分析物濃縮装置と関連する方法1200の概略図である。これは、本明細書記載のNMR装置を用いた分析物の検出における感度を向上するために分析物を濃縮するさらなる方法である。これは、図11および上記に示した磁気濃縮装置と一緒に使用することができる。しかし、シリンジ型分析物濃縮装置は、ナノ粒子凝集/NMR検出技術とともに適用する場合に限定されない。
【0175】
工程1210では、試料が、針1212を通って標準的な1mLシリンジ1214の中に吸い込まれる。工程1220では、針1212が取り除かれ、検査用チャンバー1222が取付けられている。この検査用チャンバー1222は、容量が約10〜400μLで、チャンバーの右側に分子フィルター1224を有する。分子フィルター1224は、例えば、合成化合物、アルミノケイ酸塩鉱物、粘土、多孔ガラス、細孔性木炭、活性炭、乾燥剤、石灰、シリカゲル、および/またはゼオライトから作られた膜またはモレキュラーシーブであってもよい。およびさまざまな分子フィルターを、例えば、ポール社(Pall Corporation)、ミリポア社(Millipore Corporation)、クロマコール社(Chromacol)などの供給業者から入手することができる。分子フィルター1224を用いて、DNA、ウイルス、タンパク質、および/またはその他の分析物を濃縮することができる。工程1230では、検査用チャンバー1222が、シリンジ1214から取外されている。末端に1つ以上のRFコイル/ウェル対をもつ一体型MEMSチップ1234をもつプランジャー1232を挿入する。工程1240では、残った液体を、フィルター1224を通して押し出す。工程1250では、プランジャー1232を戻り止めから約1mmのところに(左側に)引き戻して、先端部1252に保持されていた液体を、フィルター1224を通して吸い戻して、分子とナノ粒子を懸濁する。そして、NMR検査および解析のために、検査用チャンバー1222を読取り装置の中に挿入することができる。分析物の濃度は、チップサイズ1234とシリンジの断面に応じて決まる。一般的に、MEMSチップは、シリンジのプランジャーと一体化しているため、チップ内/上のウェル/コイル対が多くなるほど、直径は大きくなり、得られる濃度は低くなる。例えば、40個のウェルがあり、シリンジの断面積が40mmで1mm吸い戻す(吸い戻す容積が40mmである)場合、濃度は25倍になる。10個のウェルがあり、シリンジの断面積が10mmで1mm吸い戻す(吸い戻す容積が10mmである)場合、濃度は100倍になる。1個のウェルがあり、シリンジの断面積が1mmで1mm吸い戻す(吸い戻す容積が1mmである)場合、濃度は1000倍になる。
【0176】
図13は、膜型分析物濃縮装置1300の概略図である。これは、本明細書記載のNMR装置を用いた分析物の検出における感度を向上するために分析物を濃縮するさらなる方法である。これは、図11に示した磁気濃縮装置および/または図12および上記に示したシリンジ型濃縮装置と一緒に使用することができる。
【0177】
膜型分析物濃縮装置1300は、分析物1302を含む液体試料を、真空1308によって、ナノ粒子1306(本明細書記載)を含むチャンバー1304を通らせることにより作動する。分子フィルター1310は、目的とする分子をチャンバー1304の中に保持し、それによって、分析物を濃縮し、性能を向上させる。図13に示したチャンバー1304は、長さが約500μmである。分子フィルター1310は、例えば、ウイルス1312を分析物として検出するにはおよそ1μmの孔をもつ膜であればよく、また、DNAを分析物として検出するには1ミクロン未満の孔をもつ膜であればよい。
【0178】
本明細書記載の、RFコイル、およびナノ粒子センサーを有するマイクロウェルをもつNMRシステムを、粒子凝集現象のモデルを開発し、また、RF−NMRシグナル鎖モデルを開発することによって、目的とする特定の分析物の検出および/または濃度測定を行うために設計することができる。例えば、目的とする分析物/ナノ粒子システムについて、例えば、親和性、関連する寸法、および濃度の効果など、粒子凝集の物理的性質の特性を調べることによって実験を行うことができる。また、粒子の凝集および磁性粒子の性質に応じてNMRシグナル(T2、T1、および/またはその他のシグナル特性)を特徴づけるために実験を行うこともできる。所定のシステムにおけるMRS(磁気共鳴スイッチ)現象に特定のシグナル特性を用いて、検出感度を高めるか、および/またはその他性能を向上させることができる。MRS緩和T2(および/またはT1)測定性能に影響する一定の設計パラメータ間の交換を実験によって決定することができる。例えば、充填率、コイル形状、Q係数、帯域幅、および/またはバイアス磁界強度の間の交換を決定することができる。
【0179】
図14は、NMR測定用の電子装置構成1400の概略図である。このブロック図は、この構成における基本回路要素を有する。RF検知コイルが符号1402として表されている。RFパルス発生装置1404は、ラーモア周波数またはその近傍の周波数のRFパルスを供給する。スイッチによってシグナルパルスをコイル1402に送達するか、または、一連のパルスをコイル1402に送達することもできる。例えば、多重エコーおよび/またはスピンエコー系列を用いて、T2緩和測定値について高い感度を達成することができる。カー・パーセル・メイブーム・ギル(CPMG)高速スピンエコー(FSE)の系列は、より高い測定感度をもたらすことができる。RF発生装置1404は、オフチッププロセッサによって制御されても、されなくてもよい。電力分割装置1406および電力合成装置1408が、RF励起をコイル1402に送達するために図14に示されている。各コイルからのシグナルはRF前置増幅装置1410で増幅し、オフチッププロセッサ1408によってシグナル解析する前に、混合装置1412、低帯域フィルター1414、および低ノイズ増幅装置1416によって処理される。シグナル解析用プロセッサ1408は、代わりにオンチップであってもよい。RF前置増幅装置は、好ましくは、それぞれのコイル1402の近傍にある。シグナル解析用プロセッサ1408は、データを管理し、時間ドメインと周波数ドメインの両方の解析を行う。多数のウェルがある場合には、例えば、RF前置増幅装置1410によって調整を行った後、多重化装置を用いることができる。ある実施形態において、RFコイル1402、RF増幅装置1410、および/または図14の電子装置構成1400に示されているその他の構成部品を、例えば、BiCMOS(またはBiMOS)プロセスにおいて、システムオンチップとしてマイクロマシン化する。BiCMOSは、バイポーラ接合トランジスタと、CMOS(相補対称/金属酸化膜半導体)技術を単一の装置に一体化したものを意味する。
【0180】
RF増幅装置1410からの電力伝達を最大化するために、コイルを、可変コンデンサを用いて所定のインピーダンスに整合させる。シグナルを検出する過程で、コイル1402からのNMRシグナルを、RF増幅装置1410によって(例えば、約400倍に)増幅することができ、その後、混合装置1412によって可聴周波数まで低周波数変換を行う。中間周波数のシグナルを(例えば、約100倍に)増幅することができ、デジタル化される前に、例えば約30kHzを上回る周波数になるようフィルターをかけることができる。
【0181】
NMRシステムは、その上にマイクロマシン化されたRFコイルおよび電子装置をもつチップを有することができる。例えば、このチップは、表面マイクロマシニングされたもので、構造物が基質の上面に構築されているものであってもよい。構造物を、基質の中ではなく、上面に構築する場合、基質の性質は、バルクマイクロマシニングする場合のように重要ではなく、バルクマイクロマシニングで使用される高価なシリコンウエハーの代わりに、ガラスやプラスチックのように、より値段の安い材料で置き換えることもできる。しかし、代わりの実施態様は、バルクマイクロマシニングされたチップを有することも可能である。表面マイクロマシニングは、通常、ウエハーまたはその他の基質から始められ、上面に層を成長させる。これらの層を、フォトリソグラフィーによって選択的にエッチングして、酸を含む湿式エッチング、またはイオン化ガスもしくはプラズマを含む乾式エッチングのいずれかとする。乾式エッチングは、化学エッチングと物理エッチング、または材料のイオン衝撃とを組み合わせることができる。表面マイクロマシニングは、必要なだけの数の層を作ることができる。
【0182】
緩和測定がT2の場合には、正確さおよび再現性(精度)は、シグナル対ノイズ比(S/N)、再収束させるためのパルス系列(例えば、CPMG、BIRD、Tangoなど)、およびシグナル処理要素、例えば、シグナル調整(例えば、エコーシグナルの増幅、整流、および/またはデジタル化)、時間/周波数ドメインの変換、および使用されるシグナル処理アルゴリズムの関数である。シグナル対ノイズ比は、例えば、バイアス磁界(B)、試料量、充填率、コイル形状、コイルのQ係数、電子装置の帯域、増幅装置のノイズ、および/または温度などの関数であってもよい。
【0183】
特定の分析物を検出するための分析物検出ユニットの設計またはカスタム化の具体例となる実験計画を下記に説明する。例示的な計画は、単一の微小コイル、例えば、ソレノイドが毛細管の回りにあるものなどによる実験を行うことを含む。どのようにしてT2が、分析物の種類および濃度、ならびにNMR粒子のリガンドおよび親和性によって変化するのかを決定するために実験を行うことが考えられる。T2シグナルに対する(ラーモア周波数またはその近傍の周波数における)励起周波数、パルス系列、シグナル調整、(例えば、約0.45Tから約7Tから生じた)バイアス磁界、およびQ係数の効果を解析するために実験を行うことが考えられる。Q係数の効果は、シグナルの質に対するコイルの抵抗の影響をテストするために、さまざまな材料から作製されたコイルを用いて実験を行うか、および/または、さまざまな温度で実験を行うことによって決定することができる。
【0184】
例えば、トロポニンについて0.02ng/mLの検出限界を10倍向上させる結果(10倍の感度増加)を得るためには、伝統的な(非MRS測定された)約100ミリ秒というT2から約5.6ミリ秒少ないδ−T2を識別する必要がる。この違いを検出するための最小のシグナル対ノイズ比(S/N)は約20でなければならないと考えられる。
【0185】
標的試料量が100nlで、ソレノイドの直径が542ミクロンで深さが400ミクロンであると仮定して、予測される性能を下の表1の影付きの項目に示す。この条件構成では、1T磁界および1000cps帯域で、73という着実な予想値S/Nと、0.3マイクロボルトのシグナルを示している。S/Nは予想値1300まで増加して、7T磁界で14マイクロボルトのシグナルになる。設計を変えて、より高いQ係数を生じさせると、さらに性能を高めることができる。実験は、より高い磁界強度、例えば、市販のNMR装置によってもたらされる7T磁界強度で行い、1T磁界で、0.02ng/mLのトロポニン検出限界を10倍上昇させるか、56フェムトモル限界を達成するためのシステム設計の実行可能性を確認することができる。
【表1】

【0186】
均等物 特定の好ましい実施態様を参照しながら本発明を具体的に示し、説明してきたが、当業者は、添付された請求の範囲に定義されている本発明の概念と範囲を逸脱することなく形態と詳細にさまざまな変更を加えることができることと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】本発明の例示的な実施形態のRF励起に対する試料のエコー応答を検出するためのNMRシステムの概略図である。
【図2A】本発明の例示的な実施形態の微小NMRコイル(RFコイル)である巻きソレノイドコイルの構成図である。
【図2B】同平面コイルの構成図である。
【図2C】同MEMSソレノイドコイルの構成図である。
【図2D】同MEMSヘルムホルツコイルの構成図である。
【図2E】同サドルコイルの構成図である。
【図3】本発明の例示的な実施形態に従った、液体試料を入れるための微小ウェルの中で磁性ナノ粒子を用いるNMRシステムであって、ウェルが基質(チップ)上でRFコイルに囲まれており、バイアス磁界を発生させるための磁石が基質上に置かれているNMRシステムの概略図である。
【図4A】本発明の例示的な実施形態に従った、微小ウェルの中で磁性ナノ粒子を用いるNMRシステムであって、上下(top−to−bottom)バイアス磁界を発生させるための磁石がチップ上に置かれていない(磁石がウェルの上下にある)NMRシステムの概略図である。
【図4B】本発明の例示的な実施形態に従った、微小ウェルの中で磁性ナノ粒子を用いるNMRシステムであって、側側(side−to−side)バイアス磁界を発生させるための磁石がチップ上に置かれていない(磁石がウェルに近接している)NMRシステムの概略図である。
【図5A】本発明の例示的な実施形態に従って、単一のウェルを、外部RF励起コイルおよび外部バイアス磁石とともに有するNMRシステムの概略図である。
【図5B】本発明の例示的な実施形態に従って、ウェルの配列を、外部RF励起コイルおよび外部バイアス磁石とともに有するNMRシステムの概略図である。
【図6A】本発明の例示的な実施形態に従った、単一のウェルを有するNMRシステムの概略図である。
【図6B】本発明の例示的な実施形態に従った、複数のウェル配列を有するNMRシステムの概略図である。
【図6C】本発明の例示的な実施形態に従った、異なった分析物を検出するために異なったナノ粒子を含む複数のウェルを有するNMRシステムの概略図である。
【図6D】本発明の例示的な実施形態に従って、精度、感度、および/または再現性を高めるために多重データ点(重複測定値)を得るための同一のナノ粒子とともにウェルのグループを有するNMRシステムの概略図である。
【図7】本発明の例示的な実施形態に従って、電気部品など、NMRシステムの主要構成要素を図示したブロック図である。
【図8】本発明の例示的な実施形態に従って、複数のウェルおよび検知コイルおよび外部RF励起コイルを有するNMRシステムのブロック図である。
【図9】本発明の例示的な実施形態に従って、複数のウェルおよび検知コイルを有するが、外部RF励起コイルは有さない(検知コイルが励起コイルとしても作用する)NMRシステムのブロック図である。
【図10】本発明の例示的な実施形態に従った、チップまたはモジュールの受信装置/読取装置の概略図である。
【図11】本発明の例示的な実施形態に従った、磁気分析物濃縮装置の概略図である。
【図12】本発明の例示的な実施形態に従った、シリンジ型分析物濃縮装置の概略図である。
【図13】本発明の例示的な実施形態に従った、膜型分析物濃縮装置の概略図である。
【図14】本発明の例示的な実施形態に従った、NMR測定用の電子装置構成の概略図である。
【符号の説明】
【0188】
100 NMRシステム
102 バイアス磁石
104 バイアス磁界
106 液体試料
108 ウェル
110 RFコイル
112 RFオシレータ
114 増幅装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性粒子および分析物を含む液体試料を入れるためのウェルを形成する支持体であって、前記磁性粒子が、それに結合した結合成分を有する支持体、および
1個以上の磁石とRF励起を用いて発生させたバイアス磁界に前記液体試料を曝露することによって生じるエコー応答を検出するように構成され、前記液体試料の周囲に配置されたRFコイルであって、約10μmから約1000μmという特有の寸法をもつRFコイル
を有する分析物検出用装置。
【請求項2】
請求項1において、前記特有の寸法が直径である分析物検出用装置。
【請求項3】
請求項1において、前記特徴的な寸法が長さまたは深さである分析物検出用装置。
【請求項4】
請求項1において、前記ウェルおよび前記RFコイルは、充填率が少なくとも0.1を備えるように構成されている分析物検出用装置。
【請求項5】
請求項1において、前記ウェルおよび前記RFコイルは、充填率が少なくとも0.7を備えるように構成されている分析物検出用装置。
【請求項6】
請求項1において、前記ウェルおよび前記RFコイルは、充填率が少なくとも1を備えるように構成されている分析物検出用装置。
【請求項7】
請求項1において、
(i)前記RFコイルに囲まれた体積、および
(ii)前記液体試料量
のうち少なくとも1つが1mLよりも少ない分析物検出用装置。
【請求項8】
請求項1において、
(i)前記RFコイルに囲まれた体積、および
(ii)前記液体試料量
のうち少なくとも1つが100μLよりも少ない分析物検出用装置。
【請求項9】
請求項1において、前記RFコイルと連係する電気素子であって、前記エコー応答に対応したシグナルを少なくとも部分的に調整するために構成された電気素子をさらに有する分析物検出用装置。
【請求項10】
請求項9において、前記RFコイルが、少なくとも1というQ係数を備えるように前記電気素子に十分に近接して配置されている分析物検出用装置。
【請求項11】
請求項9において、前記RFコイルが、少なくとも10というQ係数を備えるように前記電気素子に十分に近接して配置されている分析物検出用装置。
【請求項12】
請求項9において、前記RFコイルが、前記支持体と一体化して前記ウェルの周囲に配置されている分析物検出用装置。
【請求項13】
請求項9において、前記RFコイルが、前記電気素子の1センチメートル以内に配置されている分析物検出用装置。
【請求項14】
請求項9において、前記RFコイルが、前記電気素子の1ミリメートル以内に配置されている分析物検出用装置。
【請求項15】
請求項9において、前記電気素子が、
(i)前記シグナルの増幅、
(ii)前記シグナルの整流、および
(iii)前記シグナルのデジタル化
のうち少なくとも1つを行うよう構成されている分析物検出用装置。
【請求項16】
請求項1において、前記結合成分が、前記分析物の有無または濃度に応じて前記磁性粒子の凝集状態を変える働きをする分析物検出用装置。
【請求項17】
請求項1において、前記磁性粒子が、その表面上に前記結合成分をもつ超常磁性ナノ粒子である分析物検出用装置。
【請求項18】
請求項1において、前記バイアス磁界が実質的に一様である分析物検出用装置。
【請求項19】
請求項1において、前記バイアス磁界が空間勾配をもつ分析物検出用装置。
【請求項20】
請求項1において、前記1個以上の磁石の少なくとも1個を有する分析物検出用装置。
【請求項21】
請求項1において、前記RF励起が、前記ウェルの周囲に配置された前記RFコイルとは別のRF励起コイルを介して伝達される分析物検出用装置。
【請求項22】
請求項1において、前記RF励起が、前記ウェルの周囲に配置された前記RFコイルを介して伝達される分析物検出用装置。
【請求項23】
請求項1において、チップ上に作製されている分析物検出用装置。
【請求項24】
請求項23において、MEMSプロセスで作製されている分析物検出用装置。
【請求項25】
請求項23において、前記RFコイルが、前記チップの表面上に置かれている分析物検出用装置。
【請求項26】
請求項1において、前記RFコイルが巻きソレノイドコイルである分析物検出用装置。
【請求項27】
請求項1において、前記RFコイルが平面コイルである分析物検出用装置。
【請求項28】
請求項1において、前記RFコイルがMEMSソレノイドコイルである分析物検出用装置。
【請求項29】
請求項1において、前記磁性粒子が前記ウェルの表面上に置かれている分析物検出用装置。
【請求項30】
請求項29において、前記磁性粒子が、プリンタとともに前記ウェルの表面上に置かれている分析物検出用装置。
【請求項31】
請求項29において、液体を導入すると前記磁性粒子を再構成することができる分析物検出用装置。
【請求項32】
請求項29において、前記磁性粒子が凍結乾燥されている分析物検出用装置。
【請求項33】
請求項1において、少なくとも1つの前記結合成分が、
(i)前記分析物、
(ii)前記結合成分の別のもの、および
(iii)前記液体試料中の凝集誘導分子
のうち少なくとも1つに結合する働きをし、それによって、多重結合した磁性粒子の凝集体を、前記液体試料中における前記分析物の有無または濃度に応じて生じさせる分析物検出用装置。
【請求項34】
請求項33において、前記凝集体が、その最も大きな寸法で100nmから500nmというおおよそのサイズをもつ分析物検出用装置。
【請求項35】
請求項33において、前記凝集体が、前記結合成分を介して結合した2個から20個の磁性粒子を有する分析物検出用装置。
【請求項36】
請求項1において、前記磁性粒子が、それらの最も大きな寸法で5nmから500nmの平均サイズをもつ分析物検出用装置。
【請求項37】
請求項1において、多重結合した磁性粒子の凝集体が、前記液体試料中における前記分析物の有無または濃度に応じて離散する分析物検出用装置。
【請求項38】
請求項1において、前記結合成分が、アミノ酸、核酸、オリゴヌクレオチド、治療剤、治療剤の代謝産物、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物、多糖体、ウイルス、および細菌のうち少なくとも1つを含んでいる分析物検出用装置。
【請求項39】
請求項1において、前記分析物が、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、アミノ酸、核酸、オリゴヌクレオチド、治療剤、治療剤の代謝産物、RNA、DNA、抗体、生物、ウイルス、細菌、炭水化物、多糖体、およびグルコースのうち少なくとも1つを含んでいる分析物検出用装置。
【請求項40】
請求項1において、前記エコー応答に対応する前記シグナルを受信するよう構成された読取装置をさらに有する分析物検出用装置。
【請求項41】
請求項40において、前記読取装置が、前記シグナルを処理するための電気素子、および分析物の有無または濃度を表示するためのディスプレイを有する分析物検出用装置。
【請求項42】
請求項40において、前記読取装置が、
(i)前記バイアス磁界を発生させるための磁石、および
(ii)前記RF励起を提供するためのRF励起コイル
のうち少なくとも1つを有する分析物検出用装置。
【請求項43】
請求項40において、前記読取装置が、前記エコー応答に対応する前記シグナルによるT2緩和時間の変化を測定する分析物検出用装置。
【請求項44】
請求項1において、携帯可能な分析物検出用装置。
【請求項45】
請求項1において、埋め込み可能であり、皮膚貫通ワイヤなしで操作可能な分析物検出用装置。
【請求項46】
請求項1において、重さが1キログラムよりも少ない分析物検出用装置。
【請求項47】
磁性粒子および分析物を含む液体試料を入れるための複数のウェルを有し、前記磁性粒子が、それに結合した結合成分をもち、また、前記ウェルの各々について、
1個以上の磁石とRF励起を用いて発生させたバイアス磁界に前記ウェル中の液体試料を曝露することによって生じるエコー応答を検出するよう構成された、前記ウェルの周囲に配置されたRFコイルを有する分析物検出用装置。
【請求項48】
請求項47において、前記ウェルの各々について、前記RFコイルと連係する電気素子であって、前記エコー応答に対応したシグナルを少なくとも部分的に調整するために構成された電気素子をさらに有する分析物検出用装置。
【請求項49】
請求項47において、前記ウェルが配列に配置されている分析物検出用装置。
【請求項50】
請求項49において、前記配列が実質的に2次元である分析物検出用装置。
【請求項51】
請求項49において、前記配列が3次元である分析物検出用装置。
【請求項52】
請求項47において、前記複数のウェルの中に液体の分配が行われるように構成されている分析物検出用装置。
【請求項53】
請求項47において、少なくとも1個のウェルが、前記分析物によって実質的に影響を受けない既知の特性をもち、較正に使用されている分析物検出用装置。
【請求項54】
請求項47において、複数の分析物を検出するために、異なった結合成分をもつ磁性粒子が、異なったウェルの中に入れられている分析物検出用装置。
【請求項55】
請求項47において、重複測定のために、同じ結合成分をもつ磁性粒子が、異なったウェルの中に入れられ、それによって正確さを向上させる分析物検出用装置。
【請求項56】
請求項47において、前記液体試料中の異なった分析物濃度を検出するために、同じ結合成分をもつ磁性粒子が、異なったウェルの中に入れられている分析物検出用装置。
【請求項57】
請求項47において、異なったウェルでは、その中に入れられた結合成分の濃度が異なっている分析物検出用装置。
【請求項58】
請求項47において、異なった結合成分をもつ磁性粒子が、前記分析物を検出するために異なったウェルの中に入れられ、前記異なった結合成分が、前記分析物の濃度に比例して前記磁性粒子の凝集または離散を促進する分析物検出用装置。
【請求項59】
請求項48において、前記ウェルの各々について、前記各RFコイルが、前記RFコイルと連係している前記電気素子の1センチメートル以内に配置されている分析物検出用装置。
【請求項60】
請求項48において、前記電気素子が、
(i)前記シグナルの増幅、
(ii)前記シグナルの整流、および
(iii)前記シグナルのデジタル化
のうち少なくとも1つを行うよう構成されている分析物検出用装置。
【請求項61】
請求項48において、前記RFコイルが、少なくとも1というQ係数を備えるよう前記電気素子に十分に近接して配置されている分析物検出用装置。
【請求項62】
請求項47において、基質が、前記複数のウェルを形成し、前記RFコイルの各々が、前記基質と一体化して、その各ウェルの周囲に配置されている分析物検出用装置。
【請求項63】
請求項47において、前記RF励起が、前記各ウェルの周囲に配置された前記各RFコイルとは別のRF励起コイルを介して伝達される分析物検出用装置。
【請求項64】
請求項63において、前記RF励起コイルが、前記複数のウェルの周囲に配置されている分析物検出用装置。
【請求項65】
請求項47において、MEMSプロセスで作製されている装置。
【請求項66】
請求項47において、前記磁性粒子が、前記複数のウェルの1つ以上の表面上に置かれている分析物検出用装置。
【請求項67】
請求項66において、液体を導入すると前記磁性粒子を再構成することができる分析物検出用装置。
【請求項68】
請求項47において、前記分析物が、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、アミノ酸、核酸、オリゴヌクレオチド、治療剤、治療剤の代謝産物、RNA、DNA、抗体、生物、ウイルス、細菌、炭水化物、多糖体、およびグルコースのうち少なくとも1つを含んでいる分析物検出用装置。
【請求項69】
請求項47において、前記結合成分が、アミノ酸、核酸、オリゴヌクレオチド、治療剤、治療剤の代謝産物、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物、多糖体、ウイルス、および細菌のうち少なくとも1つを含んでいる分析物検出用装置。
【請求項70】
請求項47において、前記ウェルの各々について、前記各ウェルからの前記エコー応答に対応するシグナルを受信するよう構成された読取装置をさらに有する分析物検出用装置。
【請求項71】
請求項70において、前記受信装置が、前記シグナルを処理するための電気素子、および分析物の有無または濃度を表示するためのディスプレイを有する分析物検出用装置。
【請求項72】
液体試料を入れるために1つ以上のウェルを形成する支持体、および
前記支持体の上に配置され、前記1つ以上のウェルの中で再構成を行わせるために、結合成分をそれに結合させている乾燥超常磁性ナノ粒子を有する装置であって、
前記結合成分が、前記液体試料中における前記分析物の有無または濃度に応じて、前記液体試料中の前記磁性粒子の凝集状態を変える働きをする装置。
【請求項73】
請求項72において、前記1つ以上のウェルの各々について、前記ウェルの周囲に配置されたRFコイル、および前記RFコイルと連係している電気素子をさらに有し、
前記RFコイルが、1個以上の磁石とRF励起を用いて発生させたバイアス磁界に前記ウェル中の液体試料を曝露することによって生じるエコー応答を検出するよう構成されていて、
前記電気素子が、前記エコー応答に対応したシグナルを少なくとも部分的に調整するよう構成されている装置。
【請求項74】
請求項72において、前記支持体が、前記ウェルの配列を形成している装置。
【請求項75】
請求項72において、分析物検出システムの構成要素である装置。
【請求項76】
請求項73において、前記RF励起を伝達するためのRF励起コイルをさらに有し、前記RF励起コイルが、前記1つ以上のウェルの周囲に配置された前記1つ以上のRFコイルとは別のものである装置。
【請求項77】
請求項73において、前記1つ以上のウェルの各々について、前記ウェル、および前記ウェルの周囲に配置された前記RFコイルは、充填率が少なくとも0.7を備えるよう構成されている装置。
【請求項78】
請求項73において、前記1つ以上のウェルの各々について、前記各RFコイルが、前記RFコイルと連係している前記電気素子の1センチメートル以内に配置されている装置。
【請求項79】
請求項73において、前記電気素子が、
(i)前記シグナルの増幅、
(ii)前記シグナルの整流、および
(iii)前記シグナルのデジタル化
のうち少なくとも1つを行うよう構成されている装置。
【請求項80】
請求項72において、前記分析物が、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、アミノ酸、核酸、オリゴヌクレオチド、治療剤、治療剤の代謝産物、RNA、DNA、抗体、生物、細菌、炭水化物、多糖体、ウイルス、およびグルコースのうち少なくとも1つを含んでいる装置。
【請求項81】
請求項72において、前記結合成分が、アミノ酸、核酸、オリゴヌクレオチド、治療剤、治療剤の代謝産物、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物、細菌、ウイルス、および多糖体のうち少なくとも1つを含んでいる装置。
【請求項82】
請求項73において、前記ウェルの各々について、前記各ウェルからの前記エコー応答に対応するシグナルを受信するよう構成された読取装置をさらに有する装置。
【請求項83】
液体試料を入れるための1つ以上のウェルを形成する支持体であって、前記試料が、磁性粒子および分析物を含み、前記磁性粒子が、それに結合した結合成分を有する支持体を有する装置であって、
前記液体試料中における前記分析物の有無または濃度に応じて、前記結合成分が前記磁性粒子の凝集状態を変える働きをし、かつ、少なくとも1つの前記ウェルが、磁界存在下で、前記粒子の凝集体が、大きい方の断面の領域から小さい方の断面の領域へ移動して、前記凝集体とともに運ばれた前記分析物を濃縮するような変化する断面を有している装置。
【請求項84】
請求項83において、前記1つ以上のウェルの各々について、前記ウェルの周囲に配置されたRFコイル、および前記RFコイルと連係している電気素子を有し、前記RFコイルが、1個以上の磁石とRF励起を用いて発生させたバイアス磁界に前記ウェル中の液体試料を曝露することによって生じるエコー応答を検出するよう構成されていて、前記電気素子が、前記エコー応答に対応したシグナルを少なくとも部分的に調整するよう構成されている装置。
【請求項85】
請求項83において、少なくとも1つの前記結合成分が、
(i)前記分析物、
(ii)前記結合成分の別のもの、および
(iii)前記液体試料中の凝集誘導分子
のうち少なくとも1つに結合する働きをし、それによって、前記凝集を生じさせる装置。
【請求項86】
請求項83において、前記結合成分が、アミノ酸、核酸、オリゴヌクレオチド、治療剤、治療剤の代謝産物、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物、多糖体、ウイルス、および細菌のうち少なくとも1つを含んでいる装置。
【請求項87】
請求項83において、前記分析物が、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、アミノ酸、核酸、オリゴヌクレオチド、治療剤、治療剤の代謝産物、RNA、DNA、抗体、生物、ウイルス、細菌、炭水化物、多糖体、およびグルコースのうち少なくとも1つを含んでいる装置。
【請求項88】
磁性粒子および分析物を含む液体試料を入れるためのウェルを形成する支持体であって、前記磁性粒子が、それに結合した結合成分を有する支持体、および
1個以上の磁石とRF励起を用いて発生させたバイアス磁界に前記液体試料を曝露することによって生じるエコー応答を検出するよう構成され、前記ウェルおよび前記RFコイルが、充填率少なくとも0.1を備えるよう構成されている、前記液体試料の周囲に配置されたRFコイル
を有する分析物検出用装置。
【請求項89】
請求項88において、前記ウェルおよび前記RFコイルが、充填率少なくとも0.7を備えるように構成されている分析物検出用装置。
【請求項90】
請求項88において、前記ウェルおよび前記RFコイルは、充填率が1を備えるように構成されている分析物検出用装置。
【請求項91】
磁性粒子および分析物を含む液体試料を入れるためのウェルを形成する支持体であって、前記磁性粒子が、それに結合した結合成分を有する支持体、および
1個以上の磁石とRF励起を用いて発生させたバイアス磁界に前記液体試料を曝露することによって生じるエコー応答を検出するよう構成されている、前記液体試料の周囲に配置されたRFコイル
を有する分析物検出用装置であって、
(i)前記RFコイルに囲まれた体積、および
(ii)前記液体試料量
のうち少なくとも1つが1mLよりも少ない分析物検出用装置。
【請求項92】
請求項91において、
(i)前記RFコイルに囲まれた体積、および
(ii)前記液体試料量
のうち少なくとも1つが100μLよりも少ない分析物検出用装置。
【請求項93】
磁性粒子および分析物を含む液体試料を入れるためのウェルを形成する支持体であって、前記磁性粒子が、それに結合した結合成分を有する支持体、
1個以上の磁石とRF励起を用いて発生させたバイアス磁界に前記液体試料を曝露することによって生じるエコー応答を検出するよう構成されている、前記液体試料の周囲に配置されたRFコイル、および
前記RFコイルと連係する電気素子であって、前記エコー応答に対応したシグナルを少なくとも部分的に調整するために構成された電気素子
を有する分析物検出用装置であって、
前記RFコイルが、少なくとも1というQ係数を備えるように前記電気素子に十分に近接して配置されている分析物検出用装置。
【請求項94】
請求項93において、前記RFコイルが、少なくとも10というQ係数を備えるように前記電気素子に十分に近接して配置されている分析物検出用装置。
【請求項95】
請求項93において、前記RFコイルが基質と一体化して、前記ウェルの周囲に配置されている分析物検出用装置。
【請求項96】
請求項93において、前記RFコイルが、前記電気素子の1センチメートル以内に配置されている分析物検出用装置。
【請求項97】
請求項93において、前記RFコイルが、前記電気素子の1ミリメートル以内に配置されている分析物検出用装置。
【請求項98】
請求項1〜97のいずれか一項記載の装置を用いて、試料中の1つ以上の分析物を測定する方法。
【請求項99】
請求項98において、前記1つ以上の分析物が、複数の生物活性物質を含んでいる方法。
【請求項100】
請求項98において、前記試料が、研究用試料、細胞試料、および生物由来試料のうち少なくとも1つを含んでいる方法。
【請求項101】
請求項98において、生体内で行われる方法。
【請求項102】
請求項98において、前記測定工程が、前記1つ以上の分析物の濃度を測定することを含む方法。
【請求項103】
請求項98において、前記測定工程が、前記1つ以上の分析物の有無を検出することを含む方法。
【請求項104】
請求項98において、前記測定工程が、前記1つ以上の分析物を継続的に観察することを含む方法。
【請求項105】
請求項98において、前記測定工程が、前記1つ以上の分析物を半継続的に観察することを含む方法。
【請求項106】
請求項98において、前記測定工程が、前記1つ以上の分析物を生体内で継続的に観察することを含む方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2009−506345(P2009−506345A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529259(P2008−529259)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/033958
【国際公開番号】WO2007/027843
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(508062199)ティツー・バイオシステムズ・インコーポレーテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】T2 BIOSYSTEMS,INC.
【Fターム(参考)】