説明

分析用ロータおよび体液分析方法

【解決手段】駆動力に応答して液体の離散流れを生成するデバイス、例えば一定の駆動力に応答して離散流れを生成する遠心分離式マイクロ流体デバイスが開示される。デバイスは、血漿検体などの検体を例えば希釈するために液体を混合するのに応用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体のハンドリングに関し、特に液流の離散化(disretisation)および液体の混合に関し、より詳細には「ラボオンディスク(lab on a disk)」デバイスなどのマイクロ流体デバイスに関するが、これらに限られない。
【背景技術】
【0002】
多くの検査手順において混合と希釈は不可欠なステップであり、ラボオンチップまたは他のマイクロ流体プラットフォームに対する重要な単位操作を構成する。特にポイント・オブ・ケア用途に対して、混合および希釈方法は迅速である必要がある。攪拌、振動、または液体システム内の乱流を促進する他の方法などの外部手段によって液体の混合が行われる巨視的システムとは対照的に、マイクロ流体システム内の混合はより困難度が高い。マイクロ流体デバイスの小さく特徴的な寸法のために、通常は流れが層流であり、マイクロ流体ミキサは拡散およびカオス的移流(chaotic advection)に頼らなくてはならない。いくつかのマイクロ流体混合原理が過去に導入されてきた(N.T. Nguyen, S. Wu, J. Micromech. Microeng., vol. 15 R1-R16, 2005; A. P. Sudarsan, V. M. Ugaz, PNAS, vol. 103, pp. 7228-7233, 2006を参照)。共通流路内で液体が積層されて拡散距離を減少させる積層ミキサはこれらのミキサの中にある。流路内に障害物を配置するかまたは流路の断面積に屈曲部と急変部を導入してカオス的移流または渦混合を促進することによって、混合をさらに強化することができる。遠心分離式マイクロ流体に特に適した他のミキサは、回転システム内に存在するコリオリ力を探り、二次流れを誘発して混合を促進する(例えば、S. Haeberle et al, Chem. Eng. Technol., vol. 28, pp. 613-616. 2005を参照)か、または周期的に変化する角加速度を使用してバッチ混合を促進する(例えば、M Grumann et al, Lab Chip, vol. 5, pp. 560-565, 2005を参照)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の第1態様では、駆動力に応答してある流入速度で離散化構造に液体を供給する供給構造を備えた液体収容デバイスが提供される。離散化構造は、出口と、駆動力に応答して出口を通してある流出速度で液体を分配する前に、供給構造から流れる液体で離散化構造に満たされる液面と、を画成するように成形される。離散化構造からの流出速度が離散化構造内への流入速度よりも大きくなるようにデバイスが構成されており、これによって、離散化構造が周期的に空になり出口からの離散化流れが形成される。
【0004】
有利なことに、上記デバイスは、一定のまたは連続的な駆動力に応答して離散化流れを生成することができる。
【0005】
後述するように、離散化流れまたは非連続流れ、すなわち離散的な一時的に容量が分離する流れを形成する能力が、液体混合用途における特定の用途に使われる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、上述の流れ離散化デバイスに対する他の用途も等しく実現可能である。離散化構造の形状(および/または他の特性)を調節して離散化構造におけるしきい値面および対応する液体の容積を画成することによって、一つずつ分配される液体の離散量を調整することができる。
【0006】
一部の実施形態では、離散化構造は、一端で液体供給構造と流体連通し他端で出口を画成する導管を備える。導管は二つの端部の間に屈曲部を備え、屈曲部がしきい値面を定める。液面がしきい値面を越えるとき離散化構造を空にするサイフォン動作を実現するために、一端は他端よりも屈曲部に近接している。使用時に、駆動力のために屈曲部のポテンシャルが二つの端部よりも高くなり、他端(出口)のポテンシャルは一端よりも小さくなる。こうして、屈曲部は、横切られるとサイフォンのように離散化構造を空にする動作を生じさせるポテンシャル障壁を画成する。離散化挙動をデバイスの構造によって定めることができるので、デバイスは容易に製造される。例えば、デバイスの流体構造の特定の表面処理の必要性を回避することができる。
【0007】
一部の実施形態では、液体の流れに表面張力エネルギー障壁を与えるように出口が構成されており、これによって液体が液面に到達するまで離散化構造内に液体を留める。この時点で、駆動力の影響下で出口に作用する液頭は表面張力障壁に打ち勝つほど十分に大きいので、対応する液柱が壊れるまで液体が流れ、流入する液体で離散化構造が再び満たされる。こうして、流れを離散化するための代替メカニズム(上述のサイフォン状メカニズムと比較して)が提供される。
【0008】
表面張力エネルギー障壁は多数の方法で設けることができる。例えば、出口の寸法に急変部を導入して液体の正面を固定することによって、または出口内あるいは出口に隣接する構造の表面特性を改質することによって、またはこの両方を組み合わせることで、表面張力エネルギー障壁を設けることができる。例えば、そのような溶液(90度よりも小さな液滴接触角)によって濡れる材料で作成されたデバイス内の水溶液を扱うのに特に適した実施形態では、出口内または出口端部の急激膨張部によって(液体/気体界面を毛細管固定するための)表面張力障壁を設けてもよい。代替的に、表面を局所的にそのような溶剤に濡れないようにする疎水表面改質を出口内および/または出口に隣接して施すことによって、表面張力障壁を設けてもよい。構造の収縮部と組み合わせてもよい。
【0009】
一部の実施形態では、導管は一端と屈曲部との間に別の屈曲部を備え、供給構造によって満たされる離散化構造の容積に接続されて、導管を通して容積を完全に空にする。
【0010】
一部の「ラボオンディスク」遠心分離式実施形態では、一端が屈曲部の半径方向外側にあり、他端が一端の半径方向外側にある調節システムを回転中心が画成する。一部のそのような実施形態では、一端が屈曲部の半径方向外側にあり、他端および別の屈曲部が一端の半径方向外側にあり、供給構造によって満たされる容積内のポートが容積の半径方向最外側に配置される。
【0011】
二つの液体を混合するように構成される一部の実施形態では、デバイスは、液体毎に一つずつ、上述の供給構造と離散化構造とを二つ備えている。離散化構造の出口は二つの液体を受け入れる混合室と流体連通しており、これにより液体の混合が可能になる。
【0012】
二つの離散流の液体を混合室内に注入して混合することによって、連続流を用いて混合室内に二つの液体を単に導入する場合よりも二つの液体が混ざり合う。液体の混ざり合いが高まると、各出口からの液体同士の間の接触面が増加する。これにより拡散長さが減少し、混合室内での混合がより迅速になる。
【0013】
この手法は、各液体の流量を混ぜる交互パターンを生成することによって、短い時間スケール(通常は数秒)内での混合を可能にし、拡散長さを減少させる。さらに、予め配置された液量の上に離散した液量がぶつかることで混合がさらに促進される。各液体の流速を用いて混合比を容易に制御することができ、したがって、例えば希釈時に必要となる不等量の液量の混合に特に適している。
【0014】
一部の実施形態では、二つの離散化構造が共通室内で互いに流体連通しており、共通室は混合室との流体連通によって通気されるにすぎない(混合室はデバイスの空気システムと接続されるか、または外気に対して開放されている)。二つの離散化構造のうちの一方を空にすることで、この構成の他方の離散化構造の注水(すなわち、分配が開始される水面まで離散化構造を満たすこと)が強化されることが観察されている。これによって、離散化構造が一つずつ交互に空になる。
【0015】
一部の実施形態では、デバイスは、出口と流体連通する中間室を備える。中間室は、混合室と流体連通する単一の出口を有する。単一の出口が混合室に接続されているので、各出口から放出される液量が単一の出口を通って同一の場所で一方が他方の上になるように混合室に到着するため、混合が促される。
【0016】
一部の実施形態では、中間室は、離散化構造の出口に隣接して気泡除去機構を画成する。気泡除去機構は、他の出口からの流れが中間室に入るとき、出口からの流れが中断した後に出口で形成される膜を捕らえるように構成される。これらの膜が除去されないと、離散化構造内で膜が気泡を形成してしまい流れが妨げられたり中断されたりさえする可能性がある。一部の実施形態では、気泡除去機構は、出口から離れる連続的な膜によって形成される気泡を導き、流れを妨げることなく気泡が中間室内で消散するように形成される。一部の実施形態では、気泡除去機構は出口に隣接する角部を有するように成形され、他の出口からの液体が中間室を満たすときに角部に膜をくっつけるように配置される。一部の実施形態では、気泡除去機構は出口から離れる方向に延び、角部から気泡を離すように導く流路を画成する。有利なことに、流路は角部からの距離とともに幅が広くなり、これによって角部から離れる一方向に気泡を移送する。
【0017】
一部の実施形態では、離散化構造への流入速度が、所与の液体特性(例えば密度、粘度および表面張力)に対して予め定められた混合比に対応する比率を形成するように、供給構造が構成されており、混合比の制御を可能にしている。より詳細には、離散化構造のそれぞれのしきい値面に液体が到達するときに放出されるそれぞれの液量が、予め定められた混合比に対応する比率を形成するように、一部の実施形態の離散化構造が成形されている。これらの実施形態では、離散量が混合室内に交互に放出されてもよい。
【0018】
一部の実施形態では、供給構造はそれぞれ容器を備えており、この容器は、各容器が対応する流入速度で空になるときに、それぞれの液頭が同じ速度で変化するように成形される。これにより、流入速度がほとんど同一の時間依存となることが保証され、その結果、供給構造の形状および場所の設計によって時間に対して一定の混合比を実現することができる。
【0019】
一部の実施形態では、デバイスは上述の混合構成を備える。一方の混合構成の出口は、他方の混合構成の離散化構造のうちの一つと流体連通しており、他方の混合構成の別の離散化構造は、一方の混合構成の出口から放出される液体との混合のために別の液体を供給するさらに別の供給構造と流体連通している。このように、この混合構成は、一方の混合構成に液体を供給する第1および第2の供給構造を有し、一方の混合構成は他方の混合構成に液体を供給する。デバイスはさらに、別の混合構成に液体を供給する第3の供給構造を有する。こうして、第1および第2供給構造からの液体が、他の混合構成内の第3供給構造からの液体と混合される。
【0020】
一部の実施形態では、第2および第3供給構造は、共通容器からの第2および第3液体の量をそれぞれ一定分量にする(aliquot)ための共通分注(aliquoting)構造を備える。この実施形態では第2および第3液体は同一であり、デバイスは、第1供給構造からの液体を共通容器からの賦形剤(dilutant)で希釈する二つのステップを提供する。
【0021】
一部の実施形態では、第1供給構造は、血液検体を受け取り検体から血漿を分離するとともに、第1液体としての分離された血漿を賦形剤で希釈するための手段を備える。
【0022】
一部の実施形態では、デバイスは、例えば回転軸を定めこの軸周りに回転して駆動力を提供するマイクロ流体デバイスである。このような遠心分離式マイクロ流体デバイスは、「ラボオンディスク」デバイスと一般的に呼ばれる。一部の実施形態では、デバイスはディスク形状である。
【0023】
本発明の別の態様では、血液検体から血漿を分離し希釈する方法が提供される。この方法は、上述のデバイスの供給構造の中に血液検体を投入し、血液分離手段を備え、デバイスを回転させて血漿を分離し、デバイスを再び回転させる前にデバイスを停止して分離された血漿を賦形剤で希釈することを含む。
【0024】
本発明のさらに別の態様では、所与の駆動力に対して離散化構造に所定の流入速度を与える上述のデバイスの製造方法が提供される。供給構造は、容器と、容器をそれぞれの離散化構造に接続する導管とを備える。上記製造方法は、対応する所定の流入速度に応じて容器と導管の構造および配置を設計し、この設計にしたがってデバイスを製造することを含む。有利なことに、導管の長さおよび/または断面積を適合させて、対応する所定の流入速度にしたがった通水抵抗(hydraulic resistance)に調整することによって、製造の複雑さを低減することができる。
【0025】
本発明のさらに別の態様は、(上述した二つ以上の順次混合構成を使用して、または代替的にあるいは追加的に任意の他の適切な混合構成を使用して)液体の流れを離散化し液体を混合する多段直列式の様々なデバイスおよびシステムを提供する。
【0026】
以下、添付の図面を参照して、説明を目的として例示のためにのみ本発明の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1a】離散化構造の基礎となる基本原理を示す図である。
【図1b】離散化構造の基礎となる基本原理を示す図である。
【図1c】離散化構造の基礎となる基本原理を示す図である。
【図1d】離散化構造の基礎となる基本原理を示す図である。
【図2a】離散分配量を変化させる一方法を示す図である。
【図2b】離散分配量を変化させる一方法を示す図である。
【図3】離散化構造に接続された供給構造と流量に影響を与える設計の考察とを示す図である。
【図4】離散化構造を用いた混合構成を示す図である。
【図5】混合室内に放出する共通の中間容器を有する別の混合構成を示す図である。
【図6】離散化構造が共通の容積と流体連通するさらに別の混合構成を示す図である。
【図7】供給構造、離散化構造および混合室を備える「ラボオンディスク」混合構成を示す図である。
【図8】気泡除去機構を示す図である。
【図9a】気泡除去機構の動作を示す図である。
【図9b】気泡除去機構の動作を示す図である。
【図9c】気泡除去機構の動作を示す図である。
【図10】血液分離構造と混合室内に放出する二つの順次混合構造とを備える、統合型「ラボオンディスク」システムを示す図である。
【図11】上記図面を参照して後述されるデバイスを用いた液体処理用の駆動・制御システムを示す図である。
【図12】図10を参照して後述されるデバイスを用いて血液分離および希釈を統合して行う周波数プロトコルを示す図である。
【図13】表面張力障壁に基づく離散化構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1aないし図1dを参照して、液流を離散化する構造である離散化構造2、すなわち矢印4で示す位置に回転中心を有する「ラボオンディスク」マイクロ流体デバイスについて説明する。離散化構造は、供給構造10から液体6を受け取る容積8を画成する。
【0029】
離散化構造2のサイフォン状構成は入口ポート14を有する導管12を備える。容積8からの液体6は入口ポートを通って導管12に進入することができる。導管12は、入口14に対して半径方向外側に位置する出口16を有しているので、デバイスが回転されるとき、出口は入口よりも遠心力ポテンシャルが小さな位置にある。導管は、入口14よりも半径方向外側に第1屈曲部18を画成しており、半径方向最外側で容積8に導管12を接続することで容積8の排水を助けている。入口14と出口16の両方よりも半径方向内側にある導管の第2屈曲部20は、第1屈曲部と出口との間に位置している。このため、デバイスが回転されると、第2屈曲部は入口と出口の間にポテンシャル障壁を提供する。
【0030】
使用時に、マイクロ流体デバイスが回転すると、遠心力の影響下で液体6が供給構造10から容積8内へと流れ、容積8と導管12の両方を満たし始める。図1bに示すように、第2屈曲部により提供されるポテンシャル障壁に対応するしきい値面22を液体が越えない限り、出口16から液体は分配されない。図1cに示すように、液体6がしきい値面22を越えると、離散化構造2の最低ポテンシャルで遠心力2より出口16に向けて液体が押される。この時点から、導管12が通気されずディスクが回転する限り、サイフォン効果のために液体が出口16から放出され続ける。
【0031】
供給構造10および離散化構造2は、供給構造10からの液体の流入速度が出口16からの液体の流出速度よりも小さくなるように構成されている。したがって、一旦液体が出口16から流れ始めると、容積8が空になり入口14が空気に晒されるようになるまで、容積8内の液体6の液面が、ポテンシャル障壁の横切るしきい値面22から減少する。入口が空気に晒される時点で導管12が通気され導管内の残りの液体が出口16から分配される。この段階で、屈曲部20によって再提供されるポテンシャル障壁が出口を通した液体の放出を防止するので、容積8は再び満たされ続ける。こうして上述のシーケンスが再開される。
【0032】
連続的な遠心力などの連続的な駆動力の影響下では、上記離散化構造が離散量の液体を周期的に放出することが理解できる。放出される離散量は、容積8内の液体の量と、しきい値面22に対応する導管12とによって決定される(各サイクル後に容積8内に残る液体の量は無視する)。
【0033】
図2aおよび図2bを参照して、離散分配量を変更する一方法について説明する。図2aでは、図1aないし図1dと同様に、導管12内の容積と、屈曲部20によるポテンシャル障壁を越える前の液面22の容積8とによって離散量が決定される。図2bを参照し、同等の考察を適用して、個別のチャンバ8’をなくし導管12の延長部分8”を残して容積8を画成することによって、分配される容積8が削減される。
【0034】
上述のように、離散化構造は、離散化構造内への液体の流入速度が離散化構造からの流出速度よりも小さいことに依存している。したがって、それぞれの速度をそのように調整する必要がある。図3を参照してこれについて説明する。
【0035】
図3は、導管24によって供給容器26に接続された遠心式離散化構造2の展開図である。回転中心は展開図内に点線28で示されている。流速は駆動圧と流路抵抗とに依存する。流路抵抗は、流路の長さおよび断面積などの複数の因子と、流路を通って流れる液体の流体特性(密度および粘度など)とに依存する。他の全ての因子が等しい場合、例えば供給構造10の供給導管24の長さを、容積8から導管12を通り出口16までの流路よりも大きくすることで、流入速度と流出速度の正しい関係が容易に達成される。他に、導管12の幅を導管24よりも広くするなどの代替的または追加的構成がいくつかの実施形態で使用される。
【0036】
後述する混合構成に対しては、離散化構造内への流入速度を調整することが望ましい。図3は流れ離散化構造2を単純化したモデルを示しており、離散化構造が長さlの流路24によって半径方向内側にある供給容器26に接続されている。ディスクが回転されると、遠心力が容器26内の液体に作用する。この力が圧力を生み出し、流路24を通して離散化構造2に向けて液流Qを導く。流路を通る圧力駆動流の流速は、ハーゲン・ポアズイユの式によって与えられる。
【数1】


ここで、Q(t)は体積流量、ΔP(ω,t)は遠心力で誘起された圧力、Rhdは流体力学的流れ抵抗を表す。
【0037】
簡単のために、離散化チャンバ内での液体集積によって作り出される逆圧は無視する。したがって、ΔP(ω,t)はP(ω,t)となる。遠心力によって作り出される圧力は角速度ωに依存し、また容器内の液面は時間とともに減少するので、時間依存でもある。この圧力は次式で与えられる。
【数2】


ここで、ρは液体密度を、r(t)は液柱の質量中心の半径方向距離を、h(t)は液柱の半径方向長さを表す。
半径方向距離rは次式で与えられる。
【数3】


ここで、rは回転中心から導管の端までの半径方向距離を表す。
図3によると、液柱の半径方向長さh(t)は次式で与えられる。
【数4】


ここで、h(t)は容器内の時間依存の液体高さを、hは傾いた出口流路の半径方向長さを表す。
容器内の液体の時間依存の半径方向長さh(t)は、次式で計算することができる。
【数5】


ここで、wは容器の幅を、dは容器の深さを表す。
【0038】
式5および式1によると、容器内の時間依存の液面以外に、流速も出口流路の時間非依存の流体力学的抵抗によって決定される。第1近似として、この抵抗は流路の幾何と流体の粘度のみに依存し、長方形断面を持つ流路に対して次式で推定することができる。
【数6】


ここで、Aは流路の断面積を、Aは流路のアスペクト比を、ηは液体の粘度を、lは流路長を表す。
【0039】
上記の数式は、離散化構造2への流入速度が、その様々な部品の形状および構造に加えて、回転中心および離散化構造に対する供給構造の幾何(形状、回転中心に関する場所、および寸法)に依存していることを表している。この単純なモデルが、以下で説明する混合構成内の離散化構造内の流速について優れた記述を提供することが実験的に分かっている。一部の実施形態では、このモデルを使用して、例えば数式をシミュレートし設計パラメータを変更するなどしてデバイスの設計パラメータを決定し、所望の離散量または流速を与えている。
【0040】
図4を参照して、上述した二つの離散化構造2a、2bを備える混合構成について説明する。二つの離散化構造2a、2bは、供給構造10a、10bからそれぞれ液体を供給され、また出口16a、16bで混合室30に接続される。離散化構造はそれぞれ、容積8a、8bを通気するために、デバイスの空気システムへの個別の通気接続部32a、32bを備えている(または外気に対して開放されている)。使用時に、出口16a、16bから上述の混合室内に離散量の液体がそれぞれ周期的に放出される。離散量の液体が混合室内に放出されるので、液体が順にまとめて放出される場合よりも二つの液体が混じり合う。加えて、出口16a、16bから放出される液体の衝撃の繰り返しにより混合がさらに促進される。
【0041】
図5を参照して、代替的な混合構成について説明する。この構成では、出口16a、16bがそれぞれ中間室34に接続され、中間室は混合室30への単一の出口36を有する、使用時に、図4で上述したのと同一の動作が行われるが、単一の出口36により定まる位置とほぼ同位置で出口16からの液体が混合室30に衝突するので、混合室30内で離散量の液体が連続的に互いの液体の上に放出されるかたちになるため、さらに混合が改善される。中間室34の内部で特定量の混合が発生するとさらに考えられている。個別の通気接続32の代わりに、この構成は中間室34内への単一の通気接続部38を有している。そのため、一旦導管12が空になると、離散化構造2a、2bの容積8が出口16を通して通気される。
【0042】
図6を参照して、別の混合構成も中間室34を備えるが、この構成では離散化構造2a、2bが共通室40(選択的に空気バッファ空間42を備えてもよい)内に設けられている。離散化構造2a、2bは共通室40の形状によって共通して画成されており、成形された機構44a、44bが各離散化構造にそれぞれ対応している。中間室34は共通室40の一部を形成し、その外形の一部によって画成される。共通室40は単独の通気ポートを有しておらず、離散化構造2a、2bは単一の出口36と混合室30とを通してのみ通気することができる。混合室30は、デバイスの空気システムに接続されるか、または外気に対して開放されている。実際、この構成は、離散化構造2a、2bのそれぞれから離散量の液体を放出する交互シーケンスの信頼性を高めることが分かっている。離散化構造2a、2bから交互に液量が放出されるように、容器内に放出される連続的な液量が実質的に同期化されるので、混合容器内の離散量の液体の混じり合いが最大化される。
【0043】
実質的に同一の液体特性を持つ二つの等量の液体を混合比1(またはそれぞれの液体特性によって定められた混合比)で混合する完全なシステムについて、図7を参照して説明する。二つの容器26a、26bは、対応する導管24a、24bによってそれぞれ離散化構造2a、2bに接続される。離散化構造2a、2bは中間室34内に液体を放出し、液体は単一の出口36を通り混合室30内に流れる。導管24a、24bは導管12a、12bよりも通水抵抗(hydraulic resistance)が大きくなるような寸法にされ、上述のように流出速度よりも流入速度の方が小さくなるようになっている。容器26a、26bと導管24a、24bは混合構成の中心軸に対して対称である。そのため、それぞれの液体特性の比率(同じ特性に対しては1)によって流速の比率が決定される。明確さのために、混合比1とは、各液体の一単位の容量が混合され、合計で二単位の容量ができることを意味する。これは1:2の希釈に対応する。
二つの液体を混合比1(または液体特性によって定まる混合比)で混合することに加えて、離散化構造2a、2bへの流入速度を調節することによって、それぞれの液体特性を考慮した任意の混合比を実現することができる。図3を参照して上述したように、数式1〜6は、幾何的因子、回転周波数(または他の駆動力)、液体特性およびこれらにより生じる流速の間の関係を表している。したがって、各液体および対応する供給構造に対して、数式1〜6における幾何的因子を調整して所望の流速を実現することができる。
【0044】
一部の実施形態では、導管24の幅および深さ、容器26の半径方向位置、または導管24の長さのうち一つ以上を調節して所望の流速を実現する。特に、導管24の長さは、実質的に同一の製造パラメータを維持しながら多くの製造方法において容易に変更することができる因子であるので、多くの実施形態において調整に有利な因子である。これは、導管の幅および/または深さの調整とは対照的である。なぜなら、多くの場合、導管の幅および/または深さを調整するには、所望の流速の実現のために異なる導管断面積が必要になり製造の複雑度を増大させる可能性があるからである。
【0045】
一部の実施形態では、上述の数式を使用して各供給構造およびその対応する流速のシミュレーションを行い、例えば導管長さの関数として流速を定める較正曲線を求めることができる。これらの較正曲線(または直接シミュレーション)を用いて、(それぞれ固有の粘度を有する)液体に対して所望の流速を与える適切な構造を設計し、その後、後述する技術を用いて対応するデバイスを製造する。離散化構造から放出される離散量が同期化され単位時間毎に同一回数の離散量が各離散化構造から放出されるような流れ挙動が望ましい場合には、上述のようにそれぞれの流速によって液体の混合比を主に決定する一方で、しきい値面に対応するしきい値容積(より正確には、各サイクルで分配される容積)を例えばそれぞれの流速に正比例するように設計し、図2aまたは図2bを参照して上述したように、または図8を参照して後述するように離散化構造を適合させる。
【0046】
それぞれの液体を収容する容器が空になるように、時間的に一定の混合比を実現する(同期混合)ためには、混合比に対応するそれぞれの速度で各容器内の液頭が変化する必要がある。同一の流体特性を有する等量の液体同士を混合する場合には、各容器内の液柱の高さが同一であれば容器の(液頭を横切る)断面積を同一にして、同時に下流の導管と離散化構造とを同一形状にすることによって、これを実現することができる。他の混合比の場合および/または異なる特性を持つ液体同士の混合の場合には、流体構造の両側の流体推進メカニズムが同じであるので、確実な同期混合のために各流体構造の幾何および寸法の調整が必要となる。通常、これを実現するには、混合構成の両側の流速を調整して、(a)混合比に対応する体積比で各液体の液滴を連続的に供給する交互シーケンスを実現するか、(b)他方の液体に切り替える前に、一方の液体を混合比に対応する放出率で連続的に放出させる同一離散量シーケンスを行うか、(c)これらの二つの動作モードを組み合わせるように、流体構造を設計する。
【0047】
図8を参照して、図6および図7を参照して上述した混合構成における離散化構造2aについて説明する。離散化構造2aは、共通室40内部の気泡除去機構46とともに、出口16aから離散量が連続して放出されるときに気泡を形成する傾向がある液体の流れを離散化するように適合される。気泡除去機構46の角部48が出口16aに隣接するように、かつ角部48が共通室40の内部で他の離散化構造2bから放出される液体と接触する半径方向位置に、気泡除去機構46が構造44aに隣接して配置される。気泡除去機構46は、角部48から構造44の中間壁52の方向にほぼ沿った方向へと半径方向内側に延びる。中間壁52に対面する気泡除去機構46の壁54は、角部48から延びるにつれて中間壁52から離れて傾斜するような形状にされる。これによって、壁52と壁54の間に膨張通路を形成し、後述するような気泡チムニーまたは導管を画成する。
【0048】
気泡除去機構46の動作について、図9aないし図9cを参照して説明する。図9aは、離散化構造2aから離散量の液体がちょうど放出された時点における混合構成を示す。離散化構造2aから放出された液体の固有の流体特性のために、流れの中断後に表面張力に起因する膜56が形成される。図9bは、その後、他方の離散化構造2bから離散量の液体がちょうど放出された時点における混合構成を示す。離散化構造2bから放出された液体66の中間室34内の液面は、気泡除去機構46の角部48に到達する液面である。この結果、表面張力効果のために、液体66によって膜56が運ばれて角部48に付着する。角部48における気泡除去機構の曲率の急変がこの付着を助ける。続いて、液体66が中間室34から排水され、角部48に付着した膜56が残る(図9cを参照)。このサイクルが繰り返されるたびに別の膜56が角部48に付着し、壁54と壁52の間の通路に気泡を形成する。この通路は半径方向内側に膨らむ形状をしているので、気泡は半径方向内側に押されて出口16aから遠ざかり、共通室40の半径方向内側部分で消散する。形成された気泡が出口16aから離れて運ばれるので、形成された気泡と離散化構造2aからの流れとの干渉が軽減されるか、防止されさえする。
【0049】
再び図8を参照して、離散化構造から分配される液量を調節する別の方法について説明する。図8から分かるように、二つの屈曲部18と20との間の距離によって作られる導管12aの半径方向の偏りは、導管12bの半径方向の偏りよりも小さい。したがって、しきい値面22に対応する離散化構造内部のしきい値容積は、離散化構造2a内よりも離散化構造2b内の方が大きい。これが、図2aおよび図2bを参照して上述したものに加えて、分配量を調節する代替的な方法を提供する。
【0050】
図10を参照して、血液検体から分離された血漿などの検体を、二段階希釈構成を使用して統合構造内で希釈する統合システムについて説明する。分離室60は、検体入口62と、受入室66へとつながる出口64とを有する。受入室66は、通気口68によって分離室60へと通気している。受入室66内への通気口68の開口部は、受入室66内への入口64の開口部と隣接している。受入室66の(図の平面と直交する方向の)高さは、入口64を通って進入する液体が受入室66を横切る液膜を形成するように構成される。
【0051】
使用時に、分離室60は、(例えば接着フラップを使用して)血液入口62を閉じることによって外気から隔離され、入口64の開口部から通気口68の開口部と反対側の空気システム接続部90を通して、受入室66が外気と流体接続される。デバイスが第1速度で回転されると、遠心駆動力に応答して液体が入口64を通り受入室66へと流れるときに、分離室60内の液面が低下するので、分離室60内で負圧が形成され、通気口68内に液体プラグが形成されるまで受入室66内の液膜が通気口68内へと引き込まれる。この段階で、通気接続部68が塞がれ入口64を通る流れが止まるので、血液検体は分離室60内に留まり、遠心力の影響下で血漿と細胞物質とに分離する。
【0052】
分離室60の一部は、入口64への分離室60の接続部を半径方向に越えて配置されているので、入口64を通る流れが再確立されると、分離された細胞物質が分離室60の内部に留まる。これは、デバイスの回転速度を変更して通気口68から液体プラグを除去することによって実現される。受入室66は計量構造69と流体接続しており、受入室66から計量構造69まで血漿が流れる間、同時に残りの細部物質を保持するような形状にされている。計量構造69はオーバーフロー構造70と流体連通しており、所定の容量が計量構造69内に保持されるとともに、余分な結晶がオーバーフロー構造70に流入するようになっている。
【0053】
計量構造69は、導管72によって、混合構成76の第1離散化構造2aと接続される。図8を参照して上述した一部の実施形態では、混合構成76は血漿から気泡を除去する気泡除去機構46を備えるが、上述の他の混合構成または任意の他の適切な混合構成を他の実施形態で用いることができる。導管72は毛細管サイフォン74を備える。毛細管サイフォン74は、デバイスが回転するとき、毛細管サイフォン74内の液柱に作用する遠心圧により毛細管サイフォン74を越える導管72内の流れが停止され、デバイスが停止するかまたは十分に減速したとき、毛細管作用によって毛細管サイフォン74を越えて液体を引き出すように構成される。一旦、計量室69内の液体の半径方向最内部の液面を越えて液体が引き出されると、デバイスの回転を再開しサイフォン効果を利用して液体を引き出すことができる。このようにして、毛細管サイフォン74は、デバイスが最初に回転されるときに流れを閉塞し、デバイスの回転を一時的に停止するか減速させて開放されるバルブとして機能することができる。
【0054】
混合構成76の他方の離散化構造2bは、希釈バッファなどの賦形剤(dilutant)を収容する容器に接続される。計量構造69、導管72、混合構成76、賦形剤容器、および賦形剤容器を離散化構造2bに接続する導管78は、所望の混合比に対して必要となるそれぞれの流速を得るように構成される。加えて、離散化構造2a、2bの容積は、互いに対して流速比の割合にされ、各離散化構造から放出される離散量を同期化する。
【0055】
混合構成76の中間室34は、導管80によって混合室30に直接接続される代わりに、混合構成82の離散化構造2cに接続される。毛細管バルブ86を備える導管84によって、別の賦形剤容器が混合構成82の別の離散化構造2dに接続される。毛細管バルブ86は、賦形剤容器から離散化構造2dへの通路内に、断面積の急変部および/または局所的な表面改質部を画成する。したがって、容器からバルブ86までの導管84が最初に満たされ、液体が離散化構造2dへと移相され始めるのは、しきい値回転速度を超えてバルブ86によって画成された表面張力障壁が破られた後である。毛細管バルブ86は、バルブ86および第1混合構成76の両方からの液体の第2混合構成への到着を同期させるように設計される。こうして、後の段階で、別の混合構成82が混合構成76からの賦形剤で希釈された血漿と別の賦形剤とを混合する。混合構成82の共通室35は、第2出口によって混合室30に接続される。こうして、混合室30は二回希釈された溶液を受け取る。
【0056】
一部の実施形態では、離散化構造2b、2dに供給する容器が、例えばPBS(リン酸緩衝生理食塩水)である緩衝液などの賦形剤の共通容器に接続された分注(aliquoting)構造によって提供される。後述するように、分注構造は、分離構成58によって血液検体が分離されるとき、最初の分離ステップの間に必要量の賦形剤を一定分量にする(aliquot)ように構成される。
【0057】
混合室30は、デバイスの空気システムまたは外気への接続部92を一端に備えるとともに、毛細管サイフォン構造74について上述したのと同じ動作をする毛細管サイフォン構造88を他端に備えており、希釈が完了するまで希釈された血漿を混合室30内に維持し、その後、例えば検体除去用のデバイスの別の構造に希釈された検体を移送するか、または例えば光学検出によって検体を分析するように構成された別の構図に希釈された検体を移送する。
【0058】
図10に関連して上述した構造は、駆動機構と係合し回転中心4を画成するための中央切り抜き99を有する遠心分離式マイクロ流体「ラボオンディスク」デバイス98上に設けられる。
【0059】
特定の実施形態では、計量構造69が1マイクロリットルの血漿を計量するように構成され、離散化構造2b、2d内に送り込む分注構造がそれぞれ6マイクロリットルの賦形剤を計量する。この結果、多段混合構造76および82は、1マイクロリットルの血漿を12マイクロリットルの賦形剤で希釈して、混合室30内で1:13の希釈を実現する。
【0060】
図11を参照して、上述の遠心分離式マイクロ流体デバイス、特に図10を参照して上述した遠心分離式マイクロ流体デバイスを用いた分析システムについて説明する。制御システム96の制御下にある駆動システム94は、「ラボオンディスク」デバイス98などのマイクロ流体遠心分離デバイスを制御可能な回転速度シーケンスで駆動して、デバイス98上に搭載された検体の流体処理を行う手段を備える。一部の実施形態では、駆動システム94は、検体がデバイス98内で流体的に処理されると検体からデータを収集し、そのデータを記録および/またはさらなる処理のために制御システム96に与える分析部と連結される。
【0061】
図12を参照して、図10を参照して上述したデバイスを用いて血液検体を流体的に処理する方法について説明する。第1ステップ100で、検体入口62を用いて分離室60が満たされ、接着フラップを用いてデバイスが封止される。続いて、デバイスが駆動システム内に配置される(ステップ102)。回転プロトコルの第1ステップ104において、デバイスが第1周波数(例えば50Hz)で回転され、上述したように通気口68の内部にプラグを形成する。回転プロトコルの第2ステップ106において、デバイスは同一の周波数または異なる周波数(例えば40Hz)で回転され続け、細胞材料と血漿を分離する。ステップ104の間、ディスクが所与の割合(例えば、s当たり50回転)で加速され、所与の時間(例えば3秒)だけその周波数で維持される。ステップ106の間、デバイスが所与の割合(例えば、s当たり50回転)で所与の周波数(例えば40Hz)まで減速され、血漿と細胞成分とを分離するために、特定の期間(例えば60秒)だけその回転周波数が維持される。通気口68内に形成されるプラグのために、この段階では分離室60から受入室66に血液が移されることはない。ステップ108で、所与の割合(例えば、s当たり5回転)で特定の周波数(例えば85Hz)まで回転周波数が増加され、液体プラグの除去が可能になる。一旦特定の周波数に到達すると、通気口68からプラグが排出され、(ほとんどの)血漿が受入室66内へと流れ込む。受入室66が一杯になると、血漿があふれて血漿計量構造69へと向かい、続いて、余分な量があふれてオーバーフロー容積70内に集積され、液体の計量が可能になる。ステップ104〜108の一部または全ての間、上述のように分注構造によって共通容器から二つの分注部内に一定分量の賦形剤が与えられる。一例として与えられた特定のプロトコル、回転周波数の定量値および変化率は、図面を参照して説明した特定の実施形態に適したものである。当業者であれば、異なる実施形態に適した他のプロトコルおよびパラメータ調節を容易に実施する。
【0062】
導管72、78、84はそれぞれ、デバイスが停止され(または遠心圧に打ち勝つことで毛細管サイフォン構造の毛細管注入が可能になるまでほとんど停止され)、ステップ110で混合構成への移送を開始するまでさらなる流れを起こさない毛細管サイフォン構造を備える。それぞれの導管の毛細管作用のために、血漿が離散化構造2aに出会うと血漿は急激膨張部まで前進し、導管78内の賦形剤は、賦形剤が離散化構造2b内の急激膨張部に出会うまで前進し、導管84内の賦形剤は、毛細管バルブ86内の急激膨張部に出会うまで前進する。毛細管バルブ86から離散化構造2dまでの移動時間が第1混合構成76から離散化構造2cまでの移動時間と一致するように毛細管バルブ86が配置される。この結果、混合構成76からの一度希釈された液体と導管84からの賦形剤とが、第2混合構成82に同期して到達する。
【0063】
ステップ112で、再び所与の回転周波数(例えば40Hz)でデバイスが回転され、混合構成76、82を通してそれぞれの液体を駆動し、混合室30内で最終的に混合する。一旦混合が完了すると、ステップ114でデバイスが再停止または再減速され、毛細管サイフォン88の注水(prime)が可能になる。続いて、ステップ116で所与の回転周波数(例えば10Hz)でディスクが回転され、上述の分析構造または例えば検体収集ポートなどの別の構造に希釈された検体を移す。
【0064】
一部の実施形態では、上述の「サイフォン」ベースのものとは別の離散化方法および構造を、上述の単一または直列式混合構成で利用することができる。実際、所与の液体推進機構に対して、蓄積速度よりも速い速度で部分的または全体的に消耗可能である特定の蓄積能力を提供する任意の構造を等しく利用することができる。
【0065】
図13を参照して説明する一部の実施形態では、上述した蛇行出口導管の代わりに、出口を通る液流に対して表面張力エネルギー障壁を与える出口が配置される。これらの実施形態は、適切に置換された出口構造を持つ上述の実施形態を含む。一部の実施形態では、(生体液などの水溶液を扱うために水性液体によって濡れる材料で製造された実施形態では)出口16の領域の表面を疎水性にする表面改質によって、より一般的には周囲表面とは定性的に異なる濡れ挙動を持たせる表面改質によって、表面張力エネルギー障壁が与えられる。一部の実施形態では、図13のドット領域118によって示すように、出口導管12内に改質された表面が存在する。一部の実施形態では、代替的または追加的に、出口導管12への入口を取り囲む表面上に表面改質が存在し、出口導管12の前で表面張力エネルギーを与える。
【0066】
一部の実施形態では、容積8から出口導管12を通り、液柱の前面がくっつく液体導管の寸法の急変によって、表面張力エネルギー障壁が与えられる。一部の実施形態では、離散化構造の深さの段階変化、出口導管12の入口における段階変化、出口導管12の内部の段階変化、または出口導管12の出口16における段階変化によって上記急変部が実現される。水性液体を取り扱うために水性液体で濡れる材料で製造された構造の特定の実施例では、上記急変部は、例えば出口導管12を毛細管寸法で構成し、その出口周囲の表面に直角または鋭角で接合することによる、ある寸法の急激な膨張である。
【0067】
上述の「サイフォン状」実施形態に関して、これらの表面張力ベースの実施形態を用いる場合、離散化構造が空になり始めると、流入速度よりも大きな流出速度で出口導管が空になるように出口導管が構成される必要がある。これによって、離散化構造が実質的に空になったとき最終的に液柱が壊れ、表面張力障壁が再確立されると離散化構造が再び満たされ始めることが保証される。図13では、離散化構造の半径方向外側を向く側に出口が示されているが、離散化構造の側面を向く側に出口が設けられていてもよい。
【0068】
入口構造からの液体で離散化構造2が満たされると、当初は出口導管12における表面張力エネルギー障壁によって離散化構造内に液体が保持され、出口導管12の半径方向内側に液頭が形成され始める。離散化構造2内に液体が流入すると液頭が上昇するので、作用する駆動力が十分に大きく表面張力障壁に打ち勝つポイントまで液頭が成長し、その結果液体が出口導管を横切り始め、液量が減少し表面張力が再確立されるまで上記流出速度で流れるようなポイントが存在する。
【0069】
一部の実施形態では、上述のマイクロ流体デバイスは標準的なリソグラフィ過程で製造される。一つの手法は、厚さが異なるドライフィルムフォトレジストを使用して多重深さ構造を得る手法である。これらのフィルムは、透明ポリマーのディスク形基板上に積層される。基板には、打ち抜き、ミリング、レーザー切断によって入口ポートおよび出口ポートなどの流体接続部が設けられている。構造を現像しエッチングした後、ディスク基板が位置決めされ熱積層によって接着される。特に、一部の実施形態における血液分離・希釈用の上述のデバイスは、それぞれ深さ120マイクロメートルおよび55マイクロメートルである容器(離散化構造を含む)および導管を有する。他の実施形態では、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PC(ポリカーボネート)、PS(ポリスチレン)、COPおよびCOC(シクロオレフィンポリマーおよび共重合体)の直接レーザー切断、CNCフライス、熱エンボス加工、射出成形または注入/圧縮成形を含む、他の製造技術を使用する。基板上に流体ハンドリング構造を形成した後、第2基板またはフィルムを使用して流体ハンドリング構造を閉じ込める接着ステップが通常は必要である。接着促進物質(例えば、液状接着剤、固体接着剤、放射線硬化、レーザー接着、触媒補助接着、溶剤補助接着、または熱活性接着促進剤)の使用、または接着面が直接接触する場合には温度を直接与えることを含む様々な手段によって、ポリマー材料を接着することができる。特に、マイクロ流体処理に続いて実行される分析および検出用途に応じて、二つの透明基板の一方または両方に、一つは透明で一つは色素の濃い基板に、または二つの色素の濃い基板に、マイクロ流体構造が製造されてもよい。一部の実施形態では、基板の半分は少なくとも部分的に金属化して、表面プラズモン共鳴検出などの特定の光学検出プロセスを容易にしてもよい。
【0070】
一部の実施形態では、混合構成内の離散化構造の容積は、1:2の希釈に対して両方とも60ナノリットルである。一部の実施形態では、1:6の希釈に対して、一方の容積を60ナノリットルにし他方の容積を300ナノリットルにして同期した液滴形成を実現する。他の実施形態では、混合構成の両方の離散化構造に対して、混合比に関係なく同一の容積、例えば60ナノリットルが選択される。
【0071】
本発明の詳細な実施形態の上記説明は例示のためであり、限定を目的としたものではない。特に、上述の特徴の多数の変形、修正および並置は当業者が想定するものであり、本発明の一部を形成する。
【0072】
混合用途以外の離散化構造の他の用途も同様に考えられる。特に、用途は血液検体の処理、分離および希釈に限定されず、当業者は一般の液体の混合などの多数の他の用途を想定する。さらに、上記離散化機構および構造は混合目的に限定されず、液滴または液体プラグが必要となる他の用途においても有利である場合がある。例えば、一部の用途では、第1液体の離散量を第2の不混和液体に運ぶ必要がある。上述の混合機構および構造は、二つの液体に限らず、単一の液体または多数の液体にも使用することもできる。
【0073】
上述のまたは他の任意のタイプの散化構造とともに図10の直列構成を使用することができ、またその供給構造は、例えば分離構造、分注構造および単一容器のうちの任意の一つ以上の組み合わせを含む上述した分離および分注構造の構成と異なっていてもよい。血液検体の処理に限定されず、任意の他の混合用途または希釈用途に適用することができる。同様に、血液検体の処理は直列混合構成に限定されず、単一混合構成もこの用途で等しく使用することができる。上述のものの代わりに他の分離構成を使用することができる。
【0074】
離散化構造の「しきい値面」の観点から上記説明をしたが、これは、離散化構造の平坦な水面の充填に限られないことが理解されよう。例えば、しきい値面に対応する離散化構造内の容積の表面は、表面張力効果のために、または離散化構造の形状のために、および/または作用する遠心力のために、湾曲していてもよい。同様に、いくつかの場所で、寸法、周波数、加速度および期間などのパラメータに関して説明した。これらのパラメータは説明を目的として挙げたものであることが理解されよう。例えば、図12を参照して説明したプロトコルは、上述した特定の値に限定されず、上記ステップの回転周波数を増減させる一般的なシーケンスまで広げるように意図されている。
【0075】
遠心分離式マイクロ流体デバイスの観点で上記の説明をしたが、回転デバイスにおける遠心力以外の駆動力を上述の原理とともに同等に利用できることが理解されるだろう。上記の「サイフォン」ベースの例とともに、遠心力、重力または電気力などの体積力、あるいは帯電液体に対する場が利用される。当業者は、上記の考察、特に数式1〜6を、遠心力以外の駆動力および対応する座標系に対して容易に適合させるだろう。圧力差などの他の駆動力とともに他の離散化構造を使用してもよい。
【0076】
本発明はマイクロ流体的スケールに限定されず、例えば巨視的スケールなどの他のスケールへの応用も等しく想定される。誤解を避けるために、本明細書における「マイクロ流体」という用語は、1mm未満の寸法を少なくとも一つ有する容器または流路などの流体素子を有するデバイスを意味するために用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力に応答して、第1離散化構造に第1流入速度で第1液体を供給する第1供給構造を備え、
第1出口と、前記駆動力に応答して前記第1出口を通して第1流出速度で第1液体を分配する前に第1液体で前記第1離散化構造が満たされる第1しきい値面と、を画成するように前記第1離散化形状が成形されており、
前記第1流出速度は前記第1流入速度よりも大きく、これにより前記第1離散化構造を周期的に空にして、前記駆動力に応答して前記第1出口からの前記第1液体の離散化流れを形成することを特徴とする、液体収容デバイス。
【請求項2】
前記第1離散化構造は、一端で前記第1供給構造と流体連通し他端で前記第1出口を画成する導管を備え、
前記導管は前記しきい値面を画成する二つの端部の間に屈曲部を備え、
前記一端は前記他端よりも前記屈曲部に近接していることを特徴とする請求項1に記載の液体収容デバイス。
【請求項3】
前記導管は、前記一端と前記屈曲部との間に別の屈曲部をさらに備え、
前記第1離散化構造は、前記供給構造と流体連通する容積であって、前記導管を通して前記容積を完全に空にできるように配置されたポートを通して前記導管の前記一端と流体連通する容積を備えることを特徴とする請求項2に記載の液体収容デバイス。
【請求項4】
軸の周りに回転可能に構成され、前記一端が前記屈曲部の半径方向外側にあり、前記他端が前記一端の半径方向外側にあることを特徴とする請求項2に記載の液体収容デバイス。
【請求項5】
軸の周りに回転可能に構成され、前記一端が前記屈曲部の半径方向外側にあり、前記他端および別の屈曲部が前記一端の半径方向外側にあり、前記ポートが前記容積の半径方向最外側に配置されることを特徴とする請求項3に記載の液体収容デバイス。
【請求項6】
前記第1出口は前記液体の流れに表面張力エネルギー障壁を与えるように構成され、これにより液体が前記第1しきい値面に到達するまで液体を前記離散化構造の中に保持することを特徴とする請求項1に記載の液体収容デバイス。
【請求項7】
前記第1出口を通って流れる液体が、前記出口の少なくとも一つの寸法で液体の正面を固定するための急変部を通るか、または前記出口内または出口に隣接する構造の表面特性を改質することによって液体の正面を固定することを特徴とする請求項6に記載の液体収容デバイス。
【請求項8】
少なくとも一つの寸法における前記急変部は急激な膨張であることを特徴とする請求項7に記載の液体収容デバイス。
【請求項9】
前記離散化構造は、前記第1出口内または第1出口に隣接する隣接表面領域とは表面特性が異なる改質表面領域を備えることを特徴とする請求項6、7または8に記載の液体収容デバイス。
【請求項10】
前記改質表面領域は疎水性であり、前記隣接表面領域は水性液体によって濡れることを特徴とする請求項9に記載の液体収容デバイス。
【請求項11】
駆動力に応答して、第2離散化構造に第2流入速度で第2液体を供給する第2供給構造を備え、
第2出口と、前記駆動力に応答して前記第2流入速度よりも大きい第2流出速度で前記第2出口を通して第2液体を分配する前に、第2液体で前記第2離散化構造が満たされる第2しきい値面と、を画成するように前記第2離散化構造が成形されており、
前記第1出口と前記第2出口は第1液体および第2液体を受け入れる混合室と流体連通し、これによって液体の混合が可能になることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の液体収容デバイス。
【請求項12】
使用時に前記第1および第2供給構造がそれぞれの液体で満たされるとき、前記第1および第2離散化構造は、前記共通室を通してのみ通気される共通容積の内部で互いに流体連通することを特徴とする請求項11に記載の液体収容デバイス。
【請求項13】
前記第1出口および前記第2出口と流体連通し、前記混合室と流体連通する単一の出口を有する中間室を備えることを特徴とする請求項11または12に記載の液体収容デバイス。
【請求項14】
前記中間室は前記第1出口に隣接する気泡除去機構を画成し、該気泡除去機構は、前記第2液体が前記中間室内に流れるとき、前記第1液体の流れの中断後に前記第1出口に形成される液膜を捕らえるよう構成されることを特徴とする請求項13に記載の液体収容デバイス。
【請求項15】
前記気泡除去機構は、前記第1出口から離れる方向に連続して形成される膜を捕らえることによって形成される気泡を導くようにさらに構成されることを特徴とする請求項14に記載の液体収容デバイス。
【請求項16】
前記気泡除去機構は前記第1出口と隣接する角部を有し、該角部は、前記第2出口から放出される液体と接触可能に配置され、前記第1デバイスの前記第1出口と離れる方向に延び、前記角部から離れる方向に前記気泡を導くための流路を画成することを特徴とする請求項15に記載の液体収容デバイス。
【請求項17】
前記流路は前記角部からの距離とともに広がることを特徴とする請求項16に記載の液体収容デバイス。
【請求項18】
前記第1および第2流入速度が予め定められた混合比に対応する比率となるように、前記第1および第2供給構造が構成されることを特徴とする請求項11ないし17のいずれかに記載の液体収容デバイス。
【請求項19】
前記第1液体が前記第1しきい値面に到達するときに前記第1出口から放出される液量と、前記第2液体が前記第2しきい値面に到達するときに前記第2出口から放出される液量とが、前記予め定められた混合比に対応する比率となるように前記離散化構造が成形されることを特徴とする請求項18に記載の液体収容デバイス。
【請求項20】
前記第1および第2供給構造は、各容器が前記対応する流入速度で空になるときにそれぞれの液頭が同一速度で変化するように成形された容器をそれぞれ備えることを特徴とする請求項18または19に記載の液体収容デバイス。
【請求項21】
駆動力に応答して、第3離散化構造に第3流入速度で第3液体を供給する第3供給構造を備え、
第3出口と、前記駆動力に応答して前記第3流入速度よりも大きい第3流出速度で前記第3出口を通して第3液体を分配する前に、第3液体で前記第3離散化構造が満たされる第3しきい値面と、を画成するように前記第3離散化構造が成形されており、
前記第1出口と前記第2出口は第4離散化構造と流体連通しており、
第4出口と、前記駆動力に応答して第4流入速度よりも大きい第4流出速度で前記第4出口を通して第1および第2液体を分配する前に、第1および第2液体で前記第4離散化構造が満たされる第4しきい値面と、を画成するように前記第4離散化構造が成形されており、
前記第3出口と前記第4出口は前記第1、第2および第3液体を受け入れる混合室と流体連通し、これによって液体の混合が可能になることを特徴とする請求項11ないし20のいずれかに記載の液体収容デバイス。
【請求項22】
前記第1および第2供給構造は、液体に駆動力が付与されていないとき流体流れが界面で停止するような界面を対応する離散化構造とともにそれぞれ画成し、
前記第3供給構造は、前記液体に駆動力が付与されていないとき前記第3離散化構造への液体流れを解除可能に閉塞するための閉塞手段と、前記閉塞手段を前記第3離散化構造に接続する導管とを備え、
前記閉塞手段から前記第3離散化構造への前記第3液体の移動時間が、前記界面から前記第4離散化構造への前記第1および第2液体の移動時間と実質的に同一となるように、前記導管が構成されることを特徴とする請求項21に記載の液体収容デバイス。
【請求項23】
前記第2および第3供給構造は、共通の容器から前記第2および第3液体のそれぞれを一定分量与えるための共通分注構造を備えることを特徴とする請求項21または22に記載の液体収容デバイス。
【請求項24】
前記第1液体は血漿であり、前記第1供給構造は、血液検体を受け取り該血液検体から血漿を分離する手段を備えることを特徴とする請求項11ないし22のいずれかに記載の液体収容デバイス。
【請求項25】
マイクロ流体デバイスであることを特徴とする請求項1ないし24のいずれかに記載の液体収容デバイス。
【請求項26】
回転軸を定め該回転軸周りに回転して駆動力を与えることを特徴とする請求項1ないし25のいずれかに記載の液体収容デバイス。
【請求項27】
ディスク形状であることを特徴とする請求項1ないし26のいずれかに記載の液体収容デバイス。
【請求項28】
血液検体から血漿を分離し希釈する方法であって、
請求項11ないし27のいずれかに記載のデバイスの前記第1供給構造内に血液検体を投入し、前記第2供給構造内に賦形剤を投入し、
前記デバイスを回転させて血漿を分離し、デバイスを再回転する前にデバイスを停止して分離された血漿を前記賦形剤で希釈することを含む方法。
【請求項29】
請求項11ないし27のいずれかに記載のデバイスの製造方法であって、
前記デバイスは所与の駆動力、所与の第1液体および所与の第2液体に対して予め定められた第1流入速度および第2流入速度を有しており、
前記第1および第2供給構造は、容器と、該容器とそれぞれの離散化構造とを接続する導管とをそれぞれ備え、
対応する予め定められた流入速度にしたがって前記容器と前記導管の構成を設計し、該設計にしたがってデバイスを製造することを含む方法。
【請求項30】
前記導管の形状および寸法を適合させて対応する予め定められた流入速度にしたがった通水抵抗を持たせることを含む請求項29に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−514196(P2012−514196A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543459(P2011−543459)
【出願日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【国際出願番号】PCT/PT2009/000081
【国際公開番号】WO2010/077159
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(511102240)バイオサーフィット、 ソシエダッド アノニマ (3)
【Fターム(参考)】