説明

分析用具及びマイクロ分析システム

【課題】分析用具本体とマイクロ流路チップとを別体に生成する場合において、マイクロ流路チップの分析光受光部に傷を付けることなく精度が良い試料分析結果を得ることができ、かつ、精度良くマイクロ流路チップ内の流体温度を調整すること。
【解決手段】マイクロ流路チップ30を着脱可能に固定保持する分析用具本体10において、マイクロ流路チップ30が載置される載置面13に切り欠き部21を形成する。切り欠き部21は、分析用具1がヒートブロック50上に設置された状態において光学系ユニット60のレンズから出射された光の光路Lに対応する部分を含む所定の範囲に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製のマイクロ流路チップを有する分析用具及びこれを具備するマイクロ分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生化学や分析化学等の科学分野あるいは医学分野において、タンパクや核酸(例えば、DNA)などの微量な物質の検査分析を精度良く高速に行うために、マイクロ分析システムが使用されている。
【0003】
マイクロ分析システムのひとつとして、分析用具の内部に数10〜200μm程度の幅および深さのマイクロ流路を形成し、流路に泳動液(緩衝液、ゲル)を充填し、流路の一端より試料を注入して電圧をかけ、試料を電気泳動させて分析を行うシステムが挙げられる。
【0004】
このような試料の分析において、分析光の出射および受光が可能な光学系ユニットを有する分析装置に、マイクロ流路を有する分析用具を設置し、試料を電気泳動させ、流路の所定の位置に光を照射し、流路内の試料が発する蛍光波長を観察する方法が知られている。
【0005】
また、マイクロ流路内の流体を所定温度とするために、分析用具内の流路近傍に熱交換デバイスとしてヒータを配置する技術も知られている(特許文献1参照)。
【0006】
マイクロ流路内の流体の温度調整を行う方法には、マイクロ流路を有する分析用具(基板)を2つのヒートブロックで挟持し、このヒートブロックの温度を制御して、マイクロ流路内の流体温度を調整する方法も存在する(特許文献2参照)。
【0007】
ところで、最近では、マイクロ流路を有する分析用具を樹脂で製造することが主流となっている。分析用具の材質を樹脂とすることにより、ガラスでこのような分析用具を製造する場合に比べて、廉価に量産することができる。
【0008】
また、樹脂製のマイクロ流路を有する分析用具は、ガラス製のものに比べて複雑な形状を容易に成形することができることから、設計の自由度を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−238090号公報
【特許文献2】特開2006−115742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、マイクロ流路を有する分析用具本体と一体にヒータが形成される場合には、1回の使用毎に分析用具と共にヒータも使い捨てられてしまうため、分析コストの高騰を招く。コストを抑えるためには、光学系ユニットやヒートブロック等の熱交換デバイスは、分析用具とは別体として、分析装置に備えつけられたものを用いることが好ましい。
【0011】
更に、分析コストを抑えるためには、分析装置に装着される分析用具のうち使い捨てられる部分を必要最小限のマイクロ流路部分のみとし、分析用具本体は繰り返し使用可能なものとすることが要求される。
【0012】
そのような構成のマイクロ分析システムでは、ヒートブロックとマイクロ流路チップとを別体に形成した場合でも、マイクロ流路チップ内の流体への高い伝熱効率を得られるようにすることが課題となる。
【0013】
また、マイクロ流路チップを分析用具本体に装着する際に、マイクロ流路チップの底面が分析用具本体と擦れることにより、マイクロ流路チップの底面に傷が付いてしまうおそれがあり、高精度な光分析をすることができないという新たな課題が生じる。
【0014】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、分析用具本体とマイクロ流路チップとを別体に生成する場合において、マイクロ流路チップの分析光受光部に傷を付けることなく精度が良い試料分析結果を得ることができ、かつ、精度良くマイクロ流路チップ内の流体温度を調整することができる分析用具及びマイクロ分析システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の分析用具は、微少流路を有する分析用具と、加熱・冷却可能な熱交換ブロックと、分析光の出射および受光が可能な光学系ユニットと、を有し、前記微少流路の温度を所定値に制御した状態で前記微少流路の所定の位置にある試料に光を照射し、前記試料からの分析光を検出する分析システムに用いられる前記分析用具であって、前記微少流路が内部に形成された樹脂製のマイクロ流路チップと、前記マイクロ流路チップを着脱可能に固定保持する分析用具本体と、からなり、前記微少流路は、前記分析用具が前記熱交換ブロック上に設置された状態で前記光学系ユニットの分析光出射部から出射された光の光路を通るように形成され、前記マイクロ流路チップが載置される前記分析用具本体の載置面には、前記分析用具が前記熱交換ブロック上に設置された状態における前記光路部分を含む所定の範囲に前記マイクロ流路チップと接触しないための逃げ加工が施される、構成を採る。
【0016】
本発明のマイクロ分析システムは、上記分析用具を備える構成を採る。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、分析用具本体とマイクロ流路チップとを別体に生成する場合において、精度が良い試料分析結果を得ることができ、かつ、精度良くマイクロ流路チップ内の流体温度を調整することができる。また、分析用具本体とマイクロ流路チップを別体に形成することにより、使い捨て部分を最小限とすることができ、コストを抑えることができるとともに、複数種類の分析装置それぞれに合わせた分析用具本体を準備すれば、マイクロ流路チップを共通使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態に係る分析用具の平面図
【図2】図1のA−A断面図
【図3】本発明の一実施の形態に係る分析用具本体の平面図
【図4】図3のB−B断面図
【図5】本発明の一実施の形態に係る分析用具のマイクロ流路チップの平面図
【図6】図5のC−C断面図
【図7】本発明の一実施の形態に係る分析用具のマイクロ流路チップの底面図
【図8】本発明の一実施の形態に係るバリエーション1の分析用具本体の平面図
【図9】図7のD−D断面図
【図10】本発明の一実施の形態に係るバリエーション2の分析用具本体の平面図
【図11】図10のE−E断面図
【図12】本発明の一実施の形態に係るバリエーション2の分析用具のマイクロ流路チップの平面図
【図13】図12のF−F断面図
【図14】本発明の一実施の形態に係るバリエーション2の分析用具のマイクロ流路チップの底面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
〔分析用具の構成〕
図1は、本発明の一実施の形態に係る分析用具の平面図である。また、図2は、図1のA−A断面図である。なお、図2では、マイクロ分析システムの一部の構成も併せて示す。
【0021】
図1及び図2に示すように、分析用具1は、分析用具本体10と、マイクロ流路チップ30と、から構成される。マイクロ流路チップ30は、分析用具本体10に着脱可能に取り付けられる。分析用具本体10は、装着されたマイクロ流路チップ30を固定保持する。なお、分析用具本体10、マイクロ流路チップ30の詳細については後述する。
【0022】
マイクロ分析装置本体2は、ヒートブロック50と、光学系ユニット60と、を有する。分析用具1は、試料分析を行う際、マイクロ分析装置本体2のヒートブロック50上に設置される。
【0023】
ヒートブロック50は、上面51(図2における上端面)において分析用具本体10と接触し、マイクロ流路チップ30の温度を略一定に保つべく、分析用具本体10を介してマイクロ流路チップ30に熱を伝える。
【0024】
ヒートブロック50には、光学系ユニット60から照射された光及びマイクロ流路チップ30内の試料から発せられた蛍光を通過させるための貫通穴52が設けられる。
【0025】
光学系ユニット60は、マイクロ流路チップ30に照射する光の出射および分析光の受光を行う。光学系ユニット60のレンズから出射される光は、貫通穴52を通過してマイクロ流路チップ30内の試料に向けて集光し、マイクロ流路チップ30内の試料から発せられた蛍光は、貫通穴52を通過して光学系ユニット60のレンズに入射される。
【0026】
〔分析用具本体の構成〕
図3は、本発明の一実施の形態に係る分析用具本体の平面図である。また、図4は、図3のB−B断面図である。
【0027】
分析用具本体10は、その外形がほぼ直方体であり、例えば、PMMA(ポリメタクリル酸メチル),PC(ポリカーボネート),EP(エポキシ樹脂)等の樹脂材料により形成される。
【0028】
分析用具本体10の上面11(図4における上端面)側には、マイクロ流路チップ30を装着するための取り付け部12が設けられる。取り付け部12は、上面11から所定の深さに、マイクロ流路チップ30を載置するための載置面13を有する。載置面13は、その幅がマイクロ流路チップ30の幅よりもやや広く、その奥行きがマイクロ流路チップ30の長さとほぼ同じとなる大きさに形成される。
【0029】
取り付け部12の内側面14a、14bは、分析用具本体10にマイクロ流路チップ30を装着する際のガイドの役割を果たす。取り付け部12の各内側面14a、14b、14cには、それぞれマイクロ流路チップ30を押さえるための突起15a、15b、15cが設けられる。また、内側面14a、14bには、右側面16(図4における右端面)側に、マイクロ流路チップ30の凸部39a、39b(図5参照)と係合させてマイクロ流路チップ30を係止するための、凹部17a、17bが形成される。
【0030】
分析用具本体10の下面18(図4における下端面、上面11の反対面)側には、ザグリ部19が形成される。ザグリ部19の底面20は、載置面13と平行であって、ヒートブロック50の上面51よりもやや大きく、試料分析の際に、ヒートブロック50の上面51と接触する。分析用具本体10は、ヒートブロック50からの熱をザグリ部19の底面20で受け、載置面13からマイクロ流路チップ30に熱を伝える。
【0031】
分析用具本体10の右側面16側中央部には、切り欠き部21が設けられる。切り欠き部21は、分析用具1がヒートブロック50上に設置された際に、光学系ユニット60のレンズから照射された光の光路(以下、単に「光路」という)Lに対応する部分を含むように形成される。光路Lに対応する部分を含むように切り欠き部21を形成することにより、マイクロ流路チップ30の底面42(図6参照)の光路Lに対応する部分が、載置面13とすれて傷付いてしまうことを防ぐことができる。
【0032】
また、切り欠き部21の幅及び長さを必要最小限とすることにより、載置面13とマイクロ流路チップ30の底面42との接触面積を大きくとることができ、ヒートブロック50からの熱を分析用具本体10を介してマイクロ流路チップ30に十分に伝えることができる。
【0033】
伝熱部としての役割を有するザグリ部19の底面20から載置面13までの板状部の厚みは、分析用具本体10が装着されるマイクロ分析装置本体2のヒートブロック50の位置に合わせて変更することが可能であり、光学系ユニット60から出射される光の焦点位置がマイクロ流路チップ30の分析流路内に合致するように調整することができる。
【0034】
〔マイクロ流路チップの構成〕
図5は、本発明の一実施の形態に係るマイクロ流路チップの平面図である。また、図6は、図5のC−C断面図である。また、図7は、本発明の一実施の形態に係るマイクロ流路チップの底面図である。
【0035】
マイクロ流路チップ30は、厚さ1mm程度の平板31と、100μm程度の厚みのフィルム32と、から構成される。平板31及びフィルム32は、例えば、PMMA(ポリメタクリル酸メチル),PC(ポリカーボネート),EP(エポキシ樹脂)等の透明樹脂材料により形成される。
【0036】
平板31には、フィルム32に対向する面(下面)33に、細長い流路34a、34bが、途中で交差するように形成される。流路34a、34bは、それぞれ一辺の長さ(幅および深さ)が数十μm程度の略矩形の断面を有する。また、流路34bは、分析用具1がヒートブロック50上に設置された際に光路Lを通るように形成される。
【0037】
平板31には、流路34a、34bのそれぞれの両端に、外部に開口する、断面が略円形の貫通孔(注入口)35a、35b、35c、35dが形成される。各貫通孔35a、35b、35c、35dは、直径が数100μm〜数mmであり、有機溶媒及び分析対象溶液の注入口又は排出口として機能するだけの十分な大きさを有している。
【0038】
フィルム32は、少なくとも流路34a、34b、貫通孔35a、35b、35c、35dを覆うように、平板31の下面33に、透明な有機接着剤による接着あるいは熱圧着等により接合される。
【0039】
平板31には、その側面36aの両端部にスリット37a、37bを入れることによって、側面36b、36cに板バネ38a、38bが形成される。また、板バネ38a、38bの先端には、分析用具本体10の凹部17a、17bと係合する凸部39a、39bが形成される。
【0040】
また、平板31には、その上面40(下面33の反対面)の側面36a側を隆起させたつまみ部41が形成される。つまみ部41を形成することにより、試験者は、このつまみ部41を指でつまむことによって、マイクロ流路チップ30を分析用具本体10に容易に装着することができる。また、これにより、試験者は、マイクロ流路チップ30(フィルム32)の底面42を触らずに、マイクロ流路チップ30を分析用具本体10に装着することができるので、試験者が底面42を汚したり、傷つけたりすることが無くなる。
【0041】
また、分析用具本体10に切り欠き部21が形成されることにより、分析用具本体10にマイクロ流路チップ30を装着する際、マイクロ流路チップ30の底面42の光路Lに対応する部分は、載置面13とすれて傷付くことがない。したがって、光学系ユニット60のレンズから試料に向けて照射した光及び試料からの蛍光がマイクロ流路チップ30で乱反射することがなくなる。
【0042】
〔試料分析の工程〕
試料分析を行う場合、まず、試験者は、分析用具本体10にマイクロ流路チップ30を装着する。具体的には、試験者は、一方の手で分析用具本体10を持ち、他方の手の指でマイクロ流路チップ30のつまみ部41をつまんで持ち、マイクロ流路チップ30を分析用具本体10の載置面13に置き、マイクロ流路チップ30の先端側(つまみ部41の反対側)を突起15a、15bの下をくぐらせながら凹部17a、17bと凸部39a、39bが係合するまで押す。
【0043】
次に、試験者は、マイクロ流路チップ30に流路34a、34bに泳動液を充填し、貫通孔(注入口)35aより試料を注入する。
【0044】
次に、試験者は、分析用具1をヒートブロック50上に設置し、ヒートブロック50の温度を制御することによりマイクロ流路チップ30の温度を所定の値にする。
【0045】
次に、試験者は、貫通孔35a、35c、35dに(−)の電圧をかけ、貫通穴35bに(+)の電圧をかける。これにより、試料は、貫通孔35aから貫通孔35bに向かって流路34a内を電気泳動する。
【0046】
そして、所定時間を経過した後に、試験者は、貫通孔35a、35b、35cに(−)の電圧をかけ、貫通穴35dに(+)の電圧をかける。これにより、流路34aと流路34bの交差部にあった試料のみが、切り出されて流路34b内を貫通孔35dに向かって電気泳動する。また、流路34b内の試料は、分子量毎の電気泳動速度の違いによって分離される。
【0047】
そして、所定時間を経過した後に、試験者は、光学系ユニット60のレンズから試料に光を照射し、試料の蛍光波長を観察する。試験者は、蛍光強度や蛍光検出時間を測ることにより、電気泳動の結果を得ることができる。
【0048】
〔本実施の形態の効果〕
以上のように、本実施の形態によれば、分析用具本体10とマイクロ流路チップ30を別体に形成することにより、使い捨て部分を最小限とすることができ、コストを抑えることができるとともに、複数種類の分析装置それぞれに合わせた分析用具本体10を準備すれば、マイクロ流路チップ30を共通使用することができる。
【0049】
また、光路Lに対応する部分を含むように切り欠き部21を形成することにより、マイクロ流路チップ30の底面42の光路Lに対応する部分に傷が付いてしまうことを防ぐことができる。したがって、光学系ユニット60のレンズから試料に向けて照射した光及び試料からの蛍光がマイクロ流路チップ30で乱反射することがなくなるので、精度が良い試料分析結果を得ることができる。
【0050】
また、光路Lに対応する部分を含むように切り欠き部21を形成することにより、分析光が自家蛍光を発する材料で形成された分析用具本体10を経由しないため、光学系ユニット60での検出光のバックグラウンドを低く抑えることができる。
【0051】
また、切り欠き部21の幅及び長さを必要最小限とすることにより、載置面13とマイクロ流路チップ30の底面42との接触面積を大きくとることができるので、ヒートブロック50からの熱を分析用具本体10を介してマイクロ流路チップ30に十分に伝えることができ、精度良くマイクロ流路チップ30の温度を調整することができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、電気泳動用のマイクロ流路チップ30を示したが、本発明はこれに限らず、流路の一部が光分析部として使用されるマイクロ流路チップであれば、あらゆるマイクロ流路チップに適用することができる。
【0053】
また、本実施の形態では、試料からの分析光として蛍光である場合を示したが、本発明はこれに限らず、光学ユニット60の分析光出射部と分析光受光部をマイクロ流路チップの光分析部を介して対向配置し、マイクロ流路チップ内の試料を経由した光によって吸光分析を行う場合にも適用することができる。
【0054】
また、本実施の形態では、分析用具本体10及びマイクロ流路チップ30が同様の材質で形成される場合について示したが、本発明はこれに限らず、使い捨てではない分析用具本体10を熱伝導率の高い材料で形成しても良い。このように分析用具本体10とマイクロ流路チップ30とを異種材料で形成することにより、分析の高精度化と分析コストの低廉化を両立することが可能となる。
【0055】
〔バリエーション1〕
なお、本実施の形態では、図8、図9に示すように、切り欠き部21の代わりに、分析用具本体70の載置面13にザグリ部71を形成することにより、マイクロ流路チップ30の底面42の光路Lに対応する部分に傷が付いてしまうことを防ぐことができる。
【0056】
図8は、本発明の一実施の形態に係るバリエーション1の分析用具本体の平面図であり、図9は、図8のD−D断面図である。図8、図9に示す分析用具本体70は、図3、図4に示した分析用具本体10と比較して、切り欠き部21の代わりにザグリ部71を形成した点のみが異なる。
【0057】
このように、ザグリ部71を形成することにより、切り欠き部21を形成する場合に比べて、光学系ユニット60のレンズから試料に向けて照射した光及び試料からの蛍光が分析用具本体70においてわずかに自家蛍光を発することになるが、分析精度に支障がない程度であればよく、分析用具本体70が変形しにくくなるという利点がある。
【0058】
〔バリエーション2〕
また、本実施の形態では、分析用具本体とマイクロ流路チップとを係合させる方法には特に限定はない。
【0059】
図10は、本発明の一実施の形態に係るバリエーション2の分析用具本体の平面図である。また、図11は、図10のE−E断面図である。また、図12は、本発明の一実施の形態に係るバリエーション2の分析用具のマイクロ流路チップの平面図である。また、図13は、図12のF−F断面図である。また、図14は、本発明の一実施の形態に係るバリエーション2の分析用具のマイクロ流路チップの底面図である。
【0060】
図10、図11に示す分析用具本体80は、図3、図4に示した分析用具本体10と比較して、突起15c及び凹部17a、17bが形成されず、代わりに、押さえ部81及び貫通穴82a、82bが形成される。
【0061】
図12乃至図14に示すマイクロ流路チップ90は、図5乃至図7に示したマイクロ流路チップ30と比較して、板バネ38a、38b、凸部39a、39bが形成されず、代わりに、凸部91a、91bが形成される。
【0062】
分析用具本体80の貫通穴82a、82bとマイクロ流路チップ90の凸部91a、91bと係合させることにより、分析用具本体80にマイクロ流路チップ90を係止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明に係る分析用具及びマイクロ分析システムは、生化学や分析化学等の科学分野あるいは医学分野において、微量な物質の検査分析を精度良く高速に行う装置に使用することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 分析用具
2 マイクロ分析装置本体
10、70、80 分析用具本体
12 取り付け部
13 載置面
14a、14b、14c 内側面
15a、15b、15c 突起
17a、17b 凹部
19 ザグリ部
20 底面
21 切り欠き部
30、90 マイクロ流路チップ
31 平板
32 フィルム
34a、34b 流路
35a、35b、35c、35d 貫通孔
38a、38b 板バネ
39a、39b 凸部
41 つまみ部
42 底面
50 ヒートブロック
60 光学系ユニット
71 ザグリ部
81 押さえ部
82a、82b 貫通穴
91a、91b 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微少流路を有する分析用具と、加熱・冷却可能な熱交換ブロックと、分析光の出射および受光が可能な光学系ユニットと、を有し、前記微少流路の温度を所定値に制御した状態で前記微少流路の所定の位置にある試料に光を照射し、前記試料からの分析光を検出する分析システムに用いられる前記分析用具であって、
前記微少流路が内部に形成された樹脂製のマイクロ流路チップと、
前記マイクロ流路チップを着脱可能に固定保持する分析用具本体と、からなり、
前記微少流路は、前記分析用具が前記熱交換ブロック上に設置された状態で前記光学系ユニットの分析光出射部から出射された光の光路を通るように形成され、
前記マイクロ流路チップが載置される前記分析用具本体の載置面には、前記分析用具が前記熱交換ブロック上に設置された状態における前記光路部分を含む所定の範囲に前記マイクロ流路チップと接触しないための逃げ加工が施される、
ことを特徴とする分析用具。
【請求項2】
前記逃げ加工は、切り欠きの形成である、請求項1記載の分析用具。
【請求項3】
前記逃げ加工は、ザグリ加工である、請求項1記載の分析用具。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の分析用具を具備するマイクロ分析システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−247587(P2011−247587A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117552(P2010−117552)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000208765)株式会社エンプラス (403)
【Fターム(参考)】