説明

分析装置における検体分注方法および分析装置

【課題】余剰量を加えて分析用検体を吸引して分析用検体の希釈を防止すると共に、該余剰量の検体を分析に使用して、検体の有効利用を図ることが可能な分析装置における検体分注方法および分析装置を提供する。
【解決手段】
分析項目に応じて、余剰用検体O2と分析用検体O1とを吸引して分析用検体O1のみ吐出する定量分注と、分析用検体O1のみ吸引して押し出し水L2とともに分析用検体O1を吐出する押し出し分注とが設定され、該設定に応じて分注を行う分析装置1における検体分注方法であって、定量分注項目用に、余剰用検体O2と分析用検体O1とを吸引し、反応容器20に分析用検体O1のみを吐出する定量分注ステップと(ステップS108)、前記定量分注ステップで吸引した余剰用検体O2を、押し出し分注項目用に、押し出し水L2と共に別の反応容器20に分析用検体O1として吐出する押し出し分注ステップと(ステップS109)、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置における検体分注方法、および分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体と試薬との反応物を分析する分析装置において、検体または試薬を分注する分注装置は、分注精度の向上を図るために、押し出し水による希釈を考慮して、分注プローブによって余剰量を加えた液体試料を吸引後、所定量のみ吐出する分注方式を主として採用している。
【0003】
分注に際し、分注装置の分注精度の維持向上のためには、余剰量の検体または試薬を吸引した吐出動作は必要であるが、小児検体などの微量試料への対応や試料採取における患者負担の軽減、さらに試薬消費量の低減のために、分析に直接使用しない余剰量の検体または試薬を低減するという課題を有していた。
【0004】
これに対して、分注に使用した余剰量の試料または試薬を廃棄せず再使用することにより余剰試料を削減し、押し出し水による希釈の影響を低減する液体分注方式が提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
【0005】
また、同一試料から複数回分注を行なう場合に、最初の試料分注の際は、分析用と余剰用の試料を吸引させ、2回目以降は、余剰用の試料を廃棄せずに再使用し、分析用の試料のみ吸引することにより、2回目以降の分注に要するサイクルタイムを半分以下に設定する自動分析装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
さらに、試料の分注方式を、余剰量を吸引して行なう分注方式と、余剰量を吸引せず分析に要する量のみ吸引して押し出し吐出する分注方式とが設定され、分析項目または分注量に応じて前記分注方式を選択制御しうる自動分析装置が提案されている(例えば、特許文献4および5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平1−284762号公報
【特許文献2】特開平3−9263号公報
【特許文献3】特開平10−153601号公報
【特許文献4】特開2002−162401号公報
【特許文献5】特開2005−17459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1および2に記載のものでは、余剰用試料を再利用しているため分析に使用しない余剰量は削減できるものの、余剰用試料を何度も再使用するため、余剰用試料は押し出し水で希釈され、分析用の試料の希釈を防止するという本来の目的を果たすことができず、分析結果の信頼性が確保できないおそれがある。
【0009】
また、特許文献3に記載のものでは、分注に要するサイクルタイムや余剰用試料の低減は可能であるものの、特許文献1および2と同様に、分析用の試料の希釈を防止するという余剰試料の目的を果たすことができず、分析結果の信頼性が確保できないおそれがある。
【0010】
同様に、特許文献4または5に記載のものでは、余剰量を吸引して行なう分注方式と、余剰量を吸引せず分析に要する量のみ吸引して押し出し吐出する分注方式とから、分注方式を選択できるため、すべての分析項目を余剰量吸引方式で行なう場合に比べて、余剰量を低減できるものの、余剰用試料は同様に再利用されるため、試料の希釈防止の効果が薄れる。
【0011】
これに加えて、上記いずれの文献のものでも、余剰用試料は、分注終了後、洗浄槽で廃棄されて分析用には使用されないため、該余剰用試料については有効利用されているとはいえないものであった。
【0012】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、余剰量を加えて分析用の検体を吸引することにより分析用検体の希釈を防止すると共に、該余剰量の検体を廃棄することなく分析に使用して、検体の有効利用を図ることが可能な検体分注方法、分析方法、再検分析方法および分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の分析装置における検体分注方法は、分析項目に応じて、余剰用検体と分析用検体とを吸引して分析用検体のみ吐出して分注を行なう定量分注と、分析用検体のみ吸引して押し出し水とともに分析用検体を吐出する押し出し分注とが設定され、該設定に応じて分注を行う分析装置における検体分注方法であって、定量分注を行う分析項目用に、余剰用検体と分析用検体とを吸引し、反応容器に分析用検体のみを吐出する定量分注ステップと、前記定量分注ステップで吸引した余剰用検体を、押し出し分注として設定されている分析項目用に、押し出し水と共に別の反応容器に分析用検体として吐出する押し出し分注ステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の分析装置における検体分注方法は、上記発明において、受け付けられた検体の分析項目情報を取得する取得ステップと、記憶手段が記憶する分析情報を抽出する抽出ステップと、前記分析情報に基づいて、前記分析項目に、前記定量分注を行なう分析項目と前記押し出し分注を行なう分析項目とが存在するか否かを判定して、1検体における分析項目の分注順の並び替えを行なう判定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の分析装置における検体分注方法は、上記発明において、前記判定ステップは、1検体について定量分注項目と押し出し分注項目とが存在する場合のみ、分析項目の分注順を定量分注と押し出し分注を交互に行なうように1検体における分析項目の分注順の並び替えを行なうことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の分析装置における検体分注方法は、上記発明において、前記判定ステップにおいて、1検体について定量分注項目のみが受け付けられていると判定した場合、または定量分注項目のほうが押し出し分注項目より多く受け付けられていると判定した場合、前記押し出し分注ステップにかえて、前記定量分注ステップで吸引した余剰用検体を、定量分注を行なう分析項目の再検用に押し出し水と共に反応容器に吐出する再検検体分注ステップを含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の分析装置における検体分注方法は、上記発明において、前記再検検体分注ステップにおいて、余剰用検体は押し出し水とともに希釈用容器に吐出され、さらに所定倍率に希釈された後、再検用検体として反応容器に分注されることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の分析装置は、分析項目に応じて、余剰用検体と分析用検体とを吸引して分析用検体のみ吐出して分注を行なう定量分注と、分析用検体のみ吸引して押し出し水とともに分析用検体を吐出する押し出し分注とが設定され、該設定に応じて分注を行う検体分注手段を有し、検体と試薬との反応物を光学的に分析する分析装置において、受け付けられた検体の分析項目情報を抽出する抽出手段と、分析情報を記憶する記憶手段と、前記分析情報に基づいて、前記分析項目に、定量分注を行なう分析項目と、押し出し分注を行なう分析項目とが存在するか否かを判定して、1検体における分析項目の分注順の並び替えを行なう判定手段と、前記判定手段が並び替えた分注順に各分析項目用の検体の分注を行なうように前記検体分注手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記検体分注手段に定量分注を行う分析項目用に余剰用検体と分析用検体とを吸引し、反応容器に分析用検体のみを吐出させた後、前記定量分注で吸引した余剰用検体を、押し出し分注を行なう分析項目用に押し出し水と共に別の反応容器に吐出させるよう制御することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の分析装置は、上記発明において、前記判定手段は、1検体について定量分注項目と押し出し分注項目とが存在する場合のみ、分析項目の分注順を定量分注と押し出し分注を交互に行なうように1検体における分析項目の分注順の並び替えを行なうことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の分析装置は、上記発明において、前記制御手段は、前記判定手段が1検体について定量分注項目のみが受け付けられていると判定した場合、または定量分注項目のほうが押し出し分注項目より多く受け付けられていると判定した場合、前記検体分注手段が定量分注を行う分析項目用に吸引した余剰用検体を、該定量分注を行なう分析項目の再検用に押し出し水と共に反応容器に吐出させるよう制御することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の分析装置は、上記発明において、前記制御手段は、前記検体分注手段により前記余剰用検体を押し出し水とともに希釈用容器に吐出させ、さらに所定倍率に希釈するよう制御した後、前記検体分注手段により再検用検体として反応容器に分注させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、1検体についてオーダーされた定量分析項目と押し出し分析項目について、判定手段により分注順の並び替えを行い、検体分注手段が吸引した定量分析項目用の余剰量検体と分析用検体について、制御手段は、定量分析項目用に分析用検体を反応容器に吐出させ、ついで余剰量検体を押し出し水と共に別の反応容器に吐出させるよう制御することにより、分析用検体の希釈を防止すると共に、余剰量検体を廃棄することなく分析に使用することが可能となり、検体の有効利用を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1にかかる分析装置の構成を示す模式図である。
【図2】図2は、検体分注機構の構成を示す模式図である。
【図3】図3は、検体の分析項目受付票の一例を示す図である。
【図4】図4は、検体の分注順並び替え後の受付票の一例を示す図である。
【図5】図5は、定量分注方式の分注動作を示す模式図である。
【図6】図6は、押し出し分注方式の分注動作を示す模式図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態1の分注動作を示す模式図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態1にかかる分注動作のフローチャートである。
【図9】図9は、本発明の実施の形態2にかかる一連の分注・分析動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の分析装置にかかる実施の形態について説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる分析装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、本発明の実施の形態にかかる分析装置1は、試薬と検体とを反応容器20に分注し、反応容器20内で反応させ、この反応液の吸光度を測定する測定機構2と、測定機構2を含む分析装置1全体の制御を行うとともに測定機構2における測定結果の分析を行う制御機構3と、を備える。分析装置1は、これらの2つの機構が連携することによって複数の検体の分析を自動的に行う。
【0026】
まず、測定機構2について説明する。図1に示すように、測定機構2は、血液や尿等の液体である検体を収容した複数の検体容器11aを保持する検体ラック11bを図中の矢印方向に順次移送する検体移送部11と、検体移送部11上の検体吸引位置P1で停止した検体容器11aから検体を吸引して反応容器20に検体を吐出して分注する検体分注機構12と、検体と接触した部分を洗浄する洗浄部13と、反応容器20内に分注される試薬が収容された試薬容器14aを複数収納する試薬庫14と、試薬庫14内の試薬吸引位置P2で停止した試薬容器14aから第1試薬または第2試薬を吸引して反応容器20に試薬を吐出して分注する試薬分注機構15と、試薬と接触した部分を洗浄する洗浄部13aと、反応容器20内に分注された試薬と検体とを攪拌する攪拌部16と、反応容器20内に分注された液体の吸光度を測定する測光部17と、測光部17による測定が終了した反応容器20を洗浄する洗浄部18と、反応容器20への検体や試薬の分注、攪拌、測光および洗浄を行うために反応容器20を所定の位置まで搬送する反応槽19と、を備える。
【0027】
また、検体容器11aおよび検体ラック11bには、内部に収容する検体を識別する識別情報を記憶した記録媒体がそれぞれ貼付されている(図示せず)。記録媒体は、符号化された各種の情報を表示しており、たとえば、検体情報として、検体を提供した患者の氏名(検体ID)、性別、年齢、分析項目などを表示する。検体移送部11には、検体容器11aおよび検体ラック11bに貼付された記録媒体を読み取る検体容器読取部11cが設けられている。
【0028】
つぎに、制御機構3について説明する。制御機構3は、CPU等によって実現され、分析装置1の各部の処理および動作を制御する制御部31と、キーボード、マウス、入出力機能を備えたタッチパネル等によって実現され、検体の分析に必要な情報や分析装置1の操作情報が入力される入力部32と、測光部17によって測定された吸光度の測定結果に基づいて検体の成分分析を行う分析部33と、検体容器読取部11cが読み取った分析項目に、後述する記憶部35に記憶される定量分注を行なう分析項目と、押し出し分注を行なう分析項目とが存在するか否かを判定して、1検体における分析項目の分注順の並び替えを行なう判定部34と、ハードディスクやメモリ等によって実現され、分析装置1の各部の処理および動作にかかる各種プログラムや検体の分析に関する情報に加え、分析装置1で分析可能な各分析項目について、検体分注を定量分注方式または押し出し分注方式のいずれの分注方式で行なうかについて予め設定された分注情報を含む各種情報を記憶する記憶部35と、ディスプレイやプリンタ等によって実現され、検体の分析に関する情報等を出力する出力部36と、を備える。本明細書において、定量分注方式とは、分析に要する検体量に余剰量(以下、「ダミー」と呼ぶ)を加えた量を吸引し、分析に要する量のみ反応容器20に吐出する方式をいい、押し出し分注方式とは、分析に要する検体量のみ吸引し、分析に要する検体量を所定量の押し出し水L1とともに反応容器20に吐出する方式をいう。定量分注方式は分注精度に優れる方式であり、押し出し分注方式は、ダミーを必要としないため、検体量が少ない小児検体の場合などに好適に採用される。
【0029】
以上のように構成された分析装置1では、反応槽19上で順次移送される複数の反応容器20に対して、試薬分注機構15が試薬庫14の試薬容器14aから第1試薬を分注後、検体分注機構12が検体吸引位置P1で停止した検体容器11aから検体を分注する。その後、試薬分注機構15が洗浄部13aで洗浄された後、試薬分注機構15は試薬庫14の試薬容器14aから第2試薬を反応容器20に分注する。さらに、測光部17が第1試薬、検体および第2試薬を反応させた状態の反応液の吸光度を測定し、この測定結果をもとに分析部33が分析することによって、検体の成分分析等が自動的に行われる。その後、洗浄部18が測光部17による測定が終了した後に搬送される反応容器20を搬送させながら洗浄し、反応容器20を再利用する。その後、洗浄された反応容器20を再利用し、複数の分析処理を行う。
【0030】
つぎに、図1に示した検体分注機構12および判定部34について詳細に説明する。図2は、検体分注機構12の構成を示す模式図である。検体分注機構12は、図2に示すように、分注プローブ41、分注ポンプ46および送液ポンプ50を有する。
【0031】
分注プローブ41は、ステンレス等によって棒管状に形成されたものからなり、アーム42に装着されている。アーム42は、駆動部43の駆動によって動作し、アーム42と駆動部43とを連結する連結部44を介して、鉛直方向の昇降および連結部44を通る鉛直軸を中心とする回転を自在に行う。分注プローブ移送部43は、制御部31による制御のもと、アーム42を駆動させ、分注プローブ41の先端部を検体容器11a内または反応容器20内に下降させる。
【0032】
分注ポンプ46は、シリンジポンプで実現され、電磁弁49と送液ポンプ50とを介して、押し出し水L1を収容するタンク51に接続されている。分注ポンプ46は、プランジャー駆動部47によるプランジャー46aの往復動によって、分注プローブ41内に検体を吸引し、吸引した検体を反応容器20に吐出して分注を行う。プランジャー駆動部47は、制御部31による制御のもと、プランジャー46aを駆動することによって、検体の分注量を調整する。なお、押し出し水L1としては、蒸留水、脱気水、イオン交換水などの非圧縮性流体が適用される。この押し出し水L1は、分注プローブ12cの内部の洗浄を行う洗浄水としても適用される。
【0033】
検体分注機構12は、制御部31の制御の元、送液ポンプ50を駆動の後、電磁弁49を開状態にすることでタンク51に収容されている押し出し水L1が、配管45を経て分注ポンプ46内に充填され、分注プローブ41の先端まで満たされる。押し出し水L1が分注プローブ41の先端まで満たされた状態で、電磁弁49を閉状態にし、送液ポンプ50を停止する。検体分注は、吸引を行う場合には、プランジャー駆動部47を駆動してプランジャー46aを分注ポンプ46に対して後退移動させることにより、押し出し水L1を介して分注プローブ41の先端部に吸引圧が印加され、この吸引圧によって検体が吸引される。一方、検体の吐出を行う場合には、プランジャー駆動部47を駆動してプランジャー46aを分注ポンプ46に対して進出移動させることにより、押し出し水L1を介して分注プローブ41の先端部に吐出圧が印加され、この吐出圧によって検体が吐出される。
【0034】
制御部31は、新たな検体の分析を開始する際に、検体容器読取部11cが検体容器11aに貼付された記録媒体から読み取ったオーダーされた分析項目情報を取得し、記憶部35から、該分析項目が定量分注方式または押し出し分注方式のいずれの分注方式で行なうかについての分注情報を取得する。分注情報には、分析に要する検体分注量やダミー分注量、押し出し分注方式の場合に分注される押し出し水吐出量も含まれる。制御部31は、判定部34が並び替えた分注順に各分析項目用の検体の分注を行なうように、検体分注機構12を制御する。制御部31は、検体分注機構12により定量分注を行う分析項目用の余剰用検体と分析用検体とを吸引し、反応容器20に分析用検体のみを吐出させた後、前記定量分注で吸引した余剰用検体を、押し出し分注を行なう分析項目用に押し出し水と共に別の反応容器20に吐出させるよう制御する。
【0035】
判定部34は、制御部31を介して取得した、分析項目情報および該分析項目の分注情報に基づき、1検体についてオーダーされた分析項目について分注順の並び替えを行なう。判定部34が取得する情報は、たとえば、図3に示すように、分析項目、検体分注量、ダミー量、押し出し水吐出量L2ならびに分注方式を含む。
【0036】
図3は、検体ID1001の分析項目受付票の一例である。判定部34は、まず、検体ID1001の分析項目に定量分注を行なう分析項目と、押し出し分注を行なう分析項目とが存在するかを判定し、存在する場合は、検体ID1001の分析項目の分注順の並び替えを行なう。図3に示すように、検体ID1001の分析項目には、定量分注項目(A、B、D)と押し出し分注項目(C、E)が存在するため、判定部34は分注順の並び替えを行なう。判定部34は、ダミー検体と分析用検体とを吸引し、反応容器20に分析用検体のみを吐出する定量分注を行なった後、分注プローブ41内に残存するダミー検体を、押し出し水L1と共に別の反応容器20に分析用検体として吐出する押し出し分注を行なうよう、分注順を並び替える。分析項目の受付順は、A、B、C、D、Eであるが、定量分注項目の次に押し出し分注項目が分注されるよう分注順を並び替える。検体ID1001の分析項目の分注順を並び替えたものが、図4である。図4は、検体ID1001の分注順並び替え後の受付票の一例である。図4に示すように、判定部34は、分注方式が定量、押し出し、定量と交互になるように、受け付けられた分析項目の順番を入れ替える。
【0037】
つぎに、図5〜図7を参照して、本発明の分注方法について説明する。図5は、定量分注方式の分注動作を示す模式図である。図6は押し出し分注方式の分注動作を示す模式図である。図7は、本実施の形態1の分注動作を示す模式図である。図5〜図7において、押し出し水L1と押し出し水L2、ダミー検体O1と分析用検体O2とを網掛けで区別しているが、理解を容易にするために行なうものであり、押し出し水L1と押し出し水L2、ダミー検体O1と分析用検体O2とは均一な液体である。反応容器20中の、第1試薬R1、分析用検体O2、押し出し水L2も同様であり、分注後速やかに拡散溶解するものである。
【0038】
図5に示すように、定量分注方式では、分注プローブ41に分析に使用する検体(分析用検体O1)、5μLとダミー検体O2、5μLとの合計量10μLを一度に吸引し(図5(5−1)参照)、試薬分注機構15により第1試薬R1が分注された反応容器20内に分析用検体O1、5μLのみを分注する(図5(5−2)参照)。分析用検体O1より先に吸引されるダミー検体O2は、分注プローブ41の内壁にわずかに残存する押し出し水L1を溶解し、これにより希釈されるため、次回分注前に洗浄部13で廃棄される。
【0039】
押し出し分注方式では、図6に示すように、分注プローブ41で分析用検体O1、5μLのみ吸引し(図6(6−1)参照)、第1試薬R1が分注された反応容器20内に分析用検体O1、5μLを押し出し水L2、10μLとともに分注する(図6(6−2)参照)。分析用検体O1を吐出する際、分析用検体O1の一部は分注プローブ41の内壁にわずかに残存するため、押し出し水L2で内壁に残存する分析用検体O1を溶解して、ともに吐出することで分注量の正確性を担保している。
【0040】
これに対し、本発明の実施の形態1の分注方式では、図7に示すように、分注プローブ41に分析に使用する検体(分析用検体O1)、5μLとダミー検体O2、5μLとの合計量10μLを一度に吸引する(図7(7−1)参照)。その後、続いて定量分注方式の分析項目用に、試薬分注機構15により第1試薬R1が分注された反応容器20内に分析用検体O1、5μLのみを分注する(図7(7−2)参照)。その後、押し出し分注方式の分析項目用に、分注プローブ41内に残存するダミー検体O2、5μLを、第1試薬R1が分注された別の反応容器20内に押し出し水L2、10μLとともに分注する(図7(7−3)参照)。図7(7−3)で示す押し出し分注の際、押し出し水L2と共に反応容器20に分注されるため、分注量の正確性を担保でき、さらにダミー検体O2を廃棄することもないため検体の有効利用も可能となる。
【0041】
続いて、図8を参照して、本発明の実施の形態1の分注動作について説明する。図8は、本発明の実施の形態1にかかる分注動作のフローチャートである。
【0042】
まず、検体ラック11bに収納された検体容器11aを、検体移送部11にセットする(ステップS101)。検体容器読取部11cは、検体容器11aに貼付された記録媒体から、内部に収容する検体の検体情報を読み込む(ステップS102)。検体情報として、検体IDのほか、オーダーされた分析項目情報が読み込まれる。その後、制御部31は、記憶部35から分析情報を取得する(ステップS103)。分析情報として、分注方式や、検体分注量O1、ダミー量O2ならびに押し出し水量L2などが抽出される(図3参照)。また、ステップS101において検体容器読取部11cにより検体IDのみ読取り、検体IDを基に記憶部35からオーダーされた分析項目および分析情報を抽出してもよく、あるいは、図示しないホストコンピュータからオーダーされた分析項目および分析情報を取得してもよい。
【0043】
ステップS102およびステップS103で得た分析項目情報および分析情報を基に、判定部34は、オーダーされた分析項目中に定量分析項目が存在するか否かを確認する(ステップS104)。判定部34が定量分析項目が存在すると判定した場合には(ステップS104、Yes)、さらに押し出し分注項目が存在するか否かを確認し(ステップS105)、判定部34が定量分析項目が存在しないと判定した場合には(ステップS104、No)、制御部31は、押し出し分注項目の検体分注のために検体の吸引を行なわせる(ステップS114)。
【0044】
判定部34が定量分注項目および押し出し分注項目がともに存在すると判定した場合(ステップS104;Yes、ステップS105;Yes)、判定部34は、受け付けられた分析項目の分注順の並び替えを行なう(ステップS106)。たとえば、図3に示す検体ID1001では、分析項目A、B、C、D、Eの順番に受け付けられている。検体ID1001は、定量分注項目(A、B、D)および押し出し分注項目(C、E)がともにオーダーされているが、分注順は定量、定量、押し出し、定量、押し出しの順であり、定量分注項目の次に押し出し分注項目が分注されるように、分注順を入れ替える。検体ID1001では、押し出し分注項目の中で最も受付順の早い分析項目Cを定量分注項目Aの次に分注するよう入れ替える。
【0045】
判定部34は、分析項目Aの次に分析項目Cを分注(分析)するよう変更した後、制御部31に該情報を送信し、制御部31は、検体分注機構12の分注プローブ41で定量分注項目A用の検体を検体容器11aから吸引するよう制御する(ステップS107)。吸引量は、分析項目用Aの検体分注量O1の5μLとダミー量O2の5μLの合計である10μLである。ダミー量O2として吸引される5μLの検体は、分析項目Bの検体分注量O1の5μLでもある。
【0046】
検体吸引後(ステップS107)、制御部31は、検体分注量O1の5μLを反応容器20に吐出するよう制御する(ステップS108)。反応容器20には、すでに試薬分注機構15により第1試薬が分注されている。その後、制御部31は、分注プローブ41内の検体ダミー量O2、5μLを廃棄することなく分析項目B用の検体として別の反応容器20に吐出させる(ステップS109)。吐出に際し、制御部31は、押し出し水量L2として設定されている10μLがダミー量O2の5μLとともに反応容器20に吐出されるよう制御する。
【0047】
検体分注機構12の分注プローブ41を洗浄部13で洗浄した後(ステップS110)、制御部31は、1検体のすべての分析項目の分注が終了したか否かを確認する(ステップS111)。終了していない場合は(ステップS111、No)、ステップS104から検体の吸引、吐出(定量分注および押し出し分注)を繰り返す。
【0048】
制御部31が、1検体のすべての分析項目用の分注が終了したことを確認した場合(ステップS111;Yes、ステップS117;Yes、ステップS121;Yes)、さらに制御部31により検体移送部11にセットされたすべての検体の分注が終了したか否かが確認される(ステップS112)。終了していない場合は(ステップS112、No)、ステップS102から検体の分注、吐出を繰り返され、終了した場合は(ステップS112;Yes)、分注動作を終了する。分注された検体は、その後、試薬分注機構15により第2試薬が分注された後、測光部17で測光分析が行われる。分析は、第1試薬、検体および第2試薬を反応させた状態の反応液の吸光度を測光部17により測定するため、押し出し分注項目については、測定結果をもとに押し出し水L2による希釈の影響を考慮して、分析部33は検体の成分濃度等を求める。
【0049】
ステップS104において、判定部34が、1検体の分析項目中に定量分注項目が存在しないと判定した場合は(ステップS104、No)、制御部31は、押し出し分注項目の検体用に所定の検体分注量O1を検体分注機構12により吸引し(スイテップS114)、反応容器20に押し出し水L2とともに分注するよう制御する(ステップS115)。分注終了後、検体分注機構12の分注プローブ41を洗浄部13で洗浄した後(ステップS116)、制御部31は1検体のすべての分析項目用の分注が終了したか否かを確認する(ステップS117)。終了していない場合は(ステップS117、No)、ステップS114から検体の吸引、吐出(押し出し分注)を繰り返す。終了した場合は(ステップS117、Yes)、ステップS112に移行する。
【0050】
また、判定部34が、1検体の分析項目中に定量分注項目が存在するが、押し出し分注項目が存在しないと判定した場合は(ステップS104;Yes、ステップS105;No)、制御部31は、検体分注機構12により、定量分注項目用の検体を、検体分注量O1とダミー量O2との合計量吸引し(ステップS118)、検体分注量O1分吐出するよう制御する(ステップS119)。通常の定量分注においては、分注プローブ41内に残存するダミー量O2は洗浄部13で廃棄され、分注プローブ41の洗浄が行なわれる(ステップS120)。その後、制御部31は、1検体のすべての分析項目用の分注が終了したか否かを確認し(ステップS121)、終了していない場合は(ステップS121、No)、ステップS118から検体の吸引、吐出(定量分注)が繰り返される。終了した場合は(ステップS121、Yes)、ステップS112に移行する。
【0051】
なお、上記のフローチャートでは、各分注工程終了後に検体分注機構12の分注プローブ41の洗浄を行なっているが(ステップS110、ステップS116、ステップS120)、これを行なわずに、1検体のすべての分析項目の分注が終了した後(ステップS111;Yes、ステップS117;Yes、ステップS121;Yes)、洗浄することとしてもよい。
【0052】
さらに、本実施の形態1では、検体分注量O1と検体ダミー量O2が同じ分析項目について説明したが、異なる場合でも分析項目の分注順を定量分注項目、押し出し分注項目と交互に分注することにより、ダミー量O2の廃棄量を軽減できる。押し出し分注項目の検体分注量O1が定量分注項目のダミー量O2より多い場合には、ダミー量O2が分注された反応容器20に不足分の検体を分注(押し出し分注)すればよく、押し出し分注項目の検体分注量O1が定量分注項目のダミー量O2より少ない場合には、ダミー量O2が分注された反応容器20からダミー量を付加した検体分注量を吸引して、別の反応容器20に希釈を考慮した検体分注量O1を分注すればよい。また、図3および図4に示した分析検体量、ダミー検体量、ならびに押し出し水量はあくまで例示であって、これに限定されるものではない。
【0053】
さらにまた、本実施の形態1ではダミー検体の有効利用について説明したが、同じ試薬が連続して分注される場合には、検体の場合と同様に、分注プローブ内に残存するダミー試薬を押し出し水とともに反応容器に吐出することにより分析に使用することが可能である。ダミー試薬を分析に使用することにより、ダミー試薬を廃棄することなく有効利用することができ、コストの低減が可能となる。
【0054】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2にかかる分注・分析方法について説明する。本発明の実施の形態2は、1検体の分析項目が、押し出し分注項目がなく定量分注項目のみばかりの場合に、定量分注後に分注プローブ41内に残存するダミー検体を、廃棄せず再検検体として利用する。以下、本発明の実施の形態2について、図9を参照して説明する。図9は、本発明の実施の形態2にかかる一連の分注・分析動作の分注フローチャートである。
【0055】
実施の形態1と同様に、検体ラック11bに収納された検体容器11aを、検体移送部11にセットし(ステップS201)、検体容器11aに貼付された記録媒体から、検体容器読取部11Cは内部に収容する検体の検体IDや分析項目等の検体情報を読み込む(ステップS202)。その後、制御部31は、記憶部35から分注方式や検体分注量O1、ダミー量O2ならびに押し出し水量L2等の分析情報を抽出する(ステップS203)。ステップS202およびステップS103で得た分析項目情報および分析情報を基に、判定部34は、オーダーされた分析項目中に定量分析項目が存在するか(ステップS204)、および押し出し分注項目が存在するか否かを確認する(ステップS205)。
【0056】
判定部34が定量分注項目および押し出し分注項目がともに存在すると判定した場合(ステップS204;Yes、ステップS205;Yes)、判定部34により受け付けられた分析項目の分注順の並び替えを行なった後(ステップS206)、制御部31は、検体分注機構12の分注プローブ41により定量分注項目用の検体を検体容器11aから吸引するよう制御する(ステップS207)。検体吸引後(ステップS207)、制御部31は、検体分注量O1のみを定量分注項目用に反応容器20に吐出するよう制御し(ステップS208)、分注プローブ41内の検体ダミー量O2を廃棄することなく、押し出し分注項目用の分析検体として押し出し水とともに別の反応容器20に吐出させる(ステップS209)。
【0057】
分注プローブ41を洗浄部13で洗浄した後(ステップS210)、判定部34は、1検体のすべての分析項目の分注が終了したか否かを確認し(ステップS211)、終了していない場合は(ステップS211、No)、ステップS204から検体の吸引、吐出(定量分注および押し出し分注)を繰り返す。
【0058】
判定部34が1検体の分析項目中に定量分注項目が存在しないと判定した場合は(ステップS204、No)、制御部31は、検体分注機構12により押し出し分注項目の検体用に所定の検体分注量O1を吸引し(ステップS214)、反応容器20に押し出し水L2とともに分注する(ステップS215)。分注プローブ41を洗浄部13で洗浄後(ステップS216)、判定部34は、1検体のすべての分析項目用の分注が終了したか否かを確認する(ステップS217)。終了していない場合は(ステップS217、No)、ステップS214から検体の吸引、吐出(押し出し分注)を繰り返す。終了した場合は(ステップS217、Yes)、ステップS212に移行する。
【0059】
また、判定部34が、1検体の分析項目中に定量分注項目が存在するが、押し出し分注項目が存在しないと判定した場合は(ステップS204;Yes、ステップS205;No)、制御部31は、検体分注機構12により、定量分注項目用の検体を、検体分注量O1とダミー量O2との合計量吸引し(ステップS218)、反応容器20に検体分注量O1のみ吐出した後(ステップS219)、分注プローブ41内に残存するダミー量O2を、再検用の検体として押し出し水L2とともに別の反応容器20に吐出する(ステップS220)。再検用の検体を吐出する反応容器20は、第1試薬等の試薬が分注されていない空の反応容器20とする。その後、分注プローブ41を洗浄部13で洗浄し(ステップS221)、制御部31は1検体のすべての分析項目用の分注が終了したか否かを確認する(ステップS222)。終了していない場合は(ステップS222、No)、ステップS218から検体の吸引、吐出(定量分注および再検検体分注)を繰り返す。終了した場合は(ステップS222、Yes)、ステップS212に移行する。
【0060】
制御部31は、1検体のすべての分析項目用の分注が終了したことを確認後(ステップS211;Yes、ステップS217;Yes、ステップS222;Yes)、さらに検体移送部11にセットされたすべての検体の分注が終了したか否かを確認する(ステップS212)。終了していない場合は(ステップS212、No)、ステップS202から検体の分注、吐出を繰り返し、終了した場合は(ステップS212、Yes)、制御部31は、分注された検体の分析が終了するまで、分析を続行するよう制御する(ステップS213)。
【0061】
制御部31は、分析が終了した分析項目について再検が必要か否かを確認し(ステップS223)、再検が必要な場合は(ステップS223、Yes)、再検検体が反応容器20に分注済みか否かを確認する(ステップS224)。再検検体が分注されていない場合は(ステップS224、No)、制御部31は、検体分注機構12により検体容器11aから再検に必要な検体を吸引し、反応容器20に分注する(ステップS225)。ステップS225、およびステップS220により再検検体がすでに反応容器20に分注されている場合は(ステップS224、Yes)、制御部31は、再検検体について希釈の必要があるか否かについて確認する(ステップS226)。希釈の必要がない場合は(ステップS226、No)、第1試薬および第2試薬を反応容器20に分注した後、再検分析が続行される(ステップS229)。
【0062】
希釈の必要がある場合は(ステップS226、Yes)、制御部31は、反応容器20内に希釈液を分注して、希釈検体を調整するよう制御する(ステップS227)。その後、検体分注機構12により調整した希釈検体を別の反応容器20に分注し(ステップS228)、試薬分注機構15により第1試薬および第2試薬を反応容器20に分注して、再検分析を続行する(ステップS229)。なお、希釈検体の希釈倍率が大きい場合は、ステップS227で希釈後、ステップS228での吐出の際にも、押し出し水を吐出してさらに希釈してもよい。
【0063】
制御部31は、すべての検体について再検が終了したか否かを確認し(ステップS230)、終了していない場合は(ステップS230、No)、ステップS224から再検分析を繰り返す。再検が必要ない場合(ステップS223、No)、およびすべての再検が終了した場合は(ステップS230、Yes)、実施の形態2にかかる分注・分析方法を終了する。
【0064】
本実施の形態2にかかる分注・分析方法では、オーダーされた分析項目に押し出し分注項目がない場合でも、ダミー検体を再検用検体として有効利用ができるため、検体採取量の低減を図ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明の検体分注方法、分析方法、再検分析方法および分析装置は、検体採取量の低減に有用であり、特に、分析精度が要求される分野に適している。
【符号の説明】
【0066】
1 分析装置
2 測定機構
3 制御機構
11 検体移送部
11a 検体容器
11b 検体ラック
11c 検体容器読取部
12 検体分注機構
13、13a、18 洗浄部
14 試薬庫
14a 試薬容器
15 試薬分注機構
16 攪拌部
17 測光部
19 反応槽
20 反応容器
31 制御部
32 入力部
33 分析部
34 判定部
35 記憶部
36 出力部
41 分注プローブ
42 アーム
43 駆動部
44 連結部
45 配管
46 分注ポンプ
46a プランジャー
47 プランジャー駆動部
49 電磁弁
50 送液ポンプ
51 タンク
L1 押し出し水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析項目に応じて、余剰用検体と分析用検体とを吸引して分析用検体のみ吐出して分注を行なう定量分注と、分析用検体のみ吸引して押し出し水とともに分析用検体を吐出する押し出し分注とが設定され、該設定に応じて分注を行う分析装置における検体分注方法であって、
定量分注を行う分析項目用に、余剰用検体と分析用検体とを吸引し、反応容器に分析用検体のみを吐出する定量分注ステップと、
前記定量分注ステップで吸引した余剰用検体を、押し出し分注として設定されている分析項目用に、押し出し水と共に別の反応容器に分析用検体として吐出する押し出し分注ステップと、
を含むことを特徴とする分析装置における検体分注方法。
【請求項2】
受け付けられた検体の分析項目情報を取得する取得ステップと、
記憶手段が記憶する分析情報を抽出する抽出ステップと、
前記分析情報に基づいて、前記分析項目に、前記定量分注を行なう分析項目と前記押し出し分注を行なう分析項目とが存在するか否かを判定して、1検体における分析項目の分注順の並び替えを行なう判定ステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の分析装置における検体分注方法。
【請求項3】
前記判定ステップは、1検体について定量分注項目と押し出し分注項目とが存在する場合のみ、分析項目の分注順を定量分注と押し出し分注を交互に行なうように1検体における分析項目の分注順の並び替えを行なうことを特徴とする請求項2に記載の分析装置における検体分注方法。
【請求項4】
前記判定ステップにおいて、1検体について定量分注項目のみが受け付けられていると判定した場合、または定量分注項目のほうが押し出し分注項目より多く受け付けられていると判定した場合、前記押し出し分注ステップにかえて、前記定量分注ステップで吸引した余剰用検体を、定量分注を行なう分析項目の再検用に押し出し水と共に反応容器に吐出する再検検体分注ステップを含むことを特徴とする請求項2に記載の分析装置における検体分注方法。
【請求項5】
前記再検検体分注ステップにおいて、余剰用検体は押し出し水とともに希釈用容器に吐出され、さらに所定倍率に希釈された後、再検用検体として反応容器に分注されることを特徴とする請求項4に記載の分析装置における検体分注方法。
【請求項6】
分析項目に応じて、余剰用検体と分析用検体とを吸引して分析用検体のみ吐出して分注を行なう定量分注と、分析用検体のみ吸引して押し出し水とともに分析用検体を吐出する押し出し分注とが設定され、該設定に応じて分注を行う検体分注手段を有し、検体と試薬との反応物を光学的に分析する分析装置において、
受け付けられた検体の分析項目情報を抽出する抽出手段と、
分析情報を記憶する記憶手段と、
前記分析情報に基づいて、前記分析項目に、定量分注を行なう分析項目と、押し出し分注を行なう分析項目とが存在するか否かを判定して、1検体における分析項目の分注順の並び替えを行なう判定手段と、
前記判定手段が並び替えた分注順に各分析項目用の検体の分注を行なうように前記検体分注手段を制御する制御手段と、
を備え、前記制御手段は、前記検体分注手段に定量分注を行う分析項目用に余剰用検体と分析用検体とを吸引し、反応容器に分析用検体のみを吐出させた後、前記定量分注で吸引した余剰用検体を、押し出し分注を行なう分析項目用に押し出し水と共に別の反応容器に吐出させるよう制御することを特徴とする分析装置。
【請求項7】
前記判定手段は、1検体について定量分注項目と押し出し分注項目とが存在する場合のみ、分析項目の分注順を定量分注と押し出し分注を交互に行なうように1検体における分析項目の分注順の並び替えを行なうことを特徴とする請求項6に記載の分析装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記判定手段が1検体について定量分注項目のみが受け付けられていると判定した場合、または定量分注項目のほうが押し出し分注項目より多く受け付けられていると判定した場合、前記検体分注手段が定量分注を行う分析項目用に吸引した余剰用検体を、該定量分注を行なう分析項目の再検用に押し出し水と共に反応容器に吐出させるよう制御することを特徴とする請求項7に記載の分析装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記検体分注手段により前記余剰用検体を押し出し水とともに希釈用容器に吐出させ、さらに所定倍率に希釈するよう制御した後、前記検体分注手段により再検用検体として反応容器に分注させることを特徴とする請求項8に記載の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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