説明

分析装置

【課題】送りサボりおよび送り飛ばしによるウェルの違いを検知して、検体の誤分析を確実に防止すること。
【解決手段】検体Sを収容する複数のウェルWを所定の間隔で並設したマイクロプレート10と、視野V内の被写体を撮像する撮像部30と、与えられた送り指令に従ってマイクロプレート10を送り移動させる送り部20とを備え、送り部20による送り動作と撮像部30による撮像とを交互に繰り返すことによって複数のウェルWを撮像部30の視野V内に順次収めて撮像し、この撮像した画像情報を用いて各ウェルW内の検体Sを分析する分析装置において、送り部20による送り動作の前後において撮像部30により撮像した画像情報から得られた検体情報同士を比較し、これらの検体情報が互いに一致する場合に送り部20による送り動作が不良であると判定する判定部44を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容部に収容された検体を撮像部で撮像し、この撮像によって得られた画像情報に基づいて、収容部内の検体を分析する分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や尿等の検体を分析する分析装置としては、検体を所望の分析項目に応じた試薬と反応させ、この反応結果に基づいて分析を行うものが一般的である。この種の分析装置には、マイクロプレート、撮像部および送り部を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
マイクロプレートは、アクリル等の透明な材料によって構成したプレートで、その表面に開口したウェルと称する孔を多数有している。ウェルは、検体を収容するもので、マイクロプレートの表面に所定の間隔で縦横に併設してあり、マトリクス状に配列されている。撮像部は、ウェルに収容された検体を撮像するもので、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラによって構成され、このCCDカメラは、撮像光学系の光軸がマイクロプレートの表面と直交し、かつ視野内にウェルが一つ収まるように配設されている。送り部は、マイクロプレートあるいは撮像部を送り移動可能に構成されており、たとえば与えられた送り指令に従ってマトリクス状に配列されたウェルの1ピッチずつの行方向および列方向に、マイクロプレートあるいは撮像部を送り移動させる。この送り部は、ウェルの1ピッチずつの送り動作によって、CCDカメラの視野内に入るウェルを順次入れ替えることができる。
【0004】
送り部は、マイクロプレートあるいは撮像部を送り移動可能に構成されており、たとえば与えられた送り指令に従ってマトリクス状に配列されたウェルの1ピッチずつの行方向および列方向に、マイクロプレートあるいは撮像部を送り移動させる。この送り部は、ウェルの1ピッチずつの送り動作によって、CCDカメラの視野内に入るウェルを順次入れ替えており、マイクロプレートの裏面側から光を照射した状態で、表面側の撮像部がウェルを撮像し、この撮像した画像データに基づいて、ウェル内の検体を分析していた。
【0005】
【特許文献1】特開平8−304401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記分析装置では、1ピッチ分の送り指令が与えられたにも拘らず、ウェルの行方向に沿った送り動作が行われない場合(以下、「送りサボり」という)があり、この場合には、前回撮像したウェルが再び撮像され、この画像データを所望のウェルの画像データと誤って認識されて分析に用いられるという問題がある。また、所望のウェルを飛び越してしまう場合(以下、「送り飛ばし」という)があり、この場合には、飛び越した先のウェルが撮像され、この画像データを所望のウェルの画像データと誤って認識されて分析に用いるという問題がある。
【0007】
そこで、これらの問題を解決する方法として、マイクロプレート上の各ウェルに対応するセンサを個別に設けて、これら送りサボりおよび送り飛ばしを検知するものがある。しかし、この分析装置では、マイクロプレート上のウェルの総数に応じた多数のセンサを要することになり、製造コストが著しく増大するという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、送りサボりおよび送り飛ばしによるウェルの違いを検知して、検体の誤分析を確実に防止することができる分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる分析装置は、検体を収容する複数の収容部を併設した基板と、所定視野内の被写体を撮像する撮像手段とを備え、前記収容部を前記撮像手段の所定視野内に順次収めて撮像し、得られた画像情報に基づいて、前記各収容部内の検体を分析する分析装置において、前記収容部の撮像が可能なように、前記基板および撮像手段の少なくとも一方を移動させる移動手段と、前記撮像手段の撮像によって得られた画像情報の画像処理を行う画像処理手段と、前記画像処理手段によって画像処理された画像情報同士を比較し、該比較結果に基づいて、前記移動手段による移動動作の良否を判定する判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2の発明にかかる分析装置は、上記発明において、前記画像処理手段は、前記撮像手段の撮像によって得られた画像情報に含まれる検体情報を抽出する検体抽出手段と、前記抽出手段で抽出された検体の輝度情報を検知する輝度検知手段と、を備え、前記判定手段は、前記輝度検知手段で検知された検体の輝度情報同士を比較することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3の発明にかかる分析装置は、上記発明において、前記画像処理手段は、前記撮像手段の撮像によって得られた画像情報に含まれる検体情報を抽出する検体抽出手段と、前記抽出手段で抽出された検体の濃淡情報を検知する濃淡検知手段と、を備え、前記判定手段は、前記濃淡検知手段で検知された検体の濃淡情報同士を比較することを特徴とする。
【0012】
また、請求項4の発明にかかる分析装置は、上記発明において、前記分析装置は、前記基板上に前記収容部を識別するための識別情報が付加されるとともに、前記収容部の撮像時に前記撮像手段の所定視野内に収まる識別情報領域、をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5の発明にかかる分析装置は、上記発明において、前記画像処理手段は、前記撮像手段の撮像によって得られた画像情報に含まれる前記識別情報を抽出する識別抽出手段、を備え、前記判定手段は、前記識別抽出手段で抽出された識別情報を比較することを特徴とする。
【0014】
また、請求項6の発明にかかる分析装置は、上記発明において、前記基板上に前記収容部の配置に関する配置情報が付加されるとともに、前記収容部の撮像時に前記撮像手段の所定視野内に収まる配置情報領域、をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項7の発明にかかる分析装置は、上記発明において、前記画像処理手段は、前記撮像手段の撮像によって得られた画像情報に含まれる前記配置情報を抽出する配置抽出手段、を備え、前記判定手段は、前記抽出手段で抽出された配置情報同士を比較することを特徴とする。
【0016】
また、請求項8の発明にかかる分析装置は、上記発明において、前記判定手段は、前記比較結果にて、前記比較対象の情報が一致する場合に、前記移動手段による移動動作が不良と判定し、前記分析装置は、前記判定手段によって前記移動手段による移動動作が不良と判定された場合に、警報を行う警報手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項9の発明にかかる分析装置は、上記発明において、前記画像処理手段は、前記撮像手段の撮像によって得られた画像情報に含まれる識別情報を抽出する識別抽出手段、を備え、前記判定手段は、前記識別抽出手段で抽出された識別情報の配列に基づいて、前記移動手段による移動動作の良否を判定することを特徴とする。
【0018】
また、請求項10の発明にかかる分析装置は、上記発明において、前記画像処理手段は、前記撮像手段の撮像によって得られた画像情報に含まれる前記配置情報を抽出する配置抽出手段、を備え、前記判定手段は、前記抽出手段で抽出された配置情報の配列に基づいて、前記移動手段による移動動作の良否を判定することを特徴とする。
【0019】
また、請求項11の発明にかかる分析装置は、上記発明において、前記判定手段は、前記配列が所定の配列でない場合に、前記移動手段による移動動作が不良と判定し、前記分析装置は、前記判定手段によって前記移動手段による移動動作が不良と判定された場合に、警報を行う警報手段を、さらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかる分析装置は、収容部の撮像が可能なように、検体を収容する複数の前記収容部を併設した基板および所定視野内の被写体を撮像する撮像手段の少なくとも一方を移動手段で移動させて、前記撮像手段による検体の撮像を順次行い、得られた画像情報を画像処理手段で画像処理した後、これら画像情報同士を比較し、この比較結果に基づいて、判定手段が前記移動手段による移動動作の良否を判定することで、送りサボりおよび送り飛ばしによるウェルの違いを検知して、検体の誤分析を確実に防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明にかかる分析装置の実施の形態を図1〜図16の図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更実施の形態が可能である。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる分析装置の概略構成図である。図1に示した分析装置は、血液や尿等の検体Sを試薬に反応させ、反応後の検体Sの輝度を測光し、この測光により得られた測光値に基づいて検体Sを分析する装置である。この分析装置は、基板としてのマイクロプレート10と、移動手段としての送り部20と、撮像手段としての撮像部30と、画像処理手段および判定手段としての制御装置40とを備えている。
【0023】
マイクロプレート10は、アクリル等の透明な材料によって構成したプレートで、その表面にウェルWを多数有している。ウェルWは、検体Sを収容するために、マイクロプレート10の表面に設けられた断面が凹形状の孔である。ウェルWは、図2に示すように、X軸に沿って一定のピッチL1でn個のウェルWが併設されるとともに、Y軸に沿って一定のピッチL2でm個のウェルWが併設されたmn個のWからなり、Wmnは、m行n列のマトリクス状に配列されている。
【0024】
送り部20は、XYテーブル21と駆動部22とからなる。XYテーブル21は、マイクロプレート10を取り付けるためのテーブルで、X軸およびY軸に沿って移動可能に構成される。駆動部22は、制御装置40から与えられた送り指令に従ってXYテーブル21をXY方向に駆動する、たとえばステッピングモータなどを有する。また、XYテーブル21よりも下方となる位置には、光源50が配置してある。なお、このXYテーブル21は、光源50からの光を遮ることなくマイクロプレート10に照射可能に構成されている。
【0025】
撮像部30は、制御装置40から与えられた撮像指令に従って視野V内の被写体を撮像するもので、例えばCCDカメラによって構成される。撮像部30は、XYテーブル21上のマイクロプレート10よりも上方に位置し、かつ撮像光学系の光軸がマイクロプレート10の表面に直交するように配置してある。撮像部30の視野Vは、図3の拡大平面図に示すように、マイクロプレート10上のウェルWの一つが略中央に映った場合に、当該ウェルWに隣り合うウェルWが映らない範囲に設定されている。
【0026】
制御装置40は、送り部20による送り動作および撮像部30による撮像を制御する装置であり、駆動部22、撮像部30および警報部60に接続される。警報部60は、制御装置40から与えられた警報指令に従い、分析装置の利用者に対して所定の警報を発する機能部で、例えばエラー表示を行うためのディスプレイや警報音を発するブザーなどによって構成される。
【0027】
この制御装置40は、インターフェース部41、測光部42、データ格納部43、判定部44および制御部45を備えている。インターフェース部41は、制御装置40において駆動部22、撮像部30および警報部60との間でデータを入出力するためのインターフェースである。測光部42は、与えられた画像データから検体Sの輝度に応じた測光値を検知する輝度検知手段である。データ格納部43は、与えられた画像データおよび測光値を格納する格納手段である。判定部44は、与えられた測光値に基づいて送り部20による送り動作の良否を判定する判定手段で、与えられた複数の測光値同士を比較する機能を有している。
【0028】
制御部45は、これらインターフェース部41、測光部42、データ格納部43および判定部44を統括的に制御する処理部である。具体的には、制御部45は、インターフェース部41を通じて撮像部30から画像データを取得した場合に、この画像データから検体データを抽出し、この検体データから検体Sの測光値を検出するように測光部42を制御し、かつこれら画像データおよび測光値を格納するようにデータ格納部43を制御する。すなわち、撮像部30では、ウェルWが視野Vの中央に写った場合の画像を取得するので、制御部45では、入力する画像データの中から検体Sが収容されているウェルWの位置の画像データ(検体データ)を特定して抽出することが可能となる。そして、この抽出した検体データを測光部42に送出することで、測光部42では、検体Sのみの測光値を検出することができる。
【0029】
また、制御部45は、この測光値に基づいて送り部20による送り動作の良否を判定するように、判定部44を制御する。さらに、この制御部45は、インターフェース部41を通じて、駆動部22への送り指令、撮像部30への撮像指令および警報手段としての警報部60への警報指令を出力する機能を有している。
【0030】
図4は、マイクロプレート10上における1行目のウェルW11〜W1nの検体Sの測光値を例示した図表である。互いに隣り合うウェルWの検体Sでは、それぞれの反応結果が互いに一致することは現実的には有り得ないため、それぞれの測光値Bが互いに異なっている。なお、図4では、検体Sの輝度に応じた測光値を256階調で示してあり、測光値Bが小さい程、画像データ上の検体Sが黒色に近づくこと、つまり光源50からの光が検体Sを透過しにくいことを意味している。
【0031】
この実施の形態1では、この事実に着目し、各検体Sに固有の検体情報としての測光値Bを用い、送り部20による送り動作の良否を判定するようにしている。図5は、この実施の形態1である分析装置においてマイクロプレート10上における1行目のウェルW11〜W1nの検体Sを測光する際に、制御装置40において行われる処理手順を示すフローチャートである。以下、図5を参照しながら、送り部20による送り動作の良否を判定するために制御装置40において行われる処理手順を説明する。
【0032】
図5において、まず、制御装置40の制御部45は、ウェルW11を撮像部30の視野Vの中央に位置させるための送り指令を駆動部22に送出する(ステップ101)。XYテーブル21が送り動作するための所定の送り時間が経過した後に、制御部45は、撮像指令を送出して撮像部30に撮像を行わせ、撮像部30から画像データA11を取得してデータ格納部43に記録する(ステップ102)。
【0033】
画像データA11を取得すると、制御部45は、この画像データA11に応じた測光値B11を測光部42で検知させ(ステップ103)、この測光値B11をデータ格納部43に格納する。
【0034】
つぎに、制御部45は、ウェルW12を撮像部30の視野Vの中央に位置させるための送り指令を駆動部22に送出し(ステップ104)、所定の送り時間が経過した後、撮像指令を送出して撮像部30に撮像を行わせ、撮像部30から画像データA12を取得してデータ格納部43に記録する(ステップ105)。
【0035】
画像データA12を取得すると、制御部45は、この画像データA12に応じた測光値B12を測光部42で検知させ(ステップ106)、この測光値B12をデータ格納部43に格納する。
【0036】
次に、制御部45は、データ格納部43に格納した測光値B11と測光値B12とを判定部44で比較させ(ステップ107)、送り部20による送り動作の良否を判定させる。ここで、判定部44は、測光値B11と測光値B12とが互いに一致する場合には、送りサボりが生じたと判定し、制御部45は、この判定結果に基づいて、警報指令を警報部60に送出することにより(ステップ117)、送りサボりが生じた旨のエラー表示を警報部60に行わせた後、上記処理を終了する。
【0037】
また、判定部44は、測光値B11と測光値B12とが互いに一致しない場合には、送りサボりが生じなかったと判定し、制御部45は、この判定結果に基づいて、ウェルW13を撮像部の視野Vの中央に位置させるための送り指令を駆動部22に送出し(ステップ108)、所定の送り時間が経過した後、撮像指令を送出して撮像部30に撮像を行わせ、撮像部30から画像データA13を取得してデータ格納部43に記録する(ステップ109)。
【0038】
画像データA13を取得すると、制御部45は、この画像データA13から測光値B13を測光部42で検知させ(ステップ110)、この測光値B13をデータ格納部43に格納する。
【0039】
次に、制御部45は、データ格納部43に格納した測光値B12と測光値B13とを判定部44で比較させ(ステップ111)、送りサボりの有無を判定させる。ここで、測光値B12と測光値B13とが互いに一致する場合には、送りサボりが生じたと判定し、制御部45は、警報指令を警報部60に送出することにより(ステップ117)、送りサボりが生じた旨のエラー表示を警報部60に行わせた後、上記処理を終了する。
【0040】
また、判定部44の判定結果において、測光値B12と測光値B13とが互いに一致しない場合には、送りサボりが生じなかったと判定し、制御部45は、上述した処理手順ステップ108,109と同様の処理手順を繰り返す。制御部45は、送りサボりが生じなければ、やがて、ウェルW1nを撮像部30の視野Vの中央に位置させるための送り指令を駆動部22に送出する(ステップ112)。
【0041】
そして、制御部45は、撮像指令を送出して撮像部30に撮像を行わせ、撮像部30から画像データA1nを取得し(ステップ113)、この画像データA1nから測光値B1nを測光部42で検知させ(ステップ114)、この測光値B1nをデータ格納部43に格納する。
【0042】
ここで、ウェルW11〜W1nの検体Sを測光するための送り動作のいずれかの際に、送り飛ばしが生じた場合には、画像データA1n上にウェルWが現れない。この場合、測光部42は、測光値B1nの検知を正常に行うことができないため、無効なデータを意味する「null」を測光値B1nの代わりにデータ格納部43に格納する。
【0043】
次に、制御部45は、測光値B1nが「null」か否かを判定部44で判定させ(ステップ115)、送り部20による送り動作の良否を判定させる。ここで、判定部44は、測光値B1nが「null」である場合には、送り飛ばしが生じたと判定し、制御部45は、警報指令を警報部60に送出することにより(ステップ117)、送り飛ばしが生じた旨のエラー表示を警報部60に行わせた後、上記処理を終了する。
【0044】
また、判定部44は、測光値B1nが「null」でない場合には、送り飛ばしが生じなかったと判定し、制御部45は、測光値B1(n−1)と測光値B1nとを判定部44で比較させ(ST516)、送りサボりの有無を判定させる。
【0045】
ここで、測光値B1(n−1)と測光値B1nとが互いに一致した場合には、送りサボりが生じたと判定し、制御部45は、警報指令を警報部60に送出することにより(ステップ117)、送りサボりが生じた旨のエラー表示を警報部60に行わせた後、上記処理を終了する。
【0046】
また、測光値B1(n−1)と測光値B1nとが互いに一致しない場合には、送りサボりが生じなかったと判定し、制御部45は、上記処理を終了する。この場合には、ウェルW11〜W1nの検体Sを測光するための送り動作のいずれの際にも、送りサボりおよび送り飛ばしが生じなかったことになる。なお、この測光値の比較判定は、マイクロプレート10上における2行目以降のウェルW内の検体Sに対しても、同様に行われる。
【0047】
これにより、この実施の形態にかかる分析装置では、マイクロプレート10上にマトリクス状に配列されたウェル内の検体Sを測光する際に、送りサボりおよび送り飛ばしが生じたとしても、撮像部から取得した画像情報の輝度に基づいて、これら送りサボりおよび送り飛ばしによるウェルの違いを確実に検知し、利用者に対して警報を発することができる。このため、この実施の形態にかかる分析装置によれば、行方向の送りサボりおよび送り飛ばしを検出するために従来使用された専用の機械的あるいは光学的なセンサが不要となり、製造コストの増大を抑えつつ、検体の誤分析を確実に防止することができる。
【0048】
(実施の形態2)
図6は、実施の形態2にかかる分析装置の概略構成図である。なお、以下の図において、図1と同様の構成については、説明の都合上、同一符号を付記するものとする。
【0049】
図6において、この分析装置は、検体Sと試薬との反応によって検体Sに濃淡の模様が生じる場合に適用される装置で、実施の形態1と異なる点は、与えられた画像データから検体Sの濃淡模様を示す模様データを抽出する濃淡検知手段としての模様データ抽出部46を備える点である。
【0050】
模様データ抽出部46は、予め設定された濃度の閾値を有し、この閾値に基づいて検体Sの模様データを抽出するための機能、たとえば、与えられた画像データにおいてこの閾値よりも濃い部分が黒色、閾値よりも薄い部分が白色となるように2値化する機能を有している。データ格納部43は、与えられた画像データ、測光値および模様データを格納する格納部である。判定部44は、与えられた模様データに基づいて送り部20による送り動作の良否を判定する処理部である。判定部44は、与えられた複数の模様データ同士を比較するための機能、たとえば、これら複数の模様データ同士のマッチング度を判定する機能を有している。
【0051】
制御部45は、インターフェース部41を通じて撮像部30から画像データを取得した場合に、この画像データから検体Sの測光値を検知するように測光部42を制御し、かつこれら画像データおよび測光値を格納するようにデータ格納部43を制御する。また、制御部45は、この画像データから検体Sの模様データを抽出するように模様データ抽出部46を制御するとともに、この模様データを格納するようにデータ格納部43を制御する。また、制御部45は、この模様データに基づいて送り部20による送り動作の良否を判定するように判定部44を制御する。さらに、この制御部45は、インターフェース部41を通じて、駆動部22への送り指令、撮像部30への撮像指令および警報部60への警報指令を出力する機能を有している。
【0052】
図7は、マイクロプレート10上におけるウェルW内の検体Sが試薬との反応により濃淡模様を生じた様子を例示した図である。図8は、マイクロプレート10上における1行目のウェルW11〜W1nの検体Sの模様データを例示した図表である。互いに隣り合うウェルWの検体Sでは、それぞれの濃淡模様が互いに一致することは現実的には有り得ず、それぞれの模様データCが互いに異なっている。
【0053】
この本実施の形態2では、この事実に着目し、各検体Sに固有の検体情報としての模様データCを用い、送り部20による送り動作の良否を判定するようにしている。次に、図9のフローチャートを用いて、図6に示した制御装置において、マイクロプレート上における1行目のウェルの検体を測光する際の処理手順を説明する。
【0054】
図9において、制御装置40の制御部45は、実施の形態1と同様に、ウェルW11を目標とした送り指令を駆動部22に送出して(ステップ201)、XYテーブル21を送り動作制御した後に、撮像部30から画像データA11を取得してデータ格納部43に記録する(ステップ202)。そして、この画像データA11から検体Sの模様データC11を模様データ抽出部46によって抽出させ(ステップ203)、この模様データC11をデータ格納部43に格納する。
【0055】
次に、制御部45は、実施の形態1と同様に、ウェルW12を目標とした送り指令を駆動部22に送出して(ステップ204)、XYテーブル21を送り動作制御した後に、撮像部30から画像データA12を取得してデータ格納部43に記録する(ステップ205)。そして、この画像データA12から検体Sの模様データC12を模様データ抽出部46によって抽出させ(ステップ206)、この模様データC12をデータ格納部43に格納する。
【0056】
次に、制御部45は、データ格納部43に格納した模様データC11と模様データC12とを判定部44で比較させ(ステップ207)、送り部20による送り動作の良否を判定する。ここで、判定部44は、模様データC11と模様データC12とが互いに一致する場合には、送りサボりが生じたと判定し、制御部45は、この判定結果に基づいて、警報指令を警報部60に送出することにより(ステップ217)、送りサボりが生じた旨のエラー表示を警報部60に行わせた後、上記処理を終了する。
【0057】
また、判定部44は、模様データC11と模様データC12とが互いに一致しない場合には、送りサボりが生じなかったと判定し、制御部45は、この判定結果に基づいて、実施の形態1と同様に、ウェルW13を目標とした送り指令を駆動部22に送出して(ステップ208)、XYテーブル21を送り動作制御した後に、撮像部30から画像データA13を取得してデータ格納部43に記録する(ステップ209)。そして、この画像データA13から検体Sの模様データC13を模様データ抽出部46によって抽出させ(ステップ210)、この模様データC13をデータ格納部43に格納する。
【0058】
次に、制御部45は、データ格納部43に格納した模様データC12との模様データC13とを判定部44で比較させ(ステップ211)、送りサボりの有無を判定させる。ここで、模様データC12との模様データC13とが互いに一致する場合には、送りサボりが生じたと判定し、制御部45は、警報指令を警報部60に送出することにより(ステップ217)、送りサボりが生じた旨のエラー表示を警報部60に行わせた後、上記処理を終了する。
【0059】
また、判定部44は、模様データC12との模様データC13とが互いに一致しない場合には、送りサボりが生じなかったと判定し、制御部45は、上述した処理手順ステップ208,209と同様の処理手順を繰り返す。制御部45は、送りサボりが生じなければ、やがて、実施の形態1と同様に、ウェルW1nを目的とした送り指令を駆動部22に送出して(ステップ212)、XYテーブル21を送り動作制御した後に、撮像部30から画像データA1nを取得してデータ格納部43に記録する(ステップ213)。そして、この画像データA1nから検体Sの模様データC1nを模様データ抽出部46によって抽出させ(ステップ214)、この模様データC13をデータ格納部43に格納する。
【0060】
ここで、ウェルW11〜W1nの検体Sを測光するための送り動作のいずれかの際に、送り飛ばしが生じた場合には、画像データA1n上にウェルWが現れない。この場合、模様データ抽出部46では、模様データC1nの抽出を正常に行うことができないため、無効なデータを意味する「null」を模様データC1nの代わりにデータ格納部43に格納する。
【0061】
次に、制御部45は、模様データC1nが「null」か否かを判定部44で判定させ(ステップ215)、送り部20による送り動作の良否を判定させる。ここで、判定部44は、模様データC1nが「null」である場合には、送り飛ばしが生じたと判定し、制御部45は、警報指令を警報部60に送出することにより(ステップ217)、送り飛ばしが生じた旨のエラー表示を警報部60に行わせた後、上記処理を終了する。
【0062】
また、判定部44は、模様データC1nが「null」でない場合には、送り飛ばしが生じなかったと判定し、制御部45は、模様データC1(n−1)と模様データC1nとを判定部44で比較させ(ステップ216)、送りサボりの有無を判定させる。
【0063】
ここで、模様データC1(n−1)と模様データC1nとが互いに一致した場合には、送りサボりが生じたと判定し、制御部45は、警報指令を警報部60に送出することにより(ステップ217)、送りサボりが生じた旨のエラー表示を警報部60に行わせた後、上記処理を終了する。
【0064】
また、模様データC1(n−1)と模様データC1nとが互いに一致しない場合には、送りサボりが生じなかったと判定し、制御部45は、上記処理を終了する。この場合には、ウェルW11〜W1nの検体Sを測光するための送り動作のいずれの際にも、送りサボりおよび送り飛ばしが生じなかったことになる。なお、この模様データの比較判定は、マイクロプレート10上における2行目以降のウェルW内の検体Sに対しても、同様に行われる。
【0065】
これにより、この実施の形態にかかる分析装置では、マイクロプレート10上にマトリクス状に配列されたウェル内の検体Sを測光する際に、送りサボりおよび送り飛ばしが生じたとしても、撮像部から取得した画像情報の模様データに基づいて、これら送りサボりおよび送り飛ばしによるウェルの違いを確実に検出し、利用者に対して警報を発することができる。このため、この実施の形態にかかる分析装置によれば、実施の形態1と同様に、行方向の送りサボりおよび送り飛ばしを検出するために従来使用された専用の機械的あるいは光学的なセンサが不要となり、製造コストの増大を抑えつつ、検体の誤分析を確実に防止することができる。
【0066】
(実施の形態3)
つぎに、実施の形態3にかかる分析装置について、図10〜図13の図面を用いて説明する。上述した実施の形態1、2では、検体Sを識別するための検体情報に基づいて、送り部20による送り動作の良否を判定するのに対し、この実施の形態3では、ウェルWを識別するための識別情報に基づいて、送り部20による送り動作の良否を判定する。
【0067】
図10は、実施の形態3にかかる分析装置の概略構成図である。図10において、実施の形態1と異なる点は、ウェルWに対応して設けられた識別データを抽出する識別抽出手段としての識別データ抽出部47を備える点である。
【0068】
図11のマイクロプレートの拡大平面図に示すように、マイクロプレート10には、ウェルWとともに撮像部30の視野V内に収まる位置に、識別情報領域Mを設け、この識別情報領域Mには、互いに隣り合うウェルWを識別するための識別情報が付記されている。これら識別情報領域Mは、図11中、各ウェルの右上の所定位置に配置され、識別情報としての四角形状および三角形状のマークが交互に付記されている。なお、本発明では、この他にたとえば丸形状や菱形形状などのマークを付記しても良い。
【0069】
識別データ抽出部47は、与えられた画像データからウェルWの識別データを抽出する処理部で、ウェルWの識別データを抽出するための機能、例えば2値化する機能を有している。すなわち、実施の形態1と同様に、撮像部30では、ウェルWが視野Vの中央に写った場合の画像を取得するので、制御部45では、入力する画像データの中から右上の識別データを特定して抽出することが可能となる。
【0070】
データ格納部43は、与えられた画像データ、測光値および識別データを格納する格納部である。判定部44は、与えられた識別データに基づいて送り部20による送り動作の良否を判定する処理部である。判定部44は、与えられた複数の識別データ同士を比較するための機能、例えば、これら複数の識別データ同士のマッチング度を導出する機能を有している。
【0071】
制御部45は、この画像データからウェルWの識別データを抽出するように識別データ抽出部47を制御するとともに、この識別データを格納するようにデータ格納部43を制御する。また、制御部45は、この識別データに基づいて送り部20による送り動作の良否を判定するように判定部44を制御する。さらに、この制御部45は、インターフェース部41を通じて、駆動部22への送り指令、撮像部30への撮像指令および警報部60への警報指令を出力する機能を有している。
【0072】
図12は、マイクロプレート10上における1行目のウェルW11〜W1nの識別データを例示した図表である。上述したように、互いに隣り合うウェルWの識別情報領域Mには、識別情報としての四角形状および三角形状のマークが交互に付記してあるため、互いに隣り合うウェルWの識別データDが互いに異なっている。
【0073】
次に、図13のフローチャートを用いて、図6に示した制御装置において、マイクロプレート上における1行目のウェルの検体を測光する際の処理手順を説明する。図13において、制御部45は、実施の形態1と同様に、ウェルW11を目標とした送り指令を駆動部22に送出して(ステップ301)、XYテーブル21を送り動作制御した後に、撮像部30から画像データA11を取得してデータ格納部43に記録する(ステップ302)。そして、この画像データA11から識別データD11を識別データ抽出部47によって抽出させ(ステップ303)、この識別データD11をデータ格納部43に格納する。
【0074】
次に、制御部45は、実施の形態1と同様に、ウェルW12を目標とした送り指令を駆動部22に送出して(ステップ304)、XYテーブル21を送り動作制御した後に、撮像部30から画像データA12を取得してデータ格納部43に記録する(ステップ305)。そして、この画像データA12から識別データD12を識別データ抽出部47によって抽出させ(ステップ306)、この識別データD12をデータ格納部43に格納する。
【0075】
次に、制御部45は、データ格納部43に格納した識別データD11と識別データD12とを判定部44で比較させ(ステップ307)、送り部20による送り動作の良否を判定する。ここで、判定部44は、識別データD11と識別データD12とが互いに一致する場合には、送りサボりが生じたと判定し、制御部45は、この判定結果に基づいて、警報指令を警報部60に送出することにより(ステップ317)、送りサボりが生じた旨のエラー表示を警報部60に行わせた後、上記処理を終了する。
【0076】
また、判定部44は、識別データD11と識別データD12とが互いに一致しない場合には、送りサボりが生じなかったと判定し、制御部45は、この判定結果に基づいて、実施の形態1と同様に、ウェルW13を目標とした送り指令を駆動部22に送出して(ステップ308)、XYテーブル21を送り動作制御した後に、撮像部30から画像データA13を取得してデータ格納部43に記録する(ステップ309)。そして、この画像データA13から識別データD13を識別データ抽出部47によって抽出させ(ステップ310)、この識別データD13をデータ格納部43に格納する。
【0077】
次に、制御部45は、データ格納部43に格納した識別データD12と識別データD13とを判定部44で比較させ(ステップ311)、送りサボりの有無を判定させる。ここで、識別データD12と識別データD13とが互いに一致する場合には、送りサボりが生じたと判定し、制御部45は、警報指令を警報部60に送出することにより(ステップ317)、送りサボりが生じた旨のエラー表示を警報部60に行わせた後、上記処理を終了する。
【0078】
また、判定部44は、識別データD12と識別データD13とが互いに一致しない場合には、送りサボりが生じなかったと判定し、制御部45は、上述した処理手順ステップ308,309と同様の処理手順を繰り返す。制御部45は、送りサボりが生じなければ、やがて、実施の形態1と同様に、ウェルW1nを目的とした送り指令を駆動部22に送出して(ステップ312)、XYテーブル21を送り動作制御した後に、撮像部30から画像データA1nを取得してデータ格納部43に記録する(ステップ313)。そして、この画像データA1nから識別データD1nを識別データ抽出部47によって抽出させ(ステップ314)、この識別データD13をデータ格納部43に格納する。
【0079】
ここで、ウェルW11〜W1nの検体Sを測光するための送り動作のいずれかの際に、送り飛ばしが生じた場合には、画像データA1n上にウェルWが現れない。この場合、模様データ抽出部46では、識別データD1nの抽出を正常に行うことができないため、無効なデータを意味する「null」を識別データD1nの代わりにデータ格納部43に格納する。
【0080】
次に、制御部45は、識別データD1nが「null」か否かを判定部44で判定させ(ステップ315)、送り部20による送り動作の良否を判定させる。ここで、判定部44は、識別データD1nが「null」である場合には、送り飛ばしが生じたと判定し、制御部45は、警報指令を警報部60に送出することにより(ステップ317)、送り飛ばしが生じた旨のエラー表示を警報部60に行わせた後、上記処理を終了する。
【0081】
また、判定部44は、識別データD1nが「null」でない場合には、送り飛ばしが生じなかったと判定し、制御部45は、識別データD1(n−1)と識別データD1nとを判定部44で比較させ(ステップ316)、送りサボりの有無を判定させる。
【0082】
ここで、識別データD1(n−1)と識別データD1nとが互いに一致した場合には、送りサボりが生じたと判定し、制御部45は、警報指令を警報部60に送出することにより(ステップ317)、送りサボりが生じた旨のエラー表示を警報部60に行わせた後、上記処理を終了する。
【0083】
また、識別データD1(n−1)と識別データD1nとが互いに一致しない場合には、送りサボりが生じなかったと判定し、制御部45は、上記処理を終了する。この場合には、ウェルW11〜W1nの検体Sを測光するための送り動作のいずれの際にも、送りサボりおよび送り飛ばしが生じなかったことになる。なお、この模様データの比較判定は、マイクロプレート10上における2行目以降のウェルW内の検体Sに対しても、同様に行われる。
【0084】
これにより、この実施の形態にかかる分析装置では、マイクロプレート10上にマトリクス状に配列されたウェル内の検体Sを測光する際に、送りサボりおよび送り飛ばしが生じたとしても、撮像部から取得した画像情報の識別データに基づいて、これら送りサボりおよび送り飛ばしによるウェルの違いを確実に検出し、利用者に対して警報を発することができる。このため、この実施の形態にかかる分析装置によれば、実施の形態1と同様に、行方向の送りサボりおよび送り飛ばしを検出するために従来使用された専用の機械的あるいは光学的なセンサが不要となり、製造コストの増大を抑えつつ、検体の誤分析を確実に防止することができる。
【0085】
なお、この実施の形態では、抽出した識別データと1つ前の識別データを比較したが、本発明はこれに限らず、たとえば識別情報としての形状パターンの変化を所定の順番に設定するとともに、判定部に記憶しておき、この所定の順番に形状パターンが抽出されない場合に、送りサボりを判定するように構成することも可能である。この場合も、上記実施の形態3と同様の効果を奏することができる。
【0086】
(実施の形態4)
つぎに、実施の形態4にかかる分析装置について、図14〜図16の図面を用いて説明する。この実施の形態4では、ウェルWの配置に関する配置情報に基づいて、送り部20による送り動作の良否を判定する。
【0087】
図10は、実施の形態3にかかる分析装置の概略構成図である。図10において、実施の形態1と異なる点は、ウェルWに対応して設けられた配置データを抽出する配置抽出手段としての配置データ抽出部48を備える点である。
【0088】
図15のマイクロプレートの拡大平面図に示すように、マイクロプレート10には、ウェルWとともに撮像部30の視野V内に収まる位置に、配置情報領域mが設けてある。配置情報領域mは、ウェルWの配置に関する配置情報を付記した領域である。これら配置情報領域mは、図15中、各ウェルの右上の所定位置に配置され、対応するウェルWの行番号および列番号を順に示す数字が付記されている。なお、本発明では、この他にたとえばアルファベットなど順番を示す記号を付記しても良い。
【0089】
配置データ抽出部48は、与えられた画像データからウェルWの配置データを抽出する処理部で、配置データを抽出するための機能、例えば数字を認識する機能を有している。判定部44は、与えられた配置データに基づいて送り部20による送り動作の良否を判定する処理部で、与えられた複数の配置データ同士を比較するための機能を有している。
【0090】
制御部45は、この画像データからウェルWの配置データを抽出するように配置データ抽出部48を制御するとともに、この配置データを格納するようにデータ格納部43を制御する。また、制御部45は、この配置データに基づいて送り部20による送り動作の良否を判定するように判定部44を制御する。さらに、この制御部45は、インターフェース部41を通じて、駆動部22への送り指令、撮像部30への撮像指令および警報部60への警報指令を出力する機能を有している。
【0091】
図16は、マイクロプレート10上における1行目のウェルW11〜W1nの配置データE11〜E1nを例示した図表である。上述したように、各ウェルWの配置情報領域mには、対応するウェルWの行番号および列番号を順に示す数字が付記してあるため、これらの数字が配置データとなる。
【0092】
この実施の形態でも、実施の形態3のフローチャートと同様に、判定部44で、抽出した配置データと1つ前の配置データを比較して送りサボりの有無を判定し、配置データが「null」に代わったことで送り飛ばしの有無を判定することができる。なお、この実施の形態では、ウェルWに対応して付記された配置データとしての数字が順番に抽出されたかどうかを、判定部44で判定することでも送りサボりの有無を判定することが可能である。
【0093】
これにより、この実施の形態にかかる分析装置では、マイクロプレート10上にマトリクス状に配列されたウェル内の検体Sを測光する際に、送りサボりおよび送り飛ばしが生じたとしても、撮像部から取得した画像情報の配置データに基づいて、これら送りサボりおよび送り飛ばしによるウェルの違いを確実に検出し、利用者に対して警報を発することができる。このため、この実施の形態にかかる分析装置によれば、実施の形態1と同様に、行方向の送りサボりおよび送り飛ばしを検出するために従来使用された専用の機械的あるいは光学的なセンサが不要となり、製造コストの増大を抑えつつ、検体の誤分析を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】実施の形態1にかかる分析装置の概略構成図である。
【図2】図1に示した分析装置におけるマイクロプレートの平面図である。
【図3】図2の拡大平面図である。
【図4】図1に示したマイクロプレート上におけるウェルの検体の測光値を例示した図表である。
【図5】図1に示した制御装置において、マイクロプレート上における1行目のウェルの検体を測光する際の処理手順を示したフローチャートである。
【図6】実施の形態2にかかる分析装置の概略構成図である。
【図7】図6に示したマイクロプレートの拡大平面図である。
【図8】図6に示したウェルの検体の模様データを例示した図表である。
【図9】図6に示した制御装置において、マイクロプレート上における1行目のウェルの検体を測光する際の処理手順を示したフローチャートである。
【図10】実施の形態3にかかる分析装置の概略構成図である。
【図11】図10に示したマイクロプレートの拡大平面図である。
【図12】図10に示したマイクロプレート上におけるウェルの識別データを例示した図表である。
【図13】図10に示した制御装置において、マイクロプレート上における1行目のウェルの検体を測光する際の処理手順を示したフローチャートである。
【図14】実施の形態4にかかる分析装置の概略構成図である。
【図15】図14に示したマイクロプレートの拡大平面図である。
【図16】図14に示したマイクロプレート上におけるウェルの識別データを例示した図表である。
【符号の説明】
【0095】
10 マイクロプレート
20 送り部
21 XYテーブル
22 駆動部
30 撮像部
40 制御装置
41 インターフェース部
42 測光部
43 データ格納部
44 判定部
45 制御部
46 模様データ抽出部
47 識別データ抽出部
48 配置データ抽出部
50 光源
60 警報部
M 識別情報領域
m 配置情報領域
S 検体
V 撮像部の視野
W ウェル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を収容する複数の収容部を併設した基板と、所定視野内の被写体を撮像する撮像手段とを備え、前記収容部を前記撮像手段の所定視野内に順次収めて撮像し、得られた画像情報に基づいて、前記各収容部内の検体を分析する分析装置において、
前記収容部の撮像が可能なように、前記基板および撮像手段の少なくとも一方を移動させる移動手段と、
前記撮像手段の撮像によって得られた画像情報の画像処理を行う画像処理手段と、
前記画像処理手段によって画像処理された画像情報同士を比較し、該比較結果に基づいて、前記移動手段による移動動作の良否を判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記画像処理手段は、
前記撮像手段の撮像によって得られた画像情報に含まれる検体情報を抽出する検体抽出手段と、
前記抽出手段で抽出された検体の輝度情報を検知する輝度検知手段と、
を備え、前記判定手段は、前記輝度検知手段で検知された検体の輝度情報同士を比較することを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記画像処理手段は、
前記撮像手段の撮像によって得られた画像情報に含まれる検体情報を抽出する検体抽出手段と、
前記抽出手段で抽出された検体の濃淡情報を検知する濃淡検知手段と、
を備え、前記判定手段は、前記濃淡検知手段で検知された検体の濃淡情報同士を比較することを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項4】
前記分析装置は、
前記基板上に前記収容部を識別するための識別情報が付加されるとともに、前記収容部の撮像時に前記撮像手段の所定視野内に収まる識別情報領域、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項5】
前記画像処理手段は、
前記撮像手段の撮像によって得られた画像情報に含まれる前記識別情報を抽出する識別抽出手段、
を備え、前記判定手段は、前記識別抽出手段で抽出された識別情報を比較することを特徴とする請求項4に記載の分析装置。
【請求項6】
前記基板上に前記収容部の配置に関する配置情報が付加されるとともに、前記収容部の撮像時に前記撮像手段の所定視野内に収まる配置情報領域、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項7】
前記画像処理手段は、
前記撮像手段の撮像によって得られた画像情報に含まれる前記配置情報を抽出する配置抽出手段、
を備え、前記判定手段は、前記抽出手段で抽出された配置情報同士を比較することを特徴とする請求項6に記載の分析装置。
【請求項8】
前記判定手段は、前記比較結果にて、前記比較対象の情報が一致する場合に、前記移動手段による移動動作が不良と判定し、
前記分析装置は、前記判定手段によって前記移動手段による移動動作が不良と判定された場合に、警報を行う警報手段を、
さらに備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項9】
前記画像処理手段は、
前記撮像手段の撮像によって得られた画像情報に含まれる識別情報を抽出する識別抽出手段、
を備え、前記判定手段は、前記識別抽出手段で抽出された識別情報の配列に基づいて、前記移動手段による移動動作の良否を判定することを特徴とする請求項4に記載の分析装置。
【請求項10】
前記画像処理手段は、
前記撮像手段の撮像によって得られた画像情報に含まれる前記配置情報を抽出する配置抽出手段、
を備え、前記判定手段は、前記抽出手段で抽出された配置情報の配列に基づいて、前記移動手段による移動動作の良否を判定することを特徴とする請求項6に記載の分析装置。
【請求項11】
前記判定手段は、前記配列が所定の配列でない場合に、前記移動手段による移動動作が不良と判定し、
前記分析装置は、前記判定手段によって前記移動手段による移動動作が不良と判定された場合に、警報を行う警報手段を、
さらに備えることを特徴とする請求項9または10に記載の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−309886(P2007−309886A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−141661(P2006−141661)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】