説明

分析計

【課題】簡易で安価な構成で高精度の流量調整ができる分析計を実現する。
【解決手段】被測定流体を測定流路に配置されたセンサに導入して分析を行う分析計において、前記測定流路から分岐したバイパス流路の流量を調整する絞りと、前記測定流路と前記バイパス流路との分岐点と前記センサとの間に配置されたキャピラリと、を備えたことを特徴とする分析計。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定流体を測定流路に配置されたセンサに導入して分析を行う分析計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図2は従来の分析計の一例を示す図である。吸引ポンプ2で被測定流体が分析計10内に引き入れられる。被測定流体は測定流路8に流入し、フィルタ4で不純物が除去された後にセンサ6に導入される。センサ6では分析に必要な測定が行われ、測定が修了した被測定流体は分析計10外に排出される。
【0003】
吸引ポンプ2は、分析計10の応答速度を上げるために、センサ6の測定に必要な流量以上の流量を分析計10内に引き入れる。そして、センサ6には測定に必要な流量1のみが導入され、余計な流量2は測定流路8から分岐したバイパス流路9を経由して分析計10外に排出される。
【0004】
センサ6に流入する被測定流体の流量を監視するため、センサ6後段に流量計7が配置されている。
【0005】
センサ6に流入する流量が変化すると、センサ6の測定結果に影響を与えてしまう。そのため、流量1は常に一定である必要がある。そこで、流量1を一定に保つために、測定流路8に絞り5、バイパス流路9に絞り3を設け、これらの絞りの両方を調整する必要がある。
【0006】
なお、このように測定流路8とバイパス流路9の両方に絞りを設けておくことにより、分析計10に引き入れる被測定流体の流量が変動した場合に、センサ6への変動の影響を抑えることができる。また、測定流路8とバイパス流路9の両方に絞りを設けておくことにより、センサ6に導入する流量の設定値を変更したい場合に、容易に対応できるという利点がある。
【0007】
【特許文献1】実公平07−25661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、2つの絞りを同時に調整する必要があるため、絞りの調整が面倒である。また、高精度の測定が要求される低濃度用の分析計においては、使用する絞りも非常に高価なものとなってしまい、コスト高となる。
【0009】
本発明は、上記のような従来の分析計の欠点をなくし、簡易で安価な構成で高精度の流量調整ができる分析計を実現することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような目的を達成するために、本発明の請求項1では、被測定流体を測定流路に配置されたセンサに導入して分析を行う分析計において、
前記測定流路から分岐したバイパス流路の流量を調整する絞りと、
前記測定流路と前記バイパス流路との分岐点と前記センサとの間に配置されたキャピラリと、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2では、請求項1に記載の分析計において、前記絞りは、前記センサを流れる流量が所定値となるように前記バイパス流路の流量を調整することを特徴とする。
【0012】
請求項3では、請求項1または2に記載の分析計において、前記センサの後段に流量計が配置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
このように、バイパス流路に絞りを設けるとともにセンサ前段にキャピラリを配置することにより、簡易で安価な構成で高精度の流量調整ができる分析計を実現することができる。
【0014】
このように構成することにより、キャピラリ部分に圧力損失が生じるため、センサへの流量調整はバイパス流路の絞りの調整だけ済む。
【0015】
なお、キャピラリをセンサ後段に設置するとセンサに圧力がかかってしまい、分析値に誤差が出てしまう。したがって、キャピラリの位置は、測定流路とバイパス流路との分岐点とセンサの間に限られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を用いて本発明の分析計を説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は本発明による分析計の一実施例を示す図である。図2の従来例と同じ構成要素には同じ符号を付す。
【0018】
測定流路8において、フィルタ4とセンサ6の間の配管にキャピラリ100を配置する。キャピラリ100は、フィルタ4とセンサ6の間の配管の全部であってもよいし、一部のみであってもよい。
【0019】
センサ6の手前の配管にキャピラリ100を入れて圧力損失を発生させることにより、バイパス流路9に配置された絞り3ひとつでセンサ6の流量を一定の値に調整することができる。
【0020】
たとえば、吸引ポンプ2の引き入れ流量(全吸引流量):F=2000ml/min、流量1:F、流量2:F、センサ6の目的流量:F≒200ml/minとする。
=F+F
【0021】
キャピラリ100がなかった場合には、絞り3を全開にしても流量1,2の配管の配管抵抗はほぼ等しくなる。そのため、
=F=(1/2)F≒1000ml/min>F
となる。したがって、流量1はセンサ6の目的流量Fの5倍程度の流量でしか調整できない。
【0022】
一方、キャピラリ100を設け、このキャピラリ100の配管抵抗を流量2の配管抵抗の9倍とし、かつ絞り3を全開にした場合は以下のようになる。
=(1/9)F=(1/10)F≒100ml/min<F
したがって、流量1は絞り3が全開のときにセンサ6の流量Fより小さくなる。このため、絞り3の調整のみで、F=Fとすることができる。
【0023】
たとえば、キャピラリ100を内径1mm、長さ400mmのパイプとし、そのほかの流路を内径2.5mmのパイプで配管したとする。キャピラリ100に生じる圧力損失により、絞り3の調整だけで、流量1をセンサ6の測定に必要な200ml/minに調整することができる。
【0024】
センサ6に流入する被測定流体の流量は、センサ6後段に設けられた流量計7で監視する。
【0025】
なお、キャピラリ100をセンサ6後段に設置するとセンサ6に圧力がかかってしまい、分析値に誤差が出てしまう。したがって、キャピラリ100の位置は、測定流路8とバイパス流路9との分岐点とセンサ6の間に限られる。
【0026】
本発明は、水素計やジルコニア酸素計、赤外線ガス分析計など広く分析計全般に適用することができると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は本発明による分析計の一実施例を示す図。
【図2】図2は従来の分析計の一例を示す図。
【符号の説明】
【0028】
10 分析計
1 フィルタ
2 吸引ポンプ
3 絞り
4 フィルタ
5 絞り
6 センサ
7 流量計
8 測定流路
9 バイパス流路
100 キャピラリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定流体を測定流路に配置されたセンサに導入して分析を行う分析計において、
前記測定流路から分岐したバイパス流路の流量を調整する絞りと、
前記測定流路と前記バイパス流路との分岐点と前記センサとの間に配置されたキャピラリと、
を備えたことを特徴とする分析計。
【請求項2】
前記絞りは、前記センサを流れる流量が所定値となるように前記バイパス流路の流量を調整することを特徴とする請求項1に記載の分析計。
【請求項3】
前記センサの後段に流量計が配置されたことを特徴とする請求項1または2に記載の分析計。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−14422(P2009−14422A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174723(P2007−174723)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】