説明

分析試料保持装置及び分析試料保持装置の製造方法

【課題】 小型で安価な分析試料保持装置の提供
【解決手段】 生体試料分析チップ100は、透明なポリマー樹脂、例えばポリカーボネイトからなる第1基材部101、第2基材部103を有している。生体試料分析チップ100は、第1反射面M101、第2反射面M102を有する第1基材部101と、第3反射面M103、第4反射面M104を有する第2基材部103を接合して形成される。安価な樹脂を用いた一般的な接合技術により製造できるので、安価な生体試料分析チップ100を製造することができる。生体試料分析チップ100では、分析光を生体試料分析チップ100の内部において複数回反射させる。よって、分析光r2〜r5の試料保持路R100の内部の進行長さによって、最低限、比色分析に必要とされる量の分析光を吸収できる長さ(最低限長さ)を確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の試料を分析する際に用いる分析試料保持装置に関し、特に、比色分析により分析するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の分析試料保持装置の一つであるマイクロセル1について、図13を用いて説明する。マイクロセル1は、1つのセルで低濃度から高濃度に至る幅広い濃度を有する被測定液の濃度測定を容易にかつ高精度で行いうる、小型でかつ薄型のマイクロセルである。
【0003】
マイクロセル1は、図13(b)に示すように、半導体基板2とカバー部材3とを備えており、半導体基板2には光検出部4と当該光検出部4から出力された検出信号を処理するための電気回路5とが一体に設けられている。マイクロセル1は、例えば縦×横の大きさが1cm×1cm程度のものである。
【0004】
以下に各部を説明する。半導体基板2はシリコン基板等からなるものであって、その表面には有底溝が形成されており、当該有底溝の開口部がカバー部材3により閉塞されて被測定液が流通する流路21及び排出路25が形成されている。流路21の導入口24側の端部には鏡面処理等により上方に45°傾斜した反射面22が設けられ、光検出部4側の端部には下方に45°傾斜した反射面23が設けられている。複数(本実施形態では6本)の流路21と排出路25とはそれぞれ垂直に交わっており、1対の流路21と排出路25とから形成される互いに相似するL字型の溝が等間隔で配置されている。複数の流路21は導入口24側の端部で全て繋がっており、複数の排出路25は排出口26側の端部で全て繋がっている。
【0005】
カバー部材3はガラス基板等からなるものであって、半導体基板2の表面に貼り付けられている。カバー部材3には当該部材を貫通して、複数の流路21全てと連通する被測定液の導入口24と、複数の排出路25全てと連通する排出口26が設けられている。
【0006】
光検出部4はフォトダイオード等からなるものであって、光が入射すると検出信号を出力する。光検出部4は反射面23の近傍の流路21底部に、反射面23で反射した光が入射するように設けられている。本実施形態においては、複数の光検出部4は直線状に配置されている。
【0007】
電気回路5は、例えば、アナログ増幅回路、バッファ回路、差分回路等を有したものであって、光検出部4から出力された検出信号を処理する。具体的には、光路長の異なる流路21で測定された同一の被測定液の所定の波長における吸光度の差分を算出する。ここで、当該波長は被測定液中の測定対象物の吸収波長(ピーク波長)である。
【0008】
被測定液の濃度を測定するには、マイクロセル1の導入口24から被測定液を流入し、全ての流路21を被測定液で満たし、光源として例えば面発光を行うLEDを用い、光源からの光Lを、導入口24側の端部から、カバー部材3に対して垂直に、かつ、いずれの流路21にも均一になるように入射させると、マイクロセル1に導入された光Lは、図13(b)に示すように、反射面22で反射して、流路21内に充填された被測定液を透過して反射面23に到達し、反射面23で再度反射して光検出部4に入射する。光検出部4に光Lが入射すると光検出部4は検出信号を出力し、当該検出信号は電気回路5で処理され、光路長が異なる流路21において測定された所定の波長の吸光度の差分が算出される。そして、吸光度の差分と光路長の差との相関を調べ、両者が比例関係を示した範囲を測定が良好に行われた領域とする。これと予め作成した検量線とを対比することにより、被測定液の濃度を算出することができる。
【0009】
そして、測定が終了したならば、流路21内に充填されている被測定液を排出路25を経由して排出口26から排出する。
【0010】
マイクロセル1により被測定液の濃度測定を行う際は、LED等からなる光源と、CPU、内部メモリ、I/Oバッファ回路、A/Dコンバータ等を備えたコンピュータ回路からなる演算処理部と、小型の液晶表示装置等からなる表示部等とを備えた本体にマイクロセル1を設置することにより、吸光度センサとして使用することができる。マイクロセル1から本体に出力された測定データは、本体の演算処理部に予め格納されている検量線データと対比され、被測定液の濃度が算出されて、当該濃度が表示部に表示される。
【0011】
マイクロセル1は、MEMS技術を用いて製造することができ、この手法によれば、複数の流路21を一括形成することができる。
【0012】
マイクロセル1によれば、同一平面上に長さの異なる複数の流路21を設け、光検出部4を流路21の底部に設けることより、単一のセルで外乱影響の排除を可能とするとともに、低濃度から高濃度に至る幅広い測定レンジを有し、小型でかつ薄型の取り扱い性に優れたマイクロセルとすることができる。また、幅広い測定レンジを有することにより被測定液の濃度調整が不要となるとともに、1度の測定で外乱影響を排除することができ従来の校正作業が不要となるので、測定操作が簡便になり測定時間を短縮することもできる。更に、同一半導体基板2上に光検出部4と電気回路5とが備わっていることより、光検出部4からの検出信号を電気回路5に送信する際の電気的ノイズを低減することができるので、測定精度を向上することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2007−155674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前述のマイクロセル1には、以下に示すような改善すべき点がある。マイクロセル1の半導体基板2はシリコンを用いて形成される。また、流路21の形状からスパッタやエッチングといった半導体の製造技術を用いなければならない。このため、マイクロセル1では、より安価に製造することが難しい、という改善すべき点がある。
【0015】
また、マイクロセル1は、MEMS技術を用いて個別に生産するため、製造コストが高い、という改善すべき点がある。
【0016】
そこで、本発明は、安価な分析試料保持装置の提供を目的とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明における課題を解決するための手段及び発明の効果を以下に示す。
【0018】
本発明に係る分析試料保持装置は、分析光を用いて試料を分析する際に用いる分析試料保持装置であって、前記分析試料保持装置は、第1基材部及び第2基材部を有し、前記第1基材部は、前記内部から前記外部に前記分析光を導出する分析光導出部であって、第1表面に配置される分析光導出部、前記試料を保持する第1試料保持路であって、前記第1表面とは対向して位置する第2表面から内部に向かって凹状に形成される第1試料保持路、を有し、前記第2基材部は、外部から内部に前記分析光を導入する分析光導入部であって、第3表面に配置される分析光導入部、前記試料を保持する第2試料保持路であって、前記第3表面とは対向して位置する第4表面から内部に向かって凹状に形成される第2試料保持路、を有し、前記第1試料保持路は、前記分析光導入部から導入された前記分析光を前記第1試料保持路に沿う方向に反射する第1反射部、前記第1試料保持路に沿って進行してきた前記分析光を前記第2試料保持路の方向へ反射する第2反射部、を有し、前記第2試料保持路は、前記第1試料保持路の方向から進行してきた前記分析光を前記第2試料保持路に沿う方向へ反射する第3反射部、前記第2試料保持路に沿って進行してきた前記分析光を前記分析光導出部へ反射する第4反射部、を有し、前記第1基材部及び前記第2基材部は、前記第2表面と前記第4表面とが対向するように配置され、前記第1試料保持路と前記第2試料保持路とが連続した空間を形成していること、を特徴とする。
【0019】
これにより、分析光導入部から導入した分析光を最初の反射部で反射させて試料保持路を直進させ、次の反射部で反射させて分析光導出部に到達させるときの分析光の光路の長さに比して、分析光導入部から導入した分析光を第1反射部〜第4反射部で反射させたとき分析光の光路を長くすることができる。
【0020】
また、分析光導出部及び分析光導出部を、対向して位置する第1表面及び第3表面に、それぞれ配置することができる。よって、分析試料保持装置に導入される分析光を投光し、分析試料保持装置から導出された分析光を受光する分析装置において、分析光を投光するための投光部と分析光を受光するための受光部とを分析試料保持装置を挟んで対向する位置に配置することができる。よって、分析試料保持装置が保持する試料を分析するための、分析装置において、投光部、受光部を自由に配置させることができる。
【0021】
本発明に係る分析試料保持装置では、さらに、前記分析光導入部に対して分析光を選択的に導入するための分析光導入開口を有する分析光導入層、を有する。
【0022】
これにより、分析光を効率よく分析試料保持装置の内部に導入することができる。
【0023】
本発明に係る分析試料保持装置では、一の前記第1試料保持路と一の前記第2試料保持路とが対をなして、複数並列に形成されていること、を特徴とする。これにより、多項目を同時に分析することができる。
【0024】
本発明に係る分析試料保持装置では、前記第1基材部及び前記第2基材部は、透明な樹脂により形成されていること、を特徴とする。これにより、安価な材料である樹脂を用いるので、分析試料保持装置に安価にできる。
【0025】
本発明に係る分析試料保持装置の製造方法は、第1基材部と第2基材部とを接合することによって、分析光を用いて試料を分析する際に用いる分析試料保持装置を製造する分析試料保持装置の製造方法であって、第1基材層の所定表面上に第1マスク層を形成し、前記第1マスク層の所定位置に第1開口を形成し、前記第1基材層に異方性エッチングを施すことによって、垂直方向から入射した前記分析光を水平方向に反射する第1反射部を一の端部に、水平方向から入射した前記分析光を垂直方向に反射する第2反射部を他の一の端部に、それぞれ有する第1試料保持路を形成し、前記第1試料保持路を有する第1基材部を形成し、前記第2基材層の所定表面上に第2マスク層を形成し、前記第2マスク層の所定位置に第2開口を形成し、前記第2基材層に異方性エッチングを施すことによって、垂直方向から入射した前記分析光を水平方向に反射する第3反射部を一の端部に、水平方向から入射した前記分析光を垂直方向に反射する第4反射部を他の一の端部に、それぞれ有する第2試料保持路を形成し、前記第2試料保持路を有する第2基材部を形成し、前記第2反射部と前記第3反射部とが互いに対向するように、前記第1基材部と前記第2基材部とを接合すること、を特徴とする。
【0026】
これにより、特別な製造方法を用いることなく小型の分析試料保持装置を製造することができる。
【0027】
本発明に係る分析試料保持装置の製造方法では、さらに、前記第1基材部に基づき、前記第1基材部の型である第1鋳型を形成し、前記第2基材部に基づき、前記第2基材部の型である第2鋳型を形成し、所定の材料を用いて前記第1鋳型を用いて、前記第1基材部の複製である第1複製基材部を形成し、所定の材料を用いて前記第2鋳型を用いて、前記第2基材部の複製である第2複製基材部を形成し、前記第1複製基材部の前記第2反射部と前記第2複製基材部の前記第3反射部とが互いに対向するように、前記第1複製基材部と前記第2複製基材部とを接合すること、を特徴とする。
【0028】
これにより、鋳型を用いて製造することができるので、安価に分析試料保持装置を製造することができる。
【0029】
本発明に係る分析試料保持装置の製造方法では、さらに、前記第1反射部〜前記第4反射部に鏡面を形成すること、を特徴とする。これにより、効率よく分析光を反射することができる。
【0030】
本発明に係る分析試料保持装置の製造方法では、前記第1複製基材部及び前記第2複製基材部を透明な樹脂を用いて製造すること、を特徴とする。これにより、安価な材料である樹脂を用いることができるので、安価に分析試料保持装置を製造することができる。
【0031】
ここで、各請求項における構成要素と実施例における構成要素との対応関係を示す。分析試料保持装置は生体試料分析チップ100に対応する。第1基材部は第1基材部101又は第1基材部モデルm101に、第2基材部は第2基材部103又は第2基材部モデルm103に、それぞれ対応する。
【0032】
分析光導出部は分析光導出部A101に、第1表面は第1基材部101の表面P101に、第1試料保持路は第1試料保持路R101又は第1空間r101に、第2表面は第1基材部101の表面P102に、それぞれ対応する。
【0033】
分析光導入部は分析光導入開口A105に、第3表面は第2基材部103の表面P103に、第2試料保持路は第2試料保持路R103又は第2空間r103に、第4表面は第2基材部103の表面P104に、それぞれ対応する。
【0034】
第1反射部は第1反射面M101又は第1傾斜面s101に、第2反射部は第2反射面M102又は第2傾斜面s102に、第3反射部は第3反射面M103又は第3傾斜面s103に、第4反射部は第4反射面M104又は第4傾斜面s104に、それぞれ対応する。また、試料は血液に対応する。
【0035】
分析光導入開口は分析光導入開口A105に、分析光導入層はノイズカットマスク105に、それぞれ対応する。
【0036】
第1基材層はシリコン層L101に、第1マスク層はマスク層L103に、第1開口は第1開口a103に、第2基材層はシリコン層L301に、第2マスク層はマスク層L303に、第2開口は第2開口a303に、それぞれ対応する。
【0037】
第1鋳型は第1基材部鋳型C101に、第2鋳型は第2基材部鋳型C103に、それぞれ対応する。第1複製基材部は第1基材部101に、第2複製基材部は第2基材部103に、それぞれ対応する。第1複製基材部の第2反射部は第1基材部101の第2反射面M102に、第2複製基材部の第3反射部は第2基材部103の第3反射面M103に、それぞれ対応する。

【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る分析試料保持装置の一実施形態である生体試料分析チップ100の斜視図である。
【図2】生体試料分析チップ100の図1のXX面における断面図である。
【図3】生体試料分析チップ100における分析光の光路を示す図である。
【図4】生体試料分析チップ100の製造方法を示す図である。
【図5】生体試料分析チップ100の製造方法を示す図である。
【図6】生体試料分析チップ100の製造方法を示す図である。
【図7】生体試料分析チップ100の製造方法を示す図である。
【図8】生体試料分析チップ100の製造方法を示す図である。
【図9】生体試料分析チップ100の製造方法を示す図である。
【図10】分析試料保持装置の他の実施例を示す図である。
【図11】分析試料保持装置の他の実施例を示す図である。
【図12】分析試料保持装置の他の実施例を示す図である。
【図13】従来の分析試料保持装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明していく。
【実施例1】
【0040】
第1 構成
1.生体試料保持分析チップ100の構成
本発明に係る分析試料保持装置の一実施例である生体試料分析チップ100は、比色分析を用いた血液分析を行う際に用いるディスポーザブル・チップである。生体試料分析チップ100を用いた血液の比色分析では、生体試料としての血液を混合した試薬を生体試料分析チップ100の内部に蓄積し、蓄積した試薬に対して外部から内部に導入した分析光を透過させ、分析光の特定波長の光の透過率から試薬の発色度合いを定量化したうえで、血液の状態、ひいては人の健康状態を判断する。
【0041】
生体試料分析チップ100の構成について図1を用いて説明する。図1は斜め上方から見た生体試料分析チップ100の斜視図を示している。生体試料分析チップ100は、平面四角形、縦横の長さ30mm、厚さ200μmの板形状を有している。なお、生体試料分析チップ100の大きさについては、使用者が扱いやすい大きさであれば、例示のものに限定されない。
【0042】
生体試料分析チップ100は、第1基材部101、第2基材部103及びノイズカットマスク105を有している。第1基材部101、第2基材部103及びノイズカットマスク105は、下層からこの順番で配置されている。第1基材部101及び第2基材部103は、透明なポリマー物質、例えばポリカーボネイト、により形成されている。
【0043】
また、ノイズカットマスク105は、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)等の金属膜より形成されている。なお、ノイズカットマスク105は、スクリーン印刷により形成したカーボン膜等により形成してもよい。
【0044】
生体試料分析チップ100は、内部に並列に配置された複数の試料保持路R100を有している。生体試料分析チップ100に複数の試料保持路R100を配置することによって、複数の分析項目について同時に分析することが可能となる。
【0045】
試料保持路R100は、第1反射面M101、第2反射面M102、第3反射面M103、及び第4反射面M104を有している。第1反射面M101〜第4反射面M104は、それぞれ、鏡面に加工されている。
【0046】
ノイズカットマスク105は、外部から投光された分析光を選択的に内部に取り込むための分析光導入開口A105を有している。これにより、外部から投光された分析光のうち分析に必要なもののみを内部に取り込むことができる。
【0047】
なお、図1においては、複数配置される試料保持路R100のうちの一つについてのみ番号を付している。
【0048】
次に、図1におけるXX断面を示す図2を用いて、生体試料分析チップ100の内部を詳細に説明する。
【0049】
生体試料分析チップ100は、内部に試料保持路R100を有している。試料保持路R100は、生体試料及び生体試料を分析するための試薬を生体試料分析チップ100の内部に保持するための空間である。
【0050】
試料保持路R100は、第1試料保持路R101、第2試料保持路R103を有している。
【0051】
第1試料保持路R101は、第1基材部101の表面P102から内部に向かって凹状に形成されている。第1試料保持路R101は、上底が下底よりも長い台形の断面を有している。第1試料保持路R101の一の端部には、第1反射面M101が、他の一の端部には第2反射面M102が形成されている。
【0052】
第1反射面M101及び第2反射面M102には、鏡面加工が施されている。これにより、分析光を効率よく反射することができる。また、第1反射面M101は、垂直上方から入射してきた分析光を、第1試料保持路R101に沿うように水平方向へ反射する。第2反射面M102は、水平方向から入射してきた分析光を、第2試料保持路が存在する垂直上方へ反射する。
【0053】
第2試料保持路R103は、第2基材部103の表面P104から内部に向かって凹状に形成される。第2試料保持路R103は、三角形状の断面を有している。第2試料保持路R103の一の端部には、第3反射面M103が、他の一の端部には第4反射面M104が形成されている。第2試料保持路R103の第3反射面M103は、第1試料保持路R101の第2反射面M102に対向する位置に形成される。
【0054】
第3反射面M103及び第4反射面M104には、鏡面加工が施されている。これにより、分析光を効率よく反射することができる。また、第3反射面M103は、第1試料保持路R101が存在する垂直下方から入射してきた分析光を、第2試料保持路R103に沿うように水平方向へ反射する。第4反射面M104は、第2試料保持路R103に沿って水平方向から入射してきた分析光を垂直下方へ反射する。
【0055】
なお、第4反射面M104によって垂直下方へ反射された分析光は、第1基材部101の表面P101に形成される分析光導出部A101を介して、生体試料分析チップ100の外部へ導出される。
【0056】
試料保持路R100は、第1基材部101の表面P102と第2基材部103の表面P104とが対向するように接合され、第1試料保持路R101と第2試料保持路R103とが連続することにより形成された空間である。
【0057】
分析光導入開口A105は、ノイズカットマスク105に対して垂直に入射した分析光のうち、分析に必要なものを生体試料分析チップ100の内部に導入するための開口である。分析光導入開口A105は、導入した分析光が第1基材部101の第1反射面M101に到達する位置に、つまり第1反射面M101の上方に形成される。
【0058】
なお、第2基材部103には、試料保持部R105が形成される。試料保持部R105は、所定量の血液及び試薬を蓄積する。試料保持部R105は、ノイズカットマスク105に形成される分析光導入開口A105に接続する。
【0059】
生体試料分析チップ100では、ノイズカットマスク105側から導入した分析光を、第1基材部101側へ導出する。これにより、分析光を投光するための光源部と、分析光の色度合いを定量化するためのセンサ部とを、生体試料分析チップ100を挟んだ異なる位置に配置することができる。よって、光源部及びセンサ部を配置するにあたり、両者の干渉を考慮する必要がないので、自由に分析装置を設計することができる。
【0060】
図3を用いて、第1反射面M101〜第4反射面M104を用いた分析光の光路について説明する。
【0061】
ノイズカットマスク105の表面S105に対して垂直に入射した分析光r0は、ノイズカットマスク105に形成される分析光導入開口A105から、第2基材部R103の表面P103に形成される分析光導入部A104を介して、生体試料分析チップ100の内部に導入され、分析光r1として、第1反射面M101に到達する。分析光r1は、第1反射面M101によって反射され、分析光r2として、第1試料保持路R101に沿って生体試料分析チップ100の内部を水平に進行する。分析光r2は、第2反射面M102によって反射され、分析光r3として、第2試料保持路R103の方向に向かって垂直に進行する。分析光r3、第3射面M103よって反射され、分析光r4して、第2試料法事路R103に沿って生体試料分析チップ100の内部を第4反射面M104の方向に向かって水平に進行する。分析光r4は、第4反射面M104によって反射され、分析光r5として、第1基材部101の表面P101に形成される分析光導出部A101に向かって垂直に進行する。
【0062】
このように、分析光を生体試料分析チップ100の内部において複数回反射させることによって、分析光r2、分析光r3、分析光r4、分析光r5の試料保持路R100の内部の進行長さによって、最低限、比色分析に必要とされる量の分析光を吸収できる長さ(最低限長さ)を確保することが可能となる。
【0063】
また、分析光を生体試料分析チップ100の厚さ方向に反射させることによって、試料保持路R100の幅を拡幅することなく、試料内部を通過する分析光の通過距離を延長することができる。これにより、複数の試料保持路R100を並列に配置し、分析項目を複数にしつつ、生体試料分析チップ100を小型化することができる。
【0064】
第2 生体試料分析チップ100の製造方法
生体試料分析チップ100の製造方法について図4〜図9を用いて説明する。本実施例における生体試料分析チップ100の製造方法は、ポリカーボネイトを用いて生体試料分析チップ100を製造するものである。ポリカーボネイトは安価な材料であり、また、ナノインプリントにより大量に製造することができる。よって、本実施例における生体試料分析チップ100の製造方法は、生体試料分析チップ100を安価に製造することを可能とする。
【0065】
本実施例における生体試料分析チップ100の製造方法は、モデル製造プロセス、金型製造プロセス、及び製品製造プロセスによって構成される。モデル製造プロセスでは、第1基材部101の鋳型を形成するための第1基材部モデル及び第2基材部103の鋳型を形成するための第2基材部モデルを製造する。金型製造プロセスでは、第1基材部モデル及び第2基材部モデルを用いて、第1基材部101及び第2基材部103をナノインプリントにより製造するための第1基材部金型及び第2基材部金型を製造する。製品製造プロセスでは、第1基材部金型及び第2基材部金型を用いて、第1基材部101及び第2基材部103を製造し、両者を接合することによって生体試料分析チップ100を製造する。
【0066】
以下において、各プロセスを説明する。
【0067】
1.モデル製造プロセス
まず、生体試料分析チップ100を形成するための第1基材部モデルm101の形成について説明する。
【0068】
図4Aに示すように、酸化炉においてシリコン(Si)層L101上に酸化膜(SiO2)によるマスク層L103を形成する。マスク層L103上にフォトレジストを塗布してレジスト層を形成した後、リソグラフィによりレジスト層に所定のパターンを形成する。
【0069】
その後、エッチングにより、レジスト層に形成したパターンをマスク層L103に形成する。この際、図4Bに示すように、マスク層L103に第1開口a103を形成する。図5に示すように、第1開口a103は、横長の長方形形状を有している。
【0070】
図4に戻って、マスク層L103をマスクとして異方性エッチングを施す。これにより、図4Cに示すように、シリコン層L101の表面p102から内部に向かって凹状に形成された第1空間r101を形成する。第1空間r101では、一の端部に第1傾斜面s101、他の一の端部に第2傾斜面s102が形成される。第1傾斜面s101及び第2傾斜面s102は、シリコン層L101の上側からみて、内側に傾斜するように形成される。
【0071】
このように、端部に第1傾斜面s101及び第2傾斜面s102を有し、表面p102から内部に向かって狭小となる第1空間r101を、異方性エッチングを用いて容易に形成することができる。なお、第1傾斜面s101、第2傾斜面s102の水平方向に対する傾斜角度α、βについては、異方性エッチングの際に使用する界面活性剤の添加濃度によって調整することができる。
【0072】
次に、図4Dに示すように、マスク層L103を除去する。さらに、図4Eに示すように、異方性エッチングを用いて、シリコン層L101を所定の形状・大きさとすることによって、第1基材部モデルm101を形成する。
【0073】
次に、生体試料分析チップ100を形成するための第2基材部モデルm103の形成について説明する。第2基材部モデルm103の製造方法は、第1基材部モデルm101の製造法と同様である。ただし、第2試料保持路r103を形成するに先立って形成する開口である第2開口a303の形状が第1基材部モデルm101の第1開口a103とは異なる。
【0074】
図6Aに示すように、酸化炉においてシリコン(Si)層L301上に酸化膜(SiO2)によるマスク層L303を形成する。マスク層L303上にフォトレジストを塗布してレジスト層を形成した後、リソグラフィによりレジスト層に所定のパターンを形成する。
【0075】
その後、エッチングにより、レジスト層に形成したパターンをマスク層L303に形成する。この際、図6Bに示すように、マスク層L303に第2開口a303及び第3開口a305を形成する。図7に示すように、第2開口a303は、長方形形状であるが、水平方向の長さが第1開口a103よりも短い長方形形状を有している。第3開口a305についても同様である。
【0076】
図6に戻って、マスク層L303をマスクとして異方性エッチングを施す。これにより、図6Cに示すように、シリコン層L303の表面p104から内部に向かって凹状に形成される第2空間r103を形成する。第2空間r103は、一の端部に第3傾斜面s103、他の一の端部に第4傾斜面s104を有する。第3傾斜面s103及び第4傾斜面s104は、シリコン層L301の上面からみて、内側に傾斜するように形成される。このように、端部に第3傾斜面s103及び第4傾斜面s104有し、表面p103から内部に向かって狭小となる第2空間r102を、異方性エッチングを用いて容易に形成することができる。なお、第3傾斜面s103、第4傾斜面s104の水平方向に対する傾斜角度γ、δについては、異方性エッチングの際に使用する界面活性剤の添加濃度によって調整することができる。
【0077】
第2空間r103の形成と同様に、異方性エッチングにより、第3空間r105を形成する。
【0078】
次に、図6Dに示すように、マスク層L303を除去する。さらに、図6Eに示すように、異方性エッチングを用いて、シリコン層L301を所定の形状・大きさとすることによって、第2基材部モデルm103を形成する。
【0079】
2.金型製造プロセス
次に、第1基材部モデルm101及び第2基材部モデルm103から、ナノインプリントに用いる金型を製造する金型製造部プロセスについて説明する。図8Aに示すように、第1基材部モデルm101に対して、ニッケルメッキを用いた電鋳技術を用いることによって、第1基材部鋳型C101を成形する。さらに、図8Bに示すように、第2基材部モデルm103に対して、ニッケルメッキを用いた電鋳技術を用いることによって、第2基材部鋳型C103を成形する。
【0080】
なお、ニッケルメッキを用いた電鋳技術については、一般的に用いられている電鋳技術を用いればよい。電鋳技術を用いることによって、第1基材部モデルm101における第1空間r101、第1傾斜面s101、第2傾斜面s102を、精度良く、第1基材部101の第1試料保持路R101、第1傾斜面S101、第2傾斜面S102に、それぞれ再現することができる。第2基材部モデルm103における第2空間r103、第3傾斜面s103、第4傾斜面s104、第3空間r105についても同様に、精度良く、第2基材部103の第2試料保持路R103、第3傾斜面S103、第4傾斜面S104、試料保持部R105に、それぞれ再現することができる。
【0081】
3.製品製造プロセス
次に、成形した第1基材部鋳型C101及び第2基材部鋳型C103を用いて生体試料分析チップ100を製造する製品製造プロセスについて説明する。図8Cに示すように、ポリカーボネイトを材料として、第1基材部鋳型C101を用いたナノインプリントにより第1基材部101を成形する。同様に、ポリカーボネイトを材料として、第2基材部鋳型C103を用いたナノインプリントにより第2基材部103を成形する。
【0082】
図9Aに示すように、第1基材部101を成形した後、第1傾斜面S101、第2傾斜面S102に対して銀メッキ加工により鏡面加工を施し、それぞれ、第1反射面M101、第2反射面M102を形成する。これにより、分析光を効率よく反射させることができる。同様に、第2基材部103を成形した後、第3反射面M103、第4反射面M104を形成する。
【0083】
図9Bに示すように、第1反射面M101〜第4反射面M104を形成した後、第1基材部101の表面P102と第2基材部103の表面P104とが対向するように、第1基材部101及び第2基材部103を接合する。このとき、第1基材部101の第2傾斜面M102と、第2基材部103の第3傾斜面M103とが対向して位置するようにする。なお、接合に際しては、ポリカーボネイトを接合する際に一般的に用いられる接合技術を用いる。
【0084】
その後、図9Cに示すように、第2基材部103上にノイズカットマスク105を形成する。なお、ノイズカットマスク105は、薄板に貫通孔を加工したステンシルマスクを第2基材部103上に貼り付けて固定した後、その上から蒸着或いはスパッタにより所定の金属を成膜することによって形成する。これにより、ステンシルマスクの貫通孔部分のみに成膜することができる。なお、ノイズカットマスク105の形成については、スクリーン印刷やグラビア印刷を用いて、分析光導入開口A105以外の領域に成膜するようにしてもよい。
【0085】
このように、生体試料分析チップ100を、第1試料保持路R101を有する第1基材部101と第2試料保持路R103を有する第2基材部103とに分割し、第1基材部101に端部に反射面を有し、第1基材部101に表面P102から内部に向かって狭小となる第1試料保持路R101を、第2基材部103に表面P104から内部に向かって狭小となる第2試料保持路R102を、それぞれ形成するようにしている。これにより、第1基材部鋳型C101及び第2基材部鋳型C103から第1基材部101、第2基材部103を取り出すことが可能となる。つまり、第1基材部鋳型C101及び第2基材部鋳型C103を用いて第1基材部101、第2基材部103を成型することが可能となる。よって、生体試料分析チップ100を大量に、かつ、安価に製造することが可能となる。
【0086】
また、生体試料分析チップ100を製造するにあたって、樹脂であるポリカーボネイトを用いるため、より安価に生体試料分析チップ100を製造することが可能となる。
【0087】
[その他の実施例]
(1) 生体試料 : 前述の実施例1においては、生体試料として血液を用いたが、比色分析を用いて所定の分析を行えるものであれば、例示のものに限定されない。
【0088】
(2) ポリカーボネイト : 前述の実施例1においては、生体試料分析チップ100の材料としてポリカーボネイトを用いたが、第1反射面M101〜第4反射面M104を形成することができ、分析光による比色分析に用いることができる材料であれば例示のものに限定されない。例えば、シクロオレフィンポリマー、ポリエチレンテレフタレート、PMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)等であってもよい。
【0089】
(3) 鋳型を用いた製造 : 前述の実施例1においては、第1基材部鋳型C101及び第2基材部用鋳型C103を用いて、ナノインプリントにより第1基材部101及び第2基材部103を形成するとしたが、第1基材部鋳型C101及び第2基材部用鋳型C103を用いて第1基材部101及び第2基材部103を形成できるものであれば、例示のものに限定されない。例えば、射出成型、圧空成型、真空成型、ホットエンボッシング等を用いて形成するようにしてもよい。
【0090】
(4) 第2試料保持路R103の形状 : 前述の実施例1においては、第2試料保持路R103は、断面三角形状としたが、第3反射面M103及び第4反射面M104を有するものであれば、例示のものに限定されない。例えば、図10に示すように、第1試料保持路R101と同様に、断面台形形状としてもよい。これにより、試料を通過する分析光の距離さらに延長することができる。
【0091】
(5) 第1基材部モデルm101、第2基材部モデルm103 : 前述の実施例1においては、第1基材部モデルm101及び第2基材部モデルm103を第1基材部鋳型C101、第2基材部鋳型C103を製造するためのモデルとして用いたが、第1基材部モデルm101、第2基材部モデルm103を接合して生体試料分析チップを製造するようにしてもよい。この場合、第1傾斜面s101〜第4傾斜面s104に鏡面加工を施すようにすればよい。
【0092】
(6) 生体試料分析チップ100の構成 : 前述の実施例1においては、2つの機材部である第1基材部101、第2基材部103を接合することによって生体試料分析チップ100を製造するとしたが、3つ以上の機材部を接合するようにしてもよい。例えば、図11に示すように、第1基材部101、第2基材部103、及び第3基材部111を接合するようにしてもよい。この場合、第3基材部111に第3試料保持路R111及び第4試料保持路R113を形成するようにすればよい。なお、第3試料保持路R111は、第2反射面M102によって反射された分析光が第3反射面M103に進行できる位置に配置する。同様に、第4試料保持路R113は、第4反射面M104によって反射された分析光が分析光導出部A101に進行できる位置に配置する。
【0093】
(7)空気孔 : 前述の実施例1において、さらに、生体試料を試料保持路R100に流入させやすくするために大気開放用の空気孔AHを形成するようにしてもよい。図12に空気孔AHを形成した生体試料分析チップを示す。図12Aは、図2と同様に、生体試料分析チップ100の試料保持路R100における断面を示している。図12B、図12Dは図12Aにおける図2Aの生体試料分析チップ100のP−P断面を、図12C、図12Eは図2Aの生体試料分析チップ100の平面図の一部を、図12F、図12Hは図12Aにおける図2Aの生体試料分析チップ100の左側面図を、図12G、図12Iは図2Aの生体試料分析チップ100の底面図の一部を、それぞれ示している。
【0094】
図12B、図12Cは、第2基材部103に、第2基材部103からノイズカットマスク105に向かう空気孔AHを形成した状態を示している。図12D、図12Eは、第1基材部101に、第1基材部101の底面に向かう空気孔AHを形成した状態を示している。図12F、図12Gは、第2基材部103に、第2基材部103から左側面に向かう空気孔AHを形成した状態を示している。図12H、図12Iは、第1基材部101に、第1基材部101の側面に向かう空気孔AHを形成した状態を示している。ここで、空気孔の形成については、試料保持路R100に生体試料を導入し易くするものであれば、例示のものに限定されない。
【0095】
なお、空気孔AHの形成にあたっては、例えば、第1基材部101を形成した後(図8C参照)、形成した第1基材部101に対してCO2レーザやYAGレーザによって孔形成加工を施したり、所定の金型により空気孔AHの打ち抜き加工を施したりすればよい。

【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明に係る分析試料保持装置は、例えば、血液を比色分析によって分析する際に用いるディスポーザブル・チップとして用いることができる。

【符号の説明】
【0097】
100・・・・・生体試料分析チップ
R100・・・・試料保持路
101・・・・・第1基材部
M101・・・第1反射面
M102・・・第2反射面
R101・・・第1試料保持路
A101・・・分析光導出部
P101・・・表面
P102・・・表面
103・・・・・第2基材部
M103・・・第3反射面
M104・・・第4反射面
R103・・・第2試料保持路
A104・・・分析光導入部
P103・・・表面
P104・・・表面
105・・・・・ノイズカットマスク
A105・・・分析光導入開口
C101・・・・第1基材部鋳型
C103・・・・第2基材部鋳型
m101・・・・・第1基材部モデル
s101・・・第1傾斜面
s102・・・第2傾斜面
r101・・・第1空間
m103・・・・第2基材部モデル
s103・・・第3反射面
s104・・・第4反射面
r103・・・第2空間



【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析光を用いて試料を分析する際に用いる分析試料保持装置であって、
前記分析試料保持装置は、
第1基材部及び第2基材部を有し、
前記第1基材部は、
前記内部から前記外部に前記分析光を導出する分析光導出部であって、第1表面に配置される分析光導出部、
前記試料を保持する第1試料保持路であって、前記第1表面とは対向して位置する第2表面から内部に向かって凹状に形成される第1試料保持路、
を有し、
前記第2基材部は、
外部から内部に前記分析光を導入する分析光導入部であって、第3表面に配置される分析光導入部、
前記試料を保持する第2試料保持路であって、前記第3表面とは対向して位置する第4表面から内部に向かって凹状に形成される第2試料保持路、
を有し、
前記第1試料保持路は、
前記分析光導入部から導入された前記分析光を前記第1試料保持路に沿う方向に反射する第1反射部、
前記第1試料保持路に沿って進行してきた前記分析光を前記第2試料保持路の方向へ反射する第2反射部、
を有し、
前記第2試料保持路は、
前記第1試料保持路の方向から進行してきた前記分析光を前記第2試料保持路に沿う方向へ反射する第3反射部、
前記第2試料保持路に沿って進行してきた前記分析光を前記分析光導出部へ反射する第4反射部、
を有し、
前記第1基材部及び前記第2基材部は、
前記第2表面と前記第4表面とが対向するように配置され、前記第1試料保持路と前記第2試料保持路とが連続した空間を形成していること、
を特徴とする分析試料保持装置。
【請求項2】
請求項1に係る分析試料保持装置において、さらに、
前記分析光導入部に対して分析光を選択的に導入するための分析光導入開口を有する分析光導入層、
を有する分析試料保持装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に係る分析試料保持装置において、
一の前記第1試料保持路と一の前記第2試料保持路とが対をなして、複数並列に形成されていること、
を特徴とする分析試料保持装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3に係る分析試料保持装置のいずれかにおいて、
前記第1基材部及び前記第2基材部は、
透明な樹脂により形成されていること、
を特徴とする分析試料保持装置。
【請求項5】
第1基材部と第2基材部とを接合することによって、分析光を用いて試料を分析する際に用いる分析試料保持装置を製造する分析試料保持装置の製造方法であって、
第1基材層の所定表面上に第1マスク層を形成し、
前記第1マスク層の所定位置に第1開口を形成し、
前記第1基材層に異方性エッチングを施すことによって、垂直方向から入射した前記分析光を水平方向に反射する第1反射部を一の端部に、水平方向から入射した前記分析光を垂直方向に反射する第2反射部を他の一の端部に、それぞれ有する第1試料保持路を形成し、
前記第1試料保持路を有する第1基材部を形成し、
前記第2基材層の所定表面上に第2マスク層を形成し、
前記第2マスク層の所定位置に第2開口を形成し、
前記第2基材層に異方性エッチングを施すことによって、垂直方向から入射した前記分析光を水平方向に反射する第3反射部を一の端部に、水平方向から入射した前記分析光を垂直方向に反射する第4反射部を他の一の端部に、それぞれ有する第2試料保持路を形成し、
前記第2試料保持路を有する第2基材部を形成し、
前記第2反射部と前記第3反射部とが互いに対向するように、前記第1基材部と前記第2基材部とを接合すること、
を特徴とする分析試料保持装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5に係る分析試料保持装置の製造方法において、さらに、
前記第1基材部に基づき、前記第1基材部の型である第1鋳型を形成し、
前記第2基材部に基づき、前記第2基材部の型である第2鋳型を形成し、
所定の材料を用いて前記第1鋳型を用いて、前記第1基材部の複製である第1複製基材部を形成し、
所定の材料を用いて前記第2鋳型を用いて、前記第2基材部の複製である第2複製基材部を形成し、
前記第1複製基材部の前記第2反射部と前記第2複製基材部の前記第3反射部とが互いに対向するように、前記第1複製基材部と前記第2複製基材部とを接合すること、
を特徴とする分析試料保持装置の製造方法。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に係る分析試料保持装置の製造方法において、さらに、
前記第1反射部〜前記第4反射部に鏡面を形成すること、
を特徴とする分析試料保持装置の製造方法。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に係る分析試料保持装置の製造方法において、
前記第1複製基材部及び前記第2複製基材部を透明な樹脂を用いて製造すること、
を特徴とする分析試料保持装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−202833(P2012−202833A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67857(P2011−67857)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、文部科学省、地域イノベーションクラスタープログラム(グローバル型)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(501397920)旭光電機株式会社 (45)
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【Fターム(参考)】