説明

分離剤としてのシクロフルクタン用の組成物および方法

本発明は、誘導体化シクロフルクタン化合物と、誘導体化シクロフルクタンを含む組成物と、鏡像異性体を含めた化学種をクロマトグラフィー分離するために誘導体化シクロフルクタン化合物を含む組成物を使用する方法とに関する。前記組成物は、固体担体、および/または誘導体化シクロフルクタン化合物を含むポリマーを含んでいてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロマトグラフィー、特にキラルクロマトグラフィーの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその開示全体が組み込まれている、2009年6月17日に出願した仮出願第61/187,868号の優先権を主張するものである。
【0003】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
なし。
【0004】
鏡像異性体液体クロマトグラフィー(LC)分離は、過去数十年にわたり多大な関心を集めてきた。現在、100を超えるキラル固定相(CSP)が報告されており、これらのCSPは、担体、通常はシリカゲル担体に、キラル選択剤をコーティングまたは結合することによって作製される。興味深いことに、ほんの少しのタイプ/種類のCSPしか、鏡像異性体分離の分野で普及していない。多糖ベースのCSP、大環状抗生剤CSP、およびπ錯体CSPは、主要な種類の例である。さらに各種類のCSPの中には、1つまたは複数の主要なエンティティがしばしば存在する。したがって、多くのキラル選択剤/CSPの導入にも関わらず、ほんの少ししか、大半の分離に使用されていない。任意の新しいCSPで十分な影響をもたらすには、以下の要件、すなわち、(a)既存のCSPよりも広い適用可能性、(b)特定の鏡像異性体に関する優れた分離性能(例えば、より良好な選択性、より高い効率、より有益な溶媒適合性、より短い分離時間、より低いコスト、超臨界流体クロマトグラフィーを使用するための高い能力など)、または(c)その他のCSPが作用できない重要な分離ニッチを満たすことの1つまたは複数を満たさなければならないと言われている。
【0005】
シクロフルクタン(CF)は、大環状オリゴ糖の比較的小さい基の1種である。シクロデキストリンは、おそらく、この種類の分子の最も良く知られているメンバーである。しかし、CFは、構造および挙動の両方が全く異なっている。CFは、6個以上のβ−(2→1)結合D−フルクトフラノース単位からなるシクロイヌロオリゴ糖である。各フルクトフラノース単位は、4つの不斉中心と3個のヒドロキシル基とを含有する。これらの化合物に関する一般的な略式名称は、CF6、CF7、CF8などであり、CFnは、環状オリゴマー中にn個のフルクトース部分(すなわち、6、7、8個など)を有するシクロフルクタンを示す。
【0006】
シクロフルクタンは、1989年にKawamuraおよびUchiyamaによって最初に報告された。シクロフルクタンは、バシラスサーキュランス(Bacillus circulans)の少なくとも2種の異なる株による、イヌリンの発酵を介して生成することができる。シクロイヌロオリゴ糖フルクタノトランスフェラーゼ酵素(CF Tase)を生成する遺伝子は単離されており、その配列は決定され、一般的な酵母、Saccharomyces cerevisiae内に組み込まれている。したがって、CFの容易な生成が可能である。CFの基本的な構造を図1に示す。CF6のx線結晶構造から、より小さなCFは、シクロデキストリンの場合のように疎水性の空洞を持たないことがわかる。その結果、有機分子とシクロデキストリンとの会合で重要な役割を演じる疎水性包接錯形成は、シクロフルクタンに関係しているようには見えない。
【0007】
代わりに、CFのペントース部分(フルクトース)は、クラウンエーテルコア単位の周りにプロペラ状の外周を形成する。例えば、CF6の結晶構造は、6個のフルクトフラノース環が18−クラウン−6コアの周りに螺旋またはプロペラのように配置されており、それぞれがクラウンエーテルの平均平面に向かって上向きまたは下向きになっていることを明らかにしている。6個の3位ヒドロキシル基は、分子中心を指すようにまたは分子中心から離れるように交互に配されており、内側に向く3個の酸素原子は互いに非常に近接している(約3Å)。かなりの内部水素結合がシクロフルクタン分子に存在することが明らかである。その結果、大環状分子の片側にある18−クラウン−6コアへの接触が、水素結合したヒドロキシル基によって遮断される。CF6のもう一方の側は、中心の窪みの周りの−O−C−CH2−O−のメチレン基によって、より疎水性であるように見える。CF6の、計算による親油性パターンは、CF6が親水性表面および疎水性表面の明瞭な「表/裏」領域形成を示すことも立証している。結晶構造および計算モデル化の両方の研究は、CF6が、かなりの追加の内部水素結合を有するようであることを実証する。3個のOH基が18−クラウン−6環の片側を完全に覆い、かつコアクラウン酸素が分子内でほとんど折り重なっているために、CF6は、その他の18−クラウン−6をベースにしたキラル選択剤とは非常に異なったものになる。表1は、CF6、CF7、およびCF8に関連した物理化学データを示す。
【0008】
【表1】

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
シクロフルクタンは、様々な適用例において、ほとんどが消費者製品の添加剤としてまたは溶液中で金属イオンを会合させる手段として使用されてきた。消費者製品の添加剤としてのCFの多くの適用例は、シクロデキストリンの場合に類似している。例えば、CFは、紙用塗料、食品および飲料の苦味および渋味の調節剤、褐変防止剤、エマルジョン重合剤、インク配合剤、臭いを抑制するための薬剤、薬物送達系の一部、および潤滑剤などとして使用されてきた。さらに、CFは、凍結防止効果を発揮しかつ一部のイオンの錯化剤として有用であることが示されている。しかし、本発明者らの知る限り、CFまたはその類似体は、クロマトグラフィーによる鏡像異性体の分離のための広く有用なCSPとしては、決して使用されてこなかった。理論に拘泥するものではないが、非誘導体化(または「未変性の」)CFは、その融点が高くかつその他の液体GLC固定相に可溶化できないので、ガス液体クロマトグラフィー(GLC)用のCSPとして使用できない可能性がある。上述の構造的な理由により、未変性のCF6およびその他のCFは、疎水性包接錯体および/またはクラウンエーテル包接錯体を形成する能力が限られている可能性もある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、式Iの化合物と、式Iの化合物を含む組成物と、化学種のクロマトグラフィー分離のために式Iの化合物を含む組成物を使用する方法とに関し、式Iは下記の通りであり、
【0011】
【化1】

【0012】
式中、n、LおよびRは、本明細書に記述される通りである。
【0013】
一態様では、本発明は、固体担体と、前記固体担体に共有結合しているシクロフルクタン残基とを含む、組成物を提供する。別の態様では、本発明は、固体担体と、式Iの誘導体化シクロフルクタン残基とを含む、組成物を提供する(式中、n、L、およびRが本明細書に記述される通りであり、1から5個のR基が固体担体への共有結合である)。
【0014】
さらに別の態様では、本発明は、固体担体と;式Iの非誘導体化シクロフルクタンまたは誘導体化シクロフルクタンを含む少なくとも1種のポリマーとを含む、組成物を提供する(式中、n、L、およびRが本明細書に記述される通りであり、0から5個のR基が固体担体への共有結合である)。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】シクロフルクタンの基本構造を示す図である。
【図2】本発明の、固体担体および誘導体化シクロフルクタン残基を含む組成物を示す図である。
【図3】本発明の官能化シクロフルクタンを含むCSPが結合しているカラムを使用して、順相モード(上部曲線)、極性有機モード(中間曲線)、および逆相モード(下部曲線)中のキラル検体を分離した結果を示す、液体クロマトグラムである。
【図4】本発明の官能化シクロフルクタンを含むCSPが結合しているカラムを使用して、キラル検体を分離した結果を示す、超臨界流体クロマトグラムである。
【図5】本発明の官能化シクロフルクタンを含むCSPが結合しているカラムを使用して、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、およびアセチルサリチル酸を分離した結果を示す、親水性相互作用液体クロマトグラムである。
【図6】本発明の官能化シクロフルクタンを含むCSPが結合しているカラムを使用して、キラル検体を分離した結果を示す、液体クロマトグラムである。
【図7A】本発明の官能化シクロフルクタンを含むCSPが結合しているカラムを使用して、キラル検体を分離した結果を示す、一連の液体クロマトグラムである。
【図7B】本発明の官能化シクロフルクタンを含むCSPが結合しているカラムを使用して、キラル検体を分離した結果を示す、一連の液体クロマトグラムである。
【図8】本発明の官能化シクロフルクタンを含むCSPが結合しているカラムを使用して、キラル検体を分離した結果を示す、一連の液体クロマトグラムであり、添加剤のパーセンテージは0.125から0.50から2.0まで変化させている。
【図9A】本発明の官能化シクロフルクタンを含むCSPが結合しているカラムを使用して、キラル検体を分離した結果を示す、一連の液体クロマトグラムである。
【図9B】本発明の官能化シクロフルクタンを含むCSPが結合しているカラムを使用して、チロシノール塩酸塩の鏡像異性体を分離した結果を示す、一連の液体クロマトグラムである。
【図10】本発明の官能化シクロフルクタンを含むCSPが結合しているカラムを使用して、1−(2−ナフチル)エチルアミンの鏡像異性体を分離した結果を示す、一連の液体クロマトグラムである。
【図11】本発明の官能化シクロフルクタンを含むCSPが結合しているカラムを使用して、キラル検体を分離した結果を示す、液体クロマトグラムである。
【図12】本発明の官能化シクロフルクタンを含むCSPが結合しているカラムを使用して、N−(3,5−ジニトロベンゾイル)−フェニルグリシンの鏡像異性体を分取的に分離した結果を示す、一連の液体クロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義
下記の定義は、定義された用語を明らかにするものであるが、これに限定するものではない。本明細書で使用される特定の用語が具体的に定義されない場合、そのような用語を不明瞭と見なすべきではない。そうではなく、用語は、その許容される意味の範囲内で使用される。
【0017】
本明細書で使用される「シクロフルクタン」という用語は、6個以上のβ−(2→1)結合D−フルクトフラノース単位からなるシクロイヌロオリゴ糖を指す。
【0018】
本明細書で使用される「誘導体化シクロフルクタン」または「官能化シクロフルクタン」は、1個または複数のヒドロキシル基がその他の官能基で置き換えられているシクロフルクタンを指す。典型的には、本発明の誘導体化または官能化CF6において約2から18個のヒドロキシル基がその他の官能基で置き換えられている。典型的には、本発明の誘導体化または官能化CF7において約2から21個のヒドロキシル基がその他の官能基で置き換えられている。典型的には、本発明の誘導体化または官能化CF8において約2から24個のヒドロキシル基がその他の官能基で置き換えられている。「低」誘導体化は、約2から約7個のヒドロキシル基がその他の官能基で置き換えられたことを指す。同様に、「非誘導体化シクロフルクタン」または「未変性シクロフルクタン」は、ヒドロキシル基が異なる官能基で置き換えられていないシクロフルクタンを指す。
【0019】
本明細書で使用される「アルキル」は、1から約20個の炭素原子、好ましくは1から約10個の炭素原子、より好ましくは1から約6個の炭素原子、さらにより好ましくは1から約4個の炭素原子の脂肪族炭化水素鎖を指し、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、neo−ペンチル、n−ヘキシル、およびイソヘキシルなどの直鎖および分岐鎖を含む。「低級アルキル」は、1から約4個の炭素原子を有するアルキルを指し、「アルキル」は本明細書で定義される通りである。
【0020】
本明細書で使用される「アルケニル」は、2価のアルキル基を指し、「アルキル」は、本明細書で定義される通りである。
【0021】
本明細書で使用される「アリーレニル」は、2価のアリール基を指し、「アリール」は、本明細書で定義される通りである。
【0022】
本明細書で使用される「アリール」は、約5から約50個の炭素原子(およびこの範囲内にある炭素原子の範囲および特定の数の、全ての組合せおよび下位組合せ)を有し、約6から約10個の炭素であることが好ましい、置換されていてもよい一、二、三、またはその他多環式芳香環系である。非限定的な例には、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、および3,5−ジメチルフェニルが含まれる。アリールは、本明細書で定義される1個または複数のR1で任意選択に置換されていてもよい。
【0023】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」は、少なくとも1個、好ましくは1から約4個の硫黄、酸素、または窒素ヘテロ原子環員を含んだ複素環式環を含む、置換されていてもよい一、二、三、またはその他多環式芳香環系を指す。ヘテロアリール基は、例えば、約3から約50個の炭素原子(およびこの範囲内にある炭素原子の範囲および特定の数の、全ての組合せおよび下位組合せ)を有することができ、約4から約10個が好ましい。ヘテロアリール基の非限定的な例には、例えば、ピリル、フリル、ピリジル、1,2,4−チアジアゾリル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、チオフェニル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル、およびイソキサゾリルが含まれる。ヘテロアリールは、本明細書で定義される1個または複数のR1で任意選択に置換されていてもよい。
【0024】
本明細書で使用される「複素環式環」は、飽和、部分不飽和、または不飽和(芳香族)の、安定な5から7員の単環式もしくは二環式、または7から10員の二環式の複素環式環であって、炭素原子と、N、O、およびSからなる群から独立して選択された1から4個のヘテロ原子とを含有し、かつ上記にて定義された複素環式環のいずれかがベンゼン環に縮合している任意の二環式基を含む環を指す。窒素および硫黄ヘテロ原子は、任意選択で酸化されていてもよい。複素環式環は、安定な構造をもたらす任意のヘテロ原子または炭素原子が、その側基に結合されていてもよい。本明細書に記述される複素環式環は、結果的に得られる化合物が安定である場合、炭素または窒素原子が置換されていてもよい。具体的に述べるなら、複素環の窒素原子は任意選択で4級化されていてもよい。複素環内のSおよびO原子の総数が1を超える場合、これらのヘテロ原子が互いに隣接しないことが好ましい。複素環内のSおよびO原子の総数は、1より多くないことが好ましい。複素環の例には、1H−インダゾール、2−ピロリドニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、2H−ピロリル、3H−インドリル、4−ピペリドニル、4aH−カルバゾール、4H−キノリジニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、アクリジニル、アゾシニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンズイミダザロニル、カルバゾリル、4H−カルバゾリル、α−、β−、またはγ−カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニルピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェノキサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4−ピペリドニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、カルボリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、キサンテニルが含まれるが、これらに限定するものではない。好ましい複素環には、ピリジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンズイミダゾリル、1H−インダゾリル、オキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソキサゾリル、オキシインドリル、ベンゾキサゾリニル、またはイサチノイルが含まれるが、これらに限定するものではない。例えば上記複素環を含有する縮合環およびスピロ化合物も含まれる。
【0025】
本明細書で使用される「シクロアルキル」は、3から約20個の炭素原子(およびこの範囲内にある炭素原子の範囲および特定の数の、全ての組合せおよび下位組合せ)を有し、3から約10個の炭素原子であることが好ましい、その構造内に1個または複数の環を有する置換されていてもよいアルキル基を指す。多環構造は、架橋または縮合環構造であってもよい。これらの基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、2−[4−イソプロピル−1−メチル−7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル]、2−[1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレニル]、およびアダマンチルが含まれるが、これらに限定するものではない。シクロアルキルは、本明細書で定義される1個または複数のR1で任意選択に置換されていてもよい。
【0026】
本明細書で使用される「ハロ」または「ハロゲン」は、クロロ、ブロモ、フルオロ、およびヨード、または塩素、臭素、フッ素、およびヨウ素を指す。
【0027】
本明細書で使用される「糖残基」は、単糖、二糖、オリゴ糖、もしくは多糖、または、単糖、二糖、オリゴ糖、もしくは多糖を含む化合物を指し、糖残基の1個または複数のヒドロキシル基は、異なる官能基で任意選択に置換されていてもよい。
【0028】
化合物
本発明の実施形態は、誘導体化シクロフルクタン、その組成物、およびその使用方法を含む。本発明は、様々な方法で具体化することができる。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態は、式Iの化合物を含む:
【0030】
【化2】

【0031】
(式中、
nは1〜3であり;
各Lは、独立して、
O、
CR2
NR2
O−C(=O)、
O−C(=O)−NR2
NC(=O)−NR2、または
【0032】
【化3】

【0033】
であり;
各Rは、独立して、
H、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C1〜C20)アルキル、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C3〜C20)シクロアルキル、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C5〜C50)アリール、
1〜3個のR1で置換されていてもよいヘテロアリール、
(C1〜C20)アルコキシ(C1〜C20)アルキル、
2C=CH−(LがO−C(=O)の場合)、
2C=C(CH3)−(LがO−C(=O)の場合)、
アルキレニル−N=C=O;
アリーレニル−N=C=O;
−SO25(LがOの場合)、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C5〜C50)アリール(C1〜C20)アルキル、または
ヒドロキシル基を欠いている糖残基(LがOの場合)であり、
1は、独立して、1〜3個のR6で置換されていてもよい(C1〜C10)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、−NR34、−COOR2、−COR2、ニトロ、トリハロアルキル、または−Si(OR23であり;
2は、独立して、Hまたは(C1〜C10)アルキルであり;
3は、独立して、Hまたは(C1〜C10)アルキルであり;
4は、独立して、Hまたは(C1〜C10)アルキルであり;
5は、独立して、1〜3個のR1で置換されていてもよい(C1〜C20)アルキル、1〜3個のR1で置換されていてもよい(C5〜C50)アリール、または1〜3個のR1で置換されていてもよいヘテロアリールであり;
6は、独立して、ハロ、ヒドロキシ、−NR34、−COOR2、−COR2、ニトロ、トリハロアルキル、または−Si(OR23であり;
但し、前記R基の全ては、同時にHまたはメチルではない)。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態では、1個または複数のL基がOである。その場合、Oは2価の部分であり、CFおよびR基に単結合で接続されている。本発明のその他の実施形態では、1個または複数のL基がCR2である。その場合、CR2は2価の部分であり、L基のC原子とCFのC原子との間のC−C単結合を介してCFに接続されている。L基は、L基のC原子とR基の原子との間のC−R単結合を介してR基に接続されている。いくつかの実施形態では、1個または複数のL基がNR2である。その場合、NR2は2価の部分であり、L基のN原子とCFのC原子との間のN−C単結合を介してCFに接続されている。L基は、L基のN原子とR基の原子との間のN−R単結合を介して、R基に接続されている。本発明のその他の実施形態では、1個または複数のL基がO−C(=O)である。その場合、O−C(=O)は2価の部分であり、L基の第1のO原子とCFのC原子との間のC−O単結合を介してCFに接続されている。またL基の前記第1のO原子は、C−O単結合を通してL基のカルボニル炭素に結合されている。L基は、L基のカルボニル炭素とR基の原子との間のC−R単結合を介してR基に結合されている。本発明のさらにその他の実施形態では、1個または複数のL基がO−C(=O)−NR2である。その場合、O−C(=O)−NR2は2価の部分であり、L基の第1のO原子とCFのC原子との間のC−O単結合を介してCFに接続されている。またL基の前記第1のO原子は、C−O単結合を通してL基のカルボニル炭素に結合されている。またL基のカルボニル炭素は、C−N単結合を介してL基のNに結合されている。L基は、L基のN原子とR基の原子との間のN−R単結合を介してR基に結合されている。本発明のいくつかの実施形態では、1個または複数のL基がNC(=O)−NR2である。その場合、NC(=O)−NR2は2価の部分であり、L基の第1のN原子とCFのC原子との間のC−N二重結合を介してCFに接続されている。またL基の前記第1のN原子は、C−N単結合を通してL基のカルボニル炭素に結合されている。またL基のカルボニル炭素は、C−N単結合を介してL基の第2のNに結合されている。L基は、L基の第2のN原子とR基の原子との間のN−R単結合を介してR基の結合されている。本発明のその他の実施形態では、1個または複数のL基は、アジドとアルキンとの間の1,3−双極性付加環化反応の付加環化生成物である(クリックケミストリー)。その場合、付加環化生成物は2価の部分であり、2つの方法のいずれかでCFおよびR基に接続することができる。第1は、CFは、CFのC原子と、2つの単結合(1つのN−N単結合および1つのC−N単結合)を有するとして上記にて示される付加環化生成物のN原子との間のC−N単結合を介して、L基に接続することができる。次いでL基は、R基の原子と、CFに結合している付加環化生成物のN原子に対してβ位にある付加環化生成物のC原子との間のC−R単結合を通して、R基に接続される可能性がある。これは、アジド官能化CFとアルキン含有R基との間の推定反応から得られる可能性がある接続性である。このL基の第2の可能性ある接続性は、その逆であり、アルキン官能化CFとアジド含有R基との間の推定反応から得られるものである。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態では、式I中のL基とR基の一部とは一緒になって、シクロフルクタン主鎖を別の部分に結合させる働きをする官能基の全てまたは部分を含んでいてもよい。本発明のいくつかの実施形態では、式I中のL基とR基の一部とは一緒になって、カルバメート、エステル、エーテル、アルキレニル、第2級もしくは第3級アミン、またはCFと別の部分との間の1,3−双極性付加環化生成物(「クリックケミストリー」)結合の全てまたは部分を形成してもよい。本発明のいくつかの実施形態では、式I中の−LR基で、−OHまたは−O−メチルであるものはない。本発明のその他の実施形態では、式I中の−LR基で−OHまたは−O−メチルであるものはなく、全ての−LR基が同じとは限らない。本発明のその他の実施形態では、式I中の−LR基で−OHまたは−O−メチルであるものはなく、全ての−LR基は同じである。本発明のさらにその他の実施形態では、式I中の少なくとも1つであるが全てではない−LR基が、−OHまたは−O−メチルである。
【0036】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、本発明の目的に矛盾しない任意の手段によって合成される。本発明のいくつかの実施形態では、式Iの化合物は、カルバメート、エステル、エーテル、アルキレニル、第2級もしくは第3級アミン、または本明細書に記述される1,3−双極性付加環化生成物(「クリックケミストリー」)結合を形成することが可能な反応スキームおよび1種または複数の試薬を使用して、未変性のCFnから合成されてもよい。
【0037】
組成物
本発明のいくつかの実施形態は、誘導体化または非誘導体化シクロフルクタンを含んだ組成物を含む。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態では、組成物は、固体担体と、前記固体担体に結合したシクロフルクタン残基とを含む。前記シクロフルクタン残基は、本発明の目的に矛盾しない任意の手段によって、前記固体担体に結合していてもよい。本発明のいくつかの実施形態では、組成物は、固体担体と、前記固体担体に共有結合しているシクロフルクタン残基とを含む。固体担体を含む本発明のその他の実施形態では、シクロフルクタンは、固体担体に直接吸収させることができる。図2を参照すると、いくつかの実施形態では、シクロフルクタン(構成要素10)は、リンカー(構成要素20)を通して固体担体(構成要素30)に直接共有結合させることができる。さらにその他の実施形態では、シクロフルクタンは、後で担体に吸収させ、コーティングし、または結合させることができるポリマーまたはオリゴマーに、吸収させまたは共有結合させることができる。本発明のいくつかの実施形態では、組成物は、固体担体と、硫酸官能性を欠いている、前記固体担体に共有結合しているシクロフルクタン残基とを含む。
【0039】
固体担体と、前記固体担体に結合したシクロフルクタン残基とを含んだ組成物を含む、本発明の実施形態では、シクロフルクタン残基は、本発明の目的に矛盾しない任意のシクロフルクタン残基を含むことができる。本発明のいくつかの実施形態では、シクロフルクタンは、未変性シクロフルクタンである。その他の実施形態では、シクロフルクタンは、誘導体化シクロフルクタンである。本発明のさらにその他の実施形態では、組成物は、固体担体および式Iの誘導体化シクロフルクタン残基を含む:
【0040】
【化4】

【0041】
(式中、
nは1〜3であり;
各Lは、独立して、
O、
CR2
NR2
O−C(=O)、
O−C(=O)−NR2
NC(=O)−NR2、または
【0042】
【化5】

【0043】
であり;
各Rは、独立して、
H、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C1〜C20)アルキル、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C3〜C20)シクロアルキル、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C5〜C50)アリール、
1〜3個のR1で置換されていてもよいヘテロアリール、
(C1〜C20)アルコキシ(C1〜C20)アルキル、
2C=CH−(LがO−C(=O)の場合)、
2C=C(CH3)−(LがO−C(=O)の場合)、
アルキレニル−N=C=O;
アリーレニル−N=C=O;
−SO25(LがOの場合)、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C5〜C50)アリール(C1〜C20)アルキル、または
ヒドロキシル基を欠いている糖残基(LがOの場合)であり、または
前記固体担体への共有結合を含み;
1は、独立して、1〜3個のR6で置換されていてもよい(C1〜C10)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、−NR34、−COOR2、−COR2、ニトロ、トリハロアルキル、または−Si(OR23であり;
2は、独立して、Hまたは(C1〜C10)アルキルであり;
3は、独立して、Hまたは(C1〜C10)アルキルであり;
4は、独立して、Hまたは(C1〜C10)アルキルであり;
5は、独立して、1〜3個のR1で置換されていてもよい(C1〜C20)アルキル、1〜3個のR1で置換されていてもよい(C5〜C50)アリール、または1〜3個のR1で置換されていてもよいヘテロアリールであり;
6は、独立して、ハロ、ヒドロキシ、−NR34、−COOR2、−COR2、ニトロ、トリハロアルキル、または−Si(OR23であり;
1から5個のR基は、固体担体への共有結合を含む)。
【0044】
式Iのシクロフルクタンを含む本発明のいくつかの実施形態では、式I中の1個または複数のL基がOである。その場合、Oは2価の部分であり、CFおよび本明細書に記述されるR基に接続されている。本発明のその他の実施形態では、1つまたは複数のL基はCR2である。その場合、CR2は、2価の部分であり、CFおよび本明細書に記述されるR基に接続されている。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のL基はNR2である。その場合、NR2は、2価の部分であり、CFおよび本明細書に記述されるR基に接続されている。本発明のその他の実施形態では、1つまたは複数のL基はO−C(=O)である。その場合、O−C(=O)は、2価の部分であり、CFおよび本明細書に記述されるR基に接続されている。本発明のさらにその他の実施形態では、1つまたは複数のL基はO−C(=O)−NR2である。その場合、O−C(=O)−NR2は、2価の部分であり、CFおよび本明細書に記述されるR基に接続されている。本発明のいくつかの実施形態では、1つまたは複数のL基はNC(=O)−NR2である。その場合、NC(=O)−NR2は、2価の部分であり、CFおよび本明細書に記述されるR基に接続されている。本発明のその他の実施形態では、1つまたは複数のL基はアジドとアルキンとの間の1,3−双極性付加環化反応(クリックケミストリー)の付加環化生成物である。その場合、付加環化生成物は、2価の部分であり、CFおよび本明細書に記述されるR基に接続することができる。
【0045】
式Iのシクロフルクタンを含む本発明のいくつかの実施形態では、nが1である。その他の実施形態では、nが2である。さらにその他の実施形態では、nが3である。
【0046】
式Iのシクロフルクタンを含む本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも1個のLがOである。その他の実施形態では、少なくとも1個のLがO−C(=O)である。さらにその他の実施形態では、少なくとも1個のLがO−C(=O)−NR2である。いくつかの実施形態では、少なくとも1個のLがNC(=O)−NR2である。式Iのシクロフルクタンを含む本発明のいくつかの実施形態では、各Rは独立して、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、トリクロロフェニル、クロロフェニル、ブロモフェニル、ヨードフェニル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ジクロロフェニル、ベンジル、クロロトリル、ナフチルエチル、ニトロフェニル、ジニトロフェニル、トリニトロフェニル、トリフルオロメチル、ジニトロ、3,5−ジメチルフェニル、またはアダマンチルである。その他の実施形態では、各Rは独立して、イソプロピル、tert−ブチル、キシリル、ジクロロフェニル、3,5−ジメチルフェニル、またはナフチルエチルである。
【0047】
式Iのシクロフルクタンを含む本発明のいくつかの実施形態では、各R1は独立して、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシエチル、メチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、クロロ、ブロモ、またはヨードである。
【0048】
固体担体と、前記固体担体に結合したシクロフルクタン残基とを含んだ組成物を含む、本発明の実施形態では、固体担体は、本発明の目的に矛盾しない任意の固体担体にすることができる。本発明のいくつかの実施形態では、組成物は、固体担体と、式Iの誘導体化シクロフルクタン残基とを含み、前記固体担体は、シリカゲル担体である。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態では、組成物は固体担体および式Iの誘導体化シクロフルクタンの少なくとも1個の残基を含む、少なくとも1種のポリマーを含む:
【0050】
【化6】

【0051】
(式中、
各nは、独立して、1〜3であり;
各Lは、独立して、
O、
CR2
NR2
O−C(=O)、
O−C(=O)−NR2
NC(=O)−NR2、または
【0052】
【化7】

【0053】
であり;
各Rは、独立して、
Y、
Z、
H、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C1〜C20)アルキル、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C3〜C20)シクロアルキル、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C5〜C50)アリール、
1〜3個のR1で置換されていてもよいヘテロアリール、
(C1〜C20)アルコキシ(C1〜C20)アルキル、
2C=CH−(LがO−C(=O)の場合)、
2C=C(CH3)−(LがO−C(=O)の場合)、
アルキレニル−N=C=O;
アリーレニル−N=C=O;
−SO25(LがOの場合)、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C5〜C50)アリール(C1〜C20)アルキル、または
ヒドロキシル基を欠いている糖残基(LがOの場合)であり、
1は、独立して、1〜3個のR6で置換されていてもよい(C1〜C10)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、−NR34、−COOR2、−COR2、ニトロ、トリハロアルキル、または−Si(OR23であり;
2は、独立して、Hまたは(C1〜C10)アルキルであり;
3は、独立して、Hまたは(C1〜C10)アルキルであり;
4は、独立して、Hまたは(C1〜C10)アルキルであり;
5は、独立して、1〜3個のR1で置換されていてもよい(C1〜C20)アルキル、1〜3個のR1で置換されていてもよい(C5〜C50)アリール、または1〜3個のR1で置換されていてもよいヘテロアリールであり;
6は、独立して、ハロ、ヒドロキシ、−NR34、−COOR2、−COR2、ニトロ、トリハロアルキル、または−Si(OR23であり;
Yは、異なるモノマー残基への共有結合を含み;
Zは、前記固体担体への共有結合を含み;
0から5個のR基は、固体担体への共有結合を含む)。
【0054】
固体担体および少なくとも1種のポリマーを含んだ組成物を含み、前記ポリマーが、式Iの誘導体化シクロフルクタンの少なくとも1個の残基を含むものである本発明の実施形態では、前記固体担体は、本明細書に記述されるように、本発明の目的に矛盾しない任意の固体担体にすることができる。
【0055】
固体担体および少なくとも1種のポリマーを含んだ組成物を含み、前記ポリマーが、式Iの誘導体化シクロフルクタンの少なくとも1個の残基を含むものである本発明の実施形態では、誘導体化シクロフルクタンの前記少なくとも1個の残基は、本明細書に記述されるように、本発明の目的に矛盾しない誘導体化シクロフルクタンの任意の残基にすることができる。
【0056】
固体担体および少なくとも1種のポリマーを含んだ組成物を含み、前記ポリマーが、式Iの誘導体化シクロフルクタンの少なくとも1個の残基を含むものである本発明の実施形態では、前記ポリマーは、本発明の目的に矛盾しない任意のポリマーにすることができる。固体担体および少なくとも1種のポリマーを含んだ組成物を含み、前記ポリマーが、式Iの誘導体化シクロフルクタンの少なくとも1個の残基を含むものである本発明のいくつかの実施形態では、前記ポリマーは、前記固体担体表面にコーティングを形成する。固体担体および少なくとも1種のポリマーを含んだ組成物を含み、前記ポリマーが、式Iの誘導体化シクロフルクタンの少なくとも1個の残基を含むものである本発明のその他の実施形態では、前記ポリマーが、前記固体担体に共有結合されている。固体担体および少なくとも1種のポリマーを含んだ組成物を含み、前記ポリマーが、式Iの誘導体化シクロフルクタンの少なくとも1個の残基を含むものである本発明のさらにその他の実施形態では、式Iの誘導体化シクロフルクタンの前記残基が、前記ポリマー上に側基を形成する。固体担体および少なくとも1種のポリマーを含んだ組成物を含み、前記ポリマーが、式Iの誘導体化シクロフルクタンの少なくとも1個の残基を含むものである本発明のいくつかの実施形態では、式Iの誘導体化シクロフルクタンの前記残基が、前記ポリマーの主鎖の一部を形成する。
【0057】
一般に、本発明のシクロフルクタン含有ポリマーは、2つのカテゴリー、すなわち、(1)骨格としてCF単位を有するポリマーと、(2)側基としてCFを有するポリマーとに分類することができる。骨格としてCF単位を有するポリマー含む本発明の実施形態は、本発明の目的に矛盾しない任意の手段を使用してCFを重合することにより、作製することができる。いくつかの実施形態では、CFは、塩基性の状態にある乾燥N,N’−ジメチルホルミド(DMF)またはエピクロロヒドリン中でヘキサメチレンジイソシアネートと重合するこができ、その結果、骨格としてCF単位を有するポリマーを得ることができる。このように調製されたCF含有ポリマーは、固体担体表面にコーティングすることができ、または本明細書に記述されるように(例えば、カルバメート結合を介して)固体担体に共有結合することができる。骨格としてCF単位を有するポリマーを含む本発明の実施形態は、CF含有モノマーとして働くアクリレート官能化CF(例えば、メタクリレート−CF)を調製し、次いでこれらをその他のモノマー(例えば、アクリルアミド、アクリル酸、N−ビニルピロリドン)と共重合させることによって作製することもでき、その結果、骨格としてCF単位を有するポリマーを得ることができる。このように調製されたCF含有ポリマーは、本明細書に記述されるように固体担体表面にコーティングまたは結合させることができる。骨格としてCF単位を有するポリマーを含む本発明の実施形態は、1つのCF含有モノマーを固体担体に固着させ、次いで固体担体の表面でその他のモノマーと共重合させることによって、作製することもできる。
【0058】
側基としてCF単位を有するポリマーを含む本発明の実施形態は、適切な官能基(例えば、p−トシル)で誘導体化されたCFを調製し、次いで適切に誘導体化されたCFとポリマー(例えば、ポリ(アリルアミン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(ビニルアミン)、またはポリ(ビニルイミダゾール))とを反応させることによって作製することができ、その結果、側基としてCF単位を有するポリマーを得ることができる。このように調製されたCF含有ポリマーは、本明細書に記述されるように固体担体表面にコーティングされまたは結合させることができる。側基としてCF単位を有するポリマーを含む本発明の実施形態は、まず適切なポリマーを本明細書に記述される固体担体表面にコーティングし、次いで適切に誘導体化されたCFと、本明細書に記述されるようにポリマーがコーティングされまたは結合している固体担体とを反応させることによって、作製することもできる。
【0059】
方法
本発明のいくつかの実施形態は、キラルクロマトグラフィー分離を含めたクロマトグラフィー分離の方法を含む。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態では、クロマトグラフィー分離の方法は、第1の固定相として、混合物中の化学種を分離するための組成物を提供するステップであって、この組成物が固体担体と式Iの誘導体化シクロフルクタン残基とを含むものであるステップを含む:
【0061】
【化8】

【0062】
(式中、
nは1〜3であり;
各Lは、独立して、
O、
CR2
NR2
O−C(=O)、
O−C(=O)−NR2
NC(=O)−NR2、または
【0063】
【化9】

【0064】
であり;
各Rは、独立して、
H、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C1〜C20)アルキル、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C3〜C20)シクロアルキル、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C5〜C50)アリール、
1〜3個のR1で置換されていてもよいヘテロアリール、
(C1〜C20)アルコキシ(C1〜C20)アルキル、
2C=CH−(LがO−C(=O)の場合)、
2C=C(CH3)−(LがO−C(=O)の場合)、
アルキレニル−N=C=O;
アリーレニル−N=C=O;
−SO25(LがOの場合)、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C5〜C50)アリール(C1〜C20)アルキル、または
ヒドロキシル基を欠いている糖残基(LがOの場合)であり、または
前記固体担体への共有結合を含み;
1は、独立して、1〜3個のR6で置換されていてもよい(C1〜C10)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、−NR34、−COOR2、−COR2、ニトロ、トリハロアルキル、または−Si(OR23であり;
2は、独立して、Hまたは(C1〜C10)アルキルであり;
3は、独立して、Hまたは(C1〜C10)アルキルであり;
4は、独立して、Hまたは(C1〜C10)アルキルであり;
5は、独立して、1〜3個のR1で置換されていてもよい(C1〜C20)アルキル、1〜3個のR1で置換されていてもよい(C5〜C50)アリール、または1〜3個のR1で置換されていてもよいヘテロアリールであり;
6は、独立して、ハロ、ヒドロキシ、−NR34、−COOR2、−COR2、ニトロ、トリハロアルキル、または−Si(OR23であり;
但し、1から5個のR基は、固体担体への共有結合を含む)。
【0065】
式Iのシクロフルクタンを含む本発明のいくつかの実施形態では、式I中の1個または複数のL基がOである。その場合、Oは2価の部分であり、CFおよび本明細書に記述されるR基に接続されている。本発明のその他の実施形態では、1個または複数のL基はCR2である。その場合、CR2は、2価の部分であり、CFおよび本明細書に記述されるR基に接続されている。いくつかの実施形態では、1個または複数のL基はNR2である。その場合、NR2は、2価の部分であり、CFおよび本明細書に記述されるR基に接続されている。本発明のその他の実施形態では、1個または複数のL基はO−C(=O)である。その場合、O−C(=O)は、2価の部分であり、CFおよび本明細書に記述されるR基に接続されている。本発明のさらにその他の実施形態では、1個または複数のL基はO−C(=O)−NR2である。その場合、O−C(=O)−NR2は、2価の部分であり、CFおよび本明細書に記述されるR基に接続されている。本発明のいくつかの実施形態では、1個または複数のL基はNC(=O)−NR2である。その場合、NC(=O)−NR2は、2価の部分であり、CFおよび本明細書に記述されるR基に接続されている。本発明のその他の実施形態では、1個または複数のL基はアジドとアルキンとの間の1,3−双極性付加環化反応(「クリックケミストリー」)の付加環化生成物である。その場合、付加環化生成物は、2価の部分であり、CFおよび本明細書に記述されるR基に接続することができる。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態では、クロマトグラフィー分離の方法は、第1の固定相として、混合物中の化学種を分離するための組成物を提供するステップであって、この組成物が固体担体および少なくとも1種のポリマーを含み、前記ポリマーが、式Iの誘導体化シクロフルクタンの少なくとも1個の残基を含むものであるステップを含む:
【0067】
【化10】

【0068】
(式中、
各nは、独立して1〜3であり;
各Lは、独立して、
O、
CR2
NR2
O−C(=O)、
O−C(=O)−NR2
NC(=O)−NR2、または
【0069】
【化11】

【0070】
であり;
各Rは、独立して、
Y、
Z、
H、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C1〜C20)アルキル、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C3〜C20)シクロアルキル、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C5〜C50)アリール、
1〜3個のR1で置換されていてもよいヘテロアリール、
(C1〜C20)アルコキシ(C1〜C20)アルキル、
2C=CH−(LがO−C(=O)の場合)、
2C=C(CH3)−(LがO−C(=O)の場合)、
アルキレニル−N=C=O;
アリーレニル−N=C=O;
−SO25(LがOの場合)、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C5〜C50)アリール(C1〜C20)アルキル、または
ヒドロキシル基を欠いている糖残基(LがOの場合)であり、
1は、独立して、1〜3個のR6で置換されていてもよい(C1〜C10)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、−NR34、−COOR2、−COR2、ニトロ、トリハロアルキル、または−Si(OR23であり;
2は、独立して、Hまたは(C1〜C10)アルキルであり;
3は、独立して、Hまたは(C1〜C10)アルキルであり;
4は、独立して、Hまたは(C1〜C10)アルキルであり;
5は、独立して、1〜3個のR1で置換されていてもよい(C1〜C20)アルキル、1〜3個のR1で置換されていてもよい(C5〜C50)アリール、または1〜3個のR1で置換されていてもよいヘテロアリールであり;
6は、独立して、ハロ、ヒドロキシ、−NR34、−COOR2、−COR2、ニトロ、トリハロアルキル、または−Si(OR23であり;
Yは、異なるモノマー残基への共有結合を含み;
Zは、前記固体担体への共有結合を含み;
但し、0から5個のR基は、固体担体への共有結合を含む)。
【0071】
クロマトグラフィー分離の方法を含む本発明の実施形態では、前記クロマトグラフィー分離は、本発明の目的に矛盾しない任意の方法によって実施される。クロマトグラフィー分離の方法を含む本発明のいくつかの実施形態では、前記クロマトグラフィー分離は、高圧液体クロマトグラフィーによって実施される。クロマトグラフィー分離の方法を含む本発明のその他の実施形態では、前記クロマトグラフィー分離は、ガス液体クロマトグラフィーによって実施される。クロマトグラフィー分離の方法を含む、本発明のさらにその他の実施形態では、前記クロマトグラフィー分離が毛管クロマトグラフィーによって実施される。クロマトグラフィー分離の方法を含む、本発明のいくつかの実施形態では、前記クロマトグラフィー分離は、充填カラムガスクロマトグラフィーによって実施される。クロマトグラフィー分離の方法を含む、本発明のその他の実施形態では、前記クロマトグラフィー分離は、超臨界流体クロマトグラフィーによって実施される。クロマトグラフィー分離の方法を含む、本発明のさらにその他の実施形態では、前記クロマトグラフィー分離が毛管エレクトロクロマトグラフィーによって実施される。
【0072】
クロマトグラフィー分離の方法を含む、本発明のいくつかの実施形態では、この方法は、少なくとも1種の有機溶媒または超臨界流体を含む移動相を提供するステップをさらに含む。少なくとも1種の有機溶媒または超臨界流体を含む移動相を提供するステップをさらに含む、クロマトグラフィー分離の方法を含む本発明のいくつかの実施形態では、前記有機溶媒が極性有機溶媒である。
【0073】
クロマトグラフィー分離の方法を含む本発明の好ましい実施形態では、前記クロマトグラフィー分離は、ラセミ混合物、または立体異性体のその他の混合物を分離するための、キラル分離である。
【0074】
第1の固定相として、式Iの誘導体化シクロフルクタン残基を含む組成物を提供するステップを含む、クロマトグラフィー分離の方法を含む本発明の実施形態では、本発明の目的に矛盾しない任意の誘導体化シクロフルクタン残基を使用することができる。第1の固定相として式Iの誘導体化シクロフルクタン残基を含む組成物を提供するステップを含む、クロマトグラフィー分離の方法を含む本発明のいくつかの実施形態では、式I中の前記Lの少なくとも1個がO−C(=O)−NR2であり、式I中の前記Rの少なくとも1個がイソプロピルであり、前記Rの少なくとも1個が前記固体担体への共有結合である。第1の固定相として、式Iの誘導体化シクロフルクタン残基を含む組成物を提供するステップを含む、クロマトグラフィー分離の方法を含む本発明のその他の実施形態では、式I中の前記Lの少なくとも1個がO−C(=O)−NR2であり、式I中の前記Rの少なくとも1個がナフチルエチルであり、前記Rの少なくとも1個が前記固体担体への共有結合である。第1の固定相として、式Iの誘導体化シクロフルクタン残基を含む組成物を提供するステップを含む、クロマトグラフィー分離の方法を含む本発明のさらにその他の実施形態では、式I中の前記Lの少なくとも1個がO−C(=O)−NR2であり、式I中の前記Rの少なくとも1個が3,5−ジメチルフェニルであり、前記Rの少なくとも1個が前記固体担体への共有結合である。
【0075】
本発明の誘導体化または非誘導体化シクロフルクタンを含む固定相は、様々な方法で調製することができる。本発明のいくつかの実施形態では、キラル固定相は、本明細書に記述されるようにシリカに未変性シクロフルクタンを化学結合し、次いで本明細書に記述されるように未変性シクロフルクタンを任意選択で誘導体化することによって調製される。本発明のその他の実施形態では、キラル固定相は、まず、本明細書に記述されるようにシクロフルクタンを部分的に誘導体化し、次いで本明細書に記述されるように前記部分誘導体化シクロフルクタンをシリカに結合することによって、調製される。本発明のいくつかの実施形態では、部分誘導体化シクロフルクタンが固体担体に結合した後、さらに誘導体化することによって、完全誘導体化が実現される。本発明のその他の実施形態では、部分誘導体化シクロフルクタンが固体担体に結合した後、不均質に誘導体化されたシクロフルクタンを得るために異なる部分を用いて官能化させる。
【0076】
第1の固定相として式Iの誘導体化シクロフルクタン残基を含む組成物を提供するステップを含む、クロマトグラフィー分離の方法を含む本発明の実施形態は、酸、塩基、アミノ酸誘導体、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、およびその他のものを含む広範な検体の分離に役立てることができる。本発明のいくつかの実施形態は、広範な第1級アミンの分離に特に有用である。さらに、本発明のCF6をベースにしたCSPは、共通有機溶媒に対して優れた安定性を示し、1000を超える注入後に観察されたカラム性能に、不利益な変化はない。さらに、本発明のCF6をベースにしたCSPは、分析的および分取的なスケールの両方のクロマトグラフィーの、固定相として働くことができる。
【0077】
理論に拘泥するものではないが、シクロフルクタンは、2つの異なるメカニズムを介して鏡像異性体およびその他の化学種を分離する2種の異なるタイプのキラル選択剤が提供されるように、本発明の原理に従って官能化できると考えられる。例えば、本発明のいくつかの実施形態では、より小さい脂肪族部分を用いて最小限に官能化されたCF6は、そのクラウンエーテルコアおよび付加ヒドロキシル基を露出させる緩和構造を有すると考えられる。理論に拘泥するものではないが、この構造は、以前は不可能であった有機溶媒中のキラル第1級アミンとの相互作用および分離を可能にすると考えられる。本発明のその他の実施形態では、芳香族部分を用いてより高度に誘導体化されたCF6は、その分子コアへの接触を妨げるがその周辺付近に十分なその他の相互作用部位を提供する、立体的に混み合った構造を有する。やはり理論に拘泥するものではないが、これらの部位は、いくつかの実施形態において、広範な化合物のキラル認識をもたらすと考えられる。
【0078】
さらに、本発明のいくつかの実施形態は、混合物中の化学種を分離するための式Iの組成物を含んだ電解質を提供するステップを含む、毛管電気泳動の方法を含む。
【0079】
[実施例]
次に本発明のいくつかの例示的な実施形態について、下記の特定の非限定的な実施例で例示する。下記の実施例のいくつかは、CF6などの、特定のCF出発材料または試薬を指すことに留意すべきである。しかし、それらの場合、CF7またはCF8を本発明の原理を変化させることも妨げることもなくCF6の代わりに用いることができる。実施礼で使用される略称は、下記の通りである:
AA=酢酸
ACN=アセトニトリル
CF=シクロフルクタン
DMF=ジメチルホルムアミド
DMSO=ジメチルスルホキシド
EDTA=エチレンジアミン四酢酸
ESI−MS=エレクトロスプレーイオン化質量分析
IP=イソプロピル
IP−CFn=イソプロピル−カルバメート−官能化CFn
MW=分子量
RN=(R)−ナフチルエチル
RN−CFn=(R)−ナフチルエチル−カルバメート−官能化CFn
TEA=トリエチルアミン
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
【0080】
[実施例1]
誘導体化シクロフルクタン残基4,6−ジ−O−ペンチル−3−トリフルオロアセチルC
F6の合成。
【0081】
CF6(1.00g)と無水DMSO(約15mL)との混合物を氷浴内で冷却した。微細に粉砕したNaOH(2.03g)および1−ブロモペンタン(6.05g)をこの混合物に添加し、48時間反応させた。この後、ジクロロメタン(約60mL)および水(約60mL)を混合物に添加した。得られた有機相を2回収集し、水で数回洗浄した。ロータリーエバポレーションによるジクロロメタンの除去の後、真空炉内で一晩乾燥することにより、黄色がかった粘性液体が得られた。ESI−MSにより、CFがペンチル化されており、平均置換度が11〜12であることを確認した。トリフルオロアセチル誘導体を生成するために、4,6−ジ−O−ペンチルCF生成物を大量に過剰な無水トリフルオロ酢酸をジクロロメタンに溶かしたもので処理した。最終生成物は液体であった。
【0082】
[実施例2]
誘導体化シクロフルクタン残基3,4,6−トリ−O−メチルCF6の合成。
【0083】
ジメチルスルフィニルカルバニオン溶液を無水DMSO(約5mL)およびNaH(0.864g)を室温で30分間撹拌することによって、調製した。次いでCF6(0.600g)を混合物に添加し、室温で4時間撹拌し続けた。その後、反応混合物を氷浴中で冷却し、ヨウ化メチル(8.1mL)を添加した。次いで混合物を室温で一晩撹拌した。次に、ジクロロメタン(約50mL)を添加することによって反応を急冷した。収集された有機相を水で洗浄した。ロータリーエバポレーションによるジクロロメタンの除去の後、真空炉内で一晩乾燥することにより、微かにオフホワイトの固体が得られた。ESI−MSを使用して、生成物:(m/z)1247(M+Na)+を確認した。
【0084】
[実施例3]
誘導体化シクロフルラン残基プロピルスルホネートCF6(CF6−CH2CH2CH2SO3-)の合成。
【0085】
CF6(1当量)を無水DMFに溶かした溶液に、過剰なNaH(10当量)を添加した。得られた混合物を室温で12時間撹拌した。次に、1,3−プロパンスルトン(10当量)を添加し、その後、室温で12時間撹拌した。次いで過剰なNaHをメタノールの添加によって除去することにより、誘導体化シクロフルラン残基プロピルスルホネートCF6(CF6−CH2CH2CH2SO3-)が得られた。
【0086】
[実施例4]
カルバメートリンカーによる誘導体化シクロフルクタン残基の合成。
【0087】
この実施例は、本発明のいくつかの実施形態において、シクロフルクタンをカルバメートリンカーで誘導体化できることを示す。
【0088】
100mLの3つ口フラスコ内で、CF6 1gを110℃で炉内で5時間乾燥した。次いで無水ピリジン30mLを添加してCF6を溶解した。CF6溶液に、4−メチルフェニルイソシアネート0.6mLをピリジン10mLに溶かした溶液を乾燥窒素雰囲気中で滴下した。次いで混合物を4時間還流した。溶液が室温に冷却されると、この溶液は、本明細書に記述される手順に従いシリカに結合できる状態になった。
【0089】
[実施例5]
エステルリンカーによる誘導体化シクロフルクタン残基の合成。
【0090】
この実施例は、本発明のいくつかの実施形態において、シクロフルクタンをエステルリンカーで誘導体化できることを示す。
【0091】
100mLの3つ口フラスコ内で、CF6 1gを110℃で炉内で5時間乾燥した。次いで無水ピリジン30mLを添加してCF6を溶解した。CF6溶液に、塩化p−トルオイル0.6mLをピリジン10mLに溶かした溶液を乾燥窒素雰囲気中で滴下した。次いで混合物を4時間還流した。溶液が室温に冷却されると、この溶液は、本明細書に記述される手順に従いシリカに結合できる状態になった。
【0092】
[実施例6]
エーテルリンカーによる誘導体化シクロフルクタン残基の合成。
【0093】
この実施例は、本発明のいくつかの実施形態において、シクロフルクタンをエーテルリンカーで誘導体化できることを示す。
【0094】
100mLのフラスコ内で、CF6 1gを110℃で炉内で5時間乾燥した。次いで無水DMF30mLを添加して、アルゴン雰囲気中で撹拌することによりCF6を溶解した。次に、NaH 0.2gを溶液中に添加し、温度をゆっくり70℃に上昇させ、その状態で30分間保持した。アルゴン保護下で、1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼン1gを添加し、混合物を100℃で5時間加熱した。得られた塩を濾過により除去し、DMFをロータリーエバポレーションによって除去した。生成物を3×100mLジエチルエーテルで洗浄し、褐色固体生成物を濾過し、乾燥した。その後、誘導体化CF6は、本明細書に記述される手順に従いシリカに結合できる状態になった。
【0095】
実施例1〜6に加え、数多くのその他の誘導体化シクロフルクタン残基を調製した。表2は、本発明の誘導体化シクロフルクタン残基のいくつかの例を列挙する。
【0096】
【表2】

【0097】
[実施例7]
エーテル結合を通したシリカ結合シクロフルクタン残基の調製。
【0098】
非誘導体化(または「未変性」)シクロフルクタンを化学的に結合するための手順は、様々な誘導体化シクロフルクタンを結合するための手順と本質的に同じである。単なる例示のために、シリカ結合非誘導体化シクロフルクタン残基の調製を例として本明細書に示す。しかし当業者なら、類似の手順によって、シリカ結合誘導体化シクロフルクタン残基を調製できることが理解されよう。
【0099】
250mLの3つ口フラスコ内で、シリカゲル(Kromasil、球径5μm、孔径100〜1000Å)3gを110℃で3時間乾燥した。無水トルエン(150mL)を添加し、Dean−Starkトラップを使用して残りの水を全て除去した。得られた混合物を<40℃に冷却し、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.3mLを添加した。混合物を100℃で5時間加熱した。次いで混合物を冷却し、濾過した。固体生成物を20mLのトルエン、アセトニトリル、メタノール、およびアセトンで洗浄した。得られたエポキシ官能化シリカを真空炉内で一晩乾燥した。
【0100】
別に、CF6 1gを110℃で5時間乾燥し、次いで100mLの丸底フラスコ内の無水DMF 30mLの中に、撹拌によって溶解した。次いでNaH 0.2gを乾燥アルゴン雰囲気中で溶液に添加し、10分間撹拌した。未反応のNaHを真空濾過によって除去した。次に、乾燥エポキシ官能化シリカ3.3gを100mLの丸底フラスコ内の濾液に添加した。次いで混合物を140℃で3時間加熱した。次いで混合物を冷却し、濾過した。固体生成物を20mLのDMF、アセトニトリル、メタノール、およびアセトンで洗浄した。次いで得られたシリカ結合CF残基を真空炉内で一晩乾燥することにより、生成物3.5gが得られた。
【0101】
[実施例8]
ジイソシアネートを使用した、カルバメート結合を通したシリカ結合シクロフルクタン残基の調製。
【0102】
シクロフルクタンは、少なくとも2つの方法で、カルバメート結合を通してシリカゲルに結合することができる。この実施例は、1つの方法について記述するが、実施例9は別の方法について記述する。さらに、この実施例は、1,6−ジイソシアナトヘキサンを使用することに留意すべきである。しかし、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネートや1,4−フェニレンジイソシアネートなど、2個のイソシアネート基の間の距離が異なるその他のジイソシアネートを使用することもできる。さらに、非誘導体化(または「未変性」)シクロフルクタンを化学的に結合するための手順は、様々な誘導体化シクロフルクタンを結合するための手順と本質的に同じである。単なる例示のために、シリカ結合非誘導体化シクロフルクタン残基の調製を例として本明細書に示す。しかし当業者なら、類似の手順によって、シリカ結合誘導体化シクロフルクタン残基を調製できることが理解されよう。
【0103】
250mLの3つ口フラスコ内で、シリカゲル(Kromasil、球径5μm、孔径100〜1000Å)3gを110℃で3時間乾燥した。無水トルエン(150mL)を添加し、Dean−Starkトラップを使用して残りの水を全て除去した。得られた混合物を<40℃に冷却し、3−アミノプロピルトリエトキシシラン1mLを滴下した。混合物を4時間還流した。次いで混合物を冷却し、濾過した。固体生成物をアセトニトリル、メタノール、およびアセトンで洗浄した。次いで固体生成物を一晩真空乾燥することにより、アミノ官能化シリカ3.3gが得られた。
【0104】
250mLのフラスコ内で、無水トルエン180mLを乾燥したアミノ官能化シリカ3.3gに添加し、Dean−Starkトラップを使用して残りの水を除去した。混合物を室温まで冷却し、1,6−ジイソシアナトヘキサン2mLを乾燥アミノ−シリカトルエンスラリーに添加し、これを氷浴内に保持した。次いで混合物を70℃で4時間加熱した。次いで混合物を冷却し、真空濾過した。固体生成物を無水トルエン20mLで2回洗浄した。次いでピリジン20mLに溶解した乾燥CF6 1gを添加し、混合物を70℃で15時間加熱した。次いで混合物を冷却し、濾過した。固体生成物をピリジン、アセトニトリル、メタノール、およびアセトンで洗浄し、一晩真空乾燥した。生成物3.7gが得られた。
【0105】
[実施例9]
イソシアネートシランを使用した、カルバメート結合を通したシリカ結合シクロフルクタン残基の調製。
【0106】
シクロフルクタンは、少なくとも2つの方法で、カルバメート結合を通してシリカゲルに結合することができる。この実施例は、1つの方法について記述するが、実施例8は別の方法について記述する。さらに、非誘導体化(または「未変性」)シクロフルクタンを化学的に結合するための手順は、様々な誘導体化シクロフルクタンを結合するための手順と本質的に同じである。単なる例示のために、シリカ結合非誘導体化シクロフルクタン残基の調製を例として本明細書に示す。しかし当業者なら、類似の手順によって、シリカ結合誘導体化シクロフルクタン残基を調製できることが理解されよう。
【0107】
100mLの3つ口丸底フラスコ内で、CF6 1gを110℃で5時間乾燥した。次いで無水ピリジン40mLを撹拌しながら添加した。次に、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート0.7mLを乾燥アルゴン雰囲気中で溶液に滴下した。次いで混合物を90℃で5時間加熱した。250mLの3つ口フラスコ内で、シリカゲル(Kromasil、球径5μm、孔径100〜1000Å)3gを110℃で3時間乾燥した。無水トルエン(150mL)を添加し、Dean−Starkトラップを使用して残りの水を全て除去した。両方の混合物を室温まで冷却した後、シクロフルクタン混合物をシリカ−トルエンスラリーに添加し、105℃で一晩加熱した。次いで最終混合物を冷却し、濾過した。固体生成物をアセトニトリル、メタノール、およびアセトンで洗浄した。真空炉内で一晩乾燥した後、生成物3.4gが得られた。
【0108】
[実施例10]
アルデヒド官能基とヒドロキシル官能基との反応を通したシリカ結合シクロフルクタン残基の調製。
【0109】
シリカを実施例6に記述された手順に従い、エポキシ基で官能化した。エポキシ官能化シリカ3.5gに、0.01M HCl水溶液100mLを添加した。得られた混合物を90℃で3時間加熱した。次いで混合物を冷却し、濾過した。固体生成物を水、メタノール、およびアセトンで洗浄し、次いで真空炉内で一晩乾燥した。ジオール官能化シリカ3.5gが得られた。水/メタノール(4:1)に60mMの過ヨウ素酸ナトリウムを溶かした溶液100mLをジオール官能化シリカに添加し、室温で12時間撹拌した。得られたアルデヒド官能化シリカを濾過し、洗浄し、乾燥した。次いでCF6 1g、アルデヒド官能化シリカ3.5g、および内部にHClをバブリングしたトルエン100mLを混合し、一晩還流した。次いで混合物を冷却し、濾過した。固体生成物を洗浄し乾燥した。次いでリン酸緩衝液(pH=3)に20mMのシアノホウ化水素ナトリウム(NaCNBH3)を溶かした溶液50mLを固体生成物に添加し、残りのアルデヒド部分を低減させるために室温で5時間撹拌した。次いで固体生成物を濾過し、水、メタノール、アセトニトリル、およびアセトンで洗浄した。
【0110】
[実施例11]
1,3−双極性付加環化反応(クリックケミストリー)を通したシリカ結合シクロフルクタン残基の調製。
【0111】
この実施例は、アジドおよびアルキンの1,3−双極性付加環化反応を使用することによって、非誘導体化および誘導体化シクロフルクタンをシリカゲルに結合することができることを示す。本発明のいくつかの実施形態では、シリカゲルをアジド官能基で修飾することができるが、シクロフルクタンは、クリック反応の前にアルキンで誘導体化される。その他の実施形態では、シリカゲルをアルキルで修飾することができ、一方、シクロフルクタンはアジド官能基で誘導体化される。この実施例では、単なる例示を目的として、アルキン官能化シリカゲルとアジド修飾シクロフルクタンとを反応させることにより、共有結合したシクロフルクタン固定相が得られる。
【0112】
CF6 2gと、NaOH 2gとを水200mL中に懸濁した。アセトニトリル10mLに塩化トルエンスルホニル4.2gを溶かした溶液をCF6溶液に滴下する。磁気撹拌しながら室温で2時間反応させた後、沈殿物を濾過によって除去し、濾液を冷蔵庫内で一晩保持する。得られた沈殿物を濾過によって回収し、真空乾燥することにより、生成物(モノ−6−デオキシ−6−(p−トリルスルホニル)−CF6)2.5gが得られる。次いで生成物(2g)を乾燥N,N’−ジメチルホルムアミド6mL中に懸濁し、65℃に加熱する。次いでヨウ化カリウム0.15gおよびアジ化ナトリウム1.0gを添加し、反応混合物を65℃で24時間撹拌する。次いで混合物を室温まで冷却し、Amberlite MB−3樹脂で処理することにより、塩を除去する。アセトンを添加することにより、白色沈殿物が生成され、これを濾過によって回収し、一晩真空乾燥することにより、生成物(モノ−6−デオキシ−6−アジド−CF6)1.4gが得られる。
【0113】
3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン10gを無水DMF100mL中に溶解し、プロパルギルアミン3gを溶液に添加し、反応混合物を撹拌しながら12時間、80℃に加熱する。次いで予備乾燥したシリカゲル(110℃の炉内で4時間)10gを反応混合物に添加し、その後、室温まで冷却する。懸濁液を95℃で16時間撹拌することにより、アルキン修飾シリカゲルが得られる。生成物を濾過し、DMF、メタノール、およびアセトンで洗浄した後に、この生成物を一晩真空乾燥する。
【0114】
次に、モノ−6−デオキシ−6−アジド−CF6 1.5g、アスコルビン酸ナトリウム0.1g、硫酸銅0.025g、およびアルキン修飾シリカゲル3.0gを50%(v/v)水性メタノール溶液120mLに懸濁し、室温で72時間撹拌する。得られた生成物を濾過し、メタノール、水、10%EDTA、水、メタノール、およびアセトンで順次洗浄し、次いで真空乾燥することにより、共有結合したシクロフルクタンが得られる。
【0115】
[実施例12]
シクロフルクタンの混合誘導体を通したシリカ結合シクロフルクタンの調製。
【0116】
まず、乾燥したCF6 1gを無水ピリジン30mL中に溶解した。次いで塩化10−ウンデセノイル2gを撹拌しながら添加した。混合物を2時間還流した。次いで3,5−ジメチルフェニルイソシアネート1.6gを乾燥アルゴン雰囲気中で添加した。次いで混合物を2時間還流した。混合物を室温まで冷却した後、溶媒をロータリーエバポレーションによって除去した。固体生成物をクロロホルムおよびエタノールで洗浄した。次いで得られた誘導体化シクロフルクタンをアセトンに溶解し、アリシリカゲル3.5gに結合させた。溶媒を蒸発させた後、AIBN(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)0.1gを添加し、固体材料を100℃で2時間反応させた。次いで固体をクロロホルム中に懸濁し、2時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却した後、固体シリカを濾過し、クロロホルムおよびアセトンで洗浄した。
【0117】
[実施例13]
カルバメートリンカーによるシリカ結合シクロフルクタンの誘導体化。
【0118】
この実施例は、実施例14および15と同様に、本発明のいくつかの実施形態において、シクロフルクタンがまずシリカに結合し、次いでその後に誘導体化して、シリカ結合誘導体化シクロフルクタンを形成できることを示す。この実施例では、シクロフルクタンは、カルバメートリンカーを特徴とする。
【0119】
CF6結合シリカ(本明細書に記述されるように調製された)3.5gを真空中で一晩乾燥した。材料を3つ口の250mLフラスコ内に入れ、無水ピリジン150mLをこのフラスコに加えた。残留している水をDean−Starkトラップを使用して除去した。次いで4−メチルフェニルイソシアネート1.3mLを添加した。得られた混合物を4時間還流した。混合物が室温まで冷却されたとき、この混合物を濾過した。固体生成物をピリジン、アセトニトリル、水、メタノール、およびアセトンで洗浄し、一晩真空乾燥することにより、生成物3.8gが得られた。
【0120】
[実施例14]
エステルリンカーによるシリカ結合誘導体化シクロフルクタンの合成。
【0121】
この実施例は、実施例13および15と同様に、本発明のいくつかの実施形態において、シクロフルクタンがまずシリカに結合し、次いでその後に誘導体化して、シリカ結合誘導体化シクロフルクタンを形成できることを示す。この実施例では、シクロフルクタンは、エステルリンカーを特徴とする。
【0122】
CF6結合シリカ(本明細書に記述されるように調製された)3.5gを真空中で一晩乾燥した。材料を3つ口の250mLフラスコに入れ、無水ピリジン150mLをこのフラスコに添加した。残留する水をDean−Starkトラップを使用して除去した。次いで塩化p−トルオイル0.8mLを添加した。得られた混合物を4時間還流した。混合物が室温まで冷却されたとき、この混合物を濾過した。固体生成物をピリジン、アセトニトリル、水、メタノール、およびアセトンで洗浄し、一晩真空乾燥することにより、生成物3.8gが得られた。
【0123】
[実施例15]
エーテルリンカーによるシリカ結合誘導体化シクロフルクタンの合成。
【0124】
この実施例では、実施例13および14と同様に、本発明のいくつかの実施例において、シクロフルクタンがまずシリカに結合し、次いでその後に誘導体化してシリカ結合誘導体化シクロフルクタンを形成できることを示す。この実施例では、シクロフルクタンは、エーテルリンカーを特徴とする。
【0125】
CF6結合シリカ(本明細書に記述されるように調製された)3.5gを真空中で一晩乾燥した。材料を3つ口の250mLフラスコに入れ、無水DMF 40mLを添加した。また、NaH 0.1gも、アルゴン保護下で撹拌しながら添加した。室温で30分間撹拌した後、4−クロロ−3,5−ジニトロベンゾトリフルオリド(0.27g)を添加した。混合物を100℃で5時間加熱した。この混合物を室温まで冷却し、濾過した。固体生成物をDMF、アセトニトリル、水、メタノール、およびアセトンで洗浄し、一晩真空乾燥することにより、褐色生成物3.7gが得られた。
【0126】
[実施例16]
完全に誘導体化したシクロフルクタンの固定相合成。
【0127】
100mLの3つ口フラスコ内で、CF6 1gを110℃の炉内で5時間乾燥した。次いで無水ピリジン30mLを添加することにより、CF6を溶解した。次に、3,5−ジメチルフェニルイソシアネート1.0mLをピリジン10mLに溶かした溶液を乾燥窒素保護下でシクロフルクタン溶液に滴下した。次いで混合物を4時間還流した。溶液を室温まで冷却したら、この溶液に、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート0.7mLをピリジン10mLに溶かした溶液を乾燥アルゴン保護下で滴下した。次いで混合物を90℃で5時間加熱した。
【0128】
同時に、250mLの3つ口フラスコ内で、シリカゲル(Kromasil、球径5μm、孔径100〜1000Å)3gを110℃で3時間乾燥した。無水トルエン(150mL)を添加し、Dean−Starkトラップを使用して残された水の全てを除去した。
【0129】
次いで2種の混合物を室温まで冷却し、シクロフルクタン混合物をシリカ−トルエンスラリー中に注ぎ、105℃で一晩加熱した。次いで得られた混合物を冷却し、濾過した。固体生成物をアセトニトリル、メタノール、およびアセトンで洗浄し、真空炉内で一晩乾燥することにより、生成物3.5gが得られた。次いで生成物を3つ口の250mLフラスコに入れ、そこに、無水ピリジン150mLを添加した。残留する水をDean−Starkトラップを使用して除去した。次いで3,5−ジメチルフェニルイソシアネート1.8mLを添加した。混合物を4時間還流した。溶液を室温まで冷却したら、この溶液を濾過した。固体生成物をピリジン、アセトニトリル、水、メタノール、およびアセトンで洗浄し、一晩真空乾燥することにより、生成物3.8gが得られた。
【0130】
[実施例17]
2個の異なる誘導体化基によるシクロフルクタン類似体の合成。
【0131】
この実施例は、ジニトロフェニル基およびジメチルフェニル基でCF6を誘導体化するための手順について、記述する。100mLのフラスコ内で、CF6 1gを110℃の炉内で5時間乾燥した。次いでCF6をアルゴン保護下で撹拌しながら無水DMF 30mLにより溶解した。次に、NaH 0.2gを溶液中に添加し、温度を70℃までゆっくり上昇させ、その状態で30分間保持した。アルゴン保護下で、1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼン1gを添加し、混合物を100℃で5時間加熱した。塩を濾過により除去し、DMFをロータリーエバポレーションにより除去した。次いで得られた固体生成物を3×100mLのジエチルエーテルで洗浄した。得られた褐色固体を濾過し、乾燥した。次いで生成物1.3gをピリジン30mLに溶解した。次いでこの溶液に、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート0.7mLをピリジン10mLに溶かした溶液を乾燥アルゴン保護下で滴下した。混合物を90℃で5時間加熱した。
【0132】
同時に、250mLの3つ口フラスコ内で、シリカゲル(Kromasil、球径5μm、孔径100〜1000Å)3gを110℃で3時間乾燥した。無水トルエン(150mL)を添加し、Dean−Starkトラップを使用して残された水を全て除去した。2種の混合物を室温まで冷却し、シクロフルクタン反応混合物をシリカ−トルエンスラリーに添加し、105℃で一晩加熱した。最終混合物を冷却し、濾過した。固体生成物をアセトニトリル、メタノール、およびアセトンで洗浄し、真空炉内で一晩乾燥することにより、生成物3.6gを得た。次いで固体生成物を3つ口の250mLフラスコに入れ、そこに無水ピリジン150mLを添加した。残留している水をDean−Starkトラップを使用して除去した。次いで3,5−ジメチルフェニルイソシアネート1.8mlを添加した。混合物を4時間還流した。溶液を室温まで冷却したら、この溶液を濾過し、ピリジン、アセトニトリル、水、メタノール、およびアセトンで洗浄した。一晩真空乾燥した後、生成物3.9gが得られた。
【0133】
[実施例18]
カルバメートリンカーを通したポリマーシクロフルクタンの合成、およびポリマーシクロフルクタンを組み込んだポリマーCSPの調製。
【0134】
この実施例は、実施例19〜24と同様に、ポリマーCFの合成と、ポリマーCFを組み込んだCSPの調製とについて記述する。実施例18〜24のいくつかは、未変性CFポリマーとそのようなポリマーCFを含有するCSPとの調製について記述しているが、未変性CFを誘導体化CFで置き換えて、誘導体化CFポリマーおよびCSPを同様に調製することができる。
【0135】
ヘキサメチレンジイソシアネート(1〜12当量)およびCF6(1当量)を乾燥DMFに溶解し、CF:架橋剤のモル比を1:12から1:1の範囲にし、80℃で24〜28時間加熱する。得られたポリマーを大量のメタノール中に沈殿させ、濾過によって分離し、50℃で24時間真空乾燥する。乾燥ポリマーCFを3−アミノプロピルトリエトキシシリル官能化マクロ孔シリカゲル表面にコーティングすることにより、ポリマーCFを組み込んだポリマーCSPが得られる。
【0136】
[実施例19]
エーテルリンカーを通したポリマーシクロフルクタンの合成と、ポリマーシクロフルクタンを組み込んだポリマーCSPの調製。
【0137】
未変性CF6(1当量)を濃縮された水酸化ナトリウム溶液中で4時間撹拌する。次いで溶液を30℃に加熱し、エピクロロヒドリン架橋剤(1〜12当量)を素早く添加する。反応を30℃で5時間保持し、次いでアセトンを添加することにより停止させる。アセトンを、デカンテーションを介して引き続き除去する。次いで溶液を塩酸で中和し、加圧下でダイアフィルトレーションを行う。残りの溶媒を蒸発させ、残りの固体をアセトンで摩砕した。ポリマーを濾過により分離し、50℃で24時間真空乾燥する。次いでCFポリマー(MW 約25,000g/mol)を3−アミノプロピルトリエトキシシリル官能化マクロ孔シリカゲルの表面にコーティングすることにより、ポリマーCFを組み込んだポリマーCSPが得られる。
【0138】
[実施例20]
ポリマーメタクリレート官能化シクロフルクタンの合成と、ポリマーメタクリレート官能化シクロフルクタンを組み込んだポリマーCSPの調製。
【0139】
メタクリレート官能化CF6(CF6−MA;1当量)および1−ビニル−2−ピロリドン(VP;1〜12当量)を脱イオン水に溶解し、得られた溶液を80℃で維持する。次いで開始剤である過硫酸カリウム(K228)を添加し、得られた混合物を24時間撹拌する。このように得られたより低い分子量のCF6−MAポリマーを水に対して透析し、次いで凍結乾燥し;得られたより高い分子量のCF6−MAポリマーゲルを濾過し、洗浄し、50℃で24時間真空乾燥する。次いで精製され乾燥したより高い分子量のCF6−MAポリマーを非官能化シリカゲルの表面にコーティングまたは結合することにより、ポリマーCF6−MAを組み込んだポリマーCSPが得られる。
【0140】
[実施例21]
ノルボルネン官能化シクロフルクタンを組み込んだポリマーCSPの調製。
【0141】
シリカゲルおよびノルボルン−2−エン−5−イルトリクロロシランをトルエン中で加熱することにより、表面結合状態の共重合性ノルボルン−2−エン基が得られる。次いで開始剤Cl2Ru(=CHPh)(PCy32(式中、Cy=シクロヘキシル)を添加し、表面結合状態のノルボルン−2−エン基と反応させる。最後に、ノルボルネン置換CF6を不均質化開始剤に添加し、シリカゲル表面上にグラフト化させることにより、CF6を組み込んだポリマーCSPが得られる。
【0142】
[実施例22]
ポリマー3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル官能化シクロフルクタンの合成と、ポリマー3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル官能化シクロフルクタンを組み込んだポリマーCSPの調製。
【0143】
実施例22および23は共に、ポリマー3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル官能化シクロフルクタンを組み込んだCSPを形成するための、2つの異なる方法を示す。実施例22では、モノマー3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル官能化シクロフルクタンを最初に合成し、次いでポリビニルイミダゾールに結合し、次いでこれを使用してCSPを調製する。
【0144】
3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルCF6誘導体は、CF6とエピクロロヒドリンとをテトラフルオロホウ酸亜鉛(Zn(BF42)の存在下、酸性媒体中、80℃で数時間反応させることによって調製する。生成物を、水を用いて数時間加熱還流することにより、ポリビニルイミダゾール(MW=8000)に共有結合させる。得られたポリマーを非官能化シリカゲルの表面にコーティングまたは結合する。
【0145】
[実施例23]
3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル官能化シクロフルクタンを組み込んだポリマーCSPの調製。
【0146】
実施例22および23は共に、ポリマー3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル官能化シクロフルクタンを組み込んだCSPを形成するための、2つの異なる方法を示す。実施例23では、モノマー3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル官能化シクロフルクタンを、シリカ表面に予めコーティングまたは結合したポリビニルイミダゾールに結合し、したがって誘導体化CFの添加は、CSPの調製の最終ステップに寄与する。
【0147】
ポリビニルイミダゾール(PVI;MW=8000)を非官能化シリカゲルの表面に最初にコーティングまたは結合する。得られたPVIコーティング済みまたは結合済みシリカ担体を0.1M、pH7.4のリン酸緩衝液に懸濁し、加熱する。次いで3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル官能化CF6を添加し、混合物を100℃で48時間加熱し維持する。最終生成物を濾過し、水およびエタノールで洗浄し、次いで50℃で24時間真空乾燥する。
【0148】
[実施例24]
6−O−(p−トシル)−官能化シクロフルクタンを組み込んだポリマーCSPの調製。
【0149】
この実施例は、実施例23に記述される方法に類似しているが異なる官能化CF誘導体および異なるポリマーを使用した、CSPを形成するための方法を示す。
【0150】
ポリ(エチレンイミン)(PEI)を非官能化シリカゲルの表面にコーティングまたは結合する。得られたPEIコーティング済みまたは結合済みシリカ担体をメタノール/ジメチルアセトアミド2/1(v/v)混合物溶媒に懸濁する。次いで6−O−(p−トシル)−官能化CF6を添加し、混合物を50℃で48時間加熱し維持する。最終生成物を濾過し、メタノールおよびアセトンで洗浄し、次いで50℃で24時間真空乾燥する。
【0151】
[実施例25]
3,4,6−トリ−O−(メチル)−官能化シクロフルクタンを組み込むポリマーCSPを組み込んだガスクロマトグラフィーカラムの調製。
【0152】
この実施例は、本発明のCSPを組み込んだクロマトグラフィーカラムを形成するための、静的コーティング方法を示す。
【0153】
誘導体化CF残基3,4,6−トリ−O−メチルCF6は、本明細書に記述されるように調製する。シアノプロピルフェニル14%およびメチルポリシオロキサン86%の混合物は、十分な量の誘導体化CF残基を溶解することができると決定される。次に、3,4,6−トリ−O−メチルCF6 2.5mgおよびメチルポリシロキサン22.5mgをシアノプロピルフェニルと共にジクロロメタン10mLに溶解することにより、コーティング溶液を形成し、これを使用して未処理の溶融石英毛管(10m×250μm)を充填する。毛管に充填されたら、一端を密封し、他端を真空ポンプに接続する。次いで毛管を水浴(40℃)内に置き、真空をかけて溶媒が除去されるようにし、この毛管の壁面に固定相(3,4,6−トリ−O−メチルCF6/シアノプロピルフェニル14%/メチルポリシロキサン86%)の均一な被膜を残す。コーティングを仕上げた後、カラムをヘリウム流および高温下でガスクロマトグラフにかけて状態を調整し、3,4,6−トリ−O−(メチル)−官能化シクロフルクタンを組み込むポリマーCSPを組み込んだクロマトグラフィーカラムを形成する。
【0154】
[実施例26]
(R)−1−イソプロピルナフタレン官能化CF6を含むCSPが結合しているカラムを使用した、異なるモードにおける、キラル検体の液体クロマトグラフィー分離。
【0155】
この実施例は、液体クロマトグラフィーを使用してキラル分離を実現するための、誘導体化CFの効力を実証する。図3に示されるように、(R)−1−イソプロピルナフタレン官能化CF6を含むCSPが結合しているカラムは、順相モード(上部曲線)、極性有機モード(中間曲線)、および逆相モード(下部曲線)において、キラル検体を分離するのに有効である。順相モードでの移動相は、ヘプタン70%/エタノール30%であった。極性有機モードでの移動相は、アセトニトリル60%/メタノール40%/酢酸0.3%/トリエチルアミン0.2%であった。
【0156】
[実施例27]
(R)−1−イソプロピルナフタレン官能化CF6を含むCSPが結合しているカラムを使用した、鏡像異性体1,2−ジフェニルエポキシドの超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)分離。
【0157】
この実施例は、超臨界流体クロマトグラフィーを使用してキラル分離を実現するための、誘導体化CFの効力を実証する。図4に示されるように、(R)−1−イソプロピルナフタレン官能化CF6を含むCSPが結合しているカラムは、鏡像異性体1,2−ジフェニルエポキシドを(S,S)鏡像体と(R,R)鏡像体に分離するのに有効である。移動相は、二酸化炭素95%およびメタノール5%であった。
【0158】
[実施例28]
ポリスルホネート官能化CF6を含むCSPが結合しているカラムを使用した、サリチル酸関連化合物の親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC)分離。
【0159】
この実施例は、親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC)を使用して何種類かのサリチル酸化合物の分離を実現するための、誘導体化CFの効力を実証する。図5に示されるように、プロピルスルホネート官能化CF6を含むCSPが結合しているカラムは、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、およびアセチルサリチル酸を分離するのに有効である。移動相は、アセトニトリル93%および酢酸アンモニウム緩衝液(pH=4.2)7%であった。
【0160】
[実施例29]
プロピルスルホン官能化CF6を含むCSPが結合しているカラムを使用した、極性有機モードにおける鏡像異性体スルホンの液体クロマトグラフィー分離。
【0161】
この実施例は、極性有機モードにおけるスルホンの鏡像異性体分離を実現するための、誘導体化CFの効力を実証する。図6に示されるように、プロピルスルホン官能化CF6を含むCSPが結合しているカラムは、スルホンの鏡像異性体を分離するのに有効である。移動相は、メタノール90%、アセトニトリル10%、および酢酸0.1%であった。
【0162】
[実施例30]
未変性の、イソプロピル官能化された、およびRN−CF6を含むCSPが結合しているカラムを使用した、鏡像異性体第1級アミンの液体クロマトグラフィー分離。
【0163】
この実施例は、図7Aに示されるように、未変性CF6と比較した、イソプロピル基で部分的にしか置換されていない官能化CF6の改善された効力を実証する。しかしこの実施例は、CF6分子での置換度がさらに増大すると、図7Bに示されるように第1級アミンを分離する能力が著しく悪化することも示す。検体および移動相は、下記の通りであった:図7A:ノルメタネフリン塩酸塩、ACN 75%/MeOH 25%/AA 0.3%/TEA 0.2%(上部曲線)、ACN 60%/MeOH 40%/AA 0.3%/TEA 0.2%(下部曲線);図7B:1−アミノインダン、ACN 60%/MeOH 40%/AA 0.3%/TEA 0.2%(上部および下部曲線)。
【0164】
[実施例31]
官能化CFを含むCSPが結合しているカラムを使用した、鏡像異性体の液体クロマトグラフィー分離に対する、添加剤の影響。
【0165】
この実施例は、極性有機モードでの第1級アミンの分離に対する、酸および塩基性添加剤の影響を示す。第1級アミンの分離に対する、極性有機モードでの酸性および塩基性添加剤の影響を評価するために、異なるタイプおよび量の塩基性添加剤について調査した。結果を表3に示す。最も高いエナンチオ選択性は、添加剤としてトリエチルアミンと酢酸との組合せを使用することにより得られた。また、酸性/塩基性の添加剤の比は最適化されており、酢酸0.3%/トリエチルアミン0.2%の添加によって一般に最も高い選択性が得られることが決定された。
【0166】
AAおよびTEAの全濃度の影響も調査した。濃度比が同じに保たれる場合、全濃度はそれぞれ0.125%、0.5%、および2.0%のように変化させた。図8に示されるように、添加剤の全濃度が上昇するにつれ、ピークフロンティングおよびテイリングが減少することによってより鋭くかつより対称的なピークが生じた。したがってこの実施例は、特に非対称的なピークが観察される場合、添加剤の全濃度を変化させることによって、鏡像異性体分離を改善できることを示す。
【0167】
【表3】

【0168】
[実施例32]
官能化CFを含むCSPが結合しているカラムを使用した、鏡像異性体の液体クロマトグラフィー分離に対する、カラム温度の影響。
【0169】
この実施例は、より低い温度では、本発明のいくつかの実施形態において、効率を低下させながらエナンチオ選択性が通常は増大することを示す。図9Aおよび9Bは、カラム温度を低下させると、鏡像異性体エポキシドおよびチロシノール塩酸塩を分解するのに官能化CFを含むCSPを使用した場合、エナンチオ選択性および分解能が著しく改善したことを示す。したがってこの実施例は、鏡像異性体分離を、カラム温度を低下させることによって改善できることを示す。
【0170】
図9Aの検体は、trans−スチルベンオキシドであった。誘導体化CFはIP−CF6であった。移動相はヘプタン100%であった。クロマトグラフィーデータは下記の通りであった:上部曲線:k1=0.62、α=1.10、Rs=1.3;下部曲線:k1=0.80、α=1.16、Rs=2.0。図9Bの検体はチロシノール塩酸塩であった。誘導体化CFはIP−CF6であった。移動相は、メタノール70%/アセトニトリル30%/酢酸0.3%/トリエチルアミン0.2%であった。クロマトグラフィーデータは下記の通りであった:上部曲線:k1=1.28、α=1.16、Rs=2.2;中間曲線:k1=1.00、α=1.12、Rs=1.5;下部曲線:k1=0.79、α=1.08、Rs=1.1。
【0171】
[実施例33]
官能化CFを含むCSPが結合しているカラムを使用した、鏡像異性体の液体クロマトグラフィー分離に対する、アセトニトリル濃度の影響。
【0172】
この実施例は、本発明のいくつかの実施形態において、アセトニトリルを、官能化CFを含むCSPが結合しているカラムを使用した鏡像異性体第1級アミンの液体クロマトグラフィー分離の移動相の、好ましい構成要素として使用できることを示す。アセトニトリル、THF、ジオキサン、および酢酸エチルを移動相の有機調節剤として試験した。メタノール70%/調節剤30%/酢酸0.3%/トリエチルアミン0.2%を使用してIP−CF6固定相で分離された1−(2−ナフチル)エチルアミンのクロマトグラムを図10に示す。これら4種の調節剤の中で、最も劣るエナンチオ選択性および分解能は、ジオキサンを使用して観察されたが、最低の効率および非対称ピークは、調節剤が酢酸エチルである場合に観察された。一般に、調節剤としてのアセトニトリルの使用が、最良の結果をもたらした。
【0173】
表4は、ACN濃度を変化させ、酸性/塩基性添加剤濃度を一定に保った状態での、保持因子、選択性、効率、および分解能を示す。アセトニトリルの濃度が上昇すると、保持は著しく増大するが選択性はわずかに低下した。最高効率は、アセトニトリルが20〜40%のときに観察された。ピークは、アセトニトリルのパーセンテージが50%を超えるとわずかなフロンティングを示すことも、注目された。最良の分解能は、アセトニトリル50〜60%を使用したときに得られ、これは、より長い保持から生じたものであった。したがってこの実施例は、本発明のいくつかの実施形態において、移動相で使用されるACNの量を最適化することにより、鏡像異性体分離を改善できることを示す。
【0174】
【表4】

【0175】
[実施例34]
ジメチルフェニル−カルバメート官能化CF7を含むCSPが結合しているカラムを使用した、化学種の液体クロマトグラフィー分離。
【0176】
この実施例は、キラル選択剤として使用されるCF7をベースにした誘導体化CFの有用性を示す。図11に示されるように、誘導体化CF7 CSPは、ダンシル−ノルロイシンシクロヘキシルアンモニウム塩の鏡像異性体を首尾よく分離した。この検体は、試験がなされた全ての誘導体化CF6カラムによって、部分的にのみ分離された。移動相は、ヘプタン80%/EtOH 20%/TFA 0.1%であった。
【0177】
[実施例35]
誘導体化CFを含むCSPを使用した、高負荷クロマトグラフィー。
【0178】
この実施例は、誘導体化CFを含むCSPを、HPLCを含めた分取スケールの液体クロマトグラフィー用の固定相として使用できることを示す。負荷試験は、極性有機モードでRN−CF6を含むCSPにN−(3,5−ジニトロベンゾイル)−フェニルグリシンを注入することによって行った。図12に示されるように、ラセミ検体4200μgは、分析カラムで分離されたベースラインであった。注入量は、移動相での検体の溶解度によって限定されることに留意すべきである。移動相は、ACN 85%/MeOH 15%/AA 0.3%/TEA 0.2%であった。注入体積は、5μL(上部曲線)および100μL(下部曲線)であった。UV検出は350nmであった。この実施例から、ベースラインの分解能を維持しながら、さらにより多量の検体を本発明のCSPを含有するカラムに投入できることが明らかである。
【0179】
前述の内容に加え、誘導体化シクロフルクタン残基を含むCSPが結合しているカラムを使用する、数多くのその他のクロマトグラフィー分離を実施した。表5〜9は、本発明のCSPが結合しているカラムを使用したクロマトグラフィー分離の、いくつかの追加の例を列挙する。本発明のCSPが結合しているカラムを使用するクロマトグラフィー分離の全ての例は、下記の実験条件および手順を使用して実施した。
【0180】
高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)カラム充填システムは、空気駆動式流体ポンプ(HASKEL、DSTV−122)、空気圧縮機、圧力調節機、低圧ゲージ、2個の高圧ゲージ(10,000および6,000psi)、スラリーチャンバ、逆止め弁、および管材からなるものであった。CSPを25cm×0.46cm(内径、I.D.)ステンレス鋼カラム内にスラリー充填した。
【0181】
HPLCシステムは、Agilent 1100システム(Agilent Technologies、Palo Alto、CA)であり、ダイオードアレイ検出器、自動サンプリング器、バイナリーポンプ、温度制御式カラムチャンバ、およびChemstationソフトウェアからなるものであった。全てのキラル検体をエタノール、メタノール、または示されるその他の適切な移動相に溶解した。LC分析では、注入体積および流量がそれぞれ5μLおよび1mL/分であった。分離は、他に指示されていない場合、室温(約20℃)で実施した。UV検出の波長は、195、200、210、および254nmであった。移動相を真空中で5分間、超音波により脱気した。各サンプルを2重に分析した。他に指示しない限り、3つの操作モード(順相モード、極性有機モード、および逆相モード)について試験をした。順相モードでは、ヘプタンと、エタノールまたはイソプロパノールとを移動相として使用した。ある場合には、示されるように、トリフルオロ酢酸(TFA)を添加剤として使用した。極性有機モードの移動相は、アセトニトリル/メタノールと、少量の酢酸およびトリエチルアミンからなるものであった。水/アセトニトリルまたはアセトニトリル/酢酸緩衝液(20mM、pH=4.1)を逆相モードの移動相として使用した。
【0182】
2つの異なる超臨界流体クロマトグラフィー機器を使用した。1つは、FCM1200流量制御モジュール、TCM 2100熱カラムモジュール、複式ポンプ制御モジュール、およびカラム選択弁を備えた、Berger SFCユニットであった。流量は、4mL/分であった。共溶媒は、メタノール/エタノール/イソプロパノール=1:1:1と、ジエチルアミン(DEA)0.2%からなるものであった。勾配移動相の組成は、0〜0.6分の間は共溶媒5%が保持され、0.6〜4.3分の間は5〜60%、4.3〜6.3分の間は60%、6.3〜6.9分の間は60%〜5%、および6.9〜8.0分の間は5%が保持された。その他のSFCシステムは、自動サンプリング器ユニット(AS−2059−SF Plus)、複式ポンプモジュール(PU−2086 Plus)、カラムサーモスタットモジュール(CO−2060 Plus)、UV/Vis検出器(UV−2075 Plus)、および背圧調節器モジュール(SCH−Vch−BP)からなるJasco(MD、USA)システムであった。他に指示しない限り、移動相は、CO2/メタノール(TFA 0.1%またはジエチルアミン0.1%)からなるものであった。流量は3mL/分であった。
【0183】
クロマトグラフィーのデータの計算では、「不感時間」t0は、サンプル溶媒に起因した屈折率変化のピークによって決定され、または1,3,5−トリ−tert−ブチルベンセンを順相モードで注入することによって決定された。
【0184】
【表5−1】

【0185】
【表5−2】

【0186】
【表5−3】

【0187】
【表5−4】

【0188】
【表5−5】

【0189】
【表5−6】

【0190】
【表5−7】

【0191】
【表6】

【0192】
【表7−1】

【0193】
【表7−2】

【0194】
【表7−3】

【0195】
【表7−4】

【0196】
【表7−5】

【0197】
【表8−1】

【0198】
【表8−2】

【0199】
【表8−3】

【0200】
【表8−4】

【0201】
【表8−5】

【0202】
【表8−6】

【0203】
【表8−7】

【0204】
【表8−8】

【0205】
【表8−9】

【0206】
【表8−10】

【0207】
【表9−1】

【0208】
【表9−2】

【0209】
本発明の様々なしかし必ずしも全てとは限らない実施形態によって示すことができる望ましい特徴には、下記の事項、すなわち、ポリマーシクロフルクタンを含めた多様な誘導体化シクロフルクタンの提供;分子の種々のタイプの鏡像異性体ならびに鏡像異性体ではないその他の化学種を分離するように「変わる」ことができる、優れたキラル選択剤の提
供;様々な有機溶媒、超臨界CO2、および水性溶媒中の様々な化学種を効果的に分離するCSPの提供;および様々な化学種を分離するための、分析的および分取的スケールのクロマトグラフ法の提供が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0210】
本発明の様々な実施形態について、本発明の様々な目的を達成するために記述してきた。これらの実施形態は、本発明の原理の単なる例示と理解されるべきである。数多くの修正およびその適用が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者に容易に理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物。
【化1】

[式中、
nは1〜3であり;
各Lは、独立して、
O、
CR2
NR2
O−C(=O)、
O−C(=O)−NR2
NC(=O)−NR2、または
【化2】

であり;
各Rは、独立して、
H、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C1〜C20)アルキル、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C3〜C20)シクロアルキル、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C5〜C50)アリール、
1〜3個のR1で置換されていてもよいヘテロアリール、
(C1〜C20)アルコキシ(C1〜C20)アルキル、
2C=CH−(LがO−C(=O)の場合)、
2C=C(CH3)−(LがO−C(=O)の場合)、
アルキレニル−N=C=O;
アリーレニル−N=C=O;
−SO25(LがOの場合)、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C5〜C50)アリール(C1〜C20)アルキル、または
ヒドロキシル基を欠いている糖残基(LがOの場合)であり、
1は、独立して、1〜3個のR6で置換されていてもよい(C1〜C10)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、−NR34、−COOR2、−COR2、ニトロ、トリハロアルキル、または−Si(OR23であり;
2は、独立して、Hまたは(C1〜C10)アルキルであり;
3は、独立して、Hまたは(C1〜C10)アルキルであり;
4は、独立して、Hまたは(C1〜C10)アルキルであり;
5は、独立して、1〜3個のR1で置換されていてもよい(C1〜C20)アルキル、1〜3個のR1で置換されていてもよい(C5〜C50)アリール、または1〜3個のR1で置換されていてもよいヘテロアリールであり;
6は、独立して、ハロ、ヒドロキシ、−NR34、−COOR2、−COR2、ニトロ、トリハロアルキル、または−Si(OR23であり;
但し、前記R基の全ては、同時にHまたはメチルではない]
【請求項2】
固体担体;および
前記固体担体に共有結合しているシクロフルクタン残基
を含むことを特徴とする組成物。
【請求項3】
固体担体;および
式Iの誘導体化シクロフルクタン残基
を含むことを特徴とする組成物。
【化3】

(式中、
nは1〜3であり;
各Lは、独立して、
O、
CR2
NR2
O−C(=O)、
O−C(=O)−NR2
NC(=O)−NR2、または
【化4】

であり;
各Rは、独立して、
H、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C1〜C20)アルキル、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C3〜C20)シクロアルキル、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C5〜C50)アリール、
1〜3個のR1で置換されていてもよいヘテロアリール、
(C1〜C20)アルコキシ(C1〜C20)アルキル、
2C=CH−(LがO−C(=O)の場合)、
2C=C(CH3)−(LがO−C(=O)の場合)、
アルキレニル−N=C=O;
アリーレニル−N=C=O;
−SO25(LがOの場合)、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C5〜C50)アリール(C1〜C20)アルキル、または
ヒドロキシル基を欠いている糖残基(LがOの場合)であり、または
前記固体担体への共有結合を含み;
1は、独立して、1〜3個のR6で置換されていてもよい(C1〜C10)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、−NR34、−COOR2、−COR2、ニトロ、トリハロアルキル、または−Si(OR23であり;
2は、独立して、Hまたは(C1〜C10)アルキルであり;
3は、独立して、Hまたは(C1〜C10)アルキルであり;
4は、独立して、Hまたは(C1〜C10)アルキルであり;
5は、独立して、1〜3個のR1で置換されていてもよい(C1〜C20)アルキル、1〜3個のR1で置換されていてもよい(C5〜C50)アリール、または1〜3個のR1で置換されていてもよいヘテロアリールであり;
6は、独立して、ハロ、ヒドロキシ、−NR34、−COOR2、−COR2、ニトロ、トリハロアルキル、または−Si(OR23であり;
1から5個のR基は、固体担体への共有結合を含む)
【請求項4】
前記固体担体はシリカゲル担体であることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
nは1であることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
nは2であることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
nは3であることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも1個のLはOであることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも1個のLはO−C(=O)であることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1個のLはO−C(=O)−NR2であることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1個のLはNC(=O)−NR2であることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項12】
各Rは、独立して、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、トリクロロフェニル、クロロフェニル、ブロモフェニル、ヨードフェニル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ジクロロフェニル、ベンジル、クロロトリル、ナフチルエチル、ニトロフェニル、ジニトロフェニル、トリニトロフェニル、トリフルオロメチル、ジニトロ、3,5−ジメチルフェニル、またはアダマンチルであることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項13】
各Rは、独立して、イソプロピル、tert−ブチル、キシリル、ジクロロフェニル、ナフチルエチル、または3,5−ジメチルフェニルであることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項14】
各R1は、独立して、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシエチル、メチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、クロロ、ブロモ、またはヨードであることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項15】
固体担体;および
式Iの誘導体化シクロフルクタンの少なくとも1個の残基を含む、少なくとも1種のポリマー
を含むことを特徴とする組成物。
【化5】

(式中、
各nは、独立して、1〜3であり;
各Lは、独立して、
O、
CR2
NR2
O−C(=O)、
O−C(=O)−NR2
NC(=O)−NR2、または
【化6】

であり;
各Rは、独立して、
Y、
Z、
H、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C1〜C20)アルキル、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C3〜C20)シクロアルキル、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C5〜C50)アリール、
1〜3個のR1で置換されていてもよいヘテロアリール、
(C1〜C20)アルコキシ(C1〜C20)アルキル、
2C=CH−(LがO−C(=O)の場合)、
2C=C(CH3)−(LがO−C(=O)の場合)、
アルキレニル−N=C=O;
アリーレニル−N=C=O;
−SO25(LがOの場合)、
1〜3個のR1で置換されていてもよい(C5〜C50)アリール(C1〜C20)アルキル、または
ヒドロキシル基を欠いている糖残基(LがOの場合)であり、
1は、独立して、1〜3個のR6で置換されていてもよい(C1〜C10)アルキル、ハロ、ヒドロキシ、−NR34、−COOR2、−COR2、ニトロ、トリハロアルキル、または−Si(OR23であり;
2は、独立して、Hまたは(C1〜C10)アルキルであり;
3は、独立して、Hまたは(C1〜C10)アルキルであり;
4は、独立して、Hまたは(C1〜C10)アルキルであり;
5は、独立して、1〜3個のR1で置換されていてもよい(C1〜C20)アルキル、1〜3個のR1で置換されていてもよい(C5〜C50)アリール、または1〜3個のR1で置換されていてもよいヘテロアリールであり;
6は、独立して、ハロ、ヒドロキシ、−NR34、−COOR2、−COR2、ニトロ、トリハロアルキル、または−Si(OR23であり;
Yは、異なるモノマー残基への共有結合を含み;
Zは、前記固体担体への共有結合を含み;
0から5個のR基は、固体担体への共有結合を含む)。
【請求項16】
前記ポリマーは、前記固体担体表面にコーティングを形成することを特徴とする請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記ポリマーは、前記固体担体に共有結合していることを特徴とする請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
式Iの誘導体化シクロフルクタンの前記残基は、前記ポリマー上に側基を形成することを特徴とする請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
式Iの誘導体化シクロフルクタンの前記残基は、前記ポリマーの主鎖の一部を形成することを特徴とする請求項15に記載の組成物。
【請求項20】
第1の固定相として請求項3または請求項15に記載の組成物を提供することにより混合物中の化学種を分離するステップを含むことを特徴とするクロマトグラフィー分離法。
【請求項21】
前記クロマトグラフィー分離は、高圧液体クロマトグラフィーによって実施されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記クロマトグラフィー分離は、ガス液体クロマトグラフィーによって実施されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記クロマトグラフィー分離は、毛管クロマトグラフィーによって実施されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記クロマトグラフィー分離は、充填カラムガスクロマトグラフィーによって実施されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記クロマトグラフィー分離は、超臨界流体クロマトグラフィーによって実施されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記クロマトグラフィー分離は、毛管エレクトロクロマトグラフィーによって実施されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1種の有機溶媒または超臨界流体を含む移動相を提供するステップをさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記有機溶媒は極性有機溶媒であることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記Lの少なくとも1個はO−C(=O)−NR2であり;
前記Rの少なくとも1個はイソプロピルであり;
前記Rの少なくとも1個は前記固体担体への共有結合を含む
ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記Lの少なくとも1個はO−C(=O)−NR2であり;
前記Rの少なくとも1個はナフチルエチルであり;
前記Rの少なくとも1個は前記固体担体への共有結合を含む
ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記Lの少なくとも1個はO−C(=O)−NR2であり;
前記Rの少なくとも1個は3,5−ジメチルフェニルであり;
前記Rの少なくとも1個は前記固体担体への共有結合を含む
ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項32】
請求項3または請求項15に記載の組成物を含む電解質を提供することにより混合物中の化学種を分離するステップを含むことを特徴とする毛管電気泳動法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−530809(P2012−530809A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516296(P2012−516296)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/038981
【国際公開番号】WO2010/148191
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(500039463)ボード・オブ・リージエンツ,ザ・ユニバーシテイ・オブ・テキサス・システム (115)
【Fターム(参考)】