分離装置及び分離方法
【課題】分離装置の多孔質媒体を著しく汚すことなく、且つ、多孔質媒体に隣接してゲル層を形成することなく、より長い期間作動させることができる分離装置及び分離方法を提供する。
【解決手段】分離装置は、せん断領域を含んだ給水チャネルと、供給流体の方向に直交して伸長した透過水通路22(複数の通路)と、前記給水チャネルの前記せん断領域と、前記透過水通路(複数の通路)との間に位置決めされた多孔質媒体とを備える。分離方法は、供給流体中にせん断層を発生させることと、透過水を透過水通路内へ通過させることとから成る。
【解決手段】分離装置は、せん断領域を含んだ給水チャネルと、供給流体の方向に直交して伸長した透過水通路22(複数の通路)と、前記給水チャネルの前記せん断領域と、前記透過水通路(複数の通路)との間に位置決めされた多孔質媒体とを備える。分離方法は、供給流体中にせん断層を発生させることと、透過水を透過水通路内へ通過させることとから成る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米合衆国出願番号第60/117,972号の優先権を主張するものであり、本書に参照として組み入れてある。
【0002】
本発明は、流体中に懸濁した粒子を含んだ混合物からの粒子及び/または流体の分離に関する。例えば、本発明は、流体から粒子を除去することによる流体の浄化または透明化、流体から1つ以上のタイプ、サイズまたは種類の粒子を除去することによる粒子の分離及び流体の一部を除去することによる1つ以上のタイプ、サイズまたは種類の粒子の凝縮に関する。
【0003】
本発明は、超微小濾過、限外濾過、ナノ濾過、逆浸透、及び、例えば、国際公報第WO98/09717号に記載されている如きせん断分離における広範な粒子及び流体に使用することが可能である。例えば、斯かる粒子は、生物工学的プロセスや、化粧品製造プロセス及び医薬品製造プロセスに共通した生物学的流体等の流体に懸濁した高分子、ミセル、脂肪体(Liposomes)またはバクテリアである。別の例としては、斯かる粒子は、様々な金属加工作業から生じるオイルに浮遊した金属破壊屑である。更に別の例としては、斯かる粒子は、製紙工程の様々な工程から生じる水に懸濁した紙の繊維であり、または、オイル質の廃棄物の洗浄中に生じる水に浮遊したオイル滴である。
【背景技術】
【0004】
従来の分離の1つのタイプは「行き止まり(dead−end)」濾過である。行き止まり濾過では、懸濁した粒子を含んだ流体が流路に沿って指向され、該流路において多孔質膜等の多孔質のフィルタ媒体を流通させられる。この多孔質膜の主たる特性はその孔サイズの分布である。孔サイズ分布に比較したら比較的小さな粒子は流体と一緒に多孔質膜を通過してしまうが、孔サイズ分布に比較して比較的大きな粒子は多孔質膜の表面または該膜の孔内に保持されて、流体中に懸濁した粒子の分離が行われる。大抵の粒子を保持するには大きく且つ大抵の粒子を通過させるには小さなサイズを多孔質膜の遮断サイズと呼ぶ。
【0005】
粒子が多孔質媒体内またはその表面に堆積してくると(即ち、汚れ(fouling)として公知のプロセス)、多孔質膜の孔の有効サイズが低減してくる。これにより多孔質膜を貫通する流れを維持するのに必要な動力を増大しなければならなくなると共に、遮断サイズが変化してくる。汚れの結果であるこれら双方は分離プロセスに重大な結果をもたらす。必要な動力の増大は分離プロセスのコストを増大すると共に、遮断サイズの変化は分離プロセスの機能に影響を及ぼす。多くの分離用途において、特に生物学的流体が関与した分離用途においては遮断サイズの変化は従来の行き止まりフィルタの使用を効果のないものにしてしまう。
【0006】
従来の分離の別のタイプは、「接線」または「クロスフロー」分離である。クロスフロー分離は、行き止まり濾過における汚れによる有害な影響を軽減することが出来ると共に、場合によっては排除することができる。クロスフロー分離においては、粒子と流体との混合物が通路またはチャネルを貫通するようにされ、斯かる通路またはチャネルの壁が多孔質膜等の多孔質媒体を含んでいる。前記混合物の一部(即ち、濃縮水)が多孔質膜に沿って接線方向に通過する一方で該混合物の残りの部分(即ち、透過水またはろ液)が多孔質膜を通過して分離が行われる。流れの一部を多孔質膜の表面に平行または接線方向に強制的に指向する目的は多孔質膜の表面近傍において高せん断層を発生させて、様々な機構により行き止まり濾過において発生する汚れを低減することである。
【0007】
効果的ではあるが、従来のクロスフロー分離に重大な問題がないというわけではない。1つの問題は、多孔質膜表面の流れの分布が均一でないことであり、特に、給水流用の幅広の矩形のチャネルを備えた平らな板状の膜から成るクロスフロー装置においてこの不均一な流れの分布が問題となる。従来のクロスフロー装置の管状及び矩形のチャネル形態の双方に影響を及ぼす別の問題は、従来のクロスフロー装置で生じるせん断速度が十分に速くないために多孔質膜の供給(または上流)側に高度に濃縮した懸濁粒子の層が発生するのを防止できないことである。この濃縮粒子の層はゲル層と呼ばれ、それにより生じる現象は濃度分極と呼ばれる。ゲル層は、多孔質膜より小さな孔を備えたフィルタとして作用する。一定のサイズの粒子を多孔質膜で保持した場合、遥かに小さな粒子はゲル層で保持される。その結果、従来のクロスフロー装置及び方法ではサイズの差が1桁未満の粒子は分離することが出来ない。
【0008】
斯かるゲル層はせん断速度を増大することで低減もしくは除去することが可能である。せん断速度は、従来のクロスフロー装置では104程度の逆秒であるが、供給入口と濃縮水出口との間の圧力勾配を大きくすることで増大することが可能である。しかしながら、一般的にはせん断速度を実質的に増大することは、供給入口から濃縮水出口までの圧力勾配を大きくすると装置の入口端で透過水の流束が大きくなると共に、濃縮水出口での透過水流束が比較的小さくなることから、実用的でないと考えられてきた。入口近傍で流束が大きくなるとせん断を妨害して濃度分極を引き起こす一方で、出口での流束が小さいと多孔質膜の処理高及び効率的利用が低減する。透過水出口下流のコントロールバルブにより透過水流を制限することではこの問題を軽減することにはならない。バルブで透過水流を制限すると多孔質膜の透過水側の圧力を均一に変化させるが、多孔質膜の上流側に沿った大きな圧力勾配を著しく変化させることにはならない。従って、入口近傍の透過水流束と出口近傍の透過水流束との差は残ったままである。透過水流を大幅に制限すると、入口端での流束は十分に低減して濃度分極を起こさずに済むが、出口端での透過水流束が逆流して多孔質膜の透過水側から濃縮水側へと流れることになる。この現象はスターリング(Starling)流として公知である。
【0009】
ゲル層は、また、せん断速度、多孔質膜特性及び分離中の懸濁液等の要因により決定される臨界値より低く透過水流束を維持することで大幅に低減または除去することが可能となる。膜を通しての圧力(TMP)を制御することで透過水流束を制御することが可能であり、但し、TMPは膜の上流側の部位の圧力と巻くの下流、即ち、透過水側の対応する点の圧力との差として定義することが可能である。膜を通過する流束はTMPが増大すると増大する傾向にある。しかしながら、流束の増大と共に汚れも増大する。故に、透過水流束とTMPとの間の関係は全体として直線的ではない。従来のクロスフロー装置においては、TMPが増大するに連れて、透過水流束が増大するが、TMPの増大の仕方に関係なく、透過水流束が漸近的に最大に接近するに連れて増大の速度はゼロに接近する。
【0010】
TMPを制御する周知の方法は、透過水流体を十分に速い流量で透過水通路を通して再循環させて、装置の入口端近傍の部分から装置の濃縮水端近傍の部分までの透過水通路内での圧力変化が膜の上流側に沿った対応する圧力降下と同じになるようにすることである。この方法は、特許文献1に記載されており、再循環透過水流を起こすポンプのコストが追加で必要となる。透過水を再循環させてTMPを均一に維持することの難しさは、一般的に透過水容積の流量は濃縮水流量より非常に小さいので、再循環速度が非常に大きくなってしまうことであり、または、透過水通路の断面積が非常に小さくて濃縮水側の圧力降下と等しい圧力降下を成立させることが出来ないことである。
【特許文献1】米国特許第4,105,547号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、多くの改良された分離装置及び方法を提供する。例えば、本発明の1態様によれば、分離装置は、供給流体流通する給水チャネルを備える。給水チャネルはせん断領域を含み、該せん断領域は供給流体流の方向に一定の長さを有する。分離装置は、また、透過水チャネルを1つだけ備え、該チャネルは給水チャネルのせん断領域と作動関係にある。透過水通路は、全体として供給流体流の方向に垂直に伸長する。透過水通路は、供給流体流の方向に一定の幅を有しており、該幅は給水チャネルのせん断領域の長さより小さくされる。分離装置は、更に、給水チャネルのせん断領域と透過水通路との間に位置決めされた多孔質媒体を備える。
【0012】
本発明の別の態様によれば、分離装置は、供給流体が流通する給水チャネルを備える。給水チャネルは、せん断領域を含む。分離装置は、また、透過水通路を1つだけ備え、該通路は給水チャネルのせん断領域と作動関係にある。透過水通路は、全体として供給流体流の方向に垂直に伸長すると共に、供給流体流の方向に一定の幅を有しており、該幅は約20mm未満にされる。分離装置は、更に、給水チャネルのせん断領域と透過水通路との間に位置決めされた多孔質媒体を備える。
【0013】
本発明の別の態様によれば、分離装置は、給水チャネルと、2つ以上の透過水通路と、多孔質媒体とを備える。給水チャネルはせん断領域を含み、且つ、透過水通路は給水チャネルのせん断領域と作動関係にある。更に、透過水通路は、少なくとも、第1及び第2の透過水通路を含み、該通路は互いに隔離される。多孔質媒体は、給水チャネルのせん断領域と透過水通路との間に位置決めされる。
【0014】
本発明の別の態様によれば、分離装置は、供給流体が流通する給水チャネルと、透過水が流通する2つ以上の透過水通路とを備える。給水チャネルはせん断領域を含み、且つ、透過水通路は給水チャネルのせん断領域と作動関係にある。分離装置は、更に、少なくとも、第1及び第2の流/圧力制御装置を備える。第1及び第2の流/圧力装置の各々は、1つの透過水を透過するように制御すると共に、または、1つの透過水通路または1グループの透過水通路内の圧力を制御するように配置されており、斯かる制御は、別の透過水通路または別のグループの透過水通路内の透過水流及び/または圧力から独立して行われる。分離装置は、更に、多孔質媒体を含み、該多孔質媒体は供給室のせん断領域と透過水通路との間に位置決めされる。
【0015】
本発明の別の態様によれば、分離方法は、供給流体中にせん断層を生成すること、及び、透過水をせん断層から第1の透過水通路内へ通過させることから成る。分離方法は、更に、透過水をせん断層から第1の透過水通路から隔離された第2の透過水通路内へ通過させることから成る。
【0016】
本発明の別の態様によれば、分離方法は、供給流体中にせん断層を生成すること、及び、透過水をせん断層から第1及び第2の透過水通路内へ通過させることから成る。分離方法は、更に、第1及び第2の透過水通路内の透過水流及び/または圧力を互いに独立して制御することから成る。
【0017】
本発明の別の態様によれば、分離方法は、多孔質媒体のせん断領域でせん断層を生成することから成る。分離方法は、更に、せん断領域の長さに沿って膜を通した圧力(TMP)を独立して増分制御することを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明の1つ以上の態様を具現化した分離装置及び方法は従来の装置及び方法より優れた多数の利点を提供する。例えば、実施態様の多くが従来の装置及び方法の幾つかより遥かに高いせん断速度、即ち、1桁以上高いせん断速度で作動する。従って、これらの実施態様は多孔質媒体を著しく汚すことなく、且つ、多孔質媒体に隣接してゲル層を形成することなく、より長い期間作動することができる。更に、実施態様の多くは、透過水流及び/または圧力を制御して、多孔質媒体全体を非常に効率良く使用すると共に、高いせん断速度でも透過水処理を高めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
1態様によれば、本発明は、供給入口と濃縮水出口との間のせん断領域において高せん断層を生成して、ゲル層の形成を防止するのに十分大きなせん断速度で作動する共に、多孔質膜の長さ方向のせん断領域内の透過水流または圧力、従って、透過水を再循環することなくTMPを制御するクロスフロー分離装置及び方法を提供する。供給流体は、該装置をたった一度だけ通過する時にせん断領域を通過するように指向することが可能であり、または、多数回通過モードの場合には循環するようにすることが可能である。多孔質媒体は処理中の流体のタイプ及び、例えば、超微小濾過、限外濾過、ナノ濾過、逆浸透、または、せん断分離等の所望の分離タイプに適したものならいずれの分離媒体であっても良い。多孔質媒体は、多孔質金属媒体、多孔質セラミック媒体、多孔質ガラス媒体、または、多孔質高分子媒体を備えることが可能である。多孔質媒体の形態は、多孔質のシートまたは管、織繊維ウェブまたは不織繊維ウェブ、繊維塊、または、多孔質膜または半透膜とすることが可能である。好適な多孔質媒体には、高分子膜、織った微細金属メッシュ及び多孔質金等の多孔質金属が含まれる。
【0020】
本発明を具現化した様々なクロスフロー装置及び方法では、大量の供給流を多孔質表面を有した狭い間隙または多孔質壁を有した小径の管を通してせん断領域に強制的に流すことで、例えば、500,000逆秒を超える、更には700,000逆秒を超える高いせん断速度を発生させることが可能となる。大きな流量を強制的に狭い間隙を貫通させると装置の供給入口と濃縮水出口との間のせん断領域において大きな圧力降下が発生し、供給入口と濃縮水出口間の前記の如き大きな差圧が存在することで、透過水流または圧力、従って、TMPの制御が好適に行われる。本発明の1態様によれば、せん断領域近傍の透過水路は少なくとも1つの透過水流通路、好適には複数の独立した透過水流通路に分割される。斯かる通路は供給流の方向に概ね直交するような配向にされるのが好適である。透過水流通路(または透過水流通路のグループ)は互いに隔離されて各透過水流通路(またはグループ)内で透過水流または圧力が独立したものとなり、せん断領域の全長に沿ってTMPが増分制御されるのが好適である。透過水通路内の透過水流または圧力は、各透過水通路(またはグループ)に対するTMPがせん断領域の全長に沿ったTMPの所望の関係と合致するように制御されるのが好適である。例えば、せん断領域の全長に沿ってTMPを一定にする、即ち、TMPを均一にすることが望ましい場合もあり、または、せん断領域に沿った1つ以上の部位のTMPをその他の部位より高くしたり、または、低くしたりする、即ち、TMPを不均一にするのが望ましい場合がある。
【0021】
本発明を具現化したクロスフロー装置の一例の流路のスケッチを図1及び図2に図示する。本装置10では、2つの全体として平らな、狭い間隙の供給(または濃縮水)チャネル12が図示されている。或いは、1つまたは3つ以上の給水チャネルを使用することができる。例えば、より多数の供給シャネルを備えたクロスフロー装置を図示の構造を縦方向に繰り返し積み重ねて構成することができる。各チャネル12は、供給入口16と濃縮水出口18との間の間隙中にせん断領域を含み、該せん断領域においては、図2に図示する如く流体が供給入口16から濃縮水出口18へ流れる時に高せん断層が発生する。各狭い間隙は約0.07mm乃至約1.30mmの範囲の一定の高さ、好適には均一の高さを有する。各給水チャネル12は、また、多孔質膜等の上部多孔質媒体20及び下部多孔質媒体20を含むのが好適であり、斯かる多孔質媒体の各々は給水チャネル12のせん断領域14において多孔質表面を画成して、図2に図示する如く、給水チャネル12のせん断領域14を透過水通路22から分離する。或いは、各給水チャネルにたった1つの多孔質媒体を配置することが可能である。供給マニホールドを配置して1本の供給管から多数の給水チャネルへ流体を流すようにすることが可能である。濃縮水マニホールドを配置して多数の濃縮水出口から1本の濃縮水管へ流体を流すようにすることが可能である。
【0022】
給水チャネル12から多孔質膜20を貫通する流体は供給流の方向に直交するように配向されるのが好適である多数の透過水通路22の1つに流入する。各透過水通路22は、1つの透過水通路22の供給流方向の横断スパン(即ち、透過水通路の幅)が給水チャネル12のせん断領域14の全長の小セグメント、例えば、約75%未満、好適には約50%未満、より好適には25%未満、更に好適には15%乃至10%未満を含むような寸法にされるのが好適である。従って、各透過水通路22の上流即ち先端縁から下流即ち後端縁までの給水チャネル12に沿った差圧は比較的小さなものとなる。透過水通路22の幅はそれぞれに変えることが可能であるが、幅は均一であるのが好適であり、約2mm以下から約15mm以上の範囲にあるのが好適である。各透過水通路22の幅は、透過水通路22の先端縁から後端縁までのTMPの差が好適には約10psi程度以下、より好適には約1psi程度となるような寸法にすること可能である。
【0023】
透過水流または圧力は様々に制御することが可能である。例えば、透過水通路からの透過水流を1組の流及び/または圧力制御装置に指向することが可能である。斯かる流及び/または圧力制御装置は任意の適当な方法に構成することが可能であり、例えば、制流子またはバルブとして構成することも含む。精密な制御をする必要がない場合には固定または可動オリフィスまたは細管等の制流子が好適である。好適には、流/圧力制御装置は、図1に図示する如き1組の流制御バルブを備える。各透過水通路22を異なる流制御バルブ24に接続することが可能である。しかしながら、供給圧力がおなじ透過水通路22a、22b、・・・22i、22jを共通の流制御バルブ24a・・・24jと一緒にグループ化することが好適である。例示の実施例では、供給入口16の下流の同一距離から透過水を取る全ての透過水通路22a、22b、・・・22i、22jの流は同一の制御バルブ24a・・・24jへ指向される。故に、制御バルブ24の数はたった1つの多孔質膜20kらの透過水が分割される透過水通路22の数と等しくなる。(図を簡単にするために、図1では最初と最後の制御バルブ24a、24jのみを図示する。)或いは、1つの透過水通路と1つ以上の下流の透過水通路、例えば、2つの隣接した透過水通路22a、22bとを同一の制御バルブに連結することが可能である。各流制御バルブ24a・・・24jの出口に共通の透過水マニホールド26を供給することが可能である。
【0024】
各流制御バルブ24を(手動または流/圧力制御装置に連結することが可能であり、且つ、制御機構の一部としてフィードバックを使用することも、または、使用しないことも可能な制御システムにより)調整して透過水通路22内の流または圧力を所望の流または圧力に、及び、従って、透過水通路22に関係した多孔質膜20を横断するTMPを所望のTMPに維持する。異なる透過水通路22に異なる透過水流または透過水圧力を提供することが可能である。制御バルブ10を調整して各透過水通路22内にせん断領域14の全長に沿って略均一なTMPを発生する透過水流または圧力を提供するのが好適である。しかしながら、制御バルブ10を調整してせん断領域14の全長に沿って不均一のTMPを提供することが可能である。更に、初期のTMPが均一であってもまたは不均一であっても、制御バルブ10を時間が経つに連れて透過水通路22内の透過水流または圧力を変動するように調整して、例えば、多孔質膜の透過性の変化を補償するようにすることが可能である。
【0025】
本発明を具現化したクロスフロー装置の従来のクロスフロー装置に対する1つの利点は、透過水流れ/圧力またはTMPの制御の信頼性を維持しつつ、より高いせん断速度を発生することが可能となることである。これにより、粒子を分離する多孔質膜の孔サイズ分布及び/または国際公報第WO98/09717に記載された如く多孔質膜特性とは独立して粒子を分離するせん断効果を利用して、ゲル層の干渉をなくして分離を達成することが出来る。せん断速度が非常に大きなことから、上記の分離を達成する透過水流量は従来のクロスフローで達成できるものより数桁大きくなる。
【0026】
本発明を具現化したクロスフロー装置の従来のクロスフロー装置に対する別の利点は、供給流路の全長に亘って局部的に透過水流の制御ができることである。この局部制御の空間的分解能は透過水通路の幅に合致し、該幅は所望なだけ狭くすることができる。透過水通路の幅が狭くなればなる程、空間的分解のが大きくなると共に、流制御バルブ数も大きくなる。
【0027】
本発明を具現化したクロスフロー装置30の別の例を図3及び図4に図示する。このクロスフロー装置30は、試験組織構成の一部として配置することが可能であり、試験取り付け具32及びフィルタ要素34を含むことが可能である。
【0028】
試験取り付け具32は、供給入口38と濃縮水出口40との間に伸長した給水チャネル36を含む。給水チャネル36は、狭い間隙44中にせん断領域42を含む。斯かる間隙44は、密封した間隙断面のみならず、フィルタ要素34の多孔質膜46の表面と、該多孔質膜46の反対の取り付け壁48との間では均一で安定した高さをして、確実に流の読みが直接間隙44間の圧力降下に関係するようにするのが好適である。間隙の幅及び長さは、本発明の範囲を逸脱しなければ、様々な寸法にすることが可能である。高さは、約0.07mm乃至約1.30mmの範囲にあるのが好適である。例示の実施例では、間隙44の長さは約17.6mmであり、幅は約40mmであり、且つ、高さは約0.178mmである。
【0029】
試験取り付け具32はさまざまに構成することが可能である。例えば、試験取り付け具32は、堅牢なポリマー及び例えばステンレススチール等の金属等の構造的に堅牢な材料から構成した上部ハウジング部50及び下部ハウジング部52を含むことが可能である。上部ハウジング部50は、供給入口38及び濃縮水出口40を含むことが可能である。下部ハウジング部52は、透過水出口54及び透過水ポートOリング58を含むことが可能である。下部ハウジング部52は、また、フィルタ要素34の構造的保全性を高めると共に、均一な間隙44を提供する一助をなす。
【0030】
フィルタ要素34は、支持プレート60を含むのが好適である。多孔質膜支持2は支持プレート60上に配置されると共に、多孔質膜46は多孔質膜支持62上に配置される。多孔質膜支持62及び多孔質膜46の双方が、例えば、好適には溶剤結合で支持プレート60に永久固定されると共に、好適には支持プレート60の全寸法方向に伸長して確実に間隙44において流れの混乱が起きないようにされる。支持プレート60、多孔質膜支持62及び多孔質膜46の各々は、様々な適当な材料から形成することが可能である。例示した実施例では、支持プレート60は、堅牢な金属またはポリスルホンプレート等の高分子材料から成り、多孔質膜支持62は、織ったまたは不織の高分子シートまたはメッシュから成り、及び、多孔質膜46は、ポールコーポレーション(Pall Corporation)製の如き35psiKL及び0.152mm厚さのナイロン66膜等の高分子膜から成ることか可能である。多孔質膜は、本実施例には好適な多孔質媒体であるが、織ったまたは不織の高分子シートまたは多孔質金属シートを含んだその他の多孔質媒体も適している。
【0031】
例示の実施例のクロスフロー装置30は、せん断領域に42に関係したたった1つの透過水通路64を有する。斯かる透過水通路64は、供給流の方向に概ね直交するように伸長するのが好適であり、間隙44の長さに比較して先端縁から後端縁までの幅が比較的狭くされる。例えば、透過水通路64の幅は、好適には間隙44の長さの約75%未満であり、より好適には約60%未満である。透過水通路64の相対的長さを制限することで透過水通路64内の透過水流及び/または圧力の制御が容易になる。従って、透過水流/圧力制御装置を省略することが可能となる。間隙44は、流入する供給流を真っ直ぐにするのに十分な距離透過水通路64の先端縁の上流に伸長するのが好適である。例えば、例示の実施例では、透過水通路64の先端縁は間隙入口から約5mmであり、透過水通路64の後端縁は間隙出口から約2mmである。
【0032】
透過水通路64は、任意の適切な方法で図1及び図2に図示した連続した矩形のチャネルとして形成することが可能である。図3及び図4に例示した実施例では、透過水通路64は支持プレート60に形成されると共に、互いに隣接して平行に配置された幾つかのスロットを備える。スロットの数及び寸法はさまざまにすることが可能であるが、例示の実施例では、約30の隣接したスロットがあり、該スロットは約0.64mm離されており、各スロットの幅は約0.64mmであり、長さは10.75mmである。スロットの総面積は約0.0004平方メートルであり、該総面積は、流束速度計算に使用する尺度である。スロットは、支持プレート60の表面下に伸びるダクト66により流体接続されて透過水通路64を形成する。透過水マニホールド68が透過水ダクト66から下部ハウジング部52の透過水付属品を貫通して透過水出口54mで伸びる。
【0033】
前記の試験組織構成は、更に、例えば、3.81cm(1.5インチ)の3クランプ取り付けポートにより取り付けられたクロスフロー装置30の直ぐ上流及び直ぐ下流の圧力センサを含むことが可能である。低圧力降下配管は、供給圧力センサと取り付け具間隙44との間及び濃縮水圧力センサと取り付け具間隙44との間に伸長して、実質的に該間隙44により圧力降下が確実に生じるようにするのが好適である。圧力センサの下流にダイヤフラムバルブを取り付けて間隙44間の流量及び圧力降下を調節することが可能である。給水は遠心ポンプにより熱交換器を通して供給して温度が均一な給水を提供するようにすることが可能であり、且つ、該給水温度を給水圧力センサの直ぐ上流で監視することが可能である。ダイヤフラムバルブを透過水出口54に取り付けてTMP及び透過水流/圧力を制御すると共に、透過水圧力センサを透過水バルブの上流に取り付けるのが好適である。
【0034】
図3及び図4に図示したクロスフロー装置30を任意の適当な方法で分析することが可能であり、例えば、2つの圧力降下値を使用してクロスフロー装置30を特徴付けることが可能である。第1は、間隙44に沿った総供給圧力降下(PG)である。所定の間隙高さ及び長さと流体特性では、PGは壁せん断速度により決定され、壁せん断速度は均一な間隙44の全長にそって略一定である。第2は、透過水通路64間に伸びる間隙長の一部に沿った供給圧力降下(PM)である。P1が透過水通路64の先端縁における圧力、且つ、P2が透過水通路64の後端縁における圧力とした場合で、PM=P1−P2であれば、TMPを計算するには、透過水通路の供給圧力PFをPF=P2+(0.5)(PM)と定義する。TMPはPF−PPに等しくなる、但し、PPは透過水圧力である。
【0035】
図3及び図4に図示したクロスフロー装置30及び前記試験組織構成は、広範な種類の流体に使用することが可能である。1つの例は原料スキムミルクの濾過である。しかしながら、この例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0036】
例
図3及び図4に図示したクロスフロー装置30及び該クロスフロー装置30を組み込んだ前記試験組織構成を使用して約52.8℃(華氏127度)の原料スキムミルクを濾過した。7×105逆秒のせん断速度を発生する間隙44に沿った目標圧力降下PGは20psiであった。
【0037】
試運転を開始する前に条件を設定して多孔質膜がスターリングフローの逆圧力で破壊されるのを防止すると共に、多孔質膜の早期汚れを防止するようにした。目標供給ミルク流量は、試験取り付け具の上流のドレイン用バイパス(bypass−to−drain)内で目標流量、圧力及び温度に確立した。試験取り付け具を水で事前に暖めると共に、濃縮水バルブを目標圧力降下PGの半分が発生するように設定した。次いで、供給ミルク圧力をPGの半分に下げ、試験取り付け具への水流を停止し、且つ、ミルク流を試験取り付け具内へ進路を変換した。透過水バルブを極僅か開いて若干の透過水を流して透過水圧力を下げると共に、スターリングフロー背圧を下げた。直後に、濃縮水バルブを開いて目標間隙圧力降下PGを提供することで、総供給流量が約4リットル/分になった。透過水流を監視すると共に、透過水バルブを調整して目標投下水速度を維持した。実験の過程で透過水速度を上昇させて時間を延長して維持した。実験は約6時間後に終了すると共に、認められる多孔質膜の汚れは殆どなかった。
【0038】
図5及び図6は試験結果を示す。流束及び汚れデータの結論は、原料スキムミルクの濾過を2130LMH(リットル/m2時)の流束速度で無限に継続することが可能であった、または、流束速度を更に増大することが可能であったと言うことである。
【0039】
上記例は、また、小さな透過水チャネル内のTMPまたは投下水流/圧力を制御しつつ、非常に高いせん断速度クロスフロー装置に加えることが出来ること、及び、非常に高いせん断速度により多孔質膜の汚れを著しく低減させるか、または、防止できて、これによりゲル層の形成をなくすと共に、多孔質膜特性をさらに十分に分離工程に利用することができることを示す。
【0040】
上記例は、また、供給流量、せん断速度及び間隙圧力降下が非常に高くても、好適には供給流方向に直交するような向きにされた低抵抗透過水チャネル及びバルブ等の透過水流及び圧力を制御する装置を使用することでクロスフロー装置においてTMPを実際的かつ信頼性を持って制御することが可能となることを示す。
【0041】
更に、上記例は、幾つかの修正を施すことが可能である。例えば、一連の幾何学的に平行な透過水チャネルを間隙の全長の大部分または全部に亘って伸長するように構成することが可能である。透過水チャネルの幅を増減させて、例えば、特に始動時のスターリングフローに取り組むとか、または、前記の供給流体中における強度または汚れ傾向等の膜の特性に取り組むようにすることが可能である。多数のクロスフロー間隙を平行に構成すると共に、同一の透過水圧力を有した前記間隙に関係した透過水チャネルを供給するようにするか、または、マニホールドで共通の制御バルブへ集配することも可能である。上記に説明した如く、追加のクロスフロー間隙及び間隙及び透過水通路群を供給流容積の利点を生かすように直列に構成することも、または、ブースターポンプを個々の群の間に追加して構成することも可能である。
【0042】
本発明の態様を平らなクロスフロー装置に関連させて説明してきたが、本発明は、該特徴に限定されるものではない。当業者であれば、特に前記の教示したことを鑑みれば、修正をしたり、代替例を利用できることは自明である。例えば、円筒状または管状クロスフロー装置及び方法も本発明の様々な態様を具現化することが可能である。
【0043】
円筒状クロスフロー装置80の1例をを図7及び図8に例示する。該円筒状クロスフロー装置80は、円筒状カートリッジ82を備えており、該カートリッジは、不透過性の円筒状シェル84及び該シェル84内に位置決めした分離パック86を含む。分離パック85は、中央スプール88及び1つ以上の分離リーフ90を備えており、該リーフは前記すプール88の周りに巻きつけられて隣接するリーフ90間に狭い間隙92を画成し、該隣接するリーフは給水チャネルのせん断領域94としての役割を果たす。供給流体流はカートリッジ82の第1端部内へ指向され、分離パック86の第1端部内へ流入して、幅狭の給水チャネルせん断領域94に沿った間隙92を軸線方向に貫通して、分離パック86の第2端部まで流れる。分離パック86は、シェル84内で、例えば、ポリウレタン等の注封材料96で封止されるのが好適である。注封材料96は供給流体が、例えば、シェル84と分離パック86との間の間隙等の制御されない間隙に沿って分離パック86をバイパスするのを防止する。その他の封止機構が、例えば、国際出願番号第PCT/US/0509号に開示されており、該国際出願は参考として本書に組み入れられている。或いは、前記カートリッジ内の狭い間隙に類似した狭い外側間隙を最外側リーフ(複数のリーフ)とシェルとの間に画成するように分離パック及びシェルを配置して、前記間隙と連繋する多孔質媒体上にせん断領域を設ける。
【0044】
分離パック86は、供給流体流を透過水流及び濃縮水流に分離する。透過水流及び濃縮水流派は、濃縮水流から透過水流を隔離する円筒状カートリッジ92から任意の適当な方法で流出する。例示の実施例では、透過水流は、分離パック86の第2端部からシェル84を貫通して伸長する透過水出口導管98を介して円筒状カートリッジ82を流出するのが好適である。濃縮水流は、分離パック86の第2端部からスラスト格子100を貫通して伸長して、円筒状カートリッジ82の開放した第2端部を介して流出するのが好適である。スラスト格子100は、分離リーフ90に接触するのが好適であり、且つ、分離パック86の第1端部から第2端部までの給水チャネルを介した供給流体圧力降下による濃縮水流からのスラストに反作用する。スラスト格子100は様々に構成することが可能であり、好適にはシェル84に取り付けられて、スラスト力をシェル84に伝達すると共に、加わった力を維持、低減し、且つ、分離リーフ90を適所に維持する一助となる。しかしながら、スラスト格子100を例えば、スプール88の端部等の任意のその他の適当な部位において分離パック86の第2端部に取り付けることが可能である。
【0045】
分離パックは様々に構成することが可能である。例えば、例示の実施例では、分離パック86は、中央の透過水収集スプール88及び1つ以上の分離リーフ90を備えており、該分離リーフは、好適には螺旋状に、前記スプール88に連結されると共に巻きつけられる。図9に図示する如く、スプール88は、渦巻き状の形状を有して1つ以上の螺旋状に巻きつけられた分離リーフ90を中央で支持するのが好適である。スプール88は、また、1つ以上の通路(図示なし)を含んで透過水を分離リーフ90から透過水出口導管98まで流体連絡させる。
【0046】
図10乃至図12に図示する如く、各分離リーフ90は、透過水グリッド102、多孔質膜等の多孔質媒体104及び透過水グリッド102の各端部に取り付けられたヘッダ106、108を含み、前記多孔質グリッド102は透過水グリッド102の対向する広域面の各々に取り付けられるのが好適である。透過水グリッド102は、比較的薄い方が好適であると共に、十分な可撓性を有してリーフ90がスプール88及びその他のリーフ90の周りに巻きつけられるのを可能にする。透過水グリッド102は、高分子材料から成るのが好適であり、押し出し品、巻締押し出し品、巻締フィルム、射出成形構造体等の成形構造体、または、あまり好適ではないが、機械加工グリッドとして形成することが可能である。
【0047】
透過水グリッド102は、複数の平行なリブ110を含むのが好適であり、該平行はリブは、透過水溝等の複数の透過水チャネル102を画成する。透過水リブ110及び透過水溝112は、供給流体方向に略直交するように配向されるのが好適である。各透過水溝112は、好適には断面積が十分に大きくて、前記溝に沿った透過水流による外側端から内側端までの圧力降下が、多孔質膜104を介しての圧力降下または分離パック86の給水端から濃縮水端までの圧力降下に比較して比較的小さくなる。透過水グリッド102は、また、先端縁及び後端縁114、116を有するのが好適であり、該先端縁及び後端縁は、給水流が分離パック86内へ円滑に移行し、且つ、濃縮水流が分離パック86から円滑に移行するようなプロフィールにされる。更に、透過水グリッド102は、多孔質媒体104を取り付けることが可能なポケットを画成する双方の広域面上の1つ以上のステップ118を有することが可能である。ステップ118は、多孔質媒体104が2つ以上の層を含む場合には好適である。
【0048】
多孔質媒体104は、好適には、少なくとも1つの支持または不支持の多孔質膜を含んだ1つ以上の層を備えることが可能であり、該多孔質媒体は、任意の適当な方法で透過水グリッド102に取り付けられる。1つの膜を透過水グリッド102の各広域面に、該膜を溶剤または接着剤結合またはヒートシールを含んだ任意の適当な方法でリブ110及びステップ118に取り付け且つ封止することで固着することが可能である。リブ110への取り付けにより、多孔質膜104を背圧に対して支持することが可能となり、多孔質膜がうねるのを防止され、給水チャネル間隙の高さを低くすることが可能となる。更に、多孔質膜104をリブ110に取り付けることで、透過水グリッド102内で透過水溝112の各々が隔離される。多孔質膜104をポケット内でステップ118に固着することにより、膜102が先端縁及び後端縁114、116の表面と略面一になって、流の不連続及び流体流による膜の損傷が防止される。或いは、透過水グリッドにステップを設けなくても良く、多孔質膜は給水チャネルの狭い間隙の外側へ伸長することが可能であると共に、先端縁及び後端縁のプロフィール表面に結合することが可能である。
【0049】
多孔質媒体が2つ以上の層を備える場合には、追加の層を追加のステップにとりつける、または、先端縁及び後端縁のプロフィールに連結することが可能である。隣接した媒体層は、また、透過水が媒体層を貫通するのを可能にする任意の適当な方法で互いに接合される。例えば、隣接した媒体層は、連続的にまたは周期的に、例えば、透過水溝に平行なストリップに連結して、媒体層間で給水方法に透過水が再循環するのを禁止すると共に、該再循環は、禁止されなければ、背圧により多孔質媒体をうねらせるように作用する。好適には、最外側媒体層は、任意の適当な方法で取り付けられて、給水チャネル間隙に連繋する略平らな媒体表面となるようにされる。
【0050】
ヘッダー106、108は、透過水グリッド102の各端に取り付けることが可能であり、好適には、多孔質媒体104は、また、ヘッダー106、108に取り付けられる。例えば、ヘッダー106、108は透過可能なグリッド102と同様な方法で段付きにすることが可能であり、多孔質媒体104の1つ以上の層を透過水グリッド102に関して前記した如く、ヘッダー106、108のポケット内に固着することがかのうである。或いは、多孔質媒体は、任意のその他の適当な方法でヘッダーに固着することで可能である。例えば、多孔質媒体を透過可能なグリッドを超えてヘッダーの上部または下部表面上へ伸長することが可能であり、そこにおいて前記多孔質媒体が取り付けられる。ヘッダー106、108は、例えば、高分子材料等の透過水グリッド102と同一の材料から形成することが可能である。多孔質媒体104を溶剤接着により取りつける場合には、透過水グリッド102及びヘッダ106、108の双方を高分子材料から構成することが可能であり、該高分子材料は、前記多孔質媒体104に比較して、溶剤に優先的に溶解する。
【0051】
スプール88から隔置されたヘッダー106、即ち外側ヘッダーはめくらヘッダーあり、透過水溝112または溝のグループで終端することが可能であり、該溝はリブ110及び多孔質媒体104により画成される。めくらヘッダー106は、各透過水溝112または透過水のグループを互いから隔離する方法で透過水グリッド102及び多孔質媒体104に接合されるのが好適である。スプール88に最も近いヘッダー108、即ち、内側ヘッダーは、スプール88に連結されて透過水が透過水グリッド102内の透過水溝112からスプール88内の透過水通路まで、従って、透過水出口導管98まで流れるようにされる。例えば、内側ヘッダー108は、前記グリッド102内の透過水溝112または透過水溝のグループと前記スプール88内の透過水通路間を連絡する1つ以上の通路を含むことが可能である。
【0052】
各透過水溝または透過水溝のグループの透過水流/圧力を制御する装置は、分離カートリッジと様々に作動関係にすることが可能である。例えば、制御装置は分離カートリッジの外側にあっても良い。透過水グリッドの透過水溝または溝のグループはそれぞれ内側ヘッダーの対応する隔離された透過水通路と連絡することが可能であり、該透過水通路は、代わって、スプールの対応する隔離された透過水通路とそれぞれ連絡することが可能である。スプール通路は、代わって、それぞれたった一つの出口透過水導管の別々の透過水出口導管または隔離された透過水通路と連絡することが可能である。個々の透過水流は、次いで、流/圧力制御装置、例えば、別々のカートリッジに対して外側のバルブに接続すると共に、共通のマニホールドに送られるようにすることが可能である。
【0053】
別の代替例として、制御装置をスプール内に配置することが可能である。個々の透過水溝または溝のグループに対向した個々の透過水流は、内側ヘッダーからスプール内のそれぞれの流/圧力制御装置まで流れる。透過水流は、制御装置から共通の通路、従って、前記たった1つの透過水出口導管まで流れる。更に別の代替例として、流/圧力制御装置を透過水グリッド内、または、透過水グリッドとヘッダーとの間に配置することが可能である。制御装置から流れる透過水は、次いで、ヘッダ及びスプールの共通の通路及び、従って、透過水出口導管へ供給される。
【0054】
図12及び図13に例示した実施例では、制御装置120が内側ヘッダー108内に配置されると共に、好適にはオリフィスまたは細管等の制流子を備えるのが好適である。1つの制流子120は各透過水溝112または透過水溝のグループと連絡する。各制流子120は、対応する透過水溝(複数の溝)112内に透過水溝(複数の溝)の多孔質媒体を横断する所望のTMPを提供する流量または圧力を提供するようなサイズにすることが可能である。透過水溝112または透過水溝のグループは、制流子120を通して平行に接続されるのが好適である。透過水流は、内側ヘッダー108内の制流子120からスプール88内の共通の通路、従って、透過水出口導管98へ供給するようにすることが可能である。
【0055】
スプール88に連結された前記1つ以上の分離リーフ90の各々の内側ヘッダー108が透過水グリッド102からスプール88へ透過水を連絡することで、分離リーフ90がスプール88の周りに巻きつけられる。該リーフ90はスプール88から隔置されると共に、互いに隔置し合って図10に図示した如き狭い給水間隙92を形成し、該間隙は給水室のせん断領域を含む。給水間隙は、約0.07mm以下乃至約1.30mm以上の範囲、より好適には約0.12mm乃至約0.38mmの範囲の高さ、より好適には均一の高さを有するのが好適である。
【0056】
前記間隙高さを維持するために、スペーサを各分離リーフと関係させることが可能である。該スペーサは、様々に配置することが可能である。例えば、スペーサは、さまざまな形状にされたスタンドオフを備え、該スタンドオフは、透過水グリッドから外側方向に向いており、且つ、図14Aに図示した如く、多孔性媒体104、または、透過水グリッドと一体化される。或いは、スペーサは、メッシュまたは波形フィルム等の多孔質層124を備え、該多孔質層は給水間隙92内で多孔質媒体104間に配置され、前記波が図14Bに図示した如く軸線方向に伸長する。しかしながら、間隙高さは、前記間隙92内のリーフ90とスプール88間及び隣接したリーフ90間で平行に軸線方向に配置された隔置したロッド126により維持されるのが好適である。前記ロッド126は、様々な横断面にすることが可能であり、例えば、円形または矩形である。前記ロッドは、図14Cに図示する如く、隣接する多孔質媒体104間で透過水グリッド102の先端縁114から後端縁116まで伸長するのが好適である。前記ロッド126は、高分子材料または高分子を被覆した金属またはガラスから形成することが可能であり、且つ、例えば、ルームラップ配列に取り付けられ、取り付け後にはトリミングがなされる。前記ロッド126は、例えば、分離リーフ90がスプロール88周りに巻きつけられる前に、多孔質媒体104に溶剤結合されるのが好適である。或いは、ロッド126は、分離リーフ90がスプール88の周りに巻きつけられた後に該リーフに溶剤結合されるのが好適である。このように、ロッド126をロッド126を双方の隣接した多孔質媒体104に取り付けることが可能である。更に別の代替例として、ロッドを1つまたは双方の膜に接着剤で結合するかまたは溶接する。巻き付けた合成組立体は、高度の構造保全性を有しているが、ロッドを隣接したリーフ90多孔質媒体に結合することで組立体の強度を上げると共にスラスト格子100を省略することが出来る。
【0057】
円筒状クロスフロー装置80の例示した実施例は、透過水出口導管98に連結した1つ以上の透過水通路112を有したスプール88を含むが、その他の実施例は異なるように構成することが可能である。例えば、スプールに一切の透過性通路を設けないようにすることが可能であり、例えば、スプールを堅牢な構造体とするか、または、完全に排除してしまうことが可能である。螺旋上に巻きつけた別々のリーフまたは複数のリーフは、1つ以上のめくら内側ヘッダー及び各分離したリーフの透過水グリッドの透過水溝と流体連絡した1つ以上の透過水通路を有した1つ以上の外側ヘッダーとを含むことが可能である。各外側ヘッダーを円筒状シェルに直接連結することが可能であり、且つ、透過水流を外側ヘッダーからシェルを介して1組の外部透過水流/圧力制御装置まで供給するようにすることが可能である。或いは、前記流/圧力制御装置を各外側ヘッダー内でシェルと各外側ヘッダーとの間でシェル内にまたは透過水グリッド内に配置することが可能である。
【0058】
合成構成の分離リーフを有したクロスフロー装置は高度の構造保全性を提供すると共に、矩形クロスフロー装置及び円筒状クロスフロー装置で使用することが可能である。例えば、図15及び図16に図示した本発明を具現化した矩形のクロスフローカートリッジ130、130'は、1重ねの分離リーフ132を含み、各々が図10乃至図12に図示した分離リーフ90に類似している。分離リーフ132は、隣接したリーフ132のヘッダーがそれらの先端縁及び後端縁を整合させて、且つ、狭い矩形間隙134が隣接したリーフ132間にせん断領域136を含むようにして互いの上に載せられるように積み重ねられる。ヘッダー上にスタンドオフをまたはヘッダー間にシムを設けて給水間隙134を画成することが可能である。ロッドまたは多孔質媒体スタンドオフ等のスペーサをリーフ132間の給水間隙に設けた場合には、前記ヘッダースタンドオフまたはシムはスペーサと略同一の高さとすることが可能である。或いはまたは追加して、透過水グリッドを形成して、構造上の剛性を十分なものとしてスペーサの数を低減するか、または、排除して、多孔質膜及び透過水グリッド上の負荷を低減するようにすることが可能である。1重ねにされた分離リーフ132は任意の適当な方法で構造的に接合されるが、斯かる方法には、外部ハウジングまたはフレームによる方法、タイロッド、ボルトまたは延びたねじ等の構造部材による方法、熱または超音波溶接等の溶接による方法、及び/または接着剤または溶剤結合等の結合による方法が含まれる。
【0059】
矩形クロスフローカートリッジ130、130'の透過水グリッド、多孔質膜及びヘッダーは円筒状のクロスフローカートリッジ80について説明した透過水グリッド、多孔質膜及びヘッダーと略類似するようにすることが可能である。しかしながら、好適には、矩形クロスフローカートリッジ130、130'の透過水グリッドの双方の端のヘッダーは1つ以上の通路を有して透過水を透過水溝または溝のグループへ離れるように指向する。透過水流/圧力制御装置を、円筒状クロスフローカートリッジに関して前記に説明したものと類似の様々な方法で矩形クロスフローカートリッジ130、130'と作動関係にすることが可能である。
【0060】
図15及び図16に例示した実施例では、各対向するヘッダーが1グループの透過水溝からの透過水流を結合して透過水チャネルを形成し、透過水チャネルを透過水流/圧力制御装置から上流で結合された1つまたは好適には2つ以上の透過水溝流として画成することが可能である。透過水チャネルは、互いに隔離されると共に独立しているのが好適である。例えば、図17A乃至図17Dに図示する如く、矩形クロスフローカートリッジの各ヘッダー138は1つのスロット142内の4つの透過水溝140の透過水流を結合して1つのチャネル144を形成すると共に、各ヘッダー138は4つのチャネル144を有する。或いは、より多くのまたはより少ない透過水溝を1つのチャネル内に形成することも可能であり、及び、より多くのまたはより少ないチャネルを各ヘッダー内に配置するようにすることが可能である。更に、異なるチャネルを異なる数の透過水溝から形成することが可能であり、且つ、異なるヘッダーが異なる数のチャネルを有することが可能である。任意の1つのヘッダー138のチャネル144及び対応する透過水溝140は互いに隔離されると共に独立させるのが好適である。更に、分離リーフ132の一端のヘッダー138のチャネル144及び対応する透過水溝140は、分離リーフ132の対向端のヘッダー138のチャネル及び透過水溝から隔離されると共に独立させるのが好適である。或いは、対向するヘッダーの対応するチャネルを同一の透過水溝と連絡させることが可能である。図17A乃至17Dに図示したヘッダー138等のヘッダーが矩形クロスフローカートリッジの文脈で説明される場合には、円筒状のクロスフローカートリッジ等の異なる形状を備えたクロスフローカートリッジにおいても使用することが可能である。
【0061】
透過水流/圧力制御装置148はオリフィスまたは細管等の制流子を備えることが可能であり、図17A乃至17Dに図示した如く、チャネルスロット142とチャネル出口との間の各ヘッダ138内に配置される。チャネル出口は共通透過水出口導管に平行に供給することが可能である。しかしながら、図15及び図16に例示の実施例では、分離リーフ132のチャネル144は、例えば、給水間隙134に沿ったチャネル144の部位に従って、チャネル番号1、チャネル番号2等に対応する、例えば、8つのグループにグループ化される。同じように位置したチャネル144は、前記1重ねの分離リーフ132の高さに沿って伸長することが可能な共通の透過水ダクト150へ供給される。透過水ダクト150は互いに隔離されるのが好適であり、例えば、全ての第1チャネル、第2チャネル等から透過水を収集する透過水ダクト150はその他の透過水ダクト150から隔離去れる。透過水は、図15及び図16に例示した如く、様々な方法で透過水ダクト150から取水される。別体の透過水ダクト150の1つの利点は、同じように位置したチャネル144から収集した透過水を独立して分析できることである。好適には、透過水ダクト150中の透過水流は1つの透過水出口導管の下流で結合される。
【0062】
図18に例示した実施例は、複数、例えば、2つの矩形のクロスフローカートリッジ130を備え、該カートリッジはそれぞれの透過水ダクト150と平行に接続される。或いは、該カートリッジは、透過水ダクトと直列にまたは様々な直列/平行配列に接続することが可能である。供給流体は、共通の圧力源から複数のカートリッジ130に平行に指向されるのが好適である。しかしながら、第1のカートリッジを流出する時で、給水流の下流の第2カートリッジに流入する前に供給流体の圧力を上げて、第1カートリッジ内の給水入口乃至濃縮水出口間の圧力を補償するようする。例えば、ポンプを給水流において前記第1及び第2カートリッジ間に位置決めすることが可能である。カートリッジの様々な直列及び/並列配置を矩形クロスフローカートリッジの文脈において議論しているが、これらの配置は異なる形状のカートリッジに設けることが可能であり、斯かる形状には、例えば、円筒形状が含まれる。
【0063】
複数のカートリッジ130の各々はその他のカートリッジと略同一であるのが好適である。これにより、同一の透過水流/圧力(及びTMP)が様々なカートリッジ130の対応する透過水チャネル130に対応して発生され、カートリッジ130の対応するチャネルからバランスの取れた略等しい流が生じる。各矩形クロスフローカートリッジ130は、透過水流/圧力制御装置がカートリッジの外側に配置されることを除いて図15に図示の矩形クロスフローカートリッジ130に類似させることが可能である。図18の矩形クロスフローカートリッジ130のヘッダーは、制流子146が省略され、且つ、制流子として機能しない透過水通路140または透過水チャネルのグループがチャネルスロットからチャネル出口まで、従って、対応する透過水ダクト150まで伸長することを除いて、前記カートリッジ130が図17A乃至図17Dに図示したものと類似なものとすることが可能である。透過水ダクト150は、第1矩形クロスフローカートリッジ130のn番目のチャネルから透過水を収集する透過水ダクト150が第2矩形クロスフローカートリッジ130のn番目のチャネルから透過水を収集する透過水ダクト150に平行に接続されるように配置するのが好適である。平行に配置された透過水ダクト150は、矩形クロスフローカートリッジ130の外側にある制御バルブ等の1組の透過水流/圧力制御装置152に供給されるのが好適である。透過水制御バルブ154は、例えば、制御スキッド上に取り付けることが可能であると共に、各制御バルブの出口は共通の透過水出口154へ平行に供給される。或いは、透過水流/圧力制御装置は、透過水ダクト、または前記に説明したその他の任意の部位の1つまたは双方のクロスフローカートリッジに取りつけられることが可能である。
【0064】
矩形クロスフローカートリッジの各々は、供給流を円形断面配管から矩形カートリッジの給水入口まで移行すると共に、矩形カートリッジの濃縮水出口から円形断面の濃縮水配管まで濃縮水を移行するフレームまたはハウジング(図示なし)内に収容することが可能である。そらせ板(図示なし)をハウジング内に設けて、流体流を移行ゾーン内で分配することが可能である。ハウジング及び矩形クロスフローカートリッジ間の界面はシール(図示なし)を備えて形成されて、供給流体が給水間隙のせん断領域をバイパスせず且つ透過水から供給流体及び濃縮水を隔離するようにされる。スラスト格子(図示なし)を矩形クロスフローカートリッジの濃縮水出口側の分離リーフに対向するように位置決めすると共に、カートリッジ、より好適にはハウジングに接続することが可能である。
【0065】
クロスフロー装置170の別の例を図19乃至図21に表す。この装置では、少なくとも1つのフィルタ要素172、好適には積み重ねた2つ以上のフィルタ要素がハウジング内に配置される。核フィルタ要素172は、少なくとも1つの多孔質媒体174、好適には2つの多孔質媒体174を有し、該媒体は透過水通路176に重なる。フィルタ要素172は、任意の適当な方法でハウジング内に配置することが可能であり、例えば、ハウジング内に、または、マニホールドを備えた自己収容積み重ね配置として配置されて、多孔質媒体174と作動関係にあるせん断領域180を有した狭い間隙178を含む給水チャネルを画成する。斯かる間隙178は、約0.03mm以下ないし1.30mm以上の範囲の高さを有するのが好適である。前記間隙は、空隙であっても良く、または、供給流体を流通可能なメッシュまたは波形材料等の任意の多孔質材料またはチャネル材料から成ることが可能である。例示の実施例では、給水チャネルは、中央給水入口179と周辺濃縮水出口との間に伸長し、供給流体は積み重ねたフィルタ要素172を内側から外側へ向かって流通するように指向される。内側から外側に向かった流は、フィルタ要素が給水入口と濃縮水出口間の差圧を散逸させるのに特に好適である。或いは、供給流体を前記積み重ねたフィルタ要素を介して外側から内側へ向かって指向することも可能である。本発明の別の態様によれば、フィルタ要素172は、せん断領域180と作動関係にある透過水通路176をたった1つ含み、該透過水通路176は、給水流の方向の幅が約40mmにされる。該幅を40mmに制限することで透過水通路内での透過水流/圧力の制御が容易になる。従って、透過水流/圧力制御装置は省略することが可能である。透過水通路は空隙とすることも、または、多孔質またはチャネル材料から成るようにすることも可能である。透過水通路は空隙とすることも、または、透過水が流通する透過質材料とすることも可能である。フィルタ要素172からの透過水は共通の透過水マニホールド182に供給すると共に、透過水出口184へ指向することが可能である。透過水マニホールドは、フィルタ要素に沿った任意の部位に配置することが可能であると共に、任意の適当な方向へ伸長して透過水通路から透過水を収集すると共に、透過水出口へ指向することが可能である。
【0066】
上記の例示の実施例では、各フィルタ要素172は、中空で、全体押して円形の形状を備える。しかしながら、フィルタ要素は、任意の適当な形状を有することが可能であり、斯かる形状には、例えば、中空で矩形、例えば、方形の形状、または、三角形の形状、または楕円形の形状またはその他の任意の閉鎖形状が含まれる。或いは、フィルタ要素は、既に説明した分離リーフの形状の如き非多角形の形状を有することも可能である。更に、別の代替例として、供給流体は、1つの平らなフィルタ要素に隣接した間隙にそって指向され、中央で供給されるのが好適である。しかしながら、中空の円形を含んだ中空の多角形の形状が、供給流体が、複数の次元に、例えば、x及びyカルテシアン(Cartesian)次元の双方に流通することが可能となることから好適である。これにより、クロスフロー装置170に作用する力のバランスがより良くなると共に、ハウジングを軽量で構造的に複雑でない物とすることが可能となる。全体として、繰り返しパターンの任意の多次元形状を使用することが可能となる。
【0067】
更に、フィルタ要素172は、様々に作製することが可能である。例えば、例示の実施例では、多孔質媒体174を支持プレート186上に支持することが可能である。支持プレート186は、上記に説明した透過水グリッドに類似の方法で、プロフィールされた先端縁188、プロフィールされた後端縁190及び該先端縁及び後端縁188、190間に伸長した複数のリブ192を含んで作製することが可能である。リブ192は、開口部194を含んで、透過水が透過水通路176内で透過水マニホールド182に連結した半径方向に伸長した透過水ダクト196まで流れるのを可能にする。各支持プレートは、2つ以上の透過水ダクトを含むことが可能であり、透過水マニホールドは、好適には対称的に積み重ねたフィルタ要素に取り付けられた対応する数の軸線方向の導管を含むことが可能である。該マニホールド導管は、次いで、透過水出口に透過したドレインのみならず積み重ねたフィルタ要素を構造的に支持することが可能である。
【0068】
例示の実施例の透過水通路176の幅は、約40mm未満であり、好適には20mm未満、約15mm未満、約10mm未満、約5mm未満、または、約1mm以下でさえも良い。幅を制限することで透過水流/圧力の制御が容易になると共に、バルブ、細管またはオリフィス等の透過水制御装置の必要性を排除することができる。しかしながら、クロスフロー装置、例えば、透過水ダクトまたは透過水導管等に透過水制御装置を配置するようにすることも可能である。
【0069】
透過水通路176上に載る多孔質媒体174は、多孔質膜支持のみならず多孔質膜を含んだ上記に説明した多孔質媒体の任意のものを含むことが可能である。例示した実施例は、多孔質膜及び多孔質膜支持の双方を含むが、実施例によっては、前記透過質膜支持を省略することが可能である。更に、多孔質媒体174を上記に説明した如く、溶剤結合方法を含んだ方法で支持プレート186へ結合することが可能である。
【0070】
本発明の本態様を具現化したクロスフロー装置は、給水入口と濃縮水出口との差圧が低くとも、非常に高いせん断速度、簡単且つ効果的透過水制御及び供給流体の循環が殆どまたはまったく無くとも効果的な分離を提供する。更に、構造が複雑にならない。更に、2つ以上のクロスフロー装置を直列、平行、または、様々な直列/平行配列に接続することが可能である。更に、これらの配列は、作動中に修正することが可能であり、例えば、始動時にはスターリングフローを防止するように、または長時間作動させた後では、差圧増加に対応するように修正することが可能である。
【0071】
本発明の様々な態様を多数の実施例を参照して説明してきた。しかしながら、本発明は、それらの実施例に限定されるものではない。例えば、前記実施例のいずれかの特徴の1つ以上を他の実施例の特徴の1つ以上とを本発明の範囲を逸脱することなく結合することが可能である。更に、前記実施例のいずれかの特徴の1つ以上を本発明の範囲を逸脱することなく修正または省略することが可能である。因って、本発明の様々な態様は、冒頭の特許請求の範囲に規定される如く、本発明の趣旨及び範囲内に含まれる全ての修正を含む。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】クロスフロー装置の略図である。
【図2】図1のクロスフロー装置の断面図である。
【図3】別のクロスフロー装置の断面図である。
【図4】図3のクロスフロー装置の一部拡大図である。
【図5】流束対時間のグラフである。
【図6】圧力対時間のグラフである。
【図7】別のクロスフロー装置の一部破断図である。
【図8】図7のクロスフロー装置の断面図である。
【図9】分離リーフをスプールの周りに巻きつける前の図7のクロスフロー装置の分離パックの端面図である。
【図10】図7のクロスフロー装置の分離リーフの斜視図である。
【図11】図10の分離リーフの外側部分の一部断面斜視図である。
【図12】図10の分離リーフの内側部分の一部断面斜視図である。
【図13】図12の分離リーフの内側部分の一部断面斜視図であり、分解した透過水グリッド及び内側ヘッダーを示す。
【図14】図14A乃至Dは、多孔質媒体間のスペーサを図示した部分正面図である。
【図15】追加のクロスフロー装置の斜視図である。
【図16】追加のクロスフロー装置の斜視図である。
【図17】図17A乃至17Dは、それぞれ、組み付けられた状態と分解された状態における、図15及び図16のクロスフロー装置の分離リーフの端部を示す部分斜視図である。
【図18】クロスフロー装置の組立体の斜視図である。
【図19】別のクロスフロー装置の概略図である。
【図20】図19のクロスフロー装置の積み重ねたフィルタ要素の頂面図である。
【図21】図20の積み重ねたフィルタ要素の一部断面図である。
【技術分野】
【0001】
本願は、米合衆国出願番号第60/117,972号の優先権を主張するものであり、本書に参照として組み入れてある。
【0002】
本発明は、流体中に懸濁した粒子を含んだ混合物からの粒子及び/または流体の分離に関する。例えば、本発明は、流体から粒子を除去することによる流体の浄化または透明化、流体から1つ以上のタイプ、サイズまたは種類の粒子を除去することによる粒子の分離及び流体の一部を除去することによる1つ以上のタイプ、サイズまたは種類の粒子の凝縮に関する。
【0003】
本発明は、超微小濾過、限外濾過、ナノ濾過、逆浸透、及び、例えば、国際公報第WO98/09717号に記載されている如きせん断分離における広範な粒子及び流体に使用することが可能である。例えば、斯かる粒子は、生物工学的プロセスや、化粧品製造プロセス及び医薬品製造プロセスに共通した生物学的流体等の流体に懸濁した高分子、ミセル、脂肪体(Liposomes)またはバクテリアである。別の例としては、斯かる粒子は、様々な金属加工作業から生じるオイルに浮遊した金属破壊屑である。更に別の例としては、斯かる粒子は、製紙工程の様々な工程から生じる水に懸濁した紙の繊維であり、または、オイル質の廃棄物の洗浄中に生じる水に浮遊したオイル滴である。
【背景技術】
【0004】
従来の分離の1つのタイプは「行き止まり(dead−end)」濾過である。行き止まり濾過では、懸濁した粒子を含んだ流体が流路に沿って指向され、該流路において多孔質膜等の多孔質のフィルタ媒体を流通させられる。この多孔質膜の主たる特性はその孔サイズの分布である。孔サイズ分布に比較したら比較的小さな粒子は流体と一緒に多孔質膜を通過してしまうが、孔サイズ分布に比較して比較的大きな粒子は多孔質膜の表面または該膜の孔内に保持されて、流体中に懸濁した粒子の分離が行われる。大抵の粒子を保持するには大きく且つ大抵の粒子を通過させるには小さなサイズを多孔質膜の遮断サイズと呼ぶ。
【0005】
粒子が多孔質媒体内またはその表面に堆積してくると(即ち、汚れ(fouling)として公知のプロセス)、多孔質膜の孔の有効サイズが低減してくる。これにより多孔質膜を貫通する流れを維持するのに必要な動力を増大しなければならなくなると共に、遮断サイズが変化してくる。汚れの結果であるこれら双方は分離プロセスに重大な結果をもたらす。必要な動力の増大は分離プロセスのコストを増大すると共に、遮断サイズの変化は分離プロセスの機能に影響を及ぼす。多くの分離用途において、特に生物学的流体が関与した分離用途においては遮断サイズの変化は従来の行き止まりフィルタの使用を効果のないものにしてしまう。
【0006】
従来の分離の別のタイプは、「接線」または「クロスフロー」分離である。クロスフロー分離は、行き止まり濾過における汚れによる有害な影響を軽減することが出来ると共に、場合によっては排除することができる。クロスフロー分離においては、粒子と流体との混合物が通路またはチャネルを貫通するようにされ、斯かる通路またはチャネルの壁が多孔質膜等の多孔質媒体を含んでいる。前記混合物の一部(即ち、濃縮水)が多孔質膜に沿って接線方向に通過する一方で該混合物の残りの部分(即ち、透過水またはろ液)が多孔質膜を通過して分離が行われる。流れの一部を多孔質膜の表面に平行または接線方向に強制的に指向する目的は多孔質膜の表面近傍において高せん断層を発生させて、様々な機構により行き止まり濾過において発生する汚れを低減することである。
【0007】
効果的ではあるが、従来のクロスフロー分離に重大な問題がないというわけではない。1つの問題は、多孔質膜表面の流れの分布が均一でないことであり、特に、給水流用の幅広の矩形のチャネルを備えた平らな板状の膜から成るクロスフロー装置においてこの不均一な流れの分布が問題となる。従来のクロスフロー装置の管状及び矩形のチャネル形態の双方に影響を及ぼす別の問題は、従来のクロスフロー装置で生じるせん断速度が十分に速くないために多孔質膜の供給(または上流)側に高度に濃縮した懸濁粒子の層が発生するのを防止できないことである。この濃縮粒子の層はゲル層と呼ばれ、それにより生じる現象は濃度分極と呼ばれる。ゲル層は、多孔質膜より小さな孔を備えたフィルタとして作用する。一定のサイズの粒子を多孔質膜で保持した場合、遥かに小さな粒子はゲル層で保持される。その結果、従来のクロスフロー装置及び方法ではサイズの差が1桁未満の粒子は分離することが出来ない。
【0008】
斯かるゲル層はせん断速度を増大することで低減もしくは除去することが可能である。せん断速度は、従来のクロスフロー装置では104程度の逆秒であるが、供給入口と濃縮水出口との間の圧力勾配を大きくすることで増大することが可能である。しかしながら、一般的にはせん断速度を実質的に増大することは、供給入口から濃縮水出口までの圧力勾配を大きくすると装置の入口端で透過水の流束が大きくなると共に、濃縮水出口での透過水流束が比較的小さくなることから、実用的でないと考えられてきた。入口近傍で流束が大きくなるとせん断を妨害して濃度分極を引き起こす一方で、出口での流束が小さいと多孔質膜の処理高及び効率的利用が低減する。透過水出口下流のコントロールバルブにより透過水流を制限することではこの問題を軽減することにはならない。バルブで透過水流を制限すると多孔質膜の透過水側の圧力を均一に変化させるが、多孔質膜の上流側に沿った大きな圧力勾配を著しく変化させることにはならない。従って、入口近傍の透過水流束と出口近傍の透過水流束との差は残ったままである。透過水流を大幅に制限すると、入口端での流束は十分に低減して濃度分極を起こさずに済むが、出口端での透過水流束が逆流して多孔質膜の透過水側から濃縮水側へと流れることになる。この現象はスターリング(Starling)流として公知である。
【0009】
ゲル層は、また、せん断速度、多孔質膜特性及び分離中の懸濁液等の要因により決定される臨界値より低く透過水流束を維持することで大幅に低減または除去することが可能となる。膜を通しての圧力(TMP)を制御することで透過水流束を制御することが可能であり、但し、TMPは膜の上流側の部位の圧力と巻くの下流、即ち、透過水側の対応する点の圧力との差として定義することが可能である。膜を通過する流束はTMPが増大すると増大する傾向にある。しかしながら、流束の増大と共に汚れも増大する。故に、透過水流束とTMPとの間の関係は全体として直線的ではない。従来のクロスフロー装置においては、TMPが増大するに連れて、透過水流束が増大するが、TMPの増大の仕方に関係なく、透過水流束が漸近的に最大に接近するに連れて増大の速度はゼロに接近する。
【0010】
TMPを制御する周知の方法は、透過水流体を十分に速い流量で透過水通路を通して再循環させて、装置の入口端近傍の部分から装置の濃縮水端近傍の部分までの透過水通路内での圧力変化が膜の上流側に沿った対応する圧力降下と同じになるようにすることである。この方法は、特許文献1に記載されており、再循環透過水流を起こすポンプのコストが追加で必要となる。透過水を再循環させてTMPを均一に維持することの難しさは、一般的に透過水容積の流量は濃縮水流量より非常に小さいので、再循環速度が非常に大きくなってしまうことであり、または、透過水通路の断面積が非常に小さくて濃縮水側の圧力降下と等しい圧力降下を成立させることが出来ないことである。
【特許文献1】米国特許第4,105,547号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、多くの改良された分離装置及び方法を提供する。例えば、本発明の1態様によれば、分離装置は、供給流体流通する給水チャネルを備える。給水チャネルはせん断領域を含み、該せん断領域は供給流体流の方向に一定の長さを有する。分離装置は、また、透過水チャネルを1つだけ備え、該チャネルは給水チャネルのせん断領域と作動関係にある。透過水通路は、全体として供給流体流の方向に垂直に伸長する。透過水通路は、供給流体流の方向に一定の幅を有しており、該幅は給水チャネルのせん断領域の長さより小さくされる。分離装置は、更に、給水チャネルのせん断領域と透過水通路との間に位置決めされた多孔質媒体を備える。
【0012】
本発明の別の態様によれば、分離装置は、供給流体が流通する給水チャネルを備える。給水チャネルは、せん断領域を含む。分離装置は、また、透過水通路を1つだけ備え、該通路は給水チャネルのせん断領域と作動関係にある。透過水通路は、全体として供給流体流の方向に垂直に伸長すると共に、供給流体流の方向に一定の幅を有しており、該幅は約20mm未満にされる。分離装置は、更に、給水チャネルのせん断領域と透過水通路との間に位置決めされた多孔質媒体を備える。
【0013】
本発明の別の態様によれば、分離装置は、給水チャネルと、2つ以上の透過水通路と、多孔質媒体とを備える。給水チャネルはせん断領域を含み、且つ、透過水通路は給水チャネルのせん断領域と作動関係にある。更に、透過水通路は、少なくとも、第1及び第2の透過水通路を含み、該通路は互いに隔離される。多孔質媒体は、給水チャネルのせん断領域と透過水通路との間に位置決めされる。
【0014】
本発明の別の態様によれば、分離装置は、供給流体が流通する給水チャネルと、透過水が流通する2つ以上の透過水通路とを備える。給水チャネルはせん断領域を含み、且つ、透過水通路は給水チャネルのせん断領域と作動関係にある。分離装置は、更に、少なくとも、第1及び第2の流/圧力制御装置を備える。第1及び第2の流/圧力装置の各々は、1つの透過水を透過するように制御すると共に、または、1つの透過水通路または1グループの透過水通路内の圧力を制御するように配置されており、斯かる制御は、別の透過水通路または別のグループの透過水通路内の透過水流及び/または圧力から独立して行われる。分離装置は、更に、多孔質媒体を含み、該多孔質媒体は供給室のせん断領域と透過水通路との間に位置決めされる。
【0015】
本発明の別の態様によれば、分離方法は、供給流体中にせん断層を生成すること、及び、透過水をせん断層から第1の透過水通路内へ通過させることから成る。分離方法は、更に、透過水をせん断層から第1の透過水通路から隔離された第2の透過水通路内へ通過させることから成る。
【0016】
本発明の別の態様によれば、分離方法は、供給流体中にせん断層を生成すること、及び、透過水をせん断層から第1及び第2の透過水通路内へ通過させることから成る。分離方法は、更に、第1及び第2の透過水通路内の透過水流及び/または圧力を互いに独立して制御することから成る。
【0017】
本発明の別の態様によれば、分離方法は、多孔質媒体のせん断領域でせん断層を生成することから成る。分離方法は、更に、せん断領域の長さに沿って膜を通した圧力(TMP)を独立して増分制御することを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明の1つ以上の態様を具現化した分離装置及び方法は従来の装置及び方法より優れた多数の利点を提供する。例えば、実施態様の多くが従来の装置及び方法の幾つかより遥かに高いせん断速度、即ち、1桁以上高いせん断速度で作動する。従って、これらの実施態様は多孔質媒体を著しく汚すことなく、且つ、多孔質媒体に隣接してゲル層を形成することなく、より長い期間作動することができる。更に、実施態様の多くは、透過水流及び/または圧力を制御して、多孔質媒体全体を非常に効率良く使用すると共に、高いせん断速度でも透過水処理を高めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
1態様によれば、本発明は、供給入口と濃縮水出口との間のせん断領域において高せん断層を生成して、ゲル層の形成を防止するのに十分大きなせん断速度で作動する共に、多孔質膜の長さ方向のせん断領域内の透過水流または圧力、従って、透過水を再循環することなくTMPを制御するクロスフロー分離装置及び方法を提供する。供給流体は、該装置をたった一度だけ通過する時にせん断領域を通過するように指向することが可能であり、または、多数回通過モードの場合には循環するようにすることが可能である。多孔質媒体は処理中の流体のタイプ及び、例えば、超微小濾過、限外濾過、ナノ濾過、逆浸透、または、せん断分離等の所望の分離タイプに適したものならいずれの分離媒体であっても良い。多孔質媒体は、多孔質金属媒体、多孔質セラミック媒体、多孔質ガラス媒体、または、多孔質高分子媒体を備えることが可能である。多孔質媒体の形態は、多孔質のシートまたは管、織繊維ウェブまたは不織繊維ウェブ、繊維塊、または、多孔質膜または半透膜とすることが可能である。好適な多孔質媒体には、高分子膜、織った微細金属メッシュ及び多孔質金等の多孔質金属が含まれる。
【0020】
本発明を具現化した様々なクロスフロー装置及び方法では、大量の供給流を多孔質表面を有した狭い間隙または多孔質壁を有した小径の管を通してせん断領域に強制的に流すことで、例えば、500,000逆秒を超える、更には700,000逆秒を超える高いせん断速度を発生させることが可能となる。大きな流量を強制的に狭い間隙を貫通させると装置の供給入口と濃縮水出口との間のせん断領域において大きな圧力降下が発生し、供給入口と濃縮水出口間の前記の如き大きな差圧が存在することで、透過水流または圧力、従って、TMPの制御が好適に行われる。本発明の1態様によれば、せん断領域近傍の透過水路は少なくとも1つの透過水流通路、好適には複数の独立した透過水流通路に分割される。斯かる通路は供給流の方向に概ね直交するような配向にされるのが好適である。透過水流通路(または透過水流通路のグループ)は互いに隔離されて各透過水流通路(またはグループ)内で透過水流または圧力が独立したものとなり、せん断領域の全長に沿ってTMPが増分制御されるのが好適である。透過水通路内の透過水流または圧力は、各透過水通路(またはグループ)に対するTMPがせん断領域の全長に沿ったTMPの所望の関係と合致するように制御されるのが好適である。例えば、せん断領域の全長に沿ってTMPを一定にする、即ち、TMPを均一にすることが望ましい場合もあり、または、せん断領域に沿った1つ以上の部位のTMPをその他の部位より高くしたり、または、低くしたりする、即ち、TMPを不均一にするのが望ましい場合がある。
【0021】
本発明を具現化したクロスフロー装置の一例の流路のスケッチを図1及び図2に図示する。本装置10では、2つの全体として平らな、狭い間隙の供給(または濃縮水)チャネル12が図示されている。或いは、1つまたは3つ以上の給水チャネルを使用することができる。例えば、より多数の供給シャネルを備えたクロスフロー装置を図示の構造を縦方向に繰り返し積み重ねて構成することができる。各チャネル12は、供給入口16と濃縮水出口18との間の間隙中にせん断領域を含み、該せん断領域においては、図2に図示する如く流体が供給入口16から濃縮水出口18へ流れる時に高せん断層が発生する。各狭い間隙は約0.07mm乃至約1.30mmの範囲の一定の高さ、好適には均一の高さを有する。各給水チャネル12は、また、多孔質膜等の上部多孔質媒体20及び下部多孔質媒体20を含むのが好適であり、斯かる多孔質媒体の各々は給水チャネル12のせん断領域14において多孔質表面を画成して、図2に図示する如く、給水チャネル12のせん断領域14を透過水通路22から分離する。或いは、各給水チャネルにたった1つの多孔質媒体を配置することが可能である。供給マニホールドを配置して1本の供給管から多数の給水チャネルへ流体を流すようにすることが可能である。濃縮水マニホールドを配置して多数の濃縮水出口から1本の濃縮水管へ流体を流すようにすることが可能である。
【0022】
給水チャネル12から多孔質膜20を貫通する流体は供給流の方向に直交するように配向されるのが好適である多数の透過水通路22の1つに流入する。各透過水通路22は、1つの透過水通路22の供給流方向の横断スパン(即ち、透過水通路の幅)が給水チャネル12のせん断領域14の全長の小セグメント、例えば、約75%未満、好適には約50%未満、より好適には25%未満、更に好適には15%乃至10%未満を含むような寸法にされるのが好適である。従って、各透過水通路22の上流即ち先端縁から下流即ち後端縁までの給水チャネル12に沿った差圧は比較的小さなものとなる。透過水通路22の幅はそれぞれに変えることが可能であるが、幅は均一であるのが好適であり、約2mm以下から約15mm以上の範囲にあるのが好適である。各透過水通路22の幅は、透過水通路22の先端縁から後端縁までのTMPの差が好適には約10psi程度以下、より好適には約1psi程度となるような寸法にすること可能である。
【0023】
透過水流または圧力は様々に制御することが可能である。例えば、透過水通路からの透過水流を1組の流及び/または圧力制御装置に指向することが可能である。斯かる流及び/または圧力制御装置は任意の適当な方法に構成することが可能であり、例えば、制流子またはバルブとして構成することも含む。精密な制御をする必要がない場合には固定または可動オリフィスまたは細管等の制流子が好適である。好適には、流/圧力制御装置は、図1に図示する如き1組の流制御バルブを備える。各透過水通路22を異なる流制御バルブ24に接続することが可能である。しかしながら、供給圧力がおなじ透過水通路22a、22b、・・・22i、22jを共通の流制御バルブ24a・・・24jと一緒にグループ化することが好適である。例示の実施例では、供給入口16の下流の同一距離から透過水を取る全ての透過水通路22a、22b、・・・22i、22jの流は同一の制御バルブ24a・・・24jへ指向される。故に、制御バルブ24の数はたった1つの多孔質膜20kらの透過水が分割される透過水通路22の数と等しくなる。(図を簡単にするために、図1では最初と最後の制御バルブ24a、24jのみを図示する。)或いは、1つの透過水通路と1つ以上の下流の透過水通路、例えば、2つの隣接した透過水通路22a、22bとを同一の制御バルブに連結することが可能である。各流制御バルブ24a・・・24jの出口に共通の透過水マニホールド26を供給することが可能である。
【0024】
各流制御バルブ24を(手動または流/圧力制御装置に連結することが可能であり、且つ、制御機構の一部としてフィードバックを使用することも、または、使用しないことも可能な制御システムにより)調整して透過水通路22内の流または圧力を所望の流または圧力に、及び、従って、透過水通路22に関係した多孔質膜20を横断するTMPを所望のTMPに維持する。異なる透過水通路22に異なる透過水流または透過水圧力を提供することが可能である。制御バルブ10を調整して各透過水通路22内にせん断領域14の全長に沿って略均一なTMPを発生する透過水流または圧力を提供するのが好適である。しかしながら、制御バルブ10を調整してせん断領域14の全長に沿って不均一のTMPを提供することが可能である。更に、初期のTMPが均一であってもまたは不均一であっても、制御バルブ10を時間が経つに連れて透過水通路22内の透過水流または圧力を変動するように調整して、例えば、多孔質膜の透過性の変化を補償するようにすることが可能である。
【0025】
本発明を具現化したクロスフロー装置の従来のクロスフロー装置に対する1つの利点は、透過水流れ/圧力またはTMPの制御の信頼性を維持しつつ、より高いせん断速度を発生することが可能となることである。これにより、粒子を分離する多孔質膜の孔サイズ分布及び/または国際公報第WO98/09717に記載された如く多孔質膜特性とは独立して粒子を分離するせん断効果を利用して、ゲル層の干渉をなくして分離を達成することが出来る。せん断速度が非常に大きなことから、上記の分離を達成する透過水流量は従来のクロスフローで達成できるものより数桁大きくなる。
【0026】
本発明を具現化したクロスフロー装置の従来のクロスフロー装置に対する別の利点は、供給流路の全長に亘って局部的に透過水流の制御ができることである。この局部制御の空間的分解能は透過水通路の幅に合致し、該幅は所望なだけ狭くすることができる。透過水通路の幅が狭くなればなる程、空間的分解のが大きくなると共に、流制御バルブ数も大きくなる。
【0027】
本発明を具現化したクロスフロー装置30の別の例を図3及び図4に図示する。このクロスフロー装置30は、試験組織構成の一部として配置することが可能であり、試験取り付け具32及びフィルタ要素34を含むことが可能である。
【0028】
試験取り付け具32は、供給入口38と濃縮水出口40との間に伸長した給水チャネル36を含む。給水チャネル36は、狭い間隙44中にせん断領域42を含む。斯かる間隙44は、密封した間隙断面のみならず、フィルタ要素34の多孔質膜46の表面と、該多孔質膜46の反対の取り付け壁48との間では均一で安定した高さをして、確実に流の読みが直接間隙44間の圧力降下に関係するようにするのが好適である。間隙の幅及び長さは、本発明の範囲を逸脱しなければ、様々な寸法にすることが可能である。高さは、約0.07mm乃至約1.30mmの範囲にあるのが好適である。例示の実施例では、間隙44の長さは約17.6mmであり、幅は約40mmであり、且つ、高さは約0.178mmである。
【0029】
試験取り付け具32はさまざまに構成することが可能である。例えば、試験取り付け具32は、堅牢なポリマー及び例えばステンレススチール等の金属等の構造的に堅牢な材料から構成した上部ハウジング部50及び下部ハウジング部52を含むことが可能である。上部ハウジング部50は、供給入口38及び濃縮水出口40を含むことが可能である。下部ハウジング部52は、透過水出口54及び透過水ポートOリング58を含むことが可能である。下部ハウジング部52は、また、フィルタ要素34の構造的保全性を高めると共に、均一な間隙44を提供する一助をなす。
【0030】
フィルタ要素34は、支持プレート60を含むのが好適である。多孔質膜支持2は支持プレート60上に配置されると共に、多孔質膜46は多孔質膜支持62上に配置される。多孔質膜支持62及び多孔質膜46の双方が、例えば、好適には溶剤結合で支持プレート60に永久固定されると共に、好適には支持プレート60の全寸法方向に伸長して確実に間隙44において流れの混乱が起きないようにされる。支持プレート60、多孔質膜支持62及び多孔質膜46の各々は、様々な適当な材料から形成することが可能である。例示した実施例では、支持プレート60は、堅牢な金属またはポリスルホンプレート等の高分子材料から成り、多孔質膜支持62は、織ったまたは不織の高分子シートまたはメッシュから成り、及び、多孔質膜46は、ポールコーポレーション(Pall Corporation)製の如き35psiKL及び0.152mm厚さのナイロン66膜等の高分子膜から成ることか可能である。多孔質膜は、本実施例には好適な多孔質媒体であるが、織ったまたは不織の高分子シートまたは多孔質金属シートを含んだその他の多孔質媒体も適している。
【0031】
例示の実施例のクロスフロー装置30は、せん断領域に42に関係したたった1つの透過水通路64を有する。斯かる透過水通路64は、供給流の方向に概ね直交するように伸長するのが好適であり、間隙44の長さに比較して先端縁から後端縁までの幅が比較的狭くされる。例えば、透過水通路64の幅は、好適には間隙44の長さの約75%未満であり、より好適には約60%未満である。透過水通路64の相対的長さを制限することで透過水通路64内の透過水流及び/または圧力の制御が容易になる。従って、透過水流/圧力制御装置を省略することが可能となる。間隙44は、流入する供給流を真っ直ぐにするのに十分な距離透過水通路64の先端縁の上流に伸長するのが好適である。例えば、例示の実施例では、透過水通路64の先端縁は間隙入口から約5mmであり、透過水通路64の後端縁は間隙出口から約2mmである。
【0032】
透過水通路64は、任意の適切な方法で図1及び図2に図示した連続した矩形のチャネルとして形成することが可能である。図3及び図4に例示した実施例では、透過水通路64は支持プレート60に形成されると共に、互いに隣接して平行に配置された幾つかのスロットを備える。スロットの数及び寸法はさまざまにすることが可能であるが、例示の実施例では、約30の隣接したスロットがあり、該スロットは約0.64mm離されており、各スロットの幅は約0.64mmであり、長さは10.75mmである。スロットの総面積は約0.0004平方メートルであり、該総面積は、流束速度計算に使用する尺度である。スロットは、支持プレート60の表面下に伸びるダクト66により流体接続されて透過水通路64を形成する。透過水マニホールド68が透過水ダクト66から下部ハウジング部52の透過水付属品を貫通して透過水出口54mで伸びる。
【0033】
前記の試験組織構成は、更に、例えば、3.81cm(1.5インチ)の3クランプ取り付けポートにより取り付けられたクロスフロー装置30の直ぐ上流及び直ぐ下流の圧力センサを含むことが可能である。低圧力降下配管は、供給圧力センサと取り付け具間隙44との間及び濃縮水圧力センサと取り付け具間隙44との間に伸長して、実質的に該間隙44により圧力降下が確実に生じるようにするのが好適である。圧力センサの下流にダイヤフラムバルブを取り付けて間隙44間の流量及び圧力降下を調節することが可能である。給水は遠心ポンプにより熱交換器を通して供給して温度が均一な給水を提供するようにすることが可能であり、且つ、該給水温度を給水圧力センサの直ぐ上流で監視することが可能である。ダイヤフラムバルブを透過水出口54に取り付けてTMP及び透過水流/圧力を制御すると共に、透過水圧力センサを透過水バルブの上流に取り付けるのが好適である。
【0034】
図3及び図4に図示したクロスフロー装置30を任意の適当な方法で分析することが可能であり、例えば、2つの圧力降下値を使用してクロスフロー装置30を特徴付けることが可能である。第1は、間隙44に沿った総供給圧力降下(PG)である。所定の間隙高さ及び長さと流体特性では、PGは壁せん断速度により決定され、壁せん断速度は均一な間隙44の全長にそって略一定である。第2は、透過水通路64間に伸びる間隙長の一部に沿った供給圧力降下(PM)である。P1が透過水通路64の先端縁における圧力、且つ、P2が透過水通路64の後端縁における圧力とした場合で、PM=P1−P2であれば、TMPを計算するには、透過水通路の供給圧力PFをPF=P2+(0.5)(PM)と定義する。TMPはPF−PPに等しくなる、但し、PPは透過水圧力である。
【0035】
図3及び図4に図示したクロスフロー装置30及び前記試験組織構成は、広範な種類の流体に使用することが可能である。1つの例は原料スキムミルクの濾過である。しかしながら、この例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0036】
例
図3及び図4に図示したクロスフロー装置30及び該クロスフロー装置30を組み込んだ前記試験組織構成を使用して約52.8℃(華氏127度)の原料スキムミルクを濾過した。7×105逆秒のせん断速度を発生する間隙44に沿った目標圧力降下PGは20psiであった。
【0037】
試運転を開始する前に条件を設定して多孔質膜がスターリングフローの逆圧力で破壊されるのを防止すると共に、多孔質膜の早期汚れを防止するようにした。目標供給ミルク流量は、試験取り付け具の上流のドレイン用バイパス(bypass−to−drain)内で目標流量、圧力及び温度に確立した。試験取り付け具を水で事前に暖めると共に、濃縮水バルブを目標圧力降下PGの半分が発生するように設定した。次いで、供給ミルク圧力をPGの半分に下げ、試験取り付け具への水流を停止し、且つ、ミルク流を試験取り付け具内へ進路を変換した。透過水バルブを極僅か開いて若干の透過水を流して透過水圧力を下げると共に、スターリングフロー背圧を下げた。直後に、濃縮水バルブを開いて目標間隙圧力降下PGを提供することで、総供給流量が約4リットル/分になった。透過水流を監視すると共に、透過水バルブを調整して目標投下水速度を維持した。実験の過程で透過水速度を上昇させて時間を延長して維持した。実験は約6時間後に終了すると共に、認められる多孔質膜の汚れは殆どなかった。
【0038】
図5及び図6は試験結果を示す。流束及び汚れデータの結論は、原料スキムミルクの濾過を2130LMH(リットル/m2時)の流束速度で無限に継続することが可能であった、または、流束速度を更に増大することが可能であったと言うことである。
【0039】
上記例は、また、小さな透過水チャネル内のTMPまたは投下水流/圧力を制御しつつ、非常に高いせん断速度クロスフロー装置に加えることが出来ること、及び、非常に高いせん断速度により多孔質膜の汚れを著しく低減させるか、または、防止できて、これによりゲル層の形成をなくすと共に、多孔質膜特性をさらに十分に分離工程に利用することができることを示す。
【0040】
上記例は、また、供給流量、せん断速度及び間隙圧力降下が非常に高くても、好適には供給流方向に直交するような向きにされた低抵抗透過水チャネル及びバルブ等の透過水流及び圧力を制御する装置を使用することでクロスフロー装置においてTMPを実際的かつ信頼性を持って制御することが可能となることを示す。
【0041】
更に、上記例は、幾つかの修正を施すことが可能である。例えば、一連の幾何学的に平行な透過水チャネルを間隙の全長の大部分または全部に亘って伸長するように構成することが可能である。透過水チャネルの幅を増減させて、例えば、特に始動時のスターリングフローに取り組むとか、または、前記の供給流体中における強度または汚れ傾向等の膜の特性に取り組むようにすることが可能である。多数のクロスフロー間隙を平行に構成すると共に、同一の透過水圧力を有した前記間隙に関係した透過水チャネルを供給するようにするか、または、マニホールドで共通の制御バルブへ集配することも可能である。上記に説明した如く、追加のクロスフロー間隙及び間隙及び透過水通路群を供給流容積の利点を生かすように直列に構成することも、または、ブースターポンプを個々の群の間に追加して構成することも可能である。
【0042】
本発明の態様を平らなクロスフロー装置に関連させて説明してきたが、本発明は、該特徴に限定されるものではない。当業者であれば、特に前記の教示したことを鑑みれば、修正をしたり、代替例を利用できることは自明である。例えば、円筒状または管状クロスフロー装置及び方法も本発明の様々な態様を具現化することが可能である。
【0043】
円筒状クロスフロー装置80の1例をを図7及び図8に例示する。該円筒状クロスフロー装置80は、円筒状カートリッジ82を備えており、該カートリッジは、不透過性の円筒状シェル84及び該シェル84内に位置決めした分離パック86を含む。分離パック85は、中央スプール88及び1つ以上の分離リーフ90を備えており、該リーフは前記すプール88の周りに巻きつけられて隣接するリーフ90間に狭い間隙92を画成し、該隣接するリーフは給水チャネルのせん断領域94としての役割を果たす。供給流体流はカートリッジ82の第1端部内へ指向され、分離パック86の第1端部内へ流入して、幅狭の給水チャネルせん断領域94に沿った間隙92を軸線方向に貫通して、分離パック86の第2端部まで流れる。分離パック86は、シェル84内で、例えば、ポリウレタン等の注封材料96で封止されるのが好適である。注封材料96は供給流体が、例えば、シェル84と分離パック86との間の間隙等の制御されない間隙に沿って分離パック86をバイパスするのを防止する。その他の封止機構が、例えば、国際出願番号第PCT/US/0509号に開示されており、該国際出願は参考として本書に組み入れられている。或いは、前記カートリッジ内の狭い間隙に類似した狭い外側間隙を最外側リーフ(複数のリーフ)とシェルとの間に画成するように分離パック及びシェルを配置して、前記間隙と連繋する多孔質媒体上にせん断領域を設ける。
【0044】
分離パック86は、供給流体流を透過水流及び濃縮水流に分離する。透過水流及び濃縮水流派は、濃縮水流から透過水流を隔離する円筒状カートリッジ92から任意の適当な方法で流出する。例示の実施例では、透過水流は、分離パック86の第2端部からシェル84を貫通して伸長する透過水出口導管98を介して円筒状カートリッジ82を流出するのが好適である。濃縮水流は、分離パック86の第2端部からスラスト格子100を貫通して伸長して、円筒状カートリッジ82の開放した第2端部を介して流出するのが好適である。スラスト格子100は、分離リーフ90に接触するのが好適であり、且つ、分離パック86の第1端部から第2端部までの給水チャネルを介した供給流体圧力降下による濃縮水流からのスラストに反作用する。スラスト格子100は様々に構成することが可能であり、好適にはシェル84に取り付けられて、スラスト力をシェル84に伝達すると共に、加わった力を維持、低減し、且つ、分離リーフ90を適所に維持する一助となる。しかしながら、スラスト格子100を例えば、スプール88の端部等の任意のその他の適当な部位において分離パック86の第2端部に取り付けることが可能である。
【0045】
分離パックは様々に構成することが可能である。例えば、例示の実施例では、分離パック86は、中央の透過水収集スプール88及び1つ以上の分離リーフ90を備えており、該分離リーフは、好適には螺旋状に、前記スプール88に連結されると共に巻きつけられる。図9に図示する如く、スプール88は、渦巻き状の形状を有して1つ以上の螺旋状に巻きつけられた分離リーフ90を中央で支持するのが好適である。スプール88は、また、1つ以上の通路(図示なし)を含んで透過水を分離リーフ90から透過水出口導管98まで流体連絡させる。
【0046】
図10乃至図12に図示する如く、各分離リーフ90は、透過水グリッド102、多孔質膜等の多孔質媒体104及び透過水グリッド102の各端部に取り付けられたヘッダ106、108を含み、前記多孔質グリッド102は透過水グリッド102の対向する広域面の各々に取り付けられるのが好適である。透過水グリッド102は、比較的薄い方が好適であると共に、十分な可撓性を有してリーフ90がスプール88及びその他のリーフ90の周りに巻きつけられるのを可能にする。透過水グリッド102は、高分子材料から成るのが好適であり、押し出し品、巻締押し出し品、巻締フィルム、射出成形構造体等の成形構造体、または、あまり好適ではないが、機械加工グリッドとして形成することが可能である。
【0047】
透過水グリッド102は、複数の平行なリブ110を含むのが好適であり、該平行はリブは、透過水溝等の複数の透過水チャネル102を画成する。透過水リブ110及び透過水溝112は、供給流体方向に略直交するように配向されるのが好適である。各透過水溝112は、好適には断面積が十分に大きくて、前記溝に沿った透過水流による外側端から内側端までの圧力降下が、多孔質膜104を介しての圧力降下または分離パック86の給水端から濃縮水端までの圧力降下に比較して比較的小さくなる。透過水グリッド102は、また、先端縁及び後端縁114、116を有するのが好適であり、該先端縁及び後端縁は、給水流が分離パック86内へ円滑に移行し、且つ、濃縮水流が分離パック86から円滑に移行するようなプロフィールにされる。更に、透過水グリッド102は、多孔質媒体104を取り付けることが可能なポケットを画成する双方の広域面上の1つ以上のステップ118を有することが可能である。ステップ118は、多孔質媒体104が2つ以上の層を含む場合には好適である。
【0048】
多孔質媒体104は、好適には、少なくとも1つの支持または不支持の多孔質膜を含んだ1つ以上の層を備えることが可能であり、該多孔質媒体は、任意の適当な方法で透過水グリッド102に取り付けられる。1つの膜を透過水グリッド102の各広域面に、該膜を溶剤または接着剤結合またはヒートシールを含んだ任意の適当な方法でリブ110及びステップ118に取り付け且つ封止することで固着することが可能である。リブ110への取り付けにより、多孔質膜104を背圧に対して支持することが可能となり、多孔質膜がうねるのを防止され、給水チャネル間隙の高さを低くすることが可能となる。更に、多孔質膜104をリブ110に取り付けることで、透過水グリッド102内で透過水溝112の各々が隔離される。多孔質膜104をポケット内でステップ118に固着することにより、膜102が先端縁及び後端縁114、116の表面と略面一になって、流の不連続及び流体流による膜の損傷が防止される。或いは、透過水グリッドにステップを設けなくても良く、多孔質膜は給水チャネルの狭い間隙の外側へ伸長することが可能であると共に、先端縁及び後端縁のプロフィール表面に結合することが可能である。
【0049】
多孔質媒体が2つ以上の層を備える場合には、追加の層を追加のステップにとりつける、または、先端縁及び後端縁のプロフィールに連結することが可能である。隣接した媒体層は、また、透過水が媒体層を貫通するのを可能にする任意の適当な方法で互いに接合される。例えば、隣接した媒体層は、連続的にまたは周期的に、例えば、透過水溝に平行なストリップに連結して、媒体層間で給水方法に透過水が再循環するのを禁止すると共に、該再循環は、禁止されなければ、背圧により多孔質媒体をうねらせるように作用する。好適には、最外側媒体層は、任意の適当な方法で取り付けられて、給水チャネル間隙に連繋する略平らな媒体表面となるようにされる。
【0050】
ヘッダー106、108は、透過水グリッド102の各端に取り付けることが可能であり、好適には、多孔質媒体104は、また、ヘッダー106、108に取り付けられる。例えば、ヘッダー106、108は透過可能なグリッド102と同様な方法で段付きにすることが可能であり、多孔質媒体104の1つ以上の層を透過水グリッド102に関して前記した如く、ヘッダー106、108のポケット内に固着することがかのうである。或いは、多孔質媒体は、任意のその他の適当な方法でヘッダーに固着することで可能である。例えば、多孔質媒体を透過可能なグリッドを超えてヘッダーの上部または下部表面上へ伸長することが可能であり、そこにおいて前記多孔質媒体が取り付けられる。ヘッダー106、108は、例えば、高分子材料等の透過水グリッド102と同一の材料から形成することが可能である。多孔質媒体104を溶剤接着により取りつける場合には、透過水グリッド102及びヘッダ106、108の双方を高分子材料から構成することが可能であり、該高分子材料は、前記多孔質媒体104に比較して、溶剤に優先的に溶解する。
【0051】
スプール88から隔置されたヘッダー106、即ち外側ヘッダーはめくらヘッダーあり、透過水溝112または溝のグループで終端することが可能であり、該溝はリブ110及び多孔質媒体104により画成される。めくらヘッダー106は、各透過水溝112または透過水のグループを互いから隔離する方法で透過水グリッド102及び多孔質媒体104に接合されるのが好適である。スプール88に最も近いヘッダー108、即ち、内側ヘッダーは、スプール88に連結されて透過水が透過水グリッド102内の透過水溝112からスプール88内の透過水通路まで、従って、透過水出口導管98まで流れるようにされる。例えば、内側ヘッダー108は、前記グリッド102内の透過水溝112または透過水溝のグループと前記スプール88内の透過水通路間を連絡する1つ以上の通路を含むことが可能である。
【0052】
各透過水溝または透過水溝のグループの透過水流/圧力を制御する装置は、分離カートリッジと様々に作動関係にすることが可能である。例えば、制御装置は分離カートリッジの外側にあっても良い。透過水グリッドの透過水溝または溝のグループはそれぞれ内側ヘッダーの対応する隔離された透過水通路と連絡することが可能であり、該透過水通路は、代わって、スプールの対応する隔離された透過水通路とそれぞれ連絡することが可能である。スプール通路は、代わって、それぞれたった一つの出口透過水導管の別々の透過水出口導管または隔離された透過水通路と連絡することが可能である。個々の透過水流は、次いで、流/圧力制御装置、例えば、別々のカートリッジに対して外側のバルブに接続すると共に、共通のマニホールドに送られるようにすることが可能である。
【0053】
別の代替例として、制御装置をスプール内に配置することが可能である。個々の透過水溝または溝のグループに対向した個々の透過水流は、内側ヘッダーからスプール内のそれぞれの流/圧力制御装置まで流れる。透過水流は、制御装置から共通の通路、従って、前記たった1つの透過水出口導管まで流れる。更に別の代替例として、流/圧力制御装置を透過水グリッド内、または、透過水グリッドとヘッダーとの間に配置することが可能である。制御装置から流れる透過水は、次いで、ヘッダ及びスプールの共通の通路及び、従って、透過水出口導管へ供給される。
【0054】
図12及び図13に例示した実施例では、制御装置120が内側ヘッダー108内に配置されると共に、好適にはオリフィスまたは細管等の制流子を備えるのが好適である。1つの制流子120は各透過水溝112または透過水溝のグループと連絡する。各制流子120は、対応する透過水溝(複数の溝)112内に透過水溝(複数の溝)の多孔質媒体を横断する所望のTMPを提供する流量または圧力を提供するようなサイズにすることが可能である。透過水溝112または透過水溝のグループは、制流子120を通して平行に接続されるのが好適である。透過水流は、内側ヘッダー108内の制流子120からスプール88内の共通の通路、従って、透過水出口導管98へ供給するようにすることが可能である。
【0055】
スプール88に連結された前記1つ以上の分離リーフ90の各々の内側ヘッダー108が透過水グリッド102からスプール88へ透過水を連絡することで、分離リーフ90がスプール88の周りに巻きつけられる。該リーフ90はスプール88から隔置されると共に、互いに隔置し合って図10に図示した如き狭い給水間隙92を形成し、該間隙は給水室のせん断領域を含む。給水間隙は、約0.07mm以下乃至約1.30mm以上の範囲、より好適には約0.12mm乃至約0.38mmの範囲の高さ、より好適には均一の高さを有するのが好適である。
【0056】
前記間隙高さを維持するために、スペーサを各分離リーフと関係させることが可能である。該スペーサは、様々に配置することが可能である。例えば、スペーサは、さまざまな形状にされたスタンドオフを備え、該スタンドオフは、透過水グリッドから外側方向に向いており、且つ、図14Aに図示した如く、多孔性媒体104、または、透過水グリッドと一体化される。或いは、スペーサは、メッシュまたは波形フィルム等の多孔質層124を備え、該多孔質層は給水間隙92内で多孔質媒体104間に配置され、前記波が図14Bに図示した如く軸線方向に伸長する。しかしながら、間隙高さは、前記間隙92内のリーフ90とスプール88間及び隣接したリーフ90間で平行に軸線方向に配置された隔置したロッド126により維持されるのが好適である。前記ロッド126は、様々な横断面にすることが可能であり、例えば、円形または矩形である。前記ロッドは、図14Cに図示する如く、隣接する多孔質媒体104間で透過水グリッド102の先端縁114から後端縁116まで伸長するのが好適である。前記ロッド126は、高分子材料または高分子を被覆した金属またはガラスから形成することが可能であり、且つ、例えば、ルームラップ配列に取り付けられ、取り付け後にはトリミングがなされる。前記ロッド126は、例えば、分離リーフ90がスプロール88周りに巻きつけられる前に、多孔質媒体104に溶剤結合されるのが好適である。或いは、ロッド126は、分離リーフ90がスプール88の周りに巻きつけられた後に該リーフに溶剤結合されるのが好適である。このように、ロッド126をロッド126を双方の隣接した多孔質媒体104に取り付けることが可能である。更に別の代替例として、ロッドを1つまたは双方の膜に接着剤で結合するかまたは溶接する。巻き付けた合成組立体は、高度の構造保全性を有しているが、ロッドを隣接したリーフ90多孔質媒体に結合することで組立体の強度を上げると共にスラスト格子100を省略することが出来る。
【0057】
円筒状クロスフロー装置80の例示した実施例は、透過水出口導管98に連結した1つ以上の透過水通路112を有したスプール88を含むが、その他の実施例は異なるように構成することが可能である。例えば、スプールに一切の透過性通路を設けないようにすることが可能であり、例えば、スプールを堅牢な構造体とするか、または、完全に排除してしまうことが可能である。螺旋上に巻きつけた別々のリーフまたは複数のリーフは、1つ以上のめくら内側ヘッダー及び各分離したリーフの透過水グリッドの透過水溝と流体連絡した1つ以上の透過水通路を有した1つ以上の外側ヘッダーとを含むことが可能である。各外側ヘッダーを円筒状シェルに直接連結することが可能であり、且つ、透過水流を外側ヘッダーからシェルを介して1組の外部透過水流/圧力制御装置まで供給するようにすることが可能である。或いは、前記流/圧力制御装置を各外側ヘッダー内でシェルと各外側ヘッダーとの間でシェル内にまたは透過水グリッド内に配置することが可能である。
【0058】
合成構成の分離リーフを有したクロスフロー装置は高度の構造保全性を提供すると共に、矩形クロスフロー装置及び円筒状クロスフロー装置で使用することが可能である。例えば、図15及び図16に図示した本発明を具現化した矩形のクロスフローカートリッジ130、130'は、1重ねの分離リーフ132を含み、各々が図10乃至図12に図示した分離リーフ90に類似している。分離リーフ132は、隣接したリーフ132のヘッダーがそれらの先端縁及び後端縁を整合させて、且つ、狭い矩形間隙134が隣接したリーフ132間にせん断領域136を含むようにして互いの上に載せられるように積み重ねられる。ヘッダー上にスタンドオフをまたはヘッダー間にシムを設けて給水間隙134を画成することが可能である。ロッドまたは多孔質媒体スタンドオフ等のスペーサをリーフ132間の給水間隙に設けた場合には、前記ヘッダースタンドオフまたはシムはスペーサと略同一の高さとすることが可能である。或いはまたは追加して、透過水グリッドを形成して、構造上の剛性を十分なものとしてスペーサの数を低減するか、または、排除して、多孔質膜及び透過水グリッド上の負荷を低減するようにすることが可能である。1重ねにされた分離リーフ132は任意の適当な方法で構造的に接合されるが、斯かる方法には、外部ハウジングまたはフレームによる方法、タイロッド、ボルトまたは延びたねじ等の構造部材による方法、熱または超音波溶接等の溶接による方法、及び/または接着剤または溶剤結合等の結合による方法が含まれる。
【0059】
矩形クロスフローカートリッジ130、130'の透過水グリッド、多孔質膜及びヘッダーは円筒状のクロスフローカートリッジ80について説明した透過水グリッド、多孔質膜及びヘッダーと略類似するようにすることが可能である。しかしながら、好適には、矩形クロスフローカートリッジ130、130'の透過水グリッドの双方の端のヘッダーは1つ以上の通路を有して透過水を透過水溝または溝のグループへ離れるように指向する。透過水流/圧力制御装置を、円筒状クロスフローカートリッジに関して前記に説明したものと類似の様々な方法で矩形クロスフローカートリッジ130、130'と作動関係にすることが可能である。
【0060】
図15及び図16に例示した実施例では、各対向するヘッダーが1グループの透過水溝からの透過水流を結合して透過水チャネルを形成し、透過水チャネルを透過水流/圧力制御装置から上流で結合された1つまたは好適には2つ以上の透過水溝流として画成することが可能である。透過水チャネルは、互いに隔離されると共に独立しているのが好適である。例えば、図17A乃至図17Dに図示する如く、矩形クロスフローカートリッジの各ヘッダー138は1つのスロット142内の4つの透過水溝140の透過水流を結合して1つのチャネル144を形成すると共に、各ヘッダー138は4つのチャネル144を有する。或いは、より多くのまたはより少ない透過水溝を1つのチャネル内に形成することも可能であり、及び、より多くのまたはより少ないチャネルを各ヘッダー内に配置するようにすることが可能である。更に、異なるチャネルを異なる数の透過水溝から形成することが可能であり、且つ、異なるヘッダーが異なる数のチャネルを有することが可能である。任意の1つのヘッダー138のチャネル144及び対応する透過水溝140は互いに隔離されると共に独立させるのが好適である。更に、分離リーフ132の一端のヘッダー138のチャネル144及び対応する透過水溝140は、分離リーフ132の対向端のヘッダー138のチャネル及び透過水溝から隔離されると共に独立させるのが好適である。或いは、対向するヘッダーの対応するチャネルを同一の透過水溝と連絡させることが可能である。図17A乃至17Dに図示したヘッダー138等のヘッダーが矩形クロスフローカートリッジの文脈で説明される場合には、円筒状のクロスフローカートリッジ等の異なる形状を備えたクロスフローカートリッジにおいても使用することが可能である。
【0061】
透過水流/圧力制御装置148はオリフィスまたは細管等の制流子を備えることが可能であり、図17A乃至17Dに図示した如く、チャネルスロット142とチャネル出口との間の各ヘッダ138内に配置される。チャネル出口は共通透過水出口導管に平行に供給することが可能である。しかしながら、図15及び図16に例示の実施例では、分離リーフ132のチャネル144は、例えば、給水間隙134に沿ったチャネル144の部位に従って、チャネル番号1、チャネル番号2等に対応する、例えば、8つのグループにグループ化される。同じように位置したチャネル144は、前記1重ねの分離リーフ132の高さに沿って伸長することが可能な共通の透過水ダクト150へ供給される。透過水ダクト150は互いに隔離されるのが好適であり、例えば、全ての第1チャネル、第2チャネル等から透過水を収集する透過水ダクト150はその他の透過水ダクト150から隔離去れる。透過水は、図15及び図16に例示した如く、様々な方法で透過水ダクト150から取水される。別体の透過水ダクト150の1つの利点は、同じように位置したチャネル144から収集した透過水を独立して分析できることである。好適には、透過水ダクト150中の透過水流は1つの透過水出口導管の下流で結合される。
【0062】
図18に例示した実施例は、複数、例えば、2つの矩形のクロスフローカートリッジ130を備え、該カートリッジはそれぞれの透過水ダクト150と平行に接続される。或いは、該カートリッジは、透過水ダクトと直列にまたは様々な直列/平行配列に接続することが可能である。供給流体は、共通の圧力源から複数のカートリッジ130に平行に指向されるのが好適である。しかしながら、第1のカートリッジを流出する時で、給水流の下流の第2カートリッジに流入する前に供給流体の圧力を上げて、第1カートリッジ内の給水入口乃至濃縮水出口間の圧力を補償するようする。例えば、ポンプを給水流において前記第1及び第2カートリッジ間に位置決めすることが可能である。カートリッジの様々な直列及び/並列配置を矩形クロスフローカートリッジの文脈において議論しているが、これらの配置は異なる形状のカートリッジに設けることが可能であり、斯かる形状には、例えば、円筒形状が含まれる。
【0063】
複数のカートリッジ130の各々はその他のカートリッジと略同一であるのが好適である。これにより、同一の透過水流/圧力(及びTMP)が様々なカートリッジ130の対応する透過水チャネル130に対応して発生され、カートリッジ130の対応するチャネルからバランスの取れた略等しい流が生じる。各矩形クロスフローカートリッジ130は、透過水流/圧力制御装置がカートリッジの外側に配置されることを除いて図15に図示の矩形クロスフローカートリッジ130に類似させることが可能である。図18の矩形クロスフローカートリッジ130のヘッダーは、制流子146が省略され、且つ、制流子として機能しない透過水通路140または透過水チャネルのグループがチャネルスロットからチャネル出口まで、従って、対応する透過水ダクト150まで伸長することを除いて、前記カートリッジ130が図17A乃至図17Dに図示したものと類似なものとすることが可能である。透過水ダクト150は、第1矩形クロスフローカートリッジ130のn番目のチャネルから透過水を収集する透過水ダクト150が第2矩形クロスフローカートリッジ130のn番目のチャネルから透過水を収集する透過水ダクト150に平行に接続されるように配置するのが好適である。平行に配置された透過水ダクト150は、矩形クロスフローカートリッジ130の外側にある制御バルブ等の1組の透過水流/圧力制御装置152に供給されるのが好適である。透過水制御バルブ154は、例えば、制御スキッド上に取り付けることが可能であると共に、各制御バルブの出口は共通の透過水出口154へ平行に供給される。或いは、透過水流/圧力制御装置は、透過水ダクト、または前記に説明したその他の任意の部位の1つまたは双方のクロスフローカートリッジに取りつけられることが可能である。
【0064】
矩形クロスフローカートリッジの各々は、供給流を円形断面配管から矩形カートリッジの給水入口まで移行すると共に、矩形カートリッジの濃縮水出口から円形断面の濃縮水配管まで濃縮水を移行するフレームまたはハウジング(図示なし)内に収容することが可能である。そらせ板(図示なし)をハウジング内に設けて、流体流を移行ゾーン内で分配することが可能である。ハウジング及び矩形クロスフローカートリッジ間の界面はシール(図示なし)を備えて形成されて、供給流体が給水間隙のせん断領域をバイパスせず且つ透過水から供給流体及び濃縮水を隔離するようにされる。スラスト格子(図示なし)を矩形クロスフローカートリッジの濃縮水出口側の分離リーフに対向するように位置決めすると共に、カートリッジ、より好適にはハウジングに接続することが可能である。
【0065】
クロスフロー装置170の別の例を図19乃至図21に表す。この装置では、少なくとも1つのフィルタ要素172、好適には積み重ねた2つ以上のフィルタ要素がハウジング内に配置される。核フィルタ要素172は、少なくとも1つの多孔質媒体174、好適には2つの多孔質媒体174を有し、該媒体は透過水通路176に重なる。フィルタ要素172は、任意の適当な方法でハウジング内に配置することが可能であり、例えば、ハウジング内に、または、マニホールドを備えた自己収容積み重ね配置として配置されて、多孔質媒体174と作動関係にあるせん断領域180を有した狭い間隙178を含む給水チャネルを画成する。斯かる間隙178は、約0.03mm以下ないし1.30mm以上の範囲の高さを有するのが好適である。前記間隙は、空隙であっても良く、または、供給流体を流通可能なメッシュまたは波形材料等の任意の多孔質材料またはチャネル材料から成ることが可能である。例示の実施例では、給水チャネルは、中央給水入口179と周辺濃縮水出口との間に伸長し、供給流体は積み重ねたフィルタ要素172を内側から外側へ向かって流通するように指向される。内側から外側に向かった流は、フィルタ要素が給水入口と濃縮水出口間の差圧を散逸させるのに特に好適である。或いは、供給流体を前記積み重ねたフィルタ要素を介して外側から内側へ向かって指向することも可能である。本発明の別の態様によれば、フィルタ要素172は、せん断領域180と作動関係にある透過水通路176をたった1つ含み、該透過水通路176は、給水流の方向の幅が約40mmにされる。該幅を40mmに制限することで透過水通路内での透過水流/圧力の制御が容易になる。従って、透過水流/圧力制御装置は省略することが可能である。透過水通路は空隙とすることも、または、多孔質またはチャネル材料から成るようにすることも可能である。透過水通路は空隙とすることも、または、透過水が流通する透過質材料とすることも可能である。フィルタ要素172からの透過水は共通の透過水マニホールド182に供給すると共に、透過水出口184へ指向することが可能である。透過水マニホールドは、フィルタ要素に沿った任意の部位に配置することが可能であると共に、任意の適当な方向へ伸長して透過水通路から透過水を収集すると共に、透過水出口へ指向することが可能である。
【0066】
上記の例示の実施例では、各フィルタ要素172は、中空で、全体押して円形の形状を備える。しかしながら、フィルタ要素は、任意の適当な形状を有することが可能であり、斯かる形状には、例えば、中空で矩形、例えば、方形の形状、または、三角形の形状、または楕円形の形状またはその他の任意の閉鎖形状が含まれる。或いは、フィルタ要素は、既に説明した分離リーフの形状の如き非多角形の形状を有することも可能である。更に、別の代替例として、供給流体は、1つの平らなフィルタ要素に隣接した間隙にそって指向され、中央で供給されるのが好適である。しかしながら、中空の円形を含んだ中空の多角形の形状が、供給流体が、複数の次元に、例えば、x及びyカルテシアン(Cartesian)次元の双方に流通することが可能となることから好適である。これにより、クロスフロー装置170に作用する力のバランスがより良くなると共に、ハウジングを軽量で構造的に複雑でない物とすることが可能となる。全体として、繰り返しパターンの任意の多次元形状を使用することが可能となる。
【0067】
更に、フィルタ要素172は、様々に作製することが可能である。例えば、例示の実施例では、多孔質媒体174を支持プレート186上に支持することが可能である。支持プレート186は、上記に説明した透過水グリッドに類似の方法で、プロフィールされた先端縁188、プロフィールされた後端縁190及び該先端縁及び後端縁188、190間に伸長した複数のリブ192を含んで作製することが可能である。リブ192は、開口部194を含んで、透過水が透過水通路176内で透過水マニホールド182に連結した半径方向に伸長した透過水ダクト196まで流れるのを可能にする。各支持プレートは、2つ以上の透過水ダクトを含むことが可能であり、透過水マニホールドは、好適には対称的に積み重ねたフィルタ要素に取り付けられた対応する数の軸線方向の導管を含むことが可能である。該マニホールド導管は、次いで、透過水出口に透過したドレインのみならず積み重ねたフィルタ要素を構造的に支持することが可能である。
【0068】
例示の実施例の透過水通路176の幅は、約40mm未満であり、好適には20mm未満、約15mm未満、約10mm未満、約5mm未満、または、約1mm以下でさえも良い。幅を制限することで透過水流/圧力の制御が容易になると共に、バルブ、細管またはオリフィス等の透過水制御装置の必要性を排除することができる。しかしながら、クロスフロー装置、例えば、透過水ダクトまたは透過水導管等に透過水制御装置を配置するようにすることも可能である。
【0069】
透過水通路176上に載る多孔質媒体174は、多孔質膜支持のみならず多孔質膜を含んだ上記に説明した多孔質媒体の任意のものを含むことが可能である。例示した実施例は、多孔質膜及び多孔質膜支持の双方を含むが、実施例によっては、前記透過質膜支持を省略することが可能である。更に、多孔質媒体174を上記に説明した如く、溶剤結合方法を含んだ方法で支持プレート186へ結合することが可能である。
【0070】
本発明の本態様を具現化したクロスフロー装置は、給水入口と濃縮水出口との差圧が低くとも、非常に高いせん断速度、簡単且つ効果的透過水制御及び供給流体の循環が殆どまたはまったく無くとも効果的な分離を提供する。更に、構造が複雑にならない。更に、2つ以上のクロスフロー装置を直列、平行、または、様々な直列/平行配列に接続することが可能である。更に、これらの配列は、作動中に修正することが可能であり、例えば、始動時にはスターリングフローを防止するように、または長時間作動させた後では、差圧増加に対応するように修正することが可能である。
【0071】
本発明の様々な態様を多数の実施例を参照して説明してきた。しかしながら、本発明は、それらの実施例に限定されるものではない。例えば、前記実施例のいずれかの特徴の1つ以上を他の実施例の特徴の1つ以上とを本発明の範囲を逸脱することなく結合することが可能である。更に、前記実施例のいずれかの特徴の1つ以上を本発明の範囲を逸脱することなく修正または省略することが可能である。因って、本発明の様々な態様は、冒頭の特許請求の範囲に規定される如く、本発明の趣旨及び範囲内に含まれる全ての修正を含む。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】クロスフロー装置の略図である。
【図2】図1のクロスフロー装置の断面図である。
【図3】別のクロスフロー装置の断面図である。
【図4】図3のクロスフロー装置の一部拡大図である。
【図5】流束対時間のグラフである。
【図6】圧力対時間のグラフである。
【図7】別のクロスフロー装置の一部破断図である。
【図8】図7のクロスフロー装置の断面図である。
【図9】分離リーフをスプールの周りに巻きつける前の図7のクロスフロー装置の分離パックの端面図である。
【図10】図7のクロスフロー装置の分離リーフの斜視図である。
【図11】図10の分離リーフの外側部分の一部断面斜視図である。
【図12】図10の分離リーフの内側部分の一部断面斜視図である。
【図13】図12の分離リーフの内側部分の一部断面斜視図であり、分解した透過水グリッド及び内側ヘッダーを示す。
【図14】図14A乃至Dは、多孔質媒体間のスペーサを図示した部分正面図である。
【図15】追加のクロスフロー装置の斜視図である。
【図16】追加のクロスフロー装置の斜視図である。
【図17】図17A乃至17Dは、それぞれ、組み付けられた状態と分解された状態における、図15及び図16のクロスフロー装置の分離リーフの端部を示す部分斜視図である。
【図18】クロスフロー装置の組立体の斜視図である。
【図19】別のクロスフロー装置の概略図である。
【図20】図19のクロスフロー装置の積み重ねたフィルタ要素の頂面図である。
【図21】図20の積み重ねたフィルタ要素の一部断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸及び当該軸の周りにらせん状に巻かれると共に供給側と浸透側とを有する多孔質媒体を含む、円筒状の分離パックと、
前記分離パック内で軸方向に延びると共に、らせん状に巻かれた多孔質媒体の前記供給側に沿って軸方向に延びるせん断領域を含む供給チャネルと、
前記供給チャネルのせん断領域に接続されていると共に、前記多孔質媒体の、せん断領域の反対の浸透側に沿って供給チャネルと垂直に延びている複数の透過水通路であって、前記多孔質媒体は、供給チャネルのせん断領域と前記透過水通路との間に位置し、前記透過水通路は、分離パック内で互いに隔てられている複数の透過水通路と、
一方の端部で前記給水チャネルと通じている給水注入口と、
もう一方の端部で前記給水チャネルと通じている濃縮出口と、
各々が1つの透過水通路に通じている複数の浸透出口と、
を備える分離装置。
【請求項2】
周りに前記多孔質媒体がらせん状に巻かれる中心の支持体を更に備える請求項1に記載の分離装置。
【請求項3】
前記複数の透過水通路は、複数の浸透出口を通して、前記中心の支持体と通じている請求項2に記載の分離装置。
【請求項4】
前記分離パックを囲うシェルを更に備える請求項1〜3の何れか一項に記載の分離装置。
【請求項5】
前記複数の透過水通路は、前記シェルを貫通している請求項4に記載の分離装置。
【請求項6】
分離パックは、更に給水チャネル内にスペーサ層を含む請求項1〜5の何れか一項に記載の分離装置。
【請求項7】
供給流体中にせん断層を発生させる工程と、
透過水を前記せん断層から第1の透過水通路内へ通過させると共に、前記せん断層から前記第1の透過水通路から隔離された第2透過水通路内へ通過させる工程と、
から成る、分離方法。
【請求項8】
前記第1及び第2の透過水通路内の透過水流/圧力を互いから独立して制御する工程を更に含む請求項7に記載の分離方法。
【請求項9】
前記第1及び第2の透過水通路のうちの一つの先端部から後端部までのTMPに、10psi以下の差を与える請求項7又は8に記載の分離方法。
【請求項10】
前記第1及び第2の透過水通路のうちの一つの先端部から後端部までのTMPに、1psi以下の差を与える請求項7又は8に記載の分離方法。
【請求項1】
軸及び当該軸の周りにらせん状に巻かれると共に供給側と浸透側とを有する多孔質媒体を含む、円筒状の分離パックと、
前記分離パック内で軸方向に延びると共に、らせん状に巻かれた多孔質媒体の前記供給側に沿って軸方向に延びるせん断領域を含む供給チャネルと、
前記供給チャネルのせん断領域に接続されていると共に、前記多孔質媒体の、せん断領域の反対の浸透側に沿って供給チャネルと垂直に延びている複数の透過水通路であって、前記多孔質媒体は、供給チャネルのせん断領域と前記透過水通路との間に位置し、前記透過水通路は、分離パック内で互いに隔てられている複数の透過水通路と、
一方の端部で前記給水チャネルと通じている給水注入口と、
もう一方の端部で前記給水チャネルと通じている濃縮出口と、
各々が1つの透過水通路に通じている複数の浸透出口と、
を備える分離装置。
【請求項2】
周りに前記多孔質媒体がらせん状に巻かれる中心の支持体を更に備える請求項1に記載の分離装置。
【請求項3】
前記複数の透過水通路は、複数の浸透出口を通して、前記中心の支持体と通じている請求項2に記載の分離装置。
【請求項4】
前記分離パックを囲うシェルを更に備える請求項1〜3の何れか一項に記載の分離装置。
【請求項5】
前記複数の透過水通路は、前記シェルを貫通している請求項4に記載の分離装置。
【請求項6】
分離パックは、更に給水チャネル内にスペーサ層を含む請求項1〜5の何れか一項に記載の分離装置。
【請求項7】
供給流体中にせん断層を発生させる工程と、
透過水を前記せん断層から第1の透過水通路内へ通過させると共に、前記せん断層から前記第1の透過水通路から隔離された第2透過水通路内へ通過させる工程と、
から成る、分離方法。
【請求項8】
前記第1及び第2の透過水通路内の透過水流/圧力を互いから独立して制御する工程を更に含む請求項7に記載の分離方法。
【請求項9】
前記第1及び第2の透過水通路のうちの一つの先端部から後端部までのTMPに、10psi以下の差を与える請求項7又は8に記載の分離方法。
【請求項10】
前記第1及び第2の透過水通路のうちの一つの先端部から後端部までのTMPに、1psi以下の差を与える請求項7又は8に記載の分離方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2008−200676(P2008−200676A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−69193(P2008−69193)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【分割の表示】特願2000−598255(P2000−598255)の分割
【原出願日】平成12年1月31日(2000.1.31)
【出願人】(596064112)ポール・コーポレーション (70)
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
【住所又は居所原語表記】2200 Northern Boulevard East Hills, New York
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−69193(P2008−69193)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【分割の表示】特願2000−598255(P2000−598255)の分割
【原出願日】平成12年1月31日(2000.1.31)
【出願人】(596064112)ポール・コーポレーション (70)
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
【住所又は居所原語表記】2200 Northern Boulevard East Hills, New York
【Fターム(参考)】
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