説明

切りくず吸引通路付きエンドミルおよびエンドミル本体

【課題】小径のエンドミルにおいても所定の強度や剛性を維持しながら十分な切りくず吸引性能が得られる切りくず吸引通路を設けることができるようにする。
【解決手段】刃部16よりも大径のシャンク18に刃部16のねじれ溝20が連続して設けられ、そのシャンク18の外周側にホルダ14が嵌合されて一体的に固設されることにより、そのホルダ14の嵌合穴30とねじれ溝20との間に空洞34が形成され、その空洞34が切りくず吸引通路として用いられるため、シャンク18の径寸法を適当に設定することにより、刃部16の径寸法に制約されることなく且つ刃部16の強度や剛性を損なうことなく、十分な切りくず吸引性能が得られる流通断面の切りくず吸引通路(空洞34)を設けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエンドミルに係り、特に、先端の刃部によって形成された切りくずを吸引通路を経て吸引して除去できる切りくず吸引通路付きエンドミルの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(a) 溝に沿って外周刃が設けられているとともに、その溝の先端開口部分に底刃が設けられた刃部と、(b) その刃部の後端に連続して一体に設けられているシャンクと、を有するエンドミルが各種の切削加工の分野で多用されている。そして、このようなエンドミルの一種に、刃部で切り出された切りくずを吸引して除去するための切りくず吸引通路を設けたものが提案されている。特許文献1に記載のエンドミルはその一例で、上記刃部の溝を覆蓋するようにカバーを設け、その溝とカバーとの間の空洞を切りくず吸引通路として使用するようになっている。また、特許文献2には、軸心を縦通するように貫通穴が設けられており、その貫通穴を切りくず吸引通路として使用することができる。
【特許文献1】実開昭63−144146号公報
【特許文献2】実開昭49−78881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このように刃部の溝をそのまま切りくず吸引通路として用いたり、軸心に貫通穴を設けたりする場合には、所定の切りくず吸引性能を得るために溝断面を大きくしたり、ある程度の径寸法の貫通穴を設けたりする必要があるため、工具の剛性や強度が低下し、加工条件が制約されたり工具が折損したりする問題があった。特に、刃径が例えば10mm程度以下の小径のエンドミルにおいては、上記問題が顕著となり、十分な切りくず吸引性能が得られる流通断面の切りくず吸引通路を設けることが困難であった。
【0004】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、小径のエンドミルにおいても所定の強度や剛性を維持しながら十分な切りくず吸引性能が得られる切りくず吸引通路を設けることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために、第1発明は、(a) 溝に沿って外周刃が設けられているとともに、その溝の先端開口部分に底刃が設けられた刃部と、(b) その刃部よりも大径で、その刃部の後端に連続して一体に設けられているとともに、前記溝が前記刃部から連続して設けられたシャンクと、(c) そのシャンクの外周側に嵌合される嵌合穴が設けられ、そのシャンクに一体的に固設されるホルダと、を有し、(d) 前記ホルダの嵌合穴と前記溝との間にその溝に沿って形成される空洞が切りくず吸引通路として用いられることを特徴とする。
【0006】
第2発明は、第1発明の切りくず吸引通路付きエンドミルにおいて、(a) 前記シャンクには、前記溝が軸方向の全長に亘って設けられており、(b) 前記ホルダは、前記シャンクよりも長い長さ寸法を有するとともに、前記嵌合穴に連続して軸方向に貫通する貫通穴を有する円筒形状を成していて、そのシャンクの全長に亘って嵌合されてそのシャンクの外周面に密着するように焼嵌めにより一体的に固設されており、(c) そのホルダの前記シャンクから後方へ突き出す部分における前記貫通穴が、前記空洞と共に切りくず吸引通路として用いられることを特徴とする。
【0007】
第3発明は、第1発明または第2発明の切りくず吸引通路付きエンドミルにおいて、前記ホルダに取り付けられて使用されるエンドミル本体であって、前記溝が連続して設けられた前記刃部および前記シャンクを一体に備えており、そのシャンクが前記ホルダの嵌合穴内に嵌合されて一体的に固設されて使用されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このような切りくず吸引通路付きエンドミルにおいては、刃部よりも大径のシャンクに刃部の溝が連続して設けられ、そのシャンクの外周側にホルダが嵌合されて一体的に固設されることにより、そのホルダの嵌合穴と溝との間に空洞が形成され、その空洞が切りくず吸引通路として用いられるため、シャンクの径寸法を適当に設定することにより、刃部の径寸法に制約されることなく所定の流通断面の切りくず吸引通路を設けることができる。これにより、切りくず吸引通路に起因して刃部等の剛性や強度が低下し、加工条件が制約されたり工具が折損したりする問題が解消するとともに、刃部の径寸法が小さい小径のエンドミルであっても、刃部の強度や剛性を確保しながら十分な切りくず吸引性能が得られる切りくず吸引通路を設けることができる。
【0009】
第2発明では、シャンクの軸方向の全長に亘って溝が設けられるとともに、そのシャンクよりも長い長さ寸法の円筒形状のホルダが用いられ、そのホルダのシャンクから後方へ突き出す部分における貫通穴が前記空洞と共に切りくず吸引通路として用いられるため、ホルダの後端から切りくずを吸引することが可能で、切りくず吸引通路から切りくずを吸引除去するための吸引配管などの取り廻しが容易になるとともに、切りくず吸引通路と吸引装置との接続構造を簡単にできる。また、焼嵌めによって固設されるため、固設作業を容易且つ迅速に行うことができるとともに、刃部等が損傷した場合には、その刃部およびシャンクを一体に有するエンドミル本体をホルダから取り外して、ホルダを再使用するも可能である。
【0010】
第3発明は、第1発明または第2発明の切りくず吸引通路付きエンドミルのホルダに取り付けられて使用されるエンドミル本体に関するもので、前記溝が連続して設けられた前記刃部および前記シャンクを一体に備えているため、実質的に第1発明、第2発明と同様の作用効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、例えば刃部の径寸法(刃径)が10mm程度以下の小径のエンドミルに好適に適用されるが、刃部の径寸法が10mmより大きいエンドミルに適用することも可能で、剛性や強度を損なうことなく十分な流通断面の切りくず吸引通路を設けることができる。
【0012】
刃部およびシャンクに連続して設けられる溝は、直溝でもねじれ溝でも良いが、切りくずを吸引して除去する上で、切りくずがシャンク側へ流動するように、シャンク側から見た回転切削方向と同じ方向へねじれたねじれ溝が望ましい。その場合に、径寸法の変化に拘らず一定のリードでねじれ溝を設けることが製造上望ましいが、一定のねじれ角となるようにねじれ溝を設けることも可能である。なお、刃部とシャンクとでリードやねじれ角を積極的に相違させることもできるし、刃部ではねじれ溝であるのに対してシャンクでは直溝としても良いなど、少なくとも連続した溝であれば種々の態様が可能である。
【0013】
上記溝は、例えば刃部およびシャンクの全長に亘って一定の心厚となるように設けられるが、先端から後端に向かうに従って心厚が漸減或いは漸増するようにしたり、刃部では心厚が一定であるがシャンクでは心厚が連続的に変化するようにしても良いなど、種々の態様が可能である。
【0014】
互いに嵌合されるシャンクの外周面および嵌合穴の内周面は、例えば径寸法が一定の円筒面にて構成されるが、径寸法が連続的に変化しているテーバ面とすることも可能で、互いに略密着する種々の態様が可能であり、所定の切りくず吸引性能が得られる範囲で部分的に僅かな隙間を有していても良い。
【0015】
ホルダの嵌合穴は、第2発明のように貫通穴と共にホルダを軸方向に縦通するように設けられても良いが、有底の嵌合穴を採用することもできる。その場合は、例えば特許文献1に記載のように、ホルダの嵌合穴の側壁に開口を設けるなどして側方から切りくずを吸引除去するようにすれば良い。第2発明の嵌合穴および貫通穴は、互いに径寸法が相違するものでも良いが、一定の径寸法の連続した穴であっても良く、その場合はシャンクに嵌合される部分か否かによって嵌合穴と貫通穴とが区別される。
【0016】
ホルダは、その先端がシャンクの先端より突き出していると、刃部による切削加工を阻害する恐れがある一方、シャンクの先端より後側であるとシャンクの溝が外部に解放されて切りくず吸引性能が損なわれるため、それ等の先端が略一致する状態で一体的に固設することが望ましい。但し、軸方向の切込み寸法に対して刃部の軸方向長さが比較的長い場合には、ホルダの先端がシャンクの先端より突き出していても差し支えないとともに、切りくず吸引性能の点で、刃部による切削加工を阻害しない範囲で突き出している方が望ましい。
【0017】
ホルダおよびシャンクは、第2発明のように焼嵌めによって一体的に固設することが簡便で望ましいが、ろう付けや接着剤等による固着手段を採用することもできるし、ホルダの軸方向にスリットを設けて拡縮径可能とし、ねじにより縮径させてシャンクをクランプするクランプ装置を用いることもできるなど、種々の固設手段を採用できる。
【0018】
刃部およびシャンクを一体に有するエンドミル本体、およびホルダの材質は適宜設定され、例えばエンドミル本体としては超硬合金や高速度工具鋼等の硬質材料が好適に用いられる一方、ホルダとしては高速度工具鋼や合金工具鋼等が好適に用いられるが、両者を同一の材料製とすることも可能である。ホルダを焼嵌めによってシャンクに一体的に固設する場合にも、同一材料製とすることができるが、刃部の損傷等でエンドミル本体を取り外してホルダを再使用する場合には、加熱による膨張差で容易に取り外すことができるように、ホルダの方がエンドミル本体よりも熱膨張率が大きい材料製とすることが望ましい。
【0019】
本発明の切りくず吸引通路付きエンドミルは、例えば切りくずが軽量で吸引し易いプラスチックに対する切削加工や、切りくずが微細で粉塵が問題になる鋳物に対する切削加工などに好適に用いられるが、切りくずを吸引可能な種々の対象物の切削加工に好適に用いられる。但し、切りくずの吸引を行うことなく切削加工を行う場合に用いることも可能である。
【実施例】
【0020】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例である切りくず吸引通路付きエンドミル(以下、単にエンドミルという)10を説明する図で、(a) は軸心と直角方向から見た正面図、(b) は(a) の右方向である先端側から見た刃部16の拡大底面図、(c) は外側のホルダ14を破断して内部のエンドミル本体12を示す断面図、(d) はエンドミル本体12も断面とした拡大断面図である。このエンドミル10は、刃部16およびシャンク18を一体に有するエンドミル本体12と、そのエンドミル本体12のシャンク18に一体的に固設されたホルダ14とから構成されており、エンドミル本体12は超硬合金製で、ホルダ14はエンドミル本体12よりも熱膨張率が大きい合金工具鋼製である。
【0021】
上記エンドミル本体12の刃部16の径寸法(刃径)は10mm以下の小径で、本実施例では約1.5mmである一方、シャンク18は刃部16よりも大径で、本実施例では約3.0mmの一定の径寸法の円柱形状を成している。また、刃部16の長さ寸法は約3mmで、シャンク18の長さ寸法は約15.5mmであり、それ等の刃部16およびシャンク18の軸方向の全長に亘って一定のリード(本実施例では約54mm)で3本のねじれ溝20が設けられており、刃部16には、そのねじれ溝20に沿って外周刃22が設けられているとともに、ねじれ溝20の先端開口部分にはギャッシュ加工が施されることによって底刃24が設けられている。このエンドミル本体12はスクエアエンドミルで、外周刃22と底刃24とが交わるコーナーは角張っている。図1の(d) におけるエンドミル本体12は、ねじれ溝20のねじれに沿って破断したもので、且つ上下に2本のねじれ溝20を示したものであり、本実施例では刃部16の先端からシャンク18の後端に至るまで略一定の心厚でねじれ溝20が形成されている。また、図1(c) において、刃部16とシャンク18との間でねじれ溝20を表す一点鎖線がずれているのは、径寸法の相違によるもので、実際には(d) に示すように連続して設けられている。
【0022】
図2は、上記エンドミル本体12の製造工程を説明する図で、(a) はエンドミル本体12の素材となるブランク50を用意する工程であり、シャンク18と略同一の径寸法(約3.0mm)で、長さ寸法がエンドミル本体12の全長(約18.5mm)よりも十分に長くて例えば30mm以上の円柱形状の超硬合金を製造し、或いは市販のものを購入する。(b) は小径部研削工程で、上記ブランク50の一端部に円筒研削加工を施して、刃部16と同一の径寸法、同一長さの小径部52を形成する。この時、小径部52以外のブランク50の外周面にも円筒研削加工を施し、前記シャンク18となる部分の外周面を仕上げ研削する。(c) は溝加工工程で、上記小径部52が設けられたブランク50を軸心まわりに回転駆動しつつ研削砥石を相対的にブランク50の軸方向へ送り移動することにより、小径部52側の端部からエンドミル本体12の全長よりも長い所定の範囲に一定のリードで前記ねじれ溝20を研削加工する。(d) は切れ刃研削・切断工程で、ねじれ溝20が設けられた小径部52に対してすくい面や逃げ面、ギャッシュ等を設けるための研削加工を施すことにより、外周刃22および底刃24を形成するとともに、ブランク50を所定の長さ寸法で研削砥石等により切断することにより、刃部16およびシャンク18を有する目的形状のエンドミル本体12が得られる。このようにエンドミル本体12の全長よりも長いブランク50を用意し、ねじれ溝20を形成した後に所定長さに切断するため、ブランク50の支持装置等と研削砥石とが干渉することなくねじれ溝20を研削加工することが可能で、全長に亘ってねじれ溝20を有するエンドミル本体12を容易に製造できる。
【0023】
図1に戻って、前記ホルダ14はエンドミル本体12のシャンク18よりも長い長さ寸法を有するとともに、そのシャンク18の外周側に嵌合されるシャンク18の長さ寸法と略同じ長さの嵌合穴30と、その嵌合穴30に連続して後端部まで軸方向に貫通するように設けられた貫通穴32とを有する円筒形状を成しており、貫通穴32の径寸法は嵌合穴30よりも僅かに大きくされている。嵌合穴30は一定の径寸法の円筒形状を成しており、その嵌合穴30が開口する先端がシャンク18の先端と略一致するようにそのシャンク18の全長に亘って嵌合され、シャンク18の外周面に密着するように焼嵌めにより一体的に固設されている。すなわち、嵌合穴30の径寸法は、シャンク18に固設する前の常温状態でそのシャンク18の径寸法よりも僅かに小さいが、加熱して膨張させることによりシャンク18よりも大きくなり、そのシャンク18の外周側に嵌合することが可能とされ、嵌合した状態で冷却収縮させられることにより、シャンク18に対して離脱不能に一体的に固設されるのである。また、外周刃22、底刃24の摩耗や刃部16の損傷等でエンドミル本体12を取り外してホルダ14を再使用する場合には、ホルダ14の方がエンドミル本体12よりも熱膨張率が大きいため、加熱による膨張差で容易に取り外すことができる。
【0024】
そして、このようなエンドミル10においては、ホルダ14の嵌合穴30とシャンク18に設けられたねじれ溝20との間に、そのねじれ溝20に沿ってトンネル状の空洞34が形成される。シャンク18は刃部16よりも大径で且つその径寸法を適宜設定することができるため、ねじれ溝20の溝深さを大きくすることなく、言い換えれば小径の刃部16の剛性や強度を損なうことなく、空洞34の断面積を大きくすることが可能で、その空洞34を切りくず吸引通路として用いることができる。また、上記ねじれ溝20はシャンク18の全長に亘って設けられているとともに、ホルダ14のシャンク18よりも後方に突き出す部分には嵌合穴30に連続して後端部まで達する貫通穴32が設けられているため、その貫通穴32を上記空洞34と共に切りくず吸引通路として用いることができる。
【0025】
例えば、図3は本実施例のエンドミル10を用いてプラスチック製の被削材60に対して矩形溝62を切削加工する場合で、図示しない主軸にホルダ14を固定して軸心まわりに回転駆動しつつ、軸心と直角方向へ被削材60に対して相対移動させることにより、刃部16に対応する断面形状の矩形溝62を切削加工することができる。その場合に、ホルダ14の後端に開口する貫通穴32に吸引装置64の吸引配管66を相対回転可能に接続し、或いは貫通穴32の開口部に近接して配置することにより、刃部16によって切り出された切りくずを空洞34および貫通穴32を経て吸引除去することができる。
【0026】
このように本実施例のエンドミル10においては、刃部16よりも大径のシャンク18に刃部16のねじれ溝20が連続して設けられ、そのシャンク18の外周側にホルダ14が嵌合されて一体的に固設されることにより、そのホルダ14の嵌合穴30とねじれ溝20との間に空洞34が形成され、その空洞34が切りくず吸引通路として用いられるため、シャンク18の径寸法を適当に設定することにより、刃部16の径寸法に制約されることなく所定の流通断面の切りくず吸引通路(空洞34)を設けることができる。これにより、切りくず吸引通路に起因して刃部16等の剛性や強度が低下し、加工条件が制約されたり工具が折損したりする問題が解消するとともに、本実施例のように刃部16の径寸法が小さい小径のエンドミル10であっても、刃部16の強度や剛性を確保しながら十分な切りくず吸引性能が得られる切りくず吸引通路(空洞34)を設けることができる。
【0027】
また、本実施例ではシャンク18の軸方向の全長に亘ってねじれ溝20が設けられるとともに、そのシャンク18よりも長い長さ寸法の円筒形状のホルダ14が用いられ、そのホルダ14のシャンク18から後方へ突き出す部分における貫通穴32を空洞34と共に切りくず吸引通路として用いることができるため、ホルダ14の後端から切りくずを吸引することが可能で、切りくず吸引通路(貫通穴32、空洞34)から切りくずを吸引除去するための吸引配管66などの取り廻しが容易になるとともに、切りくず吸引通路と吸引配管66との接続構造を簡単にできる。
【0028】
また、本実施例ではホルダ14が焼嵌めによってシャンク18に固設されるため、その固設作業を容易且つ迅速に行うことができるとともに、刃部16等が損傷した場合には、エンドミル本体12をホルダ14から取り外して、ホルダ14を再使用するも可能である。
【0029】
なお、上記実施例ではシャンク18の先端が軸心と直角な平坦面で、その平坦面から垂直に刃部16が突き出しているが、図4に示すエンドミル本体70のように、シャンク18の先端に滑らかに小径となるテーパ部72を設け、そのテーパ部72の先端から刃部16を突き出させるようにしても良い。その場合には、ねじれ溝20の側壁面がテーパ部72の傾斜に対応して滑らかに高くなってトンネル状の空洞34に至るため、切りくずがねじれ溝20に案内されつつ一層効果的に空洞34内に導入されて吸引除去されるようになる。
【0030】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施例である切りくず吸引通路付きエンドミルを説明する図で、(a) は軸心と直角方向から見た正面図、(b) は先端側から見た刃部の拡大底面図、(c) はホルダを破断して内部を示す断面図、(d) はエンドミル本体も断面とした拡大断面図である。
【図2】図1のエンドミル本体の製造工程を説明する図である。
【図3】図1の切りくず吸引通路付きエンドミルを用いて、切りくず吸引通路から切りくずを吸引しつつ切削加工を行う場合の一例を説明する断面図である。
【図4】エンドミル本体のシャンクの先端にテーパ部が設けられた場合を説明する図で、(a) はエンドミル本体を単独で示す正面図、(b) はホルダに取り付けられた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0032】
10:切りくず吸引通路付きエンドミル 12:エンドミル本体 14:ホルダ 16:刃部 18:シャンク 20:ねじれ溝(溝) 22:外周刃 24:底刃 30:嵌合穴 32:貫通穴 34:空洞

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝に沿って外周刃が設けられているとともに、該溝の先端開口部分に底刃が設けられた刃部と、
該刃部よりも大径で、該刃部の後端に連続して一体に設けられているとともに、前記溝が前記刃部から連続して設けられたシャンクと、
該シャンクの外周側に嵌合される嵌合穴が設けられ、該シャンクに一体的に固設されるホルダと、
を有し、前記ホルダの嵌合穴と前記溝との間に該溝に沿って形成される空洞が切りくず吸引通路として用いられる
ことを特徴とする切りくず吸引通路付きエンドミル。
【請求項2】
前記シャンクには、前記溝が軸方向の全長に亘って設けられており、
前記ホルダは、前記シャンクよりも長い長さ寸法を有するとともに、前記嵌合穴に連続して軸方向に貫通する貫通穴を有する円筒形状を成していて、該シャンクの全長に亘って嵌合されて該シャンクの外周面に密着するように焼嵌めにより一体的に固設されており、
該ホルダの前記シャンクから後方へ突き出す部分における前記貫通穴が、前記空洞と共に切りくず吸引通路として用いられる
ことを特徴とする請求項1に記載の切りくず吸引通路付きエンドミル。
【請求項3】
請求項1または2に記載の切りくず吸引通路付きエンドミルにおいて、前記ホルダに取り付けられて使用されるエンドミル本体であって、
前記溝が連続して設けられた前記刃部および前記シャンクを一体に備えており、該シャンクが前記ホルダの嵌合穴内に嵌合されて一体的に固設されて使用される
ことを特徴とするエンドミル本体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−101442(P2009−101442A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−273758(P2007−273758)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【出願人】(000103367)オーエスジー株式会社 (180)
【Fターム(参考)】