説明

切削加工装置及び切削加工方法

【課題】加工スピードが速く高能率で、表面粗度の細かい加工を行う。
【解決手段】ワークヘッド部13と、ワーク回転手段14と、切削工具25と、切削工具揺動手段と、切削工具回転手段と、切削工具25をX軸方向及びZ軸方向に移動する第1移動手段及び第2移動手段と、ワークヘッド部13の回転角度を検知する回転角度検知手段と、切削工具揺動手段による揺動位置を検知する揺動位置検知手段と、ピストン素材40の回転軸中心から切削工具25までの距離を検知する第1移動位置検知手段と、ピストン素材40の回転軸方向に対する切削工具25の位置を検知する第2移動位置検知手段と、ピストン素材40の外周面40aに対し切削工具25によって荒削り切削と仕上げ切削を行い、荒削り切削と仕上げ切削では切削工具25の切削面がピストン素材40の面に対して異なる領域で接触するよう切削工具揺動手段の駆動を制御する制御部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの加工面を加工する切削加工装置及び切削加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の切削加工装置としては、特許文献1に開示されたものがある。この切削加工装置50は、図7に示すように、ワーク側基台51に設けられ、ワークであるピストン素材60を着脱自在に装着するワークヘッド部52と、ワークヘッド部52を回転駆動するワーク回転手段53と、切削工具側基台54に設けられた切削工具55と、切削工具55をC軸を回転軸として回転駆動する切削工具回転手段56と、ワークヘッド部52を切削工具55の近接・離間方向(X方向)に移動し、ピストン素材60の回転軸中心から切削工具55の切削面までの距離を可変する第1移動手段57と、切削工具55を第1移動手段57の移動方向(X方向)の直交方向(Z方向)に移動し、ピストン素材60の回転軸方向に対する切削工具55の切削面の位置を可変する第2移動手段58とを備えている。
【0003】
第1移動手段57及びワーク回転手段53の駆動制御によってピストン素材60の全ての外周面を切削工具55に対向配置でき、このワーク位置情報に対応する切削目標情報に基づいて第2移動手段58を駆動制御することによって、所望の三次元形状に加工できる。又、切削工具回転手段56によって切削工具55が回転し、回転する切削工具55によってピストン素材60を切削するため、加工スピードが速く、高能率な加工ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−84602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の切削加工装置50では、切削工具55でピストン素材60の外周面を削るため、加工面の表面粗度が荒いという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、加工スピードが速く高能率で、しかも、表面粗度の細かい加工ができる切削加工装置及び切削加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ワーク側基台に設けられ、ワークを装着するワークヘッド部と、前記ワークヘッド部を回転駆動するワーク回転手段と、切削工具側基台に設けられた切削工具と、前記ワークの加工面に対する前記切削工具の接触領域が可変するよう揺動できる切削工具揺動手段と、前記切削工具を回転駆動する切削工具回転手段と、前記ワークヘッド部と前記切削工具の少なくともいずれか一方を近接・離間方向に移動し、前記ワークの回転軸中心から前記切削工具の切削面までの距離を可変する第1移動手段と、前記ワークヘッド部と前記切削工具の少なくともいずれか一方を前記第1移動手段の移動方向の直交方向に移動し、前記ワークの回転軸方向に対する前記切削工具の切削面の位置を可変する第2移動手段と、前記ワークヘッド部の回転角度を検知する回転角度検知手段と、前記切削工具揺動手段による揺動位置を検知する揺動位置検知手段と、前記ワークの回転軸中心から前記切削工具の切削面までの距離を検知する第1移動位置検知手段と、前記ワークの回転軸方向に対する前記切削工具の切削面の位置を検知する第2移動位置検知手段と、前記ワークの面の各位置における、前記ワークの回転軸中心から前記切削工具の切削面までの目標距離情報を持ち、この目標距離情報となるよう前記ワークの面の全域を前記切削工具によって荒削り切削と仕上げ切削を行い、荒削り切削と仕上げ切削では前記切削工具の切削面が前記ワークの面に対して異なる領域で接触するよう前記切削工具揺動手段の駆動を制御する制御部とを備えたことを特徴とする切削加工装置である。
【0008】
他の本発明は、ワーク側基台に設けられ、ワークを装着するワークヘッド部と、前記ワークヘッド部を回転駆動するワーク回転手段と、前記切削工具を回転駆動する切削工具回転手段と、切削工具側基台に設けられた切削工具と、前記ワークの加工面に対する前記切削工具の接触領域が可変するよう揺動できる切削工具揺動手段と、前記ワークヘッド部と前記切削工具の少なくともいずれか一方を近接・離間方向に移動し、前記ワークの回転軸中心から前記切削工具の切削面までの距離を可変する第1移動手段と、前記ワークヘッド部と前記切削工具の少なくともいずれか一方を前記第1移動手段の移動方向の直交方向に移動し、前記ワークの回転軸方向に対する前記切削工具の切削面の位置を可変する第2移動手段と、前記ワークヘッド部の回転角度を検知する回転角度検知手段と、前記切削工具揺動手段による揺動位置を検知する揺動位置検知手段と、前記ワークの回転軸中心から前記切削工具の切削面までの距離を検知する第1移動位置検知手段と、前記ワークの回転軸方向に対する前記切削工具の切削面の位置を検知する第2移動位置検知手段と、前記回転角度検知手段、前記揺動位置検知手段、前記第1移動位置検知手段及び前記第2移動位置検知手段の各検知情報を取得し、前記ワーク回転手段、前記切削工具回転手段、前記切削工具揺動手段、前記第1移動手段及び前記第2移動手段の駆動を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記ワークの面の各位置における、前記ワークの回転軸中心から前記切削工具の切削面までの目標距離情報を持ち、この目標距離情報となるよう前記ワークの面の全域を前記切削工具によって荒削り切削と仕上げ切削を行い、荒削り切削と仕上げ切削では前記切削工具の切削面が前記ワークの面に対して異なる領域で接触するよう前記切削工具揺動手段の駆動を制御することを特徴とする切削加工方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第2移動位置検知手段及び回転角度検知手段の検知情報より切削工具の切削面に対向するワークの全ての加工面の位置情報を得ることができ、これら位置情報における第1移動方向の目標情報に基づいて第1移動手段を制御することによってワークの加工面を所望の三次元形状に加工できる。この切削加工は、回転する切削工具によってワークを切削するため、加工スピードが速く、高能率な加工ができる。切削工具の切削面を荒削り加工領域と仕上げ加工領域に区分けし、先ず荒削り加工領域で荒削りを施し、その後に仕上げ加工領域で仕上げ加工をすれば、仕上げ加工を荒削りでダメージを受けてない領域で行うことにより、ワークの加工面を表面粗度の細かいものに加工できる。以上より、加工スピードが速く高能率で、しかも、表面粗度の細かい加工ができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態を示し、切削加工装置の概略平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態を示し、切削加工装置の概略回路ブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態を示し、切削工具の側面図である。
【図4】本発明の第1実施形態を示し、(a)は切刃部の要部拡大図、(b)は荒削り加工時の切刃部とピストン素材の外周面間の接触位置を示す図、(c)は仕上げ加工時の切刃部とピストン素材の外周面間の接触位置を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態を示し、切削加工装置の概略平面図である。
【図6】本発明の第2実施形態を示し、(a)はエンドミルの要部拡大図、(b)は荒削り加工時の切削面とピストン素材の外周面間の接触位置を示す図、(c)は仕上げ加工時の切削面とピストン素材の外周面間の接触位置を示す図である。
【図7】従来例の切削加工装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1〜図4は、本発明の第1実施形態を示す。図1及び図2に示すように、切削加工装置1Aは、ワーク側基台10と切削工具側基台20とを備えている。ワーク側基台10上には、ヘッド支持台11と位置測定部12が設けられている。ヘッド支持台11にはワークヘッド部13が回転自在に支持されている。ワークヘッド部13は、ワークであるピストン素材40を着脱自在に装着できる。ピストン素材40は、アルミニューム合金製であり、その外周面の中心軸がワークヘッド部13の回転中心に一致する状態で装着される。ワークヘッド部13は、ワーク回転手段14によってC軸方向に回転駆動される。ワークヘッド部13の回転駆動によってピストン素材40が回転し、ワークヘッド部13の回転角度、ひいては、ピストン素材40の回転角度が変化する。ワークヘッド部13の回転角度は、回転角度検知手段30によって検知される。
【0013】
切削工具側基台20には、回転軸21を揺動支点として回転テーブル部22が揺動自在に設けられている。この回転テーブル部22には、切削工具装着ヘッド部23が固定されている。回転テーブル部22及び切削工具装着ヘッド部23は切削工具揺動手段24によってB軸方向に揺動される。切削工具装着ヘッド部23、ひいては切削工具25の揺動位置は、揺動位置検知手段31によって検知される。又、切削工具装着ヘッド部23には、切削工具25が回転自在に装着されている。この切削工具25は、円板状の回転中心を支点として切削工具回転手段26によって回転駆動される。
【0014】
切削工具25は、図3に詳しく示すように、円板状の切刃装着部25aと、この切刃装着部25aの外周側に等間隔に固定された複数の切刃25bとを備えている。各切刃25bは、例えばダイヤモンド切刃や立方晶窒化ボロン(cBN)切刃を使用する。使用する切刃25bは、ワークの材料に応じて使い分けることが好ましい。各切刃25bの先端は、切刃装着部25aの外周面より所定寸法だけ突出している。各切刃25bの先端面が切削面25cである。切削面25cは、図4(a)に詳しく示すように、回転方向の直交方向(例えば上面側)から見て円弧面に形成されている。これにより、切削工具25の揺動移動によって異なる領域でピストン素材40の加工面である外周面40aに接触できるようになっている。この実施形態では、切削面25cの中央領域を仕上げ領域として、切削面25cの両側領域を荒削り領域として利用する。
【0015】
又、切削工具側基台20は、ワークヘッド部13に対し近接したり、離間したりする近接・離間方向(X軸方向)に第1移動手段27によって移動できるよう構成されている。これにより、切削工具25は、ピストン素材40の回転軸中心(C軸方向)から切削工具25の切削面25cまでの距離が可変される。第1移動手段27によって切削工具25の切削面25cがX軸方向に変移し、このX軸方向の位置は第1移動位置検知手段32によって検知される。切削工具側基台20は、第1移動手段27の移動方向の直交方向(Z軸方向)に第2移動手段28によって移動できるよう構成されている。これにより、切削工具25は、ピストン素材40の回転軸方向(Z軸方向)に対する位置が可変される。第2移動手段28によって切削工具25の切削面25cがZ軸に変移し、このZ軸方向の位置は第2移動位置検知手段33によって検知される。
【0016】
次に、切削加工装置1Aの概略回路系を説明する。第1移動位置検知手段32、第2移動位置検知手段33、回転角度検知手段30及び揺動位置検知手段31の各検知情報は制御部35に入力される。制御部35は、図示しない内蔵メモリを有する。この内蔵メモリには、ピストン素材40の加工面である外周面40aの全域の位置情報(Z軸位置,C軸位置)と、これら位置に対応するピストン素材40の回転軸中心から切削工具25の切削面25cまでの目標距離情報(X軸位置)が格納されている。つまり、ピストン素材40の外周面40aの三次元加工情報である。制御部35は、この目標距離情報となるようピストン素材40の外周面40aの全域を切削工具25によって切削するべく、第1移動手段27、第2移動手段28、ワーク回転手段14、切削工具回転手段26及び切削工具揺動手段24の駆動を制御する。この制御内容については、下記の加工作業の箇所で説明する。
【0017】
次に、切削加工装置1Aによる加工作業の一例を簡単に説明する。先ず、例えば鋳造によって作製されたピストン素材40をワークヘッド部13に装着する。次に、ワーク回転手段14によってピストン素材40を回転し、切削工具回転手段26によって切削工具25を回転する。図4(b)に示すように、切削工具25の切削面25cの荒削り領域がピストン素材40の外周面40aに接触するよう切削工具揺動手段24によって揺動角を調整する。
【0018】
次に、第2移動手段28の駆動によって切削工具25の切削面25cがピストン素材40の外周面40aの全域に順次対向配置するよう移動させる。この第2移動手段28の駆動過程にあって、第1移動位置検知手段32及び回転角度検知手段30の検知情報よりピストン素材40の外周面40aの位置座標(Z軸,C軸)を認識し、この位置座標に対応する目標距離情報(X軸)に基づき第1移動手段27を移動する。これにより、切削工具25によりピストン素材40の外周面40aが切削される。このような制御をピストン素材40の外周面40aの全域について行い、ピストン素材40の外周面40aの全域について荒削りを行う。
【0019】
次に、図4(c)に示すように、切削工具25の切削面25cの仕上げ領域がピストン素材40の外周面40aに接触するよう切削工具揺動手段24によって揺動角を調整する。そして、上記荒削り加工と同様の動作によってピストン素材40の外周面40aの全域を仕上げ加工する。
【0020】
切削加工装置1Aによる加工が終了すると、ピストン素材40の表面にダイヤモンドライクコーテング(DLC)処理等を行う。尚、ダイヤモンドライクコーテング(DLC)処理等は、行ない場合もある。
【0021】
以上説明したように、ピストン素材40を装着するワークヘッド部13と、これを回転するワーク回転手段14と、切削工具25と、切削工具25を揺動する切削工具揺動手段24と、切削工具25を回転する切削工具回転手段26と、ピストン素材40の回転軸中心から切削工具の切削面までの距離を可変する第1移動手段27と、ピストン素材40の回転軸方向に対する切削工具25の切削面25cの位置を可変する第2移動手段28と、ワークヘッド部13の回転角度を検知する回転角度検知手段30と、切削工具25の揺動角を検知する揺動位置検知手段31と、ピストン素材40の回転軸中心から切削工具25の切削面25cまでの距離を検知する第1移動位置検知手段32と、ピストン素材40の回転軸方向に対する切削工具25の切削面25cの位置を検知する第2移動位置検知手段33と、これらを制御等する制御部35とを備えている。
【0022】
従って、第2移動位置検知手段33及び回転角度検知手段30の検知情報より切削工具25の切削面25cに対向するピストン素材40の全ての外周面40aの位置情報を得ることができ、これら位置情報におけるX軸方向の目標距離情報に基づいて第1移動手段27を制御することによってピストン素材40の外周面40aを所望の三次元形状(基準楕円周面や基準円周面に対して変化を有する形状)に加工できる。この切削加工は、回転する切削工具25によってピストン素材40を切削するため、加工スピードが速く、高能率な加工ができる。切削工具25の切削面25cを荒削り加工領域と仕上げ加工領域に区分けし、先ず荒削り加工領域で荒削りを施し、その後に仕上げ加工領域で仕上げ加工をするため、仕上げ加工を荒削りでダメージを受けてない領域で行うことにより、ピストン素材40の外周面40aを表面粗度の細かいものに加工できる。以上より、加工スピードが速く高能率で、しかも、表面粗度の細かい加工ができる。作製されたピストンは、表面粗度が細かいため、燃費の向上、省エネになる。
【0023】
(第2実施形態)
図5及び図6は、本発明の第2実施形態を示す。図5及び図6に示すように、第2実施形態の切削加工装置1Bは、前記第1実施形態の切削加工装置1Aと比較するに、切削工具がエンドミル36にて構成されるいる点が大きく相違する。
【0024】
エンドミル36は、切削工具装着ヘッド部23に着脱自在に装着されている。エンドミル36は、自らの軸芯を回転中心として回転される。エンドミル36の回転軸方向は、揺動中心の位置ではX軸方向に設定されている。エンドミル36の先端は、切削面36aである。エンドミル36の切削面36aは、例えばダイヤモンド製や立方晶窒化ボロン(cBN)製を使用する。ワークの材料に応じて使い分けることが好ましい。切削面36aは、図6(a)に詳しく示すように、円弧面に形成されている。これにより、エンドミル36の揺動移動によって異なる領域でピストン素材40の外周面40aに接触できるようになっている。この実施形態では、切削面36aの中央領域を仕上げ領域として、切削面36aの両側領域を荒削り領域として利用する(図6(b)、(c)参照)。
【0025】
他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、重複説明を回避するべく説明を省略する。図5には、第1実施形態と同一構成箇所に同一符号を付して明確化を図る。
【0026】
この第2実施形態の切削加工装置1Bにおいても、前記第1実施形態で説明したのと同様の加工手順でピストン素材40の加工を行うことができる。
【0027】
この第2実施形態の切削加工装置1Bにおいても、前記第1実施形態と同様に、第2移動位置検知手段及び回転角度検知手段の検知情報よりエンドミル36の切削面36aに対向するピストン素材40の全ての外周面40aの位置情報を得ることができ、これら位置情報におけるX軸方向の目標距離情報に基づいて第1移動手段27を制御することによってピストン素材40の外周面40aを所望の三次元形状(基準楕円周面や基準円周面に対して変化を有する形状)に加工できる。この切削加工は、回転する切削工具25によってピストン素材40を切削するため、加工スピードが速く、高能率な加工ができる。エンドミル36の切削面36aを荒削り加工領域と仕上げ加工領域に区分けし、先ず荒削り加工領域で荒削りを施し、その後に仕上げ加工領域で仕上げ加工をするため、仕上げ加工を荒削りでダメージを受けてない領域で行うことにより、ピストン素材40の外周面40aを表面粗細かいものに加工できる。以上より、加工スピードが速く高能率で、しかも、表面粗度の細かい加工ができる。作製されたピストンは、表面粗度が細かいため、燃費の向上、省エネになる。
【0028】
エンドミル36は、切削面36aの軸芯より遠くなればなるほど周速度が速くなり、周速度の速い領域を荒削り領域としているため、加工スピードが速く、高能率化を図ることができる。
【0029】
エンドミル36は、第1実施形態の切削工具25と比較して曲率半径の小さい形状加工に優れている。近年のエンジンは小型化が進み、ピストンの形状変化も曲率が小さくなる傾向にあるため、小型のピストン加工を高能率で作製できる。
【0030】
エンドミル36としてボールエンドミルを使用することにより、設計表面に対して常に法線方向に半径オフセットを取ることができ、3次元補正が容易である。
【0031】
切削工具回転手段として高周波モータを使用し、エンドミル36としてダイヤモンド製を使用することにより、更に加工スピードが速く高能率で、しかも、表面粗度の細かい加工ができる。
【0032】
(その他)
前記各実施形態では、ワークがピストン素材40の場合を説明したが、ピストン素材40以外であっても良いことはもちろんである。
【0033】
前記各実施形態では、第1移動手段27は、切削工具側基台20、つまり、切削工具25側を移動するよう構成されているが、ワークヘッド部13側のみを移動しても、又、ワークヘッド部13側と切削工具25側の双方を近接・離間方向(X軸方向)に移動するよう構成しても良い。
【0034】
前記各実施形態では、第2移動手段28は、切削工具側基台20、つまり、切削工具25側を移動するよう構成されているが、ワークヘッド部13側のみを移動しても、又、ワークヘッド部13側と切削工具25の双方をピストン素材40の回転軸方向(Z軸方向)に移動するよう構成しても良い。
【符号の説明】
【0035】
1A,1B 切削加工装置
10 ワーク側基台
13 ワークヘッド部
14 ワーク回転手段
20 切削工具側基台
24 切削工具揺動手段
25 切削工具
25c,36a 切削面
26 切削工具回転手段
27 第1移動手段
28 第2移動手段
30 回転角度検知手段
31 揺動位置検知手段
32 第1移動位置検知手段
33 第2移動位置検知手段
35 制御部
36 エンドミル
40 ピストン素材(ワーク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク側基台に設けられ、ワークを装着するワークヘッド部と、
前記ワークヘッド部を回転駆動するワーク回転手段と、
切削工具側基台に設けられた切削工具と、
前記ワークの加工面に対する前記切削工具の接触領域が可変するよう揺動できる切削工具揺動手段と、
前記切削工具を回転駆動する切削工具回転手段と、
前記ワークヘッド部と前記切削工具の少なくともいずれか一方を近接・離間方向に移動し、前記ワークの回転軸中心から前記切削工具の切削面までの距離を可変する第1移動手段と、
前記ワークヘッド部と前記切削工具の少なくともいずれか一方を前記第1移動手段の移動方向の直交方向に移動し、前記ワークの回転軸方向に対する前記切削工具の切削面の位置を可変する第2移動手段と、
前記ワークヘッド部の回転角度を検知する回転角度検知手段と、
前記切削工具揺動手段による揺動位置を検知する揺動位置検知手段と、
前記ワークの回転軸中心から前記切削工具の切削面までの距離を検知する第1移動位置検知手段と、
前記ワークの回転軸方向に対する前記切削工具の切削面の位置を検知する第2移動位置検知手段と、
前記ワークの面の各位置における、前記ワークの回転軸中心から前記切削工具の切削面までの目標距離情報を持ち、この目標距離情報となるよう前記ワークの面の全域を前記切削工具によって荒削り切削と仕上げ切削を行い、荒削り切削と仕上げ切削では前記切削工具の切削面が前記ワークの面に対して異なる領域で接触するよう前記切削工具揺動手段の駆動を制御する制御部とを備えたことを特徴とする切削加工装置。
【請求項2】
ワーク側基台に設けられ、ワークを装着するワークヘッド部と、
前記ワークヘッド部を回転駆動するワーク回転手段と、
前記切削工具を回転駆動する切削工具回転手段と、
切削工具側基台に設けられた切削工具と、
前記ワークの加工面に対する前記切削工具の接触領域が可変するよう揺動できる切削工具揺動手段と、
前記ワークヘッド部と前記切削工具の少なくともいずれか一方を近接・離間方向に移動し、前記ワークの回転軸中心から前記切削工具の切削面までの距離を可変する第1移動手段と、
前記ワークヘッド部と前記切削工具の少なくともいずれか一方を前記第1移動手段の移動方向の直交方向に移動し、前記ワークの回転軸方向に対する前記切削工具の切削面の位置を可変する第2移動手段と、
前記ワークヘッド部の回転角度を検知する回転角度検知手段と、
前記切削工具揺動手段による揺動位置を検知する揺動位置検知手段と、
前記ワークの回転軸中心から前記切削工具の切削面までの距離を検知する第1移動位置検知手段と、
前記ワークの回転軸方向に対する前記切削工具の切削面の位置を検知する第2移動位置検知手段と、
前記回転角度検知手段、前記揺動位置検知手段、前記第1移動位置検知手段及び前記第2移動位置検知手段の各検知情報を取得し、前記ワーク回転手段、前記切削工具回転手段、前記切削工具揺動手段、前記第1移動手段及び前記第2移動手段の駆動を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記ワークの面の各位置における、前記ワークの回転軸中心から前記切削工具の切削面までの目標距離情報を持ち、この目標距離情報となるよう前記ワークの面の全域を前記切削工具によって荒削り切削と仕上げ切削を行い、荒削り切削と仕上げ切削では前記切削工具の切削面が前記ワークの面に対して異なる領域で接触するよう前記切削工具揺動手段の駆動を制御することを特徴とする切削加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−135836(P2012−135836A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290072(P2010−290072)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(508157255)株式会社小金井精機製作所 (2)
【Fターム(参考)】