切削工具およびそれを用いた切削方法
【課題】小さな切削インサートであっても強固にホルダに固定できるとともに、切削インサートの交換作業の時間を短縮でき高い作業効率を発揮することができる切削工具を提供する。
【解決手段】上面と、下面と、側面と、前記上面と前記側面との交差部に形成された切刃と、を有した切削インサートと、該切削インサートの側面を拘束する拘束側面と、前記切削インサートの下面を拘束する拘束座面と、を有するとともに前記切削インサートが取り付けられるホルダと、を備えた切削工具であって、一端が前記ホルダの基端に開口するよう形成された第一吸引孔と、一端が前記第一吸引孔と連通するとともに他端が前記ホルダの拘束側面または拘束座面に開口するよう形成された、複数の第二吸引孔と、を備えたことを特徴とする切削工具である。
【解決手段】上面と、下面と、側面と、前記上面と前記側面との交差部に形成された切刃と、を有した切削インサートと、該切削インサートの側面を拘束する拘束側面と、前記切削インサートの下面を拘束する拘束座面と、を有するとともに前記切削インサートが取り付けられるホルダと、を備えた切削工具であって、一端が前記ホルダの基端に開口するよう形成された第一吸引孔と、一端が前記第一吸引孔と連通するとともに他端が前記ホルダの拘束側面または拘束座面に開口するよう形成された、複数の第二吸引孔と、を備えたことを特徴とする切削工具である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、金属部品などの加工に用いられる、切削インサートをホルダに着脱可能に取り付けてなる切削工具に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、金属部品などの加工に用いられる、切削インサートをホルダに着脱可能に取り付けてなる切削工具である、いわゆる、スローアウェイ式切削工具が多用されている。
【０００３】
このようなスローアウェイ式切削工具においては、従来から、切削インサートをホルダに取り付ける機構、いわゆる、インサートのクランプ機構が数多く提案されている。
【０００４】
例えば、特許文献１には、ホルダの先端部に形成されたインサートポケットに、複数の切削インサートがクランプねじによって固定された転削工具が開示されている。
【０００５】
また、他のクランプ機構としては、いわゆるレバーロック機構やウェッジロック機構など、様々な形状をなすクランプ部材によって切削インサートをホルダに取り付ける機構が開示されている。
【特許文献１】特開２００２―２７３６１１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
一方、昨今では、切削加工の高効率化に伴い、一度に多量の被削材を切削加工できるように、ホルダに多数の切削インサートを取り付けて使用する切削工具が多用されてきている。
【０００７】
しかし、このような切削工具に、上記のような従来のクランプ機構を用いた場合には、切削加工で摩耗した切削インサートを交換する度に、各々の切削インサートについて、固定するねじやレバーなどといったクランプ部材の操作を行わなければならず、多大な作業時間を要する。そのため、加工速度は向上するものの、作業性が低下し、加工工程全体としては必ずしも十分な効率化が図られていないという問題があった。
【０００８】
また他方では、切削加工の複雑化も進んでいる。具体的には、被削材がより小さなものになったり、切削加工によって形成する加工物の形状がより複雑なものになったりしてきている。このような小物加工や複雑な形状の切削加工を好適に行うためには、切削工具そのものを小さくすることが要求される。
【０００９】
しかしながら、クランプ部材によって切削インサートをホルダに取り付ける従来のインサートのクランプ機構では、切削インサートにクランプねじを挿入するねじ穴や、レバーロックが係合する貫通穴などを形成しなければならない。さらに、従来のインサートのクランプ機構で固定される切削インサートは、切削加工に耐え得るだけでなくクランプねじなどの締め付けにも耐え得るだけの肉厚を確保する必要があった。
【００１０】
そのため、従来のクランプ機構で固定される切削インサートを小型化しようとすると、ねじなどの締め付けに耐え得る肉厚を確保できず欠損してしまうといった問題があった。そもそも、ねじ穴や貫通穴を形成しなければならない為、切削インサートを小型化すること自体が困難であった。
【００１１】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、小さな切削インサートであっても強固にホルダに固定できるとともに、切削インサートの交換作業の時間を短縮でき高い作業効率を発揮することができる切削工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
前記課題を解決するため、本発明の切削工具は、上面と、下面と、側面と、前記上面と前記側面との交差部に形成された切刃と、を有した切削インサートと、該切削インサートの側面を拘束する拘束側面と、前記切削インサートの下面を拘束する拘束座面と、を有するとともに前記切削インサートが取り付けられるホルダと、を備えた切削工具であって、一端が前記ホルダの基端に開口するよう形成された第一吸引孔と、一端が前記第一吸引孔と連通するとともに他端が前記ホルダの拘束側面または拘束座面に開口するよう形成された、複数の第二吸引孔と、を備えたことを特徴とする。
【００１３】
このような構成により、クランプ部材を用いることなくホルダに切削インサートを装着することができるため、切削インサートの小型化が図れるとともに、切削インサートの交換にかかる作業時間の短縮が図れる。
【００１４】
さらに、前記複数の第二吸引孔の他端は、前記拘束側面または拘束座面の少なくとも一方において、その面の外周に沿って各々開口していることが、切削インサートの外周側を強固にホルダに拘束することができるので、切削インサートを安定してホルダに固定することができるため望ましい。
【００１５】
また、前記複数の第二吸引孔の他端が、前記拘束座面および拘束側面の少なくとも一方において、その面の中央から外周に向かって並んで各々開口していることが、切削インサートを安定してホルダに固定することができるため望ましい。
【００１６】
さらに、前記複数の第二吸引孔の開口径は、前記拘束側面および拘束座面の少なくとも一方において、その面の中央から外周に向かうにつれて大きくなっていることが、切削インサートを安定してホルダに固定することができるため望ましい。
【００１７】
また、前記拘束座面および前記切削インサートの下面には、互いに嵌合する嵌合部が各々形成されていることが、切削インサートの下面とホルダの拘束座面との拘束面積を安定して確保でき、切削インサートをホルダに拘束する力が高まるため望ましい。
【００１８】
さらに、前記拘束座面および前記切削インサートの下面に形成された前記嵌合部は、凹状または凸状をなすとともに、前記複数の第二吸引孔の他端は、前記拘束座面に形成された前記嵌合部のうちの前記拘束側面に略平行な壁面に開口していることが、切削工具の軸線方向に略平行な方向における拘束面積が増えるとともに、当該拘束部分に開口する複数の吸引孔によって切削インサートが飛散するのを抑制する方向に強固な拘束力が働き、切削インサートの飛散を抑制することができるため望ましい。
【００１９】
また、前記複数の第二吸引孔が開口する前記拘束側面と前記インサートの側面との間および前記複数の第二吸引孔が開口する前記拘束座面と前記インサートの下面との間の少なくとも一方に、環状をなすシール部材が、対応する前記拘束側面または前記拘束座面のうち前記複数の第二吸引孔が開口する領域を囲むよう配設されたことが、切削インサートをホルダに拘束する力を更に向上させ、切削インサートをホルダに安定して固定することができるため望ましい。
【００２０】
前記課題を解決するため、本発明の被削材の切削方法は、上記切削工具を用いて被削材を切削する方法であって、前記被削材に前記切削工具を相対的に近づける近接工程と、前記被削材又は前記切削工具を回転させ、該切削工具を前記被削材の表面に接触させて前記被削材を切削する切削工程と、前記被削材と前記切削工具とを相対的に遠ざける離間工程と、を備えることを特徴とする。
【００２１】
このような構成により、切削インサートがクランプ部材を用いることなくホルダに強固にかつ安定して固定された切削工具を用いて切削するため、加工面精度および作業効率が高い切削加工を実現することができる。
【発明の効果】
【００２２】
本発明の切削工具によれば、従来のねじやレバーなどのクランプ部材のような別部品を用いることなく、ホルダに切削インサートを取り付けることができるため、切削インサートそのものの小型化が図れるとともに、使用した切削インサートを交換する作業時間を短縮でき、作業効率の向上が図れる。
【００２３】
本発明の被削材の切削方法によれば、使用した切削インサートの交換作業に要する時間を短縮でき、切削加工全体の作業効率の向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２４】
以下、本発明の実施形態を添付図面により説明する。
【００２５】
図１乃至図４は、本発明の第一の実施形態を示すものである。図１は、本発明の第一の実施形態による切削工具１の全体斜視図である。図２は、図１の切削工具１を構成するホルダ２の全体斜視図であり、図３は、図２のホルダ２の側面図である。そして、図４は、図３の要部拡大図である。
【００２６】
さらに、図５は、本発明の第二の実施形態による切削工具１’のホルダ２の（ａ）拘束座面および（ｂ）、一方の拘束側面および（ｃ）他方の拘束側面における第二吸引孔５の開口部の配置を模式的に示した概略図であり、図６は、本発明の第三の実施形態による切削工具１”のうち、切削インサートが装着された部分の概略断面図である。
【００２７】
図１乃至図４を用いて、本発明の第一の実施形態による切削工具１について、詳細に説明する。
【００２８】
図１乃至図４に示す本発明の第一の実施形態による切削工具１は、切削インサート（以下、インサートと略す。）３と、該インサート３が取り付けられるホルダ２と、を備えてなる。
【００２９】
インサート３は少なくとも一部がすくい面をなす上面と、少なくとも一部が逃げ面をなす側面と、上面と側面との交差部に形成された切刃と、を有している。本実施形態においては、インサート３は、上面視で略四角形板状をなすとともに、上面視で４つの角部のうち対角に位置する２つの角部に切刃が形成された、いわゆる、２コーナー使いのインサートである。
【００３０】
ホルダ２は、図２乃至図４に示すように、インサート１を取り付けるインサートポケット９を有してなる。インサートポケット９は、図２に示すように、本実施形態においては、ホルダ２の先端側に５個形成されている。これらのインサートポケット９は、軸線方向においては、いずれも同一高さ位置に先端視でホルダ軸線を中心とする放射状に配置されている。そして、インサートポケット９には、インサート１の側面を拘束する拘束側面２１と、インサート１の下面を拘束する拘束座面２２とが、形成されている。本実施形態においては、図３に示すように、拘束側面２１は、ホルダ２の内周側に位置するとともにホルダ２の軸線に対して略平行な拘束側面２１Ａとホルダ２の基端側に位置するとともにホルダ２の軸線に対して略垂直な拘束側面２１Ｂとの２つの面で構成されている。
【００３１】
さらに、ホルダ２は、図２乃至図４に示すように、一端がホルダ２の基端に開口するよう形成された第一吸引孔４と、一端が第一吸引孔４と連通するとともに他端がホルダ２のインサートポケット９に開口するよう形成された第二吸引孔５を複数有している。
【００３２】
ここで、本実施形態による切削工具１におけるインサート３のクランプ機構について説明する。
【００３３】
切削工具１は、第一吸引孔４が外部の吸引手段と連結するよう基端側を外部機器に把持される。具体的には、ホルダ２の基端側が外部機器に把持され、外部機器と一体もしくは別体からなる真空ポンプなどの吸引手段とホルダ２とが接続するよう配置される（以下、この状態を装着状態と略す。）この装着状態では、ホルダ２の基端側に形成されている第一吸引孔４が真空ポンプなどの吸引手段と連通している。したがって、第二吸引孔５が第一吸引孔４と連通して形成された切削工具１は、外部機器に把持された装着状態では、真空ポンプから、第一吸引孔４を介して該第一吸引孔４と連通する第二吸引孔５まで、すなわち、吸引手段と連通したホルダ２の基端からホルダ２の先端側まで、ホルダ２内部に連通した孔が形成されることとなる。
【００３４】
本実施形態による切削工具１のクランプ機構の第一工程として、まずは、インサート３をホルダ２のインサートポケット９に配置する。
【００３５】
第二工程として、インサート３が配置された切削工具１を上述した装着状態に設置する。
【００３６】
第三工程として、この装着状態において、外部の吸引手段を作動させ、ホルダ内部に連通した孔内を吸気する。そうすることで、第二吸引孔５が開口するインサートポケット９に配置されたインサート３を吸引圧力によってインサートポケット９に固定する。
【００３７】
このように本実施形態による切削工具１では、従来のクランプ機構のように、ねじ部材やレバーなど別途クランプ部材を用いることなく、真空ポンプなどの外部の吸引手段に接続してホルダ２内を吸引するだけで、インサートポケット９に開口する複数の第二吸引孔６から付与される吸引圧力によってインサート３をホルダ２に固定することができる。そのため、ねじ穴やレバーと係合する貫通穴などをインサートに設けなければならない従来のクランプ機構と異なり、インサート３の形状の制限がなく、インサート３の小型化が図れる。加えて、クランプ部材を各々のインサート３に対して操作することがなく、交換作業そのものが容易であるとともに、使用したインサート３を交換する作業時間を短縮することができる。
【００３８】
本実施形態における切削工具１では、図４に示すように、インサートポケット９に開口する複数の第二吸引孔５は、拘束側面２１および拘束座面に開口している。このような構成により、吸引圧力によってインサート３をホルダ２に拘束する力がインサート３の広範囲に渡って作用する。その結果、クランプ力が向上する。
【００３９】
本実施形態の切削工具１においては、第二の吸引孔５の他端の開口形状として、円形状をなすものを例示したが、これに限らず、楕円形状や多角形状など、加工条件および切刃形状に応じて、適宜選択することができる。
【００４０】
なお、本実施形態における切削工具１では、図４に示すように、複数の第二吸引孔５の他端は、インサートポケット９の拘束側面２１および拘束座面２２において、開口部５１がいずれも規則正しく整列するように形成されている。このような構成により、拘束側面２１および拘束座面２２により多くの第二吸引孔５を開口させることができ、ホルダ２にインサート３を拘束する力が向上する。
【００４１】
本実施形態においては、図４に示すように、ホルダ２の内周側に位置するとともにホルダ２の軸線に対して略平行な拘束側面２１Ａは、インサート３の側面の両端側を安定して拘束できるよう分離して２つ形成されている。各拘束側面２１Ａには、２つの第二吸引孔５の開口部５１が位置している。このように拘束側面２１Ａを２つの分離した面で構成することにより、焼成時に中央部分が膨張したインサート３であっても、インサート３の側面の両端側を上記クランプ機構によって安定してホルダ２に拘束することができる。
【００４２】
一方、ホルダ２の基端側に位置するとともにホルダ２の軸線に対して略垂直な拘束側面２１Ｂは、１つの面で構成されており、２つの第二吸引孔５の開口部５１が位置している。そして、拘束座面２２は、第二吸引孔５の開口部５１が全面に規則正しく配置されている。
【００４３】
なお、本実施形態において、ホルダ２の拘束座面２２および拘束側面２１のいずれも同様の構成をなす形態を例示したが、これに限るものではない。
【００４４】
次に、本発明の第二の実施形態による切削工具１’について、詳細に説明する。図５は、第二の実施形態による切削工具１’の（ａ）拘束座面および（ｂ）一方の拘束側面および（ｃ）他方の拘束側面における第二吸引孔５の開口部の配置を模式的に示した概略図である。なお、図５において、図１〜図４と同様の構成については、同様の符号を付して、説明を省略する。
【００４５】
第二の実施形態による切削工具１’は、図５に示すように、複数の第二吸引孔５の他端は、インサートポケット９の拘束側面２１または拘束座面２２の少なくとも一方において、その面の外周に沿って各々開口している。具体的には、本実施形態による切削工具１’では、拘束側面２１および拘束座面２２の両方において、各面の外周に沿って、第二吸引孔５の他端が開口する構成をなす。このような構成により、インサート３をホルダ２に拘束する力が、インサート３の側面および下面の各々の外周側にバランスよくかかる。そのため、安定したクランプ力が得られる。
【００４６】
またさらには、本実施形態による切削工具１’は、複数の第二吸引孔５の他端は、上述した構成に加えて、図５に示すように、その面の中央から外周に向かって並んで各々開口するよう形成されている。このような構成により、ホルダ２にインサート３を安定して固定することができる。
【００４７】
そして、上記構成を有してなる時、複数の第二吸引孔５の他端の開口径は、その面の中央から外周に向かうにつれて、大きくなるよう形成されているのがより好ましい。このような構成により、切削加工時により大きな切削抵抗がかかる切刃が設けられるインサート３外周側に、より強固なクランプ力がかかるため、よりバランスよくインサート３をホルダ２に安定して固定することができる。その結果、更なるクランプ力の向上が図れ、加工時にインサート３が微動することが抑制できる。
【００４８】
ここでいう第二吸引孔５の他端の開口径Ｒ５とは、図５に示すように、第二吸引孔５の他端が開口する面を上面視した際の、具体的には、第二吸引孔５が開口する面に対して略垂直な方向から見た際の、第二吸引孔５が開口する面と第二吸引孔５の内壁面との交差稜線で囲まれた部分の面積を円に換算した際の当該円の直径をいう。簡易的な測定方法としては、CCDカメラ等によって第二吸引孔６の他端の開口部５１を撮影し、画像解析することで測定することができる。
【００４９】
なお、本実施形態においては、上述のように、複数の第二吸引孔５の他端が、拘束側面２１および拘束座面２２の両方において、その面の外周に沿って、かつ、開口径が外周側ほど大きくなるよう開口した構成を例示したがこれに限定されず、拘束側面および拘束座面のいずれか一方がこのような構成であっても構わない。さらには、外周に沿った構成のみ、開口径が異なる構成のみ、など、切削工具が用いられる切削条件や、切削工具の加工コストに応じて、各構成を適宜選択し、組み合わせることができる。
【００５０】
さらに、本実施形態による切削工具１は、インサートポケット９のインサート３が拘束される部分に、ホルダ２とインサート３との間にシール部材６が配設されている。具体的には、図５に示すように、拘束側面２１とインサート３の側面との間、および、拘束座面２２とインサート３の下面との間に、各々、環状をなすシール部材６が配設される。シール部材６は、図５に示すように、対応する拘束側面２１または拘束座面２２のうち複数の第二吸引孔５が開口する領域を囲むよう配置されている。すなわち、複数の第二吸引孔５の他端は、インサートポケット９の拘束側面２１および拘束座面２２において、環状のシール部材６と当接する領域よりも内側に位置する領域に開口している。このようにホルダ２にインサート３を固定する際に、シール部材６を介することで、インサート３をホルダ２により強固に密着固定することができる。
【００５１】
シール部材６としては、ゴム製のOリングやプラスチック製の薄板など、種々のシール部材を用いることができる。本実施形態による切削工具１は、シール部材６としてゴム製のＯリングを用いてなる。
【００５２】
なお、他の実施形態として、複数の第二吸引孔５の他端は、その面の中央を中心とする同心円状に各々開口したものであってもよい（不図示）。すなわち、拘束側面２１Ａ、２１Ｂおよび拘束座面２２における第二吸引孔５の他端の開口部が、各面の中央を中心とする同心円状に配置されていても良い。このような構成により、更にインサート３をホルダ２に拘束する力がインサート３の側面および下面の各々にバランスよくかかるため、更なるクランプ力の向上が図れる。
【００５３】
また、このように同心円状に配置された実施形態においても、複数の第二吸引孔５の他端は、上述した構成に加えて、その面の中央から外周に向かうにつれて、その開口径Ｒ５が大きくなるよう形成されているものであっても良い。このように、複数の第二吸引孔５の他端が、同心円状に外周に向かうにつれて開口径Ｒ５が大きくなるよう配置されることにより、切削加工時により大きな切削抵抗がかかる切刃が設けられるインサート３外周側に、より強固なクランプ力がかかるため、よりバランスよくインサート３をホルダ２に安定して固定することができる。その結果、更なるクランプ力の向上が図れる。
【００５４】
さらに、図６を用いて、本発明の第三の実施形態による切削工具１”について、詳細に説明する。図６は、第三の実施形態による切削工具１”のうち、インサート３が装着された部分の概略断面図である。なお、図６において、図１〜図５と同様の構成については、同様の符号を付して、説明を省略する。
【００５５】
他の実施形態による切削工具１”は、図４に示す第一の実施形態による切削工具１と同様、拘束座面２２に複数の第二吸引孔５が開口する構成を有している。
【００５６】
しかし、本実施形態による切削工具１”では、図６に示すように、拘束座面２２には、インサート３の下面に形成された凹部８（嵌合部）と嵌合する凸部７（嵌合部）が形成されている。すなわち、本実施形態による切削工具１”では、拘束座面２２に、凸状の嵌合部が形成され、インサート３の下面に、凹状の嵌合部が形成されている。このような構成により、インサート３と拘束座面２２との拘束面積を安定して確保できるため、ホルダ２へのインサート３の拘束力が高まる。したがって、より厳しい切削条件化においても、インサート３をホルダ２に強固に固定することができる。その結果、切削加工中にインサート３ががたつくことを抑制でき、加工面精度の向上が図れる。
【００５７】
さらに、本実施形態においては、図６に示すように、これらの拘束座面２２に形成された凹部７およびインサート３の下面に形成された凸部８は、切削工具の軸線に対して略平行となるよう形成されている。そして、本実施形態による切削工具１”は、このインサートポケット９の拘束座面２２”に設けられた凹部７のうち、切削工具１”の軸線方向に略平行な壁面に、複数の第二吸引孔５の他端が開口する構成を有している。このような構成により、ホルダ２からインサート３が飛散する方向、すなわち、ホルダ２の径方向外方に向かう方向と反対に作用するクランプ力を強固なものにすることができる。
【００５８】
つまり、拘束座面２２に上述のような凹部７を設けることで、切削工具１”の軸線方向に略平行な方向における拘束面積が増大するとともに、凹７のうち切削工具の軸線に略平行な壁面に第二吸引孔５の他端が開口することで、ホルダ２の径方向内方にインサート３を拘束する力が向上する。その結果、クランプ部材を用いることなく、容易な操作でインサート３の交換が可能であり、インサート３の飛散を防止して、インサート３をホルダ２に強固に固定することのできるクランプ機構を有した切削工具１”となる。
【００５９】
さらに、本実施形態による切削工具１”も、上述した実施形態と同様にして、インサート３をホルダ２にクランプする。互いに嵌合する凹部７および凸部８が設けられた本実施形態による切削工具１”は、この上述したクランプ機構の工程のうち、装着状態において、ホルダ２上でインサート３が安定する。すなわち、凹部７および凸部８が、インサート３をホルダ２に仮止めする際の止め具としても作用する。そのため、前記装着状態における切削工具１”のホルダ２内を吸引手段によって吸気してインサート３のホルダ２への固定を完了させる作業工程における作業性を向上させることもできる。
【００６０】
なお、上述の第一の実施形態および第二の実施形態による切削工具１、１’においても、装着状態におけるインサート３の仮止め機構として、第三の実施形態と同様に嵌合部を有する仮止め機構を設けても構わない。ここで、インサート３の仮止め機構としては、上述の形態に限らず、インサートポケット９にスリットを設け、該スリットにインサート３をスライドさせて一旦係合させた構成など、種々、選択することができる。
【００６１】
最後に、本発明の一実施形態による被削材の切削方法について、上記切削工具１を用いた場合を例示して説明する。
【００６２】
本実施形態による被削材の切削方法は、上記切削工具１を用いて被削材を切削する方法であって、被削材に切削工具１を相対的に近づける近接工程と、被削材又は切削工具１を回転させ、該切削工具１を被削材の表面に接触させて被削材を切削する切削工程と、被削材と切削工具１とを相対的に遠ざける離間工程と、を備える。
【００６３】
このような構成により、インサート３がクランプ部材などの別部品を用いることなくホルダ３に強固にかつ安定して固定された切削工具１を用いて切削するため、加工面精度および作業効率が高い切削加工を実現することができる。
【００６４】
以上、本発明の実施形態を例示したが、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、発明の目的を逸脱しない限り任意のものとすることができることはいうまでもない。
【００６５】
例えば、上述した実施形態においては、インサートがホルダの軸線方向において略等しい位置に配置された形態を例示した。すなわち、インサートが、ホルダの先端側に１段だけ先端視で放射状に配置された形態を例示した。しかしこれに限らず、軸線方向にも複数のインサートが配置されたいわゆる多段配置をなす切削工具であっても構わない。なお、インサートの多段配置の中でも、インサートが、らせん状に配置されたものであっても、一直線状に配置されたものであっても構わない。
【００６６】
さらに、上述した実施形態においては、エンドミルを例示したが、これに限らず、正面フライス等の他の転削工具においても好適に用いることができる。またさらには、転削工具に限らず、スローアウェイ式の切削工具であれば、内径、外径加工等に用いられる旋削工具など、他の切削工具にも適用することができる。
【００６７】
以上、本発明の実施形態を例示したが、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、発明の目的を逸脱しない限り任意のものとすることができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【００６８】
【図１】本発明の第一の実施形態による切削工具１の全体斜視図である。
【図２】図１の切削工具１を構成するホルダ２の全体斜視図である。
【図３】図２のホルダ２の側面図である。
【図４】図３の要部拡大図である。
【図５】図５は、本発明の第二の実施形態による切削工具１’のホルダの（ａ）拘束座面および（ｂ）、一方の拘束側面および（ｃ）他方の拘束側面における第二吸引孔５の開口部の配置を模式的に示した概略図である。
【図６】図６は、本発明の第三の実施形態による切削工具１”のうち、切削インサートが装着された部分の概略断面図である。
【符号の説明】
【００６９】
１ 第一の実施形態による切削工具
１’ 第二の実施形態による切削工具
１” 第三の実施形態による切削工具
２ ホルダ
２１ 拘束側面
２１Ａ ホルダの内周側に位置するとともにホルダの軸線に対して略平行な拘束側面
２１Ｂ ホルダの基端側に位置するとともにホルダの軸線に対して略垂直な拘束側面
２２ 拘束座面
３ 切削インサート
４ 第一吸引孔
５ 第二吸引孔
５１ 第二吸引孔５の開口部
６ シール部材
７ 凹部（拘束座面２２に形成された嵌合部）
８ 凸部（インサート３の下面に形成された嵌合部）
９ インサートポケット
【技術分野】
【０００１】
本発明は、金属部品などの加工に用いられる、切削インサートをホルダに着脱可能に取り付けてなる切削工具に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、金属部品などの加工に用いられる、切削インサートをホルダに着脱可能に取り付けてなる切削工具である、いわゆる、スローアウェイ式切削工具が多用されている。
【０００３】
このようなスローアウェイ式切削工具においては、従来から、切削インサートをホルダに取り付ける機構、いわゆる、インサートのクランプ機構が数多く提案されている。
【０００４】
例えば、特許文献１には、ホルダの先端部に形成されたインサートポケットに、複数の切削インサートがクランプねじによって固定された転削工具が開示されている。
【０００５】
また、他のクランプ機構としては、いわゆるレバーロック機構やウェッジロック機構など、様々な形状をなすクランプ部材によって切削インサートをホルダに取り付ける機構が開示されている。
【特許文献１】特開２００２―２７３６１１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
一方、昨今では、切削加工の高効率化に伴い、一度に多量の被削材を切削加工できるように、ホルダに多数の切削インサートを取り付けて使用する切削工具が多用されてきている。
【０００７】
しかし、このような切削工具に、上記のような従来のクランプ機構を用いた場合には、切削加工で摩耗した切削インサートを交換する度に、各々の切削インサートについて、固定するねじやレバーなどといったクランプ部材の操作を行わなければならず、多大な作業時間を要する。そのため、加工速度は向上するものの、作業性が低下し、加工工程全体としては必ずしも十分な効率化が図られていないという問題があった。
【０００８】
また他方では、切削加工の複雑化も進んでいる。具体的には、被削材がより小さなものになったり、切削加工によって形成する加工物の形状がより複雑なものになったりしてきている。このような小物加工や複雑な形状の切削加工を好適に行うためには、切削工具そのものを小さくすることが要求される。
【０００９】
しかしながら、クランプ部材によって切削インサートをホルダに取り付ける従来のインサートのクランプ機構では、切削インサートにクランプねじを挿入するねじ穴や、レバーロックが係合する貫通穴などを形成しなければならない。さらに、従来のインサートのクランプ機構で固定される切削インサートは、切削加工に耐え得るだけでなくクランプねじなどの締め付けにも耐え得るだけの肉厚を確保する必要があった。
【００１０】
そのため、従来のクランプ機構で固定される切削インサートを小型化しようとすると、ねじなどの締め付けに耐え得る肉厚を確保できず欠損してしまうといった問題があった。そもそも、ねじ穴や貫通穴を形成しなければならない為、切削インサートを小型化すること自体が困難であった。
【００１１】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、小さな切削インサートであっても強固にホルダに固定できるとともに、切削インサートの交換作業の時間を短縮でき高い作業効率を発揮することができる切削工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
前記課題を解決するため、本発明の切削工具は、上面と、下面と、側面と、前記上面と前記側面との交差部に形成された切刃と、を有した切削インサートと、該切削インサートの側面を拘束する拘束側面と、前記切削インサートの下面を拘束する拘束座面と、を有するとともに前記切削インサートが取り付けられるホルダと、を備えた切削工具であって、一端が前記ホルダの基端に開口するよう形成された第一吸引孔と、一端が前記第一吸引孔と連通するとともに他端が前記ホルダの拘束側面または拘束座面に開口するよう形成された、複数の第二吸引孔と、を備えたことを特徴とする。
【００１３】
このような構成により、クランプ部材を用いることなくホルダに切削インサートを装着することができるため、切削インサートの小型化が図れるとともに、切削インサートの交換にかかる作業時間の短縮が図れる。
【００１４】
さらに、前記複数の第二吸引孔の他端は、前記拘束側面または拘束座面の少なくとも一方において、その面の外周に沿って各々開口していることが、切削インサートの外周側を強固にホルダに拘束することができるので、切削インサートを安定してホルダに固定することができるため望ましい。
【００１５】
また、前記複数の第二吸引孔の他端が、前記拘束座面および拘束側面の少なくとも一方において、その面の中央から外周に向かって並んで各々開口していることが、切削インサートを安定してホルダに固定することができるため望ましい。
【００１６】
さらに、前記複数の第二吸引孔の開口径は、前記拘束側面および拘束座面の少なくとも一方において、その面の中央から外周に向かうにつれて大きくなっていることが、切削インサートを安定してホルダに固定することができるため望ましい。
【００１７】
また、前記拘束座面および前記切削インサートの下面には、互いに嵌合する嵌合部が各々形成されていることが、切削インサートの下面とホルダの拘束座面との拘束面積を安定して確保でき、切削インサートをホルダに拘束する力が高まるため望ましい。
【００１８】
さらに、前記拘束座面および前記切削インサートの下面に形成された前記嵌合部は、凹状または凸状をなすとともに、前記複数の第二吸引孔の他端は、前記拘束座面に形成された前記嵌合部のうちの前記拘束側面に略平行な壁面に開口していることが、切削工具の軸線方向に略平行な方向における拘束面積が増えるとともに、当該拘束部分に開口する複数の吸引孔によって切削インサートが飛散するのを抑制する方向に強固な拘束力が働き、切削インサートの飛散を抑制することができるため望ましい。
【００１９】
また、前記複数の第二吸引孔が開口する前記拘束側面と前記インサートの側面との間および前記複数の第二吸引孔が開口する前記拘束座面と前記インサートの下面との間の少なくとも一方に、環状をなすシール部材が、対応する前記拘束側面または前記拘束座面のうち前記複数の第二吸引孔が開口する領域を囲むよう配設されたことが、切削インサートをホルダに拘束する力を更に向上させ、切削インサートをホルダに安定して固定することができるため望ましい。
【００２０】
前記課題を解決するため、本発明の被削材の切削方法は、上記切削工具を用いて被削材を切削する方法であって、前記被削材に前記切削工具を相対的に近づける近接工程と、前記被削材又は前記切削工具を回転させ、該切削工具を前記被削材の表面に接触させて前記被削材を切削する切削工程と、前記被削材と前記切削工具とを相対的に遠ざける離間工程と、を備えることを特徴とする。
【００２１】
このような構成により、切削インサートがクランプ部材を用いることなくホルダに強固にかつ安定して固定された切削工具を用いて切削するため、加工面精度および作業効率が高い切削加工を実現することができる。
【発明の効果】
【００２２】
本発明の切削工具によれば、従来のねじやレバーなどのクランプ部材のような別部品を用いることなく、ホルダに切削インサートを取り付けることができるため、切削インサートそのものの小型化が図れるとともに、使用した切削インサートを交換する作業時間を短縮でき、作業効率の向上が図れる。
【００２３】
本発明の被削材の切削方法によれば、使用した切削インサートの交換作業に要する時間を短縮でき、切削加工全体の作業効率の向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２４】
以下、本発明の実施形態を添付図面により説明する。
【００２５】
図１乃至図４は、本発明の第一の実施形態を示すものである。図１は、本発明の第一の実施形態による切削工具１の全体斜視図である。図２は、図１の切削工具１を構成するホルダ２の全体斜視図であり、図３は、図２のホルダ２の側面図である。そして、図４は、図３の要部拡大図である。
【００２６】
さらに、図５は、本発明の第二の実施形態による切削工具１’のホルダ２の（ａ）拘束座面および（ｂ）、一方の拘束側面および（ｃ）他方の拘束側面における第二吸引孔５の開口部の配置を模式的に示した概略図であり、図６は、本発明の第三の実施形態による切削工具１”のうち、切削インサートが装着された部分の概略断面図である。
【００２７】
図１乃至図４を用いて、本発明の第一の実施形態による切削工具１について、詳細に説明する。
【００２８】
図１乃至図４に示す本発明の第一の実施形態による切削工具１は、切削インサート（以下、インサートと略す。）３と、該インサート３が取り付けられるホルダ２と、を備えてなる。
【００２９】
インサート３は少なくとも一部がすくい面をなす上面と、少なくとも一部が逃げ面をなす側面と、上面と側面との交差部に形成された切刃と、を有している。本実施形態においては、インサート３は、上面視で略四角形板状をなすとともに、上面視で４つの角部のうち対角に位置する２つの角部に切刃が形成された、いわゆる、２コーナー使いのインサートである。
【００３０】
ホルダ２は、図２乃至図４に示すように、インサート１を取り付けるインサートポケット９を有してなる。インサートポケット９は、図２に示すように、本実施形態においては、ホルダ２の先端側に５個形成されている。これらのインサートポケット９は、軸線方向においては、いずれも同一高さ位置に先端視でホルダ軸線を中心とする放射状に配置されている。そして、インサートポケット９には、インサート１の側面を拘束する拘束側面２１と、インサート１の下面を拘束する拘束座面２２とが、形成されている。本実施形態においては、図３に示すように、拘束側面２１は、ホルダ２の内周側に位置するとともにホルダ２の軸線に対して略平行な拘束側面２１Ａとホルダ２の基端側に位置するとともにホルダ２の軸線に対して略垂直な拘束側面２１Ｂとの２つの面で構成されている。
【００３１】
さらに、ホルダ２は、図２乃至図４に示すように、一端がホルダ２の基端に開口するよう形成された第一吸引孔４と、一端が第一吸引孔４と連通するとともに他端がホルダ２のインサートポケット９に開口するよう形成された第二吸引孔５を複数有している。
【００３２】
ここで、本実施形態による切削工具１におけるインサート３のクランプ機構について説明する。
【００３３】
切削工具１は、第一吸引孔４が外部の吸引手段と連結するよう基端側を外部機器に把持される。具体的には、ホルダ２の基端側が外部機器に把持され、外部機器と一体もしくは別体からなる真空ポンプなどの吸引手段とホルダ２とが接続するよう配置される（以下、この状態を装着状態と略す。）この装着状態では、ホルダ２の基端側に形成されている第一吸引孔４が真空ポンプなどの吸引手段と連通している。したがって、第二吸引孔５が第一吸引孔４と連通して形成された切削工具１は、外部機器に把持された装着状態では、真空ポンプから、第一吸引孔４を介して該第一吸引孔４と連通する第二吸引孔５まで、すなわち、吸引手段と連通したホルダ２の基端からホルダ２の先端側まで、ホルダ２内部に連通した孔が形成されることとなる。
【００３４】
本実施形態による切削工具１のクランプ機構の第一工程として、まずは、インサート３をホルダ２のインサートポケット９に配置する。
【００３５】
第二工程として、インサート３が配置された切削工具１を上述した装着状態に設置する。
【００３６】
第三工程として、この装着状態において、外部の吸引手段を作動させ、ホルダ内部に連通した孔内を吸気する。そうすることで、第二吸引孔５が開口するインサートポケット９に配置されたインサート３を吸引圧力によってインサートポケット９に固定する。
【００３７】
このように本実施形態による切削工具１では、従来のクランプ機構のように、ねじ部材やレバーなど別途クランプ部材を用いることなく、真空ポンプなどの外部の吸引手段に接続してホルダ２内を吸引するだけで、インサートポケット９に開口する複数の第二吸引孔６から付与される吸引圧力によってインサート３をホルダ２に固定することができる。そのため、ねじ穴やレバーと係合する貫通穴などをインサートに設けなければならない従来のクランプ機構と異なり、インサート３の形状の制限がなく、インサート３の小型化が図れる。加えて、クランプ部材を各々のインサート３に対して操作することがなく、交換作業そのものが容易であるとともに、使用したインサート３を交換する作業時間を短縮することができる。
【００３８】
本実施形態における切削工具１では、図４に示すように、インサートポケット９に開口する複数の第二吸引孔５は、拘束側面２１および拘束座面に開口している。このような構成により、吸引圧力によってインサート３をホルダ２に拘束する力がインサート３の広範囲に渡って作用する。その結果、クランプ力が向上する。
【００３９】
本実施形態の切削工具１においては、第二の吸引孔５の他端の開口形状として、円形状をなすものを例示したが、これに限らず、楕円形状や多角形状など、加工条件および切刃形状に応じて、適宜選択することができる。
【００４０】
なお、本実施形態における切削工具１では、図４に示すように、複数の第二吸引孔５の他端は、インサートポケット９の拘束側面２１および拘束座面２２において、開口部５１がいずれも規則正しく整列するように形成されている。このような構成により、拘束側面２１および拘束座面２２により多くの第二吸引孔５を開口させることができ、ホルダ２にインサート３を拘束する力が向上する。
【００４１】
本実施形態においては、図４に示すように、ホルダ２の内周側に位置するとともにホルダ２の軸線に対して略平行な拘束側面２１Ａは、インサート３の側面の両端側を安定して拘束できるよう分離して２つ形成されている。各拘束側面２１Ａには、２つの第二吸引孔５の開口部５１が位置している。このように拘束側面２１Ａを２つの分離した面で構成することにより、焼成時に中央部分が膨張したインサート３であっても、インサート３の側面の両端側を上記クランプ機構によって安定してホルダ２に拘束することができる。
【００４２】
一方、ホルダ２の基端側に位置するとともにホルダ２の軸線に対して略垂直な拘束側面２１Ｂは、１つの面で構成されており、２つの第二吸引孔５の開口部５１が位置している。そして、拘束座面２２は、第二吸引孔５の開口部５１が全面に規則正しく配置されている。
【００４３】
なお、本実施形態において、ホルダ２の拘束座面２２および拘束側面２１のいずれも同様の構成をなす形態を例示したが、これに限るものではない。
【００４４】
次に、本発明の第二の実施形態による切削工具１’について、詳細に説明する。図５は、第二の実施形態による切削工具１’の（ａ）拘束座面および（ｂ）一方の拘束側面および（ｃ）他方の拘束側面における第二吸引孔５の開口部の配置を模式的に示した概略図である。なお、図５において、図１〜図４と同様の構成については、同様の符号を付して、説明を省略する。
【００４５】
第二の実施形態による切削工具１’は、図５に示すように、複数の第二吸引孔５の他端は、インサートポケット９の拘束側面２１または拘束座面２２の少なくとも一方において、その面の外周に沿って各々開口している。具体的には、本実施形態による切削工具１’では、拘束側面２１および拘束座面２２の両方において、各面の外周に沿って、第二吸引孔５の他端が開口する構成をなす。このような構成により、インサート３をホルダ２に拘束する力が、インサート３の側面および下面の各々の外周側にバランスよくかかる。そのため、安定したクランプ力が得られる。
【００４６】
またさらには、本実施形態による切削工具１’は、複数の第二吸引孔５の他端は、上述した構成に加えて、図５に示すように、その面の中央から外周に向かって並んで各々開口するよう形成されている。このような構成により、ホルダ２にインサート３を安定して固定することができる。
【００４７】
そして、上記構成を有してなる時、複数の第二吸引孔５の他端の開口径は、その面の中央から外周に向かうにつれて、大きくなるよう形成されているのがより好ましい。このような構成により、切削加工時により大きな切削抵抗がかかる切刃が設けられるインサート３外周側に、より強固なクランプ力がかかるため、よりバランスよくインサート３をホルダ２に安定して固定することができる。その結果、更なるクランプ力の向上が図れ、加工時にインサート３が微動することが抑制できる。
【００４８】
ここでいう第二吸引孔５の他端の開口径Ｒ５とは、図５に示すように、第二吸引孔５の他端が開口する面を上面視した際の、具体的には、第二吸引孔５が開口する面に対して略垂直な方向から見た際の、第二吸引孔５が開口する面と第二吸引孔５の内壁面との交差稜線で囲まれた部分の面積を円に換算した際の当該円の直径をいう。簡易的な測定方法としては、CCDカメラ等によって第二吸引孔６の他端の開口部５１を撮影し、画像解析することで測定することができる。
【００４９】
なお、本実施形態においては、上述のように、複数の第二吸引孔５の他端が、拘束側面２１および拘束座面２２の両方において、その面の外周に沿って、かつ、開口径が外周側ほど大きくなるよう開口した構成を例示したがこれに限定されず、拘束側面および拘束座面のいずれか一方がこのような構成であっても構わない。さらには、外周に沿った構成のみ、開口径が異なる構成のみ、など、切削工具が用いられる切削条件や、切削工具の加工コストに応じて、各構成を適宜選択し、組み合わせることができる。
【００５０】
さらに、本実施形態による切削工具１は、インサートポケット９のインサート３が拘束される部分に、ホルダ２とインサート３との間にシール部材６が配設されている。具体的には、図５に示すように、拘束側面２１とインサート３の側面との間、および、拘束座面２２とインサート３の下面との間に、各々、環状をなすシール部材６が配設される。シール部材６は、図５に示すように、対応する拘束側面２１または拘束座面２２のうち複数の第二吸引孔５が開口する領域を囲むよう配置されている。すなわち、複数の第二吸引孔５の他端は、インサートポケット９の拘束側面２１および拘束座面２２において、環状のシール部材６と当接する領域よりも内側に位置する領域に開口している。このようにホルダ２にインサート３を固定する際に、シール部材６を介することで、インサート３をホルダ２により強固に密着固定することができる。
【００５１】
シール部材６としては、ゴム製のOリングやプラスチック製の薄板など、種々のシール部材を用いることができる。本実施形態による切削工具１は、シール部材６としてゴム製のＯリングを用いてなる。
【００５２】
なお、他の実施形態として、複数の第二吸引孔５の他端は、その面の中央を中心とする同心円状に各々開口したものであってもよい（不図示）。すなわち、拘束側面２１Ａ、２１Ｂおよび拘束座面２２における第二吸引孔５の他端の開口部が、各面の中央を中心とする同心円状に配置されていても良い。このような構成により、更にインサート３をホルダ２に拘束する力がインサート３の側面および下面の各々にバランスよくかかるため、更なるクランプ力の向上が図れる。
【００５３】
また、このように同心円状に配置された実施形態においても、複数の第二吸引孔５の他端は、上述した構成に加えて、その面の中央から外周に向かうにつれて、その開口径Ｒ５が大きくなるよう形成されているものであっても良い。このように、複数の第二吸引孔５の他端が、同心円状に外周に向かうにつれて開口径Ｒ５が大きくなるよう配置されることにより、切削加工時により大きな切削抵抗がかかる切刃が設けられるインサート３外周側に、より強固なクランプ力がかかるため、よりバランスよくインサート３をホルダ２に安定して固定することができる。その結果、更なるクランプ力の向上が図れる。
【００５４】
さらに、図６を用いて、本発明の第三の実施形態による切削工具１”について、詳細に説明する。図６は、第三の実施形態による切削工具１”のうち、インサート３が装着された部分の概略断面図である。なお、図６において、図１〜図５と同様の構成については、同様の符号を付して、説明を省略する。
【００５５】
他の実施形態による切削工具１”は、図４に示す第一の実施形態による切削工具１と同様、拘束座面２２に複数の第二吸引孔５が開口する構成を有している。
【００５６】
しかし、本実施形態による切削工具１”では、図６に示すように、拘束座面２２には、インサート３の下面に形成された凹部８（嵌合部）と嵌合する凸部７（嵌合部）が形成されている。すなわち、本実施形態による切削工具１”では、拘束座面２２に、凸状の嵌合部が形成され、インサート３の下面に、凹状の嵌合部が形成されている。このような構成により、インサート３と拘束座面２２との拘束面積を安定して確保できるため、ホルダ２へのインサート３の拘束力が高まる。したがって、より厳しい切削条件化においても、インサート３をホルダ２に強固に固定することができる。その結果、切削加工中にインサート３ががたつくことを抑制でき、加工面精度の向上が図れる。
【００５７】
さらに、本実施形態においては、図６に示すように、これらの拘束座面２２に形成された凹部７およびインサート３の下面に形成された凸部８は、切削工具の軸線に対して略平行となるよう形成されている。そして、本実施形態による切削工具１”は、このインサートポケット９の拘束座面２２”に設けられた凹部７のうち、切削工具１”の軸線方向に略平行な壁面に、複数の第二吸引孔５の他端が開口する構成を有している。このような構成により、ホルダ２からインサート３が飛散する方向、すなわち、ホルダ２の径方向外方に向かう方向と反対に作用するクランプ力を強固なものにすることができる。
【００５８】
つまり、拘束座面２２に上述のような凹部７を設けることで、切削工具１”の軸線方向に略平行な方向における拘束面積が増大するとともに、凹７のうち切削工具の軸線に略平行な壁面に第二吸引孔５の他端が開口することで、ホルダ２の径方向内方にインサート３を拘束する力が向上する。その結果、クランプ部材を用いることなく、容易な操作でインサート３の交換が可能であり、インサート３の飛散を防止して、インサート３をホルダ２に強固に固定することのできるクランプ機構を有した切削工具１”となる。
【００５９】
さらに、本実施形態による切削工具１”も、上述した実施形態と同様にして、インサート３をホルダ２にクランプする。互いに嵌合する凹部７および凸部８が設けられた本実施形態による切削工具１”は、この上述したクランプ機構の工程のうち、装着状態において、ホルダ２上でインサート３が安定する。すなわち、凹部７および凸部８が、インサート３をホルダ２に仮止めする際の止め具としても作用する。そのため、前記装着状態における切削工具１”のホルダ２内を吸引手段によって吸気してインサート３のホルダ２への固定を完了させる作業工程における作業性を向上させることもできる。
【００６０】
なお、上述の第一の実施形態および第二の実施形態による切削工具１、１’においても、装着状態におけるインサート３の仮止め機構として、第三の実施形態と同様に嵌合部を有する仮止め機構を設けても構わない。ここで、インサート３の仮止め機構としては、上述の形態に限らず、インサートポケット９にスリットを設け、該スリットにインサート３をスライドさせて一旦係合させた構成など、種々、選択することができる。
【００６１】
最後に、本発明の一実施形態による被削材の切削方法について、上記切削工具１を用いた場合を例示して説明する。
【００６２】
本実施形態による被削材の切削方法は、上記切削工具１を用いて被削材を切削する方法であって、被削材に切削工具１を相対的に近づける近接工程と、被削材又は切削工具１を回転させ、該切削工具１を被削材の表面に接触させて被削材を切削する切削工程と、被削材と切削工具１とを相対的に遠ざける離間工程と、を備える。
【００６３】
このような構成により、インサート３がクランプ部材などの別部品を用いることなくホルダ３に強固にかつ安定して固定された切削工具１を用いて切削するため、加工面精度および作業効率が高い切削加工を実現することができる。
【００６４】
以上、本発明の実施形態を例示したが、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、発明の目的を逸脱しない限り任意のものとすることができることはいうまでもない。
【００６５】
例えば、上述した実施形態においては、インサートがホルダの軸線方向において略等しい位置に配置された形態を例示した。すなわち、インサートが、ホルダの先端側に１段だけ先端視で放射状に配置された形態を例示した。しかしこれに限らず、軸線方向にも複数のインサートが配置されたいわゆる多段配置をなす切削工具であっても構わない。なお、インサートの多段配置の中でも、インサートが、らせん状に配置されたものであっても、一直線状に配置されたものであっても構わない。
【００６６】
さらに、上述した実施形態においては、エンドミルを例示したが、これに限らず、正面フライス等の他の転削工具においても好適に用いることができる。またさらには、転削工具に限らず、スローアウェイ式の切削工具であれば、内径、外径加工等に用いられる旋削工具など、他の切削工具にも適用することができる。
【００６７】
以上、本発明の実施形態を例示したが、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、発明の目的を逸脱しない限り任意のものとすることができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【００６８】
【図１】本発明の第一の実施形態による切削工具１の全体斜視図である。
【図２】図１の切削工具１を構成するホルダ２の全体斜視図である。
【図３】図２のホルダ２の側面図である。
【図４】図３の要部拡大図である。
【図５】図５は、本発明の第二の実施形態による切削工具１’のホルダの（ａ）拘束座面および（ｂ）、一方の拘束側面および（ｃ）他方の拘束側面における第二吸引孔５の開口部の配置を模式的に示した概略図である。
【図６】図６は、本発明の第三の実施形態による切削工具１”のうち、切削インサートが装着された部分の概略断面図である。
【符号の説明】
【００６９】
１ 第一の実施形態による切削工具
１’ 第二の実施形態による切削工具
１” 第三の実施形態による切削工具
２ ホルダ
２１ 拘束側面
２１Ａ ホルダの内周側に位置するとともにホルダの軸線に対して略平行な拘束側面
２１Ｂ ホルダの基端側に位置するとともにホルダの軸線に対して略垂直な拘束側面
２２ 拘束座面
３ 切削インサート
４ 第一吸引孔
５ 第二吸引孔
５１ 第二吸引孔５の開口部
６ シール部材
７ 凹部（拘束座面２２に形成された嵌合部）
８ 凸部（インサート３の下面に形成された嵌合部）
９ インサートポケット
【特許請求の範囲】
【請求項１】
上面と、下面と、側面と、前記上面と前記側面との交差部に形成された切刃と、を有した切削インサートと、
該切削インサートの側面を拘束する拘束側面と、前記切削インサートの下面を拘束する拘束座面と、を有するとともに前記切削インサートが取り付けられるホルダと、を備えた切削工具であって、
一端が前記ホルダの基端に開口するよう形成された第一吸引孔と、一端が前記第一吸引孔と連通するとともに他端が前記ホルダの拘束側面または拘束座面に開口するよう形成された、複数の第二吸引孔と、を備えたことを特徴とする切削工具。
【請求項２】
前記複数の第二吸引孔の他端は、前記拘束側面および拘束座面の少なくとも一方において、その面の外周に沿って各々開口していることを特徴とする請求項１記載の切削工具。
【請求項３】
前記複数の第二吸引孔の他端が、前記拘束座面および拘束側面の少なくとも一方において、その面の中央から外周に向かって並んで各々開口していることを特徴とする請求項１または２記載の切削工具。
【請求項４】
前記複数の第二吸引孔の開口径は、前記拘束側面および拘束座面の少なくとも一方において、その面の中央から外周に向かうにつれて大きくなっていることを特徴とする請求項３に記載の切削工具。
【請求項５】
前記拘束座面および前記切削インサートの下面には、互いに嵌合する嵌合部が各々形成されていることを特徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載の切削工具。
【請求項６】
前記拘束座面および前記切削インサートの下面に形成された前記嵌合部は、凹状または凸状をなすとともに、
前記複数の第二吸引孔の他端は、前記拘束座面に形成された前記嵌合部のうちの前記拘束側面に略平行な壁面に開口していることを特徴とする請求項５記載の切削工具。
【請求項７】
前記複数の第二吸引孔が開口する前記拘束側面と前記インサートの側面との間および前記複数の第二吸引孔が開口する前記拘束座面と前記インサートの下面との間の少なくとも一方に、環状をなすシール部材が、対応する前記拘束側面または前記拘束座面のうち前記複数の第二吸引孔が開口する領域を囲むよう配設されたことを特徴とする請求項１乃至６のいずれかに記載の切削工具。
【請求項８】
請求項１乃至７のいずれかに記載の切削工具を用いて被削材を切削する切削方法であって、
前記切削工具および被削材の少なくとも一方を回転させ、前記被削材に前記切削工具の切刃を近接する工程と、
前記切削工具の切刃を前記被削材の表面に接触させ、前記被削材を切削する工程と、
前記被削材から前記切刃を離間させる工程と、
を備えた被削材の切削方法。
【請求項１】
上面と、下面と、側面と、前記上面と前記側面との交差部に形成された切刃と、を有した切削インサートと、
該切削インサートの側面を拘束する拘束側面と、前記切削インサートの下面を拘束する拘束座面と、を有するとともに前記切削インサートが取り付けられるホルダと、を備えた切削工具であって、
一端が前記ホルダの基端に開口するよう形成された第一吸引孔と、一端が前記第一吸引孔と連通するとともに他端が前記ホルダの拘束側面または拘束座面に開口するよう形成された、複数の第二吸引孔と、を備えたことを特徴とする切削工具。
【請求項２】
前記複数の第二吸引孔の他端は、前記拘束側面および拘束座面の少なくとも一方において、その面の外周に沿って各々開口していることを特徴とする請求項１記載の切削工具。
【請求項３】
前記複数の第二吸引孔の他端が、前記拘束座面および拘束側面の少なくとも一方において、その面の中央から外周に向かって並んで各々開口していることを特徴とする請求項１または２記載の切削工具。
【請求項４】
前記複数の第二吸引孔の開口径は、前記拘束側面および拘束座面の少なくとも一方において、その面の中央から外周に向かうにつれて大きくなっていることを特徴とする請求項３に記載の切削工具。
【請求項５】
前記拘束座面および前記切削インサートの下面には、互いに嵌合する嵌合部が各々形成されていることを特徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載の切削工具。
【請求項６】
前記拘束座面および前記切削インサートの下面に形成された前記嵌合部は、凹状または凸状をなすとともに、
前記複数の第二吸引孔の他端は、前記拘束座面に形成された前記嵌合部のうちの前記拘束側面に略平行な壁面に開口していることを特徴とする請求項５記載の切削工具。
【請求項７】
前記複数の第二吸引孔が開口する前記拘束側面と前記インサートの側面との間および前記複数の第二吸引孔が開口する前記拘束座面と前記インサートの下面との間の少なくとも一方に、環状をなすシール部材が、対応する前記拘束側面または前記拘束座面のうち前記複数の第二吸引孔が開口する領域を囲むよう配設されたことを特徴とする請求項１乃至６のいずれかに記載の切削工具。
【請求項８】
請求項１乃至７のいずれかに記載の切削工具を用いて被削材を切削する切削方法であって、
前記切削工具および被削材の少なくとも一方を回転させ、前記被削材に前記切削工具の切刃を近接する工程と、
前記切削工具の切刃を前記被削材の表面に接触させ、前記被削材を切削する工程と、
前記被削材から前記切刃を離間させる工程と、
を備えた被削材の切削方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００９−１５４２２３（Ｐ２００９−１５４２２３Ａ）
【公開日】平成２１年７月１６日（２００９．７．１６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−３３２１８９（Ｐ２００７−３３２１８９）
【出願日】平成１９年１２月２５日（２００７．１２．２５）
【出願人】（０００００６６３３）京セラ株式会社 (13,660)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年７月１６日（２００９．７．１６）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年１２月２５日（２００７．１２．２５）
【出願人】（０００００６６３３）京セラ株式会社 (13,660)
【Ｆターム（参考）】
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