切削用インサートおよび刃先交換式切削工具
【課題】バリの発生を抑制するとともに高能率加工を可能とする切削用インサートを提供する。
【解決手段】切削用インサート(1)は、すくい面と逃げ面との交差部に形成された切れ刃を有し、切れ刃は、コーナ部(20)と、当該コーナ部の一方側に形成された第1の主切れ刃(21)と、当該コーナ部の他方側に形成された第2の主切れ刃(22)とを含み、第2の主切れ刃(22)は、コーナ部(20)から離間するにしたがって、上下面のうちすくい面(11)が形成された面側から、対向する面側へ向かう方向に徐々に傾斜する下り傾斜部(22a)と、コーナ部から離間するにしたがって、当該対向する面側から当該すくい面が形成された面側へ向かう方向に徐々に傾斜する上り傾斜部(22b)とを備え、下り傾斜部は、コーナ部と接続され、上り傾斜部は、下り傾斜部に接続され、上り傾斜部と下り傾斜部の少なくとも接続領域は、凹状に湾曲する逃がし部(24)を有する。
【解決手段】切削用インサート(1)は、すくい面と逃げ面との交差部に形成された切れ刃を有し、切れ刃は、コーナ部(20)と、当該コーナ部の一方側に形成された第1の主切れ刃(21)と、当該コーナ部の他方側に形成された第2の主切れ刃(22)とを含み、第2の主切れ刃(22)は、コーナ部(20)から離間するにしたがって、上下面のうちすくい面(11)が形成された面側から、対向する面側へ向かう方向に徐々に傾斜する下り傾斜部(22a)と、コーナ部から離間するにしたがって、当該対向する面側から当該すくい面が形成された面側へ向かう方向に徐々に傾斜する上り傾斜部(22b)とを備え、下り傾斜部は、コーナ部と接続され、上り傾斜部は、下り傾斜部に接続され、上り傾斜部と下り傾斜部の少なくとも接続領域は、凹状に湾曲する逃がし部(24)を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削用インサートおよび該切削用インサートを装着できる刃先交換式切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
正面フライス加工で発生するバリは、一般的に正面フライス加工の終了後に設けられるバリ取り工程によって除去される。一方、鋳物のフライス加工で発生するこば欠けにおいては、その発生を防ぐためには一般的にこば欠けが発生しにくい切削条件を設定する必要がある。他に、正面フライス加工でバリ、あるいは、こば欠けを抑制する技術が従来から知られている。そのような従来技術には以下のようなものがある。
【0003】
特許文献1の従来技術は、主切削を目的とする荒加工用インサートの他に、円形のバリ抑制用インサート(バリ取り用チップ)を設置するものである。このバリ抑制用インサートは円盤状であり、その円形の側面と円周面との交差稜線部に切れ刃が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−52611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の発明の目的は、主切削を行う荒加工用インサートと、バリ抑制専用のさらい刃を設けたバリ抑制用インサートとが組み合されて取り付けられた正面フライスを用いることによってバリの発生を抑制することであるため、以下のような問題がある。
【0006】
問題の一つ目は荒加工用インサートとバリ抑制用インサートの2種類のチップを用意しなくてはならないため、切削用インサートの在庫種類が増えることである。
【0007】
問題の二つ目は荒加工用インサートとバリ抑制用インサートとでは、工具寿命に差があり、どちらか一方が工具寿命に至ったときに、両方のインサートを同時に交換しなくてはならない場合が多いことである。そのため、それぞれの切削用インサートを有効に使用することができず工具費が高くなる。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、荒加工用の切れ刃とバリ抑制用の切れ刃との両方の切れ刃を有する切削インサートおよびその切削インサートを備えた刃先交換式切削工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の切削用インサートは、切削用インサートの中心軸線方向において対向する上下面の少なくとも一方に形成されるすくい面と、前記上下面の間で延在する前記切削用インサートの外周面に形成される逃げ面と、を有する多角形状の板状の切削用インサートであって、前記すくい面と前記逃げ面との交差部に形成された切れ刃を有し、前記切れ刃は、コーナ部と、当該コーナ部の一方側に形成された第1の主切れ刃と、当該コーナ部の他方側に形成された第2の主切れ刃とを含み、前記第2の主切れ刃は、前記コーナ部から離間するにしたがって、前記上下面のうち前記すくい面が形成された面側から、該すくい面に対向する面側へ向かう方向に徐々に傾斜する下り傾斜部と、前記コーナ部から離間するにしたがって、当該すくい面に対向する面側から当該すくい面が形成された面側へ向かう方向に徐々に傾斜する上り傾斜部と、を備え、前記上り傾斜部は前記下り傾斜部と接続され、前記上り傾斜部と前記下り傾斜部の少なくとも接続領域は、凹状に湾曲する逃がし部を形成している、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の刃先交換式切削工具は、上記本発明の切削用インサートと、当該インサートを着脱自在に装着するインサート取付け座が所定の位置に設けられた工具本体とを有する刃先交換式切削工具であって、前記工具本体に装着された前記切削用インサートは、前記第1の主切れ刃および前記第2の主切れ刃の各々が前記工具本体の外周面および先端面から突出して配設され、前記第2の主切れ刃の下り傾斜部は、負の切込み角を有し、前記第2の主切れ刃の上り傾斜部は、正の切込み角を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の切削用インサートが刃先交換式切削工具に装着されて被削材の切削加工を行うとき、第1の主切れ刃およびコーナ部が被削材の荒切削加工を担う。一方、第2の主切れ刃の上り傾斜部の一部は僅少な切込み角を有するバリ抑制刃として作用する。これにより第1の主切れ刃による荒切削加工において加工面にバリが発生しても、そのバリをバリ抑制刃が除去するので、バリあるいはこば欠けの発生を防止する。すなわち、本発明の切削用インサートが用いられると、1種類の切削用インサートで荒加工とバリ取り加工とが同時に行われる。従って、荒加工用の切削条件のままでバリの無い加工が可能になる。言い換えれば、本発明の切削用インサートは切削条件をおとすことなく、バリまたはこば欠けの発生を抑制することができる。
【0012】
第2の主切れ刃の下り傾斜部と上り傾斜部との交差部近傍は被削材と接触しない逃がし部を形成する。この逃がし部を挟んで、上り傾斜部の一部で構成されるバリ抑制刃と、第1の主切れ刃およびコーナ部とは、互いに分離されているので、バリ抑制刃から生成される切りくずと、第1の主切れ刃およびコーナ部から生成される切りくずとは互いに分断されたものとなる。そのため、生成された切りくずが円滑に排出される。また、第1の主切れ刃とバリ抑制刃とで個別に切込み角や切れ刃の長さを設定することができるため、それぞれの加工に対して適正化することができる。
【0013】
バリ抑制刃となる上り傾斜部のラジアルレーキ角は負側へ傾斜している。そのため上り傾斜部で生じる切削抵抗による反力の方向は、切削工具の外側へ向く。すなわち、切削インサートの回転による抜け際では、バリを被削材から引き離す方向へ向く。また上り傾斜部は、ラジアルレーキ角の負側への傾斜が小さい場合と比較すると、被削材から時間をかけて徐々に離脱する。すなわち、被削材からの離脱部を切れ刃が大きく傾斜したまま通過する。切れ刃が傾斜した状態で被削材を切削するために、切削抵抗がさらに下がり、バリが確実に削り取られる。これによりバリの発生が効果的に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は本発明の切削用インサートの第1の実施形態を示す平面図である。
【図2】図2は図1に示す切削用インサートの正面図である。
【図3】図3は図1に示す切削用インサートの斜視図である。
【図4】図4は図1に示す切削用インサートの第2の主切れ刃の拡大正面図である。
【図5】図5は図1に示す切削用インサートを装着する刃先交換式正面フライスを示す平面図である。
【図6】図6は図5に示す刃先交換式正面フライスの正面図である。
【図7】図7は図5に示す刃先交換式正面フライスの斜視図である。
【図8】図8は図5に示す刃先交換式正面フライスの要部の分解斜視図である。
【図9】図9は本発明の切削用インサートの第2の実施形態を示す平面図である。
【図10】図10は図9に示す切削用インサートの正面図である。
【図11】図11は図9に示す切削用インサートの斜視図である。
【図12】図12は図9に示す切削用インサートの第2の主切れ刃の拡大正面図である。
【図13】図13は図9に示す切削用インサートを装着する刃先交換式正面フライスを示す平面図である。
【図14】図14は図13に示す刃先交換式正面フライスの正面図である。
【図15】図15は図13に示す刃先交換式正面フライスの斜視図である。
【図16】図16は図5および図13に示す刃先交換式正面フライスの被削材からの抜け際の状態を示す図である。
【図17】図17は図5および図13に示す刃先交換式正面フライスの被削材からの抜け際の状態を示す図である。
【図18】図18は図5および図13に示す刃先交換式正面フライスの切れ刃回転形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
図1〜図3に図示するように第1の実施形態に係る切削用インサート1は、略八角形の板状をなす。切削用インサート1は、中心軸線CLを中心にもつ上下面を貫通する取付け穴13を有する。すくい面11は、切削用インサート1の中心軸線CL方向(厚み方向)に対向する略八角形状の上下面に形成される。逃げ面12は上下に対向する八角形面間を厚み方向に平行な方向に延在する外周面に形成される。切削用インサート1は、中心軸線CLに直交し、上下面の中間を通り、第1の主切れ刃と平行な軸線に関して180°回転対称である。
【0016】
本実施形態の切削用インサート1の切れ刃は、上面および下面と外周面との交差部にそれぞれ形成され、かつ、上面および下面のそれぞれ形成された8つのコーナ部のうち、4つのコーナ部20付近にそれぞれ形成されている。各切れ刃は、第1の主切れ刃21と、第2の主切れ刃22と、さらい刃23とを含む。第1の主切れ刃21と第2の主切れ刃22とはコーナ部20を介して互いに接続され、第2の主切れ刃22とさらい刃23とは互いに接続されている。第1の主切れ刃21は、すくい面11aと逃げ面12aとの交差部に形成され、第2の主切れ刃22は、すくい面11bと逃げ面12bとの交差部に形成され、さらい刃23はすくい面11cと逃げ面12cとの交差部に形成されている。コーナ部20は切削用インサート1を平面視したときに略円弧状に形成されている。各コーナ部20は中心軸線CLに関して90°回転対称に配される。第1の主切れ刃21は切削用インサート1の(*1)中心軸線CLに直交する平面内で略直線状に延在する。第1の主切れ刃21に隣接するすくい面11aは、第1の主切れ刃21から中心軸線CL側に向けて離れるに従って、切削用インサート1の中心軸線CL方向の厚さが減少する向きに傾斜しており、正のすくい角を有する。
【0017】
図4に示すように、第2の主切れ刃22は、コーナ部20を介して第1の主切れ刃21に接続された下り傾斜部22aと、さらい刃23に接続された上り傾斜部22bとを有する。下り傾斜部22aとコーナ部20との接続部は滑らかに湾曲している。そして、下り傾斜部22aは、コーナ部20からさらい刃23に向かう方向に離間するに従って、切削用インサート1の中心軸線CL方向の厚さが徐々に減少する向きに傾斜するように形成される。すなわち、上面に形成された下り傾斜部22aであれば上面側から下面側に向かう方向に傾斜するように形成され、下面に形成された下り傾斜部22aであれば下面側から上面側に向かう方向に傾斜するように形成される。上り傾斜部22bは、下り傾斜部22aの最下点において接続され、上り傾斜部22bはコーナ部20からさらい刃23に向かう方向に離間するに従って切削用インサート1の中心軸線CL方向の厚さが徐々に増加する向きに傾斜する。すなわち、上面に形成された上り傾斜部22bであれば下面側から上面側へ向かう左上がりの方向に傾斜するように形成され、下面に形成された上り傾斜部22bならば上面側から下面側へ向かう右下がりの方向に傾斜するように形成される。なお、上り傾斜部22bと下り傾斜部22aとは滑らかに接続されている。第2の主切れ刃22の逃げ面12bは単一の平面で構成される。
【0018】
第2の主切れ刃22に対応するすくい面11bは、下り傾斜部22aおよび上り傾斜部22bに対応した下り傾斜面および上り傾斜面を有し、これらは、第2の主切れ刃22から中心軸線CL方向へ向けて離れるにしたがって、切削用インサート1の中心軸線CL方向の厚みが減少する向きに傾斜しており、正のすくい角を有する。
【0019】
図1ないし図3に示すように、略直線状のさらい刃23は、第2の主切れ刃22の上り傾斜部22bに接続している。さらい刃23は、中心軸線CLの方向から見て、第2の主切れ刃22の上り傾斜部22bに対して鈍角に交差している。また、さらい刃23は、さらい刃23をさらい刃23から延びる逃げ面12cに対向する側から見たときには、切削用インサート1の中心軸線CLに直交する平面内で直線状に延在する。なお、さらい刃23は形成を省略してもかまわない。さらい刃23の上り傾斜部22bとは反対側の端部から延びる稜線26は、下面に形成された第2の主切れ刃22から延びる逃げ面12bと切削用インサート1の上面のすくい面11bとの交差部に形成され、この稜線26は、中心軸線CLの方向から見たときに、さらい刃23に対して鈍角に交差する。
【0020】
本実施形態の切削用インサート1は、コーナ部20、第1の主切れ刃21、第2の主切れ刃22およびさらい刃23が上面に4箇所、下面に4箇所に形成され、上面又は下面が選択的にすくい面11として使用される。従って、切削用インサート1は合計8つのコーナを切れ刃として使用可能となっている。
【0021】
次に、本実施形態の切削用インサート1を装着する刃先交換式正面フライス100について説明する。図5〜図8に示すように、刃先交換式正面フライス100は、回転軸線AXまわりに回転する略円盤状の工具本体101を有する。工具本体101は、その基端側の端面に取付け基準面130を有し、回転軸線AXに沿ってアーバ等の保持具を介して工作機械の主軸(図示しない)へ装着するためのねじ穴を有する。チップポケット110は、工具本体101の先端部に周方向に沿って略等間隔に複数(8か所)形成される。インサート取付け座120は、各チップポケット110の工具回転方向Sを向く壁面110Aを、切削用インサート1の上下面と略同一の八角形状に切り欠いた凹部である。インサート取付け座120の工具回転方向Sを向く底面120aは、切削用インサート1の上面又は下面を支持する。この底面120aに略直角に交差し工具先端側を向く2つの壁面120b、120cは、切削用インサート1の外周面のうち2つの外周面を支持する(図5参照)。インサート取付け座120の底面120aの略中央部には、底面120aに略直交するねじ穴が形成される。
【0022】
インサート取付け座120の底面120aは工具本体101の回転軸線AXに対して工具回転方向S側に傾き、且つ工具本体101の半径方向に対して工具回転方向S側に傾くように形成されている。すなわち、インサート取付け座120は、そこに取り付けられた切削用インサート1のアキシャルレーキおよびラジアルレーキがマイナスになるように形成されている。切削用インサート1は、その上面又は下面のいずれか一方および2つの外周面をインサート取付け座120の底面120aおよび2つの壁面120b、120cに夫々当接して載置され、取付け穴13に挿通した締付けねじBTをインサート取付け座120の底面120aに設けられたねじ穴に締付けることにより着脱可能に取り付けられる。切削用インサート1を工具本体101に取り付ける方法は締付けねじの他に、くさび、押さえ駒などを使用してもよい。
【0023】
切削用インサート1は、インサート取付け座120に倣って、工具本体101の回転軸線AXに対して工具回転方向S側に傾き、工具本体101の半径方向に対して工具回転方向S側に傾き、アキシャルレーキ、ラジアルレーキともに負となるように工具本体101に取り付けられる。この実施形態では、アキシャルレーキが−6°、ラジアルレーキが−5.5°に設定されている。切削用インサート1の一のコーナ部20は工具本体101の先端外周部に配される。
【0024】
図18は本実施形態の刃先交換式正面フライスの切れ刃回転形状を示す図である。なお、切れ刃回転形状とは主運動方向に沿った方向から切れ刃を見たときの、切れ刃により画定される曲線形状のことをいう。工具本体101を回転軸線AX周りに回転させると、コーナ部20、第1の主切れ刃21、第2の主切れ刃22およびさらい刃23の切れ刃回転形状は図18に示すような形状となる。工具本体101の先端外周部に配された一のコーナ部20から、工具本体101の基端側および外周側へと延びる第1の主切れ刃21は、工具本体101の回転軸線AXに直交する平面に対して傾いており、その傾斜角すなわち切込み角κ1は約45°となる。第2の主切れ刃22は、下り傾斜部22aおよび上り傾斜部22bの夫々の傾斜と、負のアキシャルレーキとの組み合わせ(合成)によって後述する形状となる。
【0025】
図18に示すように、工具本体101に取り付けられた切削用インサート1は、そのコーナ部20から工具本体101の径方向内側に向かって、第2の主切れ刃22(下り傾斜部22a、上り傾斜部22b)と、さらい刃23とが順次形成される。
【0026】
切削用インサート1がアキシャルレーキおよびラジアルレーキがマイナスとなるように配置されることにより、第2の主切れ刃22の下り傾斜部22aはコーナ部20との接続部から径方向内側(工具本体101の回転軸線AXへ向かう方向、図18に示す矢印の方向)に向かうにしたがって連続的に工具本体101の基端側(工具本体と工作機械との接続部側)へ向かうように傾斜し、第2の主切れ刃22の上り傾斜部22bは下り傾斜部22aとの交差部から径方向内側に向かうにつれ連続的に工具本体101の先端側へ向かうように傾斜する。このとき、下り傾斜部22aは負の切込み角を呈する。
【0027】
その結果、下り傾斜部22aおよび下り傾斜部22aに接続された上り傾斜部22bの少なくとも接続領域が、コーナ部20の最先端より工具本体101の基端側に向かって凹んだ(後退した)逃がし部24を形成している。この逃がし部24は、切削加工中に切削に関与しない(被削材に接触しない)部分となる。この実施形態では、逃がし部24におけるコーナ部20の最先端からの凹み量は0.02mmとなっている。
【0028】
一方、逃がし部24を形成しない上り傾斜部22bの残りの部分は、コーナ部20の最先端よりも工具本体101の先端側に突き出ており、この部分が切削に関与するバリ抑制刃25となる。バリ抑制刃25の内周端およびこの内周端から工具本体101の内周側へ延びるさらい刃23は、刃先交換式正面フライス100における最も先端側に位置し、コーナ部20の最先端に対して0.1mm以上0.3mm以下の突出量を有することが好ましい。なお、この実施形態においてはバリ抑制刃25の内周端およびさらい刃23の突出量は0.17mmとなっている。
【0029】
さらい刃23は直線状をなし工具本体101の回転軸線AXに直交する平面と略平行な方向に延びる。さらに、バリ抑制刃25の切込み角κ2は、第1の主切れ刃21の切込み角κ1にくらべ非常に小さく、5°以上15°以下の範囲にある。本実施形態のκ2は5.5°となっている。
【0030】
以上に説明した切削用インサート1およびこの切削用インサート1を装着する刃先交換式正面フライス100が切削加工を行うと、先ず1枚目の切削インサート3の第1の主切れ刃21およびコーナ部20が被削材の荒切削加工を担う。次に、荒切削加工を行った切削インサート3の後方に配置された別の切削インサートのバリ抑制刃25が、最初に加工した切削インサート3によって発生したバリを削り取るバリ取り加工を担う。このように、複数の切削用インサートが交互に荒加工とバリ取り加工とを行う。これに関して図16および図17を参照しながらより詳しく説明する。
【0031】
図16は1枚目の切削用インサートが切削している状況を示す概略図である。図16に示すように、第1の主切れ刃21の切込み角κ1は通常程度の大きさであるので、1枚目の切削用インサート3の第1の主切れ刃21が被削材から抜ける際には、第2の主切れ刃22によって削り取られる予定の部分は削り取られずに刃先交換式正面フライス100の径方向あるいは送り方向に倒れてバリとなるおそれがある。すなわち、被削材から第1の主切れ刃21が抜ける際に、被削材の幅が薄くなった部分が切削抵抗に耐えられず、塑性変形しながら倒れる場合がある。そして、そのとき倒れて残った部分がバリとなる。
【0032】
図17は2枚目の切削用インサートが切削している状況を示す概略図である。図17に示すように、第1の主切れ刃21が被削材から抜けた後に、2枚目の切削用インサート3のバリ抑制刃25が1枚目の切削用インサート3が切削できなかった部分を切削する。すなわち、1枚目の切削用インサート3の第1の主切れ刃21と2枚目の切削用インサート3のバリ抑制刃25とは互いに補完関係にあり、1枚目の切削用インサート3の第1の主切れ刃21が形成したバリを2枚目の切削用インサート3のバリ抑制刃25が削り取る。そして、2枚目の切削用インサート3のバリ抑制刃25の切込み角κ2は通常よりも僅少であるため、実質的な切込み深さは小さくなり、発生する切りくずの厚みも薄くなる。従って、2枚目の切削用インサート3のバリ抑制刃25が被削材から抜ける際には、次の切削用インサート3のバリ抑制刃25によって削り取られる予定の部分は、工具本体101の径方向あるいは送り方向に倒れることなく完全に削り取られる。
【0033】
切削には関与しない(被削材に接触しない)逃がし部24は、第2の主切れ刃22の下り傾斜部22aの全体と、下り傾斜部22aに隣接する上り傾斜部22bの一部とから構成され、これが第1の主切れ刃21およびコーナ部20と、バリ抑制刃25との間に介在することで、第1の主切れ刃21およびコーナ部20と、バリ抑制刃25とが互いに分断される。すなわち、逃がし部24が形成されることにより、第1の主切れ刃21およびコーナ部20と、バリ抑制刃25と、の間にある大きさの間隔が形成される。これにより、第1の主切れ刃21およびコーナ部20から生成される切りくずと、バリ抑制刃25から生成される切りくずとが互いに分断されたものとなる。そのため、バリ抑制刃25による微小な切込み角での切削加工は、第1の主切れ刃21およびコーナ部20による荒切削加工の影響が排除された状態で行われる。これにより、バリ抑制刃25によるバリの抑制が極めて有効となる。
【0034】
図6からわかるように、バリ抑制刃25は、第1の主切れ刃21およびコーナ部20に比べ工具本体101の半径線に対して工具回転方向S側へ大きく傾斜しており、大きな負のラジアルレーキを有する。このため、バリ抑制刃25は被削材から徐々に離脱することとなり、バリ抑制刃25によって削り取られる予定の部分は緩やかに削り取られる。従って、バリの発生が効果的に抑制される。また、バリ抑制刃25が負のラジアルレーキを有することで、バリ抑制刃25で生じる切削抵抗がバリ抑制刃25によって削り取られる予定の部分を被削材から引き離す方向へ向く。このことも、バリが効果的に抑制される一因となっている。
【0035】
また、バリ抑制刃25の切込み角κ2が5°〜15°の範囲に設定されることで、バリ抑制効果が高くなる。さらに、バリ抑制刃25の切込み角κ2がこのような範囲に設定されることで、バリ抑制刃25が生成する切りくずの厚さも薄くなり、切削抵抗が著しく低減する。これにより、バリ抑制刃25のチッピングや欠損といった損傷を防止することができ、バリ発生の抑制効果を長期にわたって維持される。
また、バリ抑制刃25の最先端の突出量が、コーナ部20の最先端に対して0.1mm以上0.3mm以下に限定されることによっても、バリ発生の抑制とともに、バリ抑制刃25の損傷軽減がはかられる。
【0036】
さらい刃23は、最も先端側に突出する切れ刃であって、バリ抑制刃25の内周側に連続して形成されている。さらい刃23はバリ抑制刃25の切削に引き続いて切削を行い、被削材の加工面を平滑に仕上げる。これにより、面粗さに優れた高品位の加工面が得られる。
【0037】
この切削用インサート1では、逃がし部24およびバリ抑制刃25は、第2の主切れ刃22の逃げ面12bに対向する側面から見て、切削用インサート10の厚み方向に傾斜する下り傾斜部22aおよび上り傾斜部22bによって形成される。したがって、第2の主切れ刃22の逃げ面12は凹凸のない単一の平面で構成される。これにより、この切削用インサート1を工具本体101のインサート取付け座120に取り付ける際、第2の主切れ刃22の逃げ面12bをインサート取付け座120の壁面により確実に支持することが可能となる。一方、インサート取付け座120の壁面を成形することも容易になる。
【0038】
さらい刃23の一方端から工具本体101の径方向内側へ延びる稜線は、切削用インサート1の裏側の下面に形成された第2の主切れ刃22から延びる逃げ面12bとすくい面11との交差稜線である。この稜線はさらい刃23より工具本体101の基端側に後退しており、被削材に一切接触しない。これにより、切削用インサート1をひっくり返して裏側の下面をすくい面11としたとき、このすくい面11に形成される第2の主切れ刃22を健全な状態で使用することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る切削用インサート1について、図9〜図12を参照しながら説明する。なお、第2の実施形態の構成のうち、第1の実施形態と同じ構成については、第1の実施形態と同一符号で示し、説明を省略する。
【0040】
図9〜図11に図示するように、第2の実施形態に係る切削用インサート1は、略八角形板状をなす。すくい面11は上面の若干変則的な八角形面にのみ形成される。切削用インサート1の下面は上面より小型となっており、両者の間に延びる外周面は上面から下面に行くにつれ切削用インサート1の内側に向かって傾斜する。すなわち、本実施形態に係る切削用インサート1は、ポジ切削用インサートである。
逃げ面12は切削用インサート1の外周面に形成される。
切れ刃はすくい面11と逃げ面12との交差稜線部に形成される。すくい面11と逃げ面12とは鋭角に交差しており、逃げ面12は正の逃げ角を付されている。つまり、この切削用インサート1は、八角形の上面の4箇所に形成されたコーナ部20のみを使用する、
【0041】
第1の主切れ刃21は、切削用インサート1の厚み方向に直交する方向に略直線状に延びる。第1の主切れ刃21に隣接するすくい面11aは、この第1の主切れ刃21から遠ざかるにつれ切削用インサート1の厚みを減じる方向に傾斜しており、正のすくい角を有する。別の言い方をすると、第1の主切れ刃21に隣接するすくい面11aは、第1の主切れ刃21との交差部を基点に、切削用インサート1の中心に向かって下向きに傾斜して形成されている。
また、第2の主切れ刃22に隣接するすくい面11bは、下り傾斜部22aおよび上り傾斜部22bに対応した下り傾斜面および上り傾斜面を有するとともに、第2の主切れ刃22から遠ざかるにつれ、切削用インサート1の厚みを減じる方向に傾斜しており、正のすくい角を有する。
【0042】
第1の実施形態と同様に、すくい面11には平面視で略円弧状をなすコーナ部20と、コーナ部20の一方の端部から延びる略直線状の第1の主切れ刃21と、コーナ部20の別のもう一方の端部から延びる第2の主切れ刃22と、が4箇所に形成される。
【0043】
図10に図示するように、この切削用インサート1は、第1の実施形態と同様に下り傾斜部22aおよび上り傾斜部22bを有する。下り傾斜部22aおよび上り傾斜部22bのそれぞれの逃げ面12から対向する側(逃げ面12に垂直な方向)から見た傾斜と、第2の主切れ刃22から延びる逃げ面12の正の逃げ角に対応する傾斜との組み合わせ(合成)によって、第2の主切れ刃22はすくい面11に対向する側からみて所定の形状となる。すなわち、図18に示すように、第2の主切れ刃22の下り傾斜部22aの全体と、下り傾斜部22aに隣接する上り傾斜部22bの一部とは、コーナ部20の最先端より工具基端側に凹んでおり、この部分は切削に関与しない、すなわち被削材に接触しない逃がし部24となる。逃がし部24を構成しない上り傾斜部22bの残りの部分は、コーナ部20の最先端より工具先端側に突き出ており、切削に関与するバリ抑制刃25となる。第2の主切れ刃22のコーナ部20とは反対側の端部から延びる稜線部には、逃げ面12に対向する側からみて略直線状のさらい刃23が形成される。さらい刃23は、すくい面11に対向する側からみて第2の主切れ刃22に対して鈍角で交差し、逃げ面12に対向する側からみて切削用インサート10の厚み方向に直交する方向に直線状に延びる。さらい刃23のコーナ部20とは反対側の端部から延びる稜線は、すくい面11に対向する側からみてさらい刃23に対して鈍角で交差する。なお、さらい刃23は省略しても構わない。
【0044】
この切削用インサート1は、コーナ部20、第1の主切れ刃21、第2の主切れ刃22およびさらい刃23が上面の4箇所に形成されており、この上面のみをすくい面11として使用する4コーナ使用可能な切削用インサート1である。
【0045】
次に、第2の実施形態に係る切削用インサート1を装着する刃先交換式正面フライス100について、図13〜図15を用いて説明する。この刃先交換式正面フライス100では、インサート取付け座120は、工具本体101の回転軸線AXに対して工具回転方向S後方側に傾き、工具本体101の半径線に対して工具回転方向S後方側に傾くように形成されている。切削用インサート1は、その下面および2つの外周面をインサート取付け座120の底面および2つの壁面に夫々当接して載置され、取付け穴に挿通した締付けねじをインサート取付け座120の底面に設けたねじ穴に締付けることにより着脱可能に取り付けられる。
【0046】
切削用インサート1はインサート取付け座120に倣って、工具本体101の回転軸線AXに対して工具回転方向S後方側に傾き、工具本体101の半径線に対して工具回転方向S後方側に傾きアキシャルレーキが正、ラジアルレーキが負となるように工具本体101に取り付けられる。この実施形態では、アキシャルレーキが5°、ラジアルレーキが−6°に設定されている。
【0047】
切削用インサート1の一のコーナ部20は工具本体101の先端外周部に配される。工具本体101が回転軸線AXまわりに回転するとき、コーナ部20、第1の主切れ刃21、第2の主切れ刃22およびさらい刃23の回転形状は図18に示す形状となる。前記一のコーナ部20から工具基端側および外周側へ延びる第1の主切れ刃21は工具本体101の回転軸線AXに直交する平面に対して傾いており、その傾斜角すなわち切込み角κ1は約45°となる。
【0048】
図18に示すように、工具本体101に取り付けられた切削用インサート1は、そのコーナ部20から工具本体101の径方向内側に向かって順次、第2の主切れ刃22(下り傾斜部22a、上り傾斜部22b)、さらい刃23を構成する。第1の実施形態における第2の主切れ刃22と同様に、第2の主切れ刃22の下り傾斜部22aの全体と、下り傾斜部22aに隣接する上り傾斜部22bの一部とは、コーナ部20の最先端より工具基端側に凹んでおり、切削に関与しない、すなわち被削材に接触しない逃がし部24を構成している。
逃がし部24を構成しない上り傾斜部22bの残りの部分は、コーナ部20の最先端より工具先端側に突き出ており、切削に関与するバリ抑制刃25を構成している。バリ抑制刃25の内周端およびこの内周端から内周側へ延びるさらい刃23は、最も先端側に位置しており、コーナ部20の最先端に対して0.1mm以上0.3mm以下の突出量を有する。さらい刃23は直線状をなし工具本体101の回転軸線AXに直交する平面と略平行な方向に延びる。さらに、バリ抑制刃25の切込み角κ2は、第1の主切れ刃21の切込み角κ1にくらべ非常に小さく、5°以上15°以下の範囲にある。
【0049】
以上に説明した切削用インサート1およびこの切削用インサート1を装着する刃先交換式正面フライス100によれば、第1の実施形態と同じく、加工面にバリが生じるのを防止することができる。
【0050】
切削に関与しない逃がし部24が、第1の主切れ刃21およびコーナ部20と、バリ抑制刃25との間に介在することで、第1の主切れ刃21およびコーナ部20とバリ抑制刃25とを互いに分断する。これにより、第1の主切れ刃21およびコーナ部20から生成される切りくずと、バリ抑制刃25から生成される切りくずとが夫々独立した別個のものとなる。すなわち、バリ抑制刃25による微小切込みの切削が、第1の主切れ刃21およびコーナ部20による切削の影響を排除された状態で行われる。これにより、バリ抑制刃25によるバリの抑制がきわめて有効となる。
【0051】
図14からわかるように、この実施形態においても、バリ抑制刃25は、第1の主切れ刃21およびコーナ部20にくらべ工具本体101の半径線に対して工具回転方向S側へ大きく傾斜しており、大きな負のラジアルレーキを有する。これにより、バリ抑制刃25で生じる切削抵抗による反力は、該バリ抑制刃25によって削り取られる予定の部分を被削材から引き離す方向(切削工具の外側方向)へ向くこととなる。したがって、切削インサートが被削材から抜ける際においてバリを被削材から離す方向へ力が働くので、バリを効果的に抑制することができる。また、バリ抑制刃25は、第1の主切れ刃21およびコーナ部20にくらべ工具回転方向Sに対して大きく傾斜する。これにより、バリ抑制刃25は、ラジアルレーキ角の負側への傾斜が小さい場合と比較して、被削材から徐々に離脱することとなる。すなわち、被削材からの離脱部を切れ刃が大きく傾いたまま通過する。これによって、バリ抑制刃25が傾斜して被削材を切削することが可能となり、削り取られる予定の部分をより緩やかに削り取るので、バリを効果的に抑制することができる。
【0052】
この切削用インサート1において、第2の主切れ刃22に隣接するすくい面11は、それ自身の正のすくい角に、該刃先交換式正面フライス100上での正のアキシャルレーキが加わることにより、第1の実施形態よりも大きな正のすくい角が確保される。これにより、バリ抑制刃25の切れ味が第1の実施形態に比べて改善され、バリ抑制刃25に生じる切削抵抗が削り取られる予定の部分を加工面から引き離す方向に作用する。そのため、バリの抑制効果がさらに高くなる。
【0053】
さらい刃23は、最も先端側に突出する切れ刃であって、バリ抑制刃25の内周側に連続して形成されており、バリ抑制刃25の切削に引き続いて被削材の加工面を平滑に仕上げる。これにより、面粗さに優れた高品位の加工面が得られる。
【0054】
この切削用インサート1では、逃がし部24およびバリ抑制刃25は、第2の主切れ刃22の逃げ面12に対向する側から見て、切削用インサート1の厚み方向に傾斜する下り傾斜部22aおよび上り傾斜部22bによって形成される。従って、第2の主切れ刃22の逃げ面12は凹凸のない単一の平面で構成される。これにより、この切削用インサート1を工具本体101の取付け座に取り付ける際、第2の主切れ刃22の逃げ面12を取付け座の壁面により確実に支持することが可能となる。一方、インサート取付け座120の壁面を成形することが容易になる。
【0055】
本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば、切削用インサート1の上下面形状は、八角形以外の三角形、四角形、五角形等に変更可能である。切削用インサート1を装着する刃先交換式工具についても、バイト、中ぐり工具等の旋削工具、ドリル、ボーリングカッタ、リーマ等の穴明け工具に適用可能であることはいうまでもない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削用インサートおよび該切削用インサートを装着できる刃先交換式切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
正面フライス加工で発生するバリは、一般的に正面フライス加工の終了後に設けられるバリ取り工程によって除去される。一方、鋳物のフライス加工で発生するこば欠けにおいては、その発生を防ぐためには一般的にこば欠けが発生しにくい切削条件を設定する必要がある。他に、正面フライス加工でバリ、あるいは、こば欠けを抑制する技術が従来から知られている。そのような従来技術には以下のようなものがある。
【0003】
特許文献1の従来技術は、主切削を目的とする荒加工用インサートの他に、円形のバリ抑制用インサート(バリ取り用チップ)を設置するものである。このバリ抑制用インサートは円盤状であり、その円形の側面と円周面との交差稜線部に切れ刃が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−52611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の発明の目的は、主切削を行う荒加工用インサートと、バリ抑制専用のさらい刃を設けたバリ抑制用インサートとが組み合されて取り付けられた正面フライスを用いることによってバリの発生を抑制することであるため、以下のような問題がある。
【0006】
問題の一つ目は荒加工用インサートとバリ抑制用インサートの2種類のチップを用意しなくてはならないため、切削用インサートの在庫種類が増えることである。
【0007】
問題の二つ目は荒加工用インサートとバリ抑制用インサートとでは、工具寿命に差があり、どちらか一方が工具寿命に至ったときに、両方のインサートを同時に交換しなくてはならない場合が多いことである。そのため、それぞれの切削用インサートを有効に使用することができず工具費が高くなる。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、荒加工用の切れ刃とバリ抑制用の切れ刃との両方の切れ刃を有する切削インサートおよびその切削インサートを備えた刃先交換式切削工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の切削用インサートは、切削用インサートの中心軸線方向において対向する上下面の少なくとも一方に形成されるすくい面と、前記上下面の間で延在する前記切削用インサートの外周面に形成される逃げ面と、を有する多角形状の板状の切削用インサートであって、前記すくい面と前記逃げ面との交差部に形成された切れ刃を有し、前記切れ刃は、コーナ部と、当該コーナ部の一方側に形成された第1の主切れ刃と、当該コーナ部の他方側に形成された第2の主切れ刃とを含み、前記第2の主切れ刃は、前記コーナ部から離間するにしたがって、前記上下面のうち前記すくい面が形成された面側から、該すくい面に対向する面側へ向かう方向に徐々に傾斜する下り傾斜部と、前記コーナ部から離間するにしたがって、当該すくい面に対向する面側から当該すくい面が形成された面側へ向かう方向に徐々に傾斜する上り傾斜部と、を備え、前記上り傾斜部は前記下り傾斜部と接続され、前記上り傾斜部と前記下り傾斜部の少なくとも接続領域は、凹状に湾曲する逃がし部を形成している、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の刃先交換式切削工具は、上記本発明の切削用インサートと、当該インサートを着脱自在に装着するインサート取付け座が所定の位置に設けられた工具本体とを有する刃先交換式切削工具であって、前記工具本体に装着された前記切削用インサートは、前記第1の主切れ刃および前記第2の主切れ刃の各々が前記工具本体の外周面および先端面から突出して配設され、前記第2の主切れ刃の下り傾斜部は、負の切込み角を有し、前記第2の主切れ刃の上り傾斜部は、正の切込み角を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の切削用インサートが刃先交換式切削工具に装着されて被削材の切削加工を行うとき、第1の主切れ刃およびコーナ部が被削材の荒切削加工を担う。一方、第2の主切れ刃の上り傾斜部の一部は僅少な切込み角を有するバリ抑制刃として作用する。これにより第1の主切れ刃による荒切削加工において加工面にバリが発生しても、そのバリをバリ抑制刃が除去するので、バリあるいはこば欠けの発生を防止する。すなわち、本発明の切削用インサートが用いられると、1種類の切削用インサートで荒加工とバリ取り加工とが同時に行われる。従って、荒加工用の切削条件のままでバリの無い加工が可能になる。言い換えれば、本発明の切削用インサートは切削条件をおとすことなく、バリまたはこば欠けの発生を抑制することができる。
【0012】
第2の主切れ刃の下り傾斜部と上り傾斜部との交差部近傍は被削材と接触しない逃がし部を形成する。この逃がし部を挟んで、上り傾斜部の一部で構成されるバリ抑制刃と、第1の主切れ刃およびコーナ部とは、互いに分離されているので、バリ抑制刃から生成される切りくずと、第1の主切れ刃およびコーナ部から生成される切りくずとは互いに分断されたものとなる。そのため、生成された切りくずが円滑に排出される。また、第1の主切れ刃とバリ抑制刃とで個別に切込み角や切れ刃の長さを設定することができるため、それぞれの加工に対して適正化することができる。
【0013】
バリ抑制刃となる上り傾斜部のラジアルレーキ角は負側へ傾斜している。そのため上り傾斜部で生じる切削抵抗による反力の方向は、切削工具の外側へ向く。すなわち、切削インサートの回転による抜け際では、バリを被削材から引き離す方向へ向く。また上り傾斜部は、ラジアルレーキ角の負側への傾斜が小さい場合と比較すると、被削材から時間をかけて徐々に離脱する。すなわち、被削材からの離脱部を切れ刃が大きく傾斜したまま通過する。切れ刃が傾斜した状態で被削材を切削するために、切削抵抗がさらに下がり、バリが確実に削り取られる。これによりバリの発生が効果的に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は本発明の切削用インサートの第1の実施形態を示す平面図である。
【図2】図2は図1に示す切削用インサートの正面図である。
【図3】図3は図1に示す切削用インサートの斜視図である。
【図4】図4は図1に示す切削用インサートの第2の主切れ刃の拡大正面図である。
【図5】図5は図1に示す切削用インサートを装着する刃先交換式正面フライスを示す平面図である。
【図6】図6は図5に示す刃先交換式正面フライスの正面図である。
【図7】図7は図5に示す刃先交換式正面フライスの斜視図である。
【図8】図8は図5に示す刃先交換式正面フライスの要部の分解斜視図である。
【図9】図9は本発明の切削用インサートの第2の実施形態を示す平面図である。
【図10】図10は図9に示す切削用インサートの正面図である。
【図11】図11は図9に示す切削用インサートの斜視図である。
【図12】図12は図9に示す切削用インサートの第2の主切れ刃の拡大正面図である。
【図13】図13は図9に示す切削用インサートを装着する刃先交換式正面フライスを示す平面図である。
【図14】図14は図13に示す刃先交換式正面フライスの正面図である。
【図15】図15は図13に示す刃先交換式正面フライスの斜視図である。
【図16】図16は図5および図13に示す刃先交換式正面フライスの被削材からの抜け際の状態を示す図である。
【図17】図17は図5および図13に示す刃先交換式正面フライスの被削材からの抜け際の状態を示す図である。
【図18】図18は図5および図13に示す刃先交換式正面フライスの切れ刃回転形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
図1〜図3に図示するように第1の実施形態に係る切削用インサート1は、略八角形の板状をなす。切削用インサート1は、中心軸線CLを中心にもつ上下面を貫通する取付け穴13を有する。すくい面11は、切削用インサート1の中心軸線CL方向(厚み方向)に対向する略八角形状の上下面に形成される。逃げ面12は上下に対向する八角形面間を厚み方向に平行な方向に延在する外周面に形成される。切削用インサート1は、中心軸線CLに直交し、上下面の中間を通り、第1の主切れ刃と平行な軸線に関して180°回転対称である。
【0016】
本実施形態の切削用インサート1の切れ刃は、上面および下面と外周面との交差部にそれぞれ形成され、かつ、上面および下面のそれぞれ形成された8つのコーナ部のうち、4つのコーナ部20付近にそれぞれ形成されている。各切れ刃は、第1の主切れ刃21と、第2の主切れ刃22と、さらい刃23とを含む。第1の主切れ刃21と第2の主切れ刃22とはコーナ部20を介して互いに接続され、第2の主切れ刃22とさらい刃23とは互いに接続されている。第1の主切れ刃21は、すくい面11aと逃げ面12aとの交差部に形成され、第2の主切れ刃22は、すくい面11bと逃げ面12bとの交差部に形成され、さらい刃23はすくい面11cと逃げ面12cとの交差部に形成されている。コーナ部20は切削用インサート1を平面視したときに略円弧状に形成されている。各コーナ部20は中心軸線CLに関して90°回転対称に配される。第1の主切れ刃21は切削用インサート1の(*1)中心軸線CLに直交する平面内で略直線状に延在する。第1の主切れ刃21に隣接するすくい面11aは、第1の主切れ刃21から中心軸線CL側に向けて離れるに従って、切削用インサート1の中心軸線CL方向の厚さが減少する向きに傾斜しており、正のすくい角を有する。
【0017】
図4に示すように、第2の主切れ刃22は、コーナ部20を介して第1の主切れ刃21に接続された下り傾斜部22aと、さらい刃23に接続された上り傾斜部22bとを有する。下り傾斜部22aとコーナ部20との接続部は滑らかに湾曲している。そして、下り傾斜部22aは、コーナ部20からさらい刃23に向かう方向に離間するに従って、切削用インサート1の中心軸線CL方向の厚さが徐々に減少する向きに傾斜するように形成される。すなわち、上面に形成された下り傾斜部22aであれば上面側から下面側に向かう方向に傾斜するように形成され、下面に形成された下り傾斜部22aであれば下面側から上面側に向かう方向に傾斜するように形成される。上り傾斜部22bは、下り傾斜部22aの最下点において接続され、上り傾斜部22bはコーナ部20からさらい刃23に向かう方向に離間するに従って切削用インサート1の中心軸線CL方向の厚さが徐々に増加する向きに傾斜する。すなわち、上面に形成された上り傾斜部22bであれば下面側から上面側へ向かう左上がりの方向に傾斜するように形成され、下面に形成された上り傾斜部22bならば上面側から下面側へ向かう右下がりの方向に傾斜するように形成される。なお、上り傾斜部22bと下り傾斜部22aとは滑らかに接続されている。第2の主切れ刃22の逃げ面12bは単一の平面で構成される。
【0018】
第2の主切れ刃22に対応するすくい面11bは、下り傾斜部22aおよび上り傾斜部22bに対応した下り傾斜面および上り傾斜面を有し、これらは、第2の主切れ刃22から中心軸線CL方向へ向けて離れるにしたがって、切削用インサート1の中心軸線CL方向の厚みが減少する向きに傾斜しており、正のすくい角を有する。
【0019】
図1ないし図3に示すように、略直線状のさらい刃23は、第2の主切れ刃22の上り傾斜部22bに接続している。さらい刃23は、中心軸線CLの方向から見て、第2の主切れ刃22の上り傾斜部22bに対して鈍角に交差している。また、さらい刃23は、さらい刃23をさらい刃23から延びる逃げ面12cに対向する側から見たときには、切削用インサート1の中心軸線CLに直交する平面内で直線状に延在する。なお、さらい刃23は形成を省略してもかまわない。さらい刃23の上り傾斜部22bとは反対側の端部から延びる稜線26は、下面に形成された第2の主切れ刃22から延びる逃げ面12bと切削用インサート1の上面のすくい面11bとの交差部に形成され、この稜線26は、中心軸線CLの方向から見たときに、さらい刃23に対して鈍角に交差する。
【0020】
本実施形態の切削用インサート1は、コーナ部20、第1の主切れ刃21、第2の主切れ刃22およびさらい刃23が上面に4箇所、下面に4箇所に形成され、上面又は下面が選択的にすくい面11として使用される。従って、切削用インサート1は合計8つのコーナを切れ刃として使用可能となっている。
【0021】
次に、本実施形態の切削用インサート1を装着する刃先交換式正面フライス100について説明する。図5〜図8に示すように、刃先交換式正面フライス100は、回転軸線AXまわりに回転する略円盤状の工具本体101を有する。工具本体101は、その基端側の端面に取付け基準面130を有し、回転軸線AXに沿ってアーバ等の保持具を介して工作機械の主軸(図示しない)へ装着するためのねじ穴を有する。チップポケット110は、工具本体101の先端部に周方向に沿って略等間隔に複数(8か所)形成される。インサート取付け座120は、各チップポケット110の工具回転方向Sを向く壁面110Aを、切削用インサート1の上下面と略同一の八角形状に切り欠いた凹部である。インサート取付け座120の工具回転方向Sを向く底面120aは、切削用インサート1の上面又は下面を支持する。この底面120aに略直角に交差し工具先端側を向く2つの壁面120b、120cは、切削用インサート1の外周面のうち2つの外周面を支持する(図5参照)。インサート取付け座120の底面120aの略中央部には、底面120aに略直交するねじ穴が形成される。
【0022】
インサート取付け座120の底面120aは工具本体101の回転軸線AXに対して工具回転方向S側に傾き、且つ工具本体101の半径方向に対して工具回転方向S側に傾くように形成されている。すなわち、インサート取付け座120は、そこに取り付けられた切削用インサート1のアキシャルレーキおよびラジアルレーキがマイナスになるように形成されている。切削用インサート1は、その上面又は下面のいずれか一方および2つの外周面をインサート取付け座120の底面120aおよび2つの壁面120b、120cに夫々当接して載置され、取付け穴13に挿通した締付けねじBTをインサート取付け座120の底面120aに設けられたねじ穴に締付けることにより着脱可能に取り付けられる。切削用インサート1を工具本体101に取り付ける方法は締付けねじの他に、くさび、押さえ駒などを使用してもよい。
【0023】
切削用インサート1は、インサート取付け座120に倣って、工具本体101の回転軸線AXに対して工具回転方向S側に傾き、工具本体101の半径方向に対して工具回転方向S側に傾き、アキシャルレーキ、ラジアルレーキともに負となるように工具本体101に取り付けられる。この実施形態では、アキシャルレーキが−6°、ラジアルレーキが−5.5°に設定されている。切削用インサート1の一のコーナ部20は工具本体101の先端外周部に配される。
【0024】
図18は本実施形態の刃先交換式正面フライスの切れ刃回転形状を示す図である。なお、切れ刃回転形状とは主運動方向に沿った方向から切れ刃を見たときの、切れ刃により画定される曲線形状のことをいう。工具本体101を回転軸線AX周りに回転させると、コーナ部20、第1の主切れ刃21、第2の主切れ刃22およびさらい刃23の切れ刃回転形状は図18に示すような形状となる。工具本体101の先端外周部に配された一のコーナ部20から、工具本体101の基端側および外周側へと延びる第1の主切れ刃21は、工具本体101の回転軸線AXに直交する平面に対して傾いており、その傾斜角すなわち切込み角κ1は約45°となる。第2の主切れ刃22は、下り傾斜部22aおよび上り傾斜部22bの夫々の傾斜と、負のアキシャルレーキとの組み合わせ(合成)によって後述する形状となる。
【0025】
図18に示すように、工具本体101に取り付けられた切削用インサート1は、そのコーナ部20から工具本体101の径方向内側に向かって、第2の主切れ刃22(下り傾斜部22a、上り傾斜部22b)と、さらい刃23とが順次形成される。
【0026】
切削用インサート1がアキシャルレーキおよびラジアルレーキがマイナスとなるように配置されることにより、第2の主切れ刃22の下り傾斜部22aはコーナ部20との接続部から径方向内側(工具本体101の回転軸線AXへ向かう方向、図18に示す矢印の方向)に向かうにしたがって連続的に工具本体101の基端側(工具本体と工作機械との接続部側)へ向かうように傾斜し、第2の主切れ刃22の上り傾斜部22bは下り傾斜部22aとの交差部から径方向内側に向かうにつれ連続的に工具本体101の先端側へ向かうように傾斜する。このとき、下り傾斜部22aは負の切込み角を呈する。
【0027】
その結果、下り傾斜部22aおよび下り傾斜部22aに接続された上り傾斜部22bの少なくとも接続領域が、コーナ部20の最先端より工具本体101の基端側に向かって凹んだ(後退した)逃がし部24を形成している。この逃がし部24は、切削加工中に切削に関与しない(被削材に接触しない)部分となる。この実施形態では、逃がし部24におけるコーナ部20の最先端からの凹み量は0.02mmとなっている。
【0028】
一方、逃がし部24を形成しない上り傾斜部22bの残りの部分は、コーナ部20の最先端よりも工具本体101の先端側に突き出ており、この部分が切削に関与するバリ抑制刃25となる。バリ抑制刃25の内周端およびこの内周端から工具本体101の内周側へ延びるさらい刃23は、刃先交換式正面フライス100における最も先端側に位置し、コーナ部20の最先端に対して0.1mm以上0.3mm以下の突出量を有することが好ましい。なお、この実施形態においてはバリ抑制刃25の内周端およびさらい刃23の突出量は0.17mmとなっている。
【0029】
さらい刃23は直線状をなし工具本体101の回転軸線AXに直交する平面と略平行な方向に延びる。さらに、バリ抑制刃25の切込み角κ2は、第1の主切れ刃21の切込み角κ1にくらべ非常に小さく、5°以上15°以下の範囲にある。本実施形態のκ2は5.5°となっている。
【0030】
以上に説明した切削用インサート1およびこの切削用インサート1を装着する刃先交換式正面フライス100が切削加工を行うと、先ず1枚目の切削インサート3の第1の主切れ刃21およびコーナ部20が被削材の荒切削加工を担う。次に、荒切削加工を行った切削インサート3の後方に配置された別の切削インサートのバリ抑制刃25が、最初に加工した切削インサート3によって発生したバリを削り取るバリ取り加工を担う。このように、複数の切削用インサートが交互に荒加工とバリ取り加工とを行う。これに関して図16および図17を参照しながらより詳しく説明する。
【0031】
図16は1枚目の切削用インサートが切削している状況を示す概略図である。図16に示すように、第1の主切れ刃21の切込み角κ1は通常程度の大きさであるので、1枚目の切削用インサート3の第1の主切れ刃21が被削材から抜ける際には、第2の主切れ刃22によって削り取られる予定の部分は削り取られずに刃先交換式正面フライス100の径方向あるいは送り方向に倒れてバリとなるおそれがある。すなわち、被削材から第1の主切れ刃21が抜ける際に、被削材の幅が薄くなった部分が切削抵抗に耐えられず、塑性変形しながら倒れる場合がある。そして、そのとき倒れて残った部分がバリとなる。
【0032】
図17は2枚目の切削用インサートが切削している状況を示す概略図である。図17に示すように、第1の主切れ刃21が被削材から抜けた後に、2枚目の切削用インサート3のバリ抑制刃25が1枚目の切削用インサート3が切削できなかった部分を切削する。すなわち、1枚目の切削用インサート3の第1の主切れ刃21と2枚目の切削用インサート3のバリ抑制刃25とは互いに補完関係にあり、1枚目の切削用インサート3の第1の主切れ刃21が形成したバリを2枚目の切削用インサート3のバリ抑制刃25が削り取る。そして、2枚目の切削用インサート3のバリ抑制刃25の切込み角κ2は通常よりも僅少であるため、実質的な切込み深さは小さくなり、発生する切りくずの厚みも薄くなる。従って、2枚目の切削用インサート3のバリ抑制刃25が被削材から抜ける際には、次の切削用インサート3のバリ抑制刃25によって削り取られる予定の部分は、工具本体101の径方向あるいは送り方向に倒れることなく完全に削り取られる。
【0033】
切削には関与しない(被削材に接触しない)逃がし部24は、第2の主切れ刃22の下り傾斜部22aの全体と、下り傾斜部22aに隣接する上り傾斜部22bの一部とから構成され、これが第1の主切れ刃21およびコーナ部20と、バリ抑制刃25との間に介在することで、第1の主切れ刃21およびコーナ部20と、バリ抑制刃25とが互いに分断される。すなわち、逃がし部24が形成されることにより、第1の主切れ刃21およびコーナ部20と、バリ抑制刃25と、の間にある大きさの間隔が形成される。これにより、第1の主切れ刃21およびコーナ部20から生成される切りくずと、バリ抑制刃25から生成される切りくずとが互いに分断されたものとなる。そのため、バリ抑制刃25による微小な切込み角での切削加工は、第1の主切れ刃21およびコーナ部20による荒切削加工の影響が排除された状態で行われる。これにより、バリ抑制刃25によるバリの抑制が極めて有効となる。
【0034】
図6からわかるように、バリ抑制刃25は、第1の主切れ刃21およびコーナ部20に比べ工具本体101の半径線に対して工具回転方向S側へ大きく傾斜しており、大きな負のラジアルレーキを有する。このため、バリ抑制刃25は被削材から徐々に離脱することとなり、バリ抑制刃25によって削り取られる予定の部分は緩やかに削り取られる。従って、バリの発生が効果的に抑制される。また、バリ抑制刃25が負のラジアルレーキを有することで、バリ抑制刃25で生じる切削抵抗がバリ抑制刃25によって削り取られる予定の部分を被削材から引き離す方向へ向く。このことも、バリが効果的に抑制される一因となっている。
【0035】
また、バリ抑制刃25の切込み角κ2が5°〜15°の範囲に設定されることで、バリ抑制効果が高くなる。さらに、バリ抑制刃25の切込み角κ2がこのような範囲に設定されることで、バリ抑制刃25が生成する切りくずの厚さも薄くなり、切削抵抗が著しく低減する。これにより、バリ抑制刃25のチッピングや欠損といった損傷を防止することができ、バリ発生の抑制効果を長期にわたって維持される。
また、バリ抑制刃25の最先端の突出量が、コーナ部20の最先端に対して0.1mm以上0.3mm以下に限定されることによっても、バリ発生の抑制とともに、バリ抑制刃25の損傷軽減がはかられる。
【0036】
さらい刃23は、最も先端側に突出する切れ刃であって、バリ抑制刃25の内周側に連続して形成されている。さらい刃23はバリ抑制刃25の切削に引き続いて切削を行い、被削材の加工面を平滑に仕上げる。これにより、面粗さに優れた高品位の加工面が得られる。
【0037】
この切削用インサート1では、逃がし部24およびバリ抑制刃25は、第2の主切れ刃22の逃げ面12bに対向する側面から見て、切削用インサート10の厚み方向に傾斜する下り傾斜部22aおよび上り傾斜部22bによって形成される。したがって、第2の主切れ刃22の逃げ面12は凹凸のない単一の平面で構成される。これにより、この切削用インサート1を工具本体101のインサート取付け座120に取り付ける際、第2の主切れ刃22の逃げ面12bをインサート取付け座120の壁面により確実に支持することが可能となる。一方、インサート取付け座120の壁面を成形することも容易になる。
【0038】
さらい刃23の一方端から工具本体101の径方向内側へ延びる稜線は、切削用インサート1の裏側の下面に形成された第2の主切れ刃22から延びる逃げ面12bとすくい面11との交差稜線である。この稜線はさらい刃23より工具本体101の基端側に後退しており、被削材に一切接触しない。これにより、切削用インサート1をひっくり返して裏側の下面をすくい面11としたとき、このすくい面11に形成される第2の主切れ刃22を健全な状態で使用することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る切削用インサート1について、図9〜図12を参照しながら説明する。なお、第2の実施形態の構成のうち、第1の実施形態と同じ構成については、第1の実施形態と同一符号で示し、説明を省略する。
【0040】
図9〜図11に図示するように、第2の実施形態に係る切削用インサート1は、略八角形板状をなす。すくい面11は上面の若干変則的な八角形面にのみ形成される。切削用インサート1の下面は上面より小型となっており、両者の間に延びる外周面は上面から下面に行くにつれ切削用インサート1の内側に向かって傾斜する。すなわち、本実施形態に係る切削用インサート1は、ポジ切削用インサートである。
逃げ面12は切削用インサート1の外周面に形成される。
切れ刃はすくい面11と逃げ面12との交差稜線部に形成される。すくい面11と逃げ面12とは鋭角に交差しており、逃げ面12は正の逃げ角を付されている。つまり、この切削用インサート1は、八角形の上面の4箇所に形成されたコーナ部20のみを使用する、
【0041】
第1の主切れ刃21は、切削用インサート1の厚み方向に直交する方向に略直線状に延びる。第1の主切れ刃21に隣接するすくい面11aは、この第1の主切れ刃21から遠ざかるにつれ切削用インサート1の厚みを減じる方向に傾斜しており、正のすくい角を有する。別の言い方をすると、第1の主切れ刃21に隣接するすくい面11aは、第1の主切れ刃21との交差部を基点に、切削用インサート1の中心に向かって下向きに傾斜して形成されている。
また、第2の主切れ刃22に隣接するすくい面11bは、下り傾斜部22aおよび上り傾斜部22bに対応した下り傾斜面および上り傾斜面を有するとともに、第2の主切れ刃22から遠ざかるにつれ、切削用インサート1の厚みを減じる方向に傾斜しており、正のすくい角を有する。
【0042】
第1の実施形態と同様に、すくい面11には平面視で略円弧状をなすコーナ部20と、コーナ部20の一方の端部から延びる略直線状の第1の主切れ刃21と、コーナ部20の別のもう一方の端部から延びる第2の主切れ刃22と、が4箇所に形成される。
【0043】
図10に図示するように、この切削用インサート1は、第1の実施形態と同様に下り傾斜部22aおよび上り傾斜部22bを有する。下り傾斜部22aおよび上り傾斜部22bのそれぞれの逃げ面12から対向する側(逃げ面12に垂直な方向)から見た傾斜と、第2の主切れ刃22から延びる逃げ面12の正の逃げ角に対応する傾斜との組み合わせ(合成)によって、第2の主切れ刃22はすくい面11に対向する側からみて所定の形状となる。すなわち、図18に示すように、第2の主切れ刃22の下り傾斜部22aの全体と、下り傾斜部22aに隣接する上り傾斜部22bの一部とは、コーナ部20の最先端より工具基端側に凹んでおり、この部分は切削に関与しない、すなわち被削材に接触しない逃がし部24となる。逃がし部24を構成しない上り傾斜部22bの残りの部分は、コーナ部20の最先端より工具先端側に突き出ており、切削に関与するバリ抑制刃25となる。第2の主切れ刃22のコーナ部20とは反対側の端部から延びる稜線部には、逃げ面12に対向する側からみて略直線状のさらい刃23が形成される。さらい刃23は、すくい面11に対向する側からみて第2の主切れ刃22に対して鈍角で交差し、逃げ面12に対向する側からみて切削用インサート10の厚み方向に直交する方向に直線状に延びる。さらい刃23のコーナ部20とは反対側の端部から延びる稜線は、すくい面11に対向する側からみてさらい刃23に対して鈍角で交差する。なお、さらい刃23は省略しても構わない。
【0044】
この切削用インサート1は、コーナ部20、第1の主切れ刃21、第2の主切れ刃22およびさらい刃23が上面の4箇所に形成されており、この上面のみをすくい面11として使用する4コーナ使用可能な切削用インサート1である。
【0045】
次に、第2の実施形態に係る切削用インサート1を装着する刃先交換式正面フライス100について、図13〜図15を用いて説明する。この刃先交換式正面フライス100では、インサート取付け座120は、工具本体101の回転軸線AXに対して工具回転方向S後方側に傾き、工具本体101の半径線に対して工具回転方向S後方側に傾くように形成されている。切削用インサート1は、その下面および2つの外周面をインサート取付け座120の底面および2つの壁面に夫々当接して載置され、取付け穴に挿通した締付けねじをインサート取付け座120の底面に設けたねじ穴に締付けることにより着脱可能に取り付けられる。
【0046】
切削用インサート1はインサート取付け座120に倣って、工具本体101の回転軸線AXに対して工具回転方向S後方側に傾き、工具本体101の半径線に対して工具回転方向S後方側に傾きアキシャルレーキが正、ラジアルレーキが負となるように工具本体101に取り付けられる。この実施形態では、アキシャルレーキが5°、ラジアルレーキが−6°に設定されている。
【0047】
切削用インサート1の一のコーナ部20は工具本体101の先端外周部に配される。工具本体101が回転軸線AXまわりに回転するとき、コーナ部20、第1の主切れ刃21、第2の主切れ刃22およびさらい刃23の回転形状は図18に示す形状となる。前記一のコーナ部20から工具基端側および外周側へ延びる第1の主切れ刃21は工具本体101の回転軸線AXに直交する平面に対して傾いており、その傾斜角すなわち切込み角κ1は約45°となる。
【0048】
図18に示すように、工具本体101に取り付けられた切削用インサート1は、そのコーナ部20から工具本体101の径方向内側に向かって順次、第2の主切れ刃22(下り傾斜部22a、上り傾斜部22b)、さらい刃23を構成する。第1の実施形態における第2の主切れ刃22と同様に、第2の主切れ刃22の下り傾斜部22aの全体と、下り傾斜部22aに隣接する上り傾斜部22bの一部とは、コーナ部20の最先端より工具基端側に凹んでおり、切削に関与しない、すなわち被削材に接触しない逃がし部24を構成している。
逃がし部24を構成しない上り傾斜部22bの残りの部分は、コーナ部20の最先端より工具先端側に突き出ており、切削に関与するバリ抑制刃25を構成している。バリ抑制刃25の内周端およびこの内周端から内周側へ延びるさらい刃23は、最も先端側に位置しており、コーナ部20の最先端に対して0.1mm以上0.3mm以下の突出量を有する。さらい刃23は直線状をなし工具本体101の回転軸線AXに直交する平面と略平行な方向に延びる。さらに、バリ抑制刃25の切込み角κ2は、第1の主切れ刃21の切込み角κ1にくらべ非常に小さく、5°以上15°以下の範囲にある。
【0049】
以上に説明した切削用インサート1およびこの切削用インサート1を装着する刃先交換式正面フライス100によれば、第1の実施形態と同じく、加工面にバリが生じるのを防止することができる。
【0050】
切削に関与しない逃がし部24が、第1の主切れ刃21およびコーナ部20と、バリ抑制刃25との間に介在することで、第1の主切れ刃21およびコーナ部20とバリ抑制刃25とを互いに分断する。これにより、第1の主切れ刃21およびコーナ部20から生成される切りくずと、バリ抑制刃25から生成される切りくずとが夫々独立した別個のものとなる。すなわち、バリ抑制刃25による微小切込みの切削が、第1の主切れ刃21およびコーナ部20による切削の影響を排除された状態で行われる。これにより、バリ抑制刃25によるバリの抑制がきわめて有効となる。
【0051】
図14からわかるように、この実施形態においても、バリ抑制刃25は、第1の主切れ刃21およびコーナ部20にくらべ工具本体101の半径線に対して工具回転方向S側へ大きく傾斜しており、大きな負のラジアルレーキを有する。これにより、バリ抑制刃25で生じる切削抵抗による反力は、該バリ抑制刃25によって削り取られる予定の部分を被削材から引き離す方向(切削工具の外側方向)へ向くこととなる。したがって、切削インサートが被削材から抜ける際においてバリを被削材から離す方向へ力が働くので、バリを効果的に抑制することができる。また、バリ抑制刃25は、第1の主切れ刃21およびコーナ部20にくらべ工具回転方向Sに対して大きく傾斜する。これにより、バリ抑制刃25は、ラジアルレーキ角の負側への傾斜が小さい場合と比較して、被削材から徐々に離脱することとなる。すなわち、被削材からの離脱部を切れ刃が大きく傾いたまま通過する。これによって、バリ抑制刃25が傾斜して被削材を切削することが可能となり、削り取られる予定の部分をより緩やかに削り取るので、バリを効果的に抑制することができる。
【0052】
この切削用インサート1において、第2の主切れ刃22に隣接するすくい面11は、それ自身の正のすくい角に、該刃先交換式正面フライス100上での正のアキシャルレーキが加わることにより、第1の実施形態よりも大きな正のすくい角が確保される。これにより、バリ抑制刃25の切れ味が第1の実施形態に比べて改善され、バリ抑制刃25に生じる切削抵抗が削り取られる予定の部分を加工面から引き離す方向に作用する。そのため、バリの抑制効果がさらに高くなる。
【0053】
さらい刃23は、最も先端側に突出する切れ刃であって、バリ抑制刃25の内周側に連続して形成されており、バリ抑制刃25の切削に引き続いて被削材の加工面を平滑に仕上げる。これにより、面粗さに優れた高品位の加工面が得られる。
【0054】
この切削用インサート1では、逃がし部24およびバリ抑制刃25は、第2の主切れ刃22の逃げ面12に対向する側から見て、切削用インサート1の厚み方向に傾斜する下り傾斜部22aおよび上り傾斜部22bによって形成される。従って、第2の主切れ刃22の逃げ面12は凹凸のない単一の平面で構成される。これにより、この切削用インサート1を工具本体101の取付け座に取り付ける際、第2の主切れ刃22の逃げ面12を取付け座の壁面により確実に支持することが可能となる。一方、インサート取付け座120の壁面を成形することが容易になる。
【0055】
本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば、切削用インサート1の上下面形状は、八角形以外の三角形、四角形、五角形等に変更可能である。切削用インサート1を装着する刃先交換式工具についても、バイト、中ぐり工具等の旋削工具、ドリル、ボーリングカッタ、リーマ等の穴明け工具に適用可能であることはいうまでもない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削用インサートの中心軸線方向において対向する上下面の少なくとも一方に形成されるすくい面と、前記上下面の間で延在する前記切削用インサートの外周面に形成される逃げ面と、を有する多角形状の板状の切削用インサートであって、
前記すくい面と前記逃げ面との交差部に形成された切れ刃を有し、
前記切れ刃は、コーナ部と、
当該コーナ部の一方側に形成された第1の主切れ刃と、
当該コーナ部の他方側に形成された第2の主切れ刃とを含み、
前記第2の主切れ刃は、前記コーナ部から離間するにしたがって、前記上下面のうち前記すくい面が形成された面側から、該すくい面に対向する面側へ向かう方向に徐々に傾斜する下り傾斜部と、
前記コーナ部から離間するにしたがって、当該すくい面に対向する面側から当該すくい面が形成された面側へ向かう方向に徐々に傾斜する上り傾斜部と、を備え、
前記上り傾斜部は前記下り傾斜部と接続され、
前記上り傾斜部と前記下り傾斜部の少なくとも接続領域は、凹状に湾曲する逃がし部を形成し、
前記切れ刃は、前記上り傾斜部に隣接して形成された、前記中心軸線に直交する平面内で延びるさらい刃をさらに有する切削用インサート。
【請求項2】
前記逃がし部は、切削加工中に切削に関与しない、ことを特徴とする請求項1に記載の切削用インサート。
【請求項3】
前記下り傾斜部は、前記コーナ部と接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載の切削用インサート。
【請求項4】
前記中心軸線に関して対称な位置に配置された前記コーナ部を前記上下面のそれぞれに複数有し、各前記コーナ部に対して前記第1の主切れ刃と前記第2の主切れ刃とがそれぞれ形成され、前記切削用インサートは、前記中心軸線に直交し、前記上下面の中間を通り、かつ、前記第1の主切れ刃と平行な軸線に関して180°回転対称である、請求項1に記載の切削用インサート。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の切削用インサートと、当該インサートを着脱自在に装着するインサート取付け座が所定の位置に設けられた工具本体とを有する刃先交換式切削工具であって、前記工具本体に装着された前記切削用インサートは、前記第1の主切れ刃が前記工具本体の外周面から突出して配設され、前記第2の主切れ刃が前記工具本体の先端面から突出して配設され、前記第2の主切れ刃の下り傾斜部は、負の切込み角を有し、前記第2の主切れ刃の上り傾斜部は、正の切込み角を有する、ことを特徴とする刃先交換式切削工具。
【請求項1】
切削用インサートの中心軸線方向において対向する上下面の少なくとも一方に形成されるすくい面と、前記上下面の間で延在する前記切削用インサートの外周面に形成される逃げ面と、を有する多角形状の板状の切削用インサートであって、
前記すくい面と前記逃げ面との交差部に形成された切れ刃を有し、
前記切れ刃は、コーナ部と、
当該コーナ部の一方側に形成された第1の主切れ刃と、
当該コーナ部の他方側に形成された第2の主切れ刃とを含み、
前記第2の主切れ刃は、前記コーナ部から離間するにしたがって、前記上下面のうち前記すくい面が形成された面側から、該すくい面に対向する面側へ向かう方向に徐々に傾斜する下り傾斜部と、
前記コーナ部から離間するにしたがって、当該すくい面に対向する面側から当該すくい面が形成された面側へ向かう方向に徐々に傾斜する上り傾斜部と、を備え、
前記上り傾斜部は前記下り傾斜部と接続され、
前記上り傾斜部と前記下り傾斜部の少なくとも接続領域は、凹状に湾曲する逃がし部を形成し、
前記切れ刃は、前記上り傾斜部に隣接して形成された、前記中心軸線に直交する平面内で延びるさらい刃をさらに有する切削用インサート。
【請求項2】
前記逃がし部は、切削加工中に切削に関与しない、ことを特徴とする請求項1に記載の切削用インサート。
【請求項3】
前記下り傾斜部は、前記コーナ部と接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載の切削用インサート。
【請求項4】
前記中心軸線に関して対称な位置に配置された前記コーナ部を前記上下面のそれぞれに複数有し、各前記コーナ部に対して前記第1の主切れ刃と前記第2の主切れ刃とがそれぞれ形成され、前記切削用インサートは、前記中心軸線に直交し、前記上下面の中間を通り、かつ、前記第1の主切れ刃と平行な軸線に関して180°回転対称である、請求項1に記載の切削用インサート。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の切削用インサートと、当該インサートを着脱自在に装着するインサート取付け座が所定の位置に設けられた工具本体とを有する刃先交換式切削工具であって、前記工具本体に装着された前記切削用インサートは、前記第1の主切れ刃が前記工具本体の外周面から突出して配設され、前記第2の主切れ刃が前記工具本体の先端面から突出して配設され、前記第2の主切れ刃の下り傾斜部は、負の切込み角を有し、前記第2の主切れ刃の上り傾斜部は、正の切込み角を有する、ことを特徴とする刃先交換式切削工具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−78842(P2013−78842A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−19887(P2013−19887)
【出願日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【分割の表示】特願2012−513825(P2012−513825)の分割
【原出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000221144)株式会社タンガロイ (185)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【分割の表示】特願2012−513825(P2012−513825)の分割
【原出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000221144)株式会社タンガロイ (185)
【Fターム(参考)】
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