説明

切削装置

【課題】2つのチャックテーブルを用いて、加工効率の向上を図ることができる切削装置を提供すること。
【解決手段】第1、第2のチャックテーブル5a、5bを、第1、第2のブレードユニット41、42により半導体ウェーハWを切削する第1の切削領域A1と、第3のブレードユニット73により半導体ウェーハWを切削する第2の切削領域A3と、アライメント処理を実施するアライメント領域A2との間で移動させ、第1、第2のチャックテーブル5a、5bのいずれか一方に保持された半導体ウェーハWを、第1の切削領域A1で第1、第2のブレードユニット41、42に切削させている間に、いずれか他方に保持された半導体ウェーハWをアライメント領域A2でアライメントし、アライメント終了後に第2の切削領域A3で第3のブレードユニット73により切削させるよう構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削装置に関し、特に、半導体ウェーハ等のワークをストリートに沿って切削する切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、半導体ウェーハ等のワークの表面に格子状にストリート(分割予定ライン)が形成され、ストリートにより区画された領域にIC、LSI等の回路が形成される。そして、半導体ウェーハは、切削装置によりストリートに沿って切削され、個々の半導体チップに分割される。このようにして分割された半導体チップは、パッケージングされて携帯電話やパソコン等の電気機器に広く利用される。
【0003】
切削装置においては、切削ブレードを保持したブレードユニットを有し、ブレードユニットとチャックテーブルとを相対的に移動させることにより、チャックテーブルに保持されたワークを切削している。この場合、切削装置では、切削ブレードによる切削に先立ち、撮像ユニットによりチャックテーブルの上方においてワークに形成されたストリートを撮像し、切削ブレードとストリートとの位置合わせを行うアライメント処理を実施している。
【0004】
従来、このような切削装置として、2つのチャックテーブルを有し、一方のチャックテーブルでワークの切削加工を行っている間に、他方のチャックテーブルでワークのアライメント処理を実施するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の切削装置は、主走査方向に移動可能な2つのチャックテーブルの上方において、一対のブレードユニットおよび撮像ユニットを副走査方向に移動可能に支持する門型の支柱部を有している。一対のブレードユニットは支柱部の前面側に支持され、撮像ユニットは支柱部の背面側に支持されている。
【0005】
この切削装置においては、一方のチャックテーブルが切削領域に移動されると、他方のチャックテーブルがアライメント領域に移動され、一方のチャックテーブルでワークが切削加工されると共に、他方のチャックテーブルでワークのアライメント処理がなされる。他方のチャックテーブルは、アライメント処理の終了後、一方のチャックテーブル上のワークの切削加工が終了するのを待って、切削領域に移動される。そして、切削済みのワークが一方のチャックテーブルから取り出されると共に、他方のチャックテーブルで切削加工が開始される。このように、2つのチャックテーブルを用いて切削加工とアライメント処理とを交互に行うことにより加工効率を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−163178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した特許文献1に記載の切削装置においては、切削加工時間に対してアライメント時間が短い場合、先にアライメント処理を終えたワークを、他のワークの切削加工の終了まで待たせなければならず、待機時間が有効利用されていなかった。
【0008】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、2つのチャックテーブルを用いて、加工効率の向上を図ることができる切削装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の切削装置は、ワークを保持する第1の保持テーブルおよび第2の保持テーブルと、前記第1の保持テーブルを、X軸方向に離間して配置された第1の切削領域、第2の切削領域、およびアライメント領域に移動させる第1の保持テーブル移動機構と、前記第2の保持テーブルを前記第1の切削領域、前記第2の切削領域、前記アライメント領域に移動させる第2の保持テーブル移動機構と、前記第1の切削領域において、Y軸回りに回転された円盤状の切削ブレードにより前記第1の保持テーブルまたは前記第2の保持テーブルに保持されたワークを切削する第1のブレードユニットおよび第2のブレードユニットと、前記第2の切削領域において、X軸回りに回転された円盤状の切削ブレードにより前記第1の保持テーブルまたは前記第2の保持テーブルに保持されたワークを切削する第3のブレードユニットと、前記アライメント領域において、前記第1の保持テーブルまたは前記第2の保持テーブルに保持された前記ワークのアライメント用の撮像画像を取得する撮像ユニットと、前記第1の切削領域において、前記第1のブレードユニットおよび前記第2のブレードユニットをY軸方向に移動させる第1のブレードユニット移動機構と、前記第2の切削領域において、前記第3のブレードユニットをY軸方向に移動させる第2のブレードユニット移動機構と、前記アライメント領域において、前記撮像ユニットをY軸方向に移動させる撮像ユニット移動機構とを備え、前記第1の保持テーブルおよび前記第2の保持テーブルのいずれか一方に保持されたワークが、前記第1の切削領域において前記第1のブレードユニットおよび前記第2のブレードユニットに切削されている間に、いずれか他方に保持されたワークが前記アライメント領域において前記撮像ユニットによる撮像結果に応じてアライメントされ、アライメント終了後に前記第2の切削領域において前記第3のブレードユニットにより切削されることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、第1の保持テーブルおよび第2の保持テーブルのいずれか一方に保持されたワークが第1のブレードユニットおよび第2のブレードユニットに切削加工されている間に、いずれか他方に保持されたワークがアライメント処理を終えても、アライメント処理の終了後に第3のブレードユニットにより切削加工されるため、他方に保持されたワークの待機時間を無くして加工効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、2つのチャックテーブルを用いて、加工効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る切削装置の実施の形態を示す図であり、切削装置の斜視図である。
【図2】本発明に係る切削装置の実施の形態を示す図であり、チャックテーブルの周辺の斜視図である。
【図3】本発明に係る切削装置の実施の形態を示す図であり、切削装置による切削加工の動作の一例を示す説明図である。
【図4】本発明に係る切削装置の実施の形態を示す図であり、環状フレームに支持された半導体ウェーハの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。最初に、本発明の実施の形態に係る切削装置について説明する前に、切削対象となる半導体ウェーハについて簡単に説明する。図4は、環状フレームに支持された半導体ウェーハの斜視図である。
【0014】
図4に示すように、半導体ウェーハWは、略円盤状に形成されており、表面に格子状に配列されたストリート91によって複数の領域に区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイス92が形成されている。また、半導体ウェーハWは、貼着テープ93を介して環状フレーム94に支持され、カセット9(図1参照)内に収容された状態で切削装置1に搬入および搬出される。
【0015】
なお、本実施の形態においては、ワークとしてシリコンウェーハ等の半導体ウェーハを例に挙げて説明するが、この構成に限定されるものではなく、半導体ウェーハWに貼着されるDAF(Die Attach Film)等の粘着部材、半導体製品のパッケージ、セラミック、ガラス、サファイヤ(Al2O3)系の無機材料基板、各種電気部品やミクロンオーダーの加工位置精度が要求される各種加工材料をワークとしてもよい。
【0016】
次に、図1を参照して、本発明の実施の形態に係る切削装置について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る切削装置の斜視図である。図2は、本発明の実施の形態に係るチャックテーブルの周辺の斜視図である。
【0017】
図1に示すように、切削装置1は、基台2上の第1、第2のチャックテーブル5a、5bに保持された2つの半導体ウェーハWを、装置前側に設けられた第1の切削機構3と装置後側に設けられた第2の切削機構4とにより同時に切削するように構成されている。第1、第2のチャックテーブル5a、5bは、それぞれ第1、第2の切削機構3、4に臨むようにX軸方向に前後動される。この第1、第2のチャックテーブル5a、5bの移動方向の最前位置は、第1、第2のチャックテーブル5a、5bに対し半導体ウェーハWが受け渡される受け渡し位置に設定されている。
【0018】
第1の切削機構3の前方には、半導体ウェーハWの受け渡し位置を挟んで、カセット9が搬入および搬出される搬入搬出部6と、切削済みの半導体ウェーハWを洗浄する洗浄部7とが設けられている。受け渡し位置の上方には、搬入搬出部6に載置されたカセット9に半導体ウェーハWを出し入れするプッシュプルアーム11と、第1、第2のチャックテーブル5a、5bと洗浄部7との間の半導体ウェーハWの受け渡しを行うアッパーアーム12およびロアアーム13とが設けられている。また、第1のチャックテーブル5aの受け渡し位置の上方には、カセット9に対して半導体ウェーハWを出し入れ可能にガイドする一対のガイドレール14が設けられている。
【0019】
搬入搬出部6は、カセット9を載置する載置板17を有し、載置板17は昇降可能に構成されている。搬入搬出部6は、カセット9を載置した状態で載置板17を昇降させることにより、高さ方向における半導体ウェーハWの出し入れ位置を調整している。
【0020】
洗浄部7は、上面に円形の開口部18が形成され、開口部18の中央に切削済みの半導体ウェーハWが保持される洗浄用テーブル19を有している。洗浄用テーブル19は、洗浄部7の上面の開口部18と基台2内部との間で昇降可能に構成されている。切削済みの半導体ウェーハWは、洗浄用テーブル19の下降により基台2内に収容され、基台2内において高速回転されつつ、洗浄水が噴射されて洗浄される。
【0021】
プッシュプルアーム11は、搬入搬出部6においてカセット9の高さ調整が行われた状態で、カセット9から半導体ウェーハWを一対のガイドレール14に引き出す他、一対のガイドレール14上の半導体ウェーハWをカセット9内に押し込むように構成されている。一対のガイドレール14は、半導体ウェーハWの出し入れ時には相互に接近して半導体ウェーハWをガイドすると共に、第1、第2のチャックテーブル5a、5bに対してX軸方向に位置決めを行う。また、一対のガイドレール14は、半導体ウェーハWの非出し入れ時には第1のチャックテーブル5aの載置面を空けるように相互に離間する。
【0022】
アッパーアーム12は、一対のガイドレール14上の半導体ウェーハWをピックアップして、第1、第2のチャックテーブル5a、5bに載置する他、切削済みの半導体ウェーハWを第1、第2のチャックテーブル5a、5bからピックアップして洗浄用テーブル19に載置する。ロアアーム13は、洗浄済みの半導体ウェーハWをピックアップして一対のガイドレール14に載置する。
【0023】
また、基台2の上面中央には、第1、第2のチャックテーブル5a、5bの移動経路に沿って矩形状の開口部21a、21bが形成されている。この開口部21a、21bは、第1、第2のチャックテーブル5a、5bと共に移動可能な移動板22a、22bおよび蛇腹状の防水カバー23a、23bにより被覆されている。各移動板22a、22bの中央には、円形の開口部が形成され、この円形の開口部を介して第1、第2のチャックテーブル5a、5bの上部が外部に露出される。
【0024】
図2に示すように、各防水カバー23a、23bの下方には、第1、第2のチャックテーブル5a、5bをX軸方向に移動させる第1、第2のチャックテーブル移動機構24a、24bが設けられている。第1のチャックテーブル移動機構24aは、X軸方向に延在する支持台26a上に配置された互いに平行な一対のガイドレール27aと、一対のガイドレール27aにスライド可能に設置されたモータ駆動のX軸テーブル28aとを有している。X軸テーブル28aの上部には、第1のチャックテーブル5aが設けられている。
【0025】
第2のチャックテーブル移動機構24bは、第1のチャックテーブル移動機構24aに隣接して配置され、第1のチャックテーブル移動機構24aと同様な構成を有している。なお、各X軸テーブル28a、28bの背面側には、それぞれ図示しないナット部が形成され、これらナット部にボールネジ31a、31bが螺合されている。そして、ボールネジ31a、31bの一端部には、それぞれ駆動モータ32a、32bが連結され、これら駆動モータ32a、32bによりボールネジ31a、31bが回転駆動される。
【0026】
第1のチャックテーブル5aは、X軸テーブル28aの上面に固定されたZ軸回りに回転可能なθテーブル33aと、θテーブル33aの上面に固定されたテーブル支持部34aとを有している。また、テーブル支持部34aの上部には、半導体ウェーハWを吸着保持するワーク保持部35aが支持されている。ワーク保持部35aは、所定の厚みを有する円盤状であり、上面中央部分にはポーラスセラミック材により吸着面36aが形成されている。吸着面36aは、負圧により貼着テープ93を介して半導体ウェーハWを吸着する面であり、テーブル支持部34aの内部の配管を介して吸引源に接続されている。
【0027】
ワーク保持部35aの周囲には、テーブル支持部34aの四方から径方向外側に延びる一対の支持アームを介して4つのクランプ部37aが設けられている。この4つのクランプ部37aは、エアーアクチュエータにより駆動し、半導体ウェーハWの周囲の環状フレーム94を挟持固定する。また、第2のチャックテーブル5bは、第1のチャックテーブル5aと同様な構成を有している。
【0028】
図1に戻り、第1の切削機構3は、第1、第2のブレードユニット41、42により半導体ウェーハWを切削するものであり、第1、第2のチャックテーブル5a、5bの移動経路を挟んで基台2上に立設した一対の支柱部39を有している。一対の支柱部39の上部には、Y軸方向に延在する支持台47が設けられている。支持台47の前面には、第1、第2のブレードユニット41、42をY軸方向に移動させる第1のブレードユニット移動機構43が設けられている。また、支持台47の背面には、撮像ユニット44(図3参照)をY軸方向に移動させる撮像ユニット移動機構45が設けられている。
【0029】
第1のブレードユニット移動機構43は、支持台47の前面に配置された互いに平行な一対のガイドレール48と、一対のガイドレール48にスライド可能に設置されたモータ駆動の一対のY軸テーブル51、52とを有している。また、第1のブレードユニット移動機構43は、各Y軸テーブル51、52の前面のそれぞれに配置された互いに平行な一対のガイドレール53、54と、各一対のガイドレール53、54のそれぞれにスライド可能に配置されたモータ駆動のZ軸テーブル55、56とを有している。一方のZ軸テーブル55には、第1のブレードユニット41が延設され、他方のZ軸テーブル56には、第2のブレードユニット42が延設されている。
【0030】
なお、各Y軸テーブル51、52、各Z軸テーブル55、56の背面側には、それぞれ図示しないナット部が形成され、これらナット部にボールネジ57、58が螺合されている(Z軸テーブル用のボールネジは不図示)。そして、Y軸テーブル51、52用のボールネジ57、58、Z軸テーブル用のボールネジの一端部には、それぞれ駆動モータ61、62、63が連結され、これら駆動モータ61、62、63によりボールネジが回転駆動される。
【0031】
第1のブレードユニット41は、Y軸回りに回転するスピンドルの先端に設けられた円盤状の切削ブレード65(図3参照)と、切削部分に切削水を噴射する図示しない噴射ノズルとを有している。第1のブレードユニット41は、スピンドルにより切削ブレード65を高速回転させ、複数のノズルから切削部分に切削水を噴射しつつ半導体ウェーハWを切削加工する。また、第2のブレードユニット42は、第1のブレードユニット41と同様な構成を有している。
【0032】
撮像ユニット移動機構45は、支持台47の背面に配置されたガイドレール68と、ガイドレール68にスライド可能に設置されたモータ駆動の図示しないY軸テーブルとを有している。また、Y軸テーブルには、撮像ユニット44が支持されている。なお、Y軸テーブルの背面側には、図示しないナット部が形成され、このナット部に図示しないボールネジが螺合されている。そして、Y軸テーブル用のボールネジの一端部には、駆動モータ69が連結され、駆動モータ69によりボールネジが回転駆動される。
【0033】
撮像ユニット44は、CCD等の撮像素子を有しており、撮像素子により半導体ウェーハWの表面を撮像して撮像画像を基台2内の制御部71に出力する。制御部71は、予め記憶部に記憶されたキーパターンと撮像画像に含まれるキーパターンとをマッチングさせることにより、アライメント処理を実施する。このアライメント処理によりθテーブル33a、33bが駆動されて第1、第2のチャックテーブル5a、5bのθ補正が行われると共に、X軸方向およびY軸方向のデータ補正が行われる。
【0034】
この第1の切削機構3においては、上記したアライメント処理に基づいて切削ブレード65、66が半導体ウェーハWのストリート91に位置合わせされ、Z軸テーブル55、56の移動により回転された切削ブレード65、66の半導体ウェーハWに対する切り込み深さが調整される。その後、第1、第2のチャックテーブル移動機構24a、24bのX軸テーブル28a、28bが移動されることにより、第1、第2のチャックテーブル5a、5bに保持された半導体ウェーハWが切削される。
【0035】
第2の切削機構4は、第3のブレードユニット73により半導体ウェーハWを切削するものであり、第1、第2のチャックテーブル5a、5bの移動経路を挟んで基台2上に立設した一対の支柱部74を有している。一対の支柱部74の上部には、Y軸方向に延在する支持台76が設けられている。支持台76の前面には、第1、第2のチャックテーブル5a、5bの上方において第3のブレードユニット73をY軸方向に移動させる第2のブレードユニット移動機構75が設けられている。
【0036】
第2のブレードユニット移動機構75は、支持台76の前面に配置された互いに平行な一対のガイドレール77と、一対のガイドレール77にスライド可能に設置されたモータ駆動のY軸テーブル78とを有している。また、第2のブレードユニット移動機構75は、Y軸テーブル78の前面のそれぞれに配置された互いに平行な一対のガイドレール79と、各一対のガイドレール79のそれぞれにスライド可能に配置されたモータ駆動のZ軸テーブル81とを有している。Z軸テーブル81の前面には、前方に延びる支持部82が設けられ、支持部82には第3のブレードユニット73が取り付けられている。
【0037】
なお、Y軸テーブル78、Z軸テーブル81の背面側には、それぞれ図示しないナット部が形成され、これらナット部にボールネジ83が螺合されている(Z軸テーブル用のボールネジは不図示)。そして、Y軸テーブル78用のボールネジ83、Z軸テーブル用のボールネジの一端部には、それぞれ駆動モータ84、85が連結され、これら駆動モータ84、85によりボールネジが回転駆動される。
【0038】
第3のブレードユニット73は、X軸回りに回転するスピンドルの先端に設けられた円盤状の切削ブレード86と、切削部分に切削水を噴射する図示しない噴射ノズルとを有している。第3のブレードユニット73は、スピンドルにより切削ブレード86を高速回転させ、複数のノズルから切削部分に切削水を噴射しつつ半導体ウェーハWを切削加工する。
【0039】
この第2の切削機構4には、第1の切削機構3の撮像ユニット44に撮像された撮像画像に基づいてアライメント処理が実施された半導体ウェーハWが搬送される。そして、第2の切削機構4においては、アライメント処理に基づいて切削ブレード65が半導体ウェーハWのストリート91に位置合わせされ、Z軸テーブル81の移動により回転された切削ブレード86の半導体ウェーハWに対する切り込み深さが調整される。その後、第2のブレードユニット移動機構75のY軸テーブル78が移動されることにより、第1、第2のチャックテーブル5a、5bに保持された半導体ウェーハWが切削される。
【0040】
このように構成された切削装置1においては、第1、第2のチャックテーブル5a、5bのうち、いずれか一方に保持された半導体ウェーハWが第1の切削機構3で切削加工されている間に、いずれか他方に保持された半導体ウェーハWがアライメント処理される。また、いずれか他方に保持されたアライメント後の半導体ウェーハWは、いずれか一方に保持された半導体ウェーハWが第1の切削機構3で切削加工が終了するまで、第2の切削機構4で切削加工される。
【0041】
以下、図3を参照して、切削装置による切削加工の動作について詳細に説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る切削装置による切削加工の動作の一例を示す説明図である。なお、以下に示す切削加工の動作は、あくまでも一例を示すものであり、この動作例に限定されるものではない。第1、第2のチャックテーブルのいずれか一方に保持された半導体ウェーハが第1の切削機構により切削される間に、いずれか他方の半導体ウェーハがアライメント処理および第2の切削機構により切削されるように動作されればよい。
【0042】
図3に示すように、第1、第2のチャックテーブル5a、5bの移動経路上には、第1の切削機構3により切削加工が行われる第1の切削領域A1、第2の切削機構4により切削加工が行われる第2の切削領域A3が設定されている。また、第1、第2の切削領域A1、A3の間には、撮像ユニット44による撮像画像に基づいてアライメント処理が実施されるアライメント領域A2が設定されている。切削装置1の稼働前の初期状態では、第1、第2のチャックテーブル5a、5bは第1の切削領域A1の前方に位置されている。
【0043】
図3(a)に示すように、切削装置1が稼働されると、プッシュプルアーム11によりカセット9から半導体ウェーハWが一対のガイドレール14に引き出され、一対のガイドレール14に引き出された半導体ウェーハW1がアッパーアーム12により第1のチャックテーブル5aに載置される。
【0044】
次に、図3(b)に示すように、第1のチャックテーブル5aがアライメント領域A2に移動され、撮像ユニット44が第1のチャックテーブル5a上の半導体ウェーハW1の上方に移動される。そして、撮像ユニット44により第1のチャックテーブル5a上の半導体ウェーハW1の表面が撮像され、撮像ユニット44により撮像された撮像画像に基づいてアライメント処理が実施される。このアライメント処理と同時に、プッシュプルアーム11によりカセット9から新たな半導体ウェーハW2が一対のガイドレール14に引き出され、一対のガイドレール14に引き出された半導体ウェーハW2がアッパーアーム12により第2のチャックテーブル5bに載置される。
【0045】
次に、図3(c)に示すように、第1のチャックテーブル5aが第1の切削領域A1に移動され、第1、第2のブレードユニット41、42が第1のチャックテーブル5a上の半導体ウェーハW1の上方に移動される。そして、第1、第2のブレードユニット41、42の切削ブレード65、66が半導体ウェーハW1のX軸方向のストリート91に位置合わせされ、第1、第2のブレードユニット41、42が下降されることで高速回転した切削ブレード65、66により半導体ウェーハW1が切り込まれる。
【0046】
切削ブレード65、66により半導体ウェーハW1が切り込まれると、第1のチャックテーブル5aがX軸方向に切削送りされ、半導体ウェーハW1の2本のストリート91が同時に加工される。続いて、第1、第2のブレードユニット41、42がY軸方向に数ピッチ分だけ移動され、第1、第2のブレードユニット41、42の切削ブレード65、66が隣接するストリート91に位置合わせされる。そして、第1のチャックテーブル5aがX軸方向に切削送りされ、半導体ウェーハW1の2本のストリート91が同時に加工される。この動作が繰り返されて半導体ウェーハW1のX軸方向の全てのストリート91が加工される。
【0047】
この第1、第2のブレードユニット41、42による切削加工と同時に、第2のチャックテーブル5bがアライメント領域A2に移動され、撮像ユニット44が第2のチャックテーブル5b上の半導体ウェーハW2の上方に移動される。そして、撮像ユニット44により第2のチャックテーブル5b上の半導体ウェーハW2の表面が撮像され、撮像ユニット44により撮像された撮像画像に基づいてアライメント処理が実施される。
【0048】
次に、図3(d)に示すように、第1のチャックテーブル5a上の半導体ウェーハW1のX軸方向の全てのストリート91が加工されると、θテーブル33aが90度回転され、半導体ウェーハW1のY軸方向のストリート91の加工が開始される。また、第2のチャックテーブル5b上の半導体ウェーハW2のアライメント処理が終了されると、第2のチャックテーブル5bが第2の切削領域A3に移動され、第3のブレードユニット73が第2のチャックテーブル5b上の半導体ウェーハW2の上方に移動される。
【0049】
そして、第3のブレードユニット73の切削ブレード86が半導体ウェーハW2のY軸方向のストリート91に位置合わせされ、第3のブレードユニット73が下降されることで高速回転した切削ブレード86により半導体ウェーハW2が切り込まれる。切削ブレード86により半導体ウェーハW2が切り込まれると、第3のブレードユニット73がY軸方向に切削送りされ、半導体ウェーハW2の1本のストリート91が加工される。続いて、第2のチャックテーブル5bがX軸方向に数ピッチ分だけ移動され、第3のブレードユニット73の切削ブレード86が隣接するストリート91に位置合わせされる。そして、第3のブレードユニット73が切削送りされ、隣接するストリート91が加工される。この動作が繰り返されて半導体ウェーハW2のY軸方向のストリート91が加工される。
【0050】
次に、図3(e)に示すように、第1のチャックテーブル5a上の半導体ウェーハW1の全てのストリート91が加工されると、ロアアーム13により切削済みの半導体ウェーハW1がピックアップされ、洗浄用テーブル19に載置される。この切削済みの半導体ウェーハW1の洗浄と同時に、第3のブレードユニット73による加工が停止され、第2のチャックテーブル5bが第1の切削領域A1に移動され、第1、第2のブレードユニット41、42が第2のチャックテーブル5b上の半導体ウェーハW2の上方に移動される。そして、第2のチャックテーブル5b上の半導体ウェーハW2の残りのストリート91が加工される。
【0051】
次に、図3(f)に示すように、洗浄後の半導体ウェーハW1がロアアーム13によって一対のガイドレール14に載置され、一対のガイドレール14に載置された半導体ウェーハWがプッシュプルアーム11によりカセット9内に押し込まれる。また、第2のチャックテーブル5b上の半導体ウェーハW2の全てのストリート91が加工されると、ロアアーム13により切削済みの半導体ウェーハW2がピックアップされ、洗浄用テーブル19に載置される。そして、第1のチャックテーブル5aには、また新たな半導体ウェーハWが載置され、同様の動作が繰り返される。
【0052】
以上のように、本実施の形態に係る切削装置1によれば、第1、第2のチャックテーブル5a、5bのいずれか一方に保持された半導体ウェーハWが第1、第2のブレードユニット41、42に切削加工されている間に、いずれか他方に保持された半導体ウェーハWがアライメント処理を終えても、アライメント処理の終了後に第3のブレードユニット73により切削加工されるため、他方に保持された半導体ウェーハWの待機時間を無くして加工効率を向上させることが可能となる。
【0053】
なお、上記した実施の形態においては、第1の切削領域と第2の切削領域との間にアライメント領域が配置される構成としたが、この構成に限定されるものではない。アライメンと領域は、第1、第2のチャックテーブルの移動経路上にあればよく、例えば、第1の切削領域内または第2の切削領域内に配置されていてもよい。
【0054】
また、上記した実施の形態においては、第1、第2の保持テーブルとしての第1、第2のチャックテーブルは、真空吸着により半導体ウェーハを吸着すると共にクランプにより環状フレームを保持する構成としたが、この構成に限定されるものではない。半導体ウェーハを保持可能なテーブルであれば、どのような構成であってもよい。
【0055】
また、上記した実施の形態においては、第1の切削機構の支持台の背面に撮像ユニット移動機構を設ける構成としたが、この構成に限定されるものではない。撮像ユニット用の支持台を基台上に設け、この支持台に撮像ユニット移動機構を設ける構成としてもよい。
【0056】
また、上記した実施の形態においては、第1のチャックテーブル上の半導体ウェーハが第1の切削領域で切削されている間に、第2のチャックテーブル上の半導体ウェーハがアライメント処理後に第2の切削領域で切削される構成としたが、この構成に限定されるものではない。第1、第2のチャックテーブルの待機時間を有効活用可能に動作されればよく、例えば、第2のチャックテーブル上の半導体ウェーハが第1の切削領域で切削されている間に、第1のチャックテーブル上の半導体ウェーハがアライメント処理後に第2の切削領域で切削される構成としてもよい。
【0057】
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上説明したように、本発明は2つのチャックテーブルを用いて、加工効率の向上を図ることができるという効果を有し、特に、半導体ウェーハ等のワークをストリートに沿って切削する切削装置に有用である。
【符号の説明】
【0059】
1 切削装置
3 第1の切削機構
4 第2の切削機構
5a 第1のチャックテーブル(第1の保持テーブル)
5b 第2のチャックテーブル(第2の保持テーブル)
24a 第1のチャックテーブル移動機構(第1の保持テーブル移動機構)
24b 第2のチャックテーブル移動機構(第2の保持テーブル移動機構)
41 第1のブレードユニット
42 第2のブレードユニット
43 第1のブレードユニット移動機構
44 撮像ユニット
45 撮像ユニット移動機構
65、66、86 切削ブレード
71 制御部
73 第3のブレードユニット
75 第2のブレードユニット移動機構
91 ストリート
A1 第1の切削領域
A2 アライメント領域
A3 第2の切削領域
W、W1、W2 半導体ウェーハ(ワーク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを保持する第1の保持テーブルおよび第2の保持テーブルと、
前記第1の保持テーブルを、X軸方向に離間して配置された第1の切削領域、第2の切削領域、およびアライメント領域に移動させる第1の保持テーブル移動機構と、
前記第2の保持テーブルを前記第1の切削領域、前記第2の切削領域、前記アライメント領域に移動させる第2の保持テーブル移動機構と、
前記第1の切削領域において、Y軸回りに回転された円盤状の切削ブレードにより前記第1の保持テーブルまたは前記第2の保持テーブルに保持されたワークを切削する第1のブレードユニットおよび第2のブレードユニットと、
前記第2の切削領域において、X軸回りに回転された円盤状の切削ブレードにより前記第1の保持テーブルまたは前記第2の保持テーブルに保持されたワークを切削する第3のブレードユニットと、
前記アライメント領域において、前記第1の保持テーブルまたは前記第2の保持テーブルに保持された前記ワークのアライメント用の撮像画像を取得する撮像ユニットと、
前記第1の切削領域において、前記第1のブレードユニットおよび前記第2のブレードユニットをY軸方向に移動させる第1のブレードユニット移動機構と、
前記第2の切削領域において、前記第3のブレードユニットをY軸方向に移動させる第2のブレードユニット移動機構と、
前記アライメント領域において、前記撮像ユニットをY軸方向に移動させる撮像ユニット移動機構とを備え、
前記第1の保持テーブルおよび前記第2の保持テーブルのいずれか一方に保持されたワークが、前記第1の切削領域において前記第1のブレードユニットおよび前記第2のブレードユニットに切削されている間に、いずれか他方に保持されたワークが前記アライメント領域において前記撮像ユニットによる撮像結果に応じてアライメントされ、アライメント終了後に前記第2の切削領域において前記第3のブレードユニットにより切削されることを特徴とする切削装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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