説明

切換え可能なバックラッシ制御装置を有する結合強度試験装置

【課題】バックラッシを実質的になくす結合部試験装置を提供する。
【解決手段】本発明による結合部試験装置(12)は、本体(25)と、試験ツール(10)を保持する試験ツール取付け部(21)と、試験ツール取付け部(21)と本体(25)との間の軸線方向相対移動を可能にするねじ(33)とナット(34)の組立体と、作動の際に試験ツール取付け部(21)を本体(25)に対して軸線方向に付勢するバックラッシ制御要素(27,28)を有する。バックラッシ制御要素(27,28)は、試験ツール取付け部(21)が第1の軸線方向に付勢される第1の状態と、試験ツール取付け部(21)が第2の軸線方向に付勢され又は試験ツール取付け部(21)に付勢力が付与されない第2の状態との間を切換え可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体上の電気結合部の強度を試験する装置に関する。特に、本発明は、異なる種類の試験、例えば剪断試験、引張り試験、及びプッシュ(押し)試験を結合部(bond)に対して実施することができる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは、非常に小さく、典型的には5〜50平方mmであり、かかる半導体デバイスは、典型的には、半導体基板への電気導体の結合のための多くの箇所を有している。各結合部は、基板に結合されたはんだ又は金の球状堆積物(ball deposit)を含む。通常、直径が約0.025mmの非常に細いワイヤが球状堆積物に埋込まれる場合がある。
【0003】
特定の結合方法が妥当であるという確信を得るために結合部の結合強度を試験することが必要である。結合部の寸法が非常に小さいので、結合部の結合強度を試験するために用いられるツールは、非常に小さな力及び撓みを正確に測定することができなければならない。
【0004】
結合強度を試験するために用いられるいくつかの互いに異なる種類の結合部試験が存在する。例えば、剪断試験は、剪断力を結合部の側面に付与して結合部を基板から剪断することにより、結合部の剪断強さを試験する。引張り試験は、球状堆積物に埋込まれたワイヤを基板から引離すことにより、結合部の引張り強度を試験する。プッシュ試験では、鉛直平面内の力又は負荷を結合部に直接下向きに付与する。
【0005】
これらの結合部試験を行う機械は、典型的には、結合部試験ツール(剪断試験ツール、プッシュ試験ツール、又は引張り試験ツール)を有し、結合部試験ツールを試験用の結合部に対して位置決めし、次いで、結合部を破壊するのに必要な力を測定することによって試験を行うために、結合部または結合部試験ツールのいずれかを移動させる。
【0006】
上述したように、これらの結合部試験において、極めて小さい力及び撓みを測定することが必要である。試験ツールの位置決めは、典型的には、任意の形態のねじとナットの回転駆動組立体を用いて達成される。例えば、試験ツールがナットを含む構成要素の組立体に取付けられ、ねじをサーボモータによって駆動するとき、ナットはねじに沿って移動する。この機構は、剪断試験、プッシュ試験又は引張り試験に先立って試験ツールを正確に位置決めするのに使用され、また、引張り試験中に試験ツールを駆動するために使用される。
【0007】
試験ツールを基板に近づけたり遠ざけたりするためにねじとナットの装置を使用するとき、かじりを防止すること及び熱膨張や製造上のばらつきを許容すること等のために、ねじとナットの噛合い構成要素の間に、必ず隙間が設けられなければならない。この隙間は、「バックラッシ」と呼ばれる。この隙間は、試験ツールが最初に位置決めされるときの精度、及び、結合部強度の試験中に試験ツールが正確に維持される所望の位置の精度を制限する。
【0008】
試験ツールがねじとナットの駆動機構によって垂直軸線に沿って上下に駆動される先行技術の結合部試験機では、引張り状態のばねが試験ツールの上に位置決めされ、且つ、試験ツールを上方に付勢するのに使用され、それにより、ナットのねじ山の上面とねじのねじ山の面との間の隙間を閉じる。これにより、試験ツールが剪断試験又はプッシュ試験に用いられる場合、試験中に試験ツールが上向きの力を付与し、バックラッシが減少する。例えば、剪断試験では、試験ツールが球状堆積物を基板から剪断させるとき、垂直方向の力成分が生じ、球状堆積物は試験ツールを上方に押す。試験ツールは既にばねによって上位置に付勢されているので、バックラッシのための隙間は既に閉じられ、かくして、剪断試験又はプッシュ試験それ自体、バックラッシと関連した試験ツールの位置の問題を引き起こさない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,078,387号明細書
【特許文献2】米国特許第6,301,971号明細書
【特許文献3】国際公開第2006/016136号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、付勢ばねを用いた場合でも、剪断試験及びプッシュ試験中におけるバックラッシに関する問題が完全になくなるわけではない。その理由は、上述したように引張り状態にあるばねにより付与される力が、ばねが引伸ばされるにつれて変化するからである。ばねを引伸ばせば引伸ばすほど、ばねが付与する付勢力は大きくなる。したがって、ばねによって付与される力は、ねじに沿うナットの移動範囲全体にわたって変化する。その結果、ナットがねじに沿って下端まで移動させられるまでばねが引伸ばされているとき、ばねは、ナットがねじに沿って上端に移動させられたところでばねがそれほど引伸ばされていないときよりも大きい力を付与して、バックラッシのための隙間を減少させる。かくして、ばねを用いることにより、剪断試験及びプッシュ試験におけるバックラッシの問題を少なくするけれども、バックラッシの問題がなくなるわけではない。
【0011】
加えて、剪断試験において、試験ツールの下端部を基板から厳密に制御された非常に小さいスタンドオフ距離(stand off distance)のところに維持することが極めて重要である。ばねの上向きの付勢力がばねの長さに応じて変化するので、上向きの付勢力によって隙間を閉じる性能も変化し、それにより、基板上の試験ツールのあらゆる位置に関してスタンドオフ距離を正確に且つ確実に制御することを困難にする。
【0012】
さらに、引張り試験では、ばねの使用によっては解決されない重大なバックラッシの問題が存在する。引張り試験において、試験ツールは、フックの形をしており、基板に結合されているワイヤの下を引掛ける。試験ツールは、ワイヤを引上げて、ワイヤを基板上の結合部から引離し、その結合部を破壊するのに必要とされる力を測定する。典型的には、ワイヤは、基板上の球状のはんだに結合されている。ワイヤを引張ると、ワイヤは、下向きの力を試験ツールに付与する。この下向きの力は、ばねの力に抗して試験ツールを引下げる。この下向きの力は、どこかの時点でばねの力に打ち勝つことができ、それにより、ナットが下方に移動し、ナットのねじ山の上面とねじとが接触しないようになり、ついには、ナットのねじ山の下面とねじが接触し、ナットのねじ山の下面とねじのねじ山との間のバックラッシのための隙間が閉じられる。バックラッシのための隙間をナットの下で閉じるこの移動は、後で説明する歪ゲージ又は他の変換器により提供される信号を歪ませ、不正確な力の読みを生じさせる。
【0013】
さらに、剪断試験、プッシュ試験及び引張り試験の場合、試験ツールの軸線方向移動を再現可能な仕方で正確に制御するために、ナットとねじは、一定の仕方で互いに接触噛み合い状態のままであることが望ましい。このことは、先行技術のばねによる解決法を用いて常に達成可能であるわけではない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、参照すべき添付の特許請求の範囲に記載された独立種類の請求項に記載されている。好ましい特徴は、従属種類の請求項に記載されている。
【0015】
先行技術のばねによる方法に対する上述した問題を解決するため、本発明の好ましい実施形態では、剪断試験、プッシュ試験又は引張り試験に利用可能な結合部試験機において、バックラッシ制御要素が、駆動ねじに沿って移動するナットに一定の付勢力を付与するのに用いられる。
【0016】
バックラッシ制御要素は、空気圧ピストン及びシリンダの形態をなすのがよく、シリンダは、駆動ねじに対して適所に固定され、ピストンは、駆動ねじに沿って移動するナットと一緒に移動可能に固定される。この解決法では、シリンダ内の圧力を設定することによって、所望の付勢力を設定し、次いで、駆動ねじに沿うナットの位置とは無関係に付勢力を維持することを可能にする。かくして、先行技術のばねによる解決法と異なり、ナットに付与される付勢力を具体的に選択でき、かかる付勢力をいったん選択したら、ナットがねじの長さ方向に沿って移動しているときにかかる付勢力を一定に維持することができる。
【0017】
ねじに沿った両方の軸線方向の一定の付勢力をナットに付与することによって、基板に対する試験ツールの位置精度を、先行技術よりも向上させる。位置精度の向上により、結合部試験装置によって得られる力測定値の信頼性及び再現性が向上する。
【0018】
例えばピストン及びシリンダの形態をなすバックラッシ制御要素は、剪断試験及びプッシュ試験中、ピストンによる上向きの付勢力をナットに付与するように使用されるが、引張り試験中、空気圧をシリンダから除去することによって付勢力を付与せずに、ピストンが自由に移動することができるように使用されてもよい。空気圧を除去したとき、ピストン及びシリンダによって付勢力を付与する代わりに、移動構成要素自体の重量によってバックラッシ隙間を閉じるのに十分な付勢力を付与してもよい。このことは、システムの移動構成要素の重量の少なくとも一部を支持するようにばねが常に作用している先行技術のばね解決法を用いると、不可能であった。その理由は、引張り試験中、ばね付勢力を除去することができないからである。
【0019】
例えばピストン及びシリンダの形態をしたバックラッシ制御要素は、ねじとナットの駆動機構によって供給される駆動力を調整するように使用されてもよい。例えば、結合部試験機が引張り試験に用いられる場合、ねじの駆動により、所定の大きさの上向きの力をナット及び試験ツールに付与する。ピストンが付勢されてナットを上方向に押すとき、ピストンの力は、ねじの駆動力に追加され、結合部に作用する上向きの力全体を増大させる。同様に、結合部試験機がプッシュ試験に用いられる場合、ねじの駆動により、所定の大きさの下向きの力をナット及び試験ツールに付与する。ピストンが付勢されてナットを下方向に押すとき、ピストンの力は、ねじの駆動力に追加され、結合部に作用する下向きの力全体を増大させる。
【0020】
したがって、一観点において、本発明は、結合部試験装置であって、本体と、試験ツールを保持する試験ツール取付け部と、試験ツール取付け部を本体に結合させ且つ試験ツール取付け部と本体の間の軸線方向の相対移動を可能にする軸線方向駆動機構と、本体及び試験ツール取付け部に結合され、作動の際に試験ツール取付け部を本体に対して軸線方向に付勢するバックラッシ制御要素を有し、バックラッシ制御要素は、第1の状態と第2の状態との間を切換え可能であり、第1の状態において、試験ツール取付け部が第1の軸線方向に付勢され、第2の状態において、試験ツール取付け部が第2の軸線方向に付勢され、又は、制御要素が試験ツール取付け部に軸線方向の付勢力を付与しない、結合部試験装置を提供する。
【0021】
好ましくは、バックラッシ制御要素は、空気圧作動式ピストン及びシリンダを含む。
【0022】
好ましくは、バックラッシ制御要素により付与される力は、所望のレベルに設定可能であるが、この力がいったん設定されると、この力は、試験ツールの軸線方向位置とは無関係に一定レベルに維持可能であり、それにより、結合部試験の信頼性及び再現性を向上させる。
【0023】
好ましくは、バックラッシ制御要素は、結合部試験装置の可動部分と非可動部分との間のカップリングを構成し、最も好ましくは、ねじとナットの駆動機構のナットを支持する要素を有する。
【0024】
好ましくは、バックラッシ制御要素は、空気圧作動式ピストン及びシリンダを有し、空気圧作動式ピストン及びシリンダは、剪断試験又はプッシュ試験の間、上向きの付勢力を付与し、引張り試験の間、下向きの付勢力を付与するか付勢力を付与しない。
【0025】
好ましくは、更に、ユーザインターフェースに接続された制御装置を有し、制御装置及びユーザインターフェースは、ユーザが結合部試験の種類を選択することができるように構成され、制御装置は、バックラッシ制御要素に接続され、選択された結合部試験の種類に応じて第1の状態と第2の状態との間におけるバックラッシ制御要素の切換えを制御する。
【0026】
別の観点では、本発明は、結合部試験装置を用いて剪断試験又は引張り試験のいずれかによって基板上の結合部の結合強度を試験する方法であって、結合部試験装置は、カップリングによって本体に結合された試験ツールを有し、剪断試験か引張り試験かのいずれかを選択するステップを有し、剪断試験を選択した場合、バックラッシをカップリングからなくす第1の方向の付勢力を試験ツールに付与するステップと、試験ツールを結合部に対して位置決めするステップと、試験ツールと基板との間に相対移動を付与して結合部を基板から剪断するステップと、結合部によって試験ツールに付与された力を記録するステップと、を有する方法を提供する。
【0027】
好ましくは、更に、引張り試験を選択した場合、バックラッシをカップリングからなくす第2の方向の付勢力を試験ツールに付与するステップを有する。
【0028】
好ましくは、付勢力を付与するステップは、試験ツールと本体との間に結合された空気圧式のシリンダ及びピストンを作動させるステップを含む。
【0029】
好ましくは、第1の方向は、上方向であり、第2の方向は、下方向である。
【0030】
好ましくは、更に、付勢力を試験ツールに付与する前に且つ最初に、試験ツールを結合部に対して位置決めし、付勢力を試験ツールに付与することに引き続いて試験ツールを結合部に対して更に正確に位置決めするステップを有する。
【0031】
本発明の構成により、試験ツールは、バックラッシを実質的になくした剪断試験及び引張り試験を実施することができる。本発明の構成により、引張り試験及び剪断試験を良好な位置精度が得られた状態で同一の装置によって実施できる。
【0032】
次に、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明するが、これらは例示に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1a】本発明による試験装置の正面図である。
【図1b】ツール取付けブラケットによって支持された試験ツールを示す断面図である。
【図1c】ツール取付けブラケットにクランプ留めされた試験ツールを示す斜視図である。
【図2a】本発明によるバックラッシ防止シリンダを含む試験ツール取付け部及び駆動装置の斜視図である。
【図2b】図2aの組立体の側面図である。
【図2c】図2aの組立体の背面図である。
【図2d】本発明によるバックラッシ防止シリンダの変形実施形態の断面図である。
【図3a】図2cに示すピストン及びシリンダのための空気圧制御システムの概略図である。
【図3b】図2dに示すピストン及びシリンダのための空気圧制御システムの概略図である。
【図4】図2a〜図2cに示す試験ツール取付け部及び駆動装置の部分的に破断した斜視図である。
【図5a】本発明によるシステムの制御要素を示す概略図である。
【図5b】試験ツールに取付けられた歪ゲージを示す断面図である。
【図6a】結合部試験手順中、本発明による装置によって行われるステップを示すフローチャートである。
【図6b】結合部試験手順中、本発明の変形実施形態による装置によって行われるステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1aは、本発明による結合部試験装置の概略図である。結合部試験装置は、カートリッジ11に取付けられた試験ツール10を有し、カートリッジ11はそれ自体、結合部試験装置12の装置本体に取付けられている。試験ツール10の下に、動力式又は電動式のステージテーブル13が設けられ、試験すべきサンプル即ち基板100がステージテーブル13の上に取付けられる。
【0035】
カートリッジ11に取付けられた試験ツール10は、剪断ツールであってもよいし、プッシュツールであってもよいし、引張りツールであってもよく、種々の試験を行うために切換えられるのがよい。適当な剪断ツールの一例が、米国特許第6,078,387号(特許文献1)明細書に記載されており、この米国特許明細書を本明細書に援用する。適当な引張りツールの一例が、米国特許第6,301,971号明細書(特許文献2)に記載されており、この米国特許明細書を本明細書に援用する。
【0036】
図1bに示すように、試験ツール10は、代表的には、ツール取付けブラケット70によってカートリッジ11に取付けられ、ツール取付けブラケット70は、片持ちアーム72,74を有し、片持ちアーム72,74の一方の端部は、ねじ73によってカートリッジ11に固定され、その自由端部は、クランプ76を支持している。図1cに示すように、試験ツール10は、クランプねじ78によってクランプ76内にクランプ留めされている。図2aは、カートリッジ取付けプレート21に取付けられた保持チャネル71を示し、カートリッジ11を保持チャネル71に滑り込ませ、次いで、それを1又は2以上のねじ22の使用によって固定する。カートリッジ取付けプレート21は、データポート23を有し、このデータポート23は、データをカートリッジ11の変換器(後で説明する)からPCに伝送するためにカートリッジ11に設けられている電気コネクタと結合している。この種のカートリッジ及び試験ツール組立体は、先行技術においてよく知られている。これについて、例えば、英国バッキンガムシェア・エールズベリー・ラバンズレーンインダストリアルエリア・ファラデイロード25所在のデーグ・ホールディングズ・リミテッド(Dage Holdings Limited)から入手できるDage 4000多目的結合部テスタを参照されたい。しかしながら、試験ツールをカートリッジ取付けプレートに取付ける任意適当な手段を本発明によるシステムに用いることができる。
【0037】
カートリッジ11は、ステージテーブル13上の基板100の表面に対して垂直な方向に移動可能である。これにより、試験ツール10を試験用の基板100に対して位置決めすることを可能にし、その結果、試験中、試験ツール10が特定の結合部に接触する。基板100の平面に対して平行な方向における試験ツール10とステージテーブル13との間の相対移動は、代表的には、ステージテーブル13を移動させることによって達成される。ステージテーブル13の移動は、リードねじとナット、ボールねじとナット、又は先行技術でよく知られているような適当なベルト駆動機構(図示せず)、例えば上述のDage 4000 Multipurpose Bond Testerを介してステージテーブル13に結合された適当なサーボモータ又はステップモータを用いて達成される。
【0038】
また、図1aに、制御装置が示され、制御装置は、ステージテーブル13の移動を制御する2つのジョイスティック制御部14,15と、キーボード16を有している。ディスプレイ17、試験用の基板を照明するライト18、及び試験ツールの正確な位置決めを助ける顕微鏡19も示されている。これら特徴は全て、先行技術において、例えば、上述したDage 4000 Multipurpose Bond Testerにおいてよく知られている。
【0039】
図2aは、カートリッジ取付けプレート21、及びその本体25への連結を示す。上述したように、試験ツール10(図2aには示されていない)は、試験用の基板に近づいたりそれから遠ざかったりするように移動可能でなければならない。このことは、試験ツール10が取付けられているカートリッジ取付けプレート21を結合部試験装置の本体25に対して基板に近づいたりそれから遠ざかったりする方向(本明細書においては、Z軸方向又は軸線方向という)に移動させることによって達成される。カートリッジ取付けプレート21は、ねじ75を用いて移動ブロック24に剛性的に結合されている。移動ブロック24は、サーボモータ又はステップモータ26によって駆動されるボールねじ(又はリードねじ)とナット34とナットブロック35を介して本体25に結合されている。これについて、図4を参照して以下に詳細に説明する。
【0040】
上述したように、基板100に近づけたりそれから遠ざけたりする試験ツール10の移動を行うために、ねじとナットの構成を使用することにより、機構内のバックラッシの問題を生じさせる。
【0041】
バックラッシの問題を取除くために、バックラッシ防止機構が設けられる。バックラッシ防止機構は、図2a〜図2c及び図4に示され、好ましくは、空気圧式のピストン27とシリンダ28を有している。ピストン27は、システムの垂直方向に移動可能な構成要素に結合され、かかる構成要素は、主として、結合プレート29、結合ブロック30、移動ブロック24、カートリッジ取付けプレート21(及びカートリッジ11及び試験ツール10)、ナットブロック35、及びナット34を含んでいる。図2a〜図2cにおいて、ピストン27のシャフト部分だけを示しているけれども、図2dに示すように、ピストン27はまた、その下端部にピストンヘッド部分を有している。シリンダ28は、システムの垂直方向に移動しない構成要素に連結されている。これらの構成要素は、シリンダ取付けプレート31(後で説明する)、本体25、及びねじ33を駆動する構成要素を含んでいる。以下に詳細に説明するように、ピストン27は、移動ブロック24又はナット34を支持するナットブロック35に移動可能に結合され、シリンダ28は、垂直方向軸線駆動機構のねじ33に対して適所に固定されている。このように、空気圧駆動式のピストン27は、制御可能な付勢力をナット34に付与してバックラッシをシステムから取除くことができる。また、付勢力をなくすように切換えることができる。
【0042】
図2bは、図2aの構成の側面図であり、結合プレート29及び結合ブロック30を介する移動ブロック24へのピストン27の連結を示し、結合ブロック30は、ボルト80によって移動ブロック24にボルト留めされている。
【0043】
図2cは、図2aの組立体の背面図であり、シリンダ取付けプレート31を介する本体25へのシリンダ28の連結を示している。空気入口32も明確に見られる。
【0044】
図2dは、シリンダ28を本体25にシリンダ取付けプレート31によって取付ける仕方を詳細に示す。端キャップ84がシリンダ28の頂部に固定され、ピストン27のシャフトが、端キャップ84を貫通して上方に延びている。シリンダ取付けプレート31は、端キャップ84の上に挿入され、ナット87によって端キャップ84に固着され、ナット87は、端キャップ84にねじ込まれている。シリンダ取付けプレート31を本体25に1又は2以上のねじ86によって取付け、それにより、シリンダ28を本体25に剛性的に取付ける。注目すべきことは、オプションとしての第2の空気入口ポート90が、端キャップ84に形成されていることである。端キャップ84は、このオプションとしての空気入口ポート90を有してもよいし、有していなくてもよい。以下に詳細に説明するように、図3aは、シリンダ28が1つだけの空気入口ポート32を備える本発明の1つの実施形態を示し、図3dは、シリンダ28が追加の空気入口ポート90を備える1つの実施形態を示す。
【0045】
ピストン及びシリンダは、空気入口連結部28(及びオプションとしての空気入口ポート90)のところで、圧縮空気供給装置に接続されている。空気供給装置は、制御電子機器に接続された適当な弁を用いて制御される。適当なピストンシリンダ組立体及び適当な電子制御弁が英国セント・ネオツPE192ES・クロムウェルロード15所在のボッシュ・レックスローズ(Bosch Rexroth)社から入手できる。別の供給業者は、英国ノーサンプトンNN47PYブラックミルズ・キャスウェルロード所在のヘスト・リミテッド(Festo Ltd.)及び英国ゴスポートPO130BA・ベンチャーインダストリアルパークユニット7/8所在のニューマックス・リミテッド(Pneumax Ltd.)である。
【0046】
図3aは、空気圧式のピストンとシリンダ用の制御システムの概略図である。ピストン27は、シリンダ28内を軸線方向に移動する。空気は、シリンダ28に供給されると共にポート32を通ってシリンダ28から出る。ポート32は、空気圧制御システムに結合され、この空気圧制御システムは、圧縮空気供給装置40、調整器97、給気弁41、及び排気弁42を有している。給気弁41は、圧縮空気供給装置40をポート32に選択的に接続し、それにより、ピストン27をシリンダ28内で上方に駆動し、所望の空気圧を調整器97のところで設定することによって所望の付勢力をナット34に付与する。排気弁42は、シリンダ28内の空気を周囲環境に選択的に通気し、それにより、ピストン27によって供給される任意の付勢力を取除く。シリンダの内部が排気弁42を介して周囲環境と開放的に流体連通しているとき、ピストン27は、シリンダ28内を自由に移動可能である。給気弁41、排気弁42、及び調整器97は、図5を参照して説明した制御電子機器56に接続されている。
【0047】
図4において、ねじ33とナット34の構成が明確に見られる。ナット34は、ナットブロック35を介して移動ブロック24に剛性的に結合され、ねじ33は、結合部試験装置の本体25に設けられた軸受36によって支持され、ねじ33をその軸線回りに回転させることが可能である。ナットブロック35は、ねじ82を用いて移動ブロック24に剛性的に固定され、ねじ82は、本体25のスロット83に沿って移動可能である。スロット83の頂端部を図4に示す。サーボモータ26が本体25に固定され、ねじ33を回転させるようにカップリング37を介してねじ33に結合され、それにより、ナット34をねじ33の長さにわたって上下に移動させる。本体25に固定されたモータ組立体は、モータ26、エンコーダ38及びギヤボックス39を有し、英国バーク社RG415AS・ウォーキンガム・ウィナーシュ・キングストリートレーン・トライデントハウス所在のトライデント・エンジニアリング・リミテッド(Trident Engineering Ltd.)から入手できる。変形例として、ギヤボックスを使用しないダイレクトドライブモータとエンコーダま組立体を用いてもよい。この種の組立体は、英国バーク社RG404QW・フィンカムステッド・ホグウッドレーン・マクソンハウス所在のマクソン・モータース・リミテッド(Maxon Motors Ltd.)から入手できる。適当な制御電子機器を用いたモータ26の正確な制御により、カートリッジ取付けプレート21及び試験ツール10の垂直方向位置の正確な制御を行う。
【0048】
例えば米国特許第6,078,387号明細書(特許文献1)に記載されているように、通常、試験ツール10がはんだの球状堆積物を基板から剪断する剪断試験の間、試験用の結合部は、上向きの力を試験ツールに付与する。試験中に試験ツールの先端部が正確に位置決めされたままにすること及び試験が再現可能であることを確保するために、ピストン27によって上向きの付勢力が移動ブロック24に付与され、上向きの付勢力は、所望のレベルに設定され且つ一貫して維持される。上述したように、プッシュ試験中、同じ上向きの付勢力が用いられる。この上向きの付勢力は、上述したねじ33とナット34との間のバックラッシをなくす。
【0049】
例えば米国特許第6,301,971号明細書(特許文献2)に記載されているような引張り試験では、ワイヤを基板に取付けている結合部からワイヤを引抜く。引張り試験中、引張られるワイヤは、下向きの力を試験ツール10に付与する。この場合、試験ツールの先端部は、ワイヤの下に引掛かるフックである。任意のバックラッシの問題をなくすことを確保するために、ピストン27及びシリンダ28は、下向きの付勢力をナット34に付与するように作動される。しかしながら、ピストン27を用いて下向きの付勢力を付与する代わりに、上述したように試験ツール10と関連したシステムの垂直方向に移動する構成要素の重量が任意のバックラッシをなくすのに十分であってもよい。したがって、引張り試験における本発明の1つのオプションは、シリンダ28への空気圧を給気弁41のところで止め、排気弁42を開いて、ピストン27のピストンヘッドの下の空気圧をなくし、ピストン27がシリンダ28内で自由に移動することを可能にすることである。上述したように、引張り試験中、移動構成要素の重量によって必要なバックラッシ制御を行なうことを可能にするこのオプションは、上向きの付勢力をナット34に常に付与するばねを利用した先行技術の機械では不可能であった。
【0050】
図3bは、変形例のシステムを示し、かかるシステムでは、垂直方向に移動する要素の重量は、バックラッシを制御するには不十分である。この場合、追加の空気入口ポート90がシリンダ28の頂部のところに設けられ、その結果、調整器97のところで所望のレベルに設定された空気圧が、ピストン27のピストンヘッドの頂部側に付与される。ピストン27を用いて下向きの付勢力をナット34に付与すべきとき、排気弁42を開き、排気弁92を閉じ、調節器97を所望の空気圧レベルに設定し、制御弁94により、加圧空気を入口90からチャンバ28内に差し向け、所望の下向きの付勢力をピストン27及びナット34に付与する。ピストン27を用いて上向きの付勢力をナット34に付与すべきとき、排気弁42を閉じ、排気弁92を開き、空気圧を調整器97のところで所望のレベルに設定し、制御弁94により、加圧空気を入口32からチャンバ28内に差向け、所望の上向きの付勢力をピストン27及びナットブロック35に付与する。
【0051】
図5aは、本発明のシステムの制御要素を示す。このシステムは、ユーザインターフェースを含むパーソナルコンピュータ50上で作動するアプリケーションソフトウェア51によって制御される。試験ツール10は、代表的には、力検出構成要素52を含み、力検出構成要素52は、例えば、圧電結晶又は歪ゲージである。図5bは、4つの歪ゲージ110,112,114,116が取付けられた試験ツール10の一例を示す。この試験ツールは剪断試験のために用いられるので、球状堆積物を基板から剪断している間に試験ツールが撓むと、歪ゲージ110〜116は歪んだ状態になる。よく知られている技術を用いると、歪ゲージの物理的歪は、既知の回路によって処理される電気信号を発生させ、球状堆積物を基板から剪断するのに必要とされる力を指示する。上述したように、剪断試験中、本発明のバックラッシ防止法を用いて基板よりも上の試験ツールのスタンドオフ距離を正確に制御することによって、歪ゲージによって生じた電気信号が、球状堆積物基板から剪断するのに必要とされる力をより正確に且つより再現可能に測定する。米国特許第6,301,971号明細書(特許文献2)は、引張り試験装置において、歪ゲージが片持ちアームに取付けられ且つ片持ちアームが試験ツールを支持する別の例を示す。この場合も、本発明のバックラッシ防止法を用いた試験ツールの正確な位置決めにより、得られる力測定値の精度及び再現性を向上させる。国際公開第2006/016136(A2)号パンフレット(特許文献3)は、更に別の例を記載し、この例では、剪断力を測定するための圧電結晶が試験ツールに取付けられている。この場合も、本発明を利用した試験ツールの位置の正確な制御により、試験の精度及び再現性を向上させる。
【0052】
力検出構成要素52として歪ゲージが使用されるか圧電結晶が使用されるかに関わらず、試験手順の間、力検出構成要素52からの電気出力は、図5aに示すデータ収集用電子機器53によって処理され、試験ツールに付与される力を検出する。データ収集用電子機器53は、アプリケーションソフトウェア51と通じている。アプリケーションソフトウェア51はまた、試験ツール10の移動及び位置決めを制御する。図5aにおいて、図4に示すねじ33を駆動するためのZ軸用モータ54だけを示す。しかしながら、移動制御用電子機器56も、ステージテーブル13を移動させるモータを制御する。図3a及び図3bに示す弁41,42,92,94及び調節器97は、図5aに示す空気圧制御回路54を構成している。これらの弁及び調整器は、所望の上向き又は下向きの付勢力をシリンダ28内のバックラッシ防止ピストン27に付与するように作動され、そうでなければ、上述したように付勢力を付与しないように作動される。ピストン27及びシリンダ28は、図5aにおいて、バックラッシ防止構成要素57として参照される。
【0053】
パーソナルコンピュータ50は、ユーザの設定及び制御を可能にするために、図1に示すキーボード、ジョイスティック及びディスプレイに接続されている。
【0054】
図6a及び図6bは、剪断試験、プッシュ試験又は引張り試験を行なう際に上述のシステムが行なう方法ステップを示す。
【0055】
図6aを参照すると、図6aは、図3aの空気圧制御システムを用いて作動されるシステムを記載し、第1の段階(ステップ)600において、ユーザインターフェース、例えば図1に示すキーボードを用いて、試験の種類を選択する。
【0056】
試験が引張り試験である場合、この実施形態においてバックラッシ制御シリンダは不要であり、作動されない。このシステムの垂直方向に移動する構成要素の重量が、上述したようにナットを下方位置に付勢し、それにより、バックラッシをなくす。これをステップ610として示す。この状況において、排気弁42は開いている。
【0057】
しかしながら、プッシュ試験又は剪断試験を実施すべき場合、ステップ620において、試験ツール10を、試験すべき結合部に隣接した所望の試験位置に移動させる。いったん試験ツールを正確に位置決めしたら、ソフトウェア制御のもとで自動化された試験手順を、適当なユーザインターフェース、例えばキーボードを介して開始し、これをステップ630として示す。自動化された試験手順における第1ステップは、調整器97で設定された圧力の加圧空気を、ピストン27のピストンヘッドの下のバックラッシ防止シリンダ28に供給し、ナット34を所望の付勢力で上方位置に付勢するようにピストン27を作動させる。これをステップ640として示す。それにより、システムからバックラッシを取除く。ステップ640を行った後、ステップ650において、試験ツールを試験用の基板の表面から所定のステップオフ距離だけ持上げ、次いでステップ660において、剪断試験を行う。一定の付勢力が試験全体を通して維持される。いったん試験が終了したら、ステップ670において、給気弁41を閉じ、排気弁42を開いて、空気圧をピストン27のピストンヘッドの下から除去する。ステップ680において、システムをリセットする。次いで、ブロック690に示すように、新しい試験を行うことができる。
【0058】
図6bを参照すると、図6bは、図3bの空気圧制御システムを用いて作動されるときのシステムを記載し、その方法ステップのうちの多くは、図6aを参照して上述した方法ステップと同じであるが、幾つかのステップは異なっている。
【0059】
第1ステップ700において、ユーザインターフェース、例えば図1に示すキーボードを用いて、試験種類を選択する。
【0060】
試験が剪断試験又はプッシュ試験である場合、ステップ720において、試験ツール10を、試験すべき結合部に隣接した所望の試験位置に移動させる。いったん試験ツールを正確に位置決めしたら、ソフトウェア制御のもとで自動化された試験手順を、適当なユーザインターフェース、例えばキーボードを介して開始し、これをステップ730として示す。自動化された試験手順における第1ステップは、調整器97で設定された圧力の加圧空気を、ピストン27のピストンヘッドの下のバックラッシ防止シリンダ28に入口32から供給し、ナット34を所望の付勢力で上方位置に付勢するようにピストン27を作動させる。このステップの間、通気弁92は開いている。これらの作動をステップ740において示す。それにより、システムからバックラッシを取除く。ステップ740を行った後、ステップ750において、試験ツールを試験用の基板の表面から所定のステップオフ距離だけ持上げ、次いでステップ760において、剪断試験を行う。一定の付勢力が試験全体を通して維持される。いったん試験が終了したら、ステップ770において、給気弁41を閉じ、排気弁42を開いて、空気圧をピストン27のピストンヘッドの下から除去する。ステップ680において、システムをリセットする。次いで、ブロック690に示すように、新しい試験を行うことができる。
【0061】
ステップ700において引張り試験を選択した場合、ステップ800において、試験ツール10を、試験すべき結合部に隣接した所望の試験位置に移動させる。いったん試験ツールを正確に位置決めしたら、ソフトウェア制御のもとで自動化された試験手順を、適当なユーザインターフェース、例えばキーボードを介して開始し、これをステップ810として示す。自動化された試験手順における第1ステップは、調整器97で設定された圧力の加圧空気を、ピストン27のピストンヘッドの上のバックラッシ防止シリンダ28に入口92から供給し、ナット34を所望の付勢力で下方位置に付勢するようにピストン27を作動させる。通気弁42は、開いている。これらの作動をステップ820において示す。それにより、システムからバックラッシを取除く。ステップ820を行った後、ステップ750において、試験ツールを試験用の基板の表面から所定のステップオフ距離だけ持上げ、次いでステップ840において、引張り試験を行う。ナット34に付与される一定の付勢力が試験全体を通して維持される。いったん試験が終了したら、ステップ850において、給気弁41を閉じ、排気弁92を開いて、空気圧をピストン27のピストンヘッドの上から除去する。ステップ780において、システムをリセットする。次いで、ブロック790に示すように、新しい試験を行うことができる。
【0062】
上記説明において、バックラッシを取除く手段は、空気圧作動式ピストン及びシリンダである。しかしながら、ナットをねじに対して付勢する他の手段も可能であり、かかる他の手段は、例えば、試験ツール取付け部又は本体に係合させたりそれから分離させたりするように機械的に又は手動で移動させられる圧縮ばねであり、その結果、付勢をオンとオフに切換えることができる。
【0063】
〔本発明の好ましい観点を記載した実施形態〕
1.結合部試験装置であって、本体と、試験ツールを保持する試験ツール取付け部と、前記試験ツール取付け部を前記本体に結合させ且つ前記試験ツール取付け部と前記本体の間の軸線方向の相対移動を可能にする軸線方向駆動機構と、前記本体及び前記試験ツール取付け部に結合され、作動の際に前記試験ツール取付け部を前記本体に対して軸線方向に付勢するバックラッシ制御要素を有し、前記バックラッシ制御要素は、第1の状態と第2の状態との間を切換え可能であり、前記第1の状態において、前記試験ツール取付け部が第1の軸線方向に付勢され、前記第2の状態において、前記試験ツール取付け部が第2の軸線方向に付勢され、又は、前記制御要素が前記試験ツール取付け部に前記軸線方向の付勢力を付与しない、結合部試験装置。
【0064】
2.前記バックラッシ制御要素は、空気圧作動式のピストン及びシリンダを含む、実施形態1に記載の結合部試験装置。
3.前記ピストンは、前記試験ツール取付け部に移動可能に結合され、前記シリンダは、前記本体に対して適所に固定される、実施形態2に記載の結合部試験装置。
4.前記軸線方向駆動機構は、ねじとナットの組立体を含み、前記ピストンは、前記ナットに移動可能に結合され、前記シリンダは、前記ねじに対して適所に固定される、実施形態2又は3に記載の結合部試験装置。
5.更に、ユーザインターフェースに接続された制御装置を有し、前記制御装置及び前記ユーザインターフェースは、ユーザが結合部試験の種類を選択することができるように構成され、前記制御装置は、前記バックラッシ制御要素に接続され、選択された結合部試験の種類に応じて前記第1の状態と前記第2の状態との間における前記バックラッシ制御要素の切換えを制御する、実施形態1〜4のいずれか1項に記載の結合部試験装置。
6.前記バックラッシ制御要素は、異なる力レベルに設定可能な付勢力を付与する、実施形態1〜5のいずれか1項に記載の結合部試験装置。
【0065】
7.前記バックラッシ制御要素は、空気圧作動式のピストン及びシリンダを含み、前記シリンダは、異なる付勢力レベルを付与するために異なる空気圧設定の空気が供給される、実施形態6に記載の結合部試験装置。
8.前記バックラッシ制御要素は、前記試験ツール取付け部が前記本体に対して軸線方向に移動するときに一定の力として維持される付勢力を付与する、実施形態1〜7のいずれか1項に記載の結合部試験装置。
9.前記第1の状態の間、上向きの付勢力が前記バックラッシ制御要素によって前記試験ツール取付け部に付与され、前記第2の状態の間、前記バックラッシ制御要素によって前記試験ツール取付け部に付勢力が付与されない、実施形態1〜8のいずれか1項に記載の結合部試験装置。
10.更に、ユーザインターフェースに接続された制御装置を有し、前記制御装置及び前記ユーザインターフェースは、ユーザが結合部試験の種類を選択することができるように構成され、前記制御装置は、前記バックラッシ制御要素に接続され、選択された結合部試験の種類に応じて前記第1の状態と前記第2の状態との間における前記バックラッシ制御要素の切換えを制御し、ユーザが剪断試験を選択したとき、上向きの付勢力を前記バックラッシ制御要素によって前記試験ツール取付け部に付与し、ユーザが引張り試験を選択したとき、付勢力を前記バックラッシ制御要素によって前記試験ツール取付け部に付与しない、実施形態1〜9のいずれか1項に記載の結合部試験装置。
【0066】
11. 結合部試験装置であって、本体と、試験ツールを保持する試験ツール取付け部と、前記試験ツール取付け部を前記本体に結合すると共に前記試験ツール取付け部と前記本体との間の軸線方向の相対移動を可能にする軸線方向駆動機構と、前記本体及び前記試験ツール取付け部に結合されたバックラッシ制御要素と、を有し、前記バックラッシ制御要素は、作動にあたり、前記試験ツール取付け部を前記本体に対して軸線方向に付勢し、前記バックラッシ制御要素は、異なる力レベルに設定可能な付勢力を付与する、結合部試験装置。
【0067】
12.前記バックラッシ制御要素は、空気圧作動式ピストン及びシリンダを含み、前記シリンダに、異なる付勢力レベルを付与するために異なる設定値の空気圧を供給することができる、実施形態11に記載の結合部試験装置。
13.前記バックラッシ制御要素は、前記試験ツール取付け部が第1の軸線方向に付勢される第1の状態と、前記試験ツール取付け部が第2の軸線方向に付勢され又は前記制御要素が前記試験ツール取付け部に前記軸線方向に付勢力を付与しない第2の状態との間で切換え可能である、実施形態11又は12に記載の結合部試験装置。
14.前記バックラッシ制御要素は、前記試験ツール取付け部が前記本体に対して軸線方向に動いているときに一定に維持することができる付勢力を付与する、実施形態11、12又は13に記載の結合部試験装置。
【0068】
15.結合部試験装置であって、本体と、試験ツールを保持する試験ツール取付け部と、前記試験ツール取付け部を前記本体に結合すると共に前記試験ツール取付け部と前記本体との間の軸線方向の相対移動を可能にする軸線方向駆動機構と、前記本体及び前記試験ツール取付け部に結合されたバックラッシ制御要素と、を有し、前記バックラッシ制御要素は、作動にあたり、前記試験ツール取付け部を前記本体に対して軸線方向に付勢し、前記付勢力は、異なる力レベルに設定可能であり、更に、ユーザインターフェースに接続された制御装置を有し、前記制御装置及び前記ユーザインターフェースは、ユーザが引張りの結合部試験を選択することができるように構成され、選択された引張りの結合部試験の間、前記軸線方向駆動機構は、上向きの軸線方向力を前記試験ツール取付け部に付与し、前記バックラッシ制御要素も、前記選択された上向きの軸線方向力を前記試験ツール取付け部に付与する、結合部試験装置。
【0069】
16.前記バックラッシ制御要素は、前記試験ツール取付け部が前記本体に対して軸線方向に動いているときに一定の力として維持することができる付勢力を付与する、実施形態15に記載の結合部試験装置。
17.前記バックラッシ制御要素は、試験ツール取付け部がバックラッシ制御要素によって第1の軸線方向に付勢される第1の状態と、試験ツール取付け部がバックラッシ制御要素により第2の軸線方向に付勢されるか、バックラッシ制御要素が試験ツール取付け部に付勢力を付与しないかのいずれかの第2の状態との間で切換え可能であり、前記制御装置は、前記バックラッシ制御要素に接続され、選択された結合部試験の種類に応じて前記第1の状態と前記第2の状態との間における前記バックラッシ制御要素の切換えを制御する、実施形態15又は16に記載の結合部試験装置。
【0070】
18.結合部試験装置を用いて剪断試験又は引張り試験のいずれかによって基板上の結合部の結合強度を試験する方法であって、前記結合部試験装置は、カップリングによって本体に結合された試験ツールを有し、剪断試験か引張り試験かのいずれかを選択するステップを有し、剪断試験を選択した場合、バックラッシを前記カップリングからなくす第1の方向の付勢力を前記試験ツールに付与するステップと、前記試験ツールを前記結合部に対して位置決めするステップと、前記試験ツールと前記基板との間に相対移動を付与して前記結合部を前記基板から剪断するステップと、前記結合部によって前記試験ツールに付与された力を記録するステップと、を有する方法。
19.更に、引張り試験を選択した場合、バックラッシを前記カップリングからなくす第2の方向の付勢力を前記試験ツールに付与するステップを有する、実施形態18に記載の方法。
20.付勢力を付与する前記ステップは、前記試験ツールと前記本体との間に結合された空気圧式のシリンダ及びピストンを作動させるステップを含む、実施形態18又は19に記載の方法。
21.前記第1の方向は、上方向であり、前記第2の方向は、下方向である、実施形態18〜20のいずれか1項に記載の方法。
22.更に、付勢力を前記試験ツールに付与する前に且つ最初に、前記試験ツールを前記結合部に対して位置決めし、付勢力を試験ツールに付与することに引き続いて前記試験ツールを前記結合部に対して更に正確に位置決めするステップを有する、実施形態18〜21のいずれか1項に記載の方法。
【符号の説明】
【0071】
10 試験ツール
12 結合部試験装置
16 キーボード
21 カートリッジ取付けプレート(試験ツール取付け部)
25 本体
26 サーボモータ
27 ピストン
28 シリンダ
33 ねじ
34 ナット
50 パーソナルコンピュータ
100 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合部試験装置であって、
本体と、
試験ツールを保持する試験ツール取付け部と、
前記試験ツール取付け部を前記本体に結合させ且つ前記試験ツール取付け部と前記本体の間の軸線方向の相対移動を可能にする軸線方向駆動機構と、
前記本体及び前記試験ツール取付け部に結合され、作動の際に前記試験ツール取付け部を前記本体に対して軸線方向に付勢するバックラッシ制御要素を有し、
前記バックラッシ制御要素は、第1の状態と第2の状態との間を切換え可能であり、前記第1の状態において、前記試験ツール取付け部が第1の軸線方向に付勢され、前記第2の状態において、前記試験ツール取付け部が第2の軸線方向に付勢され、又は、前記制御要素が前記試験ツール取付け部に前記軸線方向の付勢力を付与しない、結合部試験装置。
【請求項2】
前記バックラッシ制御要素は、空気圧作動式のピストン及びシリンダを含む、請求項1に記載の結合部試験装置。
【請求項3】
前記ピストンは、前記試験ツール取付け部に移動可能に結合され、
前記シリンダは、前記本体に対して適所に固定される、請求項2に記載の結合部試験装置。
【請求項4】
前記軸線方向駆動機構は、ねじとナットの組立体を含み、前記ピストンは、前記ナットに移動可能に結合され、前記シリンダは、前記ねじに対して適所に固定される、請求項2又は3に記載の結合部試験装置。
【請求項5】
更に、ユーザインターフェースに接続された制御装置を有し、前記制御装置及び前記ユーザインターフェースは、ユーザが結合部試験の種類を選択することができるように構成され、前記制御装置は、前記バックラッシ制御要素に接続され、選択された結合部試験の種類に応じて前記第1の状態と前記第2の状態との間における前記バックラッシ制御要素の切換えを制御する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の結合部試験装置。
【請求項6】
前記バックラッシ制御要素は、異なる力レベルに設定可能な付勢力を付与する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の結合部試験装置。
【請求項7】
前記バックラッシ制御要素は、空気圧作動式のピストン及びシリンダを含み、前記シリンダは、異なる付勢力レベルを付与するために異なる空気圧設定の空気が供給される、請求項6に記載の結合部試験装置。
【請求項8】
前記バックラッシ制御要素は、前記試験ツール取付け部が前記本体に対して軸線方向に移動するときに一定の力として維持される付勢力を付与する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の結合部試験装置。
【請求項9】
前記第1の状態の間、上向きの付勢力が前記バックラッシ制御要素によって前記試験ツール取付け部に付与され、前記第2の状態の間、前記バックラッシ制御要素によって前記試験ツール取付け部に付勢力が付与されない、請求項1〜8のいずれか1項に記載の結合部試験装置。
【請求項10】
更に、ユーザインターフェースに接続された制御装置を有し、前記制御装置及び前記ユーザインターフェースは、ユーザが結合部試験の種類を選択することができるように構成され、前記制御装置は、前記バックラッシ制御要素に接続され、選択された結合部試験の種類に応じて前記第1の状態と前記第2の状態との間における前記バックラッシ制御要素の切換えを制御し、
ユーザが剪断試験を選択したとき、上向きの付勢力を前記バックラッシ制御要素によって前記試験ツール取付け部に付与し、ユーザが引張り試験を選択したとき、付勢力を前記バックラッシ制御要素によって前記試験ツール取付け部に付与しない、請求項1〜9のいずれか1項に記載の結合部試験装置。
【請求項11】
結合部試験装置を用いて剪断試験又は引張り試験のいずれかによって基板上の結合部の結合強度を試験する方法であって、前記結合部試験装置は、カップリングによって本体に結合された試験ツールを有し、
剪断試験か引張り試験かのいずれかを選択するステップを有し、
剪断試験を選択した場合、
バックラッシを前記カップリングからなくす第1の方向の付勢力を前記試験ツールに付与するステップと、
前記試験ツールを前記結合部に対して位置決めするステップと、
前記試験ツールと前記基板との間に相対移動を付与して前記結合部を前記基板から剪断するステップと、
前記結合部によって前記試験ツールに付与された力を記録するステップと、を有する方法。
【請求項12】
更に、引張り試験を選択した場合、バックラッシを前記カップリングからなくす第2の方向の付勢力を前記試験ツールに付与するステップを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
付勢力を付与する前記ステップは、前記試験ツールと前記本体との間に結合された空気圧式のシリンダ及びピストンを作動させるステップを含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の方向は、上方向であり、前記第2の方向は、下方向である、請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
更に、付勢力を前記試験ツールに付与する前に且つ最初に、前記試験ツールを前記結合部に対して位置決めし、付勢力を試験ツールに付与することに引き続いて前記試験ツールを前記結合部に対して更に正確に位置決めするステップを有する、請求項11〜14のいずれか1項に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【公開番号】特開2011−185934(P2011−185934A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47820(P2011−47820)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】