説明

切断型LHRH製剤

本発明は、動物において抗LHRH応答を引き起こすために有用なペプチドを提供する。前記ペプチドは、少なくとも1つのヘルパーT細胞エピトープを含む60アミノ酸未満の配列からなる第1領域と、SYGLRPG (配列番号2)配列からなる第2領域とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルパーTエピトープと共に切断型LHRHを含むペプチドに関する。これらの製剤は、LHRHに対する動物における抗体の誘導において使用される。
【背景技術】
【0002】
任意のペプチドが効果的な抗体応答を誘導することが可能であるためには、免疫システムに認識されるエピトープとして知られている特定のアミノ酸配列を含有することが必要である。特に、抗体応答のためには、Bリンパ球の表面に存在する特定の免疫グロブリン(Ig)レセプターによってエピトープが認識される必要がある。これらの細胞が最終的にプラズマ細胞に分化して、前記エピトープに特異的な抗体を生産することができる。これらB細胞エピトープに加え、抗原は、抗原提示細胞(APC)によってヘルパーTリンパ球に存在する特異的なレセプターに提示されるエピトープも含有する必要があり、抗原提示細胞は、B細胞が抗原生産細胞に分化するために必要とされるシグナルの提供に必須である。
【0003】
ウイルス感染の場合及び癌の多数の場合において、抗体は回復に限定的な利益をもたらし、免疫システムはウイルス感染細胞または癌細胞を殺すことができる細胞障害性T細胞(CTL)で応答する。ヘルパーT細胞と同様に、CTLは、表面に提示された特異的なペプチドエピトープを有するAPCとの相互作用(MHCクラスIIよりもMHCクラスIとの結合)によって最初に活性化される。ひとたび活性化されると、CTLは同一のペプチド/クラスI複合体を有する標的細胞に結合して溶解を引き起こすことができる。ヘルパーT細胞がこのプロセスに関与することも明らかになっており、APCが最初にヘルパーT細胞からシグナルを受け取って、必要な共刺激分子の発現をアップレギュレートすることが必要であり、その後にAPCがCTLを活性化することができる。
【0004】
ヘルパーT細胞エピトープは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)のクラスII遺伝子がコードするAPCの表面に存在する分子によって結合される。クラスII分子とペプチドエピトープの複合体が、次いで、ヘルパーTリンパ球の表面の特異的なT細胞レセプター(TCR)によって認識される。この様にMHC分子の存在下で抗原性エピトープが提示されたT細胞は活性化されて、Bリンパ球の分化に必要なシグナルを提供する。伝統的に、ペプチド抗原のためのヘルパーT細胞エピトープのソースは、ペプチドが共有結合している担体タンパク質であるが、この結合方法が、結合させる間の抗原決定基の修飾及びペプチドに対する抗体よりも過剰な担体に対する抗体の誘導のような他の問題をもたらし得る(Schutze, M. P., Leclerc, C. Jolivet, M. Audibert, F. Chedid, L. Carrier-induced epitopic suppression, a major issue for future synthetic vaccines. J Immunol. 1985,135, 2319-2322; Dijohn, D., Torresi, J. R. Murillo, J. Herrington, D. A. et al. Effect of priming with carrier on response to conjugate vaccine. The Lancet. 1989,2, 1415-1416)。さらに、調製に無関連のタンパク質の使用は品質管理の問題をもたらす。適当な担体タンパク質の選択がペプチドワクチンの設計には非常に重要であり、それらの選択は毒性及び大量調製の実現可能性といった因子によって制限される。結合可能なペプチドサイズ及び安全に投与することが可能な担体の量を含む、この方法に対する他の制限が存在する(Audibert, F. a. C., L. 1984. Modern approaches to vaccines. Molecular and chemical basis of virus virulence and immunogenicity., Cold Spring Harbor Laboratory, New York)。担体分子は強力な免疫応答を誘導するが、抗ペプチド抗体応答の抑制のような望ましくない効果とも関連する(Herzenberg, L. A. and Tokuhisa, T. 1980. Carrier-priming leads to hapten-specific suppression. Nature 285: 664; Schutze, M. P., Leclerc, C, JOLIVET, M., Audibert, F., and Chedid, L. 1985. Carrier- induced epitopic suppression, a major issue for future synthetic vaccines. J Immunol 135: 2319; Etlinger, H. M., Felix, A. M., Gillessen, D., Heimer, E. P., JUST, M., Pink, J. R., Sinigaglia, F., Sturchler, D., Takacs, B., Trzeciak, A., 1988. Assessment in humans of a synthetic peptide-based vaccine against the sporozoite stage of the human malaria parasite, Plasmodium falciparum. J Immunol 140: 626)。
【0005】
次いで、一般的に抗原は、表面Igまたは細胞障害性T細胞に存在するレセプターによって認識されるエピトープに加え、ヘルパーT細胞に認識され得るエピトープを含有する必要がある。これらのタイプのエピトープは非常に異なる可能性があることが認められるべきである。B細胞レセプターが天然の抗原に直接結合するように、B細胞エピトープに関してはコンフォメーションが重要である。対照的に、T細胞が認識するエピトープは、エピトープのコンフォメーションの完全性に依存せず、CTLに関しては約9アミノ酸の短い配列、及びヘルパーT細胞に関しては長さの制限が少なく僅かに長い配列からなる。これらのエピトープに必要とされることは、クラスIまたはクラスII分子の各々の結合溝に収容され得ること、及び次いでその複合体がT細胞レセプターに結合できることである。クラスII分子の結合部位は両端が開いており、非常に広範な種類の長さのペプチドを結合させ(Brown, J. H., T. S. Jardetzky, J. C. Gorga, L. J. Stern, R. G. Urban, J. L. Strominger and D. C. Wiley. 1993. Three- dimensional structure of the human class II histocompatibility antigen HLA-DRl. Nature 364: 33)、8アミノ酸残基まで短いエピトープが報告されている(Fahrer, A. M., Geysen, H. M., White, D. O., Jackson, D. C. and Brown, L. E. Analysis of the requirements for class II-restricted T-cell recognition of a single determinant reveals considerable diversity in the T-cell response and degeneracy of peptide binding to I-ED J. Immunol. 1995.155: 2849-2857)。
【0006】
LHRH(黄体化ホルモン放出ホルモン)は、その配列が哺乳動物において保存されている、10アミノ酸の長いペプチドホルモンである。その配列は以下のようである。
【0007】
【化1】

【0008】
LHRHは視床下部によって分泌され、雄性及び雌性の双方の生殖生理を調節する。LHRHに基づく免疫避妊ワクチンの開発の根源は、LHRHに対する抗体が、LHRHによる下垂体の黄体化ホルモン及び卵胞刺激ホルモンの分泌に対する作用を阻害し、哺乳動物において生殖腺萎縮及び生殖不能を引き起こすという観察に基づく。
【0009】
開発された大多数のLHRHワクチンは、タンパク質担体に化学的に結合させたLHRHからなり、T細胞の抗LHRH抗体生産を助ける。LHRHタンパク質担体複合体の反復接種によって、抗LHRHの力価が「担体誘導エピトープ抑制(carrier induced epitope suppression)」として知られる現象によって低減する。
【0010】
例えば、WO 88/05308は、血清アルブミン及びオボアルブミンのような大きなタンパク質担体に結合させたLHRH及びそのフラグメントを開示している。
【特許文献1】WO 88/05308
【非特許文献1】Schutze, M. P., Leclerc, C. Jolivet, M. Audibert, F. Chedid, L. Carrier-induced epitopic suppression, a major issue for future synthetic vaccines. J Immunol. 1985,135, 2319-2322
【非特許文献2】Dijohn, D., Torresi, J. R. Murillo, J. Herrington, D. A. et al. Effect of priming with carrier on response to conjugate vaccine. The Lancet. 1989,2, 1415-1416
【非特許文献3】Audibert, F. a. C, L. 1984. Modern approaches to vaccines. Molecular and chemical basis of virus virulence and immunogenicity., Cold Spring Harbor Laboratory, New York
【非特許文献4】Herzenberg, L. A. and Tokuhisa, T. 1980. Carrier-priming leads to hapten-specific suppression. Nature 285: 664
【非特許文献5】Schutze, M. P., Leclerc, C, JOLIVET, M., Audibert, F., and Chedid, L. 1985. Carrier- induced epitopic suppression, a major issue for future synthetic vaccines. J Immunol 135: 2319
【非特許文献6】Etlinger, H. Mv Felix, A. M., Gillessen, D., Heimer, E. P., JUST, M., Pink, J. R., Sinigaglia, F., Sturchler, D., Takacs, B., Trzeciak, A., 1988. Assessment in humans of a synthetic peptide-based vaccine against the sporozoite stage of the human malaria parasite, Plasmodium falciparum. J Immunol 140: 626
【非特許文献7】Brown, J. H., T. S. Jardetzky, J. C. Gorga, L. J. Stern, R. G. Urban, J. L. Strominger and D. C. Wiley. 1993. Three- dimensional structure of the human class II histocompatibility antigen HLA-DRl. Nature 364: 33
【非特許文献8】Fahrer, A. M., Geysen, H. M., White, D. O., Jackson, D. C. and Brown, L. E. Analysis of the requirements for class II-restricted T-cell recognition of a single determinant reveals considerable diversity in the T-cell response and degeneracy of peptide binding to I-ED J. Immunol. 1995.155: 2849-2857
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者は、ヘルパーT細胞エピトープ(単数または複数)を含む比較的小さなペプチドに結合させた特定の切断型LHRH、すなわちLHRH 4-10 (SYGLRPG) (配列番号2)が、抗LHRH応答の誘導に特に有用であることを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様によれば、本発明は、少なくとも1つのヘルパーT細胞エピトープを含む60アミノ酸未満の配列からなる第1領域と、SYGLRPG (配列番号2)配列からなる第2領域とを含むペプチドを提供する。
【0013】
第2の態様では、本発明は、少なくとも1つのヘルパーT細胞エピトープを含む60アミノ酸未満の配列からなる第1領域と、SYGLRPG (配列番号2)配列からなる第2領域とを含むペプチド及び許容される担体を含む組成物を提供する。
【0014】
第3の態様では、本発明は、少なくとも1つのヘルパーT細胞エピトープを含む60アミノ酸未満の配列からなる第1領域と、SYGLRPG (配列番号2)配列からなる第2領域と、脂質部分を含む第3領域とを含み、第2領域と第3領域が第1領域に共有結合しているリポペプチドを提供する。
【0015】
第4の態様では、本発明は、本発明の第1の態様のペプチド、本発明の第2の態様の組成物、または本発明の第3の態様のリポペプチドを動物に投与する工程を含む、動物において抗LHRH応答を誘導する方法を提供する。
【0016】
第5の態様では、本発明は、動物において抗LHRH応答を誘導する医薬の製造における、本発明の第1の態様のペプチドまたは本発明の第3の態様のリポペプチドの使用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明者は、ヘルパーT細胞エピトープ(単数または複数)を含む比較的小さなペプチドに結合させた特定の切断型LHRH、すなわちLHRH 4-10が抗LHRH応答の生産において特に有用であることを発見した。
【0018】
第1の態様によれば、本発明は、少なくともひとつのヘルパーT細胞エピトープを含む60アミノ酸未満の配列からなる第1領域と、SYGLRPG (配列番号2)配列からなる第2領域とを含むペプチドを提供する。
【0019】
第2の態様では、本発明は、少なくともひとつのヘルパーT細胞エピトープを含む60アミノ酸未満の配列からなる第1領域と、SYGLRPG (配列番号2)配列からなる第2領域とを含むペプチド及び許容される担体を含む組成物を提供する。
【0020】
第3の態様では、本発明は、少なくとも1つのヘルパーT細胞エピトープを含む60アミノ酸未満の配列からなる第1領域と、SYGLRPG (配列番号2)配列からなる第2領域と、脂質部分を含む第3領域とを含み、第2領域と第3領域が第1領域に共有結合しているリポペプチドを提供する。
【0021】
第4の態様では、本発明は、本発明の第1の態様のペプチド、本発明の第2の態様の組成物、または本発明の第3の態様のリポペプチドを動物に投与する工程を含む、動物において抗LHRH応答を誘導する方法を提供する。
【0022】
第5の態様では、本発明は、動物において抗LHRH応答を誘導する医薬の製造における、本発明の第1の態様のペプチドまたは本発明の第3の態様のリポペプチドの使用を提供する。
【0023】
好ましい実施態様では、第1領域のC末端は40未満のアミノ酸、好ましくは20未満のアミノ酸からなる。
【0024】
さらに好ましい実施態様では、第1領域は1つ、2つ、または3つのヘルパーT細胞エピトープ、好ましくは1つのT細胞エピトープを含む。
【0025】
他の好ましい実施態様では、第1領域のC末端残基は、第2領域のN末端残基と結合している。
【0026】
更なる好ましい実施態様では、ヘルパーT細胞エピトープの各々は、SSKTQTHTQQDRPPQPS (配列番号3); QPSTELEETRTSRARHS (配列番号4); RHSTTSAQRSTHYDPRT (配列番号5); PRTSDRPVSYTMNRTRS (配列番号6); TRSRKQTSHRLKNIPVH (配列番号7); SHQYLVIKLIPNASLIE (配列番号8); IGTDNVHYKIMTRPSHQ (配列番号9); YKIMTRPSHQYLVIKLI (配列番号10); KLIPNASLIENCTKAEL (配列番号11); AELGEYEKLLNSVLEPI (配列番号12); KLLNSVLEPINQALTLM (配列番号13); EPINQALTLMTKNVKPL (配列番号14); FAGWLAGVALGVATAA (配列番号15); GVALGVATAAQITAGIA (配列番号16); TAAQITAGIALHQSNLN (配列番号17); GIALHQSNLNAQAIQSL (配列番号18); NLNAQAIQSLRTSLEQS (配列番号19); QSLRTSLEQSNKAIEEI (配列番号20); EQSNKAIEEIREATQET (配列番号21); TELLSIFGPSLRDPISA (配列番号22); PRYIATNGYLISNFDES (配列番号23); CIRGDTSSCARTLVSGT (配列番号24); DESSCVFVSESAICSQN (配列番号25); TSTIINQSPDKLLTFIA (配列番号26), SPDKLLTFIASDTCPLV (配列番号27), SGRRQRRFAGWLAGVA (配列番号28)及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0027】
さらに好ましい実施態様では、前記ペプチドは、QPSTELEETRTSRARHSSYGLRPG (配列番号29), TRSRKQTSHRLKNIPVHSYGLRPG (配列番号30), SHQYLVIKLIPNASLIESYGLRPG (配列番号31), KLIPNASLIENCTKAELSYGLRPG (配列番号32), AELGEYEKLLNSVLEPISYGLRPG (配列番号33), TAAQITAGIALHQSNLNSYGLRPG (配列番号34) 、及び PRYIATNGYLISNFDESSYGLRPG (配列番号35)からなる群より選択される配列を有する。
【0028】
本発明で使用され得るヘルパーT細胞エピトープに関する更なる情報は、その開示が相互参照によって本願明細書に組み込まれるWO 00/46390において提供されている。
【0029】
上述のように、本発明の第2の態様の組成物は許容される担体を含む。担体はアジュバントであることが好ましい。
【0030】
許容される担体または希釈剤は、口、直腸、鼻、局所(頬及び舌下を含む)、膣、非経口(皮下、筋肉内、静脈、皮内、鞘内、及び硬膜外)への投与に適切な組成物において使用されるものを含む。それらは、使用される量及び濃度では受容者に非毒性である。
【0031】
製薬学的に許容される担体または希釈剤の代表例としては、水、生理学的なpHに好適に緩衝化され、マンニトール、ラクトース、トレハロース、デキストロース、グリセロール、エタノール、またはポリペプチド(例えばヒト血清アルブミン)の1つ以上を含有しても良い等張溶液(例えばリン酸緩衝生理食塩水またはTris緩衝生理食塩水)が含まれるが、それらに限らない。前記組成物は簡便に単位投与形態で提供されて良く、製薬業界でよく知られている任意の方法で調製されて良い。
【0032】
上述のように、前記組成物はアジュバントを含むことが好ましい。「アジュバント」はワクチン組成物の免疫原性及び効力を高める1つ以上の物質を含む組成物を意味することが理解されるであろう。適切なアジュバントの制限しない例は、スクアラン及びスクアレン(または他の動物起源の油);ブロックコポリマー;Tween(登録商標)-80のような界面活性剤;QUIL(登録商標)A、DrakeolまたはMarcolのような天然油、ピーナッツオイルのような植物油;Corynebacterium parvumのようなCorynebacterium由来のアジュバント;Propionibacterium acneのようなPropionibacterium由来のアジュバント;Mycobacterium bovis (Bacille Calmette及びGuerinまたはBCG);インターロイキン2及びインターロイキン12のようなインターロイキン;インターロイキン1のようなモノカイン;腫瘍壊死因子;ガンマインターフェロンのようなインターフェロン;サポニン-水酸化アルミニウムまたはQuil-A水酸化アルミニウムのような組み合わせ;リポソーム;ISCOM(登録商標)アジュバント;ミコバクテリア細胞壁抽出物;MURAMYLジペプチドまたは他の誘導体のような合成グリコペプチド;Avridine;Lipid A誘導体;硫酸デキストラン;DEAE-DEXTRANまたはリン酸アルミニウムとDEAE-DEXTRAN;Carbopol'EMAのようなカルボキシポリメチレン;Neocryl A640(例えば、U.S. Pat. No. 5,047,238)のようなアクリルコポリマーエマルション;ワクシニアまたは動物のポックスウイルスタンパク質;コレラ毒素のようなサブウイルス粒子アジュバント、またはそれらの混合物を含む。
【0033】
本発明のペプチドは多数の方法で提供されて良いが、当該技術分野でよく知られている方法を使用して合成によって生産されることが好ましい。例えば、Blackwell Scientific Publicationsによって発行され、Nicholsonによって編集された「Synthetic Vaccines」と題されている文献に含まれるAtherton及びSheppardによる「Peptide Synthesis」と題されている第9章に記載されているように溶液合成または固相合成を使用して、ペプチドを合成して良い。好ましくは、少量のジビニルベンゼン(例えば1%)で架橋してよく、ジクロロメタンのような親油性溶媒またはジメチルホルムアミド(DMF)のようなより極性の溶媒によってさらに膨潤させるポリスチレンゲルビーズであって良い固相支持体が使用される。前記ポリスチレンは、クロロメチルまたはアミノメチル基で官能化されて良い。
【0034】
代替的には、DMF及び他の両性非プロトン性溶媒によって高度に溶媒和及び膨潤して良い架橋及び官能化されているポリジメチル-アクリルアミドゲルが使用される。通常グラフト化またはそうでない場合には不活性ポリスチレンビーズの表面に結合したポリエチレングリコールに基づく他の支持体が使用されて良い。好ましい態様では、PAL-PEG-PS、PAC-PEG-PS、KA、KR、またはTGRより選択される市販の固相支持体または樹脂を使用して良い。
【0035】
固体状態合成では、αアミノ、カルボキシ、または側鎖の官能基における望ましくない反応性をマスクすること、並びにアミノ酸及びペプチドの両性の性質を無効にして、それらを不活性化することという2つの機能を有する可逆的な保護基を使用する。その様な官能基はRCO-OCMe3構造のt-ブチルエステルから選択して良い。対応するRCO-OCH2-C6H5構造を有するベンジルエステル、及びベンジルオキシカルボニルまたはZ-誘導体として知られているC6H5CH2OCO-NHR構造を有するウレタン、並びにt-ブトキシルカルボニルまたはBoc誘導体としても知られている任意のMe3-COCO-NHRを使用しても良い。フルオレニルメタノール誘導体及び特にフルオレニル-メトキシカルボニルまたはFmoc基を使用しても良い。これらのタイプの保護基の各々は、他のものが存在するなかで独立して切断することが可能であり、例えば、BOC-ベンジル及びFmoc-第三級ブチル保護ノストラテジーが頻用されている。
【0036】
保護されたアミノ酸またはペプチドのアミノ基とカルボキシ基とを結合する縮合剤も参照するべきである。これは、遊離の第一級または第二級アミンと自発的に反応するようにカルボキシ基を活性化することによって為されて良い。p-ニトロフェノール及びペンタフルオロフェノールに由来するもののような活性化エステルが、この目的のために使用されて良い。それらの反応性は、1-ヒドロキシベンゾトリアゾールのような触媒の添加によって増大されて良い。トリアジンDHBTのエステル(上述のNicholsonの参照文献の215-216頁に議論されている)も使用されて良い。他のアシル化種が、縮合剤を使用するカルボン酸(すなわち、α保護アミノ酸またはペプチド)の処理によってin situで形成され、アミノ成分(カルボキシまたはC-保護アミノ酸またはペプチド)と即時に反応する。ジシクロヘキシルカルボジイミド、BOP試薬(Nicholsonの参照文献の216頁参照)、O'ベンゾトリアゾール-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)及びそのテトラフルオロボラートアナログが頻用されている縮合剤である。
【0037】
固相支持体に対する最初のアミノ酸の結合は、任意の適切な方法でBOCアミノ酸を使用して実施して良い。1つの方法では、樹脂とトリエチルアンモニウム塩を暖めることによって、BOCアミノ酸をクロロメチル樹脂に結合させる。同様に、Fmocアミノ酸をp-アルコキシベンジルアルコール樹脂に結合させて良い。代替的に、最初のアミノ酸を樹脂に結合させる各種のリンケージ剤または「ハンドル(handle)」が使用されて良い。この関連で、アミノメチルポリスチレンに結合させたp-ヒドロキシメチルフェニル酢酸をこの目的に使用して良い。
【0038】
第3の態様で上述したように、本発明はリポペプチドを提供する。前記リポペプチドは好ましくは「分枝」構造であり、リポペプチドに関する更なる詳細は、相互参照によって本願明細書に組み込まれるWO 04/014956及びSO 04/014657において見られる。代替的に、脂質部分がペプチドのN末端に単純に結合して良い。
【0039】
従って、第3の態様では、本発明は少なくとも1つのヘルパーT細胞エピトープを含む60アミノ酸未満の配列からなる第1領域と、SYGLRPG (配列番号2)配列からなる第2領域と、脂質部分を含む第3領域とを含み、第2領域と第3領域が第1領域に共有結合しているリポペプチドを提供する。
【0040】
好ましい実施態様では、第1領域は40未満のアミノ酸、好ましくは20未満のアミノ酸からなる。前記第1領域は、1つ、2つ、または3つのヘルパーT細胞エピトープ、好ましくは1つのヘルパーT細胞エピトープを含むことが更に好ましい。
【0041】
更に好ましい実施態様では、前記脂質部分は第1領域のC末端に結合する。加えて、第1領域のC末端残基が第2領域のN末端残基に結合することが好ましい。
【0042】
他の好ましい実施態様では、第1領域のC末端基がリジンまたはそのアナログであり、脂質部分がε-アミノ基と結合し、第2領域がカルボキシル基に結合する。代替的に、リジンまたはそのアナログは、そのε-アミノ基を介して第1の領域の残部に結合し、脂質部分がα-アミノ基に結合し、第2領域がカルボキシル基に結合する。
【0043】
リジンアナログの例は、オルニチン、ジアミノプロピオン酸、及びジアミノ酪酸を含む。
【0044】
更なる他の好ましい実施態様では、ヘルパーT細胞エピトープは、SSKTQTHTQQDRPPQPS (配列番号3); QPSTELEETRTSRARHS (配列番号4); RHSTTSAQRSTHYDPRT (配列番号5); PRTSDRPVSYTMNRTRS (配列番号6); TRSRKQTSHRLKNIPVH (配列番号7); SHQYLVIKLIPNASLIE (配列番号8); IGTDNVHYKIMTRPSHQ (配列番号9); YKIMTRPSHQYLVIKLI (配列番号10); KLIPNASLIENCTKAEL (配列番号11); AELGEYEKLLNSVLEPI (配列番号12); KLLNSVLEPINQALTLM (配列番号13); EPINQALTLMTKNVKPL (配列番号14); FAGWLAGVALGVATAA (配列番号15); GVALGVATAAQITAGIA (配列番号16); TAAQITAGIALHQSNLN (配列番号17); GIALHQSNLNAQAIQSL (配列番号18); NLNAQAIQSLRTSLEQS (配列番号19); QSLRTSLEQSNKAIEEI (配列番号20); EQSNKAIEEIREATQET (配列番号21); TELLSIFGPSLRDPISA (配列番号22); PRYIATNGYLISNFDES (配列番号23); CIRGDTSSCARTLVSGT (配列番号24); DESSCVFVSESAICSQN (配列番号25); TSTIINQSPDKLLTFIA (配列番号26), SPDKLLTFIASDTCPLV (配列番号27), SGRRQRRFAGWLAGVA (配列番号28)、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0045】
リポペプチドの第1領域の配列が、QPSTELEETRTSRARHSK (配列番号36), TRSRKQTSHRLKNIPVHK (配列番号37), SHQYLVIKLIPNASLIEK (配列番号38), KLIPNASLIENCTKAELK (配列番号39), AELGEYEKLLNSVLEPIK (配列番号40), TAAQITAGIALHQSNLNK (配列番号41) 、及びPRYIATNGYLISNFDESK (配列番号42)からなる群より選択されることも好ましい。
【0046】
脂質部分がリポアミノ酸部分であり、Pam2Cys、Pam3Cys、Ste2Cys、Lau2Cys、Oct2Cys、Pam2Asp、Pam3Asp、Ste2Asp、Lau2Asp、及びOct2Aspからなる群より好適に選択されることが好ましく、Pam2CysまたはPam3Cysであることが最も好ましい。
【0047】
当業者に既知であるように、Pam3CysはN-パルミトイル-S-[2,3-ビス(パルミトイルオキシ)プロピル]システインとしても知られており、Pam2Cysはジパルミトイル-S-グリセリル-システインまたはS-[2,3-ビス(パルミトイルオキシ)プロピル]システインとしても知られており、Ste2CysはS-[2,3-ビス(ステアロイルオキシ)プロピル]システインまたはジステアロイル-S-グリセリル-システインとしても知られており、Lau2CysはS-[2,3-ビス(ラウロイルオキシ)プロピル]システインまたはジラウロイル-S-グリセリル-システイン)としても知られており、Oct2CysはS-[2,3-ビス(オクタノイルオキシ)プロピル]システインまたはジオクタノイル-S-グリセリル-システイン)としても知られている。
【0048】
好ましい実施態様では、前記脂質部分はスペーサーを介して第1領域に結合する。好ましくは、前記スペーサーはアルギニンまたはセリンの二量体、三量体、または四量体などを含む。代替的に、6-アミノカプロン酸スペーサーが使用されて良い。
【0049】
本願明細書の全体に亘って、用語「含む(comprise)」は、所定の要素、数、若しくは工程、または要素、数、若しくは工程の群の包含を意味すると解されるが、任意の他の要素、数、若しくは工程、または要素、数、若しくは工程の群の除外を意味しない。
【0050】
本願明細書で挙げられている全ての文献は、参照によって本願明細書に組み込まれる。本願明細書に含まれる文書の任意の議論、行為、物質、装置、または論文などは、単に本発明の背景を提供する目的のものである。これらの事項の幾つかまたは全てが、本願の優先日前に豪国または他の場所に存在したものとして、従来技術の基礎を部分的に形成するか、または本発明に関連する技術分野において通常の一般的な知識であったと認められるべきではない。
【0051】
広範に記載している本発明の精神または範囲を逸脱すること無く、特定の実施態様で示される本発明に多数の変化及び/または修飾がなされて良いことが当業者に理解されるであろう。そのため、本実施態様はあらゆる点で例示的なものであり、制限するものではないと解されるべきである。
【0052】
本発明の本質がより明確に理解される可能性があるため、本発明の好ましい態様を以下の実施例に関して以下に記載する。
【実施例】
【0053】
ペプチド
LHRHの各種のフラグメントとヘルパーT細胞エピトープとを含むペプチドを標準的な技術を使用して合成した。
【0054】
各ペプチドは、WO 00/46390に開示されているヘルパーT細胞エピトープの1つを含んだ。これらのヘルパーT細胞エピトープの配列を以下に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
(実施例1)
初回投与として、LHRH(2-10)に結合させたペプチドP25、P35、及びP62のプールからなる5 nmolの総ペプチドをイヌの群に受けさせた。第2及び第3の投与に関しては、1つの群のイヌは同じワクチンを受け、第2の群はLHRH(6-10)にのみ結合しているP25からなるワクチンを受けた。前記イヌは、0、4、及び14週に3回の投与を受けた。
【0057】
ワクチンの調製:1から1.5mgの各ペプチドを計量し、100μlの4M 尿素に別々に溶解した。1.7 nmolの各ペプチドに相当する量の溶液を混合し、等張生理食塩水に溶解して、注射のための目的とする投与容量にした(1投与当たり1ml)。各投与に関して、150μgのIscomatrix(登録商標)(CSL, Melbourne, Australia)もアジュバントとして添加した。ワクチンはイヌの首筋に与えた。
【0058】
得られた抗体の力価を図1に示す。テストステロン及びプロゲステロンレベルを図2及び3の各々に示す。
【0059】
(実施例2)
接種計画
ビーグル/フォックスハウンド犬を2つの群に分けた。第1群(12匹のイヌ)は、LHRH(6-10)に結合しているペプチドp25、p35、及びp62のプールからなる5 nmolの総ペプチドで3回の投与を受けた。
【0060】
第2群(6匹のイヌ)は、LHRH(2-10)に結合しているペプチドp25、p35、及びp62のプールからなる5 nmolの総ペプチドで3回の投与を受けた。
【0061】
第3群(6匹のイヌ)は、初回投与として、LHRH(2-10)に結合しているペプチドp25、p35、及びp62のプールからなる5 nmolの総ペプチドで3回の投与を受けた。第2及び第3の投与に関しては、ワクチンは同じペプチドのプールであるが、LHRH(6-10)に結合しているペプチドのプールであった。
【0062】
前記イヌは、0、4、14週の各々にワクチンの3回の投与を受けた。
【0063】
ワクチンの調製
1から1.5mgの各ペプチドを計量し、100μlの4M 尿素に別々に溶解した。1.7 nmolの各ペプチドに相当する量の溶液を混合し、等張生理食塩水に溶解して、注射のための目的とする投与容量にした(1投与当たり1ml)。各投与に関して、150μgのIscomatrix(登録商標)(CSL, Melbourne, Australia)もアジュバントとして添加した。ワクチンはイヌの首筋に与えた。
【0064】
これらの実験の結果を図4から10に示す。
【0065】
LHRH(2-10)またはLHRH(6-10)のどちらによって誘導されても、ワクチンの2回目の投与後の抗体の力価において明らかには差は無かった。ワクチン接種の計画も差を示さないようであり、LHRH(2-10)[初回投与]と、それに続くLHRH(2-10)[追加投与];LHRH(2-10)[初回投与]と、それに続くLHRH(6-10)[追加投与]、またはLHRH(6-10)[初回投与]と、それに続くLHRH(6-10)[追加投与]のいずれのように投与しても差が示されなかった。しかしながら、LHRH(2-10)-LHRH(6-10)には初回抗体応答における力価に差があり、最も低い力価を示す。テストステロン及びプロゲステロンに関しては、ある程度の差が、LHRH(6-10)の2回の投与でワクチン接種した動物の大部分において明らかに認めることが可能であり、低レベルのテストステロン及びプロゲステロンを示す。
【0066】
(実施例3)
接種計画
ビーグル/フォックスハウンド犬を2つの群に分けた。第1群(15匹のイヌ)は、LHRH(6-10)に結合しているペプチドp4、p10、p24、p25、p27、p35、及びp62のプールからなる35 nmolの総ペプチドで3回の投与を受けた。
【0067】
第2群(15匹のイヌ)は、LHRH(4-10)に結合しているペプチドp4、p10、p24、p25、p27、p35、及びp62のプールからなる35 nmolの総ペプチドで3回の投与を受けた。
【0068】
前記イヌは、0、4、14週にワクチンの3回の投与を受けた。
【0069】
ワクチンの調製
1から1.5mgの各ペプチドを計量し、100μlの4M 尿素に別々に溶解した。5 nmolの各ペプチドに相当する量の溶液を混合し、等張生理食塩水に溶解して、注射のための目的とする投与容量にした(1投与当たり1ml)。各投与に関して、150μgのIscomatrix(登録商標)(CSL, Melbourne, Australia)もアジュバントとして添加した。ワクチンはイヌの首筋に与えた。
【0070】
これらの実験の結果を図11から17に示す。
【0071】
高力価の抗体が、LHRH(4-10)でワクチン接種した動物において得られた。更に、テストステロン及びプロゲステロンレベルに対するより顕著な効果を有する抗体を誘導するようであり;LHRH(6-10)で接種した動物とは異なり、LHRH(4-10)で接種した動物はホルモンブレイクスルー(hormone breakthrough)を示さなかった。
【0072】
(実施例4)
ファージパニング実験に基づくLHRH関連モチーフを含有するペプチド配列
図18に示すペプチド配列は、抗P25-LHRH(2-10)抗体及び酸溶出を使用するパニングに基づいて得られた。ELISAスクリーニングせずに3回のパニングの各々の後に、全部で20のファージクローンをランダムに選択して配列分析した。P25-LHRH(2-10)配列に相当するアミノ酸残基をハイライトした。成功裏にPCR/配列決定したクローンの総数のうちの関連する配列モチーフの総数を暗くなっている四角に挙げ、その後に括弧内に%で挙げている。この様式では、「4/20 (20%)」は、LHRH関連モチーフが20のうち4の成功裏に配列決定したクローンに存在したことを示し、一回目のパニングの後に分析したクローンの20%を表わす。
【0073】
これらの結果から、より大きなLHRHフラグメントは、配列のC末端に対する抗体応答に偏るようである。
【0074】
広範に記載している本発明の精神または範囲を逸脱すること無く、特定の実施態様で示される本発明に多数の変化及び/または修飾がなされて良いことが当業者に理解されるであろう。そのため、本実施態様はあらゆる点で例示的なものであり、制限するものではないと解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】LHRH(2-10)またはLHRH(6-10)で接種した動物における抗LHRH抗体力価。
【図2】LHRH(2-10)またはLHRH(6-10)で接種したイヌにおけるテストステロンレベル。
【図3】LHRH(2-10)またはLHRH(6-10)で接種したイヌにおけるプロゲステロンレベル。
【図4】各種の初回接種及び追加接種計画によって誘導された抗LHRH抗体力価。
【図5】第1群:LHRH(6-10)初回接種、LHRH(6-10)追加接種のテストステロンレベル。
【図6】第1群:LHRH(6-10)初回接種、LHRH(6-10)追加接種のプロゲステロンレベル。
【図7】第2群:LHRH(2-10)初回接種、LHRH(2-10)追加接種のテストステロンレベル。
【図8】第2群:LHRH(2-10)初回接種、LHRH(2-10)追加接種のプロゲステロンレベル。
【図9】第3群:LHRH(2-10)初回接種、LHRH(6-10)追加接種のテストステロンレベル。
【図10】第3群:LHRH(2-10)初回接種、LHRH(6-10)追加接種のプロゲステロンレベル。
【図11】LHRH(6-10)及びLHRH(4-10)によって誘導された抗LHRH抗体力価。
【図12】LHRH(6-10)でワクチン接種した後のテストステロンレベル。
【図13】LHRH(6-10)でワクチン接種した後のプロゲステロンレベル。
【図14】LHRH(4-10)でワクチン接種した後のテストステロンレベル。
【図15】LHRH(4-10)でワクチン接種した後のプロゲステロンレベル。
【図16】LHRH(4-10)及びLHRH(6-10)でワクチン接種した後の精巣の容量。
【図17】LHRH(4-10)及びLHRH(6-10)でワクチン接種した後の精巣の容量。
【図18】ファージパニング実験に基づくLHRH関連モチーフを含有するペプチド配列。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのヘルパーT細胞エピトープを含む60アミノ酸未満の配列からなる第1領域と、SYGLRPG(配列番号2)配列からなる第2領域とを含むペプチド。
【請求項2】
前記第1領域が40未満のアミノ酸、好ましくは20未満のアミノ酸からなる、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
前記第1領域が、1つ、2つ、または3つのヘルパーT細胞エピトープ、好ましくは1つのヘルパーT細胞エピトープを含む、請求項1に記載のペプチド。
【請求項4】
前記第1領域のC末端残基が、前記第2領域のN末端残基に結合している、請求項1から3のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項5】
前記ヘルパーT細胞エピトープが、SSKTQTHTQQDRPPQPS (配列番号3); QPSTELEETRTSRARHS (配列番号4); RHSTTSAQRSTHYDPRT (配列番号5); PRTSDRPVSYTMNRTRS (配列番号6); TRSRKQTSHRLKNIPVH (配列番号7); SHQYLVIKLIPNASLIE (配列番号8); IGTDNVHYKIMTRPSHQ (配列番号9); YKIMTRPSHQYLVIKLI (配列番号10); KLIPNASLIENCTKAEL (配列番号11); AELGEYEKLLNSVLEPI (配列番号12); KLLNSVLEPINQALTLM (配列番号13); EPINQALTLMTKNVKPL (配列番号14); FAGWLAGVALGVATAA (配列番号15); GVALGVATAAQITAGIA (配列番号16); TAAQITAGIALHQSNLN (配列番号17); GIALHQSNLNAQAIQSL (配列番号18); NLNAQAIQSLRTSLEQS (配列番号19); QSLRTSLEQSNKAIEEI (配列番号20); EQSNKAIEEIREATQET (配列番号21); TELLSIFGPSLRDPISA (配列番号22); PRYIATNGYLISNFDES (配列番号23); CIRGDTSSCARTLVSGT (配列番号24); DESSCVFVSESAICSQN (配列番号25); TSTIINQSPDKLLTFIA (配列番号26), SPDKLLTFIASDTCPLV (配列番号27), SGRRQRRFAGWLAGVA (配列番号28)、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項6】
QPSTELEETRTSRARHSSYGLRPG (配列番号29), TRSRKQTSHRLKNIPVHSYGLRPG (配列番号30), SHQYLVIKLIPNASLIESYGLRPG (配列番号31), KLIPNASLIENCTKAELSYGLRPG (配列番号32), AELGEYEKLLNSVLEPISYGLRPG (配列番号33), TAAQITAGIALHQSNLNSYGLRPG (配列番号34) 、及び PRYIATNGYLISNFDESSYGLRPG (配列番号35)からなる群より選択される配列を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項7】
請求項1から7のいずれか一項に記載のペプチドと許容される担体とを含む組成物。
【請求項8】
前記担体がアジュバントである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも1つのヘルパーT細胞エピトープを含む60アミノ酸未満の配列からなる第1領域と、SYGLRPG(配列番号2)配列からなる第2領域と、脂質部分を含む第3領域とを含み、前記第2領域と第3領域が前記第1領域に共有結合しているリポペプチド。
【請求項10】
前記第1領域が40未満のアミノ酸、好ましくは20未満のアミノ酸からなる、請求項9に記載のリポペプチド。
【請求項11】
前記第1領域が、1つ、2つ、または3つのヘルパーT細胞エピトープ、好ましくは1つのヘルパーT細胞エピトープを含む、請求項9に記載のリポペプチド。
【請求項12】
前記第1領域のC末端残基が、前記第2領域のN末端残基に結合している、請求項9から11のいずれか一項に記載のリポペプチド。
【請求項13】
前記脂質部分が前記第1領域のC末端残基と結合している、請求項9から12のいずれか一項に記載のリポペプチド。
【請求項14】
前記第1領域のC末端残基がリジンまたはそのアナログであり、前記脂質部分がε-アミノ基に結合しており、前記第2領域がカルボキシル基に結合している、請求項9から13のいずれか一項に記載のリポペプチド。
【請求項15】
前記第1領域のC末端残基がリジンまたはそのアナログであり、該リジンまたはそのアナログがそのε-アミノ基を介して前記第1領域の残部に結合し、前記脂質部分がαアミノ基に結合し、前記第2領域がカルボキシル基に結合している、請求項9から13のいずれか一項に記載のリポペプチド。
【請求項16】
前記リジンアナログが、オルニチン、ジアミノプロピオン酸、またはジアミノ酪酸である、請求項14または15に記載のリポペプチド。
【請求項17】
前記脂質部分が前記第1領域のN末端残基に結合している、請求項9から11のいずれか一項に記載のリポペプチド。
【請求項18】
前記ヘルパーT細胞エピトープが、SSKTQTHTQQDRPPQPS (配列番号3); QPSTELEETRTSRARHS (配列番号4); RHSTTSAQRSTHYDPRT (配列番号5); PRTSDRPVSYTMNRTRS (配列番号6); TRSRKQTSHRLKNIPVH (配列番号7); SHQYLVIKLIPNASLIE (配列番号8); IGTDNVHYKIMTRPSHQ (配列番号9); YKIMTRPSHQYLVIKLI (配列番号10); KLIPNASLIENCTKAEL (配列番号11); AELGEYEKLLNSVLEPI (配列番号12); KLLNSVLEPINQALTLM (配列番号13); EPINQALTLMTKNVKPL (配列番号14); FAGWLAGVALGVATAA (配列番号15); GVALGVATAAQITAGIA (配列番号16); TAAQITAGIALHQSNLN (配列番号17); GIALHQSNLNAQAIQSL (配列番号18); NLNAQAIQSLRTSLEQS (配列番号19); QSLRTSLEQSNKAIEEI (配列番号20); EQSNKAIEEIREATQET (配列番号21); TELLSIFGPSLRDPISA (配列番号22); PRYIATNGYLISNFDES (配列番号23); CIRGDTSSCARTLVSGT (配列番号24); DESSCVFVSESAICSQN (配列番号25); TSTIINQSPDKLLTFIA (配列番号26), SPDKLLTFIASDTCPLV (配列番号27), SGRRQRRFAGWLAGVA (配列番号28)、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項9から17のいずれか一項に記載のリポペプチド。
【請求項19】
前記第1領域の配列が、QPSTELEETRTSRARHSK (配列番号36), TRSRKQTSHRLKNIPVHK (配列番号37), SHQYLVIKLIPNASLIEK (配列番号38), KLIPNASLIENCTKAELK (配列番号39), AELGEYEKLLNSVLEPIK (配列番号40), TAAQITAGIALHQSNLNK (配列番号41) 、及びPRYIATNGYLISNFDESK (配列番号42)からなる群より選択される、請求項9から18のいずれか一項に記載のリポペプチド。
【請求項20】
前記脂質部分がリポアミノ酸部分である、請求項9から19のいずれか一項に記載のリポペプチド。
【請求項21】
前記リポアミノ酸部分が、Pam2Cys、Pam3Cys、Ste2Cys、Lau2Cys、Oct2Cys、Pam2Asp、Pam3Asp、Ste2Asp、Lau2Asp、及びOct2Aspからなる群より選択される、請求項20に記載のリポペプチド。
【請求項22】
前記脂質部分がPam2CysまたはPam3Cysである、請求項21に記載のリポペプチド。
【請求項23】
前記脂質部分がスペーサーを介して前記第1領域に結合している、請求項9から22に記載のリポペプチド。
【請求項24】
前記スペーサーが、アルギニンまたはセリンの二量体、三量体、または四量体を含む、請求項21に記載のリポペプチド。
【請求項25】
前記スペーサーが6-アミノカプロン酸を含む、請求項21に記載のリポペプチド。
【請求項26】
請求項1から6のいずれか一項に記載のペプチド、請求項7または8に記載の組成物、または請求項9から25のいずれか一項に記載のリポペプチドを動物に投与する工程を含む、動物において抗LHRH応答を誘導する方法。
【請求項27】
動物において抗LHRH応答を誘導する医薬の製造における、請求項1から6のいずれか一項のペプチドまたは請求項9から25のいずれか一項に記載のリポペプチドの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2008−512396(P2008−512396A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530548(P2007−530548)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【国際出願番号】PCT/AU2005/001383
【国際公開番号】WO2006/026834
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(505013561)ザ・カウンシル・オブ・ザ・クィーンズランド・インスティテュート・オブ・メディカル・リサーチ (4)
【Fターム(参考)】