説明

切断抵抗性および弾性回復の双方を有する上撚り糸および布帛、および該上撚り糸および布帛の製造方法

本発明は、保護被服物品で使用するための上撚り糸および抗切断布帛に関する。布帛は、特定の様式で組み合わされた抗切断合成繊維、無機繊維、および弾性繊維により抗切断であり、かつ体にぴったり合う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護被服物品で使用するための上撚り糸(ply−twisted yarn)および抗切断(cut−resistant)布帛に関する。布帛は、特定の様式で組み合わされた抗切断合成繊維、無機繊維、および弾性繊維により抗切断であり、かつ体にぴったり合う。
【背景技術】
【0002】
(特許文献1)は、抗切断繊維を含んでなり金属繊維を含まない糸である第2のストランドと上撚りされた、抗切断ステープルファイバーのシースおよび金属繊維コアを有するシース/コア糸である第1のストランドを含んでなる、少なくとも1つの抗切断糸からできた抗切断布帛を開示する。(特許文献1)は第2のストランドが、綿またはナイロンなどのその他の材料のいくつかの繊維を含有してもよいことを開示する。このストランド中の個々のフィラメントまたは繊維は、0.5〜7dtexの線密度を有する。
【0003】
(特許文献2)は、少なくとも1つの連続合成弾性フィラメントおよび複数の嵩高連続抗切断フィラメントを含んでなる抗切断糸を開示する。嵩高連続抗切断フィラメントは、糸中にランダムなより乱れループ構造を有する。
【0004】
(特許文献3)は、離散した金属繊維を有する糸、およびこれらの糸からできた電磁波遮蔽布帛および手袋を開示する。
【0005】
(特許文献4)、(特許文献5)、(特許文献6)、(特許文献7)、および(特許文献8)は全て、抗切断被服物品で使用される布帛を製造するための金属繊維コア、および高強度合成繊維ラッピングを有する糸の使用を開示する。
【0006】
(特許文献9)は、2つの異なる非金属繊維を含んでなる抗切断糸からできた切断保護布帛を開示し、少なくとも1つの非金属繊維は可撓性で本質的に抗切断であり、もう1つは硬度スケールで約3モースを超える硬度レベルを有する。
【0007】
(特許文献10)、(特許文献11)、および(特許文献12)は、抗切断物品における、エラストマー材料の使用を開示する。
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,534,175号明細書
【特許文献2】国際公開第03/016602号パンフレット
【特許文献3】米国特許第5,617,713号明細書
【特許文献4】米国特許第5,287,690号明細書
【特許文献5】米国特許第5,248,548号明細書
【特許文献6】米国特許第4,470,251号明細書
【特許文献7】米国特許第4,384,449号明細書
【特許文献8】米国特許第4,004,295号明細書
【特許文献9】米国特許第5,119,512号明細書
【特許文献10】米国特許第5,231,700号明細書
【特許文献11】米国特許第5,442,815号明細書
【特許文献12】米国特許第6,044,493号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、抗切断布帛で使用するための上撚り糸、およびこのような糸からできた布帛および抗切断物品に関し、
上撚り糸は、
(a)抗切断ステープルファイバーを含んでなるシースと、無機繊維を含んでなるコアとのシース/コア構造を有する少なくとも1つの単糸、および
(b)抗切断ステープルファイバーおよび少なくとも1つの弾性フィラメントを含んでなり、かつ無機繊維を含まないまたは実質的に含まない少なくとも1つの単糸を含んでなる。好ましくは上撚り糸は4.8〜28.7、好ましくは6.7〜20のTexシステム撚り係数(0.5〜3.0、好ましくは0.7〜2.1の綿番撚り係数)で上撚りされる。
【0010】
本発明は、さらに糸束からできた抗切断布帛、およびこのような布帛からできた抗切断物品に関し、前記糸束は、
(a)抗切断ステープルファイバーを含んでなるシースと、無機繊維を含んでなるコアとのシース/コア構造を有する少なくとも1つの単糸、および
(b)抗切断ステープルファイバーおよび少なくとも1つの弾性フィラメントを含んでなり、かつ無機繊維を含まないまたは実質的に含まない少なくとも1つの単糸を含んでなる。
【0011】
本発明はまた、抗切断布帛で使用するための、上述の上撚り糸の製造方法、および糸束から上述の抗切断布帛の製造方法も含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
抗切断布帛は、カバリングおよび手袋などの衣服などにおいて保護のために非常に重要である。切断抵抗性に並んで、このような布帛からできたあらゆる物品が快適であり、良好なフィットおよび機敏さを有することが重要であり、または望ましいことが多い。「良好なフィットおよび機敏さ」とは、例えば手袋が着用者の手の形に上手く適合し、手袋を着用したまま小さな対象物をつまんで操作できることを意味する。本発明の布帛は高度に抗切断、柔軟、可撓性で、体にぴったり合う。このような布帛からできた保護衣服は、非常に快適で効果的である。
【0013】
上撚り糸
本発明の上撚り糸は、少なくとも2本の個々の単糸を撚って作られる。単糸を上撚りして上撚り糸を作ることは、当技術分野でよく知られている。各単糸は、例えば当技術分野で紡績ステープルヤーンとして知られているものに紡がれたステープルファイバーの集まりであることができる。
【0014】
「少なくとも2本の個々の単糸を撚る」という語句は、1本の糸が他方を完全に覆うことなく、2本の単糸が上撚りされることを意味する。これによって上撚り糸は、得られる上撚り糸の表面が第1の単糸のみを露出するように、第1の単糸が第2の単糸の周囲を完全にラップする、被覆されたまたはラップされた糸からは区別される。図1は、単糸2および3からできた上撚り糸1を示す。単糸2は、ステープルファイバーシース4および無機コア5を有するシース/コア単糸である。無機コアは糸中の破線として表される。単糸3は、弾性フィラメント6およびステープルファイバー7を含んでなるエラストマー単糸である。弾性フィラメントは糸中の点線として表される。単糸は、透明度の目的のために、図には示されない上撚りを有してもよい。
【0015】
本発明の上撚り糸は、好ましくは少なくとも2本の異なる単糸からできている。上撚り糸はまた、好ましくは300〜2000dtexの総線密度を有する。単糸中の個々のステープルファイバーは、典型的に0.5〜7dtexの線密度を有し、好ましい範囲は1.5〜3dtexである。上撚り糸、およびこれらの上撚り糸を構成する単糸は、所望の用途のために、糸または糸からできた布帛の機能または性能が損なわれない限り、その他の材料を含むことができる。
【0016】
シース/コア単糸
本発明の上撚り糸はシース/コア構造を有する単糸を含み、シースは有機抗切断ステープルファイバーであり、コアは少なくとも1つの無機フィラメントである。有機抗切断ステープルファイバーは、その他の材料との直接的摩耗性接触から無機フィラメントを覆って遮蔽し、また糸を含有する布帛に改善された快適性を与えることから、シース/コア構造が使用される。図2はこのような単糸形態の好ましい図示である。単糸2は、連続無機フィラメントコア5および有機ステープルファイバーシース4を伴う、いわゆるシース/コア構造を有する。
【0017】
有機抗切断ステープルファイバーシース4は、無機フィラメントコア5の周囲にラップされ、または紡がれることができる。これらは、コットソン(COTSON)技術を使用するものなどの従来のプロセスに対する改善を含む従来のリング精紡、DREF紡績などのコア−スパン紡績、ムラタ(現在のムラテック)ジェット様紡績によるいわゆるコア挿入を使用するエアジェット紡績、オープンエンド紡績などの既知の手段によって達成できる。好ましくはステープルファイバーは、コアを覆うのに十分な密度で無機フィラメントコア周囲に固められる。被覆の程度は、例えばリング精紡よりも良い被覆を提供するDREF紡績などのコア−スパン紡績(例えば米国特許第4,107,909号明細書、米国特許第4,249,368号明細書、および米国特許第4,327,545号明細書で開示される)などの糸を紡ぐのに使用されるプロセスに左右される。従来のリング精紡は中心コアの部分的被覆を提供するのみであるが、本発明の目的では、部分的被覆もシース/コア構造と見なされる。シースはまた、その他の材料に起因する低下した切断抵抗性が許容できる程度まで、その他の材料のいくつかの繊維を含むことができる。
【0018】
単糸5などの無機フィラメントコアおよび有機抗切断ステープルファイバーシースがある単糸は、概して1〜50重量%無機質で、総線密度100〜5000dtexである。
【0019】
抗切断繊維
本発明で好ましくは使用される有機抗切断ステープルファイバーは、好ましくは2〜20センチメートル、好ましくは3.5〜6センチメートルの長さを有する。それらは好ましくは、5〜25μmの直径および0.5〜7dtexの線密度を有する。
【0020】
有機抗切断ステープルファイバーは少なくとも0.8の切断指数、好ましくは1.2以上の切断指数を有する。最も好ましいステープルファイバーは、1.5以上の切断指数を有する。切断指数とは、試験する繊維100%で織られたまたは編まれた475グラム/平方メートル(14オンス/平方ヤード)の布帛の切断性能であり、それはASTM F1790−97によって測定される(グラムで測定され、切断保護性能(CPP)としても知られ、切断される布帛の面密度(グラム/平方メートル)で除される)。有用な繊維の表およびそれらの切断性能を下に列挙する。下に列挙するCPP値は、約475グラム/平方メートル(14オンス/平方ヤード)の面密度を有する布帛重量の平均である。一連の布帛重量で行った個々の測定は、下の値とはわずかに異なる切断指数値を有するかもしれない。
【0021】
【表1】

【0022】
好ましいステープルファイバーは、パラ−アラミド繊維である。パラ−アラミド繊維は、パラ−アラミドポリマーからできた繊維を意味し、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)(PPD−T)が好ましいパラ−アラミドポリマーである。PPD−Tとは、p−フェニレンジアミンと塩化テレフタロイルとの等モル重合から得られるホモポリマー、また少量のその他のジアミンのp−フェニレンジアミンへの組み込み、および少量のその他の二酸塩化物の塩化テレフタロイルへの組み込みから得られる共重合体を意味する。原則として、その他のジアミンおよびその他の二酸塩化物は、その他のジアミンおよび二酸塩化物が重合反応を妨げる反応性基を有さないと言う条件で、p−フェニレンジアミンまたは塩化テレフタロイルの約10モル%までの量、またはおそらくはわずかに高い量で使用できる。PPD−Tもまた、その他の芳香族ジアミンおよび芳香族二酸塩化物が、パラ−アラミドの特性に悪影響を及ぼさない量で存在すると言う条件で、例えば塩化2、6−ナフタロイルまたはクロロ−またはジクロロ塩化テレフタロイルなどのその他の芳香族ジアミンおよびその他の芳香族二酸塩化物などの組み込みから得られる共重合体を意味する。
【0023】
添加剤が繊維中でパラ−アラミドと共に使用でき、10重量%までのその他のポリマー材料がアラミドに混合でき、あるいはアラミドのジアミンが10%のその他のジアミンで置換された共重合体、またはアラミドの二酸塩化物が10%のその他の二酸塩化物で置換された共重合体が使用できることが分かっている。
【0024】
P−アラミド繊維は概して、p−アラミド溶液の毛細管を通した凝固浴内への押出しによって紡がれる。ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)の場合、溶液のための溶剤は、概して濃硫酸であり、押出しは概して冷水凝固浴内へエアギャップを通して行われる。このようなプロセスはよく知られており、本発明の一部を形成しない。これらは概して米国特許第3,063,966号明細書、米国特許第3,767,756号明細書、米国特許第3,869,429号明細書、および米国特許第3,869,430号明細書で開示される。P−アラミド繊維は、E.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I. du Pont de Nemours and Company)から入手できるケブラー(Kevlar)(登録商標)繊維、テイジンから入手できるトワロン(Twaron)(登録商標)繊維として市販される。
【0025】
本発明で有用なその他の好ましい抗切断繊維は、概して米国特許第4,457,985号明細書で述べられるようにして調製される、超高分子量または伸長鎖ポリエチレン繊維である。このような繊維は、東洋紡から入手できるディネマ(Dynema)(登録商標)、およびハニーウェル(Honeywell)から入手できるスペクトラ(Spectra)(登録商標)の商品名の下に市販される。その他の好ましい抗切断繊維は、テイジンから入手できるテクノーラ(Technora)(登録商標)として知られているものなどのコポリ(p−フェニレン/3、4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミド)をベースとするアラミド繊維である。あまり好ましくないが、それでもより高重量で有用なのは、東洋紡から入手できるザイロン(Zylon)(登録商標)などのポリベンゾキサゾール、セラネス(Celanese)から入手できるベクトラン(Vectran)(登録商標)などの異方性溶融ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルからできた繊維、および好ましい抗切断繊維と抗切断性がより低い繊維の混紡である。
【0026】
無機フィラメント
無機フィラメントコア5は、単一フィラメントであることができ、またはマルチフィラメントであってもよく、特定の状況に対して必要または所望ならば、好ましくは単一の金属フィラメントまたは数本の金属フィラメントである。金属フィラメントとは、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、青銅などの延性のある金属からできたフィラメントまたはワイヤ、あるいは一般に「マイクロ鋼」として知られている金属繊維構造を意味する。ステンレス鋼が好ましい金属である。金属フィラメントは概して連続ワイヤである。有用な金属フィラメントは直径が1〜150μmであり、好ましくは直径が25〜75μmである。
【0027】
本発明の目的では、無機コアは、例えば110dtex(100デニール)ガラスフィラメントなどの1個(つ)またはそれ以上のガラスフィラメントであってもよい。しかしガラスは線密度あたりの切断抵抗性が金属よりも低く、布帛が皮膚と接する手袋、スリーブなどで糸を使用する場合、ガラスがステープルファイバーシースで実質的に被覆されて皮膚刺激を最小化することが、はるかにより重要であるため、あまり好ましくない。
【0028】
エラストマー単糸
本発明の布帛は、少なくとも1つの弾性フィラメントを含有する単糸を含む。これは、コアとして弾性フィラメント(群)、シースとしてステープルファイバーを有するシース/コア単糸の形態を含むことができるが、弾性フィラメント(群)が実際にシースによって完全に被覆されることは重要でない。
【0029】
好ましい弾性繊維はスパンデックス繊維であるが、概して伸展および回復を有するあらゆる繊維が使用できる。本明細書で用いられる、「スパンデックス」はその通常の定義を有し、すなわち繊維形成物質が、少なくとも85重量%のセグメント化ポリウレタンから構成される長鎖合成ポリマーである人造繊維である。
【0030】
スパンデックスタイプのセグメント化ポリウレタンとしては、例えば米国特許第2,929,801号明細書、米国特許第2,929,802号明細書、米国特許第2,929,803号明細書、米国特許第2,929,804号明細書、米国特許第2,953,839号明細書、米国特許第2,957,852号明細書、米国特許第2,962,470号明細書、米国特許第2,999,839号明細書、および米国特許第3,009,901号明細書で述べられるものが挙げられる。
【0031】
弾性フィラメントコアがある単糸は、図3で図示される。少なくとも1つの弾性フィラメント6および部分的に覆うステープルファイバーのリング精紡シース7を有するリング精紡エラストマー単糸3を示す。弾性フィラメント(群)は、100〜5000dtexの総シース/コア単糸線密度の2〜25重量%を構成する。スパンデックス弾性フィラメントを製造するいくつかのプロセスでは、融合ジェットを使用してスパンデックスフィラメントを押出し直後に固める。ドライスパンスパンデックスフィラメントが、押出し直後に粘着性を有することもまたよく知られている。このような粘着性を有するフィラメント群を一緒にすることと、融合ジェットを使用することの組み合わせで、合体したマルチフィラメント糸を製造し、次にそれを巻き上げる前に典型的にシリコーンまたはその他の仕上げ剤で被覆して、パッケージに付着するのを防止する。実際には、それらの長さに沿って互いに接着するいくつかの極めて小さな個々のフィラメントである、このような合体したフィラメント集団は、同一線密度のスパンデックスの単一フィラメントよりも多くの点で優れている。
【0032】
本発明で使用されるエラストマー単糸中の弾性フィラメントは、好ましくは連続フィラメントであり、1個(つ)またはそれ以上の個々のフィラメントまたは1個(つ)またはそれ以上の合体したフィラメント集団の形態で、単一エラストマー糸中に存在できる。しかし好ましいエラストマー単糸中で、1つの合体したフィラメント集団のみを使用することが好ましい。弛緩状態にある弾性フィラメント(群)の全体的線密度は、1個(つ)またはそれ以上の個々のフィラメントとして、あるいは1個(つ)またはそれ以上の合体したフィラメント集団として存在するかどうかにかかわらず、概して17〜560dtex(15〜500デニール)の間であり、好ましい線密度範囲は44〜220dtex(40〜200デニール)である。
【0033】
最終エラストマー単糸速度に比べてより遅いデリバリ速度の弾性繊維を使用することで、ステープルファイバーとの組み合わせに先だって繊維を延伸または伸長することで、弾性繊維を張力下でエラストマー単糸中に組み込むことが好ましい。この延伸は、弾性繊維のデリバリ速度で除した最終エラストマー単糸速度である、弾性繊維の伸展比として記述できる。典型的な伸展比は1.5〜5.0であり、1.5〜3.50が好ましい。低い伸展比がより低い弾性回復を生じるのに対し、非常に高い伸展比は、単糸を加工困難にして、布帛をきつくして心地よくないものにする。最適伸展比はまた、エラストマーコアの%重量含量にも依存する。弾性繊維を伸張および伸展するのに伸張装置もまた用いることができるが、伸張および伸展を再現して制御する困難さのためにあまり好ましくない。最適伸展比は、布帛の所望のフィット性および感触に基づいて究極的に各布帛について判定される。
【0034】
図4は、弾性繊維を抗切断ステープルファイバーの単糸中に組み込む一方法の図示である。例えば抗切断ステープルファイバー31の粗紡、スライバ、または集まりを伸長ロール32および33の組によって伸長して、単糸にリング上撚り糸される、伸長された繊維塊34を製造してもよい。弾性繊維35は、ボビン36から一組の送りロール37を通って、引き続いて最終伸長ローラーセット33に先だって、ステープルファイバー中に供給される。従来の技術を使用して、伸長ローラー33の表面速度に対してより遅い送りローラー37の相対表面速度を加速または減速させ、最終リング上撚り糸された単糸中の弾性伸展および伸張量を定める。
【0035】
上撚り糸の製造方法
本発明はまた、抗切断ステープルファイバーと少なくとも1つの弾性フィラメントとを含んでなる第1の単糸、および抗切断ステープルファイバーのシースと金属繊維コアとのシース/コア構造を有する第2の単糸を組み合わせて、次に第1および第2の単糸を撚って上撚り糸を形成する、抗切断布帛のための上撚り糸の製造方法にも関する。弾性フィラメントは好ましくは金属繊維を含まず、張力下で第1の単糸中に弾性繊維が組み込まれる。
【0036】
本発明の上撚り糸は、二段階または組み合わせプロセスのいずれかを使用して、単糸から製造できる。二段階プロセスの第1のステップでは、上撚りなしに2本以上の単糸を互いに平行に組み合わせて、パッケージに巻き付ける。次のステップでは、次に単糸を逆上撚りして、2本以上の組み合わせた糸をリング上撚り糸して上撚り糸を形成する。上撚り糸は常態では「Z」上撚りを有する(単糸は常態では「S」上撚りを有する)。代案としては、これら双方のステップを1つの操作中に組み合わせた、組み合わせプロセスを用いて単一糸を撚ることができる。単糸を撚るのに一般に使用される機器は、フォルクマン(Volkmann)およびムラテック(以前のムラタ)などの機器製造業者によって販売される。
【0037】
上撚りは単糸を4.8〜28.7、好ましくは6.7〜20のTexシステム撚り係数を有する上撚り糸に撚って達成される。(これは0.5〜3.0、好ましくは0.7〜2.1の綿番撚り係数と同等である)。撚り係数は当技術分野でよく知られており、番手平方根に対するインチあたりの回転の比率である。糸の撚り係数(TM)は、いくつかの寸法システムのいずれかを使用して定義できる。

Texシステム:TM=(回転/センチメートル)(Tex)1/2

綿システム:TM=(回転/インチ)/(綿番手)1/2

メートル法番手システム:TM=(回転/メートル)/(メートル法番手)1/2

糸の「綿番手」は、長さ768メートルの糸(840ヤード)が、454グラム(1ポンド)の重量を有するかせ数である。糸の「メートル法番手」とは、1キログラムの重量を有する糸のキロメートル数である。ここでの目的では、Tex1/2回転/cmのSI単位を使用したTexシステム撚り係数を使用する。次に所望の布帛の要件次第で、上撚り糸をその他の同一または異なる上撚り糸と組み合わせて、布帛を形成するための糸束を形成してもよく、または個々の上撚り糸を布帛を形成するのに使用できる。
【0038】
単糸の組み合わせ
抗切断布帛を織るまたは編むために、1から3本の上撚り糸を糸束に組み合わせることが好ましい。無機または弾性フィラメントを含有しないステープルファイバーからできたその他の単糸を上撚り糸中にまたは糸束中に添加することで、布帛特性を変化させることができる。好ましくはこれらの単糸は有機抗切断繊維を含有する。このような単糸は、概して100〜5000dtexの線密度を有する。
【0039】
例証として制限を意図しない、本発明の上撚り糸中で使用される単糸の可能な組み合わせを図5に示す。これはステープルファイバーシース/エラストマーコア単糸12と上撚りされて、上撚り糸14を作り上げるステープルファイバーシース/無機コア単糸11の組み合わせの略図を含む。(単糸の組成物をより良く表すために11および12の上撚りされた性質は示されない。)2本の上撚り糸を一緒にして束15を形成し、それは上撚り有り、または無しで編み機に供給できる。代案としては、無機または弾性フィラメントのいずれも有さず、好ましくは抗切断ステープルファイバーを含有する、2本の繊維13の単糸からできている上撚り糸16と組み合わせられた上撚り糸14からなる糸束17を作ることができる。別の代案の糸束19を作ることができ、そこでは上撚り糸14が、ステープルファイバーシース/無機コアの単糸11と繊維13の単糸とを含んでなる上撚り糸18に組み合わされる。糸束中で2本を超える上撚り糸を使用できる。例えば3本の糸束が所望される場合、図6に示すように、上撚り糸14、18、および16を使用して糸束20を形成できる。3本の上撚り糸14によって同様の束が形成できる。糸束中で所望される上撚り糸の数、および所望される切断保護および伸展および回復量次第で、多くの組み合わせが可能である。
【0040】
無機または弾性フィラメントコアを含むか否かに関わらず、単糸はいくらかの上撚りを有することができる。上撚り糸はまた、いくらかの上撚りを有することができ、上撚り糸中の上撚りは単糸中の上撚りとは概して反対向きである。あらゆる単糸において、上撚りは概して撚り係数19.1〜38.2の範囲である(2〜4の綿番撚り係数)。最新の編み機は、複数の上撚り糸の供給から布帛を編むことができるので、編み機に供給される上撚り糸の束は上撚りを有する必要はないが、所望ならば束中に上撚りを入れられる。
【0041】
好ましい上撚り糸は、およそ750dtex(665デニール、16/2の綿番手と同等)である。上撚りは16.1(1.68の綿番撚り係数)の撚り係数を有し、これは「S」方向における1.9回転/cm(4.7回転/インチ)と同等である。最終全体的組成は、75.5重量%のPPD−Tステープルファイバー、20重量%の鋼繊維、および4.5重量%のスパンデックスフィラメントである。
【0042】
好ましい上撚り糸で使用されるシース/コア単糸(無機繊維を含有する)は、紡績中に挿入された金属コアと共にDREF紡績された、単一420dtex(380デニール、14綿番手と同等物)糸である。糸は紺青色のPPD−Tステープルシースを有し、PPD−Tは3.8cm(1.5インチ)の切断長さ、およびフィラメントあたり1.7dtex(フィラメントあたり1.5デニール)のフィラメント密度を有する。金属コアは50μm(2mil)のステンレス鋼フィラメントである。単糸のおよそ65重量%はPPD−Tステープルから、そして35重量%は鋼コアから構成される。
【0043】
好ましい上撚り糸中で使用されるエラストマー単糸は、リング精紡された単一330dtex(295デニール、18綿番手と同等)糸である。糸はエラストマーコアフィラメントを部分的に覆う天然PPD−Tステープルシースを有し、PPD−Tは4.8cm(1.89インチ)の切断長さ、およびフィラメントあたり1.7dtex(フィラメントあたり1.5デニール)のフィラメント密度を有する。エラストマーコアは、2.4×の伸展比(およそ140%の伸長)を有する78dtex(70デニール)のスパンデックス合体フィラメント糸である。糸は30.6の撚り係数を有し(3.2綿番手TM)、それは「Z」方向の5.3回転/cm(13.58回転/インチ)と同等である。単糸のおよそ90重量%はPPD−Tステープルから、10重量%はエラストマーコアから構成される。
【0044】
抗切断布帛および該布帛の製造方法
本発明はまた、抗切断ステープルファイバーを含んでなるシースと、無機繊維を含んでなるコアとのシース/コア構造を有する少なくとも1つの単糸、および抗切断ステープルファイバーと少なくとも1つの弾性フィラメントとを含んでなりかつ無機繊維を含まない少なくとも1つの単糸を含んでなる糸束からできた、抗切断織布または編地にも関する。これらの糸束中に組み込まれる弾性フィラメントは、改善された伸展および回復を提供する。これらの糸束中に組み込まれる抗切断有機ステープルファイバーおよび無機フィラメントは、布帛に優れた切断抵抗性を提供する。このような糸束からできた布帛は、柔らかで、快適で、摩耗性でなくならびに抗切断である。
【0045】
図について述べると、図7は、布帛パターンで示す糸束50からできた好ましい本発明の布帛の図示である。「糸束」とは、1本またはそれ以上の上撚り糸または複数の単糸、または上撚り糸および単糸の組み合わせである。好ましい糸束は1〜3本の上撚り糸を有し、各上撚り糸は、ステープルファイバーエラストマー単糸と上撚りされるステープルファイバーシース/金属コア単糸を含んでなる。しかし全ての糸束または布帛中の上撚り糸または単糸は、必ずしも同一でなくてよい。また糸束は、共に上撚りされず編み機に供給されて編地を作る、単に一緒に束に集められた単糸のみを含有してもよい。しかし糸束は、少なくとも1つのステープルファイバーシース/無機コア単糸、および少なくとも1つのステープルファイバーエラストマー単糸を含有しなくてはならない。上撚りは、エラストマー単糸を弛緩時にそれ自体の上にループ形成することなく、伸展状態に保持する一助となるので、単糸の上撚りが好ましい。しかし束中でシース/コアエラストマー単糸がその他の単糸と共に、良好な張力制御のある編み機または織布機に同時供給されれば、許容可能な布帛が製造できる。束が上撚り糸を含んでなる場合、編んだり織ったりする間の糸の張力制御はあまり重要でない。
【0046】
好ましい布帛は編物であり、あらゆる適切な編物パターンが許容可能である。切断抵抗性および快適性は、編物の締まりによって影響され、締まりを調節して、あらゆる特定の要求を満たすことができる。多くの抗切断物品における切断抵抗性および快適性の非常に効果的な組み合わせは、例えば単一ジャージーおよびテリー編物パターンで見られる。布帛は、基本重量を4〜30oz/yd2、好ましくは6〜25oz/yd2の範囲に有し、基本重量範囲の上端の布帛は、より多くの切断保護を提供する。
【0047】
本発明はまた、最初に、a)抗切断ステープルファイバー、および張力下で伸長されながら第1の単糸中に組み込まれる連続弾性フィラメントを含んでなり、かつ無機繊維を含まないまたは実質的に含まない少なくとも1つの単糸と、b)シース/コア構造を有して、シースが抗切断ステープルファイバーおよび無機繊維コアを含んでなる、少なくとも1つの単糸を含んでなる糸束を形成し、そして次に糸束を布帛に編むまたは織ることを含んでなる、抗切断布帛の製造方法にも関する。好ましくはエラストマー単糸とシース/コア単糸は、共に糸束に上撚りされる。先に開示したように、単糸を典型的に共に上撚りして上撚り糸を形成し、次に好ましくはこの上撚り糸をその他の上撚り糸と組み合わせて糸束を形成できる。単糸は4.8〜28.7のTexシステム撚り係数(0.5〜3.0の綿番撚り係数)、好ましくは6.7〜20のTexシステム撚り係数(0.7〜2.1の綿番撚り係数)で上撚りすることができる。シース/コア単糸で使用される無機繊維は、好ましくは金属繊維である。
【0048】
次に単糸、上撚り糸、または両者の組み合わせを含んでなる糸束を編み機または織布機に供給して、編まれたまたは織られた抗切断布帛を製造する。
【0049】
試験方法
切断抵抗性
使用した方法は、ASTM規格F 1790−97「保護被服で使用される材料の切断抵抗性を測定する標準試験法(Standard Test Method for Measuring Cut Resistance of Materials Used in Protective Clothing)」であった。試験の実施においては、マンドレル上に取り付けられたサンプルを横切って、刃先を規定の力の下で一度引く。いくつかの異なる力で、最初の接触から切断までに引いた距離を記録し、切断までの距離の関数として力のグラフを構築する。グラフから、距離25ミリメートルにおける切断のための力を判定し、正規化して、ブレードサプライの一貫性を確証する。正規化した力を切断抵抗力として報告する。
【0050】
刃先は、70ミリメートル長さの刃縁を有するステンレス鋼ナイフブレードである。ブレードサプライは、試験の開始および終了時に、ネオプレンキャリブレーション材料上で400gの負荷を使用して較正される。各切断試験で新しい刃先を使用する。
【0051】
サンプルは、縦糸と横糸方向から45度のバイアスで切断された、50×100ミリメートルの布帛の長方形断片である。マンドレルは半径38ミリメートルの丸い導電性バーであり、サンプルは両面テープを使用してそこに取り付けられる。マンドレルの長軸方向に直角に、マンドレル上の布帛を横切って刃先を引く。刃先がマンドレルと電気的に接触したら、切断を記録する。
【0052】
快適性
本発明に関連した快適性の試験では、各アイテムについて手袋サンプルを調製して、快適性および感触について試験した。試験者は、アイテムが何であるかを知らずに各手袋を試した。試験者は、手袋のフィット性および快適性に従って、アイテムを格付けするように依頼された。フィット性とは、手袋が手にいかに良く適合するかを意味する。快適性とは、試験者にとって手袋が緩すぎるまたはきつすぎると感じるかかどうかを意味する。
【0053】
目的は、最適度の機敏さがあり、手袋がきつすぎるまたは緩すぎると感じることなく、手にぴったり合う手袋を選択することであった。試験者は全ての手袋サンプルを評価し、下の表に格付けを平均して報告する。
【実施例】
【0054】
無機コアを有する単糸の調製
抗切断アラミド繊維およびステンレス鋼モノフィラメントを含んでなるシース/コア単糸を製造した。アラミド繊維は、ケブラー(Kevlar)(登録商標)ステープルアラミド繊維タイプ970の商品名の下にE.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I. du Pont de Nemours and Company)から販売される、長さ約3.8センチメートルでフィラメントあたり1.6dtexのポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)繊維であった。鋼モノフィラメントは、ベキノックス(Bekinox)(登録商標)VN50/1の商品名の下にベカルト(Bekaert Corporation)から販売される50μm直径の304Lステンレス鋼であった。
【0055】
短いステープルリングスパン糸の加工に使用される標準梳綿機を通してアラミド繊維を供給し、カードスライバを製造した。二路式延伸(破砕/仕上げ延伸)を使用して、カードスライバを延伸スライバに加工して、粗紡枠上で加工して1.2ハンク(4920dtex)の粗紡を製造した。
【0056】
粗紡の二端をリング精紡してシース−コア糸を製造し、撚る直前に鋼コアを挿入した。これらの実施例では、最終ドラフト・ローラーの直前に、鋼コアを2本の延伸粗紡末端の間で中央にそろえた。「Z」上撚りで30.1の撚り係数(3.15綿番手TM)を使用して、14/1sccの糸(421dtexの線密度)を製造した。
【0057】
エラストマー単糸の調製
アラミド抗切断ステープルファイバーおよび弾性フィラメントを含んでなるエラストマー単糸を製造した。アラミド繊維は、ここでもケブラー(Kevlar)(登録商標)ステープルアラミド繊維タイプ970の商品名の下にE.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I. du Pont de Nemours and Company)から販売される、長さ約3.8センチメートルでフィラメントあたり1.6dtexのポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)繊維であった。エラストマーは、ライクラ(Lycra)(登録商標)スパンデックス合体モノフィルタイプ146の商品名の下にE.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I. du Pont de Nemours and Company)から販売される、44dtex合体モノフィルのスパンデックス組成物であった。
【0058】
短いステープルリングスパン糸の加工で使用される標準梳綿機を通して、アラミド繊維を供給しカードスライバを製造した。二路式延伸(破砕/仕上げ延伸)を使用して、カードスライバを延伸スライバに加工し、粗紡枠上で加工して1.2ハンク(4920dtex)の粗紡を製造した。
【0059】
粗紡の二端をリング精紡して、スパンデックスコアがあるシース−コア糸を製造し、撚る直前に1本または2本の伸張スパンデックスコアを挿入した。最終ドラフト・ローラーの直前に、スパンデックスコア(群)を2本の延伸粗紡末端の間で中央にそろえた。最終糸速度(S1)よりも遅い速度(S2)で材料をアンダーフィードして、スパンデックスを伸張/延伸した。各アイテムにおいて、「Z」上撚りで30.1の撚り係数(3.15綿番手TM)を使用して、18/1scc糸(328dtexの線密度)を製造した。スパンデックスコア無しの対照糸もまた製造した。
【0060】
スパンデックスコアの一端および二端を5つの異なるレベルの伸張で使用した。伸張または伸展量は、最初のスパンデックス供給装置速度(S2)と最終ドラフト・ローラー(and糸)速度(S1)との速度比によって定まり、この比率(S1/S2)は、下の表で伸展または延伸比率として示される。
【0061】
以下のエラストマー単糸を製造した。
【0062】
【表2】

【0063】
上撚り糸、布帛、および手袋の調製
738dtex線密度の最終線密度で、上述の18/1scc対照および伸長されたスパンデックスコア(群)糸(1.〜8.)および本実施例の始めに述べた14/1sccの50μm鋼コア糸のそれぞれを重ねて、8本の異なる上撚り糸を製造した。
【0064】
試験を実施して、最終上撚り糸の伸展−回復特性に対する上撚りの効果を判定した。上撚りの最適レベルを得た。弛緩状態では、糸の上撚りが低すぎると、構造は圧迫されているスパンデックス含有糸構成要素から崩壊する。反対に上撚りが高すぎると、スパンデックス−含有構成要素が最終布帛形態において所望の伸展回復特性を示すのに十分な可動性が、構造中にない。
【0065】
上撚りの最適レベルは、上撚り糸の線密度およびその構成要素、およびスパンデックス含有糸の伸展比および線密度に左右される。これらの上撚り糸の実施例では、センチメートルあたり2回転(インチあたり5.0回転)のレベルの「S」上撚りを選択した(16.9の撚り係数(1.77綿番手TM)と等しい)。
【0066】
標準13ゲージのシーマセイキ(Sheima Seiki)手袋編み機を使用して、上撚り糸を試験布帛サンプルに編んだ。手袋を製造して、引き続く快適性、フィット性、および機敏さ試験のための手袋サンプルを提供した。上撚り糸の一端を供給して手袋サンプルを製造し、約(7.5oz/yd2)0.26kg/mの手袋サンプルを得た。手袋サンプルを糸含量および快適性/フィット性試験結果と共に、下の表に示す。
【0067】
手袋アイテム5は、最良の快適性、フィット性、および機敏さを示すサンプルであった。手袋アイテム5の次点のサンプルの快適性、フィット性、および機敏さの格付けは、手袋アイテム4、次に手袋アイテム6、次に手袋アイテム3、次に手袋アイテム2などであり、対照手袋アイテムAが最悪だった。
【0068】
次にエラストマー単糸の製造を単純化する一助として、アイテム5の単一エラストマー糸中で使用された二端に対して、単一エラストマー糸中でスパンデックスの一端のみを使用して手袋アイテム8を創成し、手袋アイテム5の快適性、フィット性、および機敏さ性能を複写した。前述のようにしてエラストマー単糸を製造したが、それは77dtexスパンデックス末端ライクラ(Lycra)(登録商標)タイプ146スパンデックス合体モノフィルのみを使用して製造した。このエラストマー単糸を前述したのと同じアラミド繊維シース/金属コア単糸と上撚りして上撚り糸を製造し、次にそれを前と同じようにして手袋に編んで手袋アイテム8を製造した。試験すると、手袋アイテム8は、手袋アイテム5と同等の快適性、フィット性、および機敏さを有した。手袋アイテム8のデータを表に示す。
【0069】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】は、本発明の布帛で使用される上撚り糸の図示である。
【図2】は、本発明の布帛の上撚り糸中で使用される単糸の図示であり、単糸は抗切断ステープルファイバーのシースおよび無機繊維コアのシース/コア構造を有する。
【図3】は、本発明の布帛の上撚り糸中で使用される単糸の図示であり、単糸はステープルファイバーおよび弾性フィラメント(群)の組み合わせを有する。
【図4】は、弾性繊維を抗切断ステープルファイバーの単糸中に組み込むためのプロセスの図示である。
【図5】は、上撚り糸を形成する単糸、および2本の上撚り糸からできた糸束の可能な組み合わせの略図である。
【図6】は、上撚り糸を形成する単糸、および2本を超える上撚り糸からできた糸束の可能な組み合わせの略図である。
【図7】は、上撚り糸または単糸束からできた本発明の布帛の図示である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)抗切断(cut−resistant)ステープルファイバーを含んでなるシースと、無機繊維を含んでなるコアとのシース/コア構造を有する少なくとも1つの単糸、および
(b)抗切断ステープルファイバーおよび少なくとも1つの連続弾性フィラメントを含んでなり、かつ無機繊維を含まないまたは実質的に含まない少なくとも1つの単糸
を含んでなる、抗切断布帛で使用するための上撚り糸(ply−twisted yarn)。
【請求項2】
無機繊維がガラス繊維ではない、請求項1に記載の上撚り糸。
【請求項3】
無機繊維が金属繊維である、請求項2に記載の上撚り糸。
【請求項4】
糸が4.8〜28.7のTexシステム撚り係数(0.5〜3.0の綿番撚り係数)で上撚りされる、請求項1に記載の上撚り糸。
【請求項5】
糸が6.7〜20のTexシステム撚り係数(0.7〜2.1の綿番撚り係数)で上撚りされる、請求項4に記載の上撚り糸。
【請求項6】
抗切断ステープルファイバーがポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)である、請求項1に記載の上撚り糸。
【請求項7】
弾性繊維がスパンデックス繊維である、請求項1に記載の上撚り糸。
【請求項8】
請求項1に記載の上撚り糸を含んでなる抗切断布帛。
【請求項9】
請求項1に記載の上撚り糸を含んでなる抗切断物品。
【請求項10】
(a)抗切断ステープルファイバー含んでなるシースと、無機繊維を含んでなるコアとのシース/コア構造を有する少なくとも1つの単糸、および
(b)抗切断ステープルファイバーおよび少なくとも1つの弾性フィラメントを含んでなり、かつ無機繊維を含まないまたは実質的に含まない少なくとも1つの単糸
を含んでなる、糸束からできた抗切断布帛。
【請求項11】
糸束が(b)の単糸と上撚りされた(a)の単糸を含んでなる、請求項10に記載の抗切断布帛。
【請求項12】
無機繊維がガラス繊維ではない、請求項10に記載の抗切断布帛。
【請求項13】
無機繊維が金属繊維である、請求項12に記載の抗切断布帛。
【請求項14】
請求項10に記載の抗切断布帛を含んでなる、抗切断物品。
【請求項15】
(a)i)抗切断ステープルファイバー、および張力下で伸長されながら第1の単糸中に組み込まれる連続弾性フィラメントを含んでなり、かつ無機繊維を含まないまたは実質的に含まない少なくとも1つの第1の単糸と、
ii)抗切断ステープルファイバーを含んでなるシースと、無機繊維コアとのシース/コア構造を有する少なくとも1つの第2の単糸と
を組み合わせ、そして、
(b)第1および第2の単糸を共に上撚りされて上撚り糸を形成する
ことを含んでなる、抗切断布帛のための撚り糸の製造方法。
【請求項16】
第1の単糸が、4.8〜28.7のTexシステム撚り係数(0.5〜3.0の綿番撚り係数)で第2の単糸と上撚りされる、請求項15に記載の上撚り糸の製造方法。
【請求項17】
(a)i)抗切断ステープルファイバー、および張力下で伸長されながら第1の単糸中に組み込まれる連続弾性フィラメントを含んでなり、かつ無機繊維を含まないまたは実質的に含まない少なくとも1つの第1の単糸と、
ii)抗切断ステープルファイバーを含んでなるシースと、無機繊維コアとのシース/コア構造を有する少なくとも1つの第2の単糸と
を含んでなる糸束を形成し、そして
(b)糸束を布帛に編むまたは織る
ことを含んでなる、抗切断布帛の製造方法。
【請求項18】
糸束が(ii)の単糸と上撚りされる(i)の単糸を含んでなる、請求項17に記載の抗切断布帛の製造方法。
【請求項19】
第1の単糸が4.8〜28.7のTexシステム撚り係数(0.5〜3.0の綿番撚り係数)で第2の単糸と上撚りされる、請求項18に記載の抗切断布帛の製造方法。
【請求項20】
無機繊維がガラス繊維ではない、請求項18に記載の抗切断布帛の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2007−510072(P2007−510072A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538313(P2006−538313)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/036023
【国際公開番号】WO2005/042816
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】