説明

切断装置および切断方法

【課題】 連続して走行するシート状ワークの端部に、不等ピッチで切り込みを入れ、大幅に生産性を向上することが出来る切断装置および切断方法を提供すること。
【解決手段】 シート状ワークの走行に追従して回転する送りロールと、シート状ワークを介して送りロールに対向した位置に配置された円筒型のナイフロールとを備え、
前記ナイフロールの外周に、シート状ワークに所定のカットパターンの切り込みを入れる刃の部分と、刃の無い部分とが設けられており、
前記ナイフロールがシート状ワークに追従して回転させて所定のカットパターンの切り込みを入れる機構と、前記ナイフロールを停止させ刃の無い部分でシート状ワークを空送りさせる機構と、を備えた切断装置および切断方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続して走行するシートの端部に切り込みを入れる切断装置および切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、倦回式のリチウムイオン電池などに用いられている発電素子の電極体は、炭素質物質を含有する活性物質が表裏両面に塗布されたアルミニウム薄膜の負極と、多孔性のポリプロピレンシートであるセパレータと、リチウムニッケル酸化物やリチウムコバルト酸化物などを含有する活性物質が表裏両面に塗布された銅薄膜の正極とを、正極が最外周に配置されるようにして渦巻き状に倦回して作成されている。
【0003】
これらの製造過程において、表裏両面に活性物質が塗布されたアルミニウム薄膜の負極や銅薄膜の正極は、シート状ワークとして供給されており、シート状ワークの端部は電極であるタブを形成するために切り込みが入れられている。シート状ワークは渦巻き状に倦回され、電極であるタブが一箇所に集められる。そのため、タブの切り込みを入れる位置は等間隔のピッチで形成されずに、シート状ワークの倦回による巻太りを考慮して隣り合うタブのピッチを徐々に広げて切り込みを入れるようにしている。具体的には、シート状ワークの厚さや倦回時のシート状ワークとセパレータとの間隔などを考慮して、巻太りに合わせてタブの切り込みピッチを可変させていくことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−44808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、タブの切り込みは、シート状ワークを所定の長さだけ間欠送りしながらトムソン刃等を用いて切り込みを入れる方法が行われている。静止しているシート状ワークに対してトムソン刃等を用いて切り込みを入れているので、カット面のバリやカエリ等の品質が良好となる利点を有している。しかし、間欠送りにより、生産効率を上げることが出来ないという問題がある。
【0006】
一方、シート状ワークを走行させながら、連続的に端部に切り込みを入れる装置として特許文献1のような装置が開示されている。特許文献1には、ローラの外周面にその周方向に沿った切断用の刃が設けられており、シート状ワークの走行に追従してローラを回転させて切り込みを入れる構成となっている。しかし、このような構成の装置では定型の連続した切り込みを等ピッチで行うことはできても、切り込みのパターンを不等ピッチで行うことは出来ない。
【0007】
そこで、本発明の課題は、連続して走行するシート状ワークの端部に、不等ピッチで切り込みを入れ、大幅に生産性を向上することが出来る切断装置および切断方法を提供することとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
連続して走行するシート状ワークの端部に、切り込みを入れる切断装置であって、
シート状ワークの走行に追従して回転する送りロールと、シート状ワークを介して送りロールに対向した位置に配置された円筒型のナイフロールとを備え、
前記ナイフロールの外周に、シート状ワークに所定のカットパターンの切り込みを入れる刃の部分と、刃の無い部分とが設けられており、
前記ナイフロールがシート状ワークに追従して回転させて所定のカットパターンの切り込みを入れる機構と、前記ナイフロールを停止させ刃の無い部分でシート状ワークを空送りさせる機構と、を備えた切断装置である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、
前記ナイフロールをシート状ワークに追従して回転させるタイミングと、前記ナイフロールを停止させるタイミングと、を調整するタイミング調整ユニットを備えた請求項1に記載の切断装置である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、
連続して走行するシート状ワークの端部に、少なくとも2組のカッタユニットを交互に動作させて切り込みを入れる切断装置であって、
前記カッタユニットは、シート状ワークの走行に追従して回転する送りロールと、シート状ワークを介して送りロールに対向した位置に配置された円筒型のナイフロールとを備え、
前記ナイフロールの外周に、シート状ワークの端部に所定のカットパターンの切り込みを入れる刃の部分と、外周に刃の無い部分とが設けられており、
前記ナイフロールがシート状ワークに追従して回転させて所定のカットパターンの切り込みを入れる機構と、前記ナイフロールを停止させ刃の無い部分でシート状ワークを空送りさせる機構とを備え、
前記ナイフロールをシート状ワークに追従して回転させるタイミングと、前記ナイフロールを停止させるタイミングと、を調整するタイミング調整ユニットを備え、
一方のカッタユニットでシート状ワークの端部に所定のカットパターンの切り込みを入れるタイミングと、他方のカッタユニットでシート状ワークの切り込みの入っていないところに所定のカットパターンの切り込みを入れる、もしくは切り込みを加える、タイミングと、を調整する位相調整ユニットを備えた切断装置である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、
所定のカットパターンが凸形状である請求項1から3のいずれかに記載の切断装置である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、
連続して走行するシート状ワークの端部に、切断装置を用いて切り込みを入れる切断方法であって、
前記切断装置は、シート状ワークの走行に追従して回転する送りロールと、シート状ワークを介して送りロールに対向した位置に配置された円筒型のナイフロールとを備え、
前記ナイフロールの外周に、シート状ワークの端部に所定のカットパターンの切り込みを入れる刃の部分と、外周に刃の無い部分とが設けられており、
前記ナイフロールをシート状ワークに追従して回転させて所定のカットパターンの切り込みを入れるステップと、
前記ナイフロールを停止させ外周に刃の無い部分でシート状ワークを空送りさせるステップとを有する切断方法である。
【0013】
請求項6に記載の発明は、
連続して走行するシート状ワークの端部に、切断装置を用いて切り込みを入れる切断方法であって、
前記切断装置は、少なくとも2組のカッタユニットから構成されており、
前記カッタユニットは、シート状ワークの走行に追従して回転する送りロールと、シート状ワークを介して送りロールに対向した位置に配置された円筒型のナイフロールとを備え、
前記ナイフロールの外周に、シート状ワークの端部に所定のカットパターンの切り込みを入れる刃の部分と、外周に刃の無い部分とが設けられており、
一方のカッタユニットでシート状ワークの端部に所定のカットパターンの切り込みを入れるステップと、
他方のカッタユニットでシート状ワークの切り込みの入っていないところに所定のカットパターンの切り込みを入れる、もしくは切り込みを加える、ステップとを有する切断方法である。
【0014】
請求項7に記載の発明は、
所定のカットパターンが凸形状である請求項5または6に記載の切断方法である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、円筒型のナイフロールと送りロールとをシート状ワークに追従して回転させ、連続して走行しているシート状ワークに、所定のカットパターンの切り込みを入れることが出来る。そして、ナイフロールの刃の無い部分でシート状ワークを空送りすることにより、シート状ワークは切り込みが入ることなく走行する。
【0016】
そのため、シート状ワークを空送りする時間を変更するこで、任意のピッチで所定のカットパターンの切り込みを入れることが出来る。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、ナイフロールをシート状ワークに追従して回転させるタイミングと、ナイフロールを停止させるタイミングと、を調整するタイミング調整ユニットを備えているので、ナイフロールの刃の無い部分がシート状ワークを空送りする時間を調整することができる。
【0018】
従って、このようなタイミング調整ユニットを備えることによりシート状ワークの端部に不等ピッチで所定のカットパターンの切り込みを行うことが出来る。シート状ワークの厚さや倦回時のシート状ワークとセパレータとの間隔などを考慮して、巻太りに合わせて所定のカットパターンの切り込みピッチを可変させることもできる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、連続して走行するシート状ワークの走行方向に、少なくとも2組のカッタユニットを備えており、1組のカッタユニットが円筒型のナイフロールと送りロールとタイミング調整ユニットとから構成されているので、連続して走行しているシート状ワークに不等ピッチで所定のカットパターンの切り込みを入れることが出来る。一方のカッタユニットで、切り込みを入れるタイミングと、他方のカッタユニットでシート状ワークを空送りしている部分である切り込みの入っていない部分に所定のカットパターンの切り込みをいれるように、タイミングを調整する位相調整ユニットを備えることにより、シート状ワークの端部に連続して不等ピッチで所定のカットパターンの切り込みを入れることが出来る。
【0020】
従って、シート状ワークが連続して走行しながら不等ピッチの所定のカットパターンの切り込みが入るので、大幅に生産性が上がる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、カットパターンが凸形状であるので、二次電池の製造工程において、表裏両面に活性物質が塗布されたアルミニウム薄膜の負極や、銅薄膜の正極に用いるシート状ワークの端部に形成されるタブの切り込みに好適に用いることが出来る。なお、所定のカットパターンは、例えば、凸形状、丸、四角の形状や、凹形状、凸部や凹部が三角形などの形状などを用いることも出来る。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、円筒型のナイフロールと送りロールとをシート状ワークに追従して回転させ、連続して走行しているシート状ワークに、所定のカットパターンの切り込みを入れることが出来る。そして、ナイフロールの刃の無い部分でシート状ワークを空送りすることにより、シート状ワークは切り込みが入ることなく走行する。そのため、シート状ワークに切り込みを入れない間隔を調整することにより、シート状ワークの端部に不等ピッチで所定のカットパターンの切り込みを行うことが出来る。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、一方のカッタユニットで、切り込みを入れ、他方のカッタユニットでシート状ワークを空送りしている部分である切り込みの入っていない部分に所定のカットパターンの切り込みをいれるので、シート状ワークの端部に連続して不等ピッチで所定のカットパターンの切り込みを入れることが出来る。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、カットパターンが凸形状であるので、二次電池の製造工程において、表裏両面に活性物質が塗布されたアルミニウム薄膜の負極や、銅薄膜の正極に用いるシート状ワークの端部に形成されるタブの切り込みに好適に用いることが出来る。なお、所定のカットパターンは、例えば、凸形状、丸、四角の形状や、凹形状、凸部や凹部が三角形などの形状などを用いることも出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態の切断装置を説明する斜視図である。
【図2】送りロールとナイフロールの関係を説明する側面図である。
【図3】シート状ワークに切り込みを入れた状態を説明する図である。
【図4】タイミング調整ユニットをクラッチとカム機構で構成した切断装置の斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態の切断装置を説明する斜視図である。
【図6】シート状ワークに切り込みを入れた状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0027】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態の切断装置1の概略斜視図である。切断装置1に向かって手前方向をX軸、横方向をY軸、X軸とY軸で構成されるXY平面に直交する軸をZ軸とする。
【0028】
切断装置1は、支持板10と、支持板10に対してX+方向に配置されている送りロール11とナイフロール12と、支持板10に対してX−方向に配置されている送りロール11を駆動する駆動モータ13とナイフロール12を駆動するタイミング調整ユニット14と、から構成されている。
【0029】
支持板10は、駆動モータ13およびタイミング調整ユニット14を支持している。支持板10には図示していない貫通穴が2箇所設けられており、一方の貫通穴には駆動モータ13に連結された駆動軸15が貫通している。他方の貫通穴にはタイミング調整ユニット14に連結された駆動軸16が貫通している。駆動軸15には送りロール11が連結されており、駆動モータ13により駆動されるようになっている。駆動軸16はナイフロール12に連結されており、タイミング調整ユニット14により駆動タイミングが調整されるようになっている。
【0030】
送りロール11は、円筒状のロールで、駆動モータ13により回転駆動されている。送りロール11の外周の周速は、シート状ワーク2の走行速度Vと同じ速度になっている。送りロール11のロール表面で対向した位置に配置されたナイフロール12の外周に設けられた刃17を受け止め、シート状ワーク2を刃17で押し切りすることにより切り込みを入れるようになっている。(なお、押し切りする際は、ナイフロール12も送りロール11と同じ速度で回転している。)これにより、シート状ワーク2のカット面はバリやカエリのない良好な品質が保たれるようになっている。また、送りロール11の周速をシート状ワーク2と同じ速度にして、切り込みを入れる際に皺や引っ張りなどが発生しないようにしている。
【0031】
ナイフロール12の外周には刃17が凸状に配置されている。また、ナイフロール12の外周には刃の無い部分18が設けられている。本実施の形態では、ナイフロール12の外周に4ヶの凸状の刃17と、4ヶの刃の無い部分18が設けられた例を示している。切り込み形状に応じて刃の無い部分18は、少なくとも1ヶあればよい。
【0032】
送りロール11とナイフロール12とシート状ワーク2との関係を図2の側面図に示す。図2に示すように、ナイフロール12において、刃17の有る部分の径r1と刃の無い部分18の径r2は、r1>r2の関係がある。また、ナイフロール12の刃の無い部分18は、シート状ワーク2の走行距離Lに対応する。図2において、シート状ワーク2は速度Vで走行している。これに対して送りロール11がA方向に回転し、対向して配置されているナイフロール12がB方向に送りロール11と同速で回転する。1/4周回転したときのシート状ワーク2のカットパターンを図3(a)に示す。図3(a)に示すように、ナイフロール12の円周上で刃のない部分18に対応する長さLは切り込みが入いらない。ナイフロール12の刃17が有る部分では凸形状のカットパターンの切り込みがシート状ワーク2に入る。
【0033】
次に、ナイフロール12の刃の無い部分18がシート状ワーク側に配置された時(図2に示す位置)に、ナイフロール12のB方向への回転を一時停止した場合のカットパターンを説明する。シート状ワーク2は、ナイフロール12の刃の無い部分18と送りロール11との間を、刃17に接触することなく速度Vで通過する。このときのシート状ワーク2のカットパターンを図3(b)に示す。図3(b)に示すように、シート状ワーク2には、上記の刃のない部分18に対応する長さLおよび、ナイフロール12の回転停止時間Tに通過するシート状ワーク2の長さLtだけ切り込みが入らない。
【0034】
ナイフロール12を駆動するタイミング調整ユニット14は、これらナイフロール12の回転停止時間Tおよび、ナイフロール12の刃の無い部分18がシート状ワーク2側に配置されるタイミングを調整できるようになっている。従って、タイミング調整ユニット14を用いることにより、凸形状のカットパターンの切り込みを不等ピッチでシート状ワーク2に入れることが出来るようになる。
【0035】
図1にもどり、本実施の形態では、シート状ワーク2の走行方向(Y軸方向)に対して両側に凸形状の切り込みを入れるため、ナイフロール12の手前側および奥側(X軸+側および−側)に、ナイフロール12の刃17および刃の無い部分18を設けている。なお、ナイフロール12に設けられる刃17および刃の無い部分18は、製品となる二次電池のタブの配置により適宜変更される。例えば、シート状ワーク2の片側だけに凸形状のカットパターンを入れる場合は、ナイフロール12の手前側もしくは奥側の片側だけに刃17および刃の無い部分18を設ける様にする。
【0036】
本実施の形態では、図1に示すように、タイミング調整ユニット14をサーボモータ40で構成した例を説明する。サーボモータ40は、ナイフロール12を駆動する軸16に連結されており、ナイフロール12を回転および停止制御している。図2に示すように、ナイフロール12の刃の無い部分18がシート状ワーク2側に配置された際に、所定の停止時間Tだけ停止するように制御されている。サーボモータ40の停止時間Tを制御することにより、不等ピッチの切り込みをシート状ワーク2に入れることが出来る。停止時間Tをゼロ(0)にすることにより、ナイフロール12を停止せずに続行して回転させることもできる。この場合、シート状ワーク2に入る切り込みは等ピッチとなる。
【0037】
図4は、タイミング調整ユニット14をクラッチ22とカム機構29を用いて構成した例である。送りロール11に連結された駆動軸15には歯車20が設けられている。歯車20は、タイミング調整ユニット14内に設けられた歯車21と噛み合いクラッチ22を回転させる。タイミング調整ユニット14内では、クラッチ連結用モータ28がカップリング27を介してカム機構29と連結されている。クラッチ連結用モータ28の回転タイミングに合わせてカム機構29が動作し、クラッチ22が、ナイフロール18の駆動軸16と、駆動モータ13の駆動軸15とを、歯車20と歯車21を介して連結するようにしている。また、クラッチ連結用モータ28の回転タイミングにより、クラッチ22は連結が切れてナイフロール12が停止するように構成されている。このような、クラッチ22とカム機構29を用いてタイミング調整ユニット14を構成しても良い。機械的にナイフロール12の回転および停止を行っているので耐久性に優れたタイミング調整ユニット14となる。
【0038】
以上説明した構成の切断装置1を用いて、シート状ワーク2の両端部に凸形状の切り込みを不等ピッチで入れることが出来る。なお、ナイフロール12に設ける刃17および刃の無い部分18の配置により、シート状ワーク2の片側だけに凸形状の切り込みを不等ピッチで入れるようにしても良い。
【0039】
次に、図面を参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0040】
[第2の実施の形態]
図5は、本発明の第2の実施の形態の切断装置100の概略斜視図である。切断装置100は、第1の実施の形態で説明した切断装置1を連続して走行するシート状ワーク2の走行方向に2台備えた構成である。以下、切断装置1をカッタユニットと呼び、それぞれをカッタユニットCa、カッタユニットCbと表記する。切断装置100は、カッタユニットCaとCbのタイミング調整ユニット14a,14bのタイミングを調整する位相調整ユニット50を備えている。位相調整ユニット50は、シート状ワーク2の走行速度VおよびカッタユニットCa,Cbの間隔Dから、シート状ワーク2に連続して凸形状のカットパターンの切り込みを入れるタイミングを調整している。シート状ワーク2は、カッタユニットCa側からカッタユニットCb側に連続して走行している。
【0041】
なお、凸状の刃17a,17bについて、シート状ワーク2の片側を例として、その出っ張り部31と平坦部32とに分けて説明する。シート状ワーク2に切り込みを入れるナイフロール12a,12bは、各刃17a,17bに設けられた平坦部32が同一線上となるように構成されている。
【0042】
図6にタイミングを調整したカットパターンの状態を示す。説明のため、カッタユニットCaで切り込みを入れたカットパターンを図6(a)上側に示し、カッタユニットCbで切り込みを入れたカットパターンを図6(a)下側に示す。カッタユニットCaおよびCbのタイミング調整ユニット14a,14bは、ナイフロール12a,12bの回転を連続して行う状態とする(刃の無い部分18a,18bがシート状ワーク2側に配置したときにナイフロール12a,12bを停止しない)。
【0043】
位相調整ユニット50は、図6(a)上側のカットパターンがカッタユニットCaのナイフロール12aで形成されている状態で、カッタユニットCbのナイフロール12bの刃17bと刃の無い部分18bが図6(a)の下側のタイミングになるように調整する(切り込みの入らなかった18aの部分に17bの刃のタイミングが来るようにする)。具体的には、カッタユニットCaで凸形状のカットパターンの切り込みを入れ、カッタユニットCbの凸形状の刃17bの出っ張り部31が、カッタユニットCaの刃の無い部分18aに対応するようにタイミングを調整する。そうすると、カッタユニットCaの刃17aの平坦部32と、カッタユニットCbの刃17bの平坦部32とが同じ箇所をに切り込みを入れ、さらに、平坦部図6(b)に示すように連続した凸形状のカットパターンの切り込みが形成されるようになる。
【0044】
次に、図6(c)を用いて、カッタユニットCa,Cbのタイミング調整ユニット14a,14bに停止時間Tを設定した場合を説明する。カッタユニットCa,Cbの刃17a,17bと刃の無い部分18a,18bが、シート状ワーク2に凸形状のカットパターンの切り込みを入れる。切り込みが入らない部分18a,18bは、設定されている停止時間Tから刃の無い部分18a,18bのナイフロール12a,12bの長さおよび停止時間Tで走行するシート状ワーク2の走行距離Ltだけ切り込みが入らない。カッタユニットCaのナイフロール12aの刃17aで凸形状のカットパターンの切り込みを入れた後、刃の無い部分18aでシート状ワークを空送りしたL+Ltの中央部に、カッタユニットCbのナイフロール12bの刃17bの出っ張り部31が配置されるように位相調整ユニット50のタイミングを調整する。そうすると、カッタユニットCaの刃17aの平坦部32と、カッタユニットCbの刃17bの平坦部32とが部分的に同じ箇所に切り込みを入れ、さらに、図6(d)に示すような連続した凸形状のカットパターンの切り込みが形成されるようになる。図6(d)に形成した凸形状のカットパターンのピッチは、図6(b)に示した凸形状のピッチに比べてLt/2だけ拡がって形成されるようになる。
【0045】
このように、各カットユニットCa,Cbの切り込みを入れるタイミングを位相調整ユニット50を用いて調整することにより、シート状ワーク2に不等ピッチで凸形状のカットパターンの切り込みを入れることが出来るようになる。
【0046】
本発明の実施の形態では、カッタユニットCa,Cbを用いて凸形状のカットパターンの切り込みを不等ピッチで入れる装置を構成したが、例えば、カッタユニット3台もしくはそれ以上の複数台用いて、カットパターンをシート状ワーク2に入れるようにしても良い。
【符号の説明】
【0047】
1 切断装置
2 シート状ワーク
10,10a,10b 支持板
11,11a,11b 送りロール
12,12a,12b ナイフロール
13,13a,13b 駆動モータ
14,14a,14b タイミング調整ユニット
15 駆動軸
16 駆動軸
17,17a,17b 刃
18,18a,18b 刃の無い部分
20 歯車
21 歯車
22 クラッチ
27 カップリング
28 クラッチ連結用モータ
29 カム機構
31 出っ張り部分
32 平坦部
40 サーボモータ
50 位相調整ユニット
100 切断装置
Ca,Cb カッタユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続して走行するシート状ワークの端部に、切り込みを入れる切断装置であって、
シート状ワークの走行に追従して回転する送りロールと、シート状ワークを介して送りロールに対向した位置に配置された円筒型のナイフロールとを備え、
前記ナイフロールの外周に、シート状ワークに所定のカットパターンの切り込みを入れる刃の部分と、刃の無い部分とが設けられており、
前記ナイフロールがシート状ワークに追従して回転させて所定のカットパターンの切り込みを入れる機構と、前記ナイフロールを停止させ刃の無い部分でシート状ワークを空送りさせる機構と、を備えた切断装置。
【請求項2】
前記ナイフロールをシート状ワークに追従して回転させるタイミングと、前記ナイフロールを停止させるタイミングと、を調整するタイミング調整ユニットを備えた請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
連続して走行するシート状ワークの端部に、少なくとも2組のカッタユニットを交互に動作させて切り込みを入れる切断装置であって、
前記カッタユニットは、シート状ワークの走行に追従して回転する送りロールと、シート状ワークを介して送りロールに対向した位置に配置された円筒型のナイフロールとを備え、
前記ナイフロールの外周に、シート状ワークの端部に所定のカットパターンの切り込みを入れる刃の部分と、外周に刃の無い部分とが設けられており、
前記ナイフロールがシート状ワークに追従して回転させて所定のカットパターンの切り込みを入れる機構と、前記ナイフロールを停止させ刃の無い部分でシート状ワークを空送りさせる機構とを備え、
前記ナイフロールをシート状ワークに追従して回転させるタイミングと、前記ナイフロールを停止させるタイミングと、を調整するタイミング調整ユニットを備え、
一方のカッタユニットでシート状ワークの端部に所定のカットパターンの切り込みを入れるタイミングと、他方のカッタユニットでシート状ワークの切り込みの入っていないところに所定のカットパターンの切り込みを入れる、もしくは切り込みを加える、タイミングと、を調整する位相調整ユニットを備えた切断装置。
【請求項4】
所定のカットパターンが凸形状である請求項1から3のいずれかに記載の切断装置。
【請求項5】
連続して走行するシート状ワークの端部に、切断装置を用いて切り込みを入れる切断方法であって、
前記切断装置は、シート状ワークの走行に追従して回転する送りロールと、シート状ワークを介して送りロールに対向した位置に配置された円筒型のナイフロールとを備え、
前記ナイフロールの外周に、シート状ワークの端部に所定のカットパターンの切り込みを入れる刃の部分と、外周に刃の無い部分とが設けられており、
前記ナイフロールをシート状ワークに追従して回転させて所定のカットパターンの切り込みを入れるステップと、
前記ナイフロールを停止させ外周に刃の無い部分でシート状ワークを空送りさせるステップとを有する切断方法。
【請求項6】
連続して走行するシート状ワークの端部に、切断装置を用いて切り込みを入れる切断方法であって、
前記切断装置は、少なくとも2組のカッタユニットから構成されており、
前記カッタユニットは、シート状ワークの走行に追従して回転する送りロールと、シート状ワークを介して送りロールに対向した位置に配置された円筒型のナイフロールとを備え、
前記ナイフロールの外周に、シート状ワークの端部に所定のカットパターンの切り込みを入れる刃の部分と、外周に刃の無い部分とが設けられており、
一方のカッタユニットでシート状ワークの端部に所定のカットパターンの切り込みを入れるステップと、
他方のカッタユニットでシート状ワークの切り込みの入っていないところに所定のカットパターンの切り込みを入れる、もしくは切り込みを加える、ステップとを有する切断方法。
【請求項7】
所定のカットパターンが凸形状である請求項5または6に記載の切断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−11265(P2011−11265A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154721(P2009−154721)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】