切断装置及びアンビルロール及びダイカットロール
【課題】切断面が綺麗に処理されたブリスター包装材を得る。
【解決手段】複数の凸部2が一体に形成されたシート材1を切断する切断装置12において、前記シート材を切断・加工する切断刃6を外周に備えたダイカットロール15と、前記ダイカットロールとの間に前記シート材を挿通させて前記ダイカットロールと共に回転して切断刃を受けるアンビルロール16と、前記ダイカットロールもしくは前記アンビルロールの少なくとも一方の周面に設けられ回転時に前記シート材の前記凸部が挿入される凹部18とを備えた。
【解決手段】複数の凸部2が一体に形成されたシート材1を切断する切断装置12において、前記シート材を切断・加工する切断刃6を外周に備えたダイカットロール15と、前記ダイカットロールとの間に前記シート材を挿通させて前記ダイカットロールと共に回転して切断刃を受けるアンビルロール16と、前記ダイカットロールもしくは前記アンビルロールの少なくとも一方の周面に設けられ回転時に前記シート材の前記凸部が挿入される凹部18とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の凸部が一体に形成されたシート材を切断する切断装置、及び切断装置に備えられるアンビルロール、ダイカットロールに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の凸部が一体に形成されたシート材、例えば、シートに凸状の収容部が形成され、被包装物が収容された状態で収容部の開口側の面に金属箔を貼り合わせて収容部が密閉されるブリスター包装材が、薬品の錠剤や菓子類、料理材料の収容に用いられている。ブリスター包装材は、複数の収容部を一つの単位としてシート材から切断分離された一パックのブリスター包装材とされている。
【0003】
ブリスター包装材には凸状の収容部を区切るミシン目が形成され、一つの収容部を切り離すことができるようになっている。被包装材、例えば、錠剤を取り出す場合、ミシン目により一つの収容部を切り離し、収容部の凸状側から中身を押して金属箔を破り、錠剤を外部に取り出している。
【0004】
このようなブリスター包装材は、例えば、ブリスター包装機により作製されることが従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
即ち、樹脂シートに多数の収容部を形成し、収容部に被包装物(錠剤)を充填した後、金属箔(アルミ箔)を収容部の開口側に貼りあわせて各収容部に被包装物が包装されたシート材が形成される。そして、打抜刃及びミシン目形成刃を備えた抜き型を用い、プレス機構により一つの単位のブリスター包装材として切断されると共に、収容部を区切るミシン目が形成される。
【0006】
従来のブリスター包装機では、抜き型を用いてプレス加工により複数の収容部を一つの単位としてシート材を切断し、一つのブリスター包装材を作製している。このため、所定長さの切断線に力を作用させて切断が行われることになり、切れ味良く切断して切断面を綺麗に維持するには限界があるのが現状であった。また、シート材は樹脂シートや金属箔が積層されたものであるため、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することが困難になる場合があった。更に、抜き型を用いたプレス加工であるため、生産性には限界があるのが実情であった。
【0007】
シート材の切れ味が低下していた場合、金属箔の部分が鋭利に露出することも考えられる。ブリスター包装材は、錠剤や菓子類、料理材料が収容されているので、高齢者や小さな子供が単独で扱うこともあり、万一、金属箔の部分が鋭利に露出すると、手や口の周りを切ってしまう虞があり、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することは重要な課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−314616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、複数の凸部が一体に形成されたシート材を切れ味良く切断し、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することができる切断装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、複数の凸部が一体に形成されたシート材を切れ味良く切断し、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することができる切断装置に用いられるアンビルロール及びダイカットロールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の切断装置は、複数の凸部が一体に形成されたシート材を切断する切断装置において、前記シート材を切断・加工する切断刃を外周に備えたダイカットロールと、前記ダイカットロールとの間に前記シート材を挿通させて前記ダイカットロールと共に回転して切断刃を受けるアンビルロールと、前記ダイカットロールもしくは前記アンビルロールの少なくとも一方の周面に設けられ回転時に前記シート材の前記凸部が挿入される凹部とを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項1に係る本発明では、ダイカットロールもしくはアンビルロール、または、ダイカットロール及びアンビルロールの周面に形成された凹部に、シート材の凸部が嵌まり込むようにダイカットロールとアンビルロールの間にシート材を挿通させ、ダイカットロールの回転により切断刃を連続して噛み合わせてシート材の所定切断線を切断する。また、シート材の所定切断線にミシン目を形成する。切断刃は作用点が連続して一つの切断線を形成するので、力が集中して切れ味良く切断(ミシン目形成)が実施される。
【0013】
この結果、複数の凸部が一体に形成されたシート材を切れ味良く切断し、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することが可能になる。
【0014】
そして、請求項2に係る本発明の切断装置は、請求項1に記載の切断装置において、前記シート材の前記凸部は一方側のシート面に形成され、前記アンビルロールの周面には前記凸部に対応した凹部が形成され、前記アンビルロールは、前記ダイカットロールとの間に前記シート材を挿通させて回転し前記凹部と前記シート材の前記凸部を一致させた状態で切断刃を受けることを特徴とする。
【0015】
請求項2に係る本発明では、切断刃を受けるアンビルロールに凹部が形成されているので、凸部の裏側からシート材に切断刃を作用させることができる。
【0016】
複数の凸部が一方の面に形成されたシート材の場合、切断刃を備えたダイカットロールに凹部を形成することも可能である。これにより、凸部の面側からシート材に切断刃を作用させることができる。複数の凸部が両方の面に形成されたシート材の場合、切断刃を受けるアンビルロール及び切断刃を備えたダイカットロールの両方に凹部を形成することができる。
【0017】
また、請求項3に係る本発明の切断装置は、請求項1もしくは請求項2に記載の切断装置において、前記シート材は、樹脂シートに凸状の収容部が形成され、被包装物が収容された状態で前記収容部の開口側の面に金属箔を貼り合わせて前記収容部が密閉されるブリスター包装材であり、前記切断刃は、前記ブリスター包装材を所定の大きさに分離切断する分離切断刃及び前記収容部の仕切り部位の折れ線を形成する抜き刃で構成され、前記凹部は前記収容部が挿入する形状とされていることを特徴とする。
【0018】
請求項3に係る本発明では、樹脂シート及び金属箔が貼り合わされたシート材を切れ味良く切断し、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することが可能になる。この時、所定の数の凸部が設けられたブリスター包装材として分離切断刃により分離切断されると共に、一つのブリスター包装材の凸部の仕切り部位の折れ線(ミシン目)が抜き刃により形成される。
【0019】
尚、分離切断刃による分離切断の状態は、ブリスター包装材が切断された後のシート材(カス部分)がブリスター包装材と分離される状態の他、ブリスター包装材の周囲に半切り状態の切れ目を形成し、シート材(カス部分)がブリスター包装材と分離容易につながっている状態を含むものである。
【0020】
また、請求項4に係る本発明の切断装置は、請求項1もしくは請求項2に記載の切断装置において、前記シート材は、フィルムシート面にUV硬化樹脂製の凸部が形成された樹脂シートであり、前記切断刃は、前記樹脂シートを所定の大きさに分離切断する分離切断刃であることを特徴とする。
【0021】
請求項4に係る本発明では、UV硬化樹脂製の凸部が形成されたフィルムシート樹脂シートを切れ味良く切断し、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することが可能になる。この時、UV硬化樹脂製の凸部が所定の状態で設けられた樹脂シートとして分離切断刃により分離切断される。
【0022】
また、請求項5に係る本発明の切断装置は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の切断装置において、前記シート材を挿通させる際に、前記シート材の前記凸部、前記凹部、前記切断刃の位相を一致させるため、前記ダイカットロール及び前記アンビルロールの回転位相を位置決めする位置決め手段を備えたことを特徴とする。
【0023】
請求項5に係る本発明では、位置決め手段によりダイカットロール及びアンビルロールの回転位相を位置決めすることで、シート材を挿通させる際に、シート材の凸部、凹部、切断刃の位相を一致させることが容易になる。
【0024】
上記目的を達成するための請求項6に係る本発明のアンビルロールは、シート材の凸部に対応した凹部が周面に形成されると共に、ダイカットロールとの間で前記シート材を所定の大きさに分離切断するための受けとなることを特徴とする。
【0025】
請求項6に係る本発明では、複数の凸部が一体に形成されたシート材を切れ味良く切断し、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することができる切断装置に用いられるアンビルロールとなる。
【0026】
上記目的を達成するための請求項7に係る本発明のダイカットロールは、シート材の凸部に対応した凹部が形成されると共に、アンビルロールとの間でシート材を所定の大きさに分離切断する切断刃を備えたことを特徴とする。
【0027】
請求項7に係る本発明では、複数の凸部が一体に形成されたシート材を切れ味良く切断し、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することができる切断装置に用いられるダイカットロールとなる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の切断装置は、複数の凸部が一体に形成されたシート材を切れ味良く切断し、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することが可能になる。
【0029】
また、本発明のアンビルロール及びダイカットロールは、複数の凸部が一体に形成されたシート材を切れ味良く切断し、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することができる切断装置に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施例に係る切断装置で切断・分離されたブリスター包装材の外観図である。
【図2】本発明の一実施例に係る切断装置の概略側面図である。
【図3】本発明の一実施例に係る切断装置の概略外観図である。
【図4】切断時の正面図である。
【図5】ダイカットロールとアンビルロールの詳細を説明する正面図である。
【図6】ダイカットロールとアンビルロールの詳細を説明する斜視図である。
【図7】アンビルロールの凹部の説明図である。
【図8】ダイカットロールの切断刃の平面図である。
【図9】ブリスター包装材の要部平面図である。
【図10】本発明の他の実施例に係る切断装置のダイカットロールの外観図である。
【図11】UV硬化樹脂製の凸部が形成された樹脂シートの説明図である。
【図12】アンビルロールの凹部を説明する外観図である。
【図13】ダイカットロールの切断刃を説明する外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1から図4に基づいて本発明の一実施例に係る切断装置を説明する。
【0032】
図1には本発明の一実施例に係る切断装置で切断・分離されたブリスター包装材の外観を表す斜視状態を示してあり、図1(a)は収容部が表側にある状態、図1(b)は収容部が裏側にある状態である。また、図2には本発明の一実施例に係る切断装置のダイカットロールとアンビルロールの噛み合い部位の側面視状態、図3にはブリスター包装材の切断状況を説明する斜視状態、図4にはブリスター包装材の切断状況を説明する正面視状態を示してある。
【0033】
図1に基づいてブリスター包装材を説明する。
【0034】
多数の凸状の収容部が形成されたシート材11が切断・分離されて一つのブリスター包装材1が形成される。即ち、ブリスター包装材1を形成するためのシート材11は、透明な樹脂性のシートに凸状の収容部2が多数形成され、被包装物(例えば、錠剤:図示省略)が収容部2に収容された状態で開口側の面(図中裏側の面)にアルミ箔(金属箔)3が貼り合わされて収容部2が密閉される。
【0035】
ブリスター包装材1は、複数(図示例では4個)の収容部2を一つの単位として切断装置12(図2から図4参照)によりシート材から切断・分離される。そして、ブリスター包装材1の収容部2の間にはミシン目4が形成され、収容部2毎に切り離すことができるようになっている。
【0036】
図2から図4に基づいて、シート材11を切断・分離すると共にミシン目4を形成するための切断装置12を説明する。
【0037】
図に示した切断装置12は、ダイカットロール15と受けロールであるアンビルロール16を備えている。ダイカットロール15とアンビルロール16の軸間距離を所定の隙間に保持し、ダイカットロール15とアンビルロール16の間にシート材11を挿通させる。そして、ダイカットロール15を駆動回転させてダイカットロール15の周面に備えられた切断刃17によりシート材11が切断・分離されてブリスター包装材1にされると共に、ブリスター包装材1にミシン目4が入れられる。
【0038】
アンビルロール16の周面には、シート材11の収容部2に対応した凹部18が形成され、シート材11が挿通されてダイカットロール15と共にアンビルロール16が回転する時に、シート材11の収容部2が凹部18に挿入される。つまり、アンビルロール16は、ダイカットロール15との間にシート材11を挿通させて回転し、凹部18とシート材11の収容部2を一致させて凹部18に収容部2を挿入させた状態で切断刃17を受けることになる。
【0039】
図5から図8に基づいて、ダイカットロール15及びアンビルロール16を説明する。
【0040】
図5にはダイカットロール15とアンビルロール16が噛み合った状態の正面視状況、図6にはダイカットロール15とアンビルロール16が噛み合った状態の斜視状況、図7(a)には凹部18の平面視、図7(b)には凹部18の断面を示してある。
【0041】
図5から図7に基づいてアンビルロール16を説明する。
【0042】
アンビルロール16の周面には凹部18が設けられ、凹部18は、周方向に4個で一つの組が複数組(例えば、3組:12個の凹部18)、4個の一つの組の複数組が軸方向に5列並べられて設けられている。凹部18はシート材11の収容部2の凸高さに応じた深さの楕円形状とされ、収容部2の形状に対して一回り大きな楕円形状とされている。
【0043】
図7(b)に示すように、アンビルロール16の凹部18の開口部の周縁には、面取り部19が全周に亘り形成されている。凹部18の開口部の周縁に面取り部19が形成されていることで、シート材11の収容部2が凹部18の開口部の周縁に接触した場合であっても、樹脂製の収容部2が破損することなく凹部18に挿入される。
【0044】
図5、図6、図8に基づいてダイカットロール15を説明する。
【0045】
ダイカットロール15の周面には、シート材11を切断・分離してブリスター包装材1とすると共に、ブリスター包装材1にミシン目4を形成する切断刃17が備えられている。切断刃17はアンビルロール16の凹部18に対応して設けられ、凹部18の複数組に対応して周方向に複数形成されている。そして、切断刃17は軸方向に5列並べられて設けられている。
【0046】
切断刃17は、シート材11を切断・分離する分離切断刃6、及び、ブリスター包装材1にミシン目4を入れるための抜き刃7を備えている。分離切断刃6により4個の収容部2が一つの組となったブリスター包装材1に切断され、抜き刃7によりブリスター包装材1の収容部2の間にミシン目4が形成される。
【0047】
尚、分離切断刃6によりシート材11を切断・分離し、ブリスター包装材1が切断された後のシート材11(カス部分)がブリスター包装材1と分離される状態を想定して説明しているが、分離切断刃6により、ブリスター包装材1の周囲に半切り状態の切れ目を形成し、シート材11(カス部分)が分離容易にブリスター包装材1とつながっている状態にすることも可能である。
【0048】
図6に示すように、ダイカットロール15及びアンビルロール16の一方側の端面には、位置決め手段としての位置決め線9がそれぞれ形成されている。位置決め線9が一致する(一直線状態になる)回転位相で、ダイカットロール15の切断刃17と収容部2(図3参照)の組の位置が一致する。
【0049】
位置決め線9を用いてダイカットロール15とアンビルロール16の回転位相を位置決めすることにより、シート材11をダイカットロール15とアンビルロール16の間に挿通させる際に、シート材11の収容部2、アンビルロール16の凹部18、ダイカットロール15の切断刃17の位相を一致させることが容易になる。
【0050】
上述した切断装置12を用いてシート材11からブリスター包装材1を切断する場合、ダイカットロール15及びアンビルロール16の位置決め線9を一致させ、アンビルロール16の周面に形成された凹部18にシート材11の収容部2が嵌まり込むようにダイカットロールとアンビルロールの間にシート材を挿通させる。ダイカットロール15を駆動回転させることによりアンビルロール16を受けとして切断刃17を連続して噛み合わせ、シート材11の所定切断線を切断してブリスター包装材1とする。同時に、ブリスター包装材1の収容部2の間にミシン目4を形成する。
【0051】
シート材11の切断は、切断刃17の作用点が連続して一つの切断線を形成するので、力が集中して切れ味良くシート材11を切断しミシン目4を形成することができる。このため、多数の収容部2が一体に形成されたシート材11を切れ味良く切断してブリスター包装材1とすることができ、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することが可能になる。
【0052】
従って、樹脂シート及び金属箔が貼り合わされたシート材11を切れ味良く切断することができ、ブリスター包装材1の切断面に金属箔のめくれ等が生じることがなく、取り扱い時に手を傷つける等の危険をなくすことができる。また、受け側のアンビルロール16に凹部18が形成されているので、収容部2の裏側から、即ち、金属箔側からシート材11に切断刃17を作用させることができ、金属箔が貼り合わされたシート材11の切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することが可能になる。
【0053】
図9にはブリスター包装材1の切断面を説明するための要部平面状態を示してある。
【0054】
シート材11を切れ味良く切断することができるので、図9に示したように、収容部2の間であるミシン目4の端部5に隙間が0に近い部分を再現性良く設けることができ(角出し)、ミシン目4と隙間の合わせ部とを一致させることができる。このため、ミシン目4で収容部2を折り曲げるときにミシン目4に力が確実に集中し、常に一定の位置(ミシン目4の位置)で収容部2を切り離すことが可能になり、収容部2を切り離したときに角をなくすことができる。
【0055】
上述した実施例では、アンビルロール16に凹部18を設け、複数の収容部2が一方の面に形成されたシート材11の切断を行ってブリスター包装材1とする例を挙げて説明したが、図10に示したように、切断刃17を備えたダイカットロール15に凹部18を形成することも可能である。これにより、収容部2の側から切断刃17を作用させてシート材11を切断することも可能である。
【0056】
また、複数の収容部2が両面に形成されたシート材を切断する場合、切断刃17を受けるアンビルロール16及び切断刃17を備えたダイカットロール15の両方に凹部18を設けることが可能である。
【0057】
本発明の切断装置は、収容部2が形成されたシート材11を切断する際に用いられる他に、凸部が形成された樹脂シートを切断する場合にも用いられる。
【0058】
図11から図13に基づいて樹脂シートを切断する例を説明する。図11には凸が形成された樹脂シートの外観、図12には樹脂シートの切断に用いられるアンビルロールの外観、図13には樹脂シートの切断に用いられるダイカットロールの外観を示してある。
【0059】
図11に示すように、樹脂シート21の一方の面には凸部22が形成されている。例えば、UV硬化樹脂製の樹脂に凸部22の部位だけが開口するマスク材を用い、凸部22の部位を硬化させると共に凸部22以外の部位を溶かして平面化し、一方の面に凸部22が形成された樹脂シート21が作製される。凸部22は、モバイル機器の操作パネルや車両の操作パネルの操作部等として適用される。
【0060】
樹脂シート21には、4種類の凸部22が形成され、4種類の凸部22が1セットで使用される場合、多数の凸部22が形成されたシート材が、図11に示した状態に切断される。各凸部22が単独もしくは部分的なセットで使用される場合、凸部22が個別に切断される。
【0061】
図12、図13に基づいて樹脂シート21を切断するアンビルロール及びダイカットロールを説明する。
【0062】
図12に示すように、アンビルロール25の周面には樹脂シート21の凸部22が挿入される凹部26が形成され、凹部26の形状は樹脂シート21の凸部22と略同じ形状となっている。図13に実線で示すように、ダイカットロール27の周面には樹脂シート21の形状に応じた分離切断刃28が形成されている。樹脂シート21の凸部22を個別に切断する場合、図13に実線で示した分離切断刃28に加え、図13に点線で示すように、個別分離切断刃29をダイカットロール27の周面に形成する。
【0063】
上述した切断装置を用いて樹脂シート21を切断する場合、アンビルロール25の周面に形成された凹部26に樹脂シート材の凸部22が嵌まり込むようにダイカットロール27とアンビルロール25の間に樹脂シート材を挿通させる。ダイカットロール27を駆動回転させることによりアンビルロール25を受けとして分離切断刃28(個別分離切断刃29)を連続して噛み合わせ、樹脂シート材の所定切断線を切断して樹脂シート21とする。
【0064】
樹脂シート材の切断は、分離切断刃28(個別分離切断刃29)の作用点が連続して一つの切断線を形成するので、力が集中して切れ味良く樹脂シート材を切断することができる。このため、凸部22が形成された樹脂シート材を切れ味良く切断して樹脂シート21とすることができ、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することが可能になる。
【0065】
従って、製品面となる樹脂シート21の凸部22側の端部をそのまま露出させても見栄えが低下することがなく、端部を覆う部材を設ける等の処理が不要になる。このため、樹脂シート21を備えた製品の小型化(薄型化)が容易になり、意匠の自由度を向上させることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、複数の凸部が一体に形成されたシート材を切断する切断装置、及び切断装置に備えられるアンビルロール、ダイカットロールの産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 ブリスター包装材
2 収容部
3 アルミ箔
4 ミシン目
5 端部
6 分離切断刃
7 抜き刃
9 位置決め線
11 シート材
12 切断装置
15、27 ダイカットロール
16、25 アンビルロール
17 切断刃
18、26 凹部
21 樹脂シート
22 凸部
28 分離切断刃
29 個別分離切断刃
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の凸部が一体に形成されたシート材を切断する切断装置、及び切断装置に備えられるアンビルロール、ダイカットロールに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の凸部が一体に形成されたシート材、例えば、シートに凸状の収容部が形成され、被包装物が収容された状態で収容部の開口側の面に金属箔を貼り合わせて収容部が密閉されるブリスター包装材が、薬品の錠剤や菓子類、料理材料の収容に用いられている。ブリスター包装材は、複数の収容部を一つの単位としてシート材から切断分離された一パックのブリスター包装材とされている。
【0003】
ブリスター包装材には凸状の収容部を区切るミシン目が形成され、一つの収容部を切り離すことができるようになっている。被包装材、例えば、錠剤を取り出す場合、ミシン目により一つの収容部を切り離し、収容部の凸状側から中身を押して金属箔を破り、錠剤を外部に取り出している。
【0004】
このようなブリスター包装材は、例えば、ブリスター包装機により作製されることが従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
即ち、樹脂シートに多数の収容部を形成し、収容部に被包装物(錠剤)を充填した後、金属箔(アルミ箔)を収容部の開口側に貼りあわせて各収容部に被包装物が包装されたシート材が形成される。そして、打抜刃及びミシン目形成刃を備えた抜き型を用い、プレス機構により一つの単位のブリスター包装材として切断されると共に、収容部を区切るミシン目が形成される。
【0006】
従来のブリスター包装機では、抜き型を用いてプレス加工により複数の収容部を一つの単位としてシート材を切断し、一つのブリスター包装材を作製している。このため、所定長さの切断線に力を作用させて切断が行われることになり、切れ味良く切断して切断面を綺麗に維持するには限界があるのが現状であった。また、シート材は樹脂シートや金属箔が積層されたものであるため、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することが困難になる場合があった。更に、抜き型を用いたプレス加工であるため、生産性には限界があるのが実情であった。
【0007】
シート材の切れ味が低下していた場合、金属箔の部分が鋭利に露出することも考えられる。ブリスター包装材は、錠剤や菓子類、料理材料が収容されているので、高齢者や小さな子供が単独で扱うこともあり、万一、金属箔の部分が鋭利に露出すると、手や口の周りを切ってしまう虞があり、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することは重要な課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−314616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、複数の凸部が一体に形成されたシート材を切れ味良く切断し、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することができる切断装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、複数の凸部が一体に形成されたシート材を切れ味良く切断し、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することができる切断装置に用いられるアンビルロール及びダイカットロールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の切断装置は、複数の凸部が一体に形成されたシート材を切断する切断装置において、前記シート材を切断・加工する切断刃を外周に備えたダイカットロールと、前記ダイカットロールとの間に前記シート材を挿通させて前記ダイカットロールと共に回転して切断刃を受けるアンビルロールと、前記ダイカットロールもしくは前記アンビルロールの少なくとも一方の周面に設けられ回転時に前記シート材の前記凸部が挿入される凹部とを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項1に係る本発明では、ダイカットロールもしくはアンビルロール、または、ダイカットロール及びアンビルロールの周面に形成された凹部に、シート材の凸部が嵌まり込むようにダイカットロールとアンビルロールの間にシート材を挿通させ、ダイカットロールの回転により切断刃を連続して噛み合わせてシート材の所定切断線を切断する。また、シート材の所定切断線にミシン目を形成する。切断刃は作用点が連続して一つの切断線を形成するので、力が集中して切れ味良く切断(ミシン目形成)が実施される。
【0013】
この結果、複数の凸部が一体に形成されたシート材を切れ味良く切断し、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することが可能になる。
【0014】
そして、請求項2に係る本発明の切断装置は、請求項1に記載の切断装置において、前記シート材の前記凸部は一方側のシート面に形成され、前記アンビルロールの周面には前記凸部に対応した凹部が形成され、前記アンビルロールは、前記ダイカットロールとの間に前記シート材を挿通させて回転し前記凹部と前記シート材の前記凸部を一致させた状態で切断刃を受けることを特徴とする。
【0015】
請求項2に係る本発明では、切断刃を受けるアンビルロールに凹部が形成されているので、凸部の裏側からシート材に切断刃を作用させることができる。
【0016】
複数の凸部が一方の面に形成されたシート材の場合、切断刃を備えたダイカットロールに凹部を形成することも可能である。これにより、凸部の面側からシート材に切断刃を作用させることができる。複数の凸部が両方の面に形成されたシート材の場合、切断刃を受けるアンビルロール及び切断刃を備えたダイカットロールの両方に凹部を形成することができる。
【0017】
また、請求項3に係る本発明の切断装置は、請求項1もしくは請求項2に記載の切断装置において、前記シート材は、樹脂シートに凸状の収容部が形成され、被包装物が収容された状態で前記収容部の開口側の面に金属箔を貼り合わせて前記収容部が密閉されるブリスター包装材であり、前記切断刃は、前記ブリスター包装材を所定の大きさに分離切断する分離切断刃及び前記収容部の仕切り部位の折れ線を形成する抜き刃で構成され、前記凹部は前記収容部が挿入する形状とされていることを特徴とする。
【0018】
請求項3に係る本発明では、樹脂シート及び金属箔が貼り合わされたシート材を切れ味良く切断し、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することが可能になる。この時、所定の数の凸部が設けられたブリスター包装材として分離切断刃により分離切断されると共に、一つのブリスター包装材の凸部の仕切り部位の折れ線(ミシン目)が抜き刃により形成される。
【0019】
尚、分離切断刃による分離切断の状態は、ブリスター包装材が切断された後のシート材(カス部分)がブリスター包装材と分離される状態の他、ブリスター包装材の周囲に半切り状態の切れ目を形成し、シート材(カス部分)がブリスター包装材と分離容易につながっている状態を含むものである。
【0020】
また、請求項4に係る本発明の切断装置は、請求項1もしくは請求項2に記載の切断装置において、前記シート材は、フィルムシート面にUV硬化樹脂製の凸部が形成された樹脂シートであり、前記切断刃は、前記樹脂シートを所定の大きさに分離切断する分離切断刃であることを特徴とする。
【0021】
請求項4に係る本発明では、UV硬化樹脂製の凸部が形成されたフィルムシート樹脂シートを切れ味良く切断し、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することが可能になる。この時、UV硬化樹脂製の凸部が所定の状態で設けられた樹脂シートとして分離切断刃により分離切断される。
【0022】
また、請求項5に係る本発明の切断装置は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の切断装置において、前記シート材を挿通させる際に、前記シート材の前記凸部、前記凹部、前記切断刃の位相を一致させるため、前記ダイカットロール及び前記アンビルロールの回転位相を位置決めする位置決め手段を備えたことを特徴とする。
【0023】
請求項5に係る本発明では、位置決め手段によりダイカットロール及びアンビルロールの回転位相を位置決めすることで、シート材を挿通させる際に、シート材の凸部、凹部、切断刃の位相を一致させることが容易になる。
【0024】
上記目的を達成するための請求項6に係る本発明のアンビルロールは、シート材の凸部に対応した凹部が周面に形成されると共に、ダイカットロールとの間で前記シート材を所定の大きさに分離切断するための受けとなることを特徴とする。
【0025】
請求項6に係る本発明では、複数の凸部が一体に形成されたシート材を切れ味良く切断し、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することができる切断装置に用いられるアンビルロールとなる。
【0026】
上記目的を達成するための請求項7に係る本発明のダイカットロールは、シート材の凸部に対応した凹部が形成されると共に、アンビルロールとの間でシート材を所定の大きさに分離切断する切断刃を備えたことを特徴とする。
【0027】
請求項7に係る本発明では、複数の凸部が一体に形成されたシート材を切れ味良く切断し、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することができる切断装置に用いられるダイカットロールとなる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の切断装置は、複数の凸部が一体に形成されたシート材を切れ味良く切断し、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することが可能になる。
【0029】
また、本発明のアンビルロール及びダイカットロールは、複数の凸部が一体に形成されたシート材を切れ味良く切断し、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することができる切断装置に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施例に係る切断装置で切断・分離されたブリスター包装材の外観図である。
【図2】本発明の一実施例に係る切断装置の概略側面図である。
【図3】本発明の一実施例に係る切断装置の概略外観図である。
【図4】切断時の正面図である。
【図5】ダイカットロールとアンビルロールの詳細を説明する正面図である。
【図6】ダイカットロールとアンビルロールの詳細を説明する斜視図である。
【図7】アンビルロールの凹部の説明図である。
【図8】ダイカットロールの切断刃の平面図である。
【図9】ブリスター包装材の要部平面図である。
【図10】本発明の他の実施例に係る切断装置のダイカットロールの外観図である。
【図11】UV硬化樹脂製の凸部が形成された樹脂シートの説明図である。
【図12】アンビルロールの凹部を説明する外観図である。
【図13】ダイカットロールの切断刃を説明する外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1から図4に基づいて本発明の一実施例に係る切断装置を説明する。
【0032】
図1には本発明の一実施例に係る切断装置で切断・分離されたブリスター包装材の外観を表す斜視状態を示してあり、図1(a)は収容部が表側にある状態、図1(b)は収容部が裏側にある状態である。また、図2には本発明の一実施例に係る切断装置のダイカットロールとアンビルロールの噛み合い部位の側面視状態、図3にはブリスター包装材の切断状況を説明する斜視状態、図4にはブリスター包装材の切断状況を説明する正面視状態を示してある。
【0033】
図1に基づいてブリスター包装材を説明する。
【0034】
多数の凸状の収容部が形成されたシート材11が切断・分離されて一つのブリスター包装材1が形成される。即ち、ブリスター包装材1を形成するためのシート材11は、透明な樹脂性のシートに凸状の収容部2が多数形成され、被包装物(例えば、錠剤:図示省略)が収容部2に収容された状態で開口側の面(図中裏側の面)にアルミ箔(金属箔)3が貼り合わされて収容部2が密閉される。
【0035】
ブリスター包装材1は、複数(図示例では4個)の収容部2を一つの単位として切断装置12(図2から図4参照)によりシート材から切断・分離される。そして、ブリスター包装材1の収容部2の間にはミシン目4が形成され、収容部2毎に切り離すことができるようになっている。
【0036】
図2から図4に基づいて、シート材11を切断・分離すると共にミシン目4を形成するための切断装置12を説明する。
【0037】
図に示した切断装置12は、ダイカットロール15と受けロールであるアンビルロール16を備えている。ダイカットロール15とアンビルロール16の軸間距離を所定の隙間に保持し、ダイカットロール15とアンビルロール16の間にシート材11を挿通させる。そして、ダイカットロール15を駆動回転させてダイカットロール15の周面に備えられた切断刃17によりシート材11が切断・分離されてブリスター包装材1にされると共に、ブリスター包装材1にミシン目4が入れられる。
【0038】
アンビルロール16の周面には、シート材11の収容部2に対応した凹部18が形成され、シート材11が挿通されてダイカットロール15と共にアンビルロール16が回転する時に、シート材11の収容部2が凹部18に挿入される。つまり、アンビルロール16は、ダイカットロール15との間にシート材11を挿通させて回転し、凹部18とシート材11の収容部2を一致させて凹部18に収容部2を挿入させた状態で切断刃17を受けることになる。
【0039】
図5から図8に基づいて、ダイカットロール15及びアンビルロール16を説明する。
【0040】
図5にはダイカットロール15とアンビルロール16が噛み合った状態の正面視状況、図6にはダイカットロール15とアンビルロール16が噛み合った状態の斜視状況、図7(a)には凹部18の平面視、図7(b)には凹部18の断面を示してある。
【0041】
図5から図7に基づいてアンビルロール16を説明する。
【0042】
アンビルロール16の周面には凹部18が設けられ、凹部18は、周方向に4個で一つの組が複数組(例えば、3組:12個の凹部18)、4個の一つの組の複数組が軸方向に5列並べられて設けられている。凹部18はシート材11の収容部2の凸高さに応じた深さの楕円形状とされ、収容部2の形状に対して一回り大きな楕円形状とされている。
【0043】
図7(b)に示すように、アンビルロール16の凹部18の開口部の周縁には、面取り部19が全周に亘り形成されている。凹部18の開口部の周縁に面取り部19が形成されていることで、シート材11の収容部2が凹部18の開口部の周縁に接触した場合であっても、樹脂製の収容部2が破損することなく凹部18に挿入される。
【0044】
図5、図6、図8に基づいてダイカットロール15を説明する。
【0045】
ダイカットロール15の周面には、シート材11を切断・分離してブリスター包装材1とすると共に、ブリスター包装材1にミシン目4を形成する切断刃17が備えられている。切断刃17はアンビルロール16の凹部18に対応して設けられ、凹部18の複数組に対応して周方向に複数形成されている。そして、切断刃17は軸方向に5列並べられて設けられている。
【0046】
切断刃17は、シート材11を切断・分離する分離切断刃6、及び、ブリスター包装材1にミシン目4を入れるための抜き刃7を備えている。分離切断刃6により4個の収容部2が一つの組となったブリスター包装材1に切断され、抜き刃7によりブリスター包装材1の収容部2の間にミシン目4が形成される。
【0047】
尚、分離切断刃6によりシート材11を切断・分離し、ブリスター包装材1が切断された後のシート材11(カス部分)がブリスター包装材1と分離される状態を想定して説明しているが、分離切断刃6により、ブリスター包装材1の周囲に半切り状態の切れ目を形成し、シート材11(カス部分)が分離容易にブリスター包装材1とつながっている状態にすることも可能である。
【0048】
図6に示すように、ダイカットロール15及びアンビルロール16の一方側の端面には、位置決め手段としての位置決め線9がそれぞれ形成されている。位置決め線9が一致する(一直線状態になる)回転位相で、ダイカットロール15の切断刃17と収容部2(図3参照)の組の位置が一致する。
【0049】
位置決め線9を用いてダイカットロール15とアンビルロール16の回転位相を位置決めすることにより、シート材11をダイカットロール15とアンビルロール16の間に挿通させる際に、シート材11の収容部2、アンビルロール16の凹部18、ダイカットロール15の切断刃17の位相を一致させることが容易になる。
【0050】
上述した切断装置12を用いてシート材11からブリスター包装材1を切断する場合、ダイカットロール15及びアンビルロール16の位置決め線9を一致させ、アンビルロール16の周面に形成された凹部18にシート材11の収容部2が嵌まり込むようにダイカットロールとアンビルロールの間にシート材を挿通させる。ダイカットロール15を駆動回転させることによりアンビルロール16を受けとして切断刃17を連続して噛み合わせ、シート材11の所定切断線を切断してブリスター包装材1とする。同時に、ブリスター包装材1の収容部2の間にミシン目4を形成する。
【0051】
シート材11の切断は、切断刃17の作用点が連続して一つの切断線を形成するので、力が集中して切れ味良くシート材11を切断しミシン目4を形成することができる。このため、多数の収容部2が一体に形成されたシート材11を切れ味良く切断してブリスター包装材1とすることができ、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することが可能になる。
【0052】
従って、樹脂シート及び金属箔が貼り合わされたシート材11を切れ味良く切断することができ、ブリスター包装材1の切断面に金属箔のめくれ等が生じることがなく、取り扱い時に手を傷つける等の危険をなくすことができる。また、受け側のアンビルロール16に凹部18が形成されているので、収容部2の裏側から、即ち、金属箔側からシート材11に切断刃17を作用させることができ、金属箔が貼り合わされたシート材11の切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することが可能になる。
【0053】
図9にはブリスター包装材1の切断面を説明するための要部平面状態を示してある。
【0054】
シート材11を切れ味良く切断することができるので、図9に示したように、収容部2の間であるミシン目4の端部5に隙間が0に近い部分を再現性良く設けることができ(角出し)、ミシン目4と隙間の合わせ部とを一致させることができる。このため、ミシン目4で収容部2を折り曲げるときにミシン目4に力が確実に集中し、常に一定の位置(ミシン目4の位置)で収容部2を切り離すことが可能になり、収容部2を切り離したときに角をなくすことができる。
【0055】
上述した実施例では、アンビルロール16に凹部18を設け、複数の収容部2が一方の面に形成されたシート材11の切断を行ってブリスター包装材1とする例を挙げて説明したが、図10に示したように、切断刃17を備えたダイカットロール15に凹部18を形成することも可能である。これにより、収容部2の側から切断刃17を作用させてシート材11を切断することも可能である。
【0056】
また、複数の収容部2が両面に形成されたシート材を切断する場合、切断刃17を受けるアンビルロール16及び切断刃17を備えたダイカットロール15の両方に凹部18を設けることが可能である。
【0057】
本発明の切断装置は、収容部2が形成されたシート材11を切断する際に用いられる他に、凸部が形成された樹脂シートを切断する場合にも用いられる。
【0058】
図11から図13に基づいて樹脂シートを切断する例を説明する。図11には凸が形成された樹脂シートの外観、図12には樹脂シートの切断に用いられるアンビルロールの外観、図13には樹脂シートの切断に用いられるダイカットロールの外観を示してある。
【0059】
図11に示すように、樹脂シート21の一方の面には凸部22が形成されている。例えば、UV硬化樹脂製の樹脂に凸部22の部位だけが開口するマスク材を用い、凸部22の部位を硬化させると共に凸部22以外の部位を溶かして平面化し、一方の面に凸部22が形成された樹脂シート21が作製される。凸部22は、モバイル機器の操作パネルや車両の操作パネルの操作部等として適用される。
【0060】
樹脂シート21には、4種類の凸部22が形成され、4種類の凸部22が1セットで使用される場合、多数の凸部22が形成されたシート材が、図11に示した状態に切断される。各凸部22が単独もしくは部分的なセットで使用される場合、凸部22が個別に切断される。
【0061】
図12、図13に基づいて樹脂シート21を切断するアンビルロール及びダイカットロールを説明する。
【0062】
図12に示すように、アンビルロール25の周面には樹脂シート21の凸部22が挿入される凹部26が形成され、凹部26の形状は樹脂シート21の凸部22と略同じ形状となっている。図13に実線で示すように、ダイカットロール27の周面には樹脂シート21の形状に応じた分離切断刃28が形成されている。樹脂シート21の凸部22を個別に切断する場合、図13に実線で示した分離切断刃28に加え、図13に点線で示すように、個別分離切断刃29をダイカットロール27の周面に形成する。
【0063】
上述した切断装置を用いて樹脂シート21を切断する場合、アンビルロール25の周面に形成された凹部26に樹脂シート材の凸部22が嵌まり込むようにダイカットロール27とアンビルロール25の間に樹脂シート材を挿通させる。ダイカットロール27を駆動回転させることによりアンビルロール25を受けとして分離切断刃28(個別分離切断刃29)を連続して噛み合わせ、樹脂シート材の所定切断線を切断して樹脂シート21とする。
【0064】
樹脂シート材の切断は、分離切断刃28(個別分離切断刃29)の作用点が連続して一つの切断線を形成するので、力が集中して切れ味良く樹脂シート材を切断することができる。このため、凸部22が形成された樹脂シート材を切れ味良く切断して樹脂シート21とすることができ、切断面を全長に亘り繰り返して綺麗に処理することが可能になる。
【0065】
従って、製品面となる樹脂シート21の凸部22側の端部をそのまま露出させても見栄えが低下することがなく、端部を覆う部材を設ける等の処理が不要になる。このため、樹脂シート21を備えた製品の小型化(薄型化)が容易になり、意匠の自由度を向上させることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、複数の凸部が一体に形成されたシート材を切断する切断装置、及び切断装置に備えられるアンビルロール、ダイカットロールの産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 ブリスター包装材
2 収容部
3 アルミ箔
4 ミシン目
5 端部
6 分離切断刃
7 抜き刃
9 位置決め線
11 シート材
12 切断装置
15、27 ダイカットロール
16、25 アンビルロール
17 切断刃
18、26 凹部
21 樹脂シート
22 凸部
28 分離切断刃
29 個別分離切断刃
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の凸部が一体に形成されたシート材を切断する切断装置において、
前記シート材を切断・加工する切断刃を外周に備えたダイカットロールと、
前記ダイカットロールとの間に前記シート材を挿通させて前記ダイカットロールと共に回転して切断刃を受けるアンビルロールと、
前記ダイカットロールもしくは前記アンビルロールの少なくとも一方の周面に設けられ回転時に前記シート材の前記凸部が挿入される凹部とを備えた
ことを特徴とする切断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の切断装置において、
前記シート材の前記凸部は一方側のシート面に形成され、
前記アンビルロールの周面には前記凸部に対応した凹部が形成され、
前記アンビルロールは、前記ダイカットロールとの間に前記シート材を挿通させて回転し前記凹部と前記シート材の前記凸部を一致させた状態で切断刃を受ける
ことを特徴とする切断装置。
【請求項3】
請求項1もしくは請求項2に記載の切断装置において、
前記シート材は、
樹脂シートに凸状の収容部が形成され、被包装物が収容された状態で前記収容部の開口側の面に金属箔を貼り合わせて前記収容部が密閉されるブリスター包装材であり、
前記切断刃は、
前記ブリスター包装材を所定の大きさに分離切断する分離切断刃及び前記収容部の仕切り部位の折れ線を形成する抜き刃で構成され、
前記凹部は前記収容部が挿入する形状とされている
ことを特徴とする切断装置。
【請求項4】
請求項1もしくは請求項2に記載の切断装置において、
前記シート材は、
フィルムシート面にUV硬化樹脂製の凸部が形成された樹脂シートであり、
前記切断刃は、
前記樹脂シートを所定の大きさに分離切断する分離切断刃である
ことを特徴とする切断装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の切断装置において、
前記シート材を挿通させる際に、前記シート材の前記凸部、前記凹部、前記切断刃の位相を一致させるため、前記ダイカットロール及び前記アンビルロールの回転位相を位置決めする位置決め手段を備えた
ことを特徴とする切断装置。
【請求項6】
シート材の凸部に対応した凹部が周面に形成されると共に、ダイカットロールとの間で前記シート材を所定の大きさに分離切断するための受けとなる
ことを特徴とするアンビルロール。
【請求項7】
シート材の凸部に対応した凹部が形成されると共に、アンビルロールとの間でシート材を所定の大きさに分離切断する切断刃を備えた
ことを特徴とするダイカットロール。
【請求項1】
複数の凸部が一体に形成されたシート材を切断する切断装置において、
前記シート材を切断・加工する切断刃を外周に備えたダイカットロールと、
前記ダイカットロールとの間に前記シート材を挿通させて前記ダイカットロールと共に回転して切断刃を受けるアンビルロールと、
前記ダイカットロールもしくは前記アンビルロールの少なくとも一方の周面に設けられ回転時に前記シート材の前記凸部が挿入される凹部とを備えた
ことを特徴とする切断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の切断装置において、
前記シート材の前記凸部は一方側のシート面に形成され、
前記アンビルロールの周面には前記凸部に対応した凹部が形成され、
前記アンビルロールは、前記ダイカットロールとの間に前記シート材を挿通させて回転し前記凹部と前記シート材の前記凸部を一致させた状態で切断刃を受ける
ことを特徴とする切断装置。
【請求項3】
請求項1もしくは請求項2に記載の切断装置において、
前記シート材は、
樹脂シートに凸状の収容部が形成され、被包装物が収容された状態で前記収容部の開口側の面に金属箔を貼り合わせて前記収容部が密閉されるブリスター包装材であり、
前記切断刃は、
前記ブリスター包装材を所定の大きさに分離切断する分離切断刃及び前記収容部の仕切り部位の折れ線を形成する抜き刃で構成され、
前記凹部は前記収容部が挿入する形状とされている
ことを特徴とする切断装置。
【請求項4】
請求項1もしくは請求項2に記載の切断装置において、
前記シート材は、
フィルムシート面にUV硬化樹脂製の凸部が形成された樹脂シートであり、
前記切断刃は、
前記樹脂シートを所定の大きさに分離切断する分離切断刃である
ことを特徴とする切断装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の切断装置において、
前記シート材を挿通させる際に、前記シート材の前記凸部、前記凹部、前記切断刃の位相を一致させるため、前記ダイカットロール及び前記アンビルロールの回転位相を位置決めする位置決め手段を備えた
ことを特徴とする切断装置。
【請求項6】
シート材の凸部に対応した凹部が周面に形成されると共に、ダイカットロールとの間で前記シート材を所定の大きさに分離切断するための受けとなる
ことを特徴とするアンビルロール。
【請求項7】
シート材の凸部に対応した凹部が形成されると共に、アンビルロールとの間でシート材を所定の大きさに分離切断する切断刃を備えた
ことを特徴とするダイカットロール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−45942(P2011−45942A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194833(P2009−194833)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(592190866)株式会社江東彫刻 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(592190866)株式会社江東彫刻 (8)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]