切断装置及び保持部材
【課題】被切断物を保持部材に確実に保持して正確に切断することができる切断装置、及び切断装置に用いられる保持部材を提供する。
【解決手段】切断装置は、被切断物を剥離可能に保持する粘着層を有し、被切断物を粘着させて保持した状態で前記切断装置にセットされる保持部材と、前記保持部材に設けられ、切断に関する切断情報が書き込まれた無線タグと、前記切断装置に前記保持部材がセットされた際に、前記無線タグから前記切断情報を読み取る読取手段とを備える。前記切断装置の制御手段は、前記読取手段により前記無線タグから前記切断情報を読み取る(ステップS12)。そして、制御手段は、読み取った前記切断情報に基づいて切断手段を制御する(ステップS18)。
【解決手段】切断装置は、被切断物を剥離可能に保持する粘着層を有し、被切断物を粘着させて保持した状態で前記切断装置にセットされる保持部材と、前記保持部材に設けられ、切断に関する切断情報が書き込まれた無線タグと、前記切断装置に前記保持部材がセットされた際に、前記無線タグから前記切断情報を読み取る読取手段とを備える。前記切断装置の制御手段は、前記読取手段により前記無線タグから前記切断情報を読み取る(ステップS12)。そして、制御手段は、読み取った前記切断情報に基づいて切断手段を制御する(ステップS18)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断刃と被切断物とを相対的に移動させることで、切断刃が被切断物を切断する切断装置、及び切断装置に用いられる保持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、紙や樹脂等のシート状被切断物を自動的に切断するカッティングプロッタが知られている。前記カッティングプロッタは、前記被切断物を、駆動機構のローラで上下方向から挟んで第1方向へ移動させると共に、切断刃を有するキャリッジを前記第1方向と直交する第2方向へ移動させて被切断物を切断する。
【0003】
この種のカッティングプロッタでは、前記被切断物の種類に応じて、切断刃の被切断物に対する相対移動速度、切断刃の押圧力等の動作条件が夫々設定できるものがある(例えば特許文献1参照)。具体的には、被切断物の上面に、当該被切断物の種別を示すバーコードを付しておき、前記キャリッジには、カッティングプロッタにセットされた被切断物のバーコードを読み取るセンサ部を設ける。そして、セットされた被切断物を切断する前に、センサ部がバーコードを読み取ることで被切断物の種類を検出し、その種類に応じた動作条件を設定する。
また、被切断物を、上面に粘着剤が塗布された粘着層を有するシート状部材(保持部材に相当)に貼り付け、そのシート状部材を第1方向に移動させて被切断物に対して切断を行うカッティングプロッタも公知である(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−246562号公報
【特許文献2】特開2005−205541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のカッティングプロッタによれば、被切断物の種類を検出することで、その種類に応じた動作条件で切断を行うことができる。
また、特許文献1のカッティングプロッタに、特許文献2の保持部材を用いることも考えられる。この場合、被切断物の種類を検出し、その種類の応じた動作条件で切断を行うことができる。しかしながら、被切断物の種類に対して保持部材の粘着層の粘着力が不適切なときには、被切断物が確実に保持されず、切断動作中に保持部材からズレてしまう虞がある。このように、被切断物が保持部材に確実に保持できない場合には、被切断物を正確に切断することができない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、被切断物を保持部材に確実に保持して正確に切断することができる切断装置、及び切断装置に用いられる保持部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明の請求項1の切断装置は、切断刃と被切断物とを相対的に移動させることで、前記切断刃により前記被切断物を切断する切断手段を備えたものであって、前記被切断物を剥離可能に保持する粘着層を有し、前記被切断物を粘着させて保持した状態で前記切断装置にセットされる保持部材と、前記保持部材に設けられ、切断に関する情報である切断情報が書き込まれた無線タグと、前記切断装置に前記保持部材がセットされた際に、前記無線タグから前記切断情報を読み取る読取手段と、前記読取手段により前記無線タグから読み取った前記切断情報に基づいて、前記切断手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、保持部材に設けられた無線タグに切断情報が書き込まれており、当該保持部材が切断装置にセットされたとき、読取手段が前記無線タグから切断情報を読み取る。そして、制御手段は、読取手段が読み取った切断情報に基づいて切断手段の制御を行う。従って、切断装置において、被切断物が確実に保持されず、切断動作中に保持部材からズレてしまうことが防止され、被切断物を正確に切断することができる。
【0009】
請求項2の切断装置は、請求項1の発明において、前記切断情報は、前記切断刃と前記被切断物との相対移動速度と、前記切断刃の前記被切断物に対する押圧力と、前記被切断物に対する前記切断刃の相対移動量を補正する補正量とのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする。
請求項3の切断装置は、請求項1又は2の発明において、前記切断情報は、所定の模様形状を切断するための形状データを含むことを特徴とする。
【0010】
請求項4の切断装置は、請求項3の発明において、前記切断情報は、前記被切断物に対して前記模様形状を配置する配置データを含むことを特徴とする。
請求項5の切断装置は、請求項3又は4の発明において、前記切断情報は、前記被切断物に対して複数の前記模様形状を切断する場合、前記模様形状を切断する切断順序を特定する切断順序データを含むことを特徴とする。
【0011】
請求項6の切断装置は、請求項1から5の何れかの発明において、前記切断手段は、前記保持部材に保持された前記被切断物を押圧する押圧手段を備え、前記切断情報は、前記押圧手段の押圧力を含むことを特徴とする。
請求項7の切断装置は、請求項1から6の何れかの発明において、前記読取手段により前記無線タグから読み取った切断情報を更新するための設定手段と、前記設定手段で更新された切断情報を前記無線タグに書き込むための書込手段とを備えることを特徴とする。
請求項8の切断装置は、請求項1から7の何れかの発明において、前記無線タグは、前記保持部材に対して着脱可能に装着されていることを特徴とする。
【0012】
請求項9の保持部材は、被切断物を切断する切断手段と、無線タグから切断情報を読み取る読取手段と、前記切断情報に基づいて前記切断手段を制御する制御手段とを備えた切断装置に用いられる保持部材であって、前記被切断物を剥離可能に保持する粘着層と、切断に関する情報である切断情報が書き込まれた無線タグと、を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、保持部材の無線タグに書き込まれた切断情報は、当該保持部材を切断装置にセットすることで、読取手段によって読み取られる。これにより、切断装置では、読取手段で読み取った切断情報に基づいて制御手段による切断手段の制御が行われ、被切断物を正確に切断することができる。
【0013】
請求項10の保持部材は、請求項9の発明において、前記切断情報は、前記切断手段が有する切断刃と前記被切断物との相対移動速度と、前記切断刃の前記被切断物に対する押圧力と、前記被切断物に対する前記切断刃の相対移動量を補正する補正量とのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする。
請求項11の保持部材は、請求項9又は10の発明において、前記切断情報は、所定の模様形状を切断するための形状データを含むことを特徴とする。
【0014】
請求項12の保持部材は、請求項11の発明において、前記切断情報は、前記被切断物に対して前記模様形状を配置する配置データを含むことを特徴とする。
請求項13の保持部材は、請求項11又は12の発明において、前記切断情報は、前記被切断物に対して複数の前記模様形状を切断する場合、前記模様形状を切断する切断順序を特定する切断順序データを含むことを特徴とする。
【0015】
請求項14の保持部材は、請求項9から13の何れかの発明において、前記切断装置は、前記保持部材に保持された前記被切断物を押圧する押圧手段を備え、前記切断情報は、前記押圧手段の押圧力を含むことを特徴とする。
請求項15の保持部材は、請求項9から14の何れかの発明において、前記無線タグは、前記保持部材に対して着脱可能に装着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の切断装置によれば、保持部材に設けられた無線タグに切断情報が書き込まれており、当該保持部材が切断装置にセットされたとき、読取手段が前記無線タグから切断情報を読み取る。そして、制御手段は、読取手段が読み取った切断情報に基づいて切断手段の制御を行う。従って、被切断物が確実に保持されずに切断動作中に保持部材からズレてしまうことが防止され、被切断物を正確に切断することができる。
【0017】
請求項2の切断装置によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、切断情報は、切断刃と被切断物との相対移動速度、切断刃の被切断物に対する押圧力、及び被切断物に対する切断刃の相対移動量を補正する補正量のうち少なくとも1つを含んでいる。従って、これら少なくとも1つの切断情報に基づいて、制御手段が切断手段を適切に制御して、被切断物を確実に切断することができる。また、これらの切断情報を、切断装置に対しユーザが入力する必要がないので、利便性を向上させることができる。
請求項3の切断装置によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、無線タグから読み取った形状データに基づき模様形状が切断されるため、切断装置に対して形状データを入力し、或は設定する手間を省くことができる。また、保持部材毎に、同じ模様形状を繰り返し切断することができ、使い勝手のよいものとすることができる。
【0018】
請求項4の切断装置によれば、請求項3に記載の発明の効果に加え、無線タグから読み取った配置データに基づき被切断物に対する模様形状の配置が決定される。このため、切断装置に対して配置データを入力することなく、被切断物の大きさに応じた切断可能領域内で模様形状を切断することができる。
請求項5の切断装置によれば、請求項3又は4に記載の発明の効果に加え、無線タグから読み取った切断順序データに基づいて、複数の模様形状を切断する場合の切断順序が特定される。このため、無線タグに、複数の模様形状の効率的な切断順序を予め書き込むことで、切断装置に切断順序データを入力する手間を省くことができると共に、切断時間を短縮することが可能となる。
【0019】
請求項6の切断装置によれば、請求項1から5までの何れかの発明の効果に加え、押圧手段によって、保持部材に保持された被切断物を押圧することができる。更に、切断情報は押圧手段の押圧力を含んでいるので、保持部ごとに押圧手段の押圧力を設定することができる。従って、切断動作中において、被切断物が保持部材からズレないように、被切断物をより確実に保持することができる。
請求項7の切断装置によれば、請求項1から6の何れかに記載の発明の効果に加え、無線タグから読み取った切断情報を更新することができる。従って、実際に切断する被切断物の材質特性に応じて、切断情報を更新して切断を行うことができる。また、無線タグに、更新した切断情報を書き込むことができるので、次回以降も更新した切断情報に基づいて、被切断物を確実に切断することができる。
請求項8の切断装置によれば、請求項1から7の何れかに記載の発明の効果に加え、無線タグを保持部材に対して着脱可能に装着できる。従って、無線タグを別の保持部材に付け替えて繰り返し使用することができる。
【0020】
請求項9の保持部材によれば、無線タグに書き込まれた切断情報は、当該保持部材を切断装置にセットすることで、読取手段によって読み取られる。これにより、切断装置では、読取手段で読み取った切断情報に基づいて制御手段による切断手段の制御が行われ、被切断物を正確に切断することができる。
【0021】
請求項10の保持部材によれば、請求項9に記載の発明の効果に加え、保持部材により保持した被切断物を切断装置で切断することで、請求項2の発明の効果と同様の効果を奏する。
請求項11の保持部材によれば、請求項9又は10に記載の発明の効果に加え、保持部材により保持した被切断物を切断装置で切断することで、請求項3の発明の効果と同様の効果を奏する。
請求項12の保持部材によれば、請求項11に記載の発明の効果に加え、保持部材により保持した被切断物を切断装置で切断することで、請求項4の発明の効果と同様の効果を奏する。
【0022】
請求項13の保持部材によれば、請求項11又は12に記載の発明の効果に加え、保持部材により保持した被切断物を切断装置で切断することで、請求項5の発明の効果と同様の効果を奏する。
請求項14の保持部材によれば、請求項9から13の何れかに記載の発明の効果に加え、保持部材により保持した被切断物を切断装置で切断することで、請求項6の発明の効果と同様の効果を奏する。
請求項15の保持部材によれば、請求項9から14の何れかに記載の発明の効果に加え、保持部材により保持した被切断物を切断装置で切断することで、請求項8の発明の効果と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態における切断装置の内部構造を示す斜視図
【図2】切断装置の平面図
【図3】カッタホルダの斜視図
【図4】カッタを下降させた状態で示すカッタホルダの正面図
【図5】カッタを上昇させた状態で示すカッタホルダの断面図
【図6】図4のVI−VI線に沿う断面図
【図7】ギヤ部を拡大して示す正面図
【図8】切断時におけるカッタ先端の近傍部の拡大図
【図9】切断時におけるカッタホルダ近傍部の側面図
【図10】電気的構成を示すブロック図
【図11】(a)及び(b)は複数種類の保持部材を説明するための図
【図12】切断装置のRAMの記憶領域を説明するための概念図
【図13】保持シートの種類と切断パラメータを対応付けて示す図
【図14】(a)は無線タグの電気的構成の概略を示すブロック図、(b)は無線タグのメモリ部の記憶領域を説明するための概念図
【図15】無線タグの切断パラメータに基づき切断を行う場合における全体の処理の流れを示すフローチャート
【図16】無線タグの切断パラメータを読み取る際の処理の流れを示すフローチャート
【図17】本発明の第2実施形態を示す図14(b)相当図
【図18】(a)は形状データに基づき切断される模様形状と共に示す図11(a)相当図、(b)及び(c)は、正方形及び台形の模様形状を拡大して示す図
【図19】複数の形状データを含む全体データの構造を説明するための図
【図20】無線タグの形状データに係る切断情報に基づき切断を行う場合における図15相当図
【図21】図16相当図
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図16を参照しながら説明する。
図1に示すように、切断装置1は、筐体としての本体カバー2と、本体カバー2内に配設されたプラテン3と、カッタホルダ5とを備えると共に、カッタホルダ5のカッタ4(図5参照)と被切断物6とを相対的に移動させるための第1及び第2移動手段7,8を備えている。本体カバー2は横長な矩形箱状をなしており、前面部には、プラテン3上面部に被切断物6を保持した保持シート10をセットするための横長な開口部2aが形成されている。尚、以下の説明では、切断装置1に対しユーザが位置する側を前方とし、その反対側を後方とする。そして、前後方向をY方向とし、Y方向と直交する左右方向をX方向とする。
【0025】
本体カバー2の右側には、ユーザに対して必要なメッセージ等の表示を行う表示手段としての液晶ディスプレイ(LCD)9が設けられると共に、ユーザが各種の指示や選択、入力の操作を行うための複数の操作スイッチ65(図10参照)が設けられている。
前記プラテン3は、前後一対の板材3a,3bからなり、上面部が水平面たるXY平面をなすように構成されている。プラテン3には、被切断物6を保持する保持シート10が載置されるようにセットされ、被切断物6の切断の際、保持シート10をプラテン3で受ける。詳しくは後述するが、保持シート10の上面には、左縁部10b,右縁部10c及び後縁部10d,前縁部10eを除いた部分に粘着剤が塗布された粘着層10aが形成されている。被切断物6は、保持シート10の粘着層10aに貼り付けられて保持される。
【0026】
前記第1移動手段7は、プラテン3の上面側で保持シート10をY方向(第1方向)へ移動させるものである。即ち、切断装置1における左右の側壁部11a,11bには、プラテン3の板材3a,3bの間に位置させて、駆動ローラ12とピンチローラ13が設けられている。駆動ローラ12とピンチローラ13は、X方向に延びて、側壁部11a,11bに対して回動可能に支持されている。また、駆動ローラ12とピンチローラ13は、前記XY平面に対して平行で、且つ上下方向に並ぶように配置されている。下側が駆動ローラ12で、上側がピンチローラ13である。図2に示すように、右側壁部11bには、駆動ローラ12の右側に位置させて、クランク状の第1取付フレーム14が設けられている。取付フレーム14の外側には、Y軸モータ15が固定されている。Y軸モータ15は例えばステッピングモータから構成され、回転軸15aは第1取付フレーム14を貫通しており、先端部にギヤ部16aを有する。駆動ローラ12の右端部には、ギヤ部16aと噛合するギヤ部16bが固着されており、これらギヤ部16a、16bにより第1減速ギヤ機構16が構成されている。前記ピンチローラ13は、左右の側壁部11a,11bに形成されたガイド溝17b(図1に右側の溝17bのみ図示)により上下方向へ移動可能にガイドされている。左右の側壁部11a,11bには、ガイド溝17bを外側から囲うバネ収容部18a,18bが夫々設けられている。ピンチローラ13は、バネ収容部18a,18bに収容された図示しない圧縮コイルバネにより下方へ付勢されている。ピンチローラ13には、保持シート10の左縁部10b,右縁部10cに接触して押圧する押圧部13aが設けられている。押圧部13aは、ピンチローラ13の他の部分よりも外径が少し大きく形成されている。
【0027】
ここで、駆動ローラ12とピンチローラ13は、前記圧縮コイルバネの付勢力により、保持シート10を上下方向から押圧挟持する(図9参照)。そして、Y軸モータ15を正転駆動、或は逆転駆動させると、その回転運動が第1減速ギヤ機構16を介して駆動ローラ12に伝わることで、保持シート10を被切断物6と共に後方或いは前方へ移動させる。これら駆動ローラ12、ピンチローラ13、Y軸モータ15、第1減速ギヤ機構16、前記圧縮コイルバネ等は、第1移動手段7を構成する。
【0028】
前記第2移動手段8は、カッタホルダ5を支持するキャリッジ19を、X方向(第2方向)へ移動させるものである。詳細には、図1、図2に示すように、左右の側壁部11a,11b間には、後端部に位置させて、左右方向に延びるガイド軸20とガイドフレーム21が配設されている。ガイド軸20は、駆動ローラ12及びピンチローラ13と平行に配設されている。ガイド軸20は、プラテン3の直ぐ上側で、キャリッジ19下部(後述の貫通孔部22)を貫通している。ガイドフレーム21は、前縁部21aと後縁部21bが下方へ折り返された断面コ字状をなしている。前縁部21aはガイド軸20と平行に配設されている。ガイドフレーム21は、前縁部21aでキャリッジ19上部(後述の被ガイド体23,23)をガイドするようになっており、側壁部11a,11bの上端部で螺子21cにより固定されている。
【0029】
図2に示すように、切断装置1の後部には、右側壁部11bに第2取付フレーム24が設けられると共に、左側壁部11aに補助フレーム25が設けられている。第2取付フレーム24には、X軸モータ26及び第2減速ギヤ機構27が配設されている。X軸モータ26は、例えばステッピングモータからなり、第2取付フレーム24における前側の取付片24aの前面部に固定されている。X軸モータ26の回転軸26aは取付片24aを貫通しており、先端部に、第2減速ギヤ機構27と噛合するギヤ部26bを有する。第2減速ギヤ機構27にはプーリ28が設けられており、図2において左側の補助フレーム25にプーリ29が回転自在に取付けられている。これらプーリ28とプーリ29との間には、キャリッジ19の後端部(後述の取付部30)に連結された無端状のタイミングベルト31が掛装されている。
【0030】
ここで、X軸モータ26を正転駆動、或は逆転駆動させると、その回転運動が第2減速ギヤ機構27及びプーリ28を介してタイミングベルト31に伝わることで、キャリッジ19をカッタホルダ5ごと左方或いは右方へ移動させる。こうして、キャリッジ19とカッタホルダ5は、被切断物6を搬送するY方向と直交するX方向に移動する。上記のガイド軸20、ガイドフレーム21、X軸モータ26、第2減速ギヤ機構27、プーリ28,29、タイミングベルト31、キャリッジ19等は、第2移動手段8を構成する。
【0031】
前記カッタホルダ5は、キャリッジ19に対して前面側に配置され、Z方向たる上下方向(第3方向)への移動が可能に支持されている。これらキャリッジ19及びカッタホルダ5の構成について、図3〜図9も参照しながら説明する。
【0032】
図2、図3に示すように、キャリッジ19は、後面側が開放された略矩形箱状をなす。キャリッジ19の上壁部19aには、平面視にて円弧状をなすリブであって、上方へ突出する前後一対の被ガイド体23,23が一体に設けられている。被ガイド体23,23は、ガイドフレーム21の前縁部21aを挟むよう対称的に配置されている。図4にも示すように、キャリッジ19における底壁部19bの下側には、ガイド軸20に挿通される左右一対の貫通孔部22,22が下方へ張出すように形成されている。また、キャリッジ19の底壁部19bには、前記タイミングベルト31に連結される取付部30(図5、図6参照)が後方へ突出するように設けられている。こうして、キャリッジ19は、貫通孔部22,22に挿通されるガイド軸20によって左右方向へ摺動可能に支持されると共に、被ガイド体23,23で挟まれるガイドフレーム21によってガイド軸20の回りに回転しないように支持される。
【0033】
図3、図4、図5、図9等に示すように、キャリッジ19の前壁部19cには、前方へ延出する上下一対の支持部32a,32bが一体に設けられている。キャリッジ19には、支持部32a,32bを夫々貫通する左右一対の支持軸33a,33bが上下動自在に支持されている。キャリッジ19内には、例えばステッピングモータからなるZ軸モータ34が、後方から収容されるように配置されている。Z軸モータ34の回転軸34aは(図3、図9参照)、キャリッジ19の前壁部19cを貫通しており、先端部にギヤ部35を有する。また、図5、図6、図9に示すように、キャリッジ19には、その前壁部19c中央からやや下寄りの部位を前後に貫通するギヤ軸37が設けられている。ギヤ軸37には、前壁部19cの前側で前記ギヤ部35に噛合するギヤ部38が回転可能に装着されると共に、ギヤ軸37前端部の止め輪(図示略)により抜け止めされている。ギヤ部38とギヤ部35で第3減速機構41を構成する(図3、図9参照)。
【0034】
ギヤ部38には、図7に示すように、渦巻き溝42が形成されている。渦巻き溝42は、第1端部42aから第2端部42bへ向って右方向に旋回するにつれ中心に近づく渦巻き状をなすカム溝である。渦巻き溝42には、詳しくは後述するが、カッタホルダ5と一体的に上下移動する係合ピン43が係合する(図5、図6参照)。ここで、Z軸モータ34を正転駆動、或は逆転駆動させると、ギヤ部35を介してギヤ部38が回転する。ギヤ部38が回転することにより、渦巻き溝42に係合する係合ピン43が上下方向に摺動する。これに伴い、カッタホルダ5を支持軸33a,33bごと上方或いは下方へ昇降させる。この場合、カッタホルダ5は、係合ピン43が渦巻き溝42の第1端部42aに位置した上昇位置(図5、図7参照)と、係合ピン43が第2端部42bに位置した下降位置(図6、図7参照)との間で移動する。上記の渦巻き溝42を有する第3減速機構41、Z軸モータ34、係合ピン43、支持部32a,32b、支持軸33a,33b等は、カッタホルダ5を上下方向へ移動させる第3移動手段44を構成する。
【0035】
カッタホルダ5は、前記支持軸33a,33bに設けられるホルダ本体45と、カッタ4(切断刃)を有してホルダ本体45に上下動可能に保持される可動筒部46とを備えると共に、被切断物6を押圧するための押圧装置47を備えている。
即ち、図3、図4、図5、図9等に示すように、ホルダ本体45は、上端部45aと下端部45bが後方へ折り返され全体としてコ字状をなしている。ホルダ本体45の上端部45aと下端部45bは、支持軸33a,33bの上下両端部に夫々固定された止め輪48により、支持軸33a,33bに対し移動不能に固定されている。図5、図6に示すように、支持軸33bの中間部には、前記係合ピン43が後向きに設けられた連結部材49が固着されている。こうして、ホルダ本体45、支持軸33a,33b、係合ピン43、及び連結部材49は一体的に構成され、カッタホルダ5は、前記第3移動手段44により係合ピン43に連動して上下方向へ移動する。また、支持軸33a,33bには、支持部32a上面とホルダ本体45の上端部45aとの間に、付勢部材たる圧縮コイルバネ50が夫々外装されている。圧縮コイルバネ50の付勢力により、カッタホルダ5全体がキャリッジ19側に対して上方へ弾性付勢されている。
また、図4に示すように、ホルダ本体45の下端部45bには、右側に位置して後述するタグリーダ/ライタ66が設けられている。タグリーダ/ライタ66は、ホルダ本体45に対して一体的に設けられており、後述する無線タグ60と非接触で切断に関する情報である切断情報を送受信する。尚、タグリーダ/ライタ66を、ホルダ本体45に設けるのではなく、本体カバー2又はプラテン3に設けるようにしてもよい。換言すれば、タグリーダ/ライタ66は、無線タグ60と送受信が可能な範囲に設けるようにすればよく、設ける位置は限定されない。
【0036】
図3、図4に示すように、ホルダ本体45における中間部には、可動筒部46や押圧装置47等を取付けるための取付部材51,52が螺子54a,54bにより夫々固定されている。下側の取付部材52には、可動筒部46を上下動可能に支持する筒状部52a(図5参照)が設けられている。可動筒部46は、筒状部52aの内周面に摺接する径寸法に設定され、その上端部には、筒状部52aの上端で支持されるフランジ部46aが径方向外側へ張出すように形成されている。フランジ部46aの上端面にはバネ受け部46bが設けられている。図5、図6に示すように、上側の取付部材51と可動筒部46のバネ受け部46bとの間には、圧縮コイルバネ53が配設されている。圧縮コイルバネ53は、可動筒部46(カッタ4)を下方の被切断物6側に付勢する一方、カッタ4に被切断物6側から上方への力が作用すると、当該付勢力に抗して可動筒部46の上方への移動を許容する。
【0037】
可動筒部46には、その軸線方向に延びるカッタ4が貫通するように配設されている。詳細には、カッタ4は、可動筒部46よりも長尺な丸棒状のカッタ軸4bと、そのカッタ軸4bの下端部に形成された刃部4aとを一体に有する。図8に示すように、刃部4aは略三角形状をなし、最下端の刃先4cが、カッタ軸4bの中心軸線Oから距離dだけオフセット(偏心)した位置に形成されている。カッタ4は、可動筒部46内部の上下両端部に配設された軸受55(図5参照)により、上下方向の中心軸線O(Z軸)を中心に回動自在に保持されている。こうして、カッタ4は、被切断物6の表面たるXY平面に対して直交するZ方向から刃先4cが圧接する。また、カッタ4は、カッタホルダ5が下降位置へ移動された時に、図8に示すように刃先4cが保持シート10上の被切断物6を貫通し、且つプラテン3の板材3b上面に到達しない高さに設定してある。一方、カッタ4は、カッタホルダ5が上昇位置へ移動されることに伴い、刃先4cも上方へ移動して被切断物6から離間する(図5参照)。
【0038】
前記取付部材52には、筒状部52aの下端部周縁に、3つのガイド孔部52b〜52d(図3、図4、図5、図9参照)が等間隔で形成されている。そして、筒状部52aの下側には、ガイド孔部52b〜52dに挿通される3つのガイド棒56b〜56dを有する押圧部材56が配置されている。押圧部材56の下面側は、浅底な鉢(ボウル)状(或は緩やかな円形椀状)をなす押圧部本体56aとされており、周縁上部には、等間隔をなす前記ガイド棒56b〜56dが一体に設けられている。押圧部材56は、ガイド孔部52b〜52dにてガイド棒56b〜56dがガイドされることにより、上下方向への移動が可能である。押圧部本体56aの中央部には、上下方向に延びて前記刃部4aを下方へ突出させるための貫通孔56eが形成されている。そして、押圧部本体56aの下端面は、刃部4aの周囲で被切断物6に接触する接触部56fとされている。接触部56fは、円環上をなす水平な平坦面であって、被切断物6に対して面接触する。接触部56fは、例えばテフロン(登録商標)等のフッ素樹脂で構成されることで、比較的摩擦係数が低く、被切断物6に対して滑り易くなっている。
【0039】
図3、図4、図5、図9等に示すように、押圧部本体56aの周縁上部には、前方へ延出する案内部56gが一体に設けられている。案内部56gは、接触部56fに対して前側で且つ上方に位置し、当該接触部56f側へ後方に向けて下方に傾斜した傾斜面56gaを含んで構成されている。これにより、被切断物6を保持した保持シート10が、カッタホルダ5に対して後方へ移動する際、案内部56gは、被切断物6を接触部56fに対して引っ掛からないように下側へ案内する。
【0040】
前記取付部材52には、筒状部52aの前側であって案内部56gの上方に位置してソレノイド57用の前側取付部52eが一体に設けられている。ソレノイド57は、押圧部材56を上下動させて被切断物6を押圧するためのアクチュエータであり、押圧部材56並びに後述の制御回路61と共に押圧装置47(押圧手段)を構成する。ソレノイド57は、前側取付部52eに下向きに取付けられており、プランジャ57aの先端部は案内部56g上面に固定されている。カッタホルダ5の下降位置でソレノイド57が駆動されると、プランジャ57aと共に押圧部材56が下方へ移動して被切断物6を所定の押圧力で押圧する(図9参照)。これに対して、ソレノイド57の非駆動時には、プランジャ57aが上方に位置して押圧部材56が被切断物6に対する押圧力を解除する。ソレノイド57の非駆動状態でカッタホルダ5が上昇位置へ移動されると(図5の2点鎖線参照)、押圧部材56が被切断物6から完全に離間する。
上記したカッタ4、第1移動手段7、第2移動手段8、第3移動手段、制御回路61、押圧装置47等は、切断手段58(図1参照)に相当する。
【0041】
さて、前記保持シート10は、被切断物6の種類ごとに複数種類が用意されており、各保持シート10には、切断に関する情報である切断情報が書き込まれた無線タグ60が装着されている。また、保持シート10には、ユーザが視認することで種類を判別できるように、標識59が付与されている。保持シート10、無線タグ60、及び標識59について図11、図13も参照しながら説明する。
図1、図11に示すように、保持シート10は、例えば、合成樹脂材料からなり、平板矩形状に形成されている。保持シート10は、カッタ4と対向する位置に配置される。保持シート10の片面(上面)には、周縁部である左縁部10b,右縁部10c及び後縁部10d,前縁部10eを除いた部分に粘着剤が塗布された粘着層10a(図8参照)が形成されている。
【0042】
保持シート10は、対応する種類の被切断物6を粘着層10aに粘着させることで剥離可能に保持する。ここで、粘着層10aは、カッタ4で被切断物6を切断する際に、当該被切断物6を移動不能に保持する粘着力を有する。具体的には、被切断物6としてケント紙やはがき等の紙を切断する場合、当該紙を移動不能に保持するための最適な粘着力に設定された保持シート10A(図11(a)参照)が用いられる。また、被切断物6として布を切断する場合、布の種類に応じた保持シート10が用いられる。例えば、布の種類としてフェルトを使用する場合には、当該フェルトを移動不能に保持するための最適な粘着力に設定された保持シート10B(図11(b)参照)が用いられる。
【0043】
この他、詳しい図示は省略するが、布の種類として例えばデニムやブロードを使用する場合には、デニムを移動不能に保持する最適な粘着力に設定された保持シート10Cが用意され、ブロードを移動不能に保持する最適な粘着力に設定された保持シート10Dが用意されている。このように、複数種類の保持シート10が用意されている(図13参照)。つまり、紙と布とでは材質が異なり、また、布の種類においても、フェルトとデニムとブロードとでは、布厚や伸縮特性等の布質が異なる。このため、粘着層10aの粘着力は、夫々の被切断物6の特性に応じた粘着力に設定され、且つ、夫々の被切断物6を粘着層10aから剥がす際に、被切断物6が破れてしまうことがない粘着力であるように設定してある。こうして、上記した複数種類(例えば4種類)の保持シート10A〜10Dは、粘着層10aの粘着力の弱い順に例えば「10A<10B<10C<10D」の関係にある。このように、被切断物6の種類に応じて、粘着層10aの粘着力が、保持シート10A〜10Dごとに設定してある。ここで、保持シート10の種類は、上記4種類に限定されるものではないことは、言うまでもない。
【0044】
無線タグ60は、詳しくは後述するが、ICチップと小型のアンテナ71(図14(a)参照)とを備えた周知の構成のものが用いられ、保持シート10の後縁部10dに設けられる。そして、無線タグ60には、切断に関する情報である切断情報が書き込まれている。図11(a)に示すように、無線タグ60Aは、図示しない両面粘着テープによって、保持シート10Aの後縁部10d上面(表面)の右方に貼付されており、着脱が可能である。また、図11(b)に示すように、無線タグ60Bも同様に、保持シート10Bの後縁部10d上面右方に、両面粘着テープにより着脱可能に貼付されている。また、図示は省略するが、無線タグ60C,60Dについても、上記と同様に、保持シート10C,10Dの夫々の後縁部10dの上面右方に着脱可能に貼付されている。無線タグ60A〜60Dには、夫々の保持シート10A〜10Dごとに夫々異なる切断情報が書き込まれている。尚、無線タグ60の貼付位置については、保持シート10の後縁部10dの上面右方に限定するものではなく、他の位置であってもよい。
【0045】
次に、標識59について説明する。標識59は、ユーザが視認することで保持シート10の種類を判別する為のものである。図11に示すように、標識59は、保持シート10の左縁部10b,右縁部10cの略中央位置に付与されている。本実施形態の場合は、標識59として、保持シート10Aには「A」、保持シート10Bには「B」の文字が印刷されている。また、図示はしないが、保持シート10C、10Dも同様に、夫々対応する文字が印刷されている。尚、標識59は、文字の代わりに、数字、記号、模様、図形、目印等であってもよい。また、標識59の位置は、図11に示す位置に限定するものではなく、標識59の個数についても2個に限定するものではない。また、標識59を付与する代わりに、保持シート10の種類毎に異なる色を付与してもよい。この場合、保持シート10の全体に色を付与してもよいし、保持シート10の一部に色を付与してもよい。そして、標識59と色の両方を、保持シート10に付与してもよいことは言うまでもない。尚、以下、保持シート10Aを紙用保持シート10A、保持シート10Bをフェルト用保持シート10B、保持シート10Cをデニム用保持シート10C、保持シート10Dをブロード用保持シート10Dと称す。
【0046】
次に、切断装置1及び無線タグ60の制御系の構成について図10、図12及び図14を参照しながら説明する。
図10に示すように、切断装置1全体の制御を司る制御回路(制御手段)61は、コンピュータ(CPU)を主体に構成されており、記憶手段としてROM62、RAM63、外部メモリ64が接続されている。ROM62には、切断動作を制御するための切断制御プログラム等が記憶されている。外部メモリ64には、所定の模様形状を切断するための複数種類の形状データが記憶されている。
【0047】
RAM63には、各種のデータを一時的に記憶する記憶領域が設けられている。具体的には、図12に示すように、RAM63には、カッタ4の被切断物6に対する押圧力に関するデータが記憶されるカッタ圧情報記憶領域631、押圧部材56の押圧力に関するデータが記憶される押え圧情報記憶領域632、カッタ4と被切断物6との相対移動速度に関するデータが記憶される速度情報記憶領域633、被切断物6に対するカッタ4の相対移動量を補正する補正量に関するデータが記憶される補正情報記憶領域634等の複数の記憶領域が設けられている。記憶領域631〜634に記憶される各データ(切断パラメータ)については、後述する。
【0048】
制御回路61には、Y軸モータ15、X軸モータ26、Z軸モータ34、ソレノイド57を夫々駆動する駆動回路67,68,69,70が接続されている。制御回路61は、切断制御プログラムの実行により前記形状データや切断パラメータに基づいて、Y軸モータ15、X軸モータ26、Z軸モータ34、ソレノイド57を制御し、保持シート10上の被切断物6に対する切断動作を自動で実行させる。
【0049】
また、制御回路61には、前述した各種の操作スイッチ65(以下、単に操作スイッチ65と称する)やタグリーダ/ライタ66が接続されると共に、液晶ディスプレイ9が接続されている。
タグリーダ/ライタ66は、保持シート10の無線タグ60との間で無線通信を行うことにより、非接触で情報の読み取りを行う読取手段としての機能と、非接触で情報の書き込みを行う書込手段としての機能を有する。図示は省略するが、タグリーダ/ライタ66は、制御部を主体として、これに接続されるメモリ部、通信部等を備えると共に、無線通信のためのアンテナを備える。前記制御部は、制御回路61に接続されると共に、メモリ部の制御プログラムに基づいて、通信指令を通信部に対して行う。これにより、通信部にて送信情報を用いて変調した所定周波数の電波信号をアンテナから送信する送信処理と、アンテナで受信した電波信号より元の情報を復調する受信処理とを行う。
【0050】
ユーザは、液晶ディスプレイ9の表示を見ながら操作スイッチ65を操作することによって、所望する模様形状の形状データを選択するための入力を行う。また、液晶ディスプレイ9には、前記タグリーダ/ライタ66により無線タグ60から読み取った情報を含む各種の情報を表示させることができる。そして、液晶ディスプレイ9及び操作スイッチ65は、無線タグ60から読み取った情報を更新するための設定手段として、種々の切断パラメータを含む切断情報の設定が可能とされている。尚、液晶ディスプレイ9の前面に、透明電極からなる複数のタッチキーを有するタッチパネルを設け、前記タッチキーの入力操作に基づいて、各種の設定や入力を行うようにしてもよい。
【0051】
図14(a)に示すように、無線タグ60は、ICチップとアンテナ71とを備えている。ここで、ICチップは、制御部72を主体として、これに接続されるメモリ部73や通信部74を有すると共に、アンテナ71で受信した電波から電源電圧を生成する電源部75を有し、電源部75で得た電源電圧に基づいて動作する。通信部74は、アンテナ71で受信した電波に含まれるデータ信号が伝達されると、そのデータ信号を元のデータに復調する処理を行う。制御部72は、タグリーダ/ライタ66からの命令(コマンド)の内容に従って、メモリ部73の記憶内容の書き込み等を行う。また、制御部72は、タグリーダ/ライタ66からのコマンドの内容に従い、メモリ部73に保存しているデータを送信するための制御を通信部74に対して行い、メモリ部73から取出されたデータにより、通信部74において所定の周波数帯の搬送波が変調され、アンテナ71からタグリーダ/ライタ66側に送信される。
【0052】
図14(b)に示すように、無線タグ60のメモリ部73には、カッタ圧情報記憶領域731、押え圧情報記憶領域732、速度情報記憶領域733、補正情報記憶領域734等の複数の記憶領域が設けられている。
カッタ圧情報記憶領域731には、カッタ4の被切断物6に対する押圧力に関するカッタ圧データが予め書き込まれている。カッタ圧データは、Z軸モータ34の駆動によりカッタホルダ5の下降位置におけるカッタ4の上下位置を調整してカッタ圧を制御するための設定値である。押え圧情報記憶領域732には、押圧部材56の押圧力に関する押え圧データが予め書き込まれている。押え圧データは、ソレノイド57の駆動電流(電流値)であり、当該電流値によって押圧部材56の被切断物6に対する押圧力を制御する。速度情報記憶領域733には、カッタ4と被切断物6との相対移動速度に関する速度データが予め書き込まれている。速度データは、前記相対移動速度を制御するためのY軸モータ15及びX軸モータ26の設定速度である。補正情報記憶領域734には、被切断物6に対するカッタ4の相対移動量を補正する補正量に関する補正データが予め書き込まれている。補正データは、被切断物6の切断時の伸縮量に対応して設定されるもので、切断開始点と切断終了点との間で切れ残りが生じないように、Y軸モータ15及びX軸モータ26の駆動量を補正するための設定値である。
【0053】
図13は、上記したカッタ圧データ、押え圧データ、速度データ、及び補正データについて、保持シート10A〜10Dと対応づけた設定例を示している。各データは、切断装置1において保持シート10A〜10Dごとに最適な切断条件となるよう、前記粘着力や被切断物6の特性に応じて各別に設定されている。即ち、紙用保持シート10Aでは、同図の一番上側に示すように、カッタ圧データ、押え圧データ、及び速度データは、低い値に設定されている。また、紙は伸縮しないので、カッタ4の相対移動に係る補正は行わない。そして、フェルト用保持シート10Bでは、カッタ圧データ及び押え圧データは夫々中程度の値に設定され、速度データは高い値に設定されている。また、フェルトの伸縮は比較的大きいため、補正データは大きい値に設定されている。
【0054】
この他、デニム用保持シート10Cでは、カッタ圧データ、押え圧データ、及び速度データは、高い値に設定されている。また、デニムの伸縮は比較的小さいため、補正データは小さい値に設定されている。そして、ブロード用保持シート10Dでは、カッタ圧データは低い値に設定され、押え圧データ及び速度データは高い値に設定されている。また、ブロードの伸縮は中程度であるため、補正データは中程度の値に設定されている。
【0055】
こうして、無線タグ60A〜60Dの夫々のメモリ部73の各記憶領域731〜734には、上記した各データ(カッタ圧データ〜補正データ)、即ち、保持シート10A〜10Dごとに最適な切断条件となるよう各別に設定された切断パラメータが記憶されている。そして、制御回路61は、切断開始時にタグリーダ/ライタ66により、無線タグ60A〜60Dから上記切断パラメータを読み取り、当該データに基づいて切断手段58を制御する。上記切断パラメータが、切断情報に相当する。
切断装置1における切断開始時の具体的な処理手順について、図15、図16も参照しながら説明する。図15、図16のフローチャートは、制御回路61が実行するプログラムの処理の流れを示しており、図中の符号Si(i=11、12、13・・・)は各ステップを示している。
【0056】
ユーザは、被切断物6と、被切断物6の種類に対応した保持シート10を用意し、保持シート10の粘着層10aに被切断物6を貼り付ける。また、ユーザは、操作スイッチ65を操作することによって、例えば外部メモリ64に記憶されている形状データの中から所望の形状データを選択する。
一方、切断装置1において、被切断物6の切断開始前の状態では、カッタホルダ5が上昇位置に移動されている(図5参照)。この状態で、ユーザは、被切断物6を保持した保持シート10を、切断装置1の開口部2aからセットする(ステップS11)。そして、ステップS12では、セットされた保持シート10の無線タグ60から上記切断パラメータを読み取って、切断装置1の切断条件として設定する無線タグ情報設定処理が行われる(図16参照)。
【0057】
即ち、制御回路61は、タグリーダ/ライタ66を介して、無線タグ60のメモリ部73に記憶されているカッタ圧データ、押え圧データ、速度データ、及び補正データを読み取って、RAM63のカッタ圧情報記憶領域631、押え圧情報記憶領域632、速度情報記憶領域633、及び補正情報記憶領域634に記憶させる(ステップS21〜S24)。
【0058】
こうして、ステップS21〜S24を経て、切断装置1における切断パラメータが、無線タグ60に記憶されている各データに基づいて自動的に設定される。例えば、前記ステップS11で、被切断物6としてフェルトを貼り付けたフェルト用保持シート10Bをセットした場合、カッタ圧データ及び押え圧データは中程度の値に、速度データは比較的高い値に、補正データは大きい値に夫々設定される(図13参照)。これにより、無線タグ情報設定処理を終了する(図15のステップS13にリターンする)。
【0059】
続いて、制御回路61は、液晶ディスプレイ9に前記ステップS12で設定されたカッタ圧データ、押え圧データ、速度データ、及び補正データを表示すると共に、これら切断パラメータを更新するか否かのメッセージを液晶ディスプレイ9に表示する。そして、ユーザは、操作スイッチ65の操作により、切断パラメータの更新を指示し(ステップS13にてYes)、RAM63に記憶された各切断パラメータを所望の値に更新することができる(ステップS14)。この場合、ユーザは、液晶ディスプレイ9に表示された各切断パラメータの夫々の値を、操作スイッチ65の操作により新たに設定する。設定後の各データは、RAM63の記憶領域631〜634に上書き更新される。この場合、実際に切断する被切断物6はフェルトであるが、フェルトの布厚が比較的薄い場合には、速度データを若干高い値に更新することで切断時間をより短縮することができる。また、同様に、実際に切断する被切断物6の材質特性(表面の凹凸の度合い(平滑度)、厚み、伸縮性)に応じて、カッタ圧データ、押え圧データ、速度データ、及び補正データを適宜変更して更新することで、より正確に切断を行うことができる。
【0060】
更に、制御回路61は、前記ステップS14で更新した切断パラメータを無線タグ60に書き込むか否かのメッセージを液晶ディスプレイ9に表示する。ここで、ユーザは、操作スイッチ65の操作により、無線タグ60への書き込みを指示することができる(ステップS15にてYes)。制御回路61は、書き込みの指示を受けると、タグリーダ/ライタ66を介して、無線タグ60のカッタ圧情報記憶領域731、押え圧情報記憶領域732、速度情報記憶領域733、及び補正情報記憶領域734に、更新後のカッタ圧データ、押え圧データ、速度データ、及び補正データを夫々書き込む(上書きする)(ステップS16)。尚、前記ステップS13又はステップS15において、ユーザによる切断パラメータの更新又は書き込みの指示が無い場合(No)、上記したRAM63のデータの更新及び無線タグ60へのデータ書き込みは行われない。ここで、図示はしないが、メモリ部73とは別の第2メモリ部を無線タグ60に設け、更新後のカッタ圧データ、押え圧データ、速度データ、及び補正データを第2メモリ部に夫々書き込むようにしてもよい。この場合、メモリ部73は読み取り専用とする。そして、更新後のカッタ圧データ、押え圧データ、速度データ、及び補正データを最初の値(初期値)に戻したいときには、メモリ部73から初期値を読み取るようにすればよい。
【0061】
こうして、切断装置1において切断パラメータが設定された状態で、操作スイッチ65が操作されると、制御回路61は、その操作信号に基づいて切断動作を開始する(ステップS17)。ここで、制御回路61は、RAM63のカッタ圧情報記憶領域631、押え圧情報記憶領域632、速度情報記憶領域633、及び補正情報記憶領域634を参照し、各記憶領域631〜634に記憶されたカッタ圧データ、押え圧データ、速度データ、及び補正データに基づいて、前記切断手段58を制御する。
具体的には、先ず、カッタ4の刃先4cを被切断物6の切断開始点に移動させるべく、Y軸モータ15及びX軸モータ26を速度データに基づき駆動制御して、カッタ4と被切断物6を相対移動させる。そして、切断開始点上にカッタ4を移動させた状態で、押え圧データに基づくソレノイド57の駆動制御により、押圧部材56で被切断物6を押圧する。また、カッタ圧データに基づくZ軸モータ34の駆動制御により、カッタホルダ5を下降位置に移動させて、カッタ4の刃先4cを被切断物6の切断開始点に貫通させる。そして、前記形状データと速度データに基づいてY軸モータ15及びX軸モータ26を駆動させることで、カッタ4と被切断物6とを相対的に移動させて被切断物6を切断する。
【0062】
切断時においてカッタ4の相対移動に伴い、カッタ4が被切断物6から抵抗力を受ける。この点、被切断物6はこれを保持するのに最適の保持シート10が用いられ、且つ押え圧データに基づき接触部56fで適切な押圧力が作用する。このため、保持シート10における粘着層10aの粘着力と接触部56fの押圧力とにより、被切断物6が保持シートに対して移動することが無いよう、確実に保持される。当該押圧力との関係で、速度データに基づきモータ15,26が脱調しないように制御することができ、連続して安定した切断を行うことができる。また、カッタ圧データに基づきZ軸モータ34を駆動制御することで、被切断物6を確実に切断することができる。そして、切断終了点では、被切断物6の伸縮に対応する為、補正データに基づいてカッタ4を余分に移動させて、前記切断開始点との間で切れ残りが生じないように切断する。
【0063】
被切断物6の切断が終了すると、ユーザは、保持シート10から被切断物6を剥がす。この場合、保持シート10における粘着層10aの粘着力は、前述のように被切断物6に応じた値に設定されているため、容易に剥がすことができる。
ここで、保持シート10は、ある程度繰り返して使用される。しかし、保持シート10の使用回数が増えるほど、被切断物6の貼り付けと剥がしが繰り返されるので、粘着層10aの粘着力が徐々に低下して使用できなくなる。そこで、例えば保持シート10Aが使用できなくなって新しいものに替える場合、ユーザは、保持シート10Aに両面粘着テープで貼り付けられていた無線タグ60Aを剥がす。そして、無線タグ60が貼り付けられていない新品の保持シート10であって保持シート10Aと同じ粘着力を有する保持シート10に無線タグ60Aを貼り付ける。このように、新品の保持シート10に無線タグ60Aを貼り付けるだけで、保持シート10Aとして直ぐに使用することができるので、大変便利である。また、例えば無線タグ60Aを別の保持シート10Bに適用したい場合、即ち、無縁タグ60Aを無線タグ60Bとして使用したい場合には、前述した切断パラメータの更新及び書き込みにおいて(ステップS13〜S16)、保持シート10Bに適した値に更新して書き込み(上書き)することで、無線タグ60Bとして使用することができる。
【0064】
以上のように本実施形態の切断装置1において、タグリーダ/ライタ66により無線タグ60から読み取った切断情報(切断パラメータ)に基づいて、切断手段58を制御する制御回路61を備える。
これによれば、切断装置1にセットされた保持シート10の無線タグ60から切断情報が読み取られ、制御回路61によって、切断情報に基づいて切断手段58の動作が制御される。従って、被切断物6が確実に保持されずに切断動作中に保持シート10からズレてしまうことが防止され、被切断物6を正確に切断することができる。
【0065】
前記切断情報は、カッタ4と被切断物6との相対移動速度と、カッタ4の被切断物6に対する押圧力と、被切断物6に対するカッタ4の相対移動量を補正する補正量とのうち少なくとも1つの情報を含む。従って、これら少なくとも1つの切断情報に基づいて、制御回路61が切断手段58を適切に制御して、被切断物6を確実に切断することができる。また、当該切断情報を、切断装置1に対しユーザが入力する必要がないので、利便性を向上させることができる。
切断手段58は、保持シート10に保持された被切断物6を押圧する押圧装置47を備え、前記切断情報は、押圧装置47の押圧力を含む。これによれば、押圧装置47によって、保持シート10に保持された被切断物6を押圧することができる。更に、保持シート10ごとに押圧力を設定できるため、切断動作中に被切断物6が保持シート10からズレないよう、より確実に保持することができる。
【0066】
タグリーダ/ライタ66により無線タグ60から読み取った切断情報を更新するための設定手段として液晶ディスプレイ9及び操作スイッチ65を備える。また、タグリーダ/ライタ66は、当該設定手段で更新した切断情報を無線タグ60に書き込むための書込手段として構成されている。これによれば、実際に切断する被切断物6の材質特性に応じて切断情報を更新して切断を行うことができる。また、無線タグ60に更新した切断情報を書き込むことができるので、次回以降も更新した切断情報に基づいて、被切断物を確実に切断することができる。
無線タグ60は、保持シート10に対して着脱可能に装着されている。このため、無線タグ60を、新品の保持シート10又は別の保持シート10に付け替えて繰り返し使用することができる。
【0067】
<第2実施形態>
図17〜図21は、本発明の第2実施形態を示すものであり、第1実施形態と異なるところを説明する。尚、第1実施形態と同一部分には同一符号を付している。
図17に示すように、本第2実施形態における無線タグ60αのメモリ部73には、形状データ記憶領域735、切断順序データ記憶領域736、配置データ記憶領域737が設けられている。形状データ記憶領域735には、所定の模様形状を切断するための形状データが予め書き込まれている。切断順序データ記憶領域736には、被切断物6に対して複数の模様形状を切断する場合、それら模様形状の切断順序を特定する切断順序データが予め書き込まれている。配置データ記憶領域737には、被切断物6に対して模様形状の配置を特定するための配置データが予め書き込まれている。
【0068】
前記形状データについて、保持シート10αに保持された被切断物6から複数(例えば12個)の模様形状を切断する場合を例に説明する。図18(a)に示すように、切断する形状は、「正方形」の6つの模様形状Fa〜Ffと「台形」の6つの模様形状Fg〜Flである。この場合の全体データは、図19に示すように、模様形状Fa〜Flの総数の情報である「模様数」、「模様形状Fa」〜「模様形状Fl」の形状データ、「形状区切りデータ」等を含む。前記切断順序データは、当該模様形状Fa〜Flに対応付けて記憶されている(図19の切断1〜切断12参照)。「模様数」は12であり、各模様形状Fa〜Flの形状データは、複数の線分からなる切断ラインの頂点を夫々XY座標によって示した座標データからなる。
【0069】
具体的には、模様形状Faの切断ラインは、図18(b)に示すように4つの線分a1〜a4からなり、切断開始点P0と切断終了点P4が一致する閉じた正方形である。模様形状Faの形状データは、切断開始点P0、頂点P1、頂点P2、頂点P3、切断終了点P4の夫々に対応する第1座標データ、第2座標データ、第3座標データ、第4座標データ、第5座標データを有する(図19参照)。図18(a)に示すように、模様形状Fb〜Ffも模様形状Faと同じ正方形であり、模様形状Fb〜Ffの切断ラインについても夫々模様形状Faと同様の4つの線分からなる。また、模様形状Fb〜Ffの座標値(第1座標データ〜第5座標データ)は、各模様形状Fa〜Ffが相互に離間して形成されるように設定されている。
【0070】
模様形状Fgの切断ラインは、図17(c)に示すように4つの線分g1〜g4からなり、切断開始点P0と切断終了点P4が一致する閉じた台形である。台形は、角の大きさが90度に設定された頂点P0、P3をもち、模様形状Fgの形状データとして、切断開始点P0、頂点P1、頂点P2、頂点P3、切断終了点P4に対応する第1座標データ〜第5座標データを有する。図17(a)に示すように、他の模様形状Fh〜Flも模様形状Fgと同じ台形であり、模様形状Fh〜Flの切断ラインについても夫々模様形状Fgと同様の4つの線分からなる。また、模様形状Fh〜Flの座標値は、各模様形状Fg〜Flが相互に離間して形成されるように設定されている。
【0071】
保持シート10αには、保持シート10ごとに予め設定された上記の模様形状をユーザが判別するための標識59として「α」の文字が印刷されている。標識59は、第1実施形態で説明したように、適宜変更が可能である。
保持シート10α上の被切断物6において、例えばその全領域つまり被切断物6全体が、模様形状の切断が可能な切断可能領域とされる。前記配置データは、シート状をなす被切断物6の大きさに基づき設定された、切断可能領域を表わす領域データであって、配置基準となる原点データを含む。例えば、切断可能領域の隅(図18(a)で左上側)が原点データに基づき特定されるXY座標の原点O1(X0、Y0)とされている。そして、制御回路61は、領域データと形状データ(全体データ)に基づいて、模様形状Fa〜Flを切断可能領域内で相互に離間させて配置するようになっている。
【0072】
上記保持シート10αを用いて被切断物6を切断する際の具体的な処理手順について、図20、図21も参照しながら説明する。
ユーザは、模様形状Fa〜Flを切断する場合、それらの形状に対応する保持シート10αを用意し、保持シート10αの粘着層10aに被切断物6を貼り付ける。また、ユーザは、被切断物6を保持した保持シート10αを、切断装置1の開口部2aからセットする(ステップS31)。これにより、ステップS32では、セットされた保持シート10αの無線タグ60αに係る情報設定処理が行われる(図21参照)。
【0073】
即ち、制御回路61は、タグリーダ/ライタ66を介して、無線タグ60αのメモリ部73に記憶されている全体データ、切断順序データ、及び配置データを読み取って、RAM63の記憶領域に記憶させる(ステップS42)。ここで、全体データについて、全ての模様形状Fa〜Flの形状データがRAM63の記憶領域に展開されると(ステップS41にてYes)、切断装置1で切断する模様形状が、無線タグ60αに記憶されている全体データに基づいて自動的に設定される。また、この場合、制御回路61は、領域データと全体データに基づいて、切断可能領域の隅を原点O1として模様形状Fa〜Flを切断可能領域に対応させて配置する(図18(a)参照)。これにより、無線タグ情報設定処理を終了する(図20のステップS33にリターンする)。
【0074】
続いて、制御回路61は、前記ステップS32で切断可能領域に対応させて配置した模様形状Fa〜Flと、模様形状Fa〜Flの配置等を編集するか否かのメッセージとを液晶ディスプレイ9に表示する。そして、ユーザは、操作スイッチ65の操作により、模様形状Fa〜Flに係る編集を指示し(ステップS33にてYes)、RAM63に記憶された全体データ、切断順序データ、及び配置データを所望するデータに更新することができる(ステップS34)。例えば、ユーザは、操作スイッチ65を操作して、液晶ディスプレイ9に表示された切断可能領域における模様形状Fa〜Flについて、位置の変更や拡大・縮小を行い、或は切断可能領域の中心を軸に回転させる。この場合、模様形状Fa〜Fl全部の移動量、倍率、角度の値を入力することで、夫々の座標値を制御回路61により演算するようにしてもよいし、模様形状Fa〜Flの夫々の座標値を直接入力してもよい。これにより、模様形状Fa〜Flを隙間なく並べるような配置変更を行って被切断物6の歩留りを高めたり、模様形状Fa〜Flを所望の大きさに変更することができる。編集後の全体データは、RAM63の記憶領域に上書き更新される。また、ステップS34では、操作スイッチ65の操作により、配置データに含まれる原点データや、切断順序データを更新することで、模様形状Fa〜Flの配置や切断順序を適宜変更することができる。
【0075】
更に、制御回路61は、前記ステップS34で更新した各データを無線タグ60αに書き込むか否かのメッセージを液晶ディスプレイ9に表示する。ここで、ユーザは、操作スイッチ65の操作により、無線タグ60αへの書き込みを指示することができる(ステップS35にてYes)。制御回路61は、書き込みの指示を受けると、タグリーダ/ライタ66を介して、無線タグ60αの形状データ記憶領域735、切断順序データ記憶領域736、及び配置データ記憶領域737に、更新後の全体データ、切断順序データ、及び配置データを夫々書き込む(ステップS36)。尚、前記ステップS33又はステップS35において、ユーザによる各データの更新又は書き込みの指示が無い場合(No)、上記したRAM63のデータの更新及び無線タグ60αへのデータ書き込みは行われない。また、図示は省略するが、第1実施形態と同様に、メモリ部73とは別の第2メモリ部を無線タグ60αに設け、更新後の全体データ、切断順序データ、及び配置データを第2メモリ部に夫々書き込むようにしてもよい。
【0076】
こうして、切断装置1において切断する模様形状Fa〜Flに係る各データが設定された状態で、操作スイッチ65が操作されると、制御回路61は、その操作信号に基づいて切断動作を開始する(ステップS37)。ここで、制御回路61は、RAM63の記憶領域を参照し、その記憶領域に記憶された全体データ、切断順序データ、及び配置データに基づいて、前記切断手段58を制御する(ステップS38)。
【0077】
具体的には、切断可能領域に対して左上の隅を原点O1として配置した模様形状Fa〜Flについて、夫々の形状データと切断順序データに基づき順次切断を実行する(図18、図19参照)。即ち、先ず第1移動手段7による保持シート10α(被切断物6)のY方向への移動と、第2移動手段8によるカッタホルダ5のX方向への移動とにより、模様形状Faの切断開始点P0のXY座標へカッタ4を相対的に移動させる。次いで、第3移動手段44によりカッタ4の刃先4cを被切断物6の切断開始点P0に貫通させて、第1移動手段7及び第2移動手段8により線分a1の終点P1の座標へ向けて相対的に移動させ、線分a1に沿って被切断物6を切断する。続く線分a2は、先の線分a1の終点P1を始点として、線分a1と同様の切断が連続的に実行される。こうして、線分a2〜a4についても、図18(b)に矢印で示す向きにカッタ4を相対移動させることで、模様形状Fa、つまり「正方形」の切断ラインを切断する。これと同様に、模様形状Fb〜Ffについても、夫々の形状データに基づいて模様形状Fbの切断ライン、模様形状Fcの切断ライン、…、模様Ffの切断ラインの順に切断される。
【0078】
また、模様形状Fgは、切断開始点P0を始点として図18(b)に矢印で示す向きにカッタ4を相対移動させて、線分g1〜g4に沿って「台形」の切断ラインを切断する。これと同様に、模様形状Fh〜Flについても、夫々の形状データに基づいて模様形状Fhの切断ライン、模様形状Fiの切断ライン、…、模様形状Flの切断ラインの順に切断される。こうして、切断順序データに基づき、図18(a)で最上段の模様形状Fa〜Fcから、順次下側の段の模様形状Fd〜Ff、Fg〜Fi、Fj〜Flが効率的に切断される。
【0079】
被切断物6の切断が終了すると、ユーザは、保持シート10αから被切断物6を剥がす。引き続き、切断装置1で模様形状Fa〜Flを切断する場合には、新たに被切断物6を貼り替えた保持シート10αを切断装置1にセットする。このとき、切断装置1では、切断する模様形状Fa〜Flが、無線タグ60αに記憶されている全体データに基づいて自動的に設定される。このため、ユーザは模様形状Fa〜Flを選択したり、模様形状Fa〜Flの配置や大きさ等を編集する手間を省くことができる。このように、切断装置1において、保持シート10αを用いて切断を行うことで、毎回同じ模様形状Fa〜Flを切断することができる。
【0080】
模様形状は、上記した正方形や台形等の形状Fa〜Flに限定するものではない。つまり、保持シート10毎に様々な模様形状を無線タグ60に記憶させ、切断する模様形状に応じて保持シート10を使い分けるようにすればよい。尚、粘着層10aの粘着力が低下した保持シート10αについては、第1実施形態と同様、当該保持シート10αの無線タグ60αを剥がして新品の保持シート10に貼り付け、保持シート10αとして直ぐに使用することができる。
【0081】
以上のように保持シート10αの無線タグ60αには、所定の模様形状Fa〜Flを切断するための形状データを含む切断情報が書き込まれている。これによれば、切断装置1で無線タグ60αから読み取った形状データに基づき模様形状Fa〜Flが切断される。このため、切断装置1に対して形状データを入力し、或は設定する手間を省くことができる。また、保持シート10ごとに、同じ模様形状を繰り返し切断することができ、使い勝手のよいものとすることができる。
無線タグ60αには、被切断物6に対して模様形状Fa〜Flを配置する配置データを含む切断情報が書き込まれている。これによれば、無線タグ60αから読み取った配置データに基づき被切断物6に対する模様形状Fa〜Flの配置が決定される。このため、切断装置1に対して配置データを入力することなく、被切断物6の大きさに応じた切断可能領域内で模様形状Fa〜Flを切断することができる。
【0082】
無線タグ60αには、複数の模様形状Fa〜Flの切断順序を特定する切断順序データを含む切断情報が書き込まれている。これによれば、無線タグ60αから読み取った切断順序データに基づいて、複数の模様形状Fa〜Flの切断順序が特定されるため、切断装置1に切断順序データを入力する手間を省くことができる。特に、前記ステップS34で模様形状Fa〜Fl相互間の位置を変更した場合には、その変更後の模様形状Fa〜Flの位置に応じた効率的な切断順序に設定することで、切断時間を短縮することが可能となる。
この他、前記書込手段によって、無線タグ60αに更新した切断情報を書き込むことができる等、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0083】
尚、本発明は上記しかつ図面に示す実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
本発明は、上記したカッティングプロッタとしての切断装置1に限られず、切断機能を備えた各種の装置にも適用できるものである。
無線タグ60は、保持シート10に両面粘着テープで着脱可能に貼着させていたが、両面粘着テープ以外の手段で装着するようにしてもよい。例えば、保持シート10に無線タグ60を取り外し可能に嵌め込む為の凹部を設けるようにしてもよい。
押圧手段は、ソレノイド57に代えてモータ等の他のアクチュエータを用いて押圧部材を昇降させるように構成してもよい。
無線タグ60のメモリ部73に、カッタ圧情報記憶領域731、押え圧情報記憶領域732、速度情報記憶領域733及び補正情報記憶領域734と、形状データ記憶領域735、切断順序データ記憶領域736及び配置データ記憶領域737とを設けるようにしてもよい。これにより、切断装置1において、無線タグ60αから読み取った切断パラメータや形状データ等に基づき所定の模様形状Fa〜Flを適切な切断条件で確実に切断することができる。また、無線タグ60の切断情報としては、切断パラメータと形状データとのうち少なくとも1つを含むように構成してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 切断装置
4 カッタ(切断刃)
6 被切断物
10 保持シート(保持部材)
10a 粘着層
47 押圧手段
58 切断手段
60 無線タグ
61 制御手段
66 タグリーダ/ライタ(読取手段、書込手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断刃と被切断物とを相対的に移動させることで、切断刃が被切断物を切断する切断装置、及び切断装置に用いられる保持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、紙や樹脂等のシート状被切断物を自動的に切断するカッティングプロッタが知られている。前記カッティングプロッタは、前記被切断物を、駆動機構のローラで上下方向から挟んで第1方向へ移動させると共に、切断刃を有するキャリッジを前記第1方向と直交する第2方向へ移動させて被切断物を切断する。
【0003】
この種のカッティングプロッタでは、前記被切断物の種類に応じて、切断刃の被切断物に対する相対移動速度、切断刃の押圧力等の動作条件が夫々設定できるものがある(例えば特許文献1参照)。具体的には、被切断物の上面に、当該被切断物の種別を示すバーコードを付しておき、前記キャリッジには、カッティングプロッタにセットされた被切断物のバーコードを読み取るセンサ部を設ける。そして、セットされた被切断物を切断する前に、センサ部がバーコードを読み取ることで被切断物の種類を検出し、その種類に応じた動作条件を設定する。
また、被切断物を、上面に粘着剤が塗布された粘着層を有するシート状部材(保持部材に相当)に貼り付け、そのシート状部材を第1方向に移動させて被切断物に対して切断を行うカッティングプロッタも公知である(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−246562号公報
【特許文献2】特開2005−205541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のカッティングプロッタによれば、被切断物の種類を検出することで、その種類に応じた動作条件で切断を行うことができる。
また、特許文献1のカッティングプロッタに、特許文献2の保持部材を用いることも考えられる。この場合、被切断物の種類を検出し、その種類の応じた動作条件で切断を行うことができる。しかしながら、被切断物の種類に対して保持部材の粘着層の粘着力が不適切なときには、被切断物が確実に保持されず、切断動作中に保持部材からズレてしまう虞がある。このように、被切断物が保持部材に確実に保持できない場合には、被切断物を正確に切断することができない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、被切断物を保持部材に確実に保持して正確に切断することができる切断装置、及び切断装置に用いられる保持部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明の請求項1の切断装置は、切断刃と被切断物とを相対的に移動させることで、前記切断刃により前記被切断物を切断する切断手段を備えたものであって、前記被切断物を剥離可能に保持する粘着層を有し、前記被切断物を粘着させて保持した状態で前記切断装置にセットされる保持部材と、前記保持部材に設けられ、切断に関する情報である切断情報が書き込まれた無線タグと、前記切断装置に前記保持部材がセットされた際に、前記無線タグから前記切断情報を読み取る読取手段と、前記読取手段により前記無線タグから読み取った前記切断情報に基づいて、前記切断手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、保持部材に設けられた無線タグに切断情報が書き込まれており、当該保持部材が切断装置にセットされたとき、読取手段が前記無線タグから切断情報を読み取る。そして、制御手段は、読取手段が読み取った切断情報に基づいて切断手段の制御を行う。従って、切断装置において、被切断物が確実に保持されず、切断動作中に保持部材からズレてしまうことが防止され、被切断物を正確に切断することができる。
【0009】
請求項2の切断装置は、請求項1の発明において、前記切断情報は、前記切断刃と前記被切断物との相対移動速度と、前記切断刃の前記被切断物に対する押圧力と、前記被切断物に対する前記切断刃の相対移動量を補正する補正量とのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする。
請求項3の切断装置は、請求項1又は2の発明において、前記切断情報は、所定の模様形状を切断するための形状データを含むことを特徴とする。
【0010】
請求項4の切断装置は、請求項3の発明において、前記切断情報は、前記被切断物に対して前記模様形状を配置する配置データを含むことを特徴とする。
請求項5の切断装置は、請求項3又は4の発明において、前記切断情報は、前記被切断物に対して複数の前記模様形状を切断する場合、前記模様形状を切断する切断順序を特定する切断順序データを含むことを特徴とする。
【0011】
請求項6の切断装置は、請求項1から5の何れかの発明において、前記切断手段は、前記保持部材に保持された前記被切断物を押圧する押圧手段を備え、前記切断情報は、前記押圧手段の押圧力を含むことを特徴とする。
請求項7の切断装置は、請求項1から6の何れかの発明において、前記読取手段により前記無線タグから読み取った切断情報を更新するための設定手段と、前記設定手段で更新された切断情報を前記無線タグに書き込むための書込手段とを備えることを特徴とする。
請求項8の切断装置は、請求項1から7の何れかの発明において、前記無線タグは、前記保持部材に対して着脱可能に装着されていることを特徴とする。
【0012】
請求項9の保持部材は、被切断物を切断する切断手段と、無線タグから切断情報を読み取る読取手段と、前記切断情報に基づいて前記切断手段を制御する制御手段とを備えた切断装置に用いられる保持部材であって、前記被切断物を剥離可能に保持する粘着層と、切断に関する情報である切断情報が書き込まれた無線タグと、を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、保持部材の無線タグに書き込まれた切断情報は、当該保持部材を切断装置にセットすることで、読取手段によって読み取られる。これにより、切断装置では、読取手段で読み取った切断情報に基づいて制御手段による切断手段の制御が行われ、被切断物を正確に切断することができる。
【0013】
請求項10の保持部材は、請求項9の発明において、前記切断情報は、前記切断手段が有する切断刃と前記被切断物との相対移動速度と、前記切断刃の前記被切断物に対する押圧力と、前記被切断物に対する前記切断刃の相対移動量を補正する補正量とのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする。
請求項11の保持部材は、請求項9又は10の発明において、前記切断情報は、所定の模様形状を切断するための形状データを含むことを特徴とする。
【0014】
請求項12の保持部材は、請求項11の発明において、前記切断情報は、前記被切断物に対して前記模様形状を配置する配置データを含むことを特徴とする。
請求項13の保持部材は、請求項11又は12の発明において、前記切断情報は、前記被切断物に対して複数の前記模様形状を切断する場合、前記模様形状を切断する切断順序を特定する切断順序データを含むことを特徴とする。
【0015】
請求項14の保持部材は、請求項9から13の何れかの発明において、前記切断装置は、前記保持部材に保持された前記被切断物を押圧する押圧手段を備え、前記切断情報は、前記押圧手段の押圧力を含むことを特徴とする。
請求項15の保持部材は、請求項9から14の何れかの発明において、前記無線タグは、前記保持部材に対して着脱可能に装着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の切断装置によれば、保持部材に設けられた無線タグに切断情報が書き込まれており、当該保持部材が切断装置にセットされたとき、読取手段が前記無線タグから切断情報を読み取る。そして、制御手段は、読取手段が読み取った切断情報に基づいて切断手段の制御を行う。従って、被切断物が確実に保持されずに切断動作中に保持部材からズレてしまうことが防止され、被切断物を正確に切断することができる。
【0017】
請求項2の切断装置によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、切断情報は、切断刃と被切断物との相対移動速度、切断刃の被切断物に対する押圧力、及び被切断物に対する切断刃の相対移動量を補正する補正量のうち少なくとも1つを含んでいる。従って、これら少なくとも1つの切断情報に基づいて、制御手段が切断手段を適切に制御して、被切断物を確実に切断することができる。また、これらの切断情報を、切断装置に対しユーザが入力する必要がないので、利便性を向上させることができる。
請求項3の切断装置によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、無線タグから読み取った形状データに基づき模様形状が切断されるため、切断装置に対して形状データを入力し、或は設定する手間を省くことができる。また、保持部材毎に、同じ模様形状を繰り返し切断することができ、使い勝手のよいものとすることができる。
【0018】
請求項4の切断装置によれば、請求項3に記載の発明の効果に加え、無線タグから読み取った配置データに基づき被切断物に対する模様形状の配置が決定される。このため、切断装置に対して配置データを入力することなく、被切断物の大きさに応じた切断可能領域内で模様形状を切断することができる。
請求項5の切断装置によれば、請求項3又は4に記載の発明の効果に加え、無線タグから読み取った切断順序データに基づいて、複数の模様形状を切断する場合の切断順序が特定される。このため、無線タグに、複数の模様形状の効率的な切断順序を予め書き込むことで、切断装置に切断順序データを入力する手間を省くことができると共に、切断時間を短縮することが可能となる。
【0019】
請求項6の切断装置によれば、請求項1から5までの何れかの発明の効果に加え、押圧手段によって、保持部材に保持された被切断物を押圧することができる。更に、切断情報は押圧手段の押圧力を含んでいるので、保持部ごとに押圧手段の押圧力を設定することができる。従って、切断動作中において、被切断物が保持部材からズレないように、被切断物をより確実に保持することができる。
請求項7の切断装置によれば、請求項1から6の何れかに記載の発明の効果に加え、無線タグから読み取った切断情報を更新することができる。従って、実際に切断する被切断物の材質特性に応じて、切断情報を更新して切断を行うことができる。また、無線タグに、更新した切断情報を書き込むことができるので、次回以降も更新した切断情報に基づいて、被切断物を確実に切断することができる。
請求項8の切断装置によれば、請求項1から7の何れかに記載の発明の効果に加え、無線タグを保持部材に対して着脱可能に装着できる。従って、無線タグを別の保持部材に付け替えて繰り返し使用することができる。
【0020】
請求項9の保持部材によれば、無線タグに書き込まれた切断情報は、当該保持部材を切断装置にセットすることで、読取手段によって読み取られる。これにより、切断装置では、読取手段で読み取った切断情報に基づいて制御手段による切断手段の制御が行われ、被切断物を正確に切断することができる。
【0021】
請求項10の保持部材によれば、請求項9に記載の発明の効果に加え、保持部材により保持した被切断物を切断装置で切断することで、請求項2の発明の効果と同様の効果を奏する。
請求項11の保持部材によれば、請求項9又は10に記載の発明の効果に加え、保持部材により保持した被切断物を切断装置で切断することで、請求項3の発明の効果と同様の効果を奏する。
請求項12の保持部材によれば、請求項11に記載の発明の効果に加え、保持部材により保持した被切断物を切断装置で切断することで、請求項4の発明の効果と同様の効果を奏する。
【0022】
請求項13の保持部材によれば、請求項11又は12に記載の発明の効果に加え、保持部材により保持した被切断物を切断装置で切断することで、請求項5の発明の効果と同様の効果を奏する。
請求項14の保持部材によれば、請求項9から13の何れかに記載の発明の効果に加え、保持部材により保持した被切断物を切断装置で切断することで、請求項6の発明の効果と同様の効果を奏する。
請求項15の保持部材によれば、請求項9から14の何れかに記載の発明の効果に加え、保持部材により保持した被切断物を切断装置で切断することで、請求項8の発明の効果と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態における切断装置の内部構造を示す斜視図
【図2】切断装置の平面図
【図3】カッタホルダの斜視図
【図4】カッタを下降させた状態で示すカッタホルダの正面図
【図5】カッタを上昇させた状態で示すカッタホルダの断面図
【図6】図4のVI−VI線に沿う断面図
【図7】ギヤ部を拡大して示す正面図
【図8】切断時におけるカッタ先端の近傍部の拡大図
【図9】切断時におけるカッタホルダ近傍部の側面図
【図10】電気的構成を示すブロック図
【図11】(a)及び(b)は複数種類の保持部材を説明するための図
【図12】切断装置のRAMの記憶領域を説明するための概念図
【図13】保持シートの種類と切断パラメータを対応付けて示す図
【図14】(a)は無線タグの電気的構成の概略を示すブロック図、(b)は無線タグのメモリ部の記憶領域を説明するための概念図
【図15】無線タグの切断パラメータに基づき切断を行う場合における全体の処理の流れを示すフローチャート
【図16】無線タグの切断パラメータを読み取る際の処理の流れを示すフローチャート
【図17】本発明の第2実施形態を示す図14(b)相当図
【図18】(a)は形状データに基づき切断される模様形状と共に示す図11(a)相当図、(b)及び(c)は、正方形及び台形の模様形状を拡大して示す図
【図19】複数の形状データを含む全体データの構造を説明するための図
【図20】無線タグの形状データに係る切断情報に基づき切断を行う場合における図15相当図
【図21】図16相当図
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図16を参照しながら説明する。
図1に示すように、切断装置1は、筐体としての本体カバー2と、本体カバー2内に配設されたプラテン3と、カッタホルダ5とを備えると共に、カッタホルダ5のカッタ4(図5参照)と被切断物6とを相対的に移動させるための第1及び第2移動手段7,8を備えている。本体カバー2は横長な矩形箱状をなしており、前面部には、プラテン3上面部に被切断物6を保持した保持シート10をセットするための横長な開口部2aが形成されている。尚、以下の説明では、切断装置1に対しユーザが位置する側を前方とし、その反対側を後方とする。そして、前後方向をY方向とし、Y方向と直交する左右方向をX方向とする。
【0025】
本体カバー2の右側には、ユーザに対して必要なメッセージ等の表示を行う表示手段としての液晶ディスプレイ(LCD)9が設けられると共に、ユーザが各種の指示や選択、入力の操作を行うための複数の操作スイッチ65(図10参照)が設けられている。
前記プラテン3は、前後一対の板材3a,3bからなり、上面部が水平面たるXY平面をなすように構成されている。プラテン3には、被切断物6を保持する保持シート10が載置されるようにセットされ、被切断物6の切断の際、保持シート10をプラテン3で受ける。詳しくは後述するが、保持シート10の上面には、左縁部10b,右縁部10c及び後縁部10d,前縁部10eを除いた部分に粘着剤が塗布された粘着層10aが形成されている。被切断物6は、保持シート10の粘着層10aに貼り付けられて保持される。
【0026】
前記第1移動手段7は、プラテン3の上面側で保持シート10をY方向(第1方向)へ移動させるものである。即ち、切断装置1における左右の側壁部11a,11bには、プラテン3の板材3a,3bの間に位置させて、駆動ローラ12とピンチローラ13が設けられている。駆動ローラ12とピンチローラ13は、X方向に延びて、側壁部11a,11bに対して回動可能に支持されている。また、駆動ローラ12とピンチローラ13は、前記XY平面に対して平行で、且つ上下方向に並ぶように配置されている。下側が駆動ローラ12で、上側がピンチローラ13である。図2に示すように、右側壁部11bには、駆動ローラ12の右側に位置させて、クランク状の第1取付フレーム14が設けられている。取付フレーム14の外側には、Y軸モータ15が固定されている。Y軸モータ15は例えばステッピングモータから構成され、回転軸15aは第1取付フレーム14を貫通しており、先端部にギヤ部16aを有する。駆動ローラ12の右端部には、ギヤ部16aと噛合するギヤ部16bが固着されており、これらギヤ部16a、16bにより第1減速ギヤ機構16が構成されている。前記ピンチローラ13は、左右の側壁部11a,11bに形成されたガイド溝17b(図1に右側の溝17bのみ図示)により上下方向へ移動可能にガイドされている。左右の側壁部11a,11bには、ガイド溝17bを外側から囲うバネ収容部18a,18bが夫々設けられている。ピンチローラ13は、バネ収容部18a,18bに収容された図示しない圧縮コイルバネにより下方へ付勢されている。ピンチローラ13には、保持シート10の左縁部10b,右縁部10cに接触して押圧する押圧部13aが設けられている。押圧部13aは、ピンチローラ13の他の部分よりも外径が少し大きく形成されている。
【0027】
ここで、駆動ローラ12とピンチローラ13は、前記圧縮コイルバネの付勢力により、保持シート10を上下方向から押圧挟持する(図9参照)。そして、Y軸モータ15を正転駆動、或は逆転駆動させると、その回転運動が第1減速ギヤ機構16を介して駆動ローラ12に伝わることで、保持シート10を被切断物6と共に後方或いは前方へ移動させる。これら駆動ローラ12、ピンチローラ13、Y軸モータ15、第1減速ギヤ機構16、前記圧縮コイルバネ等は、第1移動手段7を構成する。
【0028】
前記第2移動手段8は、カッタホルダ5を支持するキャリッジ19を、X方向(第2方向)へ移動させるものである。詳細には、図1、図2に示すように、左右の側壁部11a,11b間には、後端部に位置させて、左右方向に延びるガイド軸20とガイドフレーム21が配設されている。ガイド軸20は、駆動ローラ12及びピンチローラ13と平行に配設されている。ガイド軸20は、プラテン3の直ぐ上側で、キャリッジ19下部(後述の貫通孔部22)を貫通している。ガイドフレーム21は、前縁部21aと後縁部21bが下方へ折り返された断面コ字状をなしている。前縁部21aはガイド軸20と平行に配設されている。ガイドフレーム21は、前縁部21aでキャリッジ19上部(後述の被ガイド体23,23)をガイドするようになっており、側壁部11a,11bの上端部で螺子21cにより固定されている。
【0029】
図2に示すように、切断装置1の後部には、右側壁部11bに第2取付フレーム24が設けられると共に、左側壁部11aに補助フレーム25が設けられている。第2取付フレーム24には、X軸モータ26及び第2減速ギヤ機構27が配設されている。X軸モータ26は、例えばステッピングモータからなり、第2取付フレーム24における前側の取付片24aの前面部に固定されている。X軸モータ26の回転軸26aは取付片24aを貫通しており、先端部に、第2減速ギヤ機構27と噛合するギヤ部26bを有する。第2減速ギヤ機構27にはプーリ28が設けられており、図2において左側の補助フレーム25にプーリ29が回転自在に取付けられている。これらプーリ28とプーリ29との間には、キャリッジ19の後端部(後述の取付部30)に連結された無端状のタイミングベルト31が掛装されている。
【0030】
ここで、X軸モータ26を正転駆動、或は逆転駆動させると、その回転運動が第2減速ギヤ機構27及びプーリ28を介してタイミングベルト31に伝わることで、キャリッジ19をカッタホルダ5ごと左方或いは右方へ移動させる。こうして、キャリッジ19とカッタホルダ5は、被切断物6を搬送するY方向と直交するX方向に移動する。上記のガイド軸20、ガイドフレーム21、X軸モータ26、第2減速ギヤ機構27、プーリ28,29、タイミングベルト31、キャリッジ19等は、第2移動手段8を構成する。
【0031】
前記カッタホルダ5は、キャリッジ19に対して前面側に配置され、Z方向たる上下方向(第3方向)への移動が可能に支持されている。これらキャリッジ19及びカッタホルダ5の構成について、図3〜図9も参照しながら説明する。
【0032】
図2、図3に示すように、キャリッジ19は、後面側が開放された略矩形箱状をなす。キャリッジ19の上壁部19aには、平面視にて円弧状をなすリブであって、上方へ突出する前後一対の被ガイド体23,23が一体に設けられている。被ガイド体23,23は、ガイドフレーム21の前縁部21aを挟むよう対称的に配置されている。図4にも示すように、キャリッジ19における底壁部19bの下側には、ガイド軸20に挿通される左右一対の貫通孔部22,22が下方へ張出すように形成されている。また、キャリッジ19の底壁部19bには、前記タイミングベルト31に連結される取付部30(図5、図6参照)が後方へ突出するように設けられている。こうして、キャリッジ19は、貫通孔部22,22に挿通されるガイド軸20によって左右方向へ摺動可能に支持されると共に、被ガイド体23,23で挟まれるガイドフレーム21によってガイド軸20の回りに回転しないように支持される。
【0033】
図3、図4、図5、図9等に示すように、キャリッジ19の前壁部19cには、前方へ延出する上下一対の支持部32a,32bが一体に設けられている。キャリッジ19には、支持部32a,32bを夫々貫通する左右一対の支持軸33a,33bが上下動自在に支持されている。キャリッジ19内には、例えばステッピングモータからなるZ軸モータ34が、後方から収容されるように配置されている。Z軸モータ34の回転軸34aは(図3、図9参照)、キャリッジ19の前壁部19cを貫通しており、先端部にギヤ部35を有する。また、図5、図6、図9に示すように、キャリッジ19には、その前壁部19c中央からやや下寄りの部位を前後に貫通するギヤ軸37が設けられている。ギヤ軸37には、前壁部19cの前側で前記ギヤ部35に噛合するギヤ部38が回転可能に装着されると共に、ギヤ軸37前端部の止め輪(図示略)により抜け止めされている。ギヤ部38とギヤ部35で第3減速機構41を構成する(図3、図9参照)。
【0034】
ギヤ部38には、図7に示すように、渦巻き溝42が形成されている。渦巻き溝42は、第1端部42aから第2端部42bへ向って右方向に旋回するにつれ中心に近づく渦巻き状をなすカム溝である。渦巻き溝42には、詳しくは後述するが、カッタホルダ5と一体的に上下移動する係合ピン43が係合する(図5、図6参照)。ここで、Z軸モータ34を正転駆動、或は逆転駆動させると、ギヤ部35を介してギヤ部38が回転する。ギヤ部38が回転することにより、渦巻き溝42に係合する係合ピン43が上下方向に摺動する。これに伴い、カッタホルダ5を支持軸33a,33bごと上方或いは下方へ昇降させる。この場合、カッタホルダ5は、係合ピン43が渦巻き溝42の第1端部42aに位置した上昇位置(図5、図7参照)と、係合ピン43が第2端部42bに位置した下降位置(図6、図7参照)との間で移動する。上記の渦巻き溝42を有する第3減速機構41、Z軸モータ34、係合ピン43、支持部32a,32b、支持軸33a,33b等は、カッタホルダ5を上下方向へ移動させる第3移動手段44を構成する。
【0035】
カッタホルダ5は、前記支持軸33a,33bに設けられるホルダ本体45と、カッタ4(切断刃)を有してホルダ本体45に上下動可能に保持される可動筒部46とを備えると共に、被切断物6を押圧するための押圧装置47を備えている。
即ち、図3、図4、図5、図9等に示すように、ホルダ本体45は、上端部45aと下端部45bが後方へ折り返され全体としてコ字状をなしている。ホルダ本体45の上端部45aと下端部45bは、支持軸33a,33bの上下両端部に夫々固定された止め輪48により、支持軸33a,33bに対し移動不能に固定されている。図5、図6に示すように、支持軸33bの中間部には、前記係合ピン43が後向きに設けられた連結部材49が固着されている。こうして、ホルダ本体45、支持軸33a,33b、係合ピン43、及び連結部材49は一体的に構成され、カッタホルダ5は、前記第3移動手段44により係合ピン43に連動して上下方向へ移動する。また、支持軸33a,33bには、支持部32a上面とホルダ本体45の上端部45aとの間に、付勢部材たる圧縮コイルバネ50が夫々外装されている。圧縮コイルバネ50の付勢力により、カッタホルダ5全体がキャリッジ19側に対して上方へ弾性付勢されている。
また、図4に示すように、ホルダ本体45の下端部45bには、右側に位置して後述するタグリーダ/ライタ66が設けられている。タグリーダ/ライタ66は、ホルダ本体45に対して一体的に設けられており、後述する無線タグ60と非接触で切断に関する情報である切断情報を送受信する。尚、タグリーダ/ライタ66を、ホルダ本体45に設けるのではなく、本体カバー2又はプラテン3に設けるようにしてもよい。換言すれば、タグリーダ/ライタ66は、無線タグ60と送受信が可能な範囲に設けるようにすればよく、設ける位置は限定されない。
【0036】
図3、図4に示すように、ホルダ本体45における中間部には、可動筒部46や押圧装置47等を取付けるための取付部材51,52が螺子54a,54bにより夫々固定されている。下側の取付部材52には、可動筒部46を上下動可能に支持する筒状部52a(図5参照)が設けられている。可動筒部46は、筒状部52aの内周面に摺接する径寸法に設定され、その上端部には、筒状部52aの上端で支持されるフランジ部46aが径方向外側へ張出すように形成されている。フランジ部46aの上端面にはバネ受け部46bが設けられている。図5、図6に示すように、上側の取付部材51と可動筒部46のバネ受け部46bとの間には、圧縮コイルバネ53が配設されている。圧縮コイルバネ53は、可動筒部46(カッタ4)を下方の被切断物6側に付勢する一方、カッタ4に被切断物6側から上方への力が作用すると、当該付勢力に抗して可動筒部46の上方への移動を許容する。
【0037】
可動筒部46には、その軸線方向に延びるカッタ4が貫通するように配設されている。詳細には、カッタ4は、可動筒部46よりも長尺な丸棒状のカッタ軸4bと、そのカッタ軸4bの下端部に形成された刃部4aとを一体に有する。図8に示すように、刃部4aは略三角形状をなし、最下端の刃先4cが、カッタ軸4bの中心軸線Oから距離dだけオフセット(偏心)した位置に形成されている。カッタ4は、可動筒部46内部の上下両端部に配設された軸受55(図5参照)により、上下方向の中心軸線O(Z軸)を中心に回動自在に保持されている。こうして、カッタ4は、被切断物6の表面たるXY平面に対して直交するZ方向から刃先4cが圧接する。また、カッタ4は、カッタホルダ5が下降位置へ移動された時に、図8に示すように刃先4cが保持シート10上の被切断物6を貫通し、且つプラテン3の板材3b上面に到達しない高さに設定してある。一方、カッタ4は、カッタホルダ5が上昇位置へ移動されることに伴い、刃先4cも上方へ移動して被切断物6から離間する(図5参照)。
【0038】
前記取付部材52には、筒状部52aの下端部周縁に、3つのガイド孔部52b〜52d(図3、図4、図5、図9参照)が等間隔で形成されている。そして、筒状部52aの下側には、ガイド孔部52b〜52dに挿通される3つのガイド棒56b〜56dを有する押圧部材56が配置されている。押圧部材56の下面側は、浅底な鉢(ボウル)状(或は緩やかな円形椀状)をなす押圧部本体56aとされており、周縁上部には、等間隔をなす前記ガイド棒56b〜56dが一体に設けられている。押圧部材56は、ガイド孔部52b〜52dにてガイド棒56b〜56dがガイドされることにより、上下方向への移動が可能である。押圧部本体56aの中央部には、上下方向に延びて前記刃部4aを下方へ突出させるための貫通孔56eが形成されている。そして、押圧部本体56aの下端面は、刃部4aの周囲で被切断物6に接触する接触部56fとされている。接触部56fは、円環上をなす水平な平坦面であって、被切断物6に対して面接触する。接触部56fは、例えばテフロン(登録商標)等のフッ素樹脂で構成されることで、比較的摩擦係数が低く、被切断物6に対して滑り易くなっている。
【0039】
図3、図4、図5、図9等に示すように、押圧部本体56aの周縁上部には、前方へ延出する案内部56gが一体に設けられている。案内部56gは、接触部56fに対して前側で且つ上方に位置し、当該接触部56f側へ後方に向けて下方に傾斜した傾斜面56gaを含んで構成されている。これにより、被切断物6を保持した保持シート10が、カッタホルダ5に対して後方へ移動する際、案内部56gは、被切断物6を接触部56fに対して引っ掛からないように下側へ案内する。
【0040】
前記取付部材52には、筒状部52aの前側であって案内部56gの上方に位置してソレノイド57用の前側取付部52eが一体に設けられている。ソレノイド57は、押圧部材56を上下動させて被切断物6を押圧するためのアクチュエータであり、押圧部材56並びに後述の制御回路61と共に押圧装置47(押圧手段)を構成する。ソレノイド57は、前側取付部52eに下向きに取付けられており、プランジャ57aの先端部は案内部56g上面に固定されている。カッタホルダ5の下降位置でソレノイド57が駆動されると、プランジャ57aと共に押圧部材56が下方へ移動して被切断物6を所定の押圧力で押圧する(図9参照)。これに対して、ソレノイド57の非駆動時には、プランジャ57aが上方に位置して押圧部材56が被切断物6に対する押圧力を解除する。ソレノイド57の非駆動状態でカッタホルダ5が上昇位置へ移動されると(図5の2点鎖線参照)、押圧部材56が被切断物6から完全に離間する。
上記したカッタ4、第1移動手段7、第2移動手段8、第3移動手段、制御回路61、押圧装置47等は、切断手段58(図1参照)に相当する。
【0041】
さて、前記保持シート10は、被切断物6の種類ごとに複数種類が用意されており、各保持シート10には、切断に関する情報である切断情報が書き込まれた無線タグ60が装着されている。また、保持シート10には、ユーザが視認することで種類を判別できるように、標識59が付与されている。保持シート10、無線タグ60、及び標識59について図11、図13も参照しながら説明する。
図1、図11に示すように、保持シート10は、例えば、合成樹脂材料からなり、平板矩形状に形成されている。保持シート10は、カッタ4と対向する位置に配置される。保持シート10の片面(上面)には、周縁部である左縁部10b,右縁部10c及び後縁部10d,前縁部10eを除いた部分に粘着剤が塗布された粘着層10a(図8参照)が形成されている。
【0042】
保持シート10は、対応する種類の被切断物6を粘着層10aに粘着させることで剥離可能に保持する。ここで、粘着層10aは、カッタ4で被切断物6を切断する際に、当該被切断物6を移動不能に保持する粘着力を有する。具体的には、被切断物6としてケント紙やはがき等の紙を切断する場合、当該紙を移動不能に保持するための最適な粘着力に設定された保持シート10A(図11(a)参照)が用いられる。また、被切断物6として布を切断する場合、布の種類に応じた保持シート10が用いられる。例えば、布の種類としてフェルトを使用する場合には、当該フェルトを移動不能に保持するための最適な粘着力に設定された保持シート10B(図11(b)参照)が用いられる。
【0043】
この他、詳しい図示は省略するが、布の種類として例えばデニムやブロードを使用する場合には、デニムを移動不能に保持する最適な粘着力に設定された保持シート10Cが用意され、ブロードを移動不能に保持する最適な粘着力に設定された保持シート10Dが用意されている。このように、複数種類の保持シート10が用意されている(図13参照)。つまり、紙と布とでは材質が異なり、また、布の種類においても、フェルトとデニムとブロードとでは、布厚や伸縮特性等の布質が異なる。このため、粘着層10aの粘着力は、夫々の被切断物6の特性に応じた粘着力に設定され、且つ、夫々の被切断物6を粘着層10aから剥がす際に、被切断物6が破れてしまうことがない粘着力であるように設定してある。こうして、上記した複数種類(例えば4種類)の保持シート10A〜10Dは、粘着層10aの粘着力の弱い順に例えば「10A<10B<10C<10D」の関係にある。このように、被切断物6の種類に応じて、粘着層10aの粘着力が、保持シート10A〜10Dごとに設定してある。ここで、保持シート10の種類は、上記4種類に限定されるものではないことは、言うまでもない。
【0044】
無線タグ60は、詳しくは後述するが、ICチップと小型のアンテナ71(図14(a)参照)とを備えた周知の構成のものが用いられ、保持シート10の後縁部10dに設けられる。そして、無線タグ60には、切断に関する情報である切断情報が書き込まれている。図11(a)に示すように、無線タグ60Aは、図示しない両面粘着テープによって、保持シート10Aの後縁部10d上面(表面)の右方に貼付されており、着脱が可能である。また、図11(b)に示すように、無線タグ60Bも同様に、保持シート10Bの後縁部10d上面右方に、両面粘着テープにより着脱可能に貼付されている。また、図示は省略するが、無線タグ60C,60Dについても、上記と同様に、保持シート10C,10Dの夫々の後縁部10dの上面右方に着脱可能に貼付されている。無線タグ60A〜60Dには、夫々の保持シート10A〜10Dごとに夫々異なる切断情報が書き込まれている。尚、無線タグ60の貼付位置については、保持シート10の後縁部10dの上面右方に限定するものではなく、他の位置であってもよい。
【0045】
次に、標識59について説明する。標識59は、ユーザが視認することで保持シート10の種類を判別する為のものである。図11に示すように、標識59は、保持シート10の左縁部10b,右縁部10cの略中央位置に付与されている。本実施形態の場合は、標識59として、保持シート10Aには「A」、保持シート10Bには「B」の文字が印刷されている。また、図示はしないが、保持シート10C、10Dも同様に、夫々対応する文字が印刷されている。尚、標識59は、文字の代わりに、数字、記号、模様、図形、目印等であってもよい。また、標識59の位置は、図11に示す位置に限定するものではなく、標識59の個数についても2個に限定するものではない。また、標識59を付与する代わりに、保持シート10の種類毎に異なる色を付与してもよい。この場合、保持シート10の全体に色を付与してもよいし、保持シート10の一部に色を付与してもよい。そして、標識59と色の両方を、保持シート10に付与してもよいことは言うまでもない。尚、以下、保持シート10Aを紙用保持シート10A、保持シート10Bをフェルト用保持シート10B、保持シート10Cをデニム用保持シート10C、保持シート10Dをブロード用保持シート10Dと称す。
【0046】
次に、切断装置1及び無線タグ60の制御系の構成について図10、図12及び図14を参照しながら説明する。
図10に示すように、切断装置1全体の制御を司る制御回路(制御手段)61は、コンピュータ(CPU)を主体に構成されており、記憶手段としてROM62、RAM63、外部メモリ64が接続されている。ROM62には、切断動作を制御するための切断制御プログラム等が記憶されている。外部メモリ64には、所定の模様形状を切断するための複数種類の形状データが記憶されている。
【0047】
RAM63には、各種のデータを一時的に記憶する記憶領域が設けられている。具体的には、図12に示すように、RAM63には、カッタ4の被切断物6に対する押圧力に関するデータが記憶されるカッタ圧情報記憶領域631、押圧部材56の押圧力に関するデータが記憶される押え圧情報記憶領域632、カッタ4と被切断物6との相対移動速度に関するデータが記憶される速度情報記憶領域633、被切断物6に対するカッタ4の相対移動量を補正する補正量に関するデータが記憶される補正情報記憶領域634等の複数の記憶領域が設けられている。記憶領域631〜634に記憶される各データ(切断パラメータ)については、後述する。
【0048】
制御回路61には、Y軸モータ15、X軸モータ26、Z軸モータ34、ソレノイド57を夫々駆動する駆動回路67,68,69,70が接続されている。制御回路61は、切断制御プログラムの実行により前記形状データや切断パラメータに基づいて、Y軸モータ15、X軸モータ26、Z軸モータ34、ソレノイド57を制御し、保持シート10上の被切断物6に対する切断動作を自動で実行させる。
【0049】
また、制御回路61には、前述した各種の操作スイッチ65(以下、単に操作スイッチ65と称する)やタグリーダ/ライタ66が接続されると共に、液晶ディスプレイ9が接続されている。
タグリーダ/ライタ66は、保持シート10の無線タグ60との間で無線通信を行うことにより、非接触で情報の読み取りを行う読取手段としての機能と、非接触で情報の書き込みを行う書込手段としての機能を有する。図示は省略するが、タグリーダ/ライタ66は、制御部を主体として、これに接続されるメモリ部、通信部等を備えると共に、無線通信のためのアンテナを備える。前記制御部は、制御回路61に接続されると共に、メモリ部の制御プログラムに基づいて、通信指令を通信部に対して行う。これにより、通信部にて送信情報を用いて変調した所定周波数の電波信号をアンテナから送信する送信処理と、アンテナで受信した電波信号より元の情報を復調する受信処理とを行う。
【0050】
ユーザは、液晶ディスプレイ9の表示を見ながら操作スイッチ65を操作することによって、所望する模様形状の形状データを選択するための入力を行う。また、液晶ディスプレイ9には、前記タグリーダ/ライタ66により無線タグ60から読み取った情報を含む各種の情報を表示させることができる。そして、液晶ディスプレイ9及び操作スイッチ65は、無線タグ60から読み取った情報を更新するための設定手段として、種々の切断パラメータを含む切断情報の設定が可能とされている。尚、液晶ディスプレイ9の前面に、透明電極からなる複数のタッチキーを有するタッチパネルを設け、前記タッチキーの入力操作に基づいて、各種の設定や入力を行うようにしてもよい。
【0051】
図14(a)に示すように、無線タグ60は、ICチップとアンテナ71とを備えている。ここで、ICチップは、制御部72を主体として、これに接続されるメモリ部73や通信部74を有すると共に、アンテナ71で受信した電波から電源電圧を生成する電源部75を有し、電源部75で得た電源電圧に基づいて動作する。通信部74は、アンテナ71で受信した電波に含まれるデータ信号が伝達されると、そのデータ信号を元のデータに復調する処理を行う。制御部72は、タグリーダ/ライタ66からの命令(コマンド)の内容に従って、メモリ部73の記憶内容の書き込み等を行う。また、制御部72は、タグリーダ/ライタ66からのコマンドの内容に従い、メモリ部73に保存しているデータを送信するための制御を通信部74に対して行い、メモリ部73から取出されたデータにより、通信部74において所定の周波数帯の搬送波が変調され、アンテナ71からタグリーダ/ライタ66側に送信される。
【0052】
図14(b)に示すように、無線タグ60のメモリ部73には、カッタ圧情報記憶領域731、押え圧情報記憶領域732、速度情報記憶領域733、補正情報記憶領域734等の複数の記憶領域が設けられている。
カッタ圧情報記憶領域731には、カッタ4の被切断物6に対する押圧力に関するカッタ圧データが予め書き込まれている。カッタ圧データは、Z軸モータ34の駆動によりカッタホルダ5の下降位置におけるカッタ4の上下位置を調整してカッタ圧を制御するための設定値である。押え圧情報記憶領域732には、押圧部材56の押圧力に関する押え圧データが予め書き込まれている。押え圧データは、ソレノイド57の駆動電流(電流値)であり、当該電流値によって押圧部材56の被切断物6に対する押圧力を制御する。速度情報記憶領域733には、カッタ4と被切断物6との相対移動速度に関する速度データが予め書き込まれている。速度データは、前記相対移動速度を制御するためのY軸モータ15及びX軸モータ26の設定速度である。補正情報記憶領域734には、被切断物6に対するカッタ4の相対移動量を補正する補正量に関する補正データが予め書き込まれている。補正データは、被切断物6の切断時の伸縮量に対応して設定されるもので、切断開始点と切断終了点との間で切れ残りが生じないように、Y軸モータ15及びX軸モータ26の駆動量を補正するための設定値である。
【0053】
図13は、上記したカッタ圧データ、押え圧データ、速度データ、及び補正データについて、保持シート10A〜10Dと対応づけた設定例を示している。各データは、切断装置1において保持シート10A〜10Dごとに最適な切断条件となるよう、前記粘着力や被切断物6の特性に応じて各別に設定されている。即ち、紙用保持シート10Aでは、同図の一番上側に示すように、カッタ圧データ、押え圧データ、及び速度データは、低い値に設定されている。また、紙は伸縮しないので、カッタ4の相対移動に係る補正は行わない。そして、フェルト用保持シート10Bでは、カッタ圧データ及び押え圧データは夫々中程度の値に設定され、速度データは高い値に設定されている。また、フェルトの伸縮は比較的大きいため、補正データは大きい値に設定されている。
【0054】
この他、デニム用保持シート10Cでは、カッタ圧データ、押え圧データ、及び速度データは、高い値に設定されている。また、デニムの伸縮は比較的小さいため、補正データは小さい値に設定されている。そして、ブロード用保持シート10Dでは、カッタ圧データは低い値に設定され、押え圧データ及び速度データは高い値に設定されている。また、ブロードの伸縮は中程度であるため、補正データは中程度の値に設定されている。
【0055】
こうして、無線タグ60A〜60Dの夫々のメモリ部73の各記憶領域731〜734には、上記した各データ(カッタ圧データ〜補正データ)、即ち、保持シート10A〜10Dごとに最適な切断条件となるよう各別に設定された切断パラメータが記憶されている。そして、制御回路61は、切断開始時にタグリーダ/ライタ66により、無線タグ60A〜60Dから上記切断パラメータを読み取り、当該データに基づいて切断手段58を制御する。上記切断パラメータが、切断情報に相当する。
切断装置1における切断開始時の具体的な処理手順について、図15、図16も参照しながら説明する。図15、図16のフローチャートは、制御回路61が実行するプログラムの処理の流れを示しており、図中の符号Si(i=11、12、13・・・)は各ステップを示している。
【0056】
ユーザは、被切断物6と、被切断物6の種類に対応した保持シート10を用意し、保持シート10の粘着層10aに被切断物6を貼り付ける。また、ユーザは、操作スイッチ65を操作することによって、例えば外部メモリ64に記憶されている形状データの中から所望の形状データを選択する。
一方、切断装置1において、被切断物6の切断開始前の状態では、カッタホルダ5が上昇位置に移動されている(図5参照)。この状態で、ユーザは、被切断物6を保持した保持シート10を、切断装置1の開口部2aからセットする(ステップS11)。そして、ステップS12では、セットされた保持シート10の無線タグ60から上記切断パラメータを読み取って、切断装置1の切断条件として設定する無線タグ情報設定処理が行われる(図16参照)。
【0057】
即ち、制御回路61は、タグリーダ/ライタ66を介して、無線タグ60のメモリ部73に記憶されているカッタ圧データ、押え圧データ、速度データ、及び補正データを読み取って、RAM63のカッタ圧情報記憶領域631、押え圧情報記憶領域632、速度情報記憶領域633、及び補正情報記憶領域634に記憶させる(ステップS21〜S24)。
【0058】
こうして、ステップS21〜S24を経て、切断装置1における切断パラメータが、無線タグ60に記憶されている各データに基づいて自動的に設定される。例えば、前記ステップS11で、被切断物6としてフェルトを貼り付けたフェルト用保持シート10Bをセットした場合、カッタ圧データ及び押え圧データは中程度の値に、速度データは比較的高い値に、補正データは大きい値に夫々設定される(図13参照)。これにより、無線タグ情報設定処理を終了する(図15のステップS13にリターンする)。
【0059】
続いて、制御回路61は、液晶ディスプレイ9に前記ステップS12で設定されたカッタ圧データ、押え圧データ、速度データ、及び補正データを表示すると共に、これら切断パラメータを更新するか否かのメッセージを液晶ディスプレイ9に表示する。そして、ユーザは、操作スイッチ65の操作により、切断パラメータの更新を指示し(ステップS13にてYes)、RAM63に記憶された各切断パラメータを所望の値に更新することができる(ステップS14)。この場合、ユーザは、液晶ディスプレイ9に表示された各切断パラメータの夫々の値を、操作スイッチ65の操作により新たに設定する。設定後の各データは、RAM63の記憶領域631〜634に上書き更新される。この場合、実際に切断する被切断物6はフェルトであるが、フェルトの布厚が比較的薄い場合には、速度データを若干高い値に更新することで切断時間をより短縮することができる。また、同様に、実際に切断する被切断物6の材質特性(表面の凹凸の度合い(平滑度)、厚み、伸縮性)に応じて、カッタ圧データ、押え圧データ、速度データ、及び補正データを適宜変更して更新することで、より正確に切断を行うことができる。
【0060】
更に、制御回路61は、前記ステップS14で更新した切断パラメータを無線タグ60に書き込むか否かのメッセージを液晶ディスプレイ9に表示する。ここで、ユーザは、操作スイッチ65の操作により、無線タグ60への書き込みを指示することができる(ステップS15にてYes)。制御回路61は、書き込みの指示を受けると、タグリーダ/ライタ66を介して、無線タグ60のカッタ圧情報記憶領域731、押え圧情報記憶領域732、速度情報記憶領域733、及び補正情報記憶領域734に、更新後のカッタ圧データ、押え圧データ、速度データ、及び補正データを夫々書き込む(上書きする)(ステップS16)。尚、前記ステップS13又はステップS15において、ユーザによる切断パラメータの更新又は書き込みの指示が無い場合(No)、上記したRAM63のデータの更新及び無線タグ60へのデータ書き込みは行われない。ここで、図示はしないが、メモリ部73とは別の第2メモリ部を無線タグ60に設け、更新後のカッタ圧データ、押え圧データ、速度データ、及び補正データを第2メモリ部に夫々書き込むようにしてもよい。この場合、メモリ部73は読み取り専用とする。そして、更新後のカッタ圧データ、押え圧データ、速度データ、及び補正データを最初の値(初期値)に戻したいときには、メモリ部73から初期値を読み取るようにすればよい。
【0061】
こうして、切断装置1において切断パラメータが設定された状態で、操作スイッチ65が操作されると、制御回路61は、その操作信号に基づいて切断動作を開始する(ステップS17)。ここで、制御回路61は、RAM63のカッタ圧情報記憶領域631、押え圧情報記憶領域632、速度情報記憶領域633、及び補正情報記憶領域634を参照し、各記憶領域631〜634に記憶されたカッタ圧データ、押え圧データ、速度データ、及び補正データに基づいて、前記切断手段58を制御する。
具体的には、先ず、カッタ4の刃先4cを被切断物6の切断開始点に移動させるべく、Y軸モータ15及びX軸モータ26を速度データに基づき駆動制御して、カッタ4と被切断物6を相対移動させる。そして、切断開始点上にカッタ4を移動させた状態で、押え圧データに基づくソレノイド57の駆動制御により、押圧部材56で被切断物6を押圧する。また、カッタ圧データに基づくZ軸モータ34の駆動制御により、カッタホルダ5を下降位置に移動させて、カッタ4の刃先4cを被切断物6の切断開始点に貫通させる。そして、前記形状データと速度データに基づいてY軸モータ15及びX軸モータ26を駆動させることで、カッタ4と被切断物6とを相対的に移動させて被切断物6を切断する。
【0062】
切断時においてカッタ4の相対移動に伴い、カッタ4が被切断物6から抵抗力を受ける。この点、被切断物6はこれを保持するのに最適の保持シート10が用いられ、且つ押え圧データに基づき接触部56fで適切な押圧力が作用する。このため、保持シート10における粘着層10aの粘着力と接触部56fの押圧力とにより、被切断物6が保持シートに対して移動することが無いよう、確実に保持される。当該押圧力との関係で、速度データに基づきモータ15,26が脱調しないように制御することができ、連続して安定した切断を行うことができる。また、カッタ圧データに基づきZ軸モータ34を駆動制御することで、被切断物6を確実に切断することができる。そして、切断終了点では、被切断物6の伸縮に対応する為、補正データに基づいてカッタ4を余分に移動させて、前記切断開始点との間で切れ残りが生じないように切断する。
【0063】
被切断物6の切断が終了すると、ユーザは、保持シート10から被切断物6を剥がす。この場合、保持シート10における粘着層10aの粘着力は、前述のように被切断物6に応じた値に設定されているため、容易に剥がすことができる。
ここで、保持シート10は、ある程度繰り返して使用される。しかし、保持シート10の使用回数が増えるほど、被切断物6の貼り付けと剥がしが繰り返されるので、粘着層10aの粘着力が徐々に低下して使用できなくなる。そこで、例えば保持シート10Aが使用できなくなって新しいものに替える場合、ユーザは、保持シート10Aに両面粘着テープで貼り付けられていた無線タグ60Aを剥がす。そして、無線タグ60が貼り付けられていない新品の保持シート10であって保持シート10Aと同じ粘着力を有する保持シート10に無線タグ60Aを貼り付ける。このように、新品の保持シート10に無線タグ60Aを貼り付けるだけで、保持シート10Aとして直ぐに使用することができるので、大変便利である。また、例えば無線タグ60Aを別の保持シート10Bに適用したい場合、即ち、無縁タグ60Aを無線タグ60Bとして使用したい場合には、前述した切断パラメータの更新及び書き込みにおいて(ステップS13〜S16)、保持シート10Bに適した値に更新して書き込み(上書き)することで、無線タグ60Bとして使用することができる。
【0064】
以上のように本実施形態の切断装置1において、タグリーダ/ライタ66により無線タグ60から読み取った切断情報(切断パラメータ)に基づいて、切断手段58を制御する制御回路61を備える。
これによれば、切断装置1にセットされた保持シート10の無線タグ60から切断情報が読み取られ、制御回路61によって、切断情報に基づいて切断手段58の動作が制御される。従って、被切断物6が確実に保持されずに切断動作中に保持シート10からズレてしまうことが防止され、被切断物6を正確に切断することができる。
【0065】
前記切断情報は、カッタ4と被切断物6との相対移動速度と、カッタ4の被切断物6に対する押圧力と、被切断物6に対するカッタ4の相対移動量を補正する補正量とのうち少なくとも1つの情報を含む。従って、これら少なくとも1つの切断情報に基づいて、制御回路61が切断手段58を適切に制御して、被切断物6を確実に切断することができる。また、当該切断情報を、切断装置1に対しユーザが入力する必要がないので、利便性を向上させることができる。
切断手段58は、保持シート10に保持された被切断物6を押圧する押圧装置47を備え、前記切断情報は、押圧装置47の押圧力を含む。これによれば、押圧装置47によって、保持シート10に保持された被切断物6を押圧することができる。更に、保持シート10ごとに押圧力を設定できるため、切断動作中に被切断物6が保持シート10からズレないよう、より確実に保持することができる。
【0066】
タグリーダ/ライタ66により無線タグ60から読み取った切断情報を更新するための設定手段として液晶ディスプレイ9及び操作スイッチ65を備える。また、タグリーダ/ライタ66は、当該設定手段で更新した切断情報を無線タグ60に書き込むための書込手段として構成されている。これによれば、実際に切断する被切断物6の材質特性に応じて切断情報を更新して切断を行うことができる。また、無線タグ60に更新した切断情報を書き込むことができるので、次回以降も更新した切断情報に基づいて、被切断物を確実に切断することができる。
無線タグ60は、保持シート10に対して着脱可能に装着されている。このため、無線タグ60を、新品の保持シート10又は別の保持シート10に付け替えて繰り返し使用することができる。
【0067】
<第2実施形態>
図17〜図21は、本発明の第2実施形態を示すものであり、第1実施形態と異なるところを説明する。尚、第1実施形態と同一部分には同一符号を付している。
図17に示すように、本第2実施形態における無線タグ60αのメモリ部73には、形状データ記憶領域735、切断順序データ記憶領域736、配置データ記憶領域737が設けられている。形状データ記憶領域735には、所定の模様形状を切断するための形状データが予め書き込まれている。切断順序データ記憶領域736には、被切断物6に対して複数の模様形状を切断する場合、それら模様形状の切断順序を特定する切断順序データが予め書き込まれている。配置データ記憶領域737には、被切断物6に対して模様形状の配置を特定するための配置データが予め書き込まれている。
【0068】
前記形状データについて、保持シート10αに保持された被切断物6から複数(例えば12個)の模様形状を切断する場合を例に説明する。図18(a)に示すように、切断する形状は、「正方形」の6つの模様形状Fa〜Ffと「台形」の6つの模様形状Fg〜Flである。この場合の全体データは、図19に示すように、模様形状Fa〜Flの総数の情報である「模様数」、「模様形状Fa」〜「模様形状Fl」の形状データ、「形状区切りデータ」等を含む。前記切断順序データは、当該模様形状Fa〜Flに対応付けて記憶されている(図19の切断1〜切断12参照)。「模様数」は12であり、各模様形状Fa〜Flの形状データは、複数の線分からなる切断ラインの頂点を夫々XY座標によって示した座標データからなる。
【0069】
具体的には、模様形状Faの切断ラインは、図18(b)に示すように4つの線分a1〜a4からなり、切断開始点P0と切断終了点P4が一致する閉じた正方形である。模様形状Faの形状データは、切断開始点P0、頂点P1、頂点P2、頂点P3、切断終了点P4の夫々に対応する第1座標データ、第2座標データ、第3座標データ、第4座標データ、第5座標データを有する(図19参照)。図18(a)に示すように、模様形状Fb〜Ffも模様形状Faと同じ正方形であり、模様形状Fb〜Ffの切断ラインについても夫々模様形状Faと同様の4つの線分からなる。また、模様形状Fb〜Ffの座標値(第1座標データ〜第5座標データ)は、各模様形状Fa〜Ffが相互に離間して形成されるように設定されている。
【0070】
模様形状Fgの切断ラインは、図17(c)に示すように4つの線分g1〜g4からなり、切断開始点P0と切断終了点P4が一致する閉じた台形である。台形は、角の大きさが90度に設定された頂点P0、P3をもち、模様形状Fgの形状データとして、切断開始点P0、頂点P1、頂点P2、頂点P3、切断終了点P4に対応する第1座標データ〜第5座標データを有する。図17(a)に示すように、他の模様形状Fh〜Flも模様形状Fgと同じ台形であり、模様形状Fh〜Flの切断ラインについても夫々模様形状Fgと同様の4つの線分からなる。また、模様形状Fh〜Flの座標値は、各模様形状Fg〜Flが相互に離間して形成されるように設定されている。
【0071】
保持シート10αには、保持シート10ごとに予め設定された上記の模様形状をユーザが判別するための標識59として「α」の文字が印刷されている。標識59は、第1実施形態で説明したように、適宜変更が可能である。
保持シート10α上の被切断物6において、例えばその全領域つまり被切断物6全体が、模様形状の切断が可能な切断可能領域とされる。前記配置データは、シート状をなす被切断物6の大きさに基づき設定された、切断可能領域を表わす領域データであって、配置基準となる原点データを含む。例えば、切断可能領域の隅(図18(a)で左上側)が原点データに基づき特定されるXY座標の原点O1(X0、Y0)とされている。そして、制御回路61は、領域データと形状データ(全体データ)に基づいて、模様形状Fa〜Flを切断可能領域内で相互に離間させて配置するようになっている。
【0072】
上記保持シート10αを用いて被切断物6を切断する際の具体的な処理手順について、図20、図21も参照しながら説明する。
ユーザは、模様形状Fa〜Flを切断する場合、それらの形状に対応する保持シート10αを用意し、保持シート10αの粘着層10aに被切断物6を貼り付ける。また、ユーザは、被切断物6を保持した保持シート10αを、切断装置1の開口部2aからセットする(ステップS31)。これにより、ステップS32では、セットされた保持シート10αの無線タグ60αに係る情報設定処理が行われる(図21参照)。
【0073】
即ち、制御回路61は、タグリーダ/ライタ66を介して、無線タグ60αのメモリ部73に記憶されている全体データ、切断順序データ、及び配置データを読み取って、RAM63の記憶領域に記憶させる(ステップS42)。ここで、全体データについて、全ての模様形状Fa〜Flの形状データがRAM63の記憶領域に展開されると(ステップS41にてYes)、切断装置1で切断する模様形状が、無線タグ60αに記憶されている全体データに基づいて自動的に設定される。また、この場合、制御回路61は、領域データと全体データに基づいて、切断可能領域の隅を原点O1として模様形状Fa〜Flを切断可能領域に対応させて配置する(図18(a)参照)。これにより、無線タグ情報設定処理を終了する(図20のステップS33にリターンする)。
【0074】
続いて、制御回路61は、前記ステップS32で切断可能領域に対応させて配置した模様形状Fa〜Flと、模様形状Fa〜Flの配置等を編集するか否かのメッセージとを液晶ディスプレイ9に表示する。そして、ユーザは、操作スイッチ65の操作により、模様形状Fa〜Flに係る編集を指示し(ステップS33にてYes)、RAM63に記憶された全体データ、切断順序データ、及び配置データを所望するデータに更新することができる(ステップS34)。例えば、ユーザは、操作スイッチ65を操作して、液晶ディスプレイ9に表示された切断可能領域における模様形状Fa〜Flについて、位置の変更や拡大・縮小を行い、或は切断可能領域の中心を軸に回転させる。この場合、模様形状Fa〜Fl全部の移動量、倍率、角度の値を入力することで、夫々の座標値を制御回路61により演算するようにしてもよいし、模様形状Fa〜Flの夫々の座標値を直接入力してもよい。これにより、模様形状Fa〜Flを隙間なく並べるような配置変更を行って被切断物6の歩留りを高めたり、模様形状Fa〜Flを所望の大きさに変更することができる。編集後の全体データは、RAM63の記憶領域に上書き更新される。また、ステップS34では、操作スイッチ65の操作により、配置データに含まれる原点データや、切断順序データを更新することで、模様形状Fa〜Flの配置や切断順序を適宜変更することができる。
【0075】
更に、制御回路61は、前記ステップS34で更新した各データを無線タグ60αに書き込むか否かのメッセージを液晶ディスプレイ9に表示する。ここで、ユーザは、操作スイッチ65の操作により、無線タグ60αへの書き込みを指示することができる(ステップS35にてYes)。制御回路61は、書き込みの指示を受けると、タグリーダ/ライタ66を介して、無線タグ60αの形状データ記憶領域735、切断順序データ記憶領域736、及び配置データ記憶領域737に、更新後の全体データ、切断順序データ、及び配置データを夫々書き込む(ステップS36)。尚、前記ステップS33又はステップS35において、ユーザによる各データの更新又は書き込みの指示が無い場合(No)、上記したRAM63のデータの更新及び無線タグ60αへのデータ書き込みは行われない。また、図示は省略するが、第1実施形態と同様に、メモリ部73とは別の第2メモリ部を無線タグ60αに設け、更新後の全体データ、切断順序データ、及び配置データを第2メモリ部に夫々書き込むようにしてもよい。
【0076】
こうして、切断装置1において切断する模様形状Fa〜Flに係る各データが設定された状態で、操作スイッチ65が操作されると、制御回路61は、その操作信号に基づいて切断動作を開始する(ステップS37)。ここで、制御回路61は、RAM63の記憶領域を参照し、その記憶領域に記憶された全体データ、切断順序データ、及び配置データに基づいて、前記切断手段58を制御する(ステップS38)。
【0077】
具体的には、切断可能領域に対して左上の隅を原点O1として配置した模様形状Fa〜Flについて、夫々の形状データと切断順序データに基づき順次切断を実行する(図18、図19参照)。即ち、先ず第1移動手段7による保持シート10α(被切断物6)のY方向への移動と、第2移動手段8によるカッタホルダ5のX方向への移動とにより、模様形状Faの切断開始点P0のXY座標へカッタ4を相対的に移動させる。次いで、第3移動手段44によりカッタ4の刃先4cを被切断物6の切断開始点P0に貫通させて、第1移動手段7及び第2移動手段8により線分a1の終点P1の座標へ向けて相対的に移動させ、線分a1に沿って被切断物6を切断する。続く線分a2は、先の線分a1の終点P1を始点として、線分a1と同様の切断が連続的に実行される。こうして、線分a2〜a4についても、図18(b)に矢印で示す向きにカッタ4を相対移動させることで、模様形状Fa、つまり「正方形」の切断ラインを切断する。これと同様に、模様形状Fb〜Ffについても、夫々の形状データに基づいて模様形状Fbの切断ライン、模様形状Fcの切断ライン、…、模様Ffの切断ラインの順に切断される。
【0078】
また、模様形状Fgは、切断開始点P0を始点として図18(b)に矢印で示す向きにカッタ4を相対移動させて、線分g1〜g4に沿って「台形」の切断ラインを切断する。これと同様に、模様形状Fh〜Flについても、夫々の形状データに基づいて模様形状Fhの切断ライン、模様形状Fiの切断ライン、…、模様形状Flの切断ラインの順に切断される。こうして、切断順序データに基づき、図18(a)で最上段の模様形状Fa〜Fcから、順次下側の段の模様形状Fd〜Ff、Fg〜Fi、Fj〜Flが効率的に切断される。
【0079】
被切断物6の切断が終了すると、ユーザは、保持シート10αから被切断物6を剥がす。引き続き、切断装置1で模様形状Fa〜Flを切断する場合には、新たに被切断物6を貼り替えた保持シート10αを切断装置1にセットする。このとき、切断装置1では、切断する模様形状Fa〜Flが、無線タグ60αに記憶されている全体データに基づいて自動的に設定される。このため、ユーザは模様形状Fa〜Flを選択したり、模様形状Fa〜Flの配置や大きさ等を編集する手間を省くことができる。このように、切断装置1において、保持シート10αを用いて切断を行うことで、毎回同じ模様形状Fa〜Flを切断することができる。
【0080】
模様形状は、上記した正方形や台形等の形状Fa〜Flに限定するものではない。つまり、保持シート10毎に様々な模様形状を無線タグ60に記憶させ、切断する模様形状に応じて保持シート10を使い分けるようにすればよい。尚、粘着層10aの粘着力が低下した保持シート10αについては、第1実施形態と同様、当該保持シート10αの無線タグ60αを剥がして新品の保持シート10に貼り付け、保持シート10αとして直ぐに使用することができる。
【0081】
以上のように保持シート10αの無線タグ60αには、所定の模様形状Fa〜Flを切断するための形状データを含む切断情報が書き込まれている。これによれば、切断装置1で無線タグ60αから読み取った形状データに基づき模様形状Fa〜Flが切断される。このため、切断装置1に対して形状データを入力し、或は設定する手間を省くことができる。また、保持シート10ごとに、同じ模様形状を繰り返し切断することができ、使い勝手のよいものとすることができる。
無線タグ60αには、被切断物6に対して模様形状Fa〜Flを配置する配置データを含む切断情報が書き込まれている。これによれば、無線タグ60αから読み取った配置データに基づき被切断物6に対する模様形状Fa〜Flの配置が決定される。このため、切断装置1に対して配置データを入力することなく、被切断物6の大きさに応じた切断可能領域内で模様形状Fa〜Flを切断することができる。
【0082】
無線タグ60αには、複数の模様形状Fa〜Flの切断順序を特定する切断順序データを含む切断情報が書き込まれている。これによれば、無線タグ60αから読み取った切断順序データに基づいて、複数の模様形状Fa〜Flの切断順序が特定されるため、切断装置1に切断順序データを入力する手間を省くことができる。特に、前記ステップS34で模様形状Fa〜Fl相互間の位置を変更した場合には、その変更後の模様形状Fa〜Flの位置に応じた効率的な切断順序に設定することで、切断時間を短縮することが可能となる。
この他、前記書込手段によって、無線タグ60αに更新した切断情報を書き込むことができる等、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0083】
尚、本発明は上記しかつ図面に示す実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
本発明は、上記したカッティングプロッタとしての切断装置1に限られず、切断機能を備えた各種の装置にも適用できるものである。
無線タグ60は、保持シート10に両面粘着テープで着脱可能に貼着させていたが、両面粘着テープ以外の手段で装着するようにしてもよい。例えば、保持シート10に無線タグ60を取り外し可能に嵌め込む為の凹部を設けるようにしてもよい。
押圧手段は、ソレノイド57に代えてモータ等の他のアクチュエータを用いて押圧部材を昇降させるように構成してもよい。
無線タグ60のメモリ部73に、カッタ圧情報記憶領域731、押え圧情報記憶領域732、速度情報記憶領域733及び補正情報記憶領域734と、形状データ記憶領域735、切断順序データ記憶領域736及び配置データ記憶領域737とを設けるようにしてもよい。これにより、切断装置1において、無線タグ60αから読み取った切断パラメータや形状データ等に基づき所定の模様形状Fa〜Flを適切な切断条件で確実に切断することができる。また、無線タグ60の切断情報としては、切断パラメータと形状データとのうち少なくとも1つを含むように構成してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 切断装置
4 カッタ(切断刃)
6 被切断物
10 保持シート(保持部材)
10a 粘着層
47 押圧手段
58 切断手段
60 無線タグ
61 制御手段
66 タグリーダ/ライタ(読取手段、書込手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断刃と被切断物とを相対的に移動させることで、前記切断刃により前記被切断物を切断する切断手段を備えた切断装置であって、
前記被切断物を剥離可能に保持する粘着層を有し、前記被切断物を粘着させて保持した状態で前記切断装置にセットされる保持部材と、
前記保持部材に設けられ、切断に関する情報である切断情報が書き込まれた無線タグと、
前記切断装置に前記保持部材がセットされた際に、前記無線タグから前記切断情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段により前記無線タグから読み取った前記切断情報に基づいて、前記切断手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする切断装置。
【請求項2】
前記切断情報は、前記切断刃と前記被切断物との相対移動速度と、前記切断刃の前記被切断物に対する押圧力と、前記被切断物に対する前記切断刃の相対移動量を補正する補正量とのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載の切断装置。
【請求項3】
前記切断情報は、所定の模様形状を切断するための形状データを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の切断装置。
【請求項4】
前記切断情報は、前記被切断物に対して前記模様形状を配置する配置データを含むことを特徴とする請求項3記載の切断装置。
【請求項5】
前記切断情報は、前記被切断物に対して複数の前記模様形状を切断する場合、前記模様形状を切断する切断順序を特定する切断順序データを含むことを特徴とする請求項3又は4記載の切断装置。
【請求項6】
前記切断手段は、前記保持部材に保持された前記被切断物を押圧する押圧手段を備え、
前記切断情報は、前記押圧手段の押圧力を含むことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の切断装置。
【請求項7】
前記読取手段により前記無線タグから読み取った切断情報を更新するための設定手段と、
前記設定手段で更新された切断情報を前記無線タグに書き込むための書込手段とを備えることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の切断装置。
【請求項8】
前記無線タグは、前記保持部材に対して着脱可能に装着されていることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の切断装置。
【請求項9】
被切断物を切断する切断手段と、無線タグから切断情報を読み取る読取手段と、前記切断情報に基づいて前記切断手段を制御する制御手段とを備えた切断装置に用いられる保持部材であって、
前記被切断物を剥離可能に保持する粘着層と、
切断に関する情報である切断情報が書き込まれた無線タグと、
を備えることを特徴とする保持部材。
【請求項10】
前記切断情報は、前記切断手段が有する切断刃と前記被切断物との相対移動速度と、前記切断刃の前記被切断物に対する押圧力と、前記被切断物に対する前記切断刃の相対移動量を補正する補正量とのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項9記載の保持部材。
【請求項11】
前記切断情報は、所定の模様形状を切断するための形状データを含むことを特徴とする請求項9又は10記載の保持部材。
【請求項12】
前記切断情報は、前記被切断物に対して前記模様形状を配置する配置データを含むことを特徴とする請求項11記載の保持部材。
【請求項13】
前記切断情報は、前記被切断物に対して複数の前記模様形状を切断する場合、前記模様形状を切断する切断順序を特定する切断順序データを含むことを特徴とする請求項11又は12記載の保持部材。
【請求項14】
前記切断装置は、前記保持部材に保持された前記被切断物を押圧する押圧手段を備え、
前記切断情報は、前記押圧手段の押圧力を含むことを特徴とする請求項9から13の何れかに記載の保持部材。
【請求項15】
前記無線タグは、前記保持部材に対して着脱可能に装着されていることを特徴とする請求項9から14の何れかに記載の保持部材。
【請求項1】
切断刃と被切断物とを相対的に移動させることで、前記切断刃により前記被切断物を切断する切断手段を備えた切断装置であって、
前記被切断物を剥離可能に保持する粘着層を有し、前記被切断物を粘着させて保持した状態で前記切断装置にセットされる保持部材と、
前記保持部材に設けられ、切断に関する情報である切断情報が書き込まれた無線タグと、
前記切断装置に前記保持部材がセットされた際に、前記無線タグから前記切断情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段により前記無線タグから読み取った前記切断情報に基づいて、前記切断手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする切断装置。
【請求項2】
前記切断情報は、前記切断刃と前記被切断物との相対移動速度と、前記切断刃の前記被切断物に対する押圧力と、前記被切断物に対する前記切断刃の相対移動量を補正する補正量とのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載の切断装置。
【請求項3】
前記切断情報は、所定の模様形状を切断するための形状データを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の切断装置。
【請求項4】
前記切断情報は、前記被切断物に対して前記模様形状を配置する配置データを含むことを特徴とする請求項3記載の切断装置。
【請求項5】
前記切断情報は、前記被切断物に対して複数の前記模様形状を切断する場合、前記模様形状を切断する切断順序を特定する切断順序データを含むことを特徴とする請求項3又は4記載の切断装置。
【請求項6】
前記切断手段は、前記保持部材に保持された前記被切断物を押圧する押圧手段を備え、
前記切断情報は、前記押圧手段の押圧力を含むことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の切断装置。
【請求項7】
前記読取手段により前記無線タグから読み取った切断情報を更新するための設定手段と、
前記設定手段で更新された切断情報を前記無線タグに書き込むための書込手段とを備えることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の切断装置。
【請求項8】
前記無線タグは、前記保持部材に対して着脱可能に装着されていることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の切断装置。
【請求項9】
被切断物を切断する切断手段と、無線タグから切断情報を読み取る読取手段と、前記切断情報に基づいて前記切断手段を制御する制御手段とを備えた切断装置に用いられる保持部材であって、
前記被切断物を剥離可能に保持する粘着層と、
切断に関する情報である切断情報が書き込まれた無線タグと、
を備えることを特徴とする保持部材。
【請求項10】
前記切断情報は、前記切断手段が有する切断刃と前記被切断物との相対移動速度と、前記切断刃の前記被切断物に対する押圧力と、前記被切断物に対する前記切断刃の相対移動量を補正する補正量とのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項9記載の保持部材。
【請求項11】
前記切断情報は、所定の模様形状を切断するための形状データを含むことを特徴とする請求項9又は10記載の保持部材。
【請求項12】
前記切断情報は、前記被切断物に対して前記模様形状を配置する配置データを含むことを特徴とする請求項11記載の保持部材。
【請求項13】
前記切断情報は、前記被切断物に対して複数の前記模様形状を切断する場合、前記模様形状を切断する切断順序を特定する切断順序データを含むことを特徴とする請求項11又は12記載の保持部材。
【請求項14】
前記切断装置は、前記保持部材に保持された前記被切断物を押圧する押圧手段を備え、
前記切断情報は、前記押圧手段の押圧力を含むことを特徴とする請求項9から13の何れかに記載の保持部材。
【請求項15】
前記無線タグは、前記保持部材に対して着脱可能に装着されていることを特徴とする請求項9から14の何れかに記載の保持部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−213846(P2012−213846A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210760(P2011−210760)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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