説明

切断装置

【課題】
被切断材のバリやカエリの発生を軽減させ、帯のこの刃の欠けを防止できる安価で切断能率の良い切断装置を提供する。
【解決手段】
被切断材11を保持するベース1と、モータによって駆動される帯のこ6を保持しベース1に揺動可能に支持される切断機(2、4〜8)を有する切断装置において、切断機はベース1に対して帯のこ6が近接又は離間するように移動可能であり、帯のこ6がベース1に近接する移動途中で、帯のこ6のベース1への近接する速度を調節するための速度調節手段(15)を設けた。切断装置には、帯のこ6の下限位置を決定するストッパが設けられ、速度調節手段(15)はストッパが当接する部分に取り付けられる。これにより最初に設定した切断荷重(切断速度)で切断終了間際まで切断でき、被切断材11の切断終了間際に、帯のこ6の切断荷重を軽く(切断を遅く)することができ、バリやカエリの発生を軽減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、のこ刃を用いて被切断材を切断する切断装置に関し、特に、被切断材の切断面のバリやカエリを小さくして良好な切断面を実現できる切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
切断領域において、のこ刃を直進的に移動させることによって被切断材を切断する切断装置が広く用いられている。このような切断装置の例として、例えば横形帯のこ盤があり、横形帯のこ盤には大きく分けると2種類ある。1つの種類は、帯のこの回転部、駆動部を保持するフレーム部の自重により被切断材を切断する横形帯のこ盤で、通常、切断荷重を多段階、あるいは無段階に調整可能であるが、この切断荷重の調整は、切断開始前にしか調整ができず、切断中の切断荷重はほぼ一定である。この方式は、横形帯のこ盤としては非常に一般的であり、価格も安い。
【0003】
また、他の種類は、フレームの上下動を油圧シリンダ等で制御する横形帯のこ盤で、切断荷重が無段に調整可能であり、さらに切断途中でも切断荷重の調整が容易にできる。しかしながら、この方式の横形帯のこ盤は、油圧シリンダ、油圧ポンプ、モータおよび油圧を制御する電磁弁、各種配管部材、これらの制御手段が必要となり、装置が大型のものが多く価格も高価である。
【0004】
フレーム部の自重により被切断材を切断する横形帯のこ盤は、例えば特許文献1において知られている。特許文献1では、被切断材を切断するのこ刃を備えて一端がベースにヒンジシャフト(揺動軸)によって揺動可能に軸支されたフレームを有し、ヒンジシャフトに巻回されてフレームに復元力を作用させることによって切断荷重を軽減する捩りコイルばねを有する横形帯のこ盤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−105845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フレーム部の自重により被切断材を切断する横形帯のこ盤においては、切断荷重は多段あるいは無段に調整可能とすることが容易で、横形帯のこ盤としては一般的であり価格も比較的安い。しかしながら、この方式の横形帯のこ盤は、一度セットした荷重で最後まで切断するため、切断荷重を軽くした場合は切断速度が遅くなり、切断荷重を重くした場合は切断速度が速くなる。一般に、切断荷重を重く(速く切断)する事により、全ての切断が完了する切断終了間際に被切断材(切り落とし側の材料)が固定側の材料から離れ、切断面にバリやカエリが残りやすく、切断速度が速ければ速い程この傾向が発生し易い。ここでカエリとは、切断の際にできる被切断材料のめくり上がりをいう。また、被切断材を短く切断した場合、切り落とした材料が切断時の反動で動いてしまい、帯のこの刃の欠けの原因となっていた。この対策のため切断荷重を軽くし、切断することも考えられるが、その場合切断速度が遅いため、作業能率が悪くなる。
【0007】
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、その目的は、被切断材の切断面のバリやカエリを小さくし、帯のこの刃欠けを防止でき、作業能率の良い安価な切断装置を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、簡単な構成で切断終了段階に切断速度を遅くすることができる切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの特徴を説明すれば、次の通りである。
【0010】
本発明の一つの特徴によれば、被切断材を保持するベースと、モータによって駆動されるのこ刃を保持しベースに揺動可能に支持される切断機を有する切断装置において、切断機はベースに対してのこ刃が近接又は離間するように移動可能であり、のこ刃がベースに近接する移動途中で、のこ刃のベースへの近接する速度を調節するための速度調節手段を設けた。切断装置には、のこ刃の下限位置を決定するストッパが設けられ、速度調節手段はストッパが当接する部分に取り付けると好ましい。
【0011】
本発明の他の特徴によれば、速度調節手段はのこ刃の移動範囲のうち一部の移動範囲にあるときだけストッパに作用するように構成した。つまり、切断機の自重により被切断材を切断する切断装置において、被切断材の切断終了付近(帯のこの下限付近)で切断荷重を軽減するように構成した。速度調節手段はベース側に設けられ、例えば切断機を上方に持上げるためのスプリングやゴムなどの弾性体、オイル式又は高圧ガス式の流体ダンパを用いることができる。また、速度調節手段だけでなく、切断機が上限位置と下限位置の間に位置する際に、切断機の揺動速度を低下させるように構成された減速手段であれば、その他の構成であっても良い。
【0012】
本発明のさらに他の特徴によれば、切断機はヒンジシャフトにより揺動可能なようにベースに軸支され、ヒンジシャフトの近傍に切断機の下降に対する復元力を作用させるばね手段を有し、速度調節手段はばね手段とは別の位置に設けるようにした。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、被切断材の切断終了間際に、のこ刃がベースに近接する速度を遅くすることが可能になり、被切断材に残るバリやカエリを軽減し、のこ刃の欠けを防止しながら効率よく切断することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、切断装置は、のこ刃の下限位置を決定するストッパを有し、速度調節手段は、ストッパが当接する当接部に取り付けられるので、簡単な部品を追加するだけで切断材に残るバリやカエリを軽減できる。
【0015】
請求項3の発明によれば、速度調節手段は、のこ刃の移動範囲のうち一部の移動範囲にあるときだけストッパに作用するので、被切断材に残るバリやカエリの影響が少ない部分(切断開始段階など)の切断範囲には作用せず、全体的な切断時間の低下を最小に抑えることができ効率の良い切断を行うことができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、切断機はヒンジシャフトにより揺動可能なようにベースに軸支され、速度調節手段は、ヒンジシャフトの近傍に設けられるばね手段とは別の位置に設けられるので、従来のばね手段の構成を何ら変更することなく、新たな速度調節手段を付加するだけで容易に本発明の切断装置を実現できる。
【0017】
請求項5の発明によれば、速度調節手段は弾性体であるので、安価に本発明の切断装置を実現できる。
【0018】
請求項6の発明によれば、速度調節手段は、オイル式又は高圧ガス式の流体ダンパであるので、比較的速い速度で落下移動する切断機を効果的に減速させることができる。
【0019】
請求項7の発明によれば、切断機は、上限位置と下限位置の間で揺動可能であり、切断機が上限位置と下限位置の間に位置する際に、切断機の揺動速度を低下させる減速手段を設けたので、被切断材に残るバリやカエリを軽減し、帯のこの刃欠けを防止しながら速く切断することができ、能率良く切断作業が行なうことができる。
【0020】
請求項8の発明によれば、減速手段は、切断機の下限位置を決定するストッパに作用する速度調節手段であるので、簡単な部品を追加するだけで切断材に残るバリやカエリを軽減できる切断装置を実現できる。
【0021】
本発明の上記及び他の目的ならびに新規な特徴は、以下の明細書の記載及び図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例に係る横形帯のこ盤を示す正面図である。
【図2】図1の裏側から見た拡大図である。
【図3】図1のA方向矢視拡大図である。
【図4】本発明の実施例に係る横形帯のこ盤において切断終了付近の切断荷重を軽くする状態を説明するための図である。
【図5】本発明の第2の実施例に係る速度調節装置を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施例に係る速度調節装置を示す図である。
【図7】本発明の第4の実施例に係る速度調節装置を示す図である。
【図8】切断装置として、卓上丸のこ盤を用いた際の切断終了付近の切断荷重を軽くする状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0023】
以下、本発明の実施例に基づく切断装置を、横形帯のこ盤の例を元に図面に基づいて説明する。なお、以下の図において、同一の部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。図1は横形帯のこ盤20の一実施例を示す正面図、図2は図1の裏側から見た拡大図、図3は図1のA方向矢視拡大図である。
【0024】
図1において、切断装置たる横形帯のこ盤20は、大きく分けて切断機(2、4〜8)とベース1の2つの部分により構成される。切断機は、帯のこ6を駆動するための図示しないモータと、モータを保持するフレーム2を含んで構成され、フレーム2はベース1によって揺動可能に支持される。フレーム2内の長手方向両側には、回転可能な駆動のこ車4及び従動のこ車5が設けられ、これらの駆動のこ車4と従動のこ車5に巻装された無端状(エンドレス)のエンドレスの帯のこ6を張り渡たされる。フレーム2から一部露出している帯のこ6は、フレーム2に配設されたセリヘッド7、8により、ベース1の上面に対して直角にねじり起こすように挟持案内される。
【0025】
フレーム2においては、図示しないモータによって駆動のこ車4が回転駆動されると、帯のこ6が駆動のこ車4と従動のこ車5との間で循環移動し、帯のこ6が回転する。帯のこ6を回転させた状態でフレーム2を下方向に移動させることによって、ベース1の固定される被切断物が切断される。
【0026】
ベース1には高段部1aと低段部1bが形成され、低段部1bにはフレーム2を軸支するヒンジシャフト3の固定部が形成されると共に、後述する補助スプリング15が設けられる。ベース1は、右端部にヒンジシャフト3を支点にフレーム2に対して上下方向へ揺動自在に軸支される。ベース1の高段部1aには被切断材11を載置でき、固定バイス9と、固定バイス9と平行に配置された移動バイス10が装着される。
【0027】
移動バイス10は、ベース1の長手方向(固定バイス9の突き当て面と垂直方向、または、露出する帯のこ6の延在方向)に向けて形成した案内溝に沿って移動自在に装着され、固定バイス9との距離を可変に調整して固定できる。被切断材11は固定バイス9と移動バイス10で挟持固定され、固定された状態で帯のこ6により切断される。
【0028】
次に図2を用いて、フレーム2を軸支するヒンジシャフト3の固定部付近の構造を説明する。図2において、ヒンジシャフト3にねじり部を巻回したスプリング12を設け、スプリング12の一端12aはベース1の低段部1bに接触するように配置され、他端12bはフレーム2に設けたカム13に当接しするように配置され、このスプリング12によって、フレーム2の重量による落下に抗する反力を発生させる。この反力の大きさは、カム13に連結したハンドル14の回転によりカム13を回転させ、スプリング12のねじり角度を設定することにより調整可能であり、この調整によって帯のこ6の切断荷重を調整する。
【0029】
本実施例においては、さらに図3に示すようにベース1の低段部1bの上面に速度調節手段たる補助スプリング15を設け、補助スプリング15の上方のフレーム2の部分には、下限ストッパ2aを設ける。速度調節手段は、切断機に設けられた帯のこ6がベース1に近接する際に、その近接する速度を低下させることができるように構成される。補助スプリング15は、例えば金属製の巻ばねである。下限ストッパ2aはフレーム2と一体に形成された突起状の部材であり、フレーム2(帯のこ6)を被切断材11の切断と同時に矢印に示すように鉛直方向に下降させ、被切断材11の切断が終了する間際に、下限ストッパ2aの下端が補助スプリング15に当接するような位置関係となるように構成される。
【0030】
上記構成において、一連の切断作業と動作について説明する。切断に先立ち、ハンドル14を回すことによりカム13を回転させ、スプリング12のねじり角度を設定し、切断荷重を所望の荷重に設定する。次に、金属パイプ等の被切断材11を固定バイス9と移動バイス10でベース1(高段部1a)の上面に固定する。次にモータの電源をONにして帯のこ6を回転させながら、フレーム2を自重によってヒンジシャフト3を中心として下方へと揺動させ、ベース1上に載置された被切断材11を帯のこ6によって切断する。モータのON/OFFスイッチは、ON状態を保持する機構が設けられており、被切断材11をベース1に載置した後にスイッチをONに保持し、手を離せばフレーム2の部分が自重により揺動するため、被切断材11の切断が行われる。
【0031】
被切断材11の切断終了間際には、フレーム2に設けた下限ストッパ2aが補助スプリング15に当接し、フレーム2(帯のこ6)の重力による下方への移動に反する力を作用させるので、切断終了付近の切断荷重を軽く(切断を遅く)することが可能になる。この切断終了付近の切断荷重を軽くする状態を説明するのが図4である。帯のこ6が位置16aの付近にある際は、下限ストッパ2aが補助スプリング15にはまだ当接しないため、フレーム2の自重とスプリング12による反力によって決まる落下速度で下降する。しかしながら、位置16bの前後で下限ストッパ2aが補助スプリング15に当接するとフレーム2の落下速度が低下し、その結果切断スピードが遅くなる。
【0032】
従って、最初に設定した切断荷重(切断速度)で被切断材11を切断終了間際まで切断し、切断終了間際の瞬間だけ切断荷重を軽く(切断速度を遅く)できるので被切断材に残るバリやカエリを大幅に軽減することができ、切断面をきれいにすることができる。また、被切断材を短く切断した場合等、切り落とした材料が切断時の反動で動いてしまって帯のこ6に当たってしまう恐れを減少することができる。
【実施例2】
【0033】
次に図5を用いて本発明の第2の実施例を説明する。図5は、図1のA方向矢視拡大図に相当する図面であり、図1の補助スプリング15に代えて、流体ダンパ25を設けたものである。ここで、フレーム2が自重によってヒンジシャフト3を中心として下方へと揺動し、帯のこ6が図4で示す位置16a付近を越えたら下限ストッパ2aが流体ダンパ25の作用面25aに接触し、作用面25aを下方に移動させながら下限ストッパ2aの下降速度を減速して停止させる。流体ダンパ25は、公知の速度調節手段や緩衝装置で実現すれば良く、例えばオイル封入式、高圧ガス封入式等の流体ダンパを用いることができる。流体ダンパ25の減衰特性を調整して、帯のこ6が図4で示す位置16b付近を通過する際にフレーム2の落下速度(揺動速度)が十分減速されているようにすると、被切断材に残るバリやカエリを大幅に軽減することができ、切断面をきれいにすることができる。
【実施例3】
【0034】
次に図6を用いて本発明の第3の実施例を説明する。図6は、図1のA方向矢視拡大図に相当する図面であり、図1の補助スプリング15に代えて、減速手段35を設けたものである。減速手段35は、円柱形の嵌合軸36と略円筒形の受け部37により構成される。ここで、フレーム2が自重によってヒンジシャフト3を中心として下方へと揺動し、帯のこ6が図4で示す位置16a付近を越えたら下限ストッパ2aに取り付けられた嵌合軸36が、受け部37の内側に入りこむ。嵌合軸36の下側の外周側には、凹凸加工された抵抗部36aが形成される。一方、受け部37の上側内周部分は、上端開口部から下方に入るにつれて直径が小さくなる、いわゆるすり鉢状に加工されたテーパ部37aが形成される。また受け部37の下側内周は内径が一定の円筒形状であるが、内周面には凹凸加工された抵抗部37bが形成される。
【0035】
図6においてフレーム2が下降し、それに伴い嵌合軸36も下降すると、嵌合軸36の下端は、受け部37のすり鉢状のテーパ部37aに案内されて、抵抗部37bに嵌挿される。その際、嵌合軸36も受け部37も凹凸加工されていて両者の摩擦抵抗が大きいため、フレーム2の下降速度を十分減速させて停止させることができる。この凹凸加工部37bの施される部分を調整して、帯のこ6が図4で示す位置16b付近を通過する際にフレームの落下速度(揺動速度)が十分減速されているように設定する。尚、抵抗部36a、37bは摺動抵抗が大きければよいので、凹凸加工だけに限られずに、表面に樹脂やその他の材料を塗布したものであっても良い。また、嵌合軸36と受け部37をプラスチック等の樹脂で構成して、なんらかの減速機構となるような構成にしても良い。
【実施例4】
【0036】
次に図7を用いて本発明の第4の実施例を説明する。図7は、図1のA方向矢視拡大図に相当する図面であり、図1の補助スプリング15に代えて、シーソー式の速度調節装置45を設けたものである。ここで、フレーム2が自重によってヒンジシャフト3を中心として下方へと揺動し、帯のこ6が図4で示す位置16a付近を越えたら下限ストッパ2aが速度調節装置45の一方の端部45aに当接する。端部45aの下側には、ゴム等の弾性体からなる円筒形の弾性部材46が設けられ、端部45aに対して下方向に作用する力を受け止める。さらに、シーソー式の速度調節装置45の端部45aと反対側には錘45cが取り付けられる。シーソーの中心軸45bから端部45aまでの距離は、中心軸45bから錘45cまでの距離よりも長く形成され、端部45aの下方向の移動距離において十分な制動力が得られるように構成される。速度調節装置45の中心軸45bを軸支する基台45dはベース1の低段部1b上に固定される。
【0037】
図7においてフレーム2が下降すると、下限ストッパ2aの下端は、シーソー式の速度調節装置45の端部45aに当接し、端部45aの下面は弾性部材46の上面に当接して、弾性部材46を圧縮させながら下方向に移動する。一方、速度調節装置45の錘45cの作用が加わり、端部45a自体の下降移動が十分制動される。以上のように、第4の実施例においても、帯のこ6が図4で示す位置16b付近を通過する際に、フレーム2の落下速度(揺動速度)を十分に減速させることが可能になる。
【0038】
以上説明した実施例においては、切断装置の例として横型帯のこ盤を用いて説明したが、本発明は横型帯のこ盤だけに限られず、自重によって落下させる他の形式の切断装置、又は、使用者が手で切断手段を移動させる切断装置においても同様に適用できる。例えば、切断装置として卓上丸のこ盤であっても良い。この場合、図8で示すように、被切断材11の切断を開始してから丸のこ刃が位置56aを通過し、位置56bに近づいた際に切断手段の落下速度を低下させるように作用する速度調節装置を設ければ良い。この速度調節装置は、実施例1〜4で示した例を同様に用いることができる。
【0039】
また以上の実施例においては、フレーム側に下限ストッパを形成し、ベース側に速度調節装置を設ける例で説明したが、これらの関係を逆にしても良く、ベース側に下限ストッパを設け、速度調節装置をフレーム側に設けるようにしても良い。また、切断手段の落下速度を低下させることが可能であれば速度調節装置を設ける位置は任意である。
【0040】
さらに、速度調節装置の例として、スプリング、減速手段、シーソー式の速度調節装置の例を説明したが、これだけに限られず他の方法による速度調節装置や緩衝装置でも良い。例えば、ヒンジシャフト3付近に複数の楕円歯車機構やカム機構を設け、このうちの一つにバネ等の力を作用させることにより、被切断材の切断終了間際だけの速度を低下させるように構成しても良い。
【符号の説明】
【0041】
1 ベース 2 フレーム 2a 下限ストッパ
3 ヒンジシャフト 4 駆動のこ車 5 従動のこ車
6 帯のこ 7、8 セリヘッド 9 固定バイス
10 移動バイス 11 被切断材 12 スプリング
12a、12b スプリングの一端 13 カム 14 ハンドル
15 補助スプリング 16a、16b (帯のこの)位置
20 横形帯のこ盤
25 流体ダンパ 25a (流体ダンパの)作用面
35 減速手段 36 嵌合軸 36a (嵌合軸の)抵抗部
37 受け部 37a (受け部の)テーパ部
37b (受け部の)抵抗部 45 (シーソー式の)速度調節装置
45a (速度調節装置の)端部 45b (速度調節装置の)中心軸
45c (速度調節装置の)錘 45d (速度調節装置の)基台
46 円筒形の弾性部材 56a、56b (丸のこ刃の)位置



【特許請求の範囲】
【請求項1】
被切断材を保持するベースと、
モータによって駆動されるのこ刃を保持し前記ベースに揺動可能に支持される切断機と、を有する切断装置であって、
前記切断機は、前記ベースに対して前記のこ刃が近接又は離間するように移動可能であり、
前記のこ刃が、前記ベースに近接する移動途中で、前記のこ刃の前記ベースへの近接する速度を調節するための速度調節手段を設けたことを特徴とする切断装置。
【請求項2】
前記切断装置は、前記のこ刃の下限位置を決定するストッパを有し、
前記速度調節手段は、前記ストッパが当接する当接部に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記速度調節手段は、前記のこ刃の移動範囲のうち一部の移動範囲にあるときだけ前記ストッパに作用することを特徴とする請求項2に記載の切断装置。
【請求項4】
前記切断機は、ヒンジシャフトにより揺動可能なように前記ベースに軸支され、
前記ヒンジシャフトの近傍に前記切断機の下降に対する復元力を作用させるばね手段を有し、
前記速度調節手段は、前記ばね手段とは別の位置に設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の切断装置。
【請求項5】
前記速度調節手段は、弾性体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の切断装置。
【請求項6】
前記速度調節手段は、オイル式又は高圧ガス式の流体ダンパであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の切断装置。
【請求項7】
ベースと、
前記ベースに揺動可能に保持される切断機と、を有する切断装置であって、
前記切断機は、上限位置と下限位置の間で揺動可能であり、
前記切断機が上限位置と下限位置の間に位置する際に、前記切断機の揺動速度を低下させる減速手段を設けたことを特徴とする切断装置。
【請求項8】
前記減速手段は、前記切断機の下限位置を決定するストッパに作用する速度調節手段であることを特徴とする請求項7に記載の切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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