説明

切断装置

【課題】口金の押出通路を通して全体として平板状に押出成形された粘性体を所定長さで切断する切断装置において、粘性体の変形を抑制する。
【解決手段】口金Aから押出された平板状の粘性体90を、その底面を下方から支持して載置し、基台61上で粘性体の押出方向に摺動自在に支持されたスライダ10と、該スライダ上に設けられ、平板状の粘性体の底面を下方から支持しつつ、押出方向へ粘性体をスライダに対して相対移動させる移動機構21と、スライダ上に設けられ、粘性体が切断のための基準位置に到達したとき、スライダ上における粘性体の相対移動を停止させる停止機構31と、スライダ上に設けられ、停止機構により粘性体の相対移動が停止されている状態で、基準位置から所定長さの位置で粘性体を切断するカッタ41と、該カッタにより粘性体が切断されたタイミングで、スライダを初期位置に移動させるリセット機構51とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口金の押出通路を通して全体として平板状に押出成形された粘性体を所定長さで切断する切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
押出される粘性体の先端や側端に当板を当てて、この当板と一体のスライダを粘性体の押出力によって移動させ、その移動中にスライダ上で粘性体を所定長さで切断する切断装置が開発されている。かかる装置は下記特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−170235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の切断装置は、粘性体の端部を介してスライダを移動させることになるため、粘性体自体の強度が充分でないと、粘性体が変形してしまう問題がある。
本発明は、このような問題に鑑み、粘性体の押出力をスライダに伝達する伝達面積を拡大することにより、粘性体の変形を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1発明は、口金の押出通路を通して全体として平板状に押出成形された粘性体を所定長さで切断する切断装置であって、
口金から押出された平板状の粘性体を、その底面を下方から支持して載置し、基台上で粘性体の押出方向に摺動自在に支持されたスライダと、
該スライダ上に設けられ、平板状の粘性体の底面を下方から支持しつつ、前記押出方向へ前記粘性体を前記スライダに対して相対移動させる移動機構と、
前記スライダ上に設けられ、粘性体が切断のための基準位置に到達したとき、スライダ上における粘性体の相対移動を停止させる停止機構と、
前記スライダ上に設けられ、前記停止機構により粘性体の相対移動が停止されている状態で、前記基準位置から所定長さの位置で粘性体を切断するカッタと、
該カッタにより粘性体が切断されたタイミングで、前記スライダを初期位置に移動させるリセット機構と、
を備えることを特徴とする切断装置である。
第1発明によれば、スライダ上で粘性体が相対移動を停止され、粘性体が所定長さで切断されるとき、スライダが粘性体と共に基台上を移動するが、このとき粘性体が押出される力は、粘性体の底面の広い面積を介してスライダに摩擦接触して伝達されるため、従来技術に比べて粘性体の変形は、殆ど問題とならない程度に抑制することができる。
【0006】
本発明の第2発明は、上記第1発明の切断装置において、前記移動機構は、前記押出方向に直交して前記粘性体より幅広で配置され、前記スライダに対して回転自在に支持された複数本のローラであり、
前記停止機構は、前記ローラの反粘性体側に配置され、前記ローラ外周に当接することによりローラの回転を阻止するブレーキ機構であることを特徴とする切断装置である。
第2発明によれば、移動機構及びブレーキ機構を、ローラ及びそのローラ外周に当接するものによって構成でき、簡単な構成によって実現できる。
【0007】
本発明の第3発明は、上記第1発明の切断装置において、前記移動機構は、前記粘性体より幅広で、且つ少なくとも前記所定長さの平面を持って配置され、前記押出方向に駆動機構により移動されるベルトであり、
前記停止機構は、前記駆動機構を停止させることによりベルトを停止させるものであることを特徴とする切断装置である。
第3発明によれば、粘性体とスライダとの当接面がベルトの平坦面によって形成されるため、当接面積を大きく確保でき、従って摩擦抵抗を大きくでき、粘性体の変形を更に抑制できる。
【0008】
本発明の第4発明は、上記第1乃至第3発明のいずれかの切断装置において、前記押出方向に関して前記スライダの上流側及び下流側の少なくとも一方に、前記口金から押出された粘性体の搬送装置との隙間にブリッジ部が設けられ、
該ブリッジ部は、無端ベルトを含み、該無端ベルトは、その環内に配置された複数本のローラによって張設されて、その一部が前記隙間をつなぐように配置され、
該ローラのうち前記スライダの端部に隣接配置された2本のローラは、リンクによって互いに結合され、
該リンクは、前記スライダに連結され、前記スライダの移動に応じてリンクが移動されて、前記隙間をつなぐ無端ベルトの前記押出方向の大きさが隙間の大きさに応じて調整されると共に、無端ベルトが弛まないように調整されることを特徴とする切断装置である。
第4発明によれば、スライダに隣接してブリッジ部が設けられ、搬送装置との隙間をつなぐブリッジ部の無端ベルトの大きさがスライダの移動に応じて調整されるため、スライダの移動位置に関わらず隙間のない状態を維持することができ、その上を通過する粘性体が隙間から落ち込むことを防止できる。
【0009】
本発明の第5発明は、上記第4発明の切断装置において、前記ローラは少なくとも5本であり、該ローラのうちの1本は、他の4本のローラ及び前記無端ベルトの縁部によって形成される全体として平行四辺形の内側に、更なる並行線を形成するように配置され、
この1本のローラと、他の4本のローラのうち前記スライダの端部に隣接配置されたローラとを前記リンクによって結合していることを特徴とする切断装置である。
第5発明によれば、ローラと無端ベルトによって形成される平行四辺形の大きさは不変のままで、リンクを移動させて隙間の大きさを調整できるため、ローラや無端ベルトの近くに存在する人や物に影響を与えることなく装置を動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る切断装置の第1の実施形態の正面図である。
【図2】上記第1の実施形態の平面図である。
【図3】上記第1の実施形態の側面図である。
【図4】上記第1の実施形態における停止機構の拡大説明図である。
【図5】本発明に係る切断装置の第2の実施形態の正面図である。
【図6】上記第2の実施形態の平面図である。
【図7】図5におけるVII−VII線断面図である。
【図8】図5におけるVIII−VIII線断面図である。
【図9】本発明に係る切断装置の第3の実施形態の正面図である。
【図10】上記第3の実施形態の平面図である。
【図11】図9におけるXI−XI線断面図である。
【図12】図9におけるXII−XII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態として、平板状の粘性体から成る住宅の外壁材の成形に本発明を適用した場合について図面に基づいて説明する。この実施形態において、外壁材の大きさは、例えば幅が350mm、長さが600〜900mm、厚さが30mmであり、粘性体としては一般的に屋根瓦を生産するのに用いられる粘土を使用している。
<第1の実施形態>
第1の実施形態は、スライダの移動機構として多数のローラを用い、停止機構として当該ローラに当接するブレーキ機構を用いたものである。
図1、2において、右端のAで示す位置に設けられた口金から、例えば住宅の外壁材として使用される平板状の粘性体90が押出され、粘性体90は基台61上に設けられた多数のローラ71上を移動するようにされている。粘性体90の押出方向で多数のローラ71の先にはスライダ10が設けられており、粘性体90は、このスライダ10の多数のローラ21上を移動する。粘性体90は、後述のようにスライダ10上を移動する間に所定長さで切断され、切断された粘性体90は更に先にある多数のローラ72上を移動するようになっている。ローラ72上に到達した粘性体90は人手若しくは機械により焼成工程へ搬送される。
【0012】
スライダ10は、フレーム11、12を井形状に組合わせて成る。スライダ10は、基台61上で粘性体90の両側に並行して配置されたレール62、62上を粘性体90の押出方向に摺動自在とされている。レール62、62は、4つの締結具63によって基台61上に固定されている。スライダ10のフレーム11とレール62、62との間には4つのベアリング13が設けられ、摺動が滑らかに行われるようになっている。ローラ71とローラ72は、スライダ10の摺動範囲を確保するように離間配置されている。
【0013】
スライダ10を構成する2本のフレーム11、11間には、ローラ71、72と同様のローラ21が多数配置されている(図1〜3参照)。ローラ21の下部にはブレーキ機構を成すブレーキ板33が粘性体90の押出方向に沿って3箇所に分かれて配置されている。ここでブレーキ板33は、ローラ21の外周面に当接したときの摩擦力が大きくなるようにゴムを含んだ素材によって形成されており、ブレーキ板33の更に下方にはブレーキ板33の形状を保持するためのサポート32が配置され、サポート32の更に下方には、それぞれブレーキシリンダ31が配置されている。ブレーキ板33とサポート32との間には、多数のローラ21と並行して、しかもローラ21同士間に位置してパイプ34が設けられている。パイプ34はサポート32に溶接によって固定されている。このようにパイプ34を含む構成を採用したことにより、ブレーキシリンダ31を作動してサポート32をローラ21の方向に押し付けたとき、パイプ34がブレーキ板33を伴ってローラ21同士間に食い込んで、ブレーキ板33とローラ21外周面との接触面積が大きくなり、ローラ21に対するブレーキ力を大きくすることができる。なお、ブレーキシリンダ31は、圧縮空気によって作動されるように構成されている。
【0014】
フレーム11の上方であり、フレーム12の側方には、フレーム12に対応して3本のレール14が設けられている。レール14は、横開きのコ字フレームから成り、コ字フレームの横開き部分にはカッタホルダ14a(図3参照)が摺動自在に嵌め込まれている。カッタホルダ14aにはカッタ41が保持されている。3本のレール14の上方には、これらに交差して駆動フレーム43が設けられ、この駆動フレーム43は、各レール14に配置された各カッタホルダ14aの上部に固定されている。このため、駆動フレーム43はカッタホルダ14aを介してレール14上を摺動自在とされている。駆動フレーム43の中央側部には、カッタシリンダ42のピストンロッドが結合されており、カッタシリンダ42はブラケット44を介してフレーム11上に固定されている。この結果、カッタシリンダ42に圧縮空気を供給することにより駆動フレーム43を介してカッタ41をレール14に沿って移動させることができる。カッタ41の移動範囲はローラ21の両端支持部間内であり、カッタ41がローラ21の支持部と干渉することはない。カッタ41は、ローラ21上の移動する粘性体90の位置より下方まで延びているので、カッタ41の移動により粘性体90を切断することができる。図1に示されるようにカッタ41は途中で屈曲されており、丁度粘性体90の切断部内に屈曲部が位置している。その結果、カッタ41による粘性体90の切断部は、段部を持った形状に形成される。従って、粘性体90を焼成して外壁材として使用し、隣接する切断部同士を接合するとき、隣接する段部同士が嵌り合い、隣接する外壁材同士を隙間なく接合することができる。
以上のようにレール14は3本あり、それぞれにカッタホルダ14aが保持されているが、押出方向で上流側の2本のレール14に保持されるカッタホルダ14aには、選択的にカッタ41が保持され、2つのカッタホルダ14aに同時にカッタ41が保持されることはない。即ち、成形する粘性体90の長さに応じて2つのカッタホルダ14aのどちらか一方にカッタ41を保持させる。
【0015】
粘性体90の押出方向でフレーム11の下流端には、受板59が取り付けられており、その更に下流側でレール62の締結具63付近の基台61には、シリンダ51が固定されている。シリンダ51は、圧縮空気が供給されることによってピストンロッド52が突出すると、ピストンロッド52の先端が受板59に当接してスライダ10を反押出方向に押し戻すことができる。また、受板59付近でフレーム11上には光電センサ100が固定されており、ローラ21上を移動する粘性体90の有無を検知するようになっている。光電センサ100が粘性体90を検知する位置が、粘性体90を切断するための基準位置とされている。
第1の実施形態において、多数のローラ21が本発明における移動機構に相当し、ブレーキシリンダ31、サポート32、ブレーキ板33及びパイプ34が本発明における停止機構に相当し、シリンダ51、ピストンロッド52及び受板59が本発明におけるリセット機構に相当し、多数のローラ71、72が本発明における搬送装置に相当する。
【0016】
以下、作用を説明する。
口金Aから押出された粘性体90が多数のローラ71上を移動して、更にスライダ10のローラ21上を進み、粘性体90の先端が光電センサ100によって検知されると、ブレーキシリンダ31が作動され、ブレーキ機構が作動される。即ち、サポート32を介してブレーキ板33がローラ21の外周面に、その下側から当接され、ローラ21の回転が阻止される。そのため、ローラ21の外周面の上側と粘性体90底面との摩擦力が大きくなり、ローラ21を介してスライダ10は粘性体90と共にレール62、62上を摺動することになる。このように光電センサ100が粘性体90を検知して短時間後に、カッタシリンダ42が作動され、カッタ41が粘性体90を切断する。カッタ41は、粘性体90の押出方向先端と上流側の2つのうちいずれかに配置されているため、粘性体90の先端が切り揃えられると同時に所定長さで粘性体90が切断されることになる。また、カッタ41は、粘性体90側部の一方側から他方側への移動により粘性体90の一回の切断を完了し、次の切断のタイミングまで他方側に留まり、次の切断のタイミングで他方側から一方側へ移動することにより2回目の切断を行うように制御される。
粘性体90の切断が完了するのに充分な時間経過を受けてブレーキシリンダ31の作動が解除され、ブレーキ機構の作動が解除される。このため、ローラ21が自由に回転できるようになり、粘性体90はローラ21上を再び移動可能となる。その結果、粘性体90はローラ72上を移動して運ばれる。
その後、切断された粘性体90がローラ21を離れ、ローラ72上に載り移ると、シリンダ51が作動され、ピストンロッド52が受板59を押してスライダ10を初期の位置に戻すことになる。
【0017】
以上の説明から明らかなように、平板状の粘性体90は、比較的広い面積を有する底面と多数のローラ21との摩擦力によってスライダ10を摺動させるため粘性体90の一部に応力が集中することはなく、粘性体90の変形を抑制することができる。また、従来のように粘性体90の側部に押圧力を加えることはないため、粘性体90の側部にデリケートな形状を備える場合でも、デリケートな形状には全く影響を与えずに粘性体90の切断を行うことができる。
更に第1の実施形態の切断装置では、移動機構及びブレーキ機構を、ローラ21及びそのローラ21外周面に当接するブレーキ板33によって構成でき、簡単な構成によって実現できる。
【0018】
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、ベルトによって粘性体90を搬送することを特徴とし、スライダ10の移動機構にベルトを採用している。
図5、6において、右端に配置された口金Aから押出された平板状の粘性体90は、無端ベルト73によって運ばれ、その下流側の無端ベルト81b、22b、22a,81aの上に載って更に運ばれる。無端ベルト81aの下流側には第1の実施形態と同様の多数のローラ72が配置されている。これら無端ベルト73、81b、22b、22a,81a及びローラ72は第1の実施形態と同様に基台61上に保持されている。
【0019】
無端ベルト73は、水平方向に複数個並べられたローラ74によって張設され、基台61の端部で口金の押出口に隣接して配置されている。各ローラ74は、フレームによって一体化されており、押出方向で最下流側のローラ74aは、基台61に対して回動自在とされている。そのため、図5において実線と二点鎖線で示す2位置間で、ベルト73がローラ74aを中心として回動可能となっている。これは、口金Aに対して調整作業が必要となったときに、ベルト73を2点鎖線で示すように回動させて口金Aの前に作業スペースを確保可能としている。
【0020】
ベルト81bは、5本のローラ82b,83b,84b,85b、86bによって張設され、全体としてベルト縁部が平行四辺形を成すように構成されている。5本のローラ82b,83b,84b,85b、86bのうちスライダ10に隣接する2本のローラ82b,83bは、リンク88bによって連結されており、リンク88bは、後述のスライダ10のフレーム15の端部に連結され、スライダ10の移動に連動して移動するようになっている。リンク88bの下端のローラ83bは、上記平行四辺形の内側に位置して、平行四辺形の2本の平行線に、更に1本の平行線を形成するように配置されている。このため、リンク88bは傾斜して配置されている。
この結果、スライダ10の移動に伴ってリンク88bが移動すると、スライダ10のベルト22bとベルト81bとの隙間が変わらないようにベルト81bの端部位置を決めるローラ82Bが移動することになる。ローラ82bが隙間を調整するように水平方向に移動すると、ベルト81bの長さも調整する必要が生じるが、リンク88b下端のローラ83bがローラ82bの移動と同時に水平方向へ移動することによってベルト81bの長さが調整されることになる。このようにしてリンク88b及びローラ82b、83bが移動した状態が図5には実線と2点鎖線で示されている。
ローラ86bには、駆動ベルト89cが掛け渡されており、同様に駆動ベルト89cは、ローラ74aの端部とモータ89bによって駆動されるパウダクラッチ87bにも掛け渡されている。これにより、モータ89bを駆動すると、パウダクラッチ87bを介して駆動ベルト89cが回転され、ローラ86bが回転される。その結果、ベルト81bが回転駆動される。パウダクラッチ87bの役割は、パウダクラッチ87bの入出力軸間にすべりがあることによって、電源電圧の変動やベルト81bへの負荷変動に関わらず、ベルト81bの移動速度が変動しないようにしている。
【0021】
スライダ10は、ベルトを使うことを除いて基本構造は第1の実施形態と同一である。第1の実施形態の場合は、フレーム11がベアリング13を介してレール62、62に支持されていたが、第2の実施形態の場合は、フレーム11の下方にベルト22a,22bを配置するためのスペースが確保され、フレーム11の下方に配置されたフレーム15がベアリング13を介してレール62、62に支持されている。フレーム11とフレーム15との間で、ベルト81bと水平方向で同一高さには複数のローラ23a,23bに張設された無端ベルト22a,22bが水平方向に並べて配置されており、それぞれのローラ群23a,23bの押出方向の最下流側に位置する各ローラには、それぞれ駆動ベルト26a,26bが掛け渡され、モータ24a,24bとパウダクラッチ25a,25bによって駆動されるようになっている。ベルト22a,22bは、一つのベルトに纏められても良いが、第1の実施形態で説明したように粘性体90の切断位置を2箇所から選択できるようにするため、2つに分離して構成されている。
【0022】
フレーム15は、上述のリンク88bと連結されており、フレーム15の動作に応じてリンク88bも動くようにされている。
フレーム15には、更に滑車54、55が取り付けられており、各滑車54、55に掛け渡された駆動ベルト56を介してモータ58とパウダクラッチ53とから成る駆動ユニットによって各滑車54、55は回転駆動されるようになっている。フレーム15の下面で駆動ベルト56と対向する部位には係合ピン57a,57bが設けられ、その係合ピン57a,57bは駆動ベルト56と係合して、駆動ベルト56の動きをフレーム15に伝達するようにしている。モータ58とパウダクラッチ53とから成る駆動ユニットは、スライダ10を粘性体90の押出方向及び反押出方向へ移動させる際に作動される。
【0023】
フレーム11の上には第1の実施形態の場合と同様に粘性体90を切断するためのカッタが設けられているが、この実施形態のカッタは切断弓45に設けられたピアノ線45aによって構成されている。切断弓45は、各コ字フレーム14の横開き部分に図示しないホルダを介して摺動自在に固定され、ピアノ線45aは、粘性体90の側部に臨む位置に配置され、スライダ10のベルト22a,22b上にある粘性体90の押出方向側先端と、その先端から所定長さ位置、即ちベルト22a,22bとの間、或いはベルト22bの上流側端で切断されるようになっている。
スライダ10の押出方向下流側に配置されたベルト81aは、スライダ10の上流側に配置されたベルト81bとスライダ10を挟んで概ね対称形を成すように構成されており、スライダ10の移動に合わせてベルト81aの上流側端が移動して両者間の隙間を一定に保つように構成されている。
なお、第2の実施形態を示す図5〜図8において、第1の実施形態と同一の構成については、第1の実施形態を示す図1〜図4における符号と同一の符号を付して、再度の説明は省略する。また、図6においては、図面簡略化のため、図5に図示されたフレーム12の図示を省略している。
第2の実施形態において、ベルト22a,22b,ローラ23a,23b、モータ24a,24b,パウダクラッチ25a,25b及び駆動ベルト26a,26bが本発明における移動機構に相当し、モータ24a,24b,パウダクラッチ25a,25b及び駆動ベルト26a,26bが本発明における停止機構であり、且つ駆動機構に相当し、モータ58、パウダクラッチ53、滑車54、55、駆動ベルト56及び係合ピン57a,57bが本発明におけるリセット機構に相当し、ベルト73及びローラ74、74a、並びに多数のローラ72が本発明における搬送装置に相当し、ベルト81a、ローラ82a,83a,84a,85a、86a,リンク88a及びモータ87a、並びにベルト81b、ローラ82b,83b,84b,85b,86b,リンク88b、モータ89b、パウダクラッチ87b及び駆動ベルト89cが本発明におけるブリッジ部に相当する。
【0024】
次に第2の実施形態の作用を説明する。
口金Aから平板状の粘性体90が押出されると、粘性体90はベルト73、81b上を移動する。このとき、ベルト73は、粘性体90の押出される力を受けて各ローラ74が回転して粘性体90をベルト73上に載せて移動する。また、ベルト81bも基本的には粘性体90の押出力を受けて動き、粘性体90を運ぶが、粘性体90の押出力だけではベルト21aの駆動力が不足するため、モータ89bとパウダクラッチ87bから成る駆動ユニットによってベルト21aの駆動力をアシストしている。粘性体90がスライダ10のベルト22a,22b上に進むと、ベルト22a,22bもベルト81bと同様に駆動ユニットのアシストを受けながら動き、粘性体90を移動させる。粘性体90がスライダ10の先端に達して、光電センサ100が粘性体90を検知すると、スライダ10のモータ24a,24bが停止制御され、ベルト22a,22bによる粘性体90の移動が停止される。この後、ある短時間後にカッタシリンダ42が圧縮空気の供給を受けて作動し、切断弓45のピアノ線45aが粘性体90を切断する。この場合も、第1の実施形態の場合と同様に、ピアノ線45aは、粘性体90側部の一方側から他方側への移動により粘性体90の一回の切断を完了し、次の切断のタイミングで他方側から一方側へ移動することにより2回目の切断を行うように制御される。粘性体90の切断が行われている間、粘性体90は、自身の押出力によってスライダ10をレール62、62上で摺動させる。このとき、モータ58とパウダクラッチ53とから成る駆動ユニットが作動し、スライダ10の摺動をアシストする。
【0025】
粘性体90がピアノ線45aによって切断されると、モータ58とパウダクラッチ53とから成る駆動ユニットが停止制御されることによりスライダ10が停止され、同時にモータ24a,24bが作動を再開されて、ベルト22a,22bが粘性体90を移動させる。
このようにして切断された粘性体90がベルト81aに達すると、ベルト81aが粘性体90を運搬する。ベルト81aは、これより押出方向の上流側に位置する各ベルト22a,22bよりも高速で動作するようにモータ87aが調整されており、ベルト81a上に載った粘性体90はスライダ10から速やかに送り出される。
【0026】
光電センサ100が粘性体90がないことを検知すると、モータ58はスライダ10を反押出方向へ移動するように作動され、スライダ10を初期位置にリセットする。このとき、粘性体90がスライダ10のベルト22a,22b上にあったとしても、ベルト22a,22bは粘性体90の押出速度にスライダ10のリセットに伴う速度を加えた速度で動作し、粘性体90を変形させるような悪影響は与えない。ベルト22a,22bの高速作動は、モータ24a,24bとパウダクラッチ25a,25bとのアシストを受けて行われる。
以上のスライダ10の押出方向及び反押出方向への動きに追従してベルト81a,81bは自身のスライダ10側端の位置を移動させ、スライダ10との間の隙間がスライダ10の移動に関わらず変化しないようにしている。
【0027】
以上の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、平板状の粘性体90は、比較的広い面積を有する底面と無端ベルト22a,22bとの摩擦力によってスライダ10を摺動させるために粘性体90の一部に応力が集中することはなく、粘性体90の変形を抑制することができる。また、粘性体90とスライダ10との当接面がベルト22a,22bの平坦面によって形成されるため、当接面積を大きく確保でき、従って摩擦抵抗を大きくでき、粘性体の変形を更に抑制できる。
【0028】
<第3の実施形態>
第3の実施形態は、第2の実施形態におけるカッタを切断弓45とピアノ線45aを用いたものに代えて、第1の実施形態と同様のカッタとすると共に、スライダ10を移動させるための駆動ベルト56及びそのための駆動ユニットの配置を、カッタシリンダ42の取付側にした点を特徴とする。
第3の実施形態のカッタの構成は、第1の実施形態の場合と同一であり、再度の説明は省略する。また、駆動ベルト56及びそのための駆動ユニットの配置は、スライダ10の重心に近い位置にスライダ10の駆動源を配置したものである。即ち、スライダ10には、片側にカッタシリンダ42が取り付けられており、スライダ10としての重心はカッタシリンダ42取付側に偏っている。そのため、スライダ10の駆動源もカッタシリンダ42取付側に配置して効率的に駆動できるようにしている。この他の構成、作用については、上述の第2の実施形態と同一であるため、再度の説明は省略する。
【0029】
本発明は、上記実施形態で説明した外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、
1.粘性体としては磁器製品を造るための粘土でも良い。
2.第1の実施形態におけるカッタ41は、第2の実施形態における切断弓45によって置き換えることができる。
3.ブリッジ部は、粘性体90の押出方向に関して、スライダ10の上流側か下流側のどちらか一方のみに設けるようにしても良い。例えば、スライダ10の下流側はブリッジ部をなくしても良い。なぜなら、スライダ10が上流側に移動するとき、粘性体90がスライダ10から下流側に高速で移送されるようにすれば、スライダ10の下流側に隙間ができるタイミングが粘性体90の移送後となって、粘性体90が隙間に落ち込むことはなくなる。
4.ブリッジ部を構成するローラは4本とし、スライダ10に隣接する上下2本のローラをリンクにより連結した構成とすることもできる。但し、この場合は、リンクが移動してスライダ10との間の隙間調整が行われる際に、4本のローラに張設された無端ベルトの縁部によって形成される4角形の形状は変形することになる。
【符号の説明】
【0030】
10 スライダ
21 ローラ(移動機構)
22a,22b ベルト(移動機構)
24a,24b モータ(移動機構、停止機構)
25a,25b パウダクラッチ(移動機構、停止機構)
31 ブレーキシリンダ(停止機構、ブレーキ機構)
32 サポート(停止機構、ブレーキ機構)
33 ブレーキ板(停止機構、ブレーキ機構)
41 カッタ
42 カッタシリンダ
45 切断弓(カッタ)
45a ピアノ線(カッタ)
51 シリンダ(リセット機構)
52 ピストンロッド(リセット機構)
53 パウダクラッチ(リセット機構)
54、55 滑車(リセット機構)
56 駆動ベルト(リセット機構)
57a,57b 係合ピン(リセット機構)
58 モータ(リセット機構)
59 受板(リセット機構)
61 基台
62 レール
81a,81b 無端ベルト(ブリッジ部)
82a,82b ローラ(ブリッジ部)
83a,83b ローラ(ブリッジ部)
84a,84b ローラ(ブリッジ部)
85a,85b ローラ(ブリッジ部)
86a,86b ローラ(ブリッジ部)
87a,89b モータ(ブリッジ部)
87b パウダクラッチ(ブリッジ部)
88a,88b リンク(ブリッジ部)
89c 駆動ベルト(ブリッジ部)
90 粘性体



【特許請求の範囲】
【請求項1】
口金の押出通路を通して全体として平板状に押出成形された粘性体を所定長さで切断する切断装置であって、
口金から押出された平板状の粘性体を、その底面を下方から支持して載置し、基台上で粘性体の押出方向に摺動自在に支持されたスライダと、
該スライダ上に設けられ、平板状の粘性体の底面を下方から支持しつつ、前記押出方向へ前記粘性体を前記スライダに対して相対移動させる移動機構と、
前記スライダ上に設けられ、粘性体が切断のための基準位置に到達したとき、スライダ上における粘性体の相対移動を停止させる停止機構と、
前記スライダ上に設けられ、前記停止機構により粘性体の相対移動が停止されている状態で、前記基準位置から所定長さの位置で粘性体を切断するカッタと、
該カッタにより粘性体が切断されたタイミングで、前記スライダを初期位置に移動させるリセット機構と、
を備えることを特徴とする切断装置。
【請求項2】
請求項1の切断装置において、
前記移動機構は、前記押出方向に直交して前記粘性体より幅広で配置され、前記スライダに対して回転自在に支持された複数本のローラであり、
前記停止機構は、前記ローラの反粘性体側に配置され、前記ローラ外周に当接することによりローラの回転を阻止するブレーキ機構であることを特徴とする切断装置。
【請求項3】
請求項1の切断装置において、
前記移動機構は、前記粘性体より幅広で、且つ少なくとも前記所定長さの平面を持って配置され、前記押出方向に駆動機構により移動されるベルトであり、
前記停止機構は、前記駆動機構を停止させることによりベルトを停止させるものであることを特徴とする切断装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかの切断装置において、
前記押出方向に関して前記スライダの上流側及び下流側の少なくとも一方に、前記口金から押出された粘性体の搬送装置との隙間にブリッジ部が設けられ、
該ブリッジ部は、無端ベルトを含み、該無端ベルトは、その環内に配置された複数本のローラによって張設されて、その一部が前記隙間をつなぐように配置され、
該ローラのうち前記スライダの端部に隣接配置された2本のローラは、リンクによって互いに結合され、
該リンクは、前記スライダに連結され、前記スライダの移動に応じてリンクが移動されて、前記隙間をつなぐ無端ベルトの前記押出方向の大きさが隙間の大きさに応じて調整されると共に、無端ベルトが弛まないように調整されることを特徴とする切断装置。
【請求項5】
請求項4の切断装置において、
前記ローラは少なくとも5本であり、該ローラのうちの1本は、他の4本のローラ及び前記無端ベルトの縁部によって形成される全体として平行四辺形の内側に、更なる並行線を形成するように配置され、
この1本のローラと、他の4本のローラのうち前記スライダの端部に隣接配置されたローラとを前記リンクによって結合していることを特徴とする切断装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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