説明

切断補助線形成方法

【課題】 フィルムの厚みに関係なく、所定の線上で切断可能な切断補助線をフィルム上に形成することのできる切断補助線形成方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 食品を包装する包装材又は該包装材の一構成となるフィルムを、超音波が付与されるホーンと受け材とで挟み込んだ状態で、ホーンに超音波を付与することでフィルムを溶かしてフィルム上に溝状の切断補助線を形成する切断補助線形成方法であって、受け材は、ホーンと共にフィルムを挟み込む先端部の少なくとも一方向の幅が先端に向かうにつれて幅狭に形成され、ホーンと受け材とに挟み込まれたフィルムに対して受け材の先端部の幅方向と直交する方向の張力を作用させつつホーンに超音波を付与し、フィルム上に受け材の先端部の幅方向と直交する方向に延びる切断補助線を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を包装する包装材又は該包装材の一構成となるフィルムに、該フィルムを切断する(切り裂く)ための切断補助線を形成する切断補助線形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、おにぎり、寿司等の米飯類や、サンドイッチ、菓子パン、惣菜パン等のパン類等、菓子類等の食品を包装する包装材として、包装形態に応じて種々タイプのものが提供されているが、その一つとして包装材全体又は包装材の一部を樹脂製のフィルムで構成したものがある。
【0003】
かかる包装材は、一般的に当該包装材を構成するフィルム上に線状又は帯状の切断補助手段が設けられており、該切断補助手段でフィルムを切り裂くことで開封できるようになっている。
【0004】
ここで、おにぎりを包装する包装材について説明すると、かかる包装材は、幅方向に分割可能に構成された外フィルムと、海苔や、薄焼き卵、畳鰯等のシート状食品を介して外フィルムに重ね合わされ、幅方向に分離可能に構成された内フィルムとを備えており、シート状食品を取り囲むように外フィルムの外周端部と内フィルムの外周端部とが溶着されている。前記外フィルムには、幅方向と直交する方向に延びる切断補助手段が設けられている。これに対し、内フィルムは、幅方向に並列に配置された一対のフィルムで構成されたり、外フィルムと同様に、一枚のフィルムに対して幅方向と直交する方向に延びる切断補助手段が設けられたりしている。
【0005】
上記構成の包装材は、内フィルム上におにぎりを載置した状態で該内フィルムを内側にして幅方向と直交する方向に二つ折りにし、対向する内フィルムの端部同士を溶着することで、おにぎりを包装できるようになっている。そして、該包装材は、おにぎりを包装した状態で、外フィルムを切断補助手段で切り裂いて幅方向に分割する(二分割にする)とともに、内フィルムを幅方向に分離させることで、おにぎりとシート状食品との間から内フィルムが引き抜かれるようになっている。これにより、上記構成の包装材は、内フィルムを介して分離していたおにぎりとシート状食品とが一体的になり、これらを一緒に食べることのできる状態になるようになっている。
【0006】
そして、菓子パン、惣菜パン等のパン類や菓子類等の食品を包装する包装形態としてピロー包装が知られている。かかるピロー包装は、包装材としてのフィルム上に食品を配置した上で該食品を包み込むようにフィルムを筒状にして両側端部同士を溶着し、さらに筒状になったフィルムの両端部を溶着することで、食品を包装するようになっている。そして、かかるピロー包装においても、包装材(フィルム)に切断補助手段を設けたものがあり、該切断補助手段で包装材を切り裂くことで、開封できるようになっている。
【0007】
ところで、これまでは何れの包装形態においても切断補助手段の主流としてカットテープが採用されていたが、カットテープは接着剤等を介してフィルムに接着されるため、食品を電子レンジ等で加熱するような場合に、接着剤が軟化してカットテープがフィルムから剥がれたり、接着剤が溶け出したりしてしまう虞があった。
【0008】
このような問題を解決するに当り、フィルム上に切断補助手段としてミシン目を設けることも提案されているが、ミシン目は、フィルムに対して切り目を断続的(破線状)に設けたものであるため、各切り目が内外を連通させてしまい衛生上好ましくないといった理由から、切断補助手段としてミシン目を採用する場合、ミシン目(各切り目)を塞ぐ閉塞用フィルムが包装材を構成するフィルムに対して接着剤やヒートシールによって貼着される。そのため、フィルムを切断する切断補助手段としてミシン目を採用した場合、閉塞用フィルムの存在で開封しづらくなり、また、カットテープの場合と同様に、食品を電子レンジ等で加熱するような場合に、接着剤が軟化してカットテープがフィルムから剥がれたり、接着剤が溶け出したりしてしまう虞があった。
【0009】
そこで、フィルムを切断(包装材を開封)する切断補助手段としてハーフカットを採用することが提案されている。かかるハーフカットは、超音波等で包装材になるフィルムを溶かして該フィルム上に細長い溝状に形成される。その結果、包装材(フィルム)は、ハーフカットと対応する部分が薄肉になっている。これにより、切断補助手段にハーフカットを採用した場合、内外が連通することがないため、水分等の進入がなく食品を衛生上好ましい状態で包装できる。また、フィルムに対してハーフカットの延びる方向と直交する方向に引っ張り力を作用させたときに、その力がハーフカットと対応する部分に集中的に作用する(応力集中が発生する)ため、該フィルムを薄肉で脆弱になった部分で包装材を容易に切断して開封することができるとされている(例えば、特許文献1、2及び3参照)。
【特許文献1】特開2008−100741号公報
【特許文献2】特開2008−37495号公報
【特許文献3】特開平9−84536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、食品を包装する包装材(フィルム)の厚みを薄くすることが要求されることがあるが、厚みの薄いフィルムにハーフカットを設けた場合、包装材を開封する際に該包装材(フィルム)をハーフカットに添って切断できない場合がある。すなわち、フィルムの厚みが薄くなると、フィルム上に形成されるハーフカット(溝)の深さが浅くなるため、フィルムを切断する(包装材を開封する)際に、フィルムがハーフカットに誘導されずに該ハーフカットに添って切断できない場合があった。
【0011】
そのため、従来のハーフカットでは、各種包装形態において所定の開封状態にならずに、食品の取り出しが困難になるといった問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、フィルムの厚みに関係なく、所定の線上で切断可能な切断補助線をフィルム上に形成することのできる切断補助線形成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る切断補助線形成方法は、食品を包装する包装材又は該包装材の一構成となるフィルムを、所定周波数の超音波が付与されるホーンと受け材とで挟み込んだ状態で、前記ホーンに超音波を付与することでフィルムを溶かして該フィルム上に溝状の切断補助線を形成する切断補助線形成方法であって、前記受け材は、ホーンと共にフィルムを挟み込む先端部の少なくとも一方向の幅が先端に向かうにつれて幅狭に形成され、ホーンと受け材とに挟み込まれたフィルムに対して受け材の先端部の幅方向と直交する方向の張力を作用させつつホーンに超音波を付与し、フィルム上に受け材の先端部の幅方向と直交する方向に延びる切断補助線を形成することを特徴とする。
【0014】
上記切断補助線形成方法によれば、前記受け材は、ホーンと共にフィルムを挟み込む先端部の少なくとも一方向の幅が先端に向かうにつれて幅狭に形成され、ホーンと受け材とに挟み込まれたフィルムに対して受け材の先端部の幅方向と直交する方向の張力を作用させつつホーンに超音波を付与し、フィルム上に受け材の先端部の幅方向と直交する方向に延びる切断補助線を形成するようにしているので、ホーンと受け材とでフィルムを挟んだ状態にしてホーンに超音波を付与すると、ホーンの振動エネルギーによってフィルムが溶け、その溶けた部分が受け材の先端部の両側(幅方向の両側)に押し退けられることになる。これにより、ホーンに先端部の存在する部分と対応する部分が薄肉になる一方で、その薄肉部分の両側が盛り上がった隆起部となる。
【0015】
そして、ホーンと受け材とでフィルムを挟んだ状態で(フィルムを溶かすときに)、該フィルムに対して受け材の先端部の幅方向と直交する方向に張力を作用させておくことで、フィルムは、張力を作用させる二つの作用点間(切断補助線を形成する予定位置)の両側が内側(作用点間側)に寄ろうとするため、受け材の両側(薄肉になった部分の両側)に押し退けられたフィルムの溶けた部分(隆起部)が互いに接近することになる。これにより、互いに接近した隆起部間に細長く且つ深さの深い溝状の切断補助線が形成されることになる。
【0016】
そして、フィルムを切断補助線と直交する方向に引っ張ると、厚みが周囲の厚みと極端に異なる切断補助線と対応する部分に引っ張り力(張力)が集中して作用し、フィルムは、薄肉になって脆弱になった部分(切断補助線上)で切断されることになる。そして、このようにフィルムが切断されるに際し、切断補助線の延びる方向に対して交差する方向にフィルムが裂けようとしても、切断補助線の両側に強度の増した隆起部が形成されているため、フィルムは切断補助線に沿って裂けることになる。従って、上記フィルムが包装材全体或いは包装材の一構成となったときに、該包装材を切断補助線に沿って体裁良く切断することができる結果、包装材を良好に開封することができる。
【0017】
本発明の一態様として、前記受け材の先端部は、幅方向の両面が鈍角をなして前記幅が先端に向かうにつれて幅狭に形成されていることが好ましい。このようにすれば、切断補助線を形成する際にフィルムが不用意に切断されてしまうことを防止することができる。また、受け材の先端部を鈍角に形成すると、受け材とホーンとでフィルムを挟んで溶かす際に、受け材の先端部の両側に押し退けられる量が多くなり、隆起部の盛り上がりを大きくすることができる。これにより、溝状に形成される切断補助線の深さを深くすることができ、また、切断補助線の両側の強度をより高めることができる。従って、フィルムをより確実に切断補助線に沿って切断することができる。
【0018】
そして、本発明の他態様として、前記フィルムに長尺フィルムを採用して該長尺フィルムを長手方向に間欠搬送し、停止状態にある長尺フィルムを先端部の幅方向がフィルムの長手方向と一致するように配置された受け材とホーンとで挟み込み、該長尺フィルムに対して長手方向と直交する方向の張力を作用させつつホーンに超音波を付与し、長尺フィルムの長手方向と直交する方向に延びる切断補助線を形成してもよい。通常、長尺フィルムを長手方向に搬送する場合、その搬送でフィルムの上流側と下流側との間で張力が作用するため、切断補助線を長尺フィルムの長手方向(搬送方向)と直交する方向に延びるように形成すると、長尺フィルムの搬送中に該長尺フィルムが切断補助線で裂けてしまうことがある。
【0019】
従って、長尺フィルムを長手方向に搬送する場合、長尺フィルムの長手方向と直交する方向に延びるように切断補助線を形成することは厳禁とされていたが、上記方法によれば、長尺フィルムに対して長手方向(搬送方向)と直交する方向の張力を作用させるようにしているため、切断補助線を長尺フィルムの長手方向と直交する方向に延びるように形成しても、長尺フィルムが裂けてしまうことがない。これにより、長尺フィルムの供給パターンの選択性が増えるため、種々形態の包装材(包装材の製造)を対象にすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る切断補助線形成方法によれば、フィルムの厚みに関係なく、所定の線上で切断可能な切断補助線をフィルム上に形成することができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の第一実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、おにぎりを包装するための米飯加工食品用包装材(以下、単に包装材という)の製造過程において、該包装材の一構成となるフィルム(包装材用フィルム)に切断補助線を形成する場合を一例に説明することとする。
【0022】
ここで包装材の一構成となるフィルム(包装材用フィルム)に対する切断補助線形成方法(包装材の製造過程)の説明に先立ち、包装材について概略説明する。
【0023】
かかる包装材は、図1(a)及び図1(b)に示す如く、幅方向に分離可能に構成された内フィルム10と、シート状食品Sを介して内フィルム10に重ね合わされる外フィルム15とを備え、シート状食品Sを取り囲むように内フィルム10の外周端部と外フィルム15の外周端部とが互いに溶着されている。なお、各図において、ドットを付した領域が溶着される領域、或いは溶着された領域を示している。
【0024】
前記内フィルム10は、一枚のフィルムで構成されており、長方形状に形成されている。本実施形態に係る内フィルム10は、長手方向と直交する方向(短手方向)の略中央を通って長手方向に延びる切断補助線11が形成されている。かかる切断補助線11は、溝状に形成されている。これにより、内フィルム10は、切断補助線11の形成された部位が薄肉になっている。すなわち、内フィルム10は、切断補助線11と対応した部位が当初の厚み(内フィルム10になる包装材用フィルムの厚み)よりも薄肉になっている。
【0025】
そして、本実施形態に係る内フィルム10は、後述する切断補助線形成方法によって切断補助線11が形成されているため、切断補助線11の両側には該切断補助線11に沿って盛り上がった隆起部12,12が形成されている。該内フィルム10の隆起部12,12は、切断補助線11と対応する部位(薄肉になった部位)とは反対に、当初の厚み(内フィルム10になる包装材用フィルムの厚み)よりも厚肉になっている。これにより、内フィルム10は、切断補助線11の深さが確保されるとともに、該切断補助線11の両側の強度が他の部分よりも強くなっている。
【0026】
前記外フィルム15は、一枚のフィルムで構成されており、長方形状に形成されている。本実施形態に係る外フィルム15は、長手方向と直交する方向(短手方向)の略中央を通って長手方向に延びる切断補助線16が形成されている。すなわち、本実施形態に係る外フィルム15は、内フィルム10と同形態で且つ同サイズに形成されている。従って、外フィルム15に形成された切断補助線16についても、溝状に形成されている。これにより、外フィルム15は、切断補助線16の形成された部位が薄肉になっている。すなわち、外フィルム15は、切断補助線16と対応した部位が当初の厚み(外フィルム15になる包装材用フィルムの厚み)よりも薄肉になっている。
【0027】
そして、本実施形態に係る外フィルム15は、内フィルム10と同様に、後述する切断補助線形成方法によって切断補助線16が形成されているため、切断補助線16の両側には該切断補助線16に沿って盛り上がった隆起部17,17が形成されている。該外フィルム15の隆起部17,17は、切断補助線16と対応する部位(薄肉になった部位)とは反対に、当初の厚み(外フィルム15になる包装材用フィルムの厚み)よりも厚肉になっている。これにより、外フィルム15は、切断補助線16の深さが確保されるとともに、該切断補助線16の両側の強度が他の部分よりも強くなっている。
【0028】
そして、内フィルム10及び外フィルム15は、海苔等のシート状食品Sを介して重ね合わされた状態で、シート状食品Sを取り囲むように溶着されている。これにより、本実施形態に係る包装材1は、外周の略全周に亘って内フィルム10と外フィルム15とが互いに溶着された溶着部(図1においてドットを付した領域)が形成されている。また、上記包装材1は、切断補助線11,16の配置に対応するように、内フィルム10及び外フィルム15の長手方向の両端部に開封用のノッチ(開封起点となるノッチ)Nが形成されている。かかるノッチNは、内フィルム10及び外フィルム15を部分的に切り欠いた切欠き13,18が重なって形成されている。本実施形態において、ノッチN(内フィルム10及び外フィルム15のそれぞれの切欠き13,18)は、内フィルム10及び外フィルム15を重ね合わせて外周端部同士を溶着させた後に、両フィルム10,15の端部を一緒に打ち抜くことで形成されている。
【0029】
本実施形態に係る包装材1は、以上の構成からなり、続いて、上記構成の包装材1による包装方法と開封方法について説明する。
【0030】
まず、図2に示す如く、内フィルム10上におにぎりAを載置し、該おにぎりAを包み込むように包装材1全体を長手方向に二つ折りにする。すなわち、内フィルム10の長手方向の両端部同士が重なり合うように包装材1全体を長手方向に二つ折りにする。このように包装材1を二つ折りにすることで、内フィルム10の長手方向の両端部同士が重なり合うとともに、内フィルム10の短手方向の両端部のそれぞれが折り返されて長手方向の一端側と他端側とが重なり合った状態になる。
【0031】
そして、図3に示す如く、包装材1全体を二つ折りすることによって重なり合った(対向した)内フィルム10の端部同士を溶着(シール)する。このとき、おにぎりAを包装した状態で内外が連通しないように、内フィルム10の長手方向の両端部同士は、ノッチN(切欠き13,18)全体が含まれるように溶着される。なお、内フィルム10及び外フィルム15の各切欠き13,18は、該切欠き13,18を画定するフィルム10,15のエッジと切断補助線11,16とが連続するように形成されるが、内フィルム10の長手方向の両端部同士を溶着する領域に切断補助線11,16が含まれると開封性が悪くなるため、内フィルム10の長手方向の両端部同士の溶着は、可能な限り切断補助線11,16を含めないように行われる。
【0032】
そして、上述の如く、内フィルム10の端部同士を溶着すると、包装材1は、内フィルム10でおにぎりAとシート状食品Sとを分離した状態(隔離した状態)でおにぎりAを包装した状態になる。
【0033】
おにぎりAを包装した包装材1を開封するには、ノッチNの両側を持って包装材1を短手方向に引っ張る(ノッチNの両側を離間させるように引っ張る)と、その引っ張り力がノッチNに集中する。そうすると、ノッチN(切欠き13,18を画定するエッジと切断補助線11,16との境界(交点))が起点となり、内フィルム10及び外フィルム15のそれぞれが、切断補助線11,16に沿って切り裂かれる(切断される)ことになる。
【0034】
本実施形態に係る包装材1は、内フィルム10及び外フィルム15の切断補助線11,16の両側に強度の増した隆起部12,12,17,17が形成されているため(図1(a)参照)、上述の如く内フィルム10及び外フィルム15が切り裂かれる際に、その裂け目(切断線)が隆起部12,12,17,17を乗り越えて切断補助線11,16から外れることがなく両フィルム10,15が切断補助線11,16に沿って綺麗に切断されることになる。そして、内フィルム10及び外フィルム15のそれぞれが切断補助線11,16に沿って切断されることで、包装材1全体(内フィルム10及び外フィルム15)が短手方向で分離される(二分割される)ことになる。
【0035】
そして、上述のように包装材1を短手方向に引っ張ることで、内フィルム10及び外フィルム15のそれぞれが二分割されるのに併せ、包装材1の短手方向の一端側と他端側とが離間する結果、二分割された内フィルム10がおにぎりAとシート状食品Sとの間から引き抜かれる。これにより、おにぎりAとシート状食品Sとが一体になって食すことのできる状態となる。
【0036】
次に、内フィルム10になるフィルム、及び外フィルム15になるフィルムに対して切断補助線11,16を形成する設備を備えた包装材1の製造設備について図4を参照しつつ説明する。
【0037】
かかる製造設備2は、外フィルム15の連続体である長尺なフィルム(以下、この長尺フィルムを第一長尺フィルムという)F1を長手方向に搬送する搬送経路(以下、この搬送経路を第一搬送経路という)R1と、内フィルム10の連続体である長尺なフィルム(以下、この長尺フィルムを第二長尺フィルムという)F2を長手方向に搬送する搬送経路(以下、この搬送経路を第二搬送経路という)R2とを備えている。第一搬送経路R1上には、第一長尺フィルムF1に切断補助線16を形成する切断補助線形成部(以下、第一切断補助線形成部という)20a、第一長尺フィルムF1上にシート状食品Sを載置する食品載置部21a、第一長尺フィルムF1上に第二長尺フィルムF2を重ね合わせるフィルム重合部22a(22)、第一長尺フィルムF1に第二長尺フィルムF2を溶着するフィルム溶着部23a(23)、第二長尺フィルムF2が溶着された第一長尺フィルムF1を該第二長尺フィルムF2とともに所定サイズ(長さ)に切断し、枚葉状の包装材1にするフィルム切断部24a(24)が設けられている。
【0038】
そして、本実施形態に係る第一搬送経路R1は、第一長尺フィルムF1の搬送方向の上流側から、第一切断補助線形成部20a、食品載置部21a、フィルム重合部22a、フィルム溶着部23a、フィルム切断部24aの順でこれらが配設されている。
【0039】
これに対し、第二搬送経路R2上には、第二長尺フィルムF2に切断補助線11を形成する切断補助線形成部(以下、第二切断補助線形成部という)20b、第二長尺フィルムF2上に第一長尺フィルムF1を重ね合わせるフィルム重合部22b(22)、第二長尺フィルムF2に第一長尺フィルムF1を溶着するフィルム溶着部23b(23)、第一長尺フィルムF1が溶着された第二長尺フィルムF2を該第一長尺フィルムF1とともに所定サイズ(長さ)に切断し、枚葉状の包装材1にするフィルム切断部24b(24)が設けられている。
【0040】
そして、本実施形態に係る第二搬送経路R2は、第二長尺フィルムF2の搬送方向の上流側から、切断補助線形成部20b、フィルム重合部22b、フィルム溶着部23b、フィルム切断部24bの順でこれらが配設されている。
【0041】
すなわち、第一搬送経路R1及び第二搬送経路R2は、第一切断補助線形成部20aと第二切断補助線形成部20bとがそれぞれ独立した経路となり、それよりも下流側にあるフィルム重合部22(22a,22b)、フィルム溶着部23(23a,23b)、フィルム切断部24(24a,24b)が互いに重複した経路、すなわち共通した構成になるように形成されている。
【0042】
第一切断補助線形成部20a及び第二切断補助線形成部20bは、それぞれ超音波によって長尺フィルム(第一長尺フィルムF1,第二長尺フィルムF2)に対して溝状の切断補助線11,16を形成するようになっている。すなわち、第一切断補助線形成部20aは、第一長尺フィルムF1に対して外フィルム15用の切断補助線16を超音波で形成し、第二切断補助線形成部20bは、第二長尺フィルムF2に対して内フィルム10用の切断補助線11を超音波で形成するようになっている。
【0043】
具体的に説明すると、第一切断補助線形成部20aは、図5に示す如く、所定周波数の超音波が付与されるホーン200と、ホーン200に対向するように配置される受け材210とを備えている。第一切断補助線形成部20aは、第一長尺フィルムF1をホーン200と受け材210とで挟み込んだ状態で、ホーン200に超音波を付与することで第一長尺フィルムF1を溶かして該第一長尺フィルムF1上に溝状の切断補助線16を形成するようになっている。
【0044】
前記ホーン200は、超音波発振器(図示しない)が接続されるホーン本体201と、ホーン本体201に連設された第一フィルム接触部202とを備えている。前記第一フィルム接触部202は、円柱状に形成されており、一端がホーン本体201に接続され、他端面を第一長尺フィルムF1の一方の面に接触させるようになっている。
【0045】
これに対し、受け材210は、ホーン200と共にフィルムを挟み込む先端部(後述する第二フィルム接触部212)の少なくとも一方向の幅が先端に向かうにつれて幅狭に形成されている。より具体的に説明すると、前記受け材210は、定位置に配置される受け材本体211と、該受け材本体211からホーン200の第一フィルム接触部202(第一長尺フィルムF1)側に突出した第二フィルム接触部212とを備えている。前記受け材本体211は、角柱状に形成されており、外周面を構成する四つの面(断面角形を画定する四つの面)のうちの一面が第一長尺フィルムF1側に向くように配置されている。
【0046】
前記第二フィルム接触部212は、受け材本体211の第一長尺フィルムF1側に向いた前記一方の面上に連設されており、受け材本体211と同方向に延びるように形成されている。本実施形態に係る第二フィルム接触部212は、第一長尺フィルムF1の他方の面(第一フィルム接触部202を接触させる第一長尺フィルムF1の一方の面の裏面)に接触させる当該受け材210の先端部であり、長手方向(軸線方向)と直交する一方向の幅が先端(ホーン200側)に向かうにつれて幅狭になるように形成されている。
【0047】
すなわち、第二フィルム接触部212は、三角柱状に形成されており、長手方向(軸線方向)を受け材本体211の長手方向に一致させるように、外周面を構成する三つの面(断面三角形状を画定する三つの面)のうちの一面が受け材本体211の前記一面に接続されている。
【0048】
本実施形態に係る第二フィルム接触部(先端部)212は、幅方向の両面212a,212bが鈍角をなすよう形成されている。すなわち、本実施形態に係る第二フィルム接触部212は、受け材本体211に接続された一面以外の二つの面(幅方向の両面)212a,212bが受け材本体211側から先端に向かうにつれて互いに接近した傾斜面で構成されており、両傾斜面212a,212bの内角θが鈍角に設定されている。そして、幅方向の両面(両傾斜面)212a,212bの延出量は、略同一に設定されている。これにより、本実施形態に係る第二フィルム接触部212は、断面略二等辺三角形になっている。なお、本実施形態に係る第二フィルム接触部212は、幅方向の両面212a,212bの先端同士を接続した帯状の面が形成されているが、該帯状の面の幅方向の寸法が非常に小さいため、断面形状が実質的に三角形状をなしている。
【0049】
本実施形態に第一切断補助線形成部20aは、第一長尺フィルムF1に対し、切断補助線16を第一長尺フィルムF1の長手方向と直交する方向(短手方向)に延びるように形成するようになっている。そのため、前記受け材210は、長手方向が第一長尺フィルムF1の短手方向と一致するように配置されている。すなわち、受け材210は、先端部の稜線(幅方向の両面212a,212bが接続されて先端に形成される稜線)が、第一長尺フィルムF1の短手方向に延びるように配置されている。本実施形態に係る第一切断補助線形成部20aは、第一長尺フィルムF1に対し、切断補助線16を短手方向全長に亘って形成するようになっている。そのため、前記受け材210は、少なくとも第二フィルム接触部212の長手方向(先端部212の稜線)の長さが、第一長尺フィルムF1の短手方向の長さ(幅寸法)以上の長さに設定されている。
【0050】
そして、第一切断補助線形成部20aは、受け材210(第二フィルム接触部212)の長手方向の長さが第一長尺フィルムF1の短手方向の長さ以上に設定されるため、前記ホーン200は、受け材210(第二フィルム接触部212)の先端部に形成される稜線(先端)の延びる方向(第一長尺フィルムF1の短手方向)に往復動可能に設けられている。すなわち、前記ホーン200は、第二フィルム接触部212の先端(頂部)に添って移動するようになっている。
【0051】
本実施形態に係る第一切断補助線形成部20aは、図4及び図6に示す如く、ホーン200と受け材210とに挟み込まれた第一長尺フィルムF1に対して受け材210の先端部212の幅方向と直交する方向に張力Tを作用させるようになっている。すなわち、該第一切断補助線形成部20aは、受け材210及びホーン200の配置に対応して、第一長尺フィルムF1に対して短手方向に張力Tを作用させる張力発生装置230をさらに備えている。かかる張力発生装置230は、第一長尺フィルムF1の短手方向の両端部を把持する一対の把持手段231,232を備えている。
【0052】
各把持手段231,232は、第一長尺フィルムF1の端部を二箇所で把持できるように構成されている。すなわち、各把持手段231,232は、第一長尺フィルムF1の長手方向で所定間隔をあけて設けられた一対の把持部231a,231b,232a,232bを有しており、両把持部231a,231b,232a,232b間に前記ホーン200及び受け材210(第二フィルム接触部212)を配置できるようになっている。一対の把持部231a,231b,232a,232bは、切断補助線16が形成される予定位置の両側で第一長尺フィルムF1の端部を把持するようになっている。
【0053】
上記構成の第一切断補助線形成部20aは、ホーン200と受け材210とで第一長尺フィルムF1を挟み込んだ状態で、張力発生装置230によって第一長尺フィルムF1に対して受け材210の第二フィルム接触部(先端部)212の幅方向と直交する方向に張力Tを作用させつつホーン200に超音波を付与し、第一長尺フィルムF1上に受け材210の先端部の幅方向と直交する方向に延びる切断補助線16を形成するようになっている。
【0054】
すなわち、上記構成の第一切断補助線形成部20aは、ホーン200の第一フィルム接触部202(他端面)と受け材210の第二フィルム接触部(先端部)212とで第一長尺フィルムF1を挟み込むとともに、張力発生装置230で第一長尺フィルムF1に対して短手方向の張力Tを作用させ、この状態でホーン200に超音波を付与しつつ該ホーン200を第二フィルム接触部212の頂部(稜線)に沿って移動させることで、第一長尺フィルムF1上に短手方向に延びる切断補助線16を形成するようになっている。
【0055】
なお、本実施形態に係る第二切断補助線形成部20bは、第一切断補助線形成部20aと同一の構成とされている。従って、第二切断補助線形成部20bの説明については、上記第一切断補助線形成部20aについての上記説明、及び図4乃至図7を参照することとし、ここでは割愛することとする。
【0056】
第一搬送経路R1上の食品載置部21aは、図4に示す如く、第一切断補助線形成部20aで形成された切断補助線16上にシート状食品Sを配置するようになっている。第一搬送経路R1及び第二搬送経路R2のフィルム重合部22(22a,22b)、フィルム溶着部23(23a,23b)、フィルム切断部24(24a,24b)は、上述の如く、第一搬送経路R1と第二搬送経路R2との共通の構成であり、フィルム重合部22は、第一搬送経路R1上の食品載置部21aの下流側で第一搬送経路R1及び第二搬送経路R2が重複することで、両経路R1,R2上で搬送される第一長尺フィルムF1と第二長尺フィルムF2とがシート状食品Sを介して重なり合うようになっている。
【0057】
前記フィルム溶着部23は、重複した第一搬送経路R1及び第二搬送経路R2上で搬送される第一長尺フィルムF1と第二長尺フィルムF2との間(重なり合った第一及び第二長尺フィルムF2の間)に介在するシート状食品Sを取り囲むように、第一長尺フィルムF1と第二長尺フィルムF2を溶着するようになっている。前記フィルム切断部24(24a,24b)は、第一長尺フィルムF1と第二長尺フィルムF2とが溶着された領域(シート状食品Sを取り囲んだ領域)を包装材1として切り離すようになっている。また、本実施形態に係るフィルム切断部24は、シート状食品Sを取り囲んだ領域を切り離すに際し、切断補助線11,16の両端と対応する部分を切り欠いてノッチN(切欠き13,18)を形成するようになっている。
【0058】
次に、本実施形態に係る包装材1を製造方法(切断補助線形成方法)について説明することとする。かかる製造方法に用いられる製造設備2は、上述の通りであり、第一搬送経路R1上で第一長尺フィルムF1を搬送するとともに、第二搬送経路R2上で第二長尺フィルムF2を搬送する。本実施形態では、第一切断補助線形成部20aで第一長尺フィルムF1に対して切断補助線16を形成するとともに、第二切断補助線形成部20bで第二長尺フィルムF2に対して切断補助線11を形成するため、第一搬送経路R1では第一長尺フィルムF1が間欠搬送され、第二搬送経路R2では第二長尺フィルムF2が間欠搬送される。すなわち、第一長尺フィルムF1は、所定量移動する度に所定時間一時停止するように搬送され、第二長尺フィルムF2も、所定量移動する度に所定時間一時停止するように搬送される。
【0059】
そして、図6に示す如く、第一切断補助線形成部20aにおいて、一時停止中の第一長尺フィルムF1に対して切断補助線16が形成される。また、第二切断補助線形成部20bにおいても、一時停止中の第二長尺フィルムF2に対して切断補助線11が形成される。
【0060】
ここで、長尺フィルム(第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2)に対する切断補助線11,16の形成方法について説明すると、受け材210とホーン200とによって停止中の長尺フィルムF1,F2を挟み込んだ状態で、張力発生装置230で長尺フィルムF1,F2に張力Tを作用させつつホーン200に超音波を発生させることで、長尺フィルムF1,F2を介して受け材210に超音波が伝わる結果、図7(a)に示す如く、その振動エネルギーが熱になって長尺フィルムF1,F2が受け材210の第二フィルム接触部(先端部)212に沿って溶けることになる。これに併せ、長尺フィルムF1,F2の溶けた部分が、受け材210(第二フィルム接触部212)の両側(幅方向両側)に押し退けられて隆起した状態になる。
【0061】
そして、本実施形態においては、上述の如く、長尺フィルムF1,F2の短手方向に張力Tを作用させるようにしているため、図7(b)に示す如く、長尺フィルムF1,F2は、長手方向で張力Tの作用点側(切断補助線11,16を形成する予定位置)側に寄ろうとする力が作用する。特に、本実施形態においては、長尺フィルムF1,F2に対して部分的な張力Tを作用させるようにしているため、長尺フィルムF1,F2には、各把持手段231,232の把持部231a,231b,232a,232b間を結ぶ仮想線(図示しない)側に近寄ろうとする力が局所的に作用する。
【0062】
その結果、受け材210(第二フィルム接触部212)によって両側に押し退けられた部分(隆起部12,12,17,17)が互いに接近することになり、図1(a)に示す如く、隆起部12,12,17,17間の間隔が間延びすることなく、隆起部12,12,17,17間に細長く且つ深さの深い溝状の切断補助線11,16が形成されることになる。すなわち、受け材210の先端部212によって該先端部212の両側に押し退けられて周囲よりも盛り上がった隆起部12,12,17,17が互いに接近することで(図7(b)参照)、該隆起部12,12,17,17間が細長い溝状の切断補助線11,16となる。その結果、切断補助線11,16の深さが隆起部12,12,17,17の盛り上がりに対応することになり、切断補助線11,16は、深さが十分に確保された溝状になる。
【0063】
そして、上述の如く、長尺フィルムF1,F2を間欠移動させつつ切断補助線11,16を形成することで、図4に示す如く、長尺フィルムF1,F2には長手方向の所定間隔毎に切断補助線11,16が形成されることになる。そして、第一長尺フィルムF1は、第一搬送経路R1上で間欠搬送されるため、上流側の第一切断補助線形成部20aで切断補助線16が形成されているときに、先に形成された切断補助線16が食品載置部21aに到達していることになる。そして、食品載置部21aにおいて、第一長尺フィルムF1の切断補助線16の配置に対応してシート状食品Sが載置される。従って、第一長尺フィルムF1が間欠搬送されることで、食品載置部21aにおいて、順々に送られてくる切断補助線16に対応してシート状食品Sが載置されるため、第一搬送経路R1の第一長尺フィルムF1上には、シート状食品Sが長手方向に間隔をあけて配置されることになる。
【0064】
そして、フィルム重合部22(22a,22b)において、第一長尺フィルムF1上に第二長尺フィルムF2が重ね合わされる。このとき、第一長尺フィルムF1の切断補助線16と第二長尺フィルムF2の切断補助線11とが一致するように、第一長尺フィルムF1上に第二長尺フィルムF2が重ね合わされる。このように、外フィルム15になる第一長尺フィルムF1上に内フィルム10になる第二長尺フィルムF2が供給されることで、第一長尺フィルムF1と第二長尺フィルムF2との間にシート状食品Sが配置された状態になる。
【0065】
そして、フィルム溶着部23(23a,23b)において、重ね合わされた第一長尺フィルムF1と第二長尺フィルムF2とがシート状食品Sを取り囲むように溶着される。すなわち、シート状食品Sを四角領域内に取り囲むように第一長尺フィルムF1と第二長尺フィルムF2とが溶着される。なお、フィルム溶着部23(23a,23b)において、長尺フィルムF1,F2同士を溶着するには、レーザー溶着やヒートシールバーによる溶着であってもよいが、本実施形態においては、超音波シールによって長尺フィルムF1,F2同士を溶着するようにしている。
【0066】
そして、フィルム切断部24(24a,24b)で、溶着されて一体となった第一長尺フィルムF1と第二長尺フィルムF2とが切断される。すなわち、第一長尺フィルムF1と第二長尺フィルムF2とが溶着された領域(シート状食品Sを取り囲んだ領域)が包装材1として切り離される。また、本実施形態に係るフィルム切断部24(24a,24b)では、シート状食品Sを取り囲んだ領域を切り離すに際し、切断補助線11,16の両端と対応する部分を切り欠いてノッチN(切欠き13,18)が形成される。これにより、上記構成の包装材1が完成する。
【0067】
以上のように、本実施形態に係る切断補助線形成方法によれば、前記受け材210は、ホーン200と共に包装材1の一構成となるフィルム(長尺フィルム)F1,F2を挟み込む先端部の少なくとも一方向の幅が先端に向かうにつれて幅狭に形成され、ホーン200と受け材210とに挟み込まれたフィルム(長尺フィルム)F1,F2に対して受け材210の先端部の幅方向と直交する方向に張力Tを作用させつつホーン200に超音波を付与し、フィルム(長尺フィルム)F1,F2上に受け材210の先端部(第二フィルム接触部212)の幅方向と直交する方向に延びる切断補助線11,16を形成するようにしているので、包装材1の一構成となるフィルムF1,F2の厚みに関係なく、所定の線上で切断可能な切断補助線11,16をフィルムF1,F2上に形成することができるといった優れた効果を奏し得る。従って、上記フィルムF1,F2が包装材1の一構成となったときに、包装材1を切断補助線11,16に沿って体裁良く切断することができるため、良好に開封できる包装材1を作製することができる。
【0068】
さらに、前記受け材210の先端部(第二フィルム接触部212)は、幅方向にある両面212a,212bが鈍角をなすように一方向の幅が先端に向かうにつれて幅狭に形成されているので、切断補助線11,16を形成する際にフィルムF1,F2が不用意に切断されてしまうことを防止することができる。
【0069】
また、受け材210の先端部(第二フィルム接触部212)を鈍角に形成することで、受け材210とホーン200とでフィルムF1,F2を挟んで溶かす際に、受け材210の先端部212の両側に押し退けられる量が多くなり、隆起部12,12,17,17の盛り上がりを大きくすることができる。これにより、切断補助線11,16の深さを確保できるとともに切断補助線11,16の両側の強度をより高めることができ、フィルムF1,F2をより確実に切断補助線11,16に沿って切断することができる。
【0070】
そして、長尺フィルムF1,F2を長手方向に間欠搬送し、停止状態にある長尺フィルムF1,F2を先端部の幅方向が長尺フィルムF1,F2の長手方向と対応するように配置された受け材210とホーン200とで挟み込み、該停止状態にある長尺フィルムF1,F2に対して長手方向と直交する方向で張力Tを作用させつつホーン200に超音波を付与し、長尺フィルムF1,F2の長手方向と直交する方向に延びる切断補助線11,16を形成するようにしたので、切断補助線11,16をフィルムF1,F2の搬送方向と直交する方向に延びるように形成しても、フィルムF1,F2が搬送中(製造中)に裂けてしまうことを防止することができる。これにより、フィルムF1,F2の供給パターンの選択性が増えるため、種々形態の包装形態に対応することができる。
【0071】
次に、本発明の第二実施形態について説明する。なお、本実施形態では、ピロー包装を自動で行う自動包装機に用いられる包装材となるフィルムに切断補助線を形成する場合を一例に説明する。
【0072】
まず、ピロー包装について概略説明すると、ピロー包装は、図8に示す如く、食品A’を包み込むようにフィルムFを筒状に丸め、これによって重なり合うフィルムFの端部同士を溶着するとともに、その筒状になったフィルムFの両端開口を閉じるように、筒状のフィルムFの両端部を扁平状にして溶着することで、フィルムFが枕(ピロー)の如く形態になった包装材1’として食品A’を包装するようになっている。
【0073】
そして、本実施形態においては、筒状になったフィルムF(包装材1’)に周方向に延びる切断補助線11’を設け、該切断補助線11’に沿って包装材1’を切り裂くことで、該包装材1’の一端側又は他端側を切除して食品A’を取り出せるようにしたピロー包装を対象とする。
【0074】
かかるピロー包装を自動で行う自動包装機について概略説明すると、図9に示す如く、自動包装機2’は、長尺フィルムFを長手方向に搬送する搬送経路Rを備えている。該搬送経路R上には、長尺フィルムFに切断補助線11’を形成する切断補助線形成部20’、長尺フィルムF上に食品A’を載置する食品載置部21’、長尺フィルムF上の食品A’を該長尺フィルムFで包み込む食品包装部22’と、長尺フィルムFの食品A’を包み込んだ領域を、食品A’を包装した包装材1’として切り離すフィルム切断部24’が設けられている。
【0075】
そして、本実施形態に係る搬送経路Rは、長尺フィルムFの搬送方向の上流側から、切断補助線形成部20’、食品載置部21’、食品包装部22’、フィルム切断部24’の順でこれらが配設されている。
【0076】
前記切断補助線形成部20’は、第一実施形態の第一切断補助線形成部20a(及び第二切断補助線形成部20b)と同一の構成とされている。従って、ここでも第一実施形態の第一切断補助線形成部20aの説明及び図5乃至図7を参照することとし、第一切断補助線形成部20aと同一の構成については同一名称及び同一符号を付して本実施形態の切断補助線形成部20’の説明を割愛することとする。
【0077】
前記食品載置部21’は、図9に示す如く、切断補助線形成部20’で形成された切断補助線11’の配置に対応するように、長尺フィルムF上に食品A’を載置するようになっている。そして、前記食品包装部22’は、食品A’を包み込むように長尺フィルムFを短手方向に丸めて筒状にし、該長尺フィルムFの短手方向の両端部同士を溶着するとともに、筒状になった長尺フィルムFの内部空間を閉じるように該長尺フィルムFの長手方向の食品A’の両側を扁平状態にして溶着し、食品A’の周囲を長尺フィルムFで覆った状態にするようになっている。そして、フィルム切断部24’は、長尺フィルムFの食品A’の周囲を覆った領域(枕の如く形態となった領域)を包装材1’として切り離すようになっている。なお、特に言及しなかったが、自動包装機2’は、切断補助線形成部20’の後段で且つフィルム溶着部23’の前段(本実施形態においては、切断補助線形成部20’の後段で且つ食品載置部21’の前段)において、切断補助線11’の配置に対応して長尺フィルムFの短手方向の両端部の一部を切り欠いて切欠き13’,13’を形成するようになっている。
【0078】
次に、上記自動包装機2’によるピロー包装の過程(切断補助線形成方法)について説明することとする。かかる自動包装機2’は、上述の通りであり、まず、搬送経路R上で長尺フィルムFを搬送する。本実施形態では、切断補助線形成部20’で長尺フィルムFに対して切断補助線11’を形成するため、搬送経路Rでは長尺フィルムFが間欠搬送される。すなわち、長尺フィルムFは、所定量移動する度に所定時間一時停止するように搬送される。
【0079】
そして、切断補助線形成部20’において、一時停止中の長尺フィルムFに対して切断補助線11’が形成される。ここで、長尺フィルムFに対する切断補助線11’の形成方法について図6を参照して説明すると、受け材210とホーン200とによって停止中の長尺フィルムFを挟み込んだ状態で、張力発生装置230で長尺フィルムFに張力Tを作用させつつホーン200に超音波を発生させることで、長尺フィルムFを介して受け材210に超音波が伝わる結果、図7(a)に示す如く、その振動エネルギーが熱になって長尺フィルムFが受け材210の第二フィルム接触部(先端部)212に沿って溶けることになる。これに併せ、長尺フィルムFの溶けた部分が、受け材210(第二フィルム接触部212)の両側(幅方向両側)に押し退けられて隆起した状態になる。
【0080】
そして、本実施形態においては、上述の如く、長尺フィルムFの短手方向に張力Tを作用させるようにしているため、図7(b)に示す如く、長尺フィルムFは、長手方向で張力Tの作用点側(切断補助線11’を形成する予定位置)側に寄ろうとする力が作用する。特に、本実施形態においては、長尺フィルムFに対して部分的な張力Tを作用させるようにしているため、長尺フィルムFには、各把持手段231,232の把持部231a,231b,232a,232b間を結ぶ仮想線(図示しない)側に近寄ろうとする力が局所的に作用する。
【0081】
その結果、受け材210(第二フィルム接触部212)によって両側に押し退けられた部分(隆起部12’,12’)が互いに接近することになり、図8に示す如く、隆起部12’,12’間の間隔が間延びすることなく、隆起部12’,12’間に細長く且つ深さの深い溝状の切断補助線11’が形成されることになる。すなわち、受け材210の先端部212によって該先端部212の両側に押し退けられて周囲よりも盛り上がった隆起部12’,12’が互いに接近することで(図7(b)参照)、該隆起部12’,12’間が細長い溝状の切断補助線11’となる。その結果、切断補助線11’の深さが隆起部12’,12’の盛り上がりに対応することになり、切断補助線11’は、深さが十分に確保された溝状になる。
【0082】
そして、上述の如く、長尺フィルムFを間欠移動させつつ切断補助線11’を形成することで、図9に示す如く、長尺フィルムFには長手方向の所定間隔毎に切断補助線11’が形成されることになる。そして、長尺フィルムFは、搬送経路R上で間欠搬送されるため、上流側の切断補助線形成部20’で切断補助線11’が形成されているときに、先に形成された切断補助線11’が食品載置部21’に到達していることになる。そして、食品載置部21’において、長尺フィルムFの切断補助線11’の配置に対応して食品A’が載置される。従って、長尺フィルムFが間欠搬送されることで、食品載置部21’において、順々に送られてくる切断補助線11’に対応して食品A’が載置されるため、搬送経路R上の長尺フィルムFには、食品A’が長手方向に間隔をあけて配置されることになる。
【0083】
そして、食品包装部22’において、長尺フィルムF上の食品A’を包み込むように、長尺フィルムFが短手方向に巻かれ、該長尺フィルムFの短手方向の両端部同士が溶着されることになる。これにより、長尺フィルムFが食品A’を包囲した状態で筒状になる。また、この状態で、長尺フィルムFの短手方向の両端部に形成された切欠き13’,13’が重なって開封起点としてのノッチN’が形成される。次いで、食品A’(切断補助線11’)を介在させるように、筒状のなった長尺フィルムFが長手方向で間隔をあけた位置で扁平状にされて対向する部分同士が溶着される。そして、フィルム切断部24’において、長尺フィルムFの食品A’を包み込んだ領域が包装材1’として切り離され、ピロー包装が完了する。
【0084】
このように食品A’を包装した包装材1’を開封するには、図8に示す如く、ノッチN’(切欠き13’,13’)の両側を引っ張ると、ノッチN’を起点にして包装材1’(フィルムF)が切断補助線11’に沿って切断し始めることになる。かかる包装材1’(フィルムF)は、上述の如く、切断補助線11’の両側が隆起部12’,12’によって強度が増しているため、切断補助線11’に沿って綺麗に切断されることになる。そして、包装材1’(フィルムF)が切断補助線11’に沿って切断されることで分離(二分)することになる結果、内部に収容した食品A’を取り出して食べることのできる状態となる。
【0085】
以上のように、本実施形態においても、第一実施形態と同様の切断補助線形成方法を採用しているので、第一実施形態と同様に、包装材1’となるフィルムFの厚みに関係なく、所定の線上で切断可能な切断補助線11’をフィルム上に形成することのできるといった優れた効果を奏し得る。従って、フィルムFが包装材1’となったときに、該包装材1’を切断補助線11’に沿って体裁良く切断することができるため、良好に開封できる包装材1’を作製することができる。
【0086】
尚、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0087】
上記各実施形態において、包装材1の製造過程や食品A’の包装過程でフィルムF,F1,F2に切断補助線11,11’,16を形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、包装材1’となる長尺フィルムF、又は包装材1の一構成となる長尺フィルムF1,F2に対し、上記各実施形態で説明した切断補助線形成方法を用いて予め切断補助線11,11’,16を形成しておき、包装材1を製造するときや、食品Aを包装するときにその長尺フィルムF,F1,F2を用いるようにしてもよい。
【0088】
また、上記各実施形態で説明した切断補助線形成方法は、包装材1の一構成となるフィルムF1,F2や、ピロー包装用の包装材1’としてのフィルムFに切断補助線11,11’,16を形成する場合に限定されるものではなく、三角形状のサンドイッチを包装する包装材や、手巻き寿司を包装する包装材、或いはこれらの包装材の一構成となるフィルムに切断補助線11,11’,16を形成する場合に採用しても勿論よい。
【0089】
上記各実施形態において、ホーン200を長尺フィルムF,F1,F2の一方の面側に配置するとともに、受け材210を長尺フィルムF,F1,F2の他方の面側に配置したが、これに限定されるものではなく、例えば、ホーン200を長尺フィルムF,F1,F2の他方の面側に配置するとともに、受け材210を長尺フィルムF,F1,F2の一方の面側に配置するようにしてもよい。すなわち、ホーン200及び受け材210は、長尺フィルムF,F1,F2を挟み込むことができれば、何れを長尺フィルムF,F1,F2の一方の面側又は他方の面側に配置してもよい。
【0090】
上記各実施形態において、長尺フィルムF,F1,F2の短手方向に延びる固定式の受け材210を採用したが、これに限定されるものではなく、例えば、図10に示す如く、受け材210は、回転式のもの(いわゆる、リング)であってもよい。すなわち、受け材210は、長尺フィルムFの長手方向に延びる軸(図示しない)周りで回転可能に設けられたものであってもよい。この場合において、受け材(リング)210は、第二フィルム接触部212に相当する部分が外周全周に亘って形成されことになるため、該先端部の長尺フィルムF,F1,F2の長手方向と一致する方向(一方向)の幅が外周端(先端)に向かうにつれて幅狭に(先細りするように)形成されればよい。そして、この場合においても、切断補助線11,16が適正に形成され、且つ切断補助線11,11’,16の両側に適正な隆起部12,12,12’,12’,17,17が形成されるように、受け材210の先端部は、幅方向の両面212a,212bが鈍角をなすように形成されることが好ましい。但し、リングタイプの受け材210で、上記各実施形態と同様に、長尺フィルムFの短手方向に延びる切断補助線11,11’,16を形成する場合には、ホーン200とともに受け材210を長尺フィルムFの短手方向に移動させる必要があるため、長尺フィルムFの短手方向に延びる切断補助線11,11’,16を形成する場合には上記各実施形態で説明した受け材210を採用することが好ましい。
【0091】
また、上記各実施形態において、受け材210の先端部(第二フィルム接触部212)の一方向の幅のみが先端に向けて幅狭になるように形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、受け材210の先端部は、前記一方向と直交する他方向においても先端に向けて幅狭になるように形成してもよい。この場合においても、一方向の幅が先端に向かうにつれて幅狭になることは勿論であり、また、幅方向の両面212a,212bの内角θが鈍角になるように形成することが好ましいことは勿論である。
【0092】
上記各実施形態において、長尺フィルムF,F1,F2を長手方向に間欠搬送し、その停止中の長尺フィルムF,F1,F2に対して短手方向に延びる切断補助線11,11’,16を形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、図11に示す如く、長尺フィルムF,F1,F2を長手方向に連続的に搬送しつつ、該長尺フィルムF,F1,F2に長手方向(搬送方向)に延びる切断補助線11,11’,16を形成するようにしてもよい。
【0093】
具体的には、幅方向が長尺フィルムF,F1,F2の長手方向と直交する方向と一致するように受け材210を配置し、該受け材210とホーン200とで搬送中の長尺フィルムF,F1,F2の短手方向の略中央を挟み込み、長尺フィルムF,F1,F2に対して長手方向に張力Tを作用させつつホーン200に超音波を付与することで、長手方向に延びる切断補助線11,11’,16を形成するようにしてもよい。このようにしても、長尺フィルムF,F1,F2に対して長手方向に張力Tが作用するように該長尺フィルムF,F1,F2を長手方向に搬送することで、受け材210の先端部212の両側に押し退けられて隆起した隆起部12,12,12’,12’,17,17が長尺フィルムFの短手方向の内側(中央側)に寄って互いに接近し、隆起部12,12,12’,12’,17,17間に細長く且つ深さの深い溝状の切断補助線11,11’,16が形成されることになる(図7参照)。
【0094】
そして、上述の如く、長尺フィルムF,F1,F2の長手方向(搬送方向)と同方向に延びる切断補助線11,11’,16を形成する場合には、受け材210は長尺フィルムFに搬送に伴って回転可能なリングタイプのものを採用することが好ましい。この場合、受け材210は、幅方向(一方向)が長尺フィルムF,F1,F2の短手方向と一致するように配置すればよい。このようにすることで、長尺フィルムF,F1,F2を長手方向に連続搬送させることで、受け材210が軸回りで回転しつつその先端部212が長手方向に延びる切断補助線11,11’,16を形成しつつ、その切断補助線11,11’,16の両側に強度を増した隆起部12,12,12’,12’,17,17を形成することになる。
【0095】
この場合においても、受け材210の幅方向と直交する方向の張力Tを作用させることになるが、この場合、上記各実施形態で採用した張力発生装置230に代え、長尺フィルムF,F1,F2を圧着搬送するローラ対(図示しない)をホーン200及び受け材210を介在させるように長尺フィルムF,F1,F2の長手方向(搬送方向)で間隔をあけて二組配置し、長尺フィルムF,F1,F2の搬送方向の上流側に配置した一方のローラ対よりも下流側に配置した他方に配置したローラ対を高速駆動するようにしたり、長尺フィルムF,F1,F2の搬送方向の下流側に配置した他方のローラ対を回転駆動するとともに、上流側に配置した一方のローラ対に回転抵抗を与えるようにしたりすればよい。このようにすることで、ホーン200に超音波を付与する際に長尺フィルムF,F1,F2に張力Tが作用させることができる。
【0096】
そして、上記二組のローラ対は、長尺フィルムF,F1,F2の全幅を圧着するようにせずに、長尺フィルムF,F1,F2を部分的に圧着するようにすることが好ましい。このようにすれば、上記各実施形態と同様に、長尺フィルムF,F1,F2に対して部分的な張力Tが集中的に作用するため、切断補助線11,11’,16を形成する際に、受け材210の先端部212の両側に押し退けられた隆起部12,12,12’,12’,17,17同士が効率的に接近することになり、隆起部12,12,12’,12’,17,17間に細長く且つ深さの深い溝状の切断補助線11,11’,16を形成することができる。
【0097】
そして、このように長尺フィルムF,F1,F2に長手方向の切断補助線11,11’,16を形成することを前提に上記第一実施形態と同様の包装材1を製造するには、例えば、図12(a)に示す如く、外フィルム15になる第一長尺フィルムF1に対し、該第一長尺フィルムF1の長手方向に延びる切断補助線16を形成するとともに、内フィルム10になる第二長尺フィルムF2に対し、該第二長尺フィルムF2の長手方向に延びる切断補助線11を形成し、第一長尺フィルムF1の切断補助線16と第二長尺フィルムF2の切断補助線11とが一致するように、第一長尺フィルムF1及び第二長尺フィルムF2を同方向に搬送して重ね合わせる。そして、第一長尺フィルムF1と第二長尺フィルムF2との間に介在するシート状食品Sを取り囲むように両長尺フィルムF1,F2同士を溶着した後に両長尺フィルムF1,F2の一体となった領域(包装材1になる領域)を包装材1として切り離せばよい。
【0098】
また、外フィルム20に上記実施形態と同様の切断補助線16を形成し、内フィルム10を幅方向に分離可能とすべく該内フィルム10を横並びに配置された一対のフィルムで構成する場合には、図12(b)に示す如く、外フィルム15になる第一長尺フィルムF1に対し、該第一長尺フィルムF1の長手方向に延びる切断補助線16を形成するとともに、内フィルム10になる第二長尺フィルムF2を短手方向で横並びに配置された一対の帯状のフィルムF2a,F2bで構成し、この第二長尺フィルムF2の長手方向に延びる中心線(一対の帯状のフィルムF2a,F2bの端部同士が重なり合った部分)が、第一長尺フィルムF1に形成された切断補助線16と一致するように、第一長尺フィルムF1及び第二長尺フィルムF2を同方向に搬送して重ね合わせる。そして、第一長尺フィルムF1と第二長尺フィルムF2との間に介在するシート状食品Sを取り囲むように両長尺フィルムF1,F2同士を溶着した後に両長尺フィルムF1,F2の一体となった領域(包装材1になる領域)を包装材1として切り離せばよい。
【0099】
また、図13(a)に示す如く、第一長尺フィルムF1又は第二長尺フィルムF2の何れか一方(図においては第一長尺フィルムF1)に対して短手方向に延びる切断補助線11,16を形成し、他方(図においては第二長尺フィルムF2)に対して長手方向に延びる切断補助線11,16を形成するようにしてもよい。この場合、第一長尺フィルムF1及び第二長尺フィルムF2を互いに直交する方向に搬送(供給)し、互いの切断補助線11,16が一致するように第一長尺フィルムF1及び第二長尺フィルムF2を重ね合わせ、シート状食品Sを取り囲むように両長尺フィルムF1,F2を溶着した後に当該領域を包装材1として切り離せばよい。さらに、図13(b)に示す如く、第一長尺フィルムF1に対して短手方向に延びる切断補助線16を形成し、第二長尺フィルムF2を上述の如く一対の帯状フィルムF2a,F2bで構成してもよい。この場合、第一長尺フィルムF1及び第二長尺フィルムF2を互いに直交する方向に搬送(供給)し、第一長尺フィルムF1の切断補助線16に対して第二長尺フィルムFの長手方向に延びる中心線(一対の帯状フィルムF2a,F2bの重なり合った端部)が一致するように、第一長尺フィルムF1及び第二長尺フィルムF2を重ね合わせ、シート状食品Sを取り囲むように両長尺フィルムF1,F2を溶着した後にに当該領域を包装材1として切り離せばよい。
【0100】
そして、長尺フィルムF,F1,F2に長手方向の切断補助線11,11’,16を形成することを前提にピロー包装するには、長尺フィルムFに対して長手方向に延びる切断補助線11’を形成した上で、該長尺フィルムF上に食品A’を載置し、その後に長尺フィルムFを短手方向又は長手方向に丸めて食品A’を包み込んで筒状にし、開放した部分を溶着して閉じればよい。この場合、長尺フィルムFを短手方向に巻いて食品A’を包装することで、筒状の包装材1’の軸線方向に延びる切断補助線11’が形成され、長尺フィルムFを長手方向に巻いて食品A’を包装することで、筒状の包装材1’の周方向に延びる切断補助線11’が形成されることになる。従って、包装する食品Aの形態に応じた開封形態となるように切断補助線11’を設けることができる。
【0101】
上記各実施形態において、長尺フィルムF,F1,F2を対象に切断補助線11,11’,16を形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、包装材1,1’全体又は包装材1の一構成となる枚葉状のフィルムを対象に切断補助線11,11’,16を形成するようにしても勿論よい。この場合においても、ホーン200と受け材210とに挟み込まれたフィルムF,F1,F2に対して受け材210の先端部の幅方向と直交する方向に張力Tを作用させつつ前記ホーン200に超音波を付与し、フィルム11,11’,16上に受け材210の先端部の幅方向と直交する方向に延びる切断補助線11,11’,16を形成するようにすればよい。
【0102】
上記第一実施形態において、外フィルム15となる第一長尺フィルムF1上にシート状食品Sを配置し、該第一長尺フィルムF1に内フィルム10となる第二長尺フィルムF2を重ね合わせるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、内フィルム10となる第二長尺フィルムF2上にシート状食品Sを配置した上で、第二長尺フィルムF2に外フィルム15となる第一長尺フィルムF1を重ね合わせるようにしても勿論よい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の第一実施形態に係る米飯加工食品用包装材の説明図であって、(a)は、内フィルム及び外フィルムの部分拡大断面図を含む全体分解斜視図を示し、(b)は、全体斜視図を示す。
【図2】第一実施形態に係る米飯加工食品用包装材でおにぎりを包装する方法を説明するための斜視図を示す。
【図3】第一実施形態に係る米飯加工食品用包装材でおにぎりを包装した状態の斜視図を示す。
【図4】第一実施形態に係る米飯加工食品用包装材の製造設備の概念図を示す。
【図5】第一実施形態に係る米飯加工食品用包装材の製造設備(及び本発明の第二実施形態に係るピロー包装用の自動包装機)における切断補助線形成部のホーン及び受け材の斜視図を示す。
【図6】第一実施形態に係る米飯加工食品用包装材の製造設備(及び本発明の第二実施形態に係るピロー包装用の自動包装機)における切断補助線形成部(切断補助線形成方法)の作用を説明するための説明図を示す。
【図7】第一実施形態に係る米飯加工食品用包装材の製造設備(及び本発明の第二実施形態に係るピロー包装用の自動包装機)における切断補助線形成部(切断補助線形成方法)の作用を説明するための説明図であって、(a)は、フィルムをホーン及び受け材で挟み込んでホーンに超音波を付与した状態の概略図を示し、(b)は、切断補助線が形成される過程を説明するため概略説明図を示す。
【図8】本発明の第二実施形態に係るピロー包装用の自動包装機によって食品を包装した包装材(包装形態)を説明するための斜視図を示す。
【図9】第二実施形態に係るピロー包装用の自動包装機の概念図を示す。
【図10】本発明の他実施形態に係るホーン及び受け材の斜視図を示す。
【図11】本発明の別の実施形態に係る米飯加工食品用包装材の製造設備(製造方法)の概略図を示す。
【図12】本発明のさらに別の実施形態に係る米飯加工食品用包装材の製造方法の概念図であって、(a)は、外フィルムになる第一長尺フィルムに対して長手方向に延びる切断補助線を形成するとともに、内フィルムになる第二長尺フィルムに対して長手方向に延びる切断補助線を形成し、両長尺フィルムを同方向に搬送(供給)するようにした製造方法の概念図を示し、(b)は、外フィルムになる第一長尺フィルムに対して長手方向に延びる切断補助線を形成するとともに、内フィルムになる第二長尺フィルムとして一対の帯状フィルムを採用し、両長尺フィルムを同方向に搬送(供給)するようにした製造方法の概念図を示す。
【図13】本発明のさらに別の実施形態に係る米飯加工食品用包装材の製造方法の概念図であって、(a)は、外フィルムになる第一長尺フィルムに対して短手方向に延びる切断補助線を形成するとともに、内フィルムになる第二長尺フィルムに対して長手方向に延びる切断補助線を形成し、両長尺フィルムを直交する方向で搬送(供給)するようにした製造方法の概念図を示し、(b)は、外フィルムになる第一長尺フィルムに対して短手方向に延びる切断補助線を形成するとともに、内フィルムになる第二長尺フィルムとして一対の帯状フィルムを採用し、両長尺フィルムを直交する方向で搬送(供給)するようにした製造方法の概念図を示す。
【符号の説明】
【0104】
1…包装材(米飯加工食品用包装材)、1’…包装材(ピロー包装の包装材)、2…製造設備、2’…自動包装機、10…内フィルム(フィルム)、11,16…切断補助線、12,12’,17…隆起部、13,18…切欠き、15…外フィルム、20’…切断補助線形成部、20a…第一切断補助線形成部(切断補助線形成部)、20b…第二切断補助線形成部(切断補助線形成部)、21’…食品載置部、21a…食品載置部、22,22a,22b…フィルム重合部、22’…食品包装部、23,23a,23b…フィルム溶着部、24,24a,24b…フィルム切断部、200…ホーン、201…ホーン本体、202…第一フィルム接触部、210…受け材、211…受け材本体、212…第二フィルム接触部、212a,212b…面(傾斜面)、230…張力発生装置、231,232…把持手段、231a,231b,232a,232b…把持部、A…食品、F…フィルム(長尺フィルム)、F1…第一長尺フィルム(フィルム:長尺フィルム)、F2…第二長尺フィルム(フィルム:長尺フィルム)、F2a,F2b…フィルム、N…ノッチ、R…搬送経路、R1…第一搬送経路、R2…第二搬送経路、S…シート状食品、T…張力、θ…内角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を包装する包装材又は該包装材の一構成となるフィルムを、所定周波数の超音波が付与されるホーンと受け材とで挟み込んだ状態で、前記ホーンに超音波を付与することでフィルムを溶かして該フィルム上に溝状の切断補助線を形成する切断補助線形成方法であって、前記受け材は、ホーンと共にフィルムを挟み込む先端部の少なくとも一方向の幅が先端に向かうにつれて幅狭に形成され、ホーンと受け材とに挟み込まれたフィルムに対して受け材の先端部の幅方向と直交する方向の張力を作用させつつホーンに超音波を付与し、フィルム上に受け材の先端部の幅方向と直交する方向に延びる切断補助線を形成することを特徴とする切断補助線形成方法。
【請求項2】
前記受け材の先端部は、幅方向の両面が鈍角をなして前記幅が先端に向かうにつれて幅狭に形成されている請求項1に記載の切断補助線形成方法。
【請求項3】
前記フィルムに長尺フィルムを採用して該長尺フィルムを長手方向に間欠搬送し、停止状態にある長尺フィルムを先端部の幅方向がフィルムの長手方向と一致するように配置された受け材とホーンとで挟み込み、該長尺フィルムに対して長手方向と直交する方向の張力を作用させつつホーンに超音波を付与し、長尺フィルムの長手方向と直交する方向に延びる切断補助線を形成する請求項1又は2に記載の切断補助線形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−126246(P2010−126246A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306391(P2008−306391)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【特許番号】特許第4264123号(P4264123)
【特許公報発行日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000241186)朋和産業株式会社 (73)
【Fターム(参考)】