説明

刈取機の刈刃交換工具

【課題】刈刃は、刈刃取付プレートに対して揺動自在に取付けられ、この取付用ボルトに対するスパナ等の工具掛けが行い難く、刈刃の取付位置としてもモーアデッキの底部等にあって、刈刃交換等の作業の行い難い形態にある。
【解決手段】上側に刈刃1取付用ボルト2のナット3部を嵌合案内する幅のボルト案内溝4を形成したC形状断面形態の刈刃ソケット5と、この刈刃ソケット5の基部に突出のハンドル6とからなり、この刈刃ソケット5を、ボルト2締めして取付けられる刈刃1と、この刈刃取付プレート7の先端部との間にわたって嵌合して刈刃1を回り止めすることを特徴とする刈取機の刈刃交換工具の構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
刈取機の刈刃交換工具に関し、刈刃取付プレートに対する刈刃の着脱、乃至交換を簡単、容易化するものである。
【背景技術】
【0002】
刈取軸下端部の刈刃取付プレートの先端部に、刈刃をボルト締めによって揺動自在に取付ける技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。このような刈刃の着脱には、複数のスパナや、メガネレンチ等を用いて、このボルトの着脱操作を行う。
【特許文献1】実用新案登録第3005418号公報(第5頁,図1)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
刈刃は、刈刃取付プレートに対して揺動自在に取付けられ、この取付用ボルトに対するスパナ等の工具掛けが行い難く、刈刃の取付位置としてもモーアデッキの底部等にあって、刈刃交換等の作業の行い難い形態にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、上側に刈刃1取付用ボルト2のナット3部を嵌合案内する幅のボルト案内溝4を形成したC形状断面形態の刈刃ソケット5と、この刈刃ソケット5の基部に突出のハンドル6とからなり、この刈刃ソケット5を、ボルト2締めして取付けられる刈刃1と、この刈刃取付プレート7の先端部との間にわたって嵌合して刈刃1を回り止めすることを特徴とする刈取機の刈刃交換工具の構成とする。刈刃取付プレート7に対する刈刃1の着脱を行うときは、この刈刃取付プレート7の先端部と刈刃1との重合部のボルト2挿通部に、刈刃ソケット5を挿通嵌合して保持させると共に、このボルト2のナット3部をボルト案内溝4に位置させる。この状態でハンドル6を固定して、ボルト案内溝4上のナット3にメガネレンチ等の工具を掛けて、このナット3を回して、締め付けたり、緩める。この状態では、刈刃ソケット5が刈刃1、及び刈刃取付プレート7の間にわたって嵌合しているため、刈刃1のボルト2周りの回動は行われないで、ナット3の回動操作を的確に行わせることができる。
【0005】
請求項2に記載の発明は、前記ボルト案内溝4と対向する下側には、ボルト2を受けるソケット底面8を形成したことを特徴とする。前記のように刈刃ソケット5を、刈刃取付プレート7の刈刃1取付部に嵌合させて、保持させると共に、ボルト2,ナット3の回動操作して、刈刃1の着脱を行うとき、このボルト2の下端部が刈刃ソケット5のソケット底面8で支持している。このため、このボルト2に対するナット3の螺合操作を行い易くし、ナット3を外したときのボルト2を着脱させないように支持する。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の発明は、刈刃ソケット5を刈刃取付プレート7の刈刃1取付部に嵌合することによって、この刈刃1の刈刃取付プレート7に対する揺動を行わせないように固定し、この刈刃ソケット5の着脱を防止するため、メガネレンチ等の工具によってボルト案内溝4部にのぞむナット3を回動して、ボルト2,ナット3の締付、緩め回動を容易に行うことができる。又、この刈刃ソケット5の支持固定はハンドル6によって行うため、固定力の支持を行い易くし、構成簡単で、操作性を正確で、容易化できる。
請求項2に記載の発明は、前記ボルト案内溝4と対向する下側には、ボルト2を受けるソケット底面8を形成したことを特徴とする。このような刈刃1交換用の刈刃ソケット5は、取付用ボルト2の下端をソケット底面8で支持するためこのボルト2の脱落、紛失等を防止することができ、ナット3の締付、緩め回動を行い易くする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1〜図4に基づいて、車体11の腹部に装着するモーアデッキ12は、中央部に刈刃軸13を軸装して、車体11後部のエンジン14軸15からベルト16を介して伝動する。この刈刃軸13の下端部に刈刃取付プレート7が取付けられて、回転周部に揺動自在の刈刃1が、ボルト2,ナット3等によって着脱自在に取付けられる。又、車体11はハンドル17,乗用シート18,左右一対の前輪19,及び後輪20等を有して、前記エンジン14によって伝動駆動して走行する乗用四輪走行形態の構成としている。又、このモーアデッキ12は、平行リンク形態のリフトリンク21,22を介して車体11の腹部に昇降可能に装着される。
【0008】
前記ボルト2,ナット3による刈刃1の取付構成は、取付プレート7の下面に刈刃1を重合させて、この取付プレート7のボルト2挿通穴25に適宜厚さのカラー26を嵌挿し、このカラー26を介在させて、上下のナットガード27と刈刃1を重合させて、これらの重合中心部の穴29,31,及びカラー26穴等に下側からボルト2を挿通し、このボルト2の上端部にナット3を螺挿して取付け、このカラー26の介在によって刈刃1がボルト2周りに回動揺動自在になるように設定される。このボルト2は、下端部にボルト頭部28を有し、刈刃1の角穴29に嵌合する角座30を形成する。この角座30の厚さは、刈刃1の厚さと略同じか、若干高く形成している。前記ボルト穴25に嵌合するカラー26は、この刈刃1の厚さよりも若干高く形成して、下面を前記角座30上面に支持させる。ナットガード27は中央部にボルト穴31を形成して、皿形状に構成され、ナット3部に対する刈取芝草等の接触を少なくする。刈刃取付プレート7の下側に刈刃1を重合させて、この取付プレート7のボルト穴25にカラー26を嵌合して、これらの上側にナットガード27を重合した状態で、下側から、角穴29,カラー26穴部,及びナットガード27のボルト穴31にわたってボルト2を挿通して、この上端部からナット3を螺挿して締付ける。又、この刈刃1を取外すときは、逆にこのナット3を緩めて、ボルト2を下側へ外すことによって行われる。
【0009】
ここにおいて、この発明に係る刈刃交換具は、上側に刈刃1取付用ボルト2のナット3部を嵌合案内する幅のボルト案内溝4を形成したC形状断面形態の刈刃ソケット5と、この刈刃ソケット5への基部に突出のハンドル6とからなり、この刈刃ソケット5を、ボルト2締めして取付けられる刈刃1と、この刈刃取付プレート7の先端部との間にわたって嵌合して刈刃1を回り止めすることを特徴とする刈取機の刈刃交換工具の構成とする。刈刃取付プレート7に対する刈刃1の着脱を行うときは、この刈刃取付プレート7の先端部と刈刃1との重合部のボルト2挿通部に、刈刃ソケット5を挿通嵌合して保持させると共に、このボルト2のナット3部をボルト案内溝4に位置させる。この状態でハンドル6を固定して、ボルト案内溝4上のナット3にメガネレンチ等の工具を掛けて、このナット3を回して、締め付けたり、緩める。この状態では、刈刃ソケット5が刈刃1、及び刈取取付プレート7の間にわたって嵌合しているため、刈刃1のボルト2周りの回動は行われないで、ナット3の回動操作を的確に行わせることができる。
【0010】
又、前記ボルト案内溝4と対向する下側には、ボルト2を受けるソケット底面8を形成したことを特徴とする。前記のように刈刃ソケット5を、刈刃取付プレート7の刈刃1取付部に嵌合させて、保持させると共に、ボルト2,ナット3の回動操作して、刈刃1の着脱を行うとき、このボルト2の下端部が刈刃ソケット5のソケット底面8で支持している。このため、このボルト2に対するナット3の螺合操作を行い易くし、ナット3を外したときのボルト2を着脱させないように支持する。
【0011】
このような刈刃ソケット5は、ハンドル6の把持操作で、刈刃1を有した刈刃取付プレート7の先端部に対して差込むことによって、この刈刃取付プレート7に嵌合保持させることができ、この取付ボルト2のナット3部をボルト案内溝4に案内することができ、片手でこのハンドル6を固定した状態で、他方の手でメガネレンチ32等の工具を持ってこのボルト案内溝4部に位置するナット3を回動し、このナット3を緩めたり、締付けたりすることができる。このとき、刈刃1は刈刃取付プレート7と共に、刈刃ソケット5の内側に嵌合保持されるため、ボルト2の周りに回動することはなく、このボルト2の下端部の角座30と刈刃1の角穴29との嵌合によって、このボルト2の回り止めが正確に維持されて、このボルト2に対してナット3を回動することができる。又、このボルト2の下端部ボルト頭部28は、ソケット底面8で受けることができるため、ボルト2の脱落を防止すると共に、刈刃1が刈刃取付プレート7の下面から離れても、これら角座30と角穴29との嵌合状態を維持するため、メガネレンチ32によるナット3の回動操作を的確に行わせることができる。
【0012】
この刈刃ソケット5を固定操作するハンドル6の先端部を、この刈刃ソケット5の内側の一端部に取付固定して、ストッパー33を形成する。この刈刃ソケット5を刈刃取付プレート7に差込むとき、このストッパー33が刈刃1の先端部に当接して、差込深さを規制することができる。又、この刈刃ソケット5の抜け止めのためのピン孔34,35を、これら刈刃取付プレート34の先端部と刈刃ソケット6の上側片36との差込重合部に形成して、これらのピン孔34,35にわたって固定ピン37を差込んでおくことによって、刈刃ソケット5の抜け外れを防止して、確実で安全なナット4の回し操作を行うように構成することもできる。
【0013】
前記ハンドル6は、作業者が手で把持して固定するだけではなく、このモーアデッキ12の近くに隣接する前輪19や後輪20の接地部に係止させて、回り止めすることも可能で、このような場合にハンドル6が短過ぎるときは、このハンドル6に別途パイプ材等からなる補助ハンドルを差込んで継ぎ足して使用することもできる。
次に、主として図5に基づいて、前記刈刃ソケット5を角筒状形態として、先端上側にU字切欠形態のボルト案内溝4を形成し、ハンドル6をこの刈刃ソケット5の上側40外側面に固定したものである。この刈刃ソケット5の差込位置は、ボルト案内溝4の奥端縁がナットガード27部に当接して決められる。
【0014】
前記刈刃1,及び刈刃取付プレート7の回り止めとして、これら刈刃取付プレート7や刈刃1に形成のピン孔34に、モーアデッキ12等の刈取カバー部に設けられる固定ピンを差込んで、これら刈刃取付プレート7等の回動を係止固定することもできる。この固定ピンは、モーアデッキ12上のピンホルダに上下動可能に支持して、上端を把持して上下に抜き差しするものである。この固定ピンを刈刃を刈刃取付プレート7等のピン孔34に差込むことによって、これら刈刃取付プレート7や刈刃1等の刈刃軸13周りの回動を係止して、ナット3を回動操作することができ、安全な刈刃1の交換作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】刈刃交換具の斜視図。
【図2】その平面図。
【図3】モーアの側面図。
【図4】その刈刃部の側面図と、取付分解斜視図。
【図5】一部別例を示す刈刃ソケット部の平面図と、側面図。
【符号の説明】
【0016】
1 刈刃
2 ボルト
3 ナット
4 ボルト案内溝
5 刈刃ソケット
6 ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側に刈刃(1)取付用ボルト(2)のナット(3)部を嵌合案内する幅のボルト案内溝(4)を形成したC形状断面形態の刈刃ソケット(5)と、この刈刃ソケット(5)の基部に突出のハンドル(6)とからなり、この刈刃ソケット(5)を、ボルト(2)締めして取付けられる刈刃(1)と、この刈刃取付プレート(7)の先端部との間にわたって嵌合して刈刃(1)を回り止めすることを特徴とする刈取機の刈刃交換工具。
【請求項2】
前記ボルト案内溝(4)と対向する下側には、ボルト(2)を受けるソケット底面(8)を形成したことを特徴とする請求項1に記載の刈取機の刈刃交換工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−54568(P2008−54568A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−234712(P2006−234712)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000144980)株式会社アテックス (111)
【Fターム(参考)】