列車制御装置
【課題】特定地点から離れた位置に在線する列車が、どの線路を走行しているかを、確実に区別できる無線測距追跡式列車制御装置を提供すること。
【解決手段】車上装置2と地上装置1とを含み、両装置1ー2間の無線通信により、線路RL1、RL2の沿線に設定された特定地点P1から車上装置2を搭載する列車TR1までの無線測距を実行し、無線測距に基づき列車TR1の位置追跡を行う。線路RL1、RL2の沿線に付設された地上子131、132を含んでおり、地上装置1は、地上子131、132と車上装置2に接続された車上子21との結合より、地上子131、132の付設された線路RL1、RL2に在線する列車の列車識別情報を取得する。
【解決手段】車上装置2と地上装置1とを含み、両装置1ー2間の無線通信により、線路RL1、RL2の沿線に設定された特定地点P1から車上装置2を搭載する列車TR1までの無線測距を実行し、無線測距に基づき列車TR1の位置追跡を行う。線路RL1、RL2の沿線に付設された地上子131、132を含んでおり、地上装置1は、地上子131、132と車上装置2に接続された車上子21との結合より、地上子131、132の付設された線路RL1、RL2に在線する列車の列車識別情報を取得する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線測距を用いた追跡式の列車制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線測距を用いた追跡式列車制御装置は、従来の軌道回路を用いた列車追跡方式と異なって、車上装置と地上装置と間の無線通信により、線路の沿線に設定された特定地点から車上装置を搭載する列車までの無線測距を実行し、無線測距に基づき列車の位置追跡を行うものである。
【0003】
ところが、この種の列車制御装置では、例えば、上り及び下りの平行する複数の線路がある場合、沿線の測距地点と列車の間の距離が分かったとしても、その列車がどの線路を走行しているか区別できないために、列車の在線する位置を特定することができない。上りまたは下りの線路が、それぞれ複数ある場合も同様である。このため、停電等により、列車制御システムがダウンした場合、列車運行の再開に大きな混乱を引き起こす。
【0004】
特許文献1には無線測距による列車検知方式が開示されているが、上述する問題点の指摘及び解決手段が記載されていない。
【特許文献1】特表平7−507752号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、特定地点から離れた位置に在線する列車が、どの線路を走行しているかを、確実に区別できる無線測距追跡式列車制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明に係る列車制御装置は、車上装置と地上装置とを含み、両装置間の無線通信により、線路の沿線に設定された特定地点から前記車上装置を搭載する列車までの無線測距を実行し、前記無線測距に基づき列車の位置追跡を行う。
【0007】
この列車制御装置は、前記線路の沿線に付設された地上子を含んでおり、前記地上装置は、前記地上子と前記車上装置に接続された車上子との結合より、前記地上子の付設された線路に在線する列車の列車識別情報を取得する。
【0008】
上述したように、本発明に係る列車制御装置は、前記線路の沿線に付設された地上子を含んでおり、地上装置は、前記地上子と前記車上装置に接続された車上子との結合より、前記地上子の付設された線路に在線する列車の列車識別情報を取得するから、停電等により、列車制御システムがダウンした後の運転再開時においても、列車とその在線線路との関係を、地上装置において判断できる。このため、列車制御システムがダウンした後の運転再開時における列車運行の混乱を回避できる。
【0009】
地上子は、無電源タイプであってもよいし、有電源タイプであってもよい。地上子に無電源タイプのものを用いた場合は、地上装置は地上無線機経由だけから列車の列車識別情報を受信することができる。地上子に有電源タイプのものを用いた場合は、地上装置は直接地上子だけから列車の列車識別情報を受信することができる。
【0010】
列車制御システムがダウンした後の運転再開時において、列車とその在線線路との関係を、地上装置において判断できるようにするためには、列車制御システムのダウンにも関わらず、列車識別情報とその在線線路情報を、地上装置が保持できるようにしなければならないが、そのような手段は、電源が落ちても記憶情報の消えない記憶媒体(不揮発メモリ)を利用することによって容易に実現できる。
【0011】
本発明に係る列車制御装置の具体的適用にあたっては、線路を、仮想的な複数の区間に区切る。地上装置は、列車の位置追跡を行うたびに、列車の先頭が位置する区間と、列車の列車長を含む列車識別情報とを、電源が落ちても記憶情報の消えない記憶媒体に記憶する。そして、電源が落ちて位置追跡不可能となった後、電源が復帰して、位置追跡不可能となる前と同じ列車識別情報が受信されたとき、受信された前記列車識別情報と、前記記憶媒体の記憶情報とより、当該列車が在線している区間を推定する。
【0012】
もう1つの具体的態様では、線路を仮想的な複数の区間に区切っておく。地上装置は、列車の位置追跡を行うたびに、列車前後の両運転台の位置する区間と、両運転台の持つ列車識別情報とを、電源が落ちても記憶情報の消えない記憶媒体に記憶する。そして、電源が落ちて位置追跡不可能となった後、電源が復帰して、位置追跡不可能となる前と同じ列車識別情報が受信されたとき、受信された前記列車識別情報と、前記記憶媒体の記憶情報とより、当該列車が在線している区間を推定する。
【0013】
上記二つの態様において、前記地上装置は、電源が復帰した後に、追跡不可能となった列車の列車識別情報を受信したが、列車が在線していると推定される区間に割り当てられた列車識別情報と一致しなかったとき、列車が在線していると推定される区間に割り当てられた列車識別情報を、前記記憶媒体から削除する機能を有することができる。
【0014】
更に、区間に対応する列車識別情報を地上装置で記憶していない状態で、複線区間に在線する列車からの列車識別情報を受信したときに、列車の在線する線路を識別できる地上子からの補助的な情報を受け、列車の在線位置を一意に特定する構成を採用することもできる。
【発明の効果】
【0015】
以上述べたように、本発明によれば、特定地点から離れた位置に在線する列車が、どの線路を走行しているかを、確実に区別できる無線測距追跡式列車制御装置を提供することができる。
【0016】
発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照し、更に具体的に説明する。図面は単なる例示に過ぎない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、複線上での列車の在線と、そのときの無線測距の関係を示す図である。列車TR1は車上装置2を含んでおり、地上装置1と車上装置2との間の無線通信により、線路RL1、RL2の沿線に設定された特定地点P1から車上装置2を搭載する列車TR1までの無線測距を実行し、無線測距に基づき列車の位置追跡を行う。
【0018】
図示の場合、線路RL1上の区間ATS4に列車TR1が在線しているが、線路RL2には列車は在線していない。列車TR1について、もし、列車識別情報の記憶を持たないとすれば、地上側の認識としては、無線測距の等距離特性Φ1から、区間ATS4かBTSの何れかに、列車TR1が在線していることまでは認識できるが、列車TR1が線路RL1の区間ATS4に在線する、とまでは特定できない。
【0019】
そこで、図2に示すように、区間ATS4、BTSに地上子131、132を設置する。こうすることにより、地上子131と列車TR1の結合情報を使用することで、列車TR1が、区間ATS4に在線していると特定することができる。即ち、列車TR1と地上子131の間で通信を行い、地上子131から得た情報により列車TR1が地上子131と結合したことを、一意に判別する。
【0020】
図3の場合は、区間ATS4に在線する列車TR1が地上子ATS4と結合し、区間BTS4に在線する列車TR2が地上子132と結合する。したがって、列車TR1が、区間ATS4に在線し、列車TR2が、区間BTS4に在線していることを、特定することができる。
【0021】
図4は本発明に係る列車制御装置の構成を模式的に示す図である。この例では、線路RL1を上り線路、線路RL2を下り線路として説明する。
【0022】
上りの線路RL1には、分岐された線路RL3が接続されている。分岐点には、当然に転轍機が備えられる。無線測距は、この分岐点に備えられた転轍機を境界として、その外側の領域(図において、分岐点よりは左側)において実行される。
【0023】
列車制御装置は、線路RL1、RL2の沿線に設置された地上子131、132を含んでいる。地上子131、132は、ループその他のアンテナで構成することができる。地上子131、132は、無電源タイプであってもよいし、有電源タイプであってもよい。地上子131、132に無電源タイプのものを用いた場合は、地上装置1は車上装置1との無線通信によって列車識別情報を受信することができる。地上子131、132に有電源タイプのものを用いた場合は、地上装置1は地上子131、132から直接に列車の列車識別情報を受信することができる。図は、有電源タイプの地上子を用いた場合を示している。
【0024】
地上装置1は、地上子131、132と車上装置2に接続された車上子21との結合より、線路RL1、RL2に在線する列車の列車識別情報を取得する。図示の場合、列車TR1が地上子131の設置された線路RLに在線しているので、地上装置1は、地上子131と、車上装置2に接続された車上子21との結合より、線路RL1に列車TR1が在線するという列車識別情報を取得することになる。
【0025】
図5は、地上装置1及び車上装置2の構成を示す図である。図を参照すると、車上装置2は、信号処理部23と、車上無線機24と、車上アンテナ201、202とを有する。信号処理部23は、自列車の列車識別情報を車上子21に供給するとともに、車上無線機24と信号の授受を行なう。
【0026】
地上装置1は、信号処理部11及び地上無線機12を備えている。信号処理部11には、地上子131、132が接続されており、信号処理部11は、地上子131、132から供給される列車情報を解読する。列車情報には、列車識別情報が含まれており、したがって、地上子131、132から供給される信号を、信号処理部11で解読することにより、地上子131、132の上を通った列車を特定することができる。
【0027】
地上無線機12は、アンテナ14から、無線測距のための電波を放射させる。無線測距は、地上装置1と車上装置2との間の無線通信により実行される。即ち、地上装置1と車上装置2との間の無線通信により、線路RL1、RL2の沿線に設定された特定地点P1から、車上装置2を搭載する列車TR1までの無線測距を実行する。これにより、無線測距に基づく列車TR1の位置追跡が行なわれる。
【0028】
本発明に係る列車制御装置では、更に、上述した無線測距に加えて、列車識別情報を取得のための構成を有する。その手段として、線路RL1、RL2の沿線に設置された地上子131、132を含んでおり、地上装置1は、地上子131、132と、車上装置2に接続された車上子21との結合より、地上子131、132の付設された線路RL1、RL2に在線する列車の列車識別情報を取得する。図4の場合、線路RL1に列車TR1が在線しており、地上子131と、車上装置2に接続された車上子21との結合より、線路RL1に列車TR1が在線するという列車識別情報が、地上装置1によって取得される。
【0029】
従って、停電等により、列車制御システムがダウンした後、運転を再開した場合においても、列車TR1が、線路RL1ではなく、線路RL1に在線していると、地上装置1において判断できるから、列車制御システムがダウンした後の運転再開時における列車運行の混乱を回避できる。
【0030】
列車制御システムがダウンした後の運転再開時において、列車TR1、TR2とその走行線路RL1、RL2との関係を、地上装置1において判断できるようにするためには、列車制御システムのダウンにも関わらず、列車識別情報を、地上装置1が保持できるようにしなければならないが、そのような手段は、不揮発メモリ等を利用することによって容易に実現できる。図6はその具体例を示している。
【0031】
図6を参照すると、地上装置1の信号処理部は、位置検知部111と、不揮発性のメモリ112と、軌道情報データベース113とを含んでいる。地上装置では、車上装置から得た地上子の列車識別情報と地上子位置が登録された軌道情報データベース113により、列車がどの位置に敷設された地上子と結合したかを判断することができる。
【0032】
地上子IF(インターフェース)部115は、地上子から受信した列車との結合情報を位置検知部111に送信する。位置検知部111では、列車が単線区間に在線している場合には、無線機IF部114から得た測距情報により車上無線機24の位置を特定する。
【0033】
軌道情報データベース113には、仮想的に分割した各区間の始点と終点の位置、地上子131、132の設置位置が記録されている。列車が複線上に在線している場合には、地上子IF部115から得た地上子131、132の列車識別情報及び列車の列車識別情報を受信する。そしてその地上子131、132の列車識別情報をキーとして軌道情報テーブルを検索し、地上子131、132の位置を特定する。そして単線区間の場合と同様に、無線機IF部114から得た測距情報により車上無線機24の位置を特定する。
【0034】
位置検知部111によって列車の位置が特定されたら、列車の列車識別情報と列車が位置する区間を識別する情報の組を不揮発性メモリ112に記憶する。不揮発性メモリ112の代わりに磁気記憶媒体、バッテリでバックアップされたメモリモジュールを用いてもよい。
【0035】
さらに、地上装置1と車上装置2との無線通信により、地上子131、132の有する列車識別情報、及び、列車自体が有する列車識別情報を、地上装置1において取得する構成を採用することができる。この場合は、地上装置1は、車上装置2と結合した地上子131、132から得た列車識別情報と、地上無線機12から得た列車識別情報を照合して、情報のバイタル性の向上を図ることができる。列車識別情報には、車上無線機識別符号(ID)、列車長、列車上における車上無線機24の搭載位置、各車上無線機識別符号(ID)を含むことができる。
【0036】
本発明に係る列車制御装置の具体的な適用にあたっては、線路RL1、RL2を、仮想的な複数の区間に区切る。地上装置1は、列車TR1、TR2の位置追跡を行うたびに、列車TR1、TR2の先頭が位置する区間と、列車TR1、TR2の列車長を含む列車識別情報とを、電源が落ちても記憶情報の消えない記憶媒体に記憶する。そして、電源が落ちて位置追跡不可能となった後、電源が復帰して、位置追跡不可能となる前と同じ列車識別情報が受信されたとき、受信された前記列車識別情報と、前記記憶媒体の記憶情報とより、当該列車TR1、TR2が在線している区間を推定する。
【0037】
別の態様では、線路RL1、RL2を仮想的な複数の区間に区切っておく。地上装置1は、列車TR1、TR2の位置追跡を行うたびに、列車前後の両運転台の位置する区間と、両運転台の持つ列車識別情報とを、電源が落ちても記憶情報の消えない記憶媒体に記憶する。そして、電源が落ちて位置追跡不可能となった後、電源が復帰して、位置追跡不可能となる前と同じ列車識別情報が受信されたとき、受信された前記列車識別情報と、前記記憶媒体の記憶情報とより、当該列車TR1、TR2が在線している区間を推定する。
【0038】
上記二つの態様において、前記地上装置1は、電源が復帰した後に、追跡不可能となった列車TR1、TR2の列車識別情報を受信したが、列車TR1、TR2が在線していると推定される区間に割り当てられた列車識別情報と一致しなかったとき、列車TR1、TR2が在線していると推定される区間に割り当てられた列車識別情報を、前記記憶媒体から削除する機能を有することができる。
【0039】
更に、区間に対応する列車識別情報を地上装置1で記憶していない状態で、複線区間に在線する列車TR1、TR2からの列車識別情報を受信したときに、列車TR1、TR2の在線する線路RL1、RL2を識別できる地上子からの補助的な情報を受け、列車TR1、TR2の在線位置を一意に特定する構成を採用することもできる。
【0040】
次に、上述した具体的適用例について、図7乃至図10を参照して説明する。
【0041】
まず、図7の例では、線路RL1を複数の区間A〜Cに区画し、線路RL2を複数の区間E〜Gに区画してある。列車TR1は、列車長L1であり、区間Aに在線している。列車TR3は、列車長L2であり、区間B、Cに跨って在線している。図8の表1は、図7の列車在線時において、地上装置1がダウンした後、再立ち上げしたときの地上装置の認識動作を示している。
【0042】
地上装置1がダウンし、再立ち上げした後、複線の線路RL1、RL2上に在線している列車から列車識別情報を受信したら、表の車上無線機IDに該当する車上無線機IDが、送られてきた列車識別情報として、不揮発性メモリ112に記憶されているかを確認する。
【0043】
不揮発性メモリ112に該当する列車の列車識別情報が見つかったら、その列車の列車識別情報と組で記録されている区間IDを、測距データから現在列車が在線していると推定される候補の区間IDと比較する。
【0044】
両者を比較し、唯一、一致致する区間があったならば、測距データから車上無線機位置を特定し、列車長と車上無線機の搭載位置で列車の在線範囲を特定する。
【0045】
図7の例では、列車TR1の車上無線機201、及び、列車TR3の車上無線機203は図上左端に搭載されている。車上無線機の搭載位置が列車によって異なる場合には、列車識別情報に車上無線機の搭載位置を入れ、不揮発性メモリ112に記憶する。
【0046】
上述した確認処理の結果、もしIDが一致する区間が一つもなかったら、地上装置1がダウンした後に、列車が他の区間に移動したと判断し、列車の位置を誤って判定してしまうことを防ぐため、その列車の列車識別情報と区間IDの組を不揮発性メモリ112から消去する。
【0047】
図9は、別の列車の場合を示している。図9の例では、列車TR1は前後に車上無線機201、202を備えており、列車TR3も前後に車上無線機203、204を備えている。
【0048】
図9のように列車が在線している場合、区間IDと車上無線機IDを図10の表2で示すように管理する。地上装置1がダウンし、再立ち上げした後、複線上に在線している列車から列車の列車識別情報を受信したら、図10の車上無線機IDに該当する車上無線機IDが列車識別情報にあるか確認する。不揮発性メモリ112に該当する列車の列車識別情報が見つかったら、その列車の列車識別情報と組で記録されている区間のIDを、測距データから現在列車が在線していると推定される候補の区間のIDと比較する。
【0049】
両者を比較し、唯一、一致する区間があったならば、測距データと特定した区間から列車の在線位置を一意に特定する。もし区間IDが一致する区間が一つもなかったら、地上装置1がダウンした後に、列車が他の区間に移動したと判断し、列車の位置を誤って判定してしまうことを防ぐため、その列車の列車識別情報と区間IDの組を不揮発性メモリ112から消去する。
【0050】
図11は、全体的な動作を説明するフローチャートである。複線上に列車が在線している場合、無線測距により列車の候補位置が複数選出される。その場合、地上子からの列車検知情報が受信されない限り列車の在線線路を特定できない。
【0051】
地上子から列車の列車識別情報を含む検知情報が送られてきた場合、無線測距で得た列車の列車識別情報と地上子から得た列車の列車識別情報を比較する。また選出された列車の候補位置に設置されている地上子で列車が検知されたかどうかも確認する。両方の条件を満たした場合には、列車の在線線路をその地上子が設置されている側の線路に特定する。
【0052】
以上、実施の形態を参照して説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々の変形、変更が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】複線上での列車の在線と、そのときの無線測距の関係を示す図である。
【図2】複線上での列車の在線と本発明に係る列車制御装置との関係を示す図である。
【図3】複線上での列車の在線と、本発明に係る列車制御装置との別の関係を示す図である。
【図4】本発明に係る列車制御装置の構成を模式的に示す図である。
【図5】地上装置及び車上装置の構成を示す図である。
【図6】地上装置の信号処理部の構成を示すブロック図である。
【図7】列車在線の一例を示す図である。
【図8】図7の列車在線時において、地上装置がダウンした後、再立ち上げしたときの地上装置の認識動作を示す図である。
【図9】列車在線の他の一例を示す図である。
【図10】図9の列車在線時において、地上装置がダウンした後、再立ち上げしたときの地上装置の認識動作を示す図である。
【図11】全体的な動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1 地上装置
2 車上装置
13 地上子
TR1〜TR3 列車
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線測距を用いた追跡式の列車制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線測距を用いた追跡式列車制御装置は、従来の軌道回路を用いた列車追跡方式と異なって、車上装置と地上装置と間の無線通信により、線路の沿線に設定された特定地点から車上装置を搭載する列車までの無線測距を実行し、無線測距に基づき列車の位置追跡を行うものである。
【0003】
ところが、この種の列車制御装置では、例えば、上り及び下りの平行する複数の線路がある場合、沿線の測距地点と列車の間の距離が分かったとしても、その列車がどの線路を走行しているか区別できないために、列車の在線する位置を特定することができない。上りまたは下りの線路が、それぞれ複数ある場合も同様である。このため、停電等により、列車制御システムがダウンした場合、列車運行の再開に大きな混乱を引き起こす。
【0004】
特許文献1には無線測距による列車検知方式が開示されているが、上述する問題点の指摘及び解決手段が記載されていない。
【特許文献1】特表平7−507752号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、特定地点から離れた位置に在線する列車が、どの線路を走行しているかを、確実に区別できる無線測距追跡式列車制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明に係る列車制御装置は、車上装置と地上装置とを含み、両装置間の無線通信により、線路の沿線に設定された特定地点から前記車上装置を搭載する列車までの無線測距を実行し、前記無線測距に基づき列車の位置追跡を行う。
【0007】
この列車制御装置は、前記線路の沿線に付設された地上子を含んでおり、前記地上装置は、前記地上子と前記車上装置に接続された車上子との結合より、前記地上子の付設された線路に在線する列車の列車識別情報を取得する。
【0008】
上述したように、本発明に係る列車制御装置は、前記線路の沿線に付設された地上子を含んでおり、地上装置は、前記地上子と前記車上装置に接続された車上子との結合より、前記地上子の付設された線路に在線する列車の列車識別情報を取得するから、停電等により、列車制御システムがダウンした後の運転再開時においても、列車とその在線線路との関係を、地上装置において判断できる。このため、列車制御システムがダウンした後の運転再開時における列車運行の混乱を回避できる。
【0009】
地上子は、無電源タイプであってもよいし、有電源タイプであってもよい。地上子に無電源タイプのものを用いた場合は、地上装置は地上無線機経由だけから列車の列車識別情報を受信することができる。地上子に有電源タイプのものを用いた場合は、地上装置は直接地上子だけから列車の列車識別情報を受信することができる。
【0010】
列車制御システムがダウンした後の運転再開時において、列車とその在線線路との関係を、地上装置において判断できるようにするためには、列車制御システムのダウンにも関わらず、列車識別情報とその在線線路情報を、地上装置が保持できるようにしなければならないが、そのような手段は、電源が落ちても記憶情報の消えない記憶媒体(不揮発メモリ)を利用することによって容易に実現できる。
【0011】
本発明に係る列車制御装置の具体的適用にあたっては、線路を、仮想的な複数の区間に区切る。地上装置は、列車の位置追跡を行うたびに、列車の先頭が位置する区間と、列車の列車長を含む列車識別情報とを、電源が落ちても記憶情報の消えない記憶媒体に記憶する。そして、電源が落ちて位置追跡不可能となった後、電源が復帰して、位置追跡不可能となる前と同じ列車識別情報が受信されたとき、受信された前記列車識別情報と、前記記憶媒体の記憶情報とより、当該列車が在線している区間を推定する。
【0012】
もう1つの具体的態様では、線路を仮想的な複数の区間に区切っておく。地上装置は、列車の位置追跡を行うたびに、列車前後の両運転台の位置する区間と、両運転台の持つ列車識別情報とを、電源が落ちても記憶情報の消えない記憶媒体に記憶する。そして、電源が落ちて位置追跡不可能となった後、電源が復帰して、位置追跡不可能となる前と同じ列車識別情報が受信されたとき、受信された前記列車識別情報と、前記記憶媒体の記憶情報とより、当該列車が在線している区間を推定する。
【0013】
上記二つの態様において、前記地上装置は、電源が復帰した後に、追跡不可能となった列車の列車識別情報を受信したが、列車が在線していると推定される区間に割り当てられた列車識別情報と一致しなかったとき、列車が在線していると推定される区間に割り当てられた列車識別情報を、前記記憶媒体から削除する機能を有することができる。
【0014】
更に、区間に対応する列車識別情報を地上装置で記憶していない状態で、複線区間に在線する列車からの列車識別情報を受信したときに、列車の在線する線路を識別できる地上子からの補助的な情報を受け、列車の在線位置を一意に特定する構成を採用することもできる。
【発明の効果】
【0015】
以上述べたように、本発明によれば、特定地点から離れた位置に在線する列車が、どの線路を走行しているかを、確実に区別できる無線測距追跡式列車制御装置を提供することができる。
【0016】
発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照し、更に具体的に説明する。図面は単なる例示に過ぎない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、複線上での列車の在線と、そのときの無線測距の関係を示す図である。列車TR1は車上装置2を含んでおり、地上装置1と車上装置2との間の無線通信により、線路RL1、RL2の沿線に設定された特定地点P1から車上装置2を搭載する列車TR1までの無線測距を実行し、無線測距に基づき列車の位置追跡を行う。
【0018】
図示の場合、線路RL1上の区間ATS4に列車TR1が在線しているが、線路RL2には列車は在線していない。列車TR1について、もし、列車識別情報の記憶を持たないとすれば、地上側の認識としては、無線測距の等距離特性Φ1から、区間ATS4かBTSの何れかに、列車TR1が在線していることまでは認識できるが、列車TR1が線路RL1の区間ATS4に在線する、とまでは特定できない。
【0019】
そこで、図2に示すように、区間ATS4、BTSに地上子131、132を設置する。こうすることにより、地上子131と列車TR1の結合情報を使用することで、列車TR1が、区間ATS4に在線していると特定することができる。即ち、列車TR1と地上子131の間で通信を行い、地上子131から得た情報により列車TR1が地上子131と結合したことを、一意に判別する。
【0020】
図3の場合は、区間ATS4に在線する列車TR1が地上子ATS4と結合し、区間BTS4に在線する列車TR2が地上子132と結合する。したがって、列車TR1が、区間ATS4に在線し、列車TR2が、区間BTS4に在線していることを、特定することができる。
【0021】
図4は本発明に係る列車制御装置の構成を模式的に示す図である。この例では、線路RL1を上り線路、線路RL2を下り線路として説明する。
【0022】
上りの線路RL1には、分岐された線路RL3が接続されている。分岐点には、当然に転轍機が備えられる。無線測距は、この分岐点に備えられた転轍機を境界として、その外側の領域(図において、分岐点よりは左側)において実行される。
【0023】
列車制御装置は、線路RL1、RL2の沿線に設置された地上子131、132を含んでいる。地上子131、132は、ループその他のアンテナで構成することができる。地上子131、132は、無電源タイプであってもよいし、有電源タイプであってもよい。地上子131、132に無電源タイプのものを用いた場合は、地上装置1は車上装置1との無線通信によって列車識別情報を受信することができる。地上子131、132に有電源タイプのものを用いた場合は、地上装置1は地上子131、132から直接に列車の列車識別情報を受信することができる。図は、有電源タイプの地上子を用いた場合を示している。
【0024】
地上装置1は、地上子131、132と車上装置2に接続された車上子21との結合より、線路RL1、RL2に在線する列車の列車識別情報を取得する。図示の場合、列車TR1が地上子131の設置された線路RLに在線しているので、地上装置1は、地上子131と、車上装置2に接続された車上子21との結合より、線路RL1に列車TR1が在線するという列車識別情報を取得することになる。
【0025】
図5は、地上装置1及び車上装置2の構成を示す図である。図を参照すると、車上装置2は、信号処理部23と、車上無線機24と、車上アンテナ201、202とを有する。信号処理部23は、自列車の列車識別情報を車上子21に供給するとともに、車上無線機24と信号の授受を行なう。
【0026】
地上装置1は、信号処理部11及び地上無線機12を備えている。信号処理部11には、地上子131、132が接続されており、信号処理部11は、地上子131、132から供給される列車情報を解読する。列車情報には、列車識別情報が含まれており、したがって、地上子131、132から供給される信号を、信号処理部11で解読することにより、地上子131、132の上を通った列車を特定することができる。
【0027】
地上無線機12は、アンテナ14から、無線測距のための電波を放射させる。無線測距は、地上装置1と車上装置2との間の無線通信により実行される。即ち、地上装置1と車上装置2との間の無線通信により、線路RL1、RL2の沿線に設定された特定地点P1から、車上装置2を搭載する列車TR1までの無線測距を実行する。これにより、無線測距に基づく列車TR1の位置追跡が行なわれる。
【0028】
本発明に係る列車制御装置では、更に、上述した無線測距に加えて、列車識別情報を取得のための構成を有する。その手段として、線路RL1、RL2の沿線に設置された地上子131、132を含んでおり、地上装置1は、地上子131、132と、車上装置2に接続された車上子21との結合より、地上子131、132の付設された線路RL1、RL2に在線する列車の列車識別情報を取得する。図4の場合、線路RL1に列車TR1が在線しており、地上子131と、車上装置2に接続された車上子21との結合より、線路RL1に列車TR1が在線するという列車識別情報が、地上装置1によって取得される。
【0029】
従って、停電等により、列車制御システムがダウンした後、運転を再開した場合においても、列車TR1が、線路RL1ではなく、線路RL1に在線していると、地上装置1において判断できるから、列車制御システムがダウンした後の運転再開時における列車運行の混乱を回避できる。
【0030】
列車制御システムがダウンした後の運転再開時において、列車TR1、TR2とその走行線路RL1、RL2との関係を、地上装置1において判断できるようにするためには、列車制御システムのダウンにも関わらず、列車識別情報を、地上装置1が保持できるようにしなければならないが、そのような手段は、不揮発メモリ等を利用することによって容易に実現できる。図6はその具体例を示している。
【0031】
図6を参照すると、地上装置1の信号処理部は、位置検知部111と、不揮発性のメモリ112と、軌道情報データベース113とを含んでいる。地上装置では、車上装置から得た地上子の列車識別情報と地上子位置が登録された軌道情報データベース113により、列車がどの位置に敷設された地上子と結合したかを判断することができる。
【0032】
地上子IF(インターフェース)部115は、地上子から受信した列車との結合情報を位置検知部111に送信する。位置検知部111では、列車が単線区間に在線している場合には、無線機IF部114から得た測距情報により車上無線機24の位置を特定する。
【0033】
軌道情報データベース113には、仮想的に分割した各区間の始点と終点の位置、地上子131、132の設置位置が記録されている。列車が複線上に在線している場合には、地上子IF部115から得た地上子131、132の列車識別情報及び列車の列車識別情報を受信する。そしてその地上子131、132の列車識別情報をキーとして軌道情報テーブルを検索し、地上子131、132の位置を特定する。そして単線区間の場合と同様に、無線機IF部114から得た測距情報により車上無線機24の位置を特定する。
【0034】
位置検知部111によって列車の位置が特定されたら、列車の列車識別情報と列車が位置する区間を識別する情報の組を不揮発性メモリ112に記憶する。不揮発性メモリ112の代わりに磁気記憶媒体、バッテリでバックアップされたメモリモジュールを用いてもよい。
【0035】
さらに、地上装置1と車上装置2との無線通信により、地上子131、132の有する列車識別情報、及び、列車自体が有する列車識別情報を、地上装置1において取得する構成を採用することができる。この場合は、地上装置1は、車上装置2と結合した地上子131、132から得た列車識別情報と、地上無線機12から得た列車識別情報を照合して、情報のバイタル性の向上を図ることができる。列車識別情報には、車上無線機識別符号(ID)、列車長、列車上における車上無線機24の搭載位置、各車上無線機識別符号(ID)を含むことができる。
【0036】
本発明に係る列車制御装置の具体的な適用にあたっては、線路RL1、RL2を、仮想的な複数の区間に区切る。地上装置1は、列車TR1、TR2の位置追跡を行うたびに、列車TR1、TR2の先頭が位置する区間と、列車TR1、TR2の列車長を含む列車識別情報とを、電源が落ちても記憶情報の消えない記憶媒体に記憶する。そして、電源が落ちて位置追跡不可能となった後、電源が復帰して、位置追跡不可能となる前と同じ列車識別情報が受信されたとき、受信された前記列車識別情報と、前記記憶媒体の記憶情報とより、当該列車TR1、TR2が在線している区間を推定する。
【0037】
別の態様では、線路RL1、RL2を仮想的な複数の区間に区切っておく。地上装置1は、列車TR1、TR2の位置追跡を行うたびに、列車前後の両運転台の位置する区間と、両運転台の持つ列車識別情報とを、電源が落ちても記憶情報の消えない記憶媒体に記憶する。そして、電源が落ちて位置追跡不可能となった後、電源が復帰して、位置追跡不可能となる前と同じ列車識別情報が受信されたとき、受信された前記列車識別情報と、前記記憶媒体の記憶情報とより、当該列車TR1、TR2が在線している区間を推定する。
【0038】
上記二つの態様において、前記地上装置1は、電源が復帰した後に、追跡不可能となった列車TR1、TR2の列車識別情報を受信したが、列車TR1、TR2が在線していると推定される区間に割り当てられた列車識別情報と一致しなかったとき、列車TR1、TR2が在線していると推定される区間に割り当てられた列車識別情報を、前記記憶媒体から削除する機能を有することができる。
【0039】
更に、区間に対応する列車識別情報を地上装置1で記憶していない状態で、複線区間に在線する列車TR1、TR2からの列車識別情報を受信したときに、列車TR1、TR2の在線する線路RL1、RL2を識別できる地上子からの補助的な情報を受け、列車TR1、TR2の在線位置を一意に特定する構成を採用することもできる。
【0040】
次に、上述した具体的適用例について、図7乃至図10を参照して説明する。
【0041】
まず、図7の例では、線路RL1を複数の区間A〜Cに区画し、線路RL2を複数の区間E〜Gに区画してある。列車TR1は、列車長L1であり、区間Aに在線している。列車TR3は、列車長L2であり、区間B、Cに跨って在線している。図8の表1は、図7の列車在線時において、地上装置1がダウンした後、再立ち上げしたときの地上装置の認識動作を示している。
【0042】
地上装置1がダウンし、再立ち上げした後、複線の線路RL1、RL2上に在線している列車から列車識別情報を受信したら、表の車上無線機IDに該当する車上無線機IDが、送られてきた列車識別情報として、不揮発性メモリ112に記憶されているかを確認する。
【0043】
不揮発性メモリ112に該当する列車の列車識別情報が見つかったら、その列車の列車識別情報と組で記録されている区間IDを、測距データから現在列車が在線していると推定される候補の区間IDと比較する。
【0044】
両者を比較し、唯一、一致致する区間があったならば、測距データから車上無線機位置を特定し、列車長と車上無線機の搭載位置で列車の在線範囲を特定する。
【0045】
図7の例では、列車TR1の車上無線機201、及び、列車TR3の車上無線機203は図上左端に搭載されている。車上無線機の搭載位置が列車によって異なる場合には、列車識別情報に車上無線機の搭載位置を入れ、不揮発性メモリ112に記憶する。
【0046】
上述した確認処理の結果、もしIDが一致する区間が一つもなかったら、地上装置1がダウンした後に、列車が他の区間に移動したと判断し、列車の位置を誤って判定してしまうことを防ぐため、その列車の列車識別情報と区間IDの組を不揮発性メモリ112から消去する。
【0047】
図9は、別の列車の場合を示している。図9の例では、列車TR1は前後に車上無線機201、202を備えており、列車TR3も前後に車上無線機203、204を備えている。
【0048】
図9のように列車が在線している場合、区間IDと車上無線機IDを図10の表2で示すように管理する。地上装置1がダウンし、再立ち上げした後、複線上に在線している列車から列車の列車識別情報を受信したら、図10の車上無線機IDに該当する車上無線機IDが列車識別情報にあるか確認する。不揮発性メモリ112に該当する列車の列車識別情報が見つかったら、その列車の列車識別情報と組で記録されている区間のIDを、測距データから現在列車が在線していると推定される候補の区間のIDと比較する。
【0049】
両者を比較し、唯一、一致する区間があったならば、測距データと特定した区間から列車の在線位置を一意に特定する。もし区間IDが一致する区間が一つもなかったら、地上装置1がダウンした後に、列車が他の区間に移動したと判断し、列車の位置を誤って判定してしまうことを防ぐため、その列車の列車識別情報と区間IDの組を不揮発性メモリ112から消去する。
【0050】
図11は、全体的な動作を説明するフローチャートである。複線上に列車が在線している場合、無線測距により列車の候補位置が複数選出される。その場合、地上子からの列車検知情報が受信されない限り列車の在線線路を特定できない。
【0051】
地上子から列車の列車識別情報を含む検知情報が送られてきた場合、無線測距で得た列車の列車識別情報と地上子から得た列車の列車識別情報を比較する。また選出された列車の候補位置に設置されている地上子で列車が検知されたかどうかも確認する。両方の条件を満たした場合には、列車の在線線路をその地上子が設置されている側の線路に特定する。
【0052】
以上、実施の形態を参照して説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々の変形、変更が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】複線上での列車の在線と、そのときの無線測距の関係を示す図である。
【図2】複線上での列車の在線と本発明に係る列車制御装置との関係を示す図である。
【図3】複線上での列車の在線と、本発明に係る列車制御装置との別の関係を示す図である。
【図4】本発明に係る列車制御装置の構成を模式的に示す図である。
【図5】地上装置及び車上装置の構成を示す図である。
【図6】地上装置の信号処理部の構成を示すブロック図である。
【図7】列車在線の一例を示す図である。
【図8】図7の列車在線時において、地上装置がダウンした後、再立ち上げしたときの地上装置の認識動作を示す図である。
【図9】列車在線の他の一例を示す図である。
【図10】図9の列車在線時において、地上装置がダウンした後、再立ち上げしたときの地上装置の認識動作を示す図である。
【図11】全体的な動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1 地上装置
2 車上装置
13 地上子
TR1〜TR3 列車
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車上装置と地上装置とを含み、両装置間の無線通信により、線路の沿線に設定された特定地点から前記車上装置を搭載する列車までの無線測距を実行し、前記無線測距に基づき列車の位置追跡を行う列車制御装置であって、
前記線路の沿線に付設された地上子を含んでおり、
前記地上装置は、前記地上子と前記車上装置に接続された車上子との結合より、前記地上子の付設された線路に在線する列車の列車識別情報を取得する、
列車制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載された列車制御装置であって、
前記線路は、仮想的な複数の区間に区切られており、
前記地上装置は、
列車の位置追跡を行うたびに、列車の先頭が位置する区間と、列車の列車長を含む列車識別情報とを、電源が落ちても記憶情報の消えない記憶媒体に記憶し、
電源が落ちて位置追跡不可能となった後、電源が復帰して、位置追跡不可能となる前と同じ列車識別情報が受信されたとき、受信された前記列車識別情報と、前記記憶媒体の記憶情報とより、当該列車が在線している区間を推定する、
列車制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載された列車制御装置であって、
前記線路は、仮想的な複数の区間に区切られており、
前記地上装置は、
列車の位置追跡を行うたびに、列車前後の両運転台の位置する区間と、両運転台の持つ列車識別情報とを、電源が落ちても記憶情報の消えない記憶媒体に記憶し、
電源が落ちて位置追跡不可能となった後、電源が復帰して、位置追跡不可能となる前と同じ列車識別情報が受信されたとき、受信された前記列車識別情報と、前記記憶媒体の記憶情報とより、当該列車が在線している区間を推定する、
列車制御装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載された列車制御装置であって、
前記地上装置は、電源が復帰した後に、追跡不可能となった列車の列車識別情報を受信したが、列車が在線していると推定される区間に割り当てられた列車識別情報と一致しなかったとき、列車が在線していると推定される区間に割り当てられた列車識別情報を、前記記憶媒体から削除する機能を有する、
列車制御装置。
【請求項5】
請求項2乃至4の何れかに記載された列車制御装置であって、
区間に対応する列車識別情報を地上装置で記憶していない状態で、複線区間に在線する列車からの列車識別情報を受信したときに、列車の在線する線路を識別できる地上子からの補助的な情報を受け、列車の在線位置を一意に特定する
列車制御装置。
【請求項1】
車上装置と地上装置とを含み、両装置間の無線通信により、線路の沿線に設定された特定地点から前記車上装置を搭載する列車までの無線測距を実行し、前記無線測距に基づき列車の位置追跡を行う列車制御装置であって、
前記線路の沿線に付設された地上子を含んでおり、
前記地上装置は、前記地上子と前記車上装置に接続された車上子との結合より、前記地上子の付設された線路に在線する列車の列車識別情報を取得する、
列車制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載された列車制御装置であって、
前記線路は、仮想的な複数の区間に区切られており、
前記地上装置は、
列車の位置追跡を行うたびに、列車の先頭が位置する区間と、列車の列車長を含む列車識別情報とを、電源が落ちても記憶情報の消えない記憶媒体に記憶し、
電源が落ちて位置追跡不可能となった後、電源が復帰して、位置追跡不可能となる前と同じ列車識別情報が受信されたとき、受信された前記列車識別情報と、前記記憶媒体の記憶情報とより、当該列車が在線している区間を推定する、
列車制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載された列車制御装置であって、
前記線路は、仮想的な複数の区間に区切られており、
前記地上装置は、
列車の位置追跡を行うたびに、列車前後の両運転台の位置する区間と、両運転台の持つ列車識別情報とを、電源が落ちても記憶情報の消えない記憶媒体に記憶し、
電源が落ちて位置追跡不可能となった後、電源が復帰して、位置追跡不可能となる前と同じ列車識別情報が受信されたとき、受信された前記列車識別情報と、前記記憶媒体の記憶情報とより、当該列車が在線している区間を推定する、
列車制御装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載された列車制御装置であって、
前記地上装置は、電源が復帰した後に、追跡不可能となった列車の列車識別情報を受信したが、列車が在線していると推定される区間に割り当てられた列車識別情報と一致しなかったとき、列車が在線していると推定される区間に割り当てられた列車識別情報を、前記記憶媒体から削除する機能を有する、
列車制御装置。
【請求項5】
請求項2乃至4の何れかに記載された列車制御装置であって、
区間に対応する列車識別情報を地上装置で記憶していない状態で、複線区間に在線する列車からの列車識別情報を受信したときに、列車の在線する線路を識別できる地上子からの補助的な情報を受け、列車の在線位置を一意に特定する
列車制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−213084(P2006−213084A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−25299(P2005−25299)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】
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