説明

制御された拍動的洗浄機能を有する洗浄用シリンジアセンブリ

押子(130)がシリンジ外筒(110)内で遠位方向に移動する際に押子(130)を拍動的に移動させ、それと同時にカテーテルへの過圧を防止することのできる洗浄用シリンジアセンブリ(100)が提供される。例示的な洗浄用シリンジアセンブリは、第一の拍動発生要素(126)および洗浄用溶液を収容する液室(115)を有するシリンジ外筒と、ストッパ(160)および、第一の拍動発生要素との相互作用により押子の拍動的運動を発生させる係合力を提供する第二の拍動発生要素(136)を有する押子と、押子に拍動制御要素(190)とともに摺動可能に取り付けられた母指押込み部(170)と、を含む。拍動制御要素は圧縮可能で、第一の拍動発生要素と第二の拍動発生要素の係合力より大きな圧縮力を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、カテーテルの制御された拍動的(脈動的;pulsatile)洗浄を実行することのできる洗浄用シリンジアセンブリとその他の血管アクセス装置(VAD;vascular accessing device)ならびにカテーテルの洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
VADは一般的に使用されている治療用器材であり、その1つにIVカテーテルがある。VADは概して、末梢カテーテルと中心静脈カテーテルの2つに分類される。保守を正しく行わないと、VADが閉塞することがある。常にVADが適正に使用され、閉塞しないようにするために、実務基準が策定されている。これらの基準には、クリーニング作業が含まれており、これを一般に洗浄作業またはカテーテルの洗浄と呼ぶ。
【0003】
VADの実務基準では通常、洗浄作業をカテーテル設置後、輸液前、および投薬、採血、輸血、静脈栄養法の前後に実施することが推奨されている。この洗浄作業の目的は、カテーテルの開通性を確保し、薬物配合禁忌を回避し、所定の薬物量が完全に投与されるようにし、血栓の形成を予防し、血流感染の危険性を低減させることである。洗浄作業には、さまざまな種類と量の洗浄用溶液が必要となる。最も一般的に使用される洗浄用溶液は生理食塩水またはヘパリンロック液である。洗浄用溶液の種類と量は、個々のカテーテルの種類によって異なる。洗浄用溶液の容量としては5から10mlが最も一般的であるが、1mlから20mlとすることができる。
【0004】
洗浄作業に関して、I.V.ラインとは、VADと、クランプを備えるチューブセットとを含むシステムを指し、末端にポートまたはバルブを備えていてもよい。最も一般的な種類のポートは、穿刺可能なセプタムまたはスリット付セプタムによって覆われ、当業界において周知であり、時として「PRN」と呼ばれ、これは「必要に応じて」という意味のラテン語、“pro re nata”に由来する。セプタムは好ましくは、ゴムまたはその他、鋭利なニードルカニューレを挿入できるような弾性材料で作製され、それによって流体をカテーテルに注入し、またはカテーテルから抜き出す。ニードルカニューレを抜去すると、セプタムは自然に密閉される。スリット付セプタムを有するポートの場合、鈍針カニューレまたはシリンジ外筒の切頭円錐形の先端を使用する。シリンジ先端または鈍針カニューレ(通常、シリンジに装着されている)をスリット付セプタムにゆっくりと差し込み、流体連通を確立させる。
【0005】
鋭利な先端を持つ針を必要としない、別タイプの末端I.V.アクセス装置であるI.V.バルブは、シリンジ外筒の切頭円錐形の先端を用いて操作し、シリンジ内部とカテーテルの間を流体連通させる。このようなバルブは、バルブ内の貯蔵室からカテーテルに流体を送達するための構造を含んでいてもよく、当業界では、容積移送式バルブと呼ばれる。このようなバルブは特許文献1に記載されている。
【0006】
洗浄作業は、カテーテルの内部から、閉塞またはその他の悪影響の原因となりうる残屑または残留物を除去するのに、「スタート・ストップ」、「プッシュ・ポーズ」(「プッシュ・パルス」ともいう)または乱流洗浄法を用いることによって、より有効となりうる。残屑または残留物の除去はパージと呼ばれ、血液、血液残留物およびIV薬物の沈着物がカテーテルまたはその他のVAD器材の中に堆積されるのを防止する。このような堆積は、カテーテルシステム内の流体経路の部分的または完全な閉塞の原因となりえ、その影響を受けたカテーテルを、高コストで危険性を伴う方法によってパージするか、またはカテーテル全体を交換する必要が生じることがある。しばしば、このような閉塞によって治療が中断され、患者のケアの支障となりうる。カテーテル内の残留物の堆積はまた、微生物の増殖媒体となり、感染の危険性を高める可能性がある。このような理由により、医療従事者には従来、プッシュ・パルス方式が教示されている。
【0007】
当業者であればわかるように、プッシュ・パルス洗浄方式は、押子に遠位方向への不均一な圧力が加えられ、押子の遠位端が外筒壁に向かって移動するときに、外筒内に収容されている洗浄用溶液が押し出される間に、リンジ外筒内に乱流を誘導し、または起こさせるものである。本明細書においては、用語の使い方として、器材の遠位端は患者に最も近い端であり、器材の近位端は患者から遠く、医療従事者に最も近い端である。カテーテルに上記のような手法を用いた場合、乱流はカテーテル内に誘導される。パルス状の流れによって得られる渦流効果は、カテーテルに付着する残屑や残留物を移動させる。パルス状の流れはまた、拍動流および/または乱流とも呼ばれ、流れのプロファイルに無秩序または変化が見られる流れを含む。パルス状の流れは、押子を有し、押子を前方に押すとシリンジ外筒と相互作用して、自動的に流体の流れと圧力にはっきりとしたパルスを発生させるシリンジによって、比較的制御された方法で提供することができる。プッシュ・パルス方式による制御可能な拍動的流れとは異なり、従来の、すなわち「円滑な」(または、「ストレート」または「層状」とも呼ばれる)洗浄法には、押子に略一定の圧力または力を遠位方向に加えることが必要である。従来の、すなわち円滑な洗浄法ではまた、押子に略直線的に増減する圧力または力を遠位方向に加える場合もある。
【0008】
しかしながら、パルス状の流体の流れを発生させる差動的な力を提供する機能の使用は一般に、薬剤を患者にゆっくりと、制御された方法で送達することが必要な輸液ポンプやその他の送達システムには応用できない。たとえば、ある輸液ポンプには高圧アラームが設けられており、プッシュ・パルス洗浄方式によって生成される力および/または圧力によって高圧アラームが作動してしまうことがある。これに加え、プッシュ・パルス方式とプッシュ・パルス方式が適用される洗浄用シリンジでは、洗浄用シリンジ内の圧力上昇を制御する方法がない。外筒内の押子の拍動的運動を起こさせるための物理的バリアを取り入れた一般的な洗浄用シリンジの場合、使用者が押子にかける力加減を強めることで、押子は物理的バリアを乗り越えることができる。このような物理的バリアを持たない他の洗浄用シリンジでもまた、使用者が外筒内の押子の運動を停止、再開させて、押子の拍動的運動を起こす。これらおよびその他の周知の洗浄用シリンジと手順においては、使用者は、外筒内の圧力が25psi以上に高めることができるような力を押子に加えることになろう。このような外筒内の圧力レベルは、カテーテルまたはその他のVADに過剰な圧力が加わることにつながり、これはまた治療の中断の原因ともなりえ、これは患者のケアを低下させるかもしれない。さらに、洗浄中に外筒内の圧力が高くなると、静脈の破裂も招きかねない。
【0009】
手動のIV治療および輸液ポンプを利用する治療に使用でき、制御された拍動的洗浄を実行できる洗浄用シリンジアセンブリを提供する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,206,861号
【発明の概要】
【0011】
本発明の第一の態様は、洗浄用シリンジアセンブリに関する。1つまたは複数の実施形態において、洗浄用シリンジアセンブリは、第一の拍動発生要素を有する外筒と、外筒内に配置され、第二の拍動発生要素を有する押子と、押子の一方の端に取り付けられた母指押込み部と、母指押込み部と押子の間に配置された拍動制御要素と、を含む。洗浄用シリンジアセンブリはまた、押子のもう一方の端に取り付けられ、外筒の内面との液密密着状態を確立するストッパを含む。外筒の液室は、所定の量の洗浄用溶液を収容することができる。洗浄用溶液は、生理食塩水および/またはヘパリンであってもよい。
【0012】
外筒の第一の拍動発生要素と押子の第二の拍動発生要素は係合して係合力を生じさせ、それによって押子が外筒内で遠位方向に移動する際に押子を拍動的に移動させる。係合力は、押子に加えられる遠位方向の力に抵抗するものということができる。1つまたは複数の実施形態において、第二の拍動発生要素を、第一の拍動発生要素と係合させず、押子が外筒内で遠位方向に移動する際に連続的かつスムーズに移動するように配列してもよい。第一の拍動発生要素は、外筒に配置され、内側に向かって外筒の液室内へと延びる保持リングとしても提供してもよい。第二の拍動発生要素は、押子本体に沿って配置され、押子本体から外側に向かって延びる複数の突起として提供してもよい。この複数の突起は、押子本体に沿って一定間隔で配置してもよい。
【0013】
外筒は、側壁を有していてもよく、その内面は流体を保持するための液室を画定する。外筒は、開放近位端と遠位端を有していてもよく、遠位端は遠位壁とそこから延びる先端を有し、先端には液室と流体連通する通路が通っている。外筒内に配置された押子は、遠位端と、近位端と、遠位端から近位端に延びる押子本体と、を有する。第二の拍動発生要素を押子本体に配置してもよい。母指押込み部は、押子の近位端に摺動可能に取り付けられる。
【0014】
1つまたは複数の実施形態の拍動制御要素は、母指押込み部に遠位方向の力を加えると圧縮されて圧縮力を発生させ、遠位方向の力が解除されると伸張するばねまたは圧縮ばねであってもよい。1つまたは複数の実施形態において、ばねは、母指押込み部に継続的に遠位方向の力を加えると圧縮力が増大し、最終的に係合力より大きくなり、それによって第一の拍動発生要素が第二の拍動発生要素から外れ、押子が遠位方向に移動できることになるようなばね定数を有する。他の改良型では、ばね定数は、第一の拍動発生要素と第二の拍動発生要素が外れることによって、ばねが伸張し、圧縮力が減少することになるような定数である。
【0015】
1つまたは複数の実施形態において、母指押込み部は、近位端と、遠位端と、母指押込み部の遠位端に配置された複数の係合タブと、を有する。1つまたは複数の実施形態の押子は、遠位端、近位端および遠位端と近位端の間の、係合タブを受けるための長さを有する複数の開口部を有していてもよい。係合タブが押子の開口部と係合する場合、係合タブは、母指押込み部に遠位方向の圧縮力が加えられたり、圧縮力が解除されたりすると、複数の開口部の長さに沿って摺動するように構成してもよい。換言すれば、係合タブが押子の開口部と係合する場合、係合タブは、母指押込み部に遠位方向の力が加えられて、ばねが圧縮されたり、その力が解除されたりすると、複数の開口部の長さに沿って摺動するように構成してもよい。したがって、1つまたは複数の実施形態において、ばねの伸張はまた、係合タブを複数の開口部の遠位端まで摺動させ、ばねの圧縮は、係合タブを複数の開口部の近位端まで摺動させる。
【0016】
1つまたは複数の実施形態において、母指押込み部はまたロッキング要素を備えていてもよい。ロッキング要素は、ストッパが外筒の遠位壁と接触したときに第一の拍動発生要素と係合して、母指押込み部を少なくとも部分的に外筒内にロックする。母指押込み部の少なくとも一部が外筒内にロックされると、拍動制御要素は、押子に遠位方向の力を加える。
【0017】
1つまたは複数の実施形態において、洗浄用シリンジアセンブリは、外筒と、外筒内に設置された押子と、押子の遠位端に配置され、外筒の内面との液密密着状態を確立するストッパと、を含んでいてもよい。1つまたは複数の実施形態において、外筒は側壁を有し、その内面は流体を収容するための液室を画定する。外筒はまた、開放近位端と遠位端を有していてもよく、遠位端は遠位壁とそこから延びる先端を有し、先端には前記液室と流体連通する通路が通っている。外筒の開放近位端には、内側に向かって液室内へと延びる少なくとも1つの突出部がある。外筒はまた、液室内に所定の量の洗浄用溶液を保持していてもよい。洗浄用溶液は、生理食塩水またはヘパリンであってもよい。
【0018】
押子は、遠位端と、母指押込み部を有する近位端と、遠位端から近位端に延びる圧縮可能な押子本体と、を有する。押子本体は、押子に沿って配置された複数の突起を有し、これらは、母指押込み部に遠位方向の力が加えられると、外筒の突出部と係合して、可変的な干渉力を発生させ、押子が外筒内で遠位方向に移動する際に押子を拍動的に移動させ、それによって洗浄用溶液にパルス状の流れを起こし、洗浄溶液の圧力を上昇させる。1つの改良型において、押子の複数の突起は、外筒の突出部と協働せず、押子が外筒内で遠位方向に移動する際、押子が連続的かつスムーズに移動するように配列してもよい。外筒の近位端には、突出部が設けられていない部分がある。1つまたは複数の実施形態において、押子は、複数の突起が突出物のない部分と整列し、押子が外筒内で遠位方向に移動する際、押子が連続的かつスムーズに移動するよう、外筒内で回転可能であってもよい。
【0019】
押子本体は中空部分を有していてもよく、その中にはばねがあり、このばねは、ばねが当初は圧縮されて干渉力より小さな力を発生し、母指押込み部に遠位方向の力をさらに加えると、ばねが圧縮されて、干渉力より大きな十分な力を発生させるようなばね定数を有する。
【0020】
1つまたは複数の実施形態において、圧縮可能な押子本体は、押子の近位端に取り付けられた入れ子式伸縮セグメントを有する。入れ子式伸縮セグメントは、摺動して押子本体に出入りし、それによって押子本体の長さが増減する。このような実施形態において、ばねは入れ子式伸縮セグメントと押子本体の間に配置されてもよい。ばねは、押子に遠位方向の力が加えられると圧縮して圧縮力を発生させ、圧縮力が解除されると伸張する。1つまたは複数の実施形態において、ばねの伸張により、入れ子式伸縮セグメントは摺動して押子本体から出て、押子本体の長さが増大し、ばねの圧縮により、入れ子式伸縮セグメントは摺動して押子本体の中に入り、押子本体の長さが減少する。
【0021】
1つまたは複数の実施形態において、複数の突起と外筒の突出部との相互作用によって、係合力が発生し、これが押子に近位方向の力を加える。このような実施形態において、圧縮力が増大すると、押子は係合力に打ち勝ち、複数の突起が突出部から外れる。複数の突起が突出部から外れると、圧縮力が減少する。
【0022】
1つまたは複数の実施形態の押子はロッキング要素を有していてもよく、ロッキング要素は、ストッパが外筒の遠位壁と接触したときに外筒の突出部と係合し、押子の少なくとも一部を外筒内にロックする。押子の少なくとも一部を外筒内にロックすることにより、ばねは押子に遠位方向の力を加える。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】母指押込み部と、拍動制御要素と、押子と、ストッパと、シリンジ外筒と、先端キャップを含む洗浄用シリンジアセンブリのある実施形態の斜視図である。
【図2】図1の洗浄用シリンジアセンブリの分解斜視図である。
【図3】図2に示す洗浄用シリンジアセンブリの線3−3に沿った断面図である。
【図4】図1に示す洗浄用シリンジアセンブリの線1−1に沿った断面図である。
【図5】図4に示す洗浄用シリンジアセンブリの部分拡大図である。
【図6】図3に示す母指押込み部の図である。
【図7】図3に示す押子の図である。
【図7A】図7に示す押子の線7A−7Aに沿った断面図である。
【図7B】図7に示す押子の部分拡大側面図である。
【図8】図3に示すシリンジ外筒の図である。
【図8A】図8に示すシリンジ外筒の側面図である。
【図9】カテーテルコネクタに装着された図4に示す洗浄用シリンジアセンブリの図である。
【図10】押子に遠位方向に初期力が加えられ、外筒上に配置された第一の拍動発生要素と押子に配置された第二の拍動発生要素が係合した後の、図9の洗浄用シリンジアセンブリを示す図である。
【図10A】図10に示す洗浄用シリンジアセンブリの部分拡大図である。
【図11】シリンジ外筒の第一の拍動発生要素が押子の第二の拍動発生要素から外れた後の、図10の洗浄用シリンジアセンブリを示す図である。
【図12】母指押込み部と押子に遠位子方向に連続的に力が加えられ、外筒の第一の拍動発生要素と押子の第二の拍動発生要素がまた係合した後の、図11の洗浄用シリンジアセンブリを示す図である。
【図13】母指押込み部と押子に遠位方向に連続的に力を加えることによって、シリンジ外筒内の内容物が排出された後の、図12の洗浄用シリンジアセンブリを示す図である。
【図14】図13の洗浄用シリンジアセンブリの拍動制御要素の部分拡大図である。
【図15】遠位方向のロッキング力を加えて、母指押込み部をシリンジ外筒にロックした後の、図13の洗浄用シリンジアセンブリを示す図である。
【図16】図15の洗浄用シリンジアセンブリの拍動制御要素の部分拡大図である。
【図17】第二の拍動発生要素が、第一の拍動発生要素と係合しないように位置付けられている、1つまたは複数の実施形態による洗浄用シリンジアセンブリを示す図である。
【図18】遠位方向の力を加えることによって外筒内の内容物を排出し、遠位方向のロッキング力を加えることによって、母指押込み部をシリンジ外筒にロックした、図17の洗浄用シリンジアセンブリを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明のいくつかの例示的実施形態を説明する前に、当然のことながら、本発明は、以下の説明の中に記される構成またはプロセスステップの詳細事項に限定されない。本発明は、他の実施形態をとることができ、またさまざまな方法で実施または実行できる。
【0025】
本発明の第一の態様は、押子の拍動的運動を可能にするように構成された洗浄用シリンジアセンブリに関する。押子の拍動的運動は、洗浄用溶液が押し出される時にこの洗浄用溶液に拍動流を起こさせる。本発明の第一の態様はまた、洗浄用シリンジアセンブリによって押し出されている洗浄用溶液の圧力を制御する拍動制御要素を備える洗浄用シリンジアセンブリも含む。本発明の第一の態様のある実施形態による洗浄用シリンジアセンブリ100を図1から図16に示す。
【0026】
図1は、組み立てられた状態の洗浄用シリンジアセンブリ100を示す。洗浄用シリンジアセンブリ100は、シリンジ外筒(シリンジバレル;syringe barrel)110と、シリンジ外筒110の中に配置される押子(プランジャロッド;plunger rod)130と、押子130の一方の端に取り付けられるストッパ160と、押子130の第二の端に取り付けられる母指押込み部(thumb press)170と、母指押込み部170と押子130の間に配置される拍動制御要素190と、を含む。
【0027】
シリンジ外筒110は、開放近位端119と、遠位端111および遠位壁112を有する。側壁113が遠位端111から開放近位端119へと延び、その内面114は流体を収容または保持する液室(チャンバ;chamber)115を画定し、この流体は洗浄用溶液および/またはその他の流体であってもよい。遠位端111はまた、先端116を有していてもよく、先端116の中には液室115と流体連通する開放通路117が通っている。シリンジ外筒110は、開放近位端119に、側壁113から半径方向に外側に延びる、任意のフィンガフランジ120を有していてもよい。シリンジ外筒110の遠位端111は、先端116を取り囲み、先端キャップ124を受けるための溝122を形成するねじ付カラー121を有する。図2により明瞭に示されている先端キャップ124は、溝122に挿入され、シリンジ外筒110のねじ付カラー121と係合するねじ付部分125を有する。ねじ付カラー121はまた、ニードルハブ(図示せず)と係合してもよい。
【0028】
シリンジ外筒110は、押子と協働し、または押子の一部と係合して、押子が外筒内で少なくとも遠位方向に移動する際に、押子を拍動的に移動させるように構成された第一の拍動発生要素126を有する。第一の拍動発生要素126は、押子の一部と協働または係合して、押子が外筒内で遠位方向と近位方向に移動する際に、押子が拍動的に移動するように構成される。図の実施形態において、第一の拍動発生要素126は、シリンジ外筒の内面114に設けられている。具体的には、第一の拍動発生要素126は、シリンジ外筒の開放近位端119で、またはその付近で、シリンジ外筒の内面114の断面幅が減少するような構造として示されている。当然のことながら、第一の拍動発生要素126は、シリンジ外筒の内面114に沿った他の位置に設けてもよい。1つの改良型として、第一の拍動発生要素126は、シリンジ外筒の開放近位端119に取り付けられ、シリンジ外筒の開放近位端119の断面幅が減少する別の構成部品(図示せず)であってもよい。他の改良型として、第一の拍動発生要素126は、シリンジ外筒の内面114の長さに沿って配置される、内側に延びる複数の突起(図示せず)を有していてもよい。第一の拍動発生要素126は、内面114の円周に延び、外筒の長さに沿って間隔をあけて配置され、内側に突出する複数のリング(図示せず)の形態で設けてもよい。
【0029】
図1から図16に示す実施形態において、第一の拍動発生要素126は、液室115の中へと延びる保持リング127(図9に示される)により形成される。保持リングは、内側に延びる突出部としてもよい。保持リング127におけるシリンジ外筒の内面114の断面幅は、シリンジ外筒の残りの部分の内面114の断面幅より小さい。シリンジ外筒110の内面114は、保持リング127の付近で近位側に配置された傾斜部128を有していてもよい。シリンジ外筒の内面114の断面幅は、開放近位端119から保持リング127に向かって増大する。内面114はまた、保持リング127の付近で遠位側に配置された下降部129を有していてもよい。シリンジ外筒の内面114は、保持リング127からシリンジ外筒の遠位端111に向かって減少する。
【0030】
保持リング127は、別箇の構成部品として提供してもよい。別箇の保持リング(図示せず)は、中央に開口部を有するディスクの形態で提供してもよい。ディスクおよびまたは開口部は、保持リング127が外筒の開放近位端119に嵌るような大きさと形状となる。別箇の保持リングは、ディスクから開口部の中へと延びる少なくとも1つの延長部を有する。開口部の断面幅は、その延長部において減少する。開口部の残りの部分は、延長部を持たない。これらの残りの部分における開口部の断面幅は、延長部における開口部の断面幅より大きい。別箇の保持リングは、シリンジ外筒に対して回転させてもよく、またはシリンジ外筒と別個の保持リングを回転させて、押子に対する延長部の位置を変更できるようにしてもよい。延長部は押子と整合させて、延長部が押子と係合し、押子の拍動的運動を発生させるようにしてもよい。あるいは、押子は、開口部のうち延長部を持たない部分と整合して、延長部と押子の間に係合が起こらず、押子が外筒内で連続的かつスムーズに移動できるようにしてもよい。このような実施形態によれば、使用者は洗浄作業において、本明細書に記載の押子を既存のシリンジ外筒に利用することができる。
【0031】
さらに図1から図16を参照すると、シリンジ外筒の側壁113は円筒形であっても、または別の形状であってもよい。これに加えて、シリンジ外筒の液室15には、所望の量の洗浄用溶液が収容されてもよい。側壁113にはまた、液室115の中に収容される洗浄用溶液の量を示す目盛が設けられていてもよい。
【0032】
洗浄用シリンジアセンブリには、殺菌充填法を用いて、シリンジの組立中または組立後に洗浄用溶液を事前充填してもよい。このような充填済みシリンジの場合、先端キャップ124を先端116に取り付けて、外筒の通路117を密封する。液室115が空の状態で提供される実施形態では、液室115に所望の量の洗浄用溶液を充填するために、ニードルアセンブリまたはニードルハブを先端116に取り付けてもよい。ニードルアセンブリは、洗浄用溶液の入ったバイアルのセプタムを穿刺し、またはそのスリット入りセプタムまたは洗浄用溶液の入ったガラス製アンプルのネックに挿入するためのニードルカニューレを含んでいてもよく、洗浄用溶液は、外筒を支えながら押子130を近位方向に引くことによって、シリンジ外筒の液室115内に吸引され、流体はニードルカニューレを通って液室115に吸引される。
【0033】
例示的洗浄用溶液には、生理食塩水の洗浄用溶液および/またはヘパリンロック洗浄用溶液がある。これらの溶液は当業界で周知であり、容易に入手できる。生理食塩水の洗浄用溶液の一例は、USP標準注入用0.9%塩化ナトリウムである。ヘパリンロック洗浄用溶液の一例は、1mlあたりヘパリンナトリウム100USP単位または1mlあたりヘパリンナトリウム10USP単位を含む0.9%塩化ナトリウムである。
【0034】
図1から図5に示されるように、押子130はシリンジ外筒の液室115の中に配置される。押子130は、遠位端131と近位端139を有する。ストッパ160は、押子130の遠位端131に取り付けられ、シリンジ外筒の内面114と液密密着状態を確立して、液室115内に流体を吸引し、液室115から流体を押し出すための密閉エッジ162を有する。ストッパ160は、遠位端161と、近位端169と、遠位端161から近位端169に延びるストッパ本体164を有する。ストッパ本体164は、内面166によって画定される、押子130の少なくとも一部を受けるための内部陥凹部165を有する。
【0035】
図1から図16に示されるストッパ160は、円錐形の遠位端161を有する。したがって、ストッパの遠位端161がシリンジ外筒の遠位壁112と接触すると、ストッパ160は遠位壁112と完全に接触し、できるだけ多くの洗浄用溶液が液室115から押し出される。
【0036】
図の実施形態において、押子の遠位端131には遠位側取付部133があり、遠位側取付部133には複数の押子ねじ山134が設けられ、ストッパ160の内面166に設けられた、それに対応するストッパねじ山167と係合する。ストッパ160を押子130に取り付けるには、遠位側取付部133をストッパ160の内側陥凹部165に挿入し、押子130とストッパ160の一方または両方を互いに対して回転させ、複数の押子ねじ山134をストッパねじ山167と係合させる。1つまたは複数の実施形態において、遠位側取付部133とストッパ160の内面166は、ストッパ160を押子130に取り付けるための摩擦締り嵌め、スナップフィットまたはその他の連結を可能にする、それに対応する構造を有していてもよい。1つの改良型において、押子130の遠位端131には、一体形成された密閉部(図示せず)が設けられていてもよく、これはシリンジ外筒の内面114と液密密着状態を確立する。
【0037】
押子130は、押子本体から半径方向に外側に延びる、遠位側取付部133の付近の近位側に配置された任意の環状突出部135を有する。環状突出部135は、使用中に押子を安定させ、および/または押子ねじ山134とストッパねじ山167との係合に対する物理的バリアとなる。
【0038】
押子130は、環状突出部135から押子の近位端139に延びる押子本体132を有する。環状突出部135を利用しない実施形態では、押子本体132は押子の遠位端131から近位端139に延びる。図1から図16に示す実施形態において、押子本体132は、押子本体132の周面を形成する外面と、押子本体132の長さに沿って延びる軸方向の長さを有する。押子本体132は1つの梁状部材または構造を含んでいてもよく、これは円筒形でも、その他の形状でもよい。図1から図16に示すように、押子本体132は2つの垂直方向に交差する梁状部材137,138によって形成されていてもよい。梁状部材は各々、長方形の断面を有していてもよい。図の実施形態において、2つの交差する梁状部材137,138は交差して、4つの四分円144,145,146,147(図7Aにより明瞭に示されている)を画定する外面を形成し、これらの四分円は開放して、シリンジ外筒の内面114に面し、押子の近位端139から環状突出部135まで、軸方向の長さに沿って延びる。
【0039】
図1から図16の実施形態において、押子130は、押子本体132の外面に配置された第二の拍動発生要素136を有する。第二の拍動発生要素は一体形成しても、または別の構成部品として提供し、押子本体132の外面に取り付けてもよい。このような実施形態において、押子にはさらに、別個の第二の拍動発生要素136を押子本体132の外面に取り付けるための構造を設けてもよい。
【0040】
図7と図7Aにより明瞭に示される実施形態によれば、第二の拍動発生要素136は、押子本体132の長さに沿って一定間隔で配置された複数の突起140として提供される。1つまたは複数の実施形態において、第二の拍動発生要素136は、1つの突起(図示せず)として提供されてもよく、これは、シリンジ外筒の内面114の長さに沿って設置された複数の保持リング127(図示せず)である第一の拍動発生要素126と係合する。
【0041】
2つの縦方向に交差する梁状部材137,138を利用して押子本体132を形成する実施形態において、第二の拍動発生要素136は、図7Aに示されるように、一方の梁状部材の両側に配置してもよい。他の改良型において、第二の拍動発生要素136は、両方の梁状部材137,138の両側に配置してもよい。単独の梁状部材または構造を利用して押子本体を構成する実施形態において、第二の拍動発生要素136は、押子本体132の周面に一定の間隔で配置してもよい。必要に応じて、第二の拍動発生要素は、押子の周面の1つのセグメント(部分)に沿って形成してもよく、これに対して、外面の残りのセグメントには、第二の拍動発生要素を設けない。このような実施形態において、第二の拍動発生要素136は、軸方向の長さ全体に沿って延びていてもよい。具体的な実施形態において、第二の拍動発生要素は、押子本体の周面の2つの対向するセグメントに形成してもよく、押子の周面の2つの対向するセグメントには突出部を設けないままにする。このような実施形態では、第二の拍動発生要素136は、軸方向の長さ全体に沿って延びていてもよい。
【0042】
2つの梁状部材を使って押子本体132を形成する場合に第二の拍動発生要素136が一方の梁状部材の両端に配置されるか、または第二の拍動発生要素136が押子本体の周面の1つまたは複数のセグメントに配置される実施形態または、押子130がシリンジ外筒110の中にあるときに第二の拍動発生要素136が第一の拍動発生要素126と常に接触するとは限らないように位置付けられる他の実施形態において、第二の拍動発生要素136の位置によって、押子130はシリンジ外筒110の中で拍動的に、または連続的かつスムーズに移動できる。さらに、第二の拍動発生要素136のこのような位置によって、使用者は、押子130をシリンジ外筒110の中で拍動的に移動させるか、連続的かつスムーズに移動させるかを選択することにより、押し出される洗浄用溶液にパルス状の流れを起こさせるか否かを決定できる。使用者は、押子130を拍動的に移動させるか、または押子130を回転させて第二の拍動発生要素136が第一の拍動発生要素126と係合または相互作用しないようにすることによって押子130を連続的かつスムーズに移動させるか、を選択できる。
【0043】
1つまたは複数の実施形態において、押子130の第二の拍動発生要素136は、第二の拍動発生要素136を第一の拍動発生要素126と必ず係合または相互作用するように強制的に整合させることによって、使用者が押し出される洗浄用溶液にパルス状の流れを起こさざるをえないような方法で、押子本体132に成形し、位置づけ、またはその他の方法で配置してもよい。第一の拍動発生要素126もまた、使用中に第二の拍動発生要素136との係合または相互作用が回避できず、押子130がシリンジ外筒の中で拍動的にしか移動できないように、シリンジ外筒に成形し、位置づけ、または配置してもよい。
【0044】
図7と図7Aに示す実施形態において、複数の突起140は、遠位方向に面する傾斜面141を有し、これは、押子本体132の断面幅が傾斜面141に沿って近位方向に増大するように押子本体132から延びる。複数の突起140はまた、傾斜面141に隣接して近位側に配置された突出面142と、突出面142に隣接して近位側に配置された垂直面143を有していてもよい。押子本体132の、突出面142に沿った断面幅は一定であっても、または必要に応じて増減してもよい。1つまたは複数の他の実施形態において、複数の突起140は丸い延長部(図示せず)として設けてもよく、押子本体132の断面幅は、ある点に向かって近位方向に増大し、その後減少する。
【0045】
1つまたは複数の実施形態において、第二の拍動発生要素136は、2つの交差する梁状部材137,138の間に延びる部分的ディスク(図示せず)の形態で設けてもよい。具体的には、部分的ディスクは、隣接する梁状部材137,138に連結されて、梁状部材137,138によって形成される四分円144,145,146,147のうちの少なくとも1つから、半径方向に外側に、外筒の内面に向かって延びていてもよい。このような実施形態において、押子本体132の断面幅は、部分的ディスクが配置された四分円において増大する。あるいは、部分的ディスクは、2つの隣接しない四分円144,146に形成して、梁状部材137,138を連結してもよい。部分的ディスクは、押子本体132の軸方向の長さに沿って一定間隔で配置してもよい。1つまたは複数の他の実施形態において、部分的ディスクは、不規則な間隔で配置してもよく、および/または押子の近位端139または環状突出部135に、またはその付近に配置してもよい。
【0046】
複数の突出部140は、押子本体132の周面の周りに延びるリング(図示せず)として設けてもよい。リングは、押子本体132の軸方向の長さに沿って、間隔をあけて配置してもよい。リングの位置での押子本体132の断面幅は、リング間の位置における押子本体132の断面幅より大きい。
【0047】
押子130はまた、母指押込み部170を押子に摩擦締り嵌めの状態で取り付けるための近位側取付部150を有する。近位側取付部150は、押子の近位端139に取り付けても、一体形成してもよい。近位側取付部150は、押子の近位端139に隣接する閉鎖遠位端151と、開放近位端159と、遠位端151から近位端159に延びる近位壁152を有する。近位壁152は、開放近位端159および母指押込み部と流体連通する中空内部153を画定する内面を有し、これについては後述する。中空内部153は、拍動制御要素190と、母指押込み部170の少なくとも一部を受けるような形状である。開放近位端159は延長する周縁部(図示せず)を有していてもよく、これは内側に向かって中空内部153の中へと延び、母指押込み部170の少なくとも一部を近位側取付部の中空内部152の中に保持する。母指押込み部170は、周縁部と係合するために、それに対応する構造を有していてもよい。
【0048】
近位壁152は、母指押込み部170の少なくとも一部と係合するための、少なくとも1つの開口部154を有する。図2、図7および図7Aに示す実施形態において、近位壁152は、近位壁152に沿って一定間隔で配置された4つの開口部154を有する。4つの開口部154の各々は、長い形状であり、遠位端155、近位端156および、その間に延びる長さ157を有する。開口部154の長さ157によって、母指押込み部170の一部は、開口部154の遠位端155から開口部の近位端156に摺動できる。以下により詳しく説明するように、開口部154の長さ157によって、母指押込み部は、押子に対して移動できる。長さ157により、押子130と母指押込み部170の合計長さを伸張または増大させ、圧縮または減させることができる。このような相対的な移動または伸張と圧縮によって、母指押込み部170と押子130の間に配置された拍動制御要素は、拡張し、圧縮することができる
【0049】
近位壁152は、円形の断面を有するように示されているが、当然のことながら、近位壁152の断面は、正方形またはその他の形状であってもよい。開口部154はまた、略長方形の形状で示されているが、当然のことながら、開口部154の遠位端155および/または近位端156の形状は、丸またはその他であってもよい。
【0050】
図の実施形態において、母指押込み部170は、摩擦締り嵌めによって近位側取付部150に取り付けられる。母指押込み部170はあるいは、近位側取付部150の開放近位端159の、対応する構造と係合するねじ付部(図示せず)を有していてもよい。母指押込み部170は、近位側取付部150の開放近位端159と流体連通する開放遠位端171と、閉鎖近位端179を有する。第一の環状ディスク172が近位端179に取り付けられ、使用者が母指押込み部170と押子130に近位方向と遠位方向の力を加えるための表面が提供される。母指押込み部170は、第一の環状ディスク172から押子係合部(plunger engaging portion)174に延びる本体部分173を有する。第二の環状ディスク175を必要に応じて、本体部分173と押子係合部との間に配置してもよい。第二の環状ディスク175は、母指押込み部170をシリンジ外筒の中に第一の拍動発生要素126でロックするような形状であってもよい。換言すれば、母指押込み部170の第二の環状ディスク175における断面幅は、第一の拍動発生要素126におけるシリンジ外筒の断面幅より大きく、それによって、いったん第二の環状ディスク175が遠位方向に進み、第一の拍動発生要素126、たとえば保持リング127を越えると、母指押込み部170の少なくとも一部がシリンジ外筒110の中にロックされる。第二の環状ディスク175はテーパ面(図示せず)を有し、第一の拍動発生要素126を越えて遠位方向に移動しやすくなっていてもよく、ストップ面(図示せず)を有して、第二の環状ディスク175が第一の拍動発生要素126を越えて遠位方向に移動した後に、母指押込み部が近位方向に移動しないようになっていてもよい。あるいは、本体部分173は、使用者が母指押込み部170をシリンジ外筒の中に第一の拍動発生要素126でロックできるような形状であってもよく、および/またはそのような大きさであってもよい。
【0051】
押子係合部174は、押子130の入れ子式伸縮セグメントとして述べられてもよい。換言すれば、押子係合部174は、押子本体に対して入れ子式に移動可能で、押子の長さを伸縮させる押子の延長部として述べられてもよい。押子係合部174はまた、母指押込み部170を押子に摺動可能に取り付けることができるような、別個の部分とすることもできる。
【0052】
図の実施形態において、押子係合部174は、複数の指状部176を有し、これは母指押込み部170の第二の環状ディスク175および/または本体部分173から母指押込み部の開放遠視端171へと遠位方向に延びる。複数の指状部176は、押子係合部174の中に陥凹部177を画定する。図6に示される実施形態において、陥凹部177の断面形状は円形であるが、拍動制御要素190を収容する、どのような形状であってもよい。
【0053】
図6に示される実施形態において、母指押込み部170は4つの指状部176を有する。4つの指状部176はまた、第二の環状ディスク175から遠位方向に延びて陥凹部177を画定する1枚壁としてもよく、その1枚壁の周囲に間隔をあけた4つの開口部がある。外側に突出する係合タブ180は複数の指状部176の各々に配置され、近位側取付部150の開口部154と係合する。図の実施形態において、係合タブ180は、母指押込み部170の開放遠位端171に隣接して配置されている。係合タブ180は、母指押込み部の遠位端171に隣接するテーパ面182と、係合タブ180のテーパ面182と反対の端のロッキング面184を有する形状とすることができる。ロッキング面184は、指状部176に対して垂直に配置され、それによって、近位側取付部150の開口部154と係合すると、ロッキング面184はタブが開口部154から外れるのを防止する。指状部176の形状と、係合タブ180のテーパ面182によって、係合タブ180の開口部154との初期係合と、母指押込み部170の押子130との取付が容易になる。具体的には、母指押込み部170と押子130を組み立てるには、指状部176を近位側取付部の中空内部153に挿入する。係合タブ180は開口部154と整合し、それによってテーパ面182が開口部154の中に入り、ロッキング面184が開口と係合する。指状部176は内側に曲がって最終的に係合タブ180が開口部154に入ってもよい。
【0054】
開口部154の長さにより、母指押込み部170と押子130は相対的に移動できる。具体的には、係合タブ180が開口部154の近位端156に位置付けられると、押子130と母指押込み部170の長さは最長となる。母指押込み部170に遠位方向の力が加えられると、母指押込み部170は近位側取付部の中空内部153の中で移動し、最終的に係合タブ180が開口部154の遠位端155へと摺動する。この位置において、押子180と母指押込み部170の長さは減少して最短となる。係合タブ180の開口部154に対する相対位置の変化は、拍動制御要素190の圧縮量を示し、これについては後述する。
【0055】
拍動制御要素190は、押子係合部174の陥凹部177の中に配置され、近位側取付部150の中空内部153の中に延びる。拍動制御要素190は、図1から図16ではばねとして示され、これは母指押込み部170が押子130に対して近位方向および遠位方向に移動すると、圧縮および伸張できる。拍動制御要素190は、ばね192の形態で設けてもよい。ばね192は、圧縮ばねとして特徴づけてもよい。1つまたは複数の実施形態において、ばね192は、それが発生する力の変化をばねの変位の変化で割って求められるばね定数を有する。ばねは圧縮可能であり、そのばね力は、ばねレート(率;rate)または定数(k)とばね変位(x)との積によって定義される。1つまたは複数の実施形態において、ばね192は、押子を回転させることなく第一の拍動発生要素126と第二の拍動発生要素136とを外し、または第二の拍動発生要素136が第一の拍動発生要素126を越えて遠位方向へ移動するよう増大できる圧縮力を、ばね129の中に発生させるようなレートを有する。1つまたは複数の実施形態において、ばねは、洗浄用溶液の圧力を約25psiより低く制御するばね定数を有する。1つまたは複数の他の実施形態において、ばねは、洗浄用溶液の圧力を約20psiより低く制御するばね定数を有する。1つまたは複数の実施形態において、ばね192は、第一の拍動発生要素126と第二の拍動発生要素136が外れ、その結果ばね192が伸張して、圧縮力が弱まるようなばね定数を有する。
【0056】
1つまたは複数の実施形態において、拍動制御要素190はレバーアーム(図示せず)として提供されてもよく、これは、母指押込み部本体173の付近に配置されるか、これに取り付けられた第一の端と、押子の近位端の付近に配置された第二の端を有する。レバーアームは、金属またはプラスチックで作製してもよい。レバーアームは、第一のレバーアームと第二のレバーアームを有してもよく、これらが鋭角を形成する。このような実施形態において、母指押込み部170と押子130に遠位方向の力を加えると、第一のレバーアームと第二のレバーアームは圧縮され、この圧縮によって、押子を回転させることなく、第一の拍動発生要素126と第二の拍動発生要素136が外れるようにし、または第二の拍動発生要素136が第一の拍動発生要素126を越えて遠位方向へ移動するように増大できる圧縮力がレバーアームの中に発生する。
【0057】
母指押込み部170が押子130に対して移動することによって、拍動制御要素190またはばね192は伸縮する。具体的には、母指押込み部170に遠位方向に力を加えると、母指押込み部は押子に対して遠位方向に移動し、母指押込み部170のタブ180は、近位側取付部150の開口部154の近位端156から開口部154の遠位端155に移動する。近位側取付部150の中空内部153と押子係合部174の陥凹部177の中のスペースが減少し、母指押込み部170はばね192に遠位方向の力をかける。近位側取付部150の閉鎖遠位端151により、ばね192は移動または伸張できず、したがって、ばねは、図10により明瞭に示されているように圧縮される。さらに、押子130または母指押込み部170に近位方向の力を加えることによって、タブ180は近位方向に移動し、最終的にこれらは近位側取付部の開口部の近位端156と接触する。母指押込み部170の第二の環状ディスク175により、ばねは移動または伸張できず、したがって、ばね192は圧縮する。母指押込み部への遠位方向の力または押子への近位方向の力が解除されると、ばね192は伸張し、その当初の弛緩状態となる。
【0058】
本明細書に記載した洗浄用シリンジアセンブリを使ってカテーテルから残屑を除去する、すなわち、換言すれば、パルス状の流れを有する洗浄用溶液をカテーテルの中に注入するために、押子130とストッパ160を組み立て、図9に示されるように、液室115に所望の量の洗浄用溶液が充填されたシリンジ外筒110に挿入する。ストッパ160は、シリンジ外筒110の内面114と液密密着状態を確立する。ばね192は、母指押込み部170と押子130の間に、圧縮されず、すなわち伸張した状態で位置付けられ、その長さはD1である。係合タブ180は、押子の近位側取付部150の開口部154の遠位端155に位置付けられる。
【0059】
押子130のシリンジ外筒110内での移動によって、干渉力が発生する。押子の第二の拍動発生要素136は、シリンジ外筒の第一の拍動発生要素126と相互作用し、または係合するように整合して、係合力を発生する。この構成では、第一の拍動発生要素126と第二の拍動発生要素136の間の係合力によって、押子とシリンジ外筒の間の干渉力が変化し、その結果、押子130がシリンジ外筒110の中で少なくとも遠位方向に移動する際に、押子130は拍動的に運動する。第一の拍動発生要素126と第二の拍動発生要素136の間の係合力は、押子への近位方向の力ということができる。換言すれば、係合力は押子に加えられる遠位方向の力に抵抗する。係合力によって、拍動制御要素190の圧縮が改善され、または容易となりうる。
【0060】
図10は、押子130に遠位方向の力が加えられたときの第一の拍動発生要素126と第二の拍動発生要素136の間の初期相互作用を示しており、第一の拍動発生要素126と第二の拍動発生要素136の間の相互作用または係合は、係合力を発生させ、または供給し、押子の遠位方向への移動に対する抵抗となる。使用者が引き続き母指押込み部170と押子130に遠位方向への力を加えると、係合タブ180は、押子と近位側取付部150に対して遠位方向に移動し、最終的に係合タブ180は開口部154の遠位端155に隣接する。
【0061】
周知の洗浄用シリンジアセンブリの場合、使用者は、係合力に打ち勝つために、遠位方向により大きな力を加えなければならない。さらに、洗浄用溶液の流れが突然停止して、使用者は係合力に打ち勝つために、はるかに大きな力を発生させる必要がある。係合力に打ち勝つために遠位方向に加えられる追加の力の量は、制御できないことが多い。その結果、過剰な力が押子に加わり、それによって洗浄用溶液の流体圧が過剰となり、それがカテーテルの過圧につながり、血管破裂の原因となる。使用者には、カテーテル内の圧力がこのような高いレベルに達したことを感知する方法がない。
【0062】
図の実施形態において、母指押込み部170と押子180の間に配置された拍動制御要素190は、第一の拍動発生要素126と第二の拍動発生要素13の間の係合力によって発生する抵抗と、使用者が引き続き母指押込み部170と押子130に加える遠位方向の力によって圧縮される。使用者は、ばね192の圧縮により、洗浄用溶液を押し出すのに必要な力の実質的な変化を感知しないであろう。ばね192の圧縮によって発生する圧縮力は、ばねがさらに圧縮されると増大する。当初、使用者が押子130と母指押込み部170に遠位方向の力を加えるとき、第一の拍動発生要素126と第二のバルス要素136の間の係合力は小さい、または存在しない。この時点では、ばね192の圧縮は小さいままであり、圧縮力は、第一の拍動発生要素126と第二の拍動発生要素137の間の係合力より大きくない。使用者が引き続き、母指押込み部170と押子130に遠位方向の力を加えると、ばねはさらに圧縮し、最終的にばね192の長さはD2となる。ばねの圧縮力は増大して、最終的に、第一の拍動発生要素126と第二の拍動発生要素136の間の係合力より大きくなり、これが図10と図11に示されている。押子の第二の拍動発生要素136は第一の拍動発生要素126から外れ、図11に示されるように、第一の拍動発生要素126を越えて遠位方向に移動する。第一の拍動発生要素126と第二の拍動発生要素136が外れて、押子が移動すると、洗浄用溶液にパルス状の流れが起こる。この時点で、係合力は減少し、またはもう存在しない。ばね192の長さはD1へと伸びる。第一の拍動発生要素126と第二の拍動発生要素136が外れ、押子が移動すると、ばねは伸張し、ばね192の圧縮力が減少する。係合力がなくなり、ばね192が伸張すると、押子は伸び、すなわち母指押込み部170が押子に対して近位方向に移動して、係合タブ180が、押子の近位側取付部150の開口部154の近位端156に向かって移動する。
【0063】
図12から図14に示されるように、使用者が引き続き母指押込み部170と押子130に遠位方向の力を加えて、洗浄用溶液を押し出す間、第一の拍動発生要素126と第二の拍動発生要素136は引き続き係合し、また外れる。第一の拍動発生要素126と第二の拍動発生要素136が係合したり、外れたりすると、ばね192は圧縮、伸張し、これにより係合力と圧縮力が互いに対して増減し、押子はシリンジ外筒から、パルス状の流れを有する洗浄用溶液を排出させる。ばね192の圧縮力によって、使用者は押子130と母指押込み部170に、第一の拍動発生要素12と第二の拍動発生要素136の間の係合力に打ち勝つような過剰な力を能動的に加えることができず、カテーテルの過圧が防止される。洗浄用溶液の全部がシリンジ外筒110から押し出されると、図13と図14に示されるように、ばね192は伸張状態となり、長さはD1となる。
【0064】
1つの実施形態において、洗浄用シリンジアセンブリ100は逆流防止のための構造を備え、これによってカテーテルのためのヘパリンロックの使用と容量移送式バルブの必要性が最小限で済む。一般に、逆流を防止するために、使用者は、洗浄作業中にライン内を陽圧に保ち、それによって、血液がカテーテル内に逆流して、カテーテルの閉塞や密閉が発生する原因となりうるストッパの逆流または収縮を防止することが推奨される。図15と図16に示されるように、ストッパ160がシリンジ外筒の遠位壁112に接触した後に、母指押込み部170と押子130に遠位方向の力を加えることによってシリンジ192を圧縮させると、陽圧が発生し、逆流が防止される。使用者はまた、このような陽圧を保つために、母指押込み部170に遠位方向に十分な力を加えるか、引き続き母指押込み部に遠位方向の力を加えて、母指押込み部170を外筒の中にロックしてもよい。具体的には、図15と図16に示されるように、母指押込み部170に十分な力を加えることによって、第二の環状ディスク175が第一の拍動発生要素126または外筒の保持リング127と係合するようにする。その後、保持リング127は母指押込み部170に遠位方向の力を加え続け、ばね192は圧縮されたままとなり、押子130とストッパ160に遠位方向の圧縮力をかける。
【0065】
洗浄用シリンジアセンブリ200の他の実施形態を図17と図18に示す。具体的には、洗浄用シリンジアセンブリ200によって、使用者は、シリンジの洗浄に拍動流または連続流のどちらを利用するか選択できる。前述のように、シリンジ外筒110および/または押子130は、第一の拍動発生要素126と第二の拍動発生要素136を有し、これらは、使用者が、第一の拍動発生要素126と第二のバルス要素136を係合させて拍動的運動を起こすか否かを選択できるような方法で位置付けられ、成形され、または配置される。たとえば、押子を拍動的に移動させるのではなく、連続的かつスムーズに移動させたい場合、使用者は押子130、外筒110または保持リングを回転させて、第一の拍動発生要素126と第二の拍動発生要素136が整合しないようにしてもよい。図17に示されるように、洗浄用シリンジアセンブリ200は、第一の拍動発生要素を有するシリンジ外筒210と、押子本体232を有する押子230を含み、第二の拍動発生要素236(図示せず)が押子本体232に、押子230をシリンジ外筒210の中で回転させて、第一の拍動発生要素226と係合または相互作用防止することができるように配置される。洗浄用シリンジアセンブリ200はまた、押子に近位側取付部250によって取り付けられた母指押込み部270を含む。使用者が母指押込み部と押子230に遠位方向の力を加えると、第一の拍動発生要素226と第二の拍動発生要素236が相互作用または係合しないため、押子230はシリンジ外筒内で連続的かつスムーズに移動する。具体的には、押子230とシリンジ外筒210の間の相互作用力は一定であり、押子の拍動的運動による変化がない。図18に示すように、洗浄用溶液が押し出されるとき、使用者は引き続き母指押込み部に遠位方向の力を加え、第二の環状ディスクが第一の拍動発生要素226と係合するようにしてもよい。母指押込み部270と近位側取付部250の中に配置された拍動制御要素290は圧縮され、引き続き圧縮力を押子230とストッパ260に遠位方向に加える。
【0066】
本明細書に記載の洗浄用シリンジアセンブリはまた、第一と第二の拍動発生要素の相互に対する位置を示し、したがって外筒内の押子の運動が拍動的か連続的かつスムーズかを示す、視覚的またはその他の表示要素を含んでいてもよい。たとえば、母指押込み部に、本明細書に記載のように、押子に配置された第二の拍動発生要素と一致する部分に色を付けてもよい。外筒には、外筒のフィンガフランジまたは、外筒上の第一の拍動発生要素と一致するその他の部分に、対応する色を付けてもよい。したがって、使用中、母指押込み部と外筒の着色部分が整合することは、使用者に対して、洗浄用シリンジアセンブリが外筒内の押子を拍動的に移動させるように構成されたことを示す。その他の視覚的マーカも使用でき、たとえば記号や単語を母指押込み部と外筒に配置してもよい。
【0067】
本発明の第二の態様は、カテーテルの洗浄方法に関する。1つまたは複数の実施形態において、方法は、本明細書に記載の洗浄用シリンジアセンブリをカテーテルに装着するステップを含む。洗浄用シリンジアセンブリは、所望の量の洗浄用溶液を充填しても、あらかじめ充填されていてもよい。この方法は、押子に遠位方向の力を連続的に加えて、シリンジ内に十分な圧縮力を発生させ、最終的にそれが第一の拍動発生要素と第二の拍動発生要素の間の係合力に打ち勝つようにするステップを含む。1つまたは複数の実施形態において、この方法はさらに、ストッパがシリンジ外筒の遠位壁と接触したときに、引き続き母指押込み部170と押子130に遠位方向の力を加えて、最終的に母指押込み部170および/または押子130がシリンジ外筒内にロックされるようにするステップを含む。
【0068】
本明細書において、「1つの実施形態」、「特定の実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」または「ある実施形態」とは、その実施形態に関して説明した特定の特徴的機能、構造、材料または特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。それゆえ、「1つまたは複数の実施形態において」、「特定の実施形態において」、「1つの実施形態において」、または「ある実施形態において」等の語句が本明細書の異なる箇所で使用される場合、必ずしも本発明の同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴的機能、構造、材料または特徴は、1つまたは複数の実施形態において、適当であればどのように組み合わせてもよい。
【0069】
本明細書において、本発明を特定の実施形態に関して説明したが、当然のことながら、これらの実施形態は単に本発明の原理と応用の例にすぎない。当業者にとっては、本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく、本発明の方法と装置にさまざまな改良や変更を加えられることは明らかであろう。それゆえ、本発明には、付属の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内の改良と変更が含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄用シリンジアセンブリであって、
流体を収容するための液室を画定する内面を有する側壁と、開放近位端と、遠位壁およびそこから遠位方向に延びて、前記液室と流体連通する通路が通っている先端を持つ遠位端と、を有する外筒であって、第一の拍動発生要素を備える外筒と、
前記外筒内に配置され、遠位端と、近位端と、前記遠位端から前記近位端に延びる押子本体と、を有する押子であって、前記第一の拍動発生要素と係合して、前記押子が前記外筒内で遠位方向に移動するとき、前記押子の拍動的運動を起こさせる係合力を発生させる第二の拍動発生要素を有する押子と、
前記押子の前記近位端に摺動可能に取り付けられる母指押込み部と、
前記母指押込み部と前記押子の前記近位端との間に配置された拍動制御要素と、
前記押子の前記遠位端に配置され、前記外筒の前記内面と液密密着状態を確立するストッパと、
を含むことを特徴とする洗浄用シリンジアセンブリ。
【請求項2】
前記拍動制御要素は、前記母指押込み部に遠位方向の力が加えられると圧縮して圧縮力を発生させ、前記遠位方向の力が解除されると伸張するばねを含むことを特徴とする、請求項1に記載の洗浄用シリンジアセンブリ。
【請求項3】
前記係合力は前記押子に加えられる遠位方向の力に抵抗することを特徴とする、請求項2に記載の洗浄用シリンジアセンブリ。
【請求項4】
前記ばねは、前記母指押込み部に遠位方向の力を連続的に加えることによって前記圧縮力が増大し、最終的に係合力より大きくなり、前記第一の拍動発生要素が前記第二の拍動発生要素から外れ、前記押子が遠位方向に移動できるようなばね定数を有することを特徴とする、請求項3に記載の洗浄用シリンジアセンブリ。
【請求項5】
前記ばね定数は、前記第一の拍動発生要素と前記第二の拍動発生要素が外れることによって、前記ばねが伸張し、前記圧縮力が減少するような定数であることを特徴とする、請求項4に記載の洗浄用シリンジアセンブリ。
【請求項6】
前記母指押込み部は、近位端と、遠位端と、前記母指押込み部の前記遠位端に配置された複数の係合タブと、をさらに含み、前記押子は複数の開口部をさらに備え、該開口部は、遠位端と、近位端と、前記遠位端と前記近位端の間の、前記係合タブを受けるための長さとを有し、前記係合タブは、前記母指押込み部に前記遠位方向の前記圧縮力が加えられ、前記圧縮力が解除されると、前記複数の開口部の前記長さに沿って摺動するように構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の洗浄用シリンジアセンブリ。
【請求項7】
前記ばねの伸張によって、前記係合タブは前記複数の開口部の前記遠位端へと摺動し、前記ばねの圧縮によって、前記係合タブは前記複数の開口部の前記近位端へと摺動することを特徴とする、請求項6に記載の洗浄用シリンジアセンブリ。
【請求項8】
前記母指押込み部はロッキング要素を備え、該ロッキング要素は、前記ストッパが前記外筒の前記遠位壁と接触したときに前記第一の拍動発生要素と係合して前記母指押込み部を少なくとも部分的に前記外筒内にロックし、前記拍動制御要素に前記押子への遠位方向の力をかけさせることを特徴とする、請求項1に記載の洗浄用シリンジアセンブリ。
【請求項9】
前記第二の拍動発生要素は、前記第一の拍動発生要素と係合しないように配列可能であり、それによって押子が前記外筒内で遠位方向に移動する際、押子を連続的かつスムーズに移動させることを特徴とする、請求項1に記載の洗浄用シリンジアセンブリ。
【請求項10】
前記第一の拍動発生要素は、内側に向かって前記外筒の前記液室内へと伸びる保持リングを含むことを特徴とする、請求項1に記載の洗浄用シリンジアセンブリ。
【請求項11】
前記第二の拍動発生要素は、前記押子本体に沿って配置された複数の突起を含み、前記複数の突起は前記押子本体から外側に向かって延びることを特徴とする、請求項10に記載の洗浄用シリンジアセンブリ。
【請求項12】
前記複数の突起は、前記押子本体に沿って一定間隔で配置されることを特徴とする、請求項11に記載の洗浄用シリンジ。
【請求項13】
前記液室内に所定の量の洗浄用溶液をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の洗浄用シリンジ。
【請求項14】
前記洗浄用溶液は、生理食塩水とヘパリンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項13に記載の洗浄用シリンジ。
【請求項15】
洗浄用シリンジアセンブリであって、
流体を収容するための液室を画定する内面を有する側壁と、開放近位端と、遠位壁およびそこから遠位方向に延びて、前記液室と流体連通する通路が通っている先端を持つ遠位端と、を有する外筒であって、前記外筒の前記開放近位端が内側に向かって前記液室内に延びる少なくとも1つの突出部を有する外筒と、
前記外筒内に配置され、遠位端と、母指押込み部を有する近位端と、前記遠位端から前記近位端に延びる圧縮可能な押子本体と、前記押子本体に沿って配置された複数の突起とを有する押子であって、前記複数の突起は、前記母指押込み部に遠位方向の力が加えられたときに前記外筒の前記突出部と係合して、可変的な干渉力を発生させ、前記押子が前記外筒内で遠位方向に移動するとき、前記押子を拍動的に移動させ、前記洗浄用溶液にパルス状の流れを起こさせ、前記洗浄用溶液の圧力を上昇させ、前記押子本体が、ばねを含む中空部分をさらに備え、前記ばねは、前記ばねが当初は圧縮されて前記干渉力より小さい力を発生させ、前記母指押込み部にさらに遠位方向の力が加えられると、前記ばねが圧縮して、前記干渉力より大きな十分な力を発生させるようなばね定数を有する押子と、
前記押子の前記遠位端に配置され、前記外筒の前記内面と液密密着状態を確立するストッパと、
を含むことを特徴とする洗浄用シリンジアセンブリ。
【請求項16】
前記圧縮可能な押子本体は、前記押子の前記近位端に取り付けられた入れ子式伸縮セグメントを備え、前記入れ子式伸縮セグメントは、摺動して前記押子本体に出入りし、前記押子本体の長さを増減するように構成されていることを特徴とする、請求項15に記載の洗浄用シリンジアセンブリ。
【請求項17】
前記ばねは、前記入れ子式伸縮セグメントと前記押子本体の間に配置され、前記押子に遠位方向の力が加えられると圧縮して圧縮力を発生させ、前記圧縮力が解除されると伸張することを特徴とする、請求項16に記載の洗浄用シリンジアセンブリ。
【請求項18】
前記ばねの伸張によって、前記入れ子式伸縮セグメントは摺動して前記押子本体から出て、前記押子本体の長さを増大させ、前記ばねの圧縮によって、前記入れ子式伸縮セグメントは摺動して前記押子本体の中に入り、前記押子本体の長さを減少させることを特徴とする、請求項17に記載の洗浄用シリンジアセンブリ。
【請求項19】
前記複数の突起と前記外筒の前記突出部との相互作用によって、前記押子に近位方向の力をかける係合力が発生することを特徴とする、請求項18に記載の洗浄用シリンジアセンブリ。
【請求項20】
前記圧縮力を増大させることによって、前記押子は前記係合力に打ち勝ち、前記複数の突起が前記突出部から外れることを特徴とする、請求項19に記載の洗浄用シリンジアセンブリ。
【請求項21】
前記複数の突起と前記突出部が外れることによって、前記圧縮力が減少することを特徴とする、請求項20に記載の洗浄用シリンジアセンブリ。
【請求項22】
前記押子はロッキング要素を備え、該ロッキング要素は、前記ストッパが前記外筒の前記遠位壁と接触したときに前記外筒の前記突出部と係合して前記押子の少なくとも一部を前記外筒内にロックし、前記ばねに前記押子への遠位方向の力をかけさせることを特徴とする、請求項15に記載の洗浄用シリンジアセンブリ。
【請求項23】
前記複数の突起は、前記突出部と協働しないよう配列可能であり、これにより、前記押子が前記外筒内で遠位方向に移動するとき、前記押子が連続的かつスムーズに移動することを特徴とする、請求項15に記載の洗浄用シリンジアセンブリ。
【請求項24】
前記外筒の前記近位端に、いかなる突出部もない部分があり、前記押子は前記外筒の中で回転可能であり、これにより、前記複数の突起がいかなる突出部もない前記部分と整列し、前記押子が前記外筒内で遠位方向に移動するとき前記押子が連続的かつスムーズに移動することを特徴とする、請求項15に記載の洗浄用シリンジアセンブリ。
【請求項25】
前記液室内に所定の量の洗浄用溶液をさらに有することを特徴とする、請求項15に記載の洗浄用シリンジアセンブリ。
【請求項26】
前記洗浄用溶液は、生理食塩水とヘパリンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項25に記載の洗浄用シリンジアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図8A】
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【図9】
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【図10】
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【図10A】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2012−532699(P2012−532699A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519778(P2012−519778)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/041579
【国際公開番号】WO2011/006103
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】