説明

制御システム、及び、制御方法

【課題】複数の表示装置における表示状態を、容易に、かつ個別に制御できるようにする。
【解決手段】複数の表示パネル10と、表示パネル10に接続された複数のホストコンピュータ4と、表示管理サーバ110とを含んで構成されるディスプレイ管理システム100において、表示パネル10が設置された建物を特定する情報と、当該建物における表示パネル10の設置場所を特定する情報とに基づいて、各々の表示パネル10を特定するパネル特定情報を生成し、表示管理サーバ110は、各々の表示パネル10に表示される画像を制御する表示制御情報を、パネル特定情報とともにホストコンピュータ4に対して送信し、ホストコンピュータ4は、自己が接続された表示パネル10を特定するパネル特定情報とともに送信された表示制御情報に基づいて、表示パネル10に画像を表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の表示ユニットを接続して構成される表示装置を制御する制御システム、及び、制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の表示ユニットを並べて一つの大型の画面を構成する手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、複数の画像表示部を並べて配設することで、大型の画面として機能するマルチディスプレイ装置を構成する場合に、各々の画像表示部に対し、表示データをそれぞれ入力するものが開示されている。このように複数の表示装置を並べて全体として一つの画面のように表示をさせることは、一般に、タイリング表示と呼ばれる。このようなマルチディスプレイ装置の多くは、広告表示等を目的として、建物の内外の壁面に設置される。
【特許文献1】特開2001−275137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常、マルチディスプレイ装置には画像(静止画像または動画像)を出力する装置が接続され、この装置により、予め記録媒体に記録された画像を読み出し、或いは、放送等の形態で外部から画像の配信を受けて、この画像をマルチディスプレイ装置に出力する。しかしながら、多数のマルチディスプレイ装置をまとめて管理する場合、個々のマルチディスプレイ装置に記録媒体をセットする方法では手間がかかるという問題があり、放送によって各マルチディスプレイ装置に画像を送る方法では、全てのマルチディスプレイ装置に同じ画像を表示することになるという制約があった。
そこで、本発明は、マルチディスプレイ装置として構成される複数の表示装置における表示状態を、容易に、かつ個別に制御できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明は、複数の表示ユニットを接続して構成され、建物に設置される複数の表示装置と、それぞれ前記表示装置に接続された複数の制御装置と、これら複数の制御装置に対して通信可能に接続された管理装置と、を含んで構成される制御システムにおいて、前記制御装置または前記管理装置によって、各々の前記表示装置が設置された建物を特定する情報と、当該建物における前記表示装置の設置場所を特定する情報とに基づいて、各々の前記表示装置を特定する表示装置特定情報を生成し、前記管理装置は、各々の前記表示装置に表示される画像を制御する表示制御情報を、前記表示装置特定情報とともに前記制御装置に対して送信し、前記制御装置は、自己が接続された前記表示装置を特定する前記表示装置特定情報とともに送信された表示制御情報に基づいて、前記表示装置に画像を表示させること、を特徴とする制御システムを提供する。
この構成によれば、建物に設置された各々の表示装置を特定する一意の表示装置特定情報が生成され、この表示装置特定情報とともに表示制御情報が管理装置から制御装置へ送信され、制御装置は、自己が接続された表示装置を特定する表示装置特定情報とともに送信された表示制御情報に基づいて、表示装置に画像を表示させるので、管理装置によって、複数の表示装置の中から特定の表示装置を指定して、その表示装置に表示される画像を制御することができる。これによって、複数の表示ユニットにより構成された多数の表示装置における表示を、管理装置によって、容易に、個々に制御することが可能になる。
また、制御装置は、管理装置から送信された表示装置特定情報が、自己が接続された表示装置を指定する情報でなければ、その表示装置特定情報とともに送信された表示制御情報に基づく動作は行わない。このため、情報の配信先を表示装置特定情報によって容易に決定し、制御することが可能となり、負荷の軽い処理によって、各々の表示装置における表示を確実に制御することができる。従って、個々の情報の送信先を意識せず、例えば全ての制御装置に全ての情報を同時に送信しても、目的とする制御を確実に行えるので、極めて容易に、かつ確実に表示装置における表示を制御できる。
【0005】
上記構成において、前記制御装置は、前記表示装置における各々の前記表示ユニットに付与された固有の識別情報を検出し、前記制御装置または前記管理装置は、前記制御装置により検出された前記表示ユニットの識別情報と前記表示装置特定情報とに基づいて、各々の前記表示ユニットを一意に特定可能な表示ユニット特定情報を生成するものであってもよい。
この場合、表示ユニット特定情報によって表示装置を構成する個々の表示ユニットを一意に特定することが可能になるので、表示ユニット毎に管理することが可能となり、例えば個々の表示ユニットの故障管理や各表示ユニットに表示される画像の制御等を行うことができる。
【0006】
上記構成において、前記表示装置特定情報は、各々の前記表示ユニットに付与された固有の識別情報と、前記建物における前記表示装置の設置場所を示す情報と、前記建物の所在地の住所を示す情報と、を繋げることで生成されるものであってもよい。
この場合、表示装置を特定する表示装置特定情報を、各々の表示ユニットに付与された固有の識別情報に、建物における表示装置の設置場所を示す情報と、建物の所在地の住所を示す情報とを繋げるだけで容易に生成できる。このようにして生成された情報は、一つの表示装置を間違いなく特定することが可能であり、表示装置特定情報として十分に機能する。従って、一つの表示装置を一意に特定する表示装置特定情報を、極めて容易に生成できる。
【0007】
上記構成において、前記管理装置は、前記表示装置に表示すべき画像データを、前記表示制御情報として前記表示装置特定情報とともに送信し、前記制御装置は、自己が接続された前記表示装置を特定する前記表示装置特定情報とともに送信された画像データを前記表示装置により表示させるものであってもよい。
この場合、表示装置に表示すべき画像データを管理装置から制御装置へ送信することで、表示装置に画像を表示させるので、管理装置によって各々の表示装置に表示される画像を容易に制御できる。また、表示装置や制御装置において予め画像データを記憶しておかないので、画像データの内容に関する制限がなく、制御装置や表示装置のリソースを節約できるという利点がある。
【0008】
上記構成において、前記制御装置は、前記表示装置に表示される複数の画像データを記憶し、前記管理装置は、各々の前記表示装置に表示すべき画像データを指定する情報を、前記表示制御情報として前記表示装置特定情報とともに送信し、前記制御装置は、自己が接続された前記表示装置を特定する前記表示装置特定情報とともに送信された前記表示制御情報により指定される画像データを読み出して、前記表示装置に表示させるものであってもよい。
この場合、表示装置に表示すべき画像データを指定する情報を管理装置から制御装置へ送信することで、表示装置に指定した画像を表示させるので、管理装置によって各表示装置の表示を容易に制御できる。特に、管理装置から制御装置に対して画像データ自体を送信しないで済むので、通信回線を介して送受信されるデータ量を極めて小容量に抑えることができ、通信に係るリソースを節約できる上、管理装置からの情報送信に要する処理の負荷や時間が短くて済み、管理装置の負荷を低く抑えることができる。
【0009】
また、本発明は、複数の表示ユニットを接続して構成され、建物に設置される複数の表示装置と、それぞれ前記表示装置に接続された複数の制御装置とを、複数の制御装置に対して通信可能に接続された管理装置により制御する制御方法であって、各々の前記表示装置が設置された建物を特定する情報と、当該建物における前記表示装置の設置場所を特定する情報とに基づいて、各々の前記表示装置を特定する表示装置特定情報を生成し、前記管理装置によって、各々の前記表示装置に表示される画像を制御する表示制御情報を、前記表示装置特定情報とともに前記制御装置に対して送信し、前記制御装置によって、自己が接続された前記表示装置を特定する前記表示装置特定情報とともに送信された表示制御情報に基づいて、前記表示装置に画像を表示させること、を特徴とする制御方法を提供する。
この方法によれば、建物に設置された各々の表示装置を特定する一意の表示装置特定情報が生成され、この表示装置特定情報とともに表示制御情報が管理装置から制御装置へ送信され、制御装置は、自己が接続された表示装置を特定する表示装置特定情報とともに送信された表示制御情報に基づいて、表示装置に画像を表示させるので、管理装置によって、複数の表示装置の中から特定の表示装置を指定して、その表示装置に表示される画像を制御することができる。これによって、管理装置によって、多数の表示装置における表示を容易に、かつきめ細かく個々に制御することが可能になる。また、制御装置は、管理装置から送信された表示装置特定情報が、自己が接続された表示装置を指定する情報でなければ、その表示装置特定情報とともに送信された表示制御情報に基づく動作は行わない。このため、情報の配信先を表示装置特定情報によって容易に制御できるので、負荷の軽い処理によって各々の表示装置における表示を確実に制御できる。従って、個々の情報の送信先を意識せず、例えば全ての制御装置に全ての情報を同時に送信しても、目的とする制御を確実に行えるので、極めて容易に、かつ確実に表示装置における表示を制御できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、管理装置によって、多数の表示装置における表示を、容易に、かつ、表示装置毎に細かく制御することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明を適用した実施形態に係るディスプレイ管理システム100の概略構成を示す図である。
制御システムとしてのディスプレイ管理システム100は、複数の店舗101、102にそれぞれ設置された複数の表示システム1を、通信回線130を介して、管理装置としての表示管理サーバ110によって集中的に管理するシステムである。ディスプレイ管理システム100は、店舗101、102以外にも多数の店舗を含んで構成することが可能であり、ここでは一例として、店舗101、102を図示している。
店舗101、102にそれぞれ設置された表示システム1は、いずれも、複数のパネルユニットを結合して構成される表示装置としての表示パネル10と、通信線11を介して表示パネル10に接続された制御装置としてのホストコンピュータ4とを含んで構成される。
ホストコンピュータ4は、通信回線130を介して表示管理サーバ110に接続され、表示管理サーバ110との間で、表示パネル10を構成するパネルユニットの配置等に関する情報など、各種の情報を送受信する。また、表示管理サーバ110は、ホストコンピュータ4から送信された情報を記憶する表示管理データベース111を備えている。
【0012】
図2は、表示システム1の構成を示す図である。
上述のように、表示システム1は、表示パネル10とホストコンピュータ4とを通信線11を介して接続して構成される。表示パネル10は、表示ユニットとしてのマスタパネルユニット2及びパネルユニット3をつなげて構成される表示装置であり、ホストコンピュータ4の制御に従って、各種画像(動画像および静止画像を含む)を表示する。
図2に示すように、表示パネル10は、少なくとも一つのマスタパネルユニット2と、1以上のパネルユニット3とを連結して構成され、本実施形態では、一つのマスタパネルユニット2と8つのパネルユニット3とを縦3列×横3列に並べて連結し、矩形の表示パネル10を構成する場合を例に挙げる。
【0013】
図3は、マスタパネルユニット2及びパネルユニット3の構成を示す外観図であり、図3Aはマスタパネルユニット2の構成を示し、図3Bはパネルユニット3の構成を示し、図3Cはマスタパネルユニット2とパネルユニット3との連結部分の構成を示す。
図3Aに示すように、マスタパネルユニット2は、矩形の表示パネル27を、この表示パネル27とほぼ同サイズの矩形の筐体28に収めたものであり、マスタパネルユニット2の表面は、ほぼ全体が表示パネル27で覆われる。また、パネルユニット3は、図3Bに示すように、矩形の表示パネル37を、表示パネル37とほぼ同サイズの矩形の筐体38に収めたものであり、パネルユニット3の表面は、ほぼ全体が表示パネル37で覆われる。筐体28と筐体38の外形形状及びサイズは揃えられているので、マスタパネルユニット2とパネルユニット3とを縦横方向に並べて連結できる。
【0014】
また、図3A〜Bに示すように、マスタパネルユニット2は、それぞれ上下左右の各辺に、外向きに配設された4つのインタフェース26を備えている。パネルユニット3も同様に、それぞれ上下左右の各辺において外向きに配設された4つのインタフェース35を備えている。マスタパネルユニット2とパネルユニット3とが隣り合う場合は、インタフェース26、35が相互に接続され、パネルユニット3どうしが隣り合う場合は2つのインタフェース35が相互接続される。
インタフェース26、35の具体的な構成としては、例えば図3Cに拡大して示すように、凹部と凸部とが並ぶコネクタを備え、対向するコネクタを噛み合わせることで後述するデータバス等が相互に接続される構成が挙げられる。図3Cの例ではインタフェース26、35が備えるコネクタは同一形状であり、その向きに対して右側に凹部、左側に凸部が位置するよう配設されているので、向かい合うコネクタどうしの凹部と凸部とが常に対向する。図3Cにはインタフェース26とインタフェース35とを接続する例を示したが、インタフェース35どうしを接続する場合も全く同様である。
【0015】
表示パネル27、37としては、例えば、有機EL(Electro Luminescence)パネルが挙げられる。有機ELパネルはバックライト等を必要としないため薄型化が可能であり、壁面に貼り付けるように設置する用途には特に好適である。なお、マスタパネルユニット2及びパネルユニット3に、液晶表示パネル、プラズマディスプレイパネル、SED(Surface-conduction Electron-emitter Display)パネル、LED(発光ダイオード)ディスプレイ等の各種のフラットパネルディスプレイや、電子ペーパー等を用いることも可能であり、CRT(Cathode Ray Tube)を用いることも不可能ではない。
【0016】
また、マスタパネルユニット2は、図3Aに示すように、四隅にそれぞれホスト接続用インタフェース25を備えている。ホスト接続用インタフェース25は、図1に示すように通信線11を介してホストコンピュータ4に接続されるインタフェースである。マスタパネルユニット2は4個のホスト接続用インタフェース25を備えているが、いずれか一つのホスト接続用インタフェース25がホストコンピュータ4に接続されればよいので、表示パネル10の設置状態に応じて最も通信線11を接続しやすいホスト接続用インタフェース25を選択できるようになっている。
通信線11は、例えばIEEE802.3、IEEE802.11等により規定される有線または無線の通信回線であり、この通信線11を用いて、ホストコンピュータ4とマスタパネルユニット2とは有線LAN(または無線LAN)を構成する。
【0017】
図4は、マスタパネルユニット2及びホストコンピュータ4の構成を示す機能ブロック図である。また、図5はパネルユニット3の構成を示す図であり、図5Aはパネルユニット3の機能ブロック図、図5Bはインタフェース35の構成図である。
図4に示すように、マスタパネルユニット2が備える4つのインタフェース26は、それぞれ設置方向が指定され、上方向インタフェース26A、右方向インタフェース26B、下方向インタフェース26C、及び左方向インタフェース26Dとなっている。マスタパネルユニット2は、上方向インタフェース26Aが上、右方向インタフェース26Bが右、下方向インタフェース26Cが下、左方向インタフェース26Dが左になるよう設置する必要があり、例えばマスタパネルユニット2の裏面には、施工業者等が設置方向を確認できるように、設置方向を示す文字や記号が付されている。
また、図5に示すように、パネルユニット3が備える4つのインタフェース35は、パネルユニット3の4辺に対応する方向を向いて配設され、それぞれ、A方向インタフェース35A、B方向インタフェース35B、C方向インタフェース35C、及びD方向インタフェース35Dとなっている。これら4つのインタフェース35の設置時における方向は任意であり、例えば、図5とは逆にA方向インタフェース35Aが下を向くようにパネルユニット3を設置することも許される。
【0018】
マスタパネルユニット2は、表示パネル27における表示処理とともに表示パネル10全体の制御を行う制御部20を備えている。制御部20は、CPU21と、CPU21により実行される各種制御プログラム及びこれら制御プログラムに係るデータを記憶したROM22と、CPU21により実行されるプログラム及び処理されるデータ等を一時的に格納するRAM23と、CPU21の処理により生成されたデータ等を不揮発的に記憶する不揮発性メモリ24とを備える。
制御部20は、上方向インタフェース26A、右方向インタフェース26B、下方向インタフェース26C及び左方向インタフェース26Dに個別に接続され、これら4つのインタフェース26を区別して、個々のインタフェース26に対して情報を入出力する。また、制御部20には、マスタパネルユニット2の四隅に配設された4つのホスト接続用インタフェース25が接続されている。さらに、CPU21は4つのホスト接続用インタフェース25に接続され、これらホスト接続用インタフェース25を介してホストコンピュータ4との間で制御情報や画像データ等を送受信する。
不揮発性メモリ24には、マスタパネルユニット2に特有の識別情報としてのIDが記憶されている。本実施形態では、一例として、マスタパネルユニット2に16進数のID(=FF)が付与されており、CPU21は、インタフェース26に接続されたパネルユニット3や、ホスト接続用インタフェース25に接続されたホストコンピュータ4に対し、不揮発性メモリ24に記憶しているID(=FF)を出力する。
【0019】
また、図5Aに示すように、パネルユニット3は表示パネル37における表示処理等を行う制御部30を備えている。制御部30は、CPU31と、CPU31により実行される各種制御プログラム及びこれら制御プログラムに係るデータを記憶したROM32と、CPU31により実行されるプログラム及び処理されるデータ等を一時的に格納するRAM33と、CPU31の処理により生成されたデータ等を不揮発的に記憶する不揮発性メモリ34とを備える。
制御部30は、A方向インタフェース35A、B方向インタフェース35B、C方向インタフェース35C、及びD方向インタフェース35Dに個別に接続され、これら4つのインタフェース35を区別して、個々のインタフェース35に対して信号の送受信等を行える。
また、不揮発性メモリ34は、後述する処理において、パネルユニット3に対して付与された固有の識別情報としてのIDを記憶する。一つの表示パネル10を構成する各パネルユニット3には、それぞれ異なるIDが付与され、CPU31は、必要に応じて、インタフェース35に接続されたマスタパネルユニット2や他のパネルユニット3に、不揮発性メモリ34に記憶しているIDを出力する。
【0020】
図5Bには、表示パネル10における全てのインタフェース26、35に共通する構成を示す。この図5Bに示すように、インタフェース26、35は、2本の電源供給ライン(Vcc)に加え、制御情報通信用バスと、マスタパネルユニット2及びパネルユニット3により表示するための画像データを送信するための画像配信用バスを有する。制御情報通信用バスは、マスタパネルユニット2とパネルユニット3との間、及び、パネルユニット3どうしの間で、設定等に関する制御情報を送受信するためのデータ線(data)、及び、同期用のクロック信号線(CLK)により構成される。また、画像配信用バスは、マスタパネルユニット2及びパネルユニット3において表示すべき画像の画像データを送受信するためのデータ線(D+、D−)、及び、同期用のクロック信号線(CLK)により構成される。なお、インタフェース26、35の電源ライン、データ線及びクロック信号線の間には適宜接地線(GND)が配置される。
制御部20は、各インタフェース26の制御情報通信用バスを介した制御情報の入出力、及び、画像配信用バスを介した画像データの入出力を行う。同様に、制御部30は、各インタフェース35の制御情報通信用バスを介した制御情報の入出力、及び、画像配信用バスを介した画像データの入出力を行う。
【0021】
一方、図4に示すように、ホストコンピュータ4は、CPU41、CPU41により実行される各種制御プログラム及びこれら制御プログラムに係るデータを記憶したROM42、CPU41により実行されるプログラム及び処理されるデータ等を一時的に格納するRAM43、CPU41の処理により生成されたデータ等を記憶する記憶部44、ユーザやオペレータによる入力操作を受け付ける入力部45、入力部45により入力された内容やCPU41による処理結果等を表示する表示部46、通信線11を介してマスタパネルユニット2との間で各種情報や制御情報等を送受信する通信インタフェース47を備え、これらの各部はバス48を介して相互に接続されている。
【0022】
ホストコンピュータ4が備える記憶部44は、磁気的、光学的記録媒体、或いは半導体記憶素子を用いて構成される記憶装置であり、初期設定プログラム44A、パネル配置情報44B、表示用画像データ44C、データ配信プログラム44D、パネルID44E、店舗所在情報44F、店内パネル所在情報44G、及び、パネル特定情報44Hを含む各種のデータやプログラムを記憶する。
【0023】
初期設定プログラム44Aは、マスタパネルユニット2及びパネルユニット3をつなげて表示パネル10を新規に設置した場合や、表示パネル10の構成を変更した場合等に、表示パネル10におけるマスタパネルユニット2及びパネルユニット3の配置状態を検出するために実行されるプログラムである。初期設定プログラム44AがCPU41により実行されると、ホストコンピュータ4とマスタパネルユニット2及びパネルユニット3の機能により、表示パネル10におけるパネルユニット3の各々に固有のIDが付与され、パネル配置情報44Bが生成される。
また、初期設定プログラム44Aの実行時、CPU41は、表示パネル10のパネルID44Eをホストコンピュータ4に記憶し、このパネルID44Eと、後述する店舗所在情報44F及び店内パネル所在情報44Gとを繋ぐことで、表示パネル10を一意に特定することが可能なパネル特定情報44H(表示装置特定情報、表示ユニット特定情報)を生成する。このパネル特定情報44Hは、表示パネル10が設置された店舗101、102の住所等を含んでいるため、ディスプレイ管理システム100に含まれる全ての表示パネル10の中から、一つの表示パネル10を特定し得る情報である。
【0024】
パネル配置情報44Bは、表示パネル10におけるマスタパネルユニット2及びパネルユニット3の位置と、各々のマスタパネルユニット2及びパネルユニット3のIDとを対応づける情報である。また、パネル配置情報44Bには、表示パネル10の構成に、表示パネル10の上下左右の方向を対応づける情報も含まれている。このため、パネル配置情報44Bを参照すれば、マスタパネルユニット2を基準とした他のマスタパネルユニット2やパネルユニット3の相対位置、及び、これらマスタパネルユニット2及びパネルユニット3の配列方向を特定できる。
表示用画像データ44Cは、表示パネル10により表示される画像データである。この画像データは静止画像および動画像のいずれであってもよく、動画像のデータである場合には対応する音声データが付加されていてもよい。記憶部44には、それぞれ独立して表示パネル10に表示される複数の表示用画像データ44Cが記憶されており、また、新たな表示用画像データが通信インタフェース47を介して受信された場合、記憶部44は、この受信された表示用画像データを記憶する。
データ配信プログラム44Dは、表示用画像データ44Cを、表示パネル10の構成に合わせて分割し、分割した画像データや制御情報等をマスタパネルユニット2及びパネルユニット3に個別に送信するためのプログラムである。
【0025】
パネルID44Eは、ホストコンピュータ4に接続された表示パネル10に固有の識別情報(ID)である。パネルID44Eは、表示パネル10が新規に設置されて初期設定プログラム44Aが実行される際、或いはその後に、入力部45によって入力され、或いは、自動的に生成されるが、マスタパネルユニット2の不揮発性メモリ24に、予め、マスタパネルユニット2自体のIDとは別に記憶されていてもよい。
店舗所在情報44Fは、ホストコンピュータ4が設置された店舗101、102の所在を示す情報であり、具体的には、この店舗の住所(住居表示または地番表示)、ビル名、ビルのフロア(階層数)、フロア内における場所(号室番号またはテナント番号)を含む情報である。また、店舗所在情報44Fには、上記店舗に固有の店舗識別情報を含んでもよい。この情報は、例えば、チェーン展開される店舗においてチェーン内で付与されたID等である。
店内パネル所在情報44Gは、店舗101、102における表示パネル10の設置場所を示す情報であり、具体的には、表示パネル10が取り付けられた壁面の方角(四方または八方)や壁面における上下左右の場所を示す情報である。店舗101、102が複数のフロアを有する場合は、店内パネル所在情報44Gには、表示パネル10が設置されたフロアを特定する情報が含まれ、店舗101、102が複数の室を有する場合は、店内パネル所在情報44Gには表示パネル10が設置された室を特定する情報(室の名前、室番号など)が含まれる。
なお、ホストコンピュータ4に複数の表示パネル10が接続されている場合には、ホストコンピュータ4は、各々の表示パネル10に対応するパネルID44E及び店内パネル所在情報44Gを記憶する。
パネル特定情報44Hは、上記のように初期設定プログラム44Aが実行される際に、CPU41により、パネルID44Eと、店舗所在情報44F及び店内パネル所在情報44Gを繋げて生成された情報である。
【0026】
図6は、表示パネル10に画像を表示する処理を説明する図であり、図6Aは表示パネル10に画像を表示した状態を示し、図6Bは表示用の画像データの送信状態を模式的に示す図である。
表示パネル10において表示する画像の画像データは、ホストコンピュータ4が有するCPU41の処理により、マスタパネルユニット2及びパネルユニット3毎に生成される。例えば図6Aに示すように、ホストコンピュータ4は、表示用の画像Pを、表示パネル10を構成するパネルユニットの数に合わせて、例えば9個の部分に分割し、分割した部分毎に表示用の画像データを生成して送信する。各画像データには、その画像データを表示するパネルユニットのIDが付加されている。
【0027】
ここで、マスタパネルユニット2及びパネルユニット3が実行する転送機能について説明する。表示パネル10において、ホストコンピュータ4はマスタパネルユニット2にのみ接続されているので、マスタパネルユニット2から各パネルユニット3へ画像データを送信したり、パネルユニット3からホストコンピュータ4へ制御情報を送信したりする場合、制御情報や画像データ等を、マスタパネルユニット2やパネルユニット3によって中継する必要がある。そこで、マスタパネルユニット2及びパネルユニット3は、制御情報や画像データ等を転送する機能を備えている。
マスタパネルユニット2は、ホストコンピュータ4から通信線11を介して制御情報や画像データ等を受信した場合、受信した制御情報や画像データ等に宛先として付加されたIDを参照する。そして、宛先のIDが自己のIDであれば、この制御情報や画像データをRAM23に一時的に格納し、CPU21によって処理を行い、例えば、受信した画像データに基づく描画処理を実行して表示パネルに画像を表示する。
【0028】
一方、通信線11を介して受信した制御情報や画像データ等に宛先として付加されたIDが自己のIDでない場合、マスタパネルユニット2は、パネルユニット3が接続されている全てのインタフェース26から、上記の制御情報や画像データ等を出力する。
なお、マスタパネルユニット2が、パネルユニット3に付与されているIDと、そのIDを有するパネルユニット3がどのインタフェース26の側に接続されているかを対応づける情報を有しており、パネルユニット3に転送すべき制御情報や画像データ等を受信した場合に、その制御情報や画像データ等を、どのインタフェース26から出力すべきかを特定できるようにしてもよい。
【0029】
パネルユニット3は、いずれかのインタフェース35から入力された制御情報や画像データ等を転送する機能を有する。パネルユニット3は、4つのインタフェース35のうち、マスタパネルユニット2に直接または他のパネルユニット3を介して接続されたインタフェース35と、次のIDを有するパネルユニット3に接続されたインタフェース35とを特定する情報を、不揮発性メモリ24に記憶している。
いずれかのインタフェース35から制御情報や画像データ等が入力された場合、パネルユニット3は、その宛先のIDを判別する。そして、このIDがマスタパネルユニット2に特有のID(例えば、16進数のFF)であれば、入力された制御情報や画像データ等を、マスタパネルユニット2に接続されたインタフェース35から出力する。
また、宛先のIDが自己以外のパネルユニット3のIDであった場合、パネルユニット3は、入力された制御情報や画像データ等を、次のIDを有するパネルユニット3に接続されたインタフェース35から出力する。入力された制御情報や画像データ等の宛先のIDが自己のIDと一致した場合、パネルユニット3は、入力された制御情報や画像データ等をRAM33に格納して、CPU31によって処理する。
【0030】
このようにして、ホストコンピュータ4からパネルユニット3へ宛てて送信された制御情報や画像データ等は、図6Bに示すように、マスタパネルユニット2からパネルユニット3へ転送され、IDの順に各々のパネルユニット3により転送され、宛先のパネルユニット3へ届く。また、パネルユニット3からホストコンピュータ4またはマスタパネルユニット2へ宛てて送信された制御情報等は、IDの順とは逆の順で各々のパネルユニット3により転送され、マスタパネルユニット2により受信される。
なお、例えば図6Bのパネルユニット3(ID=05)は、次のIDを有するパネルユニット3に接続されていない。このようなパネルユニット3は、初期設定動作時に転送先がないことが設定される。
【0031】
図7は、初期設定処理を示すフローチャートである。
この初期設定処理は、店舗101、102に設置された表示システム1が、パネル配置情報44Bを生成する処理である。
詳細には、まず、マスタパネルユニット2が、インタフェース26A〜26Dから接続確認要求を出力し、この接続確認要求への応答の有無に基づいて、インタフェース26A〜26Dにマスタパネルユニット2またはパネルユニット3が接続されているか否かを判別する。続いて、マスタパネルユニット2に接続されたパネルユニット3がインタフェース35A〜35Dから接続確認要求を出力し、上記と同様に、この接続確認要求への応答の有無に基づいて、インタフェース35A〜35Dにマスタパネルユニット2またはパネルユニット3が接続されているか否かを判別する。この動作を繰り返し全てのマスタパネルユニット2及びパネルユニット3から全てのインタフェースを用いて実行することで、表示パネル10を構成するマスタパネルユニット2及びパネルユニット3の配置状態が検出され、IDの付与およびパネル配置情報44Bの生成が行われる。
【0032】
表示システム1が初期設定処理を開始すると(ステップS11)、まず、最初に検出動作を行うパネルユニットとして、マスタパネルユニット2が設定される(ステップS12)。
検出動作を行うパネルユニットは、接続確認要求を出力するインタフェースの方向を選択して設定し(ステップS13)、設定した方向のインタフェースから接続確認要求を出力して(ステップS14)、所定時間内に応答があるか待機する(ステップS15)。
ここで、接続確認要求に対する応答があれば(ステップS15;Yes)、検出動作を行うパネルユニットは、マスタパネルユニット2により新たに生成されたIDを付与すべく、応答したパネルユニット3にIDを出力して記憶させる(ステップS16)。その後、検出動作を行うパネルユニットは、接続確認要求を出力すべき全方向のインタフェースから接続確認要求を出力したか否かを判別し(ステップS17)、まだ接続確認要求を出力していない方向がある場合は(ステップS17;No)、いったん検出動作を中断して、新たにIDを付与したパネルユニット3を検出動作するパネルユニットとし(ステップS18)、ステップS13に戻る。
また、検出動作を実行中のパネルユニットが全方向のインタフェースから接続確認要求を出力した後であれば(ステップS17;Yes)、検出動作を終了して、新たにIDを付与したパネルユニット3を検出動作するパネルユニットとし(ステップS19)、ステップS13に戻る。
【0033】
また、接続確認要求を出力したインタフェースから所定時間内に応答がない場合(ステップS15;No)、検出動作を行うパネルユニットは、接続確認要求を出力すべき全方向のインタフェースから、接続確認要求を出力したか否かを判別する(ステップS20)。ここで、まだ接続確認要求を出力していない方向がある場合は(ステップS20;No)、ステップS13に戻って、次の方向のインタフェースを設定して接続確認要求を出力する。一方、全方向のインタフェースから接続確認要求を出力した後であれば(ステップS20;Yes)、検出動作を行うパネルユニットは、中断した状態になっている検出動作があるか否かを判別し(ステップS21)、いずれかのパネルユニットが中断している検出動作があれば、その元のパネルユニットを検出動作するパネルユニットとし(ステップS22)、ステップS13に戻って中断した検出動作を再開する。また、中断している検出動作が無ければ検出動作を終了する。そして、マスタパネルユニット2によって、検出された全てのパネルユニット3と、付与されたIDとをもとに構成情報が生成されて、ホストコンピュータ4へ送信され(ステップS23)、ホストコンピュータ4においてパネル配置情報44Bが生成される(ステップS24)。
【0034】
このように、矩形の表示パネル27の4辺の方向を向いて配置された4つのインタフェース26を有するマスタパネルユニット2と、同様に、矩形の表示パネル37の4辺の方向を向いて配置された4つのインタフェース35を有するパネルユニット3と、を組み合わせて表示パネル10が構成され、マスタパネルユニット2が有するインタフェース26は、上下左右に向きが指定された上方向インタフェース26A、右方向インタフェース26B、下方向インタフェース26C、及び左方向インタフェース26Dからなる。このように構成される表示パネル10では、マスタパネルユニット2と他のパネルユニット3の配置状態を、マスタパネルユニット2を基準として正確に求めることができる。
従って、マスタパネルユニット2及び複数のパネルユニット3を接続した後で、各パネルユニット3の位置を正確に特定できるので、表示パネル10の設置後に各パネルユニット3の位置を特定し、その位置に応じた画像データをホストコンピュータ4から送信することで、タイリング表示を行うことができる。
特に、表示パネル10の設置時には、マスタパネルユニット2の方向を指定された方向に合わせるだけでよく、その他のパネルユニット3の向きや位置を気にすることなく設置作業を行うことができ、設置時の作業負担を大幅に軽減できる。
【0035】
図8は、パネル特定情報44Hの構成例を示す図であり、図8Aはパネル特定情報44Hの構成を模式的に示す図であり、図8Bは具体例を示す図である。
パネル特定情報44Hは、表示システム1が設置された店舗101、102の所在地を示す情報と、表示パネル10に固有のパネルIDとを繋げて生成されたものであり、さらに、表示パネル10における各ユニットのIDが付加されている。
ここで、図8Aに示す住所情報は、表示システム1が設置された店舗の住所のうち広域の情報(郵便番号、都道府県名、市町村名など)であり、建物位置情報は、上記店舗が入居しているビルを特定する詳細な住所であり、フロア情報は上記店舗のビル内におけるフロアを示す情報である。これらの情報は、店舗識別情報とともに店舗所在情報44F(図4)に含まれた情報を抽出することで容易に得られる。また、図8Aの店内パネル所在情報は、ホストコンピュータ4が記憶する店内パネル所在情報44G(図4)であり、パネルIDは、ホストコンピュータ4が記憶するパネルID44E(図4)である。さらに、パネルユニットIDは、表示パネル10を構成する各パネルに付与されたIDである。
【0036】
つまり、パネル特定情報44Hは、店舗所在情報44Fと、店内パネル所在情報44Gと、パネルID44Eと、パネル配置情報44Bに含まれる各パネルのIDとを繋げることで、ディスプレイ管理システム100に含まれる全ての表示パネル10の中から一つの表示パネル10を特定し、この表示パネル10において一つのマスタパネルユニット2またはパネルユニット3を特定し得る情報である。
また、パネル特定情報44Hは、図8Bに具体例を示すように、住所、ビルの階層を示す数字、表示パネル10の設置場所を示す語、表示パネル10のID、パネルユニットのID等を単にカンマで区切って繋げるだけで生成され、特別な体系を必要としない。このため、パネル特定情報44Hは非常に負荷の軽い処理で生成することが可能である。
【0037】
ここで、パネル特定情報44Hとして、個々のマスタパネルユニット2及びパネルユニット3を区別する必要がない場合は、図8A、Bに例示した構成のうち最後の桁を除いてもよい。この場合、パネル特定情報44Hは、表示パネル10が設置された店舗と、この店舗における表示パネル10の設置場所と、表示パネル10のIDとを含む情報となる。この場合も、パネル特定情報44Hによって、ディスプレイ管理システム100に含まれる全ての表示パネル10の中から、一つの表示パネル10を特定できるので、本発明による効果を十分に得ることができる。
また、例えば、マスタパネルユニット2及びパネルユニット3を特定しないパネル特定情報44Hを生成したい場合、図8A〜Bに例示した構成の最後の桁を、空白を示す特別なコード(例えば、00)とするようにしてもよい。この場合、パネル特定情報44Hの桁数を変えることなく、個々のマスタパネルユニット2又はパネルユニット3を特定する場合と、これらパネルユニットを特定しない場合とで使い分けをすることができる。
【0038】
図9は、パネル特定情報44Hを生成する処理を示すフローチャートであり、図9Aはホストコンピュータ4の動作を示し、図9Bは表示管理サーバ110の動作を示す。
ホストコンピュータ4のCPU41は、まず、記憶部44からパネル配置情報44B、パネルID44E、店舗所在情報44F、及び店内パネル所在情報44Gを読み出し(ステップS31)、この読み出した情報を繋げることでパネル特定情報44Hを生成して記憶部44に記憶する(ステップS32)。
続いて、CPU41は、通信インタフェース47を制御して、生成したパネル特定情報44Hを、通信回線130を介して表示管理サーバ110に送信する(ステップS33)。
表示管理サーバ110は、ホストコンピュータ4から送信されたパネル特定情報44Hを受信し(ステップS41)、表示管理データベース111に記憶する(ステップS42)。ここで、表示管理データベース111には、パネル特定情報44Hと、店舗所在情報44Fに含まれる店舗のIDとを対応づけて記憶してもよい。
【0039】
その後、表示管理サーバ110は、表示パネル10毎に、表示すべき画像を決定し(ステップS43)、各々の表示パネル10について、決定した画像を指定する情報を、この表示パネル10に対応するパネル特定情報とともに、通信回線130を介して配信する(ステップS44)。このステップS43〜S44において、表示管理サーバ110は、ディスプレイ管理システム100に含まれる全ての表示パネル10、または、一部の表示パネル10に対してのみ、表示すべき画像データを決定し、通信回線130を介して、全てのホストコンピュータ4に対して情報を送信する。
【0040】
ホストコンピュータ4のCPU41は、通信インタフェース47を介して、表示管理サーバ110から送信された情報を受信すると(ステップS34)、受信した情報が自己宛ての情報か否かを判別する(ステップS35)。この判別は、受信した情報に含まれるパネル特定情報が、自己に接続された表示パネル10のパネル特定情報44Hと一致するか否かに基づいて行われる。そして、受信した情報が自己宛ての情報であった場合(ステップS35;Yes)、CPU41は、受信した情報により指定される画像データを、記憶部44に記憶された表示用画像データ44Cの中から選択し、この表示用画像データ44Cを表示パネル10に表示させる(ステップS36)。また、CPU41は、受信した情報に含まれるパネル特定情報が、自己に接続された表示パネル10のパネル特定情報44Hと一致しない場合は、受信した情報が自己宛ての情報でないと判別して(ステップS35;No)、処理を終了する。
【0041】
以上のように、本発明を適用した実施形態によれば、建物内の店舗101、102に設置された各々の表示パネル10を特定する一意のパネル特定情報44Hが生成されることで、このパネル特定情報44Hとともに、表示すべき画像データを指定する情報が表示管理サーバ110からホストコンピュータ4へ送信され、ホストコンピュータ4は、自己が接続された表示パネル10に対応するパネル特定情報44Hとともに送信された情報に基づいて、表示パネル10に画像を表示させるので、表示管理サーバ110によって、複数の表示パネル10の中から特定の表示パネル10を指定して、その表示パネル10に表示される画像を制御することができる。これによって、表示管理サーバ110によって、多数の表示パネル10における表示を容易に、かつきめ細かく個々に制御することが可能になる。
【0042】
また、ホストコンピュータ4は、表示管理サーバ110から送信されたパネル特定情報が、自己が接続された表示パネル10に対応するパネル特定情報44Hでなければ、そのパネル特定情報とともに送信された表示制御情報に基づく動作は行わない。このため、多数のホストコンピュータ4に同じ情報を送信しても、パネル特定情報により指定される一つの表示パネル10における表示を確実に制御することができる。つまり、表示管理サーバ110から全てのホストコンピュータ4に対して情報を送信しても、その情報に含まれるパネル特定情報に基づいて、各々のホストコンピュータ4が、自己宛ての情報か否かを判別できる。このため、表示管理サーバ110において送信先を特定しなくても、対象となるホストコンピュータ4のみがその情報に基づいて動作するので、極めて容易に、かつ確実に個々の表示パネル10における表示を制御できる。
【0043】
また、ホストコンピュータ4は、表示パネル10を構成する各々のマスタパネルユニット2及びパネルユニット3のIDに基づいて、各々のパネルユニットを一意に特定可能なパネル特定情報44Hを生成するので、パネル特定情報44Hにより、表示パネル10を構成する個々のマスタパネルユニット2及びパネルユニット3を一意に特定することが可能になる。このため、ホストコンピュータ4と表示管理サーバ110において、例えば個々のマスタパネルユニット2及びパネルユニット3の故障管理や、マスタパネルユニット2及びパネルユニット3に表示される画像の制御等を行うことができる。
【0044】
さらに、パネル特定情報44Hは、店舗所在情報44F及び店内パネル所在情報44Gに、パネルID44Eを繋げるという極めて負荷の軽い処理で生成することができ、このようにして生成された情報は、一つの表示パネル10を間違いなく特定することが可能であり、パネル特定情報44Hとして十分な機能を果たすことができる。
【0045】
また、ホストコンピュータ4は、表示パネル10に表示される複数の表示用画像データ44Cを記憶部44に記憶しており、表示管理サーバ110は、各々の表示パネル10に表示すべき画像データを指定する情報を、パネル特定情報とともに送信し、ホストコンピュータ4は、自己が接続された表示パネル10を特定するパネル特定情報44Hとともに送信された情報により指定される画像データを読み出して、表示パネル10に表示させる。このため、表示管理サーバ110によって各々の表示パネル10に表示される画像を容易に制御することができ、表示管理サーバ110からホストコンピュータ4に対して画像データ自体を送信しないで済むため、通信回線130を介して送受信するデータ量を極めて小さく抑えることができる。このため、通信に係るリソースを節約でき、表示管理サーバ110からの情報送信に要する処理の負荷や時間が短くて済み、表示管理サーバ110の負荷を低く抑えることができる。
【0046】
なお、上記実施形態においては、図9に示す処理において、表示管理サーバ110が表示すべき画像を指定する情報を送信し、この情報に基づいて、ホストコンピュータ4が表示用画像データ44Cを選択して表示パネル10に表示させる構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、表示管理サーバ110からホストコンピュータ4に対して、表示パネル10に表示する画像データ自体を送信してもよい。この場合、表示パネル10に表示させる画像を、予めホストコンピュータ4が記憶しているデータとは全く関係なく決めることができるので、表示させる画像に関して何ら制限がなく、自由度が高い。加えて、ホストコンピュータ4が表示用画像データ44Cを記憶しておく必要がないので、ホストコンピュータ4のリソースを節約できるという利点がある。
【0047】
さらに、上記実施形態においてはホストコンピュータ4がパネル特定情報44Hを生成して表示管理サーバ110に送信するものとして説明したが、本発明はこれに限定されず、ホストコンピュータ4が表示パネル10に固有のIDと店舗所在情報44Fに含まれる店舗のIDとを表示管理サーバ110に送信し、表示管理サーバ110が、送信された表示パネル10のIDに、送信された店舗のIDに対応する店舗の住所等の情報を付加してパネル特定情報を生成し、ホストコンピュータ4に送信し、ホストコンピュータ4が、受信したパネル特定情報をパネル特定情報44Hとして記憶部44に記憶するようにしてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、インタフェース26、35は相互に係合するコネクタを備える構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、赤外線通信インタフェースを備えるものであってもよいし、所定のケーブルを介して接続されるものであってもよい。さらに、上記実施形態では、マスタパネルユニット2の筐体28にインタフェース26が取り付けられ、パネルユニット3の筐体38にインタフェース35が取り付けられた構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、予め壁等に配設されたインタフェースに、マスタパネルユニットやパネルユニットの本体を取り付ける構成としてもよい。
また、上記実施形態において、マスタパネルユニット2が備えるインタフェース26やパネルユニット3が備えるインタフェース35の位置や数は任意であり、例えば、マスタパネルユニット2を表示パネル10の隅に配置する場合にはマスタパネルユニット2は少なくとも2個のインタフェース26を有するものであればよく、パネルユニット3についても同様に、隅部に配置される場合は2個のインタフェース35を備えていればよく、上下左右の縁に配置される場合は3個のインタフェース35を備えていればよい。また、表示パネル10を構成するマスタパネルユニット2及びパネルユニット3の数は任意であり、複数のマスタパネルユニット2が一つの表示パネル10を構成する場合には、いずれかのマスタパネルユニット2がパネルユニット3と同様に動作するようにしてもよいし、他のパネルユニット3をマスタパネルユニット2と同数のグループに分割して、グループ毎に上述した処理を実行してもよい。その他、上記実施形態で説明した表示システム1の細部構成についても、任意に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施形態に係るディスプレイ管理システムの構成を示す図である。
【図2】店舗に設置される表示システムの構成を示す図である。
【図3】パネルユニットの構成を示す外観図である。
【図4】パネルユニット及びホストコンピュータの構成を示す図である。
【図5】パネルユニット及びインタフェースの構成を示す図である。
【図6】表示パネルに画像を表示する処理を説明する図である。
【図7】表示システムの動作を示すフローチャートである。
【図8】パネル特定情報の構成を示す図である。
【図9】ディスプレイ管理システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1…表示システム、2…マスタパネルユニット(表示ユニット)、3…パネルユニット(表示ユニット)、4…ホストコンピュータ(制御装置)、5、6…ベース部、10…表示パネル(表示装置)、11…通信線、20、30…制御部、21、31…CPU、24、34…不揮発性メモリ、25…ホスト接続用インタフェース、26、35…インタフェース、27、37…表示パネル、28、38…筐体、41…CPU、44B…パネル配置情報、44E…パネルID、44F…店舗所在情報、44G…店内パネル所在情報、44H…パネル特定情報(表示装置特定情報、表示ユニット特定情報)、100…ディスプレイ管理システム(制御システム)、101…、店舗、110…表示管理サーバ(管理装置)、111…表示管理データベース、130…通信回線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示ユニットを接続して構成され、建物に設置される複数の表示装置と、それぞれ前記表示装置に接続された複数の制御装置と、これら複数の制御装置に対して通信可能に接続された管理装置と、を含んで構成される制御システムにおいて、
前記制御装置または前記管理装置によって、各々の前記表示装置が設置された建物を特定する情報と、当該建物における前記表示装置の設置場所を特定する情報とに基づいて、各々の前記表示装置を特定する表示装置特定情報を生成し、
前記管理装置は、各々の前記表示装置に表示される画像を制御する表示制御情報を、前記表示装置特定情報とともに前記制御装置に対して送信し、
前記制御装置は、自己が接続された前記表示装置を特定する前記表示装置特定情報とともに送信された表示制御情報に基づいて、前記表示装置に画像を表示させること、
を特徴とする制御システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記表示装置における各々の前記表示ユニットに付与された固有の識別情報を検出し、
前記制御装置または前記管理装置は、前記制御装置により検出された前記表示ユニットの識別情報と前記表示装置特定情報とに基づいて、各々の前記表示ユニットを一意に特定可能な表示ユニット特定情報を生成すること、
を特徴とする請求項1記載の制御システム。
【請求項3】
前記表示装置特定情報は、各々の前記表示ユニットに付与された固有の識別情報と、前記建物における前記表示装置の設置場所を示す情報と、前記建物の所在地の住所を示す情報と、を繋げることで生成されること、
を特徴とする請求項1または2記載の制御システム。
【請求項4】
前記管理装置は、前記表示装置に表示すべき画像データを、前記表示制御情報として前記表示装置特定情報とともに送信し、
前記制御装置は、自己が接続された前記表示装置を特定する前記表示装置特定情報とともに送信された画像データを前記表示装置により表示させること、
を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の制御システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記表示装置に表示される複数の画像データを記憶し、
前記管理装置は、各々の前記表示装置に表示すべき画像データを指定する情報を、前記表示制御情報として前記表示装置特定情報とともに送信し、
前記制御装置は、自己が接続された前記表示装置を特定する前記表示装置特定情報とともに送信された前記表示制御情報により指定される画像データを読み出して、前記表示装置に表示させること、
を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の制御システム。
【請求項6】
複数の表示ユニットを接続して構成され、建物に設置される複数の表示装置と、それぞれ前記表示装置に接続された複数の制御装置とを、複数の制御装置に対して通信可能に接続された管理装置により制御する制御方法であって、
各々の前記表示装置が設置された建物を特定する情報と、当該建物における前記表示装置の設置場所を特定する情報とに基づいて、各々の前記表示装置を特定する表示装置特定情報を生成し、
前記管理装置によって、各々の前記表示装置に表示される画像を制御する表示制御情報を、前記表示装置特定情報とともに前記制御装置に対して送信し、
前記制御装置によって、自己が接続された前記表示装置を特定する前記表示装置特定情報とともに送信された表示制御情報に基づいて、前記表示装置に画像を表示させること、
を特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−169038(P2009−169038A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−6466(P2008−6466)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】