説明

制御流れアッセイ装置及び方法

【課題】
液体サンプルを取り扱う装置の、液体サンプル等の流れを強めたり弱めたりする手段を提供する。
【解決手段】
この液体サンプルを取り扱う装置は、流動路とサンプル受け取りゾーンと輸送又は培養ゾーンとを備えており、液体サンプルを受け取ることができる。また、輸送又は培養ゾーンを通るサンプルの流速を支持又は制御できるシンクを更に備えており、このシンクが、その表面に対して実質的に垂直な突起を有する領域を備えていて、液体サンプルを受け取る能力を規制する外的影響に対して応答するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプル中の1つ以上の検体の検出に使用される、アッセイ装置又はそれらの要素を具備したアッセイシステムと、その装置又は要素を使用するための方法と、その装置を使用して検体を検出するための方法と、に関するものである。本発明は、特に、液体の流れが制御される、装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
分析測定や診断測定は、しばしば、液体サンプルについて実行される。その液体サンプルは、目的の検体に加えて、無数の他の成分を、溶液形態及び/又は粒子形態で含んでおり、そのような他の成分は、サンプルの取り扱いをしばしば妨害し、検体の定量測定又は定性測定に影響する。
【0003】
例えば、多くの臨床診断方法が、生物学的サンプル中の検体の検出に基づいている。そのような検出は、しばしば、使い捨て可能なアッセイ装置で行われ、迅速且つ簡単な診断を可能としている。1つの重要な用途は、免疫学の広い分野であり、その分野では、検体は、特殊な抗体の助けによって検出される。その抗体は、検体と結合することができ、また、通常は、検出を助ける配位子の助けによって検出可能な複合体を形成することができる。
【0004】
患者からの生物学的サンプル、特に血液サンプル、を用いて、テストを実行する場合には、多くの要因を考慮する必要がある。全血は、凝固して、アッセイ装置でのサンプルの所望の流れを弱めたり妨げたりする傾向がある。赤血球は、凝固しない時でさえ、流れを邪魔したり遅くしたりする。更に、赤血球は、特殊な結合対部材間の結合を阻止する。また、赤血球は、酵素活性を有しており、それは、使用されるアッセイに依存するが、生成される信号を妨害する。
【0005】
不幸にも、赤血球は、全血中に存在しており、光を散乱させたり吸収したりするので、反射光又は透過光を測定するアッセイ方法を妨害する。また、他の細胞は、特定の測定を妨害する。例えば、コレステロール測定は、細胞膜中に存在するコレステロールによって影響される。
【0006】
更に、赤血球フラクションは、ある場合には半分の量であるが、かなりの量のサンプルを要する。大切なことは、ヘマトクリット値とも呼ばれるこのフラクションが、異なる固体の間で、及び、同じ固体であっても、異なる測定の間で変化することである。これは、言い換えると、測定の精度及び/又は再現性に影響する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP1371984(請求項等)
【特許文献2】WO03/103835(請求項等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それ故、多くのアッセイ法は、アッセイが血漿又は血清について実行されるとすぐに赤血球を血漿から分離するという工程を、含んでいる。凝固する前に分離が行われると、血漿が得られる。分離の前に凝固が起こると、血清が得られる。
【0009】
赤血球は、遠心分離によって血漿から分離できる。しかしながら、遠心分離は、比較的多量のサンプルを必要とし、遠心分離機を使用する必要がある。これは、また、時間がかかり、サンプルを取り扱う追加の工程を構成し、その工程は、コスト及び複雑性を増大させ、しかも、潜在的な伝染性の血液感染症病原菌が含まれている場合には特に避けるべきである。更に、それを取り扱う固体によって汚染されているサンプル、同時進行のサンプルによる二次感染、又は、他のサンプルとの混合、というリスクが、増大する。
【0010】
全血サンプル及び赤血球に関して上述したことは、必要な用途と共に他の生物学的サンプルにも適用され、それでは、細胞、細胞残屑、繊維、又は他の不要な粒子等が、測定を妨害するので、それらは、検体の検出に結びつく反応又は測定の、前又は間に、好ましくは分離されるべきである。
【0011】
使い捨て可能なアッセイ装置の最も一般的なタイプは、サンプルを受け取るためのゾーン又は領域と、反応ゾーンと、受け取りゾーンと反応ゾーンを接続する任意の輸送又は培養ゾーンと、から成っている。これらのアッセイ装置は、クロマトグラフアッセイ装置として知られており、あるいは、単にストリップテストと言われている。それらは、毛細管流動を支持できる流体流れの通路を構成する多孔性材料、例えばフィルター材料を使用する。サンプル受け取りゾーンは、しばしば、もっと多孔性の材料から成っており、その材料は、サンプルを吸収することができ、また、血液細胞の分離が望まれるときは、赤血球を捕捉するのに有効である。そのような材料の例としては、紙、フリース、ゲル、又は薄い織物のような、繊維性材料があり、それらは、例えば、セルロース、ウール、ガラス繊維、アスベスト、合成繊維、ポリマー等、あるいは、それらの混合物で、構成されている。輸送又は培養ゾーンは、通常、同じ又は類似の材料から成っており、その材料は、しばしば、サンプル受け取りゾーンとは別の多孔性を備えている。同様に、反応ゾーンは、培養ゾーンと一体であり、又は、培養ゾーンの最先端部を構成しているが、通常は、類似の吸収繊維材料又は上述で列挙した材料、から成っている。
【0012】
従来のアッセイ装置又はストリップテストでは、熱可塑性材料、紙、ボール紙等のストリップのようなキャリア上に、多孔性材料が取り付けられている。更に、カバーを設けることができる。そのカバーは、サンプルを受け取るための少なくとも1つの開口と、アッセイの結果を読み取るための開口又は透明領域と、を有している。
【0013】
また、ニトロセルロース材料が、受け取りゾーンと反応ゾーンとを接続する輸送又は反応ゾーン、を構成するマトリックスとして、しばしば、使用される。ニトロセルロースの重大な不利点は、タンパク質及び他の生体分子との高い非特異的結合性である。しかしながら、現在のテストストリップは、しばしば、サンプルの余りを取り扱っており、この結合性の影響を低減している。しかしながら、サンプル容積を最小限とすることが望まれており、それは、テスト全体を小型化する傾向と一致しており、精度や信頼性を損なうことなく試薬の量を最小限にすることを含んでいる。
【0014】
特許文献1は、全血のサンプル中の検体の存在を検知するためのクロマトグラフアッセイ装置及び方法を開示しており、それは、赤血球を凝集させ、血漿又は血清が毛細管作用によって流れるようにするために、赤血球分離剤を利用している。キャリア材料の例としては、多孔性ゲルだけでなく、天然又は合成の、紙(繊維)材料、又は、セルロース、ガラス繊維、クロス等の膜、がある。
【0015】
従来においてよく用いられ、よく知られているが、上述のキャリア材料は、多くの欠点と関係している。材料の構造は、いつも、異なるバッチの間で変動し、また、例えば繊維材料における繊維のランダム分布、又は、例えばゲル様材料におけるキャビティ、によって、材料内においても変動する。同様に、例えば、材料に加えられた化学物質の分布のような材料の化学的特性が、上述したのと同じ理由のために必然的に変動する。
【0016】
特許文献2は、基板を備えたマイクロ流体システムを開示しており、それは、基板上に、機能手段と相互接続した少なくとも1つの流動路を、備えており、機能手段では、液体サンプルが、異なった所望の処置を受けることができ、上記流動路は、上記基板から突出している多数のマイクロポストを、備えている。
【0017】
本発明の目的は、特許文献2に開示されているマイクロ流体システムを更に発展させること、及び、特に、流れを制御したり規制したりして、基板上の、液体サンプル、試薬、又は他の成分の、流れを、強めたり弱めたりする手段を、提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、液体サンプル中の検体を検出する装置、又は、そのような装置の要素を、提供する。その装置は、少なくとも1つのサンプル受け取りゾーンと、輸送又は培養ゾーンと、を備えた流動路を備えている。それらのゾーンは、その表面に対して実質的に垂直な突起を有する領域によって連結されており又はその領域から成っている。その装置は、更に、シンクを備えている。シンクは、液体サンプルを、受け取ることができ、及び/又は、吸収することができ、また、輸送又は培養ゾーンを通して、サンプルの流速を支持したり制御したりできる。シンクは、その表面に対して実質的に垂直な突起を有する領域を、備えている。また、シンクは、液体サンプルを受け取る能力を規制する外的影響に反応するようになっている。
【0019】
また、本発明は、明細書及び請求の範囲に記載された上記装置及び方法の実施形態を包含している。
【発明の効果】
【0020】
液体サンプル取り扱い装置の、液体サンプル等の流れを、強めたり弱めたりすることができる技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の装置の概略断面図であり、ここでは、加熱手段が、一端にて、液体の蒸発を生じさせて、装置の流動路に沿った流れを起こしている。
【図2】本発明の装置の概略平面図であり、ここでは、加熱が、ゾーン内で実行され、サンプルが加えられる場所に対して最も末端のゾーンで開始される。
【図3】本発明の実施形態の概略図であり、ここでは、2つの並列的測定を実行でき、流速及びそれに基づく培養時間を2つの流動路で個別に調整できる。
【図4】他の実施形態の概略図であり、ここでは、サンプル、試薬、及びバッファを、制御された方法で、流動路に沿って連続して加えて輸送できる。
【図5】異なる実施形態を示す図であり、これは、1つの流動路から他の流動路への移行をどのように行うことができるかを示しており、A)マイクロポストの配置の差異を使用する、B)マイクロポストの高さ及び間隔の差異を使用する、C)流動路間の連結のデザインを使用する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、以下の記載、実施例、及び添付の図面おいてより詳細に説明される。
【0023】
(定義)
本件の装置及び方法を記述するのに先だって、以下、述べる。当然ながら、本発明は、ここに開示されている特定の、形態、方法ステップ、及び材料に、限定されるものではなく、そのような形態、ステップ、及び材料は、少し異ならせてもよい。また、当然ながら、ここで使用された専門用語は、特定の実施形態のみを記述する目的で用いられており、本発明の範囲を限定する意味の無いものである。何故なら、本発明の範囲は、添付の請求の範囲及びその均等物によってのみ制限されるからである。
【0024】
また、この明細書や添付の請求の範囲において使用されているように、「1つの」及び「その」という単数形は、文脈が明らかに別のことを示していない限りは、複数の指示対象を含んでいる。したがって、例えば「1つの抗体」を含む反応混合物への言及は、2つ以上の抗体の混合物を含んでいる。
【0025】
数値の文脈で使用される場合の表現の「約」は、当業者にとってよく知られており許容可能である、精度の区間を、意味している。その区間は、±10%、好ましくは±5%である。
【0026】
本発明を記述し及び主張する際に、以下の専門用語は、ここで述べられる定義に従って使用される。
【0027】
ここで「サンプル」という用語は、多量の液体、溶液、又は懸濁液を、意味しており、その特性のいずれかの定性的又は定量的測定、例えば、成分の有無、成分の濃度等の測定を、受けるためのものである。サンプルは、哺乳類好ましくは人間のような生物から採取されたサンプルでもよく、あるいは、水サンプルや流出物のような生物圏から採取されたサンプルでもよく、例えば、薬剤、食品、餌等の生産や、飲料水の精製や排水の処理等の、生産プロセスのような、技術的、化学的、又は生物学的プロセスから採取されたサンプルでもよい。サンプルは、均一化、超音波処理、濾過、沈殿、遠心分離、加熱処理等の、適切な前処理の後に、定性的又は定量的測定を受けてもよい。
【0028】
本発明との関連で代表的なサンプルは、体液、環境流体、及びプロセス流体である。体液としては、例えば、血液、血漿、血清、リンパ液、尿、唾液、精液、胃液、痰、涙液等がある。環境流体としては、例えば、地上水、地下水、汚泥等がある。プロセス流体としては、例えば、ミルク、乳清、肉汁、栄養溶液、細胞培養媒体等がある。本発明は、全てのサンプルに適用可能であるが、体液のサンプルが好ましく、全血サンプルが最も好ましい。
【0029】
サンプルの側方流動と、サンプルに存在する成分と装置に存在する反応試薬との相互作用と、そのような相互作用の検出と、に基づく、定性的又は定量的測定は、診断、環境保護、品質管理、規制、法医学、研究目的のようないずれの目的のためであってもよい。そのようなテストは、クロマトグラフアッセイ、又は、免疫クロマトグラフアッセイのような側方流動アッセイ、と呼ばれている。
【0030】
診断測定の例としては、限定するものではないが、種々の疾患、例えば、慢性代謝性疾患、に対して特異的なマーカーと呼ばれる検体、例えば、血糖、血中ケトン、尿グルコース(糖尿病)、血中コレステロール(アテローム性動脈硬化症、肥満等)の測定や、他の特定疾患、例えば、急性疾患の、マーカー、例えば、心筋梗塞マーカー(例えば、トロポニン−T)、甲状腺機能のマーカー(例えば、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の測定)、ウイルス感染のマーカー(特定のウイルス抗体の検出用の側方流動免疫測定の使用)等の測定、がある。
【0031】
診断測定の他の重要な分野は、妊娠及び受胎能力に関するものである。例えば、妊娠テスト(性腺刺激ホルモン(hCG)の測定)、排卵テスト(黄体形成ホルモン(LH)の測定)、受胎能テスト(卵胞刺激ホルモン(FSH)の測定)等がある。
【0032】
更に、他の重要な分野は、薬物乱用を示す薬物や薬物代謝物の、容易且つ迅速な検出のための、薬物検査である。例えば、尿サンプル等における特定の薬物や薬物代謝物(例えばTHC)の測定がある。
【0033】
「検体」という用語は、「マーカー」という用語と同義語として使用され、定量的又は定性的に測定されるいかなる物質も包含するためのものである。
【0034】
「ゾーン」、「領域」、「部位」という用語は、この明細書、実施例、及び請求の範囲の文脈の中で使用されて、従来の装置であるか本発明の装置であるかを問わず、基板上の流動路の部分を定義する。
【0035】
「反応」という用語は、サンプルの成分と、上記基板の上や中にある少なくとも1つの反応試薬と、の間で起こったり、上記サンプル中に存在する2つ以上の成分の間で起こったりする、いかなる反応も定義するのに、使用される。「反応」という用語は、特に上記検体の定性的又は定量的測定の一部として、検体と反応試薬との間で起こる反応を、定義するのに、使用される。
【0036】
「基板」という用語は、サンプルが加えられるキャリア又はマトリックスを意味し、測定は、基板の上又は中で実行され、検体と反応試薬との反応は、基板で起こる。
【0037】
「化学的官能性」という用語は、アッセイを行ったり促進したりするのに必要な、化合物や化学成分を、含んでいる。本発明と特に関連する化合物の1つのグループは、サンプル中の1以上の成分に対して、特異的な親和性を示したり、又は、その成分と結合したり相互作用したりすることのできる、化合物又は成分である。赤血球分離剤は、説明に役立つ実例を構成する。その薬剤は、赤血球を凝集させたり結合させたりできる物質である。
【0038】
「生物学的官能性」という用語は、サンプル中の成分と、基板の上又は中の試薬と、の間の、全ての生物学的相互作用、例えば、触媒作用、結合、内部化、活性化、又は他の生体特異的相互作用を、含んでいる。適切な試薬は、限定されるものではないが、抗体、抗体のフラグメント及び誘導体、一本鎖抗体、レクチン、DNA、アプタマー等を含んでおり、結合能力を備えた他のポリマーや分子を含んでいる。そのような試薬は、分離される成分の選択に続いて、標準的な実験、例えば、スクリーニング法及び化学ライブラリーを用いて、同業者によって同定できる。
【0039】
「物理学的官能性」という用語は、単なる化学的又は生物学的であるもの以外の反応及び相互作用に含まれた、官能性を含んでいる。実施例では、直径、高さ、形、断面、表面形状、及び表面パターン、単位面積当たりの突起の数、上記突起の表面の濡れ挙動、又はそれらの組み合わせがあり、及び/又は、サンプルの成分の、流れ、保持力、接着性、又は拒絶反応に影響する、その他の官能性、がある。
【0040】
化学的、生物学的、及び物理学的相互作用の間の違いは、必ずしも明確ではなく、サンプル中の成分と基板上の試薬との間の相互作用のような、相互作用が、化学的、生物学的、及び物理学的要素を含んでいることは、可能なことである。
【0041】
親水性又は疎水性の化合物、親水性又は疎水性の相互作用等、において見られるような、「親水性」及び「疎水性」という用語は、当業者によって一般的に理解され、公認のテキストで一般的に使用されるものに相当する意味を有している。
【0042】
(好ましい実施形態の説明)
本発明は、液体サンプルを取り扱う装置を提供する。その装置は、少なくとも1つのサンプル受け取りゾーンと、輸送又は培養ゾーンと、を備えた流動路を備えている。それらのゾーンは、その表面に対して実質的に垂直な突起を有する領域によって連結されており又はその領域から成っている。その装置は、更に、シンクを備えている。シンクは、液体サンプルを、受け取ることができ、及び/又は、吸収することができ、また、輸送又は培養ゾーンを通して、サンプルの流速を支持したり制御したりできる。シンクは、その表面に対して実質的に垂直な突起を有する領域を、備えている。また、シンクは、液体サンプルを受け取る能力を規制する外的影響に反応するようになっている。
【0043】
本発明の装置は、2つ以上の流動路を備えており、その流動路の各々は、シンクに連結している。この装置は、1つのサンプルについて多くの分析を実行するようになっている。この場合において、各流動路は、反応ゾーンを備えており、結合剤やバッファ等のような各試薬が、各流動路や反応ゾーンに、加えられたり蓄えられたりする。本実施形態の装置は、並列的な又は実質的に並列的な多くの分析を、1つの装置に加えられた1つのサンプルから開始して実行することを、可能にするので、有益である。
【0044】
一実施形態では、多くの試薬やバッファ等が、1つの流動路に連続して加えられる。これは、サンプル、試薬、バッファ等の各々が、流動路に沿ってほぐれていき、反応ゾーンを所定の順番で通過することを、意味する。シンク、特に加熱されたシンク、を用いることによって、各成分の流速を制御できる。これは、例えば、実施例に記載されているだけであるが、ゆっくりとした前処理、所定の長さの培養、それに続く急速洗浄等、を含む分析を実行することを、可能とする。
【0045】
本発明では、液体サンプルを受け取るシンクの能力を規制する外的影響が、加熱、冷却、可視光線照射、赤外線照射、振動、及び電流適用、の内から選択される。
【0046】
本発明の実施形態では、シンクは小区画に分割されており、上記外的影響を連続して受けるのに適している。これは、サンプルが、シンクにおいて加熱中に、凝固したり、変性したり、単に乾燥したりするような場合に、有益である。シンクの区画を、最も末端のものから連続して加熱することによって、シンクの吸引能力又は吸収能力を保持することが可能である。
【0047】
本発明の一実施形態は、装置内に好ましい方向の流れを作り出す手段又はデザイン方法を提供することに、関する。そのような手段又は方法は、流動路の異なるゾーンにおいて異なる断面を有する垂直突起を備えており、異なる突起間間隔を備えており、突起に対する異なった化学的又は生化学的処置を備えており、流動路のレベルの違いを備えており、そのレベルの違いは、例えば、流動路の異なる区画の間に段や境界を形成している。
【0048】
流れの方向、例えばサンプルの望まれない逆流、を防止することは、流動路、実質的に垂直な突起の断面、外的影響、又はそれらの組み合わせ、の適切なデザインであって上記流動路の少なくとも一部に作用するデザイン、の内から選択される。外的影響は、加熱、冷却、可視光線照射、赤外線照射、振動、及び電流適用、の内から選択される。
【0049】
本発明は、サンプル中の検体と1つ以上の試薬との間の反応を含む、化学的又は生化学的アッセイを、提供する。そのアッセイでは、サンプルは上述した装置に加えられる。上記検体と1つ以上の試薬との間の反応は、固体基板上で又はキャリア材料中で現在実行されている任意の従来の反応でよい。これは、また、本発明の装置がサンプルの前処理に使用されるというアッセイを含む。
【0050】
また、本発明は、サンプル中の検体と1つ以上の試薬との間の反応を含む、化学的又は生化学的アッセイを、提供する。そのアッセイでは、上記反応自身、及び/又は、結果を読むことが、上述の装置で実行される。
【0051】
また、本発明は、液体サンプルの取り扱い方法を提供する。その方法では、上述の装置が使用される。
【0052】
本発明の装置は、分析用途で有利に使用される。その分析用途では、液体サンプルが、細胞、組織残渣、有機又は無機物質、その他の不純物等の、粒状物質を含んでおり、それらは、大部分のサンプルから分離することが望まれている。1つの重要な用途は、液体サンプルが全血である場合である。そのような場合においては、側方毛細管流動が、上記細胞をひどく破壊することなく血漿から赤血球を分離することを含んでいる。一実施形態では、一般にそのような分離が、特に赤血球の穏やかな分離が、突起の勾配で達成される。その突起の勾配では、上記フィルターゾーンの長さに渡って、間隔が約7μmから約1μmへ減少している。
【0053】
一実施形態では、上記受け取りゾーンは、側方流動から分離された成分、例えば、突起の間を通るのを阻止されたり、その間隔に限られた分だけ入り込んだりする、粒状物質又は細胞、のための流域を形成している。
【0054】
別の実施形態では、粒状物質は側方流動とともに移動する。上記液体サンプルが全血である用途では、上記側方毛細管流動が、上記細胞をひどく破壊することなく赤血球を輸送することを含むこと、が重要である。これは、突起の1つ以上のパラメータを制御することによって本発明により実現される。そのパラメータは、例えば、高さ、直径、相互間隔、更には突起の化学的又は生化学的誘導体化である。
【0055】
上記突起間の間隔は、使用目的、液体サンプルの特性、更には分離されたり輸送されたりする成分の特性、に応じて変更でき、好ましくは、1〜100μmの間隔、より好ましくは1〜50μmの間隔である。上記突起間の距離は、装置がどのサンプルを対象とするか、上記サンプルの特性、及び分離される成分の特性、を考慮して当業者によって選択される。
【0056】
本発明の装置は、プラスチック基板、好ましくは、熱可塑性基板、又は、プラスチック上層を有する基板、を足場としている。これは、順に、例えば、スパッタリング、蒸着等の技術を使用することによって、被覆したり誘導体化したりすることができ、また、シリコン、金属、その他のコーティングを得ることができる。また、本発明は、シリコン基板で作ることができる。好ましい実施形態では、基板に、親水性の処理又はコーティングが、施される。それは、基板に対して、例えば、ガスプラズマ処理のような酸化処理を施したり、酸化シリコンのような親水性物質や、デキストラン、ポリエチレングリコール、ヘパリン、それらの誘導体のような親水性ポリマーや、洗浄剤や、ポリマーのような生物学的物質で、コーティングしたりすることによって、行われる。
【0057】
したがって、本発明の一実施形態では、上記突起又は少なくともその一部が、化学的、生物学的、又は物理学的感応性を、備えている。突起は、その表面に化学的反応基を有してもよい。また、突起は、その表面に結合された生物学的親和性を有する物質を有してもよい。
【0058】
別の実施形態では、突起は、親水性基、疎水性基、正電荷基及び/又は負電荷基、酸化シリコン、炭水化物、アミノ酸、核酸、及び高分子、又はそれらの組み合わせ、の内から選択された、構造又は基を、担持している。
【0059】
別の実施形態では、突起は、基板の所望の使用目的に応じて、以下のものから選択された物理学的特性を有している。すなわち、直径、高さ、相互間隔、形状、断面、表面コーティング、単位面積当たりの突起の数、突起表面の濡れ挙動、又は、それらの組み合わせ。
【0060】
別の実施形態では、粒子は、基板に化学的又は物理学的に結合されて設けられており、又は、多数の突起を備えた領域内に機械的に捕捉されて設けられている。上記粒子は、ビーズと呼ばれる市販の粒子の内から選択され、ガラス、金属、又はポリマーの、コア、又は、これらの組み合わせ、を有することができ、そして、それらは、任意に、それらの表面に、化学的又は生物学的成分、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、アミノ酸、核酸、炭水化物、及びそれらの組み合わせを、担持する。
【0061】
また、本発明は、液体サンプル中の検体を検知するための装置内で、又は、その装置と共に、使用するのに適した装置を、提供する。それにおいて、上記装置は、その表面に対して実質的に垂直な突起を有している。その突起は、上記装置が上記液体サンプルの側方流動を実現しながら上記液体サンプルの成分を分離することができるような、高さ、直径、及び相互間隔を、有している。この装置は、その使用目的に応じて、上述したような1つ以上の特性及び機能性を有している。
【0062】
この装置は、液体サンプルを分析するための装置と、共同して又は一体化されて、別々に使用できる。この装置は、従来の分析中に又はその前に、前処理工程として機能する。
【0063】
また、本発明は、液体サンプルのアッセイを実行するための方法を提供する。そのサンプルは、基板に適用される。基板は、反応ゾーンと流体連通している、サンプル受け取りゾーンを、有しており、また、受け取りゾーンと反応ゾーンとを接続する、輸送又は培養ゾーンを、任意に有している。上記基板は、無孔性基板である。上記受け取りゾーン、反応ゾーン、及び任意の輸送又は培養ゾーンは、上記表面に対して実質的に垂直な突起の領域から成っている。突起は、上記ゾーン中の上記液体サンプルの側方毛細管流動が達成されるような、高さ、直径、及び相互間隔を有している。
【0064】
この方法の一実施形態では、フィルター工程は、サンプルの添加に続いて実行され、そのフィルター作用は、上記基板の表面に対して実質的に垂直な突起によってフィルターゾーンで生じる。突起は、サンプルの成分が次第に保持されるように、直径及び/又は相互間隔に関して勾配を形成する、高さ、直径、及び相互間隔を有している。
【0065】
この方法は、液体サンプルの成分を大部分のサンプルから分離することが要求される全ての用途において、使用できる。しかしながら、その方法は、上記液体サンプルが全血であり、且つ、上記側方毛細管流動が赤血球をひどく破壊することなく血漿から分離することを含んでいる、という場合の用途に、特に適している。
【0066】
サンプルの成分の穏やかな分離を実現するための1つの方法は、サンプルをフィルターゾーンに通すことである。フィルターゾーンでは、突起間の間隔が次第に減少している。側方毛細管流動が血漿からの赤血球の分離を含んでいる用途では、これが赤血球をひどく破壊することなく生じることが重要である。これを実現するために、赤血球の分離を含む用途では、間隔が、上記フィルターゾーンの長さに渡って約7μmから約1μmへ減少している。
【0067】
本発明の方法の一実施形態では、側方流動から分離された成分は、流域に保持され、実質的にはフィルターゾーンへ入るのが阻止されている。
【0068】
上記液体サンプルが全血である用途における、別の実施形態は、赤血球をひどく破壊することなく輸送することを含む側方毛細管流動を実現する方法である。必要ならば、バッファ液の流れを反応ゾーンにおける細胞の量を減少させるのに使用して、検出工程を促進できる。
【0069】
本発明は、液体サンプル、特に全血サンプルの、アッセイを実行する方法を、提供する。このアッセイでは、上記サンプルは、上述した装置に加えられる。
【0070】
本発明の装置は、驚くことに、従来装置に取って代わるものである。なお、その従来装置では、基板及び/又は1つ以上の上記ゾーンが、例えば、ニトロセルロース、セルロース、石綿繊維、ガラス繊維等のような、多孔性材料でできている。
【0071】
図1は、基本的な実施形態の概略図であり、装置の一部を示している。図1では、基板2の表面が、その表面に対して実質的に垂直な突起を備えた流動路4を、有している。突起は、側方流動が実現されるような、高さ、直径、及び相互間隔を、有している。反応ゾーン6が、上記表面に設けられており、サンプル、及び、任意の試薬やバッファは、上記反応ゾーンを通るように、横方向に輸送されることが、望ましい。上記試薬等が反応ゾーンを通る速度は、制御されるのが、更に望ましい。この目的のために、シンク8が、サンプルが加えられる場所に関連して、基板の末端部に設けられている。そして、このシンクは、液体を蒸発させてサンプルの流速を制御したり増大したりするために、加熱手段10によって、加熱される。
【0072】
図2は、別の実施形態を示しており、流動路4及び反応ゾーン6を有する基板2の一部を示している。しかしながら、シンクは、ゾーン12、14、16、18に分割されており、それらは、最も末端のゾーン12から連続して加熱できる。
【0073】
図3は、更に別の実施形態を示している。この実施形態では、サンプルは、2つの流動路4’、4’’と流体連通している1つの場所20に加えられ、各流動路は、反応ゾーン6’、6’’を通り、シンク22’、22’’で終わっている。シンク22’、22’’に異なる能力を与えることによって、又は、それらを加熱に晒すことによって、流動路4’、4’’において異なる流速を実現することが可能となる。これは、2つ以上の測定が同じサンプルについて実行され、且つ、各測定が、培養時間、反応時間、流速等に関して、独自の条件を有している、という用途において、有益である。図3は、2つの流動路を示しているだけであるが、3つ、4つ、あるいは幾つかの、平行な流動路を設けてもよいことは、明らかである。
【0074】
図4は、システム28における1つの場所24にサンプルが添加される実施形態を示している。システム28は、サンプル添加部24と、流動路4と、反応ゾーン6と、シンク26との間に流体連通を形成している。システム28では、別の場所30に蓄えられ又は添加された第1洗浄バッファW1と、別の場所32に蓄えられ又は添加された結合材Cと、別の場所34に蓄えられ又は添加された第2洗浄バッファW2と、を上記流動路4に連続して導入できる。W1、W2、及びCが同時に添加される場合は、場所30、32、34と流動路4との間の距離は、それぞれ、W1、W2、及びCが流動路に到達する時間に影響を与えるために、変更できる。W1、W2、及びCが、場所30、32、34で表面に蓄えられる場合、これらの成分の放出は、溶解可能なシールを設けること、成分の加熱又は冷却、又はその他の手段、によって、制御でき、W1、W2、及びCが流動路に到達する時間に影響を与える。場所30、32、34は、図4において、流動路4から略等しい距離であり、且つ、流動路4に対して略垂直であるように、概略的に示されているが、それらが、流動路に対して、異なる距離で、異なる角度で、設けられてもよいこと、又は、それらに対して部分的に平行であってもよいこと、は予期されることである。W1、W2、及びCの1つ又は全てを流動路に送達するための1つの手段として、遠心分離が挙げられる。
【0075】
図5Aは、1つの流動路36から別の流動路38への移行が特徴を有している実施形態を、概略的に示している。その特徴では、上記流動路における実質的に垂直な突起が、異なる特性を有しており、それらの特性は、流れの方向が制御されて、例えば、好ましい流れ方向を作り出すように、選択される。この点における異なる特性としては、異なる、断面、高さ、方向性、間隔、突起の表面化学性、又はそれらの組み合わせ、がある。
【0076】
図5Bは、別の実施形態を概略的に示しており、この実施形態では、上記突起の特性だけでなく、流動路のレベルも、好ましい流れ方向を作り出すために、改めて異なっている。
【0077】
最後に、図5Cが概略的に示す実施形態では、各流動路44、46の配置が、好ましい流れ方向を作り出すようデザインされている。
【0078】
上記実施形態は、例えば、1つの実施形態の特徴を別の実施形態に導入することによって組み合わせてもよい。
【0079】
(発明の利点)
本発明の装置の利点は、流速を正確に制御することが可能であることであり、それは、流れを停止したり開始したりできることを含んでいる。これは、言い換えれば、同時反応又は連続反応を、連続して又は並行に、そして制御された方法で、実行することを、可能とする。異なる反応の培養時間に影響を及ぼすことも可能である。
【0080】
この装置の別の利点は、毛細管流動ゾーンの開かれた一定構造及び明確な特性によって、これらのゾーンへの試薬の添加、又は、突起の表面の誘導体化が、非常に簡単であることである。
【0081】
この装置の更に別の利点は、1つの装置内だけでなく、生産された全ての装置の間においても、構成が均一であることである。これは、本発明の装置に基づくアッセイの信頼性及び再現性を、非常に増大させることになる。
【0082】
本発明の装置の重要な利点は、血液細胞の分離の程度を0から全部まで正確に制御できることである。
【0083】
本発明の装置は、製造プロセスに対して多くの利点を有している。毛細管ゾーンは、ワンステップで作ることができ、部品の組み合わせを必要としない。任意に、サンプルを添加するための少なくとも1つの開口を有するカバー、及び、アッセイの結果を読み出すものを、基板及び毛細管ゾーンの上に、置くことができる。
【0084】
本発明は、発明者にとって現在知られているベストモードを構成する好ましい実施形態に関して述べてきたが、当業者にとって明らかであるような種々の変更や改良を、これに添付した請求の範囲で述べている発明の範囲から逸脱することなく、行うことができることは言うまでもない。
【0085】
本発明の好ましい実施態様は以下の通りである。
(1) 液体サンプルを取り扱う装置において、当該装置が、少なくとも1つの流動路と、少なくとも1つのサンプル受け取りゾーンと、輸送又は培養ゾーンと、を備えており、前記装置が、前記液体サンプルを受け取ることができ、且つ、前記輸送又は培養ゾーンを通る前記サンプルの流速を支持又は制御できる、シンクを、更に備えており、前記シンクが、その表面に対して実質的に垂直な突起を有する領域を備えており、前記シンクが、前記液体サンプルを受け取る能力を規制する外的影響に対して応答するようになっていることを特徴とする装置。
(2) 実施態様1記載の装置において、2つ以上の流動路が設けられており、各流動路が、それぞれ、1つのシンクに連結されており、前記装置が、1つのサンプルについて多数の分析を実行するようになっている、装置。
(3) 実施態様1記載の装置において、2つ以上の流動路が設けられており、各流動路が、同一のシンクに連結されており、前記装置が、1つのサンプルについて多数の分析を実行するようになっている、装置。
(4) 実施態様2又は3に記載の装置において、前記多数の分析が並行して実行される、装置。
(5) 実施態様1記載の装置において、多数の、試薬、バッファ等を、流動路に連続して添加できる、装置。
(6) 実施態様1〜5のいずれか1つに記載の装置において、前記液体サンプルを受け取る前記シンクの能力を規制する前記外的影響が、加熱、冷却、可視光線照射、赤外線照射、振動、及び電流適用、の内から選択される、装置。
(7) 実施態様6記載の装置において、前記シンクが、小区画に分割され得るようになっており、前記外的影響を連続して受けるのに適している、装置。
(8) 実施態様6又は7に記載の装置において、前記シンク又はその小区画が、液体サンプルをそこから蒸発させるために加熱される、装置。
(9) 実施態様1〜8のいずれか1つに記載の装置において、前記シンクに流体連通している1つ以上の流動路が、毛細管の溝又は開放チャンネル、閉じた毛細管、繊維材料又はゲル様材料を通る曲がりくねった路、として形成された流動路、の内から選択される、装置。
(10) 実施態様1〜8のいずれか1つに記載の装置において、前記シンクに流体連通している1つ以上の流動路が、実質的に垂直な突起を有する領域を備えている、装置。
(11) 実施態様10記載の装置において、前記垂直な突起が、前記流動路のゾーンが異なる場合には異なる断面を有している、装置。
(12) 実施態様1記載の装置において、サンプルの逆流が、少なくとも1つの流動路、前記実質的に垂直な突起の断面、外的影響、又はそれらの組み合わせ、の適切なデザインであって前記流動路の少なくとも一部に作用するデザインによって、防止され、当該外的影響は、加熱、冷却、可視光線照射、赤外線照射、振動、及び電流適用、の内から選択される、装置。
(13) サンプル中の検体と1つ以上の試薬との間の反応を含む、化学的又は生化学的アッセイにおいて、当該サンプルが、実施態様1〜12のいずれか1つに記載の装置に添加されることを特徴とする、アッセイ。
(14) サンプル中の検体と1つ以上の試薬との間の反応を含む、化学的又は生化学的アッセイにおいて、前記反応が、実施態様1〜12のいずれか1つに記載の装置において実行されることを特徴とする、アッセイ。
(15) 液体サンプルを取り扱う方法において、実施態様1〜12のいずれか1つに記載の装置が使用されることを特徴とする、方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体サンプルを取り扱う装置において、当該装置が、少なくとも1つの流動路と、少なくとも1つのサンプル受け取りゾーンと、輸送又は培養ゾーンと、を備えており、前記装置が、前記液体サンプルを受け取ることができ、且つ、前記輸送又は培養ゾーンを通る前記サンプルの流速を支持又は制御できる、シンクを、更に備えており、前記シンクが、その表面に対して実質的に垂直な突起を有する領域を備えており、前記シンクが、前記液体サンプルを受け取る能力を規制する外的影響に対して応答するようになっていることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、2つ以上の流動路が設けられており、各流動路が、それぞれ、1つのシンクに連結されており、前記装置が、1つのサンプルについて多数の分析を実行するようになっている、装置。
【請求項3】
請求項1記載の装置において、2つ以上の流動路が設けられており、各流動路が、同一のシンクに連結されており、前記装置が、1つのサンプルについて多数の分析を実行するようになっている、装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の装置において、前記多数の分析が並行して実行される、装置。
【請求項5】
請求項1記載の装置において、多数の、試薬、バッファ等を、流動路に連続して添加できる、装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の装置において、前記液体サンプルを受け取る前記シンクの能力を規制する前記外的影響が、加熱、冷却、可視光線照射、赤外線照射、振動、及び電流適用、の内から選択される、装置。
【請求項7】
請求項6記載の装置において、前記シンクが、小区画に分割され得るようになっており、前記外的影響を連続して受けるのに適している、装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の装置において、前記シンク又はその小区画が、液体サンプルをそこから蒸発させるために加熱される、装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の装置において、前記シンクに流体連通している1つ以上の流動路が、毛細管の溝又は開放チャンネル、閉じた毛細管、繊維材料又はゲル様材料を通る曲がりくねった路、として形成された流動路、の内から選択される、装置。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の装置において、前記シンクに流体連通している1つ以上の流動路が、実質的に垂直な突起を有する領域を備えている、装置。
【請求項11】
請求項10記載の装置において、前記垂直な突起が、前記流動路のゾーンが異なる場合には異なる断面を有している、装置。
【請求項12】
請求項1記載の装置において、サンプルの逆流が、少なくとも1つの流動路、前記実質的に垂直な突起の断面、外的影響、又はそれらの組み合わせ、の適切なデザインであって前記流動路の少なくとも一部に作用するデザインによって、防止され、当該外的影響は、加熱、冷却、可視光線照射、赤外線照射、振動、及び電流適用、の内から選択される、装置。
【請求項13】
サンプル中の検体と1つ以上の試薬との間の反応を含む、化学的又は生化学的アッセイにおいて、当該サンプルが、請求項1〜12のいずれか1つに記載の装置に添加されることを特徴とする、アッセイ。
【請求項14】
サンプル中の検体と1つ以上の試薬との間の反応を含む、化学的又は生化学的アッセイにおいて、前記反応が、請求項1〜12のいずれか1つに記載の装置において実行されることを特徴とする、アッセイ。
【請求項15】
液体サンプルを取り扱う方法において、請求項1〜12のいずれか1つに記載の装置が使用されることを特徴とする、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−8136(P2012−8136A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178867(P2011−178867)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【分割の表示】特願2007−514988(P2007−514988)の分割
【原出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(501154297)オーミック・アクチボラゲット (13)
【氏名又は名称原語表記】Åmic AB
【Fターム(参考)】