説明

制御装置、データ転送方法、及び当該データ転送方法をコンピュータに実行させるためのプログラム

【課題】主計算処理部の異常動作時において、外部装置からの処理要求にしたがって記憶部のデータの読み出し及び書き込みを行うことができる制御装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る制御装置は、記憶部と、記憶部に対し、外部装置から入力される処理要求を実行する機能を備えた主計算処理部と、主計算処理部の異常動作時において、外部装置から主計算処理部を介さずに入力される処理要求に従い、処理要求を実行する監視制御部と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御装置の異常動作時におけるメモリのデータ転送方法、及び当該データ転送方法を実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の制御装置について図5を用いて説明する。主計算処理部11は、記憶部31に対して実行するデータの書き込み及び読み出しに必要な制御信号を生成し、各種ICに出力している。例えば、主計算処理部11は、入出力方向制御信号、出力許可制御信号及び記憶部制御信号を生成し、各種ICに出力している。外部接続端子91は、外部コンピュータ101に接続されている。外部コンピュータ101からの入力信号は、すべてシリアル制御IC61を介して主計算処理部11に入力され、データバス及びアドレスバスを経由して各種ICにアクセスする。
【0003】
このため、主計算処理部11が起動しない状態にあっては、記憶部31のソフトウェアの書き込みを行うためには、(1)専用のメモリライタを利用して書き込み済みの記憶部31を実装する、(2)主計算処理部11の機能を代行するデバッガ装置を使用する、(3)専用の書き込み冶具を作成するといった方法がとられる。
【0004】
しかしながら、(1)メモリライタを利用した書き込み済みの記憶部31を実装する方法では、書き込みに失敗した記憶部31を実装してしまった場合、基板実装状態での記憶部31への再書き込みが不可能であるため、記憶部31を取り外して交換する必要があり、信頼性に欠けるという問題がある。また、メモリライタも記憶部に合わせ専用の装置が必要となるため、高価な設備を導入する必要がある。
【0005】
また、(2)デバッガ装置を使用して主計算処理部11の機能を代行する場合にあっては、主計算処理部11に対応したデバッガ装置を使用せねばならず、主計算処理部11毎に異なるデバッガ装置を用意する必要がある。また、設計によってはデバッガと回路を接続する冶具基板も用意しなければならない等、高価な設備を導入する必要があった。
【0006】
また、(3)専用の書き込み冶具を作成する場合にあっては、記憶部31の種別によりバス数が異なる場合や、装置毎に書き込むコネクタ形状が異なる場合があるため、個別の治具を作成する必要があり、その度に設計費や治具作成費がかかるためコストがかかっていた。また、治具と装置を接続するケーブルはバス本数分用意する必要があり、特に、パラレルバスでは信頼性に欠けていた。
【0007】
以上に示したとおり、従来の制御装置においては、制御装置の各種ICとのアクセス制御が主計算処理部11のみに集中しており、主計算処理部11の異常動作時において、記憶部31に格納されたソフトウェア更新には回路の構成別に異なる装置や冶具が必要であるという問題を有している。
【0008】
これに対し、特許文献1には、中央処理装置の異常によりイニシャルプログラムが実行されない場合には、トリガ手段の操作の有無を調べ、トリガ手段が操作されていれば、ROMのマイクロプログラムに制御権を移し、このマイクロプログラムによりフロッピー(登録商標)ディスクドライブを制御して制御記憶装置及び主記憶装置の内容をフロッピー(登録商標)ディスクに転送するという方法が開示されている。
【0009】
また、特許文献2には、CPU(Central Processor Unit)のステータスをコンソールプロセッサが常に監視し、コンソールプロセッサが異常を検出するとコンソール処理プログラムの実行を開始する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭57−147200号公報
【特許文献2】特開昭63−304342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示された方法では、主計算処理部の異常動作時においては、外部装置からの処理要求にしたがって外部装置から入力されるデータを記憶装置に書き込んだり、外部装置からの処理要求に従って記憶装置に格納されたデータを外部装置に読み出すことができない。
【0012】
本発明は、このような問題点に対してなされたものであり、主計算処理部の異常動作時において、外部装置からの処理要求にしたがってメモリのデータの読み出し及び書き込みを行うことができる制御装置及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る制御装置の一態様は、記憶部と、前記記憶部に対し、外部装置から入力される処理要求を実行する機能を備えた主計算処理部と、前記主計算処理部の異常動作時において、前記外部装置から前記主計算処理部を介さずに入力される処理要求に従い、前記処理要求を実行する監視制御部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る制御装置によれば、主計算処理部の異常動作時において、外部装置からの処理要求にしたがって記憶部のデータの読み出し及び書き込みを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る制御装置の一構成例を示す図である。
【図3】実施の形態1に係る制御装置の監視制御部の動作を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態2に係る制御装置の一構成例を示す図である。
【図5】従来の制御装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態の概要.
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明に係る制御装置の構成例を示すブロック図である。この制御装置は、記憶部1、主計算処理部2、及び監視制御部3を備えて構成されている。主計算処理部2は、記憶部1に対し、外部装置からの処理要求を実行する機能を備えている。監視制御部3は、主計算処理部2の異常動作時において、外部装置から主計算処理部2を介さずに入力される処理要求に従い、当該処理要求を実行する。具体的には、監視制御部3は、外部装置から入力される読み出し、書き込み要求に従って、記憶部1のデータ読み出し及びデータ書き込みを実行する。
【0017】
このように、主計算処理部2の異常動作時において、外部装置から入力される処理要求に従って記憶部2のデータの読み出し又は書き込みを行う監視制御部3を設けることで、主計算処理部2の異常動作時であっても、特別な装置や治具を必要とせず、外部装置から記憶部1に容易にアクセスすることができる。
【0018】
実施の形態1.
次に、より具体的な構成を用いて本発明の最良な実施の形態について説明する。図2は、本発明の実施の形態1に係る制御装置の構成例を示すブロック図である。制御装置は、記憶部1、主計算処理部2、監視制御部3、バス制御IC40、50、シリアル制御IC60、信号制御IC70、80、外部接続端子90を備えている。制御装置において一般に実装される揮発性メモリ等その他のICについては、本発明実施例において図解等の説明を省略するものとする。
【0019】
記憶部1には、主計算処理部2が回路を制御するために必要なOS等のソフトウェアが格納されている。主計算処理部2は、記憶部1からソフトウェアを読み出し、起動するほか、障害記録等を記憶部1に記録する。記憶部1は、例えば、不揮発性メモリによって構成されている。
【0020】
記憶部1は、一般の不揮発性メモリと同様に、授受するデータを送受信するデータバス、データを格納するアドレスを指定するアドレスバスの2つのバスと、不揮発性メモリを選択するチップセレクト信号、不揮発性メモリへの書き込みを許可するライトイネーブル信号、不揮発性メモリからの読み出しを許可するアウトイネーブル信号の3本の制御信号線によりデータの授受を行う。以後では、チップセレクト信号、ライトイネーブル信号、アウトイネーブル信号を、まとめて記憶部制御信号と記述する。
【0021】
監視制御部3は、主計算処理部2からの異常動作検出信号を定期的に受信し、主計算処理部2が正常に動作しているか監視する。そして、主計算処理部2の異常を検出した際は、主計算処理部2を含む各種ICにリセット信号を出力する機能を具備している。監視制御部3他、各種ICについても、主計算処理部2とのデータ授受に記憶部1と同様のデータバス、アドレスバス及び制御信号を備えているが本説明では割愛する。
【0022】
バス制御IC40は、主計算処理部2が監視制御部3や記憶部1を含む各種ICが保持するレジスタとデータの授受を行う際に、実データを送受信するデータバスの入出力方向を決定する機能を有する。また、バス制御IC40は、主計算処理部2、監視制御部3、及び各種ICが実データをデータバスに出力する際に出力許可を与える機能を備えている。バス制御IC40における入出力方向制御は、主計算処理部2によって制御されている。また、バス制御IC40における出力許可制御は、監視制御部3によって制御されている。
【0023】
バス制御IC50は、主計算処理部2が監視制御部3や記憶部1を含む各種ICが保持するレジスタとデータの授受を行う際に、アドレスバスにアドレスを送出する許可を与える出力許可制御機能を有する。また、バス制御IC50は、主計算処理部2が監視制御部3や記憶部1を含む各種ICが保持するレジスタとデータの授受を行う際に、各制御信号線に記憶部制御信号を出力する許可を与える出力許可制御機能を具備する。バス制御IC50における出力許可制御は、監視制御部3によって制御される。
【0024】
シリアル制御IC60は、主計算処理部2又は監視制御部3と、外部コンピュータ100がシリアルデータを通信する際の制御に使用される。具体的には、主計算処理部2の正常動作時には、外部接続端子90を通じて、主計算処理部2と外部コンピュータ100が、シリアル制御IC60を利用してシリアルデータの通信を行う。また、主計算処理部2の異常動作時には、外部接続端子90を通じて、監視制御部3と外部コンピュータ100が、シリアル制御IC60を利用してシリアルデータの通信を行う。
【0025】
信号制御IC70、80は、記憶部制御信号、外部接続端子90へのシリアル出力信号の出力許可制御機能を有する。信号制御IC70、80の出力許可制御は、監視制御部3によって制御される。信号制御IC70は、バス制御IC50と記憶部1の間に実装される。信号制御IC70は、出力許可制御信号として信号制御IC70を非駆動状態とする電圧レベルが入力された場合には、信号制御IC70の入力側はプルアップ抵抗等でハイとなり、出力側はプルダウン抵抗等でロウとなるよう構成されている。一方、信号制御IC70は、出力許可制御信号として信号制御IC70を駆動状態とする電圧レベルが入力された場合には、主計算処理部2から入力される論理を記憶部1に出力する。
【0026】
信号制御IC80はシリアル制御IC60と主計算処理部2の間に実装される。信号制御IC80は、出力許可制御信号として信号制御IC80を非駆動状態とする電圧レベルが入力された場合には、入力側に接続された主計算処理部2がハイインピーダンスに設定されることにより入力側がハイとなり、出力側はプルダウン抵抗等でロウとなる。一方、信号制御IC80は、出力許可制御信号として信号制御IC80を駆動状態とする電圧レベルが入力された場合には、主計算処理部2から入力される論理をシリアル出力信号線に出力する。
【0027】
主計算処理部2は、記憶部1に対し、データ書き込み及び読み出しを実行する機能を備えている。また、監視制御部3は、主計算処理装部2と同様に、記憶部1に対し、データ書き込み及び読み出しを実行する機能を備えると共に、主計算処理部2を再起動させるリセット機能を有している。このような主計算処理部2及び監視制御部3の機能は、外部コンピュータ100より入力される処理要求に従って実行される。外部コンピュータ100より入力される処理要求は、シリアル入力信号として、主計算処理部2又は監視制御部3のいずれにも入力される。
【0028】
ここで、外部コンピュータ100より入力される処理要求には、書き込み要求、読み出し要求、リセット要求の3種類がある。書き込み要求とは、外部コンピュータ100から出力されるデータを記憶部1に書き込むための処理要求である。書き込み要求には、処理要求が書き込み要求であることを示す識別情報と、書き込み対象となるデータが含まれる。なお、書き込みデータは、当該識別情報とは別のシリアルデータとして転送しても良い。主計算処理部2は、外部コンピュータ100より書き込み要求が入力されると、外部コンピュータ100から入力された書き込みデータ(ソフトウェアファイル)を記憶部1に送信し、データ書き込みを実行する。
【0029】
読み出し要求とは、記憶部1に保持されたデータを外部コンピュータ100等に読み出すための処理要求である。読み出し要求には、処理要求が読み出し要求であることを示す識別情報と共に、記憶部1の読み出し先のアドレスが含まれる。なお、このアドレスは、当該識別情報とは別のシリアルデータとして転送されてもよく、また、監視制御部3や制御装置内に予め記憶させておいてもよい。主計算処理部2は、外部コンピュータ100より読み出し要求が入力されると、外部コンピュータ100によって指定されたアドレス又は、制御装置内に記憶されたアドレスに保持された障害記録等のデータを、外部コンピュータ100等に読み出す。
【0030】
リセット要求とは、主計算処理部2を再起動させるための処理要求である。なお、リセット要求は、必要とされる書き込み、読み出し処理が終了した後に、外部コンピュータ100から制御装置に送信されるもので、監視制御部3に対する処理要求である。監視制御部3は、外部コンピュータ100よりリセット要求が入力されると、主計算処理部2にリセット信号を送り、主計算処理部2を再起動させる。
【0031】
次に、本発明に係る制御装置の動作について説明する。なお、以下では、説明を簡素化するため、記憶制御信号のイネーブルはすべてロウレベルアサートであるものとする。また、記憶部1における、主計算処理部2の起動時に読み出されるソフトウェアや、障害記録が格納される格納レジスタは、設計時に固定であるものとする。
【0032】
まず、通常時の動作について説明する。監視制御部3は、主計算処理部2よりも先に自立起動し、各バス制御IC40、50及び各信号制御IC70、80の出力許可制御信号をアサートして、主計算処理部2が各種ICとデータを授受できるようにする。これにより主計算処理部2から出力される記憶部制御信号やデータバスの入出力方向制御、アドレス、データが、各種ICに送信される。これにより、主計算処理部1は、記憶部1からブートデータを読み出し、起動することができる。
【0033】
主計算処理部2の起動後、主計算処理部2は、記憶部1と自由にデータの授受が可能となる。このため、制御装置は、主計算処理部2の通常動作時においては、主計算処理部2によって記憶部1のソフトウェア読み出しを行う。以降は、主計算処理部2は、シリアル制御IC60を経由し、外部接続端子90を通じて外部コンピュータ100とシリアルデータを授受する。主計算処理部2の通常動作時においては、外部コンピュータ100による処理要求は、主計算処理部2によって実行される。
【0034】
図3に、主計算処理部2に異常動作が発生した際の監視制御部3の動作フローを示す。監視制御部3は主計算処理部2からの周期信号(例えば、周期パルスやウォッチドッグタイマ等)及び主計算処理部2に入力される同期信号(例えば、クロック等)などの異常動作検出信号を定期的に受信することで主計算処理部2が正常に動作しているか、もしくは正常動作できる条件が整っているか監視を行っている。
【0035】
監視制御部3において、モニタ対象であるこれらの信号が一定時間受信できなかった場合には、監視制御部3は、主計算処理部2が正常に動作をしていないと認識する(ステップS1)。監視制御部3は、主計算処理部2から出力される記憶部制御信号、アドレス、データバス制御信号により各種ICが誤動作しないよう、各バス制御IC40、50及び各信号制御IC70、80の出力許可制御信号をネゲートする(ステップS2)。また、監視制御部3は、主計算処理部2が正常に動作をしていないと認識した場合には、LED(Light Emitting Diode)等を用いて外部に異常を通知する。以後、監視制御部3がリセットを実行するまでは、監視制御部3は、信号制御IC70以外の出力許可制御信号をネゲートに維持する。
【0036】
ここで、各バス制御IC40、50及び各信号制御IC70、80の出力許可制御信号のネゲート後の監視制御部3による記憶部1への書き込み、読み出し方法について説明する。出力許可制御信号をネゲートした状態では、各バス制御IC40、50及び各信号制御IC70、80の出力は、ハイインピーダンスになる。これにより、データバス、アドレスバスを介して、監視制御部3から出力されるデータ及びアドレスが記憶部1に入力されるようになる。また、主計算処理部2の出力如何にかかわらず、外部のプルアップもしくはプルダウン抵抗の論理が、信号制御IC70、80から記憶部1に出力されるようになる。また、信号制御IC70は入力側にプルアップ抵抗を挿入しているためバス制御IC50がネゲートされた状態では、入力がハイに固定される。
【0037】
一方、信号制御IC70の出力は、監視制御部3から出力される出力制御信号に応じて任意の値に設定される。すなわち、監視制御部3が信号制御IC70の出力制御信号をアサートすると、信号制御IC70の出力はハイになる。また、監視制御部3が出力制御信号をネゲートすると、信号制御IC70の出力はハイインピーダンスになるが、出力側はプルダウン抵抗を挿入しているため、出力はロウとなる。このように、監視制御部3が信号制御IC70に入力される出力許可制御信号を操作することで、記憶部制御信号の出力レベルを監視制御部3が任意に選択できる。
【0038】
これに加えて、監視制御部3が、外部コンピュータ100から入力された処理要求に従って、データ、アドレスを記憶部1に出力することで、監視制御部3は記憶部1に対し、データの書き込み、読み出しができる。なお、監視制御部3から出力されるアドレスは、外部コンピュータ100によって指定されたアドレスであってもよく、または、予め所定のアドレスを監視制御部3に記憶させておき、外部コンピュータ100の処理要求に従って、このアドレスを監視制御部3が記憶部1に出力するよう構成してもよい。
【0039】
図3に戻り説明を続ける。監視制御部3は、各バス制御IC40、50及び各信号制御IC70、80の出力許可制御信号をネゲートした後、制御装置をリセットの実行可否判断を行う(ステップS3)。リセット実行可否の判断は、設計段階で回路の用途を考慮し設定しておくものとする。具体的には、主計算処理部2の異常動作の原因追及が優先であればリセットしないでおく。また、制御装置の正常動作復帰を優先するならばリセットを行う、等である。
【0040】
また、主計算処理部2の異常動作と認識した原因に従って、異常動作発見後の処理シーケンスを細分化してもよい。例えば、主計算処理部2に入力される同期信号が停止した場合には、記憶部1のチェックサムを確認し、異常がなければ主計算処理部2自身の異常ではないためリセットで復旧する可能性があると判断しリセットを行う、等である。
【0041】
尚、リセットを行う場合には、監視制御部3に十分なレジスタ容量が確保できる場合は、記憶部1から事前に設定しておいた記憶部1のレジスタ領域から、自動的に障害記録を読み出し、障害記録を監視制御部3のレジスタに保持しておく(ステップS16)。そして、リセット後(ステップS17)、監視制御部3は主計算処理部2が規定時間内に正常に起動するか確認する。
【0042】
リセット後(ステップS17)において、監視制御部3が主計算処理部2の正常起動を確認できなかった場合には、ステップS3でリセットを行わない(現状維持する)場合と同様の動作を行うものとする(図示せず)。
【0043】
一方、ステップS3において、リセットを行わない(現状維持する)場合と判断された場合には、待機状態となる。そして、外部コンピュータ100からの指示を待ち(ステップS4)、外部コンピュータ100より入力された処理要求に従って動作する(ステップS5)。
【0044】
監視制御部3は、シリアル制御IC60を介してシリアル入力信号として入力される処理要求の種類を判別する(ステップS6)。ここで、外部コンピュータ100より入力される処理要求には、書き込み要求、読み出し要求、リセット要求がある。
【0045】
ステップS6において、処理要求が書き込み要求であると判断した場合には、監視制御部3は、外部コンピュータ100よりシリアルデータを受信し(ステップS7)、当該シリアルデータを記憶部1のインタフェースに適合したバス幅に変換する(ステップS9)。そして、アドレスバス、データバスにアドレス及びデータを送信する。また、チップセレクト信号及びライトイネーブル信号を、前述した出力許可制御信号の制御方法でアサートし、記憶部1に対しデータの書き込みを実行する(ステップS10)。
【0046】
また、書き込み処理の実行中に、受信されたシリアルデータが最後尾であるか否かを判定し(ステップS8)、規定された最後尾データを受信した場合には(ステップS8においてYES)、書き込みを終了し、リセット処理を実行する。
【0047】
一方、ステップS6において、処理要求が読み出し要求であると判断した場合には、監視制御部3は、受信したシリアルデータ(ステップS11)、を記憶部1のインタフェースに適合したバス幅に合わせて変換して(ステップS12)アドレスバスに送信する。また、チップセレクト信号及びアウトイネーブル信号といった出力許可制御信号を前述の制御方法で生成し、記憶部1の該当アドレスのデータを読み出す(ステップS13)。
【0048】
そして、監視制御部3は、記憶部1から読み出されたパラレルデータを、シリアル規格に合わせて変換(ステップS14)、シリアル出力から外部コンピュータ100へデータを送信する(ステップS15)。なお、前述したように、読み出し要求の場合には、外部コンピュータ100から読み出し先のアドレスを送らず、予め読み出しを行うアドレスを監視制御部3に記憶させておくよう構成することもできる。
【0049】
読み出しデータの送信後は、ステップS4に戻り、外部コンピュータ100から入力される次の指示(処理要求)を待つ。ここで、外部コンピュータ100は、必要なデータの授受が終了した場合には、リセット要求を監視制御部3に送信する。監視制御部3は、ステップS6において、外部コンピュータ100から入力された処理要求がリセット要求であると判定した場合には、主計算処理部2を含む制御装置を構成する各種ICにリセット信号を送信する(ステップS17)。そして、主計算処理部2及び制御装置が正常に起動することを確認する。
【0050】
このように、本実施の形態に係る制御装置においては、監視制御部3を設けることにより、主計算処理部2が正常に動作しない場合であっても、外部コンピュータ100からの処理要求に従って、記憶部1に格納されたデータの読み出し及び書き込みが可能となる。
【0051】
また、外部コンピュータ100から入力されるシリアルデータは、主計算処理部2及び監視制御部3のいずれにも入力される構成とすることで、記憶部1への書き込み時にシリアルケーブル以外の冶具が一切不要となる。
【0052】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2に係る制御装置について説明する。図4は、本発明の実施の形態2に係る制御装置の構成例を示す図である。
【0053】
実施の形態2の特徴は、1つの装置内に、実施の形態1に係る制御装置が2つ構成されるような場合(現用、予備構成等)に、互いの制御装置を実施の形態1の外部コンピュータ100として機能させるよう構成した点にある。図4に示すように、制御装置のシリアル入力とシリアル出力、及び異常通知信号は、相互に接続されている。異常通知信号線は、自己の主計算処理部2の動作に異常が発生した場合に、相手の制御装置に自己の異常を通知するための信号である。なお、各制御装置には、それぞれ記憶部1が設けられているが、図4においては図面を簡略化するため図示しない。
【0054】
監視制御部3は、主計算処理部2から出力される異常動作検出信号をモニタし、互いに対向制御装置の状態を把握する。そして、記憶部1の書き換えが必要と一方の制御装置の監視制御部3が判断した場合(例えば、チェックサムの値が異常である等)、正常側の監視制御部3がマスタとなり、書き込み要求と正常回路の記憶部1よりソフトウェアファイルを読み出して対向制御装置1の監視制御部3に送信する。これにより、主計算処理部2に異常が発生した回路の記憶部1に、他方の制御装置からの書き込みが可能となる。なお、他の構成や動作については、実施の形態と略同一であるため、その説明を省略する。
【0055】
なお、本発明は、上記の実施の形態に係る制御装置の構成に限られず、種々設計変更を実施することが可能である。また、本発明は、上記の実施の形態に係る方法を、コンピュータに処理を実行させるプログラムとしても実施することができる。このプログラムは、CD-ROM等の各種記録媒体に格納することができる。
【0056】
例えば、他の各種ICのイネーブルに対しても、同様のバス制御IC40、50、信号制御IC70、80に相当する構成を組むことにより、エラー発生要因の特定が容易となる。特に、リフレッシュ機能を有する揮発性メモリ(ここではStatic Random Access Memory(SDRAM))に同様のイネーブルを追加すればCPUが起動後に異常動作となった場合でもメモリのリフレッシュが可能となり、メモリの揮発を阻止でき、監視制御部3を経由した読み出し及び書き込みが外部コンピュータ100から可能となる。
【0057】
また、本発明における制御装置1と外部コンピュータ100との通信はシリアルインタフェース以外でも構成可能である。例えば、インタフェース部(シリアル制御IC60、外部接続端子90及び監視制御部3のインタフェース)をUSB(Universal Serial Bus)インタフェース構成に変更することで、レギュレータやスイッチング回路、電圧フィルタ回路を具備させ、外部コンピュータ100から各バス制御IC40、50及び各信号制御IC70、80のみに電源を供給することにより、制御装置1に電源が供給されない場合でも記憶部1の書き換えが可能となる。
【0058】
また、USBフラッシュメモリにソフトウェアファイルを格納し、外部接続端子90と接続することで、自動的にソフトウェアファイルを読み出して不揮発性メモリに格納できる。
【符号の説明】
【0059】
20、21 監視IC
30、31 不揮発性メモリ
90、91 外部接続端子
100、101 外部コンピュータ
40、41 バス制御IC
50 バス制御IC
60、61 シリアル制御IC
70 信号制御IC
80 信号制御IC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と、
前記記憶部に対し、外部装置から入力される処理要求を実行する機能を備えた主計算処理部と、
前記主計算処理部の異常動作時において、前記外部装置から前記主計算処理部を介さずに入力される処理要求に従い、前記処理要求を実行する監視制御部と、を備えた制御装置。
【請求項2】
前記主計算処理部の通常動作時において、前記主計算処理部は、前記外部装置からの処理要求に従って、前記記憶部にアドレス、データ、及び制御信号を出力し、
前記主計算処理部の異常動作時において、前記監視制御部は、前記計算処理部から前記記憶部に出力されるアドレス、データ及び制御信号を無効とすると共に、前記外部装置から入力される処理要求に従って、アドレス、データ及び制御信号を前記記憶部に出力する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記主計算処理部からデータバスを介して前記記憶部に送信されるデータの送出を制御するデータバス制御部と、
前記主計算処理部からアドレスバスを介して前記記憶部に送信されるアドレスの送出を制御するアドレスバス制御部と、
前記主計算処理部から制御信号線を介して前記記憶部に送信される制御信号の送出を制御する信号制御部と、を備え、
前記監視制御部は、前記データバス制御部、アドレスバス制御部、及び前記信号制御部を制御することで、前記主計算処理部の異常動作時において、前記計算処理部から前記記憶部に出力されるアドレス、データ及び制御信号を無効とする
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記監視制御部は、前記データバス、前記アドレスバス、及び前記制御信号線を介して前記記憶部と接続される
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記監視制御部は、前記処理要求が前記記憶部のデータ読み出しを要求する読み出し要求である場合には、前記外部装置から入力されたアドレス、若しくは当該制御装置に予め記憶されたアドレスのデータを前記外部装置に読み出す
請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記監視制御部は、前記処理要求が前記記憶部のデータ書き込みを要求する書き込み要求である場合には、前記外部装置から入力されたデータを前記記憶部に書き込む
請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記監視制御部は、前記処理要求が前記主計算処理部のリセットを要求するリセット要求である場合には、前記主計算処理部のリセット処理を実行する
請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の制御装置を少なくとも2つ備え、
互いの制御装置を前記外部装置として機能させる制御装置。
【請求項9】
記憶部に対し外部装置から入力される処理要求を実行する機能を備えた主計算処理部の異常動作を検出し、
前記主計算処理部の異常動作が検出された場合には、前記主計算処理部を介さずに前記処理要求を実行する機能を有する監視制御部によって前記記憶部に対して当該処理要求を実行する、データ転送方法。
【請求項10】
記憶部に対し外部装置から入力される処理要求を実行する機能を備えた主計算処理部の異常動作を検出し、
前記主計算処理部の異常動作が検出された場合には、前記主計算処理部を介さずに前記処理要求を実行する機能を有する監視制御部によって前記記憶部に対して当該処理要求を実行する、処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−262370(P2010−262370A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111002(P2009−111002)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】