制御装置、制御装置の制御方法
【課題】ユーザによる煩雑な操作を行うことなく、特定の領域を含む撮像範囲の撮像を可能にするための技術を提供すること。
【解決手段】パン角、チルト角のうち少なくとも1つを制御対象角として制御するための制御コマンドを受信すると、撮像装置の制御対象角が変更可能か否かを判断する。変更不可能と判断した場合、制御対象角は変更することなく、撮像装置のロー角を規定量だけ変更する。
【解決手段】パン角、チルト角のうち少なくとも1つを制御対象角として制御するための制御コマンドを受信すると、撮像装置の制御対象角が変更可能か否かを判断する。変更不可能と判断した場合、制御対象角は変更することなく、撮像装置のロー角を規定量だけ変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光軸を中心とした回転機構(以降、「ローテート機構」と呼ぶ。また、光軸周りの回転駆動を「ローテート」と呼ぶ。)を搭載した撮像装置に係る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
パン、チルトに加え、ローテート機構を搭載したカメラが登場している。また、撮像の光軸に対する回転角度を検出し、撮像画像を回転補正するカメラが登場している。ローテート機構を搭載したカメラでは、特許文献1のように、パンの回転角度によって傾いて見えてしまう画像に対し、撮像部をローテートさせることにより所定の角度を保つ仕組みが提案されている。また、特許文献2のように、撮影レンズの光軸回りの回転を検出し、その回転を打ち消すように画像を光軸回りに回転させて表示する回転補正部が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-089042号公報
【特許文献2】特開2009-060435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ローテート機構を搭載したカメラでは、撮影した画像が縦横比3:4や9:16等のように横に長い場合、図2で示したように、チルト端からローテートしなければ撮影できない領域(以降、「特定の領域」と呼ぶ。)が存在する。
【0005】
この特定の領域を含む撮影範囲にユーザがカメラを制御させたい場合、従来のパン・チルト制御では、チルト端に到達しても特定の領域を見ることができないため、ユーザがその都度手動でローテート操作し画像を確認しなければならないという課題があった。また、カメラがローテートしてしまうと画像が回転してしまうため、カメラの向きがユーザにとってわかりにくくなってしまうという課題があった。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みて成されたものであり、ユーザによる煩雑な操作を行うことなく、特定の領域を含む撮像範囲の撮像を可能にするための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の制御装置は、外部から受信した制御コマンドに従って、撮像装置のパン角、チルト角、ロー角のうち少なくとも1つを制御可能な制御装置であって、前記パン角、前記チルト角のうち少なくとも1つを制御対象角として制御するための制御コマンドを受信すると、前記撮像装置の制御対象角が変更可能か否かを判断する判断手段と、前記判断手段が変更不可能と判断した場合、前記制御対象角は変更することなく、前記撮像装置のロー角を規定量だけ変更する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
ユーザが特定の領域を含む撮像を指定した場合、ローテート制御を意識することなく所望の撮像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】システムの機能構成例を示すブロック図。
【図2】特定の領域を説明する図。
【図3】GUIの表示例を示す図。
【図4】撮像装置100が行う処理のフローチャート。
【図5】撮像装置100が行う処理のフローチャート。
【図6】ロー角の変更量を説明する図。
【図7】GUIの表示例を示す図。
【図8】GUIの表示例を示す図。
【図9】GUIの表示例を示す図。
【図10】GUIの表示例を示す図。
【図11】GUIの表示例を示す図。
【図12】特定の領域の幅を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照し、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態は、本発明を具体的に実施した場合の一例を示すもので、特許請求の範囲に記載した構成の具体的な実施例の一つである。
【0011】
[第1の実施形態]
先ず、本実施形態に係るシステムの機能構成例について、図1のブロック図を用いて説明する。図1に示す如く、本実施形態に係るシステムは、カメラを制御可能な制御装置として機能する撮像装置100と、撮像装置100にネットワーク10を介して接続されている画像表示装置500と、を有する。ネットワーク10は、有線、無線の何れのネットワークであってもよく、また、その組み合わせでもよい。このネットワーク10は、例えば、TCP/IPで構成されている。
【0012】
先ず、撮像装置100について説明する。通信制御部130は、ネットワーク10を介して画像表示装置500とのデータ通信を行うためのインターフェースとして機能するものであり、ネットワーク10を介した画像表示装置500とのデータ通信はこの通信制御部130を介して行われる。
【0013】
コマンド制御部140は、通信制御部130が、外部の画像表示装置500からネットワーク10を介して送信されたコマンドを受け取ると、このコマンドを解析する。その結果、このコマンドが画像処理に関するものである場合には、このコマンドを画像処理部120に送出し、このコマンドが撮像部110の駆動制御に関するものである場合には、このコマンドを駆動制御部150に送出する。
【0014】
撮像部110は、シーンの動画若しくは静止画を撮像可能な装置であり、撮像した画像(若しくは各フレームの画像)は順次、画像処理部120に送出される。なお図1では、撮像部110は撮像装置100内の機能部として示されているが、撮像部110は撮像装置100とは別個の装置としてもよく、この場合、撮像部110は有線若しくは無線等のネットワークを介して撮像装置100と通信可能に接続されてもよい。
【0015】
画像処理部120は、撮像部110から受けた画像に対して、コマンド制御部140から受けたコマンドに応じた画像処理を施して特定のフォーマットを有する画像処理済みの画像を生成する。そして画像処理部120は、この生成した画像処理済みの画像を記憶装置160やコマンド制御部140に対して送出する。
【0016】
ローテート駆動部200は、撮像部110のロー角を制御する。パン駆動部210は、撮像部110のパン角(撮像部110は雲台上に固定されており、実際には雲台のパン角)を制御する。チルト駆動部220は、撮像部110のチルト角(撮像部110は雲台上に固定されており、実際には雲台に対する撮像部110のチルト角)を制御する。
【0017】
駆動制御部150は、コマンド制御部140から受けたコマンドに応じてローテート駆動部200、パン駆動部210、チルト駆動部220、のそれぞれの駆動制御を行う。例えば、コマンド制御部140から受けたコマンドが、ロー角を制御するものであれば、撮像部110のロー角を該コマンドによって指定された量(若しくは規定量)だけ変更するようにローテート駆動部200を駆動制御する。この駆動制御により、撮像部110は、撮像部110の光軸を中心として、コマンドによって指定された量(若しくは規定量)だけ回転する。また例えば、コマンド制御部140から受けたコマンドが、パン角を制御するものであれば、撮像部110のパン角を該コマンドによって指定された量(若しくは規定量)だけ変更するようにパン駆動部210を駆動制御する。また例えば、コマンド制御部140から受けたコマンドが、チルト角を制御するものであれば、撮像部110のチルト角を該コマンドによって指定された量(若しくは規定量)だけ変更するようにチルト駆動部220を駆動制御する。そして更に駆動制御部150は、ローテート駆動部200、パン駆動部210、チルト駆動部220のそれぞれから、撮像部110の現在のロー角、パン角、チルト角、を取得し、記憶装置160やコマンド制御部140に対して送出する。
【0018】
コマンド制御部140は、駆動制御部150から撮像部110の現在のロー角、パン角、チルト角、を取得すると、この取得したロー角、パン角、チルト角を通信制御部130、ネットワーク10を介して画像表示装置500に対して送出する。また、コマンド制御部140は、画像処理部120から画像処理済みの画像を受け取ると、この画像を通信制御部130、ネットワーク10を介して画像表示装置500に対して送出する。
【0019】
記憶装置160は、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ装置などの、情報を保存可能な情報記憶装置であり、画像処理済みの画像を記憶保持したり、撮像に係る様々な情報を記憶保持することができる。
【0020】
次に、画像表示装置500について説明する。通信制御部560は、ネットワーク10を介して撮像装置100とのデータ通信を行うためのインターフェースとして機能するものであり、ネットワーク10を介した撮像装置100とのデータ通信はこの通信制御部560を介して行われる。
【0021】
撮像装置100から画像処理済みの画像や撮像部110の現在のロー角、パン角、チルト角を含む撮像部110の現在の状態を示す情報が送信されると、これらは通信制御部560を介してコマンド処理部550に入力される。コマンド処理部550は、通信制御部560から受けたものが画像処理済みの画像である場合には、この画像を画像処理部530に転送する。一方、コマンド処理部550は、通信制御部560から受けたものが、撮像部110の現在の状態を示す情報である場合には、この情報を表示制御部520に転送する。
【0022】
画像処理部530は、コマンド処理部550から受けた画像を、必要に応じて適宜加工する。例えば、コマンド処理部550から受けた画像に対して、記憶装置570に格納されている文字や記号、画像などを重畳させる。もちろん、画像処理部530は、コマンド処理部550から受けた画像に対して何も処理しなくてもよい。画像処理部530は、上記のように加工した画像/加工していない画像を表示制御部520に対して出力する。
【0023】
表示制御部520は、コマンド処理部550から受けた「撮像部110の現在の状態を示す情報」や、後述するGUI(グラフィカルユーザインターフェース)を、画像処理部530からの画像と共に、画像表示部510に表示させる。また、表示制御部520は、画像処理部530からの画像が、ローテート駆動部200によりローテート駆動されている状態で撮像部110が撮像した画像である場合には、この画像を逆にローテートさせてから画像表示部510に送出するようにしてもよい。
【0024】
画像表示部510は、CRTや液晶画面などにより構成されており、画像処理部530から受けた画像や、表示制御部520から受けた情報や画像やGUIを表示することができる。
【0025】
カメラ操作入力部540は、ユーザが不図示のキーボードやマウスなどを用いて上記のGUIを操作することで、撮像部110のロー角、パン角、チルト角、を変更する操作がなされると、この操作内容を示すコマンドを制御コマンドとして生成する。そしてカメラ操作入力部540は、この生成した制御コマンドを通信制御部560を介して撮像装置100に対して送出する。なお、画像表示部510がタッチパネルスクリーンで構成されている場合には、ユーザは画像表示部510の表示画面上を直接指示することで、このGUIを操作してもよい。
【0026】
次に、画像表示装置500のユーザが不図示のキーボードやマウスなどを用いて、撮像部110のパン角やチルト角を変更するための操作を入力した場合に、画像表示装置500、撮像装置100のそれぞれが行う処理について説明する。
【0027】
画像表示装置500の画像表示部510には、図3に示すようなGUIが表示される。領域590には、画像処理部530から表示制御部520を介して送出された画像が表示される。
【0028】
領域540aには、撮像部110のロー角、パン角、チルト角、を変更指示するために操作するボタン群が表示される。なお、これらの角を変更するためのインターフェースはこのようなインターフェースに限るものではなく、様々なインターフェースが考え得る。領域540bには、撮像部110のパン角を変更指示するためのスライダバーが表示されており、領域540cには、撮像部110のチルト角を変更指示するためのスライダバーが表示されている。
【0029】
ユーザは領域590に表示されている画像を観察しながら、次にどの方向の撮像を希望するのかを決め、上記のスライダバーや上記のボタン群を、キーボードやマウスなどを用いて操作する。
【0030】
カメラ操作入力部540は、ユーザからの操作の内容を示す制御コマンドを生成する。例えば、ユーザが上記のGUIを用いてパン角を変更する操作を行うと、カメラ操作入力部540は、パン角を量Pだけ変更する旨を指示するための制御コマンドを生成する。そしてこの制御コマンドは、通信制御部560により、ネットワーク10を介して撮像装置100に送信される。
【0031】
通信制御部130を介して受信した制御コマンドはコマンド制御部140に入力され、コマンド制御部140は、この制御コマンドを解析する。この制御コマンドが撮像部110の駆動制御に関するものである場合に、撮像装置100が行う処理について、同処理のフローチャートを示す図4を用いて説明する。なお、図4のフローチャートは、撮像部110が撮像した画像の縦横比がa:b(a<b)であり、特定の領域がチルト端に出現するケースを想定している。しかし、a>bの場合は、下記の説明における「チルト」を「パン」に置き換えればよい。この場合、「特定の領域」は、パン端からローテートしなければ撮影できない領域となる。
【0032】
ステップS410では、コマンド制御部140が、通信制御部130を介して制御コマンドを受信すると、この制御コマンドを駆動制御部150に転送する。ステップS420では、駆動制御部150は、この制御コマンドが、チルト角を変更するための制御コマンドであるか否かを判断する。
【0033】
この判断の結果、チルト角を変更するための制御コマンドである場合は、処理はステップS430に進み、チルト角を変更するための制御コマンドではない場合は、処理はステップS470に進む。
【0034】
ステップS470では、駆動制御部150は、ローテート駆動部200、パン駆動部210、のうち、制御コマンドによって変更する角に対応する駆動部を制御し、撮像部110のこの角についての変更を行わせる。例えば、制御コマンドがパン角を変更するためのものである場合、駆動制御部150は、制御コマンドが規定する量(若しくは予め定められた量)だけ撮像部110のパン角を変更させるよう、パン駆動部210を駆動制御する。これはロー角についても同様である。
【0035】
一方、ステップS430では、駆動制御部150は、撮像部110の現在のパン角がもうこれ以上プラス方向に変更できない状態(パン角の変更可能な範囲においてプラス方向の上限に達している状態)であるか否かを判断する。また、ステップS430では、駆動制御部150は、撮像部110の現在のパン角がもうこれ以上マイナス方向に変更できない状態(パン角の変更可能な範囲においてマイナス方向の上限に達している状態)であるか否かを判断する。これは、撮像部110の現在位置がチルト端であるか判断することに等価である。
【0036】
ステップS430における判断の結果、撮像部110の現在のパン角がもうこれ以上プラス方向に変更できない状態、もうこれ以上マイナス方向に変更できない状態、の何れかであれば、処理はステップS440に進む。一方、ステップS430における判断の結果、撮像部110の現在のパン角がもうこれ以上プラス方向に変更できない状態、もうこれ以上マイナス方向に変更できない状態、の何れでもない場合は、処理はステップS460に進む。
【0037】
ステップS460では、駆動制御部150は、制御コマンドが規定する量(若しくは予め定められた量)だけ撮像部110のチルト角を変更させるよう、チルト駆動部220を駆動制御する。
【0038】
一方、ステップS440では、駆動制御部150は、撮像部110の現在のチルト角が、制御コマンドが指定する量(若しくは予め定められた量)だけ変更可能か否かを判断する。例えば、撮像部110の現在のチルト角がもうこれ以上プラス方向に変更できない状態であるのに、制御コマンドがチルト角を更にプラス方向に変更するような場合は、変更不可能と判断する。また、撮像部110の現在のチルト角がもうこれ以上マイナス方向に変更できない状態であるのに、制御コマンドがチルト角を更にマイナス方向に変更するような場合も同様に、変更不可能と判断する。
【0039】
即ち、ステップS430,S440では、一般的には、パン角、チルト角のうち少なくとも1つを制御対象角として制御するための制御コマンドを受信すると、撮像部110の制御対象角が変更可能か否かを判断している。
【0040】
ステップS440における判断の結果、変更可能と判断した場合は処理はステップS460に進み、変更不可能と判断した場合は、処理はステップS450に進む。
【0041】
ステップS450では、駆動制御部150は、規定量だけ撮像部110のロー角を変更させるよう、ローテート駆動部200を駆動制御する。この駆動制御により、撮像部110は、撮像部110の光軸を中心として規定量だけ回転する。更にステップS450では駆動制御部150は、ステップS440で変更不可能と判断したが故にステップS450でロー角を変更した旨を示す情報と、ステップS450で変更する前のロー角を示す情報と、を記憶装置160に格納する。
【0042】
即ち、ステップS450では、撮像部110の制御対象角が上限値に達しており、制御コマンドが該上限値を超える変更を指示している場合は、制御対象角は変更することなく、ロー角を規定量だけ変更する。
【0043】
本実施形態では、ステップS450におけるロー角の変更量である上記の規定量を90度(雲台における撮像部110の接地面(水平面)に対する角度)とするが、他の角度であってもよい。例えば、ユーザの認知性を高めたい場合は、図2のように水平面に対し垂直となる±90度が最もわかりやすいと考えられる。しかし、撮像可能領域を優先させたい場合は、図6のように撮像可能領域が最大となる角度(横をx、縦をyとしたとき、tanθ=y/xとなるθを90から引いた角度)を指定できる。
【0044】
なお、駆動制御部150は、駆動制御部150による駆動制御後(若しくは駆動制御中)の撮像部110のロー角、パン角、チルト角をそれぞれの駆動部から収集し、コマンド制御部140に転送する。また、コマンド制御部140は、画像処理部120から、撮像部110により撮像された画像に対して画像処理を施した画像処理済みの画像を取得する。然るにコマンド制御部140は、駆動制御部150が収集した情報、画像処理部120から取得した画像、を通信制御部130を介して画像表示装置500に送信する。
【0045】
ステップS450で撮像部110のロー角を90度変更した際に撮像部110により撮像された画像を表示しているGUIの表示例を図7(a)に示す。図7(a)に示す如く、撮像部110のロー角を90度変更したことから、撮像された画像も90度回転したものとなっている。
【0046】
ここで、ステップS450では上記の通り、ステップS440で変更不可能と判断したが故にステップS450でロー角を変更した旨を示す情報と、ステップS450で変更する前のロー角を示す情報と、を記憶装置160に格納した。そこで、通信制御部130がこれらの情報を画像表示装置500側に送信し、表示制御部520が「ステップS450で変更する前のロー角を示す情報」と「撮像時のロー角である90度」との差分だけ画像を回転させる。これにより、図7(b)に示す如く画像を表示することができる。
【0047】
このように、本実施形態によれば、ユーザが特定の領域の撮像を要求した場合、ローテート制御を意識することなく、所定の角度を維持した状態で画像を見ることができる。なお、本実施形態では、パン・チルト・ローテート制御用のコマンドは、パン・チルトについては角度あるいは座標による指定、ローテートについては角度による指定を想定しているが、指定されるパラメータは相対/絶対的を問わない。
【0048】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、撮像部110の現在のパン角(チルト角)がもうこれ以上プラス側/マイナス側に変更できない状態である場合に、更にプラス側/マイナス側に変更させるための制御コマンドを受信した場合について説明した。本実施形態では、撮像部110の現在のパン角(チルト角)がまだプラス側/マイナス側に変更できる状態ではあるが、受信した制御コマンドに従ってパン角(チルト角)を変更した場合に、変更可能範囲を超えてしまうようなケースについて説明する。
【0049】
なお、本実施形態を含め、以降の各実施形態では、第1の実施形態との差分について説明し、それ以外については基本的には第1の実施形態と同様であるものとする。
【0050】
本実施形態に係るGUIの表示例を図8に示す。もちろん、このGUIは画像表示装置500の画像表示部510に表示される。図8に「コントロール1」として示しているスライダバーは、撮像部110が撮像可能な全視界のうち、現在の撮像部110の視界(パン、チルト)をスライダバーの長さで示し、現在のパン、チルトをスライダバーの位置で示している。これらのスライダバーは、ユーザがキーボードやマウスなどを用いて操作することができ、現在のスライダバーの位置に応じて、視界を指定するができる。そして指定した視界は撮像装置100に通知され、撮像装置100は、この通知された視界を撮像するように、撮像部110の角度を制御する。
【0051】
ここで、スライダバーの位置によっては、特定の領域を含む視界を指定することになってしまう。そこで、特定の領域を含む視界を指定してしまった場合には、スライダバーの色を変えるなど、その旨を報知するようにしてもよい。
【0052】
なお、スライダバー上に表現される特定の領域の割合は、設置面を水平とし0度となったときに最も大きく、90度に近づくにつれて小さくなり、90度で消失する。ローテート角90度では特定の領域が存在しないためである。
【0053】
また、コントロール2として示している領域内の画像は、撮像部110が撮像可能な全視界におけるパノラマ画像である。ここでは、全視界に対する特定の領域が視覚的にわかるように枠で囲い、色を変えるなどして区別できるようにしている。このような画像は、予め撮像されたパノラマ画像に特定の領域を示す枠を重畳させて表示させる。また、現在の撮像部110の視界を示す枠を重畳表示させる。
【0054】
ユーザはキーボードやマウスなどを用いて、この画像上の1点を指定することで、この1点を中心とする視界を指定することができる。また、撮像部110の視界を示す枠を操作することで、視界を再指定することもできる。ここで、ユーザが指定した視界に特定の領域が含まれる場合、この指定した視界を示す枠を画像内で規定量だけ回転させる。ただし、撮像部110を壁面に設定した場合は、パンとチルトの制御が発生すると水平がずれるため、この規定量は、設置完了時の角度となることに留意する。例えば、規定量が水平に対して90度の場合は、枠は図8のA枠からB枠のよう変化する。これにより、ユーザはローテート回転後の撮像のイメージを掴みやすくなる。なお、パノラマ画像における特定の領域の大きさはパノラマ画像作成時のローテート角によって決まる。ここでは設置面を水平とし90度となるローテート角を想定しているが、ローテート角によっては特定の領域は大きくなる場合がある。
【0055】
上記のようにしてユーザが撮像部110の視界を指定すると、カメラ操作入力部540は、撮像部110の視界をこの指定した視界に変更させるための制御コマンドを生成し、生成した制御コマンドを通信制御部560を介して撮像装置100に送信する。なお、指定した視界のパン角のプラス方向(マイナス方向)に特定の領域が含まれている場合、制御コマンドには、撮像部110のパン角をプラス方向(マイナス方向)の上限値に指定するためのコマンドと、ロー角を変更するためのコマンドとが含まれている。これは、チルト角についても同様である。
【0056】
撮像装置100側では、通信制御部130がこのような制御コマンドを受信すると、コマンド制御部140は、この制御コマンドを駆動制御部150に送出する。駆動制御部150は、撮像部110のパン角がプラス方向(マイナス方向)の上限値となるようにパン駆動部210を制御すると共に、撮像部110のロー角を変更すべくローテート駆動部200を制御する。これは、チルト角についても同様である。
【0057】
[第3の実施形態]
本実施形態でも、撮像部110のパン角やチルト角が制御コマンドに従ってこれ以上変更できないような場合にはロー角を変更するが、本実施形態では更に、変更前のロー角を見失わないようにするための補助機能について説明する。
【0058】
駆動制御部150は、撮像部110の制御対象角が上限値に達している状態で制御コマンドが該上限値を超える変更を指示している場合にロー角を変更したり、ロー角の変更を指示する制御コマンドに従ってロー角を変更した場合には、次のように動作する。即ち、ロー角を変更したことを示す情報を画像処理部120に送出する。画像処理部120は、ロー角を変更した撮像部110により撮像された画像に対して画像処理を施した後、この画像処理済みの画像に対して、駆動制御部150から受けた情報を添付する。添付する方法は特に限定するものではなく、画像を規定のフォーマットに変換した場合に、そのヘッダとしてこの画像に添付してもよいし、画像に対して電子透かしなどの方法により埋め込んでもよい。
【0059】
然るにこのような画像を受け取った画像表示装置500側では、例えば、図9の破線で囲った部位のように設置面に対し特定の方向(例では垂直上方向)を示す矢印のメタファや、角度を数字で示しても良い。
【0060】
絶えず上方向を矢印で示すような補助情報を重畳表示させる例を図9(a)〜(c)を用いて説明する。第1の実施形態に基づくと、ローテートする前の状態は図9(a)となる、この時点では補助情報となる矢印は上を向いている。ローテート後の状態は図9(b)となる。撮像部110のローテートに伴い画像が回転しているため、上方を示す矢印も右向きに回転している。そして、画像表示装置500側で回転表示した最終的な状態が図9(c)となる。矢印は上を向いた状態となる。
【0061】
このように、撮像装置100側で、如何なる方向および角度に画像が回転させられた局面においても、ユーザは、元の角度を知ることができるため、撮像装置100操作の理解の助けとなる。
【0062】
なお、補助情報を画像情報に重畳させる処理は、画像処理部120が行ってもよいし、表示制御部520が行ってもよい。また、補助情報は画像に重畳させることに限るものではなく、元の角度をユーザに通知することができるのであれば、如何なる表示形態を採用してもよい。
【0063】
[第4の実施形態]
第1の実施形態では、撮像部110の現在のパン角(チルト角)がもうこれ以上プラス側/マイナス側に変更できない状態である場合に、更にプラス側/マイナス側に変更させるための制御コマンドを受信した場合について説明した。本実施形態では、撮像部110の現在のパン角(チルト角)がもうこれ以上プラス側/マイナス側に変更できない状態である場合に、マイナス側/プラス側に変更させるための制御コマンドを受信した場合について説明する。
【0064】
通信制御部130を介して受信した制御コマンドが撮像部110の駆動制御に関するものである場合に、撮像装置100が行う処理について、同処理のフローチャートを示す図5を用いて説明する。図5のフローチャートにおいて、図4のフローチャートと同じ処理ステップには同じ参照番号を付しており、その説明は省略する。
【0065】
ステップS510では、駆動制御部150は、「前回のステップS440で変更不可能と判断したが故にステップS450でロー角を変更した旨を示す情報」がすでに記憶装置160に格納されているか否かを判断する。この判断の結果、格納されている場合は処理はステップS520に進み、格納されていない場合は処理はステップS440に進む。
【0066】
ステップS520では、駆動制御部150は、撮像部110のチルト角が、制御コマンドが指定する量(若しくは予め定められた量)だけ変更可能か否かを判断する。この判断はステップS440と同様である。変更不可能である場合は本処理を終了する。一方、変更可能である場合は、処理はステップS450に進む。例えば、撮像部110の現在のパン角がもうこれ以上プラス方向に変更できないような状態であり、制御コマンドがパン角をマイナス方向に変更するような場合は、変更可能と判断する。
【0067】
ステップS520からステップS450に処理が進んだ場合、ステップS450では駆動制御部150は、撮像部110のロー角を、記憶装置160に格納されているロー角に戻すべく、ローテート駆動部200を制御する。なお、記憶装置160に格納されているロー角に戻すことに限るものではなく、例えば、設置面を水平として0度など予め定められた特定の角度(規定の値)に戻すようにしてもよい。更にこの場合におけるステップS450では、記憶装置160に格納されている「前回のステップS440で変更不可能と判断したが故にステップS450でロー角を変更した旨を示す情報」を削除する。ステップS440からステップS450に処理が進んだ場合にステップS450で行う処理については、第1の実施形態で説明したとおりである。
【0068】
[第5の実施形態]
第1の実施形態では、画像表示部510で表示されるローテート後の画像が縦に長くなってしまう。画像表示部510によっては、縦方向の解像度が低いなどの表示上の制約がある。そこで本実施形態では、画像を特定の縦横比を維持して表示する。
【0069】
第1の実施形態では、図10(a)に示す如く、横長の画像を回転させて縦向きに表示している。例えば、図12に示す如く、縦横比9:16の画像を想定した場合、特定の領域の縦幅は(16−9)÷2=3.5となる。そして、縦に回転した画像において縦横比9:16で切り取れる領域は縦(81÷16)≒5となり、特定の領域を十分に含む。従って、図10(b)に示す如く、画像を特定の領域を含む範囲で特定の縦横比となるように拡大補正して表示させる。
【0070】
このような拡大補正は、撮像装置100側で行ってもよいし、画像表示装置500側で行ってもよい。撮像装置100側で行う場合、画像処理部120にて画像処理済みの画像に対して、特定の領域が含まれるようにズーム制御を行う。電子ズームを搭載した撮像装置100では、撮像部110から得られた画像の一部を画像処理部120にて拡大補正し、画像表示装置500に対して送信すればよい。光学ズームを搭載した撮像部110においてはズーム値により撮像部110の可動範囲が変わる。そのため、ズーム値が既に光学テレ端付近であった場合は電子ズームによる拡大画像を提供し、撮像部110が可動できる場合は特定の領域が最も含まれる位置まで撮像部110をチルト制御しズームする。
【0071】
一方、拡大補正を画像表示装置500側で行う場合、画像処理部530は、撮像装置100から送信された画像に対し、図12に示す如く特定の縦横比を維持しつつ、特定の領域が最も含まれるように画像を切り出す。そして、この切り出した画像は表示制御部520で画像表示部510が有する画面の大きさにあわせ拡大表示する。これにより、ユーザが見ている画像の縦横比率を維持しつつ、特定の領域を含む画像を提供することができる。
【0072】
[第6の実施形態]
第1の実施形態では、撮像装置100の駆動制御部150は、ローテート駆動部200にロー角の変更を開始させるタイミングで、コマンド制御部140にメッセージを作成させている。コマンド制御部140はメッセージを作成すると、これを画像表示部510に対して送信している。
【0073】
このメッセージには、ロー角を変更する処理を開始することを示すメッセージや、現在のロー角、変更後のロー角、ロー角を変更する速度(角速度)などが含まれる。しかし、変更後のロー角やロー角を変更する速度が予め決まっている場合は、メッセージに含めなくてもよい。ロー角を変更する速度はハードウェア仕様として定まるものである。単位時間あたりの回転角度であっても、撮像装置100と画像表示部510との間で一意に定まる特定の値でも構わない。
【0074】
このようなメッセージを受信した画像表示装置500の表示制御部520は、撮像装置100から受信した画像を、メッセージ中の速度に基づき逆向きに回転させながら画像表示部510に表示させる。これにより、ローテート制御中もユーザに対し画像を所定の角度を保った状態で見せ続けることができるので、回転によるユーザの酔い防止や、撮像装置100操作の助けになる。
【0075】
[第7の実施形態]
本実施形態では、撮像装置100は、撮像部110のロー角を変更中であれば、その旨を示すメッセージを画像表示装置500に対して送信し、画像表示装置500は、このメッセージを受信している間は、変更中である旨の表示を行う。本処理は、ローテート制御中は画像が回転するため、画面を眺めているユーザの目が回ってしまうことを回避することを目的としている。
【0076】
このようなメッセージを受信している間に画像表示部510に表示されているGUIの表示例を図11に示す。「回転中(ダミー画像)」という文字が記された画像(以下、ダミー画像と呼称する)は、画像表示装置500側で予め保持しておき、メッセージを受信している間はダミー画像を表示するようにしてもよい。また、撮像装置100が、撮像部110のロー角を変更中であれば、記憶装置160に予め格納されているダミー画像を、撮像部110による撮像画像の代わりに画像表示装置500に送信するようにしてもよい。そして画像表示装置500は、撮像画像であろうとこのような画像であろうと撮像装置100から送信された画像をGUI上に表示すればよい。
【0077】
ロー角の変更中か否かは、ローテート駆動部200が動作中であるか否かを駆動制御部150が監視し、動作中であればロー角の変更中であると判断すればよい。然るに、ダミー画像を画像表示装置500側で予め保持しておく場合は、撮像装置100は、ローテート駆動部200が動作中であるか否かを示す情報をメッセージに含めて画像表示装置500に送信する必要がある。もちろん、ロー角の変更中であるか否かの判断方法はこれに限るものではない。
【0078】
ダミー画像としては、回転中を示すメッセージ(文字列、文字画像)、任意の画像、予め撮像したパノラマ画像から得られる回転後の画像、現在得られている最新画像を特定の角度に回転させた後のイメージを掴めるようにしたものなどが挙げられる。なお、上記の各実施形態は適宜組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0079】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光軸を中心とした回転機構(以降、「ローテート機構」と呼ぶ。また、光軸周りの回転駆動を「ローテート」と呼ぶ。)を搭載した撮像装置に係る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
パン、チルトに加え、ローテート機構を搭載したカメラが登場している。また、撮像の光軸に対する回転角度を検出し、撮像画像を回転補正するカメラが登場している。ローテート機構を搭載したカメラでは、特許文献1のように、パンの回転角度によって傾いて見えてしまう画像に対し、撮像部をローテートさせることにより所定の角度を保つ仕組みが提案されている。また、特許文献2のように、撮影レンズの光軸回りの回転を検出し、その回転を打ち消すように画像を光軸回りに回転させて表示する回転補正部が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-089042号公報
【特許文献2】特開2009-060435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ローテート機構を搭載したカメラでは、撮影した画像が縦横比3:4や9:16等のように横に長い場合、図2で示したように、チルト端からローテートしなければ撮影できない領域(以降、「特定の領域」と呼ぶ。)が存在する。
【0005】
この特定の領域を含む撮影範囲にユーザがカメラを制御させたい場合、従来のパン・チルト制御では、チルト端に到達しても特定の領域を見ることができないため、ユーザがその都度手動でローテート操作し画像を確認しなければならないという課題があった。また、カメラがローテートしてしまうと画像が回転してしまうため、カメラの向きがユーザにとってわかりにくくなってしまうという課題があった。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みて成されたものであり、ユーザによる煩雑な操作を行うことなく、特定の領域を含む撮像範囲の撮像を可能にするための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の制御装置は、外部から受信した制御コマンドに従って、撮像装置のパン角、チルト角、ロー角のうち少なくとも1つを制御可能な制御装置であって、前記パン角、前記チルト角のうち少なくとも1つを制御対象角として制御するための制御コマンドを受信すると、前記撮像装置の制御対象角が変更可能か否かを判断する判断手段と、前記判断手段が変更不可能と判断した場合、前記制御対象角は変更することなく、前記撮像装置のロー角を規定量だけ変更する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
ユーザが特定の領域を含む撮像を指定した場合、ローテート制御を意識することなく所望の撮像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】システムの機能構成例を示すブロック図。
【図2】特定の領域を説明する図。
【図3】GUIの表示例を示す図。
【図4】撮像装置100が行う処理のフローチャート。
【図5】撮像装置100が行う処理のフローチャート。
【図6】ロー角の変更量を説明する図。
【図7】GUIの表示例を示す図。
【図8】GUIの表示例を示す図。
【図9】GUIの表示例を示す図。
【図10】GUIの表示例を示す図。
【図11】GUIの表示例を示す図。
【図12】特定の領域の幅を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照し、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態は、本発明を具体的に実施した場合の一例を示すもので、特許請求の範囲に記載した構成の具体的な実施例の一つである。
【0011】
[第1の実施形態]
先ず、本実施形態に係るシステムの機能構成例について、図1のブロック図を用いて説明する。図1に示す如く、本実施形態に係るシステムは、カメラを制御可能な制御装置として機能する撮像装置100と、撮像装置100にネットワーク10を介して接続されている画像表示装置500と、を有する。ネットワーク10は、有線、無線の何れのネットワークであってもよく、また、その組み合わせでもよい。このネットワーク10は、例えば、TCP/IPで構成されている。
【0012】
先ず、撮像装置100について説明する。通信制御部130は、ネットワーク10を介して画像表示装置500とのデータ通信を行うためのインターフェースとして機能するものであり、ネットワーク10を介した画像表示装置500とのデータ通信はこの通信制御部130を介して行われる。
【0013】
コマンド制御部140は、通信制御部130が、外部の画像表示装置500からネットワーク10を介して送信されたコマンドを受け取ると、このコマンドを解析する。その結果、このコマンドが画像処理に関するものである場合には、このコマンドを画像処理部120に送出し、このコマンドが撮像部110の駆動制御に関するものである場合には、このコマンドを駆動制御部150に送出する。
【0014】
撮像部110は、シーンの動画若しくは静止画を撮像可能な装置であり、撮像した画像(若しくは各フレームの画像)は順次、画像処理部120に送出される。なお図1では、撮像部110は撮像装置100内の機能部として示されているが、撮像部110は撮像装置100とは別個の装置としてもよく、この場合、撮像部110は有線若しくは無線等のネットワークを介して撮像装置100と通信可能に接続されてもよい。
【0015】
画像処理部120は、撮像部110から受けた画像に対して、コマンド制御部140から受けたコマンドに応じた画像処理を施して特定のフォーマットを有する画像処理済みの画像を生成する。そして画像処理部120は、この生成した画像処理済みの画像を記憶装置160やコマンド制御部140に対して送出する。
【0016】
ローテート駆動部200は、撮像部110のロー角を制御する。パン駆動部210は、撮像部110のパン角(撮像部110は雲台上に固定されており、実際には雲台のパン角)を制御する。チルト駆動部220は、撮像部110のチルト角(撮像部110は雲台上に固定されており、実際には雲台に対する撮像部110のチルト角)を制御する。
【0017】
駆動制御部150は、コマンド制御部140から受けたコマンドに応じてローテート駆動部200、パン駆動部210、チルト駆動部220、のそれぞれの駆動制御を行う。例えば、コマンド制御部140から受けたコマンドが、ロー角を制御するものであれば、撮像部110のロー角を該コマンドによって指定された量(若しくは規定量)だけ変更するようにローテート駆動部200を駆動制御する。この駆動制御により、撮像部110は、撮像部110の光軸を中心として、コマンドによって指定された量(若しくは規定量)だけ回転する。また例えば、コマンド制御部140から受けたコマンドが、パン角を制御するものであれば、撮像部110のパン角を該コマンドによって指定された量(若しくは規定量)だけ変更するようにパン駆動部210を駆動制御する。また例えば、コマンド制御部140から受けたコマンドが、チルト角を制御するものであれば、撮像部110のチルト角を該コマンドによって指定された量(若しくは規定量)だけ変更するようにチルト駆動部220を駆動制御する。そして更に駆動制御部150は、ローテート駆動部200、パン駆動部210、チルト駆動部220のそれぞれから、撮像部110の現在のロー角、パン角、チルト角、を取得し、記憶装置160やコマンド制御部140に対して送出する。
【0018】
コマンド制御部140は、駆動制御部150から撮像部110の現在のロー角、パン角、チルト角、を取得すると、この取得したロー角、パン角、チルト角を通信制御部130、ネットワーク10を介して画像表示装置500に対して送出する。また、コマンド制御部140は、画像処理部120から画像処理済みの画像を受け取ると、この画像を通信制御部130、ネットワーク10を介して画像表示装置500に対して送出する。
【0019】
記憶装置160は、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ装置などの、情報を保存可能な情報記憶装置であり、画像処理済みの画像を記憶保持したり、撮像に係る様々な情報を記憶保持することができる。
【0020】
次に、画像表示装置500について説明する。通信制御部560は、ネットワーク10を介して撮像装置100とのデータ通信を行うためのインターフェースとして機能するものであり、ネットワーク10を介した撮像装置100とのデータ通信はこの通信制御部560を介して行われる。
【0021】
撮像装置100から画像処理済みの画像や撮像部110の現在のロー角、パン角、チルト角を含む撮像部110の現在の状態を示す情報が送信されると、これらは通信制御部560を介してコマンド処理部550に入力される。コマンド処理部550は、通信制御部560から受けたものが画像処理済みの画像である場合には、この画像を画像処理部530に転送する。一方、コマンド処理部550は、通信制御部560から受けたものが、撮像部110の現在の状態を示す情報である場合には、この情報を表示制御部520に転送する。
【0022】
画像処理部530は、コマンド処理部550から受けた画像を、必要に応じて適宜加工する。例えば、コマンド処理部550から受けた画像に対して、記憶装置570に格納されている文字や記号、画像などを重畳させる。もちろん、画像処理部530は、コマンド処理部550から受けた画像に対して何も処理しなくてもよい。画像処理部530は、上記のように加工した画像/加工していない画像を表示制御部520に対して出力する。
【0023】
表示制御部520は、コマンド処理部550から受けた「撮像部110の現在の状態を示す情報」や、後述するGUI(グラフィカルユーザインターフェース)を、画像処理部530からの画像と共に、画像表示部510に表示させる。また、表示制御部520は、画像処理部530からの画像が、ローテート駆動部200によりローテート駆動されている状態で撮像部110が撮像した画像である場合には、この画像を逆にローテートさせてから画像表示部510に送出するようにしてもよい。
【0024】
画像表示部510は、CRTや液晶画面などにより構成されており、画像処理部530から受けた画像や、表示制御部520から受けた情報や画像やGUIを表示することができる。
【0025】
カメラ操作入力部540は、ユーザが不図示のキーボードやマウスなどを用いて上記のGUIを操作することで、撮像部110のロー角、パン角、チルト角、を変更する操作がなされると、この操作内容を示すコマンドを制御コマンドとして生成する。そしてカメラ操作入力部540は、この生成した制御コマンドを通信制御部560を介して撮像装置100に対して送出する。なお、画像表示部510がタッチパネルスクリーンで構成されている場合には、ユーザは画像表示部510の表示画面上を直接指示することで、このGUIを操作してもよい。
【0026】
次に、画像表示装置500のユーザが不図示のキーボードやマウスなどを用いて、撮像部110のパン角やチルト角を変更するための操作を入力した場合に、画像表示装置500、撮像装置100のそれぞれが行う処理について説明する。
【0027】
画像表示装置500の画像表示部510には、図3に示すようなGUIが表示される。領域590には、画像処理部530から表示制御部520を介して送出された画像が表示される。
【0028】
領域540aには、撮像部110のロー角、パン角、チルト角、を変更指示するために操作するボタン群が表示される。なお、これらの角を変更するためのインターフェースはこのようなインターフェースに限るものではなく、様々なインターフェースが考え得る。領域540bには、撮像部110のパン角を変更指示するためのスライダバーが表示されており、領域540cには、撮像部110のチルト角を変更指示するためのスライダバーが表示されている。
【0029】
ユーザは領域590に表示されている画像を観察しながら、次にどの方向の撮像を希望するのかを決め、上記のスライダバーや上記のボタン群を、キーボードやマウスなどを用いて操作する。
【0030】
カメラ操作入力部540は、ユーザからの操作の内容を示す制御コマンドを生成する。例えば、ユーザが上記のGUIを用いてパン角を変更する操作を行うと、カメラ操作入力部540は、パン角を量Pだけ変更する旨を指示するための制御コマンドを生成する。そしてこの制御コマンドは、通信制御部560により、ネットワーク10を介して撮像装置100に送信される。
【0031】
通信制御部130を介して受信した制御コマンドはコマンド制御部140に入力され、コマンド制御部140は、この制御コマンドを解析する。この制御コマンドが撮像部110の駆動制御に関するものである場合に、撮像装置100が行う処理について、同処理のフローチャートを示す図4を用いて説明する。なお、図4のフローチャートは、撮像部110が撮像した画像の縦横比がa:b(a<b)であり、特定の領域がチルト端に出現するケースを想定している。しかし、a>bの場合は、下記の説明における「チルト」を「パン」に置き換えればよい。この場合、「特定の領域」は、パン端からローテートしなければ撮影できない領域となる。
【0032】
ステップS410では、コマンド制御部140が、通信制御部130を介して制御コマンドを受信すると、この制御コマンドを駆動制御部150に転送する。ステップS420では、駆動制御部150は、この制御コマンドが、チルト角を変更するための制御コマンドであるか否かを判断する。
【0033】
この判断の結果、チルト角を変更するための制御コマンドである場合は、処理はステップS430に進み、チルト角を変更するための制御コマンドではない場合は、処理はステップS470に進む。
【0034】
ステップS470では、駆動制御部150は、ローテート駆動部200、パン駆動部210、のうち、制御コマンドによって変更する角に対応する駆動部を制御し、撮像部110のこの角についての変更を行わせる。例えば、制御コマンドがパン角を変更するためのものである場合、駆動制御部150は、制御コマンドが規定する量(若しくは予め定められた量)だけ撮像部110のパン角を変更させるよう、パン駆動部210を駆動制御する。これはロー角についても同様である。
【0035】
一方、ステップS430では、駆動制御部150は、撮像部110の現在のパン角がもうこれ以上プラス方向に変更できない状態(パン角の変更可能な範囲においてプラス方向の上限に達している状態)であるか否かを判断する。また、ステップS430では、駆動制御部150は、撮像部110の現在のパン角がもうこれ以上マイナス方向に変更できない状態(パン角の変更可能な範囲においてマイナス方向の上限に達している状態)であるか否かを判断する。これは、撮像部110の現在位置がチルト端であるか判断することに等価である。
【0036】
ステップS430における判断の結果、撮像部110の現在のパン角がもうこれ以上プラス方向に変更できない状態、もうこれ以上マイナス方向に変更できない状態、の何れかであれば、処理はステップS440に進む。一方、ステップS430における判断の結果、撮像部110の現在のパン角がもうこれ以上プラス方向に変更できない状態、もうこれ以上マイナス方向に変更できない状態、の何れでもない場合は、処理はステップS460に進む。
【0037】
ステップS460では、駆動制御部150は、制御コマンドが規定する量(若しくは予め定められた量)だけ撮像部110のチルト角を変更させるよう、チルト駆動部220を駆動制御する。
【0038】
一方、ステップS440では、駆動制御部150は、撮像部110の現在のチルト角が、制御コマンドが指定する量(若しくは予め定められた量)だけ変更可能か否かを判断する。例えば、撮像部110の現在のチルト角がもうこれ以上プラス方向に変更できない状態であるのに、制御コマンドがチルト角を更にプラス方向に変更するような場合は、変更不可能と判断する。また、撮像部110の現在のチルト角がもうこれ以上マイナス方向に変更できない状態であるのに、制御コマンドがチルト角を更にマイナス方向に変更するような場合も同様に、変更不可能と判断する。
【0039】
即ち、ステップS430,S440では、一般的には、パン角、チルト角のうち少なくとも1つを制御対象角として制御するための制御コマンドを受信すると、撮像部110の制御対象角が変更可能か否かを判断している。
【0040】
ステップS440における判断の結果、変更可能と判断した場合は処理はステップS460に進み、変更不可能と判断した場合は、処理はステップS450に進む。
【0041】
ステップS450では、駆動制御部150は、規定量だけ撮像部110のロー角を変更させるよう、ローテート駆動部200を駆動制御する。この駆動制御により、撮像部110は、撮像部110の光軸を中心として規定量だけ回転する。更にステップS450では駆動制御部150は、ステップS440で変更不可能と判断したが故にステップS450でロー角を変更した旨を示す情報と、ステップS450で変更する前のロー角を示す情報と、を記憶装置160に格納する。
【0042】
即ち、ステップS450では、撮像部110の制御対象角が上限値に達しており、制御コマンドが該上限値を超える変更を指示している場合は、制御対象角は変更することなく、ロー角を規定量だけ変更する。
【0043】
本実施形態では、ステップS450におけるロー角の変更量である上記の規定量を90度(雲台における撮像部110の接地面(水平面)に対する角度)とするが、他の角度であってもよい。例えば、ユーザの認知性を高めたい場合は、図2のように水平面に対し垂直となる±90度が最もわかりやすいと考えられる。しかし、撮像可能領域を優先させたい場合は、図6のように撮像可能領域が最大となる角度(横をx、縦をyとしたとき、tanθ=y/xとなるθを90から引いた角度)を指定できる。
【0044】
なお、駆動制御部150は、駆動制御部150による駆動制御後(若しくは駆動制御中)の撮像部110のロー角、パン角、チルト角をそれぞれの駆動部から収集し、コマンド制御部140に転送する。また、コマンド制御部140は、画像処理部120から、撮像部110により撮像された画像に対して画像処理を施した画像処理済みの画像を取得する。然るにコマンド制御部140は、駆動制御部150が収集した情報、画像処理部120から取得した画像、を通信制御部130を介して画像表示装置500に送信する。
【0045】
ステップS450で撮像部110のロー角を90度変更した際に撮像部110により撮像された画像を表示しているGUIの表示例を図7(a)に示す。図7(a)に示す如く、撮像部110のロー角を90度変更したことから、撮像された画像も90度回転したものとなっている。
【0046】
ここで、ステップS450では上記の通り、ステップS440で変更不可能と判断したが故にステップS450でロー角を変更した旨を示す情報と、ステップS450で変更する前のロー角を示す情報と、を記憶装置160に格納した。そこで、通信制御部130がこれらの情報を画像表示装置500側に送信し、表示制御部520が「ステップS450で変更する前のロー角を示す情報」と「撮像時のロー角である90度」との差分だけ画像を回転させる。これにより、図7(b)に示す如く画像を表示することができる。
【0047】
このように、本実施形態によれば、ユーザが特定の領域の撮像を要求した場合、ローテート制御を意識することなく、所定の角度を維持した状態で画像を見ることができる。なお、本実施形態では、パン・チルト・ローテート制御用のコマンドは、パン・チルトについては角度あるいは座標による指定、ローテートについては角度による指定を想定しているが、指定されるパラメータは相対/絶対的を問わない。
【0048】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、撮像部110の現在のパン角(チルト角)がもうこれ以上プラス側/マイナス側に変更できない状態である場合に、更にプラス側/マイナス側に変更させるための制御コマンドを受信した場合について説明した。本実施形態では、撮像部110の現在のパン角(チルト角)がまだプラス側/マイナス側に変更できる状態ではあるが、受信した制御コマンドに従ってパン角(チルト角)を変更した場合に、変更可能範囲を超えてしまうようなケースについて説明する。
【0049】
なお、本実施形態を含め、以降の各実施形態では、第1の実施形態との差分について説明し、それ以外については基本的には第1の実施形態と同様であるものとする。
【0050】
本実施形態に係るGUIの表示例を図8に示す。もちろん、このGUIは画像表示装置500の画像表示部510に表示される。図8に「コントロール1」として示しているスライダバーは、撮像部110が撮像可能な全視界のうち、現在の撮像部110の視界(パン、チルト)をスライダバーの長さで示し、現在のパン、チルトをスライダバーの位置で示している。これらのスライダバーは、ユーザがキーボードやマウスなどを用いて操作することができ、現在のスライダバーの位置に応じて、視界を指定するができる。そして指定した視界は撮像装置100に通知され、撮像装置100は、この通知された視界を撮像するように、撮像部110の角度を制御する。
【0051】
ここで、スライダバーの位置によっては、特定の領域を含む視界を指定することになってしまう。そこで、特定の領域を含む視界を指定してしまった場合には、スライダバーの色を変えるなど、その旨を報知するようにしてもよい。
【0052】
なお、スライダバー上に表現される特定の領域の割合は、設置面を水平とし0度となったときに最も大きく、90度に近づくにつれて小さくなり、90度で消失する。ローテート角90度では特定の領域が存在しないためである。
【0053】
また、コントロール2として示している領域内の画像は、撮像部110が撮像可能な全視界におけるパノラマ画像である。ここでは、全視界に対する特定の領域が視覚的にわかるように枠で囲い、色を変えるなどして区別できるようにしている。このような画像は、予め撮像されたパノラマ画像に特定の領域を示す枠を重畳させて表示させる。また、現在の撮像部110の視界を示す枠を重畳表示させる。
【0054】
ユーザはキーボードやマウスなどを用いて、この画像上の1点を指定することで、この1点を中心とする視界を指定することができる。また、撮像部110の視界を示す枠を操作することで、視界を再指定することもできる。ここで、ユーザが指定した視界に特定の領域が含まれる場合、この指定した視界を示す枠を画像内で規定量だけ回転させる。ただし、撮像部110を壁面に設定した場合は、パンとチルトの制御が発生すると水平がずれるため、この規定量は、設置完了時の角度となることに留意する。例えば、規定量が水平に対して90度の場合は、枠は図8のA枠からB枠のよう変化する。これにより、ユーザはローテート回転後の撮像のイメージを掴みやすくなる。なお、パノラマ画像における特定の領域の大きさはパノラマ画像作成時のローテート角によって決まる。ここでは設置面を水平とし90度となるローテート角を想定しているが、ローテート角によっては特定の領域は大きくなる場合がある。
【0055】
上記のようにしてユーザが撮像部110の視界を指定すると、カメラ操作入力部540は、撮像部110の視界をこの指定した視界に変更させるための制御コマンドを生成し、生成した制御コマンドを通信制御部560を介して撮像装置100に送信する。なお、指定した視界のパン角のプラス方向(マイナス方向)に特定の領域が含まれている場合、制御コマンドには、撮像部110のパン角をプラス方向(マイナス方向)の上限値に指定するためのコマンドと、ロー角を変更するためのコマンドとが含まれている。これは、チルト角についても同様である。
【0056】
撮像装置100側では、通信制御部130がこのような制御コマンドを受信すると、コマンド制御部140は、この制御コマンドを駆動制御部150に送出する。駆動制御部150は、撮像部110のパン角がプラス方向(マイナス方向)の上限値となるようにパン駆動部210を制御すると共に、撮像部110のロー角を変更すべくローテート駆動部200を制御する。これは、チルト角についても同様である。
【0057】
[第3の実施形態]
本実施形態でも、撮像部110のパン角やチルト角が制御コマンドに従ってこれ以上変更できないような場合にはロー角を変更するが、本実施形態では更に、変更前のロー角を見失わないようにするための補助機能について説明する。
【0058】
駆動制御部150は、撮像部110の制御対象角が上限値に達している状態で制御コマンドが該上限値を超える変更を指示している場合にロー角を変更したり、ロー角の変更を指示する制御コマンドに従ってロー角を変更した場合には、次のように動作する。即ち、ロー角を変更したことを示す情報を画像処理部120に送出する。画像処理部120は、ロー角を変更した撮像部110により撮像された画像に対して画像処理を施した後、この画像処理済みの画像に対して、駆動制御部150から受けた情報を添付する。添付する方法は特に限定するものではなく、画像を規定のフォーマットに変換した場合に、そのヘッダとしてこの画像に添付してもよいし、画像に対して電子透かしなどの方法により埋め込んでもよい。
【0059】
然るにこのような画像を受け取った画像表示装置500側では、例えば、図9の破線で囲った部位のように設置面に対し特定の方向(例では垂直上方向)を示す矢印のメタファや、角度を数字で示しても良い。
【0060】
絶えず上方向を矢印で示すような補助情報を重畳表示させる例を図9(a)〜(c)を用いて説明する。第1の実施形態に基づくと、ローテートする前の状態は図9(a)となる、この時点では補助情報となる矢印は上を向いている。ローテート後の状態は図9(b)となる。撮像部110のローテートに伴い画像が回転しているため、上方を示す矢印も右向きに回転している。そして、画像表示装置500側で回転表示した最終的な状態が図9(c)となる。矢印は上を向いた状態となる。
【0061】
このように、撮像装置100側で、如何なる方向および角度に画像が回転させられた局面においても、ユーザは、元の角度を知ることができるため、撮像装置100操作の理解の助けとなる。
【0062】
なお、補助情報を画像情報に重畳させる処理は、画像処理部120が行ってもよいし、表示制御部520が行ってもよい。また、補助情報は画像に重畳させることに限るものではなく、元の角度をユーザに通知することができるのであれば、如何なる表示形態を採用してもよい。
【0063】
[第4の実施形態]
第1の実施形態では、撮像部110の現在のパン角(チルト角)がもうこれ以上プラス側/マイナス側に変更できない状態である場合に、更にプラス側/マイナス側に変更させるための制御コマンドを受信した場合について説明した。本実施形態では、撮像部110の現在のパン角(チルト角)がもうこれ以上プラス側/マイナス側に変更できない状態である場合に、マイナス側/プラス側に変更させるための制御コマンドを受信した場合について説明する。
【0064】
通信制御部130を介して受信した制御コマンドが撮像部110の駆動制御に関するものである場合に、撮像装置100が行う処理について、同処理のフローチャートを示す図5を用いて説明する。図5のフローチャートにおいて、図4のフローチャートと同じ処理ステップには同じ参照番号を付しており、その説明は省略する。
【0065】
ステップS510では、駆動制御部150は、「前回のステップS440で変更不可能と判断したが故にステップS450でロー角を変更した旨を示す情報」がすでに記憶装置160に格納されているか否かを判断する。この判断の結果、格納されている場合は処理はステップS520に進み、格納されていない場合は処理はステップS440に進む。
【0066】
ステップS520では、駆動制御部150は、撮像部110のチルト角が、制御コマンドが指定する量(若しくは予め定められた量)だけ変更可能か否かを判断する。この判断はステップS440と同様である。変更不可能である場合は本処理を終了する。一方、変更可能である場合は、処理はステップS450に進む。例えば、撮像部110の現在のパン角がもうこれ以上プラス方向に変更できないような状態であり、制御コマンドがパン角をマイナス方向に変更するような場合は、変更可能と判断する。
【0067】
ステップS520からステップS450に処理が進んだ場合、ステップS450では駆動制御部150は、撮像部110のロー角を、記憶装置160に格納されているロー角に戻すべく、ローテート駆動部200を制御する。なお、記憶装置160に格納されているロー角に戻すことに限るものではなく、例えば、設置面を水平として0度など予め定められた特定の角度(規定の値)に戻すようにしてもよい。更にこの場合におけるステップS450では、記憶装置160に格納されている「前回のステップS440で変更不可能と判断したが故にステップS450でロー角を変更した旨を示す情報」を削除する。ステップS440からステップS450に処理が進んだ場合にステップS450で行う処理については、第1の実施形態で説明したとおりである。
【0068】
[第5の実施形態]
第1の実施形態では、画像表示部510で表示されるローテート後の画像が縦に長くなってしまう。画像表示部510によっては、縦方向の解像度が低いなどの表示上の制約がある。そこで本実施形態では、画像を特定の縦横比を維持して表示する。
【0069】
第1の実施形態では、図10(a)に示す如く、横長の画像を回転させて縦向きに表示している。例えば、図12に示す如く、縦横比9:16の画像を想定した場合、特定の領域の縦幅は(16−9)÷2=3.5となる。そして、縦に回転した画像において縦横比9:16で切り取れる領域は縦(81÷16)≒5となり、特定の領域を十分に含む。従って、図10(b)に示す如く、画像を特定の領域を含む範囲で特定の縦横比となるように拡大補正して表示させる。
【0070】
このような拡大補正は、撮像装置100側で行ってもよいし、画像表示装置500側で行ってもよい。撮像装置100側で行う場合、画像処理部120にて画像処理済みの画像に対して、特定の領域が含まれるようにズーム制御を行う。電子ズームを搭載した撮像装置100では、撮像部110から得られた画像の一部を画像処理部120にて拡大補正し、画像表示装置500に対して送信すればよい。光学ズームを搭載した撮像部110においてはズーム値により撮像部110の可動範囲が変わる。そのため、ズーム値が既に光学テレ端付近であった場合は電子ズームによる拡大画像を提供し、撮像部110が可動できる場合は特定の領域が最も含まれる位置まで撮像部110をチルト制御しズームする。
【0071】
一方、拡大補正を画像表示装置500側で行う場合、画像処理部530は、撮像装置100から送信された画像に対し、図12に示す如く特定の縦横比を維持しつつ、特定の領域が最も含まれるように画像を切り出す。そして、この切り出した画像は表示制御部520で画像表示部510が有する画面の大きさにあわせ拡大表示する。これにより、ユーザが見ている画像の縦横比率を維持しつつ、特定の領域を含む画像を提供することができる。
【0072】
[第6の実施形態]
第1の実施形態では、撮像装置100の駆動制御部150は、ローテート駆動部200にロー角の変更を開始させるタイミングで、コマンド制御部140にメッセージを作成させている。コマンド制御部140はメッセージを作成すると、これを画像表示部510に対して送信している。
【0073】
このメッセージには、ロー角を変更する処理を開始することを示すメッセージや、現在のロー角、変更後のロー角、ロー角を変更する速度(角速度)などが含まれる。しかし、変更後のロー角やロー角を変更する速度が予め決まっている場合は、メッセージに含めなくてもよい。ロー角を変更する速度はハードウェア仕様として定まるものである。単位時間あたりの回転角度であっても、撮像装置100と画像表示部510との間で一意に定まる特定の値でも構わない。
【0074】
このようなメッセージを受信した画像表示装置500の表示制御部520は、撮像装置100から受信した画像を、メッセージ中の速度に基づき逆向きに回転させながら画像表示部510に表示させる。これにより、ローテート制御中もユーザに対し画像を所定の角度を保った状態で見せ続けることができるので、回転によるユーザの酔い防止や、撮像装置100操作の助けになる。
【0075】
[第7の実施形態]
本実施形態では、撮像装置100は、撮像部110のロー角を変更中であれば、その旨を示すメッセージを画像表示装置500に対して送信し、画像表示装置500は、このメッセージを受信している間は、変更中である旨の表示を行う。本処理は、ローテート制御中は画像が回転するため、画面を眺めているユーザの目が回ってしまうことを回避することを目的としている。
【0076】
このようなメッセージを受信している間に画像表示部510に表示されているGUIの表示例を図11に示す。「回転中(ダミー画像)」という文字が記された画像(以下、ダミー画像と呼称する)は、画像表示装置500側で予め保持しておき、メッセージを受信している間はダミー画像を表示するようにしてもよい。また、撮像装置100が、撮像部110のロー角を変更中であれば、記憶装置160に予め格納されているダミー画像を、撮像部110による撮像画像の代わりに画像表示装置500に送信するようにしてもよい。そして画像表示装置500は、撮像画像であろうとこのような画像であろうと撮像装置100から送信された画像をGUI上に表示すればよい。
【0077】
ロー角の変更中か否かは、ローテート駆動部200が動作中であるか否かを駆動制御部150が監視し、動作中であればロー角の変更中であると判断すればよい。然るに、ダミー画像を画像表示装置500側で予め保持しておく場合は、撮像装置100は、ローテート駆動部200が動作中であるか否かを示す情報をメッセージに含めて画像表示装置500に送信する必要がある。もちろん、ロー角の変更中であるか否かの判断方法はこれに限るものではない。
【0078】
ダミー画像としては、回転中を示すメッセージ(文字列、文字画像)、任意の画像、予め撮像したパノラマ画像から得られる回転後の画像、現在得られている最新画像を特定の角度に回転させた後のイメージを掴めるようにしたものなどが挙げられる。なお、上記の各実施形態は適宜組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0079】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から受信した制御コマンドに従って、撮像装置のパン角、チルト角、ロー角のうち少なくとも1つを制御可能な制御装置であって、
前記パン角、前記チルト角のうち少なくとも1つを制御対象角として制御するための制御コマンドを受信すると、前記撮像装置の制御対象角が変更可能か否かを判断する判断手段と、
前記判断手段が変更不可能と判断した場合、前記制御対象角は変更することなく、前記撮像装置のロー角を規定量だけ変更する制御手段と
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記撮像装置の制御対象角が上限値に達している状態で、前記制御コマンドが該制御対象角を該上限値を超える値に変更することを指示している場合、前記撮像装置の制御対象角は変更することなく、前記撮像装置のロー角を前記規定量だけ変更することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記撮像装置の制御対象角は変更することなく前記撮像装置のロー角を前記規定量だけ変更したあと、前記撮像装置の制御対象角が上限値に達している状態で、前記制御コマンドが該制御対象角を該上限値を超えない値に変更することを指示している場合、前記撮像装置のロー角を規定の値に変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
更に、前記撮像装置により撮像された画像を前記外部に対して出力する出力手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記出力手段は、前記制御手段によるロー角の変更中に、ロー角の変更中であることを示すメッセージを前記外部に対して出力することを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
外部から受信した制御コマンドに従って、撮像装置のパン角、チルト角、ロー角のうち少なくとも1つを制御可能な制御装置の制御方法であって、
前記制御装置の判断手段が、前記パン角、前記チルト角のうち少なくとも1つを制御対象角として制御するための制御コマンドを受信すると、前記撮像装置の制御対象角が変更可能か否かを判断する判断工程と、
前記制御装置の制御手段が、前記判断工程で変更不可能と判断した場合、前記制御対象角は変更することなく、前記撮像装置のロー角を規定量だけ変更する制御工程と
を備えることを特徴とする制御装置の制御方法。
【請求項1】
外部から受信した制御コマンドに従って、撮像装置のパン角、チルト角、ロー角のうち少なくとも1つを制御可能な制御装置であって、
前記パン角、前記チルト角のうち少なくとも1つを制御対象角として制御するための制御コマンドを受信すると、前記撮像装置の制御対象角が変更可能か否かを判断する判断手段と、
前記判断手段が変更不可能と判断した場合、前記制御対象角は変更することなく、前記撮像装置のロー角を規定量だけ変更する制御手段と
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記撮像装置の制御対象角が上限値に達している状態で、前記制御コマンドが該制御対象角を該上限値を超える値に変更することを指示している場合、前記撮像装置の制御対象角は変更することなく、前記撮像装置のロー角を前記規定量だけ変更することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記撮像装置の制御対象角は変更することなく前記撮像装置のロー角を前記規定量だけ変更したあと、前記撮像装置の制御対象角が上限値に達している状態で、前記制御コマンドが該制御対象角を該上限値を超えない値に変更することを指示している場合、前記撮像装置のロー角を規定の値に変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
更に、前記撮像装置により撮像された画像を前記外部に対して出力する出力手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記出力手段は、前記制御手段によるロー角の変更中に、ロー角の変更中であることを示すメッセージを前記外部に対して出力することを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
外部から受信した制御コマンドに従って、撮像装置のパン角、チルト角、ロー角のうち少なくとも1つを制御可能な制御装置の制御方法であって、
前記制御装置の判断手段が、前記パン角、前記チルト角のうち少なくとも1つを制御対象角として制御するための制御コマンドを受信すると、前記撮像装置の制御対象角が変更可能か否かを判断する判断工程と、
前記制御装置の制御手段が、前記判断工程で変更不可能と判断した場合、前記制御対象角は変更することなく、前記撮像装置のロー角を規定量だけ変更する制御工程と
を備えることを特徴とする制御装置の制御方法。
【図1】
【図4】
【図5】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図4】
【図5】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−257124(P2012−257124A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129543(P2011−129543)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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