説明

制御装置、表示装置及び表示装置の制御方法

【課題】電気泳動表示装置の応答速度を向上させる。
【解決手段】CPU3は表示画像をVRAM4に保存する(ステップS1)。書き換え判断部201は、一の画素についてVRAM4と予定画像データ記憶領域7が一致するか判断する(ステップS2)。書き込み動作が進行中である場合(ステップS3;Yes)、書き込み動作が継続される(ステップS4)。書き込み動作が進行中でない場合(ステップS3;No)、VRAM4と予定画像データ記憶領域7の差分が算出され(ステップS5)、書き込み制御部204は、この差分を書き込み情報記憶領域6における複数の記憶領域に反映する(ステップS6)。そして予定画像データ記憶領域7が、書き込み情報記憶領域6に記憶された書き込み情報が全て反映された場合の予定の画像データで更新される(ステップS7)。その後、新規の書き込み動作が開始される(ステップS8)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、表示装置及び表示装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気泳動表示装置は、少なくとも一方が透明な一組の対向電極板間に、1つ又は複数の種類の電気泳動粒子と電気泳動分散媒とを含む電気泳動分散液を封止することにより構成される。2つの電極間に電圧を印加することにより電気泳動粒子が電気泳動分散媒中を移動し、その分布が変わることにより光学的反射特性が変化して情報の表示が可能となる。このとき、一方の側の電極を複数に分割された画素電極によって構成しておけば、各々の画素電極の電位を制御することにより、画素毎の粒子の分布に違いが生じ、画像を形成することができる。
【0003】
電気泳動表示装置は、表示状態を変えるのに比較的時間がかかるため、アクティブマトリクス型の電気泳動表示装置の表示を書き換える際には、複数フレームを用いて書き換えを行う技術が知られている。ここで、電気泳動表示装置の表示の書き換えにおいて、液晶表示装置などのように、一度全画面で書き込みを始めてしまうと、数フレームの間、新たな書き込みを始める事ができないため、見かけのレスポンスが低くなる。このような問題を解決する方法として、特許文献1等に記載されているように、部分領域の単位でパイプライン処理を行うことにより書き込みを行う方式が知られている。この方式によれば、画面上の互いに重ならない2つの部分領域に連続して画像を書き込む場合、先に書き込みを開始した部分領域の書き込み動作が完了していなくても、後から書き込みを開始する部分領域の書き込み動作を開始することができるため、表示速度が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−251615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載されているような方式の場合、部分領域同士が一部で重なってしまうと、後から書き込み開始した部分領域については、先に書き込み開始した部分領域の書き込み動作が完了するまで駆動を待機しなければならない。このため、表示速度が遅くなってしまう。あるいは、部分領域同士が重ならないように、ソフトウェアによって制御する方法もあるが、この場合ソフトウェアの開発が非常に煩雑になってしまう。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、電気泳動表示装置の体感的な応答速度を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明に係る表示装置の制御装置は、複数の走査線と、複数のデータ線と、複数の画素とを含む表示部を備え、各々の前記画素の表示状態を第1の表示状態から第2の表示状態へ変化させるための書き込みが、当該画素に対して駆動電圧を複数回印加する動作によって行われる表示装置の制御装置であって、前記複数の画素のうち一の画素に対して新規の書き込み指示が発生したか否かを判断する書き換え判断部と、前記新規の書き込み指示が発生したと判断された場合に、当該一の画素に対して書き込み動作が進行中か否かを判断する書き込み状態判断部と、前記書き込み状態判断部において、前記一の画素に対する書き込み動作が進行中ではないと判断された場合には、前記画素の表示状態を前記第1の表示状態から前記第2の表示状態へ変化させるときの駆動電圧の印加回数と同じ数の第1の記憶領域のそれぞれに、当該一の画素が駆動電圧の印加対象であることを識別する書き込み情報を保存し、各々の前記第1の記憶領域を順番に参照して、当該第1の記憶領域に保存されている前記書き込み情報に基づき前記一の画素に駆動電圧を複数回印加する一方、前記書き込み状態判断部において、前記一の画素に対して書き込み動作が進行中であると判断された場合には、進行中の書き込み動作を継続し、当該書き込み動作が終了した後、前記書き込み制御を行う書き込み制御部とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、画素の単位で書き込み動作が進行中か否かを判断し、書き込みが終了した画素から随時新規の書き込み動作を開始していくことができるので、画像の書き換えに比較的時間がかかる表示装置の場合でも、画像表示の応答速度を向上させることが可能となる。
【0008】
また、前記書き込み状態判断部では、参照した前記第1の記憶領域に、前記一の画素が駆動電圧の印加対象であることを識別する書き込み情報が保存されている場合には、当該一の画素に対して書き込み動作が進行中であると判断する構成としてもよい。
この構成によれば、書き込み動作が進行中か否かを容易に判断することが可能となる。
【0009】
また、入力された表示画像データに基づいて、前記表示部に表示させる表示画像の画素データを第2の記憶領域に保存する表示画像データ更新部と、進行中の書き込み動作によって前記表示部に表示される予定画像の画素データを第3の記憶領域に保存する予定画像データ更新部と、をさらに備え、前記予定画像データ更新部は、前記一の画素に対して前記新規の書き込み指示に基づく書き込みが開始されるタイミングで、前記一の画素の画素データを、前記第1の記憶領域に保存されている全ての前記書き込み情報に基づいて前記駆動電圧が印加された場合の前記予定画像の画素データに対応する画素データで更新し、前記書き換え判断部は、前記第2の記憶領域に保存されている前記表示画像の画素データと前記第3の記憶領域に保存されている前記予定画像の画素データとが異なる場合に、前記一の画素に対して前記新規の書き込み指示が発生したと判断する構成としてもよい。
この構成によれば、新規の書き込みが必要か否かを用意に判断することができる。また、表示画像データと予定画像データが一致している限り、新規の書き込みが必要な画素として検出されることがないので、不要な書き込み動作を排除することができる。
【0010】
また、前記第2の記憶領域に保存されている前記表示画像の画素データと前記第3の記憶領域に保存されている前記予定画像の画素データとが異なる場合には、当該表示画像の画素データと当該予定画像の画素データとに論理演算を施すことで、当該表示画像の画素データと当該予定画像の画素データとの差分である追加書き込み画像の画素データを算出し、当該追加書き込み画像の画素データを第4の記憶領域に保存する追加書き込み情報算出部をさらに備え、前記書き込み制御部は、前記第4の記憶領域に保存された前記追加書き込み画像の画素データに基づいて、前記第1の記憶領域に保存されている前記書き込み情報を更新する構成としてもよい。
この構成によれば、表示画像データに基づいて書き込みを行う画素データを簡易な処理で算出することができる。
【0011】
また、前記第1の記憶領域に保存されている前記書き込み情報は、前記一の画素の表示状態を第1の色を表示する状態から第2の色を表示する状態へ変化させるための書き込みであることを示す第1の書き込み情報と、前記一の画素の表示状態を前記第2の色を表示する状態から前記第1の色を表示する状態へ変化させるための書き込みであることを示す第2の書き込み情報と、を含む構成としてもよい。
この構成によれば、簡易な処理で書き込み情報を得ることができる。
【0012】
また、上記目的を達成するために本発明に係る表示装置は、複数の走査線と、複数のデータ線と、複数の画素とを含む表示部を備え、各々の前記画素の表示状態を第1の表示状態から第2の表示状態へ変化させるための書き込みが、当該画素に対して駆動電圧を複数回印加する動作によって行われる表示装置であって、前記複数の画素のうち一の画素に対して新規の書き込み指示が発生したか否かを判断する書き換え判断部と、前記新規の書き込み指示が発生したと判断された場合に、当該一の画素に対して書き込み動作が進行中か否かを判断する書き込み状態判断部と、前記書き込み状態判断工程において、前記一の画素に対する書き込み動作が進行中ではないと判断された場合には、前記画素の表示状態を前記第1の表示状態から前記第2の表示状態へ変化させるときの駆動電圧の印加回数と同じ数の第1の記憶領域のそれぞれに、当該一の画素が駆動電圧の印加対象であることを識別する書き込み情報を保存し、各々の前記第1の記憶領域を順番に参照して、当該第1の記憶領域に保存されている前記書き込み情報に基づき前記一の画素に駆動電圧を複数回印加する書き込み制御を行う一方、前記書き込み状態判断工程において、前記一の画素に対して書き込み動作が進行中であると判断された場合には、進行中の書き込み動作を継続し、当該書き込み動作が終了した後、前記書き込み制御を行う書き込み制御部とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、画素の単位で書き込み動作が進行中か否かを判断し、書き込みが終了した画素から随時新規の書き込み動作を開始していくことができるので、画像の書き換えに比較的時間がかかる表示装置の場合でも、画像表示の応答速度を向上させることが可能となる。
【0013】
また、前記書き込み状態判断部は、参照した前記第1の記憶領域に、前記一の画素が駆動電圧の印加対象であることを識別する書き込み情報が保存されている場合には、当該一の画素に対して書き込み動作が進行中であると判断する構成としてもよい。
この構成によれば、書き込み動作が進行中か否かを容易に判断することが可能となる。
【0014】
また、入力された表示画像データに基づいて、前記表示部に表示させる表示画像の画素データを第2の記憶領域に保存する表示画像データ更新部と、進行中の書き込み動作によって前記表示部に表示される予定画像の画素データを第3の記憶領域に保存する予定画像データ更新部と、をさらに備え、
前記予定画像データ更新部は、前記一の画素に対して前記新規の書き込み指示に基づく書き込みが開始されるタイミングで、前記一の画素の画素データを、前記第1の記憶領域に保存されている全ての前記書き込み情報に基づいて前記駆動電圧が印加された場合の前記予定画像の画素データに対応する画素データで更新し、前記書き換え判断部は、前記第2の記憶領域に保存されている前記表示画像の画素データと前記第3の記憶領域に保存されている前記予定画像の画素データとが異なる場合に、前記一の画素に対して前記新規の書き込み指示が発生したと判断する構成としてもよい。
この構成によれば、新規の書き込みが必要か否かを用意に判断することができる。また、表示画像データと予定画像データが一致している限り、新規の書き込みが必要な画素として検出されることがないので、不要な書き込み動作を排除することができる。
【0015】
また、前記第2の記憶領域に保存されている前記表示画像の画素データと前記第3の記憶領域に保存されている前記予定画像の画素データとが異なる場合には、当該表示画像の画素データと当該予定画像の画素データとに論理演算を施すことで、当該表示画像の画素データと当該予定画像の画素データとの差分である追加書き込み画像の画素データを算出し、当該追加書き込み画像の画素データを第4の記憶領域に保存する追加書き込み情報算出部をさらに備え、前記書き込み制御部は、前記第4の記憶領域に保存された前記追加書き込み画像の画素データに基づいて、前記第1の記憶領域に保存されている前記書き込み情報を更新する構成としてもよい。
この構成によれば、表示画像データに基づいて書き込みを行う画素データを簡易な処理で算出することができる。
【0016】
また、前記第1の記憶領域に保存されている前記書き込み情報は、前記一の画素の表示状態を第1の色を表示する状態から第2の色を表示する状態へ変化させるための書き込みであることを示す第1の書き込み情報と、前記一の画素の表示状態を前記第2の色を表示する状態から前記第1の色を表示する状態へ変化させるための書き込みであることを示す第2の書き込み情報と、を含む構成としてもよい。
この構成によれば、簡易な処理で書き込み情報を得ることができる。
【0017】
また、前記表示部は、メモリー性を有する表示素子を備えるものとすることができる。表示素子は、例えば電気泳動素子である。
【0018】
また、本発明に係る表示装置の制御方法は、複数の走査線と、複数のデータ線と、複数の画素とを含む表示部を備え、各々の前記画素の表示状態を第1の表示状態から第2の表示状態へ変化させるための書き込みが、当該画素に対して駆動電圧を複数回印加する動作によって行われる表示装置の制御方法であって、
前記複数の画素のうち一の画素に対して新規の書き込み指示が発生したか否かを判断する書き換え判断工程と、
前記新規の書き込み指示が発生した判断された場合に、当該一の画素に対して書き込み動作が進行中か否かを判断する書き込み状態判断工程と、
前記書き込み状態判断工程において、前記一の画素に対する書き込み動作が進行中ではないと判断された場合には、前記画素の表示状態を前記第1の表示状態から前記第2の表示状態へ変化させるときの駆動電圧の印加回数と同じ数の第1の記憶領域のそれぞれに、当該一の画素が駆動電圧の印加対象であることを識別する書き込み情報を保存し、各々の前記第1の記憶領域を順番に参照して当該第1の記憶領域に保存されている前記書き込み情報に基づき、前記一の画素に駆動電圧を複数回印加する書き込み制御を行う一方、前記書き込み状態判断工程において、前記一の画素に対して書き込み動作が進行中であると判断された場合には、進行中の書き込み動作を継続し、当該書き込み動作が終了した後、前記書き込み制御を行う書き込み制御工程とを備えたものである。
これにより、画素の単位で書き込み動作が進行中か否かを判断し、書き込みが終了した画素から随時新規の書き込み動作を開始していくことができるので、画像の書き換えに比較的時間がかかる表示装置の場合でも、画像表示の応答速度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態による電気泳動表示装置100の構成を示すブロック図である。
【図2】表示部1の断面を示す図である。
【図3】表示部1の回路構成を概略的に説明する図である。
【図4】各画素駆動回路の構成を説明する図である。
【図5】コントローラー2の詳細な構成を示すブロック図である。
【図6】電気泳動表示装置100の概略動作を説明するフローチャートである。
【図7】電気泳動表示装置100の動作を説明する図である。
【図8】電気泳動表示装置100の動作を説明する図である。
【図9】電気泳動表示装置100の動作を説明する図である。
【図10】電気泳動表示装置100の動作を説明する図である。
【図11】電気泳動表示装置100の動作を説明する図である。
【図12】電気泳動表示装置100の動作を説明する図である。
【図13】電気泳動表示装置100の動作を説明する図である。
【図14】電気泳動表示装置100の動作を説明する図である。
【図15】電気泳動表示装置100の動作を説明する図である。
【図16】(A)〜(C)は本発明の表示装置の適用例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態による電気泳動表示装置(表示装置)100の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、電気泳動表示装置100は、表示部1、コントローラー(制御装置)2、CPU(Central Processing Unit)(表示画像データ更新部)3、VRAM(Video RAM)(第2の記憶領域)4、RAM(Random Access Memory)(第1の記憶領域、第3の記憶領域、第4の記憶領域)5を備えている。
【0021】
表示部1は、メモリー性を有する表示素子を有しており、書き込みを行わない状態においても表示状態が維持される表示デバイスである。本実施形態では、表示部1は、メモリー性を有する表示素子として電気泳動素子を備える、電気泳動方式による画像表示デバイスであり、複数の走査線と、複数のデータ線と、複数の画素とを含む。各々の画素の表示状態を例えば黒(第1の表示状態)から白(第2の表示状態)へ変化させる場合、各画素に対して複数回(本実施形態では4回)の駆動電圧の印加動作が必要とされる。白(第1の表示状態)から黒(第2の表示状態)へ変化させる場合も同様に、各画素に対して複数回(本実施形態では4回)の駆動電圧の印加動作が必要とされる。コントローラー2は、表示部1に表示させる画像を示す画像信号やその他各種信号(クロック信号等)を出力することによって表示部1を制御する。CPU3は、電気泳動表示装置100の動作を制御するプロセッサーであり、特に、表示部1に表示させる画像データをVRAM4に記憶させる。VRAM(第2の記憶領域)4は、フレームバッファーであり、CPU3の制御に基づいて、表示部1に表示する画像データを記憶する。ここで画像データとは、表示部1における、全ての画素の集合からなる画像を表すデータを指す。また、後述する各記憶領域においても、便宜上、一の画素に対応するデータではなく、画素全ての集合に対応するデータに対して、画像データという呼称を用いる。
【0022】
RAM5は、書き込み情報記憶領域(第1の記憶領域)6、予定画像データ記憶領域(第3の記憶領域)7及び追加書き込み情報記憶領域(第4の記憶領域)8を含む。書き込み情報記憶領域6は、各々の画素の表示状態を変化させるのに必要な駆動電圧の印加回数と同じ数だけ用意されており、VRAM4に記憶されている画像データに基づいて行われる書き込みの内容を記憶する。コントローラー2は、各々の書き込み情報記憶領域6を順番に参照し、参照した書き込み情報記憶領域6に記憶されている内容に基づき、表示部1の各画素に対する駆動電圧の印加を行う。予定画像データ記憶領域7には、書き込み情報記憶領域6に記憶された内容に基づいて各々の画素に対して行われる書き込みが完了したときに表示部1に表示される予定の画像データ(予定画像データという)が記憶される。追加書き込み情報記憶領域8には、VRAM4に記憶されている画像データと予定画像データ記憶領域7に記憶されている画像データとの差分から、コントローラー2によって算出される画像データであって、この差分が算出された以後に追加で書き込みが行われる画像データが記憶される。なお以降の説明では、画素毎あるいは画素に対応する記憶領域毎に、各記憶領域に記憶されているデータの事を、画素データと呼ぶ。
【0023】
表示部1の詳しい構成について、図2〜4を用いて説明する。
図2は、表示部1の断面を示す図である。図に示されるように、表示部1は、大別して第1基板10、電気泳動層20、第2基板30によって構成される。第1基板10は、電気回路を形成する絶縁性下地基板としての可撓性基板11上に薄膜半導体回路層12が形成されたものである。可撓性基板11は、例えばポリカーボネート基板である。この可撓性基板11上に、接着層11aを介して薄膜半導体回路層12が積層されている。可撓性基板11の材料としては、軽量性、可撓性、弾性などに優れた樹脂材料を用いることができる。なお、可撓性基板11に代えて、可撓性をもたないガラス基板等を用いてもよい。この場合は、基板上に接着層を介さず直接薄膜半導体回路層12が形成される。
【0024】
薄膜半導体回路層12は、行方向及び列方向にそれぞれ複数配列された配線群、画素電極群、画素駆動回路、接続端子、駆動画素を選択する行デコーダー51及び列デコーダー(図示せず)、等を含んで構成されている。画素駆動回路は、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)等の回路素子を含んで構成されている。画素電極群は、マトリクス状に配列された複数の画素電極13aを含んでおり、画像表示領域を形成する。薄膜半導体回路層12には、各画素電極13aに個別の駆動電圧が印加できるようなアクティブマトリクス回路が形成されている。接続電極14は、第2基板30の透明電極層32と第1基板10の回路配線とを電気的に接続するためのものであり、薄膜半導体回路層12の外周部に形成されている。
【0025】
電気泳動層20は、画素電極13a上及びその外周領域に渡って形成されている。電気泳動層20は、バインダー22によって固定された多数のマイクロカプセル21を含んで構成されている。マイクロカプセル21内には電気泳動分散媒、電気泳動粒子が含まれている。バインダー22によって固定されたマイクロカプセル21と、画素電極13aとの間に、さらに接着層が設けられていてもよい。電気泳動粒子は印加電圧に応じて電気泳動分散媒中を移動する性質を有し、1種類以上(ここでは2種類)の電気泳動粒子が使用される。電気泳動層20は、上述のマイクロカプセル21をバインダー22中に所望の誘電率調節剤とともに混合し、得られた樹脂組成物の基材上に公知のコーティング法を用いて形成することができる。
【0026】
ここで、電気泳動分散媒としては、例えば、水、メタノール等のアルコール系溶媒の他、各種エステル類や種々の油類等の単独又はこれらの混合物に界面活性剤等を配合したものを用いることができる。電気泳動粒子は、前述したように、電気泳動分散媒中で電位差による電気泳動を行って所望の電極側に移動する性質を有する粒子(高分子あるいはコロイド)である。電気泳動粒子には、例えば、アニリンブラックやカーボンブラック等の黒色顔料、二酸化チタンや酸化アルミニウム等の白色顔料の他、黄色顔料、赤色顔料、青色顔料等を用いることができる。これらの粒子は単独で使用しても良いし、二種類以上を共に用いても良い。本実施形態では、電気泳動粒子として、正電荷を有する黒色粒子と、負電荷を有する白色粒子とを用いている。もちろん、負電荷を有する黒色粒子と、正電荷を有する白色粒子とを用いることもできる。
【0027】
マイクロカプセル21を構成する材料としては、アラビアゴム・ゼラチン系の化合物やウレタン系の化合物等の柔軟性を有するものを用いるのが好ましい。バインダー22としては、マイクロカプセル21と親和性が良好で電極との密着性に優れ、かつ絶縁性を有するものであれば、特に制限はない。
【0028】
第2基板30は、下面に透明電極層32が形成された薄膜フイルム31からなり、電気泳動層20上を覆うように形成されている。透明電極層32は、複数の画素電極13aに対向する共通電極である。薄膜フイルム31は、電気泳動層20の封止及び保護の役割を担うものであり、例えばポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethylene terephthalate)フイルムを用いて構成される。薄膜フイルム31は、絶縁性の透明材により形成される。透明電極層32は、例えば、錫がドープされた酸化インジウム膜(ITO:Indium Tin Oxide膜)などの透明導電膜を用いて構成されている。第1基板10の回路配線と第2基板30の透明電極層32とは、電気泳動層20の形成領域の外側にて接続されている。具体的には、透明電極層32と薄膜半導体回路層12の接続電極14とが導電性接続体23を介して接続される。
【0029】
図3は、表示部1の回路構成を概略的に説明する図である。
コントローラー2は、表示領域55に表示させる画像を示す画像信号、画像書き換え時のリセットを行うためのリセットデータ、その他各種信号(クロック信号等)を生成し、走査線駆動回路53又はデータ線駆動回路54へ出力する。表示領域55は、X方向に沿って平行に配列された複数本のデータ線と、Y方向に沿って平行に配列された複数本の走査線と、これらのデータ線と走査線の各交点に配置される画素駆動回路とを備えている。
【0030】
図4は、各画素駆動回路の構成を説明する図である。画素駆動回路では、トランジスタ61のゲートが走査線64に接続され、ソースがデータ線65に接続され、ドレインが画素電極13aに接続されている。保持容量63は、電気泳動素子と並列に接続されている。データ線65は、各画素駆動回路に含まれる画素電極13aと透明電極層32に駆動電圧を印加することで、電気泳動層20の電気泳動粒子を泳動させる。そしてこの結果として、表示部1に画像が表示される。
【0031】
走査線駆動回路53は、表示領域55の各走査線と接続されており、これらの走査線のいずれかを選択して、当該選択した走査線に所定の走査線信号Y1、Y2…Ymを供給する。この走査線信号Y1、Y2…Ymは、アクティブ期間(Hレベル期間)が順次シフトする信号となっており、各走査線に出力されることにより、各走査線に接続された画素駆動回路が順次オン状態とされる。データ線駆動回路54は、表示領域55の各データ線と接続されており、走査線駆動回路53によって選択された各画素駆動回路に対してデータ信号X1、X2…Xnを供給する。選択状態となっている走査線64に接続された画素には、データ線65からトランジスタ61を介してデータ信号が供給される。画素に含まれる保持容量63には、画素に供給されたデータ信号に応じて電荷が蓄積され、画素電極13aの電位は、当該電荷に応じた電位となる。この画素電極13aの電位と、透明電極層32の電位との電位差(電圧)に応じて電気泳動粒子が両電極間を移動し、画素の表示状態が例えば黒から白、白から黒へと変化する。より詳しくは、本実施形態では、電気泳動粒子として、正電荷を有する黒色粒子と負電荷を有する白色粒子とが用いられているため、画素電極13aの電位が透明電極層32の電位より高い場合には、黒色粒子が透明電極層32側へ移動し、白色粒子が画素電極13a側へ移動する。また、画素電極13aの電位が透明電極層32の電位より低い場合には、黒色粒子が画素電極13a側へ移動し、白色粒子が透明電極層32側へ移動する。走査線駆動回路53が、各走査線64を1回ずつ選択する期間を「フレーム期間」と呼ぶ(又は単に「フレーム」とも呼ぶ)。したがって、各走査線64は、1フレームに1回ずつ選択され、各画素には、1フレームに1回ずつデータ信号が供給される。
【0032】
また、各画素の表示状態を白から黒又は黒から白へ変化させる際には、コントローラー2は、1フレームだけで画素駆動回路を駆動して表示状態を変化させるのではなく、複数フレーム(本実施形態では4フレーム)に渡って画素駆動回路を駆動して表示状態を変化させる。これは、表示状態を白から黒へ変化させるに際し、1フレームだけ電気泳動粒子に電位差を与えても黒の電気泳動粒子が完全には表示側に移動しきらず、表示状態が完全な黒とはならないためである。このことは、表示状態を黒から白へ変化させる場合の白の電気泳動粒子についても同様である。よって、例えば、画素の表示状態を白から黒へ変化させる場合、画素に黒を表示させるためのデータ信号が複数フレームに渡って画素駆動回路へ供給され、画素の表示状態を黒から白へ変化させる場合には、画素に白を表示させるためのデータ信号が複数フレームに渡って供給される。
【0033】
図5は、コントローラー2の機能的な構成を示すブロック図である。図5に示すように、コントローラー2は、書き込み状態判断部202、書き換え判断部201、追加書き込み情報算出部203、書き込み制御部204、予定画像データ更新部205、及び処理対象判定部206を備えている。書き込み状態判断部202、書き換え判断部201、追加書き込み情報算出部203、書き込み制御部204、予定画像データ更新部205、及び処理対象判定部206は、コントローラー2のプロセッサーにおいてプログラムが実行されることにより実現される機能ブロックに対応する。
【0034】
書き換え判断部201は、一の画素に対して新規の書き込み指示が発生したか否かを判断する。詳しくは、書き換え判断部201は、一の画素について、VRAM4に記憶されている表示画像の画素データと、予定画像データ記憶領域7に記憶されている予定画像の画素データとを比較する。そして書き換え判断部201は、比較の結果から予定画像データ記憶領域7を更新する必要があるか否か、また、画素に対して新規の書き込みが発生するか否かを判断する(書き換え判断工程)。ここで、VRAM4に記憶されている表示画像の画素データが最新の情報であるから、表示画像の画素データと予定画像の画素データとが一致しないという場合は、それまでの予定画像とは異なる内容の画像の表示が指示されたことを意味する。つまり、表示画像の画素データと予定画像の画素データとが一致しない場合は、画素に対して新規の書き込み指示が発生している状態、換言すれば画素に対して新規の書き込みが発生する状態であり、そのため、予定画像データ記憶領域7の内容も更新する必要があるということになる。
【0035】
書き込み状態判断部202は、一の画素について、書き込み情報記憶領域6に記憶されている書き込みの内容を参照し、書き込み動作が進行中か否か判断する(書き込み状態判断工程)。追加書き込み情報算出部203は、書き換え判断工程において予定画像データ記憶領域7を更新する必要があると判断された場合、VRAM4に記憶されている表示画像の画素データと、予定画像データ記憶領域7に記憶されている予定画像の画素データとの差分を算出し、この算出した差分に基づく画素データを、追加書き込み情報記憶領域8に記憶させる(追加書き込み情報算出工程)。
【0036】
書き込み制御部204は、書き込み状態判断部202の判断結果に基づいて、書き込み動作の開始、進行中の書き込み動作の継続、及び画素が駆動電圧の印加対象であることを示す情報を登録する処理を制御する(書き込み制御工程)。予定画像データ更新部205は、予定画像データ記憶領域7に記憶されている予定画像データを、書き込み情報記憶領域6に記憶されている書き込みの内容に従って書き込み制御部204が書き込みを全て終えた場合の画像データで更新する(予定画像データ更新工程)。処理対象判定部206は、複数の書き込み情報記憶領域6のうち、各々の駆動電圧の印加時期においてどの記憶領域を参照すればよいかを判定する。
【0037】
次に、書き込み情報記憶領域6について詳細を説明する。
書き込み情報記憶領域6は、4つ用意されており、この数は、画素の表示状態を黒から白、又は白から黒へ変化させるのに必要な駆動電圧の印加回数に相当する。4つの書き込み情報記憶領域6の各々には、各画素が駆動電圧の印加対象であるか否かを識別するフラグ情報が記憶されている。例えば、駆動電圧の印加対象である場合は、フラグ情報がON(第1のデータ)であり、駆動電圧の印加対象でない場合は、フラグ情報がOFF(第2のデータ)である。さらに、書き込み情報記憶領域6において、このフラグ情報に、各画素の表示状態を黒から白へ変化させるための駆動電圧の印加であるか、及び、各画素の表示状態を白から黒へ変化させるための駆動電圧の印加であるか、という情報が対応付けられて記憶されている。一の画素が駆動電圧の印加対象である場合には、その画素に対する書き込み動作が進行中であることを意味し、一の画素が駆動電圧の印加対象でない場合には、その画素に対する書き込み動作が進行中でないことを意味している。よって、この書き込み情報記憶領域6には、各画素の表示状態を変化させるための書き込み動作が進行中か否かを示す書き込み情報が記憶されていることになる。以下では、画素が駆動電圧の印加対象であるか否かを識別するフラグ情報と、その駆動電圧の印加が画素の表示状態を黒から白へ変化させるためであることを意味する情報とを合わせて、第1の書き込み情報という。また、画素が駆動電圧の印加対象であるか否かを識別するフラグ情報と、その駆動電圧の印加が画素の表示状態を白から黒へ変化させるためであることを意味する情報とを合わせて、第2の書き込み情報という。そして、これらの第1の書き込み情報及び第2の書き込み情報を総称して、書き込み情報と呼ぶ。本実施形態においては、第1の色を黒とし、第2の色を白としているが、色の種類はこれに限ったものではない。本実施形態では、電気泳動粒子として、正電荷を有する黒色粒子と負電荷を有する白色粒子とが用いられているため、第1の書き込み情報に基づく書き込みは、画素電極13aに対して、透明電極層32の電位より低い電位を与えることにより行われる。また、第2の書き込み情報に基づく書き込みは、画素電極13aに対して、透明電極層32の電位より高い電位を与えることにより行われる。
【0038】
ここで、書き込み情報記憶領域6が、画素の表示状態を変化させるのに必要な駆動電圧の印加回数と同じ数だけ用意されている理由は、以下のとおりである。
画素の表示状態を例えば白から黒へ変化させるための書き込み動作は、その画素に対し黒を表示するためのデータ信号を4回供給する動作(つまり、その画素に駆動電圧を4回印加する動作)を含む。すなわち、画素の表示状態を例えば白から黒へ変化させるための書き込み動作は、4つのフレーム期間を含んでいる。この4つのフレーム期間の各々に対応して、書き込み情報記憶領域6が用意されている。書き込み制御部204は、データ信号の供給時期(画素への駆動電圧の印加時期)のたびに、各々の書き込み情報記憶領域6を順番に参照していき、参照した書き込み情報記憶領域6に記憶されている内容に基づき、各画素に対するデータ信号の供給を行う。具体的には、4つの書き込み情報記憶領域6のうち、最初のフレーム期間にて参照すべき書き込み情報記憶領域6において、或る画素のフラグ情報がONであり、かつ、その画素の表示状態を白から黒へ変化させる場合には、書き込み制御部204は、その画素に対して黒を表示するためのデータ信号を供給する。そして、その次のフレーム期間にて参照すべき書き込み情報記憶領域6において、上記の或る画素のフラグ情報がONであり、かつ、その画素の表示状態を白から黒へ変化させる場合には、書き込み制御部204は、その画素に対して黒を表示するためのデータ信号を再度供給する。このようにして、4つのフレーム期間に対応する4つの書き込み情報記憶領域6に対する参照が終わると、参照対象は、再び、最初の書き込み情報記憶領域6となる。このように、1つの書き込み情報記憶領域6は、前述した1つのフレーム期間に対応している。
【0039】
次に、電気泳動表示装置100の概略動作について図6のフローチャートを用いて説明する。
CPU3は、表示部1に表示させる表示画像データをVRAM4に記憶させる(ステップS1:表示画像データ更新工程)。このステップS1におけるCPU3が行う処理は、コントローラー2が行う処理とは非同期かつランダムに発生する。ステップS2において書き換え判断部201は、一の画素について、VRAM4に記憶されている表示画像の画素データと予定画像データ記憶領域7に記憶されている予定画像の画素データとを比較する(書き換え判断工程)。両者が同一である場合には(ステップS2;YES)、書き込み制御部204が、書き込み情報記憶領域6に記憶された書き込み内容に基づいて書き込み動作を開始し(ステップS8:書き込み制御工程)、ステップS9へ進む。一方、両者が異なる場合には(ステップS2;NO)、書き込み状態判断部202は、参照対象である書き込み情報記憶領域6に記憶されている第1及び第2の書き込み情報を参照し、該当する画素データにおいて書き込み動作が進行中か否かを判断する(ステップS3:書き込み状態判断工程)。書き込み動作が進行中であれば(ステップS3;Yes)、書き込み制御部204は進行中の書き込み動作を継続し(ステップS4:書き込み制御工程)、ステップS9に進む。
【0040】
一方、該当する画素データにおいて書き込み動作が進行中でなければ(ステップS3;No)、追加書き込み情報算出部203が、VRAM4に記憶されている表示画像の画素データと予定画像データ記憶領域7に記憶されている予定画像の画素データとの差分を算出し、この差分に基づく画素データを追加書き込み情報記憶領域8に記憶させる(ステップS5:追加書き込み情報算出工程)。ステップS5の後、書き込み制御部204は、追加書き込み情報記憶領域8に記憶された画素データに基づいて、書き込み情報記憶領域6において対象の画素に対する書き込み情報を登録する(ステップS6:書き込み制御工程)。次に、予定画像データ更新部205が、予定画像データ記憶領域7に保存されている予定画像データを、書き込み情報記憶領域6に記憶されている書き込みの内容に従って、書き込み制御部204が書き込みを全て終えた場合の予定画像の画素データで更新する(ステップS7:予定画像データ更新工程)。そして、書き込み制御部204が、書き込み情報記憶領域6に記憶された書き込みの内容に基づいて書き込み動作を開始し(ステップS8:書き込み制御工程)、その後ステップS9に進む。
【0041】
ステップS9で、処理対象判定部206は、現時点で参照対象の書き込み情報記憶領域6において、駆動電圧の印加対象である画素がさらに存在するかを判断する(ステップS9)。現時点で処理対象のフレームにおいて、駆動電圧の印加対象である画素がさらに存在する場合(ステップS9;Yes)、処理対象判定部206は、同一の書き込み情報記憶領域6において処理対象の画素を次の画素に進めて(ステップS10)、ステップS2の処理に戻る。一方、現時点で参照対象の書き込み情報記憶領域6において、駆動電圧の印加対象である画素データが存在しない場合(ステップS9;No)、処理対象判定部206は、現在の書き込み情報記憶領域6に従った画像信号等を表示部1に送信し(ステップS11)、参照対象の書き込み情報記憶領域6を次の書き込み情報記憶領域6に進める(ステップS12)。
【0042】
次に、図7〜図15を参照して、電気泳動表示装置100の動作について具体例を用いて説明する。図7〜図15において、表示画像Aは、表示部1に現時点で実際に表示されている画像の状態を示している。Pij(iは行番号、jは列番号を表す。)は一画素を示している。各画素Pijにおいては、0(黒)から4(白)の5段階で表される階調が、数字を用いて表現されている。
【0043】
前述したように、本実施形態では、白から黒又は黒から白への変化に4フレームを必要とする。従って、書き込み情報記憶領域6は、各フレームに対応した計4つの書き込み情報記憶領域6A〜6Dからなる。書き込み情報記憶領域6A〜6Dに付された番号(1)、(2)、(3)、(4)は、参照される順番を表す。VRAM4、及び予定画像データ記憶領域7には、表示部1の画素Pijに対応する画素データが記憶される記憶領域Mijが設けられている。VRAM4の記憶領域Mijに記憶されている画素データには、表示画像の各画素の階調が含まれている。また、予定画像データ記憶領域7の記憶領域Mijに記憶されている画素データには、予定画像の各画素の階調が含まれている。書き込み情報記憶領域6A〜6Dには、表示部1の画素Pijに対応する前述の書き込み情報が記憶される記憶領域Mijが設けられている。
【0044】
コントローラー2は、VRAM4に記憶された画像データに基づき、表示状態を変化させるべき画素について、書き込み情報記憶領域6A、書き込み情報記憶領域6B、書き込み情報記憶領域6C,書き込み情報記憶領域6Dという順で、その記憶領域Mijに書き込み情報として「1」を記憶させる。書き込み情報記憶領域6Dに記憶された書き込み情報に基づき表示部1の画素Pijに対する書き込みがなされると、先頭に戻って、書き込み情報記憶領域6Aが書き込み情報の記録エリアとなる。図に示した「1」は、駆動電圧の印加対象であることを意味するフラグ情報「ON」のことである(図8〜図15において同じ)。図7の例では、画素Pij(ij=11,12,21,22)は白から黒へ書き換えるため、書き込み情報記憶領域6A〜6Dの記憶領域Mij(ij=11,12,21,22)には、「1」が記憶されている。この場合、白から黒への書き換えであるため、記憶領域Mij(ij=11,12,21,22)に記憶されている書き込み情報は、前述した第2の書き込み情報に相当する。
【0045】
図8は、図7の状態から1フレーム分の書き込み動作が終了した状態を表している。図8では、図7における書き込み情報記憶領域6Aの書き込み内容が、画素Pij(ij=11,12,21,22)に反映された状態となっている。
【0046】
図9は、図7の状態から2フレーム分の書き込み動作が終了した状態を表している。すなわち、図8における書き込み情報記憶領域6Bの書き込み内容が、画素Pij(ij=11,12,21,22)に反映された状態を表している。このタイミングで、CPU3によりVRAM4に記憶された画像データが図9に示すように更新されており、VRAM4に記憶された画像データと予定画像データ記憶領域7に記憶された画像データとに差異が生じた状態となった場合を考える。
【0047】
図9において、書き換え判断部201は、各画素Pijについて、VRAM4の記憶領域Mijの各々に記憶されている画素データと予定画像データ記憶領域7の記憶領域Mijの各々に記憶されている画素データとを比較する。その結果、書き換え判断部201は、記憶領域Mij(ij=11,12,33,43)については両者が異なると判断し、その他の記憶領域については同一と判断する(書き換え判断工程)。次に、書き込み状態判断部202が、各画素Pijについて、書き込み情報記憶領域6A〜6Dに記憶された記憶領域Mijの各々における書き込み情報を参照する。その結果、書き込み状態判断部202は、画素Pij(ij=11,12,21,22)については書き込み動作が進行中であり、その他の画素については書き込み動作が進行中ではない、と判断する(書き込み状態判断工程)。これにより、書き込み動作が進行中の画素Pij(ij=11,12,21,22)については、書き込み制御部204によって現在進行中の書き込み動作が継続される(書き込み制御工程)。
【0048】
次に、追加書き込み情報算出部203が、書き換え判断工程における上述の比較に基づいて、VRAM4の記憶領域Mijの各々に記憶されている画素データと予定画像データ記憶領域7の記憶領域Mijの各々に記憶されている画素データとの差分を算出し、この算出した差分に基づく画素データを、追加書き込み情報記憶領域8に記憶させる(追加書き込み情報算出工程)。
【0049】
追加書き込み情報算出部203が、VRAM4の記憶領域Mijの各々に記憶されている画素データと予定画像データ記憶領域7の記憶領域Mijの各々に記憶されている画素データとを比較して、両者の差分を算出する方法としては、例えば以下のようなものがある。追加書き込み情報算出部203は、VRAM4に記憶された画像データと予定画像データ記憶領域7に記憶された画像データとにおける各々の画素データにおいて、黒を0として、また、白を1として認識する。そして追加書き込み情報算出部203は、以下の式(a)によって、両者の差分を算出する。
差分 =VRAM4に記憶された画像データ XOR 予定画像データ記憶領域7に記憶された画像データ・・・(a)
図9に示すように、追加書き込み情報算出部203は、算出した差分の画素データを、追加書き込み情報記憶領域8に記憶させる。
【0050】
書き込み制御部204は、追加書き込み情報記憶領域8が記憶する画像データに基づいて、書き込み情報記憶領域6の内容を更新する(書き込み制御工程)。具体的には、画素Pij(ij=33,43)については、白から黒への書き換えが行われる必要があるため、書き込み制御部204は、書き込み情報記憶領域6A〜6Dにおける記憶領域Mij(ij=33,43)の各々に対し、第2の書き込み情報として、白から黒へ変化させる駆動電圧の印加対象であることを意味する情報を登録する。また、画素Pij(ij=11,21)については、黒から白への書き換えが行われる必要があるが、書き込み状態判断部202によって画素Pij(ij=11,21)は書き込み動作が進行中であると判断されているため、この時点では、書き込み情報記憶領域6において画素Pij(ij=11,21)に該当する記憶領域Mij(ij=11,21)が更新されることはない。
【0051】
次に、予定画像データ更新部205が、予定画像データ記憶領域7の記憶領域Mijを、書き込み情報記憶領域6に記憶されている書き込みの内容に従って書き込み制御部204が書き込みを全て終えた場合の画素データで更新する(予定画像データ更新工程)。こうした書き込み制御工程及び予定画像データ更新工程の結果、書き込み情報記憶領域6A〜6D及び予定画像データ記憶領域7は、図10に示す状態となる。
【0052】
図10において、書き込み制御部204は、更新後の書き込み情報記憶領域6Cの情報に従って、画素Pij(ij=11,12,21,22)については進行中の書き込み動作を継続し、画素Pij(ij=33,43)については新規の書き込み動作を開始する(書き込み制御工程)。このように、VRAM4に記憶されている画像データが、図8の状態から図9,10の状態に書き換えられた場合に、図8のVRAM4の画像データに基づく画素Pij(ij=11,12,21,22)についての書き込み動作が継続中であっても、図9,10のVRAM4の画像データに基づく書き込みを一部の画素(画素Pij=(33,43))において開始することができる。これにより、体感的な応答速度を向上させることができる。
【0053】
図11は、図10の状態から2フレーム分の書き込み動作が終了した時点の状態を示している。図に示すように、画素Pij(ij=11,12,21,22)については白から黒への書き込み動作が終了しており、画素Pij(ij=33,43)については白から黒への書き込み動作が進行中である。また、図11においては、書き込み制御部204が、追加書き込み情報記憶領域8が記憶する画素データに基づいて、書き込み情報記憶領域6を更新済みである。具体的には、画素Pij(ij=11,21)について黒から白への書き込みが行われる必要があるため、書き込み制御部204は、書き込み情報記憶領域6A〜6Dにおける記憶領域Mij(ij=11,21)の各々に対して、第1の書き込み情報を登録する。
【0054】
図12は、図11の状態から3フレーム分の書き込み動作が終了した時点の状態を示している。図に示すように、画素Pij(ij=33,43)について書き込み動作が終了している。このタイミングで、CPU3によりVRAM4が図に示すように更新されており、VRAM4に記憶された画像データと予定画像データ記憶領域7に記憶された画像データとに差異が生じた状態となった場合を考える。
【0055】
図12において、書き込み状態判断部202は、各画素Pijについて、書き込み情報記憶領域6A〜6Dに記憶された記憶領域Mijの各々における書き込み情報を参照する。その結果、画素Pij(ij=11,21)については書き込み動作進行中、その他の画素については進行中ではないと判断される(書き込み状態判断工程)。これにより、書き込み動作が進行中の画素Pij(ij=11,21)については、書き込み制御部204によって現在進行中の書き込み動作が継続される(書き込み制御工程)。
【0056】
また、図12において、書き換え判断部201は、各画素Pijについて、VRAM4の記憶領域Mijに記憶されている画素データと予定画像データ記憶領域7の記憶領域Mijに記憶されている画素データとを比較する。その結果、書き換え判断部201は、画素Pij(ij=12,21,31)については両者が異なると判断し、その他の画素については同一と判断する(書き換え判断工程)。次に、書き込み状態判断部202が、各画素Pijについて、書き込み情報記憶領域6A〜6Dに記憶された記憶領域Mijの各々における書き込み情報を参照する。その結果、書き込み状態判断部202は、画素Pij(ij=11,21)については書き込み動作進行中、その他の画素については進行中ではないと判断する(書き込み状態判断工程)。次に、書き換え判断工程における上述した比較の結果に基づいて、追加書き込み情報算出部203は、VRAM4の記憶領域Mijに記憶されている画像データと予定画像データ記憶領域7の記憶領域Mijに記憶されている画像データとの差分を算出し、この算出した差分に基づく画像データを、追加書き込み情報記憶領域8に記憶させる。
【0057】
書き込み制御部204は、追加書き込み情報記憶領域8が記憶する画像データに基づいて、書き込み情報記憶領域6を更新する(書き込み制御工程)。具体的には、画素Pij(ij=12)については、黒から白への書き換えが行われる必要があるため、書き込み制御部204は、書き込み情報記憶領域6A〜6Dにおける記憶領域Mij(ij=12)の各々に対して、第1の書き込み情報を登録する。そして、画素Pij(ij=31)については、白から黒への書き換えが行われる必要があるため、書き込み制御部204は、書き込み情報記憶領域6A〜6Dにおける記憶領域Mij(ij=31)の各々に対して、第2の書き込み情報を登録する。また、画素Pij(ij=21)については、白から黒への書き換えが行われる必要があるが、書き込み状態判断部202によって画素Pij(ij=21)は書き込み動作が進行中であると判断されているため、ここでは、書き込み情報記憶領域6において画素Pij(ij=21)に該当する記憶領域Mij(ij=21))が更新されることはない。
【0058】
次に、予定画像データ更新部205が、予定画像データ記憶領域7の記憶領域Mijを、書き込み情報記憶領域6に記憶されている書き込みの内容に従って書き込み制御部204が書き込みを全て終えた場合の画素データで更新する(予定画像データ更新工程)。この結果、書き込み情報記憶領域6A〜6D及び予定画像データ記憶領域7は、図13に示す状態となる。
【0059】
図13において、書き込み制御部204は、更新後の書き込み情報記憶領域6Dの情報に従って、画素Pij(ij=11,21)については進行中の書き込み動作を継続し、画素Pij(ij=12,31)については新規の書き込み動作を開始する(書き込み制御工程)。
【0060】
図14は、図13の状態から1フレーム分の書き込み動作が終了した時点の状態を示している。図に示すように、画素Pij(ij=11,21)については黒から白への書き込み動作が終了しており、画素Pij(ij=12)については黒から白への書き込み動作が進行中である。また、図14においては、書き込み制御部204が、追加書き込み情報記憶領域8が記憶する画像データに基づいて、書き込み情報記憶領域6を更新済みである。具体的には、画素Pij(ij=21)について白から黒への書き込みが行われる必要があるため、書き込み制御部204は、書き込み情報記憶領域6A〜6Dにおける記憶領域Mij(ij=21)の各々に対して、第2の書き込み情報を登録する(書き込み制御工程)。また、予定画像データ更新部205が、更新された書き込み情報記憶領域6の内容に基づいて、予定画像データ記憶領域7における予定画像データを、書き込み情報記憶領域6に記憶されている書き込みの内容に従って書き込み制御部204が書き込みを全て終えた場合の画素データで更新している(予定画像データ更新工程)。
【0061】
図15は、図14の状態から4フレーム分の書き込み動作が終了した時点の状態を示している。図に示すように、全ての書き込み動作が終了しており、表示画像Aにおける画像データは、VRAM4が記憶する画像データと同一のものとなっている。
【0062】
以上のように、本実施形態によれば、画素の単位で書き込み動作が進行中か否かを判断し、書き込みが終了した画素から随時新規の書き込み動作を開始していくようにしたので、画像の書き換えに比較的時間がかかる電気泳動表示装置において、画像表示の体感的な応答速度を向上させることができる。
また、従来の複数の画素を含む部分領域の単位で書き込み動作を行う方式の場合、部分領域同士が一部で重なってしまうと、後から書き込み開始した部分領域については、先に書き込み開始した部分領域の書き込み動作が完了するまで駆動を待機しなければならないが、本実施形態によれば、後から書き込み開始した部分領域についても、先に書き込み開始した部分領域と重なっていない部分の画素についてはすぐに書き込み動作を開始することができる。すなわち、例えば複数の図形が重なるような表示でも、後から書き込みを開始した部分の少なくとも一部は、先の書き込みの終了を待たずに書き込みが開始されるため、体感的な応答速度を向上させることができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、CPU3はVRAM4に画像データを書き込むだけでよく、コントローラー2が表示部1の表示動作を制御するので、電気泳動表示装置用のアプリケーション開発者は、従来よりも効率よくアプリケーションを作成することができる。具体的には、従来の電気泳動表示装置用コントローラーのように書き込み領域の指定や描画開始命令を行うことなく、液晶やCRT(Cathode Ray Tube)等の一般的な表示装置と同様の手法でアプリケーションを作成する事ができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、各画素について新規の書き込みを開始する際、時間差によって差異が生じる期間が極力短くなるように、予定画像データ記憶領域7の内容をVRAM4の内容と一致させるようにしたので、VRAM4と予定画像データ記憶領域7のデータが一致している限り、書き換え対象として検出されることがなく不要な書き込み動作を排除することができる。
【0065】
また、進行中の書き込みがあるために新規書き込みの開始が後回しになった画素については、進行中の書き込み終了時点で改めてVRAM4の画素データと比較されるため、常に最新のVRAM4の状態を反映させることができる。
【0066】
図16は、本発明の表示装置の適用例を説明する斜視図である。
図16(A)は、電子ブックを示す斜視図である。この電子ブック1000は、ブック形状のフレーム1001と、このフレーム1001に対して回動自在に設けられた(開閉可能な)カバー1002と、操作部1003と、本発明の表示装置によって構成された表示部1004と、を備えている。
図16(B)は、腕時計を示す斜視図である。この腕時計1100は、本発明の表示装置によって構成された表示部1101を備えている。
図16(C)は、電子ペーパーを示す斜視図である。この電子ペーパー1200は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体部1201と、本発明の表示装置によって構成された表示部1202を備えている。
なお、本発明の表示装置の適用例はこれに限定されず、その他、パーソナルコンピュータ、PDA、携帯電話機等、帯電粒子の移動に伴う視覚上の色調の変化を利用した装置を広く含むものである。
【0067】
以上の実施形態は次のように変形可能である。尚、以下の変形例は適宜組み合わせて実施しても良い。
<変形例1>
本実施形態では、コントローラー2は書き換え判断部201と予定画像データ更新部205を有しているが、書き換え判断部201と予定画像データ更新部205は、CPU3の機能としてもよい。この場合は、コントローラー2はVRAM4の内容を参照する必要がなくなる。
【0068】
<変形例2>
また、本実施形態は、電気泳動粒子として、一方が正電荷、他方が負電荷を有する白黒2種類の電気泳動粒子を用いて白黒の表示を行う場合を想定しているが、白黒の表示のみならず、濃度の差による赤白や青黒など、2方向の濃度変化による表示に適用できる。
【0069】
<変形例3>
また、表示部1の構成は図2〜4に示すものに限られない。例えば、電気泳動層は、多数のマイクロカプセルを含む構成に限られず、隔壁によって仕切られた空間に電気泳動分散媒と電気泳動粒子が含まれる構成であってもよい。
また、上記では表示装置として電気泳動方式による表示部1を備えた電気泳動表示装置100を例に説明したが、表示部1の表示方式は電気泳動方式に限られない。表示部1の表示方式は、比較的低速な表示方式であって、表示完了までに複数フレームで電圧を印加する方法により制御されるものであればよく、例えば、コレステリック液晶、エレクトロクロミック、電子粉流体等を用いることもできる。
【0070】
<変形例4>
また、本発明は、画素電極の電位のみを高電位と低電位に制御することにより、電気泳動流粒子を移動させる方式(両極駆動)の電気泳動表示装置にも、画素電極と共通電極の両方を高電位と低電位に制御する方式(片極駆動)の電気泳動表示装置にも適用できる。
【0071】
<変形例5>
また、コントローラー2とCPU3は異なるデバイスに実装されていてもよいし、SoC(SyStem−ON−a−Chip)のように、1つのチップ上に実装されていてもよい。
【0072】
<変形例6>
書き込み情報記憶領域6において駆動電圧の印加対象である画素データが存在しなくなり、VRAM4の内容と予定画像データ記憶領域7の内容とが一致したとき、即ち当分電圧印加の必要がなくなったとき、外部からの新たな画像データが送られてくるまで、例えば省電力状態のような、別の状態に移行しても良い。
新規書き込みが行われるごとに(例えばCPU3によりVRAM4の画像データが変更されるごとに)、フラグ情報がONとなった画素が含まれる矩形領域の座標を記憶しておき、記憶した矩形領域に対応する書き込みが終了したときに、その後の新規書き込みによって新たに設定された矩形領域と重複しない部分だけフラグ情報をOFFにリセットするようにしてもよい。ここで、矩形領域は、円形領域や楕円領域等、他の形状であってもよい。
片極駆動において、白書き込み用の電圧を規定回数印加した後に黒書き込み用の電圧を規定回数印加しても良いし、白黒の電圧を交互に規定回数だけ印加しても良い。また、白書き込み用の電圧の印加回数と黒書き込み用の電圧の印加回数の比率を変えても良い。
上記実施形態では、書き込み情報記憶領域6、予定画像データ記憶領域7を独立した異なる面として構成しているが(プレーナ方式)、書き込み情報記憶領域6、予定画像データ記憶領域7は、それぞれ別の面として扱わず、全てをひとまとめにした状態で1面を構成しても良い(パックトピクセル方式)。
【0073】
<変形例7>
実施形態において、書き込み情報記憶領域6は、各々の画素の表示状態を変化させるのに必要な駆動電圧の印加回数と同じ数だけ用意されていたが、少なくとも駆動電圧の印加回数と同じ数があれば足り、これ以上の数であってもよい。例えば駆動電圧の印加回数が4回の場合に、書き込み情報記憶領域6の数が5であってもよい。このように書き込み情報記憶領域6が駆動電圧の印加回数よりも多い場合であっても、これら書き込み情報記憶領域6はいわゆるリングバッファーのように循環的に利用されるに過ぎないから、1回の書き込み工程において実質的に使用される書き込み情報記憶領域6の数は、駆動電圧の印加回数と同じ数となる。よって、画素の表示状態を第1の表示状態から第2の表示状態へ変化させるときの駆動電圧の印加回数と同じ数の書き込み情報記憶領域6のそれぞれに、当該一の画素が駆動電圧の印加対象であることを識別する書き込み情報を保存し、各々の書き込み情報記憶領域6を順番に参照してその書き込み情報記憶領域6に保存されている書き込み情報に基づき、一の画素に駆動電圧を複数回印加する、という原理においては、本変形例も実施形態と共通である。
【符号の説明】
【0074】
1…表示部、2…コントローラー、3…CPU、4…VRAM、5…RAM、6A,6B,6C,6D…書き込み情報記憶領域、7…予定画像データ記憶領域、8…追加書き込み情報記憶領域、10…第1基板、11…可撓性基板、12…薄膜半導体回路層、13a…画素電極、14…接続電極、20…電気泳動層、21…マイクロカプセル、22…バインダー、23…導電性設俗体、30…第2基板、31…薄膜フイルム、32…透明電極層、51…行デコーダー、53…走査線駆動回路、54…データ線駆動回路、55…表示領域、61…トランジスタ、63…保持容量、64…走査線、65…データ線、100…電気泳動表示装置、201…書き換え判断部、202…書き込み状態判断部、203…追加書き込み情報算出部、204…書き込み制御部、205…予定画像データ更新部、206…処理対象判定部、1000…電子ブック、1001…フレーム、1002…カバー、1003…操作部、1004…表示部、1100…腕時計、1101…表示部、1200…電子ペーパー、1201…本体部、1202…表示部、A…表示画像、Mij…記憶領域、Pij…画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の走査線と、複数のデータ線と、複数の画素とを含む表示部を備え、各々の前記画素の表示状態を第1の表示状態から第2の表示状態へ変化させるための書き込みが、当該画素に対して駆動電圧を複数回印加する動作によって行われる表示装置の制御装置であって、
前記複数の画素のうち一の画素に対して新規の書き込み指示が発生したか否かを判断する書き換え判断部と、
前記新規の書き込み指示が発生したと判断された場合に、当該一の画素に対して書き込み動作が進行中か否かを判断する書き込み状態判断部と、
前記書き込み状態判断部において、前記一の画素に対する書き込み動作が進行中ではないと判断された場合には、前記画素の表示状態を前記第1の表示状態から前記第2の表示状態へ変化させるときの駆動電圧の印加回数と同じ数の第1の記憶領域のそれぞれに、当該一の画素が駆動電圧の印加対象であることを識別する書き込み情報を保存し、各々の前記第1の記憶領域を順番に参照して、当該第1の記憶領域に保存されている前記書き込み情報に基づき前記一の画素に駆動電圧を複数回印加する一方、前記書き込み状態判断部において、前記一の画素に対して書き込み動作が進行中であると判断された場合には、進行中の書き込み動作を継続し、当該書き込み動作が終了した後、前記書き込み制御を行う書き込み制御部と
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記書き込み状態判断部は、参照した前記第1の記憶領域に、前記一の画素が駆動電圧の印加対象であることを識別する書き込み情報が保存されている場合には、当該一の画素に対して書き込み動作が進行中であると判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
入力された表示画像データに基づいて、前記表示部に表示させる表示画像の画素データを第2の記憶領域に保存する表示画像データ更新部と、
進行中の書き込み動作によって前記表示部に表示される予定画像の画素データを第3の記憶領域に保存する予定画像データ更新部と、をさらに備え、
前記予定画像データ更新部は、前記一の画素に対して前記新規の書き込み指示に基づく書き込みが開始されるタイミングで、前記一の画素の画素データを、前記第1の記憶領域に保存されている全ての前記書き込み情報に基づいて前記駆動電圧が印加された場合の前記予定画像の画素データに対応する画素データで更新し、
前記書き換え判断部は、前記第2の記憶領域に保存されている前記表示画像の画素データと前記第3の記憶領域に保存されている前記予定画像の画素データとが異なる場合に、前記一の画素に対して前記新規の書き込み指示が発生したと判断する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第2の記憶領域に保存されている前記表示画像の画素データと前記第3の記憶領域に保存されている前記予定画像の画素データとが異なる場合には、当該表示画像の画素データと当該予定画像の画素データとに論理演算を施すことで、当該表示画像の画素データと当該予定画像の画素データとの差分である追加書き込み画像の画素データを算出し、当該追加書き込み画像の画素データを第4の記憶領域に保存する追加書き込み情報算出部をさらに備え、
前記書き込み制御部は、前記第4の記憶領域に保存された前記追加書き込み画像の画素データに基づいて、前記第1の記憶領域に保存されている前記書き込み情報を更新する
ことを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第1の記憶領域に保存されている前記書き込み情報は、
前記一の画素の表示状態を第1の色を表示する状態から第2の色を表示する状態へ変化させるための書き込みであることを示す第1の書き込み情報と、
前記一の画素の表示状態を前記第2の色を表示する状態から前記第1の色を表示する状態へ変化させるための書き込みであることを示す第2の書き込み情報と、を含む
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の制御装置。
【請求項6】
複数の走査線と、複数のデータ線と、複数の画素とを含む表示部を備え、各々の前記画素の表示状態を第1の表示状態から第2の表示状態へ変化させるための書き込みが、当該画素に対して駆動電圧を複数回印加する動作によって行われる表示装置であって、
前記複数の画素のうち一の画素に対して新規の書き込み指示が発生したか否かを判断する書き換え判断部と、
前記新規の書き込み指示が発生したと判断された場合に、当該一の画素に対して書き込み動作が進行中か否かを判断する書き込み状態判断部と、
前記書き込み状態判断工程において、前記一の画素に対する書き込み動作が進行中ではないと判断された場合には、前記画素の表示状態を前記第1の表示状態から前記第2の表示状態へ変化させるときの駆動電圧の印加回数と同じ数の第1の記憶領域のそれぞれに、当該一の画素が駆動電圧の印加対象であることを識別する書き込み情報を保存し、各々の前記第1の記憶領域を順番に参照して、当該第1の記憶領域に保存されている前記書き込み情報に基づき前記一の画素に駆動電圧を複数回印加する書き込み制御を行う一方、前記書き込み状態判断工程において、前記一の画素に対して書き込み動作が進行中であると判断された場合には、進行中の書き込み動作を継続し、当該書き込み動作が終了した後、前記書き込み制御を行う書き込み制御部と
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
前記書き込み状態判断部は、参照した前記第1の記憶領域に、前記一の画素が駆動電圧の印加対象であることを識別する書き込み情報が保存されている場合には、当該一の画素に対して書き込み動作が進行中であると判断する
ことを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
入力された表示画像データに基づいて、前記表示部に表示させる表示画像の画素データを第2の記憶領域に保存する表示画像データ更新部と、
進行中の書き込み動作によって前記表示部に表示される予定画像の画素データを第3の記憶領域に保存する予定画像データ更新部と、をさらに備え、
前記予定画像データ更新部は、前記一の画素に対して前記新規の書き込み指示に基づく書き込みが開始されるタイミングで、前記一の画素の画素データを、前記第1の記憶領域に保存されている全ての前記書き込み情報に基づいて前記駆動電圧が印加された場合の前記予定画像の画素データに対応する画素データで更新し、
前記書き換え判断部は、前記第2の記憶領域に保存されている前記表示画像の画素データと前記第3の記憶領域に保存されている前記予定画像の画素データとが異なる場合に、前記一の画素に対して前記新規の書き込み指示が発生したと判断する
ことを特徴とする請求項6または7に記載の表示装置
【請求項9】
前記第2の記憶領域に保存されている前記表示画像の画素データと前記第3の記憶領域に保存されている前記予定画像の画素データとが異なる場合には、当該表示画像の画素データと当該予定画像の画素データとに論理演算を施すことで、当該表示画像の画素データと当該予定画像の画素データとの差分である追加書き込み画像の画素データを算出し、当該追加書き込み画像の画素データを第4の記憶領域に保存する追加書き込み情報算出部をさらに備え、
前記書き込み制御部は、前記第4の記憶領域に保存された前記追加書き込み画像の画素データに基づいて、前記第1の記憶領域に保存されている前記書き込み情報を更新する
ことを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1の記憶領域に保存されている前記書き込み情報は、
前記一の画素の表示状態を第1の色を表示する状態から第2の色を表示する状態へ変化させるための書き込みであることを示す第1の書き込み情報と、
前記一の画素の表示状態を前記第2の色を表示する状態から前記第1の色を表示する状態へ変化させるための書き込みであることを示す第2の書き込み情報と、を含む
ことを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載の表示装置。
【請求項11】
前記表示部は、メモリ性を有する表示素子を備えることを特徴とする請求項6から10のいずれかに記載の表示装置。
【請求項12】
前記表示素子は電気泳動素子であることを特徴とする請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
複数の走査線と、複数のデータ線と、複数の画素とを含む表示部を備え、各々の前記画素の表示状態を第1の表示状態から第2の表示状態へ変化させるための書き込みが、当該画素に対して駆動電圧を複数回印加する動作によって行われる表示装置の制御方法であって、
前記複数の画素のうち一の画素に対して新規の書き込み指示が発生したか否かを判断する書き換え判断工程と、
前記新規の書き込み指示が発生した判断された場合に、当該一の画素に対して書き込み動作が進行中か否かを判断する書き込み状態判断工程と、
前記書き込み状態判断工程において、前記一の画素に対する書き込み動作が進行中ではないと判断された場合には、前記画素の表示状態を前記第1の表示状態から前記第2の表示状態へ変化させるときの駆動電圧の印加回数と同じ数の第1の記憶領域のそれぞれに、当該一の画素が駆動電圧の印加対象であることを識別する書き込み情報を保存し、各々の前記第1の記憶領域を順番に参照して当該第1の記憶領域に保存されている前記書き込み情報に基づき、前記一の画素に駆動電圧を複数回印加する書き込み制御を行う一方、前記書き込み状態判断工程において、前記一の画素に対して書き込み動作が進行中であると判断された場合には、進行中の書き込み動作を継続し、当該書き込み動作が終了した後、前記書き込み制御を行う書き込み制御工程と
を備えることを特徴とする表示装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−42685(P2012−42685A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183337(P2010−183337)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】