説明

制御装置及びこれを備えた画像形成装置

【課題】瞬時停電発生時、通常の起動時と瞬時停電発生時の再起動で起動シーケンスを共通のものとし、システム設計を容易にする。
【解決手段】本実施形態の制御装置は、電源装置と、電源装置の出力電圧に基づき、動作用電圧を生成する1又は複数の2次電源部と、電源装置及び/又は2次電源部が出力する動作用電圧を受け動作する1又は複数の演算部と、2次電源部及び演算部と、電源装置との間に接続され、電源装置の出力電圧を監視する監視部と、を備え、監視部は、電源装置の出力電圧が予め定められた閾値電圧以下の状態から、閾値電圧を超えたとき、通常の主電源ON時、瞬時停電発生時を問わず、演算部及び2次電源部を起動させるための起動信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1次電源としての電源装置と、電源装置から電力の供給を受け、素子駆動用の電圧を生成する2次電源部を備える制御装置と、制御装置を含むプリンタ、複写機、複合機、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気・電子機器の電源には、蓄電池や、商用電源から電力の供給を受け、整流や降圧等を行う電源装置が用いられる。蓄電池や電源装置の出力電圧は、ICやメモリ等で構成される制御装置に供給され、電気・電子機器の動作が制御される。ここで、制御装置への電力供給が一時的に停止し、瞬間的に停電状態(瞬時停電)となることがある。瞬時停電が生ずると、ICやメモリ等に入力される電圧が、駆動電圧よりも小さくなる場合がある。その結果、制御装置や、電気・電子機器が停止状態や反応しない状態となってしまうことがある。
【0003】
このような瞬時停電に対する発明が特許文献1に記載されている。具体的に特許文献1には、処理プログラムを記録する記録手段、処理プログラムに従った処理を実行する処理手段、電池を含む電源、現在の時刻を計測する計時手段、電源から供給される電圧値が所定の基準値未満であるか否かを検出する電圧低下検出手段、基準値未満を電圧低下検出手段が検出すると、計時手段が生成するクロック信号をカウントするカウント手段、とを備え、処理手段は、電圧低下検出手段が電圧値の基準値以上への復帰を検出すると、カウント手段がカウントしたクロック信号の数を特定し、瞬断であるか否かを判別し、判別結果に従って動作を切り換える携帯端末装置などが記載されている。この構成により、電源電圧が低下した時間の長さを測定し、正確に瞬断を検出して動作を制御しようとする(特許文献1:請求項7、段落0079等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−251783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、CPU、メモリ、IC等、それぞれ駆動電圧が異なり、制御基板を動作させるには複数種の電圧が必要となる場合がある。そこで、複合機、複写機、プリンタ等の画像形成装置などの機器では、機器内部での1次電源としての電源装置と、電源装置から電力の供給を受け、各種電圧を生成する2次電源部が設けられることがある。例えば、2次電源部には、DC−DCコンバータ等が用いられ、出力電圧の異なる複数のDC−DCコンバータが搭載される場合もある。
【0006】
ここで、機器のメインスイッチの素早いOFF→ON動作や、配電系統での電圧ドロップや、機器への衝撃などに起因し、瞬時停電が生ずる場合がある。瞬時停電が生じると、電源装置の出力電圧(の絶対値)は一時的に小さくなる。そのため、電源装置から電力の供給を受けるDC−DCコンバータも、影響を受けることがある。
【0007】
具体的に、DC−DCコンバータへの入力電圧、言い換えると、電源装置の出力電圧が低下すれば、DC−DCコンバータは、設計上予定されている電圧を出力できなくなる場合がある。そうすると、瞬時停電で、1次電源の出力電圧で駆動する素子だけでなく、DC−DCコンバータから駆動用電圧を受ける素子で駆動停止が生ずる場合がある。そうすると、機器は動作停止となり反応せず、故障したと使用者に思わせてしまう場合がある。
【0008】
特に、DC−DCコンバータには、安全設計のため(機器の暴走防止等)、入力電圧が低下したことを検知する低電圧検知機能を備え、低電圧を検知すると出力を停止してしまう出力ラッチオフ機能を有するものがある。この場合、瞬時停電によって、電源装置の出力電圧が低下し、DC−DCコンバータが低電圧を検知すると、DC−DCコンバータの駆動用電圧を受けるCPU等の素子は、確実に停止する。
【0009】
瞬時停電が発生しても、自動的な再起動を行えば、機器は復活する。しかし、通常、CPU、IC、メモリ等を含むシステムでは、電力供給(駆動用電圧)の供給に順序(起動でのシーケンス)がある。又、基板や素子には、瞬時停電の際、リセットが自動的にかかるものとかからないものが存在する。又、1次電源の出力電圧で駆動する系統や素子も存在する。又、2次電源部の出力ラッチオフ機能との兼ね合いもある。そうすると、瞬時停電発生時の機器のあらゆる状態(パターン)に対応できる起動のシーケンスを組む必要が生じる。あるいは、複数種の瞬時停電発生時用の再起動シーケンスを用意する必要もあり得る。従って、システム設計が複雑になるという問題がある。
【0010】
ここで、特許文献1記載の発明では、瞬断が発生したか否かを判断し、又、電力供給の停止、再開や、電力監視部や電力制御部やCPUや電圧監視回路での信号のやりとりや、CPUの起動等、制御が複雑である(特許文献1:段落[0033]、[0065]等参照)。従って、特許文献1記載の発明は、瞬時停電発生時の機器のあらゆる状態(パターン)で対応できるシーケンスを組むと、更に複雑なものとなり得るものであり、システム設計が複雑になるという問題に対応したものではない。
【0011】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、瞬時停電発生時、システム全体をリセットすることで、通常の起動時と瞬時停電発生時の再起動で起動シーケンスを共通のものとし、システム設計を容易にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に係る制御装置は、電源装置と、前記電源装置の出力電圧に基づき、動作用電圧を生成する1又は複数の2次電源部と、前記電源装置及び/又は前記2次電源部が出力する動作用電圧を受け動作する1又は複数の演算部と、前記2次電源部及び前記演算部と、前記電源装置との間に接続され、前記電源装置の出力電圧を監視する監視部と、を備え、前記監視部は、前記電源装置の出力電圧が予め定められた閾値電圧以下の状態から、前記閾値電圧を超えたとき、前記演算部及び前記2次電源部を起動させるための起動信号を出力することとした。
【0013】
予め定められた閾値電圧を超えた場合というのは、通常の主電源ON(例えば、商用電源への1次電源としての電源装置の接続)の場合と、瞬時停電後に電源装置の出力電圧が回復した場合が考えられる。そこで、この構成によれば、監視部は、電源装置の出力電圧が予め定められた閾値電圧以下の状態から、閾値電圧を超えたとき、演算部及び2次電源部を起動させるための起動信号を出力する。これにより、瞬時停電発生時、自動的に制御装置の再起動がなされる。従って、動作しない、反応しない状態が続かず、使用者に故障の誤認を与えることがない。
【0014】
又、通常の主電源ONの場合(例えば、1次電源としての電源装置と商用電源の接続)の起動シーケンスと、瞬時停電後に電源装置の出力電圧が回復した場合の再起動シーケンスとを同じものとすることができる。言い換えると、瞬時停電発生時の機器のあらゆる状態(パターン)に対応できるシーケンスを組む必要や、複数種の瞬時停電発生時用の再起動シーケンスを用意する必要がない。従って、起動シーケンスを1つだけ考慮すればよく、システム設計が容易となる。又、システム開発費も抑えることができる。
【0015】
尚、閾値電圧は、制御装置の駆動に影響のある瞬時停電を検知できる範囲で任意に定めることができる。例えば、演算部や2次電源部が動作する上で、保証されるべき電源装置の出力電圧値としてもよいし、例えば、電源装置の定格出力に対し90%以上など、電源装置の出力を基準と定めてもよい。
【0016】
又、請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、前記監視部と前記2次電源部との間に接続され、前記起動信号が発せられると前記2次電源部での動作用電圧の生成を許可する許可信号を出力する1又は複数の許可信号部と、前記監視部と前記演算部との間に接続され、若しくは、前記演算部に内蔵され、前記起動信号が発せられると、前記許可信号部が前記許可信号を出力した後に、前記演算部を起動させる1又は複数のリセット部、を有することとした。
【0017】
この構成によれば、起動信号が発せられると2次電源部での動作用電圧の生成を許可する許可信号を出力する許可信号部と、起動信号が発せられると、許可信号部が許可信号を出力した後に、演算部を起動させる1又は複数のリセット部が設けられる。これにより、2次電源部が生成する動作用電圧に基づいて演算部が動作する場合、2次電源部が駆動した後、演算部が起動する。従って、適切に演算部を起動させることができる。
【0018】
又、請求項3に係る発明は、請求項1又は2の発明において、前記電源装置の出力電圧が入力され、前記電源装置の出力電圧が、前記閾値電圧を超えてから、前記演算部が起動した後に、レベルが切り替わる瞬時停電判断用信号を出力する瞬時停電検知部と、前記電源装置と前記瞬時停電検知部との間に設けられ、瞬時停電が発生したとき、前記瞬時停電検知部に入力される前記電源装置の出力電圧低下を緩和する蓄電部と、を有し、前記演算部は、前記瞬時停電判断用信号を受け、前記電源装置の出力電圧が前記閾値電圧を超えてから前記待機時間を経過する前に、前記瞬時停電判断用信号のレベルを確認し、前記瞬時停電判断用信号のレベルが切り替わり前の状態であれば、通常の電源投入と判断し、前記瞬時停電判断用信号のレベルが切り替わり後の状態であれば、瞬時停電が発生したと判断することとした。
【0019】
この構成によれば、演算部は、電源装置の出力電圧が閾値電圧を超えてから待機時間経過する前に、瞬時停電判断用信号のレベルを確認し、瞬時停電判断用信号のレベルが変化後の状態であれば、瞬時停電が発生したと判断する。これにより、演算部は、瞬時停電が発生したか否かを判断し、認識することができる。
【0020】
又、請求項4に係る発明は、請求項3の発明において、データを記憶する記憶部を備え、前記記憶部は、瞬時停電発生と前記演算部が判断したとき、瞬時停電が生じた旨を記憶することとした。
【0021】
この構成によれば、記憶部は、瞬時停電が生じた旨を記憶する。これにより、瞬時停電が発生したことが履歴として残される。従って、メンテナンスの際、履歴を参照することで、不具合動作の原因調査、究明に役立てることができる。例えば、不具合動作が多く機器に異常がある場合、瞬時停電が頻繁に生じていれば、管理者は、基板の故障や配電系統での異常に起因すると判断できる。
【0022】
又、請求項5に係る発明は、請求項4の発明において、日時を計時するタイマ部を備え、前記記憶部は、瞬時停電発生と前記演算部が判断したとき、瞬時停電が生じた旨とともに発生日時を記憶することとした。
【0023】
この構成によれば、記憶部は、瞬時停電が生じた旨とともに発生日時を記憶する。これにより、瞬時停電が発生したことと発生日時が履歴として残される。従って、メンテナンスの際、履歴、日時を参照することで、不具合動作の原因の詳細な調査、究明を行うことができる。
【0024】
又、請求項6に係る発明は、請求項3乃至5の発明において、使用者に報知を行う報知部を備え、前記報知部は、瞬時停電発生と前記演算部が判断したとき、瞬時停電が生じた旨を報知することとした。
【0025】
この構成によれば、報知部は、瞬時停電が生じた旨を報知する。これにより、使用者に瞬時停電の発生を報知することができる。例えば、1つコンセントに複数の機械を接続していれば(タコ足配線)、配電系統で瞬時停電(瞬間的な電圧ドロップ)が生じやすい。そこで、瞬時停電の発生を報知することで、使用者に対して設置環境(電力供給環境)の見直しの契機を与えることができる。
【0026】
又、請求項7に係る発明は、請求項3乃至6の発明において、前記蓄電部は、ローパスフィルタであることとした。
【0027】
この構成によれば、蓄電部をローパスフィルタとする。これにより、蓄電部に要するコストを抑えることができる。
【0028】
又、請求項8に係る発明は、請求項2乃至7の発明において、デジタルトランジスタで構成され、前記電源装置と、前記許可信号部及び前記リセット部との間に設けられ、ON状態では、前記電源装置の出力が前記許可信号部及び前記リセット部に印加される接続される状態とし、OFF状態では、前記電源装置の出力が前記許可信号部及び前記リセット部に印加されない状態とするスイッチ部と、を備え、前記監視部は、前記電源装置の出力電圧が前記閾値電圧以下の状態から、前記閾値電圧を超えたとき、前記スイッチ部をONさせることとした。
【0029】
この構成によれば、監視部は、電源装置の出力電圧が閾値電圧以下の状態から、閾値電圧を超えたとき、スイッチ部をONさせる。これにより、監視部は、スイッチ部をON/OFFするだけで、制御装置での起動を制御することができる。又、スイッチ部はデジタルトランジスタでよく、スイッチ部に要するコストを抑えることができる。
【0030】
又、請求項9に係る画像形成装置は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の制御装置を含むこととした。
【0031】
この構成によれば、請求項1乃至8のいずれかの制御装置を含むので、瞬時停電が生じても、自動的に再起動され、動作しない、反応しない状態が続かず、使用者に故障の誤認を与えない画像形成装置を提供することができる。又、画像形成装置のシステム設計が容易で、画像形成装置の開発費も抑えることができる。従って、画像形成装置の製造に要するコストを下げることができる。
【発明の効果】
【0032】
上述したように、本発明によれば、制御装置、画像形成装置のシステム設計の容易化を図ることができ、システム開発費の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施形態に係る複合機の概略構造を示す模型的正面断面図である。
【図2】実施形態に係る操作パネルの一例を示す平面図である。
【図3】実施形態に係る複合機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図4】実施形態に係る制御装置の電力供給系統の一例を示すブロック図である。
【図5】実施形態に係る制御装置での起動におけるシステム構成の一例を示す回路図である。
【図6】実施形態に係る制御装置の起動時の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】実施形態に係る制御装置の瞬時停電発生の有無の判断制御の一例を示すフローチャートである。
【図8】実施形態に係る制御装置での瞬時停電発生と判断された際の処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】実施形態に係る制御装置での瞬時停電発生と判断された際の表示画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を図1〜図9を用いて説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。尚、本発明の制御装置1は、各種機器に適用可能であるが、複合機100(画像形成装置に相当)に搭載される場合の例を説明する。
【0035】
(複合機100の概要)
まず、図1に基づき、本発明の実施形態に係る複合機100を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る複合機100の概略構造を示す模型的正面断面図である。
【0036】
図1に示すように、本実施形態の複合機100は、上部に画像読取部2、さらにその上方に原稿搬送装置101が装着される。又、機体内には、給紙部3A、搬送路3B、画像形成部4A、定着部4Bを備える。又、破線で示すように、複合機100の正面上部に操作パネル5が備えられる。
【0037】
まず、原稿搬送装置101には、使用者が複写を行おうとする各種、各サイズの原稿が載置される。そして、操作パネル5に複写設定や画像データの送信設定等が入力され、ジョブが開始されると、原稿搬送装置101は、原稿を1枚ずつ分離しつつ、原稿搬送装置101の下方に設けられる画像読取部2による送り読取用コンタクトガラス21に向けて搬送する。
【0038】
画像読取部2は、内部に、露光ランプ、反射板、ミラー、レンズ、イメージセンサ(不図示)等が設けられ、送り読取用コンタクトガラス21を通過する原稿を光学的に読み取り、画像データを得る。尚、原稿搬送装置101は、図1の紙面奥側に支点を有し、持ち上げ可能であり、画像読取部2の上面の載置読取用コンタクトガラス22に書籍等の原稿を1枚ずつ載置して原稿の読み取りを行うことも可能である。
【0039】
給紙部3Aは、画像形成部4Aに向けて用紙を供給する。給紙部3Aは、各サイズの用紙等の用紙が収納されるカセット31(図1で上方のものに31A、下方のものに31Bの符号を付す)を含む。又、給紙部3Aは、各カセット31から用紙を1枚ずつ搬送路3Bに送り出す給紙ローラ32(図1で上方のものに32A、下方のものに32Bの符号を付す)等を備える。例えば、使用者が、操作パネル5で使用する用紙(用紙)のサイズを選択し、スタートキー54を使用者が押すと、モータ(不図示)等により給紙ローラ32が回転駆動し、用紙が搬送路3Bに供給される。搬送路3Bは、用紙を、画像形成部4A、定着部4Bを経て排出トレイ33まで搬送する。搬送路3Bには、ガイド(不図示)、複数の搬送ローラ対34等が設けられる。
【0040】
画像形成部4Aは、搬送路3Bよって搬送されてきた用紙に対して所定の画像形成を行う。具体的に、画像形成部4Aは、図1中に示す矢印方向に回転可能に支持された感光体ドラム41、感光体ドラム41の周囲に配設された帯電装置42、現像装置43、露光装置44、転写部45、清掃装置46を備える。感光体ドラム41は、画像形成部4Aの略中心に設けられ、所定方向に回転駆動される。まず、感光体ドラム41の右上方の帯電装置42は、感光体ドラム41の表面を所定電位に均一に帯電させる。帯電装置42の右方の露光装置44は、画像読取部2で読み取られた画像データ等に基づき、レーザ光を出力し、感光体ドラム41を走査露光する。その結果、静電潜像が感光体ドラム41表面に形成される。
【0041】
次に、感光体ドラム41の右下方の現像装置43は、静電潜像に向けトナーを供給する。その結果、静電潜像はトナー像として現像される。感光体ドラム41の左下方に設けられる転写部45と感光体ドラム41との間ではニップが形成され、このニップを用紙が通過する際に、感光体ドラム41上のトナー像が用紙に転写される。清掃装置46は、転写後の感光体ドラム41の表面を清掃する。
【0042】
定着部4Bは、用紙に転写されたトナー像を定着させる。本実施形態の定着部4Bは、主として、発熱体を内蔵する加熱ローラ47と、加熱ローラ47に圧接してニップを形成する加圧ローラ48とで構成される。そして、トナー像の転写された用紙が、このニップを通過することで、トナーが溶融・加熱され、トナー像が用紙に定着する。
【0043】
(操作パネル5)
次に、図1及び図2を用いて、本発明の実施形態に係る操作パネル5の一例を説明する。図2は、本発明の実施形態に係る操作パネル5の一例を示す平面図である。
【0044】
操作パネル5は、図1に示すように、複合機100の正面上方に設けられる。そして、操作パネル5は、複合機100の設定や動作指示を与えるためのメニューやキーや状態メッセージ等の各種画像、画面を表示する液晶表示部51(報知部に相当)を有する。使用者は、液晶表示部51に表示されたキーを押下して、複合機100のコピーにおける各種設定や動作指示を行える。
【0045】
又、液晶表示部51の上面にタッチパネル部52が設けられる。タッチパネル部52は使用者が液晶表示部51に押下した部分の位置、座標を検出するためのものである。このタッチパネル部52を用いた検出座標と、液晶表示部51に示される各種キーの位置、座標を比較し、使用者が押下して選択したキーが特定される。尚、タッチパネル部52としては、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、静電容量方式等、各方式のものを採用でき特に制限はない。
【0046】
又、操作パネル5には、ハードとしてのキー(ボタン)が設けられる。例えば、数字入力用のテンキー部53(入力部に相当)や、各種設定後、コピー等の処理開始指示用のスタートキー54(入力部に相当)等が設けられる。
【0047】
(複合機100のハードウェア構成)
次に、図3に基づき、本発明の実施形態に係る複合機100のハードウェア構成の一例を説明する。図3は、本発明の実施形態に係る複合機100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0048】
図3に示すように、本実施形態に係る複合機100は、内部の制御基板上にメイン制御部6(メイン制御基板)を有する。メイン制御部6は、装置全体の動作を統括し、複合機100の各部の制御を司る。そして、メイン制御部6には、例えば、中央演算処理装置としてメインCPU60(演算部に相当)が設けられる。
【0049】
そして、メイン制御部6は、記憶装置としてのROM61(記憶部に相当)やRAM62を実装する。又、メイン制御部6は通信可能に、記憶装置としてのHDD63(記憶部に相当)等と接続される。HDD63は、画像データの記憶やプログラム、各種管理データの記憶に利用される(例えば、数十Gバイト以上)。ROM61は、例えば、フラッシュROMで、電源がオフしても記憶内容が保持される不揮発性メモリである。ROM61やHDD63は、メインCPU60が制御のため実行するプログラムや、起動時プログラムや装置固有の各種パラメータなどの各種制御用の固定データを記憶する。RAM62は、メインCPU60が制御の際に実行するプログラムや、画像データ等の各種データを一時的に記憶する。
【0050】
又、メイン制御部6には、画像データに対して各種画像処理を行う画像処理部64を設けることができる。画像処理部64は、例えば、画像処理専用の回路としてのASIC65(図4参照)や画像処理用メモリ等(不図示)を含む。そして、画像処理部64は、例えば、濃度変更や拡大縮小等の各種画像処理を画像データに施す。尚、画像処理部64が行える画像処理は多岐にわたるので、公知の複合機100に関する画像処理をおこなえるものとして、実行可能な画像処理の詳細の説明は省略する。
【0051】
又、メイン制御部6には(メイン制御部6外でもよい)、日時を計り、蓄電池67でバックアップされるタイマ部66が設けられる。これにより、メイン制御部6は、ジョブの実行日時やエラー発生日時等の各種の項目について、履歴を残すことができる。
【0052】
又、メイン制御部6には、用紙搬送や印刷を実際に制御するエンジン制御部40が通信可能に接続される。メイン制御部6は、エンジン制御部40に指示を与える。この指示を受けて、エンジン制御部40は、用紙搬送や画像形成で用いる各種回転体(搬送ローラ対34や感光体ドラム41等)を回転させる等、給紙部3A、搬送路3B、画像形成部4A、定着部4Bを制御する。
【0053】
又、メイン制御部6には、原稿の読取に関し、原稿を搬送する原稿搬送装置101や、原稿を読み取る画像読取部2と通信可能に接続される。メイン制御部6は、原稿搬送装置101や画像読取部2に指示を与える。この指示を受けて、原稿搬送装置101は、原稿の搬送を、画像読取部2は、原稿読取を実際に制御する。
【0054】
又、複合機100は、外部との通信インターフェイスとしての通信部68(データ入力部に相当)を含む。通信部68は、例えば、外部のコンピュータ200(例えば、パーソナルコンピュータ)と、ネットワークやケーブルで接続して通信を行うためのデータ通信部68Aを含む。データ通信部68Aは、例えば、ネットワーク接続や直接的に複合機100とコンピュータ200を直接接続するためのコネクタ、通信制御用のコントローラ、チップを含む。このデータ通信部68Aにより、複合機100は、コンピュータ200等から画像データ等を含む印刷用データを受け印刷を行うことができる(プリンタ機能)。
【0055】
又、画像読取部2での読み取りで得られた画像データ等を複合機100からコンピュータ200に送信できる(スキャナ機能)。又、通信部68には、相手方FAX装置300と通信を行うためのFAX通信部68Bを含むことができる。FAX通信部68Bは、ファクシミリとしての機能を果たす部分で、モデムや、画像データのファクシミリに対応した形式への変換や、受信データの伸張のための回路、チップ等を含む(FAX機能)。
【0056】
又、メイン制御部6は、バス等で操作パネル5とも通信可能に接続される。例えば、操作パネル5には、液晶表示部51の表示を制御し、又、各種ハードキー(スタートキー54等)の押下を認識し、タッチパネル部52の出力電圧に基づき、押下位置(座標)を検知する表示制御部50が設けられる。そして、操作パネル5になされた設定内容を示すデータは、メイン制御部6に送られ、メイン制御部6は、複合機100を使用者の設定どおりに動作するように制御する。
【0057】
又、メイン制御部6は、複合機100に内蔵される電源装置7と通信可能に接続される。例えば、メイン制御部6は、電力供給先等を電源装置7に指示できる。又、例えば、メイン制御部6は、通常モード(コピーや画像データの送信ができる状態)から、省電力モードへの移行を電源装置7に指示できる。省電力モード移行指示を受けると、電源装置7は、例えば、エンジン制御部40や、画像読取部2への電力供給を停止し、消費される電力を減らす。一方、操作パネル5への入力等、省電力モードから通常モードへの復帰要因が生ずれば、例えば、メイン制御部6は、通常モードへの復帰を電源装置7に指示できる。この場合、電源装置7は、エンジン制御部40や、画像読取部2への電力供給を再開し、定着部4BでのヒータをON等を行わせる。
【0058】
(電力供給系統)
次に、図4を用いて、本発明の実施形態に係る制御装置1の電力供給系統の一例を説明する。図4は、本発明の実施形態に係る制御装置1の電力供給系統の一例を示すブロック図である。
【0059】
複合機100には、複合機100を制御するための制御装置1が搭載される。本実施形態の複合機100の制御装置1は、例えば、図4に示すように、電源装置7と、メイン制御部6、エンジン制御部40、スキャナ制御部20(画像読取部2の制御部)等の複数の制御部(制御基板)等で構成される。
【0060】
まず、1次電源としての電源装置7は、商用電源と接続される。電源装置7は、整流回路や、昇降圧回路等を有し、商用電源が接続されると直流電圧を出力する(例えば、DC5V)。そして、電源装置7は、例えば、出力端子Vout1、出力端子Vout2を有する。例えば、一方の出力端子Vout1は、メイン制御部6用のものであり、他方の出力端子Vout2は、エンジン制御部40やスキャナ制御部20等、メイン制御部6以外の基板(制御部)等に供給するためのものである。
【0061】
以下では、説明の便宜上、メイン制御部6用の出力端子Vout1からの出力を「出力電圧Vo」と称し、メイン制御部6以外の基板用の出力端子Vout2からの出力を「出力電圧Vo_SL」と称する。尚、出力端子Vout1の電圧値と出力端子Vout2の電圧値は、同じである。又、メイン制御部6は、電源装置7に対し、出力電圧Vo_SLのON/OFFを指示できる。これにより、省電力モードの際には、出力電圧Vo_SLからの出力をOFFするだけでエンジン制御部40やスキャナ制御部20等の駆動を停止させることができる。
【0062】
尚、電源装置7は、複合機100内のモータ駆動用の電圧を生成する。そして、複合機100内のモータに電力を供給する(例えば、DC24V)。しかし、このモータ駆動用の電圧の配線(配電)については、便宜上、図示を省略する。
【0063】
使用者は、電源装置7と商用電源との接続、遮断をメインスイッチMSで行える。例えば、メインスイッチMSは、複合機100の側面等に設けられ、使用者の操作によって、機械的に電源装置7と商用電源の接続、遮断を切り替える。尚、メインスイッチMSは機械式のスイッチに限られず、電源装置7と商用電源の接続、遮断を行えればよい。このように、使用者は、メインスイッチMSのON/OFFによって、複合機100や制御装置1の主電源のON/OFFを行える。
【0064】
そして、メイン制御部6には、上述したように、メインCPU60、ROM61、RAM62、ASIC65等の素子が設けられる(実装される)(図3参照)。そして、本実施形態でのメインCPU60、ROM61、RAM62、ASIC65等の各素子は、駆動電圧が異なる(例えば、DC3.3V、2.5V、1.8V、1.2V等)。
【0065】
そこで、各素子の駆動用電圧を生成のため、本実施形態のメイン制御部6には、複数のDC−DCコンバータ8(2次電源部に相当)が設けられる。尚、電源装置7の出力電圧Voでも駆動する素子に対しては、DC−DCコンバータ8に設ける必要がない。例えば、メインCPU60のみDC−DCコンバータ8が必要ならば、メイン制御部6に設けられるDC−DCコンバータ8は、1つとなる。
【0066】
各DC−DCコンバータ8は、電源装置7の出力電圧Voを変圧して、対応するメインCPU60等の素子に与える。例えば、DC−DCコンバータ8は、電源装置7の出力電圧Voの5Vを降圧して、メインCPU60等の素子用の駆動用電圧を生成する。
【0067】
又、メイン制御部6から指示を受け、印刷に関し実際に制御を行うエンジン制御部40や、原稿読取に関し実際に制御を行うスキャナ制御部20にも電源装置7から電力が供給される。
【0068】
エンジン制御部40に関しては、エンジン制御部40には、エンジンCPU401(演算部に相当)やエンジン用メモリ402等が設けられる。エンジンCPU401は、エンジン用メモリ402に記憶されるデータやプログラムを用い、給紙部3A、搬送路3B、画像形成部4A、定着部4B等の動作を制御する。このように、エンジン制御部40は、印刷に関する制御を実際に行う。
【0069】
そして、エンジンCPU401やエンジン用メモリ402には、電源装置7から電力が供給される。具体的には、エンジンCPU401やエンジン用メモリ402には、電源装置7の出力電圧Vo_SLが印加される。尚、図4に示すように、エンジンCPU401やエンジン用メモリ402には、電源装置7の出力電圧Vo_SLで駆動するものが用いられるが、必要であれば、メイン制御部6と同様に、DC−DCコンバータ8が設けられてもよい。
【0070】
一方、スキャナ制御部20に関しては、スキャナ制御部20には、スキャナCPU23(演算部に相当)やスキャナ用メモリ24等が設けられる。スキャナCPU23は、スキャナ用メモリ24に記憶されるデータやプログラムを用いて、画像読取部2内のランプの点消灯や、ランプやミラーの移動や、イメージセンサの動作等を制御する。このように、スキャナ制御部20は、原稿読取に関する制御を実際に行う。
【0071】
そして、スキャナCPU23やスキャナ用メモリ24も、電源装置7から電力供給を受ける。具体的には、スキャナCPU23やスキャナ用メモリ24には、電源装置7の出力電圧Vo_SLが印加される。尚、図4に示すように、スキャナCPU23やスキャナ用メモリ24には、電源装置7の出力電圧Vo_SLで駆動するものが用いられるが、必要であれば、メイン制御部6と同様に、DC−DCコンバータ8が設けられてもよい。
【0072】
(起動におけるシステム構成)
次に、図5に基づき、本発明の実施形態に係る制御装置1での起動におけるシステム構成の一例を説明する。図5は、本発明の実施形態に係る制御装置1での起動におけるシステム構成の一例を示す回路図である。
【0073】
まず、メイン制御部6(メイン基板)に関し説明する。メイン制御部6には、電源装置7の出力電圧Voが閾値電圧Vth以下か、閾値電圧Vthを超えるかを監視する監視リセットIC9(監視部に相当)が設けられる。監視リセットIC9は、起動におけるシステム構成において、電源装置7に最も近く、最上流に位置する。監視リセットIC9は、出力電圧Voが入力され、又、監視リセットIC9の出力は、スイッチ部91に入力される。尚、本実施形態の監視リセットIC9は、オープンドレインであるため、プルアップ用の抵抗R1が、出力電圧Voと監視リセットIC9の出力の間に設けられる。
【0074】
尚、閾値電圧Vthは、制御装置1の駆動に影響のある瞬時停電を検知できる範囲で任意に定めることができる。例えば、演算部(各CPU等)や2次電源部(DC−DCコンバータ8)が動作する上で、保証されるべき電源装置7の出力電圧Vo値としてもよいし、例えば、電源装置7の定格出力に対し90%以上など、電源装置7の出力を基準と定めてもよい。
【0075】
スイッチ部91は、デジタルトランジスタであり、npnトランジスタとpnpトランジスタが組み合わせられ1チップ化される。具体的に、pnpトランジスタのエミッタに出力電圧Voが接続され、コレクタには、後述のメインリセットIC92(リセット部に相当)と、メインシーケンサ93(許可信号部に相当)が並列して接続される。そして、pnpトランジスタのベースには、npnトランジスタのコレクタが接続される。又、npnトランジスタのエミッタはグランドに接続され、ベースには、監視リセットIC9の出力が接続される。
【0076】
監視リセットIC9は、出力電圧Voが閾値電圧Vthを超えると、Highとなる信号M0(起動信号に相当)を出力する。その結果、スイッチ部91が導通し、出力電圧VoがメインリセットIC92と、メインシーケンサ93に印加される。一方、監視リセットIC9は、出力電圧Voが閾値電圧Vth以下であれば、Lowとなる信号M0を出力する。その結果、スイッチ部91が非導通状態となり、出力電圧VoはメインリセットIC92と、メインシーケンサ93に印加されない。
【0077】
メインリセットIC92は、メインCPU60に対し、起動(初期動作)の指示を行うためのリセットICである。言い換えると、メインリセットIC92は、メインCPU60のリセット解除を行う。具体的に、メインリセットIC92は、入力される電圧がHighに立ち上がり(出力電圧Voの印加があり)、その状態を一定時間維持すると、メインCPU60にHighを入力する。メインCPU60は、メインリセットIC92からの信号M1のレベルがLowからHighに立ち上がると、起動を開始する。尚、図示はしないが、メインリセットIC92は、ASIC65等に対して設けられてもよく、1つとは限らず複数設けることができる。
【0078】
メインシーケンサ93は、DC−DCコンバータ8に対し電圧の生成開始の指示を行うシーケンサICである。具体的に、メインシーケンサ93は、入力される電圧がHighに立ち上がり(出力電圧Voの印加があり)、その状態が一定時間維持されると、DC−DCコンバータ8にイネーブル信号M2(許可信号に相当)を出力する(本実施形態では、Highがイネーブル)。DC−DCコンバータ8は、メインシーケンサ93からのイネーブル信号M2のレベルがHighに立ち上がると、電圧の生成を開始する。尚、図示はしないが、DC−DCコンバータ8が複数搭載される場合、メインシーケンサ93は、各DC−DCコンバータ8に対して設けられてもよく、1つとは限らず複数設けることができる。
【0079】
又、メインCPU60が起動を行うには、メインCPU60の駆動用電圧が供給されている必要がある。そこで、電源装置7の出力電圧Voが閾値電圧Vthを超えてからメインシーケンサ93がイネーブル信号M2をDC−DCコンバータ8に出力するまでの時間は、電源装置7の出力電圧Voが閾値電圧Vthを超えてからメインリセットIC92がイネーブル信号M1をHighにするまでの時間よりも短い(図6参照)。又、DC−DCコンバータ8は、メイン制御部6に複数設けられることもあるが、図5では、便宜上、1つのみ図示している。
【0080】
又、メイン制御部6には、瞬時停電が発生したかを検知するための瞬停検知用IC94(瞬時停電検知部に相当)と瞬停検知用IC94の前段に蓄電部95が設けられる。瞬停検知用IC94には、電源装置7の出力電圧Voが入力される。そして、瞬停検知用IC94は、出力電圧Voが予め定められた一定値以下の状態から一定値を超えたとき、一定値を超えてから一定時間経過後に、レベルを変化させる信号M3(瞬時停電判断用信号に相当)を出力する。具体的に、本実施形態の瞬停検知用IC94は、出力電圧Voが予め定められた一定値以下の状態から一定値を超えたとき、一定値を超えてから一定時間経過後に、LowからHighに変化する信号M3を出力する。そして、瞬停検知用IC94は、出力電圧Voが一定値以下となるまで、Highを出力し続ける。
【0081】
尚、瞬停検知用IC94の一定値は、瞬停検知用IC94が出力電圧Voの低下を、監視リセットIC9ほど敏感に検知しなくてもよいので、閾値電圧Vthよりも、絶対値が小さくてよい。
【0082】
一方、蓄電部95は、例えば、抵抗R3とコンデンサCで構成されるローパスフィルタである。この蓄電部95を設けることで(ローパスフィルタのコンデンサの蓄電と放電を利用することで)、瞬時停電発生時に瞬停検知用IC94に入力される電圧の低下をなだらかにすることができる。言い換えると、瞬時停電が発生しても、瞬停検知用IC94に入力される電圧が一定値以下となり難い。
【0083】
次に、エンジン制御部40(エンジン基板)を説明する。本実施形態のエンジン基板には、メイン制御部6の監視リセットIC9の出力(信号M0)が入力される。そして、エンジン制御部40には、メイン制御部6と同様にnpnトランジスタとpnpトランジスタが組み合わせられたデジタルトランジスタのスイッチ部91が設けられる。スイッチ部91のpnpトランジスタのエミッタに出力電圧Vo_SLが接続され、コレクタには、後述のエンジンリセットIC96(リセット部に相当)が接続される。そして、pnpトランジスタのベースには、npnトランジスタのコレクタが接続される。又、npnトランジスタのエミッタはグランドに接続され、ベースには、監視リセットIC9の出力信号M0が入力される。
【0084】
監視リセットIC9は、出力電圧Voが閾値電圧Vthを超えると、Highとなる信号M0を出力する。その結果、エンジン制御部40のスイッチ部91も導通し、出力電圧Vo_SLがエンジンリセットIC96に印加される。一方、監視リセットIC9は、出力電圧Voが閾値電圧Vth以下であれば、Lowとなる信号M0を出力する。その結果、エンジン制御部40のスイッチ部91も非導通状態となり、出力電圧Vo_SLはエンジンリセットIC96に印加されない。
【0085】
エンジンリセットIC96は、エンジンCPU401に対し、起動(初期動作)の指示を行うためのリセットICである。言い換えると、エンジンリセットIC96は、エンジンCPU401のリセット解除を行う。具体的に、エンジンリセットIC96は、入力される電圧がHighに立ち上がり(出力電圧Vo_SLの印加があり)、その状態が一定時間維持されると、エンジンCPU401にHighを入力する。言い換えると、エンジンCPU401は、エンジンリセットIC96からの信号E1のレベルがLowからHighに立ち上がると、起動を開始する。
【0086】
次に、スキャナ制御部20(スキャナ基板)を説明する。本実施形態のスキャナ基板にもメイン制御部6の監視リセットIC9の出力(信号M0)が入力される。そして、スキャナ制御部20には、メイン制御部6と同様にnpnトランジスタとpnpトランジスタが組み合わせられたデジタルトランジスタのスイッチ部91が設けられる。スイッチ部91のpnpトランジスタのエミッタに出力電圧Vo_SLが接続され、コレクタには、後述のスキャナCPU23が接続される。そして、pnpトランジスタのベースには、npnトランジスタのコレクタが接続される。又、npnトランジスタのエミッタはグランドに接続され、ベースには、監視リセットIC9の出力する信号M0が入力される。
【0087】
このように、メイン制御部6、エンジン制御部40、スキャナ制御部20にそれぞれスイッチ部91が設けられる。即ち、制御装置1には、デジタルトランジスタで構成され、電源装置7と、許可信号部(メインシーケンサ93)及びリセット部(各リセットIC、リセット回路97等)との間に設けられ、ON状態では、電源装置7の出力が許可信号部及びリセット部に印加される接続される状態とし、OFF状態では、電源装置7の出力が許可信号部及びリセット部に印加されない状態とするスイッチ部91と、を備え、監視部(監視リセットIC9)は、電源装置7の出力電圧Voが閾値電圧Vth以下の状態から、閾値電圧Vthを超えたとき、スイッチ部91をONさせる(起動信号M0)。
【0088】
監視リセットIC9は、出力電圧Voが閾値電圧Vthを超えると、Highとなる信号M0を出力する。その結果、スキャナ制御部20のスイッチ部91も導通し、出力電圧Vo_SLがスキャナCPU23に印加される。一方、監視リセットIC9は、出力電圧Voが閾値電圧Vth以下であれば、Lowとなる信号M0を出力する。その結果、スキャナ制御部20のスイッチ部91も非導通状態となり、出力電圧Vo_SLはスキャナCPU23に印加されない。
【0089】
スキャナCPU23は、内部にリセット回路97(リセット部に相当)を含むタイプのCPUである。リセット回路97は、スキャナCPU23が起動(初期動作)を開始してよいか確認を行うための回路である。言い換えると、リセット回路97は、スキャナCPU23のリセット解除を行う。具体的に、リセット回路97は、入力される電圧がHighに立ち上がり(出力電圧Vo_SLの印加があり)、その状態が一定時間維持されたことを確認する。スキャナCPU23は、その状態が一定時間維持されたことが確認できれば、起動を開始する。
【0090】
(起動時の動作)
次に、図5、図6を用いて、本発明の実施形態に係る制御装置1での起動時の動作の一例を説明する。図6は、本発明の実施形態に係る制御装置1の起動時の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0091】
本実施形態の制御装置1の起動は、複数に場合分けできる。そこで、通常の主電源ONの場合、省電力モードからの復帰の場合、瞬時停電が発生した場合に分けて、起動時の制御装置1の動作を説明する。
【0092】
[通常の主電源ONの場合]
通常の主電源ONとは、メインスイッチMSがOFF状態からON状態にされ、電源装置7が商用電源に接続された場合である。例えば、前日の業務終了時に複合機100のメインスイッチMSを切り、翌日の始業時に複合機100のメインスイッチMSをONした場合などが当てはまる。
【0093】
電源装置7が商用電源と接続されると、電源装置7は、各制御部用に電圧を生成し始める。これにより、電源装置7から出力電圧VoとVo_SLの出力が開始される(図6におけるT1の時点)。
【0094】
出力電圧Voが閾値電圧Vthをこえたことを監視リセットIC9は認識する。そして、閾値電圧Vthを超えてから、予め定められた時間が経過すると、監視リセットIC9は、出力信号M0をLowからHighに変化させる(図6におけるT2の時点)。これにより各制御部でのスイッチ部91がONとなり、メイン制御部6では、メインリセットIC92、メインシーケンサ93、エンジン制御部40ではエンジンリセットIC96、スキャナ制御部20では、スキャナCPU23に電源装置7が出力する電圧(Vo、Vo_SL)が印加される。
【0095】
次に、メインシーケンサ93は、出力電圧Voを受けてから予め定められた時間が経過すると、イネーブル信号M2をLowからHighに変化させる(図6におけるT3の時点)。これにより各DC−DCコンバータ8での駆動電圧の生成が開始される。そして、生成開始から定められた電圧が安定して出力されるまでの仕様上、設計上の時間が経過すると、各DC−DCコンバータ8は各素子用の駆動用電圧の出力を開始する(図6におけるT4の時点)。
【0096】
又、本実施形態のエンジン制御部40、スキャナ制御部20では、DC−DCコンバータ8は設けられず、DC−DCコンバータ8の安定駆動開始を確認しなくてよい。そこで、例えば、エンジンリセットIC96は、出力電圧Vo_SLを受けてから予め定められた時間が経過すると、エンジンCPU401の起動を開始させるため、信号E1のレベルをLowからHighに立ち上げる(図6におけるT3の時点)。これにより、エンジンCPU401の起動(立ち上げ)がなされる。又、リセット回路97は、出力電圧Vo_SLを受けてから予め定められた時間が経過すると、スキャナCPU23の起動を開始させる(図6におけるT3の時点)。これにより、スキャナCPU23でも起動(立ち上げ)がなされる。尚、エンジン制御部40、スキャナ制御部20で、DC−DCコンバータ8をもうける場合は、エンジンリセットIC96やリセット回路97は、DC−DCコンバータ8の安定駆動開始後に、信号E1の立ち上げやスキャナCPU23の起動が開始される。
【0097】
次に、メインリセットIC92は、出力電圧Voを受けてから予め定められた時間が経過すると(DC−DCコンバータ8の安定駆動開始以後が条件)、出力信号M1をLowからHighに変化させる(図6におけるT5の時点)。これによりメインCPU60での起動(立ち上げ)が開始される。
【0098】
このように、通常の主電源ONの場合、起動時の動作としては、(1)出力電圧Vo、Vo_SLがHighを出力→(2)監視リセットIC9がHighを出力→(3)メインシーケンサ93、エンジンリセットIC96、リセット回路97がHighを出力→(4)DC−DCコンバータ8がHighを出力→(5)メインリセットIC92がHighを出力の順番となる。
【0099】
[省電力モードからの復帰の場合]
本実施形態では、省電力モード中でもメイン制御部6には電力が供給される例を説明する。例えば、複合機100が操作されず、又、利用されない状態が、省電力モード移行時間(例えば、操作パネル5への入力により設定)だけ続いた場合、通常モードから省電力モードに移行する。
【0100】
省電力モードでは、例えば、メイン制御部6は、電源装置7に、エンジン制御部40やスキャナ制御部20への電力供給を停止させる指示を行う。そこで、例えば、電源装置7は、エンジン制御部40やスキャナ制御部20用の出力端子Vout2からの電力供給を停止させる(図6におけるT6の時点)。これにより、エンジン制御部40やスキャナ制御部20は動作を停止する。エンジン制御部40やスキャナ制御部20は制御を行わないので、画像形成部4Aや定着部4Bや画像読取部2等は動作せず、省電力が実現される。
【0101】
例えば、コンピュータ200からの画像データの送信や操作パネル5への入力等、省電力モードから通常モードへの復帰要因が生ずれば、メイン制御部6は、電源装置7に出力端子Vout2からの電力供給を再開させる(図6におけるT7の時点)。ここで、省電力モードでも電源装置7の出力電圧Voは、メイン制御部6に供給される。従って、監視リセットIC9の出力(信号M0)はHigh状態である。これにより、通常の主電源ONの場合と同様、Vo_SLがHighを出力、監視リセットIC9がHighを出力→エンジンリセットIC96、リセット回路97がHighを出力といった経過を辿り、エンジン制御部40やスキャナ制御部20は、起動する。
【0102】
[瞬時停電が発生した場合]
機器のメインスイッチMSの素早いON→OFF→ON動作や、配電系統での電圧ドロップ、機器への衝撃などに起因し、瞬時停電が生ずる場合がある。瞬時停電が生じると、電源装置7の出力電圧Vo、Vo_SLは一時的に小さくなる(図6におけるT8の時点)。この時、各DC−DCコンバータ8の出力も低下する。このため、DC−DCコンバータ8の出力が、メインCPU60等の各素子の駆動に要する電圧を下回ることがある。そうすると、メインCPU60等の素子の動作が停止するエラーが生ずる場合がある。そうすると、操作パネル5の液晶表示部51が表示されない、画像データを送信しても印刷されない、というように、複合機100は反応しない状態となることがある。
【0103】
複合機100が反応しない状態となっても、再起動することが考えられる。しかし、瞬時停電時に動作が停止する素子もあれば、停止せずに済む素子もある。又、瞬時停電の程度により、勝手にリセットが働く機能を有する素子もある。又、各DC−DCコンバータ8のうち、出力が停止するものもあれば、停止しないことも生じ得る。従来、確実、適切に再起動を行うため、あらゆる素子やDC−DCコンバータ8の状態に対応した複雑な再起動のシーケンスを用意していた。しかし、本発明の制御装置1は、複雑な再起動のシーケンスを用いず、確実、適切に再起動を行う。
【0104】
出力電圧VoとVo_SLが低下する瞬時停電が生ずると、監視リセットIC9は、出力電圧Voが閾値電圧Vth以下となったことを認識する(図6におけるT8の時点)。そうすると、監視リセットIC9は、出力信号M0をHighからLowに変化させる(図6におけるT8の時点)。
【0105】
これにより、メイン制御部6のスイッチ部91が非道通状態となり、出力電圧Voがメインシーケンサ93に入力されなくなる。そのため、電力供給が絶たれ、メインシーケンサ93のイネーブル信号M2はHighからLowに変化する(図6におけるT8の時点)。言い換えると、メインシーケンサ93は、ディスエーブル信号を出力し、各DC−DCコンバータ8での駆動電圧の生成が停止される(図6におけるT8の時点)。
【0106】
又、瞬時停電発生時、メイン制御部6のスイッチ部91が非道通状態となるので、出力電圧VoがメインリセットIC92に入力されなくなる。そのため、電力供給が絶たれ、メインリセットIC92の出力信号M1はHighにLowに変化する(図6におけるT8の時点)。
【0107】
又、瞬時停電発生時、監視リセットIC9の信号がLowとなるので、エンジンリセットIC96とスキャナCPU23にも、出力電圧Vo_SLが入力されなくなる。そのため、電力供給が絶たれ、エンジンリセットIC96や、リセット回路97の出力もHighからLowに立ち下がる(図6におけるT8の時点)。
【0108】
一方で、瞬時停電による一時的な電圧ドロップ後、出力電圧Voが閾値電圧Vthをこえたことを監視リセットIC9は認識する。そして、閾値電圧Vthを超えてから、予め定められた時間が経過すると、監視リセットIC9は、出力信号M0を再びLowからHighに変化させる(図6におけるT9の時点)。これにより、メインリセットIC92、メインシーケンサ93、エンジンリセットIC96、リセット回路97への電力供給が再開される。
【0109】
このように、監視リセットIC9が、瞬時停電発生時、各スイッチ部91を操作して、メインリセットIC92、メインシーケンサ93、エンジンリセットIC96、リセット回路97への電力供給を遮断し、通常の主電源ON時と同様の状態とする。
【0110】
これにより、図6に示すように、瞬時停電発生時の再起動時の動作も、(1)出力電圧Vo、Vo_SLがHighを出力→(2)監視リセットIC9がHighを出力(図6におけるT9の時点)→(3)メインシーケンサ93、エンジンリセットIC96、リセット回路97がHighを出力(図6におけるT3’の時点)→(4)DC−DCコンバータ8がHighを出力(図6におけるT4’の時点)→(5)メインリセットIC92がHighを出力の順番となる(図6におけるT5’の時点)。従って、通常の主電源ON時と、瞬時停電発生時での起動の動作が同じになる。
【0111】
即ち、本実施形態の制御装置1は、電源装置7と、電源装置7の出力電圧Voに基づき、動作用電圧を生成する1又は複数の2次電源部(DC−DCコンバータ8)と、電源装置7及び/又は2次電源部が出力する動作用電圧を受け動作する1又は複数の演算部(各CPU、IC等)と、2次電源部及び演算部(各CPU等)と、電源装置7との間に接続され、電源装置7の出力電圧Voを監視する監視部(監視リセットIC9)と、を備え、監視部は、電源装置7の出力電圧Voが予め定められた閾値電圧Vth以下の状態から、閾値電圧Vthを超えたとき(通常の主電源ON時、瞬時停電発生時を問わず)、演算部及び2次電源部を起動させるための起動信号(信号M0)を出力する。
【0112】
又、監視部(監視リセットIC9)と2次電源部(DC−DCコンバータ8)との間に接続され、起動信号(信号M0)が発せられると2次電源部での動作用電圧の生成を許可する許可信号(イネーブル信号M2)を出力する1又は複数の許可信号部(メインシーケンサ93)と、監視部と演算部との間に接続され、若しくは、演算部に内蔵され、起動信号(信号M0)が発せられると、許可信号部が許可信号(イネーブル信号M2)を出力した後に、演算部を起動させる1又は複数のリセット部(例えば、メインリセットIC92)と、を有する。
【0113】
(瞬時停電発生の有無の判断)
次に、図6、図7を用いて、本発明の実施形態に係る制御装置1での瞬時停電発生の有無の判断を説明する。図7は、本発明の実施形態に係る制御装置1の瞬時停電発生の有無の判断制御の一例を示すフローチャートである。
【0114】
まず、図7のフローチャートでのスタートは、メインCPU60の起動時、若しくは、起動後である。まず、上述したように、本実施形態の制御装置1には、蓄電部95と瞬停検知用IC94が設けられる。又、瞬停検知用IC94は、出力電圧Voが予め定められた一定値以下の状態から一定値を超えたとき(例えば、図6のT1の時点)、一定値を超えてから一定時間経過後(例えば、メインリセットICがHighを出力した後、言い換えると、T1〜T5の間の時間分経過後)に、LowからHighに変化する信号M3を出力する。更に具体的にいうと、瞬停検知用IC94が、信号M3をLowからHighに変化させるのは、出力電圧Voが閾値電圧Vthを超えてから、メインリセットIC92によってメインCPU60が起動した後(図6におけるT10の時点)である。
【0115】
そこで、メインCPU60は、起動後、瞬停検知用IC94の信号M3がLowからHighになる前に(図6におけるT5からT10、T5’からT10の間、白抜矢印で図示)、瞬停検知用IC94の出力(レベル)を確認する(ステップ♯1)。言い換えると、メインCPU60は、電源装置7の出力電圧Voが閾値電圧Vth以下の状態から超えた場合に、瞬停検知用IC94の信号M3がLowからHighになる前の時点で、瞬停検知用IC94の出力を確認する。
【0116】
そして、メインCPU60(メイン制御部6)は、瞬停検知用IC94の信号M3がLowであることを確認する(ステップ♯2)。もし、通常の主電源ONの際の起動ならば、メインCPU60は、瞬停検知用IC94の信号M3がLowとなる。一方、図6に示すように、瞬時停電発生による再起動ならば、蓄電部95の存在によって、瞬停検知用IC94の信号M3は、High状態を維持している。
【0117】
そのため、メインCPU60は、瞬停検知用IC94の信号M3がLowであると認識できれば(ステップ♯2のYes)、瞬時停電発生せず、通常の主電源ONと判断する(ステップ♯3→エンド)。一方、メインCPU60は、瞬停検知用IC94の信号M3がHighであると認識できれば(ステップ♯2のNo)、瞬時停電発生と判断する(ステップ♯4→エンド)。尚、瞬停検知用IC94の出力をエンジンCPU401や、スキャナCPU23に入力し、エンジンCPU401や、スキャナCPU23が瞬時停電発生の判断を行ってもよい。
【0118】
即ち、本実施形態の制御装置1は、電源装置7の出力電圧Voが入力され、電源装置7の出力電圧Voが、閾値電圧Vthを超えてから、演算部(例えば、メインCPU60)が起動した後に(予め定められた待機時間経過後に)、レベルが切り替わる瞬時停電判断用信号(信号M3)を出力する瞬時停電検知部(瞬停検知用IC94)と、電源装置7と瞬時停電検知部との間に設けられ、瞬時停電が発生したとき、瞬時停電検知部に入力される電源装置7の出力電圧Voの低下を緩和する蓄電部95と、を有し、演算部は、瞬時停電判断用信号M3を受け、電源装置7の出力電圧Voが閾値電圧Vthを超えてから待機時間を経過する前に、瞬時停電判断用信号M3のレベルを確認し、瞬時停電判断用信号M3のレベルが切り替わり前の状態であれば、通常の電源投入と判断し、瞬時停電判断用信号M3のレベルが切り替わり後の状態であれば、瞬時停電が発生したと判断する。
【0119】
(瞬時停電発生と判断された際の処理)
次に、図8及び図9に基づき、本発明の実施形態に係る制御装置1での瞬時停電発生と判断された際の処理の一例を説明する。図8は、本発明の実施形態に係る制御装置1での瞬時停電発生と判断された際の処理の一例を示すフローチャートである。図9は、本発明の実施形態に係る制御装置1での瞬時停電発生と判断された際の表示画面の一例である。
【0120】
まず、図8のフローチャートは、図7に示したフローチャートで瞬時停電発生と判断された時点である。そして、メイン制御部6(メインCPU60)は、タイマ部66に指示して日時情報を取得する(ステップ♯11)。例えば、日時情報は、「○○年△△月□□日◇◇時◎◎分」のように、年月日と時間で表される。
【0121】
そして、メイン制御部6は、ROM61やHDD63等の不揮発性の記憶装置に、日時情報とともに瞬時停電が発生した旨の履歴を記憶させる(ステップ♯12)。これにより、瞬時停電の発生を履歴として残すことができる。即ち、制御装置1は、データを記憶する記憶部(ROM61、HDD63等)を備え、記憶部は、瞬時停電発生と演算部(例えば、メインCPU60)が判断したとき、瞬時停電が生じた旨を記憶する。更に、制御装置1は、日時を計時するタイマ部66を備え、記憶部(ROM61、HDD63)は、瞬時停電発生と演算部(各CPU等)が判断したとき、瞬時停電が生じた旨とともに発生日時を記憶する。
【0122】
次に、メイン制御部6は、瞬時停電を報知する設定であるかを確認する(ステップ♯13)。もし、瞬時停電を報知する設定であれば(ステップ♯13のYes)、メイン制御部6は、操作パネル5の液晶表示部51に報知画面110を表示させて、瞬時停電が発生した旨を報知させる(ステップ♯14)。即ち、制御装置1は、使用者に報知を行う報知部(操作パネル5の液晶表示部51)を備え、報知部は、瞬時停電発生と演算部(例えば、メインCPU60)が判断したとき、瞬時停電が生じた旨を報知する。一方、瞬時停電を報知する設定でなければ(ステップ♯13のNo)、処理を終了する(エンド)。
【0123】
ここで、図9を用いて、報知画面110を説明する。図9に示すように、報知画面110では、使用者に対し、瞬時停電が発生したことや自動的な再起動がなされた等の各種メッセージが表示される。そして、報知画面110の下方には、閉じるキーK1が設けられ、操作パネル5は、閉じるキーK1が押下されたことを認識すると、報知画面110の表示を止める。
【0124】
又、図9に示すように、報知画面110には、チェックボックスCBが配される。このチェックボックスCBは、以後、瞬時停電が発生した旨の報知を行うか否かを選択するためのものである。瞬時停電の報知画面110の表示が煩わしければ、使用者は、チェックボックスCBを押下し、チェックを入れた状態で報知画面110を閉じればよい。これにより、HDD63やROM61等の不揮発性メモリに、瞬時停電による報知画面110を表示しない旨の設定データが記憶される。この設定データがあれば、メイン制御部6は、ステップ♯13で、瞬時停電を報知しない設定であると判断する。
【0125】
そして、報知画面110の表示の後、チェックを入れた状態で報知画面110が閉じられたため、メイン制御部6は、以後、瞬時停電発生を報知しない設定とすべきかを確認する(ステップ♯15)。もし、報知しない設定とすべきであれば(ステップ♯15のYes)、報知画面110を表示しない旨の設定データが記憶される(ステップ♯16)。一方、以後、瞬時停電発生を報知するのであれば(ステップ♯15のNo)、処理を終了すればよい(エンド)。
【0126】
このようにして、予め定められた閾値電圧Vthを超えるのは、通常の主電源ON(例えば、商用電源への1次電源としての電源装置7の接続)の場合と、瞬時停電後に電源装置7の出力電圧Voが回復した場合が考えられる。そこで、監視部(監視リセットIC9)は、電源装置7の出力電圧Voが予め定められた閾値電圧Vth以下の状態から、閾値電圧Vthを超えたとき、演算部(各CPU等)及び2次電源部(DC−DCコンバータ8)を起動させるための起動信号(信号M0)を出力する。これにより、瞬時停電発生時、自動的に制御装置1の再起動がなされる。従って、動作しない、反応しない状態が続かず、使用者に故障の誤認を与えることがない。
【0127】
又、通常の主電源ONの場合(例えば、1次電源としての電源装置7と商用電源の接続)の起動シーケンスと、瞬時停電後に電源装置7の出力電圧Voが回復した場合の再起動シーケンスとを同じものとすることができる。言い換えると、瞬時停電発生時の機器のあらゆる状態(パターン)に対応できるシーケンスを組む必要や、複数種の瞬時停電発生時用の再起動シーケンスを用意する必要がない。従って、起動シーケンスを1つだけ考慮すればよく、システム設計が容易となる。又、システム開発費も抑えることができる。
【0128】
又、起動信号(信号M0)が発せられると2次電源部(DC−DCコンバータ8)での動作用電圧の生成を許可する許可信号を出力する許可信号部(メインシーケンサ93)と、起動信号M0が発せられると、許可信号部が許可信号(イネーブル信号M2)を出力した後に、演算部(各CPU等)を起動させる1又は複数のリセット部(例えば、メインリセットIC92)が設けられる。これにより、2次電源部(DC−DCコンバータ8)が生成する動作用電圧に基づいて演算部(各CPU等)が動作する場合、2次電源部(DC−DCコンバータ8)が駆動した後、演算部(各CPU等)が起動する。従って、適切に演算部(各CPU等)を起動させることができる。
【0129】
又、演算部(例えば、メインCPU60)は、電源装置7の出力電圧Voが閾値電圧Vthを超えてから演算部が起動した後に、瞬時停電判断用信号(信号M3)のレベルを確認し、瞬時停電判断用信号M3のレベルが変化後の状態であれば、瞬時停電が発生したと判断する。これにより、演算部は、瞬時停電が発生したか否かを判断し、認識することができる。又、記憶部(ROM61、HDD63)は、瞬時停電が生じた旨を記憶する。これにより、瞬時停電が発生したことが履歴として残される。従って、メンテナンスの際、履歴を参照することで、不具合動作の原因調査、究明に役立てることができる。例えば、不具合動作が多く機器に異常がある場合、瞬時停電が頻繁に生じていれば、管理者は、基板の故障や配電系統での異常に起因すると判断できる。
【0130】
又、記憶部(ROM61、HDD63)は、瞬時停電が生じた旨とともに発生日時を記憶する。これにより、瞬時停電が発生したことと発生日時が履歴として残される。従って、メンテナンスの際、履歴、日時を参照することで、不具合動作の原因の詳細な調査、究明を行うことができる。又、報知部(操作パネル5の液晶表示部51)は、瞬時停電が生じた旨を報知する。これにより、使用者に瞬時停電の発生を報知することができる。例えば、1つコンセントに複数の機械を接続していれば(タコ足配線)、配電系統で瞬時停電(瞬間的な電圧ドロップ)が生じやすい。そこで、瞬時停電の発生を報知することで、使用者に対して設置環境(電力供給環境)の見直しの契機を与えることができる。
【0131】
又、蓄電部95をローパスフィルタとする。これにより、蓄電部95に要するコストを抑えることができる。又、監視部(監視リセットIC9)は、電源装置7の出力電圧Voが閾値電圧Vth以下の状態から、閾値電圧Vthを超えたとき、スイッチ部91をONさせる。これにより、監視部はスイッチ部91をON/OFFするだけで、制御装置1での起動を制御することができる。又、スイッチ部91はデジタルトランジスタでよく、スイッチ部91に要するコストを抑えることができる。
【0132】
又、画像形成装置(例えば、複合機100)は本発明の制御装置1を含むので、瞬時停電が生じても、自動的に再起動され、動作しない、反応しない状態が続かず、使用者に故障の誤認を与えない画像形成装置を提供することができる。又、画像形成装置のシステム設計が容易で、画像形成装置の開発費も抑えることができる。従って、画像形成装置の製造に要するコストを下げることができる。
【0133】
以下、別実施形態について説明する。上述の実施形態では、メイン制御部6にのみDC−DCコンバータ8が搭載される例を示したが、エンジン制御部40やスキャナ制御部20にDC−DCコンバータ8が搭載されてもよい。この場合、各CPUの前段にリセットICが設けられ、DC−DCコンバータ8の前段に、各DC−DCコンバータ用のシーケンサが設けられる。
【0134】
又、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明は、1次電源としての電源装置と、電源装置から電力の供給を受け、素子駆動用の電圧を生成する2次電源部を備える制御装置や、この制御装置を備えた画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0136】
1 制御装置 2 画像読取部
23 スキャナCPU(演算部) 4B 画像形成部
401 エンジンCPU(演算部) 5 操作パネル
51 液晶表示部(報知部) 60 メインCPU(演算部)
61 ROM(記憶部) 63 HDD(記憶部)
66 タイマ部 7 電源装置
8 DC−DCコンバータ(2次電源部)
9 監視リセットIC(監視部) 91 スイッチ部
92 メインリセットIC(リセット部)
93 メインシーケンサ(許可信号部)
94 瞬停検知用IC(瞬時停電検知部)
95 蓄電部 96 エンジンリセットIC(リセット部)
97 リセット回路(リセット部) 100 複合機(画像形成装置)
Vo 出力電圧 Vo_SL 出力電圧
Vth 閾値電圧 M0 信号(起動信号)
M2 イネーブル信号(許可信号) M3 信号(瞬時停電判断用信号)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源装置と、
前記電源装置の出力電圧に基づき、動作用電圧を生成する1又は複数の2次電源部と、
前記電源装置及び/又は前記2次電源部が出力する動作用電圧を受け動作する1又は複数の演算部と、
前記2次電源部及び前記演算部と、前記電源装置との間に接続され、前記電源装置の出力電圧を監視する監視部と、を備え、
前記監視部は、前記電源装置の出力電圧が予め定められた閾値電圧以下の状態から、前記閾値電圧を超えたとき、前記演算部及び前記2次電源部を起動させるための起動信号を出力することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記監視部と前記2次電源部との間に接続され、前記起動信号が発せられると前記2次電源部での動作用電圧の生成を許可する許可信号を出力する1又は複数の許可信号部と、
前記監視部と前記演算部との間に接続され、若しくは、前記演算部に内蔵され、前記起動信号が発せられると、前記許可信号部が前記許可信号を出力した後に、前記演算部を起動させる1又は複数のリセット部、を有することを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記電源装置の出力電圧が入力され、前記電源装置の出力電圧が、前記閾値電圧を超えてから、前記演算部が起動した後に、レベルが切り替わる瞬時停電判断用信号を出力する瞬時停電検知部と、
前記電源装置と前記瞬時停電検知部との間に設けられ、瞬時停電が発生したとき、前記瞬時停電検知部に入力される前記電源装置の出力電圧低下を緩和する蓄電部と、を有し、
前記演算部は、前記瞬時停電判断用信号を受け、前記電源装置の出力電圧が前記閾値電圧を超えてから前記待機時間を経過する前に、前記瞬時停電判断用信号のレベルを確認し、前記瞬時停電判断用信号のレベルが切り替わり前の状態であれば、通常の電源投入と判断し、前記瞬時停電判断用信号のレベルが切り替わり後の状態であれば、瞬時停電が発生したと判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
データを記憶する記憶部を備え、
前記記憶部は、瞬時停電発生と前記演算部が判断したとき、瞬時停電が生じた旨を記憶することを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
日時を計時するタイマ部を備え、
前記記憶部は、瞬時停電発生と前記演算部が判断したとき、瞬時停電が生じた旨とともに発生日時を記憶することを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
使用者に報知を行う報知部を備え、
前記報知部は、瞬時停電発生と前記演算部が判断したとき、瞬時停電が生じた旨を報知することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記蓄電部は、ローパスフィルタであることを特徴とする請求項3乃至6の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
デジタルトランジスタで構成され、前記電源装置と、前記許可信号部及び前記リセット部との間に設けられ、ON状態では、前記電源装置の出力が前記許可信号部及び前記リセット部に印加される接続される状態とし、OFF状態では、前記電源装置の出力が前記許可信号部及び前記リセット部に印加されない状態とするスイッチ部と、を備え、
前記監視部は、前記電源装置の出力電圧が前記閾値電圧以下の状態から、前記閾値電圧を超えたとき、前記スイッチ部をONさせることを特徴とする請求項2乃至7の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の制御装置を含むことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−229209(P2011−229209A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94077(P2010−94077)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】