説明

制御装置及び画像形成装置

【課題】ユーザが、所望の画像形成出力を得るための画像形成条件の設定を、容易に行えるようにする。
【解決手段】 シート材に画像を形成する画像形成手段を制御する制御装置において、上記画像形成手段が画像形成を行う際に使用する複数のパラメータの値の組の指定を受け付け、その受け付けたパラメータの値の組に基づいて、その組に含まれる1又は複数のパラメータの値を所定の解像度でその前又は後の値に変化させたパラメータの値の組を複数生成し、その生成した各組のパラメータの値に従った画像形成をそれぞれ上記画像形成手段に実行させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート材に画像を形成する画像形成手段を制御する制御装置及び、その制御装置と画像形成手段とを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙等のシート材に画像形成を行う画像形成装置において、シート材の材質や厚さなどに応じて、画像形成の条件を設定することが行われている。電子写真方式の場合には、転写時のバイアス電圧や、定着時の温度などの条件を設定することが考えられる。これは、シート材の材質や厚さに応じて、トナーの移りやすさや、シートの温度の変わりやすさが異なるためである。常に同じ条件で画像形成を行うのではなく、これらのシート材の特性を考慮した適切な条件で画像形成を行うことにより、より高品質の画像を形成することができる。
【0003】
しかし、初心者にとっては、シート材(材質は紙には限られないが、以下「用紙」という)の特性に合った条件を設定することは、容易ではない。そこで、予め用紙の種類毎に推奨の印刷条件を示すパラメータの値を画像形成装置に記憶させておき、用紙の種類を選択することで対応する推奨の印刷条件を設定できるようにすることが知られている。
また、用紙の材質や厚さと対応させて推奨の印刷条件を示すパラメータの値を画像形成装置に記憶させておき、予め登録されていない種類の用紙についても、材質や厚さを選択することにより、推奨の印刷条件を設定できるようにすることも知られている。
【0004】
さらに、特許文献1には、予め、給紙時の給紙コロの圧力、用紙の光透過率や光反射率等の用紙の特性情報を実際に計測し、それと対応付けて定着ローラの圧力や定着温度等の印刷条件を記憶させておき、印刷を実行する際にも同様に計測を行って、その計測で得た情報と対応する印刷条件を設定することが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、最適な印刷条件は、用紙の特性だけでなく、温度や湿度等の周囲の環境や、印刷内容(どの色をどの程度使用するか等)にも影響される。従って、装置に予め記憶させてある推奨条件が、常に最高の品質をもたらす条件であるとは限らない。また、ユーザが、好みに応じて、推奨の印刷条件を決めた際に理想的としたものとは異なる品質の出力結果を求める場合もありえる。
この発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、ユーザが、所望の画像形成出力を得るための画像形成条件の設定を、容易に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、この発明による制御装置は、シート材に画像を形成する画像形成手段を制御する制御装置において、上記画像形成手段が画像形成を行う際に使用する複数のパラメータの値の組の指定を受け付け、その受け付けたパラメータの値の組に基づいて、その組に含まれる1又は複数のパラメータの値を所定の解像度でその前又は後の値に変化させたパラメータの値の組を複数生成する条件生成手段と、上記条件生成手段が生成した各組のパラメータの値に従った画像形成をそれぞれ上記画像形成手段に実行させる制御手段とを設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
以上のような構成によれば、ユーザが、所望の画像形成出力を得るための画像形成条件の設定を、容易に行えるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の制御装置の第1の実施形態であるエンジンコントローラを含む画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示したエンジンコントローラのハードウェア構成を示す図である。
【図3】図1に示したエンジンコントローラの機能構成を示す図である。
【図4】図1に示した画像形成システムにおいて各装置がサポートしているパラメータについて説明するための図である。
【図5】画像形成パラメータDBに記憶させるデータの例を示す図である。
【図6】パラメータ登録画面の例を示す図である。
【図7】サンプル画像形成用パラメータ生成部が生成するパラメータの値の例について説明するための図である。
【図8】その別の図である。
【図9】サンプル画像形成の際にエンジンコントローラのCPUが実行する処理のフローチャートである。
【図10】この発明の制御装置の第2の実施形態であるエンジンコントローラの機能構成を示す、図3と対応するブロック図である。
【図11】この発明の制御装置の第3の実施形態であるエンジンコントローラの機能構成を示す、図3と対応するブロック図である。
【図12】第3の実施形態における画像の出力例を示す図である。
【図13】第4の実施形態におけるパラメータ指定画面の表示例を示す図である。
【図14】その別の例を示す図である。
【図15】そのさらに別の例を示す図である。
【図16】第4の実施形態においてパラメータ指定画面に関連してエンジンコントローラのCPUが実行する処理のフローチャートである。
【図17】図16に示したボタン表示処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
〔第1の実施形態:図1乃至図9〕
まず、この発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、この発明の制御装置の第1の実施形態であるエンジンコントローラを含む画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【0010】
図1に示すように、この画像形成システム100は、PC(パーソナルコンピュータ)110、上位装置120、プリンタエンジン130、操作パネル140及びエンジンコントローラ200を備えている。そして、上位装置120とエンジンコントローラ200との間は、制御線と伝送路で接続し、制御線を使ってコマンドのやり取りをしながら、伝送路を使って画像データを転送することができるようにしている。エンジンコントローラ200とプリンタエンジン130との間も同様である。これらの制御線及び伝送路を用いた通信には、任意の規格を用いることができる。これらを別々の信号線として設けることも必須ではない。
【0011】
そして、PC110は、プリンタエンジン130に実行させる画像形成ジョブを生成する機能を有する。この画像形成ジョブは、例えば、印刷すべき文書の内容を示す印刷中間データと、印刷に用いる用紙の選択、画像の配置(集約、見開き、製本印刷等)、両面印刷及び後処理の有無等の設定情報とを含むものである。PC110は、その生成した画像形成ジョブを、上位装置120に送信する。
【0012】
上位装置120は、PC110から画像形成ジョブを受信し、画像形成ジョブに含まれる印刷内容の情報に基づき必要に応じて描画や色変換の処理を行って、印刷すべき画像の画像イメージをYMCKの4色に分解して、ビットマップデータに展開する。そして、ビットマップデータに展開した画像データを、伝送路を経由して非圧縮でエンジンコントローラ200に転送する。画像形成ジョブに含まれる設定情報のうち、画像の配置のように描画に関係するものは上位装置120が参照するが、それ以外の設定情報は、ビットマップデータとは別に、制御線を用いてエンジンコントローラ200に転送する。この上位装置120は、例えばRIP(Raster Image Processor)サーバである。
【0013】
エンジンコントローラ200は、画像データバッファ210を持ち、上位装置120から転送された画像データを一度ここに蓄える。エンジンコントローラ200は、印刷しようとしているページの全ての色の画像データを受信したら、プリンタエンジン130を制御して印刷を行わせる。このとき、後述のように、上位装置120から渡された設定情報に基づき、プリンタエンジン130における画像形成条件を定めるパラメータの値を取得し、印刷を行わせる際に、その値をプリンタエンジン130に設定する。
【0014】
プリンタエンジン130は、エンジンコントローラ200からの指示に基づき用紙にYMCKの4色を重ね合わせたカラー画像を形成する画像形成手段を備えた画像形成装置である。
【0015】
操作パネル140は、ボタン、スイッチ、タッチパネル等の各種操作部と、ディスプレイやランプ等の各種表示部を備えた操作表示部である。そして、ユーザがエンジンコントローラ200に対し各種設定および動作の実行要求を行うためのインタフェースとして機能する。ユーザは、操作パネル140を介して、後述するパラメータの設定や、サンプル印刷の指示を行うことができる。なお、操作パネル140とエンジンコントローラ200との間の接続は、任意の規格のインタフェースを用いて行うことができる。操作パネル140とエンジンコントローラ200が一体であってもよい。
【0016】
次に、図2に、エンジンコントローラ200のハードウェア構成を示す。
図2に示すように、エンジンコントローラ200は、CPU201、ROM202、RAM203、NVRAM204、上位装置I/F(インタフェース)205、エンジンI/F206、パネルI/F207を備え、これらがシステムバス208により接続されている。
【0017】
これらのうちCPU201は、エンジンコントローラ200を統括制御する制御手段である。そして、ROM202に記録された所要のプログラムを実行し、図2に示した各部を制御することにより、図1を用いて説明した印刷に関する機能や、後述するパラメータの設定に関する機能をはじめ、種々の機能を実現する。
【0018】
ROM202は、CPU201が実行するプログラムや書き換えの不要なデータ等を記憶する不揮発性記憶手段である。
RAM203は、CPU201がワークエリアとして使用したり、一時的に保持すべきデータを記憶させたりする記憶手段である。
NVRAM204は、書き換え可能な不揮発性記憶手段であり、後述する画像形成パラメータDB211等の、書き換えが必要でかつ電源を切っても保持しておくべきデータを記憶させる記憶手段である。
【0019】
上位装置I/F205、エンジンI/F206、パネルI/F207は、それぞれ上位装置120、プリンタエンジン130及び操作パネル140との間でデータを送受信するためのインタフェースである。
【0020】
次に、図3に、エンジンコントローラ200の機能構成を示す。
図3に示すように、エンジンコントローラ200は、画像データバッファ210、画像形成パラメータDB(データベース)211、上位装置I/F部212、エンジンI/F部213、画像形成制御部214、操作パネル制御部215、パラメータ保持部216、パラメータ登録部217、サンプル画像形成指示部218、サンプル画像形成用パラメータ生成部219を備える。これらの各部の機能は、エンジンコントローラ200のCPU201が所要の制御プログラムを実行して図2に示した各部を制御することにより実現されるものである。
【0021】
これらのうち画像データバッファ210は、上位装置120から転送された画像データを一時的に蓄えるバッファである。また、画像データバッファ210には、サンプル画像形成に使用するための画像データを、書き変え不可能なデータとして登録しておく。この、画像データバッファ210は、図2に示したRAM203に設けることができる。また、ハードディスクドライブ等の大容量の記憶手段を用いるようにしてもよい。
【0022】
画像形成パラメータDB211は、上位装置120から送信されてくる画像形成ジョブに係る設定情報と、その設定情報に従った適切な画像形成を行うためにプリンタエンジン130に設定すべき画像形成パラメータの値とを対応付けて保持するDBである。この画像形成パラメータDB211は、図2に示したNVRAM204に設けることができる。また、画像形成パラメータDB211が保持しているデータは、エンジンコントローラ200内の各部から参照可能である。
【0023】
ここで、図4及び図5を用いて、画像形成パラメータDB211に記憶させるデータについて説明する。図4は、画像形成システム100において各装置がサポートしている(取り扱い可能な)パラメータを示す図である。図5は、画像形成パラメータDB211に記憶させるデータの例を示す図である。
【0024】
なお、PC110が生成した画像形成ジョブに含まれる設定情報には、上位装置120において画像をビットマップデータに展開する際に用いるべき情報と、プリンタエンジン130の動作に反映させるべき情報とが含まれる。また、後者には、両面有無や後処理有無など、画像形成ジョブに含まれる設定情報の内容をそのままプリンタエンジン130に設定できる(又は画像形成ジョブに含まれる設定情報とプリンタエンジン130に設定するパラメータの項目及び値との対応関係が明確な)ものと、そうでないものとがある。そのまま設定できないものの例としては、例えば、画像形成に用いる用紙の材質や厚さに応じた、転写や定着の条件に関するパラメータ(転写電圧や定着温度など)の設定がある。
【0025】
画像形成パラメータDB211には、このような、画像形成ジョブに含まれる設定情報の内容をそのままプリンタエンジン130に設定できないパラメータの値につき、画像形成ジョブに含まれる値と、プリンタエンジン130に設定すべきパラメータの種類及び各値とを、対応付けて記憶するようにしている。
【0026】
ここで、用紙の特性に応じた条件を用いて高品質の画像を形成しようとする場合、最終的にはプリンタエンジン130に転写電圧や定着温度をどのような値とするかを設定しなければならない。しかし、ユーザがこれから使おうとする用紙を見ても、その用紙に最適な条件を設定することは極めて困難である。
【0027】
そこで、画像形成システム100においてはまず、エンジンコントローラ200において、プリンタエンジンの各トレイ(又はトレイ以外の給紙部)から給紙される用紙の種類を、ユーザが把握しやすい特性である用紙材質や用紙厚さのパラメータにより特定可能としている。
【0028】
この材質及び厚さは、予め用意された選択肢から選択できるようにすればよい(図5参照)。材質であれば、普通紙、再生紙、光沢紙、特殊紙、OHPシート等である。厚さであれば、厚い、普通、薄い等である。用紙IDは、用紙の種類を一意に特定するためのIDであり、他のパラメータが変更されても、一旦割り当てられた用紙IDは変更されない。用紙名は、その種類に付す名称である。なお、用紙の種類は必ずしも材質と厚さのみによっては特定されないので、材質と厚さが共通な用紙が複数あってもよい。例えば、普通紙と再利用紙(おもて面に印刷済みの用紙の裏面に印刷する)等である。これらのパラメータを、用紙情報パラメータと呼ぶ。
【0029】
そして、エンジンコントローラ200において、各トレイと対応する用紙の種類を示す用紙情報パラメータを編集して登録することができる。このときには、用紙名も任意に設定することができる。そして、ユーザが新たに用紙情報パラメータを作成し、登録すると、エンジンコントローラ200は、その時点で用紙情報パラメータのセットに用紙IDを割り当て、図5(a)に示すテーブルに用紙種類の情報を登録する。そして、図示は省略するが、各トレイと対応する用紙は、用紙IDにより特定し、必要に応じて図5(a)に示すテーブルを検索することにより、これと対応付けられた情報(画像形成パラメータを含む)を取得することができる。
【0030】
また、エンジンコントローラ200は、図5(a)に示すテーブルの内容が変更されると、各用紙IDと対応する用紙情報パラメータを上位装置120に通知し、その情報を共有する。すなわち、図4に示すように、上位装置120も用紙情報パラメータをサポートしている。
【0031】
従って、上位装置120においては、例えば図5(a)に示すテーブルに含まれる用紙名により画像形成に用いる用紙の種類を指定することが可能であり、ユーザにとって直感的にわかり易い指定が可能である。PC110においても同様である。また、エンジンコントローラ200に対しては、その用紙名と対応する用紙IDを用いて画像形成に用いる用紙種類を指定することもできる。
ただし、上位装置120(及びPC110)は、指定された種類の用紙を用いる場合に実際にプリンタエンジン130におけるどのようなパラメータにどのような値を設定するかには、関知しない。
【0032】
一方、プリンタエンジン130は、ヒータや電極、モータといった物理的なハードウェアを制御するための基準値(目標値)を、パラメータとして持つ。これらのパラメータを画像形成パラメータと呼ぶ。図4及び図5には、上述の転写電圧や定着温度を代表として示しているが、これらに限られることはない。そして、エンジンコントローラ200がエンジンI/F部213を介してプリンタエンジン130に送信するコマンドにより、これらのパラメータの値を設定する。
【0033】
しかし、プリンタエンジン130は、ハードウェア制御のための基準値さえわかれば、画像形成に使用しようとする用紙の名前、材質、厚さ等を直接把握する必要はないので、図4に示すように、これらを示す用紙情報パラメータはサポートしていない。
従って、エンジンコントローラ200が、上位装置120とプリンタエンジン130との仲立ちをできるよう、用紙情報パラメータと画像形成パラメータとの対応関係を、画像形成パラメータDB211に記憶している。これが図5(a)に示すデータである。
【0034】
そして、上位装置120から指示された画像形成ジョブを実行する場合、画像形成ジョブ中から用紙IDの情報を取り出し、画像形成パラメータDB211にアクセスしてその用紙IDと対応する画像形成パラメータを取得してプリンタエンジン130に設定する。このことにより、画像形成に用いる用紙に適した条件で、プリンタエンジン130に画像形成を実行させることができる。
【0035】
また、図5(a)に示したテーブルに新たな用紙種類の情報を登録しようとする場合、その登録する時点で、画像形成パラメータについても何らかの初期値を与える必要がある。そこで、画像形成パラメータDB211には、図5(b)に示すように、用紙材質と用紙厚さの取り得る各値の組み合わせ毎に、画像形成パラメータの推奨値を記憶している(第1の記憶手段)。そして、新たに追加する用紙種類について用紙材質と用紙厚さが指定されると、エンジンコントローラ200は、それらの値の組み合わせに対応する推奨値を図5(b)のテーブルから読み出して、新たに追加する用紙種類についての画像形成パラメータの値の候補としてユーザに提示する。
【0036】
なお、画像形成パラメータの推奨値は、エンジンコントローラ200あるいはプリンタエンジン130のメーカーが、予め試験をして該当する材質及び厚さの用紙に好適な画像を形成できる条件を求め、登録しておくものである。ユーザはこれを変更することができない。
【0037】
この推奨値をそのまま用いてもある程度品質のよい画像形成を行うことができると考えられるが、これが必ずユーザの要求に合うとは限らない。そこで、後述のように、提示された候補は、図5(a)のテーブルに登録する前に、また登録した後にでも、変更できるようにしている。
なお、図4及び図5では、画像形成パラメータDB211に、用紙情報パラメータ及びこれと対応する画像形成パラメータを記憶させる例について説明したが、他のパラメータについても同様な取り扱いをしてもよい。
【0038】
ここで図3の説明に戻る。
図3に示した構成のうち、上位装置I/F部212は、上位装置120との間の通信を制御する機能を有し、画像形成制御部214およびパラメータ登録部217の要求に従い、上位装置120にコマンドを送信したり、上位装置120より受信したコマンドを画像形成制御部214に渡したりする。上位装置120から画像データを受信して画像形成制御部214に渡す機能も有する。
【0039】
エンジンI/F部213は、プリンタエンジン130との間の通信を制御する機能を有し、画像形成制御部214の要求に従い、プリンタエンジン130にコマンドを送信したり、プリンタエンジン130より受信したコマンドを画像形成制御部214に渡したりする。このコマンドには、上述のように画像形成パラメータの設定を要求するものや、設定済みの画像形成パラメータ及び転送する画像データに基づく画像形成の実行を指示するものが含まれる。
【0040】
画像形成制御部214は、上位装置I/F部212を介して、上位装置120とコマンドのやりとりをし、上位装置120からの印刷要求を受け付けると共に、上位装置120から画像データを受信し、画像データを画像データバッファ210に格納する機能を有する。そして、画像形成制御部214は、エンジンI/F部213を介して、プリンタエンジン130とコマンドのやりとりをしながら、印刷を実行する機能を有する。
【0041】
さらに、上述した通り、印刷に際して、上位装置120からの印刷要求に含まれる設定情報に対応する画像形成パラメータを画像形成パラメータDB211より取得し、プリンタエンジン130に設定する機能を有する。また、適切なタイミングで画像データバッファ210から画像データを取得し、プリンタエンジン130に画像データを送信する。画像形成が完了したら、画像データバッファ210から画像データを削除する機能も有する。
【0042】
また、画像形成制御部214は、サンプル画像形成指示部218によるサンプル画像形成の指示があった場合に、その指示と共に通知される画像形成パラメータをプリンタエンジン130に設定し、画像データバッファ210からサンプル画像形成用の画像としてあらかじめ登録されている画像データを取得し、プリンタエンジン130にその画像データを送信して画像形成を実行させる機能を有する。
【0043】
また、操作パネル制御部215は、操作パネル140の表示部への画面の表示指示及び操作部への操作の検出を行う機能を有する。そして、この実施形態の特徴と関連する画面として、操作パネル140に、図5(a)に示した用紙情報パラメータと対応する画像形成パラメータの設定及び、画像形成パラメータの設定に基づくサンプル印刷の実行の指示をユーザから受け付けるためのインタフェースとして、パラメータ登録画面を表示させる。
【0044】
図6にそのパラメータ登録画面の例を示す。
このパラメータ登録画面400には、用紙名入力部401、用紙材質入力部402、用紙厚さ入力部403、定着温度入力部404、転写電圧入力部405、用紙登録ボタン406、サンプル印刷ボタン407、タブ410を備える。
【0045】
このうちタブ410は、プリンタエンジン130が備えるトレイと対応して設けられ、どのトレイの用紙に関する設定を行うのかを選択するためのものである。なお、不図示の画面外操作子により用紙IDあるいは用紙名を指定して、その用紙IDあるいは用紙名と対応するパラメータを、指定したトレイに関する設定内容として画像形成パラメータDB211から呼び出すことも可能である。
【0046】
また、用紙名入力部401、用紙材質入力部402、用紙厚さ入力部403は、それぞれ図4及び図5に示した用紙名、用紙材質及び用紙厚さのパラメータの値の指定を受け付ける部分である。ユーザは、これらの部分にそれぞれ所望の値を入力して各パラメータの値を設定することができる(特性情報受付手段)。
【0047】
定着温度入力部404及び転写電圧入力部405は、それぞれ図4及び図5に示した定着温度及び転写電圧のパラメータの値の指定を受け付ける部分である。これらの部分についても、ユーザが所望の値を入力して各パラメータの値を設定することができる。ただし用紙材質及び用紙厚さの設定が変更された場合には、操作パネル制御部215が画像形成パラメータDB211の図5(b)に示したテーブルを参照して、変更後の用紙材質と用紙厚さの組に対応する推奨値を初期値として自動的に設定する(条件指定手段)。もちろん、その設定後の値を変更することも可能である。
【0048】
なお、図6の例では、定着温度及び転写電圧の値は具体的な数値ではなく、レベルにより指定するようにしている。各レベルと具体的な温度値や電圧値との対応関係は、プリンタエンジン130が把握していても、画像形成制御部214が把握してプリンタエンジン130に設定する際に変換してもよい。
【0049】
また、ここでは画像形成パラメータのうち定着温度と転写電圧のみの指定を受け付けるようにしているが、他のパラメータの指定も受け付けることができるようにしてもよいことは、もちろんである。いずれか一方のみ指定可能とすることも考えられる。
以上の用紙名入力部401〜転写電圧入力部405において各パラメータの値の指定を受け付けると、操作パネル制御部215はその値をパラメータ保持部216に渡して保持させる。
【0050】
用紙登録ボタン406は、パラメータ登録画面400に入力した内容を確定させるためのボタンである。これが操作された場合、パネル制御部215は、パラメータ登録部217に、その時点でパラメータ登録画面400において指定されている設定に基づき、画像形成パラメータDB211を更新することを指示する。なお、既存の用紙種類の情報を読み出して編集を開始した場合、この更新に際し、既存の登録内容を更新するか、新規に用紙種類を登録するかを選択できるようにするとよい。
【0051】
サンプル印刷ボタン407は、好適な画像形成パラメータの値をみつけるためのサンプル画像形成の実行を指示するためのボタンである。これが操作された場合、パネル制御部215は、サンプル画像形成指示部218に対し、サンプル画像形成の実行を指示する。
【0052】
再び図3の説明に戻る。
図3に示した構成のうち、パラメータ保持部216は、上述の通り操作パネル制御部215が表示させるパラメータ登録画面400において指定された各種パラメータの値を保持する機能を有する。パラメータ保持部216が保持するパラメータの値は、エンジンコントローラ200の各部から参照可能である。
【0053】
パラメータ登録部217は、操作パネル制御部215から画像形成パラメータDB211の更新指示を受信したとき、パラメータ保持部216から現在の指定内容の情報を取得し、それに従って画像形成パラメータDB211の、図5(a)に示したテーブルを更新する機能を有する。またこのとき、上位装置I/F部212を介して、その更新後の用紙情報パラメータの値を上位装置120に通知する機能も有する。
【0054】
サンプル画像形成指示部218は、操作パネル制御部215からサンプル画像形成の実行指示を受信すると、パラメータ保持部216から現在指定されている画像形成パラメータの値を取得し、それに基づいて画像形成制御部214にサンプル画像形成を実行させる機能を有する。このとき、取得した画像形成パラメータの値をサンプル画像形成用パラメータ生成部219に渡し、現在指定されているパラメータの値を所定の解像度でその前又は後の値に変化させたパラメータの値の組を複数生成させる。
【0055】
図7及び図8に、サンプル画像形成用パラメータ生成部219が生成するパラメータの値の例を示す。
サンプル画像形成用パラメータ生成部219は、条件生成手段であり、パラメータの指定値が与えられると、図7に示すように、指定値を所定の解像度(ここでは1レベル)だけ小さくした値と、所定の解像度だけ大きくした値とを生成する。これは、指定可能な値を番号の小さい方から大きい方、あるいは数値の小さい方から大きい方に並べた場合に、指定値より前の値と、後の値を作成することに当たる。
【0056】
また、このような前後の値の生成は、各パラメータについて個別に行う。
従って、図6のように定着温度と転写電圧の値が指定されている場合、それぞれに指定値の前及び後の値を生成するため、図8に示すように、2つのパラメータの値の組の指定に対し、その一方又は両方の値を変化させた値の組を8つ生成することになる。パラメータが3つ以上の場合も同様な生成が可能である。パラメータが3つの場合、各3値であるので、パラメータ登録画面400において指定された値の組そのものを除くと、パラメータの値の組を3−1=26個生成することになる。
【0057】
図3の説明に戻ると、サンプル画像形成指示部218は、以上のようにサンプル画像形成用パラメータ生成部219が生成したパラメータをそれぞれ画像形成制御部214に渡し、各組のパラメータを用いたサンプル画像形成の実行を指示する。現在指定されている値そのものについてもサンプル画像形成の実行を指示する。画像形成制御部214は、上述のようにこの指示に応じてプリンタエンジン130にサンプル画像の形成を実行させる。用紙トレイについては、サンプル印刷ボタン407が操作されたトレイを用いる。従って、ユーザはそのトレイに自身で指定した用紙材質や用紙厚さに合った用紙をセットしておく必要がある。
【0058】
また、サンプル画像形成用パラメータ生成部219が生成するのは、パラメータ登録画面400において設定可能な(ユーザが値を編集可能な)パラメータについてのみである。そこで、その他のパラメータの値については、図5(b)のテーブルに登録されている、用紙材質と用紙厚さに対応する推奨値を用いてサンプル画像形成を行うとよい。
【0059】
ここで、図9に、このサンプル画像形成の際にエンジンコントローラ200のCPU201が実行する処理のフローチャートを示す。
ユーザがパラメータ登録画面400においてサンプル印刷ボタン407を操作すると、CPU201は図9のフローチャートに示す処理を開始する。
この処理において、CPU201はまず、ステップS11で、サンプル印刷ボタン407の操作されたトレイについて指定されている画像形成パラメータの値の組を取得する。この処理は、サンプル画像形成指示部218の機能と対応する。
【0060】
次に、ステップS12で、その取得したパラメータの値の組から、予め定めたパラメータの値を所定の解像度で前又は後ろの値に変更した画像形成パラメータの値の組を複数生成する。この処理は、サンプル画像形成用パラメータ生成部219の機能と対応する。
そして、ステップS13で、ステップS12で生成した1番目の組のパラメータの値をプリンタエンジン130に設定する。このとき、必要なパラメータの値をステップS12で全て生成していなければ、適宜画像形成パラメータDB211に登録されている推奨値を設定する。そしてステップS14で、画像データバッファ210から、サンプル画像形成用の画像データを取得し、プリンタエンジン130にその画像データに基づく画像形成を実行させる。この画像形成は、ステップS13(又はS16)で設定したパラメータの値に従った条件で行われる。
【0061】
次に、CPU201はステップS15で、ステップS12で生成されたパラメータの値の組のうち未設定のものがあるか否か判断する。あれば、ステップS16で次の組の値をプリンタエンジン130に設定し、ステップS14に戻ってその設定した条件で画像形成を実行させる。なければ、全ての条件について画像形成が行われたので処理を終了する。
以上のステップS13乃至S16の処理は、画像形成制御部214の機能と対応する。
【0062】
以上の処理により、エンジンコントローラ200は、プリンタエンジン130に、パラメータ登録画面400で指定されている画像形成パラメータに従った条件に近い種々の条件で画像形成を実行させることができる。
従って、ユーザは、各条件で形成された画像を実際に見て、好ましい画像が形成できた時に用いたパラメータの値をパラメータ登録画面400に入力することにより、所望の画像形成出力を得るための画像形成条件の設定を、容易に行うことができる。
【0063】
このとき、初めに用紙情報パラメータを設定するときには、対応する画像形成パラメータとしてメーカーの推奨値を設定するようにしているため、それに近い条件での出力は、ある程度の品質は担保されていると考えられる。従って、多数回の試行により、用紙や時間を無駄にすることがない。
なお、この効果は、値を変化させた場合にそれに応じて画像の品質がある程度連続的に変化するようなパラメータに適用した場合に得られるものである。しかし、値が何らかの物理量を表すパラメータについては、基本的にはこの条件を満たすと考えられる。
【0064】
〔第2の実施形態:図10〕
次に、この発明の第2の実施形態について説明する。
図10は、この発明の制御装置の第2の実施形態であるエンジンコントローラの機能構成を示す、図3と対応するブロック図である。図3と共通する又は対応する箇所には同じ符号を用いた。
【0065】
第2の実施形態のエンジンコントローラ200′は、図10に示すモード設定部220を設けた点が第1の実施形態と異なるのみであるので、この点を中心に説明する。
モード設定部220は、画像形成制御部214に対し、通常モード及び設定モードのいずれかの画像形成モードを設定する機能を有する。
【0066】
そして、操作パネル制御部215は、操作パネル140にパラメータ登録画面400を表示させた場合に、モード設定部220に指示して設定モードを設定させ、パラメータ登録画面400の表示を終了した場合に、同じく通常モードを設定させる。
また、画像形成制御部214は、通常モードが設定された場合には、上述した第1の実施形態と同じ動作をする。しかし、設定モードが設定された場合には、その間に上位装置120から画像形成ジョブの実行を指示されても、画像形成すべき画像データを画像データバッファ210に保存した後、画像形成の実行をせずに待機する。この画像データは、任意のページ数のものでよい。
【0067】
そして、その状態でサンプル画像形成指示部218からサンプル画像形成の実行を指示されると、画像データバッファ210に予め登録されているサンプル画像形成用の画像データに代えて、上記で保存した画像データを用いて、プリンタエンジン130に各画像形成条件での画像形成を行わせる。その後画像データバッファ210から、保存した画像データを削除する。このとき、上位装置120に対して、画像形成ジョブの実行が完了した旨の応答を返す。
【0068】
第2の実施形態においては、以上の機能を設けたことにより、予め用意されている画像データだけでなく、ユーザが任意に選んだ画像データを用いてサンプル画像形成を行うことができる。従って、実際に印刷しようする画像を確認しつつ画像形成パラメータの設定を行うことができ、よりユーザの要望に合った出力の可能なパラメータを設定することができる。また、この画像データの登録も、通常の画像形成ジョブ実行指示と同様な手順で行うことができ、操作の負担も小さい。
なお、画像データバッファ210に画像形成ジョブに係る画像データが蓄積されていない場合には、第1の実施形態の場合と同様、予め登録されているサンプル画像形成用の画像データを用いればよい。
【0069】
〔第3の実施形態:図11,図12〕
次に、この発明の第3の実施形態について説明する。
図11は、この発明の制御装置の第3の実施形態であるエンジンコントローラの機能構成を示す、図3と対応するブロック図である。図3と共通する又は対応する箇所には同じ符号を用いた。
【0070】
第3の実施形態のエンジンコントローラ200″は、図11に示す画像データ生成部221を設けた点が第1の実施形態と異なるのみであるので、この点を中心に説明する。
画像データ生成部221は、画像形成制御部214からの要求に応じて、サンプル画像形成用の画像データを生成する機能を有する。
【0071】
そして、この実施形態においては、画像形成制御部214がサンプル画像形成指示部218からサンプル画像形成実行の指示を受けた場合、画像データバッファ210に予め登録されているサンプル画像形成用の画像データに加え、又はそれに代えて、画像データ生成部221に生成させた、画像形成パラメータの値の組毎に異なる画像データも用いて、プリンタエンジン130に画像形成を実行させる。
また、画像データ生成部221には、画像形成に用いる画像形成パラメータの値を示す文字列の画像データを生成させるようにするとよい。
【0072】
図12に、そのような画像データを用いた画像形成出力の例を示す。
302,304及び306は、サンプル画像形成用の画像データに基づく画像形成結果であり、用いた条件によって品質が異なる出力となっている。
301,303及び305が、画像データ生成部221が生成した画像データに基づく画像形成結果である。これらのページについては、図示の都合上同じような品質の画像として示しているが、それぞれ302,304及び306と同じ条件で画像形成を行うので、実際には異なる品質の画像が出力される。
【0073】
このように、サンプル画像形成した各画像形成結果と対応させて、用いた画像形成パラメータの値を示す画像、あるいは用いた条件を識別できるような画像を合わせて出力することにより、ユーザは、好ましい画像形成結果と対応する条件を容易に把握して設定することができる。
なお、画像データ生成部221が、サンプル画像と、画像形成パラメータの値を示す画像とを合成して同じページに収めるようにしてもよい。
【0074】
〔第4の実施形態:図13乃至図17〕
次に、この発明の第4の実施形態について説明する。
この第4の実施形態は、画像形成パラメータの指定の受け付け方及び、サンプル画像形成用のパラメータの組を生成する範囲が主に第1の実施形態と異なる。そこで、これらの点を中心に説明する。また、第1の実施形態と共通する又は対応する箇所には同じ符号を用いる。
【0075】
まず、図13乃至図15に、この実施形態のエンジンコントローラ200が画像形成パラメータの指定の受付に用いるパラメータ指定画面の例を示す。
第4の実施形態において、エンジンコントローラ200の操作パネル制御部215は、パラメータ登録画面400の表示中に、パラメータ登録画面400内又は画面外に設けた不図示の操作子が操作されると、図13に示すパラメータ指定画面500を操作パネル140にポップアップ表示させる。
【0076】
このパラメータ指定画面500は、パラメータ登録画面400において指定を受け付ける画像形成パラメータ(ここでは定着温度と転写電圧)の入力を受け付けると共に、サンプル画像形成に用いる条件の指定も受け付けるための画面である。
このパラメータ指定画面500は、図13に示すように、横軸間隔入力部501、縦軸間隔入力部502、横軸値表示部503、縦軸値表示部504、サンプル印刷ボタン505、設定ボタン506及びキャンセルボタン507、および条件選択部600を備える。
【0077】
これらのうち、横軸間隔入力部501及び縦軸間隔入力部502は、それぞれ横軸及び縦軸のパラメータの値を設定する際の解像度を設定する部分である。第4の実施形態においては、パラメータの値を具体的な数値で指定するようにしており、どの程度細かくその数値を指定できるようにするかを、横軸間隔入力部501及び縦軸間隔入力部502により設定することができる。
【0078】
ただし、これらの入力部には、実際にプリンタエンジン130に設定可能な値の間隔の整数倍の値しか入力できない。例えば、定着温度が1℃単位で設定可能であれば、横軸間隔入力部501には自然数を入力可能である。転写電圧が10V単位で設定可能であれば、縦軸間隔入力部502には10の倍数を入力可能である。
【0079】
横軸値表示部503及び縦軸値表示部504は、それぞれ条件選択部600に設けたボタン601〜635と対応する横軸及び縦軸のパラメータの値を表示する。このとき、中心のボタン618と対応する値として、現在指定されている各パラメータの値を表示する。他のボタンと対応する値は、ボタン618と対応する値を基準に、横軸間隔入力部501又は縦軸間隔入力部502で設定されている間隔ずつ変化させた値を表示する。従って、横軸値表示部503及び縦軸値表示部504に表示される値は、必ずしも横軸間隔入力部501又は縦軸間隔入力部502で設定されている間隔の整数倍にはならない。また、ボタン618は、基準であることを示すため、他のボタンと異なる二重線の輪郭にて表示している。
【0080】
また、サンプル印刷ボタン505は、図6に示したサンプル印刷ボタン407と同様、サンプル画像形成の実行を指示するためのボタンである。
設定ボタン506は、パラメータ指定画面500における現在の各画像形成パラメータの値の指定を確定させるためのボタンである。このボタンが操作された場合、パラメータ指定画面500を閉じて、パラメータ登録画面400に、パラメータの値の指定を反映させる。あるいは、パラメータ登録画面400で用紙登録ボタン406が操作された場合と同様、現在指定されているパラメータの値に基づき、画像形成パラメータDB211を更新するようにしてもよい。
【0081】
キャンセルボタン507は、パラメータ指定画面500においてしたパラメータの値の指定を反映させずに、パラメータ指定画面500を閉じて、パラメータ登録画面400に戻るためのボタンである。
【0082】
また、条件選択部600に設けたボタン601〜635は、横軸値表示部503及び縦軸値表示部504に表示されている画像形成パラメータの値の組毎に、その条件でサンプル画像形成を行うか否かの指定を受け付けるためのボタンである。図13では、「○」(第3の態様)がサンプル画像形成に用いる条件を、「×」(第1の態様)が用いない条件を示す。そして、各ボタンをシングルクリックすることにより、○と×の表示を反転させることができる。
【0083】
なお、パラメータ指定画面500を表示させた時点では、その時点で指定されているパラメータの値と対応するボタン618と、その周囲8つのボタンを「○」に、それ以外のボタンを「×」にする。これは、第1の実施形態におけるサンプル画像形成用パラメータ生成部219によるパラメータの値の組の生成と同趣旨であり、指定されている2つのパラメータの値の組に対し、その一方又は両方の値を、指定された解像度で前後に変化させたものを用いてサンプル画像形成を行うべきことを示すものである。
【0084】
そして、サンプル印刷ボタン505が操作された場合、操作パネル制御部215は、「○」が表示されているボタンの位置と対応する条件を、サンプル画像形成用の条件として生成してサンプル画像形成指示部218に渡す。サンプル画像形成指示部218は、その渡された条件全てについて、画像形成制御部214にサンプル画像形成の実行を指示する。
【0085】
また、実際にサンプル画像形成に用いたパラメータの値の組は、任意の記憶手段に記憶させておく(第2の記憶手段)。そして、パラメータ指定画面500において、既にサンプル画像形成に用いた値の組と対応するボタンがあれば、そのボタンについては、図13に示した○や×ではなく、そのことを示す表示を行う。
【0086】
図14に示すのがその例であり、図13に示した状態でサンプル画像形成を行い、図13で○の表示としていたボタンを、既にサンプル画像形成に用いた条件であることを示す白抜きの×の表示(第2の態様)としている。
なお、横軸間隔入力部501又は縦軸間隔入力部502において間隔を変更した場合、条件選択部600に、既にサンプル画像形成に用いた条件と対応するボタンがなくなることもある。この場合は、全てのボタンについて図13に示した○や×の表示を行えばよい。
【0087】
また、条件選択部600に設けたボタンは、パラメータの値の指定を受け付ける機能も有する。ユーザがいずれかのボタンをダブルクリックすると、そのボタンと対応するパラメータの値を、パラメータ登録画面400で指定した用紙種類と対応する画像形成パラメータの値として指定することができる。もちろん、白抜きの×が表示されているボタンも操作することができる。
【0088】
この指定がなされた場合、操作パネル制御部215は、ボタン618が新たに指定されたパラメータの値を示すよう、パラメータ指定画面500の表示を更新する。このとき、基本的には、初めにパラメータ指定画面500を表示する場合と同様、ボタン618と、その周囲8つのボタンの表示を「○」にする。
【0089】
しかし、それらのボタンのうち、既にサンプル画像形成に用いた条件を示すボタンについては、「○」ではなく白抜きの×の表示とする。これは、通常の「×」と同様、サンプル画像形成に用いない旨を示す表示である。既にサンプル画像形成に用いた条件については、再度サンプル画像形成を行っても、既に得たものと同じ出力が得られるだけであり、無駄になるため、このようにしたものである。
【0090】
図15は、図14の状態からボタン618をダブルクリックした状態の表示を示すが、ボタン617及び622については、既にサンプル画像形成に用いた条件を示すボタンであるので、ボタン618の周囲8つのボタンではあるが、白抜き×の表示となっている。
また、ボタン616,621,626,627についても、既にサンプル画像形成に用いた条件と対応するボタンであるので、単なる「×」ではなく、そのことを示す白抜き×の表示としている。
【0091】
従って、図15に示す状態でサンプル印刷ボタン505が操作された場合、操作パネル制御部215は、ボタン612〜614,618,619,623及び624と対応する条件を、サンプル画像形成用の条件として生成してサンプル画像形成指示部218に渡し、それらの条件についてのサンプル画像形成を実行させる。
【0092】
以上のような画面を用いてサンプル画像形成の指示を受け付ければ、指定された条件に近い条件について自動的にサンプル画像形成に用いることを指定しつつ、既に実行済みの条件については、その指定の対象から外すことができる。従って、同じ条件での重複したサンプル画像形成を効果的に排除しつつ所望の条件でのサンプル画像形成を実行することができる。
【0093】
ここで、図16及び図17に、パラメータ指定画面500に関連してエンジンコントローラ200のCPU201が実行する処理のフローチャートを示す。
パラメータ指定画面500の表示が指示されると、CPU201は図16のフローチャートに示す処理を開始する。
【0094】
この処理において、CPU201はまず、ステップS31で、パラメータ登録画面400において現在指定されている画像形成パラメータの値の組から、各軸と対応するパラメータの値を取得する。現在指定されている値は、パラメータ登録画面400において用紙材質や用紙厚さが変更された直後であれば、画像形成パラメータDB211から読み出した推奨値である。
【0095】
次に、ステップS32で、ボタン618と対応するパラメータの値を、ステップS31で取得した値とする。そして、ステップS33で、パラメータ指定画面500の枠を操作パネル140に表示させると共に、ステップS32で定めた値及び、横軸間隔入力部501及び縦軸間隔入力部502で設定されている間隔の値(初めて表示させる場合にはデフォルト値)に基づき、横軸値表示部503及び縦軸値表示部504における、各ボタンと対応する値を表示させる。
【0096】
その後、ステップS34で、ボタン601〜635のそれぞれについて、図17に示すボタン表示処理を実行する。
このボタン表示処理では、まずステップS51で、処理対象のボタンと対応する条件はサンプル画像形成実行済みであるか否か判断する。実行済みでない場合、ステップS52で、処理対象のボタンはボタン618又は周囲の8つのボタンのいずれかであるか否か判断する。ここでYESであれば処理対象のボタンの表示を○とし(ステップS53)、NOであれば×とする(ステップS54)。また、ステップS51で実行済みであれば、白抜きの×の表示とする(ステップS55)。
いずれの場合も以上で図16の処理に戻る。
【0097】
以上の処理により、図13乃至図15を用いて説明したパラメータ指定画面500を操作パネル140に表示させることができる。そしてその後、CPU201はステップS35でユーザの入力を待ち、ステップS36で入力内容を判断して、その内容に応じた処理を行う。
まず、ボタン601〜635のいずれかがシングルクリックされた場合、ステップS37でボタンの表示の○×を反転させて、ステップS35に戻り表示を更新する。
【0098】
サンプル印刷ボタン505が操作された場合、ステップS38で、○表示の各ボタンと対応する条件(パラメータの値の組み合わせ)を用いてプリンタエンジン130にサンプル画像形成を行わせ、その用いた条件を記憶する。その後、ステップS35に戻って次の操作を待つ。
【0099】
横軸間隔入力部501又は縦軸間隔入力部502において間隔の変更操作があった場合には、ステップS39で、変更後の間隔に基づき横軸値表示部503及び縦軸値表示部504における、各ボタンと対応する値の表示を更新する。これに伴ってボタンがサンプル画像形成済みの条件と対応するものでなくなった、又は対応するものとなった可能性があるため、ステップS34に戻って表示を更新する。
【0100】
ボタン601〜635のいずれかがダブルクリックされた場合、ステップS40で、ボタン618と対応するパラメータの値を、ダブルクリックされたボタンと対応する値とし、ステップS33に戻って軸及び各ボタンの表示を更新する。
設定ボタン506が操作された場合、ステップS41でボタン618と対応するパラメータの値をパラメータ登録画面400の対応する欄に入力して、ステップS42でパラメータ指定画面500を閉じ、処理を終了する。
【0101】
キャンセルボタン507が操作された場合、そのままステップS42でパラメータ指定画面500を閉じ、処理を終了する。
以上の処理により、パラメータ指定画面500における図13乃至図15を用いて説明した機能を実現することができる。
【0102】
以上で実施形態の説明を終了するが、この発明において、システムあるいはそれを構成する各装置の具体的な構成や、実行する処理の内容、データの形式、画面の表示内容、取り扱うパラメータの数や種類等は、実施形態で説明したものに限るものではない。
例えば、上述した各実施形態では画像形成パラメータとして定着温度及び転写電圧の2つのパラメータの値を設定する例について説明したが、1つ又は3つ以上のパラメータの値を設定する際に本発明を適用することもできる。
【0103】
ただし、第4の実施形態については、3つ以上のパラメータを同時に変化させると表示が見づらくなる。そこで、3つ以上のパラメータの値を設定する場合、値を変化させるパラメータをその中から2つ選択させ、残りのパラメータの値を固定として、順次パラメータの値を設定させるようにするとよい。
【0104】
また、サンプル画像形成用に生成するパラメータの値の組は、指定されている値から所定の解像度で前後に1段階変化させたものとしたが、複数段階変化させたものを生成するようにしてもよい。例えば、前後2段階変化させたものを生成し、元の値を含む5つの条件(パラメータ1つの場合)を生成するようにしてもよい。
また、上述した実施形態におけるエンジンコントローラ200とプリンタエンジン130及び操作パネル140は、それぞれ別体として設ける他、これらを一体として構成することもできる。
また、以上説明してきた実施形態の構成は、相互に矛盾しない限り任意に組み合わせて実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0105】
100:画像形成システム 110:PC 120:上位装置
130:プリンタエンジン 140:操作パネル
200,200′,200″:エンジンコントローラ
201:CPU 202:ROM 203:RAM 204:NVRAM
205:上位装置I/F 206:エンジンI/F 207:パネルI/F
210:画像データバッファ 211:画像形成パラメータDB
212:上位装置I/F部 213:エンジンI/F部 214:画像形成制御部
215:操作パネル制御部 216:パラメータ保持部 217:パラメータ登録部
218:サンプル画像形成指示部 219:サンプル画像形成用パラメータ生成部
220:モード設定部 221:画像データ生成部 400:パラメータ登録画面
500:パラメータ指定画面 600:条件選択部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0106】
【特許文献1】特開2004−61755号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材に画像を形成する画像形成手段を制御する制御装置であって、
前記画像形成手段が画像形成を行う際に使用する複数のパラメータの値の組の指定を受け付け、その受け付けたパラメータの値の組に基づいて、その組に含まれる1又は複数のパラメータの値を所定の解像度でその前又は後の値に変化させたパラメータの値の組を複数生成する条件生成手段と、
前記条件生成手段が生成した各組のパラメータの値に従った画像形成をそれぞれ前記画像形成手段に実行させる制御手段とを備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
画像形成に使用するシート材の特性の情報の各値について、前記複数のパラメータの値の組の既定値を記憶する第1の記憶手段と、
画像形成に使用するシート材の特性の情報の入力を受け付ける特性情報受付手段と、
該特性情報受付手段が受け付けた情報に基づき、前記条件生成手段に対して前記第1の記憶手段に記憶している既定値を指定する条件指定手段とを備えたことを特徴とする制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の制御装置であって、
前記制御手段が前記画像形成手段に画像形成を実行させる際に用いたパラメータの値の組を記憶する第2の記憶手段を備え、
前記条件生成手段は、
表示手段に表示させる受付画面に、前記複数のパラメータの値の組の候補として、各パラメータの値がそれぞれ基準値から前記所定の解像度で変化させて得られる値となっている前記複数のパラメータの値の組を第1の態様で複数表示させる第1の手段と、
前記受付画面に表示されている候補のうち、前記第2の記憶手段に記憶されている既に用いたパラメータの組に該当する候補を、前記第1の態様に代えて、該第1の態様と異なる第2の態様で表示させる第2の手段と、
前記受付画面に表示させた候補のいずれかが指定された場合に、前記受付画面に表示されている候補のうち、該指定された候補と、各パラメータの値が該指定された候補における値の直前又は直後の値である候補であって前記第2の記憶手段に記憶されている既に用いたパラメータの組に該当しない候補とを、前記第1及び第2の態様と異なる第3の態様で表示させる第3の手段と、
前記第3の態様で表示されている各候補に該当するパラメータの値の組を生成して前記制御手段に供給する第4の手段とを備えることを特徴とする制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の制御装置であって、
画情報の入力を受け付ける入力手段を備え、
前記制御手段は、前記画像形成手段に前記入力手段が受け付けた画情報に基づく画像を形成させることを特徴とする制御装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の制御装置と、前記画像形成手段とを備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−64835(P2013−64835A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202982(P2011−202982)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】