説明

制御装置

【課題】スキャンデータを含むファイルのファイル形式を適切に決定し得る新規な技術を提供する。
【解決手段】多機能機10は、原稿D1〜D4をスキャンすることによって生成される4ページ分のスキャンデータP1〜P4を含むファイル200又は210を生成する。多機能機10は、スキャンデータP1について定型と判断すると、スキャンデータP1〜P4を含み、ページ概念を有する第1のファイル形式を有するファイル200を生成する。一方、多機能機10は、スキャンデータP1について非定型と判断すると、スキャンデータP1〜P4を含み、ページ概念を有さない第2のファイル形式を有するファイル210を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、スキャン実行部を制御するための制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、原稿のスキャンを実行してスキャンデータを生成し、このスキャンデータを所定のファイル形式で保存する画像読取装置が開示されている。この画像読取装置は、スキャンデータを用いて原稿の輝度分布状態を検出し、その検出結果に応じて原稿の種別(例えば自然画(写真)、カラー文書、モノクロ文書等)を判定する。画像読取装置は、スキャンデータのファイル形式として、原稿の種別に応じたファイル形式を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−176564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、スキャンデータを含むファイルのファイル形式を適切に決定することができない可能性がある。本明細書では、スキャンデータを含むファイルのファイル形式を適切に決定し得る新規な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、スキャン実行部を制御するための制御装置を開示する。制御装置は、第1の取得部と、第2の取得部と、決定部と、を備える。第1の取得部は、スキャン実行部によってスキャンが実行される特定の原稿のスキャン長及びスキャン幅の少なくとも一方に関係する第1の情報を取得する。第2の取得部は、所定の規格で定められている用紙サイズに関係する第2の情報を取得する。決定部は、スキャン実行部が特定の原稿のスキャンを実行することによって生成される特定のスキャンデータを含む特定のファイルを、ファイル生成部に生成させるために、特定のスキャンデータを含む特定のファイルのファイル形式を決定する。決定部は、第1の情報が第2の情報に適合する場合に、ページ概念を有する第1のファイル形式を、特定のファイルのファイル形式として決定し、第1の情報が第2の情報に適合しない場合に、ページ概念を有さない第2のファイル形式を、特定のファイルのファイル形式として決定する。
【0006】
上記の構成によると、制御装置は、スキャン長及びスキャン幅の少なくとも一方に関係する第1の情報が、所定の規格で定められている用紙サイズに関係する第2の情報に適合する場合に、ページ概念を有する第1のファイル形式を、特定のファイルのファイル形式として決定し、第1の情報が第2の情報に適合しない場合に、ページ概念を有さない第2のファイル形式を、特定のファイルのファイル形式として決定する。従って、この制御装置では、従来とは異なる新規な手法を用いて、特定のファイルのファイル形式を適切に決定し得る。
【0007】
なお、上記の制御装置を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータ読取可能記録媒体も、新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】通信システムの構成の一例を示す。
【図2】設定変更画面の一例を示す。
【図3】第1実施例の多機能機処理のフローチャートを示す。
【図4】第1実施例の決定処理のフローチャートを示す。
【図5】第1実施例において、ファイルを生成する様子を示す。
【図6】第2実施例の多機能機処理のフローチャートを示す。
【図7】第2実施例において、ファイルを生成する様子を示す。
【図8】第3実施例の多機能機処理のフローチャートを示す。
【図9】第3実施例において、ファイルを生成する様子を示す。
【図10】第4実施例において、ファイルを生成する様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施例)
(システムの構成)
図1に示すように、通信システム2は、多機能機(PCの周辺機器)10と、PC110と、を備える。多機能機10とPC110とは、LAN4に接続されている。多機能機10とPC110とは、LAN4を介して相互に通信可能である。
【0010】
(多機能機10の構成)
多機能機10は、印刷機能、スキャン機能、コピー機能等を含む多機能を実行可能である。多機能機10は、表示部12と、操作部14と、ネットワークインターフェイス16と、スキャン実行部18と、印刷実行部20と、制御部22と、を備える。上記の各部12〜22は、バス線11に接続されている。
【0011】
表示部12は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。操作部14は、複数のキーによって構成されている。ユーザは、操作部14を操作することによって、様々な指示を多機能機10に入力することができる。スキャン実行部18は、CCD、CIS等のスキャン機構(即ち複数個のイメージセンサ)を備え、制御部22からの指示に従って、原稿のスキャンを実行する。印刷実行部20は、インクジェット方式、レーザ方式等の印刷機構を備え、制御部22からの指示に従って印刷を実行する。
【0012】
制御部22は、CPU24とメモリ26とを備える。CPU24は、メモリ26に格納されているプログラム(図示省略)に従って、様々な処理を実行する。CPU24が当該プログラムに従って処理を実行することによって、第1の取得部30、第2の取得部32、決定部34、及び、ファイル生成部36の各機能が実現される。
【0013】
メモリ26は、上記のプログラムの他に、用紙サイズ情報28を格納している。用紙サイズ情報28は、多機能機10の出荷段階においてメモリ26に予め格納されている。用紙サイズ情報28は、ISO(International Organization for Standardization)で定められている複数種類の用紙サイズのそれぞれについて、当該種類の用紙サイズの縦サイズの値と横サイズの値とを含む。
【0014】
(PC110の構成)
PC110は、表示部112と、操作部114と、ネットワークインターフェイス116と、制御部122と、を備える。各部112〜122は、バス線111に接続されている。表示部112は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。操作部114は、キーボード及びマウスによって構成されている。ユーザは、操作部114を操作することによって、様々な指示をPC110に入力することができる。ネットワークインターフェイス116は、LAN4と接続されている。
【0015】
制御部122は、CPU124と、メモリ126と、を備える。CPU124は、メモリ126に格納されているプログラム(例えばスキャナドライバ)に従って、様々な処理を実行することによって、第1の取得部130、第2の取得部132、決定部134、ファイル生成部136の各機能が実現される。また、メモリ126は、プログラムの他に、用紙サイズ情報128を格納している。なお、用紙サイズ情報128及び各部130〜136は、後述の第5実施例で利用される。
【0016】
(ユーザによる事前設定:図2)
多機能機10の電源がON状態である間に、ユーザは、操作部14を操作することによって、設定変更指示を多機能機10に入力することができる。設定変更指示が入力されると、制御部22は、表示部12に図2に示す設定変更画面を表示させる。設定変更画面は、「出力形式自動決定」と「定型」と「サイズ」と「非定型」とを含む複数個の設定項目を含む。
【0017】
「出力形式自動決定」は、多機能機10が、スキャンデータを含むファイルの形式(即ちスキャンデータの出力形式)を自動的に決定するのか否かを設定するための設定項目である。ユーザは、操作部14を操作して、「出力形式自動決定」として、「ON」と「OFF」のどちらかに設定することができる。「出力形式自動決定」が「ON」に設定される場合には、多機能機10の制御部22は、後で説明する図3、図4の各処理を実行する。一方、「出力形式自動決定」が「OFF」に設定される場合には、多機能機10の制御部22は、図3、図4の各処理を実行しない。
【0018】
「出力形式自動決定」が「ON」に設定される場合には、ユーザは、さらに、「定型」と「非定型」とを設定する(ただし「サイズ」を設定しない)。ユーザは、操作部14を操作して、「PDF(Portable Document Format)」、「DOC(Microsoft(登録商標)社のWord(登録商標)アプリケーションのドキュメントファイルを示す識別子)」、及び、「XPS(XML Paper Specification)」のファイル識別子のうちの1つを、設定項目「定型」の内容として、設定することができる。即ち、ユーザは、ページ概念を有する複数種類のファイル形式(PDF、DOC、XPS)の中から1種類のファイル形式を選択することによって、設定項目「定型」の内容を設定することができる。なお、以下では、設定項目「定型」の内容として設定されるページ概念を有するファイル形式のことを、「第1のファイル形式」と呼ぶことがある。
【0019】
また、ユーザは、操作部14を操作して、「HTML(Hyper Text Markup Language)」、「XLS(Microsoft(登録商標)社のExcel(登録商標)アプリケーションの表計算ファイルを示す識別子)」、「JPEG(Joint Photographic Expert Group)」、及び、「BMP(Bit MaP)」のファイル識別子のうちの1つを、設定項目「非定型」の内容として、設定することができる。即ち、ユーザは、ページ概念を有さない複数種類のファイル形式(HTML、XLS、JPEG、BMP)の中から1種類のファイル形式を選択することによって、設定項目「非定型」の内容を設定することができる。なお、以下では、設定項目「非定型」の内容として設定されるページ概念を有さないファイル形式のことを、「第2のファイル形式」と呼ぶことがある。
【0020】
上述したように、「出力形式自動決定」が「ON」に設定される場合には、後述の図3及び図4の処理が実行される。図4のS38の処理において、スキャン対象の原稿のスキャン長及びスキャン幅が、ISOで定められている用紙サイズに適合すると判断される場合(即ち、原稿のサイズが定型の用紙サイズであると判断される場合)には、制御部22(即ち決定部34)は、設定項目「定型」の内容として設定されたファイル形式(即ち第1のファイル形式)を、スキャンデータを含むファイルのファイル形式として決定する。また、図4のS42の処理において、スキャン対象の原稿のスキャン長及びスキャン幅が、ISOで定められている用紙サイズに適合しないと判断される場合(即ち、原稿のサイズが定型の用紙サイズでないと判断される場合)には、制御部22(即ち決定部34)は、設定項目「非定型」の内容として設定されたファイル形式(即ち第2のファイル形式)を、スキャンデータを含むファイルのファイル形式として決定する。
【0021】
「出力形式自動決定」が「OFF」に設定される場合には、ユーザは、さらに、「定型」と「サイズ」とを設定する(ただし「非定型」を設定しない)。ユーザは、操作部14を操作して、用紙サイズ情報28に含まれる複数種類の用紙サイズ(「A4縦」、「A4横」等)のうちの1つを、設定項目「サイズ」の内容として、設定することができる。
【0022】
なお、「出力形式自動決定」が「OFF」に設定される場合には、後述の図3及び図4の処理が実行されない。この場合、制御部22は、設定項目「サイズ」の内容として設定された用紙サイズに対応する縦サイズ及び横サイズを有するスキャンデータを生成する。さらに、制御部22(即ち決定部34)は、設定項目「定型」の内容として設定されたファイル形式を、スキャンデータを含むファイルのファイル形式として決定する。
【0023】
(多機能機10が実行する処理)
図3、図4を参照して多機能機10が実行する処理について説明する。ユーザは、多機能機10の所定の位置に原稿を載置し、操作部14を操作して、スキャンの実行指示を入力することができる。なお、本実施例では、ユーザが自動原稿搬送装置(ADF(Auto Document Feeder))に、Nページ分(Nは1以上の整数)の原稿を載置することを想定している。ただし、ユーザは、原稿台に原稿を載置してもよい。
【0024】
スキャン実行指示が入力されると、制御部22は、「出力形式自動決定」が「ON」に設定されているのか否かを判断する。制御部22は、「出力形式自動決定」が「OFF」に設定されている場合に、図示省略の処理に従って、スキャンデータを含むファイルを生成する。即ち、制御部22は、設定項目「定型」の内容として設定されたファイル形式を有するファイルを生成する。さらに、制御部22は、設定項目「サイズ」の内容として設定された用紙サイズ(例えば「A4縦」)に対応する縦サイズ(297mmに対応する縦方向の画素数)及び横サイズ(210mmに対応する横方向の画素数)を有するスキャンデータを含むファイルを生成する。
【0025】
制御部22は、「出力形式自動決定」が「ON」に設定されている場合に、図3に示す多機能機処理を開始する。S10では、決定部34(図1参照)は、ユーザによって予め設定された設定情報(「定型」の内容、「非定型」の内容;図2参照)を取得する。次いで、S12において、制御部22は、スキャン実行部18に1ページ分の原稿のスキャンを実行させ、1ページ分のスキャンデータを生成する。次いで、S14では、第1の取得部30は、S12で生成されたスキャンデータが、1ページ目のスキャンデータであるのか否かを判断する。S12で生成されたスキャンデータが1ページ目のスキャンデータである場合(S14でYES)には、S16に進み、S12で生成されたスキャンデータが2ページ目以降のスキャンデータである場合(S14でNO)には、S18に進む。
【0026】
(決定処理:図4)
S16では、1ページ目の原稿のスキャン長及びスキャン幅が、定型と非定型のどちらであるのかを決定するための決定処理が実行される。
【0027】
図4に示されるように、S30では、第1の取得部30は、原稿のスキャン長及びスキャン幅を取得する。「スキャン長」は、ADFが原稿を送る方向における原稿の長さ、換言すると、スキャン実行部18を構成する複数個のイメージセンサが並ぶ方向に直交する方向における原稿の長さである。「スキャン幅」は、ADFが原稿を送る方向に直交する方向における原稿の長さ、換言すると、スキャン実行部18を構成する複数個のイメージセンサが並ぶ方向における原稿の長さである。具体的には、S30では、第1の取得部30は、1ページ目の原稿を表わすスキャンデータのスキャン長方向のスキャン解像度と、当該スキャンデータのスキャン長方向の画素数と、からスキャン長(mm)を算出する(例えば、画素数をスキャン解像度(dpi(dot per inch))で除算することによって得られる値(inch)をミリメートルに換算する)。さらに、S30では、第1の取得部30は、1ページ目の原稿を表わすスキャンデータのスキャン幅方向のスキャン解像度と、当該スキャンデータのスキャン幅方向の画素数と、からスキャン幅(mm)を算出する。
【0028】
次いで、S32では、第2の取得部32(図1参照)は、メモリ26内の用紙サイズ情報28から、1種類の用紙サイズを読み込むことによって、1種類の用紙サイズ(例えばA4縦の縦サイズ(297mm)及び横サイズ(210mm))を取得する。
【0029】
次いで、S34では、決定部34(図1参照)は、原稿のスキャン長とスキャン幅の比(以下では「原稿の縦横比」と呼ぶことがある)と、S32で特定された用紙サイズの縦横比と、の差分が、所定の範囲内であるか否かを判断する。本実施例では、原稿の縦横比は、スキャン幅に対するスキャン長の割合(即ちスキャン幅/スキャン長)である。また、用紙サイズの縦横比は、横サイズに対する縦サイズの割合(即ち横サイズ/縦サイズ)である。決定部34は、原稿の縦横比と、用紙サイズの縦横比と、の差分を算出する。次いで、決定部34は、縦横比の差分の絶対値が所定値R1以下であるのか否かを判断する。なお、S32で特定される用紙サイズが縦(A4縦、B4縦等)である場合と、S32で特定される用紙サイズが横(A4横)である場合とで、所定値R1の値が異なっていてもよい。縦横比の差分の絶対値が所定値R1以下である場合(S34でYES)には、S36に進み、縦横比の差分の絶対値が所定値R1より大きい場合(S34でNO)には、S40に進む。本実施例では、S34の処理が実行されるために、多機能機10は、原稿の縦横比と用紙サイズの縦横比とに基づいて、原稿のスキャン長及びスキャン幅が定型と非定型のどちらであるのかを適切に決定することができ、この結果、スキャンデータを含むファイルのファイル形式を適切に決定し得る。なお、以下では、スキャンデータを含むファイル、即ち、生成対象のファイルのことを、「特定のファイル」と呼ぶ。
【0030】
S36では、決定部34は、S30で取得された原稿のスキャン長と、S32で取得された用紙サイズの縦サイズと、の差分を算出し、算出された差分の絶対値が所定値R2以下であるのか否かを判断する。S32で特定される用紙サイズ毎に、所定値R2の値が異なっていてもよい。差分の絶対が所定値R2以下である場合(S36でYES)には、S38に進み、差分の絶対が所定値R2より大きい場合(S36でNO)には、S40に進む。本実施例では、S36の処理が実行されるために、多機能機10は、さらに、原稿のスキャン長と用紙サイズの縦サイズとに基づいて、原稿のスキャン長及びスキャン幅が定型と非定型のどちらであるのかを適切に決定することができ、この結果、特定のファイルのファイル形式を適切に決定し得る。なお、別の例では、S36では、決定部34は、S30で取得された原稿のスキャン幅と、S32で特定された用紙サイズの横サイズと、の差分を算出し、算出された差分の絶対値が所定値以下であるか否かを判断してもよい。
【0031】
S38では、決定部34は、原稿のスキャン長及びスキャン幅が、S32で特定された用紙サイズに適合すると決定する。以下では、原稿のスキャン長及びスキャン幅が用紙サイズに適合すること(S34及びS36でYES)を、「スキャンデータが定型である」と簡単に表現することがある。次いで、S44において、決定部34は、S32で特定された用紙サイズを、S12で生成されたスキャンデータをファイル出力する際の出力サイズとして、決定する。決定部34は、上記の決定結果(即ち、スキャンデータ=定型、出力サイズ=S32で特定された用紙サイズ)をメモリ26内に記憶させる。S44を終えると、決定部34は決定処理を終了する。
【0032】
S40では、決定部34は、用紙サイズ情報28に含まれる全ての用紙サイズについて、S34及びS36の判断が終了した否かを判断する。全ての用紙サイズについて判断が終了していない場合(S40でNO)には、S32に戻り、第2の取得部32は、用紙サイズ情報28の中から他の1種類の用紙サイズを取得する。一方、全ての用紙サイズについて判断が終了している場合(S40でYES)には、S42に進む。
【0033】
S42では、決定部34は、原稿のスキャン長及びスキャン幅が、用紙サイズ情報28に含まれる複数種類の用紙サイズのいずれにも適合しないと決定する。以下では、原稿のスキャン長及びスキャン幅がいずれの用紙サイズにも適合しないこと(S40でYES)を、「スキャンデータが非定型である」と簡単に表現することがある。決定部34は、上記の決定結果(即ち、スキャンデータ=非定型)をメモリ26内に記憶させる。S42を終えると、決定処理が終了する。
【0034】
(多機能機処理の続き:図3のS18以降)
図4の決定処理が終了した場合、又は、図3のS12で生成された1ページ分のスキャンデータが2ページ以降のスキャンデータである場合(S14でNO)、S18において、ファイル生成部36(図1参照)は、特定のファイルを生成する。
【0035】
例えば、決定結果が「定型」及び出力サイズが「A4縦」であり、設定項目「定型」の内容として設定された第1のファイル形式が「PDF」(図2参照)である場合を想定する。ファイル生成部36は、S18において、第1のファイル形式の拡張子(例えば「.pdf」)を含むファイル名を用いて、「A4縦」サイズのPDFファイルを生成する。この際、S34及びS36ではある程度の誤差が許容されているために、S12で生成された1ページ分のスキャンデータは、「A4縦」に対応する縦サイズ(297mm)及び横サイズ(210mm)に完全に一致しない可能性がある。このような場合には、S18では、S12で生成された1ページ分のスキャンデータの縦および横の画素数を変更することなく、スキャンデータに対して拡大又は縮小指示情報を付加して、当該スキャンデータが「A4縦」サイズに適合するようにスキャンデータを配置する。もしくは、A4縦サイズに適合するように、スキャンデータを拡大縮小して配置する。
【0036】
一方、例えば、決定結果が「非定型」であり、設定項目「非定型」の内容として設定された第2のファイル形式が「XLS」(図2参照)である場合を想定する。ファイル生成部36は、S18において、第2のファイル形式の拡張子(例えば「.xls」)を含むファイル名を用いてXLSファイルを生成する。この際、S12で生成された1ページ分のスキャンデータの縦および横の画素数を変更することなく、当該スキャンデータを含む特定のファイルを生成する。
【0037】
なお、第2のファイル形式が「XLS」である場合には、ファイル生成部36は、1ページ分のスキャンデータを1個のシート(1個のサブファイル)に貼り付けることによって、S18の処理を実行する。また、第2のファイル形式が、「HTML」、「JPEG」、又は、「BMP」である場合には、ファイル生成部36は、1ページ分のスキャンデータを含む1個のファイルを生成することによって、S18の処理を実行する。
【0038】
なお、S12で生成された1ページ分のスキャンデータが2ページ目以降のスキャンデータである場合には、S18の時点で既に特定のファイルが存在する。その場合、S18では、ファイル生成部36は、S12で生成された1ページ分のスキャンデータを既存の特定のファイルに追加する処理を実行する。例えば、既に存在する特定のファイルが第1のファイル形式(PDFファイル)である場合には、S12で生成された1ページ分のスキャンデータは、新たなページのスキャンデータとして特定のファイルに追加される。即ち、この場合、複数ページ分のスキャンデータを含む1個の特定のファイルが生成される。
【0039】
一方、例えば、既に存在する特定のファイルが、第2のファイル形式を有するファイルであり、特に、「XLS」である場合には、S18では、ファイル生成部36は、S12で生成された1ページ分のスキャンデータを、特定のファイルに含まれる新たな1個のシート(1個のサブファイル)に貼り付ける。即ち、この場合、複数ページ分のスキャンデータを含む1個の特定のファイルが生成される。
【0040】
また、例えば、既に存在する特定のファイルが、第2のファイル形式を有するファイルであり、特に、「JPEG」、又は、「BMP」である場合には、S18では、ファイル生成部36は、S12で生成された1ページ分のスキャンデータを含む新たな1個の特定のファイルを生成する。即ち、この場合、複数ページ分のスキャンデータを含む複数個の特定のファイルが生成される。また、他の例では、既に存在する特定のファイルが、第2のファイル形式を有するファイルであり、特に「HTML」である場合には、ファイル生成部36は、S12で生成された1ページ分のスキャンデータを、既存の特定のファイルに含まれるスキャンデータに並べて配置してもよい。この場合、複数ページ分のスキャンデータが並んでいる1個の特定のファイルが生成される。
【0041】
次いで、S20において、ファイル生成部36は、全ての原稿のスキャンが終了したか否かを判断する。全ページの原稿のスキャンが終了していない場合(S20でNO)には、S12に戻る。2ページ目以降のスキャンデータについては、決定処理(図4)が実行されない(図3のS14でNO)。このために、多機能機10の処理負荷を低減させることができる。
【0042】
(第1実施例の具体例:図5)
図5は、4ページ分の原稿D1〜D4をスキャンすることによって生成される4ページ分のスキャンデータP1〜P4を示す。1ページ目のスキャンデータP1について、決定処理(図4)が実行される。
【0043】
図5の上の例のように、原稿D1のスキャン長がL1であり、スキャン幅がW1である場合(即ちスキャンデータP1の縦サイズがL1であり、横サイズがW1である場合)に、図4のS34及びS36でYESと判断すると、決定部34はスキャンデータP1を「定型」と決定する(図4のS38)。この場合、ファイル生成部36は、スキャンデータP1を含むファイル200であって、設定された第1のファイル形式(例えばPDFファイル形式)を有するファイル200を生成する(図3のS18)。2ページ目のスキャンデータP2については、決定処理(図4)を実行せずに(図3のS14でNO)、ファイル生成部36は、スキャンデータP2を2ページ目のデータとしてファイル200に追加する(図3のS18)。同様に、ファイル生成部36は、スキャンデータP3、P4を、それぞれ、3、4ページ目のデータとしてファイル200に追加する。その結果、図5に示すように、4ページ分のスキャンデータP1〜P4を含むファイル200であって、第1のファイル形式を有する1個のファイル200が生成される。
【0044】
図5の下の例のように、原稿D1のスキャン長がL2であり、スキャン幅がW2である場合(即ちスキャンデータP1の縦サイズがL2であり、横サイズがW2である場合)に、全用紙サイズについて、S34又はS36のどちらかでNOと判断すると、決定部34はスキャンデータP1を「非定型」と決定する(図4のS42)。この場合、ファイル生成部36は、スキャンデータP1を含むファイル210であって、設定された第2のファイル形式(本例ではXLS)を有するファイル210を生成する(図3のS18)。この場合、スキャンデータP1は、シートS1に貼り付けられる。また、スキャンデータP2〜P4は、それぞれ、シートS2〜S4に貼り付けられる(図3のS18)。即ち、ファイル210では、1シートに1個のスキャンデータが貼り付けられる。その結果、図5に示すように、4ページ分のスキャンデータP1〜P4が貼り付けられた4個のシートS1〜S4を含むファイル210であって、第2のファイル形式を有する1個のファイル210が生成される。
【0045】
ただし、変形例(図示省略)では、4ページ分のスキャンデータP1〜P4が貼り付けられた1個のシートを含むファイルとして第2のファイル形式を有するファイルが生成されてもよい。また、別の変形例(図示省略)では、1ページ分のスキャンデータ毎に、第2のファイル形式を有する1個のファイルが生成されてもよい。即ち、4ページ分のスキャンデータP1〜P4が生成される場合には、第2のファイル形式を有する4個のファイルが生成されてもよい。
【0046】
(本実施例の効果)
本実施例の通信システム2について詳しく説明した。スキャンデータが「非定型」であるにもかかわらず「定形」のファイル形式を有するファイルとして出力する構成(以下では「比較例の構成」と呼ぶ)では、例えば、A4縦(297×210mm)よりも大きなサイズ(例えば330×230mm)を有するスキャンデータを、A4縦の出力サイズとして出力すれば、当該スキャンデータをA4縦に収まるサイズに大幅に縮小する必要がある。この結果、スキャンデータをスキャン解像度に即した画質の画像として出力(表示、印刷等)することができなくなる。また、上記の状況において、A3縦(420×297mm)の出力サイズとして出力すれば、スキャンデータを大幅に縮小する必要がないかもしれない。しかしながら、この場合、スキャンデータの周囲に大きな余白を含む1ページ分のデータが生成されることになり、当該データを表わす画像が出力される際に、ユーザが余白を煩わしいと感じる可能性がある。
【0047】
従って、本実施例では、多機能機10は、スキャンデータが「定型」である場合に、ページ概念を有する第1のファイル形式を、特定のファイルのファイル形式として決定し、スキャンデータが「非定型」である場合に、ページ概念を有さない第2のファイル形式を、特定のファイルのファイル形式として決定する。これにより、スキャンデータを大幅に縮小する必要がなく、さらに、大きな余白を含むデータが生成されることもない。従って、本実施例の多機能機10では、上記の比較例の構成と比べて、特定のファイルのファイル形式を適切に決定することができる。また、本実施例では、S34及びS36ではある程度の誤差(R1、R2)が許容されている。即ち、定型サイズの原稿を読み取った際に位置ズレが生じたことにより、原稿が定型であるにも関わらずスキャンデータが「非定型」と判断されてしまうことを防止することができる。上記のR1、R2の値は、例えば、メモリ126に格納された用紙サイズの縦横比の±3%の値、及び、メモリ126に格納された用紙サイズの縦サイズの±3%の値を基準としてそれぞれ算定される値であってもよい。
【0048】
(対応関係)
多機能機10の制御部22が「制御装置」の一例である。図3のS12でスキャンされる原稿、S12で生成されるスキャンデータが、それぞれ、「特定の原稿」、「特定のスキャンデータ」の一例である。原稿の縦横比及び原稿のスキャン長が「第1の情報」の一例である。用紙サイズの縦横比及び縦サイズが「第2の情報」の一例である。図4のS34でYESかつS36でYESの場合が「第1の情報が第2の情報に適合する場合」の一例である。図4のS34とS36のどちらか一方でNOの場合が「第1の情報が第2の情報に適合しない場合」の一例である。図3のS18で生成されるファイルが「特定のファイル」の一例である。
【0049】
(第2実施例)
(多機能機処理:図6)
本実施例では、図6に示すように、多機能機処理の内容が第1実施例と異なる。S60の処理は、図3のS10と同様である。次いで、S62において、決定部34は、決定結果の初期値として「定型」をメモリ26に記憶させる。次いで、S64において、制御部22は、1ページ分のスキャンデータを生成する。S64の処理は、図3のS12と同様である。
【0050】
次いで、S66では、決定部34は、メモリ26に記憶されている決定結果が「定型」であるか否かを判断する。1回目のS66では、メモリ26に記憶されている決定結果は「定型」であるため(S62参照)、決定部34は、S66でYESと判断する。この場合、S68に進み、制御部22は、S64で生成された1ページ分のスキャンデータについて、決定処理を実行する。
【0051】
本実施例の決定処理は、第1実施例の決定処理(図4参照)と同様である。ただし、S図6のS62で決定結果として「定型」が記憶されているために、図4のS38はスキップされる。また、図4のS42では、図6のS62で記憶された初期値の「定型」に代えて、「非定型」が記憶される。
【0052】
メモリ26に記憶されている決定結果が「非定型」である場合(S66でNO)には、制御部22は、S68の決定処理をスキップして、S70に進む。即ち、スキャンデータが1ページでも「非定型」と判断された場合には、以降の決定処理が実行されない。全てのスキャンデータについて決定処理が実行される構成と比べて、処理負荷が少なくて済む。
【0053】
S70で全てのページの原稿のスキャンが終了していない場合(S70でNO)には、S64〜S70の処理が繰り返される。なお、本実施例では、S70でYESと判断されるまで、S64で生成される全てのスキャンデータが、メモリ26の一時記憶領域に記憶される。
【0054】
S70でYESの場合には、S72において、ファイル生成部36は、メモリ26の一時記憶領域に格納されているNページ分のスキャンデータを含む特定のファイルを生成する。ファイル生成部36は、S72の時点でメモリ26に記憶されている決定結果に対応するファイル形式(即ち、「定型」に対応する第1のファイル形式、又は、「非定型」に対応する第2のファイル形式)を有する特定のファイルを生成する。なお、特定のファイルの生成手法は、第1実施例と同様である。
【0055】
(第2実施例の具体例:図7)
図7に示されるように、本実施例では、1ページ目から順に、スキャンデータP11、P12、P13・・・について、決定処理(図6のS68)が実行される。図7の上の例では、決定部34は、1、2ページ目のスキャンデータP11、P12のそれぞれについて、「定型」と決定したが、3ページ目のスキャンデータP3について、「非定型」と決定した。そのため、4、5ページ目のスキャンデータP14、P15について、決定処理が実行されない(図6のS66でNO)。この場合、ファイル生成部36は、5ページ分のスキャンデータP11〜P15を含むファイル220であって、第2のファイル形式(図7の例ではXLS)を有する1個のファイル220を生成する(図6のS72)。
【0056】
図7の下の例では、決定部34は、1〜5ページ目のスキャンデータP16〜P20の全てについて、「定型」と決定した。この場合、ファイル生成部36は、5ページ分のスキャンデータP16〜P20を含むファイル230であって、第1のファイル形式(例えばPDF)を有する1個のファイル230を生成する(図6のS72)。
【0057】
上記の第1実施例では、1ページ目のスキャンデータが「定型」と「非定型」のどちらであるかに応じて、特定のファイルのファイル形式が決定される。この場合、1ページ目のスキャンデータが「定型」と決定され、かつ、2ページ目以降のスキャンデータの中に「非定型」のスキャンデータが存在する場合に、「非定型」のスキャンデータが大幅に縮小されたり、「非定型」のスキャンデータの周囲に大きな余白を含むデータが生成されたりする。これに対し、本実施例では、決定部34は、Nページ分のスキャンデータの全てが「定型」と決定される場合に、特定のファイルのファイル形式として、第1のファイル形式を決定する。一方、決定部34は、Nページ分のスキャンデータのうちの少なくとも1ページ分のスキャンデータが「非定型」と決定される場合に、特定のファイルのファイル形式として、第2のファイル形式を決定する。このために、本実施例の多機能機10では、Nページ分のスキャンデータを含む特定のファイルのファイル形式を適切に決定し得る。
【0058】
(第3実施例)
(多機能機処理:図8)
本実施例では、図8に示すように、多機能機処理の内容が第1及び第2実施例と異なる。図8のS80、S82の処理は、図3のS10、S12と同様である。次いで、S84において、制御部22は、S82で生成された1ページ分のスキャンデータについて、決定処理(図4参照)を実行する。本実施例の決定処理は、第1及び第2実施例の決定処理とほぼ同様であるが、本実施例では、決定部34は、S82で生成された1ページ分のスキャンデータ(即ちLページ目のスキャンデータ)についての決定結果とともに、1ページ前のスキャンデータ(即ちL−1ページ目のスキャンデータ)についての決定結果もメモリ26内に格納する。S84の決定処理が終了すると、S86に進む。
【0059】
S86では、決定部34は、S82で生成されたLページ目のスキャンデータについての決定結果が、L−1ページ目のスキャンデータについての決定結果と一致するか否かを判断する。なお、S82で生成される1ページ分のスキャンデータが1ページ目のスキャンデータである場合(即ちL=1である場合)には、決定部34は、S86でNOと判断する。S86でNOの場合、S90に進む。
【0060】
S90では、ファイル生成部36は、S82で生成された1ページ分のスキャンデータを含む特定のファイルを生成する。ファイル生成部36は、Lページ目のスキャンデータについての決定結果に対応するファイル形式(即ち、「定型」に対応する第1のファイル形式、又は、「非定型」に対応する第2のファイル形式)を有する特定のファイルを生成する。なお、特定のファイルの生成手法は、第1実施例と同様である。S90を終えると、決定部34は、S92に進む。
【0061】
一方、S86でYESの場合には、S88において、ファイル生成部36は、L−1ページ目のスキャンデータを含む特定のファイルに、S82で生成されたLページ目のスキャンデータを追加する。S88を終えると、決定部34は、S92に進む。
【0062】
全ての原稿のスキャンが終了していない場合(S92でNO)には、S82〜S92の処理を繰り返す。一方、全ての原稿のスキャンが終了している場合(S92でYES)には、S94において、ファイル生成部36は、HTMLファイルを生成する。本実施例では、S90の処理が複数回に亘って実行されると、複数個の特定のファイルが生成される。HTMLファイルは、複数個の特定のファイルに対応する複数個のファイル名および各特定のファイルの保存先となる保存先情報を含み、当該複数個のファイル名は、複数個の特定のファイルに対するハイパーリンクとして機能する。従って、例えば、PC110等の端末において、HTMLファイル内の複数個のファイル名のうちの1個のファイル名が選択されると、当該ファイル名に対応する特定のファイルが表示される。従って、ユーザは、HTMLファイルを用いて、複数個の特定のファイルのうちの1個の特定のファイルを容易に出力(表示、印刷等)させることができる。即ち、ユーザは、各特定のファイルを管理し易い。S94が終了すると、図8の多機能機処理が終了する。
【0063】
(第3実施例の具体例:図9)
図9に示されるように、本実施例では、1ページ目から順に、スキャンデータP21、P22、P23・・・について、決定処理(図8のS84)が実行される。この例では、決定部34は、スキャンデータP21について「定型」、スキャンデータP22について「非定型」、連続する2ページ分のスキャンデータP23、P24について「定型」、連続する2ページ分のスキャンデータP25、P26について「非定型」と決定した。従って、ファイル生成部36は、スキャンデータP21を含むファイル300(第1のファイル形式)と、スキャンデータP22を含むファイル302(第2のファイル形式)と、連続する2ページ分のスキャンデータP23、P24を含むファイル304(第1のファイル形式)と、連続する2ページ分のスキャンデータP25、P26を含むファイル306(第2のファイル形式)と、を生成する(図8のS88、S90)。さらに、ファイル生成部36は、複数個のファイル300〜306に対応する複数個のファイル名(即ち複数個のハイパーリンク)を含むHTMLファイル308を生成する(S94)。
【0064】
本実施例では、決定部34は、連続する2ページ分以上のスキャンデータについて「定型」と決定される場合に、当該連続する2ページ分以上のスキャンデータを含む特定のファイルのファイル形式として、第1のファイル形式を決定する。一方、決定部34は、連続する2ページ分以上のスキャンデータについて「非定型」と決定される場合に、当該連続する2ページ分以上のスキャンデータを含む特定のファイルのファイル形式として、第2のファイル形式を決定する。そのため、決定部34は、特定のファイルのファイル形式を適切に決定し得る。特に、Nページ分のスキャンデータに対応するN個のファイルを常に生成する構成と比べて、生成されるファイルの数が少なくなり得るために、ファイル生成のための処理負荷を低減させ得る。
【0065】
(第4実施例)
第3実施例と異なる点を説明する。本実施例では、ファイル生成部36は、図8のS94において、HTMLファイルの代わりに、アーカイブファイルを生成する。具体的に言うと、ファイル生成部36は、Nページ分のスキャンデータを含む複数個の特定のファイルに対するアーカイブ処理を実行して、1個のZip形式のアーカイブファイルを生成する。
【0066】
(第4実施例の具体例:図10)
図10に示されるようにファイル生成部36は、6ページ分のスキャンデータP31〜P36を含む4個のファイル400〜406を生成する。図10の例では、ファイル生成部36は、4個のファイル400〜406に対するアーカイブ処理を実行して、1個のZipファイル408を生成する。本実施例によると、複数個の特定のファイルを1個のアーカイブファイルとしてまとめることができるために、ユーザは、各特定のファイルを管理し易い。
【0067】
(第5実施例)
第5実施例では、図1の破線部に示すように、PC110のCPU124が、メモリ126内のスキャナドライバに従って処理を実行することにより、各部130〜136の機能が実現される。PC110の各部130〜136の機能は、多機能機10の各部30〜36の機能と同様である。また、メモリ126には、用紙サイズ情報28と同様の用紙サイズ情報128が格納される。
【0068】
ユーザは、多機能機10に原稿をセットした後に、PC110の操作部114を操作して、スキャンの実行の指示をPC110に入力する。この場合、PC110は、スキャナドライバに従って、スキャンの実行の指示を多機能機10に送信する。この結果、多機能機10は、スキャンデータを生成して、PC110に送信する。制御部122は、多機能機10から受信するスキャンデータを用いて、図3、図4、図6、図8等に示される処理を実行する。本実施例では、多機能機10、PC110が、それぞれ、「スキャン実行部」、「制御装置」の一例である。
【0069】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を採用してもよい。
【0070】
(変形例1)決定処理(図4参照)では、S34の処理とS36の処理の実行順を入れ替えてもよい。一般的に言うと、決定部34は、特定の原稿のスキャン長及びスキャン幅の比が、縦横比の範囲に含まれるのか否かを判断し、かつ、特定の原稿のスキャン長及びスキャン幅の一方が、サイズの範囲に含まれるのか否かを判断すればよい。
【0071】
(変形例2)決定部34は、S34もしくはS36のいずれか一方の処理を行うこととしてもよい。具体的には、原稿の縦横比と用紙サイズの縦横比とを比較することのみによって、スキャンデータが定型か非定型かを決定してもよい。また、決定部34は、原稿のスキャン長と用紙サイズの縦サイズを比較すること、及び、原稿のスキャン幅と用紙サイズの横サイズを比較することによって、スキャンデータが定型か非定型かを決定してもよい。また、決定部34は、原稿のスキャン幅(又はスキャン長)と、用紙サイズの縦サイズ(又は横サイズ)と、を比較することのみによって、スキャンデータが定型か非定型かを決定してもよい。上記のいずれの変形例も、第1の情報が第2の情報に適合するのか否かを判断することに等しい。
【0072】
(変形例3)第1の取得部30は、スキャン実行部18が原稿のスキャン長及びスキャン幅を測定する場合には、スキャン実行部18から原稿のスキャン長及びスキャン幅を取得(図4のS30参照)してもよい。また、ユーザは、所望のスキャン長及びスキャン幅を予め入力してもよい。この場合、スキャン実行部18は、ユーザによって入力されたスキャン長及びスキャン幅に従って原稿のスキャンを実行してスキャンデータを生成する。第1の取得部30は、ユーザによって入力されたスキャン長及びスキャン幅を、原稿のスキャン長及びスキャン幅として取得してもよい。上記のいずれの変形例も、「第1の情報を取得」という構成に含まれる。
【0073】
(変形例4)用紙サイズ情報28には、各種の用紙サイズの縦サイズ及び横サイズの代わりに、各種の用紙サイズの縦横比の値が含まれていてもよい。この場合、各種の用紙サイズの縦横比の値が、「第2の情報」の一例である。また、用紙サイズ情報28には、各種の用紙サイズの縦サイズのみ(又は横サイズのみ)の値が記憶されていてもよい。この場合、各種の用紙サイズの縦サイズのみ(又は横サイズのみ)が、「第2の情報」の一例である。
【0074】
(変形例5)第1実施例では、決定部34は、1ページ目の原稿の縦横比及び原稿のスキャン長に基づいて、特定のファイルのファイル形式を決定する。それに代えて、決定部34は、2ページ目以降の1ページ分の原稿の縦横比及び原稿のスキャン長に基づいて、特定のファイルのファイル形式を決定してもよい。一般的に言うと、「M」は、1以上N以下の整数であればよい。
【0075】
(変形例6)決定部34は、Nページ分の原稿のスキャンを実行して生成されるNページ分のスキャンデータのそれぞれについて、当該スキャンデータが「定型」か「非定型」かを決定してもよい。さらに、ファイル生成部36は、Nページ分のスキャンデータのそれぞれについて、当該スキャンデータを含む1個のファイルであって、当該スキャンデータについての決定結果に対応するファイル形式の1個のファイルを生成してもよい。その結果、ファイル生成部36は、N個のファイルを生成してもよい。この場合に、ファイル生成部36は、N個のファイルに対応するN個のファイル名(即ちN個のハイパーリンク)を含むHTMLファイルを生成してもよい。また、ファイル生成部36は、HTMLファイルの代わりに、N個のファイルに対するアーカイブ処理を実行して、1個のアーカイブファイルを生成してもよい。
【0076】
(変形例7)通信システム2は、多機能機10が第1の取得部30、第2の取得部32、決定部34を備え、PC110がファイル生成部136を備える構成であってもよい。その場合、多機能機10は、スキャン実行部18によって生成されたスキャンデータと、当該スキャンデータについて決定された「定型」又は「非定型」を示す情報と、をPC110に送信する。PC110のファイル生成部36は、多機能機10から受信されたスキャンデータと上記の情報とに基づいて、特定のファイルを生成する。
【0077】
(変形例8)上記の各実施例では、CPU24又はCPU124がプログラムに従った処理を実行することによって、各部30〜36,130〜136の機能が実現される。ただし、各部30〜36,130〜136のうちの少なくとも1つは、論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0078】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0079】
2:通信システム、10:多機能機、110:PC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャン実行部を制御するための制御装置であって、
前記スキャン実行部によってスキャンが実行される特定の原稿のスキャン長及びスキャン幅の少なくとも一方に関係する第1の情報を取得する第1の取得部と、
所定の規格で定められている用紙サイズに関係する第2の情報を取得する第2の取得部と、
前記スキャン実行部が前記特定の原稿のスキャンを実行することによって生成される特定のスキャンデータを含む特定のファイルを、ファイル生成部に生成させるために、前記特定のスキャンデータを含む前記特定のファイルのファイル形式を決定する決定部と、を備え、
前記決定部は、
前記第1の情報が前記第2の情報に適合する場合に、ページ概念を有する第1のファイル形式を、前記特定のファイルのファイル形式として決定し、
前記第1の情報が前記第2の情報に適合しない場合に、ページ概念を有さない第2のファイル形式を、前記特定のファイルのファイル形式として決定する、
制御装置。
【請求項2】
前記第1の情報は、前記特定の原稿のスキャン長及びスキャン幅の比を含み、
前記第2の情報は、前記用紙サイズの縦横比を基準とする縦横比の範囲を含み、
前記決定部は、
前記特定の原稿のスキャン長及びスキャン幅の比が、前記縦横比の範囲に含まれるのか否かを判断し、
前記決定部は、
前記特定の原稿のスキャン長及びスキャン幅の比が、前記縦横比の範囲に含まれると判断される場合に、前記第1の情報が前記第2の情報に適合すると判断し、
前記特定の原稿のスキャン長及びスキャン幅の比が、前記縦横比の範囲に含まれないと判断される場合に、前記第1の情報が前記第2の情報に適合しないと判断する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第1の情報は、さらに、前記特定の原稿のスキャン長及びスキャン幅の一方を含み、
前記第2の情報は、さらに、前記用紙サイズの縦サイズ及び横サイズの一方を基準とするサイズの範囲を含み、
前記決定部は、さらに、
前記特定の原稿のスキャン長及びスキャン幅の前記一方が、前記サイズの範囲に含まれるのか否かを判断し、
前記決定部は、
前記特定の原稿のスキャン長及びスキャン幅の比が、前記縦横比の範囲に含まれると判断され、かつ、前記特定の原稿のスキャン長及びスキャン幅の前記一方が、前記サイズの範囲に含まれると判断される場合に、前記第1の情報が前記第2の情報に適合すると判断し、
前記特定の原稿のスキャン長及びスキャン幅の比が、前記縦横比の範囲に含まれないと判断され、または、前記特定の原稿のスキャン長及びスキャン幅の前記一方が、前記サイズの範囲に含まれないと判断される場合に、前記第1の情報が前記第2の情報に適合しないと判断する、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記スキャン実行部が、前記特定の原稿を含むNページ分(前記Nは2以上の整数)の原稿のスキャンを実行することによって、前記特定のスキャンデータを含むNページ分のスキャンデータを生成する場合に、
前記第1の取得部は、前記Nページ分の原稿のうちのMページ目(前記Mは1以上前記N以下の整数)の原稿である前記特定の原稿のスキャン長及びスキャン幅の少なくとも一方に関係する前記第1の情報を取得し、
前記決定部は、前記Mページ目の原稿以外の原稿のスキャン長及びスキャン幅の少なくとも一方に関係する情報を用いずに、前記第1の情報が前記第2の情報に適合するのか否かを判断する、請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記Mは1であり、
前記決定部は、
前記第1の情報が前記第2の情報に適合すると判断される場合に、前記第1のファイル形式を、前記Nページ分のスキャンデータを含む1個以上の前記特定のファイルの全てのファイル形式として決定し、
前記第1の情報が前記第2の情報に適合しないと判断される場合に、前記第2のファイル形式を、前記Nページ分のスキャンデータを含む1個以上の前記特定のファイルの全てのファイル形式として決定する、請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記スキャン実行部が、前記特定の原稿を含むNページ分(前記Nは2以上の整数)の原稿のスキャンを実行することによって、前記特定のスキャンデータを含むNページ分のスキャンデータを生成する場合に、
前記第1の取得部は、前記Nページ分の原稿のそれぞれについて、当該原稿のスキャン長及びスキャン幅の少なくとも一方に関係する前記第1の情報を取得し、
前記決定部は、前記Nページ分の原稿に対応するN個の前記第1の情報のそれぞれについて、当該第1の情報が前記第2の情報に適合するのか否かを判断する、請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記決定部は、
前記Nページ分の原稿に対応するN個の前記第1の情報の全てが前記第2の情報に適合すると判断される場合に、前記第1のファイル形式を、前記Nページ分のスキャンデータを含む1個以上の前記特定のファイルの全てのファイル形式として決定し、
前記N個の第1の情報のうちの少なくとも1個の前記第1の情報が前記第2の情報に適合しないと判断される場合に、前記第2のファイル形式を、前記Nページ分のスキャンデータを含む1個以上の前記特定のファイルの全てのファイル形式として決定する、請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記決定部は、
前記Nページ分の原稿のうち、前記特定の原稿を含む連続する2ページ分以上の原稿に対応する2個以上の前記第1の情報のそれぞれについて、当該第1の情報が前記第2の情報に適合すると判断される場合に、前記第1のファイル形式を、前記連続する2ページ分以上の原稿を表わす2ページ分以上のスキャンデータを含む1個の前記特定のファイルのファイル形式として決定し、
前記Nページ分の原稿のうち、前記特定の原稿を含む連続する2ページ分以上の原稿に対応する2個以上の前記第1の情報のそれぞれについて、当該第1の情報が前記第2の情報に適合しないと判断される場合に、前記第2のファイル形式を、前記連続する2ページ分以上の原稿を表わす2ページ分以上のスキャンデータを含む1個の前記特定のファイルのファイル形式として決定する、請求項6に記載の制御装置。
【請求項9】
前記決定部によって決定される前記特定のファイルのファイル形式を有する前記特定のファイルを生成する前記ファイル生成部をさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
スキャン実行部を制御するための制御装置に、以下の各処理、即ち、
前記スキャン実行部によってスキャンが実行される特定の原稿のスキャン長及びスキャン幅の少なくとも一方に関係する第1の情報を取得する第1の取得処理と、
所定の規格で定められている用紙サイズに関係する第2の情報を取得する第2の取得処理と、
前記スキャン実行部が前記特定の原稿のスキャンを実行することによって生成される特定のスキャンデータを含む特定のファイルを、ファイル生成部に生成させるために、前記特定のスキャンデータを含む前記特定のファイルのファイル形式を決定する決定処理と、を実行させ、
前記決定処理では、
前記第1の情報が前記第2の情報に適合する場合に、ページ概念を有する第1のファイル形式を、前記特定のファイルのファイル形式として決定し、
前記第1の情報が前記第2の情報に適合しない場合に、ページ概念を有さない第2のファイル形式を、前記特定のファイルのファイル形式として決定する、
コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−195838(P2012−195838A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59408(P2011−59408)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】