説明

制御装置

【課題】端子台の装着の有無を検出し、その検出結果に応じた制御を実行する制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置本体20と当該制御装置本体20に着脱可能な端子台10とを有する制御装置において、前記制御装置本体20への前記端子台10の装着の有無を検出する端子台検出部と、前記端子台検出部の検出結果に応じて制御を行う制御部とを備えることにより、異常時において端子台が外れていることによるものなのか否かを即座に判断できるようになるので、異常時の原因究明にかかる時間や作業員の手間を大幅に削減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、着脱可能な端子台を有する制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
温度調節計などの制御装置には、電源やセンサなどからの信号を入力したり、制御対象機器へ信号を出力するための端子台が設けられている。近年では、保守作業時の作業性や機器の小型化に対応するため、制御装置本体から端子台を取り外し可能な構造が開示されている。
例えば、特許文献1では、端子台に把持部を有するスライダを取り付け、このスライダをスライド移動することにより、制御装置本体と端子台との固定ロック及びその固定ロックの解除を行うように構成されている。
【0003】
以上のように構成された制御装置は、端子台のコネクタと制御装置内のプリント基板とが接続されるため相応の接続力はあるものの、スライダの固定ロックし忘れなどによりロック固定がなされていない場合、端子台に接続されたケーブルによって引っ張られる。特にケーブルは端子台の下方向に配置されたケーブルラックに収容されるため、端子台は斜め下方向に引っ張られて制御装置内のプリント基板から端子台のコネクタが外れてしまう恐れがある。
これを解決するものとして、特許文献2には、端子台の長手方向一端に突起部を備え、端子台収容ケースは突起部を嵌合し、端子台の取り出し方向の側面に鍔部を備えた嵌合窪を備え、鍔部が嵌合窪に嵌合した突起部に当接することにより、スライダによる固定ロックがなされていない場合でも端子台を仮固定する方法について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−203616号公報
【特許文献2】特開2010−146958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば特許文献1,2のような従来の制御装置は、制御装置本体と着脱可能な端子台を容易には外れないようにすることはできても、作業者の不注意により端子台を制御装置本体に装着し忘れた場合や、振動や衝撃によって万一、制御装置本体から端子台が外れた場合など、端子台が制御装置本体に正常に装着されていない場合に、そのことを検知することはできなかった。
そのため、端子台の装着し忘れや装着ミスなどによりその制御装置が接続されているシステムに異常が発生した場合に、その原因を調べるのに無駄な時間や手間がかかってしまい、結果としてシステムや装置の復旧が遅れてしまうという課題があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、端子台の装着の有無を検出し、その検出結果に応じた制御を実行する制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明に係る制御装置は、制御装置本体と当該制御装置本体に着脱可能な端子台とを有する制御装置において、前記制御装置本体への前記端子台の装着の有無を検出する端子台検出部と、前記端子台検出部の検出結果に応じて制御を行う制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、この発明に係る制御装置は、前記端子台検出部が前記端子台の装着無しと検出した場合に、前記制御部は前記端子台への出力を行わないことを特徴とする。
【0009】
また、この発明に係る制御装置は、前記端子台検出部が前記端子台の装着無しと検出した場合に、前記制御部がその旨を報知することを特徴とする。
【0010】
また、この発明に係る制御装置は、前記端子台検出部が磁気センサであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明の制御装置によれば、端子台の装着の有無を検出し、その検出結果に応じた制御を行うようにしたことにより、異常時において端子台が外れていることによるものなのか否かを即座に判断できるようになるので、異常時の原因究明にかかる時間や作業員の手間を大幅に削減することができるとともに、システムや装置の復旧を迅速に行うことが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1に係る制御装置の構成を示す分解斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る制御装置の側面図と内部の概略構成を示す断面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る端子台の制御装置本体への装着の手順を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る端子台の制御装置本体への装着の有無を検出する際の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る制御装置の構成を示す分解斜視図である。
制御装置は、図1に示すように、複数の端子11を有する端子台10と、この端子台10を装着する端子台装着口21を有する制御装置本体20によって構成されている。
【0014】
端子台10は、複数の端子11、長手方向一端の底面近傍に設けられた鍵状または凸状の突起部12、永久磁石13を備えている。
【0015】
制御装置本体20は、端子台装着口21の長手方向一端の内側に突起部12が嵌合可能な嵌合窪22、制御装置本体20と端子台10の装着をロックするスライド部材23、上面に設けられた表示部24、内部に設けられたプリント基板25,26を備えている。
【0016】
図2は、この発明の実施の形態1に係る制御装置の側面図と内部の概略構成を示す断面図であり、図2(a)は制御装置を図1のAの方向から見た側面図であり、図2(b)は図2(a)のb−b線断面図である。図2(b)に示すように、プリント基板25上には、制御部として機能するICチップなどが搭載されており、プリント基板26上には端子台検出部として磁気を検出するホールIC27が搭載されている。このホールIC27が端子台10に設置された永久磁石13の近接を検出することにより、端子台10の装着の有無を検出し、検出結果を制御部に出力する。
【0017】
制御部は、制御装置の動作を制御するものであり、例えばCPUやマイコンなどで構成されている。制御部は、端子台検出部における端子台の装着の有無の検出結果に応じて制御装置の動作を制御するとともに、制御装置本体が備えている通信機能を介して、周囲の管理機器との間で各種データの受け渡しを行う。
【0018】
図3は、端子台10の制御装置本体20への装着の手順を示す説明図であり、図1におけるa−a線断面図について記載している。図3(a)から(c)の順に端子台10の制御装置本体20への装着の手順を示している。
【0019】
まず、図3(a)に示すように、端子台10の長手方向一端に設けられた突起部12を制御装置本体20の嵌合窪22に嵌合させる。次に、図3(b)に示すように、端子台10の長手方向他端を矢印X方向に押圧することにより、図3(c)に示すように端子台10が制御装置本体20に装着される。
【0020】
制御装置本体20に端子台10を装着した状態において、スライド部材23を図1に示す矢印Z方向にスライドさせると、端子台10と制御装置本体20の装着がロックされる。
【0021】
図4は、この発明の実施の形態1に係る端子台10の制御装置本体20への装着の有無を検出する際の説明図であり、図4(a)から(c)の順に端子台10の制御装置本体20への装着の様子を示す。図4に示すように、ホールIC27および永久磁石13は、端子台10を制御装置本体20に装着する際に支点となる嵌合窪22および突起部12から遠い位置に設置される。これにより、制御装置本体20に端子台10が完全に装着されて初めてホールIC27と永久磁石13は接近し、制御装置本体20から端子台10が外れた直後にホールIC27と永久磁石13は離れる。
【0022】
図4(c)のように、ホールIC27と永久磁石13が接近すると、ホールIC27が永久磁石13を検出することにより、制御装置20に端子台10が装着されたことを検出し、制御部へ装着有りの信号を出力する。また、図4(a),(b)のように、ホールIC27と永久磁石13が離れていると、ホールIC27が永久磁石13を検出せず、制御装置20に端子台10が装着されていないことを検出し、制御部へ装着無しの信号を出力する。すなわち、図4(c)の状態から少しでも端子台10が外れると、ホールIC27が永久磁石13を検出しなくなり、制御部へ装着無しの信号を出力する。
【0023】
制御部は、ホールIC27の検出結果が「端子台の装着有り」の場合は、通常通り処理を行うように制御し、ホールIC27の検出結果が「端子台の装着無し」の場合には、端子台10への出力を停止するように制御する。また、「端子台の装着無し」の場合には、例えば、制御装置本体20の表示部24において警告表示したり、警告音を発するなどの報知を行ってもよい。さらに、制御装置は通信機能を備えているので、制御装置がネットワークやインターネットに接続されている場合は、検出された結果を周囲の管理機器にデータとして受け渡すことができる。また、指定したメールアドレスに端子台が装着されていないことについて記載したメールを送信するようにしてもよい。
【0024】
また、「端子台の装着無し」の通知を受けたことにより、作業員が端子台10を装着した場合には、制御装置自身が装着有りを検出することにより通常通りの処理を開始するようにしてもよいし、作業員が通常動作開始のボタンやスイッチなどを押すことにより、通常通りの処理を開始させるようにしてもよい。
【0025】
なお、この実施の形態1においては、端子台検出部として磁気を利用したホールIC27を用いたが、電磁誘導を利用した近接センサ、静電容量を利用した液晶パネルのタッチ検出、光電センサ、メカスイッチ、電気信号を利用したものなど、制御装置本体20について端子台10の装着の有無を検出できるものであれば、どのようなものを用いてもよい。
【0026】
以上のように、この発明の制御装置によれば、端子台10の装着の有無を検出し、その検出結果に応じた制御を行うようにしたことにより、異常時において端子台10が外れていることによるものなのか否かを即座に判断できるようになるので、異常時の原因究明にかかる時間や作業員の手間を大幅に削減できる。
【0027】
また、端子台検出部が「端子台の装着無し」と検出した場合に、制御部は端子台10への出力を行わないように構成したので、端子台が本体に装着され、電圧信号を出力している制御装置について端子台を作業員が外そうと作業を進めた場合には、信号の出力を速やかに停止することができる。
【0028】
また、端子台検出部が「端子台の装着無し」と検出した場合に、制御部がその旨を報知するように構成したので、制御装置に端子台10が接続されていないことを迅速に知ることができる。さらに、各制御装置の端子台検出部に固定IDを付与するなどにより、いずれの制御装置の端子台が外れたのかなどについても迅速に知ることができる。
【0029】
また、端子台検出部を磁気センサによって構成したので、空き端子を使用することなく、制御装置本体20の端子台10の有無を検出することができる。
【0030】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0031】
10 端子台
11 端子
12 突起部
13 永久磁石
20 制御装置本体
21 端子台装着口
22 嵌合窪
23 スライド部材
24 表示部
25,26 プリント基板
27 ホールIC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置本体と、当該制御装置本体に着脱可能な端子台とを有する制御装置において、
前記制御装置本体への前記端子台の装着の有無を検出する端子台検出部と、
前記端子台検出部の検出結果に応じて制御を行う制御部と
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記端子台検出部が前記端子台の装着無しと検出した場合に、前記制御部は前記端子台への出力を行わない
ことを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記端子台検出部が前記端子台の装着無しと検出した場合に、前記制御部がその旨を報知する
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の制御装置。
【請求項4】
前記端子台検出部が磁気センサである
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項記載の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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