券類搬送装置及び自動発券システム
【課題】剛性が低い券類であっても、搬送方向を確実且つ高精度に切り替えながら、3つの搬送路の中から選択された搬送路に向けて券類を搬送すること。
【解決手段】発券ユニットから発券された券類を発券口まで分岐・搬送する装置であって、いずれかの発券ユニットに繋がれた第1の搬送路30と、他の発券ユニットに繋がれた第2の搬送路31と、発券口に繋がれた第3の搬送路32と、券類の搬送方向を切り替えながら下流に案内する回転案内部50と、第1の搬送路又は第2の搬送路から回転案内部を経由して案内されてきた券類を第3の搬送路に向けて案内する固定案内部51と、回転案内部を回転させる回転駆動部Mと、回転案内部の回転位置を検出する回転検出部57と、検出された回転位置に基づいて回転駆動部を制御して、3つのポジションの中から選択したいずれかのポジションに回転案内部を位置決めさせる制御部と、を備えている券類搬送装置を提供する。
【解決手段】発券ユニットから発券された券類を発券口まで分岐・搬送する装置であって、いずれかの発券ユニットに繋がれた第1の搬送路30と、他の発券ユニットに繋がれた第2の搬送路31と、発券口に繋がれた第3の搬送路32と、券類の搬送方向を切り替えながら下流に案内する回転案内部50と、第1の搬送路又は第2の搬送路から回転案内部を経由して案内されてきた券類を第3の搬送路に向けて案内する固定案内部51と、回転案内部を回転させる回転駆動部Mと、回転案内部の回転位置を検出する回転検出部57と、検出された回転位置に基づいて回転駆動部を制御して、3つのポジションの中から選択したいずれかのポジションに回転案内部を位置決めさせる制御部と、を備えている券類搬送装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有料道路の通行券や、各種施設の入場券や、各種交通機関の乗車券等の券類を、発券口まで搬送する券類搬送装置及びこれを有する自動発券システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
有料道路の入口には、後の精算に必要な通行券を自動的に発券する自動発券機が設置されているが、発券された通行券を運転者が抜き取り易くするために、車両の種類に応じて通行券を発券する高さを3段階に分けており、トラック等の車高が高い車両の場合には、上段の発券口から通行券を発券し、中型車等の比較的車高が高い車両の場合には、中段の発券口から通行券を発券し、小型車等の車高が低い車両の場合には、下段の発券口から通行券を発券している。
【0003】
このように、車両の種類に応じて発券口を変更しているが、通行券は発券前の段階では1つの収納箱に大量に収納された状態で保管されている。ここで、車両が自動発券機に近づくと、収納箱から通行券が1枚繰り出された後、必要な各種情報が記録部によって印刷や磁気記録等により書き込まれる。そして、各種情報が書き込まれた通行券は、車両の種類に基づいて決定された発券口まで搬送された後、この発券口から排出されるようになっている。
【0004】
ところで、収納箱から通行券を1枚繰り出して記録部まで搬送するまでの間に、券詰まりする場合があり、特に、収納箱から1枚繰り出す繰り出し部で券詰まりが発生する可能性が高かった。券詰まりが発生してしまった場合には、通行券が発券口まで搬送されないので、発券停止の状態を引き起こしてしまうものであった。
【0005】
そこで、このような券詰まりの可能性をできるだけ低減するために、収納箱、繰り出し部及び記録部で主に構成される発券ユニットを2つ備え、1つをバックアップ用として用いる構成が考えられている。このようにすることで、仮に券詰まりによって発券ユニットが作動停止してしまったとしても、バックアップ用の発券ユニットによって引き続き通行券を発券することができる。
【0006】
しかしながら、発券ユニットを2つ設けた場合であっても、搬送路に関しては共通であるので、通行券は搬送路に沿って一方向搬送ではなく双方向搬送されることになる。
つまり、図13に示すように、発券ユニット100が1つの場合には、通行券101の供給元が1箇所ということであるので、搬送路に沿って通行券101を一方向に搬送する形になる。そして、搬送路の途中で搬送先を2方向に切り替えることで、いずれかの発券口102から通行券101を発券している。ところが、発券ユニット100が2つの場合には、図14に示すように、通行券101の供給元が2箇所になってしまうので、搬送路に沿って通行券101を双方向から搬送する形になってしまう。そのため、搬送路の途中で搬送先を3方向に切り替える必要がある。
【0007】
ここで、3つの搬送路が交差する三差路に設けられ、取引媒体の搬送先を3方向に切り替えるためのフラッパが提供されている(特許文献1参照)。
このフラッパ110は、図15に示すように、前搬送路R1と、後搬送路R2と、反転部に繋がる反転部側搬送路R3という3つの搬送路が交差する三差路に設けられており、各搬送路R1、R2、R3に頂点が向いた平面視三角形状に形成されている。フラッパ110の中心には支柱111が固定されており、図示しないフラッパソレノイドに連結されている。そして、フラッパソレノイドを励磁或いは非励磁することでフラッパ110を回転させ、2つのポジションに位置決めすることが可能とされている。
【0008】
具体的には、フラッパソレノイドが非励磁の場合には、図15に示すように、フラッパ110は左端部が下がり、右端部が上方のストッパ113に接触するポジションに位置決めされるようになっている。一方、フラッパソレノイドが励磁された場合には、図16に示すように、フラッパ110は右端部が下がり、左端部が上方のストッパ113に接触するポジションに位置決めされるようになっている。
【0009】
このように、フラッパソレノイドのON(励磁)、OFF(非励磁)制御によってフラッパ110を2つのポジションに位置決めすることで、搬送先を3方向に切り替えている。例えば、図15に示すように、前搬送路R1から後搬送路R2に搬送する場合(矢印A)、反転部側搬送路R3から前搬送路R1に搬送する場合(矢印B)、後搬送路R2から反転部側搬送路R3に搬送する場合(矢印C)には、フラッパソレノイドを非励磁にしてフラッパ110の左端部を下げた状態にしておく。すると、取引媒体は、フラッパ110の傾きによって搬送先が規制されるので、上述した方向に自然と案内されるようになっている。
【0010】
一方、図16に示すように、前搬送路R1から反転部側搬送路R3に搬送する場合(矢印D)、反転部側搬送路R3から後搬送路R2に搬送する場合(矢印E)、後搬送路R2から前搬送路R1に搬送する場合(矢印F)には、フラッパソレノイドを励磁してフラッパ110の右端部を下げた状態にしておく。すると、取引媒体は、フラッパ110の傾きによって搬送先が規制されるので、上述した方向に自然と案内されるようになっている。
【0011】
なお、フラッパ110には、右端部及び左端部に図示しないスプリングがそれぞれ取り付けられており、フラッパソレノイドによって回転させられた後、ストッパ113側に引っ張られて確実に右端部或いは左端部が接触するようになっている。そのため、フラッパ110は、フラッパソレノイドによって回転させられた後であっても、スプリング力に抗する外力を受けると、反対方向に若干の回転が許容されるようになっている。
【0012】
よって、取引媒体は、上述した搬送時にフラッパ110を若干回転させ、フラッパ110を乗り越えるようにして搬送されるようになっている。例えば、図15に示すように、前搬送路R1から後搬送路R2に搬送される場合(矢印A)には、ストッパ113に接触しているフラッパ110の右端部を若干押し下げながら、フラッパ110を乗り越えるようにして搬送される。また、反転部側搬送路R3から前搬送路R1に搬送される場合(矢印B)には、フラッパ110の左端部を若干押し上げながら、フラッパ110を乗り越えるようにして搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2003−182908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところが、上述したように取引媒体はスプリングの力に逆らってフラッパ110を乗り越える必要があるので、ある程度の剛性(こわさ)が必要とされてしまう。そのため、PET等の剛性の高い取引媒体にせざるを得ない。仮に、紙等の剛性の低い取引媒体では、取引媒体自体が変形してしまうので、フラッパ110を乗り越えることができず、結果的に詰まりを招いてしまう。従って、上記フラッパ110を利用する場合には、取引媒体に高い剛性が求められてしまい、多種類の取引媒体を幅広く使用することができなかった。
【0015】
また、フラッパ110の乗り越えが多方向で発生するため、スプリング力の調整が非常に難しく、調整作業に手間がかかるものであった。特に、スプリング力の強弱によって、フラッパ110の姿勢が変化してしまうので、高精度な位置決めを行うことが難しかった。そのため、搬送方向の切り替え精度の信頼性低下を招いてしまうものであった。
【0016】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、剛性が低い券類であっても、搬送方向を確実且つ高精度に切り替えながら、3つの搬送路の中から選択された搬送路に向けて券類を搬送することができる券類搬送装置、これを有する自動発券システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、前記課題を解決して係る目的を達成するために以下の手段を提供する。
本発明に係る券類搬送装置は、収納ボックスに複数枚収納された券類を1枚発券する複数の発券ユニットと発券された券類を外部に排出する発券口との間に設けられ、いずれかの発券ユニットから発券された券類を発券口まで分岐・搬送する券類搬送装置であって、いずれかの前記発券ユニットに繋がれた第1の搬送路と、他の前記発券ユニットに繋がれた第2の搬送路と、前記発券口に繋がれた第3の搬送路と、前記3つの搬送路が合流する合流ポイントに設けられ、3つの搬送路のうち2つの搬送路を繋ぐように3つのポジションに切り替わり、前記券類の搬送方向を切り替えながら下流に案内する回転案内部と、前記回転案内部と前記第3の搬送路との間に設けられ、前記第1の搬送路又は前記第2の搬送路から回転案内部を経由して案内されてきた前記券類を第3の搬送路に向けて案内する固定案内部と、前記回転案内部を回転させる回転駆動部と、前記回転案内部の回転位置を検出する回転検出部と、検出された前記回転位置に基づいて前記回転駆動部を制御して、前記3つのポジションの中から選択したいずれかのポジションに前記回転案内部を位置決めさせる制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0018】
この発明に係る券類搬送装置においては、券詰まり等の何らかの理由によりいずれかの発券ユニットから券類を発券できない場合であっても、他の発券ユニットから券類を発券できるので、発券停止を引き起こすことなく、券類を確実に発券口まで搬送して発券させることができる。
特に、従来のものはソレノイドの励磁、非励磁制御によってポジションを2つに位置決めすることで搬送先を3つに切り替える構成であったが、本発明に係る回転案内部はこれとは異なり、3つの搬送路のうち選択した2つを繋げるように3つのポジションに切り替わる。即ち、第1の搬送路と第2の搬送路とを、又は、第1の搬送路と第3の搬送路とを、又は、第2の搬送路と第3の搬送路とをスムーズに繋いで券類を搬送できるように予め設定された3つのポジションに切り替わる。よって、回転案内部は、券類に何ら抵抗(負荷)を与えることなく、選択された搬送路に向けて券類をスムーズに搬送することができる。しかも、従来のようにスプリングの乗り越え抵抗が作用することがないので、紙等のような剛性の低い軟性の券類であっても搬送方向を確実に切り替えて搬送することができる。
【0019】
また、従来のものは、スプリングの乗り越え抵抗を考慮する必要があるのでフラッパの調整作業に手間がかかるものであったが、上述したように回転案内部には乗り越え抵抗が作用しないので、容易且つ確実に設置することができる。更に、高精度に搬送方向を切り替えることができるので、券類を所望する方向に確実に搬送することができる。
【0020】
また、本発明に係る券類搬送装置は、上記本発明の券類搬送装置において、前記固定案内部の近傍には、搬送されてきた前記券類の浮き上がりを規制しながら前記第3の搬送路に向けて案内する案内ガイドが設けられていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る券類搬送装置は、上記本発明の券類搬送装置において、前記発券口及び前記第3の搬送路を複数備え、前記第1の搬送路と前記第2の搬送路とのうち少なくともいずれか一方には、他の前記発券口に繋がれた他の前記第3の搬送路が合流し、該合流ポイントに前記券類の搬送方向を切り替えながら下流に案内する案内機構が設けられ、前記案内機構が、前記第1の搬送路又は前記第2の搬送路から搬送されてきた前記券類を前記第3の搬送路又は前記回転案内部に向けて案内、或いは、前記回転案内部から案内されてきた前記券類を前記第3の搬送路に向けて案内することを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る自動発券システムは、有料道路の入口に設置され、該入口に接近した車両の車両高さに関連する情報を検出するセンサと、上記本発明の券類搬送装置を有する自動発券機と、を備え、前記制御部が、検出された前記情報に基づいて複数の前記発券口の中から前記券類を排出する発券口を決定すると共に、決定した発券口に券類が向かうように前記回転駆動部を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る券類搬送装置によれば、剛性が低い軟性の券類であっても、搬送方向を確実且つ高精度に切り替えながら、3つの搬送路の中から選択された搬送路に向けて券類を搬送することができる。
また、本発明に係る自動発券システムによれば、上記券類搬送装置を有する自動発券機を備えているので、発券停止を引き起こすことなく券類を発券口から排出させることができ、安定した自動発券を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る一実施形態を示す図であって、有料道路の入口に設置された自動発券システムの設置図である。
【図2】図1に示す自動発券機の内部構成図である。
【図3】図2に示す自動発券機内に設けられた中段の三差路フラッパ機構の斜視図である。
【図4】図3に示す三差路フラッパ機構により通行券の搬送方向を切り替えている状態を示す図である。
【図5】図3に示す三差路フラッパ機構により通行券の搬送方向を、図4とは別の方向に切り替えている状態を示す図である。
【図6】図3に示す三差路フラッパ機構により通行券の搬送方向を、図4とはさらに別の方向に切り替えている状態を示す図である。
【図7】図2に示す自動発券機内に設けられた下段の三差路フラッパ機構の斜視図である。
【図8】図7に示す三差路フラッパ機構により通行券の搬送方向を切り替えている状態を示す図である。
【図9】図7に示す三差路フラッパ機構により通行券の搬送方向を、図8とは別の方向に切り替えている状態を示す図である。
【図10】図7に示す三差路フラッパ機構により通行券の搬送方向を、図8とはさらに別の方向に切り替えている状態を示す図である。
【図11】図2に示す自動発券機内の簡略構成図である。
【図12】発券ユニットと、発券口と、搬送経路との組み合わせで、発券時間の違いを予想した図である。
【図13】1つの発券ユニットから3つの発券口に向けて通行券を搬送する場合の従来図である。
【図14】2つの発券ユニットから3つの発券口に向けて通行券を搬送する場合の図である。
【図15】従来の三差路フラッパの一例を示す図であって、左端部が下がり、右端部が上がったポジションにフラッパが回転している状態を示す図である。
【図16】図15の状態から、右端部が下がり、左端部が上がったポジションにフラッパが回転している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る一実施形態を、図1から図12を参照して説明する。なお、本実施形態では、自動発券機に券類搬送装置を適用した場合を例に挙げて説明する。
図1に示すように、自動発券システム1は、通行券(券類)Tを発券する自動発券機2と入口センサ(センサ)3とで構成されている。入口センサ3は、有料道路Rの入口に設置され、該入口に接近した車両Cから車両高さに関連する情報を検出し、自動発券機2に出力している。
【0026】
自動発券機2は、通行券Tを発券する2つの発券ユニット10、11と、通行券Tを外部に排出する3つの発券口12、13、14と、発券された通行券Tを選択されたいずれかの発券口12、13、14まで分岐・搬送する券類搬送装置15と、これら各構成品を収容する筐体16と、を備えている。
発券ユニット10、11は、上下2段に分かれて配置されており、それぞれ通行券Tを複数枚収納可能な収納ボックス20と、収納ボックス20から通行券Tを1枚繰り出す繰り出し部21と、繰り出された通行券Tに印刷や磁気記録等によって必要な情報を書き込む記録部22と、を主に備えている。
【0027】
収納ボックス20は、情報が書き込まれていない未使用状態の通行券Tを複数枚整列積層状態で収納することが可能なボックスであり、最上段に位置する通行券Tが繰り出し部21によって取り出されるようになっている。また、収納ボックス20内には、通行券Tの残量を検出するセンサS1が設けられており、後述する制御部4に検出結果を出力している。
繰り出し部21は、収納ボックス20に収納されている通行券Tのうち、最上段に位置する通行券Tを1枚繰り出して、記録部22に送り出す役割を担っている。また、繰り出し部21には、通行券Tを検出するセンサS2が設けられており、検出結果を制御部4に出力している。
記録部22は、繰り出し部21によって送られてきた通行券Tに対して、印刷や磁気記録等により有料道路Rを通行するにあたって必要な情報(例えば、入口名、入場した日時等)を書き込むようになっている。また、記録部22にも、通行券Tを検出するセンサS2が設けられており、検出結果を制御部4に出力している。
【0028】
発券口12、13、14は、上下三段に分かれた状態で筐体16の壁面に設けられている。このうち、上段の発券口12は、主に車高の高い大型車(トラック等)の車両用に通行券Tを出す発券口であり、中段の発券口13は、比較的車高の高い中型車の車両用に通行券Tを出す発券口であり、下段の発券口14は、車高の低い小型車の車両用に通行券Tを出す発券口である。
いずれの発券口12、13、14も、搬送されてきた通行券Tを運転者に引き渡すために、通行券Tが半分程度露出するまで該通行券Tを外側に排出するようになっている。
【0029】
上記券類搬送装置15は、2つの発券ユニット10、11と3つの発券口12、13、14との間に設けられており、いずれかの発券ユニット10、11で発券された通行券Tを選択されたいずれかの発券口12、13、14まで搬送する役割を担っている。
【0030】
この券類搬送装置15は、上段の発券ユニット10に繋がれた第1の搬送路30と、下段の発券ユニット11(他の発券ユニット)に繋がれた第2の搬送路31と、各発券口12、13、14に繋がれた第3の搬送路32と、通行券Tの搬送方向を切り替えながら下流に案内する3つの三差路フラッパ機構35、36、37と、で主に構成されている。
【0031】
3つの三差路フラッパ機構35、36、37のうち、中段に配置された三差路フラッパ機構35は、第1の搬送路30と、第2の搬送路31と、中段の発券口13に繋がった第3の搬送路32と、が合流する合流ポイントに設けられている。そして、この中段の三差路フラッパ機構35は、上段の発券ユニット10で発券された通行券Tを中段の発券口13に向けて搬送或いは下段の三差路フラッパ機構36に搬送したり、下段の発券ユニット11で発券された通行券Tを中段の発券口13に向けて搬送或いは上段の三差路フラッパ機構37に搬送したりする役割を果している。
【0032】
また、本実施形態の第1の搬送路30は、A搬送路30a及びB搬送路30bの2つの搬送路からなり、両搬送路30a、30bの合流部分に上段の発券口12に繋がった第3の搬送路32がさらに合流するように配置されている。そして、A搬送路30aと、B搬送路30bと、第3の搬送路32と、が合流するポイントに上段の三差路フラッパ機構37が設けられている。
この上段の三差路フラッパ機構37は、通行券Tの搬送方向を切り替えながら下流に案内する案内機構として機能するものであり、上段の発券ユニット10で発券された通行券Tを上段の発券口12に向けて搬送或いは中段の三差路フラッパ機構35に搬送したり、下段の発券ユニット11で発券された通行券Tを上段の発券口12に向けて搬送したりする役割を果している。
【0033】
また、第2の搬送路31も同様に、A搬送路31a及びB搬送路31bの2つの搬送路からなり、両搬送路31a、31bの合流部分に下段の発券口14に繋がった第3の搬送路32がさらに合流するように配置されている。そして、A搬送路31aと、B搬送路31bと、第3の搬送路32と、が合流するポイントに下段の三差路フラッパ機構36が設けられている。
この下段の三差路フラッパ機構36も同様に、通行券Tの搬送方向を切り替えながら下流に案内する案内機構として機能するものであり、下段の発券ユニット11で発券された通行券Tを下段の発券口14に向けて搬送或いは中段の三差路フラッパ機構35に搬送したり、上段の発券ユニット10で発券された通行券Tを下段の発券口14に向けて搬送したりする役割を果している。
【0034】
ところで、第1の搬送路30、第2の搬送路31及び第3の搬送路32は、互いに対向配置され、2つのプーリー41の間に巻回された一対の無端ベルト40を備えている。一対の無端ベルト40間で通行券Tを挟み込み、一対の無端ベルト40に巻回された4つのプーリー41のうち1つを図示されないモータで駆動することにより、通行券Tを搬送するようになっている。
【0035】
次に、上述した中段の三差路フラッパ機構35について、詳細に説明する。
この三差路フラッパ機構35は、図3に示すように、3つの搬送路30、31、32のうち2つの搬送路を繋ぐように、即ち、第1の搬送路30と第2の搬送路31とを、又は、第1の搬送路30と第3の搬送路32とを、又は、第2の搬送路31と第3の搬送路32とを繋ぐように3つのポジションに切り替わるフラッパ部(回転案内部)50と、このフラッパ部50と第3の搬送路32との間に設けられた固定ガイド(固定案内部)51と、で主に構成されている。
【0036】
フラッパ部50は、通行券Tの幅(短手)を超えない間隔を開けて平行に2つ配置されており、パルスモータMによって回転させられるシャフト52によって互いに連結されている。これにより、2つのフラッパ部50は、パルスモータ(回転駆動部)Mの正逆回転によって回転軸L回りを精密に微小角度回転可能とされている。なお、パルスモータMは、制御部4によって作動が制御されており、上述したように3つの搬送路30、31、32のうち2つの搬送路を繋ぐようにフラッパ部50を回転させる役割を担っている。
【0037】
フラッパ部50は、シャフト52を中心に第1の搬送路30及び第2の搬送路31に向かって延びるように形成されており、それぞれの先端が両搬送路30、31のプーリー41の側方に位置するようになっている。これにより、回転に応じて、2つの先端が一対の無端ベルト40間で搬送されてくる通行券Tの手前側に位置したり、奥側に位置したりすることが可能とされている。
【0038】
また、このフラッパ部50は、第1の案内面50a、第2の案内面50b及び第3の案内面50cで外周面が形成されており、上述した2つの先端位置に応じて、通行券Tを沿わせて案内する面が切り替わるようになっている。
即ち、第1の搬送路30と第2の搬送路31とを繋ぐ場合には、図4に示すように、いずれか一方の搬送路より搬送されてきた通行券Tを第1の案内面50a上で案内しながら他方の搬送路に向かわせるポジションに切り替わるようになっている。
また、第2の搬送路31と第3の搬送路32とを繋ぐ場合には、図5に示すように、第2の搬送路31より搬送されてきた通行券Tを第3の案内面50c上に案内するポジションに切り替わるようになっている。
また、第1の搬送路30と第3の搬送路32とを繋ぐ場合には、図6に示すように、第1の搬送路30より搬送されてきた通行券Tを第2の案内面50b上に案内するポジションに切り替わるようになっている。
【0039】
また、固定ガイド51は、図5及び図6に示すように、フラッパ部50の第2の案内面50b上又は第3の案内面50c上に案内されてきた通行券Tを、第3の搬送路32に向けて案内する機能を果している。つまり、第1の搬送路30又は第2の搬送路31からフラッパ部50を経由して案内されてきた通行券Tを第3の搬送路32に向けて案内する機能を果している。
なお、この固定ガイド51は、図3に示すように、2つのフラッパ部50の間に挟まれ、基端側がシャフト52の近傍に位置した状態で配置されている。つまり、固定ガイド51は、シャフト52の回転に伴って回転することがなく、常に姿勢が安定した固定状態で配置されている。
【0040】
また、フラッパ部50の近傍であって固定ガイド51の上下には、案内されている通行券Tを案内方向に補助的にガイドする案内ガイド53が設けられている。この案内ガイド53は、案内されている通行券Tの浮き上がりを抑えると共に、通行券Tを滑らかに案内方向に向かわせる働きをしている。
【0041】
図3に示すように、パルスモータMは、上述したようにシャフト52を介して2つのフラッパ部50を回転させており、回転方向、回転量によってフラッパ部50のポジションを切り替え、搬送方向を制御するようになっている。
上記シャフト52には、円板状のスリット板55が取り付けられている。このスリット板55には、周方向に沿って等間隔毎にスリット孔55aが複数形成されている。なお、図3では、スリット孔55aの数を省略して図示している。また、スリット板55を挟むように光センサ56が設けられている。この光センサ56は、スリット板55に向けて光を発する図示しない発光部と、スリット孔55aを介してスリット板55を通過してきた光を受光する図示しない受光部と、を備えており、光を受光した数、即ち、パルス数に基づいてフラッパ部50の回転位置を検出するようになっている。
これら、スリット板55及び光センサ56は、フラッパ部50の回転位置を検出する回転検出部57として機能する。
なお、上述した構成は回転検出部57の一例であり、フラッパ部50の微小回転角度量を検出できる他の方法に替えても構わない。
【0042】
そして、パルスモータMは、フラッパ部50を回転させる際に、検出された回転位置に基づいて回転させ、選択したいずれかのポジション(各ポジションは、通行券Tをスムーズに搬送できるように予め設定されている)にフラッパ部50を正確に位置決めするようになっている。特に、パスル数に基づいて回転させることができるので、フラッパ部50を±1度程度の精度で高精度に位置決めすることができる。
【0043】
次に、上述した下段の三差路フラッパ機構36について、詳細に説明する。
図7に示すように、下段の三差路フラッパ機構36は、中段の三差路フラッパ機構35と同様にパルスモータMによって回転するフラッパ部60と、固定ガイド61と、で主に構成されている。
フラッパ部60は、通行券Tの幅(短手)を超えない間隔を開けて平行に2つ配置されており、パルスモータMによって回転させられるシャフト52によって互いに連結されている。これにより、2つのフラッパ部60は、パルスモータMの正逆回転によって回転軸L回りを精密に微小角度回転可能とされている。
【0044】
フラッパ部60は、シャフト52を中心に第2の搬送路31のA搬送路31a及びB搬送路31bに向かって延びるように形成されており、それぞれの先端が両搬送路31a、31bのプーリー41の側方に位置するようになっている。これにより、回転に応じて、2つの先端が一対の無端ベルト40間で搬送されてくる通行券Tの手前側に位置したり、奥側に位置したりすることが可能とされている。
また、フラッパ部60は、第1の案内面60a、第2の案内面60b及び第3の案内面60cで外周面が形成されており、上述した2つの先端位置に応じて、通行券Tを沿わせて案内する面が切り替わるようになっている。
【0045】
即ち、第2の搬送路31のA搬送路31aとB搬送路31bとを繋ぐ場合には、図8に示すように、いずれか一方の搬送路より搬送されてきた通行券Tを第1の案内面60a上で案内しながら他方の搬送路に向かわせるポジションに切り替わるようになっている。
また、第2の搬送路31のA搬送路31aと第3の搬送路32とを繋ぐ場合には、図9に示すように、第2の搬送路31より搬送されてきた通行券Tを第3の案内面60c上に案内するポジションに切り替わるようになっている。
また、第2の搬送路31のB搬送路31bと第3の搬送路32とを繋ぐ場合には、図10に示すように、第2の搬送路31より搬送されてきた通行券Tを第2の案内面60b上に案内するポジションに切り替わるようになっている。
【0046】
また、固定ガイド61は、図9及び図10に示すように、フラッパ部60の第2の案内面60b上又は第3の案内面60c上に案内されてきた通行券Tを、第3の搬送路32に向けて案内するようになっている。また、フラッパ部60の近傍であって固定ガイド61の上方には、案内されている通行券Tを案内方向に補助的にガイドする案内ガイド63が設けられている。この案内ガイド63は、案内されている通行券Tの浮き上がりを抑えると共に、通行券Tを滑らかに案内方向に向かわせる働きをしている。
【0047】
なお、上段の三差路フラッパ機構37に関しては、基本的に上述した下段の三差路フラッパ機構36と同じ構成で上下に反転した形で構成可能であるため、説明を省略する。
【0048】
図2に示すように、自動発券機2には、入口センサ3から出力された車両Cに関連する情報から車両高さを割り出し、車両高さに基づいて3つの発券口12、13、14の中から通行券Tを排出する発券口を決定する制御部4が設けられている。つまり、この制御部4は、車両高さに応じた最適な高さで通行券Tを渡せるように、使用する発券口12、13、14を決定している。
そして、制御部4は、決定した発券口12、13、14に通行券Tを搬送するように各構成品を総合的に制御している。つまり、第1の搬送路30、第2の搬送路31及び第3の搬送路32の搬送方向を制御すると共に、各三差路フラッパ機構35、36、37を制御して搬送方向を所望する方向に切り替える。これにより、発券された通行券Tを選択した発券口12、13、14まで確実に搬送することができる。
【0049】
なお、制御部4は、上段の発券ユニット10又は下段の発券ユニット11のどちらの発券ユニットで通行券Tを発券するかの決定も行っている。また、各発券ユニット10、11に設けられた各種センサS1、S2からの検出結果に基づいて、発券ユニット10、11内で券詰まりや通行券Tの残量不足等が生じた場合には、発券ユニット10、11を切り替えるように制御している。これにより、発券停止を未然に防止することができるようになっている。
【0050】
また、各搬送路30、31、32や各発券口12、13、14には、通行券Tを検出するセンサS2が適宜設けられており、検出結果を制御部4に出力している。制御部4は、これらのセンサS2からの検出結果に基づいて、通行券Tの搬送制御や通行券Tの券詰まり確認を行っている。
【0051】
次に、このように構成された自動発券システム1を利用して通行券Tを発券する場合について、以下に説明する。
図1に示すように、まず有料道路Rの入口に車両Cが接近すると入口センサ3が反応する。反応した入口センサ3は、車両高さに関連する情報をこの車両Cから検出し、自動発券機2の制御部4に出力する。
【0052】
すると、制御部4は、入口センサ3から送られてきた車両高さの情報より、接近した車両Cが例えば中型車であると判断する。続いて、制御部4は、3つの発券口12、13、14の中から中型車に最適な中段の発券口13を利用することを決定する。続いて、制御部4は、通行券Tが収納ボックス20内に十分に収納されていることを把握した上で、例えば下段の発券ユニット11を作動させると共に、この発券ユニット11から発券された通行券Tが中段の発券口13に向かうように第2の搬送路31及び第3の搬送路32の搬送方向、各三差路フラッパ機構35、36の作動を制御する。
【0053】
具体的には、下段の三差路フラッパ機構36のフラッパ部60を回転させて、図8に示すように第2の搬送路31のA搬送路31aとB搬送路31bとを繋げるポジションに切り替える。即ち、A搬送路31aより搬送されてくる通行券Tが第1の案内面60a上に案内されるようにフラッパ部60を回転させる。更に、中段の三差路フラッパ機構35のフラッパ部50を回転させて、図5に示すように第2の搬送路31と第3の搬送路32とを繋げるポジションに切り替える。即ち、第2の搬送路31のB搬送路31bより搬送されてくる通行券Tが第3の案内面50c上に案内されるようにフラッパ部50を回転させる。
【0054】
下段の発券ユニット11が制御部4からの指示を受けると、図2に示すように、繰り出し部21が収納ボックス20から最上段に位置する通行券Tを1枚繰り出し、記録部22に送り出す。記録部22は、送られてきた通行券Tに対して、必要な情報を印刷や磁気記録等により書き込んだ後、第2の搬送路31のA搬送路31aに送り出す。
するとA搬送路31aは、受け取った通行券Tを下段の三差路フラッパ機構36に向けて搬送する。この三差路フラッパ機構36まで搬送されると、通行券Tは、図8に示すように、フラッパ部60の第1の案内面60a上に自然と案内された後、搬送方向が切り替わってB搬送路31b側に搬送される。
【0055】
次いで、B搬送路31bは、送られてきた通行券Tを中段の三差路フラッパ機構35に向けて搬送する。この三差路フラッパ機構35まで搬送されると、通行券Tは、図5に示すように、フラッパ部50の第3の案内面50c上に自然と案内された後、固定ガイド51に沿って第3の搬送路32側に搬送される。
次いで、第3の搬送路32は、図2に示すように、送られてきた通行券Tを中段の発券口13に向けて搬送する。その結果、図1に示すように、必要な情報が書き込まれた通行券Tを中段の発券口13から外部に排出することができる。
【0056】
ところで、入口に接近してきた車両Cが車高の高い大型車(トラック等)であると制御部4が判断した場合には、上段の発券口12を利用することを決定する。
この場合には、上段の三差路フラッパ機構37のフラッパ部を回転させて、第1の搬送路30のA搬送路31aと第3の搬送路32とを繋げるポジションに切り替える。
その結果、上段の発券ユニット10から発券された通行券Tを上段の発券口12まで搬送することができ、該発券口12から外部に排出することができる。
【0057】
また、入口に接近してきた車両Cが車高の低い小型車だと制御部4が判断した場合には、下段の発券口14を利用することを決定する。
この場合には、下段の三差路フラッパ機構36のフラッパ部60を回転させて、図9に示すように第2の搬送路31のA搬送路31aと第3の搬送路32とを繋げるポジションに切り替える。即ち、搬送路で搬送されてくる通行券Tが第3の案内面60c上に案内されるようにフラッパ部60を回転させる。
その結果、下段の発券ユニット11から発券された通行券Tを下段の発券口14まで搬送することができ、該発券口14から外部に排出することができる。
【0058】
上述したように、車両高さに応じて、上段の発券ユニット10又は下段の発券ユニット11から発券された通行券Tを選択した発券口12、13、14まで確実に搬送することができ、運転者にとって最適な高さで通行券Tを受け渡すことができる。
ところで、下段の発券ユニット11内、又は、第2の搬送路31のA搬送路31a内で仮に券詰まりが発生した場合には、制御部4は各種センサS1、S2からの検出結果に基づいて券詰まりが発生したことを直ちに把握する。すると制御部4は、上段の発券ユニット10を作動させて通行券Tを発券させる。これと同時に、選択した発券口12、13、14に通行券Tが向かうように、第1の搬送路30及び第2の搬送路31の搬送方向、並びに、各三差路フラッパ機構35、36、37を制御する。
【0059】
例えば、中段の発券口13を利用する場合には、上段の三差路フラッパ機構37のフラッパ部を回転させて、第1の搬送路30のA搬送路30aとB搬送路30bとを繋げるポジションに切り替えることにより、第1の搬送路30のA搬送路30aの搬送方向を中段の三差路フラッパ機構35に向かう方向に制御する。また、中段の三差路フラッパ機構35のフラッパ部50を回転させて、図6に示すように第1の搬送路30と第3の搬送路32とを繋げるポジションに切り替える。即ち、第1の搬送路30のB搬送路30bより搬送されてくる通行券Tが第2の案内面50b上に案内されるようにフラッパ部50を回転させる。
その結果、上段の発券ユニット10から発券された通行券Tを中段の発券口13まで搬送することができ、該発券口13から外部に排出することができる。
【0060】
また、下段の発券口14を利用する場合には、上段の三差路フラッパ機構37のフラッパ部を回転させて、第1の搬送路30のA搬送路30aとB搬送路30bとを繋げるポジションに切り替える。そして、中段の三差路フラッパ機構35のフラッパ部50を回転させて、図4に示すように第1の搬送路30のB搬送路30bと第2の搬送路31のB搬送路31bとを繋げるポジションに切り替える。即ち、第1の搬送路30のB搬送路30bより搬送されてくる通行券Tが第1の案内面50a上に案内されるようにフラッパ部50を回転させる。また、下段の三差路フラッパ機構36のフラッパ部60を回転させて、図10に示すように第2の搬送路31のB搬送路31bと第3の搬送路32とを繋げるポジションに切り替える。即ち、通行券Tが第2の案内面60b上に案内されるようにフラッパ部60を回転させる。
その結果、上段の発券ユニット10から発券された通行券Tを下段の発券口14まで搬送することができ、該発券口14から外部に排出することができる。
【0061】
上述したように、上段の発券ユニット10から通行券Tを発券したとしても、やはり選択した発券口12、13、14まで確実に搬送することができ、運転者にとって最適な高さで通行券Tを受け渡すことができる。従って、下段の発券ユニット11内、又は、第2の搬送路31のA搬送路31a内で券詰まりが発生してしまったとしても、発券停止を引き起こすことなく、選択した発券口12、13、14まで引き続き搬送して運転者に受け渡すことができる。
【0062】
特に、各三差路フラッパ機構35、36、37は、フラッパ部50、60が3つのポジションに切り替わるように構成されている。従来のものは、ソレノイドの励磁、非励磁制御によってポジションを2つに位置決めし、搬送先を3つに切り替える構成であった。
これに対し本実施形態では、中段の三差路フラッパ機構35を例にすると、フラッパ部50が3つの搬送路30、31、32のうち選択した2つを繋げるように3つのポジションに切り替わる。
よって、三差路フラッパ機構35は、通行券Tに何ら抵抗(負荷)を与えることなく、選択された搬送路に向けて通行券Tをスムーズに搬送することができる。よって、従来のようにスプリングの乗り越え抵抗が作用することがないので、通行券Tが紙のように剛性が低い場合であっても搬送方向を確実に切り替えて搬送することができる。
【0063】
しかも、従来のものはスプリングの乗り越え抵抗を考慮する必要があるので、フラッパの調整作業に手間がかかるものであったが、本実施形態のフラッパ部50にはスプリングの乗り越え抵抗が作用しないので、容易且つ確実に調整できるうえ、高精度に搬送方向を切り替えることができる。従って、通行券Tを所望する方向に確実に搬送することができる。
また、三差路フラッパ機構35は、フラッパ部50と固定ガイド51との組み合わせで構成されている。特に、固定ガイド51を利用しているので、フラッパ部50の形状を複雑な形状に設計する必要がなく、極力シンプルな形状に設計することができるうえ、急な角度での方向転換をさせることも可能である。よって、設計の自由度を向上することができる。
【0064】
また、案内ガイド53が設けられているので、搬送中の通行券Tの浮き上がりを抑えながら搬送方向にガイドできるので、短い距離で滑らかに案内方向に向かわせ、方向転換をスムーズに行える。
更に、スリット板55及び光センサ56で構成される回転検出部57によって、フラッパ部50の回転位置を検出できるので、現在のポジションを常時正確・精密に把握することができるため、搬送方向の切り替えをより確実に行うことができ、搬送の信頼性を高めることができる。
【0065】
なお、上述した点は、上段の三差路フラッパ機構37及び下段の三差路フラッパ機構36であっても同様である。
【0066】
また、本実施形態の自動発券機2によれば、上段の発券ユニット10又は下段の発券ユニット11より繰り出された通行券Tを券類搬送装置15によって搬送するので、発券ユニット10又は発券ユニット11のいずれかで券の残量不足や詰まりが発生した場合でも、発券停止の不具合を引き起こすことなく、通行券Tを選択した発券口12、13、14まで確実に搬送でき、安定した自動発券を行うことができる。
特に、通行券Tを発券する際に、利用する発券口12、13、14の位置に応じて上段の発券ユニット10と下段の発券ユニット11を適宜使い分けることで、通行券Tをより短時間で発券することができる。つまり、発券時間の高速化を図ることができる。
この点について、図11及び図12を参照して説明する。
【0067】
図11は、自動発券機2内を簡略化した図である。なお、この図11では、上述した各搬送路を、「A」〜「G」の搬送路に分けて説明する。これら各搬送路「A」〜「G」の定義は、以下の通りである。
【0068】
搬送路「A」は、上段の発券ユニット10と上段の三差路フラッパ機構37との間に設けられた第1の搬送路30のA搬送路30aである。搬送路「B」は、上段の三差路フラッパ機構37と上段の発券口12との間に設けられた第3の搬送路32である。搬送路「C」は、上段の三差路フラッパ機構37と中段の三差路フラッパ機構35との間に設けられた第1の搬送路30のB搬送路30bである。搬送路「D」は、中段の三差路フラッパ機構35と中段の発券口13との間に設けられた第3の搬送路32である。搬送路「E」は、中段の三差路フラッパ機構35と下段の三差路フラッパ機構36との間に設けられた第2の搬送路31のB搬送路31bである。搬送路「F」は、下段の発券ユニット11と下段の三差路フラッパ機構36との間に設けられた第2の搬送路31の搬送路31aである。搬送路「G」は、下段の三差路フラッパ機構36と下段の発券口14との間に設けられた第3の搬送路32である。
【0069】
この場合において、発券ユニット10、11の位置と、通過した搬送経路と、発券口12、13、14との組み合わせで発券時間の違いを予想した結果を図12に示す。
図12に示すように、上段の発券ユニット10で発券された通行券Tを「A」,「B」の搬送経路を利用して上段の発券口12から発券した場合と、下段の発券ユニット11で発券された通行券Tを「F」,「G」の搬送経路を利用して下段の発券口14から発券した場合とが、最も搬送経路が短いため最も発券時間が早い。
これに対して、上段の発券ユニット10で発券された通行券Tを「A」,「C」,「E」,「G」の搬送経路を利用して下段の発券口14から発券した場合と、下段の発券ユニット11で発券された通行券Tを「F」,「E」,「C」,「B」の搬送経路を利用して上段の発券口12から発券した場合とが、最も搬送経路が長いため最も発券時間が遅い。
【0070】
従って、上段の発券ユニット10及び下段の発券ユニット11が共に正常に作動している場合には、上段の発券口12から通行券Tを発券するときには上段の発券ユニット10を利用し、下段の発券口14から通行券Tを発券するときには下段の発券ユニット11を利用するように搬送経路を決定することが好ましい。このように、利用する発券口12、13、14の位置に応じて発券ユニット10、11を使い分けることで、発券時間の高速化を図ることができる。
【0071】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0072】
例えば、上記実施形態では、券類搬送装置を、通行券を発券する自動発券機に適用した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限られず、例えば各種施設の入場券を発券する発券機や、各種交通機関の乗車券を発券する発券機等に適用しても構わない。
特に、レシートのような非常に軟らかい券類であっても確実に搬送できるので、券類搬送装置を幅広い分野まで適用させることができる。
【0073】
また、上記実施形態では、発券ユニットを2つ、発券口を3つ備えた例を説明したが、これらの数に限定されるものではない。用途等に応じて適宜変更して構わない。
また、スリット板と光センサとを利用してフラッパ部の位置決めを行ったが、この場合に限られず、位置決めをできれば他の構成を採用しても構わない。例えば、フラッパ部を一旦0点検出した後に、回転させても構わない。この場合であっても、高精度な位置決めを行うことができる。
【符号の説明】
【0074】
C…車両
M…パルスモータ(回転駆動部)
T…通行券(券類)
1…自動発券システム
2…自動発券機
3…入口センサ(センサ)
4…制御部
10、11…発券ユニット
12、13、14…発券口
15…券類搬送装置
20…収納ボックス
30…第1の搬送路
30a…A搬送路(第1の搬送路)
30b…B搬送路(第1の搬送路)
31…第2の搬送路
31a…A搬送路(第2の搬送路)
31b…B搬送路(第2の搬送路)
32…第3の搬送路
35…三差路フラッパ機構
36、37…三差路フラッパ機構(案内機構)
50、60…フラッパ部(回転案内部)
51、61…固定ガイド(固定案内部)
53、63…案内ガイド
57…回転検出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、有料道路の通行券や、各種施設の入場券や、各種交通機関の乗車券等の券類を、発券口まで搬送する券類搬送装置及びこれを有する自動発券システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
有料道路の入口には、後の精算に必要な通行券を自動的に発券する自動発券機が設置されているが、発券された通行券を運転者が抜き取り易くするために、車両の種類に応じて通行券を発券する高さを3段階に分けており、トラック等の車高が高い車両の場合には、上段の発券口から通行券を発券し、中型車等の比較的車高が高い車両の場合には、中段の発券口から通行券を発券し、小型車等の車高が低い車両の場合には、下段の発券口から通行券を発券している。
【0003】
このように、車両の種類に応じて発券口を変更しているが、通行券は発券前の段階では1つの収納箱に大量に収納された状態で保管されている。ここで、車両が自動発券機に近づくと、収納箱から通行券が1枚繰り出された後、必要な各種情報が記録部によって印刷や磁気記録等により書き込まれる。そして、各種情報が書き込まれた通行券は、車両の種類に基づいて決定された発券口まで搬送された後、この発券口から排出されるようになっている。
【0004】
ところで、収納箱から通行券を1枚繰り出して記録部まで搬送するまでの間に、券詰まりする場合があり、特に、収納箱から1枚繰り出す繰り出し部で券詰まりが発生する可能性が高かった。券詰まりが発生してしまった場合には、通行券が発券口まで搬送されないので、発券停止の状態を引き起こしてしまうものであった。
【0005】
そこで、このような券詰まりの可能性をできるだけ低減するために、収納箱、繰り出し部及び記録部で主に構成される発券ユニットを2つ備え、1つをバックアップ用として用いる構成が考えられている。このようにすることで、仮に券詰まりによって発券ユニットが作動停止してしまったとしても、バックアップ用の発券ユニットによって引き続き通行券を発券することができる。
【0006】
しかしながら、発券ユニットを2つ設けた場合であっても、搬送路に関しては共通であるので、通行券は搬送路に沿って一方向搬送ではなく双方向搬送されることになる。
つまり、図13に示すように、発券ユニット100が1つの場合には、通行券101の供給元が1箇所ということであるので、搬送路に沿って通行券101を一方向に搬送する形になる。そして、搬送路の途中で搬送先を2方向に切り替えることで、いずれかの発券口102から通行券101を発券している。ところが、発券ユニット100が2つの場合には、図14に示すように、通行券101の供給元が2箇所になってしまうので、搬送路に沿って通行券101を双方向から搬送する形になってしまう。そのため、搬送路の途中で搬送先を3方向に切り替える必要がある。
【0007】
ここで、3つの搬送路が交差する三差路に設けられ、取引媒体の搬送先を3方向に切り替えるためのフラッパが提供されている(特許文献1参照)。
このフラッパ110は、図15に示すように、前搬送路R1と、後搬送路R2と、反転部に繋がる反転部側搬送路R3という3つの搬送路が交差する三差路に設けられており、各搬送路R1、R2、R3に頂点が向いた平面視三角形状に形成されている。フラッパ110の中心には支柱111が固定されており、図示しないフラッパソレノイドに連結されている。そして、フラッパソレノイドを励磁或いは非励磁することでフラッパ110を回転させ、2つのポジションに位置決めすることが可能とされている。
【0008】
具体的には、フラッパソレノイドが非励磁の場合には、図15に示すように、フラッパ110は左端部が下がり、右端部が上方のストッパ113に接触するポジションに位置決めされるようになっている。一方、フラッパソレノイドが励磁された場合には、図16に示すように、フラッパ110は右端部が下がり、左端部が上方のストッパ113に接触するポジションに位置決めされるようになっている。
【0009】
このように、フラッパソレノイドのON(励磁)、OFF(非励磁)制御によってフラッパ110を2つのポジションに位置決めすることで、搬送先を3方向に切り替えている。例えば、図15に示すように、前搬送路R1から後搬送路R2に搬送する場合(矢印A)、反転部側搬送路R3から前搬送路R1に搬送する場合(矢印B)、後搬送路R2から反転部側搬送路R3に搬送する場合(矢印C)には、フラッパソレノイドを非励磁にしてフラッパ110の左端部を下げた状態にしておく。すると、取引媒体は、フラッパ110の傾きによって搬送先が規制されるので、上述した方向に自然と案内されるようになっている。
【0010】
一方、図16に示すように、前搬送路R1から反転部側搬送路R3に搬送する場合(矢印D)、反転部側搬送路R3から後搬送路R2に搬送する場合(矢印E)、後搬送路R2から前搬送路R1に搬送する場合(矢印F)には、フラッパソレノイドを励磁してフラッパ110の右端部を下げた状態にしておく。すると、取引媒体は、フラッパ110の傾きによって搬送先が規制されるので、上述した方向に自然と案内されるようになっている。
【0011】
なお、フラッパ110には、右端部及び左端部に図示しないスプリングがそれぞれ取り付けられており、フラッパソレノイドによって回転させられた後、ストッパ113側に引っ張られて確実に右端部或いは左端部が接触するようになっている。そのため、フラッパ110は、フラッパソレノイドによって回転させられた後であっても、スプリング力に抗する外力を受けると、反対方向に若干の回転が許容されるようになっている。
【0012】
よって、取引媒体は、上述した搬送時にフラッパ110を若干回転させ、フラッパ110を乗り越えるようにして搬送されるようになっている。例えば、図15に示すように、前搬送路R1から後搬送路R2に搬送される場合(矢印A)には、ストッパ113に接触しているフラッパ110の右端部を若干押し下げながら、フラッパ110を乗り越えるようにして搬送される。また、反転部側搬送路R3から前搬送路R1に搬送される場合(矢印B)には、フラッパ110の左端部を若干押し上げながら、フラッパ110を乗り越えるようにして搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2003−182908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところが、上述したように取引媒体はスプリングの力に逆らってフラッパ110を乗り越える必要があるので、ある程度の剛性(こわさ)が必要とされてしまう。そのため、PET等の剛性の高い取引媒体にせざるを得ない。仮に、紙等の剛性の低い取引媒体では、取引媒体自体が変形してしまうので、フラッパ110を乗り越えることができず、結果的に詰まりを招いてしまう。従って、上記フラッパ110を利用する場合には、取引媒体に高い剛性が求められてしまい、多種類の取引媒体を幅広く使用することができなかった。
【0015】
また、フラッパ110の乗り越えが多方向で発生するため、スプリング力の調整が非常に難しく、調整作業に手間がかかるものであった。特に、スプリング力の強弱によって、フラッパ110の姿勢が変化してしまうので、高精度な位置決めを行うことが難しかった。そのため、搬送方向の切り替え精度の信頼性低下を招いてしまうものであった。
【0016】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、剛性が低い券類であっても、搬送方向を確実且つ高精度に切り替えながら、3つの搬送路の中から選択された搬送路に向けて券類を搬送することができる券類搬送装置、これを有する自動発券システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、前記課題を解決して係る目的を達成するために以下の手段を提供する。
本発明に係る券類搬送装置は、収納ボックスに複数枚収納された券類を1枚発券する複数の発券ユニットと発券された券類を外部に排出する発券口との間に設けられ、いずれかの発券ユニットから発券された券類を発券口まで分岐・搬送する券類搬送装置であって、いずれかの前記発券ユニットに繋がれた第1の搬送路と、他の前記発券ユニットに繋がれた第2の搬送路と、前記発券口に繋がれた第3の搬送路と、前記3つの搬送路が合流する合流ポイントに設けられ、3つの搬送路のうち2つの搬送路を繋ぐように3つのポジションに切り替わり、前記券類の搬送方向を切り替えながら下流に案内する回転案内部と、前記回転案内部と前記第3の搬送路との間に設けられ、前記第1の搬送路又は前記第2の搬送路から回転案内部を経由して案内されてきた前記券類を第3の搬送路に向けて案内する固定案内部と、前記回転案内部を回転させる回転駆動部と、前記回転案内部の回転位置を検出する回転検出部と、検出された前記回転位置に基づいて前記回転駆動部を制御して、前記3つのポジションの中から選択したいずれかのポジションに前記回転案内部を位置決めさせる制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0018】
この発明に係る券類搬送装置においては、券詰まり等の何らかの理由によりいずれかの発券ユニットから券類を発券できない場合であっても、他の発券ユニットから券類を発券できるので、発券停止を引き起こすことなく、券類を確実に発券口まで搬送して発券させることができる。
特に、従来のものはソレノイドの励磁、非励磁制御によってポジションを2つに位置決めすることで搬送先を3つに切り替える構成であったが、本発明に係る回転案内部はこれとは異なり、3つの搬送路のうち選択した2つを繋げるように3つのポジションに切り替わる。即ち、第1の搬送路と第2の搬送路とを、又は、第1の搬送路と第3の搬送路とを、又は、第2の搬送路と第3の搬送路とをスムーズに繋いで券類を搬送できるように予め設定された3つのポジションに切り替わる。よって、回転案内部は、券類に何ら抵抗(負荷)を与えることなく、選択された搬送路に向けて券類をスムーズに搬送することができる。しかも、従来のようにスプリングの乗り越え抵抗が作用することがないので、紙等のような剛性の低い軟性の券類であっても搬送方向を確実に切り替えて搬送することができる。
【0019】
また、従来のものは、スプリングの乗り越え抵抗を考慮する必要があるのでフラッパの調整作業に手間がかかるものであったが、上述したように回転案内部には乗り越え抵抗が作用しないので、容易且つ確実に設置することができる。更に、高精度に搬送方向を切り替えることができるので、券類を所望する方向に確実に搬送することができる。
【0020】
また、本発明に係る券類搬送装置は、上記本発明の券類搬送装置において、前記固定案内部の近傍には、搬送されてきた前記券類の浮き上がりを規制しながら前記第3の搬送路に向けて案内する案内ガイドが設けられていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る券類搬送装置は、上記本発明の券類搬送装置において、前記発券口及び前記第3の搬送路を複数備え、前記第1の搬送路と前記第2の搬送路とのうち少なくともいずれか一方には、他の前記発券口に繋がれた他の前記第3の搬送路が合流し、該合流ポイントに前記券類の搬送方向を切り替えながら下流に案内する案内機構が設けられ、前記案内機構が、前記第1の搬送路又は前記第2の搬送路から搬送されてきた前記券類を前記第3の搬送路又は前記回転案内部に向けて案内、或いは、前記回転案内部から案内されてきた前記券類を前記第3の搬送路に向けて案内することを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る自動発券システムは、有料道路の入口に設置され、該入口に接近した車両の車両高さに関連する情報を検出するセンサと、上記本発明の券類搬送装置を有する自動発券機と、を備え、前記制御部が、検出された前記情報に基づいて複数の前記発券口の中から前記券類を排出する発券口を決定すると共に、決定した発券口に券類が向かうように前記回転駆動部を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る券類搬送装置によれば、剛性が低い軟性の券類であっても、搬送方向を確実且つ高精度に切り替えながら、3つの搬送路の中から選択された搬送路に向けて券類を搬送することができる。
また、本発明に係る自動発券システムによれば、上記券類搬送装置を有する自動発券機を備えているので、発券停止を引き起こすことなく券類を発券口から排出させることができ、安定した自動発券を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る一実施形態を示す図であって、有料道路の入口に設置された自動発券システムの設置図である。
【図2】図1に示す自動発券機の内部構成図である。
【図3】図2に示す自動発券機内に設けられた中段の三差路フラッパ機構の斜視図である。
【図4】図3に示す三差路フラッパ機構により通行券の搬送方向を切り替えている状態を示す図である。
【図5】図3に示す三差路フラッパ機構により通行券の搬送方向を、図4とは別の方向に切り替えている状態を示す図である。
【図6】図3に示す三差路フラッパ機構により通行券の搬送方向を、図4とはさらに別の方向に切り替えている状態を示す図である。
【図7】図2に示す自動発券機内に設けられた下段の三差路フラッパ機構の斜視図である。
【図8】図7に示す三差路フラッパ機構により通行券の搬送方向を切り替えている状態を示す図である。
【図9】図7に示す三差路フラッパ機構により通行券の搬送方向を、図8とは別の方向に切り替えている状態を示す図である。
【図10】図7に示す三差路フラッパ機構により通行券の搬送方向を、図8とはさらに別の方向に切り替えている状態を示す図である。
【図11】図2に示す自動発券機内の簡略構成図である。
【図12】発券ユニットと、発券口と、搬送経路との組み合わせで、発券時間の違いを予想した図である。
【図13】1つの発券ユニットから3つの発券口に向けて通行券を搬送する場合の従来図である。
【図14】2つの発券ユニットから3つの発券口に向けて通行券を搬送する場合の図である。
【図15】従来の三差路フラッパの一例を示す図であって、左端部が下がり、右端部が上がったポジションにフラッパが回転している状態を示す図である。
【図16】図15の状態から、右端部が下がり、左端部が上がったポジションにフラッパが回転している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る一実施形態を、図1から図12を参照して説明する。なお、本実施形態では、自動発券機に券類搬送装置を適用した場合を例に挙げて説明する。
図1に示すように、自動発券システム1は、通行券(券類)Tを発券する自動発券機2と入口センサ(センサ)3とで構成されている。入口センサ3は、有料道路Rの入口に設置され、該入口に接近した車両Cから車両高さに関連する情報を検出し、自動発券機2に出力している。
【0026】
自動発券機2は、通行券Tを発券する2つの発券ユニット10、11と、通行券Tを外部に排出する3つの発券口12、13、14と、発券された通行券Tを選択されたいずれかの発券口12、13、14まで分岐・搬送する券類搬送装置15と、これら各構成品を収容する筐体16と、を備えている。
発券ユニット10、11は、上下2段に分かれて配置されており、それぞれ通行券Tを複数枚収納可能な収納ボックス20と、収納ボックス20から通行券Tを1枚繰り出す繰り出し部21と、繰り出された通行券Tに印刷や磁気記録等によって必要な情報を書き込む記録部22と、を主に備えている。
【0027】
収納ボックス20は、情報が書き込まれていない未使用状態の通行券Tを複数枚整列積層状態で収納することが可能なボックスであり、最上段に位置する通行券Tが繰り出し部21によって取り出されるようになっている。また、収納ボックス20内には、通行券Tの残量を検出するセンサS1が設けられており、後述する制御部4に検出結果を出力している。
繰り出し部21は、収納ボックス20に収納されている通行券Tのうち、最上段に位置する通行券Tを1枚繰り出して、記録部22に送り出す役割を担っている。また、繰り出し部21には、通行券Tを検出するセンサS2が設けられており、検出結果を制御部4に出力している。
記録部22は、繰り出し部21によって送られてきた通行券Tに対して、印刷や磁気記録等により有料道路Rを通行するにあたって必要な情報(例えば、入口名、入場した日時等)を書き込むようになっている。また、記録部22にも、通行券Tを検出するセンサS2が設けられており、検出結果を制御部4に出力している。
【0028】
発券口12、13、14は、上下三段に分かれた状態で筐体16の壁面に設けられている。このうち、上段の発券口12は、主に車高の高い大型車(トラック等)の車両用に通行券Tを出す発券口であり、中段の発券口13は、比較的車高の高い中型車の車両用に通行券Tを出す発券口であり、下段の発券口14は、車高の低い小型車の車両用に通行券Tを出す発券口である。
いずれの発券口12、13、14も、搬送されてきた通行券Tを運転者に引き渡すために、通行券Tが半分程度露出するまで該通行券Tを外側に排出するようになっている。
【0029】
上記券類搬送装置15は、2つの発券ユニット10、11と3つの発券口12、13、14との間に設けられており、いずれかの発券ユニット10、11で発券された通行券Tを選択されたいずれかの発券口12、13、14まで搬送する役割を担っている。
【0030】
この券類搬送装置15は、上段の発券ユニット10に繋がれた第1の搬送路30と、下段の発券ユニット11(他の発券ユニット)に繋がれた第2の搬送路31と、各発券口12、13、14に繋がれた第3の搬送路32と、通行券Tの搬送方向を切り替えながら下流に案内する3つの三差路フラッパ機構35、36、37と、で主に構成されている。
【0031】
3つの三差路フラッパ機構35、36、37のうち、中段に配置された三差路フラッパ機構35は、第1の搬送路30と、第2の搬送路31と、中段の発券口13に繋がった第3の搬送路32と、が合流する合流ポイントに設けられている。そして、この中段の三差路フラッパ機構35は、上段の発券ユニット10で発券された通行券Tを中段の発券口13に向けて搬送或いは下段の三差路フラッパ機構36に搬送したり、下段の発券ユニット11で発券された通行券Tを中段の発券口13に向けて搬送或いは上段の三差路フラッパ機構37に搬送したりする役割を果している。
【0032】
また、本実施形態の第1の搬送路30は、A搬送路30a及びB搬送路30bの2つの搬送路からなり、両搬送路30a、30bの合流部分に上段の発券口12に繋がった第3の搬送路32がさらに合流するように配置されている。そして、A搬送路30aと、B搬送路30bと、第3の搬送路32と、が合流するポイントに上段の三差路フラッパ機構37が設けられている。
この上段の三差路フラッパ機構37は、通行券Tの搬送方向を切り替えながら下流に案内する案内機構として機能するものであり、上段の発券ユニット10で発券された通行券Tを上段の発券口12に向けて搬送或いは中段の三差路フラッパ機構35に搬送したり、下段の発券ユニット11で発券された通行券Tを上段の発券口12に向けて搬送したりする役割を果している。
【0033】
また、第2の搬送路31も同様に、A搬送路31a及びB搬送路31bの2つの搬送路からなり、両搬送路31a、31bの合流部分に下段の発券口14に繋がった第3の搬送路32がさらに合流するように配置されている。そして、A搬送路31aと、B搬送路31bと、第3の搬送路32と、が合流するポイントに下段の三差路フラッパ機構36が設けられている。
この下段の三差路フラッパ機構36も同様に、通行券Tの搬送方向を切り替えながら下流に案内する案内機構として機能するものであり、下段の発券ユニット11で発券された通行券Tを下段の発券口14に向けて搬送或いは中段の三差路フラッパ機構35に搬送したり、上段の発券ユニット10で発券された通行券Tを下段の発券口14に向けて搬送したりする役割を果している。
【0034】
ところで、第1の搬送路30、第2の搬送路31及び第3の搬送路32は、互いに対向配置され、2つのプーリー41の間に巻回された一対の無端ベルト40を備えている。一対の無端ベルト40間で通行券Tを挟み込み、一対の無端ベルト40に巻回された4つのプーリー41のうち1つを図示されないモータで駆動することにより、通行券Tを搬送するようになっている。
【0035】
次に、上述した中段の三差路フラッパ機構35について、詳細に説明する。
この三差路フラッパ機構35は、図3に示すように、3つの搬送路30、31、32のうち2つの搬送路を繋ぐように、即ち、第1の搬送路30と第2の搬送路31とを、又は、第1の搬送路30と第3の搬送路32とを、又は、第2の搬送路31と第3の搬送路32とを繋ぐように3つのポジションに切り替わるフラッパ部(回転案内部)50と、このフラッパ部50と第3の搬送路32との間に設けられた固定ガイド(固定案内部)51と、で主に構成されている。
【0036】
フラッパ部50は、通行券Tの幅(短手)を超えない間隔を開けて平行に2つ配置されており、パルスモータMによって回転させられるシャフト52によって互いに連結されている。これにより、2つのフラッパ部50は、パルスモータ(回転駆動部)Mの正逆回転によって回転軸L回りを精密に微小角度回転可能とされている。なお、パルスモータMは、制御部4によって作動が制御されており、上述したように3つの搬送路30、31、32のうち2つの搬送路を繋ぐようにフラッパ部50を回転させる役割を担っている。
【0037】
フラッパ部50は、シャフト52を中心に第1の搬送路30及び第2の搬送路31に向かって延びるように形成されており、それぞれの先端が両搬送路30、31のプーリー41の側方に位置するようになっている。これにより、回転に応じて、2つの先端が一対の無端ベルト40間で搬送されてくる通行券Tの手前側に位置したり、奥側に位置したりすることが可能とされている。
【0038】
また、このフラッパ部50は、第1の案内面50a、第2の案内面50b及び第3の案内面50cで外周面が形成されており、上述した2つの先端位置に応じて、通行券Tを沿わせて案内する面が切り替わるようになっている。
即ち、第1の搬送路30と第2の搬送路31とを繋ぐ場合には、図4に示すように、いずれか一方の搬送路より搬送されてきた通行券Tを第1の案内面50a上で案内しながら他方の搬送路に向かわせるポジションに切り替わるようになっている。
また、第2の搬送路31と第3の搬送路32とを繋ぐ場合には、図5に示すように、第2の搬送路31より搬送されてきた通行券Tを第3の案内面50c上に案内するポジションに切り替わるようになっている。
また、第1の搬送路30と第3の搬送路32とを繋ぐ場合には、図6に示すように、第1の搬送路30より搬送されてきた通行券Tを第2の案内面50b上に案内するポジションに切り替わるようになっている。
【0039】
また、固定ガイド51は、図5及び図6に示すように、フラッパ部50の第2の案内面50b上又は第3の案内面50c上に案内されてきた通行券Tを、第3の搬送路32に向けて案内する機能を果している。つまり、第1の搬送路30又は第2の搬送路31からフラッパ部50を経由して案内されてきた通行券Tを第3の搬送路32に向けて案内する機能を果している。
なお、この固定ガイド51は、図3に示すように、2つのフラッパ部50の間に挟まれ、基端側がシャフト52の近傍に位置した状態で配置されている。つまり、固定ガイド51は、シャフト52の回転に伴って回転することがなく、常に姿勢が安定した固定状態で配置されている。
【0040】
また、フラッパ部50の近傍であって固定ガイド51の上下には、案内されている通行券Tを案内方向に補助的にガイドする案内ガイド53が設けられている。この案内ガイド53は、案内されている通行券Tの浮き上がりを抑えると共に、通行券Tを滑らかに案内方向に向かわせる働きをしている。
【0041】
図3に示すように、パルスモータMは、上述したようにシャフト52を介して2つのフラッパ部50を回転させており、回転方向、回転量によってフラッパ部50のポジションを切り替え、搬送方向を制御するようになっている。
上記シャフト52には、円板状のスリット板55が取り付けられている。このスリット板55には、周方向に沿って等間隔毎にスリット孔55aが複数形成されている。なお、図3では、スリット孔55aの数を省略して図示している。また、スリット板55を挟むように光センサ56が設けられている。この光センサ56は、スリット板55に向けて光を発する図示しない発光部と、スリット孔55aを介してスリット板55を通過してきた光を受光する図示しない受光部と、を備えており、光を受光した数、即ち、パルス数に基づいてフラッパ部50の回転位置を検出するようになっている。
これら、スリット板55及び光センサ56は、フラッパ部50の回転位置を検出する回転検出部57として機能する。
なお、上述した構成は回転検出部57の一例であり、フラッパ部50の微小回転角度量を検出できる他の方法に替えても構わない。
【0042】
そして、パルスモータMは、フラッパ部50を回転させる際に、検出された回転位置に基づいて回転させ、選択したいずれかのポジション(各ポジションは、通行券Tをスムーズに搬送できるように予め設定されている)にフラッパ部50を正確に位置決めするようになっている。特に、パスル数に基づいて回転させることができるので、フラッパ部50を±1度程度の精度で高精度に位置決めすることができる。
【0043】
次に、上述した下段の三差路フラッパ機構36について、詳細に説明する。
図7に示すように、下段の三差路フラッパ機構36は、中段の三差路フラッパ機構35と同様にパルスモータMによって回転するフラッパ部60と、固定ガイド61と、で主に構成されている。
フラッパ部60は、通行券Tの幅(短手)を超えない間隔を開けて平行に2つ配置されており、パルスモータMによって回転させられるシャフト52によって互いに連結されている。これにより、2つのフラッパ部60は、パルスモータMの正逆回転によって回転軸L回りを精密に微小角度回転可能とされている。
【0044】
フラッパ部60は、シャフト52を中心に第2の搬送路31のA搬送路31a及びB搬送路31bに向かって延びるように形成されており、それぞれの先端が両搬送路31a、31bのプーリー41の側方に位置するようになっている。これにより、回転に応じて、2つの先端が一対の無端ベルト40間で搬送されてくる通行券Tの手前側に位置したり、奥側に位置したりすることが可能とされている。
また、フラッパ部60は、第1の案内面60a、第2の案内面60b及び第3の案内面60cで外周面が形成されており、上述した2つの先端位置に応じて、通行券Tを沿わせて案内する面が切り替わるようになっている。
【0045】
即ち、第2の搬送路31のA搬送路31aとB搬送路31bとを繋ぐ場合には、図8に示すように、いずれか一方の搬送路より搬送されてきた通行券Tを第1の案内面60a上で案内しながら他方の搬送路に向かわせるポジションに切り替わるようになっている。
また、第2の搬送路31のA搬送路31aと第3の搬送路32とを繋ぐ場合には、図9に示すように、第2の搬送路31より搬送されてきた通行券Tを第3の案内面60c上に案内するポジションに切り替わるようになっている。
また、第2の搬送路31のB搬送路31bと第3の搬送路32とを繋ぐ場合には、図10に示すように、第2の搬送路31より搬送されてきた通行券Tを第2の案内面60b上に案内するポジションに切り替わるようになっている。
【0046】
また、固定ガイド61は、図9及び図10に示すように、フラッパ部60の第2の案内面60b上又は第3の案内面60c上に案内されてきた通行券Tを、第3の搬送路32に向けて案内するようになっている。また、フラッパ部60の近傍であって固定ガイド61の上方には、案内されている通行券Tを案内方向に補助的にガイドする案内ガイド63が設けられている。この案内ガイド63は、案内されている通行券Tの浮き上がりを抑えると共に、通行券Tを滑らかに案内方向に向かわせる働きをしている。
【0047】
なお、上段の三差路フラッパ機構37に関しては、基本的に上述した下段の三差路フラッパ機構36と同じ構成で上下に反転した形で構成可能であるため、説明を省略する。
【0048】
図2に示すように、自動発券機2には、入口センサ3から出力された車両Cに関連する情報から車両高さを割り出し、車両高さに基づいて3つの発券口12、13、14の中から通行券Tを排出する発券口を決定する制御部4が設けられている。つまり、この制御部4は、車両高さに応じた最適な高さで通行券Tを渡せるように、使用する発券口12、13、14を決定している。
そして、制御部4は、決定した発券口12、13、14に通行券Tを搬送するように各構成品を総合的に制御している。つまり、第1の搬送路30、第2の搬送路31及び第3の搬送路32の搬送方向を制御すると共に、各三差路フラッパ機構35、36、37を制御して搬送方向を所望する方向に切り替える。これにより、発券された通行券Tを選択した発券口12、13、14まで確実に搬送することができる。
【0049】
なお、制御部4は、上段の発券ユニット10又は下段の発券ユニット11のどちらの発券ユニットで通行券Tを発券するかの決定も行っている。また、各発券ユニット10、11に設けられた各種センサS1、S2からの検出結果に基づいて、発券ユニット10、11内で券詰まりや通行券Tの残量不足等が生じた場合には、発券ユニット10、11を切り替えるように制御している。これにより、発券停止を未然に防止することができるようになっている。
【0050】
また、各搬送路30、31、32や各発券口12、13、14には、通行券Tを検出するセンサS2が適宜設けられており、検出結果を制御部4に出力している。制御部4は、これらのセンサS2からの検出結果に基づいて、通行券Tの搬送制御や通行券Tの券詰まり確認を行っている。
【0051】
次に、このように構成された自動発券システム1を利用して通行券Tを発券する場合について、以下に説明する。
図1に示すように、まず有料道路Rの入口に車両Cが接近すると入口センサ3が反応する。反応した入口センサ3は、車両高さに関連する情報をこの車両Cから検出し、自動発券機2の制御部4に出力する。
【0052】
すると、制御部4は、入口センサ3から送られてきた車両高さの情報より、接近した車両Cが例えば中型車であると判断する。続いて、制御部4は、3つの発券口12、13、14の中から中型車に最適な中段の発券口13を利用することを決定する。続いて、制御部4は、通行券Tが収納ボックス20内に十分に収納されていることを把握した上で、例えば下段の発券ユニット11を作動させると共に、この発券ユニット11から発券された通行券Tが中段の発券口13に向かうように第2の搬送路31及び第3の搬送路32の搬送方向、各三差路フラッパ機構35、36の作動を制御する。
【0053】
具体的には、下段の三差路フラッパ機構36のフラッパ部60を回転させて、図8に示すように第2の搬送路31のA搬送路31aとB搬送路31bとを繋げるポジションに切り替える。即ち、A搬送路31aより搬送されてくる通行券Tが第1の案内面60a上に案内されるようにフラッパ部60を回転させる。更に、中段の三差路フラッパ機構35のフラッパ部50を回転させて、図5に示すように第2の搬送路31と第3の搬送路32とを繋げるポジションに切り替える。即ち、第2の搬送路31のB搬送路31bより搬送されてくる通行券Tが第3の案内面50c上に案内されるようにフラッパ部50を回転させる。
【0054】
下段の発券ユニット11が制御部4からの指示を受けると、図2に示すように、繰り出し部21が収納ボックス20から最上段に位置する通行券Tを1枚繰り出し、記録部22に送り出す。記録部22は、送られてきた通行券Tに対して、必要な情報を印刷や磁気記録等により書き込んだ後、第2の搬送路31のA搬送路31aに送り出す。
するとA搬送路31aは、受け取った通行券Tを下段の三差路フラッパ機構36に向けて搬送する。この三差路フラッパ機構36まで搬送されると、通行券Tは、図8に示すように、フラッパ部60の第1の案内面60a上に自然と案内された後、搬送方向が切り替わってB搬送路31b側に搬送される。
【0055】
次いで、B搬送路31bは、送られてきた通行券Tを中段の三差路フラッパ機構35に向けて搬送する。この三差路フラッパ機構35まで搬送されると、通行券Tは、図5に示すように、フラッパ部50の第3の案内面50c上に自然と案内された後、固定ガイド51に沿って第3の搬送路32側に搬送される。
次いで、第3の搬送路32は、図2に示すように、送られてきた通行券Tを中段の発券口13に向けて搬送する。その結果、図1に示すように、必要な情報が書き込まれた通行券Tを中段の発券口13から外部に排出することができる。
【0056】
ところで、入口に接近してきた車両Cが車高の高い大型車(トラック等)であると制御部4が判断した場合には、上段の発券口12を利用することを決定する。
この場合には、上段の三差路フラッパ機構37のフラッパ部を回転させて、第1の搬送路30のA搬送路31aと第3の搬送路32とを繋げるポジションに切り替える。
その結果、上段の発券ユニット10から発券された通行券Tを上段の発券口12まで搬送することができ、該発券口12から外部に排出することができる。
【0057】
また、入口に接近してきた車両Cが車高の低い小型車だと制御部4が判断した場合には、下段の発券口14を利用することを決定する。
この場合には、下段の三差路フラッパ機構36のフラッパ部60を回転させて、図9に示すように第2の搬送路31のA搬送路31aと第3の搬送路32とを繋げるポジションに切り替える。即ち、搬送路で搬送されてくる通行券Tが第3の案内面60c上に案内されるようにフラッパ部60を回転させる。
その結果、下段の発券ユニット11から発券された通行券Tを下段の発券口14まで搬送することができ、該発券口14から外部に排出することができる。
【0058】
上述したように、車両高さに応じて、上段の発券ユニット10又は下段の発券ユニット11から発券された通行券Tを選択した発券口12、13、14まで確実に搬送することができ、運転者にとって最適な高さで通行券Tを受け渡すことができる。
ところで、下段の発券ユニット11内、又は、第2の搬送路31のA搬送路31a内で仮に券詰まりが発生した場合には、制御部4は各種センサS1、S2からの検出結果に基づいて券詰まりが発生したことを直ちに把握する。すると制御部4は、上段の発券ユニット10を作動させて通行券Tを発券させる。これと同時に、選択した発券口12、13、14に通行券Tが向かうように、第1の搬送路30及び第2の搬送路31の搬送方向、並びに、各三差路フラッパ機構35、36、37を制御する。
【0059】
例えば、中段の発券口13を利用する場合には、上段の三差路フラッパ機構37のフラッパ部を回転させて、第1の搬送路30のA搬送路30aとB搬送路30bとを繋げるポジションに切り替えることにより、第1の搬送路30のA搬送路30aの搬送方向を中段の三差路フラッパ機構35に向かう方向に制御する。また、中段の三差路フラッパ機構35のフラッパ部50を回転させて、図6に示すように第1の搬送路30と第3の搬送路32とを繋げるポジションに切り替える。即ち、第1の搬送路30のB搬送路30bより搬送されてくる通行券Tが第2の案内面50b上に案内されるようにフラッパ部50を回転させる。
その結果、上段の発券ユニット10から発券された通行券Tを中段の発券口13まで搬送することができ、該発券口13から外部に排出することができる。
【0060】
また、下段の発券口14を利用する場合には、上段の三差路フラッパ機構37のフラッパ部を回転させて、第1の搬送路30のA搬送路30aとB搬送路30bとを繋げるポジションに切り替える。そして、中段の三差路フラッパ機構35のフラッパ部50を回転させて、図4に示すように第1の搬送路30のB搬送路30bと第2の搬送路31のB搬送路31bとを繋げるポジションに切り替える。即ち、第1の搬送路30のB搬送路30bより搬送されてくる通行券Tが第1の案内面50a上に案内されるようにフラッパ部50を回転させる。また、下段の三差路フラッパ機構36のフラッパ部60を回転させて、図10に示すように第2の搬送路31のB搬送路31bと第3の搬送路32とを繋げるポジションに切り替える。即ち、通行券Tが第2の案内面60b上に案内されるようにフラッパ部60を回転させる。
その結果、上段の発券ユニット10から発券された通行券Tを下段の発券口14まで搬送することができ、該発券口14から外部に排出することができる。
【0061】
上述したように、上段の発券ユニット10から通行券Tを発券したとしても、やはり選択した発券口12、13、14まで確実に搬送することができ、運転者にとって最適な高さで通行券Tを受け渡すことができる。従って、下段の発券ユニット11内、又は、第2の搬送路31のA搬送路31a内で券詰まりが発生してしまったとしても、発券停止を引き起こすことなく、選択した発券口12、13、14まで引き続き搬送して運転者に受け渡すことができる。
【0062】
特に、各三差路フラッパ機構35、36、37は、フラッパ部50、60が3つのポジションに切り替わるように構成されている。従来のものは、ソレノイドの励磁、非励磁制御によってポジションを2つに位置決めし、搬送先を3つに切り替える構成であった。
これに対し本実施形態では、中段の三差路フラッパ機構35を例にすると、フラッパ部50が3つの搬送路30、31、32のうち選択した2つを繋げるように3つのポジションに切り替わる。
よって、三差路フラッパ機構35は、通行券Tに何ら抵抗(負荷)を与えることなく、選択された搬送路に向けて通行券Tをスムーズに搬送することができる。よって、従来のようにスプリングの乗り越え抵抗が作用することがないので、通行券Tが紙のように剛性が低い場合であっても搬送方向を確実に切り替えて搬送することができる。
【0063】
しかも、従来のものはスプリングの乗り越え抵抗を考慮する必要があるので、フラッパの調整作業に手間がかかるものであったが、本実施形態のフラッパ部50にはスプリングの乗り越え抵抗が作用しないので、容易且つ確実に調整できるうえ、高精度に搬送方向を切り替えることができる。従って、通行券Tを所望する方向に確実に搬送することができる。
また、三差路フラッパ機構35は、フラッパ部50と固定ガイド51との組み合わせで構成されている。特に、固定ガイド51を利用しているので、フラッパ部50の形状を複雑な形状に設計する必要がなく、極力シンプルな形状に設計することができるうえ、急な角度での方向転換をさせることも可能である。よって、設計の自由度を向上することができる。
【0064】
また、案内ガイド53が設けられているので、搬送中の通行券Tの浮き上がりを抑えながら搬送方向にガイドできるので、短い距離で滑らかに案内方向に向かわせ、方向転換をスムーズに行える。
更に、スリット板55及び光センサ56で構成される回転検出部57によって、フラッパ部50の回転位置を検出できるので、現在のポジションを常時正確・精密に把握することができるため、搬送方向の切り替えをより確実に行うことができ、搬送の信頼性を高めることができる。
【0065】
なお、上述した点は、上段の三差路フラッパ機構37及び下段の三差路フラッパ機構36であっても同様である。
【0066】
また、本実施形態の自動発券機2によれば、上段の発券ユニット10又は下段の発券ユニット11より繰り出された通行券Tを券類搬送装置15によって搬送するので、発券ユニット10又は発券ユニット11のいずれかで券の残量不足や詰まりが発生した場合でも、発券停止の不具合を引き起こすことなく、通行券Tを選択した発券口12、13、14まで確実に搬送でき、安定した自動発券を行うことができる。
特に、通行券Tを発券する際に、利用する発券口12、13、14の位置に応じて上段の発券ユニット10と下段の発券ユニット11を適宜使い分けることで、通行券Tをより短時間で発券することができる。つまり、発券時間の高速化を図ることができる。
この点について、図11及び図12を参照して説明する。
【0067】
図11は、自動発券機2内を簡略化した図である。なお、この図11では、上述した各搬送路を、「A」〜「G」の搬送路に分けて説明する。これら各搬送路「A」〜「G」の定義は、以下の通りである。
【0068】
搬送路「A」は、上段の発券ユニット10と上段の三差路フラッパ機構37との間に設けられた第1の搬送路30のA搬送路30aである。搬送路「B」は、上段の三差路フラッパ機構37と上段の発券口12との間に設けられた第3の搬送路32である。搬送路「C」は、上段の三差路フラッパ機構37と中段の三差路フラッパ機構35との間に設けられた第1の搬送路30のB搬送路30bである。搬送路「D」は、中段の三差路フラッパ機構35と中段の発券口13との間に設けられた第3の搬送路32である。搬送路「E」は、中段の三差路フラッパ機構35と下段の三差路フラッパ機構36との間に設けられた第2の搬送路31のB搬送路31bである。搬送路「F」は、下段の発券ユニット11と下段の三差路フラッパ機構36との間に設けられた第2の搬送路31の搬送路31aである。搬送路「G」は、下段の三差路フラッパ機構36と下段の発券口14との間に設けられた第3の搬送路32である。
【0069】
この場合において、発券ユニット10、11の位置と、通過した搬送経路と、発券口12、13、14との組み合わせで発券時間の違いを予想した結果を図12に示す。
図12に示すように、上段の発券ユニット10で発券された通行券Tを「A」,「B」の搬送経路を利用して上段の発券口12から発券した場合と、下段の発券ユニット11で発券された通行券Tを「F」,「G」の搬送経路を利用して下段の発券口14から発券した場合とが、最も搬送経路が短いため最も発券時間が早い。
これに対して、上段の発券ユニット10で発券された通行券Tを「A」,「C」,「E」,「G」の搬送経路を利用して下段の発券口14から発券した場合と、下段の発券ユニット11で発券された通行券Tを「F」,「E」,「C」,「B」の搬送経路を利用して上段の発券口12から発券した場合とが、最も搬送経路が長いため最も発券時間が遅い。
【0070】
従って、上段の発券ユニット10及び下段の発券ユニット11が共に正常に作動している場合には、上段の発券口12から通行券Tを発券するときには上段の発券ユニット10を利用し、下段の発券口14から通行券Tを発券するときには下段の発券ユニット11を利用するように搬送経路を決定することが好ましい。このように、利用する発券口12、13、14の位置に応じて発券ユニット10、11を使い分けることで、発券時間の高速化を図ることができる。
【0071】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0072】
例えば、上記実施形態では、券類搬送装置を、通行券を発券する自動発券機に適用した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限られず、例えば各種施設の入場券を発券する発券機や、各種交通機関の乗車券を発券する発券機等に適用しても構わない。
特に、レシートのような非常に軟らかい券類であっても確実に搬送できるので、券類搬送装置を幅広い分野まで適用させることができる。
【0073】
また、上記実施形態では、発券ユニットを2つ、発券口を3つ備えた例を説明したが、これらの数に限定されるものではない。用途等に応じて適宜変更して構わない。
また、スリット板と光センサとを利用してフラッパ部の位置決めを行ったが、この場合に限られず、位置決めをできれば他の構成を採用しても構わない。例えば、フラッパ部を一旦0点検出した後に、回転させても構わない。この場合であっても、高精度な位置決めを行うことができる。
【符号の説明】
【0074】
C…車両
M…パルスモータ(回転駆動部)
T…通行券(券類)
1…自動発券システム
2…自動発券機
3…入口センサ(センサ)
4…制御部
10、11…発券ユニット
12、13、14…発券口
15…券類搬送装置
20…収納ボックス
30…第1の搬送路
30a…A搬送路(第1の搬送路)
30b…B搬送路(第1の搬送路)
31…第2の搬送路
31a…A搬送路(第2の搬送路)
31b…B搬送路(第2の搬送路)
32…第3の搬送路
35…三差路フラッパ機構
36、37…三差路フラッパ機構(案内機構)
50、60…フラッパ部(回転案内部)
51、61…固定ガイド(固定案内部)
53、63…案内ガイド
57…回転検出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納ボックスに複数枚収納された券類を1枚発券する複数の発券ユニットと発券された券類を外部に排出する発券口との間に設けられ、いずれかの発券ユニットから発券された券類を発券口まで分岐・搬送する券類搬送装置であって、
いずれかの前記発券ユニットに繋がれた第1の搬送路と、
他の前記発券ユニットに繋がれた第2の搬送路と、
前記発券口に繋がれた第3の搬送路と、
前記3つの搬送路が合流する合流ポイントに設けられ、3つの搬送路のうち2つの搬送路を繋ぐように3つのポジションに切り替わり、前記券類の搬送方向を切り替えながら下流に案内する回転案内部と、
前記回転案内部と前記第3の搬送路との間に設けられ、前記第1の搬送路又は前記第2の搬送路から回転案内部を経由して案内されてきた前記券類を第3の搬送路に向けて案内する固定案内部と、
前記回転案内部を回転させる回転駆動部と、
前記回転案内部の回転位置を検出する回転検出部と、
検出された前記回転位置に基づいて前記回転駆動部を制御して、前記3つのポジションの中から選択したいずれかのポジションに前記回転案内部を位置決めさせる制御部と、を備えていることを特徴とする券類搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の券類搬送装置において、
前記固定案内部の近傍には、搬送されてきた前記券類の浮き上がりを規制しながら前記第3の搬送路に向けて案内する案内ガイドが設けられていることを特徴とする券類搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の券類搬送装置において、
前記発券口及び前記第3の搬送路を複数備え、
前記第1の搬送路と前記第2の搬送路とのうち少なくともいずれか一方には、他の前記発券口に繋がれた他の前記第3の搬送路が合流し、該合流ポイントに前記券類の搬送方向を切り替えながら下流に案内する案内機構が設けられ、
前記案内機構は、前記第1の搬送路又は前記第2の搬送路から搬送されてきた前記券類を前記第3の搬送路又は前記回転案内部に向けて案内、或いは、前記回転案内部から案内されてきた前記券類を前記第3の搬送路に向けて案内することを特徴とする券類搬送装置。
【請求項4】
有料道路の入口に設置され、該入口に接近した車両の車両高さに関連する情報を検出するセンサと、
請求項3に記載の券類搬送装置を有する自動発券機と、を備え、
前記制御部は、検出された前記情報に基づいて複数の前記発券口の中から前記券類を排出する発券口を決定すると共に、決定した発券口に券類が向かうように前記回転駆動部を制御することを特徴とする自動発券システム。
【請求項1】
収納ボックスに複数枚収納された券類を1枚発券する複数の発券ユニットと発券された券類を外部に排出する発券口との間に設けられ、いずれかの発券ユニットから発券された券類を発券口まで分岐・搬送する券類搬送装置であって、
いずれかの前記発券ユニットに繋がれた第1の搬送路と、
他の前記発券ユニットに繋がれた第2の搬送路と、
前記発券口に繋がれた第3の搬送路と、
前記3つの搬送路が合流する合流ポイントに設けられ、3つの搬送路のうち2つの搬送路を繋ぐように3つのポジションに切り替わり、前記券類の搬送方向を切り替えながら下流に案内する回転案内部と、
前記回転案内部と前記第3の搬送路との間に設けられ、前記第1の搬送路又は前記第2の搬送路から回転案内部を経由して案内されてきた前記券類を第3の搬送路に向けて案内する固定案内部と、
前記回転案内部を回転させる回転駆動部と、
前記回転案内部の回転位置を検出する回転検出部と、
検出された前記回転位置に基づいて前記回転駆動部を制御して、前記3つのポジションの中から選択したいずれかのポジションに前記回転案内部を位置決めさせる制御部と、を備えていることを特徴とする券類搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の券類搬送装置において、
前記固定案内部の近傍には、搬送されてきた前記券類の浮き上がりを規制しながら前記第3の搬送路に向けて案内する案内ガイドが設けられていることを特徴とする券類搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の券類搬送装置において、
前記発券口及び前記第3の搬送路を複数備え、
前記第1の搬送路と前記第2の搬送路とのうち少なくともいずれか一方には、他の前記発券口に繋がれた他の前記第3の搬送路が合流し、該合流ポイントに前記券類の搬送方向を切り替えながら下流に案内する案内機構が設けられ、
前記案内機構は、前記第1の搬送路又は前記第2の搬送路から搬送されてきた前記券類を前記第3の搬送路又は前記回転案内部に向けて案内、或いは、前記回転案内部から案内されてきた前記券類を前記第3の搬送路に向けて案内することを特徴とする券類搬送装置。
【請求項4】
有料道路の入口に設置され、該入口に接近した車両の車両高さに関連する情報を検出するセンサと、
請求項3に記載の券類搬送装置を有する自動発券機と、を備え、
前記制御部は、検出された前記情報に基づいて複数の前記発券口の中から前記券類を排出する発券口を決定すると共に、決定した発券口に券類が向かうように前記回転駆動部を制御することを特徴とする自動発券システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−191862(P2010−191862A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37834(P2009−37834)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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