説明

削孔装置

【課題】 削孔完了後にビットを回収することができ、超硬チップを埋め込んだ高価なビットも使用でき、硬質地盤にも対応可能となる削孔装置を提供する。
【解決手段】 ケーシング2と、その前端に連結された補助ビット3と、補助ビット3の内周面に設けられた係止部7と、全体が補助ビット3内に遊嵌された主ビット4と、その基端部4bに設けられた貫通孔8を貫通して係止部7に嵌合され主ビット4と補助ビット3とを一体的に連結する連結ブロック9と、連結ブロック9を係止部7から離脱させる方向に付勢する付勢部材10と、主ビット4の基端部4b内に所定範囲で摺動可能に装着され、連結ブロック9を係止部7に嵌合させた状態に保持する連結ブロック押え部材11と、その後端部に削孔完了後に連結され連結ブロック押え部材11を引っ張ることで連結ブロック9を付勢部材10の付勢力により係止部8から離脱させ主ビット4を回収する回収部材12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、削孔装置に係り、特に先端ビットを回収可能とした削孔装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
削孔装置としては、例えば特許第2759437号公報に記載されているもの(穿孔装置)が知られている。図9は従来の削孔装置(穿孔装置)を説明する説明図である。この削孔装置は、中空円筒状のケーシング40と、該ケーシング40の穿孔方向前端に連結された中空円筒状のドライブシュー41と、中空円筒状の基端部42bをドライブシュー41の削孔方向前端に遊嵌されたビット(クローネンビットともいう)42とを備えた削孔装置において、前記ドライブシュー41に設けられた係止部43と、前記ビット42の基端部42bにおける前記係止部43と対応する位置に設けられた貫通孔44と、前記ビット42の基端部42b内方から貫通孔44を貫通して係止部43に着脱可能に嵌合され、ビット42をドライブシュー41に周方向に沿って相対回転不能で、かつ、穿孔方向に沿って相対移動不能に連結する係止ピン45と、前記ビット42の基端部42b内方に着脱可能に嵌合され、前記係止ピン45を係止部43に嵌合された状態に保持する中空円筒状のピン押え部材46と、前記係止ピン45とビット42の基端部42bとの間に介在され、係止ピン45を係止部43からの離脱方向へ常時付勢する付勢部材47と、穿孔方向及び穿孔方向と逆方向に沿う進退動に伴って、前記ピン押え部材46をビット42の基端部42b内方から離脱させて回収することにより、係止ピン45を付勢部材47の付勢力によって係止部43から離脱させる回収部材(図示省略)とを備えている。
【0003】
この削孔装置によれば、削孔完了後〔図1の(a)〕、図示しない回収部材をケーシング40内に挿入し、ピン押え部材46と連結した後、引上げることによりケーシング40とビット42の連結を解除することができると共に、ピン押え部材46を地上に回収することができる。次に、図1の(b),(c)に示すようにケーシング内にアンカーテンドン(鋼管等でも良い)48を挿入し、ビット42を孔内に残し、ケーシング40のみを回収するようになっている。
【0004】
【特許文献1】特許第2759437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記削孔装置においては、削孔完了後にビットを孔内(地中)に残置するように構成されているため、ビットを回収することが困難であった。特に、ビット42の本体部42aの外径が基端部42bの外径よりも大きく形成されているため、ビット42の本体部42aがドライブシュー41の先端部に引っ掛かりケーシング40内を通して回収することができない。このため、超硬チップを埋め込んだ高価なビットを使用することがコスト的に困難となり、固い地盤を削孔することができず、対応地盤に制限があった。
【0006】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、削孔完了後にビットを回収することができ、超硬チップを埋め込んだ高価なビットも使用でき、硬質地盤にも対応可能となる削孔装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のうち、請求項1の発明は、中空円筒状のケーシングと、該ケーシングの前端に連結された中空円筒状の補助ビットと、該補助ビットの内周面に設けられた係止部と、中空円筒状の基端部を有し、該基端部を含む全体が前記補助ビット内に遊嵌された主ビットと、該主ビットの基端部における前記係止部と対応する部分に設けられた貫通孔と、主ビットの基端部内方から貫通孔を貫通して前記係止部に嵌合され、主ビットと補助ビットとを一体的に連結する連結ブロックと、該連結ブロックと主ビット間に設けられ、連結ブロックを係止部から離脱させる方向に付勢する付勢部材と、主ビットの基端部内にその軸方向に所定範囲で摺動可能に装着され、連結ブロックを係止部に嵌合させた状態に保持する連結ブロック押え部材と、該連結ブロック押え部材の後端部に着脱可能に連結され、該連結ブロック押え部材を引っ張ることにより連結ブロックを付勢部材の付勢力によって係止部から離脱させると共に主ビットを回収する回収部材とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1記載の削孔装置において、前記連結ブロック押え部材は、自重で前進した位置で連結ブロックを係止部に嵌合させ、後退した位置で係止部から連結ブロックを付勢部材の付勢力により離脱させるように案内する傾斜した押え面を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1記載の削孔装置において、前記連結ブロックは、主ビットの基端部の周上に等間隔で少なくとも2つ配置され、これら連結ブロックは、連結軸を介して主ビットの径方向に移動可能に連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、中空円筒状のケーシングと、該ケーシングの前端に連結された中空円筒状の補助ビットと、該補助ビットの内周面に設けられた係止部と、中空円筒状の基端部を有し、該基端部を含む全体が前記補助ビット内に遊嵌された主ビットと、該主ビットの基端部における前記係止部と対応する部分に設けられた貫通孔と、主ビットの基端部内方から貫通孔を貫通して前記係止部に嵌合され、主ビットと補助ビットとを一体的に連結する連結ブロックと、該連結ブロックと主ビット間に設けられ、連結ブロックを係止部から離脱させる方向に付勢する付勢部材と、主ビットの基端部内にその軸方向に所定範囲で摺動可能に装着され、連結ブロックを係止部に嵌合させた状態に保持する連結ブロック押え部材と、該連結ブロック押え部材の後端部に着脱可能に連結され、該連結ブロック押え部材を引っ張ることにより連結ブロックを付勢部材の付勢力によって係止部から離脱させると共に主ビットを回収する回収部材とを備えているため、削孔完了後にビットを回収することができ、超硬チップを埋め込んだ高価なビットも使用でき、硬質地盤にも対応可能となる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、前記連結ブロック押え部材は、自重で前進した位置で連結ブロックを係止部に嵌合させ、後退した位置で係止部から連結ブロックを付勢部材の付勢力により離脱させるように案内する傾斜した押え面を備えているため、連結ブロック押え部材を進退移動するだけで連結ブロックを径方向外方へ突出させたり引っ込めたり操作することができ、主ビットの再使用時の組立性の向上が図れる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、前記連結ブロックが主ビットの基端部の周上に等間隔で少なくとも2つ配置され、これら連結ブロックが連結軸を介して主ビットの径方向に移動可能に連結されているため、連結ブロックの円滑な動きを確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を基に詳述する。図1は本発明の実施の形態である削孔装置の一例を示す図で、(a)は正面図、(b)は縦断面図、図2は連結ブロック押え部材を示す図で、(a)は正面図、(b)は一部断面側面図、図3は連結ブロックを示す図で、(a)は側面図、(b)は底面図、図4は主ビットの組立てを説明する説明図である。
【0014】
これらの図において、1は削孔装置で、この削孔装置1は、中空円筒状のケーシング(削孔管ともいう)2と、該ケーシング2の前端に連結されて地盤を掘削する中空円筒状の補助ビット3と、中空円筒状の基端部4bを有し、該基端部4bを含む全体が前記補助ビット3内に遊嵌され補助ビット3と一体的に回転して地盤を掘削する主ビット4とを備えている。補助ビット3の先端部と主ビット4の先端部(前面部)にはそれぞれチップ5,6が設けられている。ケーシング2は、作業機である例えばロータリ式ドリルマシンの回転駆動機構であるドリフタに高圧のスライム処理水供給用のスイベルを介して基端部(後端部)が接続され、例えばケーシング2を地面に対して垂直に立てて軸回りに回転させつつ押し進めて地盤を削孔するようになっている。ケーシング2は削孔の深さ(長さ)に応じて適宜本数直列に螺合接続されて使用されるようになっている。
【0015】
前記主ビット4を補助ビット3と一体的に回転させるべく連結(結合)するために、補助ビット3の内周面には係止部7が設けられ、主ビット4の基端部4bにおける前記係止部7と対応する部分には貫通孔8が設けられ、前記係止部7には主ビット4の基端部4内方から貫通孔8を貫通して主ビット4と補助ビット3とを一体的に連結する連結ブロック9が嵌合されている。
【0016】
削孔完了後に主ビット4と補助ビット3との連結を解除して主ビット4を回収可能とするために、前記連結ブロック9と主ビット4間には連結ブロック9を係止部7から離脱させる方向に付勢する付勢部材例えば圧縮バネ10が設けられ、主ビット4の基端部4b内には連結ブロック9を係止部7に嵌合させた状態に保持する連結ブロック押え部材11がその軸方向に所定範囲で摺動可能に装着されている。そして、主ビット4を回収する際に前記連結ブロック押え部材11の後端部には、該連結ブロック押え部材11を引っ張り上げることにより連結ブロック9を付勢部材である圧縮バネ10のバネ力(付勢力)によって係止部7から離脱させると共に主ビット4を回収する回収部材12が着脱可能に連結されるようになっている。
【0017】
連結ブロック押え部材11を進退移動するだけで連結ブロック9を径方向外方へ突出させたり径方向内方へ引っ込めたり操作するために、連結ブロック押え部材11は、自重で前進した位置で連結ブロック9を係止部7に嵌合させ、後退した位置で係止部7から連結ブロック9を圧縮バネ10のバネ力により離脱させるように案内する傾斜した押え面13を備えていることが好ましい。連結ブロック9の円滑な動きを確保するために、連結ブロック9は、主ビット4の基端部4bの周上に等間隔で少なくとも2つ配置され、これら連結ブロック9は、連結軸14を介して主ビット4の径方向に移動可能に連結されていることが好ましい。
【0018】
前記主ビット4は、先端の本体部4aと、該本体部4aに螺合により着脱可能に接続される中空円筒状の基端部4bとからなる。主ビット4全体はケーシング2の内径と同じか僅かに小さい内径を有する補助ビット3内に遊嵌されており、本体部4aの外径と基端部4bの外径が同じであり、従ってケーシング2内を通して主ビット4を回収することができる。主ビット4の基端部4bの後端部には前記連結ブロック押え部材11の後退位置を規制する円環状の抜け止め部材15がボルト16で着脱可能に取付けられている。前記連結ブロック押え部材11は、その先端部が主ビット4の本体部4aの背面部4cに当接することにより前進位置が規制される。
【0019】
前記連結ブロック押え部材11は、前部側が略円錐状に形成されていると共に後部側が中空円筒状に形成されている。この連結ブロック押え部材11の前部側には、前記押え面13が設けられていると共に前記連結軸14を前後方向に移動可能に支持するガイド溝17が設けられている。また、連結ブロック押え部材11の長手方向略中間部の外周部には、前記抜け止め部材15に係止される鍔状の外周係止部18が設けられ、後部側の内周部には、回収部材12を係止するための鍔状の内周係止部19が設けられている。
【0020】
前記連結ブロック9は、図3にも示すように例えば横断面四角形に形成され、その基端には鍔状の基端部9aが形成されている。連結ブロック9の基端部9aの底面は、前記連結ブロック押え部材11の傾斜した押え面13に沿って摺動可能な傾斜面20になっている。また、連結ブロック9には、その軸心部に連結軸14を摺動可能に嵌合する軸孔21と、連結軸14を前方から軸孔21に挿入するための挿入溝22とが設けられている。連結軸14の中間部には軸径よりやや大径の球形部23が設けられ、連結ブロック押え部材11の前部側軸心部には、その軸方向に沿って球形部23を摺動可能に支持すると共に左右方向の動きを規制する軸孔24が設けられている。
【0021】
前記主ビット4の中空円筒状の基端部4bの周面には、連結ブロック9を径方向内方から外方へ貫通させるための横断面方形の貫通孔8が形成され、連結ブロック9には、その鍔状の基端部9aと主ビット4の基端部4bの内周面との間に圧縮バネ10を介在された状態で設けられている。前記補助ビット3の内周面には、連結ブロック9の先端部が係合する横断面方形で凹状の前記係止部7が設けられている。主ビット4の本体部4aにはケーシング2内を通って導かれた水(スライム処理水)を掘削地盤に向って送水するための送水孔25が設けられ、送水することにより掘削土砂をスライムとして掘削地盤からケーシング2の外面に沿って地上へ搬出するようになっている。補助ビット3の内周面には、主ビット4の基端部4bの外周面との間をシールするための一対のOリング26a,26bが係止部7を挟んで前後に配設されている。
【0022】
前記回収部材12は、削孔完了後に地上からケーシング2内を主ビット4に向って挿入される長尺部材からなり、その先端部12aには図5ないし図7に示すように主ビット4の後部側内部に挿入されて内周係止部19に係止される係止機構27を有している。回収部材12は、先端が閉塞された中空円筒状の先端部12aを有している。係止機構27は、中空円筒状の先端部12a内にピン28を介して開閉可能に軸支された一対の羽根板29a,29bと、両羽根板29a,29bを突出させるべく先端部12aの両側面に設けられた切欠部30,30と、両羽根板29a,29bを切欠部30,30から突出させる方向に付勢する圧縮バネ31とから主に構成されている。
【0023】
次に、以上の構成からなる削孔装置1の作用について述べる。先端に補助ビット3及び主ビット4を備えたケーシング2は、作業機である例えばロータリ式ドリルマシンの回転駆動機構であるドリフタにスイベルを介して基端部(後端部)が接続され、例えばケーシング2を地面に対して垂直に立てて軸回りに回転させつつ押し進めて地盤を削孔する。この時、連結ブロック押え部材11は自重で下方へ付勢されており、その付勢力により傾斜した押え面13を介して連結ブロック9が圧縮バネ10のバネ力に抗して主ビット4の基端部4bの貫通孔8から径方向外方へ突出付勢され、補助ビット3の内周面の係止部7に嵌合されている〔図6(a)参照〕。従って、主ビット4は、補助ビット3に対して周方向の相対的回転及び軸方向の相対的移動をすることなく補助ビット3と一体的に回転し、地盤を削孔することができる。
【0024】
削孔が完了すると、地上から回収部材12をケーシング2内に挿入し、回収部材12の先端部を連結ブロック押え部材11の後部側内部に挿入する。この時、回収部材12の先端部12aにおける係止機構27の一対の羽根板29a,29bが連結ブロック押え部材11の内周係止部19を通過する際に圧縮バネ31のバネ力に抗して閉じられた後、圧縮バネ31のバネ力で両羽根板29a,29bが開く。次に、回収部材12を引き上げると、先ず両羽根板29a,29bが連結ブロック押え部材11の内周係止部19に係止され、該連結ブロック押え部材11が引き上げられ、その傾斜した押え面13に沿って連結ブロック9が圧縮バネ10のバネ力により径方向内方に押し戻される結果、連結ブロック9が補助ビット3の係止部7から離脱し〔図6(b)参照〕、補助ビット3と主ビット4の連結状態が解除される。また、連結ブロック押え部材11の外周係止部18が主ビット4の基端部4bの抜け止め部材15に係止される。
【0025】
従って、この状態でさらに回収部材12を引き上げることにより、主ビット4を引き上げて地上へ回収することができる。なお、主ビット4を回収した後、回収部材12の先端部12aを連結ブロック押え部材11の内周係止部19から離脱する場合には、例えば両羽根板29a,29bを何らかの手段で閉じたり、或いは内周係止部18を着脱可能に構成して取外すようにしても良い。
【0026】
以上の構成からなる削孔装置によれば、中空円筒状のケーシング2と、該ケーシング2の前端に連結された中空円筒状の補助ビット3と、該補助ビット3の内周面に設けられた係止部7と、中空円筒状の基端部4bを有し、該基端部4bを含む全体が前記補助ビット3内に遊嵌された主ビット4と、該主ビット4の基端部4bにおける前記係止部7と対応する部分に設けられた貫通孔8と、主ビット4の基端部4b内方から貫通孔8を貫通して前記係止部7に嵌合され、主ビット4と補助ビット3とを一体的に連結する連結ブロック9と、該連結ブロック9と主ビット4間に設けられ、連結ブロック9を係止部7から離脱させる方向に付勢する付勢部材例えば圧縮バネ10と、主ビット4の基端部4b内にその軸方向に所定範囲で摺動可能に装着され、連結ブロック9を係止部7に嵌合させた状態に保持する連結ブロック押え部材11と、該連結ブロック押え部材11の後端部に着脱可能に連結され、該連結ブロック押え部材11を引っ張ることにより連結ブロック9を付勢部材例えば圧縮バネ10のバネ力によって係止部7から離脱させると共に主ビット4を回収する回収部材12とを備えているため、削孔完了後に主ビット4を回収することができ、超硬チップを埋め込んだ高価なビットも使用でき、硬質地盤にも対応可能となる。
【0027】
前記連結ブロック押え部材11は、自重で前進した位置で連結ブロック9を係止部7に嵌合させ、後退した位置で係止部7から連結ブロック9を付勢部材例えば圧縮バネ10のバネ力(付勢力)により離脱させるように案内する傾斜した押え面13を備えているため、連結ブロック押え部材11を進退移動するだけで連結ブロック9を径方向外方へ突出させたり引っ込めたり操作することができ、主ビット4の再使用時の組立性の向上が図れる。前記連結ブロック9が主ビット4の基端部4bの周上に等間隔で少なくとも2つ配置され、これら連結ブロック9,9が連結軸14を介して主ビット4の径方向に移動可能に連結されているため、連結ブロック9,9の円滑な動きを確保することができる。
【0028】
図8は削孔装置の他の例を示す図で、(a)は連結ブロック係合時の断面図、(b)は連結ブロック係合解除時の断面図である。図8において前記実施例と同一部分は同一符号を付して説明を省略する。図8の削孔装置1では、連結ブロック押え部材11の押え面13xが傾斜しておらず、フラットに形成されている。削孔時、連結ブロック押え部材11は自重(重力)で図8の(a)に示すように主ビット4の背面部4cに当接しており、この連結ブロック押え部材の押え面に連結ブロックが載置(係合)され、連結ブロックが貫通孔8から突出して係止部7に嵌合した状態にある。削孔完了後、連結ブロック押え部材11に回収部材12を連結して引き上げると、連結ブロック押え部材11が図8の(b)の右方向へ移動されることによりその押え面13xから連結ブロック9が離脱した時に、連結ブロック9が圧縮バネ10のバネ力で径方向内方へ押し動かされて補助ビット3の係止部7から離脱し、主ビット4を回収することが可能となる。本実施例の場合、回収後に連結ブロック9を押え面13xに載置するための再組立が必要になる。
【0029】
以上、本発明の実施の形態ないし実施例を図面により詳述してきたが、本発明は前記実施の形態ないし実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の設計変更等が可能である。前記実施例では、連結ブロックが2つの場合が例示され、直径方向に配置された連結ブロックを連結すべく連結軸は直線状に形成されているが、連結ブロックが3つの場合には連結軸は放射状に三つに分岐された形状に形成され、連結ブロックが4つの場合には連結軸が十字状に形成される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態である削孔装置の一例を示す図で、(a)は正面図、(b)は縦断面図である。
【図2】連結ブロック押え部材を示す図で、(a)は正面図、(b)は一部断面側面図である。
【図3】連結ブロックを示す図で、(a)は側面図、(b)は底面図である。
【図4】主ビットの組立てを説明する説明図である。
【図5】主ビットの回収手順を説明する説明図である。
【図6】連結ブロックの動きを説明する説明図である。
【図7】回収部材を示す図で、(a)は正面図、(b)は断面図、(c)は平面図、(d)は側面図である。
【図8】削孔装置の他の例を示す図で、(a)は連結ブロック係合時の断面図、(b)は連結ブロック係合解除時の断面図である。
【図9】従来の削孔装置を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0031】
1 削孔装置
2 ケーシング
3 補助ビット
4 主ビット
4a 主ビットの基端部
7 係止部
8 貫通孔
9 連結ブロック
10 圧縮バネ(付勢部材)
11 連結ブロック押え部材
12 回収部材
13 押え面
14 連動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空円筒状のケーシングと、該ケーシングの前端に連結された中空円筒状の補助ビットと、該補助ビットの内周面に設けられた係止部と、中空円筒状の基端部を有し、該基端部を含む全体が前記補助ビット内に遊嵌された主ビットと、該主ビットの基端部における前記係止部と対応する部分に設けられた貫通孔と、主ビットの基端部内方から貫通孔を貫通して前記係止部に嵌合され、主ビットと補助ビットとを一体的に連結する連結ブロックと、該連結ブロックと主ビット間に設けられ、連結ブロックを係止部から離脱させる方向に付勢する付勢部材と、主ビットの基端部内にその軸方向に所定範囲で摺動可能に装着され、連結ブロックを係止部に嵌合させた状態に保持する連結ブロック押え部材と、該連結ブロック押え部材の後端部に着脱可能に連結され、該連結ブロック押え部材を引っ張ることにより連結ブロックを付勢部材の付勢力によって係止部から離脱させると共に主ビットを回収する回収部材とを備えたことを特徴とする削孔装置。
【請求項2】
前記連結ブロック押え部材は、自重で前進した位置で連結ブロックを係止部に嵌合させ、後退した位置で係止部から連結ブロックを付勢部材の付勢力により離脱させるように案内する傾斜した押え面を備えていることを特徴とする請求項1記載の削孔装置。
【請求項3】
前記連結ブロックは、主ビットの基端部の周上に等間隔で少なくとも2つ配置され、これら連結ブロックは、連結軸を介して主ビットの径方向に移動可能に連結されていることを特徴とする請求項1記載の削孔装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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