説明

削孔装置

【課題】 回転体の回転によりウエイトハンマをばねの付勢力が増大する方向(例えば、下方から上方)に移動させ落下させることで、ウエイトハンマの落下による打撃力とばねの付勢力との加重された打撃力で被打撃体(シャンクロッド又はハンマサブ)を打撃する削孔装置でありながら、回転体を回転駆動させる駆動手段(例えば、モータ)には常に一定の負荷がかかるようにすると共に、単位時間当りの打撃数を増加でき、削孔効率が向上した削孔装置を提供する。
【解決手段】 削孔装置のドリルヘッドは、複数のウエイトハンマが存在し、ウエイトハンマを駆動させる回転体は、各ウエイトハンマに対応して設けられ、該各回転体は、1つの回転体の係止爪が1つのウエイトハンマを係止して駆動し、該ウエイトハンマの係止が外れる時に、駆動している他の回転体の係止爪が他のウエイトハンマを係止する位置関係に設けられて同一の駆動手段で駆動される打撃装置を内蔵する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ウエイトハンマに該ウエイトハンマを付勢するばねを設け、ウエイトハンマの落下による打撃力とばねの付勢力との加重された打撃力で被打撃体(シャンクロッド又はハンマサブ)を打撃して削孔する削孔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウエイトハンマに該ウエイトハンマを付勢するばねを設け、ウエイトハンマの落下による打撃力で被打撃体を打撃する装置は提供されている。この装置によればウエイトハンマの重力とばねの付勢力との加重された打撃力が発生するので、短い落下距離であっても大きな打撃力を得ることができる。
本発明者は、このような削孔装置として、摺動自在に設けられたウエイトハンマと、このウエイトハンマに付勢力を付与するばねと、回転することによって原位置から前記ウエイトハンマを係止して前記ばねの付勢力が増大する方向に移動させると共に所定位置で係止を解除する係止爪が設けられた回転体とを具備し、回転体の回転でウエイトハンマを係止してばねの付勢力が増大する方向に移動させ、所定位置で係止を解除することによってウエイトハンマがその重力とばねの付勢力とによって原位置方向に移動し、ウエイトハンマの重力とばねの付勢力との加重された打撃力により被打撃体を打撃する打撃力発生装置を提供している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−23551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の打撃力発生装置(削孔装置)は、回転体により下方より上方に持ち上げ、落下させる構成となっているために、次のような解決すべき課題がある。
(1)回転体の係止部でウエイトハンマを係止して下方より上方に持ち上げ、係止部が上死点を通過するとウエイトハンマから外れ、ウエイトハンマが落下する。この時の回転体の駆動手段(例えば、モータ)にはウエイトハンマを係止して下方より上方に持ち上げた時に大きな負荷がかかり、ウエイトハンマが外れるとこの負荷が一瞬に無くなる現象、およびこの負荷が一瞬にして無くなる時に生ずる回転体による慣性力、が繰り返し駆動手段にかかるため駆動手段に悪影響を与え、駆動手段の耐久性が低下する課題がある。
【0004】
(2)また、従来は回転体を回転させることにより回転体の係止部でウエイトハンマを係止して下方より上方に持ち上げ、上死点付近において係止から外れ落下させ被打撃体を打撃する構成であるため、単位時間当りの打撃数をあまり増加させることができない。例えば、係止部が回転体に1つ設けられている場合は、回転体の1回転で1回の打撃であり、係止部が回転体に180度の間隔で2つ設けられている場合は、回転体の半回転で1回(1回転で2回)の打撃となるように、単位時間当りの打撃数は、回転体に設けられる係止部の数と、回転体の回転速度によって決定されるが、従来の構成では回転体に設ける係止部の数や回転体の回転速度にも自ずと制限が生ずるために単位時間当りの打撃数を増加させるにも制限があり、あまり増加させることはできない課題がある。
【0005】
この発明は、このような課題を解決せんと提案されたものであり、その目的は、回転体の回転によりウエイトハンマをばねの付勢力が増大する方向(例えば、下方から上方)に移動させ落下させることで、ウエイトハンマの落下による打撃力とばねの付勢力との加重された打撃力で被打撃体(シャンクロッド又はハンマサブ)を打撃する削孔装置でありながら、回転体を回転駆動させる駆動手段(例えば、モータ)には常に一定の負荷がかかるようにすると共に、単位時間当りの打撃数を増加できる削孔装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、この発明の削孔装置は、ドリルへッドが、摺動自在に設けられたウエイトハンマと、このウエイトハンマに付勢力を付与するばねと、回転することによって原位置から前記ウエイトハンマを係止して前記ばねの付勢力が増大する方向に移動させると共に所定位置で係止を解除する係止爪が設けられた回転体とを具備し、回転体の回転でウエイトハンマを係止してばねの付勢力が増大する方向に移動させ、所定位置で係止を解除することによってウエイトハンマがその重力とばねの付勢力とによって原位置方向に移動し、ウエイトハンマの重力とばねの付勢力との加重された打撃力により被打撃体を打撃する打撃装置を内蔵する削孔装置であって、
前記ウエイトハンマは複数が存在し、ウエイトハンマを駆動させる回転体は、各ウエイトハンマに対応して設けられ、該各回転体は、1つの回転体の係止爪が1つのウエイトハンマを係止して駆動し、該ウエイトハンマの係止が外れる時に、駆動している他の回転体の係止爪が他のウエイトハンマを係止する位置関係に設けられて同一の駆動手段で駆動されることを特徴とする。
【0007】
これによりウエイトハンマは複数が存在し、ウエイトハンマを駆動(移動)させる回転体は、各ウエイトハンマに対応して設けられ、該各回転体は、1つの回転体の係止爪がウエイトハンマを係止して駆動してウエイトハンマの係止が外れる時に、駆動している他の回転体の係止爪が他のウエイトハンマを係止する位置関係に設けられて同一の駆動手段で駆動されるので、1つの回転体が駆動され1つのウエイトハンマを係止して移動させ所定位置でこの回転体の係止爪からウエイトハンマが外れても、その時他の回転体の係止爪が他のウエイトハンマを係止するため、回転体の駆動手段には常にウエイトハンマを移動(駆動)させる一定の負荷がかかり、駆動手段(例えば、モータ)に負荷の急激な変化による過激な負担をかけることなく耐久性が向上する。
また、ウエイトハンマは複数が存在するので、単位時間当りの打撃数を大幅に増大することが可能となる。
【0008】
また、この発明の削孔装置のウエイトハンマは2個であり、このウエイトハンマを駆動させる回転体は、各ウエイトハンマに対応して設けられ、この2個の回転体は同軸に、一方の回転体の係止爪が一方のウエイトハンマを係止して駆動し、一方のウエイトハンマの係止が外れる時に、駆動している他方の回転体の係止爪が他方のウエイトハンマを係止する位置関係に設けられて同一の駆動手段で駆動されることを特徴とする。
【0009】
これにより前記作用、効果の他に、同軸に、一方の回転体の係止爪が一方のウエイトハンマを係止して駆動し、一方のウエイトハンマの係止が外れる時に、駆動している他方の回転体の係止爪が他方のウエイトハンマを係止する位置関係とする構成を容易に実現することができる。
例えば、一方と他方の回転体には、180度の間隔で係止爪が設けられるものとし、この両者の回転体を同軸に、互いに直交する位置として固設する構成とすれば、回転することによって一方の回転体の係止爪が一方のウエイトハンマを係止してばねの付勢力が増大する方向に移動させ、所定位置(回転体の上死点付近)で係止を解除する時に、他方の回転体の係止爪が他方のウエイトハンマを係止して移動する。この動作は回転によって一方と他方の回転体で交互に行われるので、一方と他方のウエイトハンマは、ばねの付勢力が増大する方向への移動と、打撃方向への移動を交互に行うことになる。それも一方の回転体の1回転で一方のウエイトハンマは2回の打撃を行い、他方の回転体の1回転で他方のウエイトハンマも2回の打撃を行うから、一方と他方の回転体は同軸に固設され、両方のウエイトハンマは同じ被打撃体(シャンクロッド又はハンマサブ)を打撃するものとすれば、被打撃体を軸の1回転で4回打撃する。即ち、駆動手段(例えば、モータ)での軸の1回転で被打撃体を4回打撃することができる。このことにより単位時間当りの打撃数を大幅に増大できることがよく理解でき、削孔効率も大幅に増大できることが理解できる。
【発明の効果】
【0010】
この発明の削孔装置によれば、ドリルヘッドは、複数のウエイトハンマが存在し、該ウエイトハンマを駆動させる回転体は、各ウエイトハンマ毎に設け、該各回転体は、1つの回転体の係止爪が1つのウエイトハンマを係止して駆動し、該ウエイトハンマの係止が外れる時に、駆動している他の回転体の係止爪が他のウエイトハンマを係止する位置関係に設けられて同一の駆動手段で駆動するようにしたので、次のような効果を奏する。
【0011】
(1)回転体の駆動手段には、駆動時に常にウエイトハンマを移動(駆動)させる一定の負荷がかかることになる。そのため、駆動手段(例えば、モータ)には負荷の急激な変化の繰り返しによる過激な負担をかけることがなくなり、駆動手段の耐久性が向上するし、駆動手段として制限を受けることなく使用できる。例えば、モータは油圧モータだけでなくエアモータおよび電動モータも使用可能となる。
(2)複数のウエイトハンマで交互に被打撃体(シャンクロッド又はハンマサブ)を打撃することができるので、単位時間当りの打撃数を大幅に増大することができる。
(3)打撃数が増大するので削孔効果も大幅に向上させることができる。
【0012】
(4)打撃力としてウエイトハンマの自由落下による重力とばねの付勢力が加重される。従って、大きな打撃力を付与できると共に、打撃力を、ウエイトハンマの重量及び持ち上げの高さ(落下させる高さ)だけでなく、ばねでもコントロールできる。
(5)ウエイトハンマにはばねの付勢力が作用するので、打撃力は垂直方向だけでなく斜め方向にも付与することができる。即ち、垂直方向だけでなく斜め方向の削孔も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を図面と共に詳細に説明する。図1はこの発明の実施の形態を示すベースマシン部分を除いた削孔装置の側面図、図2はこの発明の実施の形態を示す要部斜視図、図3はドリルヘッドが内蔵する打撃装置を示す要部斜視図、図4はドリルヘッドが内蔵する打撃装置を示す分解斜視図である。
【0014】
この削孔装置は、図1に示すようにベースマシン(図示省略)にリーダ1が起倒自在に立設され、このリーダ1にドリルヘッド2が摺動自在に設けられて構成される。図示を省略したベースマシンとしては従来公知のものを採用でき、載置式でも走行式でもよい。通常、ベースマシンには、パワーユニットやコントロールボックスおよびブームシリンダやスライドシリンダ等(いずれも図示省略)が設けられ、リーダ1はこのベースマシンにブームシリンダやスライドシリンダ等のシリンダを介して、起倒自在に立設されている。
【0015】
前記リーダ1には、図1および図2に示すようにスライド板3が摺動自在に設けられ、このスライド板3にドリルヘッド2が固設され、リーダ1に沿って進退する。該スライド板3には駆動手段が設けられリーダ1に沿って進退駆動される。この駆動手段は従来公知の手段でよく、リーダ1の上下のスプロケット間に懸回されて駆動するチェーンあるいはシリンダ等を例示できる。図1では駆動手段としてチェーン4aを示し、図2ではシリンダ4bを示している。例えば、図1に示すチェーン4aの場合は、リーダ1の上部と下部にスプロケットが設けられ、そのスプロケット間に懸回されたチェーン4aにスライド板3が連結され、モータに連結する駆動スプロケットで正逆に回転される該チェーン4aで進退され、図2に示すシリンダ4bの場合は、そのシリンダロッドの先端がスライド板3に連結され、この伸縮するシリンダ4bで進退される。
【0016】
前記ドリルヘッド2は、図3および図4に示すように摺動自在に設けられた2個のウエイトハンマ5a、5bと、このウエイトハンマ5a、5bに付勢力を付与するばね6a、6bと、回転することによって原位置から前記ウエイトハンマ5a、5bを係止して前記ばね6a、6bの付勢力が増大する方向に移動させると共に所定位置で係止を解除する係止爪8が設けられた回転体7a、7bとを具備し、回転体7a、7bの回転でウエイトハンマ5a、5bを係止してばね6a、6bの付勢力が増大する方向に移動させ、所定位置で係止を解除することによって原位置方向に移動し、ウエイトハンマ5a、5bの重力とばね6a、6bの付勢力との加重された打撃力により被打撃体12を打撃する打撃装置11を内蔵する。
【0017】
2個のウエイトハンマ5a、5bは、同一の被打撃体12を打撃する。この2個のウエイトハンマ5a、5bには、それぞれに対応して回転体7a、7bが設けられる。従って、一方のウエイトハンマ5aは回転体7aの回転で移動され、他方のウエイトハンマ5bは回転体7bの回転で移動される。回転体7a、7bは駆動手段9で回転する同一の回転軸10に固設され、同一の駆動手段9で回転される。本例では駆動手段9としてモータを示している。
【0018】
前記回転体7a、7bは、一方の回転体7aの係止爪8が一方のウエイトハンマ5aを係止して駆動し、該一方のウエイトハンマ5aの係止が外れる時に、駆動している他方の回転体7bの係止爪8が他方のウエイトハンマ5bを係止する位置関係で回転軸10に固設される。
本例では、図3および図4に示すように回転体7a、7bには、180度の間隔で係止爪8が設けられており、即ち、プロペラ状の回転体7a、7bの両端が係止爪8となっている格好で、この2個の回転体7a、7bが回転軸10に互いに直交する位置関係で固設されている。
【0019】
従って、モータ(駆動手段)9で回転させると、一方の回転体7aの係止爪8が一方のウエイトハンマ5aを係止してばね6aの付勢力が増大する方向に移動させ、所定位置(例えば、回転体7aの上死点付近)で係止を解除する時に、回転する他方の回転体7bの係止爪8が他方のウエイトハンマ5bを係止して他方のウエイトハンマ5bをばね6bの付勢力が増大する方向に移動させる。この動作は回転によって一方と他方の回転体7a、7bで交互に行われるので、一方と他方のウエイトハンマ5a、5bは、ばね6a、6bの付勢力が増大する方向への移動と、打撃方向への移動を交互に行うことになる。そして、回転体7a、7bは、180度の間隔で係止爪8が設けられているので、一方の回転体7aの1回転で一方のウエイトハンマ5aは2回の打撃を行い、他方の回転体7bの1回転で他方のウエイトハンマ5bも2回の打撃を行い、一方と他方の回転体7a、7bは同軸10に固設され、両方のウエイトハンマ5a、5bは同じ被打撃体12を打撃するので、回転軸10の1回転で被打撃体12を4回打撃する。即ち、モータ(駆動手段)9での回転軸10の1回転で被打撃体12を4回打撃することができる。
【0020】
このようにこの発明の削孔装置によれば、ドリルヘッド2が内蔵する打撃装置11の回転体7a、7bは、一方の回転体7aの係止爪8が一方のウエイトハンマ5aを係止して駆動し、この一方のウエイトハンマ5aの係止が外れる時に、駆動している他方の回転体7bの係止爪8が他方のウエイトハンマ5bを係止する位置関係で回転軸10に固設されているので、駆動手段(モータ)9には、常にいずれかのウエイトハンマ5a、5bを係止する負荷がかかることになり、繰り返しの急激な負荷の変化を与えることがない。
また、打撃数も回転軸10(回転体7a、7b)の1回転で4回打撃できるので、打撃数も大幅に増大させることができる。
【実施例1】
【0021】
次に実施例を挙げて更に詳細に説明する。図5はこの発明の実施例を示すドリルヘッドの断面図、図6は図5のA−A線断面図、図7はこの発明の実施例を示す図5の中央縦断面図であり、前記実施の形態と同一構成要素には同一符号を付して説明する。
【0022】
同図において、ドリルヘッド2は、ケース13内に上下方向に摺動自在に設けられた2個のウエイトハンマ5a、5bと、この各ウエイトハンマ5a、5bに各毎に付勢力を付与するばね6a、6bと、前記各ウエイトハンマ5a、5b毎に各々設けられて、回転することによって原位置から前記ウエイトハンマ5a、5bを係止して前記ばね6a、6bの付勢力を増大させつつ上動させると共に上死点付近で係止を解除する係止爪8が設けられた回転体7a、7bと、この回転体7a、7bの回転でウエイトハンマ5a、5bを係止してばね6a、6bの付勢力を増大させつつ上動させ、上死点付近で停止を解除することによってウエイトハンマ5a、5bが原位置方向に落下し、ウエイトハンマ5a、5bの重力とばね6a、6bの付勢力との加重された打撃力により打撃される被打撃体としてのシャンクロッド12と、該シャンクロッド12を回転させるモータ14の伝動機構16、などを大略内蔵する。即ち、このドリルヘッド2は、打撃装置11とシャンクロッド12と、該シャンクロッド12を回転させるモータ14の伝動機構16を内蔵し、打撃力と回転力を付与できるものとなっている。
【0023】
2個のウエイトハンマ5a、5bは、ケース13内に上下動可能に並列して設けられており、この各ウエイトハンマ5a、5bには、各ウエイトハンマ5a、5bを被打撃体としてのシャンクロッド12の方向に付勢する圧縮ばね6a、6bが設けられている。本例では各ウエイトハンマ5a、5bは上面が開口する中空部15になっており、圧縮ばね6a、6bは下方側がこのウエイトハンマ5a、5bの中空部15に嵌入され、上端がケース13の天板13aに当接して設けられ、ウエイトハンマ5a、5bにはこの圧縮ばね6a、6bの付勢力がシャンクロッド12に向かって作用するようになっている。本例では圧縮ばね6a、6bは、各ウエイトハンマ5a、5bに2本が設けられている。前記各ウエイトハンマ5a、5bは、シャンクロッド12を打撃することによってシャンクロッド12に連結される削孔ロッドに打撃力を付与する。従って、圧縮ばね6a、6bが設けられていると、ウエイトハンマ5a、5bの自由落下の打撃力に、ばね6a、6bの付勢力が加重される。
【0024】
前記ウエイトハンマ5a、5bは、ケース13内に回転不可であって上下方向に摺動自在に装着されるのが、ウエイトハンマ5a、5bの持ち上げ、落下時に回動しないので好ましい。本例は、図6に示すようにケース13内に形状が横断面非円形(矩形状)であり、ウエイトハンマ5a、5bもこのケース13の非円形断面に対応する非円形断面形状となっている。
【0025】
前記ウエイトハンマ5a、5bは、回転体7a、7bの回転によって圧縮ばね6a、6bを圧縮しつつ上動され落下される。即ち、回転体7a、7bは、回転することによって原位置から前記ウエイトハンマ5a、5bを停止して圧縮ばね6a、6bを圧縮しつつ上動させると共に上死点付近で係止を解除する係止爪8が設けられ、ウエイトハンマ5a、5bは、回転体7a、7bの回転で原位置から圧縮ばね6a、6bを圧縮しつつ上動され、上死点付近で係止が解除されることによって自由落下の重力とばね6a、6bの付勢力との加重された打撃力によりシャンクロッド12を打撃する。
【0026】
前記回転体7a、7bは同じモータ9の同じ回転軸10に固設されており、この回転体7a、7bにはそれぞれ180度の間隔で係止爪8が設けられており、一方の回転体7aの係止爪8、8を結ぶ線と他方の回転体7bの係止爪8、8を結ぶ線が直交する位置関係で並列して固設されている。
従って、回転体7a、7bをモータ9で回転させると、一方の回転体7aの係止爪8が一方のウエイトハンマ5aを係止して圧縮ばね6aの付勢力を増大させつつ上動して、上死点付近で係止を解除する時に、回転する他方の回転体7bの係止爪8が他方のウエイトハンマ5bを係止して圧縮ばね6bの付勢力を増大させつつ上動させる。この動作は、回転することによって一方と他方の回転体7a、7bで交互に行われるので、一方と他方のウエイトハンマ5a、5bは、上動と落下打撃を交互に行うことになる。この一方と他方のウエイトハンマ5a、5bによる交互の打撃は、各回転体7a、7bに180度の間隔で係止爪8が設けられているので、回転体7a、7bの1回転でそれぞれ2回打撃することになる。従って、一方と他方の回転体7a、7bは、同じ回転軸10に固設され、両方のウエイトハンマ5a、5bは同じシャンクロッド12を打撃するので、回転体7a、7bの1回転(回転軸10の1回転)でシャンクロッド12を4回打撃することができる。
【0027】
また、前記シャンクロッド12は回転可能となっており、モータ14に伝動機構16を介して連結され回転される。本例では図5および図7に示すようにシャンクロッド12の外周にスピンドルギア18がスプライン結合により相対移動自在に設けられ、このスピンドルギア18にモータ14の駆動軸に連結されたギア17が噛合されている。従って、シャンクロッド12は、モータ14の駆動による回転力が、ギア17、スピンドルギア18を介して伝達され回転される。
【0028】
しかして、この実施例のドリルヘッド2を備える削孔装置によれば、次のように作用する。シャンクロッド12に削孔ロッドを連結すると、削孔ロッドには、ウエイトハンマ5a、5bで交互に付与される自由落下の打撃力に圧縮ばね6a、6bの付勢力が加重された打撃力と、モータ14による回転力と、駆動源で回動するチェーン4aまたはシリンダ4bによる給進力が伝達される。従って、この削孔装置によれば、削孔ロッドに打撃力、回転力および給進力を付与して削孔することができる。また、各ウエイトハンマ5a、5bには、圧縮ばね6a、6bが設けられているので、垂直方向だけでなく、斜め方向にも打撃力を付与し斜め方向の削孔(掘削)も可能となる。
【0029】
また、モータ14の駆動を停止してシャンクロッド12の回転を止め、モータ9による回転体7a、7bだけの駆動でウエイトハンマ5a、5bだけを作動させ、ウエイトハンマ5a、5bの打撃力と給進力だけを付与することも、また、モータ9の駆動を停止してウエイトハンマ5a、5bの作動を止め、モータ14の駆動によりシャンクロッド12だけを回転させ、回転力と給進力だけを付与することも、選択的に施工することが可能となる。
【0030】
しかも、回転体7a、7bは、一方の回転体7aの係止爪8が一方のウエイトハンマ5aを係止して駆動し、この一方のウエイトハンマ5aの係止が外れる時に、駆動している他方の回転体7bの係止爪8が他方のウエイトハンマ5bを係止し、また、他方の回転体7bの係止爪8が他方のウエイトハンマ5bを係止して駆動し、この他方のウエイトハンマ5bの係止が外れる時に、駆動している一方の回転体7aの係止爪8が一方のウエイトハンマ5aを係止するようになっており、この回転体7a、7bは同じモータ9の同じ回転軸10に固設され、各ウエイトハンマ5a、5bは、同じシャンクロッド12を打撃するので、次のように作用する。
【0031】
(1)モータ9には、駆動中ウエイトハンマ5a、5bの内の、いずれか一方の一定の負荷がかかるので、モータ9には負荷の急激な変化の繰り返しによる過激な負担をかけることがなくなり、モータ9の耐久性も向上するし、モータ9は油圧モータだけでなくエアモータおよび電動モータも使用できる。
(2)2個のウエイトハンマ5a、5bで交互にシャンクロッド12を打撃するし、それも回転体7a、7bの1回転で、それぞれのウエイトハンマ5a、5bが2回打撃するので、シャンクロッド12は回転体7a、7bの1回転で4回打撃されることとなり、単位時間当りの打撃数を大幅に増大することができる。
(3)打撃数を増大することができるので、削孔効率も大幅に向上することができる。
【0032】
なお、前記実施の形態および実施例は、この発明を制限するものではなく、この発明は要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が許容される。例えば、前記実施の形態および実施例では、ウエイトハンマおよび回転体が2個の場合で説明しているが、これはそれ以上の複数でも実施可能であるし、また、前記実施例は、ロータリーパーカッション型で説明したが、この発明のドリルヘッドは少なくとも打撃装置11を内蔵すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の実施の形態を示すベースマシン部分を除いた削孔装置の側面図である。
【図2】この発明の実施の形態を示す要部斜視図である。
【図3】ドリルヘッドが内蔵する打撃装置を示す要部斜視図である。
【図4】ドリルヘッドが内蔵する打撃装置を示す分解斜視図である。
【図5】この発明の実施例を示すドリルヘッドの断面図である。
【図6】図5のA−A線断面図である。
【図7】この発明の実施例を示す図5の中央縦断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 リーダ
2 ドリルヘッド
3 スライド板
5a、5b ウエイトハンマ
6a、6b ばね(圧縮ばね)
7a、7b 回転体
8 係止爪
9 駆動手段(モータ)
10 回転軸
11 打撃装置
12 被打撃体(シャンクロッド又はハンマサブ)
13 ドリルヘッドのケース
14 モータ
16 伝動機構
17 ギア
18 スピンドルギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリルへッドが、摺動自在に設けられたウエイトハンマと、このウエイトハンマに付勢力を付与するばねと、回転することによって原位置から前記ウエイトハンマを係止して前記ばねの付勢力が増大する方向に移動させると共に所定位置で係止を解除する係止爪が設けられた回転体とを具備し、回転体の回転でウエイトハンマを係止してばねの付勢力が増大する方向に移動させ、所定位置で係止を解除することによってウエイトハンマがその重力とばねの付勢力とによって原位置方向に移動し、ウエイトハンマの重力とばねの付勢力との加重された打撃力により被打撃体を打撃する打撃装置を内蔵する削孔装置であって、
前記ウエイトハンマは複数が存在し、ウエイトハンマを駆動させる回転体は、各ウエイトハンマに対応して設けられ、該各回転体は、1つの回転体の係止爪が1つのウエイトハンマを係止して駆動し、該ウエイトハンマの係止が外れる時に、駆動している他の回転体の係止爪が他のウエイトハンマを係止する位置関係に設けられて同一の駆動手段で駆動されることを特徴とする削孔装置。
【請求項2】
前記ウエイトハンマは2個であり、このウエイトハンマを駆動させる回転体は、各ウエイトハンマに対応して設けられ、この2個の回転体は同軸に、一方の回転体の係止爪が一方のウエイトハンマを係止して駆動し、一方のウエイトハンマの係止が外れる時に、駆動している他方の回転体の係止爪が他方のウエイトハンマを係止する位置関係に設けられて同一の駆動手段で駆動されることを特徴とする請求項1記載の削孔装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−239323(P2007−239323A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−63814(P2006−63814)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(505040051)株式会社エムズ (4)
【Fターム(参考)】