削岩装置、送りビームおよび振動減衰方法
本発明は削岩装置、送りビーム、削岩装置における振動減衰方法に関する。削岩装置(3)において、2つの相互接続された要素の接合面間に減衰要素(13)が配設されて振動を減衰し、その削岩装置構体内への伝播を防止する。送りビーム(6)は、2つ以上の要素(6a、6b)に分割され、これらの間には場合に応じて弾性材の減衰要素が配設される。
【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、削岩リグへ接続可能な削岩装置に関するものである。削岩装置は、長尺状送りビームに支持され送りビーム上を送り装置によって移動可能な削岩機を含んでいる。送りビームはそこで、削岩リグの掘削ブームに緊締部材によって連結されている。
【0002】
さらに本発明は、送りビームと、削岩装置における振動減衰方法にも関するものである。本発明の分野は、本特許出願の独立請求項の前段にさらに詳細に記載されている。
【0003】
削岩リグは鉱山および土木現場の両方で被掘削岩盤に穿孔するのに使用される。削岩リグは一般に、少なくとも削岩機、送りビームおよび送り装置を有する削岩装置を備えた掘削ブームを備えている。削岩機は、岩盤を破壊し掘削孔を形成する工具に対し衝撃パルスを与える。削岩機の作動によって非常に強力な振動が生じ、これが削岩機内の構成要素へ次々と、さらに削岩リグの掘削ブームおよびその構体の他の部分へと伝播する。振動によって各部品表面から音響放出が生じ、これによって不快な騒音が周辺領域に拡散する。騒音の他に、構体内を伝播する振動は構成部品間に動きも生じ、これによって早期損耗や各装置の耐久性に関する他の問題を生じることがある。
【発明の簡単な説明】
【0004】
本発明は、新規で改善された削岩装置、送りビームおよび振動減衰方法を提供することを目的とする。
【0005】
本発明の削岩装置は以下の点を特徴とする。すなわち、送りビームは、互いに上下に配設された少なくとも2つの送りビーム部品を含み、第1の送りビーム部品は削岩機側に、また第2の送りビーム部品は緊締部材側にあり、第1および第2の送りビーム部品間には、送りビーム部品の接合面を互いに分離する少なくとも1つの減衰要素があることである。
【0006】
本発明の送りビームは以下の点を特徴とする。すなわち、送りビームの横断面は、少なくとも1つの第1のビーム部品および少なくとも1つの第2の送りビーム部品を含み、これらは、長さが送りビームと同じであって互いに上下に緊締され、第1および第2の送りビーム部品間には、送りビームにおける振動を減衰し、または両送りビーム部品間の振動伝播を防止するように配設された少なくとも1つの減衰要素があることである。
【0007】
本発明の方法は、送りビームを少なくとも2つのビーム部品で形成し、それらの接合面間に少なくとも1つの減衰要素を配設して送りビームを通る振動伝播を防止することを特徴とする。
【0008】
本発明の概念は、削岩装置における削岩機により生じる振動を減衰し、削岩装置に属する各構成部品間におけるその伝播を防止することである。削岩装置の各構成部品間の通常は金属の接合面は、減衰要素によって互いに分離することができる。送りビームは、第1の送りビーム部品および第2の送りビーム部品を含み、それらの接合面の間には1つ以上の減衰要素が配されている。
【0009】
本発明の利点は、振動を振動源の近くで減衰できることである。さらに、振動が削岩装置から掘削ビームへ、そして削岩リグの至る所へ伝播するのも、効率的かつ簡易に防止することができる。振動が減衰されると、振動により生じる騒音も小さくすることができる。騒音防止に関する要求は近い将来ますます厳しくなる。本発明は、騒音防止の一部として比較的簡易な方式を提供するものである。さらに本発明の減衰装置によって、構造体に早期損耗を起こす振動を小さくできれば、削岩リグの可動寿命を延ばし、保守の必要性を少なくすることができる。
【0010】
ある実施例の概念は、1つ以上の減衰要素を削岩機と送りビームの間の領域に配設することである。これによって、削岩機から送りビームへの振動の伝播を防止することができる。送りビームはかなり大きな表面を有することが多く、振動の結果として騒音を放出すると考えられる。本実施例では、構造起因の騒音の送りビームへの伝播を防止することができる。
【0011】
ある実施例の概念は、送りビームの構体が1つ以上の減衰要素で構成されることである。したがって、これによって送りビームを通る振動伝播が少なくなる。さらに、送りビーム内の減衰要素は振動を吸収することができ、したがって送りビーム内の振動を減衰することができる。
【0012】
ある実施例の概念は、送りビームが第1の送りビーム部品と第2の送りビーム部品で構成され、これらが送りビームと実質的に同じ長さを有し、それらの接合面間に1つ以上の減衰要素が配設されていることである。これらの送りビーム部品は互いに対して不動に緊締されている。第1の送りビーム部品は第1の支持面を備え、これにキャリッジを支持することができる。第2の送りビーム部品は第2の支持面を備え、これにクレードルを支持することができる。本実施例は送りビームの構体を通る振動の伝播を防止する。加えて、減衰要素は送りビームの振動を減衰することができる。さらに、二部品もしくは多部品送りビームの壁面は単部品送りビームに比べ大きさが小さく、これによって壁面の振動による騒音の危険が小さくなる。
【0013】
ある実施例の概念は、送りビームが第1の送りビーム部品および第2の送りビーム部品で構成されていることである。第2の送りビーム部品は、送りビームの横方向において互いに連結された2つの構成部品で形成されている。第1の送りビーム部品と第2の送りビーム部品の間には形状係止緊締部があってもよい。
【0014】
ある実施例の概念は、送りビームが緊締部材によって掘削ブームもしくは削岩リグの他の構体へ連結されていることである。緊締部材のところには、削岩装置から前方への振動の伝播を減少させる1つ以上の減衰要素があってもよい。緊締部材は、送りビーム側の長尺状ガイド面に支持されたクレードルでよく、これによってクレードルおよび送りビームが互いに対して動くことができる。クレードルは、2つ以上の部品で形成してもよく、これによって減衰要素をこれらの部品間の接合面上に配設することができる。
【0015】
ある実施例の概念は、削岩機をキャリッジで送りビームへ連結することである。キャリッジは、互いに上下に配設された第1のキャリッジ部品および第2のキャリッジ部品で構成され、これらの間に1つ以上の減衰要素を配してもよい。第1のキャリッジ部品は削岩機に対して配設され、第2のキャリッジ部品は送りビーム側に配設される。掘削中、送り力が削岩機側の第1のキャリッジ部品へ送られ、これによって送り力は、減衰要素を介さずしっかりと削岩機へ送られる。
【0016】
ある実施例の概念は、削岩機が1つ以上の交換可能な滑りブロックで送りビームに支持されることである。一般に、複数の滑りブロックが使用される。削岩機は、キャリッジとこれに緊締された滑りブロックによって送りビームへ連結してもよい。または、削岩機はキャリッジ無しでもよく、これによって滑りブロックは、削岩機の本体に緊締してこれを送りビームに支持することができる。減衰要素は、滑りブロックと一体化してもよい。滑りブロックは、少なくとも2つの異なる材料、すなわち滑り支持材と弾性減衰材を含んでもよい。滑り支持部材は高い耐摩耗性があり、当然、送りビーム上の案内面に対して配設することを目的としている。
【0017】
ある実施例の概念は、削岩装置が送りビームを全体的にもしくは少なくとも部分的に囲繞する保護ケーシングを有することである。削岩機も保護ケーシング内にあり、これによって保護ケーシングは削岩機から直接周辺領域へ騒音が放出されるのを防ぐ。保護ケーシングは振動減衰材で形成してもよく、削岩機に所属する構成部品間に配設して、相互接続された構成部品間の振動伝播を防止するようにしてもよい。削岩装置において振動が減衰されると、保護ケーシングへ向かう振動とそれによって生じる騒音も減衰される。これによってまた、保護ケーシングの構造および緊締の実現方法も簡略化される。
【0018】
ある実施例の概念は、送りビームが削岩機側で第1の部品を、またクレードル側で第2の部品を有し、これらの間に保護ケーシングの側壁が配設されて、それらの接合面間で減衰要素として働くことである。または、保護ケーシングの何らかの他の部分、例えば緊締部分もしくは同様な部分を減衰要素として機能させてもよい。
【0019】
ある実施例の概念は、削岩装置に所属する構成部品に施した被覆を減衰要素として機能させることである。被覆は、振動を戻り反射させたり吸収したりすることができる。
【0020】
ある実施例の概念は、振動防止に適した材料で送りビームが少なくとも部分的に被覆されていることである。場合によっては、送りビームもしくは送りビーム部分がこの種の材料で全体的に被覆されている。
【0021】
ある実施例の概念は、減衰要素が1つ以上の振動減衰材で作られていることである。振動減衰材は、ゴム、ポリマもしくは振動をほとんど伝えない他の弾性材でよい。
【0022】
ある実施例の概念は、減衰要素がばね部材などの機械的減衰部材を含むことである。
【0023】
ある実施例の概念は、減衰要素が圧力媒体室を含み、その中に圧力媒体が配設されて振動を減衰し、その前方への伝播を防止することである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
次に、添付図面において本発明のいくつかの実施例をより詳細に説明する。
【図1】削岩リグの模式的側面図である。
【図2】削岩装置の模式的側面図である。
【図3】減衰要素で互いに連結された2本の送りビーム部品を有する送りビームの模式的横断面図である。
【図4】第2の送りビームとキャリッジおよび滑りブロックによる削岩機の支持とを示す模式的横断面図である。
【図5】第3の送りビームの模式的横断面図であり、送りビームの横方向に相互連結された2つの部品でクレードル側の送りビーム部分が形成されている。
【図6】2本の送りビーム部品で形成された送りビームの模式的横断面図であり、送りビーム部品は互いの連結面間に保護ケーシングの側面を有している。
【図7】保護ケーシングの内側に配設された送りビームの模式的横断面図であり、保護ケーシングは、送りビームおよびクレードル側滑りブロックの緊締面間で振動減衰部材として作用する。
【図8】保護ケーシングに緊締された送りビームの模式的横断面図であり、保護ケーシングは、送りビームとクレードル側滑りブロックを互いに連結し、振動減衰要素としても働く。
【図9】キャリッジ上に配設された削岩機を有する削岩装置の模式的横断面図であり、キャリッジは、対振動減衰要素によって互いに分離された2部分に分割されている。
【図10】削岩機とキャリッジの間に減衰要素を有する削岩装置の模式的横断面図であり、削岩機は送り力を削岩機へ直接伝達する送り面を有する。
【図11】クレードルへの連結手段が保護ケーシング内に配設された削岩装置の模式的横断面図である。
【図12】削岩装置の模式的横断面図であり、削岩装置は、送りビームの横断面において2本のビーム部品が上下に配され、保護ケーシングがクレードル側ビーム部品に緊締されたものである。
【図13】ないし
【図15】送りビームの模式的横断面図であり、各送りビームは、互いに上下に配設され互いに不動な少なくとも2本の送りビーム部品を有している。
【図16】ないし
【図18】送りビームの模式的横断面図であり、各送りビームは、それぞれの削岩機側部分上に実質的にU字形の横断面を有する。
【図19】可能な導出要素の模式的分解図である。
【図20】保護ケーシング内に配置された上記導出要素を示す図である。
【0025】
各図では、明瞭にするため本発明のいくつかの実施例を簡略化して示す。各図において同様な部分は同じ参照番号で示す。
【発明のいくつかの実施例の詳細な説明】
【0026】
図1に示す削岩リグは可動キャリア1を有し、これは削岩装置3が配設された1本以上の掘削ブーム2を有している。削岩装置3は削岩機4を備え、これは、削岩機に連結された工具5に衝撃パルスを与える衝撃装置を有し、被掘削岩盤に衝撃パルスを伝達するものである。削岩機4は送り装置によって送りビーム6上を方向Aに移動する。
【0027】
図2は、削岩装置3の構造をさらに詳細に示す。送りビーム6は長尺状部品であり、これに削岩機4をキャリッジ7で連結することができ、または削岩機4の本体をキャリッジなしに、例えば適切な滑りブロックによって送りビームに支持してもよい。送り装置8を連結してキャリッジ7に作用させることができ、またはキャリッジなしの構造の場合、送り装置8は削岩機に直接作用するよう配設される。送りビーム6は掘削ブーム2へクレードル9によって支持され、送りビーム6が掘削ブーム2の端部に対して長手方向Bに移動することができる。場合によっては、送りビーム2をB方向に移動させる必要がなければ、クレードルに代わって他の何らかの緊締部材を送りビーム6と掘削ブーム2と間に設けてもよい。さらに、削岩装置3は、削岩装置3全体もしくは少なくともその一部を囲繞する保護ケーシング10、または同様の保護構体を有してもよい。保護ケーシング10の目的は、削岩機4から周辺領域へ放出される騒音を減衰し、また掘削現場の人々を保護し、ときには削岩装置を外部の打撃から保護することにある。
【0028】
削岩機4の作動によって振動を生じ、これは削岩装置3の構体へ伝播する。とくに衝撃装置11の作動ばかりでなく回転装置12の作動も振動を生じて、これが削岩機4からキャリッジ7へ、さらに送りビーム6へ、そして最後にクレードル9を介して掘削ブーム2へ伝播し、ここから削岩リグの他の構体へ伝播することがある。振動は、構成要素を次々と構成要素間の接合面を介して伝達される。本特許出願に提示の減衰実施例では、削岩装置に属する各構成要素における振動を減衰し、接合面を互いに分離し、これによって削岩装置に属する各構成要素間における有害な振動の伝播を防止することができる。減衰要素は構成要素間の分離装置として働くことができ、これは、振動を部分的に戻り反射させるこができ、または伝播減衰装置として働くことができ、これによって振動を吸収し、振動エネルギーを熱に変えることができる。場合に応じて減衰要素は、上述の各原理を1つ以上用いることで振動を減衰するようにしてもよい。
【0029】
図3は、振動減衰式送りビーム6の横断面を示す。送りビーム6は、第1の送りビーム部品6aを削岩機側に、また第2の送りビーム部品6bをクレードル側に有し、さらに両部品間に配設された1つ以上の減衰要素13を有して送りビーム部品6a、6bの接合面を互いに分離している。減衰要素13は弾性材で作ることができ、これは、振動を減衰し、その第1の送りビーム部品6aから第2の送りビーム部品6bへの伝播を防止するものである。分離に加えて、減衰要素13は、振動を吸収することもできる。第1の送りビーム部品6aは第1の支持面14を有し、この面に対して滑りブロックもしくは同様な滑り面が、キャリッジ内において、もしくは直接削岩機内において当接することができる。同様に、第2の送りビーム部品6bは第2の支持面15を有し、この面に対してクレードルもしくは同様の緊締部材が当接することができる。場合によっては、送りビーム6は、もっと多くの送りビーム部品で構成し、例えば図3に示す第1の送りビーム部品6aと第2の送りビーム部品6bとの間に第3の、すなわち中間送りビーム部品を設けて減衰要素13によって上部および下部の送りビーム部品から離すことができる。また、1つの一体減衰要素13ではなく、複数の別個の減衰要素を使用することもできる。
【0030】
図4は、送りビーム6を示し、これも、互いに離れて上下に配設された2本の送りビーム部品6aおよび6bを有している。図3とは異なり、一体減衰要素13ではなく、複数の別個の減衰要素13a、13bが送りビーム部品6a、6b間に配設され、これらの減衰能力はそれらの材料、形状もしくは機械的機能性に基づくと考えられる。図4はさらに、キャリッジ7および第1の送りビーム部品6aの各支持面14の間に滑りブロック16がある状態を示し、滑りブロックは、少なくとも2つの異なる材料で形成してもよい。滑りブロック16は、支持面14側は良好な滑り耐性を有する材料16aで、またキャリッジ7側は良好な振動遮断性を有する材料16bで構成するとよい。さらに、滑りブロック16は、良好な耐性および減衰特性を有する材料で作ることも可能であると考えられる。したがって、滑りブロック16は振動遮断性にも関与している。この種の滑りブロック16は、本特許出願に記載の他の実施例にも利用することができる。
【0031】
図4はさらに、内側が空洞になった送りビーム6および送りビーム部品6a、6bを充填材17で全体的もしくは部分的に満たしてもよいことを示している。充填材17は、送りビーム壁の振動を減衰し騒音発生を防止するポリウレタンなどの軽量な発泡状材料でよい。長尺の送りビームは、かなり大きくかつ薄い壁面を有することが多く、容易に振動し始め、騒音を発生する。本実施例は、必要に応じて実際の振動減衰を補完するのに使用することができる。
【0032】
図5は、互いに上下に配設された第1の送りビーム部品6aおよび第2の送りビーム部品6bを有する送りビーム6を示す。クレードル側の第2の送りビーム部品6bは2つの長尺状要素18aおよび18bに分割され、両者は断面が対称でよい。要素18a、18bは、送りビームの横方向Cにおいて互いに接合されている。さらに、第1の送りビーム部品6aの横断面プロファイルの底面は突出部19を有し、これは例えば蟻継ぎでよい。接合された要素18a、18bは同様に、その削岩機側上面に上記突出部19を受け入れ可能な対応形状の空間20を形成している。突出部19と空間20は、送りビーム部品6aおよび6b間に形状係止部を形成し、これによって送りビーム部品の緊締が堅固になり、送りビームが強固になる。さらに、送りビーム部品6a、6bの接合面間には1つ以上の減衰要素13があり、これは送りビーム6の構造内の振動伝播を防止する。減衰要素13は振動を吸収することもできる。減衰要素13は、成型された送りビーム部品6a、6b間の定位置にしっかりと留まる。減衰要素の横断面形状は、その接合面の形状に対応してもよい。減衰要素は、例えば成形鋳造物もしくは押出し成形物でよい。要素18a、18b間には、例えばネジ留めを用いてもよい。この形状係止部により送りビーム部品6a、6bは、何らかの別の緊締手段がなくても互いに緊締状態に保たれる。図5とは異なり、第2の送りビーム部品6bは突出部を有し、第1の送りビーム部品6aは突出部19を受け入れる空間を有することも可能である。
【0033】
図3および図5に示す減衰要素は、別部品でもよく、または、送りビーム部品6a、6bの一方もしくは双方へ取り付けた被覆もしくは同様の材料層でもよい。
【0034】
図6に示す方式では、第1の送りビーム部6aは保護ケーシング10の内側に配設されている。保護ケーシング10の側面10aは、第1の送りビーム部6aおよび第2の送りビーム部6bの接合面間に配設してもよく、その場合、側面10aが両接合面を互いに分離している。保護ケーシング10は、振動伝播を遮断できる材料で形成してよく、これによって側面10aは、接合面間において減衰要素として働くことができる。当然、保護ケーシングの一方の側面10aだけを振動遮断材料で作ることができ、これによって保護構体の残りの材料および構造は自由に選択することができる。振動遮断材料で作られた被覆を保護ケーシングの側面10aに配設することができ、さらに別の減衰要素を使用することもできる。
【0035】
図7は、削岩機4と送りビーム6が保護ケーシング10の内側に配設された実施例を示す。送りビーム6はクレードル側接合面22を有し、クレードルに脱着可能な滑りガイド23がこれに緊締されている。滑りガイド23は滑り面15aを有し、これはクレードルに支持してもよい。保護ケーシング10の側面10aは、送りビームの接合面22と滑りガイドの側面24との間に配設され、これによって振動遮断要素として働くことができる。保護ケーシング10の材料は、振動を遮断し吸収する材料からなってよい。この方式は、従来の堅固な送りビーム6の横断面プロファイルおよび構造を変更しないですむ。
【0036】
図7はさらに、削岩機4がキャリッジなしでよいことを示すが、この場合、その本体25は、滑りブロック16によって送りビームの支持面14へ直接支持される。滑りブロック16の構体に遮断層を一体化してもよい。さらに、本体25と滑りブロックの間に減衰要素があってもよい。
【0037】
図7はさらに、送りビーム6の側面に減衰ストリップ35を配してよく、減衰ストリップによって送りビーム6の振動特性に作用させることができる。減衰ストリップ35の数、配置場所、材料および形状は、個々の場合に応じて個別に選択してよい。
【0038】
図8に示す方式では、送りビーム6が保護ケーシング10に緊締され、そこでケーシングは、クレードル側において滑りガイド23に緊締されている。送りビーム6の接合面22は、滑りガイドの接合面24に配設されず、緊締は保護ケーシングの壁10a構体を介して行なわれる。保護ケーシング10は弾性材で作ってよく、これによって壁10aは、送りビーム6と滑りガイド23との間で振動遮断緊締部として働くことができる。
【0039】
図9は、キャリッジ7が削岩機4側の第1のキャリッジ部7aと送りビーム側の第2のキャリッジ部7bとに分割された可能な実施例を示す。キャリッジ部7a、7b間には1つ以上の減衰要素13が配設され、これによってキャリッジ部間の接合面が互いに分離されている。第2のキャリッジ部7bは滑りブロック16を有し、滑りブロックによって送りビームに支持されている。削岩機4は、第1のキャリッジ部7aへ堅固に緊締することができ、これによって送り力を送り装置から第1のキャリッジ部7aへ伝達することができる。第1のキャリッジ部7aには突起部26を設けてもよく、これは、第2のキャリッジ部7b内の開口部27を通して配設されて送りビーム6の上面側の溝28へ延在することができる。送り装置は上記溝内へ配設してもよい。送り装置を配設して送り力を配向することのできる接続点は、突出部26に破線で示す。送り力が第1のキャリッジ部7aへ送られても、有害な負荷が減衰要素13に掛かることはない。
【0040】
図10は、1つ以上の減衰要素13が削岩機4の本体25とキャリッジ7との間に配されたさらに他の実施例を示す。この場合、送り力は削岩機の本体25へ直接送ることができ、これによって送り力は減衰要素13を介して伝わらない。したがって、送り力は減衰要素13にひずみを与えず、他方、減衰要素13は伸縮を起こさず、またこれによる送り運動の誤差も発生しない。本体25の底面側には突出部30があってもよく、その中の接続点29へ送り力を送ることができる。送り装置は送りビーム6の上面の溝28内へ配設することができる。または、本体25に、例えばその上面に1つ以上の接続点31を設けてもよい。
【0041】
ここで注目すべきは、図9および図10の実施例では、送りビーム6が図示のように1つの一体構造でよく、または、例えば図3ないし図8に示すように減衰要素で互いに分離した2つ以上の部分に分割してもよいことである。さらに、これらの実施例におけるさまざまな減衰要素を組み合わせることができる。
【0042】
総じて、さらに注目すべきは、削岩装置の構成要素の接続面は振動減衰材で被覆してもよいことである。または、接続面間に別な振動減衰弾性部品を配設してもよい。さらに、構成要素間の接続面に対して機械的振動減衰構体を配設することができる。機械的構体は、例えばバネ部材に基づくものでよい。減衰要素の作動は、例えば圧力媒体の使用み基づくものでもよい。
【0043】
図10は、送りビーム6の周囲に配設された被覆32を破線で示し、これは、プラスチックもしくはゴムなどの適切な弾性材料で作ることができる。被覆32は送りビーム全体を囲繞してもよく、または被覆32は、送りビームの案内面以外の他の部分を全部覆うよう配設してもよい。同様に、削岩装置3の他の構成要素の周囲に被覆を配設することができる。したがって、例えばキャリッジ7および削岩機4には被覆33、34を施してもよい。これらの被覆は振動を吸収し、これを戻り反射させることができる。さらに、ある場合には被覆は、構成要素間の振動遮断層として機能することがある。
【0044】
図11に示す実施例では、削岩機4、送りビーム6、および場合によってはキャリッジ7が保護ケーシング10内に配設されている。保護ケーシング10の1つ以上の側面には、これらをクレードルへ取り付ける手段を設けてもよい。取付け手段は、支持面15を備えたガイドビーム36もしくは同様のものを含んでもよい。本実施例では、保護ケーシング10は完全閉鎖してもよい。なぜなら、クレードルと送りビームの間に運動用開口部を配設する必要がないからである。保護ケーシング10の防音は、これをできる限り密封することによって改善できる。送りビーム6は、保護ケーシング10およびガイドビーム36を介してクレードルに緊締される。保護ケーシング10の材料を選択して、送りビーム6からクレードルへの振動伝播を遮断することができる。当然、上述の種類の減衰要素を保護ケーシング10と送りビーム6との間、ならびに保護ケーシング6とガイドビーム36との間の接続点へ配設することができる。
【0045】
図12は送りビーム6を示し、その横断面は、互いに上下に配設された2本のビーム部品6aおよび6bを含み、これらは、使用中互いに対して不動に緊締されて、ともに十分な剛性および他の特性の送りビームを形成するものである。保護ケーシング10は、クレードル側ビーム部品6bに緊締してもよい。保護ケーシング10の緊締点には、本特許出願に記載の種類の減衰要素37を設けてもよい。本実施例では、図における下方送りビーム部品6bが保護ケーシング10の底部を形成しているので、送りビーム6は保護ケーシングの10の一部を成している。
【0046】
さらに、本特許出願に記載の減衰要素および他の装置は、削岩装置ばかりでなく、有害な振動を生じるボルト打設機などの他の動力工具を採掘工具として用いる他の採掘装置にも、削岩機に代わって適用可能である。
【0047】
図13ないし図18は、上述の実施例とは異なることのあるさらに他の送りビーム方式を示す。
【0048】
図13は、第1の送りビーム部品6aを削岩機側に、また第2の送りビーム部品6bをクレードル側にそれぞれ有する送りビーム6の横断面を示す。送りビーム部品6aおよび6bは互いに不動に緊締されて、ともに削岩機を支持する送りビームを形成している。送りビーム部品6a、6bは、送りビーム6と実質的に同じ長さでよい。送りビーム6は、あたかも中央で分割したかのように、もしくは対称的に、2本の長手方向で重なった部品としてもよい。ある場合に送りビームは、送りビーム全体より短い送りビーム部品で構成してもよい。例えば、第2の送りビーム部品6bは、第1の送りビーム部品6aへ別々に緊締された1本もしくは2本以上の短い部品で構成してもよい。この場合でも、送りビーム6の横断面は、互いに上下に配された少なくとも1本の第1の送りビーム部品6aと少なくとも1本の第2の送りビーム部品6bとを有する。
【0049】
図14は複数の長手方向部品からなる送りビーム6を示す。送りビームの横断面は、第1の送りビーム部品6aを削岩機側に、また第2の送りビーム部品6bをクレードル側に有してもよく、少なくとも後者は、2つ以上の構成要素18a、18bに分割してもよい。送りビーム部品6aおよび6b間には、図5の実施例に関連して説明したように突出部19およびこれを受け入れる空間20などの適切な形状係止部材があってもよい。同様の原理は図14の実施例にも当てはまる。ある場合には、互いに上下に配された複数の送りビーム部品があってもよく、さらに第1の送りビーム部品6aも横断方向Cに2つ以上の構成要素で構成してもよい。
【0050】
図15では、互いに上下に配された第1および第2の送りビーム部品6a、6bの間に保護ケーシング10の側壁10aが配設されている。保護ケーシング10は、良好な振動伝播減衰性を有することが分かっている薄い鋼板で作ってもよい。
【0051】
さらに注目すべきは、送りビーム部品で形成された送りビームを配設して、削岩機を囲繞する保護ケーシングの一部を形成してもよいことである。そこで、保護ケーシングは、第1もしくは第2の送りビーム部品に緊締するか、または双方の接続面の間に配設するかしてよい。または、二部分送りビームはケーシングの一部でない。そこで、保護ケーシングは送りビームの周囲に配設してもよい。
【0052】
図13ないし図15に示す削岩リグの各送りビームに共通な要因は、送りビームが長尺状部品であり、その横断面の少なくとも一部が、少なくとも1本の第1の送りビーム部品6aと少なくとも1本の第2の送りビーム部品6bとを有し、両者が互いに上下に、かつ互いに不動に配されていることである。加えて送りビームは、第1の送りビーム部品6a内に第1の支持面14を有してもよく、これに削岩機4を可動に支持し、さらに第2の送りビーム部品6b内に第2の支持面15を有してもよく、これによって送りビーム6が削岩リグに緊締される。
【0053】
図16ないし図18は、送りビームが上述の各実施例と異なるさらに他の削岩装置を示す。
【0054】
図16は、底部6cおよび2つの側部6dを有する槽状横断面を備えた送りビーム6を示す。側部6dは、底部6cから等距離に延在してもよく、または、図17および図18に示すようにそれぞれ高さが異なってもよい。削岩機6は、キャリッジ7内に図16および図18に示す方法で配設してもよい。キャリッジ7は、適切な滑りブロック16もしくは同等なものを用いて底部6cおよび側部6dに支持してもよい。底部6cは、案内面もしくは同様なものを有してもよく、これにキャリッジ7を支持することができる。図17では、削岩機4は、キャリッジ6なしに直接、送りビーム6によって支持されている。
【0055】
図16ないし図18では、槽状送りビーム6、もしくはU字形断面を有するものは、削岩機4を囲繞するケーシングの一部として働く。槽状送りビーム6は蓋38で閉じることができ、蓋は、例えば蝶番39で側部6dの最上部へ接続することができ、これによって蓋38は、例えば保守およびドリルロッドの交換時に開閉することができる。
【0056】
送りビーム6上に設けることのある被覆を図16では破線32で示す。振動減衰材もしくは振動遮断材で作られた被覆32は、送りビーム6の槽状断面の内面に、もしくは送りビームの外面に、または内面および外面の両方に配設してもよい。
【0057】
図16ないし図18の実施例において、本特許出願に開示した構成要素間の振動減衰および振動伝播防止方式を適用することができる。
【0058】
図18に示す実施例では、送りビーム6は、互いに上下にある2本の送りビーム部品6aおよび6bで構成されている。第1の送りビーム部品6aの横断面は実質的にU字形である。第2の送りビーム部品6bには、これをクレードルへ取り付ける手段が搭載されている。
【0059】
図16ないし図18に示す削岩リグの各送りビームの共通要因は、送りビーム6が長尺状部品であり、その削岩機側部分が、底部6cおよび互いに離間した2つの側部6dを備えた槽状横断面を有していることである。そこで削岩機側部分は、実質的にU字形横断面を有してよい。削岩機4は槽状部分の内側を移動する。槽状送りビームは、開閉可能な蓋38とともに削岩機4の周囲に保護ケーシングを形成している。
【0060】
図19および図20は、保護ケーシング10に緊締することができる導出要素40を示し、これによって必要な圧力媒体接続、電気的接続および他の可能な接続を保護ケーシング10の外側と内側との間に設けることができる。保護ケーシングの封止を改善できれば、削岩騒音を著しく減少できることが分かっている。導出要素40によって、さまざまな接続を1箇所に集中させることができ、さらに導出要素40は保護ケーシング10へ密封緊締することもできる。
【0061】
図19に示すように、導出要素40は接続板41を有し、これは、ネジ継手によって保護ケーシング10の本体内の、例えば導出開口部42に緊締することができる。接続板41と保護ケーシング10との間に1つ以上の減衰要素43を配設して、相互接続された構成要素間の振動伝播を防止してもよい。さらに、接続板41と保護ケーシング10との間に1つ以上のシーリング44を施してもよく、これによって接続板41は保護ケーシング10に密封緊締することができる。接続板41は開口部45を有し、これへ必要なカプラ46を緊締して液圧ホース、加圧空気ホース、電気ケーブルなどを接続してもよい。カプラ46によって、例えば保守中、接続の開放および再接続が迅速かつ容易になる。
【0062】
図19および図20に示す導出要素は以下の点を特徴とする。すなわち、導出要素40は、接続板41を通して圧力媒体導管を導くカプラ46を備えた接続板41を有し、さらに、接続板41には少なくとも1つのシーリング44を施したことである。図19および図20に示す種類の削岩リグの保護ケーシングは以下の点を特徴とする。すなわち、削岩機の作動に必要なすべての圧力媒体導管を保護ケーシングの内側と外側の間の少なくとも1つの導出要素40から導き、接続板41を保護ケーシング10へ密封緊締したことである。
【0063】
場合によって、本特許出願に記載の構成要件は、他の構成要件とは無関係に同様に用いてもよい。他方、本特許出願に記載の構成要件は、必要に応じて組み合わせて、さまざまな組合せを提供してもよい。
【0064】
図面およびその関連説明は本発明の概念の説明のみを企図している。本発明はその詳細について請求項の範囲内で変更してもよい。
【発明の背景】
【0001】
本発明は、削岩リグへ接続可能な削岩装置に関するものである。削岩装置は、長尺状送りビームに支持され送りビーム上を送り装置によって移動可能な削岩機を含んでいる。送りビームはそこで、削岩リグの掘削ブームに緊締部材によって連結されている。
【0002】
さらに本発明は、送りビームと、削岩装置における振動減衰方法にも関するものである。本発明の分野は、本特許出願の独立請求項の前段にさらに詳細に記載されている。
【0003】
削岩リグは鉱山および土木現場の両方で被掘削岩盤に穿孔するのに使用される。削岩リグは一般に、少なくとも削岩機、送りビームおよび送り装置を有する削岩装置を備えた掘削ブームを備えている。削岩機は、岩盤を破壊し掘削孔を形成する工具に対し衝撃パルスを与える。削岩機の作動によって非常に強力な振動が生じ、これが削岩機内の構成要素へ次々と、さらに削岩リグの掘削ブームおよびその構体の他の部分へと伝播する。振動によって各部品表面から音響放出が生じ、これによって不快な騒音が周辺領域に拡散する。騒音の他に、構体内を伝播する振動は構成部品間に動きも生じ、これによって早期損耗や各装置の耐久性に関する他の問題を生じることがある。
【発明の簡単な説明】
【0004】
本発明は、新規で改善された削岩装置、送りビームおよび振動減衰方法を提供することを目的とする。
【0005】
本発明の削岩装置は以下の点を特徴とする。すなわち、送りビームは、互いに上下に配設された少なくとも2つの送りビーム部品を含み、第1の送りビーム部品は削岩機側に、また第2の送りビーム部品は緊締部材側にあり、第1および第2の送りビーム部品間には、送りビーム部品の接合面を互いに分離する少なくとも1つの減衰要素があることである。
【0006】
本発明の送りビームは以下の点を特徴とする。すなわち、送りビームの横断面は、少なくとも1つの第1のビーム部品および少なくとも1つの第2の送りビーム部品を含み、これらは、長さが送りビームと同じであって互いに上下に緊締され、第1および第2の送りビーム部品間には、送りビームにおける振動を減衰し、または両送りビーム部品間の振動伝播を防止するように配設された少なくとも1つの減衰要素があることである。
【0007】
本発明の方法は、送りビームを少なくとも2つのビーム部品で形成し、それらの接合面間に少なくとも1つの減衰要素を配設して送りビームを通る振動伝播を防止することを特徴とする。
【0008】
本発明の概念は、削岩装置における削岩機により生じる振動を減衰し、削岩装置に属する各構成部品間におけるその伝播を防止することである。削岩装置の各構成部品間の通常は金属の接合面は、減衰要素によって互いに分離することができる。送りビームは、第1の送りビーム部品および第2の送りビーム部品を含み、それらの接合面の間には1つ以上の減衰要素が配されている。
【0009】
本発明の利点は、振動を振動源の近くで減衰できることである。さらに、振動が削岩装置から掘削ビームへ、そして削岩リグの至る所へ伝播するのも、効率的かつ簡易に防止することができる。振動が減衰されると、振動により生じる騒音も小さくすることができる。騒音防止に関する要求は近い将来ますます厳しくなる。本発明は、騒音防止の一部として比較的簡易な方式を提供するものである。さらに本発明の減衰装置によって、構造体に早期損耗を起こす振動を小さくできれば、削岩リグの可動寿命を延ばし、保守の必要性を少なくすることができる。
【0010】
ある実施例の概念は、1つ以上の減衰要素を削岩機と送りビームの間の領域に配設することである。これによって、削岩機から送りビームへの振動の伝播を防止することができる。送りビームはかなり大きな表面を有することが多く、振動の結果として騒音を放出すると考えられる。本実施例では、構造起因の騒音の送りビームへの伝播を防止することができる。
【0011】
ある実施例の概念は、送りビームの構体が1つ以上の減衰要素で構成されることである。したがって、これによって送りビームを通る振動伝播が少なくなる。さらに、送りビーム内の減衰要素は振動を吸収することができ、したがって送りビーム内の振動を減衰することができる。
【0012】
ある実施例の概念は、送りビームが第1の送りビーム部品と第2の送りビーム部品で構成され、これらが送りビームと実質的に同じ長さを有し、それらの接合面間に1つ以上の減衰要素が配設されていることである。これらの送りビーム部品は互いに対して不動に緊締されている。第1の送りビーム部品は第1の支持面を備え、これにキャリッジを支持することができる。第2の送りビーム部品は第2の支持面を備え、これにクレードルを支持することができる。本実施例は送りビームの構体を通る振動の伝播を防止する。加えて、減衰要素は送りビームの振動を減衰することができる。さらに、二部品もしくは多部品送りビームの壁面は単部品送りビームに比べ大きさが小さく、これによって壁面の振動による騒音の危険が小さくなる。
【0013】
ある実施例の概念は、送りビームが第1の送りビーム部品および第2の送りビーム部品で構成されていることである。第2の送りビーム部品は、送りビームの横方向において互いに連結された2つの構成部品で形成されている。第1の送りビーム部品と第2の送りビーム部品の間には形状係止緊締部があってもよい。
【0014】
ある実施例の概念は、送りビームが緊締部材によって掘削ブームもしくは削岩リグの他の構体へ連結されていることである。緊締部材のところには、削岩装置から前方への振動の伝播を減少させる1つ以上の減衰要素があってもよい。緊締部材は、送りビーム側の長尺状ガイド面に支持されたクレードルでよく、これによってクレードルおよび送りビームが互いに対して動くことができる。クレードルは、2つ以上の部品で形成してもよく、これによって減衰要素をこれらの部品間の接合面上に配設することができる。
【0015】
ある実施例の概念は、削岩機をキャリッジで送りビームへ連結することである。キャリッジは、互いに上下に配設された第1のキャリッジ部品および第2のキャリッジ部品で構成され、これらの間に1つ以上の減衰要素を配してもよい。第1のキャリッジ部品は削岩機に対して配設され、第2のキャリッジ部品は送りビーム側に配設される。掘削中、送り力が削岩機側の第1のキャリッジ部品へ送られ、これによって送り力は、減衰要素を介さずしっかりと削岩機へ送られる。
【0016】
ある実施例の概念は、削岩機が1つ以上の交換可能な滑りブロックで送りビームに支持されることである。一般に、複数の滑りブロックが使用される。削岩機は、キャリッジとこれに緊締された滑りブロックによって送りビームへ連結してもよい。または、削岩機はキャリッジ無しでもよく、これによって滑りブロックは、削岩機の本体に緊締してこれを送りビームに支持することができる。減衰要素は、滑りブロックと一体化してもよい。滑りブロックは、少なくとも2つの異なる材料、すなわち滑り支持材と弾性減衰材を含んでもよい。滑り支持部材は高い耐摩耗性があり、当然、送りビーム上の案内面に対して配設することを目的としている。
【0017】
ある実施例の概念は、削岩装置が送りビームを全体的にもしくは少なくとも部分的に囲繞する保護ケーシングを有することである。削岩機も保護ケーシング内にあり、これによって保護ケーシングは削岩機から直接周辺領域へ騒音が放出されるのを防ぐ。保護ケーシングは振動減衰材で形成してもよく、削岩機に所属する構成部品間に配設して、相互接続された構成部品間の振動伝播を防止するようにしてもよい。削岩装置において振動が減衰されると、保護ケーシングへ向かう振動とそれによって生じる騒音も減衰される。これによってまた、保護ケーシングの構造および緊締の実現方法も簡略化される。
【0018】
ある実施例の概念は、送りビームが削岩機側で第1の部品を、またクレードル側で第2の部品を有し、これらの間に保護ケーシングの側壁が配設されて、それらの接合面間で減衰要素として働くことである。または、保護ケーシングの何らかの他の部分、例えば緊締部分もしくは同様な部分を減衰要素として機能させてもよい。
【0019】
ある実施例の概念は、削岩装置に所属する構成部品に施した被覆を減衰要素として機能させることである。被覆は、振動を戻り反射させたり吸収したりすることができる。
【0020】
ある実施例の概念は、振動防止に適した材料で送りビームが少なくとも部分的に被覆されていることである。場合によっては、送りビームもしくは送りビーム部分がこの種の材料で全体的に被覆されている。
【0021】
ある実施例の概念は、減衰要素が1つ以上の振動減衰材で作られていることである。振動減衰材は、ゴム、ポリマもしくは振動をほとんど伝えない他の弾性材でよい。
【0022】
ある実施例の概念は、減衰要素がばね部材などの機械的減衰部材を含むことである。
【0023】
ある実施例の概念は、減衰要素が圧力媒体室を含み、その中に圧力媒体が配設されて振動を減衰し、その前方への伝播を防止することである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
次に、添付図面において本発明のいくつかの実施例をより詳細に説明する。
【図1】削岩リグの模式的側面図である。
【図2】削岩装置の模式的側面図である。
【図3】減衰要素で互いに連結された2本の送りビーム部品を有する送りビームの模式的横断面図である。
【図4】第2の送りビームとキャリッジおよび滑りブロックによる削岩機の支持とを示す模式的横断面図である。
【図5】第3の送りビームの模式的横断面図であり、送りビームの横方向に相互連結された2つの部品でクレードル側の送りビーム部分が形成されている。
【図6】2本の送りビーム部品で形成された送りビームの模式的横断面図であり、送りビーム部品は互いの連結面間に保護ケーシングの側面を有している。
【図7】保護ケーシングの内側に配設された送りビームの模式的横断面図であり、保護ケーシングは、送りビームおよびクレードル側滑りブロックの緊締面間で振動減衰部材として作用する。
【図8】保護ケーシングに緊締された送りビームの模式的横断面図であり、保護ケーシングは、送りビームとクレードル側滑りブロックを互いに連結し、振動減衰要素としても働く。
【図9】キャリッジ上に配設された削岩機を有する削岩装置の模式的横断面図であり、キャリッジは、対振動減衰要素によって互いに分離された2部分に分割されている。
【図10】削岩機とキャリッジの間に減衰要素を有する削岩装置の模式的横断面図であり、削岩機は送り力を削岩機へ直接伝達する送り面を有する。
【図11】クレードルへの連結手段が保護ケーシング内に配設された削岩装置の模式的横断面図である。
【図12】削岩装置の模式的横断面図であり、削岩装置は、送りビームの横断面において2本のビーム部品が上下に配され、保護ケーシングがクレードル側ビーム部品に緊締されたものである。
【図13】ないし
【図15】送りビームの模式的横断面図であり、各送りビームは、互いに上下に配設され互いに不動な少なくとも2本の送りビーム部品を有している。
【図16】ないし
【図18】送りビームの模式的横断面図であり、各送りビームは、それぞれの削岩機側部分上に実質的にU字形の横断面を有する。
【図19】可能な導出要素の模式的分解図である。
【図20】保護ケーシング内に配置された上記導出要素を示す図である。
【0025】
各図では、明瞭にするため本発明のいくつかの実施例を簡略化して示す。各図において同様な部分は同じ参照番号で示す。
【発明のいくつかの実施例の詳細な説明】
【0026】
図1に示す削岩リグは可動キャリア1を有し、これは削岩装置3が配設された1本以上の掘削ブーム2を有している。削岩装置3は削岩機4を備え、これは、削岩機に連結された工具5に衝撃パルスを与える衝撃装置を有し、被掘削岩盤に衝撃パルスを伝達するものである。削岩機4は送り装置によって送りビーム6上を方向Aに移動する。
【0027】
図2は、削岩装置3の構造をさらに詳細に示す。送りビーム6は長尺状部品であり、これに削岩機4をキャリッジ7で連結することができ、または削岩機4の本体をキャリッジなしに、例えば適切な滑りブロックによって送りビームに支持してもよい。送り装置8を連結してキャリッジ7に作用させることができ、またはキャリッジなしの構造の場合、送り装置8は削岩機に直接作用するよう配設される。送りビーム6は掘削ブーム2へクレードル9によって支持され、送りビーム6が掘削ブーム2の端部に対して長手方向Bに移動することができる。場合によっては、送りビーム2をB方向に移動させる必要がなければ、クレードルに代わって他の何らかの緊締部材を送りビーム6と掘削ブーム2と間に設けてもよい。さらに、削岩装置3は、削岩装置3全体もしくは少なくともその一部を囲繞する保護ケーシング10、または同様の保護構体を有してもよい。保護ケーシング10の目的は、削岩機4から周辺領域へ放出される騒音を減衰し、また掘削現場の人々を保護し、ときには削岩装置を外部の打撃から保護することにある。
【0028】
削岩機4の作動によって振動を生じ、これは削岩装置3の構体へ伝播する。とくに衝撃装置11の作動ばかりでなく回転装置12の作動も振動を生じて、これが削岩機4からキャリッジ7へ、さらに送りビーム6へ、そして最後にクレードル9を介して掘削ブーム2へ伝播し、ここから削岩リグの他の構体へ伝播することがある。振動は、構成要素を次々と構成要素間の接合面を介して伝達される。本特許出願に提示の減衰実施例では、削岩装置に属する各構成要素における振動を減衰し、接合面を互いに分離し、これによって削岩装置に属する各構成要素間における有害な振動の伝播を防止することができる。減衰要素は構成要素間の分離装置として働くことができ、これは、振動を部分的に戻り反射させるこができ、または伝播減衰装置として働くことができ、これによって振動を吸収し、振動エネルギーを熱に変えることができる。場合に応じて減衰要素は、上述の各原理を1つ以上用いることで振動を減衰するようにしてもよい。
【0029】
図3は、振動減衰式送りビーム6の横断面を示す。送りビーム6は、第1の送りビーム部品6aを削岩機側に、また第2の送りビーム部品6bをクレードル側に有し、さらに両部品間に配設された1つ以上の減衰要素13を有して送りビーム部品6a、6bの接合面を互いに分離している。減衰要素13は弾性材で作ることができ、これは、振動を減衰し、その第1の送りビーム部品6aから第2の送りビーム部品6bへの伝播を防止するものである。分離に加えて、減衰要素13は、振動を吸収することもできる。第1の送りビーム部品6aは第1の支持面14を有し、この面に対して滑りブロックもしくは同様な滑り面が、キャリッジ内において、もしくは直接削岩機内において当接することができる。同様に、第2の送りビーム部品6bは第2の支持面15を有し、この面に対してクレードルもしくは同様の緊締部材が当接することができる。場合によっては、送りビーム6は、もっと多くの送りビーム部品で構成し、例えば図3に示す第1の送りビーム部品6aと第2の送りビーム部品6bとの間に第3の、すなわち中間送りビーム部品を設けて減衰要素13によって上部および下部の送りビーム部品から離すことができる。また、1つの一体減衰要素13ではなく、複数の別個の減衰要素を使用することもできる。
【0030】
図4は、送りビーム6を示し、これも、互いに離れて上下に配設された2本の送りビーム部品6aおよび6bを有している。図3とは異なり、一体減衰要素13ではなく、複数の別個の減衰要素13a、13bが送りビーム部品6a、6b間に配設され、これらの減衰能力はそれらの材料、形状もしくは機械的機能性に基づくと考えられる。図4はさらに、キャリッジ7および第1の送りビーム部品6aの各支持面14の間に滑りブロック16がある状態を示し、滑りブロックは、少なくとも2つの異なる材料で形成してもよい。滑りブロック16は、支持面14側は良好な滑り耐性を有する材料16aで、またキャリッジ7側は良好な振動遮断性を有する材料16bで構成するとよい。さらに、滑りブロック16は、良好な耐性および減衰特性を有する材料で作ることも可能であると考えられる。したがって、滑りブロック16は振動遮断性にも関与している。この種の滑りブロック16は、本特許出願に記載の他の実施例にも利用することができる。
【0031】
図4はさらに、内側が空洞になった送りビーム6および送りビーム部品6a、6bを充填材17で全体的もしくは部分的に満たしてもよいことを示している。充填材17は、送りビーム壁の振動を減衰し騒音発生を防止するポリウレタンなどの軽量な発泡状材料でよい。長尺の送りビームは、かなり大きくかつ薄い壁面を有することが多く、容易に振動し始め、騒音を発生する。本実施例は、必要に応じて実際の振動減衰を補完するのに使用することができる。
【0032】
図5は、互いに上下に配設された第1の送りビーム部品6aおよび第2の送りビーム部品6bを有する送りビーム6を示す。クレードル側の第2の送りビーム部品6bは2つの長尺状要素18aおよび18bに分割され、両者は断面が対称でよい。要素18a、18bは、送りビームの横方向Cにおいて互いに接合されている。さらに、第1の送りビーム部品6aの横断面プロファイルの底面は突出部19を有し、これは例えば蟻継ぎでよい。接合された要素18a、18bは同様に、その削岩機側上面に上記突出部19を受け入れ可能な対応形状の空間20を形成している。突出部19と空間20は、送りビーム部品6aおよび6b間に形状係止部を形成し、これによって送りビーム部品の緊締が堅固になり、送りビームが強固になる。さらに、送りビーム部品6a、6bの接合面間には1つ以上の減衰要素13があり、これは送りビーム6の構造内の振動伝播を防止する。減衰要素13は振動を吸収することもできる。減衰要素13は、成型された送りビーム部品6a、6b間の定位置にしっかりと留まる。減衰要素の横断面形状は、その接合面の形状に対応してもよい。減衰要素は、例えば成形鋳造物もしくは押出し成形物でよい。要素18a、18b間には、例えばネジ留めを用いてもよい。この形状係止部により送りビーム部品6a、6bは、何らかの別の緊締手段がなくても互いに緊締状態に保たれる。図5とは異なり、第2の送りビーム部品6bは突出部を有し、第1の送りビーム部品6aは突出部19を受け入れる空間を有することも可能である。
【0033】
図3および図5に示す減衰要素は、別部品でもよく、または、送りビーム部品6a、6bの一方もしくは双方へ取り付けた被覆もしくは同様の材料層でもよい。
【0034】
図6に示す方式では、第1の送りビーム部6aは保護ケーシング10の内側に配設されている。保護ケーシング10の側面10aは、第1の送りビーム部6aおよび第2の送りビーム部6bの接合面間に配設してもよく、その場合、側面10aが両接合面を互いに分離している。保護ケーシング10は、振動伝播を遮断できる材料で形成してよく、これによって側面10aは、接合面間において減衰要素として働くことができる。当然、保護ケーシングの一方の側面10aだけを振動遮断材料で作ることができ、これによって保護構体の残りの材料および構造は自由に選択することができる。振動遮断材料で作られた被覆を保護ケーシングの側面10aに配設することができ、さらに別の減衰要素を使用することもできる。
【0035】
図7は、削岩機4と送りビーム6が保護ケーシング10の内側に配設された実施例を示す。送りビーム6はクレードル側接合面22を有し、クレードルに脱着可能な滑りガイド23がこれに緊締されている。滑りガイド23は滑り面15aを有し、これはクレードルに支持してもよい。保護ケーシング10の側面10aは、送りビームの接合面22と滑りガイドの側面24との間に配設され、これによって振動遮断要素として働くことができる。保護ケーシング10の材料は、振動を遮断し吸収する材料からなってよい。この方式は、従来の堅固な送りビーム6の横断面プロファイルおよび構造を変更しないですむ。
【0036】
図7はさらに、削岩機4がキャリッジなしでよいことを示すが、この場合、その本体25は、滑りブロック16によって送りビームの支持面14へ直接支持される。滑りブロック16の構体に遮断層を一体化してもよい。さらに、本体25と滑りブロックの間に減衰要素があってもよい。
【0037】
図7はさらに、送りビーム6の側面に減衰ストリップ35を配してよく、減衰ストリップによって送りビーム6の振動特性に作用させることができる。減衰ストリップ35の数、配置場所、材料および形状は、個々の場合に応じて個別に選択してよい。
【0038】
図8に示す方式では、送りビーム6が保護ケーシング10に緊締され、そこでケーシングは、クレードル側において滑りガイド23に緊締されている。送りビーム6の接合面22は、滑りガイドの接合面24に配設されず、緊締は保護ケーシングの壁10a構体を介して行なわれる。保護ケーシング10は弾性材で作ってよく、これによって壁10aは、送りビーム6と滑りガイド23との間で振動遮断緊締部として働くことができる。
【0039】
図9は、キャリッジ7が削岩機4側の第1のキャリッジ部7aと送りビーム側の第2のキャリッジ部7bとに分割された可能な実施例を示す。キャリッジ部7a、7b間には1つ以上の減衰要素13が配設され、これによってキャリッジ部間の接合面が互いに分離されている。第2のキャリッジ部7bは滑りブロック16を有し、滑りブロックによって送りビームに支持されている。削岩機4は、第1のキャリッジ部7aへ堅固に緊締することができ、これによって送り力を送り装置から第1のキャリッジ部7aへ伝達することができる。第1のキャリッジ部7aには突起部26を設けてもよく、これは、第2のキャリッジ部7b内の開口部27を通して配設されて送りビーム6の上面側の溝28へ延在することができる。送り装置は上記溝内へ配設してもよい。送り装置を配設して送り力を配向することのできる接続点は、突出部26に破線で示す。送り力が第1のキャリッジ部7aへ送られても、有害な負荷が減衰要素13に掛かることはない。
【0040】
図10は、1つ以上の減衰要素13が削岩機4の本体25とキャリッジ7との間に配されたさらに他の実施例を示す。この場合、送り力は削岩機の本体25へ直接送ることができ、これによって送り力は減衰要素13を介して伝わらない。したがって、送り力は減衰要素13にひずみを与えず、他方、減衰要素13は伸縮を起こさず、またこれによる送り運動の誤差も発生しない。本体25の底面側には突出部30があってもよく、その中の接続点29へ送り力を送ることができる。送り装置は送りビーム6の上面の溝28内へ配設することができる。または、本体25に、例えばその上面に1つ以上の接続点31を設けてもよい。
【0041】
ここで注目すべきは、図9および図10の実施例では、送りビーム6が図示のように1つの一体構造でよく、または、例えば図3ないし図8に示すように減衰要素で互いに分離した2つ以上の部分に分割してもよいことである。さらに、これらの実施例におけるさまざまな減衰要素を組み合わせることができる。
【0042】
総じて、さらに注目すべきは、削岩装置の構成要素の接続面は振動減衰材で被覆してもよいことである。または、接続面間に別な振動減衰弾性部品を配設してもよい。さらに、構成要素間の接続面に対して機械的振動減衰構体を配設することができる。機械的構体は、例えばバネ部材に基づくものでよい。減衰要素の作動は、例えば圧力媒体の使用み基づくものでもよい。
【0043】
図10は、送りビーム6の周囲に配設された被覆32を破線で示し、これは、プラスチックもしくはゴムなどの適切な弾性材料で作ることができる。被覆32は送りビーム全体を囲繞してもよく、または被覆32は、送りビームの案内面以外の他の部分を全部覆うよう配設してもよい。同様に、削岩装置3の他の構成要素の周囲に被覆を配設することができる。したがって、例えばキャリッジ7および削岩機4には被覆33、34を施してもよい。これらの被覆は振動を吸収し、これを戻り反射させることができる。さらに、ある場合には被覆は、構成要素間の振動遮断層として機能することがある。
【0044】
図11に示す実施例では、削岩機4、送りビーム6、および場合によってはキャリッジ7が保護ケーシング10内に配設されている。保護ケーシング10の1つ以上の側面には、これらをクレードルへ取り付ける手段を設けてもよい。取付け手段は、支持面15を備えたガイドビーム36もしくは同様のものを含んでもよい。本実施例では、保護ケーシング10は完全閉鎖してもよい。なぜなら、クレードルと送りビームの間に運動用開口部を配設する必要がないからである。保護ケーシング10の防音は、これをできる限り密封することによって改善できる。送りビーム6は、保護ケーシング10およびガイドビーム36を介してクレードルに緊締される。保護ケーシング10の材料を選択して、送りビーム6からクレードルへの振動伝播を遮断することができる。当然、上述の種類の減衰要素を保護ケーシング10と送りビーム6との間、ならびに保護ケーシング6とガイドビーム36との間の接続点へ配設することができる。
【0045】
図12は送りビーム6を示し、その横断面は、互いに上下に配設された2本のビーム部品6aおよび6bを含み、これらは、使用中互いに対して不動に緊締されて、ともに十分な剛性および他の特性の送りビームを形成するものである。保護ケーシング10は、クレードル側ビーム部品6bに緊締してもよい。保護ケーシング10の緊締点には、本特許出願に記載の種類の減衰要素37を設けてもよい。本実施例では、図における下方送りビーム部品6bが保護ケーシング10の底部を形成しているので、送りビーム6は保護ケーシングの10の一部を成している。
【0046】
さらに、本特許出願に記載の減衰要素および他の装置は、削岩装置ばかりでなく、有害な振動を生じるボルト打設機などの他の動力工具を採掘工具として用いる他の採掘装置にも、削岩機に代わって適用可能である。
【0047】
図13ないし図18は、上述の実施例とは異なることのあるさらに他の送りビーム方式を示す。
【0048】
図13は、第1の送りビーム部品6aを削岩機側に、また第2の送りビーム部品6bをクレードル側にそれぞれ有する送りビーム6の横断面を示す。送りビーム部品6aおよび6bは互いに不動に緊締されて、ともに削岩機を支持する送りビームを形成している。送りビーム部品6a、6bは、送りビーム6と実質的に同じ長さでよい。送りビーム6は、あたかも中央で分割したかのように、もしくは対称的に、2本の長手方向で重なった部品としてもよい。ある場合に送りビームは、送りビーム全体より短い送りビーム部品で構成してもよい。例えば、第2の送りビーム部品6bは、第1の送りビーム部品6aへ別々に緊締された1本もしくは2本以上の短い部品で構成してもよい。この場合でも、送りビーム6の横断面は、互いに上下に配された少なくとも1本の第1の送りビーム部品6aと少なくとも1本の第2の送りビーム部品6bとを有する。
【0049】
図14は複数の長手方向部品からなる送りビーム6を示す。送りビームの横断面は、第1の送りビーム部品6aを削岩機側に、また第2の送りビーム部品6bをクレードル側に有してもよく、少なくとも後者は、2つ以上の構成要素18a、18bに分割してもよい。送りビーム部品6aおよび6b間には、図5の実施例に関連して説明したように突出部19およびこれを受け入れる空間20などの適切な形状係止部材があってもよい。同様の原理は図14の実施例にも当てはまる。ある場合には、互いに上下に配された複数の送りビーム部品があってもよく、さらに第1の送りビーム部品6aも横断方向Cに2つ以上の構成要素で構成してもよい。
【0050】
図15では、互いに上下に配された第1および第2の送りビーム部品6a、6bの間に保護ケーシング10の側壁10aが配設されている。保護ケーシング10は、良好な振動伝播減衰性を有することが分かっている薄い鋼板で作ってもよい。
【0051】
さらに注目すべきは、送りビーム部品で形成された送りビームを配設して、削岩機を囲繞する保護ケーシングの一部を形成してもよいことである。そこで、保護ケーシングは、第1もしくは第2の送りビーム部品に緊締するか、または双方の接続面の間に配設するかしてよい。または、二部分送りビームはケーシングの一部でない。そこで、保護ケーシングは送りビームの周囲に配設してもよい。
【0052】
図13ないし図15に示す削岩リグの各送りビームに共通な要因は、送りビームが長尺状部品であり、その横断面の少なくとも一部が、少なくとも1本の第1の送りビーム部品6aと少なくとも1本の第2の送りビーム部品6bとを有し、両者が互いに上下に、かつ互いに不動に配されていることである。加えて送りビームは、第1の送りビーム部品6a内に第1の支持面14を有してもよく、これに削岩機4を可動に支持し、さらに第2の送りビーム部品6b内に第2の支持面15を有してもよく、これによって送りビーム6が削岩リグに緊締される。
【0053】
図16ないし図18は、送りビームが上述の各実施例と異なるさらに他の削岩装置を示す。
【0054】
図16は、底部6cおよび2つの側部6dを有する槽状横断面を備えた送りビーム6を示す。側部6dは、底部6cから等距離に延在してもよく、または、図17および図18に示すようにそれぞれ高さが異なってもよい。削岩機6は、キャリッジ7内に図16および図18に示す方法で配設してもよい。キャリッジ7は、適切な滑りブロック16もしくは同等なものを用いて底部6cおよび側部6dに支持してもよい。底部6cは、案内面もしくは同様なものを有してもよく、これにキャリッジ7を支持することができる。図17では、削岩機4は、キャリッジ6なしに直接、送りビーム6によって支持されている。
【0055】
図16ないし図18では、槽状送りビーム6、もしくはU字形断面を有するものは、削岩機4を囲繞するケーシングの一部として働く。槽状送りビーム6は蓋38で閉じることができ、蓋は、例えば蝶番39で側部6dの最上部へ接続することができ、これによって蓋38は、例えば保守およびドリルロッドの交換時に開閉することができる。
【0056】
送りビーム6上に設けることのある被覆を図16では破線32で示す。振動減衰材もしくは振動遮断材で作られた被覆32は、送りビーム6の槽状断面の内面に、もしくは送りビームの外面に、または内面および外面の両方に配設してもよい。
【0057】
図16ないし図18の実施例において、本特許出願に開示した構成要素間の振動減衰および振動伝播防止方式を適用することができる。
【0058】
図18に示す実施例では、送りビーム6は、互いに上下にある2本の送りビーム部品6aおよび6bで構成されている。第1の送りビーム部品6aの横断面は実質的にU字形である。第2の送りビーム部品6bには、これをクレードルへ取り付ける手段が搭載されている。
【0059】
図16ないし図18に示す削岩リグの各送りビームの共通要因は、送りビーム6が長尺状部品であり、その削岩機側部分が、底部6cおよび互いに離間した2つの側部6dを備えた槽状横断面を有していることである。そこで削岩機側部分は、実質的にU字形横断面を有してよい。削岩機4は槽状部分の内側を移動する。槽状送りビームは、開閉可能な蓋38とともに削岩機4の周囲に保護ケーシングを形成している。
【0060】
図19および図20は、保護ケーシング10に緊締することができる導出要素40を示し、これによって必要な圧力媒体接続、電気的接続および他の可能な接続を保護ケーシング10の外側と内側との間に設けることができる。保護ケーシングの封止を改善できれば、削岩騒音を著しく減少できることが分かっている。導出要素40によって、さまざまな接続を1箇所に集中させることができ、さらに導出要素40は保護ケーシング10へ密封緊締することもできる。
【0061】
図19に示すように、導出要素40は接続板41を有し、これは、ネジ継手によって保護ケーシング10の本体内の、例えば導出開口部42に緊締することができる。接続板41と保護ケーシング10との間に1つ以上の減衰要素43を配設して、相互接続された構成要素間の振動伝播を防止してもよい。さらに、接続板41と保護ケーシング10との間に1つ以上のシーリング44を施してもよく、これによって接続板41は保護ケーシング10に密封緊締することができる。接続板41は開口部45を有し、これへ必要なカプラ46を緊締して液圧ホース、加圧空気ホース、電気ケーブルなどを接続してもよい。カプラ46によって、例えば保守中、接続の開放および再接続が迅速かつ容易になる。
【0062】
図19および図20に示す導出要素は以下の点を特徴とする。すなわち、導出要素40は、接続板41を通して圧力媒体導管を導くカプラ46を備えた接続板41を有し、さらに、接続板41には少なくとも1つのシーリング44を施したことである。図19および図20に示す種類の削岩リグの保護ケーシングは以下の点を特徴とする。すなわち、削岩機の作動に必要なすべての圧力媒体導管を保護ケーシングの内側と外側の間の少なくとも1つの導出要素40から導き、接続板41を保護ケーシング10へ密封緊締したことである。
【0063】
場合によって、本特許出願に記載の構成要件は、他の構成要件とは無関係に同様に用いてもよい。他方、本特許出願に記載の構成要件は、必要に応じて組み合わせて、さまざまな組合せを提供してもよい。
【0064】
図面およびその関連説明は本発明の概念の説明のみを企図している。本発明はその詳細について請求項の範囲内で変更してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
削岩機(4)と、
該削岩機(4)が支持される長尺状送りビーム(6)と、
前記削岩機(4)を前記送りビーム(6)の長手方向に動かす送り装置(8)と、
前記送りビーム(6)へ連結され、削岩装置(3)を削岩リグに緊締する緊締部材(9)とを含み、
前記削岩機(4)の作動により該削岩装置(3)に所属する構成要素内に生じる振動、または該削岩装置(3)の構成要素間の振動伝播を減衰する少なくとも1つの減衰要素(13)を有する削岩装置(3)において、
前記送りビーム(6)は、互いの頂部に配設された少なくとも2つの送りビーム部品(6a、6b)を含み、第1の送りビーム部品(6a)は前記削岩機(4)側に、また第2の送りビーム部品(6b)は前記緊締部材(9)側にあり、
第1の送りビーム部品(6a)と第2の送りビーム部品(6b)との間には、前記送りビーム部品(6a、6b)の接合面を互いに分離する少なくとも1つの減衰要素(13)があることを特徴とする削岩装置。
【請求項2】
削岩機(4)を可動に支持する第1の支持面(14)と、
送りビーム(6)を削岩リグへ連結する第2の支持面(15)とを含み、長尺状部品である削岩リグの送りビームにおいて、
該送りビーム(6)の横断面は、少なくとも1つの第1の送りビーム部品(6a)および少なくとも1つの第2の送りビーム部品(6b)を含み、両送りビーム部品は、長さが前記送りビームと同じであって互いに上下に緊締され、
第1の送りビーム部品(6a)と第2の送りビーム部品(6b)との間には、前記送りビームにおける振動を減衰し、または両送りビーム部品の間の振動伝播を防止するように配設された少なくとも1つの減衰要素(13)があることを特徴とする削岩リグの送りビーム。
【請求項3】
請求項2に記載の送りビームにおいて、
第2の送りビーム部品(6b)は、2つの長尺状部品(18a、18b)で形成され、該長尺状部品は、該送りビームの横方向(C)に互いに連結されていることを特徴とする送りビーム。
【請求項4】
請求項3に記載の送りビームにおいて、
第1の送りビーム部品(6a)の横断面プロファイルは突出部(19)を含み、該突出部は第2の送りビーム部品(6b)へ配向され、
第2の送りビーム部品(6b)の長尺状部品(18a、18b)は、前記突出部(19)を受け入れ、該突出部(19)と形状係止部を形成するように配設されていることを特徴とする送りビーム。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれかに記載の送りビームにおいて、該送りビームは、
少なくとも1つの保護ケーシング(10)が該送りビーム(6)に緊締され、
前記保護ケーシング(10)の一部は、前記送りビーム部品(6a、6b)の接合面間に配設されていることを特徴とする送りビーム。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれかに記載の送りビームにおいて、
前記減衰要素(13)は弾性材で作られていることを特徴とする送りビーム。
【請求項7】
削岩機(4)と、送りビーム(6)と、削岩機(4)を該送りビームの長手方向(A)に動かす送り装置(8)と、前記送りビーム(6)へ連結され削岩装置(3)を削岩リグに緊締する緊締部材(9)とをみ、
前記削岩装置(3)において前記削岩機(4)の作動により生じる振動を少なくとも1つの減衰要素(13)によって減衰する削岩装置における振動減衰方法において、該方法は、
前記送りビーム(6)を少なくとも2つの部品(6a、6b)で形成し、それらの接合面間に少なくとも1つの減衰要素(13)を配設して前記送りビーム(6)を通る振動伝播を防止することを特徴とする削岩装置における振動減衰方法。
【請求項1】
削岩機(4)と、
該削岩機(4)が支持される長尺状送りビーム(6)と、
前記削岩機(4)を前記送りビーム(6)の長手方向に動かす送り装置(8)と、
前記送りビーム(6)へ連結され、削岩装置(3)を削岩リグに緊締する緊締部材(9)とを含み、
前記削岩機(4)の作動により該削岩装置(3)に所属する構成要素内に生じる振動、または該削岩装置(3)の構成要素間の振動伝播を減衰する少なくとも1つの減衰要素(13)を有する削岩装置(3)において、
前記送りビーム(6)は、互いの頂部に配設された少なくとも2つの送りビーム部品(6a、6b)を含み、第1の送りビーム部品(6a)は前記削岩機(4)側に、また第2の送りビーム部品(6b)は前記緊締部材(9)側にあり、
第1の送りビーム部品(6a)と第2の送りビーム部品(6b)との間には、前記送りビーム部品(6a、6b)の接合面を互いに分離する少なくとも1つの減衰要素(13)があることを特徴とする削岩装置。
【請求項2】
削岩機(4)を可動に支持する第1の支持面(14)と、
送りビーム(6)を削岩リグへ連結する第2の支持面(15)とを含み、長尺状部品である削岩リグの送りビームにおいて、
該送りビーム(6)の横断面は、少なくとも1つの第1の送りビーム部品(6a)および少なくとも1つの第2の送りビーム部品(6b)を含み、両送りビーム部品は、長さが前記送りビームと同じであって互いに上下に緊締され、
第1の送りビーム部品(6a)と第2の送りビーム部品(6b)との間には、前記送りビームにおける振動を減衰し、または両送りビーム部品の間の振動伝播を防止するように配設された少なくとも1つの減衰要素(13)があることを特徴とする削岩リグの送りビーム。
【請求項3】
請求項2に記載の送りビームにおいて、
第2の送りビーム部品(6b)は、2つの長尺状部品(18a、18b)で形成され、該長尺状部品は、該送りビームの横方向(C)に互いに連結されていることを特徴とする送りビーム。
【請求項4】
請求項3に記載の送りビームにおいて、
第1の送りビーム部品(6a)の横断面プロファイルは突出部(19)を含み、該突出部は第2の送りビーム部品(6b)へ配向され、
第2の送りビーム部品(6b)の長尺状部品(18a、18b)は、前記突出部(19)を受け入れ、該突出部(19)と形状係止部を形成するように配設されていることを特徴とする送りビーム。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれかに記載の送りビームにおいて、該送りビームは、
少なくとも1つの保護ケーシング(10)が該送りビーム(6)に緊締され、
前記保護ケーシング(10)の一部は、前記送りビーム部品(6a、6b)の接合面間に配設されていることを特徴とする送りビーム。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれかに記載の送りビームにおいて、
前記減衰要素(13)は弾性材で作られていることを特徴とする送りビーム。
【請求項7】
削岩機(4)と、送りビーム(6)と、削岩機(4)を該送りビームの長手方向(A)に動かす送り装置(8)と、前記送りビーム(6)へ連結され削岩装置(3)を削岩リグに緊締する緊締部材(9)とをみ、
前記削岩装置(3)において前記削岩機(4)の作動により生じる振動を少なくとも1つの減衰要素(13)によって減衰する削岩装置における振動減衰方法において、該方法は、
前記送りビーム(6)を少なくとも2つの部品(6a、6b)で形成し、それらの接合面間に少なくとも1つの減衰要素(13)を配設して前記送りビーム(6)を通る振動伝播を防止することを特徴とする削岩装置における振動減衰方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2013−503990(P2013−503990A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527362(P2012−527362)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【国際出願番号】PCT/FI2010/050680
【国際公開番号】WO2011/029992
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(506286478)サンドビク マイニング アンド コンストラクション オサケ ユキチュア (70)
【氏名又は名称原語表記】SANDVIK MINING AND CONSTRUCTION OY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【国際出願番号】PCT/FI2010/050680
【国際公開番号】WO2011/029992
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(506286478)サンドビク マイニング アンド コンストラクション オサケ ユキチュア (70)
【氏名又は名称原語表記】SANDVIK MINING AND CONSTRUCTION OY
【Fターム(参考)】
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