剪断試験装置のためのクランプ機構
【課題】安価で小型で高精度の剪断試験装置を提供する。
【解決手段】本発明は、結合部(302)と基板(300)との間の取付け強度を試験する剪断試験装置(12)に関する。剪断試験装置(12)は、基板(300)が取付けられるX−Yテーブル(13)と、弾性コネクタ(21)を介してベースプレート(20)に取付けられた試験ツール(100)との間の相対移動を行う駆動機構を有する。ベースプレート(20)に対して固定されたクランプ装置(33)は、試験ツール(100)に押付けられない休止位置と、試験ツール(100)を適所に固定する作動位置との間を移動可能である。剪断試験中、試験ツール(100)により結合部(302)を基板(300)から剪断させるとき、当接部(30,31)は追加のクランプ力を試験ツール(100)に付与する、
【解決手段】本発明は、結合部(302)と基板(300)との間の取付け強度を試験する剪断試験装置(12)に関する。剪断試験装置(12)は、基板(300)が取付けられるX−Yテーブル(13)と、弾性コネクタ(21)を介してベースプレート(20)に取付けられた試験ツール(100)との間の相対移動を行う駆動機構を有する。ベースプレート(20)に対して固定されたクランプ装置(33)は、試験ツール(100)に押付けられない休止位置と、試験ツール(100)を適所に固定する作動位置との間を移動可能である。剪断試験中、試験ツール(100)により結合部(302)を基板(300)から剪断させるとき、当接部(30,31)は追加のクランプ力を試験ツール(100)に付与する、
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剪断試験ツールに関する。特に、本発明は、セットアップ手順中における取付けプレートに対する剪断試験ツールの移動を可能にするが、剪断試験手順中、剪断試験ツールを取付けプレートに対して適所に維持する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは、非常に小さく、典型的には5〜50平方mmであり、かかる半導体デバイスは、典型的には、半導体基板への電気導体の結合のための多くの場所を有している。各結合部は、基板に結合されたはんだ又は金の球状堆積物を含む。結合部と基板の取付け強度(結合部強度と呼ばれる)を試験することが必要であり、その目的は、結合方法が適切であり且つ結合部強度が十分であるという確信を持つことにある。結合部の寸法が非常に小さいので、結合部強度を試験するために用いられるツールは、非常に正確に位置決めされると共に非常に小さな力及び撓みを測定することができなければならない。
【0003】
国際公開第2007/093799号パンフレット(特許文献1)に記載されている既知の試験装置は、結合部に係合する試験ツールを有している。試験ツールは、結合部を半導体基板から剪断するために用いられ、結合部を剪断するために必要とされる力が記録される。この力を記録するために、力変換器が試験ツールに組込まれている。
【0004】
再現性を保証するために、試験ツールの先端部が基板の表面から所定の高さのところの位置で結合部の側部に係合することが必要不可欠である。この距離は、僅かではあるが重要である。その理由は、結合部は、通常、ドームの形をしているからである。表面からの所定の離隔距離により、試験ツールから基板に付与される滑り摩擦力がなくなると共に剪断荷重が結合部インターフェースに対して正確な箇所に付与される。したがって、実際には、最初に試験ツールを移動させてそれを基板表面に接触させ、次いで、試験ツールを所定の距離、典型的には0.05mm以下の距離だけ引込め、その後、剪断試験を実施する。
【0005】
幾つかの問題がある。装置それ自体の機構中の動摩擦及び静摩擦により、基板表面との接触を検出する際に問題が生じる場合がある。表面の検出が不正確であれば、試験ツールを引込める距離及びかくして結合部を剪断する高さに影響を及ぼすことが避けられない。かかる距離は、非常に小さく、したがって、基板を圧縮することなしに表面への接触時点を正確に検出することに注意を払う必要がある。また、剪断試験の前に又はその間、試験高さにおける試験ツールの制御されない移動を防止することに注意を払う必要がある。かかる移動は、試験結果の精度に深刻な影響を及ぼすことがあり、試験高さにおける試験ツールの著しい移動により、隣接した結合部又はワイヤに損傷を与えることがある。
【0006】
基板の表面を検出するときの小さい接触力と試験高さの正確な制御の両方の課題を解決することは困難である。
【0007】
米国特許第6,078,387号明細書(特許文献2)は、試験ツールの試験ヘッドと基板の接触を検出するための装置を開示し、かかる装置は、接触を検出したときに試験ヘッドの下方移動を即座に停止させるように構成されている。試験ツールは、一対の片持ちアームの自由端部に支持され、片持ちアームは、その反対側の端部でベースプレートに固着され、片持ちアームが撓むことにより、ベースプレートに対する試験ヘッドのいくらかの垂直方向移動を可能にする。剪断試験中における試験ヘッドの垂直方向移動を阻止するために、試験ツールは、片持ちアームによってベースプレートに対して弾性的に付勢される。試験ヘッドを空気軸受によってベースプレートから遠ざかるように移動することができ、それにより、試験ヘッドが、最初の接触の検出のために実質的に摩擦なしで垂直方向に移動することを可能にする。かくして、試験ヘッドが基板表面に最初に触れるとき、片持ちアームに支持された試験ヘッドは、基板表面によって押し戻される。ベースプレートに対する試験ヘッドの移動又は片持ちアームの移動を、光学検出器によって検出し、次いで、空気軸受をオフに切換え、ベースプレートに対する片持ちアームの弾性的な付勢によって、試験ヘッドがベースプレートに対して固定されることを確保する。いったん試験ヘッドをベースプレートに対して固定したら、ベースプレートを所定の量だけ持上げ、試験ツールの下端部と基板との間に所望の「ステップオフ距離(step off distance)」の隙間を残す。
【0008】
別のシステムでは、片持ちアームにより、試験ツールをベースプレートから遠ざかるように付勢し、最初の位置決め間、ベースプレートに対する試験ヘッドの実質的に摩擦なしの移動を可能にし、次いで、圧縮空気によって駆動されるピストンを用いて、試験ツールをベースプレートに接触させるように押し、それにより、試験手順の間、ベースプレートに押付けるように試験ツールに作用するクランプ力を生じさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2007/093799号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6,078,387号明細書
【特許文献3】国際公開第2005/114722号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これら両方のシステムは、試験ヘッドを基板の上に正確に位置決めする一方、基板表面の上に位置する試験ツールの最初の位置決めのときのタッチダウン力を比較的小さくするのに有効である。しかしながら、これらのシステムは、幾つかの欠点を有している。
【0011】
第1の欠点は、これらのシステムのコストが比較的高いことである。空気軸受は、剪断試験ツールのコスト全体のうちの比較的高価な構成要素である。
【0012】
第2の欠点は、試験手順中、負荷の大部分を片持ちアームで支持しなければならないことである。このことは、負荷の高い試験の場合、使用しなければならない片持ちアームが大きく、その結果、重くなる。これにより、センサを最初に位置決めする際のタッチダウン力が大きくなり、それにより、基板表面に損傷を与えることがある。また、この結果、異なる片持ちアーム組立体が異なる負荷試験又は荷重試験に用いられ、コストが更に増大する。
【0013】
第3の欠点は、空気軸受を用いる方法及び圧縮空気作動式ピストンを用いる方法の両方において、片持ちアームをベースプレートに押付けているときに試験ヘッドが側方に動かされ、したがって、試験ヘッドを基板に対して位置決めすることができるのは、試験を行う前であるということにある。空気軸受のオフへの切換え又はベースプレートに対する試験ツールのクランプは、必然的に、試験ヘッドの横方向移動に加えていくらかの垂直方向移動が生じることを意味している。この移動により、特にステップオフ距離が極めて小さい場合、結果として得られる試験の精度が損なわれる場合がある。
【0014】
したがって、本発明の目的は、上述の問題に取り組み又は少なくとも有用な代替手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の観点によれば、結合部と電子基板との間の取付け強度を試験するための剪断試験装置であって、基板が取付けられたX−Yテーブルと、試験ツールと、X−Yテーブルと試験ツールとの間の試験方向の相対移動を行う駆動機構と、ベースプレートと、を有し、試験ツールは、弾性コネクタによってベースプレートに取付けられ、弾性コネクタは、ベースプレートに対する試験ツールの、試験方向と垂直な軸線方向の移動を可能し、更に、ベースプレートに対して剛性的に固定され且つ試験ツールと接触する少なくとも1つの当接部と、ベースプレートに対して剛性的に固定されたクランプ装置と、を有し、クランプ装置は、クランプ装置が試験ツールに押付けられない休止位置と、試験ツールをベースプレートに対して軸線方向の適所に固定された状態に維持するようにクランプ装置が試験ツールに押付けられる作動位置との間を移動可能であり、駆動機構が、剪断試験中、X−Yテーブルと試験ツールとの間の試験方向の相対移動を行って、試験ツールにより結合部を電子基板から剪断させるとき、少なくとも1つの当接部は、追加のクランプ力を試験ツールに付与する、剪断試験装置が提供される。
【0016】
好ましくは、クランプ装置は、作動位置において試験ツールに押付けられる単一の要素を有する。変形例として、クランプ装置は、作動位置において試験ツールに接触する1つ又は2つ以上の要素を有しても良い。
【0017】
好ましくは、クランプ装置が作動位置にあるとき、試験ツールは、クランプ装置と少なくとも1つの当接部の間に保持される。
【0018】
好ましくは、クランプ装置が作動位置にあるとき、クランプ装置は、試験ツールを押圧してそれを第1の当接部及び第2の当接部に接触させる。
【0019】
好ましくは、クランプ装置は、休止位置と作動位置との間を空気圧機構によって移動可能である。
【0020】
好ましくは、少なくとも1つの当接部並びに第1の当接部及び/又は第2の当接部の位置は、試験方向と整列した軸線に平行な軸線に沿って調節可能である。
【0021】
好ましくは、ベースプレートに対する試験ツールの移動を可能にする弾性コネクタは、一対の片持ちアームを含む。
【0022】
好ましくは、剪断試験装置は、更に、ベースプレートに対する試験ツールの軸線方向の移動が検出されたときに信号を発生させるように構成されたセンサと、センサとクランプ装置に接続された制御装置とを有し、制御装置は、センサからの信号に応答してクランプ装置を作動位置に移動させるように構成される。
【0023】
本発明の第2の観点では、本発明の第1の観点としての剪断試験装置を用いて結合部と電子基板との間の取付け部の強度を試験する方法であって、試験ツールを電子基板から軸線方向に所定の距離だけ離れたところに位置決めするステップと、試験ツールと結合部との間の試験方向の相対移動を行い、試験ツールが結合部を基板から剪断させるステップと、結合部が試験ツールに付与する力により、剪断試験装置の少なくとも1つの当接部がクランプ力を試験ツールに付与し、結合部により試験ツールに付与された力を記録するステップと、を有することを特徴とする新規な方法が開示される。
【0024】
好ましくは、試験ツールを位置決めするステップは、試験ツールを基板に向かって軸線方向下方に移動させるステップと、試験ツールと基板の接触を検出するステップと、接触を検出したら、試験ツールの軸線方向の移動を停止させるステップとを含む。好ましくは、この方法は、更に、停止ステップに続いて、試験ツールをクランプ留めして、試験ツールの位置をベースプレートに対して固定するステップを有する。好ましくは、この方法は、更に、クランプ留めステップに続いて、試験ツール及びベースプレートを基板から所定の距離だけ遠ざけるステップを有する。好ましくは、この方法は、更に、記録ステップに続いて、試験ツールをベースプレートに対してクランプ解除するステップを有する。
【0025】
次に、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について詳細に説明するが、これは例示に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による剪断試験装置の概略図である。
【図2】本発明による剪断試験装置の斜視図である。
【図3】本発明による剪断試験装置の断面図である。
【図4】クランプ支持ブロック23を省略した本発明による剪断試験装置の別の斜視図である。
【図5】ツールホルダ200への剪断ツール10の取付け及び歪ゲージ160a〜160dを詳細に示す断面図である。
【図6】光学センサ202の要素及びタッチダウン調節ねじ120の部分断面図である。
【図7】剪断試験装置の一次クランプ用ピストン33及び他の要素の部分断面図である。
【図8】タッチダウンブロック122を詳細に示すためにクランプ支持ブロック23を省略した剪断試験装置の一部を示す斜視図である。
【図9】本発明による装置の制御要素を示す概略図である。
【図10】本発明による装置を用いて剪断試験を実施する際に行なわれる方法ステップを示すフローチャートである。
【図11】歪ゲージ160a〜160dからの信号を検出する回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明による剪断試験装置12の概略図である。剪断試験装置12は、カートリッジ11に取付けられた剪断試験ツール100を有し、カートリッジ11は、それ自体、剪断試験装置12の装置本体に取付けられている。剪断試験ツール100の下に、動力式又は電動式のステージテーブル13が設けられており、試験すべきサンプルがステージテーブル13に取付けられる。図3に示すように、サンプルは、代表的には、はんだの球状堆積物302が形成された基板300であり、はんだの球状堆積物は、基板300内の電子回路(図示せず)に接続されている。
【0028】
図3に最もよく示すように、剪断試験ツール100は、剪断試験ヘッド10を有し、剪断試験ヘッド10は、ツールホルダ200内に固定され、ツールホルダ200は、剪断ビーム本体22内に固定されている。後で詳細に説明するように、剪断試験ヘッド10は、試験用の基板300上の球状堆積物302に剪断力を付与する。剪断試験ツール100は、球状堆積物302を試験用の基板300から剪断したときに剪断試験ヘッド10が受ける剪断力を測定するための歪ゲージ(後で説明する)を有している。
【0029】
剪断試験ツール100は、カートリッジ11内に(後で説明する仕方で)保持され、基板300に対して垂直な方向(以下、これを「Z方向」又は「軸線方向」という)に移動可能である。剪断試験ツール100のZ方向の移動は、カートリッジ11を装置本体12に対して移動させることによって達成される。カートリッジ11は、ボールねじ又はリードねじとナット(図示せず)によって装置本体12に取付けられ、軸線方向駆動機構によって駆動され、かかる軸線方向駆動機構は、例えば、サーボモータ、ステップモータ(図示せず)、又は当該技術において知られている任意その他適当な制御可能な駆動装置ある。これについては、例えば、英国バッキンガムシェア・エールズベリー・ラバンズレーンインダストリアルエリア・ファラデイロード25所在のデーグ・ホールディングズ・リミテッド(Dage Holdings Limited)から入手できるDage 4000 Multipurpose Bond Testerを参照されたい。
【0030】
ステージテーブル13は、試験用の基板300の平面(以下、「X−Y平面」という)に対して平行に移動可能である。これにより、試験手順中、球状堆積物302を試験軸線方向に沿った試験方向に剪断試験ツール100に向かって及びそれを越えるように移動させることを可能にする。ステージテーブル13の移動も、リードねじとナット、ボールねじとナット、又は当該技術においてよく知られている適当なベルト駆動機構、例えば上述のDage 4000 Multipurpose Bond Testerを介してステージテーブル13に結合された適当なサーボモータ又はステップモータを用いて達成される。
【0031】
また、図1は、制御装置を示し、制御装置は、ステージテーブル13の移動を制御する2つのジョイスティック制御部14,15及びキーボード16を有している。ディスプレイ17、試験用の基板300を照明するライト18、及び剪断試験ツール100の正確な位置決めを助ける顕微鏡19も示されている。これら特徴は又、全て、先行技術においてよく知られており、例えば、上述のDage 4000 Multipurpose Bond Testerである。
【0032】
図2を参照すると、カートリッジ11は、バックプレート20を有し、一対の片持ち支持アーム21の一方の端部が、ねじ105を用いてバックプレート20に剛性的に取付けられている。片持ち支持アーム21は、一方の端部の反対側の端部で、剪断試験ツール100を支持している。剪断試験ツール100は、好ましい1つの実施形態では、剪断ビーム本体22を有し、ツールホルダ200が剪断ビーム本体22に取付けられ、剪断試験ヘッド10がツールホルダ200に取付けられている。図4で最もよく理解されるように、剪断ビーム本体22は、割り型クランプを有している。ツールホルダ200を剪断ビーム本体22内に挿入し、次いで、ねじ110を締付けることによって、ツールホルダ200を剪断ビーム本体22内にしっかりとクランプ留めする。ツールホルダ200は、そのシャフトのクランプ部分から突出した合わせピンに嵌合する。合わせピンは、割り型クランプ22の割り部に受入れられ、従って、剪断ビーム本体22に対する剪断試験ツール100の回転方向位置が確保される。
【0033】
剪断試験ヘッド10は、図5で最もよく理解されるように、つまみ付きねじ106によってツールホルダ200に取付けられている。剪断試験ヘッド10は、その前面に平坦部を有し、つまみ付きねじ106は、この平坦部に作用する。つまみ付きねじ106を平坦部に押付けることにより、剪断試験ヘッド10は、ツールホルダ200に対して正しい回転方向位置にある。剪断試験ツール100は、剪断ビーム本体22、ツールホルダ200及び剪断試験ヘッド10から構成され、片持ちアーム21により、剪断試験ツール100を非常に小さい摩擦しかない状態でZ方向に移動させることを可能にする。
【0034】
図2に示す例は、剪断試験ツール100をZ方向に移動させるために一対の片持ちアーム21を用いているが、他の弾性取付け装置、例えば圧縮ばねを用いてもよい。
【0035】
クランプ支持ブロック23がバックプレート20に剛性的に固定されている。クランプ支持ブロック23は、剪断ビーム本体22の周りに延びるフード部分112と、例えばねじ(図示せず)によってバックプレート20に取付けられたバックプレート部分114を有している。クランプ支持ブロック23の一部分116は、剪断ビーム本体22に対してバックプレート20の反対側に位置決めされている。クランプ機構(後で説明する)がその作動位置にない場合、剪断ビーム本体22及びかくして剪断試験ツール100は、クランプ支持ブロック23内で上下に自由に移動可能である。
【0036】
カートリッジ11は、剪断試験ツール100の剪断試験ヘッド10が基板に接触した時点を検出するための光学センサ202を有している。図6に最もよく示すように、光学センサ202は、クランプ支持ブロック23内に支持されている。光学センサ202は、発光部204と受光部206を有している。発光部204は、クランプ支持ブロック23に形成された孔208の中を通る光ビームを発射する。
【0037】
タッチダウン調節ねじ120が、タッチダウンブロック122にねじ込まれている。タッチダウンブロック122は、図8に最もよく示すねじ124によって剪断ビーム本体22に取付けられている。図6を参照すると、タッチダウン調節ねじ120は、スロット130(図6及び図7に示す)の中に突出し、タッチダウン調節ねじを下方にねじ込んでそれをスロット130の底面132に接触させることができ、それにより発光部204から発射された光ビームを遮断し、この光ビームが受光部206によって検出されることを阻止する。
【0038】
このタッチダウン調節ねじ120を下方にねじ込んでそれを底面132に押付けるとき、タッチダウン調節ねじ120は、上向きの力を試験ツール100に付与し、試験ツール100を片持ちアーム21の付勢力に抗して持上げる。剪断試験ツール100がタッチダウン調節ねじ120によって持上げられる距離が長ければ長いほど、タッチダウン調節ねじ120をクランプ支持ブロック23の底面132に押付ける片持ちアーム21の力が大きくなる。
【0039】
剪断試験ツール100を下方に移動させてそれを基板300に接触させるとき、タッチダウン調節ねじ120の下端部は、それが発光部204からの光ビームをもはや遮断しない位置まで底面132から持上げられる。これにより、受光部206は、光ビームを検出し、それにより、剪断試験ツール100が基板300に接触したことを制御システム(後で説明する)に知らせる。
【0040】
タッチダウン調節ねじ120が底面132にほんの僅かしか接触していない場合、タッチダウン調節ねじ120の下端部を底面132から持上げるのに、ほんの僅かなタッチダウン力しか必要とされない。他方、タッチダウン調節ねじ120を下方にねじ込んでそれが大きな力で底面132に接触している場合、タッチダウン調節ねじ120の下端部を上昇させてそれを底面132と接触しないようにするのに、より大きいタッチダウン力が必要とされる。したがって、タッチダウン調節ねじ120をタッチダウンブロック122の中に下方にねじ込んでそれをクランプ支持ブロック23の底面132に接触させる程度により、光学センサ202が剪断試験ツール100と基板300の接触を検出することを可能にするのに必要とされるタッチダウン力の大きさを決定する。
【0041】
光学センサ202は、コンピュータ制御部47(図9を参照して後で説明する)に接続され、コンピュータ制御部47は、カートリッジ11及び剪断試験ツール100のための軸線方向駆動機構を制御し、且つ、X−Yテーブル13の移動を制御する。バックプレート20に対する剪断試験ツール100の上方への移動が、上述したように受光部206による光ビームの検出によって検出されると、軸線方向駆動機構による装置本体12に対するカートリッジ11の下方への更なる移動が停止される。この時点で、試験ツール100を基板300に対して正確に位置決めすることができるように剪断試験ツール100の更なる移動を阻止することが必要である。本発明のシステムは、いったん基板上への剪断試験ツール100のタッチダウン(接触)を検出すると、剪断試験ツール100をカートリッジバックプレート20に対して適所に保持する一次クランプ機構(後で説明する)を使用する。
【0042】
図3に示すように、剪断ビーム本体22は、後側クランプねじ30と前側クランプねじ31との間に位置決めされている。後側クランプねじ30へは、バックプレート20の孔140を通して接近でき、後側クランプねじ30は、クランプ支持ブロック23のバックプレート部分114を貫いてねじ込まれる。前側クランプねじ31は、クランプ支持ブロック23のフード部分112の前部を貫いてねじ込まれる。前側クランプねじ31及び後側クランプねじ30は、セットアップ手順中、剪断ビーム本体22が中立位置にあり且つそれに横方向の力が付加されていないときに調節可能である。中立位置において、前側クランプねじ31及び後側クランプねじ31は、それらがそれぞれ剪断ビーム本体22及びツールホルダ200と極めて軽く接触するまで試験ツール100に向かって内方にねじ込まれ、それにより、片持ちアーム21に支持された剪断試験ツール100をクランプ支持ブロック23に対してZ方向に移動させるとき、摩擦をほとんど又は全く生じさせない。
【0043】
図7に最もよく示すように、クランプ又は一次クランプ用ピストン33が、前側クランプねじ31のちょうど反対側に位置決めされている。クランプ用ピストン33は、クランプ支持ブロック23のバックプレート114に設けられたチャンバ又は孔142の中に位置決めされている。圧縮空気が、図4に示す圧縮空気供給ライン144を通ってチャンバ142内に供給される。いったんチャンバ142内に供給された圧縮空気は、ピストン33にドリル加工された交差ドリル孔146に入る。次いで、空気は、ボア148に入り、そしてピストン33の後から出て、バックプレート20内に形成されているバックチャンバ150を加圧する。バックチャンバ150は、Oリング152によってシールされ、その結果、チャンバ142,150内に取込まれた加圧空気は、ピストン33を図7の左方に押して、ピストン33を剪断ビーム本体22に押付ける。加圧空気を取除くと、ピストン33は、バックプレート14の孔140内を自由に移動可能であるので、ピストン33が剪断ビーム本体22に付与する力はない。
【0044】
かくして、ピストン33は、剪断ビーム本体22をクランプ留めする大きい力を剪断ビーム本体22に付与しない休止位置と、剪断ビーム本体22をクランプ留めする大きい力を剪断ビーム本体22に付与し、それにより試験ツール100をピストン33と前側クランプねじ31との間にクランプ留めする作動位置との間を移動するように作動可能である。クランプ用ピストン33は、その作動位置にあるとき、剪断ビーム本体22及び剪断ツール100をクランプ支持ブロック23及びバックプレート20に対する固定位置に保持する。これにより、Z方向の任意の移動を阻止し、その結果、片持ちアーム21即ち剪断ツール100の上での更なる移動は不可能である。クランプ用ピストンについて他の考えられる作動機構が存在する。クランプ用ビストンは、例えば、ソレノイド又はサーボモータによって作動されてもよい。
【0045】
上述したように剪断ツール100の試験ヘッド10が下降して試験用の基板300に触れたことを受光部206による光ビームの検出によって判定したときだけ、クランプ用ピストン33は、作動位置に移動させられ、それにより、剪断ビーム本体22及び剪断試験ツール100の位置を固定する。クランプ用ピストン33は、球状堆積物302を剪断ツール100と係合させるように移動させるときに剪断ツール100が移動することを阻止する最初のクランプ機構を剪断試験ツール100に対して構成するので、クランプ用ピストン33を一次クランプ機構と呼ぶことができる。しかしながら、以下に更に説明するように、剪断試験中に剪断ツール100に作用する剪断力は、剪断ツール100に作用するクランプ力を大きくする。
【0046】
剪断ツール100は、タングステンカーバイド又はそれと同様の硬質で靱性のある材料から作られたクランプパッド35を有し、クランプパッド35は、前側クランプねじ31、後側クランプねじ30、及びクランプ用ピストン33に対向するように位置決めされていることに注目すべきである。これにより、剪断試験ツール100と前側クランプねじ31、後側クランプねじ30及びクランプ用ピストン33の良好な接触を確保し、最小の摩耗しか生じず、システムは良好な再現性及び長い寿命を有する。同様に、前側クランプねじ31及び後側クランプねじ30は、硬化鋼で作られた接触面を有する。クランプ用ピストン33の接触面は、円滑な作動を確保するために真鍮又はそれと類似した材料から作られ、硬化されていない。
【0047】
いったんクランプ用ピストン33が剪断試験ツール100をバックプレート20に対して移動できないようにしたら、剪断試験を実施する前に、カートリッジ11を所定のステップオフ距離だけ基板からZ方向に遠ざける。この手順は、この種の剪断試験ツールにおける標準であり、国際公開第2005/114722号パンフレット(特許文献3)に詳細に説明されている。
【0048】
剪断試験中、試験用の物体は、試験方向の剪断力を剪断ツール100の試験ツールヘッド10に付与し、かかる試験方向は、試験用の物体と剪断試験ツール100の剪断ツールヘッド10との間の相対移動方向である。図3において、試験方向を矢印36で示す。剪断試験ツール100の試験ツールヘッド10に付与された剪断力は、剪断試験ツール100を前側クランプねじ31及び後側クランプねじ30に押付ける。それにより、剪断力の負荷は、片持ちアーム21を介してではなく、クランプねじ30,31を介してバックプレート20に伝達される。剪断力が大きければ大きいほど、クランプねじ30,31に付与される剪断力が大きくなる。この構成により、剪断試験中に片持ちアーム21が受ける負荷を減少させる。かくして、剪断試験中、一次クランプ用ピストン33が、剪断ツール100を適所に最初にクランプ留めすると共に、剪断力自体が、試験ツール100に作用するクランプ力を大きくする。
【0049】
先行技術のカートリッジ組立体では、片持ちアーム21は、試験中に受ける剪断力の大部分に耐えなければならなかった。このため、大きい試験負荷で剪断試験を実施するとき、頑丈で重厚な片持ちアームを必要としていた。片持ちアームが重厚であればあるほど、剪断試験の前のタッチダウン手順中に剪断試験ツール100が基板300に及ぼすタッチダウン力が大きくなる。しかしながら、本発明のクランプねじ装置であれば、片持ちアーム21の負荷は最小であり、その結果、片持ちアームを比較的軽量に作ることができる。
【0050】
図9は、本発明による装置の制御要素の概略図である。本発明における移動部品は、Z軸用モータ及びエンコーダ41として示す軸線方向駆動機構、X−Y平面内におけるステージテーブル13の移動を生じさせるモータ42、及び図示の実施形態では空気圧ピストンであるクランプ用ピストン43である。これら装置の各々は、専用の移動制御電子機器44によって制御され、移動制御電子機器は、パーソナルコンピュータ(PC)45に接続されている。PC45はまた、基板300上の剪断試験ツール100のタッチダウンを指示する信号を光学センサ202から受取る。光学センサ202は、ボックス46として図示され、この光学センサ202も、タッチダウン電子機器47と呼ばれる専用のコントローラを有している。移動制御電子機器44とタッチダウン電子機器47との間には、直接的な接続がある。これにより、素早い信号応答を可能にし、軸線方向駆動機構が可能な限り最も早い時間で停止することを確保し、余分な移動及びそれと関連した「重い」タッチダウンを阻止する。
【0051】
図10は、本発明による装置を用いて断試験をセットアップしてそれを実施する際に行うステップを示す。第1のステップ505において、カートリッジ20及び剪断試験ツール100を下方に移動させ、剪断試験ヘッド10を基板300に接触させる。ステップ510において、上述したように受光部206による光ビームの検出によって、基板300の表面上への剪断試験ヘッド10のタッチダウンを検出する。タッチダウンを検出したら、ステップ515において、剪断カートリッジ11を基板300に向かって移動させるZ軸用モータの作動を停止させる。ステップ520において、圧縮空気をチャンバ142,150に供給して、一次クランプ用ピストン33をその作動位置に移動させ、それを剪断ビーム本体22に強制的に接触させ、剪断試験ツール100をバックプレート20に対して移動できないようにする。ステップ525において、剪断試験に備えて、カートリッジを基板から所定のステップオフ距離だけ遠ざける。ステップ530において、テーブル13及びそれに取付けられている基板300を移動させることによって、剪断試験を開始すると、基板300上の球状堆積物302が試験ツールヘッド10に接触し、球状堆積物302が基板300から剪断される。
【0052】
剪断試験中、ステップ535において、試験ヘッド10が球状堆積物302を基板300から剪断しているときに荷重又は力を剪断試験ヘッド10に付与する。この剪断力は、好ましくは、歪ゲージによってピックアップされる。図5に最もよく示すように、好ましい1つの実施形態では、4つの歪ゲージ160a,160b,160c,160dがツールホルダ200に結合されている。カバー165が歪ゲージ160a〜160dを保護する。歪ゲージ160a,160bは、剪断試験中に基板300から剪断される球状堆積物302に面するツールホルダ200の前側に位置している。歪ゲージ160c,160cは、ツールホルダ200の反対側、すなわち、後側に位置している。
【0053】
歪ゲージ160a〜160dは、ワイヤ(図示せず)によって電気回路、例えば図11に概略的に示す全波ブリッジ回路120に接続されている。既知のように、全波ブリッジ回路は、歪ゲージ160a〜160dの歪により生じた電気信号を力測定値に変換し、かかる力測定値は、球状堆積物302を基板300から剪断するのに必要とされる力を指示する。
【0054】
変形例として、上述した国際公開第2007/093799(A1)号パンフレット(特許文献1)において説明されているように、剪断ツールに取付けられた圧電結晶によって剪断力を検出してもよい。ステップ540において示すように、球状堆積物302を剪断ツール100に対して移動させているときにいずれかの力検出技術を用いると、前側クランプねじ31及び後側クランプねじ30は、上述したように、剪断ツール100に加わる剪断作用を一段と促進する。
【0055】
ステップ545において、剪断試験を終了し、剪断試験ツール100を基板300から遠ざけ、ステップ550において、開始位置に戻す。ステップ555において、チャンバ142,150から空気圧を取除くことにより、クランプ用ピストン33を作動停止させ、ピストン33がその休止位置を取る。これにより、剪断試験ツール100を片持ちアーム21で支持した状態で駆動機構によってZ軸線方向に移動させることができる。ステップ560において、同一の方法ステップをステップ565で示すように再び実施することにより、繰返してもよい。
【0056】
かくして、本発明によるシステムにより、剪断ツール100は、試験用の基板に比較的小さく且つ調節可能なタッチダウン力でタッチダウンすることを可能にする。この小さいタッチダウン力は、上述した理由で必要とされる片持ちアーム21の比較的小さい質量による。また、このシステムにより、試験ツール100をカートリッジ11に対して固定することができ、その結果、試験ツール100の垂直方向位置を正確に制御することを可能にする。これは、正確且つ再現可能な剪断試験にとって重要である。剪断試験ツール100が受ける剪断負荷は、片持ちアームを介してではなく、上述のクランプ装置を介してバックプレート20に伝達されるので、異なる荷重試験について異なるカートリッジ組立体を備えておく必要はない。
【0057】
〔本発明の好ましい観点を記載した実施形態〕
1.結合部と電子基板との間の取付け強度を試験するための剪断試験装置であって、前記基板が取付けられたX−Yテーブルと、試験ツールと、前記X−Yテーブルと前記試験ツールとの間の試験方向の相対移動を行う駆動機構と、ベースプレートと、を有し、前記試験ツールは、弾性コネクタによって前記ベースプレートに取付けられ、前記弾性コネクタは、前記ベースプレートに対する前記試験ツールの、前記試験方向と垂直な軸線方向の移動を可能し、更に、前記ベースプレートに対して剛性的に固定され且つ前記試験ツールと接触する少なくとも1つの当接部と、前記ベースプレートに対して剛性的に固定されたクランプ装置と、を有し、前記クランプ装置は、前記クランプ装置が前記試験ツールに押付けられない休止位置と、前記試験ツールを前記ベースプレートに対して前記軸線方向の適所に固定された状態に維持するように前記クランプ装置が前記試験ツールに押付けられる作動位置との間を移動可能であり、前記駆動機構が、剪断試験中、前記X−Yテーブルと前記試験ツールとの間の前記試験方向の相対移動を行って、前記試験ツールにより前記結合部を前記電子基板から剪断させるとき、前記少なくとも1つの当接部は、追加のクランプ力を前記試験ツールに付与する、剪断試験装置。
【0058】
2.前記クランプ装置は、前記作動位置において前記試験ツールに押付けられる単一の要素を有する、実施形態1に記載の剪断試験装置。
3.前記クランプ装置が前記作動位置にあるとき、前記試験ツールは、前記クランプ装置と前記少なくとも1つの当接部の間に保持される、実施形態又は2に記載の剪断試験装置。
4.前記少なくとも1つの当接部は、前記ベースプレートに対して適所に剛性的に固定された第1の当接部及び第2の当接部を含む、実施形態1〜3のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
5.前記第1の当接部と前記第2の当接部は、前記軸線方向において互いに間隔を置いた関係をなして位置決めされる、実施形態4に記載の剪断試験装置。
【0059】
6.前記第1の当接部と前記第2の当接部は、前記試験ツールの互いに反対側に配置される、実施形態項4又は5に記載の剪断試験装置。
7.前記剪断試験中、前記駆動機構が前記X−Yテーブルと前記試験ツールとの間の前記試験方向の相対移動を行い、前記試験ツールにより前記結合部を前記基板から剪断させるとき、前記第1の当接部及び前記第2の当接部は、追加のクランプ力を前記試験ツールに付与する、実施形態4〜6のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
8.前記駆動機構は、試験方向軸線に沿った試験方向の前記相対移動を行い、前記第1の当接部及び/又は前記第2の当接部の位置は、前記試験方向軸線と平行な1又は2以上の軸線に沿って調節可能である、実施形態4〜7のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
9.前記クランプ装置は、前記休止位置と前記作動位置との間を空気圧機構によって移動可能である、実施形態1〜8のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
【0060】
10.前記クランプ装置は、空気圧作動式ピストンである、実施形態9に記載の剪断試験装置。
11.前記弾性コネクタは、一対の片持ちアームを有し、その一方の端部が前記ベースプレートに固定され、その一方の側の反対側の端部が前記試験ツールを支持する、実施形態1〜10のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
12.前記剪断試験装置は、更に、前記ベースプレートに対する前記試験ツールの前記軸線方向の移動が検出されたときに信号を発生させるように構成されたセンサと、前記センサと前記クランプ装置に接続された制御装置とを有し、前記制御装置は、前記センサからの信号に応答して前記クランプ装置を前記作動位置に移動させるように構成される、実施形態1〜11のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
13.前記試験ツールは、前記ベースプレートに対して適所に固定されたクランプ支持ブロック内に受入れられる、実施形態1〜12のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
14.前記少なくとも1つの当接部は、前記クランプ支持ブロックに取付けられ、前記クランプ装置は、前記クランプ支持ブロック内に配置される、実施形態13に記載の剪断試験装置。
【0061】
15.前記クランプ装置は、前記クランプ支持ブロック内に配置された空気圧作動式ピストンである、実施形態13又は14に記載の剪断試験装置。
16.前記剪断試験ツールは、剪断ビーム本体に取付けられたツールホルダ及び前記ツールホルダに固定された試験ヘッドを有する、実施形態1〜15のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
17.更に、前記試験ツールに取付けられたタッチダウンブロックと、前記タッチダウンブロックにねじ込まれたタッチダウンねじと、発光部と、受光部と、を有し、前記タッチダウンねじの端部は、前記発光部と前記受光部との間に位置決めされ、前記試験ツールは、前記ベースプレートに対して適所に固定されたクランプ支持ブロック内に受入れられ、前記発光部と前記受光部は、前記タッチダウンねじの互いに反対側で前記クランプ支持ブロック内に配置される、実施形態1〜16のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
18.前記試験ツールは、前記ベースプレートに対して適所に固定されたクランプ支持ブロック内に受入れられ、前記発光体と前記受光体は、前記タッチダウンねじの互いに反対側で前記クランプ支持ブロック内に設けられる、実施形態17に記載の剪断試験装置。
19.前記結合部は、前記基板に結合されたはんだの球状堆積物である、実施形態1〜18のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
【0062】
20.実施形態1〜19のいずれか1項に記載の剪断試験装置を用いて結合部と電子基板との間の取付け強度を試験する方法であって、前記試験ツールを前記基板から軸線方向に所定の距離だけ離れたところに位置決めするステップと、前記試験ツールと前記結合部の間の試験方向の相対移動を行い、前記試験ツールにより、前記結合部を前記基板から剪断させるステップと、前記結合部が前記試験ツールに付与する力により、前記剪断試験装置の前記少なくとも1つの当接部がクランプ力を前記試験ツールに付与し、前記結合部により、前記試験ツールに付与された力を記録するステップを有する、方法。
【0063】
21.前記試験ツールを位置決めする前記ステップは、前記試験ツールを前記基板に向かって前記軸線方向に移動させるステップと、前記試験ツールと前記基板の接触を検出するステップと、前記接触が検出されると、前記試験ツールの前記軸線方向の移動を停止させるステップと、を含む実施形態20に記載の方法。
22.更に、前記停止ステップに続いて、前記試験ツールをクランプ留めして、前記試験ツールの位置を前記ベースプレートに対して固定するステップを有する、実施形態21に記載の方法。
23.更に、前記クランプ留めステップに続いて、前記試験ツール及び前記ベースプレートを前記基板から所定の距離だけ遠ざけるステップを有する、実施形態22に記載の方法。
24.更に、前記記録ステップに続いて、前記試験ツールを前記ベースプレートに対してクランプ解除するステップを有する、実施形態22又は23に記載の方法。
【符号の説明】
【0064】
10 試験ヘッド
11 カートリッジ
12 剪断試験装置
13 ステージデーブル(X−Yテーブル)
20 バックプレート(ベースプレート)
21 片持ち支持アーム(弾性コネクタ)
23 クランプ支持ブロック
30 後側クランプねじ(当接部)
31 前側クランプねじ(当接部)
33 クランプ用ピストン(クランプ装置;単一の要素)
36 試験方向
43 一次クランプ用ピストン(クランプ装置)
44 タッチダウン用電子機器
46 タッチダウンセンサ(センサ)
47 移動制御用電子機器
100 剪断試験ツール(試験ツール)
120 タッチダウン調節ねじ(タッチダウンねじ)
122 タッチダウンブロック
202 光学センサ(センサ)
204 発光部
206 受光部
300 基板(電子基板)
302 球状堆積物(結合部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、剪断試験ツールに関する。特に、本発明は、セットアップ手順中における取付けプレートに対する剪断試験ツールの移動を可能にするが、剪断試験手順中、剪断試験ツールを取付けプレートに対して適所に維持する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは、非常に小さく、典型的には5〜50平方mmであり、かかる半導体デバイスは、典型的には、半導体基板への電気導体の結合のための多くの場所を有している。各結合部は、基板に結合されたはんだ又は金の球状堆積物を含む。結合部と基板の取付け強度(結合部強度と呼ばれる)を試験することが必要であり、その目的は、結合方法が適切であり且つ結合部強度が十分であるという確信を持つことにある。結合部の寸法が非常に小さいので、結合部強度を試験するために用いられるツールは、非常に正確に位置決めされると共に非常に小さな力及び撓みを測定することができなければならない。
【0003】
国際公開第2007/093799号パンフレット(特許文献1)に記載されている既知の試験装置は、結合部に係合する試験ツールを有している。試験ツールは、結合部を半導体基板から剪断するために用いられ、結合部を剪断するために必要とされる力が記録される。この力を記録するために、力変換器が試験ツールに組込まれている。
【0004】
再現性を保証するために、試験ツールの先端部が基板の表面から所定の高さのところの位置で結合部の側部に係合することが必要不可欠である。この距離は、僅かではあるが重要である。その理由は、結合部は、通常、ドームの形をしているからである。表面からの所定の離隔距離により、試験ツールから基板に付与される滑り摩擦力がなくなると共に剪断荷重が結合部インターフェースに対して正確な箇所に付与される。したがって、実際には、最初に試験ツールを移動させてそれを基板表面に接触させ、次いで、試験ツールを所定の距離、典型的には0.05mm以下の距離だけ引込め、その後、剪断試験を実施する。
【0005】
幾つかの問題がある。装置それ自体の機構中の動摩擦及び静摩擦により、基板表面との接触を検出する際に問題が生じる場合がある。表面の検出が不正確であれば、試験ツールを引込める距離及びかくして結合部を剪断する高さに影響を及ぼすことが避けられない。かかる距離は、非常に小さく、したがって、基板を圧縮することなしに表面への接触時点を正確に検出することに注意を払う必要がある。また、剪断試験の前に又はその間、試験高さにおける試験ツールの制御されない移動を防止することに注意を払う必要がある。かかる移動は、試験結果の精度に深刻な影響を及ぼすことがあり、試験高さにおける試験ツールの著しい移動により、隣接した結合部又はワイヤに損傷を与えることがある。
【0006】
基板の表面を検出するときの小さい接触力と試験高さの正確な制御の両方の課題を解決することは困難である。
【0007】
米国特許第6,078,387号明細書(特許文献2)は、試験ツールの試験ヘッドと基板の接触を検出するための装置を開示し、かかる装置は、接触を検出したときに試験ヘッドの下方移動を即座に停止させるように構成されている。試験ツールは、一対の片持ちアームの自由端部に支持され、片持ちアームは、その反対側の端部でベースプレートに固着され、片持ちアームが撓むことにより、ベースプレートに対する試験ヘッドのいくらかの垂直方向移動を可能にする。剪断試験中における試験ヘッドの垂直方向移動を阻止するために、試験ツールは、片持ちアームによってベースプレートに対して弾性的に付勢される。試験ヘッドを空気軸受によってベースプレートから遠ざかるように移動することができ、それにより、試験ヘッドが、最初の接触の検出のために実質的に摩擦なしで垂直方向に移動することを可能にする。かくして、試験ヘッドが基板表面に最初に触れるとき、片持ちアームに支持された試験ヘッドは、基板表面によって押し戻される。ベースプレートに対する試験ヘッドの移動又は片持ちアームの移動を、光学検出器によって検出し、次いで、空気軸受をオフに切換え、ベースプレートに対する片持ちアームの弾性的な付勢によって、試験ヘッドがベースプレートに対して固定されることを確保する。いったん試験ヘッドをベースプレートに対して固定したら、ベースプレートを所定の量だけ持上げ、試験ツールの下端部と基板との間に所望の「ステップオフ距離(step off distance)」の隙間を残す。
【0008】
別のシステムでは、片持ちアームにより、試験ツールをベースプレートから遠ざかるように付勢し、最初の位置決め間、ベースプレートに対する試験ヘッドの実質的に摩擦なしの移動を可能にし、次いで、圧縮空気によって駆動されるピストンを用いて、試験ツールをベースプレートに接触させるように押し、それにより、試験手順の間、ベースプレートに押付けるように試験ツールに作用するクランプ力を生じさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2007/093799号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6,078,387号明細書
【特許文献3】国際公開第2005/114722号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これら両方のシステムは、試験ヘッドを基板の上に正確に位置決めする一方、基板表面の上に位置する試験ツールの最初の位置決めのときのタッチダウン力を比較的小さくするのに有効である。しかしながら、これらのシステムは、幾つかの欠点を有している。
【0011】
第1の欠点は、これらのシステムのコストが比較的高いことである。空気軸受は、剪断試験ツールのコスト全体のうちの比較的高価な構成要素である。
【0012】
第2の欠点は、試験手順中、負荷の大部分を片持ちアームで支持しなければならないことである。このことは、負荷の高い試験の場合、使用しなければならない片持ちアームが大きく、その結果、重くなる。これにより、センサを最初に位置決めする際のタッチダウン力が大きくなり、それにより、基板表面に損傷を与えることがある。また、この結果、異なる片持ちアーム組立体が異なる負荷試験又は荷重試験に用いられ、コストが更に増大する。
【0013】
第3の欠点は、空気軸受を用いる方法及び圧縮空気作動式ピストンを用いる方法の両方において、片持ちアームをベースプレートに押付けているときに試験ヘッドが側方に動かされ、したがって、試験ヘッドを基板に対して位置決めすることができるのは、試験を行う前であるということにある。空気軸受のオフへの切換え又はベースプレートに対する試験ツールのクランプは、必然的に、試験ヘッドの横方向移動に加えていくらかの垂直方向移動が生じることを意味している。この移動により、特にステップオフ距離が極めて小さい場合、結果として得られる試験の精度が損なわれる場合がある。
【0014】
したがって、本発明の目的は、上述の問題に取り組み又は少なくとも有用な代替手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の観点によれば、結合部と電子基板との間の取付け強度を試験するための剪断試験装置であって、基板が取付けられたX−Yテーブルと、試験ツールと、X−Yテーブルと試験ツールとの間の試験方向の相対移動を行う駆動機構と、ベースプレートと、を有し、試験ツールは、弾性コネクタによってベースプレートに取付けられ、弾性コネクタは、ベースプレートに対する試験ツールの、試験方向と垂直な軸線方向の移動を可能し、更に、ベースプレートに対して剛性的に固定され且つ試験ツールと接触する少なくとも1つの当接部と、ベースプレートに対して剛性的に固定されたクランプ装置と、を有し、クランプ装置は、クランプ装置が試験ツールに押付けられない休止位置と、試験ツールをベースプレートに対して軸線方向の適所に固定された状態に維持するようにクランプ装置が試験ツールに押付けられる作動位置との間を移動可能であり、駆動機構が、剪断試験中、X−Yテーブルと試験ツールとの間の試験方向の相対移動を行って、試験ツールにより結合部を電子基板から剪断させるとき、少なくとも1つの当接部は、追加のクランプ力を試験ツールに付与する、剪断試験装置が提供される。
【0016】
好ましくは、クランプ装置は、作動位置において試験ツールに押付けられる単一の要素を有する。変形例として、クランプ装置は、作動位置において試験ツールに接触する1つ又は2つ以上の要素を有しても良い。
【0017】
好ましくは、クランプ装置が作動位置にあるとき、試験ツールは、クランプ装置と少なくとも1つの当接部の間に保持される。
【0018】
好ましくは、クランプ装置が作動位置にあるとき、クランプ装置は、試験ツールを押圧してそれを第1の当接部及び第2の当接部に接触させる。
【0019】
好ましくは、クランプ装置は、休止位置と作動位置との間を空気圧機構によって移動可能である。
【0020】
好ましくは、少なくとも1つの当接部並びに第1の当接部及び/又は第2の当接部の位置は、試験方向と整列した軸線に平行な軸線に沿って調節可能である。
【0021】
好ましくは、ベースプレートに対する試験ツールの移動を可能にする弾性コネクタは、一対の片持ちアームを含む。
【0022】
好ましくは、剪断試験装置は、更に、ベースプレートに対する試験ツールの軸線方向の移動が検出されたときに信号を発生させるように構成されたセンサと、センサとクランプ装置に接続された制御装置とを有し、制御装置は、センサからの信号に応答してクランプ装置を作動位置に移動させるように構成される。
【0023】
本発明の第2の観点では、本発明の第1の観点としての剪断試験装置を用いて結合部と電子基板との間の取付け部の強度を試験する方法であって、試験ツールを電子基板から軸線方向に所定の距離だけ離れたところに位置決めするステップと、試験ツールと結合部との間の試験方向の相対移動を行い、試験ツールが結合部を基板から剪断させるステップと、結合部が試験ツールに付与する力により、剪断試験装置の少なくとも1つの当接部がクランプ力を試験ツールに付与し、結合部により試験ツールに付与された力を記録するステップと、を有することを特徴とする新規な方法が開示される。
【0024】
好ましくは、試験ツールを位置決めするステップは、試験ツールを基板に向かって軸線方向下方に移動させるステップと、試験ツールと基板の接触を検出するステップと、接触を検出したら、試験ツールの軸線方向の移動を停止させるステップとを含む。好ましくは、この方法は、更に、停止ステップに続いて、試験ツールをクランプ留めして、試験ツールの位置をベースプレートに対して固定するステップを有する。好ましくは、この方法は、更に、クランプ留めステップに続いて、試験ツール及びベースプレートを基板から所定の距離だけ遠ざけるステップを有する。好ましくは、この方法は、更に、記録ステップに続いて、試験ツールをベースプレートに対してクランプ解除するステップを有する。
【0025】
次に、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について詳細に説明するが、これは例示に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による剪断試験装置の概略図である。
【図2】本発明による剪断試験装置の斜視図である。
【図3】本発明による剪断試験装置の断面図である。
【図4】クランプ支持ブロック23を省略した本発明による剪断試験装置の別の斜視図である。
【図5】ツールホルダ200への剪断ツール10の取付け及び歪ゲージ160a〜160dを詳細に示す断面図である。
【図6】光学センサ202の要素及びタッチダウン調節ねじ120の部分断面図である。
【図7】剪断試験装置の一次クランプ用ピストン33及び他の要素の部分断面図である。
【図8】タッチダウンブロック122を詳細に示すためにクランプ支持ブロック23を省略した剪断試験装置の一部を示す斜視図である。
【図9】本発明による装置の制御要素を示す概略図である。
【図10】本発明による装置を用いて剪断試験を実施する際に行なわれる方法ステップを示すフローチャートである。
【図11】歪ゲージ160a〜160dからの信号を検出する回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明による剪断試験装置12の概略図である。剪断試験装置12は、カートリッジ11に取付けられた剪断試験ツール100を有し、カートリッジ11は、それ自体、剪断試験装置12の装置本体に取付けられている。剪断試験ツール100の下に、動力式又は電動式のステージテーブル13が設けられており、試験すべきサンプルがステージテーブル13に取付けられる。図3に示すように、サンプルは、代表的には、はんだの球状堆積物302が形成された基板300であり、はんだの球状堆積物は、基板300内の電子回路(図示せず)に接続されている。
【0028】
図3に最もよく示すように、剪断試験ツール100は、剪断試験ヘッド10を有し、剪断試験ヘッド10は、ツールホルダ200内に固定され、ツールホルダ200は、剪断ビーム本体22内に固定されている。後で詳細に説明するように、剪断試験ヘッド10は、試験用の基板300上の球状堆積物302に剪断力を付与する。剪断試験ツール100は、球状堆積物302を試験用の基板300から剪断したときに剪断試験ヘッド10が受ける剪断力を測定するための歪ゲージ(後で説明する)を有している。
【0029】
剪断試験ツール100は、カートリッジ11内に(後で説明する仕方で)保持され、基板300に対して垂直な方向(以下、これを「Z方向」又は「軸線方向」という)に移動可能である。剪断試験ツール100のZ方向の移動は、カートリッジ11を装置本体12に対して移動させることによって達成される。カートリッジ11は、ボールねじ又はリードねじとナット(図示せず)によって装置本体12に取付けられ、軸線方向駆動機構によって駆動され、かかる軸線方向駆動機構は、例えば、サーボモータ、ステップモータ(図示せず)、又は当該技術において知られている任意その他適当な制御可能な駆動装置ある。これについては、例えば、英国バッキンガムシェア・エールズベリー・ラバンズレーンインダストリアルエリア・ファラデイロード25所在のデーグ・ホールディングズ・リミテッド(Dage Holdings Limited)から入手できるDage 4000 Multipurpose Bond Testerを参照されたい。
【0030】
ステージテーブル13は、試験用の基板300の平面(以下、「X−Y平面」という)に対して平行に移動可能である。これにより、試験手順中、球状堆積物302を試験軸線方向に沿った試験方向に剪断試験ツール100に向かって及びそれを越えるように移動させることを可能にする。ステージテーブル13の移動も、リードねじとナット、ボールねじとナット、又は当該技術においてよく知られている適当なベルト駆動機構、例えば上述のDage 4000 Multipurpose Bond Testerを介してステージテーブル13に結合された適当なサーボモータ又はステップモータを用いて達成される。
【0031】
また、図1は、制御装置を示し、制御装置は、ステージテーブル13の移動を制御する2つのジョイスティック制御部14,15及びキーボード16を有している。ディスプレイ17、試験用の基板300を照明するライト18、及び剪断試験ツール100の正確な位置決めを助ける顕微鏡19も示されている。これら特徴は又、全て、先行技術においてよく知られており、例えば、上述のDage 4000 Multipurpose Bond Testerである。
【0032】
図2を参照すると、カートリッジ11は、バックプレート20を有し、一対の片持ち支持アーム21の一方の端部が、ねじ105を用いてバックプレート20に剛性的に取付けられている。片持ち支持アーム21は、一方の端部の反対側の端部で、剪断試験ツール100を支持している。剪断試験ツール100は、好ましい1つの実施形態では、剪断ビーム本体22を有し、ツールホルダ200が剪断ビーム本体22に取付けられ、剪断試験ヘッド10がツールホルダ200に取付けられている。図4で最もよく理解されるように、剪断ビーム本体22は、割り型クランプを有している。ツールホルダ200を剪断ビーム本体22内に挿入し、次いで、ねじ110を締付けることによって、ツールホルダ200を剪断ビーム本体22内にしっかりとクランプ留めする。ツールホルダ200は、そのシャフトのクランプ部分から突出した合わせピンに嵌合する。合わせピンは、割り型クランプ22の割り部に受入れられ、従って、剪断ビーム本体22に対する剪断試験ツール100の回転方向位置が確保される。
【0033】
剪断試験ヘッド10は、図5で最もよく理解されるように、つまみ付きねじ106によってツールホルダ200に取付けられている。剪断試験ヘッド10は、その前面に平坦部を有し、つまみ付きねじ106は、この平坦部に作用する。つまみ付きねじ106を平坦部に押付けることにより、剪断試験ヘッド10は、ツールホルダ200に対して正しい回転方向位置にある。剪断試験ツール100は、剪断ビーム本体22、ツールホルダ200及び剪断試験ヘッド10から構成され、片持ちアーム21により、剪断試験ツール100を非常に小さい摩擦しかない状態でZ方向に移動させることを可能にする。
【0034】
図2に示す例は、剪断試験ツール100をZ方向に移動させるために一対の片持ちアーム21を用いているが、他の弾性取付け装置、例えば圧縮ばねを用いてもよい。
【0035】
クランプ支持ブロック23がバックプレート20に剛性的に固定されている。クランプ支持ブロック23は、剪断ビーム本体22の周りに延びるフード部分112と、例えばねじ(図示せず)によってバックプレート20に取付けられたバックプレート部分114を有している。クランプ支持ブロック23の一部分116は、剪断ビーム本体22に対してバックプレート20の反対側に位置決めされている。クランプ機構(後で説明する)がその作動位置にない場合、剪断ビーム本体22及びかくして剪断試験ツール100は、クランプ支持ブロック23内で上下に自由に移動可能である。
【0036】
カートリッジ11は、剪断試験ツール100の剪断試験ヘッド10が基板に接触した時点を検出するための光学センサ202を有している。図6に最もよく示すように、光学センサ202は、クランプ支持ブロック23内に支持されている。光学センサ202は、発光部204と受光部206を有している。発光部204は、クランプ支持ブロック23に形成された孔208の中を通る光ビームを発射する。
【0037】
タッチダウン調節ねじ120が、タッチダウンブロック122にねじ込まれている。タッチダウンブロック122は、図8に最もよく示すねじ124によって剪断ビーム本体22に取付けられている。図6を参照すると、タッチダウン調節ねじ120は、スロット130(図6及び図7に示す)の中に突出し、タッチダウン調節ねじを下方にねじ込んでそれをスロット130の底面132に接触させることができ、それにより発光部204から発射された光ビームを遮断し、この光ビームが受光部206によって検出されることを阻止する。
【0038】
このタッチダウン調節ねじ120を下方にねじ込んでそれを底面132に押付けるとき、タッチダウン調節ねじ120は、上向きの力を試験ツール100に付与し、試験ツール100を片持ちアーム21の付勢力に抗して持上げる。剪断試験ツール100がタッチダウン調節ねじ120によって持上げられる距離が長ければ長いほど、タッチダウン調節ねじ120をクランプ支持ブロック23の底面132に押付ける片持ちアーム21の力が大きくなる。
【0039】
剪断試験ツール100を下方に移動させてそれを基板300に接触させるとき、タッチダウン調節ねじ120の下端部は、それが発光部204からの光ビームをもはや遮断しない位置まで底面132から持上げられる。これにより、受光部206は、光ビームを検出し、それにより、剪断試験ツール100が基板300に接触したことを制御システム(後で説明する)に知らせる。
【0040】
タッチダウン調節ねじ120が底面132にほんの僅かしか接触していない場合、タッチダウン調節ねじ120の下端部を底面132から持上げるのに、ほんの僅かなタッチダウン力しか必要とされない。他方、タッチダウン調節ねじ120を下方にねじ込んでそれが大きな力で底面132に接触している場合、タッチダウン調節ねじ120の下端部を上昇させてそれを底面132と接触しないようにするのに、より大きいタッチダウン力が必要とされる。したがって、タッチダウン調節ねじ120をタッチダウンブロック122の中に下方にねじ込んでそれをクランプ支持ブロック23の底面132に接触させる程度により、光学センサ202が剪断試験ツール100と基板300の接触を検出することを可能にするのに必要とされるタッチダウン力の大きさを決定する。
【0041】
光学センサ202は、コンピュータ制御部47(図9を参照して後で説明する)に接続され、コンピュータ制御部47は、カートリッジ11及び剪断試験ツール100のための軸線方向駆動機構を制御し、且つ、X−Yテーブル13の移動を制御する。バックプレート20に対する剪断試験ツール100の上方への移動が、上述したように受光部206による光ビームの検出によって検出されると、軸線方向駆動機構による装置本体12に対するカートリッジ11の下方への更なる移動が停止される。この時点で、試験ツール100を基板300に対して正確に位置決めすることができるように剪断試験ツール100の更なる移動を阻止することが必要である。本発明のシステムは、いったん基板上への剪断試験ツール100のタッチダウン(接触)を検出すると、剪断試験ツール100をカートリッジバックプレート20に対して適所に保持する一次クランプ機構(後で説明する)を使用する。
【0042】
図3に示すように、剪断ビーム本体22は、後側クランプねじ30と前側クランプねじ31との間に位置決めされている。後側クランプねじ30へは、バックプレート20の孔140を通して接近でき、後側クランプねじ30は、クランプ支持ブロック23のバックプレート部分114を貫いてねじ込まれる。前側クランプねじ31は、クランプ支持ブロック23のフード部分112の前部を貫いてねじ込まれる。前側クランプねじ31及び後側クランプねじ30は、セットアップ手順中、剪断ビーム本体22が中立位置にあり且つそれに横方向の力が付加されていないときに調節可能である。中立位置において、前側クランプねじ31及び後側クランプねじ31は、それらがそれぞれ剪断ビーム本体22及びツールホルダ200と極めて軽く接触するまで試験ツール100に向かって内方にねじ込まれ、それにより、片持ちアーム21に支持された剪断試験ツール100をクランプ支持ブロック23に対してZ方向に移動させるとき、摩擦をほとんど又は全く生じさせない。
【0043】
図7に最もよく示すように、クランプ又は一次クランプ用ピストン33が、前側クランプねじ31のちょうど反対側に位置決めされている。クランプ用ピストン33は、クランプ支持ブロック23のバックプレート114に設けられたチャンバ又は孔142の中に位置決めされている。圧縮空気が、図4に示す圧縮空気供給ライン144を通ってチャンバ142内に供給される。いったんチャンバ142内に供給された圧縮空気は、ピストン33にドリル加工された交差ドリル孔146に入る。次いで、空気は、ボア148に入り、そしてピストン33の後から出て、バックプレート20内に形成されているバックチャンバ150を加圧する。バックチャンバ150は、Oリング152によってシールされ、その結果、チャンバ142,150内に取込まれた加圧空気は、ピストン33を図7の左方に押して、ピストン33を剪断ビーム本体22に押付ける。加圧空気を取除くと、ピストン33は、バックプレート14の孔140内を自由に移動可能であるので、ピストン33が剪断ビーム本体22に付与する力はない。
【0044】
かくして、ピストン33は、剪断ビーム本体22をクランプ留めする大きい力を剪断ビーム本体22に付与しない休止位置と、剪断ビーム本体22をクランプ留めする大きい力を剪断ビーム本体22に付与し、それにより試験ツール100をピストン33と前側クランプねじ31との間にクランプ留めする作動位置との間を移動するように作動可能である。クランプ用ピストン33は、その作動位置にあるとき、剪断ビーム本体22及び剪断ツール100をクランプ支持ブロック23及びバックプレート20に対する固定位置に保持する。これにより、Z方向の任意の移動を阻止し、その結果、片持ちアーム21即ち剪断ツール100の上での更なる移動は不可能である。クランプ用ピストンについて他の考えられる作動機構が存在する。クランプ用ビストンは、例えば、ソレノイド又はサーボモータによって作動されてもよい。
【0045】
上述したように剪断ツール100の試験ヘッド10が下降して試験用の基板300に触れたことを受光部206による光ビームの検出によって判定したときだけ、クランプ用ピストン33は、作動位置に移動させられ、それにより、剪断ビーム本体22及び剪断試験ツール100の位置を固定する。クランプ用ピストン33は、球状堆積物302を剪断ツール100と係合させるように移動させるときに剪断ツール100が移動することを阻止する最初のクランプ機構を剪断試験ツール100に対して構成するので、クランプ用ピストン33を一次クランプ機構と呼ぶことができる。しかしながら、以下に更に説明するように、剪断試験中に剪断ツール100に作用する剪断力は、剪断ツール100に作用するクランプ力を大きくする。
【0046】
剪断ツール100は、タングステンカーバイド又はそれと同様の硬質で靱性のある材料から作られたクランプパッド35を有し、クランプパッド35は、前側クランプねじ31、後側クランプねじ30、及びクランプ用ピストン33に対向するように位置決めされていることに注目すべきである。これにより、剪断試験ツール100と前側クランプねじ31、後側クランプねじ30及びクランプ用ピストン33の良好な接触を確保し、最小の摩耗しか生じず、システムは良好な再現性及び長い寿命を有する。同様に、前側クランプねじ31及び後側クランプねじ30は、硬化鋼で作られた接触面を有する。クランプ用ピストン33の接触面は、円滑な作動を確保するために真鍮又はそれと類似した材料から作られ、硬化されていない。
【0047】
いったんクランプ用ピストン33が剪断試験ツール100をバックプレート20に対して移動できないようにしたら、剪断試験を実施する前に、カートリッジ11を所定のステップオフ距離だけ基板からZ方向に遠ざける。この手順は、この種の剪断試験ツールにおける標準であり、国際公開第2005/114722号パンフレット(特許文献3)に詳細に説明されている。
【0048】
剪断試験中、試験用の物体は、試験方向の剪断力を剪断ツール100の試験ツールヘッド10に付与し、かかる試験方向は、試験用の物体と剪断試験ツール100の剪断ツールヘッド10との間の相対移動方向である。図3において、試験方向を矢印36で示す。剪断試験ツール100の試験ツールヘッド10に付与された剪断力は、剪断試験ツール100を前側クランプねじ31及び後側クランプねじ30に押付ける。それにより、剪断力の負荷は、片持ちアーム21を介してではなく、クランプねじ30,31を介してバックプレート20に伝達される。剪断力が大きければ大きいほど、クランプねじ30,31に付与される剪断力が大きくなる。この構成により、剪断試験中に片持ちアーム21が受ける負荷を減少させる。かくして、剪断試験中、一次クランプ用ピストン33が、剪断ツール100を適所に最初にクランプ留めすると共に、剪断力自体が、試験ツール100に作用するクランプ力を大きくする。
【0049】
先行技術のカートリッジ組立体では、片持ちアーム21は、試験中に受ける剪断力の大部分に耐えなければならなかった。このため、大きい試験負荷で剪断試験を実施するとき、頑丈で重厚な片持ちアームを必要としていた。片持ちアームが重厚であればあるほど、剪断試験の前のタッチダウン手順中に剪断試験ツール100が基板300に及ぼすタッチダウン力が大きくなる。しかしながら、本発明のクランプねじ装置であれば、片持ちアーム21の負荷は最小であり、その結果、片持ちアームを比較的軽量に作ることができる。
【0050】
図9は、本発明による装置の制御要素の概略図である。本発明における移動部品は、Z軸用モータ及びエンコーダ41として示す軸線方向駆動機構、X−Y平面内におけるステージテーブル13の移動を生じさせるモータ42、及び図示の実施形態では空気圧ピストンであるクランプ用ピストン43である。これら装置の各々は、専用の移動制御電子機器44によって制御され、移動制御電子機器は、パーソナルコンピュータ(PC)45に接続されている。PC45はまた、基板300上の剪断試験ツール100のタッチダウンを指示する信号を光学センサ202から受取る。光学センサ202は、ボックス46として図示され、この光学センサ202も、タッチダウン電子機器47と呼ばれる専用のコントローラを有している。移動制御電子機器44とタッチダウン電子機器47との間には、直接的な接続がある。これにより、素早い信号応答を可能にし、軸線方向駆動機構が可能な限り最も早い時間で停止することを確保し、余分な移動及びそれと関連した「重い」タッチダウンを阻止する。
【0051】
図10は、本発明による装置を用いて断試験をセットアップしてそれを実施する際に行うステップを示す。第1のステップ505において、カートリッジ20及び剪断試験ツール100を下方に移動させ、剪断試験ヘッド10を基板300に接触させる。ステップ510において、上述したように受光部206による光ビームの検出によって、基板300の表面上への剪断試験ヘッド10のタッチダウンを検出する。タッチダウンを検出したら、ステップ515において、剪断カートリッジ11を基板300に向かって移動させるZ軸用モータの作動を停止させる。ステップ520において、圧縮空気をチャンバ142,150に供給して、一次クランプ用ピストン33をその作動位置に移動させ、それを剪断ビーム本体22に強制的に接触させ、剪断試験ツール100をバックプレート20に対して移動できないようにする。ステップ525において、剪断試験に備えて、カートリッジを基板から所定のステップオフ距離だけ遠ざける。ステップ530において、テーブル13及びそれに取付けられている基板300を移動させることによって、剪断試験を開始すると、基板300上の球状堆積物302が試験ツールヘッド10に接触し、球状堆積物302が基板300から剪断される。
【0052】
剪断試験中、ステップ535において、試験ヘッド10が球状堆積物302を基板300から剪断しているときに荷重又は力を剪断試験ヘッド10に付与する。この剪断力は、好ましくは、歪ゲージによってピックアップされる。図5に最もよく示すように、好ましい1つの実施形態では、4つの歪ゲージ160a,160b,160c,160dがツールホルダ200に結合されている。カバー165が歪ゲージ160a〜160dを保護する。歪ゲージ160a,160bは、剪断試験中に基板300から剪断される球状堆積物302に面するツールホルダ200の前側に位置している。歪ゲージ160c,160cは、ツールホルダ200の反対側、すなわち、後側に位置している。
【0053】
歪ゲージ160a〜160dは、ワイヤ(図示せず)によって電気回路、例えば図11に概略的に示す全波ブリッジ回路120に接続されている。既知のように、全波ブリッジ回路は、歪ゲージ160a〜160dの歪により生じた電気信号を力測定値に変換し、かかる力測定値は、球状堆積物302を基板300から剪断するのに必要とされる力を指示する。
【0054】
変形例として、上述した国際公開第2007/093799(A1)号パンフレット(特許文献1)において説明されているように、剪断ツールに取付けられた圧電結晶によって剪断力を検出してもよい。ステップ540において示すように、球状堆積物302を剪断ツール100に対して移動させているときにいずれかの力検出技術を用いると、前側クランプねじ31及び後側クランプねじ30は、上述したように、剪断ツール100に加わる剪断作用を一段と促進する。
【0055】
ステップ545において、剪断試験を終了し、剪断試験ツール100を基板300から遠ざけ、ステップ550において、開始位置に戻す。ステップ555において、チャンバ142,150から空気圧を取除くことにより、クランプ用ピストン33を作動停止させ、ピストン33がその休止位置を取る。これにより、剪断試験ツール100を片持ちアーム21で支持した状態で駆動機構によってZ軸線方向に移動させることができる。ステップ560において、同一の方法ステップをステップ565で示すように再び実施することにより、繰返してもよい。
【0056】
かくして、本発明によるシステムにより、剪断ツール100は、試験用の基板に比較的小さく且つ調節可能なタッチダウン力でタッチダウンすることを可能にする。この小さいタッチダウン力は、上述した理由で必要とされる片持ちアーム21の比較的小さい質量による。また、このシステムにより、試験ツール100をカートリッジ11に対して固定することができ、その結果、試験ツール100の垂直方向位置を正確に制御することを可能にする。これは、正確且つ再現可能な剪断試験にとって重要である。剪断試験ツール100が受ける剪断負荷は、片持ちアームを介してではなく、上述のクランプ装置を介してバックプレート20に伝達されるので、異なる荷重試験について異なるカートリッジ組立体を備えておく必要はない。
【0057】
〔本発明の好ましい観点を記載した実施形態〕
1.結合部と電子基板との間の取付け強度を試験するための剪断試験装置であって、前記基板が取付けられたX−Yテーブルと、試験ツールと、前記X−Yテーブルと前記試験ツールとの間の試験方向の相対移動を行う駆動機構と、ベースプレートと、を有し、前記試験ツールは、弾性コネクタによって前記ベースプレートに取付けられ、前記弾性コネクタは、前記ベースプレートに対する前記試験ツールの、前記試験方向と垂直な軸線方向の移動を可能し、更に、前記ベースプレートに対して剛性的に固定され且つ前記試験ツールと接触する少なくとも1つの当接部と、前記ベースプレートに対して剛性的に固定されたクランプ装置と、を有し、前記クランプ装置は、前記クランプ装置が前記試験ツールに押付けられない休止位置と、前記試験ツールを前記ベースプレートに対して前記軸線方向の適所に固定された状態に維持するように前記クランプ装置が前記試験ツールに押付けられる作動位置との間を移動可能であり、前記駆動機構が、剪断試験中、前記X−Yテーブルと前記試験ツールとの間の前記試験方向の相対移動を行って、前記試験ツールにより前記結合部を前記電子基板から剪断させるとき、前記少なくとも1つの当接部は、追加のクランプ力を前記試験ツールに付与する、剪断試験装置。
【0058】
2.前記クランプ装置は、前記作動位置において前記試験ツールに押付けられる単一の要素を有する、実施形態1に記載の剪断試験装置。
3.前記クランプ装置が前記作動位置にあるとき、前記試験ツールは、前記クランプ装置と前記少なくとも1つの当接部の間に保持される、実施形態又は2に記載の剪断試験装置。
4.前記少なくとも1つの当接部は、前記ベースプレートに対して適所に剛性的に固定された第1の当接部及び第2の当接部を含む、実施形態1〜3のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
5.前記第1の当接部と前記第2の当接部は、前記軸線方向において互いに間隔を置いた関係をなして位置決めされる、実施形態4に記載の剪断試験装置。
【0059】
6.前記第1の当接部と前記第2の当接部は、前記試験ツールの互いに反対側に配置される、実施形態項4又は5に記載の剪断試験装置。
7.前記剪断試験中、前記駆動機構が前記X−Yテーブルと前記試験ツールとの間の前記試験方向の相対移動を行い、前記試験ツールにより前記結合部を前記基板から剪断させるとき、前記第1の当接部及び前記第2の当接部は、追加のクランプ力を前記試験ツールに付与する、実施形態4〜6のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
8.前記駆動機構は、試験方向軸線に沿った試験方向の前記相対移動を行い、前記第1の当接部及び/又は前記第2の当接部の位置は、前記試験方向軸線と平行な1又は2以上の軸線に沿って調節可能である、実施形態4〜7のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
9.前記クランプ装置は、前記休止位置と前記作動位置との間を空気圧機構によって移動可能である、実施形態1〜8のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
【0060】
10.前記クランプ装置は、空気圧作動式ピストンである、実施形態9に記載の剪断試験装置。
11.前記弾性コネクタは、一対の片持ちアームを有し、その一方の端部が前記ベースプレートに固定され、その一方の側の反対側の端部が前記試験ツールを支持する、実施形態1〜10のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
12.前記剪断試験装置は、更に、前記ベースプレートに対する前記試験ツールの前記軸線方向の移動が検出されたときに信号を発生させるように構成されたセンサと、前記センサと前記クランプ装置に接続された制御装置とを有し、前記制御装置は、前記センサからの信号に応答して前記クランプ装置を前記作動位置に移動させるように構成される、実施形態1〜11のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
13.前記試験ツールは、前記ベースプレートに対して適所に固定されたクランプ支持ブロック内に受入れられる、実施形態1〜12のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
14.前記少なくとも1つの当接部は、前記クランプ支持ブロックに取付けられ、前記クランプ装置は、前記クランプ支持ブロック内に配置される、実施形態13に記載の剪断試験装置。
【0061】
15.前記クランプ装置は、前記クランプ支持ブロック内に配置された空気圧作動式ピストンである、実施形態13又は14に記載の剪断試験装置。
16.前記剪断試験ツールは、剪断ビーム本体に取付けられたツールホルダ及び前記ツールホルダに固定された試験ヘッドを有する、実施形態1〜15のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
17.更に、前記試験ツールに取付けられたタッチダウンブロックと、前記タッチダウンブロックにねじ込まれたタッチダウンねじと、発光部と、受光部と、を有し、前記タッチダウンねじの端部は、前記発光部と前記受光部との間に位置決めされ、前記試験ツールは、前記ベースプレートに対して適所に固定されたクランプ支持ブロック内に受入れられ、前記発光部と前記受光部は、前記タッチダウンねじの互いに反対側で前記クランプ支持ブロック内に配置される、実施形態1〜16のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
18.前記試験ツールは、前記ベースプレートに対して適所に固定されたクランプ支持ブロック内に受入れられ、前記発光体と前記受光体は、前記タッチダウンねじの互いに反対側で前記クランプ支持ブロック内に設けられる、実施形態17に記載の剪断試験装置。
19.前記結合部は、前記基板に結合されたはんだの球状堆積物である、実施形態1〜18のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
【0062】
20.実施形態1〜19のいずれか1項に記載の剪断試験装置を用いて結合部と電子基板との間の取付け強度を試験する方法であって、前記試験ツールを前記基板から軸線方向に所定の距離だけ離れたところに位置決めするステップと、前記試験ツールと前記結合部の間の試験方向の相対移動を行い、前記試験ツールにより、前記結合部を前記基板から剪断させるステップと、前記結合部が前記試験ツールに付与する力により、前記剪断試験装置の前記少なくとも1つの当接部がクランプ力を前記試験ツールに付与し、前記結合部により、前記試験ツールに付与された力を記録するステップを有する、方法。
【0063】
21.前記試験ツールを位置決めする前記ステップは、前記試験ツールを前記基板に向かって前記軸線方向に移動させるステップと、前記試験ツールと前記基板の接触を検出するステップと、前記接触が検出されると、前記試験ツールの前記軸線方向の移動を停止させるステップと、を含む実施形態20に記載の方法。
22.更に、前記停止ステップに続いて、前記試験ツールをクランプ留めして、前記試験ツールの位置を前記ベースプレートに対して固定するステップを有する、実施形態21に記載の方法。
23.更に、前記クランプ留めステップに続いて、前記試験ツール及び前記ベースプレートを前記基板から所定の距離だけ遠ざけるステップを有する、実施形態22に記載の方法。
24.更に、前記記録ステップに続いて、前記試験ツールを前記ベースプレートに対してクランプ解除するステップを有する、実施形態22又は23に記載の方法。
【符号の説明】
【0064】
10 試験ヘッド
11 カートリッジ
12 剪断試験装置
13 ステージデーブル(X−Yテーブル)
20 バックプレート(ベースプレート)
21 片持ち支持アーム(弾性コネクタ)
23 クランプ支持ブロック
30 後側クランプねじ(当接部)
31 前側クランプねじ(当接部)
33 クランプ用ピストン(クランプ装置;単一の要素)
36 試験方向
43 一次クランプ用ピストン(クランプ装置)
44 タッチダウン用電子機器
46 タッチダウンセンサ(センサ)
47 移動制御用電子機器
100 剪断試験ツール(試験ツール)
120 タッチダウン調節ねじ(タッチダウンねじ)
122 タッチダウンブロック
202 光学センサ(センサ)
204 発光部
206 受光部
300 基板(電子基板)
302 球状堆積物(結合部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合部と電子基板との間の取付け強度を試験するための剪断試験装置であって、
前記基板が取付けられたX−Yテーブルと、
試験ツールと、
前記X−Yテーブルと前記試験ツールとの間の試験方向の相対移動を行う駆動機構と、
ベースプレートと、を有し、前記試験ツールは、弾性コネクタによって前記ベースプレートに取付けられ、前記弾性コネクタは、前記ベースプレートに対する前記試験ツールの、前記試験方向と垂直な軸線方向の移動を可能し、
更に、前記ベースプレートに対して剛性的に固定され且つ前記試験ツールと接触する少なくとも1つの当接部と、
前記ベースプレートに対して剛性的に固定されたクランプ装置と、を有し、
前記クランプ装置は、前記クランプ装置が前記試験ツールに押付けられない休止位置と、前記試験ツールを前記ベースプレートに対して前記軸線方向の適所に固定された状態に維持するように前記クランプ装置が前記試験ツールに押付けられる作動位置との間を移動可能であり、
前記駆動機構が、剪断試験中、前記X−Yテーブルと前記試験ツールとの間の前記試験方向の相対移動を行って、前記試験ツールにより前記結合部を前記電子基板から剪断させるとき、前記少なくとも1つの当接部は、追加のクランプ力を前記試験ツールに付与する、剪断試験装置。
【請求項2】
前記クランプ装置は、前記作動位置において前記試験ツールに押付けられる単一の要素を有する、請求項1に記載の剪断試験装置。
【請求項3】
前記クランプ装置が前記作動位置にあるとき、前記試験ツールは、前記クランプ装置と前記少なくとも1つの当接部の間に保持される、請求項1又は2に記載の剪断試験装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの当接部は、前記ベースプレートに対して適所に剛性的に固定された第1の当接部及び第2の当接部を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
【請求項5】
前記第1の当接部と前記第2の当接部は、前記軸線方向において互いに間隔を置いた関係をなして位置決めされる、請求項4に記載の剪断試験装置。
【請求項6】
前記第1の当接部と前記第2の当接部は、前記試験ツールの互いに反対側に配置される、請求項4又は5に記載の剪断試験装置。
【請求項7】
前記剪断試験中、前記駆動機構が前記X−Yテーブルと前記試験ツールとの間の前記試験方向の相対移動を行い、前記試験ツールにより前記結合部を前記基板から剪断させるとき、前記第1の当接部及び前記第2の当接部は、追加のクランプ力を前記試験ツールに付与する、請求項4〜6のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
【請求項8】
前記駆動機構は、試験方向軸線に沿った試験方向の前記相対移動を行い、前記第1の当接部及び/又は前記第2の当接部の位置は、前記試験方向軸線と平行な1又は2以上の軸線に沿って調節可能である、請求項4〜7のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
【請求項9】
前記クランプ装置は、前記休止位置と前記作動位置との間を空気圧機構によって移動可能である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
【請求項10】
前記クランプ装置は、空気圧作動式ピストンである、請求項9に記載の剪断試験装置。
【請求項11】
前記剪断試験装置は、更に、前記ベースプレートに対する前記試験ツールの前記軸線方向の移動が検出されたときに信号を発生させるように構成されたセンサと、前記センサと前記クランプ装置に接続された制御装置とを有し、
前記制御装置は、前記センサからの信号に応答して前記クランプ装置を前記作動位置に移動させるように構成される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
【請求項12】
前記試験ツールは、前記ベースプレートに対して適所に固定されたクランプ支持ブロック内に受入れられる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの当接部は、前記クランプ支持ブロックに取付けられ、前記クランプ装置は、前記クランプ支持ブロック内に配置される、請求項12に記載の剪断試験装置。
【請求項14】
前記クランプ装置は、前記クランプ支持ブロック内に配置された空気圧作動式ピストンである、請求項12又は13に記載の剪断試験装置。
【請求項15】
更に、前記試験ツールに取付けられたタッチダウンブロックと、
前記タッチダウンブロックにねじ込まれたタッチダウンねじと、
発光部と、
受光部と、を有し、
前記タッチダウンねじの端部は、前記発光部と前記受光部との間に位置決めされ、前記試験ツールは、前記ベースプレートに対して適所に固定されたクランプ支持ブロック内に受入れられ、前記発光部と前記受光部は、前記タッチダウンねじの互いに反対側で前記クランプ支持ブロック内に配置される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
【請求項1】
結合部と電子基板との間の取付け強度を試験するための剪断試験装置であって、
前記基板が取付けられたX−Yテーブルと、
試験ツールと、
前記X−Yテーブルと前記試験ツールとの間の試験方向の相対移動を行う駆動機構と、
ベースプレートと、を有し、前記試験ツールは、弾性コネクタによって前記ベースプレートに取付けられ、前記弾性コネクタは、前記ベースプレートに対する前記試験ツールの、前記試験方向と垂直な軸線方向の移動を可能し、
更に、前記ベースプレートに対して剛性的に固定され且つ前記試験ツールと接触する少なくとも1つの当接部と、
前記ベースプレートに対して剛性的に固定されたクランプ装置と、を有し、
前記クランプ装置は、前記クランプ装置が前記試験ツールに押付けられない休止位置と、前記試験ツールを前記ベースプレートに対して前記軸線方向の適所に固定された状態に維持するように前記クランプ装置が前記試験ツールに押付けられる作動位置との間を移動可能であり、
前記駆動機構が、剪断試験中、前記X−Yテーブルと前記試験ツールとの間の前記試験方向の相対移動を行って、前記試験ツールにより前記結合部を前記電子基板から剪断させるとき、前記少なくとも1つの当接部は、追加のクランプ力を前記試験ツールに付与する、剪断試験装置。
【請求項2】
前記クランプ装置は、前記作動位置において前記試験ツールに押付けられる単一の要素を有する、請求項1に記載の剪断試験装置。
【請求項3】
前記クランプ装置が前記作動位置にあるとき、前記試験ツールは、前記クランプ装置と前記少なくとも1つの当接部の間に保持される、請求項1又は2に記載の剪断試験装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの当接部は、前記ベースプレートに対して適所に剛性的に固定された第1の当接部及び第2の当接部を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
【請求項5】
前記第1の当接部と前記第2の当接部は、前記軸線方向において互いに間隔を置いた関係をなして位置決めされる、請求項4に記載の剪断試験装置。
【請求項6】
前記第1の当接部と前記第2の当接部は、前記試験ツールの互いに反対側に配置される、請求項4又は5に記載の剪断試験装置。
【請求項7】
前記剪断試験中、前記駆動機構が前記X−Yテーブルと前記試験ツールとの間の前記試験方向の相対移動を行い、前記試験ツールにより前記結合部を前記基板から剪断させるとき、前記第1の当接部及び前記第2の当接部は、追加のクランプ力を前記試験ツールに付与する、請求項4〜6のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
【請求項8】
前記駆動機構は、試験方向軸線に沿った試験方向の前記相対移動を行い、前記第1の当接部及び/又は前記第2の当接部の位置は、前記試験方向軸線と平行な1又は2以上の軸線に沿って調節可能である、請求項4〜7のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
【請求項9】
前記クランプ装置は、前記休止位置と前記作動位置との間を空気圧機構によって移動可能である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
【請求項10】
前記クランプ装置は、空気圧作動式ピストンである、請求項9に記載の剪断試験装置。
【請求項11】
前記剪断試験装置は、更に、前記ベースプレートに対する前記試験ツールの前記軸線方向の移動が検出されたときに信号を発生させるように構成されたセンサと、前記センサと前記クランプ装置に接続された制御装置とを有し、
前記制御装置は、前記センサからの信号に応答して前記クランプ装置を前記作動位置に移動させるように構成される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
【請求項12】
前記試験ツールは、前記ベースプレートに対して適所に固定されたクランプ支持ブロック内に受入れられる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの当接部は、前記クランプ支持ブロックに取付けられ、前記クランプ装置は、前記クランプ支持ブロック内に配置される、請求項12に記載の剪断試験装置。
【請求項14】
前記クランプ装置は、前記クランプ支持ブロック内に配置された空気圧作動式ピストンである、請求項12又は13に記載の剪断試験装置。
【請求項15】
更に、前記試験ツールに取付けられたタッチダウンブロックと、
前記タッチダウンブロックにねじ込まれたタッチダウンねじと、
発光部と、
受光部と、を有し、
前記タッチダウンねじの端部は、前記発光部と前記受光部との間に位置決めされ、前記試験ツールは、前記ベースプレートに対して適所に固定されたクランプ支持ブロック内に受入れられ、前記発光部と前記受光部は、前記タッチダウンねじの互いに反対側で前記クランプ支持ブロック内に配置される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の剪断試験装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−185935(P2011−185935A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47821(P2011−47821)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]