説明

創傷面被覆脱脂綿シート体の製造方法及び創傷面被覆脱脂綿シート体

【課題】加水分解卵殻膜を早期に供給し、実用上問題のないレベルに強度を高めた創傷面被覆脱脂綿シート体を提供することを目的とする。
【解決手段】 創傷面被覆脱脂綿シート体の製造方法であって、創傷面に接触するシート状のネット部及びシート状の脱脂綿部を、熱溶融繊維からなる接着層を介して積層する第1のステップと、前記第1のステップで得られた積層体を加熱する第2のステップと、前記積層体の積層方向から前記積層体の前記ネット部に向けて液状の加水分解卵殻膜を供給する第3のステップと、前記積層体に供給された前記液状の加水分解卵殻膜を乾燥させる第4のステップとを有することを特徴とする創傷面被覆脱脂綿シート体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、創傷面に貼付され、創傷部を保護するとともに、創傷部に加水分解卵殻膜を供給する創傷面被覆脱脂綿シート体の製造方法及び創傷面被覆脱脂綿シート体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外傷、熱傷等の創傷部を被覆して保護するために、脱脂綿、不織布などからなる創傷面被覆材が数多く提供されている。そして、近年、創傷部の保護だけでなく、創傷部の回復を促進するために、創傷部の再生を促進する物質を含有する創傷面被覆材が提案されている。
【0003】
創傷部の再生を促進する物質としては、加水分解卵殻膜が大きな注目を集めている。鶏卵などの鳥類の卵の卵殻の内側には卵殻膜が形成されており、この卵殻膜を酵素、酸、アルカリ等により分解することにより加水分解卵殻膜得ることができる。この加水分解卵殻膜を傷口に供給することにより、真皮層を構成するコラーゲンのひとつであるIII型コラーゲンの産生が期待される。
【0004】
当該加水分解卵殻膜を含有させた創傷面被覆材の例としては、特許文献1に記載された絆創膏が挙げられる。この絆創膏は、支持体上に加水分解卵殻膜を含有する創傷被覆層を設けたことを特徴とする。加水分解卵殻膜は、創傷部から流出する血液、体液を媒介として創傷部に供給される。
【0005】
特許文献1の絆創膏においては、加水分解卵殻膜を含有する創傷被覆層について、加水分解卵殻膜の水溶液を不織布等からなるパット材に含浸させて構成できることが記載されている。しかしながら、パット材を脱脂綿とした場合、長時間貼り付けると脱脂綿が肉芽と一体化し、剥離するのが困難となる。
【0006】
一方で、脱脂綿の剥離を容易とするために、合成樹脂製シート状のネット部で脱脂綿を被覆した創傷面被覆材が公知となっている(特許文献2)。しかしながら、被覆された脱脂綿に加水分解卵殻膜を含有するようにした場合、当該創傷面被覆材を貼り付けても、加水分解卵殻膜は創傷面に直接には接触しない。したがって、加水分解卵殻膜が創傷部に供給されるのにある程度の時間を要し、効果を発揮するのが遅れるか、或いはその効果を十分に発揮することができないという問題がある。
【0007】
また、皮膚に直接接触して剥離を容易とするためのネット体を設けるとともに、当該ネット体に創傷治癒効果、止血効果が知られているキチン粉末を付着させた創傷面被覆材が公知となっている(特許文献3)。
【特許文献1】特開2003−225298号公報
【特許文献2】特開2006−6637号公報
【特許文献3】特開平6−142180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2には、液状の加水分解卵殻膜や創傷部の体液が含まれることによる脱脂綿及びネット部の接着力の低下を防止する方法について何ら提案されていない。
【0009】
また、脱脂綿及び創傷部との間にはネット部が介在しているため、加水分解卵殻膜を脱脂綿部に含ませのみでは、創傷部に加水分解卵殻膜を早期に供給することができない。
【0010】
そこで、本願発明は、加水分解卵殻膜を早期に供給し、実用上問題のないレベルに強度を高めた創傷面被覆脱脂綿シート体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本願発明の創傷面被覆脱脂綿シート体の製造方法は、創傷
面に接触するシート状のネット部及びシート状の脱脂綿部を、熱溶融繊維からなる接着層を介して積層する第1のステップと、前記第1のステップで得られた積層体を加熱する第2のステップと、前記積層体の積層方向から前記積層体のネット部に向けて液状の加水分解卵殻膜を供給する第3のステップと、前記積層体に供給された前記液状の加水分解卵殻膜を乾燥させる第4のステップとを有することを特徴とする創傷面被覆脱脂綿シート体の製造方法。
【0012】
前記第1のステップにおいて、前記脱脂綿部のうち前記接着層とは反対側の面に、止液性のフィルムシートを積層するとよい。
【0013】
前記ネット部を、創傷面に接触する第1のネット部と、この第1のネット部に積層され、前記第1のネット部よりも溶融温度が低く、前記接着層に接触する第2のネット部とから構成し、前記接着層の溶融温度を前記第1のネット部よりも低く設定するとよい。
【0014】
前記第3のステップにおいて、前記ネット部及び前記脱脂綿部の双方に加水分解卵殻膜が含まれるように前記液状の加水分解卵殻膜を供給するとよい。
【0015】
前記第2のステップにおいて、前記積層体を一対の回転式ヒートローラに挟持させた状態で加熱しながら搬送するとよい。
【0016】
上記課題を解決するために加水分解卵殻膜を含有してなる創傷面被覆脱脂綿シート体は、創傷面に接触するシート状のネット部とシート状の脱脂綿部とを有し、前記ネット部及び
前記脱脂綿部は、熱溶融繊維からなる接着層により接着されていることを特徴とする。
【0017】
前記ネット部は、創傷面に接触する第1のネット部と、この第1のネット部に積層され、前記第1のネット部よりも溶融温度が低く、前記接着層に接触する第2のネット部とからなり、前記接着層の溶融温度を前記第1のネット部よりも溶融温度が低く設定するとよい。
【0018】
前記加水分解卵殻膜を、前記ネット部及び前記脱脂綿部の双方に含ませるとよい。
【0019】
前記脱脂綿部における前記ネット部とは反対側の面には、止液性のフィルムシートが熱
融着するとよい。
【0020】
前記フィルムシートは、熱溶融繊維からなる接着シートと、この接着シートに対して剥
離可能に貼り付けられた離型シートとからなり、前記接着シートの一部を前記脱脂綿部に
熱融着させるとよい。
【0021】
前記接着層及び前記接着シートの溶融温度を、前記ネット部よりも低く設定するとよい。
【発明の効果】
【0022】
本願発明によれば、加水分解卵殻膜を創傷面に早期に供給し、創傷面被覆脱脂綿シート体の強度を実用上問題のないレベルに高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を用いて本発明の好ましい実施形態について詳しく説明する。
【0024】
図1は、創傷面被覆脱脂綿シート体1の平面図であり、図2は創傷面被覆脱脂綿シート体1の斜視図であり、図3は図2のA−A´断面図である。
【0025】
本実施形態の創傷面被覆脱脂綿シート体1は、シート状ネット部11、シート状脱脂綿部12及び被覆フィルム部(フィルムシート)13をこの順序で積層することにより構成されており、シート状ネット部11は傷口に接触している。シート状ネット部11には加水分解卵殻が含まれており、この加水分解卵殻はシート状脱脂綿部12の一部にも含まれている。
【0026】
本実施形態の創傷面被覆脱脂綿シート体1によれば、傷口に接触するシート状ネット部11に加水分解卵殻膜が含まれるため、加水分解卵殻膜を傷口に早期に供給することができる。
【0027】
また、シート状脱脂綿12と傷口との間にシート状ネット部11を介在させているため、シート状脱脂綿12の繊維が傷口に付着するのを防止できる。これにより、傷口の治癒後に、創傷面被覆脱脂綿シート体1を容易に剥離させることができる。
【0028】
さらに、シート状脱脂綿部12は吸水性に優れているため、多量の加水分解卵殻膜をシート状脱脂綿部12に含浸させることができる。これにより、シート状ネット部11に順次、加水分解卵殻膜を供給することができる。
【0029】
また、シート状ネット部11及びシート状脱脂綿部12を、熱溶融繊維からなるシート状熱溶融繊維部15により接着している。これにより、液状の加水分解卵殻膜を創傷面被覆脱脂綿シート体1に含ませた際に、シート状ネット部11及びシート状脱脂綿部12が剥離するのを防止できる。
【0030】
次に、創傷面被覆脱脂綿シート体1にういて詳細に説明する。
【0031】
シート状ネット部11は二層構造であり、一方の層がシート状熱溶融繊維部15に接する低融点シート状ネット部11bであり、他方の層が低融点シート状ネット部(第2のネット部)11bよりも融点の高い高融点シート状ネット部(第1のネット部)11aである。
【0032】
シート状ネット部11としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロフィレンフィルムを用いることができる。高融点シート状ネット部11aの融点は、好ましくは130〜135℃であり、低融点シート状ネット部11bの融点は、好ましくは110〜115℃である。
【0033】
このように創傷部とシート状脱脂綿部12との間にシート状ネット部11を介在させることにより、シート状脱脂綿部12の繊維が肉芽と一体化されるのを防止して創傷面被覆脱脂綿シート体1の剥離作業を容易化することができる。シート状ネット部11には、無数の微小な孔が形成されており、これらの孔を介して傷口の血液や体液をシート状脱脂綿部12に吸収させることができる。
【0034】
ここで、シート状ネット部11は、液状資材の保持能力が低いため、多量の加水分解卵殻膜を含有させることができない。したがって、シート状ネット部11に加水分解卵殻膜を含浸させるのみでは、傷口に必要な加水分解卵殻膜の液量を確保することができない。
【0035】
他方、シート状脱脂綿部12は、吸水性に優れ、多量の加水分解卵殻膜を含有させることができる。しかしながら、シート状脱脂綿部12と創傷部との間にシート状ネット部11が介在しているため、シート状脱脂綿部12に加水分解卵殻膜を含浸させるのみでは、傷口に加水分解卵殻膜を早期に供給することができない。そこで、本願発明では、シート状ネット部11及びシート状脱脂綿部12の双方に加水分解卵殻膜を含浸させている。
【0036】
シート状熱溶融繊維部15は、シート状ネット部11及びシート状脱脂綿部12の間に介在しており、シート状ネット部11及びシート状脱脂綿部12を強固に接着する。
【0037】
ここで、シート状熱溶融繊維部15を省略して、シート状ネット部11の低融点シート状ネット部11bを熱溶融させることにより、シート状ネット部11及びシート状脱脂綿部12を接着することもできる。
【0038】
しかしながら、低融点シート状ネット部11bによる接着のみでは接着力が弱いため、創傷面被覆脱脂綿シート体1に液状の加水分解卵殻膜を含浸させた際に、シート状脱脂綿部12からシート状ネット部11が剥離するおそれがある。
【0039】
そこで、本発明では、シート状ネット部11及びシート状脱脂綿部12の間に、シート状熱溶融繊維部15を介在させることにより、シート状ネット部11及びシート状脱脂綿部12を強固に固着している。
【0040】
被覆フィルム部13は、熱溶融繊維からなる接着部13aとこの接着部13aに剥離可能に貼り付けられた離型シート13bとから構成されており、接着部13aの一部が脱脂綿部12に熱融着することにより、被覆フィルム部13及び脱脂綿部12を固着している。
【0041】
接着部13aによれば、シート状ネット部11の上側から吹きつけられた(後述する)液状の加水分解卵殻膜がシート状脱脂綿部12から流出するのを防止できる。
【0042】
離型シート13bは、熱溶融したシート状ネット部11が後述するヒートローラ21、
22の外面に付着するのを防止する。ただし、離型シート13bを省略することもできる。
この場合、ヒートローラ21,22の外面をフッ素樹脂で覆い、熱溶融したシート状ネッ
ト部11が付着するのを防止するとよい。ヒートローラ21の外面をフッ素樹脂で覆う方法として、液状のフッ素樹脂を吹き付ける方法とシート状のフッ素樹脂を巻き回す方法が考えられる。
【0043】
ここで、卵殻膜の作用について説明する。皮膚が損傷を受けたとき、その損傷が真皮層まで達すると、当該真皮層を構成するコラーゲンが破壊される。したがって、創傷部の再生促進を図るためには、コラーゲンの産生を促進することが重要となる。
【0044】
卵殻膜は、上述したように鶏卵などの鳥類の卵の卵殻の内側にある膜をいい、二層の網目状繊維から構成されたタンパク質の薄膜で、ケラチン様タンパクを主成分とする。該卵殻膜については、III型コラーゲンの産生促進が期待されている。そのため、これら卵殻膜を創傷部に供給できる創傷面被覆脱脂綿シート体1を提供する必要がある。
【0045】
このうち、加水分解卵殻膜は、水に可溶、または易分散である。したがって、本実施形態に係るシート状ネット部11、シート状脱脂綿部12の加水分解卵殻膜付着層14に付着している加水分解卵殻膜は、創傷部から流出した血液、体液を媒介として、シート状ネット部11、加水分解卵殻膜付着層14から容易に創傷部に供給することができる。本実施形態の加水分解卵殻膜としては、キューピー株式会社製のEMプロテイン(商品名)を用いることができる。
【0046】
また、本実施形態に係るシート状ネット部11、加水分解卵殻膜付着層14には、他の創傷部の再生を促進する物質を含ませることもできる。
【0047】
本実施形態の創傷面被覆脱脂綿シート体1のシート状ネット部11、および加水分解卵殻膜付着層14には、加水分解卵殻膜に加えて、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンおよびその重合体を含ませることができる。2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンおよびその重合体は、例えば2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンなどで表される水溶性のリン脂質系重合体である。
【0048】
具体的には、日本油脂株式会社製のLipidure(登録商標)を用いることができる。構成単位である2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンは、細胞膜を構成するホスファチジルコリンの極性基と同一構造であるため、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンおよびその重合体が創傷部に供給されることによって、創傷面の皮膚再生を促進することができる。
【0049】
次に、創傷面被覆脱脂綿シート体1の製造方法について詳述する。
【0050】
まず、シート状ネット部11、シート状熱溶融繊維部15、シート状脱脂綿部12、被覆フィルム部13を積層する(以下、積層体という)。
【0051】
次に、図4に図示する加熱装置Aを用いて積層体を加熱する。なお、図4は加熱装置Aの概略図である。この加熱装置Aは、一対のヒートローラ21、22からなり、各ヒートローラ21、22はそれぞれローラ軸21a、22bを回転軸として矢印方向に回転する。ヒートローラ21、22の外面は不図示の加熱部によって加熱されており、積層体を挟持した状態で加熱する。加熱された積層体は、ヒートローラ21、22の回転動作に応じて下流に搬送される。
【0052】
このように積層体を加熱することにより、積層体の低融点シート状ネット部11b、シート状熱溶融繊維部15及び止水シート部13aを熱溶融させることができる。シート状ネット部11に接触するヒートローラ21の接触面は、フッ素樹脂により覆われている。したがって、熱溶融した低融点シート状ネット部11b及びシート状熱溶融繊維部15の一部がヒートローラ21に付着するのを防止できる。
【0053】
本実施形態によれば、積層体を一対のヒートローラ21,22を用いて加熱するだけで、創傷面被覆脱脂綿シート体1を得ることができる。これにより、創傷面被覆脱脂綿シート体1の製造効率を向上させることができる。
【0054】
さらに、溶融繊維は一旦熱溶融すると再溶融しにくくなり、接着力が低下するため、加熱工程を一回とすることにより創傷面被覆脱脂綿シート体1の強度を高めることができる。
【0055】
加熱装置Aで加熱された積層体には、不図示のノズルから液状の加水分解卵殻膜が供給される。該ノズルは積層体のシート状ネット部11に対向配置されており、積層体の積層方向からシート状ネット部11に対して液状の加水分解卵殻膜が吹きつけられる。シート状ネット部11に吹き付けられた液状の加水分解卵殻膜は、シート状ネット部11を通ってシート状熱溶融繊維部15に達し、シート状ネット部11及びシート状脱脂綿部12の双方に含浸される。なお、ノズルとしては、株式会社いけうちの超低圧広角扇形ノズル、均等片扇形ノズルを用いることができる。
【0056】
このとき、離型シート部13bにより広角ノズルから吹きつけられた液状の卵殻膜の移動が阻止される。これにより、シート状脱脂綿部12から液状の卵殻膜が流出するのを阻止して、資材の無駄防止を図ることができる。
【0057】
加水分解卵殻膜が吹きつけられた積層体は、不図示の乾燥部に搬送され、液状の卵殻膜が粉末状の加水分解卵殻膜となってシート状ネット部11及びシート状脱脂綿部12に付着する。
【実施例】
【0058】
次に、実施例を示して、本発明の創傷面被覆脱脂綿シート体1をより具体的に説明する。
【0059】
実施例1では、シート状ネット部11としてスミス&ネヒュー社製のCE15を使用した。高融点シート状ネット部11aの熱溶融温度を135℃とし、低融点シート状ネット部11bの熱溶融温度を110℃とした。
【0060】
シート状熱溶融繊維部15として、日東紡社製のポリアミドPA1541を使用し、その融点を90℃とした。シート状脱脂綿部12としてコーマ綿を使用した。
【0061】
被覆フィルム13の止水シート部13aとして、日東紡社製のポリエステルPES8230を使用し、その融点を113℃とした。
【0062】
比較例では、シート状熱溶融繊維部15を省略し、その他の構成を実施例1と同様にした。これらの創傷面被覆脱脂綿シート体をヒートローラ21、22で加熱した後、シート状ネット部11の上から液状の加水分解卵殻膜を吹き付けて乾燥し、傷口に貼り付けた状態で8時間放置した。なお、被験者は、工場内で運搬業務を行っている者を対象とした。
【0063】
一対のヒートローラ21、22の間隔は、2.0mmに設定した。ヒートローラ21、22の加熱温度は、125℃に設定した。
【0064】
8時間放置した後、実施例1及び比較例の創傷面被覆脱脂綿シート体の外観を観察した。その結果、実施例1では外観の変化がなく、比較例ではシート状ネット部及びシート状脱脂綿の一部が剥離した。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】創傷面被覆脱脂綿シート体の平面図である。
【図2】創傷面被覆脱脂綿シート体の斜視図である。
【図3】図1のAA’断面の拡大図である。
【図4】加熱装置Aの概略図である。
【符号の説明】
【0066】
1 創傷面被覆脱脂綿シート体
11 シート状ネット部
11a 高融点シート状ネット部
11b 低融点シート状ネット部
12 シート状脱脂綿
13 被覆フィルム
13a 止水シート部
13b 離型シート部
14 加水分解卵殻膜付着層
15 シート状熱溶融繊維部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷面被覆脱脂綿シート体の製造方法であって、
創傷面に接触するシート状のネット部及びシート状の脱脂綿部を、熱溶融繊維からなる接着層を介して積層する第1のステップと、
前記第1のステップで得られた積層体を加熱する第2のステップと、
前記積層体の積層方向から前記積層体の前記ネット部に向けて液状の加水分解卵殻膜を供給する第3のステップと、
前記積層体に供給された前記液状の加水分解卵殻膜を乾燥させる第4のステップとを有することを特徴とする創傷面被覆脱脂綿シート体の製造方法。
【請求項2】
前記第1のステップにおいて、前記脱脂綿部のうち前記接着層とは反対側の面に、止液性のフィルムシートを積層することを特徴とする請求項1に記載の創傷面被覆脱脂綿シート体の製造方法。
【請求項3】
前記ネット部は、
創傷面に接触する第1のネット部と、
この第1のネット部に積層され、前記第1のネット部よりも溶融温度が低く、前記接着層に接触する第2のネット部とからなり、
前記接着層は前記第1のネット部よりも溶融温度が低いことを特徴とする請求項1又は2に記載の創傷面被覆脱脂綿シート体の製造方法。
【請求項4】
前記第3のステップにおいて、前記ネット部及び前記脱脂綿部の双方に加水分解卵殻膜が含まれるように前記液状の加水分解卵殻膜を供給することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載の創傷面被覆脱脂綿シート体の製造方法。
【請求項5】
前記第2のステップにおいて、前記積層体を一対の回転式ヒートローラに挟持させた状態で加熱しながら搬送することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一つに記載の創傷面被覆脱脂綿シート体の製造方法。
【請求項6】
加水分解卵殻膜を含有してなる創傷面被覆脱脂綿シート体であって、
創傷面に接触するシート状のネット部と
シート状の脱脂綿部とを有し、
前記ネット部及び前記脱脂綿部は、熱溶融繊維からなる接着層により接着されていることを特徴とする創傷面被覆脱脂綿シート体。
【請求項7】
前記ネット部は、
創傷面に接触する第1のネット部と、
この第1のネット部に積層され、前記第1のネット部よりも溶融温度が低く、前記接着層に接触する第2のネット部とからなり、
前記接着層は前記第1のネット部よりも溶融温度が低いことを特徴とする請求項6に記載の創傷面被覆脱脂綿シート体。
【請求項8】
前記加水分解卵殻膜は、前記ネット部及び前記脱脂綿部の双方に含まれていることを特徴とする請求項6又は7に記載の創傷面被覆脱脂綿シート体。
【請求項9】
前記脱脂綿部における前記ネット部とは反対側の面には、止液性のフィルムシートが熱融着されていることを特徴とする請求項6乃至8のうちいずれか一つに記載の創傷面被覆脱脂綿シート体。
【請求項10】
前記フィルムシートは、熱溶融繊維からなる接着シートと、この接着シートに対して剥離可能に貼り付けられた離型シートとからなり、前記接着シートの一部が前記脱脂綿部に熱融着していることを特徴とする請求項9に記載の創傷面被覆脱脂綿シート体。
【請求項11】
前記接着層及び前記接着シートは、前記ネット部よりも溶融温度が低いことを特徴とする請求項10に記載の創傷面被覆脱脂綿シート体。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−89858(P2009−89858A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262674(P2007−262674)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(390037604)カクイ株式会社 (12)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【Fターム(参考)】