説明

力測定装置及び基準器

【課題】適切で精確な基準量、基準電流又は基準電圧を送出するのに役立つ比較的費用効果的な基準器を有する力測定装置を創出する。
【解決手段】力測定装置1000は測定器100及び基準器100Rを含み、後者は決定すべき測定対象の力が測定器により測定されることができるようにする基準量、基準電流又は基準電圧を送出するのに役立つ。基準器は基準質量が装着されたところの、かつ電磁力補償の原理に従って基準電流を生成し、該基準電流を測定及び調整装置3R、4Rによって調整して基準レバー105Rにより保持された第1の基準コイル1R;1Raにおいて基準電流が、基準磁石2Rの磁界と協働して磁力が基準レバーに加わるようにする磁界を生成することができるようにした力測定装置であり、基準レバーに同様に作用している基準質量の力が前記磁力により補償されることができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力測定装置、特に天秤、並びに基準器に関する。
【背景技術】
【0002】
力測定装置、例えば電磁力補償又はストレンゲージ技術に基づく天秤の測定精度([1]”Build your Quality on a Solid Foundation!”、会社出版物、Mettler−Toledo社、2001年1月、第14〜15頁参照)は、[2]”Wagefibel”(秤量入門書)、Mettler−Toledo社、2001年4月、に記載された多くの要因により影響される。
【0003】
すべての型式の天秤は、振動又は衝撃等の機械的影響により引起される攪乱を特に受けやすく、それ故それらには攪乱関連の信号部分を除去するのに役立つフィルタが装備される。力測定装置の測定トランスデューサにより生じた信号をデジタルフィルタによって処理する方法は、例えば[3]米国第2004/0088342号A1及び[4]米国第6,271,484号B1に記載されている。
【0004】
測定量が記録され、アナログ/デジタル(A/D)変換器によってデジタル信号に変換される高水準の測定分解能を備えた力測定装置はさらに非常に精確な基準、基準電圧又は基準電流を要求する。そのすべてに基準電圧UREFが供給される様々なA/D変換器は[5]U.Tietze及びCh.Schenk著、”Halbleiterschaltungstechnik”(半導体回路設計)、第11版、第2刷、Springer Verlag社、ベルリン1999年、第1043〜1062頁、に紹介されている。例えば、[5]の第1047〜1048頁に記載された所謂平行法から容易に理解できるように、アナログ信号のA/D変換における達成可能な分解能は、基準電圧UREFの安定性に依存する。
【0005】
ストレンゲージ技術に基づく天秤に使用される型式の測定ブリッジ回路は、[6]Albert O’Grady著、Transducer/Sensor Excitation and Measurement Techniques、Analog Dialogue 34−5 (2000)、に記載されている。参考文献[6]の第4頁の図8に示されているように、測定ブリッジの中央タップにて存在する信号はシグマ−デルタA/D変換器によってデジタル信号に変換でき、測定ブリッジ回路に印加される電圧は基準電圧としてシグマ−デルタ変換器に供給される(測定ブリッジの作動原理に関し、[5]、第1241及び1243頁も参照)。
【0006】
従来方式で生成された基準電圧は通常、ストレンゲージ技術に基づく天秤で達成される水準の分解能には十分としても、著しく高水準の分解能を有することができる電磁力補償に基づく力測定装置は、より高い安定性及びより少ないノイズを有する基準電圧を要求する。例えば、一般に遷移域に金属不純物を有する半導体により引起される所謂ポップコーンノイズを抑制するためには特に複雑で高価な方策が要求される。
【0007】
電磁力補償による電子天秤は例えば[7]ドイツ国特許第3324402号に記載されている。この天秤の電気的部品には、補償電流測定のための決定要因であるツェナーダイオードを備えた基準電圧源が含まれる。ツェナーダイオードの特性は温度依存的であり、それ故補正回路を使用して温度関連の影響要因を補償する。従って、高い測定分解能をもって使用される電磁力補償に基づく天秤において、基準又は基準器のノイズ特質ばかりでなく温度関連の挙動特質も殊更重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それ故、本発明は、前述の問題を回避する改良された力測定装置並びに基準器を提案する目的を有する。意図するところは、特に、適切で精確な基準量、基準電流又は基準電圧を送出するのに役立つ比較的費用効果的な基準器を有する力測定装置を創出することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1及び請求項11にそれぞれ明示された特色を備えた力測定装置並びに基準器により解決される。本発明のさらに展開された有利な実施の形態はさらなる請求項に記載されている。
【0010】
力測定装置は測定器及び基準器を含み、該基準器は、測定対象に由来する決定すべき力を測定可能とし、及び/又は対応するアナログ信号をデジタル化できるようにする基準量、基準電流又は基準電圧を提供するのに役立つ。
【0011】
本発明による基準器は、基準質量が装備された時に電磁力補償の原理に従って基準電流を生成する力測定装置である。基準電流の大きさは、測定及び調整装置により制御して、基準レバーにより保持された第1の基準コイルにおいて基準電流により生じさせられ、かつ基準磁石、好ましくは永久磁石の磁界と相互に作用する磁界が、基準レバーに作用する力を生成し、それにより同様に基準レバーに作用する基準質量の力が直接又はレバー減衰機構を通じて補償されることができるようにする。
【0012】
基準器によって生成された基準量はほんのわずかなシステム固有の攪乱を包含し、それ故測定器械、特に非常に高い分解能の力測定装置に適用するのに特に良く適している。半導体技術に基づく基準源に発生するシステム固有の攪乱を回避するほかに、本発明は、力測定装置の場合に、測定対象及び基準質量に事実上平行位相で影響を及ぼす外乱が自動的に補正されるという追加の利点を有するが、それは力測定装置の測定信号ばかりでなく基準量も力測定装置に作用する攪乱に従って変化するからである。従って、基準量における及び測定信号における攪乱により引起されるそれぞれの変化は互いに比例した関係にある。
【0013】
さらに、本発明による重力測定基準器は同等の仕様を満たす電子基準器に比べ好ましい費用で製造できる。
【0014】
基準器によって生成された基準電流は、特定の場合に要求されるものによって基準電圧に又はデジタル量に変換することができる。
【0015】
基準質量は好ましくは固定接続で基準レバーに取付け、基準質量の位置の変化の結果として発生することができるレバーモーメントのずれを回避するようにする。そのようなレバーモーメントのずれがないため、例えば平行四辺形リンク仕掛等のレバー機構は絶対要求条件ではない。基準測定器にはそれ故、基準質量及び基準コイルを担持する単一のレバー、すなわち基準レバーだけを装備することができる。好ましいのは、基準質量が永続設置された基準コイルの質量及び基準レバーそれ自体の質量である配列である。基準コイルの質量は基準レバーに下向きの引張力を及ぼし、一方補償電流によって基準コイルに生成された磁界は基準磁石と協働し、同時に上向きの押し力を及ぼして、レバーは釣合いが保たれる。
【0016】
原理的に、基準器の基準レバーはそれ故一端にて回転支点により拘束し、一方基準コイルが取付けられるレバーの他端は基準磁石の上方に保持することができる。しかしながら、この配列は空気圧の変化が基準信号に影響を及ぼすという不利点を有する。それ故、本発明のさらに好ましい実施の形態において、基準レバーに取付けられた1つ又は複数の基準コイルの体積を含むレバー枢軸又は支点の両側の体積部分がそれぞれの空気の浮力に関し互いに補償し合う基準レバーが使用される。基準コイルの体積を補償するため、基準レバーはそれ故適切に形態づけられ、又は基準レバーの反対側に支点から適当な距離にて載置される補償空気排除体が装備される。支点の両側に作用する空気の浮力により引起される力はそれ故変化する気圧の下でさえ互いに少なくともほぼ釣合いが取れたものである。
【0017】
力測定装置が測定器の機構設計のため浮力に関しすでに不釣合いを有しているなら、測定器におけるこの浮力の不釣合いは基準コイルの体積を補償することにより部分的に補償することができる。同じ造りの基準器が異なった力測定装置に使用されるのを許容するため、補償空気排除体は好ましくは異なった排除体と交換可能とし、及び/又は基準レバーの支点からの補償空気排除体の距離を調節可能とする。
【0018】
基準器は周囲環境の影響要因から最善の保護を達成するため好ましくはガス密囲い内に密閉される。
【0019】
基準器を封入すれば、空気の浮力と関連する問題は、ガス密囲いからガス、特に空気を排気することにより簡単に解決することができる。
【0020】
基準器のさらに好ましい実施の形態において、好ましくは10Hzから50Hzの範囲にある下限より高い周波数範囲にある被調整量の信号部分は高域フィルタを経由して調整器に伝達され、該調整器は増幅器、例えばインピーダンス変換器を制御するのに役立ち、該増幅器は基準レバーに取付けられた第2の基準コイルに補償電流を送出し、補償電流は基準磁石の磁界と相互に作用して前述の下限より高い周波数の攪乱が補正されることができるようにする磁界を生成する。複合攪乱はそれ故、基準として役立つ第1の基準コイルにおける補償電流を損なうことなく、第2の基準コイルによって素早く補正されることができる。基準電流はそれ故高周波攪乱から大きく免れたままである。
【0021】
基準器のさらに好ましい実施の形態において、補償電流は第2の基準コイルを経由して積分器の1つの入力に伝達され、該積分器の出力は増幅器の入力にフィードバックされ、それにより積分器の出力信号を常にその初期位置に復帰させるフィードバックループが形成される。その理由は、第2の基準コイルを流れるDC成分があれば、それは積分され正しい位相と共に増幅器の入力に復帰され、その結果、増幅器の入力にて存在し得る一定のオフセットが補償されるからである。この方策は攪乱関連の電流のみが第2の基準コイル中を流れるのを確実にするのに役立つ。従って、第1の基準コイルを流れる電流は、単独でかつそれ自体によって基準質量の力を完全に補償する補償力を生じさせる。
【0022】
基準器により生成された基準量は力測定装置において異なったやり方で使用することができる。例えば、基準器により生成された基準電圧をストレンゲージの原理に従って動作する測定器における測定ブリッジ回路に印加することができる。
【0023】
磁力補償の原理に従って動作する測定器において、基準器により生成された基準電流は、補償レバーに取付けられた第1及び第2の補償コイルを交互に流れるよう切り替えられることができ、その結果は永久磁石システムの磁界と協働して関連のレバー機構に補償レバーを経由して力が作用するようにする磁界であり、それによりレバー機構に同時に作用する測定対象の力が補償される。
【0024】
基準器により送出される基準電圧又は基準電流から、基準コイル中を流れる補償電流を導出することもさらに可能であり、それにより測定すべき荷重の力が補償される。
【0025】
本発明に従って生成された基準電圧又は基準電流はさらに、例えば参考文献[5]、第1043〜1062頁に記載された配列又は種類の測定器に組込まれるA/D変換器のための基準として役立つ。(参考文献[6]、第4頁、図8も参照。)
測定器及び基準器のレバーシステムは、測定器及び基準器のそれぞれの固定部品が共に結合され使用される一体設計概念に従って好ましくは組立てられる。好ましくは、測定器及び基準器はレバーシステムが組込まれた一体式構成の力伝達装置によって実現される。力測定装置に関し最もコンパクトな設計を得るため、基準器の少なくとも1つの基準レバーは好ましくは測定器の平行四辺形の固定部品に一体化される。この設計概念により、かつ放電加工法を通じて形成した一体式に形態づけられた力測定装置を使用することにより、ほとんど追加の費用がかからない基準器を生産し、かつ最小の追加のスペースのみを要求するやり方で基準器を力測定装置に一体化することが可能である。
【0026】
さらに好ましい設計の力測定装置は、測定器と基準器とに共通に使用される磁石システムを有する。これはまず第1に別個の磁石が不要となるのでコストを減少させる。さらなる利点として、装置はさらにコンパクトな設計を有することができる。温度の安定化に関し、1つの磁石でだけ実現すればよいので、さらなる利点がある。さらに、温度関連の変化が磁石システムの磁界に発生しても、そのような変化の測定システム及び基準システムに対するそれぞれの効果は互いに補償し合う。
【0027】
磁石システムの及び/又は測定器及び/又は基準器のコイルの温度は好ましくは記録され、測定値の補正のため使用されるようにする。温度関連の影響により引起されることがあり得る基準量又は測定器の測定結果のずれはそれによって補償されることができる。
【0028】
基準器を測定器と結合させることは厳格な要求条件ではない。基準器を単位構成体として形態づけることもできる。それが必要と思われれば、単位構成体の基準器は基準器に特有のデータの保存のため少なくとも1つの記憶装置を有することができる。例えば、最終試験で得られた補正データ又は識別コードをこの記憶装置に保存し、後に力測定装置の演算処理器により呼出すことができる。
【0029】
基準器はさらに、例えばマイクロ電気機械システム(所謂MEMS)として小型化することができる。そのような小型化設計の基準器は電気的及び機械的インターフェースを有することができ、該インターフェースは好ましくは、異なった供給者により集積回路の形で販売されている半導体基準装置と同じ寸法及び同じピン割当てを有する。先述のように、そのような易損性のシステムも好ましくはガス密囲いに封入し、封入内の中空空間を好ましくは排気する。
【0030】
先の説明の基準器は、力測定装置にだけでなく、精確な力関連の基準器が必要とされるすべての用途にも使用することができる。特に周囲環境の外部変動に曝される重力加速度測定装置、加速度計その他等の測定器械に関し、本発明の基準器は、そのような外部変動が基準量に同様に含まれるので、大きな利点を提示する。基準電流がアナログ又はデジタルフィルタによって平滑化されれば、本発明による基準器は他のすべての測定器械にも使用することができる。
【発明の実施の形態】
【0031】
本発明を以下図面を参照してより詳細に説明する。
【0032】
図1は測定器100を備えた電磁力補償の原理に従って動作する天秤1000を図示し、該測定器には1つの補償コイル1、又はプッシュプルモードの動作において反対向きの磁界を時間オフセットをもって生成するのに役立つ2つの補償コイル1a、1bを装備することができる。
【0033】
図1に概略的に表すこの天秤1000の機械的部品は固定平行四辺形脚部103を含み、該脚部は天秤ハウジング1001に堅く締結され、かつ荷重FMOを受けるのに役立つ片持アーム1041が形成された移動可能な平行四辺形脚部104に2つの案内部材101及び102によって接続される。2つの平行四辺形脚部103及び104は屈曲枢軸110により2つの案内部材101及び102に結合される。固定平行四辺形脚部103から延長する支持アーム1032に接続されるのは磁石システム2であり、該磁石システムは、極板22が頂部に配置されかつカップ形の磁界案内体23がループ状の磁束線を閉じる永久磁石21を含む。コイル1、又は選択肢として2つのコイル1a、1bが電界案内体23及び極板22間の空隙25中に上から下ろされる。コイル1又は代替的に2つのコイル1a、1bは補償レバー105に締結され、該補償レバーは連結要素1040を経由して荷重FMOの垂直成分を伝達する。補償レバー105は屈曲支点枢軸111によって、固定平行四辺形脚部103の支持アーム1032に締結された支柱1033から懸架される。参照符号3は光学位置センサー器を特定し、該センサー器は補償レバー105のノーマル位置からの偏位を検出するのに役立つ。
【0034】
天秤の電気的部品は温度センサー9を備えた補正回路を含み、該補正回路は荷重依存性の補償電流に影響を行使して、磁石システムの磁界強度の温度依存性が大きく補償されるようにする。
【0035】
1つの補償コイル1のみを備えたこの種類の天秤は例えば参考文献[7]に記載されている。そこに記載された天秤の電気的システムは、荷重FMOの垂直成分を補償する力を生成させる補償電流にとって決定的要素であるツェナーダイオードを備えた基準電圧源を含む。
【0036】
さらに公知なのは、2つの補償コイル1a、1b(図1a参照)が補償レバー105により保持された、電磁力補償の原理に従って動作する力測定装置であり、ここで基準電流IREFは2つのコイル中を交互に流れるよう切り替えられ、その結果磁石システム2の磁界と協働して力が補償レバー105を通じて連結要素1040に加わるようにする磁界が生成され、それにより荷重FMOの垂直成分が補償される。この形態の力測定装置又は天秤によれば、基準電流IREFは同様にツェナーダイオードによって生成することができる。
【0037】
基準電圧又は基準電流をツェナーダイオード又は追加の半導体構成部品によって生成することと関連する欠点はすでに上述した。
【0038】
本発明によれば、基準電流IREF及び/又はそれから導出され得る基準電圧UREFは、簡単な形態の図2に図示する型式の基準器100Rによって生成される。基準器100Rは基準質量mREFを担持する力測定装置であり、該装置は電磁力補償の原理に従って基準電流IREFを生成する。基準電流IREFはセンサー器3R及び調整装置4Rによって調整されて、基準レバー105Rにより保持された第1の基準コイル1Rにおいて、基準磁石2Rの磁界と協働して補償力Fが基準レバー105Rに加わるようにする磁界を生成させることができ、それにより同様に基準レバー105Rに作用している基準質量mREFの基準力FREFが補償される。基準質量mREFはレバー機構101、102、103、104によって保持され、固定レバー103は力測定装置、より具体的には天秤又は独立型の基準器100Rのハウジング1001により形成される。概略図に示すように、基準レバー105Rは無限に遠い距離に位置する仮想支点により回転可能に拘束されており、秤量皿上の基準質量の位置の変化は重要でない。さらに図示されているように、補償力Fは基準力FREFの反対の軸方向に向けられ、完全に後者と均衡する。
【0039】
一般に1〜2ナノメートルの範囲内の基準レバー105Rのノーマル位置からの偏位は、光学位置センサー器3Rによって検出される。光学位置センサー器3Rはシャッターベーン38を有し、該シャッターベーンは基準レバー105Rに接続され、かつ光源31と光センサーを備えたセンサー器32との間に配置され、光源31からの光はシャッターベーン38の開口部を通過してセンサー器32に至る。図2に表示するように2つの光センサーを有するセンサー器32は調整装置4にフィードバック量を提供する。しかしながら、センサー器32は2つの光センサーの代わりに2つの他のセンサー器、例えばフォトダイオードアレイ、PSD(位置敏感型装置)、画像処理機能付きカメラその他を有することもできる。調整装置4は例えばPID特質を備えた調整構成部品41及び可変的に制御可能な抵抗装置42を含み、それにより基準電流IREFは調整されて、基準レバー105Rが常にその、基準力FREFが補償力Fにより完全に補償されるノーマル位置(目標位置とも呼ばれる)に保持されるようにすることができる。基準電流IREFの経路は、基準抵抗器5を通じて器械接地GNDに導かれ、該抵抗器上に基準電圧UREFはそれ自体を結果として現す。
【0040】
図3は、共に上述のように電磁力補償の原理に従って動作する測定器100aと、これとほとんど同一に形態づけられた基準器100Rとを図示する。測定器100a及び基準器100Rの電気的及び電子的部品は、例えば図9に示す実施の形態に類似する。両方の器100及び100Rは、それぞれ要素101、102、103、104及び要素101R、102R、103R、104Rからなる平行四辺形が装備され、該平行四辺形は荷重mMO及びmREFの垂直成分のみをそれぞれの連結要素1040又は1040Rに伝達する機能を有する。それぞれの支持アーム1041、1041R上の荷重mMO又はmREFの位置の変化は、それ故測定に何らの影響も有しない。この比較的複雑かつ高価な基準器100Rの設計は、基準質量mREFを選択的に交換可能とする必要がある場合に使用される。
【0041】
図4は、レバー機構の代わりに基準レバー105Rのみを有するより簡単な形態の基準器100Rを備えた図3の力測定装置1000を示し、該基準レバーは一端に同時に基準質量mREFとしても役立つ基準コイル1Rを担持し、かつ他端にて支点要素111Rにより拘束される。この実施の形態における基準質量mREFは交換可能であることが意図されていないので、基準質量mREFの形状及び配列は任意の選択に委ねられる。結果として、図4に示すように、基準コイル1Rそれ自体が基準質量mREFとして使用され、それによって並外れて簡単な形態の基準器100Rが得られる。しかしながら、この実施の形態では、基準レバー105R及び基準コイル1Rにより排除される空気体積の結果、気圧に依存する浮力が発生することに注意する必要がある。気圧の変化は、基準レバー105Rに作用する下向きの力FREFの変化と、これと同時に基準磁石2Rの磁界と協働する磁界を生成させる基準電流IREFの変化とを引起す。図4の力測定装置1000はそれ故空気圧が一定であれば最適の結果をもたらす。
【0042】
しかしながら、より長い時間の間に気圧はある一定の海抜高度にて一般に40hPA、すなわち公称気圧の約4%の範囲内で変動する。図5に示す形態の基準器100Rにおいて、基準レバー105Rにはそれ故補償空気排除体が装備され、該空気排除体は支点要素111Rの両側の基準レバー105Rの体積部分、従ってそれらに作用する浮力が次のとおり互いに相殺するよう設計される。
V1×s1=V2×s2
V1は基準コイル1R及び支点要素111Rの一方の側の基準レバー105Rの全体積を表す。距離s1は支点要素111Rからの体積V1の重心の距離である。V2は支点要素111Rの他方の側の基準レバー105Rの体積並びに補償空気排除体1050Rの体積を表す。距離s2は支点要素111Rからの体積V2の対応する重心の距離である。距離sは、結果として生じる基準力FREFの、回転中心からの、すなわち支点要素111Rからの距離である。この場合の体積V1及びV2は、空気排除に関連する基準レバー105Rの外体積を表す。
【0043】
平衡条件V1×s1=V2×s2が満たされれば、気圧の効果は補償される、それというのは、支点の両側の浮力の計算において、空気密度ρ及び重力加速度gは等式(ρ×V1×g×s1=ρ×V2×g×s2)
の両辺に加入されるからである。浮力はそれ故基準力FREFに何らの影響も有しない。
【0044】
しかしながら、支点要素111Rの各々の側の基準レバー105Rの重さ成分は異なった密度ρ1及びρ2を有する。補償排除体1050Rの及びこれと関連する基準レバー105Rの部分の密度ρ2は、基準コイル1Rの側の距離sにて要求される基準力FREFを得るためできるだけ小さくする必要がある:
REF=(ρ1−ρ2)×V1×s1×g/s
【0045】
さらに、回転慣性モーメントは小さくすべきである。慣性モーメントは回転軸からの距離の2乗によるので、距離s2はできるだけ短くすべきであり、しかし結果として、補償排除体1050Rは相応してより大きい体積V2を有する必要がある。
【0046】
従って、測定器100及び基準器100Rの設計に関し満たさなければならない数多くの要求条件がある。これらの要求条件は、好ましくは固体金属から放電加工法によって加工され、両器100及び100Rの共有使用に役立つ一体式に形態づけられた力伝達装置を使用することにより特に有利に満足させることができる。測定器100及び基準器100Rのコンパクト設計を許容するこの種類の一体式形態の力伝達装置150を図6に図示する。一体式に形成された力伝達装置150は、すでに図2の概略図で示したように、平行四辺形の要素101、102、103、104を含む。固定平行四辺形脚部103は2つの案内部材101及び102によって移動可能な平行四辺形脚部104に接続され、該移動可能な脚部は測定する必要のある測定対象の力FMOを受取り、かつ一体式形態の力伝達装置150内に配列された補償レバー105の部分105Aに連結要素29を経由して接続される。関連する支点要素111Rを備えた基準レバー105Rの部品105R−Aは固定平行四辺形脚部103内に形成される。
【0047】
図7は、測定器100及び基準器100Rのための補償コイル1、基準コイル1R、磁石システム2及び2R、並びに光学センサー器3、3Rを備えた図6の一体式に形態づけられた力伝達装置150を図示する。補償レバー105及び基準レバー105Rの第1の部品105−A及び105R−A、すなわち一体式に形態づけられた力伝達装置150に組込まれた部品、はそれぞれの補償レバー105及び基準レバー105Rの第2の部品105−B及び105R−Bに接続され、該第2の部品は二つ一組で形態づけられ、かつ一体式に形態づけられた力伝達装置150の両側から第1の部品にねじ止めされている。第2の部品105−B及び105R−Bはそれらと関連する磁石システム2、2Rの上方に配置された補償コイル1及び基準コイル1Rを保持し、該磁石システムは一体式に形態づけられた力伝達装置150にボルト止めされた片持アーム20及び20Rによりそれぞれ支持される。レバー105、105Rの変位を記録するのに役立つ位置センサー器3、3Rも示されている。さらに図示されているのは、基準レバー105Rのそれぞれの部分に一体式形態の力伝達装置150の両側から接続された2つの排除補償体1050Rである。
【0048】
一体式に形態づけられた力伝達装置150に関し数多くの他の設計可能性が存在する。磁石システム2、2Rを例えば互いに反対側に配列することができよう。しかしながら、本配列は、機械的攪乱の場合に、測定器100及び基準器100Rが同じように影響を受けるので、攪乱に対するそれらの応答が互いに相殺するという利点を有する。もちろん、数個のレバーを備えた減衰機構を有する一体式形態の力伝達装置150を使用することも可能である。(図面に示す秤量セルは2つのレバーを有する、しかし1つだけのレバー又は数個のレバーを使用することも同様に可能である。)
一体式に形態づけられた力伝達装置の使用により、数個の基準信号を力測定装置1000のため又は他の測定器械のため生じさせ得る1つ又は複数の基準器103を実現することも特に簡単である。
【0049】
図8は磁石システム2−2Rの使用を共有する測定器100及び基準器100Rを備えた力測定装置1000を図示する。この概念は、例えば図6に示す一体式に形態づけられた力伝達装置150の場合に、さらになお簡単化されたよりコンパクトな装置の設計を許容する。磁石システム2−2Rは各々の側に補償コイル1及び基準コイル1Rをそれぞれ受け入れるよう設計されたリング形の空隙を有する。磁石システム2−2Rの支持体1033にはこの場合基準コイル1Rへのアクセスを許容するため開口部120が装備される。コストの減少のほかに、本発明のこの実施の形態は、温度補償が1つの磁石システム2−2Rに対してのみ必要という特別な利点を有する。さらに、磁束の変化が測定器100及び基準器100Rに等しく影響を及ぼすので、変化があった場合に測定器及び基準器に対する効果は互いに相殺する。
【0050】
図9は例えば図2による基準器100Rを図示し、
a)基準電流IREFが供給される第1の測定器100aを備え、
b)基準電圧UREFがストレンゲージブリッジ回路に印加される第2の測定器100bを備え、及び
c)基準電圧UREFがA/D変換器に送出される第3の測定器100cを備える。
【0051】
第1の測定器100aはプッシュ/プル原理に従って動作し、かつパルス幅変調又はシグマ−デルタ(σ−δ)法に従って変調されたデジタル信号を送出する変調器400を含む。これら2つの方法(PWM及びσ−δ)は例えば[8]R.Esslinger、G.Gruhler、R.W.Stewart著、”Digital Power Amplification based on Pulse−Width Modulation and Sigma−Delta Loops”、Signal Processing学科、Electronic and Electrical学部、Strathclyde大学、グラスゴー G1 1XW、スコットランド、に記載されている。
【0052】
PWM法の下では、調整器4によって送出されたアナログフィードバック信号sは互いに相補的なパルス対に変換され、それらの幅は補償すべき荷重に従って、各対の組合せ幅が合計1となるように調整される。このように生成されたパルスはスイッチ42a及び42bを作動させるのに役立つ。第1のパルスの1の幅は天秤上に何ら荷重がないことを表示する。両パルスの幅が等しければ、天秤はその容量の半分まで荷重されており、第2のパルスの幅が1に等しければ、天秤上には全容量の荷重がある。荷重の大きさは従って1つのパルスの幅(すなわち、持続時間)中のクロックパルスをカウントすることにより決定することができる。
【0053】
σーδ法の下では、調整器4により送出されたアナログフィードバック信号sは0及び1の値を備えたパルス系列に変換され、パルスの数は選択可能であり、その平均値がアナログフィードバック信号sの値を表す。0の値及び1の値を備えたパルスの数の比は従って荷重FMOの量を表示する。
【0054】
図10に図示する基準器100Rの好ましい形態において、好ましくは10Hz〜50Hzの範囲に設定された下限より高い周波数を備えたフィードバック量の信号成分は、高域フィルタ43を経由して調整器44に向けられ、該調整器の出力信号は、インピーダンス変換器として機能するよう配列された演算増幅器46の非反転入力に抵抗器45を経由して導かれる。相応の補償電流Iが演算増幅器46から補償レバー105Rに接続された第2の基準コイル1Rbに送出され、そこで補償電流Iは、基準磁石2Rの磁界と協働してより高い周波数範囲の攪乱を補正するようにする磁界を生成する。外乱の効果は、それ故第1の基準コイル1Raにおける基準電流IREFを損なうことなく第2の基準コイル1Rbによって迅速に補正されることができる。基準電流IREF又は、ある場合に基準電流IREFから導出され得る基準電圧UREFは、それ故攪乱から大きく免れたままである。
【0055】
第1の基準コイル1Raにおける基準電流IREFのドリフト又はずれの可能性を回避するため、第2の基準コイル1Rbを通じて導かれる補償電流Iは、出力が抵抗器48を経由して演算増幅器46の非反転入力に復帰する積分器47の反転入力に向けられ、それにより積分器47の出力信号を常にその初期位置に復帰させるサーボループが設定される。積分器は演算増幅器47として形態づけられ、その出力は抵抗器471及びコンデンサ472を経由してその反転入力に接続される。
【0056】
結果として生じ第2の基準コイル1Rbを流れるDC成分は、それ故積分された形でかつ正しい位相と共に演算増幅器47の非反転入力に復帰され、それによりその場所にて存在し得る一定のオフセットが補償される。この方策は第2の基準コイル1Rbが力補償に役立つ電流でなく高周波の外乱と関連する電流のみを運ぶことを確実にする。
【0057】
好ましくは天秤として使用される本発明による力測定装置1000を好ましい実施の形態で説明し、図示した。しかしながら、本発明による基準器は任意の他の重力測定器械、又は他の測定器械とも関連して有利に使用することができる。
【0058】
力測定装置1000の基準器100R及び測定器100の電気機械的設計並びに電子回路設計を一部簡単化された形又は代表的な例を通じて提示した。しかしながら、本発明性ある解法は、特に任意の所望の形態のレバー機構、測定装置、磁石システム、コイルシステム及び調整システムを備えた任意の所望の形態の基準器100R及び測定器100と共に使用することができる。
【参考文献リスト】
【0059】
[1]”Build your Quality on a Solid Foundation!”、会社出版物、Mettler Toledo社、2001年1月
[2]”Wagefibel”(秤量入門書)、Mettler Toledo社、2001年4月
[3]米国第2004/0088342号A1
[4]米国第6,271,484号B1
[5]U.Tietze、Ch.Schenk著、”Halbleiterschaltungstechnik”(半導体回路設計)、第11版、第2刷、Springer Verlag社、ベルリン、1999年
[6]Albert O’Grady著、Transducer/Sensor Excitation and Measurement Techniques、Analog Dialogue 34−5 (2000)
[7]ドイツ国特許第3324402号
[8]R.Esslinger、G.Gruhler、R.W.Stewart著、”Digital Power Amplification based on Pulse−Width Modulation and Sigma−Delta Loops”、Signal Processing学科、Electronic and Electrical学部、Strathclyde大学、グラスゴー G1 1XW、スコットランド
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、電磁力補償の原理に従って動作し、かつ1つの補償コイル1、又はプッシュプルモードの動作において反対向きの磁界を時間オフセットをもって生成させることができる2つの補償コイル1a及び1bを装備することができる力測定装置1000を表す。
【0061】
図1aは、スイッチ手段42a、42bを備えた2つの補償コイル1a、1bを図示し、該スイッチ手段は補償すべき荷重の大きさに従ってシグマ/デルタ変調又はパルス幅変調される互いに相補的な基準電流IREFの成分を基準コイル1a、1bに供給するのに役立つ。
【図2】電磁力補償の原理に従って動作し、かつ測定器100、例えば図1aの回路配列のため基準電流IREFを生成させる基準器100Rを概略的に図示する。
【図3】本発明による力測定装置1000の電気機械システムを図示し、該システムは、電磁力補償の原理に従って機能する測定器100と、異なった基準質量mREFを選択的に装着することができるほとんど同一設計の基準器100Rとを含む。
【図4】簡単設計の基準器100Rを備えた図3の力測定装置1000を示し、該基準器はレバー機構の代わりに基準レバー105Rのみを含み、該レバーは、基準質量mREFとしても同時に役立つ基準コイル1Rを一端にて担持し、かつ他端にて回転可能に支持され、従って気圧に依存する浮力を受けやすい。
【図5】基準レバー105Rを備えた好ましい形態による基準器100Rを備えた図4の力測定装置1000を示し、該基準レバーは、支点111Rの一方の側に基準質量mREFとして役立つ基準コイル1Rを、支点111Rの他方の側に補償空気排除体、例えば支点111Rの両側の基準レバー105R及びそれに接続された部品の体積を釣合わせるのに役立つ密閉補償容器を担持する。
【図6】測定器100のための及び基準器100Rのためのレバー機構を装備した一体式形態の力伝達装置150を図示する。
【図7】図6の一体式形態の力伝達装置150を示し、該装置には補償コイル1と、基準コイル1Rと、磁石システム2、2Rと、測定器100及び基準器100Rのための光学位置センサー器3、3Rとが装備され、基準器にはほかに2つの補償空気排除体1050Rが装備される。
【図8】測定器100と基準器100Rとが磁石システム2−2Rの使用を共有する力測定装置1000を示す。
【図9】例えば図2〜8の1つによる基準器100Rを示し、該基準器は一方ではプッシュプル原理に従って動作する第1の測定器100aで基準として使用される基準電流IREFを生成し、かつ他方では第2の測定器100Bで測定ブリッジのための動作電圧として、また第3の測定器100cでA/D変換器のための基準として使用される基準電圧UREFを生成する。
【図10】図2〜8の1つによる基準器100Rを示し、該基準器には第2の基準コイル1Rbと、これと関連するサーボフィードバックシステムが追加され、これらを通じて第1の基準コイル1Ra中を流れる基準電流IREFを損なうことなくより高い周波数範囲の攪乱を補償することができる。
【符号の説明】
【0062】
1R・・・・・・第1の基準コイル
1Ra・・・・・第1の基準コイル
2R・・・・・・基準磁石
2−2R・・・・基準磁石
3R・・・・・・測定装置
4R・・・・・・調整装置
100・・・・・測定器
100R・・・・基準器
105R・・・・基準レバー
1000・・・・力測定装置
REF・・・・・基準電流
REF・・・・・基準電圧
MO・・・・・・測定対象の力
REF・・・・・基準質量
REF・・・・・基準質量の基準力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
力測定装置(1000)であって、測定器(100)と、さらに基準器(100R)とを備え、該基準器は決定すべき測定対象の力(FMO)が該測定器(100)により測定及び/又はデジタル化されることができるようにする基準量、基準電流(IREF)又は基準電圧(UREF)を送出するのに役立つ力測定装置において、該基準器(100R)は基準質量(mREF)が装着されたところの、かつ電磁力補償の原理に従って基準電流(IREF)を生成し、該基準電流を測定及び調整装置(3R、4R)によって制御して基準レバー(105R)により保持された第1の基準コイル(1R、1Ra)において該基準電流(IREF)が、基準磁石(2R;2−2R)の磁界と相互に作用して磁力が該基準レバー(105R)に加わるようにする磁界を生成することができるようしたところの力測定装置であり、該基準レバーに同様に作用している該基準質量(mREF)の力(FREF)が前記磁力により補償されることができるようにしたことを特徴とする、前記力測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の力測定装置(1000)において、該基準電流(IREF)は基準抵抗器(5)の両端に基準電圧(UREF)を生成するため前記基準抵抗器(5)を通じて導かれ、及び/又は該基準電流(IREF)又は該基準電圧(UREF)はデジタル基準量として変換され、使用されることを特徴とする、前記力測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の力測定装置(1000)において、該基準レバー(105R)の実際の瞬間位置は対応するフィードバック量を送出するのに役立つ光学位置センサー器(3R)によって測定でき、該フィードバック量に基づいて該調整装置(4R)中を流れる基準電流(IREF)は該基準レバー(105R)が常に目標位置に復帰するよう制御されることができることを特徴とする、前記力測定装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の力測定装置(1000)において、その周波数が10Hzから50Hzの範囲内の所定の値を超える該フィードバック量の信号成分は、高域フィルタ(43)を経由して調整器(44)に送られることができ、該調整器によって増幅器(46)は制御されて対応する補償電流(I)を該基準レバーに接続された第2の基準コイル(1Rb)に送ることができ、該補償電流(I)は該基準磁石(2R)の磁界と協働して該より高い周波数範囲の攪乱の効果が補正されることができるようにする磁界を生成することを特徴とする、前記力測定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の力測定装置(1000)において、該補償電流(I)は該第2の基準コイル(1Rb)を経由して、その出力が該増幅器(46)の入力に復帰される積分器(47)の入力に向けられることができ、それにより該積分器(47)の出力信号を常に出発位置に復帰させるフィードバックループが確立されることを特徴とする、前記力測定装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の力測定装置(1000)において、
ストレンゲージの原理に従って動作する測定器(100)において、該基準器(100R)により生成された該基準電圧(UREF)は測定ブリッジ回路に印加され、または、
磁力補償の原理に従って動作する測定器(100)において、該基準器により生成された該基準電流(IREF)は補償レバー(105)により保持された第1及び第2の補償コイル(1a、1b)中を交互に流れるよう切り替えられて、その結果は関連の磁石システム(2)の磁界と協働して関連のレバー機構(101、102、103、104)に該補償レバー(105)を通じて力が作用するようにする磁界となるようにし、それにより該レバー機構(101、102、103、104)に同様に作用している該測定対象の力(FMO)が該測定器(100)により補償されることができ、または、
該要求される補償電流は該基準電圧(UREF)から又は該基準電流(IREF)から導出され、または、
該測定器(100)はA/D変換器を備え、該変換器は、該測定対象(mMO)の測定された信号(sMO)がデジタル化されることができるようにする基準量として該基準電圧(UREF)又は該基準電流(IREF)を受取り、使用することができることを特徴とする、前記力測定装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の力測定装置(1000)において、該基準レバー(105R)は支点要素(111R)によって該測定器(100)の該レバー機構の固定部品(103)に接続され、及び/又は該基準レバー(105R)及び該測定器の該レバー機構(101、102、103、104)は一体式に形態づけられた力伝達機構(150)に少なくとも部分的に組込まれ、及び/又は該基準器(100R)のみが一体式に形態づけられた力伝達装置によって実現されることを特徴とする、前記力測定装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の力測定装置(1000)において、磁石システム(2−2R)が該測定器(100)と該基準器(100R)との共有使用のため設けられ、前記磁石システム(2−2R)の一方の側の磁界は該補償コイル(1)の磁界と、かつ該磁石システム(2−2R)の他方の側の磁界は該基準コイル(1R)の磁界と協働することを特徴とする、前記力測定装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の力測定装置(1000)において、該基準コイル(1R)と、適切な場合に該基準レバー(105R)の一部とが該基準質量(mREF)を形成することを特徴とする、前記力測定装置。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれかに記載の力測定装置(1000)において、該基準コイル(1R)の、及び該支点要素(111)の一方の側に位置する該基準レバー(105R)の部分の体積(V1)は、少なくとも1つの補償排除体(1050R)の、及び該支点要素(111)の他方の側の該基準レバー(105R)の部分の体積(V2)により、該支点からの重心の距離(s1、s2)を考慮に入れた時に、各々の側に発生する浮力が気圧の変化があっても互いにほぼ釣合いが取れるよう補償されることを特徴とする、前記力測定装置。
【請求項11】
請求項10に記載の力測定装置(1000)において、少なくとも1つの補償排除体(1050R)は交換可能であり、及び/又は該支点要素(111)からの該排除体(1050R)の距離は調節可能であることを特徴とする、前記力測定装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載の力測定装置(1000)において、該基準器(100R)はガス密囲い内に配列されることを特徴とする、前記力測定装置。
【請求項13】
請求項10に記載の力測定装置(1000)において、該ガス密囲いは排気されることを特徴とする、前記力測定装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかに記載の力測定装置(1000)において、該磁石システム(2、2R)の及び/又は該測定器(100)のコイル(1;1a、1b;1R;1Ra、1Rb)の及び/又は該基準器(100R)の温度は、測定値を補正するために測定され、使用されることができることを特徴とする、前記力測定装置。
【請求項15】
基準質量(MREF)に対応する基準電流(IREF)を生成するため動作可能な基準器(100R)において、測定及び調整装置(3R、4R)が設けられ、該装置によって該基準電流(IREF)を調整して、基準レバー(105R)により保持された第1の基準コイル(1R;1Ra)において、基準磁石(2R;2−2R)の磁界と相互に作用して力が該基準レバー(105R)に加わるようにする磁界が生成されることができるようにし、それにより該基準レバー(105R)に同様に作用している該基準質量(mREF)の基準力(FREF)が補償されることができるようにしたことを特徴とする、前記基準器。
【請求項16】
請求項15に記載の基準器(100R)において、該基準器(100R)は該基準器の特有のデータ及び/又は識別コードのための少なくとも1つの記憶装置を備えることを特徴とする、前記基準器。
【請求項17】
請求項15及び16のいずれかに記載の基準器(100R)において、該基準器(100R)は電気的及び機械的インターフェースを備えることを特徴とする、前記基準器。
【請求項18】
請求項15乃至17のいずれかに記載の基準器(100R)において、該基準器(100R)はマイクロ電気機械システムとして実行されることを特徴とする、前記基準器。

【図1】
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【図1a】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−64750(P2008−64750A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−213244(P2007−213244)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland