説明

力覚付与型入力装置

【課題】指示位置を目標位置に近い位置で停止させ、操作者に違和感を感じさせないようにすることができる力覚付与型入力装置を提供する。
【解決手段】制御手段3は、指示位置Pが第1の引込領域A1内からこれに隣接する第2の引込領域A2内に進入したとき、第2の引込領域A2の引込中心位置を所定時間だけ通常の引込中心位置Cから第1の引込領域A1に近い位置C′に変更してアクチュエータ23,24の駆動制御を行い、所定時間が経過した後は、第2の引込領域A2の引込中心位置を通常の引込中心位置Cに戻してアクチュエータ23,24の駆動制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばカーナビゲーションシステムなどに利用される力覚付与型入力装置に係り、特に、操作部の操作状態に応じて変化する指示位置を仮想平面上に予め設定された引込領域内に引き込むような操作感触を操作部に付与するタイプの力覚付与型入力装置における操作性の改善手段に関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は先に、この種の力覚付与型入力装置として、図8に示すように、指示位置Cが第1の引込領域A1からこれに隣接する第2の引込領域A2内に進入したとき、第2の引込領域A2の引込中心位置O2はそのままとし、第2の引込領域A2内に引き込まれた指示位置Cの動きにブレーキをかける方向の力(ブレーキフォース)を一時的にF2からF2′に増加させるものを提案した(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
本願出願人が先に提案した力覚付与型入力装置によれば、第2の引込領域A2内に指示位置Cが引き込まれた場合、第2の引込領域A2内におけるブレーキフォースが一時的にF2からF2′に増加されるので、第2の引込領域A2内に引き込まれた指示位置Cが勢い余って第2の引込領域から逸脱するといった不都合の発生を防止することができる。
【特許文献1】特開2005−250983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本願出願人が先に提案した特許文献1に開示の力覚付与型入力装置は、指示位置Cが第2の引込領域A2の引込中心位置O2を超えた後にブレーキフォースを増加する構成なので、移動中の指示位置Cは第2の引込領域A2の引込中心位置O2を大きくオーバーランして目標位置である引込中心位置O2から離れた位置で停止する。そのため、操作者に違和感を与えてしまうという問題点があった。
【0005】
本発明は、かかる従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、指示位置を目標位置に近い位置で停止させ、操作者に違和感を感じさせないようにすることのできる力覚付与型入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、手動操作される操作部と、前記操作部の操作状態を検出する検出手段と、前記操作部に力覚を付与するアクチュエータと、仮想平面及び前記仮想平面上に設定される複数の引込領域を記憶する記憶手段と、前記検出手段の出力信号に基づき前記仮想平面上における指示位置を演算すると共に、前記指示位置が前記引込領域内にあるときに前記指示位置を前記引込領域内に設定された引込中心に向かわせるよう前記アクチュエータの駆動制御を行う制御手段とを備えた力覚付与型入力装置であって、前記制御手段は、前記指示位置が第1の引込領域内からこれに隣接する第2の引込領域内に進入したとき、前記第2の引込領域の引込中心位置を所定時間だけ通常の引込中心位置から前記第1の引込領域に近い位置に変更して前記アクチュエータの駆動制御を行い、前記所定時間が経過した後は、前記第2の引込領域の引込中心位置を前記通常の引込中心位置に戻して前記アクチュエータの駆動制御を行うという構成にした。
【0007】
かかる構成によると、移動中の指示位置が通常の引込中心位置に達する前に操作部にブレーキフォースを付与するので、指示位置のオーバーランを抑制しやすく、指示位置を目標位置である通常の引込中心位置に近い位置で停止させることができる。また、引込中心位置の変更は、指示位置を第1の引込領域内からこれに隣接する第2の引込領域内に移動する場合に、第2の引込領域についてのみ一時的に行うので、その他の操作部の操作状況においては、いずれの引込領域においても同等の操作感触が得られる。
【0008】
また、本発明は、前記構成の力覚付与型入力装置において、前記制御手段は、前記第2の引込領域における通常の引込中心位置から前記第1の引込領域に近い位置への引込中心位置の変更を迅速に行い、前記第1の引込領域に近い位置から前記第2の引込領域における通常の引込中心位置への引込中心位置の変更を徐々に行うように、前記各引込中心位置の変更を時間依存で制御するという構成にした。
【0009】
第2の引込領域における通常の引込中心位置から第1の引込領域に近い位置への引込中心位置の変更は、第2の引込領域内に進入した指示位置が第2の引込領域における通常の引込中心位置に達する前に操作部にブレーキフォースを付与するためのものであるので、迅速に行われるほど好ましい。これに対して、第1の引込領域に近い位置から第2の引込領域における通常の引込中心位置への引込中心位置の変更を迅速に行うと、指示位置が第1の引込領域に近い位置に引き込まれた状態から第2の引込領域における通常の引込中心位置に急激に移動されることになるので、操作部に衝撃的な力が作用し、操作者に違和感を与える。そこで、第2の引込領域の引込中心位置を第1の引込領域に近い位置から通常の引込中心位置に戻す際の引込中心心位置の変更が徐々に行われるように時間依存で制御することにより、かかる不都合が防止され、操作部の操作感触を良好なものにすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、指示位置が第1の引込領域からこれに隣接する第2の引込領域内に移動したとき、第2の引込領域の引込中心位置を所定時間だけ通常の引込中心位置から第1の引込領域に近い位置に変更するので、指示位置を目標位置である第2の引込領域の通常の引込中心位置に近い位置で停止させることができ、操作者に違和感を感じさせないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る力覚付与型入力装置の実施形態例を図1乃至図9に基づいて説明する。図1は実施形態例に係る力覚付与型入力装置の構成図、図2は実施形態例に係る入力手段の側面方向より見た断面図、図3は実施形態例に係る入力手段の平面方向より見た断面図、図4は実施形態例に係る記憶手段に記憶される仮想表示画面を示す図、図5は1の引込領域内における実施形態例に係る力覚付与型入力装置のフォース形状を示すグラフ図、図6は指示位置が隣接する2つの引込領域の境界を越えて移動された場合における実施形態例に係る力覚付与型入力装置のフォース形状を示すグラフ図、図7は実施形態例に係る力覚付与型入力装置における引込力の制御手順を示すフローチャートである。
【0012】
図1に示すように、本実施形態例に係る力覚付与型入力装置は、ポインタPt及び複数個のボタンBt1〜Btnを含む所要の画像を表示する表示手段1と、表示手段1に表示されたポインタPtの移動及び表示手段1に表示されたボタンBt1〜Btnの選択を行う入力手段2と、表示手段1及び入力手段2の制御を行う制御手段3とから主に構成されている。なお、ポインタPtは、後述する位置情報記憶部45に記憶された指示位置Pに対応して表示されるものであり、ボタンBt1〜Btnは位置情報記憶部45に記憶された機能領域B1〜Bnに対応して表示されるものである。
【0013】
表示手段1としては、例えば液晶表示装置が用いられる。なお、ポインタPt及びボタンBt1〜Bnの座標は、表示手段1の水平方向をx軸、垂直方向をy軸として決定される。
【0014】
入力手段2は、図1に示すように、揺動レバー21aを有する機構部21と、揺動レバー21aの先端部に取り付けられた操作部22と、揺動レバー21aを介して操作部22に引込力を付与する第1及び第2のアクチュエータ23,24と、揺動レバー21aの直交する2方向の操作量を検出する第1及び第2の検出部25,26とからなる。
【0015】
機構部21は、図2及び図3に示すように、揺動レバー21aと、ケース31と、ケース31に回転可能に保持されたレバー保持軸32及びスイングアーム33とからなる。レバー保持軸32とスイングアーム33とは、互いに直交する方向に配置され、レバー保持軸32には、揺動レバー21aがスイングアーム33の回転方向にのみ回転できるように取り付けられる。なお、図中の符号21bは、揺動レバー21aの揺動中心軸を示している。一方、スイングアーム33には長溝33aが開設されており、揺動レバー21aの下端部が貫通される。前記長溝33aの溝幅は、揺動レバー21aの下端部の直径よりも若干大きい程度に形成され、揺動レバー21aをレバー保持軸32の回転に伴って揺動する方向(X−X方向)に揺動した場合には、長溝33a内を揺動レバー21aの下端部が自由に摺動でき、揺動レバー21aを揺動中心軸21bの回転に伴って揺動する方向(Y−Y方向)に揺動した場合には、スイングアーム33が揺動レバー21aと一体となって揺動するようになっている。
【0016】
このように構成されていることから、揺動レバー21aはレバー保持軸32及び揺動中心軸21bを中心として任意の方向に揺動することができる。そして、レバー保持軸32は、揺動レバー21aのX−X方向への揺動量に比例する回転量だけ揺動レバー21aの揺動方向に回転され、スイングアーム33は、揺動レバー21aのY−Y方向への揺動量に比例する回転量だけ揺動レバー21aの揺動方向に回転される。
【0017】
操作部22は、操作者によって操作可能な形状及びサイズに形成されている。また、ケース31の上面には、表示手段1に表示されたボタンBt1〜Btnの選択スイッチ22aが設定されている。
【0018】
第1のアクチュエータ23は、前記レバー保持軸32に連結され、前記操作部22を表示手段1に設定されたx軸方向に駆動する。これに対して、第2のアクチュエータ24は、前記スイングアーム33に連結され、前記操作部22を表示手段1に設定されたy軸方向に駆動する。これら第1及び第2のアクチュエータ23,24としては、DCモータなどの電動モータを用いることができる。
【0019】
第1及び第2の検出部25,26は、アクチュエータ23,24の回転軸に連結されて、それらの回転軸の回転方向と回転量とを検出し、それに応じた電気信号を出力するものであって、例えばロータリエンコーダなどが用いられる。
【0020】
制御手段3は、図1に示すように、タイマー41aを備えたCPU又はMPUからなる制御部41と、制御部41の動作プログラムが記憶されるプログラム記憶部42と、第1の検出部25から出力される第1の検出信号a及び第2の検出部26から出力される第2の検出信号bを制御部41に取り込む検出信号入力部43と、選択スイッチ22aから出力されるスイッチ信号cを制御部41に取り込むスイッチ信号入力部44と、表示手段1に表示されるポインタPtの表示位置を決定する仮想平面上における指示位置Pの座標やボタンBt1〜Btnの表示位置を決定する機能領域B1〜Bnの座標(図4参照)等を記憶する位置情報記憶部45と、仮想平面上における指示位置Pの座標及び引込領域Aの座標(図5参照)に応じた引込力の演算式及び引込中心位置の変更時間などを記憶するフィーリングデータ記憶部46と、引込力を演算する際の基礎となる係数などの作業データが記憶された作業データ記憶部42aと、制御部41から出力されるアクチュエータ駆動信号d,eに応じたアクチュエータ駆動電力f,gを出力して第1及び第2のアクチュエータ23,24を駆動する第1及び第2のモータドライバ47,48と、制御部41から出力される表示手段駆動信号hに応じた表示手段駆動電力iを出力して表示手段1を駆動するディスプレイドライバ49とから構成されている。
【0021】
制御部41は、第1の検出信号a及び第2の検出信号bに基づいて仮想平面上の指示位置Pを算出し、算出された指示位置Pに基づいて表示手段1に表示されたポインタPtを操作部22の操作方向に応じた方向に操作部22の操作量に応じた量だけ移動する。
【0022】
また、制御部41は、図4に示すように、仮想平面上の指示位置Pの現在位置の座標(x,y)と位置情報記憶部45に記憶された仮想平面上の各機能領域B1〜Bnの中心位置の座標(x1,y1)とから指示位置Pを引き込ませるべき機能領域の現在位置(図4の例では機能領域B5)を割り出すと共に、フィーリングデータ記憶部46に記憶された演算式(図5のフォース形状に相当)に基づいて指示位置Pの現在位置と指示位置Pを引き込ませるべき機能領域Bの中心位置Oの座標に応じた引込力Fを求め、前記割り出された機能領域Bの中心位置Oに指示位置Pを引き込むように第1及び第2のアクチュエータ23,24を駆動する。なお、図5に示すように、本例においては、機能領域Bの中心位置Oと引込領域Aの通常の引込中心位置Cとが同一位置に設定されている。
【0023】
指示位置Pを引込領域Aの通常の引込中心位置Cに引き込むために第1及び第2のアクチュエータ23,24によって操作部22に付与される引込力Fは、指示位置Pが1の引込領域内で移動する場合には、図5に例示するように、機能領域Bの中心位置から引込領域A内に設定された所定の半径位置までは機能領域Bの中心位置からの距離に応じて1次関数的に増加し、前記所定の半径位置から引込領域Aの境界までは予め定められた所定の値Fmaxに設定される。したがって、指示位置Pを機能領域Bの中心位置から引込領域Aの終端まで移動するまでの間には、図5のハッチングを施した面積に相当する引込力の総量(力積)が操作部22に付与される。これにより、指示位置Pを引込領域A内に設定された通常の引込中心位置Cに引き込むことができる。
【0024】
これに対して、指示位置Pが1の引込領域からこれに隣接する他の引込領域に移動する場合、例えば図6に示すように引込領域A1から引込領域A2に移動する場合には、指示位置Pが引込領域A1と引込領域A2の境界を越えた段階で制御部41が引込領域A2の引込中心位置を通常の引込中心位置Cから引込領域A1に近い位置C′に一時的に変更し、次いで所定時間の経過後、制御部41が引込領域A2の引込中心位置を引込領域A1に近い位置C′から通常の引込中心位置Cに復帰させる。このように引込領域A2の引込中心位置を通常の引込中心位置Cから引込領域A1に近い位置C′に変更すると、引込領域A2内を移動中の指示位置Pが目標位置である通常の引込中心位置Cに達する前に操作部22にブレーキフォースが付されるので、指示位置Pが通常の引込中心位置Cをオーバーランしにくく、仮にオーバーランしたとしてもその量を小さくすることができる。よって、指示位置Pを目標位置である引込領域A2の通常の引込中心位置Cに近い位置で停止させることができる。また、所定時間の経過後に引込領域A2の引込中心位置を引込領域A1に近い位置C′から通常の引込中心位置Cに戻すので、指示位置Pが1の引込領域からこれに隣接する他の引込領域に移動する場合以外の操作状況においては、いずれの引込領域においても同等の操作感触が得られる。
【0025】
なお、制御手段3は、第2の引込領域A2における通常の引込中心位置Cから第1の引込領域A1に近い位置C′への引込中心位置の変更については、指示位置Pが第2の引込領域A2における通常の引込中心位置Cに達する前に操作部22にブレーキフォースを付与し、指示位置Pのオーバーランを抑制するため、迅速に行う。これに対して、第1の引込領域A1に近い位置C′から第2の引込領域A2における通常の引込中心位置Cへの引込中心位置の変更については、操作部22に衝撃的な力が作用するのを防止するため、徐々に行う。「徐々に」とは、「操作部22に衝撃的な力を与えない程度」という意味であり、位置C′から位置Cへの引込中心位置の移動に10mS程度の時間をかけることにより、かかる目的を達成することができて、操作部22の操作感触を良好なものにすることができる。
【0026】
以下、制御部41によって行われる指示位置Pの引込制御を、図7のフローチャートに従って説明する。
【0027】
まず、第1及び第2の検出部25,26によって検出される指示位置Pの位置情報及び位置情報記憶部45に記憶された各引込エリアA1〜Anの座標情報に基づいて、指示位置Pが位置している現在の引込領域の番号(現引込領域番号)を決定し(手順S1)、決定された現引込領域番号を作業データ記憶部42aに記憶する(手順S2)。次いで、決定された現引込領域番号が先に作業データ記憶部42aに記憶された引込領域番号(旧引込領域番号)と同じか否かを判定し(手順S3)、同じであると判定された場合には、手順S4に移行して、制御部41内に設定されたタイマー41aの計測時間がフィーリングデータ記憶部46に予め記憶された引込中心移動時間に達したか否かを判定する。
【0028】
手順S3において現引込領域番号が旧引込領域番号と同じであると判定され、かつ手順S4において移動時間タイマー41aの計測時間がフィーリングデータ記憶部46に記憶された引込中心移動時間に達したと判定された場合には、指示位置Pを現引込領域番号内の引込中心上に位置付ける意志があるということであるので、現引込領域番号に対応する引込領域の引込中心を通常位置Cに設定する(手順S5)。制御部41は、設定された引込中心位置C、検出部25,26から入力される指示位置Pの位置情報、フィーリングデータ記憶部46に記憶されたフォース形状、並びに作業データ記憶部42aに記憶された数式や係数などに基づいて指示位置Pの引込力を演算し、モータドライバ47,48に出力する(手順S6)。
【0029】
手順S3において現引込領域番号が旧引込領域番号と同じでないと判定された場合には、現引込領域番号で表される引込領域への指示位置Pの進入位置の座標(本例の場合、図6の右上に示す図の左側)と当該引込領域における通常の引込中心位置Cの座標とに基づいて、引込中心位置を移動すべき指示位置Pの進入位置に近い位置C′を決定する(手順S7)。次いで、通常の引込中心位置Cと移動後の引込中心位置C′との距離に応じて、移動後の引込中心位置C′から通常の引込中心位置Cまでの引込中心移動時間を決定し、作業データ記憶部42aに記憶した後(手順S8)、タイマー41aをリセットする(手順S9)。
【0030】
手順S3において現引込領域番号が旧引込領域番号と同じでないと判定され、かつ手順S4においてタイマー41aの計時時間が作業データ記憶部42aに記憶された引込中心移動時間に達していないと判定された場合には、指示位置Pが現引込領域番号で表される引込領域内に移動される可能性が高いということであるので、タイマー41aによる計時を続行しつつ(手順S10)、現引込領域番号で表される引込領域の引込中心位置を通常の引込中心位置Cに代えて指示位置Pの進入位置に近い位置C′とする(手順S11)。次いで、変更後の引込中心位置C′に基づいて現引込領域番号で表される引込領域への指示位置Pの引込力を演算し、モータドライバ47,48に出力する(手順S12)。最後に、位置情報記憶部45に記憶された引込領域番号を現引込領域番号に書き替え(手順S13)、以下、上述の動作を繰り返す。
【0031】
このように、本実施形態例に係る力覚付与型入力装置は、移動中の指示位置Pが目標位置である通常の引込中心位置Cに達する前に操作部22にブレーキフォースを付与できるので、指示位置Pが通常の引込中心位置Cを越えてオーバーランしにくく、指示位置Pを目標位置である通常の引込中心位置Cに近い位置で停止させることができる。よって、操作者に違和感を感じさせないようにすることができる。また、引込中心位置の移動は、指示位置Pを第1の引込領域A1からこれに隣接する第2の引込領域A2内に移動する場合に、第2の引込領域A2についてのみ一時的に行うので、その他の操作部の操作状況においては、いずれの引込領域においても同等の操作感触が得られる。
【0032】
また、本実施形態例に係る力覚付与型入力装置は、制御手段3が、第2の引込領域A2における通常の引込中心位置Cから第1の引込領域に近い位置C′への引込中心位置の変更については迅速に行い、第1の引込領域に近い位置C′から第2の引込領域A2における通常の引込中心位置Cへの引込中心位置の変更については徐々に行うように、各引込中心位置の変更を時間依存で制御するので、操作部22に衝撃的な力が作用せず、操作部22の操作感触を良好なものにすることができる。
【0033】
なお、前記実施形態例においては、表示手段1に表示されたポインタPtを同じく表示手段1に表示されたボタンBに引き込まれるように表示制御を行うものを例にとって説明したが、本発明の要旨はこれに限定されるものではなく、矢印状のポインタではなく枠状の選択表示を行うものにも応用することができ、また、表示手段1を備えないシステムにも応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施形態例に係る力覚付与型入力装置の構成図である。
【図2】実施形態例に係る入力手段の側面方向より見た断面図である。
【図3】実施形態例に係る入力手段の平面方向より見た断面図である。
【図4】実施形態例に係る記憶手段に記憶される仮想表示画面を示す図である。
【図5】1の引込領域内における実施形態例に係る力覚付与型入力装置のフォース形状を示すグラフ図である。
【図6】指示位置が隣接する2つの引込領域の境界を越えて移動された場合における実施形態例に係る力覚付与型入力装置のフォース形状を示すグラフ図である。
【図7】実施形態例に係る力覚付与型入力装置における引込力の制御手順を示すフローチャートである。
【図8】従来例に係る力覚付与型入力装置のフォース形状を示すグラフ図である。
【符号の説明】
【0035】
1 表示手段
2 入力手段
3 制御手段
22 操作部
23,24 アクチュエータ
25,26 検出部
A1〜A3 引込領域
Bt1〜Btn ボタン
B1〜Bn 機能領域
Pt ポインタ
P 指示位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手動操作される操作部と、
前記操作部の操作状態を検出する検出手段と、
前記操作部に力覚を付与するアクチュエータと、
仮想平面及び前記仮想平面上に設定される複数の引込領域を記憶する記憶手段と、
前記検出手段の出力信号に基づき前記仮想平面上における指示位置を演算すると共に、前記指示位置が前記引込領域内にあるときに前記指示位置を前記引込領域内に設定された引込中心に向かわせるよう前記アクチュエータの駆動制御を行う制御手段とを備えた力覚付与型入力装置であって、
前記制御手段は、前記指示位置が第1の引込領域内からこれに隣接する第2の引込領域内に進入したとき、前記第2の引込領域の引込中心位置を所定時間だけ通常の引込中心位置から前記第1の引込領域に近い位置に変更して前記アクチュエータの駆動制御を行い、前記所定時間が経過した後は、前記第2の引込領域の引込中心位置を前記通常の引込中心位置に戻して前記アクチュエータの駆動制御を行うことを特徴とする力覚付与型入力装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第2の引込領域における通常の引込中心位置から前記第1の引込領域に近い位置への引込中心位置の変更を迅速に行い、前記第1の引込領域に近い位置から前記第2の引込領域における通常の引込中心位置への引込中心位置の変更を徐々に行うように、前記各引込中心位置の変更を時間依存で制御することを特徴とする請求項1に記載の力覚付与型入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−108062(P2008−108062A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290172(P2006−290172)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】