説明

加圧式液面規制充填方法および装置

【課題】高速充填可能でかつ容器内の充填液面を一定に制御する。
【解決手段】ボトルBの口部Nに充填ノズル31を挿入して口部Nを密閉し、充填ノズル31を介してボトルBに連通された給排気通路51を大気側に開放した状態で、加圧された充填液を、充填ノズル31を介してボトルBに連通された給液通路41から高速充填するに際し、充填区間の後半部で、充填液圧より低圧の給気エアを、給排気通路51からボトルB内に供給し充填速度を減速して低速充填に切り替え、充填液が充填ノズル31に達し充填ノズル31から給排気通路51に流入される充填液が検出されると、充填液の供給を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に固形物混じりの液体を容器に液面を一定に制御して高速充填するのに適した加圧式液面規制充填方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、清涼飲料水やアルコール飲料などをボトルに充填する方式として、大容量タンクとノズルとのヘッド差圧を利用して、大容量タンクからノズルを介してボトルに充填するグラビティ(定水位)充填方式が多く採用されている。(たとえば特開平5−262389号公報)
しかしながら、濁り酒や果肉入りジュースなど充填液に固形物が混入されると、グラビティ充填方式では、大容量タンクからボトルまでのヘッド差圧が小さいため、詰まりが生じやすいという問題があった。また充填速度も遅く、高速充填するためには、大容量タンクをより上方に配置してヘッド差圧をさらに大きくする必要があり、装置が大型化するという問題があった。
【0003】
この対策として、たとえば特許文献1に開示される加圧充填方式を採用することが考えられる。
【特許文献1】特開2003−312783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、充填液の供給量が流量計(フローメータ)により計測されており、たとえばボトルがガラス製である場合、成形に起因してボトルの容量に変動が多く、特に断面が小さい口部では、液面の変動が顕著に表れて、ボトル内の充填液面を一定に制御ができないという問題があった。また泡が発生しやすい充填液では、高速充填を行うと泡が口部の開口面まで達して噴きこぼれが起き、衛生面に問題を生じることがあった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決して、高速充填可能でかつ充填液面を一定に制御可能で、かつ泡の発生を抑制できる加圧式液面規制充填方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、容器の口部に充填ノズルを挿入して口部を密閉し、充填ノズルの給排気口を介して容器に連通された給排気通路を大気側に開放した状態で、加圧された充填液を、充填ノズルを介して容器に連通された給液通路から高速充填するに際して、充填区間の後半部で、充填液圧より低圧の給気エアを、給排気通路から容器内に供給し充填速度を減速して低速充填に切り替え、充填液が充填ノズルに達した後、給排気口から給排気通路に流入される充填液を検出して充填液の供給を停止するものである。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成において、充填ノズルを容器の口部に挿入した後、給排気通路を大気側に開放する前に、給排気通路から加圧空気を容器に供給して給排気通路に残留する充填液を容器に送り出すものである。
【0008】
請求項3記載の発明は、容器の口部に挿入されて口部を密閉可能なシール部材を有する充填ノズルと、給液装置から充填ノズルの充填口に連通された給液通路と、大気側から充填ノズルの給排気口に連通された給排気通路とを具備し、給排気通路により充填ノズルを介して容器内が大気側に開放された状態で、前記給液装置から加圧された充填液を給液通路を介して充填ノズルの充填口から容器内に高速充填する加圧充填装置であって、充填区間の後半部で、大気側からエア加圧手段に切り替えることにより、充填液圧より低圧の給気エアを容器内に供給して低速充填に切換可能な給排気切換弁を給排気通路に設け、当該給排気切換弁と充填ノズルとの間の給排気通路に、充填ノズルの給排気口から給排気通路に流入された充填液を検出する停止液面検出部を設け、前記停止液面検出部で充填液が検出されると充填弁を閉じる充填制御装置を設けたものである。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の停止液面検出部に、給排気通路に上下方向に配置された検出容器と、検出容器内に昇降自在に配置されたフロートと、当該フロートを検出する液面検出器とを具備し、前記検出容器の下部に、フロートの下降限でエアの流通を許す通気許容部を設けるとともに、前記検出容器の上部に、フロートの上昇限で給排気通路の給排気切換弁側への充填液の流入を防ぐ流入防止部を設けたものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、容器内を大気側に開放し、加圧された充填液を容器に供給することにより、固体混じりの充填液であっても、詰まることなく高速充填することができる。また充填区間の後半部で、給気エアを容器に供給して加圧することにより、充填液圧と容器内圧の差圧を小さくして充填速度を減速させ低速充填に切り替えた状態で、充填ノズルから給排気通路に流入する充填液を検出するので、給排気通路の液面を精度よく検出することができて充填を停止を行うことができ、これにより容器内の液面を、充填ノズルの給排気口の近傍の一定位置に高精度で制御することができる。また低速充填に切り替えることで、液面からの泡立ちを抑制することができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、充填前に、給気エアを給排気通路から容器に供給することにより、前回に給排気通路に流入されて残留する充填液を容器に排出することができ、充填液が無駄になることなく順次容器に連続充填することができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、容器を給排気通路を介して大気側に開放した状態で、加圧された充填液を給液通路から容器に充填することにより、たとえば固体混じりの充填液であっても、詰まることなく高速で充填することができる。また充填区間の後半部で、エア加圧手段から給気エアを容器に供給することにより、充填液圧と容器内圧の差圧を小さくして充填速度を減速させ、高速充填から低速充填に切り換えることができ、さらにこの低速充填中に、充填液が充填ノズルの給排気口から給排気通路に流入したのを停止液面検出部で検出し、停止液面検出部の検出信号に基づいて充填制御装置により充填弁を閉じ、容器への充填を停止する。これにより、容器内の液面を、充填ノズルの給排気口の近傍の一定位置に高精度で制御することができる。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、検出容器に収容されたフロートを検出することにより給排気通路に流入する充填液を精度よく検出することができ、また通気許容部によりエアの流通を許すことで、給排気通路の機能を阻害することがない。また流入防止部によりフロートの上昇限でさらに充填液が流入するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る加圧式液面規制充填方法および装置および加圧充填装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[実施の形態1]
図1〜図3に示すように、この加圧式液面規制充填装置は、たとえば濁り酒や果肉入りジュースなどのように固形物が混じりの充填液を容器に高速充填するのに適したもので、かつ容器の充填液面を精度よく一定に制御することができるものである。
【0015】
すなわち、加圧充填設備に設けられた加圧式液面規制充填装置は、旋回テーブル12の外周部で一定間隔ごとに、たとえばガラス製容器であるボトルBを保持して充填する複数の充填ユニット13と、液分配ヘッダー(ロータリジョイント)16を介して各充填ユニット13に充填液を供給する液供給装置15と、エア分配ヘッダー(ロータリジョイント)17を介して各充填ユニット13に給気エアを供給するエア加圧ユニット(エア加圧手段)50とで構成されている。
【0016】
これら充填ユニット13には、給液通路41と給排気通路51が連通された充填ノズル31がそれぞれ設けられている。充填に際しては、旋回テーブル12の旋回移動とともに、ボトルBの口部Nを充填ノズル31に嵌合させて口部Nをシールし、ボトルB内を給排気通路51を介して大気側に連通した後、加圧された充填液を給液通路41からボトルBに高速充填する。そして充填終了時に近づくと、充填液圧より低圧の給気エアを給排気通路51からボトルB内に供給し、充填液圧と容器内圧との差を小さくして充填速度を減速させ、高速充填から低速充填に切り替える。この切換時は、充填区間の後半部で少なくとも液面が充填ノズル31の給排気口36aに達するまでの間で、充填液の粘性や固形物の性状に応じて設定される。そして、給排気通路51に設けられた停止液面検出部61により、給排気通路51に流入した充填液を検出して充填を停止する。
【0017】
(全体構造)
ベース基台11の近傍に配設された液供給装置15は、図3に示すように、ベース基台11の近傍の床面に設置された小型の給液タンク18と、エア加圧ユニット50から給気エアを給液タンク18に供給して加圧する液加圧エア供給管19と、給液タンク18内の充填液を液分配ヘッダー16に送り込む充填液供給管21と、給液タンク18内の充填液に含まれる固形物を均一に分散させる攪拌装置20とを具備し、攪拌装置20は、たとえば攪拌モータ20aにより攪拌軸20bを介して攪拌翼20cを回転駆動するように構成されている。
【0018】
ベース基台11上に、図示しない旋回駆動装置により一定速度で旋回される旋回テーブル12が配置され、この旋回テーブル12の外周部に、充填ユニット13が一定間隔で設置されている。また旋回テーブル12の回転軸14上に、液分配ヘッダー16とエア分配ヘッダー17とがそれぞれ設けられている。
【0019】
前記液分配ヘッダー16は、液供給装置15の給液タンク18から充填液供給管21を構成する給液分配管23を介して充填液が加圧供給されており、液分配ヘッダー16から給液通路41を介して各充填ユニット13の充填ノズル31にそれぞれ充填液を供給する。またエア分配ヘッダー17には、エア加圧ユニット50から給気エア供給管24を介して給気エアが供給されており、エア分配ヘッダー17から給排気通路51を構成するエア分配管51Aを介して各充填ユニット13の充填ノズル31に連通され、ボトルBの大気側の開放またはボトルBへの給気エアの供給を行う。
【0020】
(充填ユニット)
各充填ユニット13は、給液通路41と給排気通路51とがそれぞれ形成された充填ノズル31と、ボトルBを保持し昇降して充填ノズル31に接続しボトルBをシール可能なボトル昇降保持装置22と、液分配ヘッダー16と充填ノズル31とを接続する給液分配管23に介在されて充填液の供給をオン、オフするピンチバルブ式の充填弁42と、エア分配ヘッダー17と充填ノズル31との間の給排気通路51に介在された給排気開閉弁54および給排気切換弁53とを具備し、給排気開閉弁54は充填ノズル31側に配置される給排気通路51を開閉し、給排気切換弁53は、エア分配ヘッダー17側に配置される充填ノズル31とエア加圧ユニット50または大気側とボトルBを連通する。
【0021】
ボトル昇降保持装置22は、ボトルBの底部を支持するボトル受け台22aと、ボトルBの口部Nを保持するネック保持アーム22bと、ボトル受け台22aおよびネック保持アーム22bを昇降させるシール作動シリンダ22cとを具備している。そして、旋回経路上のボトル搬入部(図示せず)で受け取ったボトルBをボトル受け台22aとネック保持アーム22bとで保持し、シール作動シリンダ22cを収縮しボトル受け台22aとネック保持アーム22bを介してボトルBを上昇させ、口部Nを充填ノズル31のノズル部35に嵌合して口部Nをシールする。また充填後、シール作動シリンダ22cを進展しボトル受け台22aとネック保持アーム22bを介してボトルBを下降し充填ノズル31を口部Nから離脱させ、旋回経路上のボトル排出部(図示せず)で充填ユニット13からボトルBを排出する。
【0022】
(充填ノズル)
各充填ノズル31は、図1および図2に示すように、旋回テーブル12に支持部材を介して支持された上部ブロック32と、上部ブロック32の下部に取り付けられた下部ブロック33と、下部ブロック33の下部に取り付けられた下部ハウジング34と、この下部ハウジング34から下方に垂下されたノズル部35とを具備している。前記ノズル部35は、給排気通路51を形成する給排気固定ノズル36と、この給排気固定ノズル36内に給液通路41をあけてスライド自在に外嵌された給液可動ノズル37からなり、給液可動ノズル37が下部ブロック33に形成された給液室38に連通されている。
【0023】
給液可動ノズル37は、上端側から、下部ブロック33から下方に突設され給排気固定ノズル36に給排気通路51をあけて外嵌された支持筒37aと、下部ハウジング34内でこの支持筒37aの下部との間に所定範囲で昇降自在に嵌合されたスライド筒37bと、このスライド筒37bに固定されて下方に伸びる外筒部37cとを具備し、給液可動ノズル37は、下部ハウジング34内で支持筒37aに外嵌されたコイルばね37dによりスライド筒37bを介して下方に付勢されている。また給排気固定ノズル36は、下部ブロック33から垂下されて支持筒37aおよびスライド筒37b内に給液通路41をあけて嵌合され、下端部に充填口37eが形成されている。そして、給排気固定ノズル36は、その下半分が外周側に位置ずれされて、中間部のスペーサ36cと下端部の摺接部材36dを介してスライド筒37bを摺動自在に支持しており、給排気固定ノズル36の下端部と摺接部材36dとに給排気口36aが穿孔され、さらに給排気固定ノズル36の下端部に充填口37eを開閉可能な弁体36bが取り付けられている。したがって、給液可動ノズル37を上昇させることにより、図2に示すように、給液可動ノズル37の下方に摺接部材36dが露出されて、給排気口36aが開放され、同時に充填口37eが開放される。
【0024】
さらにスライド筒37bの下端外周部に、ボトルBの口部Nを受け止めてシールするシール部材39が装着されている。したがって、昇降駆動装置22bによりボトルBを上昇して口部Nにノズル部35を嵌合し、口部Nがシール部材39に当接させ、ボトルBをさらに上昇させることにより、コイルばね37dに抗して給液可動ノズル37が昇降ストロークLだけ押し上げられ、シール部材39によりボトルBの口部Nがシールされると同時に、充填口37eと給排気口36aとがそれぞれ開口される。
【0025】
前記充填弁42はピンチバルブ式開閉弁であり、充填ノズル31の給液室38から液分配ヘッダー16に至る給液分配管23(給液通路41)には、可撓性の開閉用チューブ42aが介在され、この開閉用チューブ42aを挟んで両側に、受けブロック42bと閉鎖ブロック42cが対向して配置されている。そして、閉鎖ブロック42cを駆動する開閉シリンダ42dにより、受けブロック42bと閉鎖ブロック42cの間に開閉用チューブ42aを挟圧して給液通路41を閉鎖することができる。もちろん、この充填弁42はピンチバルブ式開閉弁に限るものではない。
【0026】
(エア配管)
図4に示すように、エア分配ヘッダー17にそれぞれ接続されたエア分配管51Aは、給排気通路51を構成する給排気用分配管51Bと、駆動用分配管51Cとに分岐されている。さらに駆動用分配管51Cが充填弁開閉用配管51C−1とボトル着脱用配管51C−2と給排気弁制御用配管51C−3とに分岐されている。
【0027】
給排気通路51を構成する給排気用分配管51Bは、エア分配ヘッダー17側から順に、エア圧を調整する給気圧調整弁(電磁式等のレギュレータ)52と、エア分配ヘッダー17側と大気側(サイレンサー側)とを切り替える給排気切換弁53と、給排気通路51を開閉する給排気開閉弁54とが介在されて、停止液面検出部61に接続されている。
【0028】
充填弁開閉用配管51C−1は、エア分配ヘッダー17側から順に、エア圧を調整する駆動圧調整弁(電磁式等のレギュレータ)59と、充填弁42を操作する充填操作弁55(5ポート2位置切換弁)が介在され、充填操作弁55から2本の充填弁開閉用配管51C−1がそれぞれ可変絞り弁付逆止弁を介して開閉シリンダ42dの進展室と収縮室に接続されている。
【0029】
ボトル着脱用配管51C−2は、ボトル昇降保持装置22を操作するボトル昇降操作弁56が介在され、ボトル昇降操作弁56に接続された2本のボトル着脱用配管51C−2がそれぞれ可変絞り弁付逆止弁を介してシール作動シリンダ22cの進展室と収縮室に接続されている。
【0030】
給排気弁制御用配管51C−3は、開閉用配管51C−3aと切換用配管51C−3bとに分岐されており、開閉用配管51C−3aが開閉用パイロット弁57を介して給排気開閉弁54の操作部に接続されている。また切換用配管51C−3bが、切換用パイロット弁58を介して給排気切換弁53の操作部に接続されている。
【0031】
そして、これら充填操作弁55、ボトル昇降操作弁56、開閉用パイロット弁57および切換用パイロット弁58は、それぞれ充填制御部60からの信号により操作される。
(停止液面検出部)
停止液面検出部61は、図2(a)に示すように、充填ノズル31と給排気開閉弁54の間で給排気通路51を構成する上下方向のエア分配管51Aに介在され所定の内径と高さとを有する透明な筒状の検出容器62と、この検出容器62内に昇降自在に内装された球形のフロート63と、検出容器62の所定位置でフロート63を介して液面を検出する液面検出器64とで構成されている。また検出容器62の下部には、フロート63が着底しても、エアaの流通を許容する逆流許容リブ(通気許容部)62aが設けられ、またフロート63が検出容器62の上端に達した時に充填液の逆流を防止する弁座部(流入防止部)62bが設けられている。そして、液面検出器64の検出信号が充填制御部60に出力される。
【0032】
(充填動作)
上記構成の加圧式液面規制充填装置による充填動作を図5および図6を参照して説明する。
【0033】
充填ユニット13のボトル昇降保持装置22にボトルBが搬入され、旋回テーブル12の旋回移動される。充填制御装置60では、タイマーが作動されて予め設定された時間に操作信号が出力される。
【0034】
1)工程開始時t0になると、充填制御装置60からの操作信号によりボトル昇降操作弁56が操作されてエア分配ヘッダー17から給気エアがシール作動シリンダ22cに供給され、シール作動シリンダ22cが収縮されてボトルBが上昇される。そしてボトルBの口部Nが充填ノズル31のノズル部35に嵌合され、さらにボトルBの口部Nがシール部材39によりシールされてボトルBが密閉されるとともに、給排気口36aと充填口37eが開口される。
【0035】
2)充填制御装置60からの操作信号により切換用パイロット弁58が操作されて給排気切換弁53が作動され、給排気通路51がエア分配ヘッダー17に接続された後、残液排出開始t1になると、充填制御装置60からの操作信号により開閉用パイロット弁57が操作されて給排気開閉弁54が作動され、給排気通路51が開放される。これにより、給気エアがエア分配ヘッダー17から給排気通路51に供給されて、残留された充填液が充填ノズル31の給排気口36aからボトルBに排出される[図6(a)]。
【0036】
3)充填制御装置60からの操作信号により切換用パイロット弁58が操作されて給排気切換弁53が作動され給排気通路51が大気側に連通される。次いで、充填開始時t2になると、充填制御装置60からの操作信号により充填操作弁55が操作されて開閉シリンダ42dが作動され、充填弁42が開放される。これにより加圧された充填液が、液分配ヘッダー16から給液通路41に送られ、充填ノズル31の外筒部37cから充填口37eを介してボトルBに高速充填される[図6(b)]。
【0037】
4)充填区間の後半部で、充填切換時t3になると、充填制御装置60からの操作信号により切換用パイロット弁58が操作されて給排気切換弁53が作動され、給排気通路51がエア分配ヘッダー17に接続される。すると、給排気通路51から充填ノズル31の給排気口36aを介してボトルBに、給気圧調整弁52で充填液圧より所定圧低く設定された給気エアが供給される。これにより、ボトルBの内圧が上昇され、充填液圧との差圧が減少されて充填速度が減速され、高速充填から低速充填に切り替えられる[図6(c)]。
【0038】
5)ボトルB内で充填液の液面が上昇して充填ノズル31の給排気口36aに達すると、充填液が給排気口36aから給排気固定ノズル36内の給排気通路51に流入し、さらに停止液面検出部61に流入してフロート63を押し上げる。液面検出器64によりフロート63が検出されると、この検出信号に基づいて、充填制御部60から充填操作弁55に操作信号が出力されて開閉シリンダ42dを作動させ、充填弁42を閉鎖して充填を停止する(充填停止時t4)[図6(d)]。なお、この充填停止時t4のみがタイマーで制御されていない。
【0039】
6)充填制御装置60からの操作信号により開閉用パイロット弁57が操作されて給排気開閉弁54が作動され給排気通路51が閉鎖される。次いで、切換用パイロット弁58が操作されて給排気切換弁53が作動され給排気通路51が大気側に接続され開放される。これにより、給排気開閉弁54により給排気通路51が閉鎖されて、充填液が給排気口36aから停止液面検出部61までの間の給液通路41内で保持される。
【0040】
さらに充填制御装置60からの操作信号によりボトル昇降操作弁56が操作されてシール作動シリンダ22cが進展され、ボトルBが下降されてボトルBの口部Nが開放されシール解除され、さらにノズル部35からボトルBが離脱される(工程終了:t5)。
【0041】
図7はボトルBの内圧の変化を示すグラフで、充填開始時t2から充填切換時t3までの高速充填区間が大気圧となり、また充填切換時t3からシール解除までの低速充填区間が給気エア圧となる。なお、図7では、充填切換時t3、充填停止時t4およびシール解除時の内圧の立ち上がり、立ち下がりの時間経過における増減の勾配を省略している。
【0042】
これにより、給排気通路51に流入した充填液が給排気通路51内に保持された状態で、充填ノズル31がボトルBの口部Nから離脱されることで、ボトルB内の液面が、充填ノズル31の給排気口36aの近傍の一定位置に高精度で制御される。
【0043】
ところで、上記充填方法において、グラビティ充填と同様に、理論的には、充填液圧と給気エア圧とを同一に設定することにより、一定の液面で停止することができるが、実際には、エア加圧ユニット50や給液通路41、給排気通路51の流路抵抗の変化などの複数の条件の変化により、充填液圧と給気エア圧の微妙な変動があり、液面を一定に制御するのは困難であった。そこで本発明者は、給気エア圧を充填液圧より低くかつ接近させた値として、充填液を給排気通路51に低速で流入させ、これを検出することで充填を停止させれば、ボトルB内の液面を一定に制御することができることに想到し、本発明を完成させたものである。
【0044】
上記実施の形態によれば、給排気切換弁53により給排気通路51を大気側に連通して、給液通路41から加圧された充填液をボトルBに供給するので、たとえば固体混じりの充填液であっても、詰まることなく高速充填することができる。また充填区間の後半部で、給排気切換弁53を操作してエア分配ヘッダー17の給気エアを給排気通路51に導入し、充填ノズル31からボトルBに供給して加圧することにより、ボトルBの内圧と充填液圧とを接近させて充填速度を抑制し、高速充填から低速充填に切り替える。充填速度が遅い状態で、充填液を給排気口36aから給排気通路51に流入させることにより、液面を停止液面検出部61で液面を確実に精度よく検出することができる。そしてこの停止液面検出部61の検出信号に基づいて、充填制御装置60により充填弁42を閉鎖し充填を停止する。さらに給排気開閉弁54により給排気通路51を閉じた後、ボトルBを下降してシールを解除する。これにより、ボトルB内の充填液面を、充填ノズル31の給排気口36aの近傍の一定位置に高精度で制御することができる。また充填を停止する前に、低速充填に切り替えることで、泡立ちしやすい充填液であっても、液面からの泡立ちを抑制して口部Nからの噴きこぼれを防止することができる。
【0045】
また充填前に給排気切換弁53を操作して、給気エアを給排気通路51からボトルBに供給することにより、給排気通路51に残留した充填液をボトルBに排出させて、充填液が無駄になることなく良好に連続充填を行うことができる。
【0046】
さらに、停止液面検出部61では、検出容器62に収容されたフロート63を液面検出器64で検出することにより、給排気通路51に流入する充填液を精度よく検出することができる。また逆流許容リブ62aによりエアの流通を許すので、停止液面検出部61が給排気通路51の機能を阻害することがない。さらにフロートの上昇限で、弁座部62bにより充填液がさらに給排気通路51に流入するのを防止することができる。
【0047】
なお、停止液面検出部61を、充填ノズル31と給排気開閉弁54の間の給排気通路51に設けたが、充填ノズル31内の給排気通路51に設けてもよく、またフロート63を使用せず、直接充填液を検出する液面検出器を使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る加圧式液面規制充填装置の実施の形態を示し、充填ユニットの充填ノズルの縦断面図である。
【図2】充填ノズルのボトル装着状態の充填ノズルを示し、(a)は拡大縦断面図、(b)は停止液面検出部の縦断面図である。
【図3】加圧式液面規制充填装置を具備した充填設備を示す概略側面断面図である。
【図4】充填ユニットのエア配管を示す構成図である。
【図5】充填ユニットのタイミングチャートである。
【図6】充填ノズルの動作を説明する縦断面図で、(a)は残留液排出状態、(b)は充填開始状態、(c)は充填切換状態、(d)は充填終了状態を示す。
【図7】充填時のボトル内の圧力の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0049】
B ボトル
N 口部
12 旋回テーブル
13 充填ユニット
15 給液装置
16 液分配ヘッダー
17 エア分配ヘッダー
22 ボトル昇降保持装置
31 充填ノズル
35 ノズル部
36a 給排気口
36b 弁体
37 給液可動ノズル
37e 充填口
39 シール部材
41 給液通路
42 充填弁
50 エア加圧ユニット
51 給排気通路
52 給気圧調整弁
53 給排気切換弁
54 給排気開閉弁
55 充填操作弁
56 ボトル昇降操作弁
59 駆動圧調整弁
60 充填制御装置
61 停止液面検出部
62 検出容器
62a 逆流許容リブ(通気許容部)
62b 弁座部(流入防止部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に充填ノズルを挿入して口部を密閉し、充填ノズルの給排気口を介して容器に連通された給排気通路を大気側に開放した状態で、加圧された充填液を、充填ノズルを介して容器に連通された給液通路から高速充填するに際して、
充填区間の後半部で、充填液圧より低圧の給気エアを、給排気通路から容器内に供給し充填速度を減速して低速充填に切り替え、
充填液が充填ノズルに達した後、給排気口から給排気通路に流入される充填液を検出して充填液の供給を停止する
ことを特徴とする加圧式液面規制充填方法。
【請求項2】
充填ノズルを容器の口部に挿入した後、給排気通路を大気側に開放する前に、給排気通路から加圧空気を容器に供給して給排気通路に残存する充填液を容器に送り出す
ことを特徴とする請求項1記載の加圧式液面規制充填方法。
【請求項3】
容器の口部に挿入されて口部を密閉可能なシール部材を有する充填ノズルと、給液装置から充填ノズルの充填口に連通された給液通路と、大気側から充填ノズルの給排気口に連通された給排気通路とを具備し、給排気通路により充填ノズルを介して容器内が大気側に開放された状態で、前記給液装置から加圧された充填液を給液通路を介して充填ノズルの充填口から容器内に高速充填する加圧式液面規制充填装置であって、
充填区間の後半部で、大気側からエア加圧手段に切り替えることにより、充填液圧より低圧の給気エアを容器内に供給して低速充填に切換可能な給排気切換弁を給排気通路に設け、
当該給排気切換弁と充填ノズルとの間の給排気通路に、充填ノズルの給排気口から給排気通路に流入された充填液を検出する停止液面検出部を設け、
前記停止液面検出部で充填液が検出されると充填弁を閉じる充填制御装置を設けた
ことを特徴とする加圧式液面規制充填装置。
【請求項4】
停止液面検出部は、給排気通路に上下方向に配置された検出容器と、検出容器内に昇降自在に配置されたフロートと、当該フロートを検出する液面検出器とを具備し、
前記検出容器の下部に、フロートの下降限でエアの流通を許す通気許容部を設けるとともに、前記検出容器の上部に、フロートの上昇限で給排気通路の給排気切換弁側への充填液の流入を防ぐ流入防止部を設けた
ことを特徴とする請求項3記載の加圧式液面規制充填装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate