説明

加圧水形原子炉の燃料要素の変形検出方法および装置

多数の制御棒案内管(2)を有する加圧水形原子炉の燃料要素の変形測定方法および装置において、制御棒案内管(2)の内部に制御棒案内管(2)の長手軸方向に走行可能な少なくとも1つの基準軸を有するプローブ(4)が挿入され、このプローブが制御棒案内管(2)の少なくとも一部分においてその内壁に支持され、少なくとも1つの基準軸の方位がこの部分における制御棒案内管(2)の長手軸(7)の方位に明確に関係し、制御棒案内管(2)のこの部分における少なくとも1つの基準軸の方位が別の部分におけるプローブ(4)の同じ基準軸または別の基準軸の方位と関連して検出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧水形原子炉の燃料要素の変形検出方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加圧水形原子炉の燃料要素はその運転経過中にその炉心における位置に応じて主として曲がりから生じる変形を被ることがあり、最悪の場合には制御棒へのアクセスが困難になるかまたは燃料要素の交換の際に問題が生じる恐れがある。それゆえ燃料要素の点検に際しては、このような燃料要素の変形を量的に求め、引き続き使用できるかどうかを決定できるようにするか、または、たとえば特許文献1に提案されているように、変形燃料要素を炉心の端部に向けて挿入し、曲がりの最大部分が炉心の外側に来るようにして生じている曲がりを減少させることが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第02/095765号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、加圧水形原子炉の燃料要素の変形を高い測定精度と同時に簡単にしてわずかな時間消費で測定できる方法を提供することにある。さらに本発明の課題はこの方法で作動する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
方法に関しては上記の課題は本発明によれば請求項1の特徴により解決される。この特徴によれば、多数の制御棒案内管を有する加圧水形原子炉の燃料要素の変形測定方法において、少なくとも1つの制御棒案内管の内部に制御棒案内管の長手軸方向に走行可能な少なくとも1つの基準軸を有するプローブが挿入され、このプローブは制御棒案内管の少なくとも一部分においてその内壁に支持され、少なくとも1つの基準軸の方位がこの部分における制御棒案内管の長手軸の方位に明確に関係し、制御棒案内管のこの部分における少なくとも1つの基準軸の方位が別の部分におけるプローブの同じ基準軸または別の基準軸の方位と関連して検出される。
【0006】
装置に関しては本発明によれば上記の課題は請求項1に記載された特徴に内容的に対応する請求項1の特徴により解決される。
【0007】
本発明の出発点は、加圧水形原子炉の燃料要素における制御棒案内管の形状が、この案内管が燃料要素の支持構造部分であるという事実に基づいて、燃料要素の形状を直接再現するものであるという考察にある。
【0008】
本発明による方法もしくは装置により、燃料要素の変形もしくは曲がりを高い精度で迅速かつ簡単に、燃料棒が正確に垂直線に方向付けられない場合でも測定することが可能であり、その結果燃料要素を高価な構造の測定ステーションに持ちこむ必要がなくなる。さらに通常はこのような測定ステーションで実施されるフォトグラム測定を困難にするような最悪の照明条件においても測定を行うことができる。
【0009】
基準軸はプローブ内部の固定軸であり、制御棒案内管に挿入されるプローブでは直線と明確な角度関係にあり、プローブが支持される制御棒案内管の部分の長手軸の経過をほぼ再現する。
【0010】
少なくとも1つの基準軸の位置と制御棒案内管の長手軸の方位との明確な関係は、プローブの周囲にその中心軸に垂直に半径方向に走行可能で制御棒案内管の内壁に設置可能な支持部材を配置し、制御棒案内管内におけるプローブをその中心軸が各部分において制御棒案内管の長手軸にほぼ平行なるように方向付けることにより簡単に達成される。「長手軸に平行」という特徴は本願においては、中心軸がこの部分における長手軸の実際の経過に近似する直線、たとえばこの部分における長手軸の接線と平行になるという意味である。
【0011】
1つの部分における少なくとも1つの基準軸の方位を他の部分における基準軸の方位と関連して求めるための測定装置として垂直線に対するプローブの中心軸の傾斜を求める傾斜測定器が設けられれば、制御棒案内管の変形は一体の剛性のプローブで検出することができる。
【0012】
本発明の別の実施態様では、傾斜を求める測定装置はプローブ内で自由に振動するように支承される振り子を有し、その中心軸に対する偏向が測定される。これにより僅かな構造的費用で垂直線に対するプローブの中心軸の傾斜の簡単にして精確な直接的測定が可能となる。
【0013】
本発明の別の実施態様では、偏向を求めるための測定装置は振り子の振り子体とプローブ内に位置固定的に配置される少なくとも1つの基準点との間の距離を測定するための距離測定装置を含む。このようにすれば市販の距離センサで高い測定精度が達成可能である。
【0014】
燃料要素の局部的変形、すなわち制御棒案内管の長手軸に接する空間内の接線の局部的方向、すなわち振り子平面の偏向および方位もしくは2つの方向における振り子体の偏向を検出するために、測定装置に少なくとも2つの距離測定装置が設けられ、この装置によりプローブ内に互いに間隔を置いて配置された2つの基準点に対する振り子体の距離を測定することができる。
【0015】
本発明の別の有利な実施態様では、距離測定装置として無接触で作動し特にプローブ内に位置固定的に配置される渦電流行程センサが設けられる。
【0016】
本発明の代替的な実施態様では、傾斜を求めるための測定装置は少なくとも1つの水準器を有し、その水準器カプセル内に水準器の目として気泡または水準器カプセル内で可動的に支承された浮遊体が設けられ、その比重が水準器カプセル内にある水準器液の比重より小さくし、水準器の範囲内に少なくとも1つのコイルが配置され、そのインダクタンスが水準器の目の位置に関係するようにされる。
【0017】
有利な実施態様では、水準器として互いに対向する端面に2つの電気コイルを巻き付けた管状水準器が設けられる。
【0018】
コイルがホイーストンブリッジのハーフブリッジとして結線されれば高い測定感度が得られる。
【0019】
代替的にコイルを差動変圧器の二次コイルとして構成することもできる。
【0020】
本発明の別の有利な実施態様では、プローブは長手方向に直列配置された少なくとも2つの部分プローブから構成され、これらの部分プローブが互いにおよび部分コイルの中心軸に対し垂直な2つの軸を中心に旋回可能に互いに結合され、各部分コイルは基準軸を有し、部分コイルは制御棒案内管の互いに間隔を置いた部分においてその内壁に、基準軸の方位が制御棒案内管の各部分において制御棒案内管の長手軸の方位と明確に関係するように支持され、プローブ内に基準軸の相互間の方位を求めるための測定装置が配置される。
【0021】
このように少なくとも2分割された装置では、両部分コイルが制御棒案内管の互いに間隔を置いた部分にあるようにされ、制御棒案内管の曲がりが各基準軸の相対的方位を測定する状態にある測定装置により検出される。これはたとえば光学的測定装置とすることができ、この装置では一方の部分コイルに1つの軸−基準軸、たとえばこの部分コイルの中心軸−に沿って他方の部分コイルに伝播する光線が作られ、この光線が他方の部分コイルにおける受信器に当たるようにし、これにより当たった光線の位置が検出され、これにより受信器と光源との間の距離が既知であれば、光線がこの他方の部分コイルの基準軸、たとえば同様に受信器面に垂直なその中心軸に関連して伝播する角度が求められる。
【0022】
このような2分割または多分割配置でも各部分コイルの周囲には中心軸に垂直に走行可能で制御棒案内管(2)の内壁に設置可能な支持部材が配置され、制御棒案内管内の部分コイルをその中心軸が支持部材の範囲において各部分における制御棒案内管の長手軸と少なくともほぼ平行になるようにされる。
【0023】
部分コイルの特に良好な相互の旋回可能性は、これらの部分コイルがカルダンジョイントを介して互いに結合されると得られる。
【0024】
測定装置として部分コイル間に張られた少なくとも1つのひずみセンサを備えた曲げ素子が設けられれば、わずかな構造費用で過酷な使用条件下でも特に少ない故障頻度が達成される。
【0025】
曲げ素子が断面正方形の曲げビームを有し、その一側で部分コイルの一方に固定し、その自由端が他方の部分コイル内で滑動的に支承された球を有する操作棒に摩擦結合されるようにすると、高い測定精度が得られる。
【0026】
互いにおよび制御棒案内管の長手軸に垂直な2つの方向の変形を検出するためには、特に有利な実施態様において曲げビームの互いに垂直な少なくとも2つの平坦面にひずみセンサ、好適にはストレインゲージが設けられる。
【0027】
特に曲げビームの各平坦面に1つのストレインゲージを設け、互いに対向するストレインゲージをホイーストンブリッジのハーフブリッジとして結線すれば、測定感度が高められる。
【0028】
制御棒案内管内のプローブの送りは、支持部材として案内ロールまたは球を設け、軸方向の送りの際に制御棒案内管の内周に転がるようにすれば容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は制御棒案内管に挿入された本発明による装置の概略側面図を示す。
【図2】図2はこの装置の中心長手軸に垂直な概略横断面図を示す。
【図3】図3は測定装置として測定コイルを備えた水準器が設けられた本発明の別の実施形態の同様に概略的な原理図を示す。
【図4】図4は図3の実施形態に使用される測定コイルの概略結線図を示す。
【図5】図5は制御棒案内管内におけるプローブの位置決めのため本発明によりプローブ用に使用される支持部材の有利な実施形態を示す。
【図6】図6は2分割されたプローブの原理図を示す。
【図7】図7は本発明により2つの部分プローブから形成されたプローブの概略縦断面図を示す。
【図8】図8は炉心に挿入された燃料要素の相当数の制御棒案内管の変形を同時測定するため多数のプローブを備えた装置の構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1によれば本発明による装置は制御棒案内管2の内部に挿入可能なプローブ4を有する。プローブ4は図には示していない支持部材により制御棒案内管2内に中心合わせされて配置されており、基準軸として用いられるプローブの中心軸6は制御棒案内管2の前記支持部材により規定される部分において案内管の長手軸7と少なくともほぼ一致するかもしくはこの部分で長手軸7との接線に少なくともほぼ平行になるようにされる。この場合プローブ4の軸方向の寸法は小さいので、プローブ4の範囲において実際に生じる制御棒案内管の変形によるその長手軸の曲がりは実質的に無視可能であり、見やすくするため図には示されていない。
【0031】
プローブ4には測定装置9としてインクリノメータまたは傾斜計が配置され、これにより中心軸6の垂直線に対する傾斜が求められる。図示の例では測定装置9は振り子懸吊体8に懸吊可能な自由振動する、すなわち全垂直面において任意の方位角で振動可能な振り子10を有しており、その位置は垂直方向を示している。振り子懸吊体8はプローブ4の中央に配置されているので、振り子10の懸吊点Pは中心軸6上にある。
【0032】
図から判るように、振り子10は中心軸6に対し傾斜角αで傾いており、従って測定個所、すなわちプローブ4が制御棒案内管2の内壁に支持されている制御棒案内管2の部分において制御棒案内管2の長手軸が垂直線に対して斜めに方位付けられている。
【0033】
振り子10の自由端には振り子体12があり、その少なくとも一方の平坦面14はその法線が振り子腕16に対して垂直になっている。この平坦面14に対向して距離測定装置18がプローブ4内に位置固定されて配置され、振り子体12、すなわち振り子体12の平坦面14とプローブ4内に位置固定されて配置された基準点との間の距離aが測定される。
【0034】
良く判るようにするために図では傾斜角αは誇張して示されているので、平坦面14が距離測定装置の平坦面に対して同様に傾いているのが見て取れる。しかし実際には傾斜角αはごく小さいので、この傾斜は要求される測定精度内では無視可能である。
【0035】
距離測定装置18としては無接触で作動する渦電流センサが設けられる。この渦電流センサにより導電性の振り子体12の平坦面14に対する距離aが無接触で検出される。傾斜角αおよび距離aは小さい傾斜角αに対しては直線関係により互いに結びつけられる。このようにして種々の軸方向位置における制御棒案内管2の長手軸に対する接線の傾斜角α、従って制御棒案内管2の長手軸の曲線経過が測定される。
【0036】
振り子10および距離測定装置18はカプセル化されたケース20内に配置され、このケースは振り子10の減衰のために好適には流体DFで満たされている。
【0037】
空間内における振り子腕16の位置を検出するために、図2によれば2つの距離測定装置18が互いに90°ずらされた位置でプローブ4内に配置される。これらの距離測定装置18により距離axおよびay、従って互いに直交する2つの方向における振り子体12の偏向が測定されるので、振り子軸の空間的位置、すなわち振り子面の方位角およびこの振り子面における振り子の偏向が検出可能となる。このようにして制御棒案内管2のねじれも、90°回転させられたプローブ4による新たな測定を必要とすることなしに、検出することができる。
【0038】
プローブ2の中心軸6の方位の測定は部分的に制御棒案内管2内の種々の軸方向位置または軸方向部分で実施される。種々の軸方向部分で得られた測定値に基づき制御棒案内管2の長手軸7の経過、すなわちその変形が検出される。変形の測量は制御棒案内管2が正確に垂直に方向付けられていないときにも可能である。たとえば変形はしていないが垂直線に斜めに方向付けられた制御棒案内管2の場合には各測定位置において傾斜角αに対する測定値が同じである場合には曲がりがないことを示すものと考えられる。
【0039】
図3に示す別の実施態様では、測定装置9は垂直線に対する中心軸6もしくは長手軸7の傾斜を求めるために測定センサケース20内に配置された2つの水準器22を有する。これはたとえばほぼ(概略図では必要な曲がりは考慮せず)円筒状の水準器カプセル24を備えた管状水準器であり、その水準器液LFに水準器の目26としてたとえば気泡が浮遊しており、その磁気特性は水準器液LFの磁気特性と異なるようにされる。各水準器カプセル24にはその円筒軸27に垂直方向の中心面28に対称的に2つの同構造のコイル29,30が巻きつけられ、これらは互いにほぼ(水準器カプセル24の曲がりを無視した場合)同軸であり、それらの端面は互いに対向している。図示の例ではプローブ4の中心長手軸6は中心面28内にある。
【0040】
水準器カプセル24内にそれぞれある水準器の目26の位置は測定箇所、すなわち水準器カプセル24の位置における中心軸6の傾斜に関係する。この中心軸26の方位が垂直線から偏倚すると、水準器の目26はもはやコイル29と30の間の真ん中ではなくなる。この結果コイル29,30のインダクタンスの変化が生じる。このインダクタンスの変化は、コイル29,30が図4に示したようにホイーストンブリッジのハーフブリッジとして結線されるときに簡単に測定される。この場合両コイル29,30は水準器の目26が中央に位置するときに同じインダクタンスを持つことは有利であるが、これは必ずしも必要ではない。
【0041】
図示の実施態様と代替的に2つの管状水準器の代わりにたとえば4つの平形コイルが配置される函形水準器を使用することも可能である。
【0042】
ホイーストンブリッジのハーフブリッジとして接続された2つのコイル29,30を備えた図3に示した実施態様の代わりに、コイル29,30は差動変圧器の二次コイルとしても形成でき、両二次コイルで測定された電圧の差が直接的に水準器の目26の位置の基準となる。
【0043】
水準器の目26として気泡の代わりに水準器カプセル24内に支承された浮動体を配置し、その比重を水準器カプセル24内にある水準器液25の比重より小さくすることもできる。このような浮動体にフェライト材料を使用すれば測定感度を高めることができる。
【0044】
図5の記載から明らかなように、プローブ4はその端面、すなわち測定センサケース20の両側で制御棒案内管2の内壁に対して設置可能な支持部材32を有するが、図を簡略化するためにプローブ4の一方の端面側にある支持部材32だけを図示している。この場合の支持部材32はガイドローラであり、これはクランクレバー34を介してプローブ4の中心軸6に対して垂直方向の旋回軸36に支承されている。クランクレバー34は肩部38を備えており、この肩部はクランクレバー34の懸吊部に配置されたストッパ40により支持部材32の旋回行程を制限している。プローブ4にはその中心長手軸6の方向に可動的に支承された中空円筒状のスライダ42が配置され、このスライダはテーパーがついた端面44を有し、これは傾動レバー34の同様に斜めに形成された面と協働する。スライダ42の操作は測定センサケース20に支持された圧縮ばね46により行われるので、端面44はこれに対向する傾動レバー34の面に作用し、支持部材32を外側に制御棒案内管2の内壁に押圧する。支持部材32により規定された部分ではプローブ4の中心軸が制御棒案内管2の長手軸7に平行に延びている。
【0045】
図6に示した実施例によればプローブ4は2つの部分プローブ4a、4bを有し、これらは長手方向に相前後して配置され、互いにかつ部分プローブ4a、4bの中心軸6a、6bに垂直な軸50,52を中心に旋回可能に互いに結合されている。図示の例では制御棒案内管2は図平面に誇張して描かれた曲がりを有する。各部分プローブ4a、4bは支持部材32を有しており、これにより部分プローブ4a,4bは支持部材32により規定された制御棒案内管2の部分において位置決めされるので、その中心軸6a、6bはこの部分でほぼ長手軸7に平行にもしくは制御棒案内管の長手軸7に支持部材32の範囲で接する接線に平行に延びている。支持部材32はこのため部分プローブ4a、4bの軸方向に互いに隔てられている2つの面に配置される。この実施例では中心軸6a、bは同時に各部分プローブの基準軸として役立ち、従って制御棒案内管2のそれぞれ部分プローブ4a、4bの支持部材32間にある部分における制御棒案内管2の長手軸7の方位に明確に関係する。
【0046】
プローブ4には測定装置54が配置され、これにより基準軸もしくは中心軸6a、6bの方位が相互に、すなわち簡略化された実施例では一平面(図平面)でのみ曲げられた長手軸7の傾斜角βが測定される。図示の簡略化された実施例では測定装置54は部分プローブ6a、6b間に挿入されている曲げ要素56を有し、その相対向する平坦面にはそれぞれひずみセンサ58、たとえばストレインゲージが設けられる。このひずみセンサ58により傾斜角βの基準となる曲げ要素56のたわみが検出される。ひずみセンサ58はその抵抗値がひずみに関係して変化するいわゆるストレインゲージである場合には、互いに相対向するストレインゲージをホイーストンブリッジのハーフブリッジとして結線すると有利である。
【0047】
図1から5の実施例では測定が一体のプローブ4により行われ、プローブ2の移動により制御棒案内管2の互いに隔たった部分に置いて各部分の長手軸7の方位に相当する測定信号が発生されるのに対し、図6の実施例では両部分プローブ4a、4bにより制御棒案内管2の互いに隔たった2つの部分における長手軸7の位置が相互に、すなわち曲がりに相応する測定値が求められる。
【0048】
図7によれば両部分プローブ4a、4bはカルダンジョイント60を介して互いに垂直方向の軸50、52を中心に相互に結合される。両部分プローブの各々はそれぞれ中心軸6a、6bに垂直な互いに隔たった2つの平面に、それぞれ周囲に分布された多数の支持部材32を有している。これらの支持部材32は実施例ではそれぞれ4つの球であり、これらはそれぞれ軸方向に可動な円錐体62を介して半径方向に外側に押圧され、これにより弾性をもって制御棒案内管の内壁に設置される。
【0049】
部分プローブ4aでは曲げ要素56として断面が正方形の曲げビームが装着されており、その各平坦面にはひずみセンサ58、たとえばストレインゲージが設けられる。隣接する部分プローブ4bに向いた曲げビームの端面は操作棒68に固く結合されており、この棒の曲げビームとは反対側の自由端には球70が設けられ、この球は部分プローブ4bに配置されたブッシュ72内で滑動的に支承されている。部分プローブ4bの円錐形の頭部74は制御棒案内管へのプローブ4の挿入を容易にする。
【0050】
頭部74と反対側の端部では部分プローブ4aはカルダンジョイント76を介して操作管にリンクされている。この操作管78は制御棒案内管2内におけるプローブ4の送りに役立つ。図7にはさらにひずみセンサ58に通じている測定ケーブル80も概略表示されている。
【0051】
部分プローブ4a、4bが制御棒案内管の曲がり範囲にあると、支持部材32により各部分プローブ4a、4bはこの支持部材32の範囲で制御棒案内管の長手軸にほぼ接線方向に向けられる。長手軸の曲がりに基づき中心軸6a、6bは零とは異なる角度βを取る。これによりブッシュ72に支承されている操作棒68により曲げ要素56に曲げモーメントが加えられる。それぞれ相対向するひずみセンサ58により正方形の横断面を有する曲げビームとして形成された曲げ要素56のたわみが互いに直交する2つの平面で検出される。ひずみセンサ58として使用されるそれぞれ相対向するストレインゲージは図4の例と同様にホイーストンブリッジのハーフブリッジとして結線される。
【0052】
図8によれば全装置は燃料要素装填機84のクレーン82に懸吊された保持棒86を有しており、この棒はクレーン82と反対側の範囲に歯付き棒88を備えている。歯付き棒88はガイド装置92の頭部90に配置された棒ガイド94内を案内される。ガイド装置92は位置決めピン95により燃料要素98の頭部96に配置された孔100内に燃料要素98の中心に方向付けられる。歯付き棒88のクレーン82と反対側の端部にはスパイダー102が配置され、これには多数の操作管78が取り付けられ、操作管の自由端にはそれぞれ本発明によるプローブ4が備えられる。歯付き棒に係合する行程センサ104により制御棒案内管2内のプローブ4の実際の位置に相応する行程信号が検出される。
【0053】
概略的に示した実施例では2つのプローブ4が用いられている。実際には装置に4つのプローブ4を設け、これらを燃料要素98の角点に配置された4つの制御棒案内管2に挿入すると特に良好であることが判明している。
【符号の説明】
【0054】
2 制御棒案内管
4 プローブ
6 中心軸
7 長手軸
8 振り子懸吊体
9 測定装置
10 振り子
18 距離測定装置
22 水準器
29 コイル
30 コイル
32 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の制御棒案内管(2)を有する加圧水形原子炉の燃料要素の変形測定方法において、制御棒案内管(2)の内部に制御棒案内管(2)の長手軸方向に走行可能な少なくとも1つの基準軸を有するプローブ(4)が挿入され、このプローブが制御棒案内管(2)の少なくとも一部分においてその内壁に支持され、少なくとも1つの基準軸の方位がこの部分における制御棒案内管(2)の長手軸(7)の方位に明確に関係し、制御棒案内管(2)のこの部分における少なくとも1つの基準軸の方位が別の部分におけるプローブ(4)の同じ基準軸または別の基準軸の方位と関連して検出される変形測定方法。
【請求項2】
多数の制御棒案内管(2)を有する加圧水形原子炉の燃料要素の変形測定装置において、制御棒案内管(2)の内部に挿入可能で制御棒案内管(2)の長手軸方向に走行可能な少なくとも1つの基準軸を有するプローブ(4)が設けられ、このプローブが制御棒案内管(2)の少なくとも一部分においてその内壁に、少なくとも1つの基準軸の方位がこの部分における制御棒案内管(2)の長手軸(7)の方位に明確に関係するように支持され、制御棒案内管(2)のこの部分における少なくとも1つの基準軸の方位を別の部分におけるプローブ(4)の同じ基準軸または別の基準軸の方位と関連して検出するためプローブ(4)に配置される測定装置(9、54)が設けられる変形測定装置。
【請求項3】
プローブ(4)の周囲にその中心軸(6)と垂直に半径方向に走行可能で制御棒案内管(2)の内壁に設置可能な支持部材(32)が配置され、この支持部材が、プローブの中心軸(6)がこの部分において制御棒案内管(2)の長手軸(7)とほぼ平行になるように制御棒案内管(2)におけるプローブ(4)を方向付ける請求項2記載の装置。
【請求項4】
測定装置(9)として垂直線に対するプローブ(4)の中心軸(6)の傾斜を検出するための傾斜測定器が設けられる請求項2または3記載の装置。
【請求項5】
傾斜を検出するための測定装置(9)がプローブ内部で自由に振動できるように支承された振り子(10)を有し、その中心軸(6)に対する偏向が測定される請求項4記載の装置。
【請求項6】
偏向を検出するための測定装置(9)が振り子(10)の振り子体(12)とプローブ(4)に位置固定的に配置された少なくとも1つの基準点との間の距離(a)を測定するための距離測定装置(18)を有する請求項5記載の装置。
【請求項7】
振り子体(12)の偏向と振り子面の方位を検出するため互いに間隔を置いてプローブ(4)に配置された2つの基準点に対する振り子体(12)の距離(ax、ay)を測定するための少なくとも2つの距離測定装置(18)が設けられる請求項6記載の装置。
【請求項8】
距離測定装置(18)として無接触で作動する渦電流行程センサが設けられる請求項6または7記載の装置。
【請求項9】
渦電流行程センサがプローブ(4)に位置固定的に配置される請求項8記載の装置。
【請求項10】
傾斜を求めるための測定装置(9)が少なくとも1つの水準器(22)を有し、その水準器カプセル(24)内に水準器の目(26)として気泡または水準器カプセル(24)内に可動的に支承された浮遊体が設けられ、その比重を水準器カプセル(24)内にある水準器液(LF)の比重よりも小さくし、水準器(22)の範囲にインダクタンスが水準器の目(26)の位置に関係する少なくとも1つのコイル(29、30)が配置される請求項4記載の装置。
【請求項11】
水準器(22)として2つの電気コイル(29、30)が互いに対向する端面に巻き付けられた管状水準器が設けられる請求項10記載の装置。
【請求項12】
コイル(29、30)がホイーストンブリッジのハーフブリッジとして結線される請求項11載の装置。
【請求項13】
コイル(29、30)がそれぞれ差動変圧器の二次コイルを形成する請求項11載の装置。
【請求項14】
プローブ(4)が長手方向に直列配置された少なくとも2つの部分プローブ(4a、4b)から構成され、これらの部分コイルが互いにおよび部分プローブ(4a、4b)の中心軸(6a、6b)に対し垂直な2つの軸(50、52)を中心に旋回可能に互いに結合され、各部分プローブ(4a、4b)が基準軸を有するとともに部分プローブ(4a、4b)が制御棒案内管(2)の互いに間隔を置いた部分において基準軸の方位が制御棒案内管(2)の各部分において制御棒案内管(2)の長手軸の方位と明確に関係するように制御棒案内管の内壁に支持され、基準軸相互の方位を求めるための測定装置(54)がプローブ(4)内に配置される請求項2記載の装置。
【請求項15】
各部分プローブ(4)の周囲に中心長手軸(6)に垂直に走行可能で制御棒案内管(2)の内壁に設置可能な支持部材(32)が配置され、この支持部材により部分プローブ(4)が制御棒案内管(2)においてその中心長手軸(6)が制御棒案内管(2)の長手軸(7)と少なくともほぼ平行になるように方向付けられる請求項14記載の装置。
【請求項16】
部分プローブ(4a、4b)がカルダンジョイント(76)を介して互いに結合される請求項14または15記載の装置。
【請求項17】
測定装置(54)として部分プローブ(4a、4b)間に少なくとも1つのひずみセンサを備えた曲げ素子(56)が張られる請求項14,15または16記載の装置。
【請求項18】
曲げ素子(56)が横断面が正方形の曲げビームを有し、このビームが一方で部分プローブ(4a、4b)の1つに固定され、その自由端が摩擦的に操作棒(68)に結合され、棒の自由端が他方の部分プローブに滑動的に支承された球(70)を有する請求項17記載の装置。
【請求項19】
曲げビームの互いに垂直な少なくとも2つの平坦面にひずみセンサ(58)が設けられる請求項18載の装置。
【請求項20】
ひずみセンサ(58)としてストレインゲージが設けられる請求項19記載の装置。
【請求項21】
曲げビームの各平坦面にストレインゲージが設けられ、互いに対向するストレインゲージがホイーストンブリッジのハーフブリッジとして結線される請求項20記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−511027(P2013−511027A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538300(P2012−538300)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067073
【国際公開番号】WO2011/057995
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(501315289)アレヴァ エンペー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (61)
【Fターム(参考)】