説明

加圧流動焼却炉の運転方法及び加圧流動焼却炉設備

【課題】自立切替段階の処理を自動化してオペレータの状況判断を不要にすると共に、燃焼用空気の流量や圧力の変動を抑制する。
【解決手段】流動床を有する加圧流動焼却炉と、
燃焼用空気を圧送する過給機2と、
空気供給及び過給機2の起動に用いる回転数制御の起動用ブロワ49とを有し、
過給機2のコンプレッサ2bから加圧流動焼却炉へ供給される燃焼用空気の流量を測定する流量計26と、
過給機2のコンプレッサ2bの入口空気圧力を測定する圧力計50と、
起動用ブロワ49から圧力計50までの空気供給流路13から分岐して直接外気に連通する外気側空気供給流路14に備わる空気吸込弁24と
流量計26の測定値に基づいて起動用ブロワ49の回転数を制御する流量指示調節計52と、
圧力計50の測定値に基づいて空気吸込弁24の開度を制御する圧力指示調節計57とを有する制御装置を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水処理等で生じた汚泥など可燃性廃棄物を焼却処理する加圧流動焼却炉の運転方法及び加圧流動焼却炉設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下水汚泥等の可燃性廃棄物の焼却において、焼却物の持つエネルギーを有効に取り出すための手段の1つとして加圧流動焼却方法がある。従来、焼却に用いられている加圧を行わない気泡流動炉は、常時、流動用ブロワを運転し続け、且つ排煙処理塔で煙突から強制的に排気するための誘引ファンを運転するものであるのに対し、加圧式流動焼却炉設備は、加圧用、流動用及び燃焼用空気の送風系に排ガスエネルギーを利用するタービン−コンプレッサ過給機を利用するため、起動時に起動用ブロワを使用するのみとなり、よってランニングコストが低減し、また誘引ファンの設置が不要になる利点がある。更に通常運転においては、起動用ブロワを停止しても排ガスエネルギーによるタービン回転により駆動されるコンプレッサでの送風が安定して行われ、炉の加圧、流動床の流動や燃焼用空気の搬送に用いられるファンの送風動力が不要になる自立運転状態となる。
【0003】
このような加圧流動焼却炉設備は、図10に示す如く加圧流動焼却炉1と、加圧流動焼却炉1で生じた排ガスによりタービン2aを駆動してコンプレッサ2bで燃焼用空気を圧送する過給機2と、過給機2の起動時にコンプレッサ2bへ燃焼用空気を押し込む起動用ブロワ3と、過給機2からの燃焼用空気と加圧流動焼却炉1の排ガスとを熱交換し得る空気予熱器4と、空気予熱器4からの排ガスを集塵処理する高温集塵機5と、タービン2aから流下した排ガスの白煙を防止する白煙防止空気予熱器6と、白煙防止空気予熱器6から流下した排ガスを処理する排煙処理塔7と、白煙防止空気予熱器6からの白煙防止空気及び排煙処理塔7からの排ガスを外気に排出する煙突8とを備えている。
【0004】
加圧流動焼却炉1には、汚泥等の被処理物を供給する供給流路9と、過給機2のコンプレッサ2bから空気予熱器4を介して燃焼用空気を供給する第一空気供給流路10と、第一空気供給流路10でコンプレッサ2bと空気予熱器4との間から分岐して燃焼用空気を加圧流動焼却炉1の始動用バーナ1aに供給する第二空気供給流路11とが配置されている。又、加圧流動焼却炉1には、排ガスを、空気予熱器4、高温集塵機5、過給機2のタービン2aを介して白煙防止空気予熱器6へ排出する排出流路12が配置されている。
【0005】
過給機2のコンプレッサ2b側には、起動用ブロワ3から燃焼用空気を供給する空気供給流路13が配置されており、空気供給流路13には、過給機2のタービン2aの駆動に伴って外気から燃焼用空気を吸引する外気側空気供給流路14が接続されていると共に、起動用ブロワ3の吐出空気圧力を調整し得る圧力調整流路15が接続されている。又、図10中、16は白煙防止空気予熱器6に対応する白煙防止ファン、17は白煙防止ファン16から白煙防止空気予熱器6へ接続する接続流路、18は白煙防止空気予熱器6から排煙処理塔7へ接続する排ガス排出流路、19は白煙防止空気予熱器6から煙突8へ接続する白煙防止空気流路、20は排煙処理塔7内の薬液循環に対応する排煙処理塔循環ポンプ、21は処理液を排煙処理塔7と排煙処理塔循環ポンプ20との間で循環させる循環流路21を示している。更に図10中、符号A,B,C,Dは、図11の符号A,B,C,Dに、つながることを示している。
【0006】
起動用ブロワ3は、図11に示す如くモータ等の駆動手段3aを介して運転又は停止し得るように運転/停止スイッチ22を備え、圧力調整流路15には、起動用ブロワ3の圧力を調整し得る圧力調整弁23が備えられていると共に、外気側空気供給流路14には、空気の吸引量を調整し得る空気吸込弁24が備えられている。又、第一空気供給流路10で過給機2のコンプレッサ2bから空気予熱器4へ向かう箇所には、上流側から順に、燃焼用空気の量を調整し得る燃焼用空気弁25と、燃焼用空気の流量を計測する流量計26とが備えられている。更に、第二空気供給流路11でコンプレッサ2bから加圧流動焼却炉1へ向かう箇所には、空気の流量を調整する空気供給開閉弁11a(図10参照)が備えられている。更に又、第二空気供給流路11でコンプレッサ2bから空気供給開閉弁11aまでの箇所には、加圧流動焼却炉1の通常運転後に余剰の燃焼用空気を別途有効利用し得る利用供給流路27を接続し、利用供給流路27には加圧空気弁28が備えられている。又、排出流路12で高温集塵機5からタービン2aへ向かう箇所には、排ガスの温度を計測する温度計12aが備えられている。更に排出流路12でタービン2aから白煙防止空気予熱器6へ向かう箇所には、排ガスの流量を計測する流量計29が備えられている。
【0007】
ここで燃焼用空気の流量計26は、信号伝達用の流量信号ライン30を介して流量指示調節計(FIC)31に接続されており、流量指示調節計31は、燃焼用空気弁信号ライン32、第一セレクタ33及び第二セレクタ34を介して燃焼用空気弁25へ接続されていると共に、第一セレクタ33及び加圧空気弁信号ライン35を介して加圧空気弁28へ接続されている。これにより流量指示調節計31は、燃焼用空気の流量計26から測定値の信号を受けて演算を行い設定値との偏差に応じた制御信号を出力し、第一セレクタ33を介して燃焼用空気弁25又は加圧空気弁28に対し、下記に記述する第1セレクタ33へ入力される切替信号によりどちらかに制御信号を送り、更に第二セレクタ34を介して燃焼用空気弁25に制御信号を送るようにしている。
【0008】
又、第一セレクタ33は、起動用ブロワ3の運転/停止スイッチ22の切替、つまり自立切替運転と通常運転との切替に伴い、第一信号ライン36を介して伝えられる上記起動用ブロワ3の状態に応じて、燃焼用空気弁25と加圧空気弁28との制御信号伝達切替を行うようになっている。更に第二セレクタ34、燃焼用空気弁25、空気吸込弁24、圧力調整弁23は、自立切替プログラム37により制御されるようになっている。ここで自立切替プログラム37は、図12に示す如く燃焼用空気弁25、空気吸込弁24、起動用ブロワ3の圧力調整弁23を所定の時間経過に伴って所定の開度にするようにしている。具体的な一例としては、図11に示すように自立切替プログラム37が、プログラム自体の演算開始トリガである開始スイッチ38の作動に伴い、第二信号ライン39により伝えられる切替信号により第二セレクタ34を動作させ、燃焼用空気弁25への制御信号系統を、流量計26〜流量指示調節計31〜第1セレクタ33〜燃焼用空気弁25のフローから、第1タイマ41〜第1開度調節器42〜第2セレクタ34〜燃焼用空気弁25のフローへ直ちに切り替え、又、第三信号ライン40より第一タイマ41、第一開度調節器42、第二セレクタ34を介して燃焼用空気弁25を一定時間経過後毎に、第一開度調節器42の出力値を変更しながら順次所定開度に切り替え、更に、第四信号ライン43により第二タイマ44、第二開度調節器45を介して空気吸込弁24を一定時間経過後毎に、第二開度調節器45の出力値を変更しながら順次所定開度に切り替え、更に又、第五信号ライン46より第三タイマ47、第三開度調節器48を介して起動用ブロワ3の圧力調整弁23を一定時間経過後毎に、第三開度調節器48の出力値を変更しながら順次所定開度に切り替えるようにしている。又、図11中、符号※1,※2,※3,※4,※5は、同じ符号と夫々の信号ラインでつながっていることを示している。
【0009】
最初の送風開始段階から通常運転段階へ移行する際には、図13に示す如く送風開始段階、昇温・昇圧段階、自立切替段階(自立運転状態への切替段階)を経て通常運転段階へ移行するようにしている。
【0010】
送風開始段階では、最初に空気吸込弁24、燃焼用空気弁25、起動用ブロワ3の圧力調整弁23の全閉を確認する。次に起動用ブロワ3の運転/停止スイッチ22を運転側に入れて起動用ブロワ3を運転し、過給機2のコンプレッサ2bに空気を押し込み、続いて燃焼用空気弁25の開度を制御して燃焼用空気の流量(空気量)を徐々に増やし、加圧流動焼却炉1に燃焼用空気を供給する。この時、起動用ブロワ3の回転数は一定になっている。
【0011】
昇温・昇圧段階では、過給機2のコンプレッサ2bを通じて起動用ブロワ3により押し込まれている燃焼用空気の一部を、空気供給開閉弁11aを開放することで第二空気供給流路11を介して始動用バーナ1a近傍の炉内へ供給し、加圧流動焼却炉1の始動用バーナ1aは点火されることで、炉内の燃焼及び砂などの熱媒体の流動が始まり、加圧流動焼却炉1も燃焼を開始する。そして、始動用バーナ1aや図示しないオイルガン等に補助燃料を投入して炉内燃焼を盛んにさせ、燃焼用空気は所定値に到達した流量となっていることから流動床の熱媒体流動も盛んになり、加圧流動焼却炉1は昇温・昇圧する。その結果、徐々に高温高圧な排ガスが発生するようになり、排出流路12を高圧な排ガスが搬送され、その排ガスが有するエネルギーにより過給機2のタービン2aを駆動し、更にその排ガスエネルギーが徐々に高まりタービン2aに及ぼす仕事が増えて過給機回転数を上昇させる。ここで同時に燃焼用空気弁25の開度を制御して燃焼用空気の流量を維持するようにしているので、起動用ブロワ3の駆動による燃焼用空気の搬送動力の静圧分は徐々に小さくて済むようになる。
【0012】
自立切替段階では、オペレータが昇温・昇圧に伴う排ガスの体積増加を温度計12a及び流量計29により確認し、次いで排ガスの温度や流量から起動用ブロワ3の運転が不要であることを判断し、自立切替プログラム37の開始スイッチ38を入れる。自立切替プログラム37では、燃焼用空気弁25、空気吸込弁24、起動用ブロワ3の圧力調整弁23を所定の時間経過に伴って所定の開度にし、燃焼用空気の流量及び圧力を安定化させる。そして燃焼用空気の流量及び圧力が安定化した後には、オペレータが手動で起動用ブロワ3を停止する。
【0013】
通常運転段階は、起動用ブロワ3の停止後に、加圧流動焼却炉1を所定量の汚泥供給や補助燃料導入で通常の焼却運転にすると共に、過給機2を加圧流動焼却炉1の排ガスのみで駆動して所定の燃焼用空気量の炉内導入を確保する。又、通常運転段階では、燃焼用空気弁25の開度は全開になる信号を定常的に送り、第二セレクタ34で制御信号伝送路を切り替えた流量指示調節計31による流量計26の計測値からの演算出力値に応じて加圧空気弁28の開度を制御し、過給機2のコンプレッサ2bによる燃焼用空気の余剰分を利用供給流路27により別途有効利用し得るようにしている。
【0014】
なお、本発明に関連する加圧流動焼却炉設備の先行技術文献情報としては、例えば、下記の特許文献1が既に存在しており、燃焼用空気の流量制御や起動用ブロワの切替等の先行技術文献としては、例えば、特許文献2,3が既に存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2008−25966号公報
【特許文献2】特開2005−28251号公報
【特許文献3】特開平5−248259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、起動用ブロワ3の運転が必要な状況下、つまり、排ガスエネルギーによるタービン回転により駆動されるコンプレッサでの送風だけでは燃焼空気供給量が不足する状況下でオペレータが自立切替プログラム37を開始してしまうと、燃焼用空気の流量や圧力が大きく変動し(図13では空気量の落込部分で示す)、オペレータは燃焼用空気の流量等の状態を常に監視し、適切な状況を判断しなければならないという問題があった。特に起動用ブロワ3は運転から停止まで回転数が一定であるため、起動用ブロワ3の送風が必要か否かの判断が困難であるという問題があった。
【0017】
又、自立切替段階では、空気吸込弁24、燃焼用空気弁25、起動用ブロワ3の圧力調整弁23の開度の設定が適切でないと、燃焼用空気の流量や圧力が大きく変動し、運転状況によってはタービン−コンプレッサ又は/及び起動用ブロワにもサージング発生等の悪影響を及ぼすおそれがあるため、オペレータ等の多くの経験を参考にして自立切替プログラム37を厳密に設定しなければならないという問題があった。
【0018】
本発明は、斯かる実情に鑑み、自立切替段階の処理を自動化してオペレータの状況判断を不要にすると共に、燃焼用空気の流量や圧力の変動を抑制する加圧流動焼却炉の運転方法及び加圧流動焼却炉設備を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の加圧流動焼却炉の運転方法は、流動床を有する加圧流動焼却炉と、該加圧流動焼却炉で生じた排ガスにより燃焼用空気を圧送する過給機と、前記加圧流動焼却炉の燃焼開始時の空気供給及び前記過給機の起動に用いる回転数制御の起動用ブロワとを備える加圧流動焼却炉の運転方法であって、
前記加圧流動焼却炉を運転起動する燃焼開始時に前記起動用ブロワの運転を開始し、前記過給機のコンプレッサへ燃焼用空気を押し込み、コンプレッサ出口の燃焼用空気流量の測定値に基づき、起動用ブロワの回転数を調整して燃焼用空気の流量を第一の所定の流量設定値に到達させる送風開始段階と、
燃焼用空気の流量を第一の所定の流量設定値に到達させた後に、可燃性廃棄物及び/または補助燃料の導入により加圧流動焼却炉を昇温・昇圧し、加圧流動焼却炉で生じた排ガスエネルギーにより過給機のタービン回転に駆動力を付与し、更にコンプレッサ出口の燃焼用空気の流量の測定値に基づき、起動用ブロワの回転数を調整して前記加圧流動焼却炉へ導入する燃焼用空気の流量を第二の所定の流量設定値になるよう制御する昇温・昇圧段階と、
前記加圧流動焼却炉の燃焼により排ガス量が増加し、排ガスエネルギーによる前記タービンの駆動に応じてコンプレッサが搬送する燃焼用空気量が前記第二の所定の流量設定値に近づいた結果、前記コンプレッサの入口空気圧力が規定値以下になった際に、起動用ブロアとコンプレッサとの間の空気供給流路から分岐して直接外気に連通する外気側空気供給流路に備わる空気吸込弁を前記コンプレッサの入口空気圧力計測値に応じて開いて外気を吸い込み、前記空気吸込弁が所定開度以上を所定時間保持した後に起動用ブロワの停止を行う自立切替段階と、
前記起動用ブロワの停止後に前記過給機を排ガスのみで駆動して、前記加圧流動焼却炉へ導入される燃焼用空気量として前記第二の所定の流量設定値を確保する通常運転段階と、を備えるものである。
【0020】
本発明の加圧流動焼却炉の運転方法は、流動床を有する加圧流動焼却炉と、該加圧流動焼却炉で生じた排ガスにより燃焼用空気を圧送する過給機と、前記加圧流動焼却炉の燃焼開始時の空気供給及び前記過給機の起動に用いる回転数制御の起動用ブロワとを備える加圧流動焼却炉の運転方法であって、
前記加圧流動焼却炉を運転起動する燃焼開始時に前記起動用ブロワの運転を開始し、前記過給機のコンプレッサへ燃焼用空気を押し込み、コンプレッサ出口の燃焼用空気流量の測定値に基づき、起動用ブロワの回転数を調整して燃焼用空気の流量を第一の所定の流量設定値に到達させる送風開始段階と、
燃焼用空気の流量を第一の所定の流量設定値に到達させた後に、可燃性廃棄物及び/または補助燃料の導入により加圧流動焼却炉を昇温・昇圧し、加圧流動焼却炉で生じた排ガスエネルギーにより過給機のタービン回転に駆動力を付与し、更にコンプレッサ出口の燃焼用空気の流量の測定値に基づき、起動用ブロワの回転数を調整して前記加圧流動焼却炉へ導入する燃焼用空気の流量を第二の所定の流量設定値になるよう制御する昇温・昇圧段階と、
前記加圧流動焼却炉の燃焼により排ガス量が増加し、排ガスエネルギーによる前記タービンの駆動に応じてコンプレッサが搬送する燃焼用空気量が前記第二の所定の流量設定値に近づいた結果、前記コンプレッサの入口空気圧力が規定値以下になった際に、起動用ブロアとコンプレッサとの間の空気供給流路から分岐して直接外気に連通する外気側空気供給流路に備わる空気吸込弁を前記コンプレッサの入口空気圧力計測値に応じて開いて外気を吸い込み、前記起動用ブロワの回転数を減少させ規定回転数に達したことにより起動用ブロワの停止を行う自立切替段階と、
前記起動用ブロワの停止後に前記過給機を排ガスのみで駆動して、前記加圧流動焼却炉へ導入される燃焼用空気量として前記第二の所定の流量設定値を確保する通常運転段階と、を備えるものである。
【0021】
本発明の加圧流動焼却炉の運転方法は、流動床を有する加圧流動焼却炉と、該加圧流動焼却炉で生じた排ガスにより燃焼用空気を圧送する過給機と、前記加圧流動焼却炉の燃焼開始時の空気供給及び前記過給機の起動に用いる起動用ブロワと、該起動用ブロワからの燃焼用空気の供給量を調整する起動用ブロワ空気弁とを備える加圧流動焼却炉の運転方法であって、
前記加圧流動焼却炉を運転起動する燃焼開始時に前記起動用ブロワの運転を開始し、前記過給機のコンプレッサへ燃焼用空気を押し込み、コンプレッサ出口の燃焼用空気流量の測定値に基づき、起動用ブロワ空気弁の開度を調整して燃焼用空気の流量を第一の所定の流量設定値に到達させる送風開始段階と、
燃焼用空気の流量を前記第一の所定の流量設定値に到達させた後に、可燃性廃棄物及び/または補助燃料の導入により加圧流動焼却炉を昇温・昇圧し、加圧流動焼却炉で生じた排ガスエネルギーにより過給機のタービン回転に駆動力を付与し、更にコンプレッサ出口の燃焼用空気の流量の測定値に基づき、起動用ブロワ空気弁の開度を調整して前記加圧流動焼却炉へ導入する燃焼用空気の流量を第二の所定の流量設定値になるよう制御する昇温・昇圧段階と、
前記加圧流動焼却炉の燃焼により排ガス量が増加し、排ガスエネルギーによる前記タービンの駆動に応じてコンプレッサが搬送する燃焼用空気量が前記第二の所定の流量設定値に近づいた結果、前記コンプレッサの入口空気圧力が規定値以下になった際に、起動用ブロアとコンプレッサとの間の空気供給流路から分岐して直接外気に連通する外気側空気供給流路に備わる空気吸込弁を前記コンプレッサの入口空気圧力計測値に応じて開いて外気を吸い込み、前記空気吸込弁が所定開度以上を所定時間保持した後に前記起動用ブロワ空気弁の閉止及び前記起動用ブロワの停止を行う自立切替段階と、
前記起動用ブロワの停止後に前記過給機を排ガスのみで駆動して、前記加圧流動焼却炉へ導入される燃焼用空気量として前記第二の所定の流量設定値を確保する通常運転段階と、を備えるものである。
【0022】
本発明の加圧流動焼却炉の運転方法は、流動床を有する加圧流動焼却炉と、該加圧流動焼却炉で生じた排ガスにより燃焼用空気を圧送する過給機と、前記加圧流動焼却炉の燃焼開始時の空気供給及び前記過給機の起動に用いる起動用ブロワと、該起動用ブロワからの燃焼用空気の供給量を調整する起動用ブロワ空気弁とを備える加圧流動焼却炉の運転方法であって、
前記加圧流動焼却炉を運転起動する燃焼開始時に前記起動用ブロワの運転を開始し、前記過給機のコンプレッサへ燃焼用空気を押し込み、コンプレッサ出口の燃焼用空気流量の測定値に基づき、起動用ブロワ空気弁の開度を調整して燃焼用空気の流量を第一の所定の流量設定値に到達させる送風開始段階と、
燃焼用空気の流量を前記第一の所定の流量設定値に到達させた後に、可燃性廃棄物及び/または補助燃料の導入により加圧流動焼却炉を昇温・昇圧し、加圧流動焼却炉で生じた排ガスエネルギーにより過給機のタービン回転に駆動力を付与し、更にコンプレッサ出口の燃焼用空気の流量の測定値に基づき、起動用ブロワ空気弁の開度を調整して前記加圧流動焼却炉へ導入する燃焼用空気の流量を第二の所定の流量設定値になるよう制御する昇温・昇圧段階と、
前記加圧流動焼却炉の燃焼により排ガス量が増加し、排ガスエネルギーによる前記タービンの駆動に応じてコンプレッサが搬送する燃焼用空気量が前記第二の所定の流量設定値に近づいた結果、前記コンプレッサの入口空気圧力が規定値以下になった際に、起動用ブロアとコンプレッサとの間の空気供給流路から分岐して直接外気に連通する外気側空気供給流路に備わる空気吸込弁を前記コンプレッサの入口空気圧力計測値に応じて開いて外気を吸い込み、前記起動用ブロワの回転数を減少させ規定回転数に達したことにより、前記起動用ブロワ空気弁の閉止及び前記起動用ブロワの停止を行う自立切替段階と、
前記起動用ブロワの停止後に前記過給機を排ガスのみで駆動して、前記加圧流動焼却炉へ導入される燃焼用空気量として前記第二の所定の流量設定値を確保する通常運転段階と、を備えるものである。
【0023】
本発明の加圧流動焼却炉の運転方法において、前記空気吸込弁を制御する制御信号は、前記コンプレッサの入口空気圧力計測値が前記規定値ならば開も閉もしない現状維持を出力し、前記コンプレッサの入口空気圧力計測値が前記規定値よりも負圧ならば開の信号を出力し、前記コンプレッサの入口空気圧力計測値が前記規定値よりも正圧ならば閉の信号を出力することが好ましい。
【0024】
本発明の加圧流動焼却炉の運転方法において、前記空気吸込弁を制御する制御信号は、前記コンプレッサの入口空気圧力計測値が前記規定値よりも負圧ならば開の信号を出力し、前記コンプレッサの入口空気圧力計測値が前記規定値よりも正圧ならば閉の信号を出力する際に、更に、前記コンプレッサの入口空気圧力計測値の前記規定値からの偏差によって比例制御するように信号を出力することが好ましい。
【0025】
又、本発明の加圧流動焼却炉の運転方法において、コンプレッサ出口の燃焼用空気流量の測定値に基づき起動用ブロワ回転数又は起動用ブロワ空気弁の開度を調整して燃焼用空気の流量を所定の流量設定値に到達させる流量制御系統について、通常運転段階では、前記過給機を排ガスのみで駆動しても、前記加圧流動焼却炉へ導入される燃焼用空気量として前記第二の所定の流量設定値以上にコンプレッサ出口で生じた場合に余剰空気を逃がす加圧空気弁を流量制御させるよう、起動用ブロワ停止時に流量制御を切り替えることが好ましい。
【0026】
本発明の加圧流動焼却炉設備は、流動床を有する加圧流動焼却炉と、
該加圧流動焼却炉で生じた排ガスにより燃焼用空気を圧送する過給機と、
前記加圧流動焼却炉の燃焼開始時の空気供給及び前記過給機の起動に用いる回転数制御の起動用ブロワとを有し、
前記過給機のコンプレッサから加圧流動焼却炉へ供給される燃焼用空気の流量を測定する流量計と、
前記過給機のコンプレッサの入口空気圧力を測定する圧力計と、
前記起動用ブロワから前記圧力計までの空気供給流路から分岐して直接外気に連通する外気側空気供給流路に備わる空気吸込弁と
前記流量計の測定値に基づいて前記起動用ブロワ回転数を制御する流量指示調節計と、
前記圧力計の測定値に基づいて前記空気吸込弁の開度を制御する圧力指示調節計とを有する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記加圧流動焼却炉の燃焼開始から通常運転へ移行する場合に、
前記加圧流動焼却炉燃焼開始時に前記起動用ブロワの運転を開始し、前記過給機のコンプレッサへ燃焼用空気を押し込み、前記流量計の測定値に基づき、起動用ブロワの回転数を調整して燃焼用空気の流量を第一の所定の流量設定値に到達させて、
その後、可燃性廃棄物及び/または補助燃料の導入により加圧流動焼却炉を流動床を流動させながら昇温・昇圧し、加圧流動焼却炉で生じた排ガスエネルギーにより過給機のタービン回転に駆動力を付与し、更に前記流量計の測定値に基づき、起動用ブロワ回転数を調整して前記加圧流動焼却炉へ導入する燃焼用空気の流量を第二の所定の流量設定値になるよう制御し、
しかる後に、前記加圧流動焼却炉の燃焼により排ガス量が増加し、排ガスエネルギーによる前記タービンの駆動に応じてコンプレッサが搬送する燃焼用空気量が前記第二の所定の流量設定値に近づいた結果、前記圧力計の測定値が規定値以下になった際に、前記空気吸込弁を前記圧力計の計測値に応じて開いて外気を吸い込み、前記空気吸込弁が所定開度で所定時間開いた後に前記起動用ブロワの停止を行い、
前記起動用ブロワの停止後に前記過給機を排ガスのみで駆動して、前記加圧流動焼却炉へ導入される燃焼用空気量として前記第二の所定の流量設定値を確保する制御を行うように構成するものである。
【0027】
本発明の加圧流動焼却炉設備は、流動床を有する加圧流動焼却炉と、
該加圧流動焼却炉で生じた排ガスにより燃焼用空気を圧送する過給機と、
前記加圧流動焼却炉の燃焼開始時の空気供給及び前記過給機の起動に用いる回転数制御の起動用ブロワとを有し、
前記過給機のコンプレッサから加圧流動焼却炉へ供給される燃焼用空気の流量を測定する流量計と、
前記過給機のコンプレッサの入口空気圧力を測定する圧力計と、
前記起動用ブロワから前記圧力計までの空気供給流路から分岐して直接外気に連通する外気側空気供給流路に備わる空気吸込弁と
前記流量計の測定値に基づいて前記起動用ブロワ回転数を制御する流量指示調節計と、
前記圧力計の測定値に基づいて前記空気吸込弁の開度を制御する圧力指示調節計とを有する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記加圧流動焼却炉の燃焼開始から通常運転へ移行する場合に、
前記加圧流動焼却炉燃焼開始時に前記起動用ブロワの運転を開始し、前記過給機のコンプレッサへ燃焼用空気を押し込み、前記流量計の測定値に基づき、起動用ブロワの回転数を調整して燃焼用空気の流量を第一の所定の流量設定値に到達させて、
その後、可燃性廃棄物及び/または補助燃料の導入により加圧流動焼却炉を流動床を流動させながら昇温・昇圧し、加圧流動焼却炉で生じた排ガスエネルギーにより過給機のタービン回転に駆動力を付与し、更に前記流量計の測定値に基づき、起動用ブロワ回転数を調整して前記加圧流動焼却炉へ導入する燃焼用空気の流量を第二の所定の流量設定値になるよう制御し、
しかる後に、前記加圧流動焼却炉の燃焼により排ガス量が増加し、排ガスエネルギーによる前記タービンの駆動に応じてコンプレッサが搬送する燃焼用空気量が前記第二の所定の流量設定値に近づいた結果、前記圧力計の測定値が規定値以下になった際に、前記空気吸込弁を前記圧力計の計測値に応じて開いて外気を吸い込み、前記起動用ブロワの回転数を減少させ規定回転数に達したことにより、前記起動用ブロワの停止を行い、
前記起動用ブロワの停止後に前記過給機を排ガスのみで駆動して、前記加圧流動焼却炉へ導入される燃焼用空気量として前記第二の所定の流量設定値を確保する制御を行うように構成するものである。
【0028】
本発明の加圧流動焼却炉設備は、流動床を有する加圧流動焼却炉と、
該加圧流動焼却炉で生じた排ガスにより燃焼用空気を圧送する過給機と、
前記加圧流動焼却炉の燃焼開始時の空気供給及び前記過給機の起動に用いる起動用ブロワとを有し、
該起動用ブロワからの燃焼用空気の供給量を調整する起動用ブロワ空気弁と、
前記過給機のコンプレッサから加圧流動焼却炉へ供給される燃焼用空気の流量を測定する流量計と、
前記過給機のコンプレッサの入口空気圧力を測定する圧力計と、
前記起動用ブロワから前記圧力計までの空気供給流路から分岐して直接外気に連通する外気側空気供給流路に備わる空気吸込弁と
前記流量計の測定値に基づいて前記起動用ブロワ空気弁を制御する流量指示調節計と、
前記圧力計の測定値に基づいて前記空気吸込弁の開度を制御する圧力指示調節計とを有する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記加圧流動焼却炉の燃焼開始から通常運転へ移行する場合に、
前記加圧流動焼却炉燃焼開始時に前記起動用ブロワの運転を開始し、前記過給機のコンプレッサへ燃焼用空気を押し込み、前記流量計の測定値に基づき、起動用ブロワ空気弁の開度を調整して燃焼用空気の流量を第一の所定の流量設定値に到達させて、
その後、可燃性廃棄物及び/または補助燃料の導入により加圧流動焼却炉を流動床を流動させながら昇温・昇圧し、加圧流動焼却炉で生じた排ガスエネルギーにより過給機のタービン回転に駆動力を付与し、更に前記流量計の測定値に基づき、起動用ブロワ空気弁の開度を調整して前記加圧流動焼却炉へ導入する燃焼用空気の流量を第二の所定の流量設定値になるよう制御し、
しかる後に、前記加圧流動焼却炉の燃焼により排ガス量が増加し、排ガスエネルギーによる前記タービンの駆動に応じてコンプレッサが搬送する燃焼用空気量が前記第二の所定の流量設定値に近づいた結果、前記圧力計の測定値が規定値以下になった際に、前記空気吸込弁を前記圧力計の計測値に応じて開いて外気を吸い込み、前記空気吸込弁が所定開度で所定時間開いた後に前記起動用ブロワの停止を行い、
前記起動用ブロワの停止後に前記過給機を排ガスのみで駆動して、前記加圧流動焼却炉へ導入される燃焼用空気量として前記第二の所定の流量設定値を確保する制御を行うように構成するものである。
【0029】
本発明の加圧流動焼却炉設備は、流動床を有する加圧流動焼却炉と、
該加圧流動焼却炉で生じた排ガスにより燃焼用空気を圧送する過給機と、
前記加圧流動焼却炉の燃焼開始時の空気供給及び前記過給機の起動に用いる起動用ブロワとを有し、
該起動用ブロワからの燃焼用空気の供給量を調整する起動用ブロワ空気弁と、
前記過給機のコンプレッサから加圧流動焼却炉へ供給される燃焼用空気の流量を測定する流量計と、
前記過給機のコンプレッサの入口空気圧力を測定する圧力計と、
前記起動用ブロワから前記圧力計までの空気供給流路から分岐して直接外気に連通する外気側空気供給流路に備わる空気吸込弁と
前記流量計の測定値に基づいて前記起動用ブロワ空気弁を制御する流量指示調節計と、
前記圧力計の測定値に基づいて前記空気吸込弁の開度を制御する圧力指示調節計とを有する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記加圧流動焼却炉の燃焼開始から通常運転へ移行する場合に、
前記加圧流動焼却炉燃焼開始時に前記起動用ブロワの運転を開始し、前記過給機のコンプレッサへ燃焼用空気を押し込み、前記流量計の測定値に基づき、起動用ブロワ空気弁の開度を調整して燃焼用空気の流量を第一の所定の流量設定値に到達させて、
その後、可燃性廃棄物及び/または補助燃料の導入により加圧流動焼却炉を流動床を流動させながら昇温・昇圧し、加圧流動焼却炉で生じた排ガスエネルギーにより過給機のタービン回転に駆動力を付与し、更に前記流量計の測定値に基づき、起動用ブロワ空気弁の開度を調整して前記加圧流動焼却炉へ導入する燃焼用空気の流量を第二の所定の流量設定値になるよう制御し、
しかる後に、前記加圧流動焼却炉の燃焼により排ガス量が増加し、排ガスエネルギーによる前記タービンの駆動に応じてコンプレッサが搬送する燃焼用空気量が前記第二の所定の流量設定値に近づいた結果、前記圧力計の測定値が規定値以下になった際に、前記空気吸込弁を前記圧力計の計測値に応じて開いて外気を吸い込み、前記起動用ブロワ空気弁の開度が規定の最低開度に達したことにより、前記起動用ブロワの停止を行い、
前記起動用ブロワの停止後に前記過給機を排ガスのみで駆動して、前記加圧流動焼却炉へ導入される燃焼用空気量として前記第二の所定の流量設定値を確保する制御を行うように構成するものである。
【0030】
又、本発明の加圧流動焼却炉設備において、前記圧力指示調節計から出力される前記空気吸込弁を制御する制御信号は、前記コンプレッサの入口空気圧力計測値が前記規定値ならば開も閉もしない現状維持を出力し、前記コンプレッサの入口空気圧力計測値が前記規定値よりも負圧ならば開の信号を出力し、前記コンプレッサの入口空気圧力計測値が前記規定値よりも正圧ならば閉の信号を出力することが好ましい。
【0031】
又、本発明の加圧流動焼却炉設備において、前記圧力指示調節計から出力される前記空気吸込弁を制御する制御信号は、更に、前記コンプレッサの入口空気圧力計測値の、前記規定値からの偏差によって弁開度の変化速度を比例制御するように信号を出力することが好ましい。
【0032】
又、本発明の加圧流動焼却炉設備において、前記流量指示調節計から出力される起動用ブロワ回転数又は起動用ブロワ空気弁の開度を調整して燃焼用空気の流量を所定の流量設定値に到達させる流量制御信号について、起動用ブロワ停止信号を用いて前記流量指示調節計の設定を変更し、かつ、コンプレッサ出口で生じた余剰空気を逃がす加圧空気弁の開度を調整するように信号伝送路を切り替えることが好ましい。
【発明の効果】
【0033】
本発明の加圧流動焼却炉の運転方法及び加圧流動焼却炉設備によれば、起動用ブロワを回転数制御にする、又は起動用ブロア空気弁を流量制御のために設置すると共に、燃焼用空気の流量に基づいて起動用ブロワの回転数を調整し、又は起動用ブロワを一定回転にして起動用ブロワ空気弁の開度を調整し、且つコンプレッサの入口空気圧力に基づいて空気吸込弁の開度を調整するので、自立切替段階の処理を自動化し、オペレータの常時監視や状況判断を不要にすることができる。又、自立切替プログラムの設定を不要にすると共に、燃焼用空気の流量や圧力の変動を適切に抑制するので、サージング発生等の悪影響を防止することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の加圧流動焼却炉設備の第一例の一部を拡大して示す概要構成図である。
【図2】本発明の加圧流動焼却炉の運転方法の第一例の処理を示すフローである。
【図3】図2のフローから続く処理を示すフローである。
【図4】本発明において送風開始段階、昇温・昇圧段階、自立切替段階、通常運転段階での起動用ブロワの回転数、空気吸込弁の開度等を示すグラフである。
【図5】自立切替段階でコンプレッサの入口空気圧力と規定圧の偏差に基づく空気吸込弁の弁開度の変化速度を示すグラフである。
【図6】自立切替段階でコンプレッサの入口空気圧力が規定値以上になった場合の起動用ブロワの回転数、空気吸込弁の開度等を示すグラフである。
【図7】図2のフローから続く他の処理を示すフローである。
【図8】本発明の加圧流動焼却炉設備の第二例の一部を拡大して示す概要構成図である。
【図9】本発明の加圧流動焼却炉の運転方法の第二例の処理を示すフローである。
【図10】加圧流動焼却炉設備を示す全体概要構成図である。
【図11】従来の加圧流動焼却炉設備の一部を拡大して示す概要構成図である。
【図12】自立切替プログラムによって燃焼用空気弁の開度、空気吸込弁の開度、起動用ブロワの圧力調整弁の開度を設定したグラフである。
【図13】送風開始段階、昇温・昇圧段階、自立切替段階、通常運転段階での燃焼用空気弁の開度、空気吸込弁の開度等を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態の第一例を図1〜図7を参照して説明する。又、図中、図10、図11と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0036】
実施の形態の第一例である加圧流動焼却炉の運転方法及び加圧流動焼却炉設備は、図10に示す如く加圧流動焼却炉1と、加圧流動焼却炉1で生じた排ガスによりタービン2aを駆動してコンプレッサ2bで燃焼用空気を圧送する過給機2と、過給機2の起動時にコンプレッサ2bへ燃焼用空気を押し込むファンを回転数制御するインバータ制御の起動用ブロワ49(図1参照)と、過給機2からの燃焼用空気と加圧流動焼却炉1の排ガスとを熱交換し得る空気予熱器4と、空気予熱器4からの排ガスを集塵処理する高温集塵機5と、タービン2aから流下した排ガスの白煙を防止する白煙防止空気予熱器6と、白煙防止空気予熱器6から流下した排ガスを処理する排煙処理塔7と、白煙防止空気予熱器6からの白煙防止空気及び排煙処理塔7からの排ガスを外気に排出する煙突8とを備えている。
【0037】
過給機2には、コンプレッサ2bから空気予熱器4を介して燃焼用空気を供給する第一空気供給流路10が配置されていると共に、第一空気供給流路10でコンプレッサ2bと空気予熱器4との間から分岐して空気を加圧流動焼却炉1の始動用バーナ1aに供給する第二空気供給流路11が配置されている。又、過給機2のコンプレッサ2b側には、起動用ブロワ49から燃焼用空気を供給する空気供給流路13が配置されており、空気供給流路13には、過給機2のタービン2aの駆動に伴って外気から燃焼用空気を吸引する外気側空気供給流路14が接続されている。ここで図1中、符号A,B,C,Dは、図10の符号A,B,C,Dに、つながることを示している。
【0038】
起動用ブロワ49は、図1に示す如くモータ等の駆動手段49a、及びインバータ制御部49bを備えて回転数を調整し得るようになっており、外気側空気供給流路14には、空気の吸引量を調整し得る空気吸込弁24が備えられている。又、第一空気供給流路10で過給機2のコンプレッサ2bから空気予熱器4へ向かう箇所には、燃焼用空気の流量を計測する流量計26が備えられていると共に、空気供給流路13で起動用ブロワ49からコンプレッサ2bまでの箇所には、コンプレッサ2bの入口空気圧力を計測する圧力計50が備えられている。更に、第二空気供給流路11でコンプレッサ2bから加圧流動焼却炉1へ向かう箇所には、空気の流量を調整する空気供給開閉弁11a(図10参照)が備えられている。又、第二空気供給流路11でコンプレッサ2bから空気供給開閉弁11aまでの箇所には、空気供給開閉弁11aの上流側に位置し且つ加圧流動焼却炉1の通常運転後に余剰の燃焼用空気を別途有効利用し得る利用供給流路27を接続し、利用供給流路27には加圧空気弁28が備えられている。
【0039】
燃焼用空気の流量計26は、流量信号ライン51を介して流量指示調節計(FIC)52に接続されており、流量指示調節計52は、流量側セレクタ53、加圧空気弁信号ライン54を介して加圧空気弁28へ接続され、加圧空気弁28の開度を制御し得るようにしている。又、流量指示調節計52は、流量側セレクタ53、起動用ブロワ信号ライン55を介して起動用ブロワ49のインバータ制御部49bに接続され、起動用ブロワ49の回転数を制御し得るようにしている。
【0040】
入口空気圧力の圧力計50は、圧力信号ライン56を介して圧力指示調節計(PIC)57に接続されており、圧力指示調節計57は、圧力側セレクタ58、空気吸込弁信号ライン59を介して空気吸込弁24に接続され、空気吸込弁24の開度を制御し得るようにしている。又、圧力指示調節計57は、開度演算器60、タイマ61、起動用ブロワ信号ライン62を介して起動用ブロワ49の起動スイッチ49cに接続され、起動スイッチ49cを停止側に作動させるようにしている。更にタイマ61の接点から得られる停止信号は、流量側セレクタ53により、起動用ブロワ49が停止してから流量指示調節計52の設定値を変更した後、流量計の計測値に応じて演算して加圧空気弁28の流量制御するように、流量指示調節計52の信号ラインを加圧空気弁信号ライン54へ切り替えている。又、圧力側セレクタ58には、自動起動スイッチ63からの起動信号を受けるようになっている。ここで図1中、符号※6は信号ラインでつながっていることを示している。
【0041】
以下本発明を実施する形態の第一例の作用を説明する。
【0042】
最初の送風開始段階から通常運転段階へ移行する際には、図2、図3のフローで処理し、図4に示す如く送風開始段階(ステップS1〜S9)、昇温・昇圧段階(ステップS10)、自立切替段階(自立への切替段階)(ステップS11〜S15)を経て通常運転段階(ステップS16)へ移行するようにしている。
【0043】
送風開始段階(ステップS1〜S9)では、最初に自動起動スイッチ63を入れ(スイッチON)、圧力側セレクタ58を介して空気吸込弁24の開度が全閉か否か判断し(ステップS1)、全閉にならない場合(ステップS1のNO)には、開度が全閉になるまで同じ処理を繰り返し、全閉の場合(ステップS1のYES)には、その他の起動用ブロワ49の起動条件成立を確認する(ステップS2)。ここで起動用ブロワ49の起動条件は、加圧流動焼却炉1の停止、燃料供給の確認等であり、起動条件成立が確認できない場合(ステップS2のNO)には、起動条件成立が確認できる(ステップS2のYES)まで処理を繰り返す。
【0044】
起動用ブロワ49の起動条件成立が確認できた際(ステップS2のYES)には、起動用ブロワ49の運転を開始し(ステップS3)、過給機2のコンプレッサ2bに燃焼用空気を押し込む。ここで図1では起動用ブロワ49の運転を開始する信号の信号ラインを記載していないが、ステップS1、ステップS2を経た後、運転するようにしている。
【0045】
そして、流量計26により燃焼用空気の流量を計測し、燃焼用空気の流量の計測値に基づいて流量指示調節計52で起動用ブロワ49の回転を演算し(ステップS4)、演算結果を流量側セレクタ53を介して起動用ブロワ49のインバータ制御部49bへ伝達し、起動用ブロワ49の回転数を制御する(ステップS5)。続いて圧力計50によりコンプレッサ2bの入口空気圧力を計測し、入口空気圧力の計測値に基づいて圧力指示調節計57で空気吸込弁24の開度を演算し(ステップS6)、演算結果を圧力側セレクタ58を介して空気吸込弁24へ伝達し、空気吸込弁24の開度の制御を開始する(ステップS7)。ここで流量計26の計測値に基づいて流量指示調節計52で起動用ブロワ49の回転を演算する際(ステップS4)には、流量の計測値と設定値との偏差演算を行い、偏差をゼロにするように起動用ブロワ49の回転数を出力している。又、圧力指示調節計57で空気吸込弁24の開度を演算する際(ステップS6)には、図5に示す如く、コンプレッサ2bの入口空気圧力と設定値(規定圧)の偏差より弁開度の速度変化を求め、偏差が大きい場合には弁を速く開き且つ偏差が小さい場合には弁を遅く開くように、弁の開度の速度を調整している。この調整は速度変化と偏差とを比例制御しても、段階的にステップ制御してもどちらでも良い。更に、起動用ブロワ49の回転数、空気吸込弁24の開度、燃焼用空気の流量(空気量)、コンプレッサ2bの入口空気圧力の状態を示すと、図4に示す如く、起動用ブロワ49の回転数は起動用ブロワ49の運転の開始から一定時間まで上昇しており、燃焼用空気の流量(空気量)は起動用ブロワ49の回転数の上昇に伴って増加しており、コンプレッサ2bの入口空気圧力も同様に起動用ブロワ49の回転数の上昇に伴って増加している。又、空気吸込弁24の開度はコンプレッサ2bの入口空気圧力が大気圧以下の規定値以下になるまで全閉状態になっている。
【0046】
続いて燃焼用空気の流量が第一の所定の流量設定値に到達するか否か判断し(ステップS8)、流量が第一の所定の流量設定値に到達しない場合(ステップS8のNO)には、第一の所定の流量設定値になるまで同じ処理を繰り返し、流量が第一の所定の流量設定値に到達した場合(ステップS8のYES)には、タイマ(図示せず)がカウントし(ステップS9)、所定時間経過の後、昇温・昇圧段階(ステップS10)へ移行する。
【0047】
昇温・昇圧段階(ステップS10)では、加圧流動焼却炉1の始動用バーナ1aは点火され、ここに過給機2のコンプレッサ2bを通じて起動用ブロワ3により押し込まれている燃焼用空気の一部を、空気供給開閉弁11aを開放することで第二空気供給流路11を介して始動用バーナ1a近傍の炉内へ供給して燃焼及び砂などの熱媒体の流動が始まり、加圧流動焼却炉1も燃焼を開始する。始動バーナ1aや図示しないオイルガン等に補助燃料を投入して燃焼させ、燃焼用空気は第一の所定の流量設定値に到達した流量となっていて流動床の熱媒体流動も盛んになり、加圧流動焼却炉1は昇温・昇圧する。その結果、徐々に高温高圧な排ガスが発生するようになり、排出流路12を高圧な排ガスが搬送され、その排ガスが有するエネルギーにより過給機2のタービン2aを駆動し、更にその排ガスエネルギーが徐々に高まりタービン2aに及ぼす仕事が増えてタービン回転数を上昇させる。そして燃焼用空気の流量の測定値に基づき、起動用ブロワ49の回転数を調整して、昇温昇圧運転の後段や通常運転に必要な燃焼用空気の第二の所定の流量設定値になるよう、流量制御系の設定値を変更し、その設定値になるよう制御する。この燃焼用空気の第一の所定の流量設定値と第二の所定の流量設定値は、その値が同じでも良く、第二の所定の流量設定値が大きくても良い。また、昇温・昇圧段階では、第二の所定の流量設定値は、段階的に引き上げられて最終的な通常運転における第二の所定の流量設定値になるような演算式で動かしても良い。ここで昇温・昇圧段階での起動用ブロワ49の回転数、空気吸込弁24の開度、燃焼用空気の流量(空気量)、コンプレッサ2bの入口空気圧力の状態を示すと、例えば燃焼用空気の第一の所定の流量設定値と第二の所定の流量設定値がほぼ同じ値である場合の図4に示す如く、燃焼用空気の流量(空気量)はほぼ一定値を維持する一方で、タービン2a回転数の上昇に伴う空気吸引により起動用ブロワ49の回転数、コンプレッサ2bの入口空気圧力は徐々に低下している。
【0048】
次に前記加圧流動焼却炉1の燃焼により排ガス量が増加し、排ガスエネルギーによる前記タービン2aの駆動に応じてコンプレッサ2bが搬送する燃焼用空気量が第二の所定の流量設定値に近づいた結果、コンプレッサ2bの入口空気圧力が大気圧以下の規定値以下になった際には自立切替段階(ステップS11〜S15)へ移行する。ここで規定値は、大気圧以下で設定した値であり、具体的には大気圧である外気側空気供給流路14の外気吸込口部分(図示せず)からコンプレッサ2bの入口空気圧力の測定点までの配管圧力損失やフィルタ圧力損失分等を考慮して設定した値である。
【0049】
自立切替段階(ステップS11〜S15)では、圧力指示調節計57から空気吸込弁24へ継続して信号が送られているが、ずっと閉止側の信号が送られていたところ、コンプレッサ2bの入口空気圧力が大気圧以下の規定値以下になった時点(ステップS11)より圧力指示調節計57等を介して空気吸込弁24に現状維持を経て更に弁を開放する制御信号が送られるので、空気吸込弁24を開いて外気から空気を吸い込む。そして空気吸込弁24の開度が所定の開度(全開の場合を含む)になったか否か判断し(ステップS12)、開度が所定の開度でない場合(ステップS12のNO)には、所定の開度になるまで同じ処理を繰り返し、開度が所定の開度に到達した場合(ステップS12のYES)には、起動用ブロワ49の運転・停止判断を開始して(ステップS13)、タイマ61がカウントし(ステップS14)、所定時間経過の後、起動用ブロワ49を停止し(ステップS15)、通常運転段階へ移行する。ここで自立切替段階での、起動用ブロワ49の回転数、空気吸込弁24の開度、燃焼用空気の流量(空気量)、コンプレッサ2bの入口空気圧力の状態を示すと、図4に示す如く、起動用ブロワ49の回転数は、インバータ制御やモータ等を保護するために設定されている最低回転数(規定回転数)やその近傍の一定以上の低い回転数となっており、空気吸込弁24の開度は、コンプレッサ2bの入口空気圧力が規定値以下になった時点から制御信号に応じて空気吸込弁24が開き始める。又、燃焼用空気の流量(空気量)はほぼ一定値であり、コンプレッサ2bの入口空気圧力は規定値以下になった後、ほぼ一定値を維持している。
【0050】
ここで別な制御の方法として、コンプレッサ2bの入口空気圧力が大気圧以下の規定値以下になった時点(ステップS11)より圧力指示調節計57等を介して空気吸込弁24に現状維持を経て更に弁を開放する制御信号が送られることで空気吸込弁24を開いて外気から空気を吸い込んだ後、起動用ブロワ49の回転数が流量指示調節計52の出力により徐々に減少する。それにより、その起動用ブロワ49の回転数が所定の最低回転数(規定回転数)に到達したか否か判断し(ステップS12')、起動用ブロワ49の回転数が所定の最低回転数でない場合(ステップS12'のNO)には、所定の最低回転数になるまで同じ処理を繰り返し、起動用ブロワ49の回転数が所定の最低回転数に到達した場合(ステップS12'のYES)には、起動用ブロワ49の運転・停止判断を開始して(ステップS13')起動用ブロワ49を停止し(ステップS15')、通常運転段階へ移行する。
【0051】
又、自立切替段階で、図6に示す如くコンプレッサ2bの入口空気圧力が大気圧以下の規定値以下になった後、再度規定値以上になった際には、圧力指示調節計57から空気吸込弁24へ自動で弁を閉止する制御信号が送られ、空気吸込弁24は閉じる方向へ調整されて外気導入が制限され(図6ではαの範囲)、起動用ブロワ49の押し込み力を増加させて加圧流動焼却炉1の燃焼を盛んにして排ガス発生量を増やすことで、再び過給機2のタービン2aによるコンプレッサ2b駆動力を増強してコンプレッサの入口空気圧力を再び規定値以下にし、処理を自立切替段階の最初の処理へ戻し(図7の符号F1参照)、コンプレッサ2bの入口空気圧力が再び規定値以下になった時点より同じ処理を繰り返して起動用ブロワ49を停止し(ステップS11〜S15)、通常運転段階へ移行している。
【0052】
通常運転段階(ステップS16)では、加圧流動焼却炉1の排ガスのみで過給機2を稼働し、加圧流動焼却炉1を通常の運転状態にする。又、タイマ61のカウント後には起動用ブロワ49の停止と共に、流量側セレクタ53にタイマ61の接点信号を与えて、かつ流量指示調節計52へ設定値を変更する指令を与えることで、流量指示調節計52からの制御信号出力を加圧空気弁28の制御へ切り替え、過給機2のコンプレッサ2bによる燃焼用空気の余剰分を制御して利用供給流路27に流して別途有効利用する。上述の起動用ブロワ49の停止判断(ステップS15')が、起動用ブロワ49の回転数による場合も同様である。ここで通常運転段階での、起動用ブロワ49の回転数、空気吸込弁24の開度、燃焼用空気の流量(空気量)、コンプレッサ2bの入口空気圧力の状態を示すと、例えば燃焼用空気の第一の所定の流量設定値と第二の所定の流量設定値がほぼ同じ値である場合の図4に示す如く、起動用ブロワ49の回転数は起動用ブロワ49の停止により回転数はゼロになっており、空気吸込弁24の開度は全開になっており、燃焼用空気の流量(空気量)はほぼ一定値であり、コンプレッサ2bの入口空気圧力は規定値以下になった値を維持している。
【0053】
又、通常段階で、脱水汚泥等の含水率、投入量、発熱量の変化により、図7に示す如くコンプレッサ2bの入口空気圧力が大気圧以下の規定値以上になった際(ステップS17のYES)には、起動用ブロワ49の運転を再開する(ステップS18)と共に圧力指示調節計57から空気吸込弁24へ自動で弁を閉止する制御信号が送られ、空気吸込弁24は閉じる方向へ調整されて外気導入が制限され、起動用ブロワ49の送風力を発生させて加圧流動焼却炉1の燃焼を盛んにして排ガス発生量を増やすことで、再び過給機2のタービン2aによるコンプレッサ2b駆動力を増強して、処理を自立切替段階の最初の処理へ戻し(図7の符号F1)、コンプレッサ2bの入口空気圧力が再び規定値以下になった時点より同じ処理を繰り返して起動用ブロワ49を停止し(ステップSS11〜S15)、通常運転段階へ移行している。
【0054】
而して、このように実施の形態の第一例によれば、起動用ブロワ49をインバータ制御にすると共に、燃焼用空気の流量に基づいて起動用ブロワ49の回転数を調整し、コンプレッサ2bの入口空気圧力に基づいて空気吸込弁24の開度を調整するので、自立切替段階の処理を自動化し、オペレータの常時監視や状況判断を不要にすることができる。又、空気吸込弁24の開度及び起動用ブロワ49の回転数を調整して送風開始段階、昇温・昇圧段階、自立切替段階を自動で処理し得るので、燃焼用空気弁25の開度の調整(図11参照)や自立切替プログラム37(図11参照)の設定を不要にすると共に、燃焼用空気の流量や圧力の変動を適切に抑制し、よってサージング発生等の悪影響を防止することができる。更に又、過給機2のコンプレッサ2bの吸引によりコンプレッサ2bの入口空気圧力が規定値以下の負圧になったことを基準として起動用ブロワ49を停止するので、自立切替段階から通常運転への移行を容易に且つ好適に行うことができる。
【0055】
実施の形態の第一例において、自立切替段階でコンプレッサ2bの入口空気圧力が大気圧以下の規定値以上になった際には、圧力指示調節計57から空気吸込弁24へ自動で弁を閉止する制御信号が送られ、空気吸込弁24は閉じる方向へ調整されて外気導入が制限され、起動用ブロワ49の押し込み力を増加させて加圧流動焼却炉1の燃焼を盛んにして排ガス発生量を増やすことで、再び過給機2のタービン2aによるコンプレッサ2b駆動力を増強してコンプレッサ2bの入口空気圧力を再び規定値以下にし、自立切替段階の最初の処理へ戻すことで、燃焼空気の流量や圧力の変動を適切に抑制できると共に、自立切替段階の処理を自動化し、オペレータの常時監視や状況判断を不要にすることができる。
【0056】
実施の形態の第一例において、通常運転段階でコンプレッサ2bの入口空気圧力が大気圧以下の規定値以上になった際には、起動用ブロワ49の運転を再開し、圧力指示調節計57から空気吸込弁24へ自動で弁を閉止する制御信号が送られ、空気吸込弁24は閉じる方向へ調整されて外気導入が制限され(図6ではαの範囲)、起動用ブロワ49の送風力を発生させて加圧流動焼却炉1の燃焼を盛んにして排ガス発生量を増やすことで、再び過給機2のタービン2aによるコンプレッサ2b駆動力を増強してコンプレッサ2bの入口空気圧力を再び規定値以下にし、自立切替段階の最初の処理へ戻すと、脱水汚泥等の含水率、投入量、発熱量の変化により、通常運転段階でコンプレッサ2bの入口空気圧力の圧力変動を生じる場合あっても、起動用ブロワ49を用いてコンプレッサ2bの入口空気圧力や燃焼用空気の流量を調整し得るので、オペレータの常時監視や状況判断を不要にすることができる。
【0057】
実施の形態の第一例において、自立切替段階では、空気吸込弁24が全開になった後、一定時間をカウントしてから起動用ブロワ49を停止すると、コンプレッサ2bの入口空気圧力や燃焼用空気の流量が安定状態であることを確認し得るので、自立切替段階から通常運転段階へ適切に移行し、オペレータの常時監視や状況判断を不要にすることができる。これは、自立切替段階で、空気吸込弁24が全開になった後、起動用ブロワ49の回転数が所定の最低回転数(規定回転数)以下を監視して起動用ブロワ49を停止する場合も同様である。
【0058】
以下、本発明の実施の形態の第二例を図8、図9を参照して説明する。又、図中、図1〜図7と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0059】
実施の形態の第二例である加圧流動焼却炉の運転方法及び加圧流動焼却炉設備は、第一例の駆動用ブロワを定速回転式に変更して起動用ブロワ空気弁49dを追加すると共に、送風開始段階から通常運転段階へ移行する処理の一部を変更したものである。
【0060】
第二例は、第一例と同様な構成を備えており、過給機2のコンプレッサ2b側には、起動用ブロワ49から燃焼用空気を供給する空気供給流路13が配置されており、空気供給流路13には、起動用ブロワ49からの燃焼用空気の供給量を調整する起動用ブロワ空気弁49dが配置されている。なお、空気供給流路13は、起動用ブロワ49の吐出側のみならず、起動用ブロワ49の吸込側にも延長されても良く、起動用ブロワ空気弁49dは、図8に示す如く起動用ブロワ49の吐出側もしくは吸い込み側のいずれの給気供給流路13にあっても良い。また、空気供給流路13で起動用ブロワ空気弁49dの下流側には、過給機2のタービン2aの駆動に伴って外気から燃焼用空気を吸引する外気側空気供給流路14が接続されている。ここで起動用ブロワ49は、モータ等の駆動手段49a等を備える定速回転する構成であるが、インバータ制御できるものでも良い。
【0061】
一方、流量指示調節計52は、流量側セレクタ53、加圧空気弁信号ライン54を介して加圧空気弁28へ接続され、加圧空気弁28の開度を制御し得るようにしている。又、流量指示調節計52は、流量側セレクタ53、起動用ブロワ空気弁信号ライン55aを介して起動用ブロワ空気弁49dに接続され、起動用ブロワ空気弁49dの開度を制御し得るようにしている。
【0062】
以下本発明を実施する形態の第二例の作用を説明する。
【0063】
最初の送風開始段階から通常運転段階へ移行する際には、図9、図3のフローで処理するようにしている。
【0064】
送風開始段階(ステップS1〜S9)では、第一例と同様に起動用ブロワ49の運転を開始する(ステップS1〜ステップS3)。
【0065】
そして、流量計26により燃焼用空気の流量を計測し、燃焼用空気の流量の計測値に基づいて流量指示調節計52で起動用ブロワ空気弁49dの開度を演算し(ステップS4a)、演算結果を流量側セレクタ53を介して起動用ブロワ空気弁49dへ伝達し、起動用ブロワ空気弁49dの開度を制御する(ステップS5a)。ここで起動用ブロワ49がインバータ制御し得る構成の場合には、起動用ブロワ空気弁49dの開度制御と同時に、起動用ブロワ49の回転数制御を併用しても良い。
【0066】
続いて、以下、第一例と同様に昇温・昇圧段階(ステップS6〜ステップS10)へ移行するまで処理し、昇温・昇圧段階(ステップS10)では、図示しない昇温用バーナ等に補助燃料を投入して燃焼させ、燃焼用空気は所定値に到達した流量となっていて流動床の熱媒体流動も盛んになり、加圧流動焼却炉1は昇温・昇圧する。その結果、徐々に高温高圧な排ガスが発生するようになり、排出流路12を高圧な排ガスが搬送され、その排ガスが有するエネルギーにより過給機2のタービン2aを駆動し、更にその排ガスエネルギーが徐々に高まりタービン2aに及ぼす仕事が増えてタービン回転数を上昇させる。そして燃焼用空気の流量の測定値に基づき、起動用ブロワ空気弁49dの開度を調整して燃焼用空気の流量を維持する。ここで起動用ブロワ49がインバータ制御し得る構成の場合には、起動用ブロワ空気弁49dの開度制御と同時に、起動用ブロワ49の回転数制御を併用しても良い。
【0067】
次にタービン2aの駆動に伴ってコンプレッサ2bの入口空気圧力を、第一例と同様に前記加圧流動焼却炉1の燃焼により排ガス量が増加し、排ガスエネルギーによる前記タービン2aの駆動に応じてコンプレッサ2bが搬送する燃焼用空気量が所定設定値に近づいた結果、コンプレッサ2bの入口空気圧力が大気圧以下の規定値以下になった際には自立切替段階自立切替段階(ステップS11〜S15、図3参照)へ移行する。自立切替段階(ステップS11〜S15)では、圧力指示調節計57から空気吸込弁24へ継続して信号が送られているが、ずっと閉止側の信号が送られていたところ、コンプレッサ2bの入口空気圧力が大気圧以下の規定値以下になった時点(ステップS11)より圧力指示調節計57等を介して空気吸込弁24に現状維持を経て更に弁を開放する制御信号が送られるので、空気吸込弁24を開いて外気から空気を吸い込む。そして空気吸込弁24の開度が全開になったか否か判断し(ステップS12)、開度が全開でない場合(ステップS12のNO)には、全開になるまで同じ処理を繰り返し、開度が全開に到達した場合(ステップS12のYES)には、起動用ブロワ49の運転・停止判断又は/及び起動用ブロワ空気弁49dの開度・閉止判断を開始して(ステップS13)、タイマ61がカウントし(ステップS14)、所定時間経過の後、起動用ブロワ49の停止又は/及び起動用ブロワ空気弁49dの閉止を行い(ステップS15)、通常運転段階へ移行する。
【0068】
そして通常運転段階(ステップS16)では、加圧流動焼却炉1の排ガスのみで過給機2を稼働し、加圧流動焼却炉1を通常の運転状態にする。
【0069】
又、自立切替段階で、図6に示す如くコンプレッサ2bの入口空気圧力が大気圧以下の規定値以下になった後、再度規定値以上になった際や、通常段階で、脱水汚泥等の含水率、投入量、発熱量の変化により、図7に示す如くコンプレッサ2bの入口空気圧力が規定値以上になった際には、第一例と同様に処理される。
【0070】
而して、このように実施の形態の第二例によれば、第一例と同様な作用効果を得ることができる。
【0071】
尚、本発明の加圧流動焼却炉の運転方法及び加圧流動焼却炉設備は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、たとえば起動用ブロワの回転数制御はインバータ制御に限定されず、例えば極数変更制御や、サイリスタ制御などおよそ回転数を制御するものはどれでも良く、そのほかの構成についても同様で、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0072】
1 加圧流動焼却炉
2 過給機
2a タービン
2b コンプレッサ
14 外気側空気供給流路
49 起動用ブロワ
49d 起動用ブロワ空気弁
50 圧力計
52 流量指示調節計
57 圧力指示調節計
61 タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動床を有する加圧流動焼却炉と、該加圧流動焼却炉で生じた排ガスにより燃焼用空気を圧送する過給機と、前記加圧流動焼却炉の燃焼開始時の空気供給及び前記過給機の起動に用いる回転数制御の起動用ブロワとを備える加圧流動焼却炉の運転方法であって、
前記加圧流動焼却炉を運転起動する燃焼開始時に前記起動用ブロワの運転を開始し、前記過給機のコンプレッサへ燃焼用空気を押し込み、コンプレッサ出口の燃焼用空気流量の測定値に基づき、起動用ブロワの回転数を調整して燃焼用空気の流量を第一の所定の流量設定値に到達させる送風開始段階と、
燃焼用空気の流量を第一の所定の流量設定値に到達させた後に、可燃性廃棄物及び/または補助燃料の導入により加圧流動焼却炉を昇温・昇圧し、加圧流動焼却炉で生じた排ガスエネルギーにより過給機のタービン回転に駆動力を付与し、更にコンプレッサ出口の燃焼用空気の流量の測定値に基づき、起動用ブロワの回転数を調整して前記加圧流動焼却炉へ導入する燃焼用空気の流量を第二の所定の流量設定値になるよう制御する昇温・昇圧段階と、
前記加圧流動焼却炉の燃焼により排ガス量が増加し、排ガスエネルギーによる前記タービンの駆動に応じてコンプレッサが搬送する燃焼用空気量が前記第二の所定の流量設定値に近づいた結果、前記コンプレッサの入口空気圧力が規定値以下になった際に、起動用ブロアとコンプレッサとの間の空気供給流路から分岐して直接外気に連通する外気側空気供給流路に備わる空気吸込弁を前記コンプレッサの入口空気圧力計測値に応じて開いて外気を吸い込み、前記空気吸込弁が所定開度以上を所定時間保持した後に起動用ブロワの停止を行う自立切替段階と、
前記起動用ブロワの停止後に前記過給機を排ガスのみで駆動して、前記加圧流動焼却炉へ導入される燃焼用空気量として前記第二の所定の流量設定値を確保する通常運転段階と、を備えることを特徴とする加圧流動焼却炉の運転方法。
【請求項2】
流動床を有する加圧流動焼却炉と、該加圧流動焼却炉で生じた排ガスにより燃焼用空気を圧送する過給機と、前記加圧流動焼却炉の燃焼開始時の空気供給及び前記過給機の起動に用いる回転数制御の起動用ブロワとを備える加圧流動焼却炉の運転方法であって、
前記加圧流動焼却炉を運転起動する燃焼開始時に前記起動用ブロワの運転を開始し、前記過給機のコンプレッサへ燃焼用空気を押し込み、コンプレッサ出口の燃焼用空気流量の測定値に基づき、起動用ブロワの回転数を調整して燃焼用空気の流量を第一の所定の流量設定値に到達させる送風開始段階と、
燃焼用空気の流量を第一の所定の流量設定値に到達させた後に、可燃性廃棄物及び/または補助燃料の導入により加圧流動焼却炉を昇温・昇圧し、加圧流動焼却炉で生じた排ガスエネルギーにより過給機のタービン回転に駆動力を付与し、更にコンプレッサ出口の燃焼用空気の流量の測定値に基づき、起動用ブロワの回転数を調整して前記加圧流動焼却炉へ導入する燃焼用空気の流量を第二の所定の流量設定値になるよう制御する昇温・昇圧段階と、
前記加圧流動焼却炉の燃焼により排ガス量が増加し、排ガスエネルギーによる前記タービンの駆動に応じてコンプレッサが搬送する燃焼用空気量が前記第二の所定の流量設定値に近づいた結果、前記コンプレッサの入口空気圧力が規定値以下になった際に、起動用ブロアとコンプレッサとの間の空気供給流路から分岐して直接外気に連通する外気側空気供給流路に備わる空気吸込弁を前記コンプレッサの入口空気圧力計測値に応じて開いて外気を吸い込み、前記起動用ブロワの回転数を減少させ規定回転数に達したことにより起動用ブロワの停止を行う自立切替段階と、
前記起動用ブロワの停止後に前記過給機を排ガスのみで駆動して、前記加圧流動焼却炉へ導入される燃焼用空気量として前記第二の所定の流量設定値を確保する通常運転段階と、を備えることを特徴とする加圧流動焼却炉の運転方法。
【請求項3】
流動床を有する加圧流動焼却炉と、該加圧流動焼却炉で生じた排ガスにより燃焼用空気を圧送する過給機と、前記加圧流動焼却炉の燃焼開始時の空気供給及び前記過給機の起動に用いる起動用ブロワと、該起動用ブロワからの燃焼用空気の供給量を調整する起動用ブロワ空気弁とを備える加圧流動焼却炉の運転方法であって、
前記加圧流動焼却炉を運転起動する燃焼開始時に前記起動用ブロワの運転を開始し、前記過給機のコンプレッサへ燃焼用空気を押し込み、コンプレッサ出口の燃焼用空気流量の測定値に基づき、起動用ブロワ空気弁の開度を調整して燃焼用空気の流量を第一の所定の流量設定値に到達させる送風開始段階と、
燃焼用空気の流量を前記第一の所定の流量設定値に到達させた後に、可燃性廃棄物及び/または補助燃料の導入により加圧流動焼却炉を昇温・昇圧し、加圧流動焼却炉で生じた排ガスエネルギーにより過給機のタービン回転に駆動力を付与し、更にコンプレッサ出口の燃焼用空気の流量の測定値に基づき、起動用ブロワ空気弁の開度を調整して前記加圧流動焼却炉へ導入する燃焼用空気の流量を第二の所定の流量設定値になるよう制御する昇温・昇圧段階と、
前記加圧流動焼却炉の燃焼により排ガス量が増加し、排ガスエネルギーによる前記タービンの駆動に応じてコンプレッサが搬送する燃焼用空気量が前記第二の所定の流量設定値に近づいた結果、前記コンプレッサの入口空気圧力が規定値以下になった際に、起動用ブロアとコンプレッサとの間の空気供給流路から分岐して直接外気に連通する外気側空気供給流路に備わる空気吸込弁を前記コンプレッサの入口空気圧力計測値に応じて開いて外気を吸い込み、前記空気吸込弁が所定開度以上を所定時間保持した後に前記起動用ブロワ空気弁の閉止及び前記起動用ブロワの停止を行う自立切替段階と、
前記起動用ブロワの停止後に前記過給機を排ガスのみで駆動して、前記加圧流動焼却炉へ導入される燃焼用空気量として前記第二の所定の流量設定値を確保する通常運転段階と、を備えることを特徴とする加圧流動焼却炉の運転方法。
【請求項4】
流動床を有する加圧流動焼却炉と、該加圧流動焼却炉で生じた排ガスにより燃焼用空気を圧送する過給機と、前記加圧流動焼却炉の燃焼開始時の空気供給及び前記過給機の起動に用いる起動用ブロワと、該起動用ブロワからの燃焼用空気の供給量を調整する起動用ブロワ空気弁とを備える加圧流動焼却炉の運転方法であって、
前記加圧流動焼却炉を運転起動する燃焼開始時に前記起動用ブロワの運転を開始し、前記過給機のコンプレッサへ燃焼用空気を押し込み、コンプレッサ出口の燃焼用空気流量の測定値に基づき、起動用ブロワ空気弁の開度を調整して燃焼用空気の流量を第一の所定の流量設定値に到達させる送風開始段階と、
燃焼用空気の流量を前記第一の所定の流量設定値に到達させた後に、可燃性廃棄物及び/または補助燃料の導入により加圧流動焼却炉を昇温・昇圧し、加圧流動焼却炉で生じた排ガスエネルギーにより過給機のタービン回転に駆動力を付与し、更にコンプレッサ出口の燃焼用空気の流量の測定値に基づき、起動用ブロワ空気弁の開度を調整して前記加圧流動焼却炉へ導入する燃焼用空気の流量を第二の所定の流量設定値になるよう制御する昇温・昇圧段階と、
前記加圧流動焼却炉の燃焼により排ガス量が増加し、排ガスエネルギーによる前記タービンの駆動に応じてコンプレッサが搬送する燃焼用空気量が前記第二の所定の流量設定値に近づいた結果、前記コンプレッサの入口空気圧力が規定値以下になった際に、起動用ブロアとコンプレッサとの間の空気供給流路から分岐して直接外気に連通する外気側空気供給流路に備わる空気吸込弁を前記コンプレッサの入口空気圧力計測値に応じて開いて外気を吸い込み、前記起動用ブロワの回転数を減少させ規定回転数に達したことにより、前記起動用ブロワ空気弁の閉止及び前記起動用ブロワの停止を行う自立切替段階と、
前記起動用ブロワの停止後に前記過給機を排ガスのみで駆動して、前記加圧流動焼却炉へ導入される燃焼用空気量として前記第二の所定の流量設定値を確保する通常運転段階と、を備えることを特徴とする加圧流動焼却炉の運転方法。
【請求項5】
前記空気吸込弁を制御する制御信号は、前記コンプレッサの入口空気圧力計測値が前記規定値ならば開も閉もしない現状維持を出力し、前記コンプレッサの入口空気圧力計測値が前記規定値よりも負圧ならば開の信号を出力し、前記コンプレッサの入口空気圧力計測値が前記規定値よりも正圧ならば閉の信号を出力することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の加圧流動焼却炉の運転方法。
【請求項6】
前記空気吸込弁を制御する制御信号は、前記コンプレッサの入口空気圧力計測値が前記規定値よりも負圧ならば開の信号を出力し、前記コンプレッサの入口空気圧力計測値が前記規定値よりも正圧ならば閉の信号を出力する際に、更に、前記コンプレッサの入口空気圧力計測値の前記規定値からの偏差によって比例制御するように信号を出力することを特徴とする請求項5に記載の加圧流動焼却炉の運転方法。
【請求項7】
コンプレッサ出口の燃焼用空気流量の測定値に基づき起動用ブロワ回転数又は起動用ブロワ空気弁の開度を調整して燃焼用空気の流量を所定の流量設定値に到達させる流量制御系統について、通常運転段階では、前記過給機を排ガスのみで駆動しても、前記加圧流動焼却炉へ導入される燃焼用空気量として前記第二の所定の流量設定値以上にコンプレッサ出口で生じた場合に余剰空気を逃がす加圧空気弁を流量制御させるよう、起動用ブロワ停止時に流量制御を切り替えることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の加圧流動焼却炉の運転方法。
【請求項8】
流動床を有する加圧流動焼却炉と、
該加圧流動焼却炉で生じた排ガスにより燃焼用空気を圧送する過給機と、
前記加圧流動焼却炉の燃焼開始時の空気供給及び前記過給機の起動に用いる回転数制御の起動用ブロワとを有し、
前記過給機のコンプレッサから加圧流動焼却炉へ供給される燃焼用空気の流量を測定する流量計と、
前記過給機のコンプレッサの入口空気圧力を測定する圧力計と、
前記起動用ブロワから前記圧力計までの空気供給流路から分岐して直接外気に連通する外気側空気供給流路に備わる空気吸込弁と
前記流量計の測定値に基づいて前記起動用ブロワ回転数を制御する流量指示調節計と、
前記圧力計の測定値に基づいて前記空気吸込弁の開度を制御する圧力指示調節計とを有する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記加圧流動焼却炉の燃焼開始から通常運転へ移行する場合に、
前記加圧流動焼却炉燃焼開始時に前記起動用ブロワの運転を開始し、前記過給機のコンプレッサへ燃焼用空気を押し込み、前記流量計の測定値に基づき、起動用ブロワの回転数を調整して燃焼用空気の流量を第一の所定の流量設定値に到達させて、
その後、可燃性廃棄物及び/または補助燃料の導入により加圧流動焼却炉を流動床を流動させながら昇温・昇圧し、加圧流動焼却炉で生じた排ガスエネルギーにより過給機のタービン回転に駆動力を付与し、更に前記流量計の測定値に基づき、起動用ブロワ回転数を調整して前記加圧流動焼却炉へ導入する燃焼用空気の流量を第二の所定の流量設定値になるよう制御し、
しかる後に、前記加圧流動焼却炉の燃焼により排ガス量が増加し、排ガスエネルギーによる前記タービンの駆動に応じてコンプレッサが搬送する燃焼用空気量が前記第二の所定の流量設定値に近づいた結果、前記圧力計の測定値が規定値以下になった際に、前記空気吸込弁を前記圧力計の計測値に応じて開いて外気を吸い込み、前記空気吸込弁が所定開度で所定時間開いた後に前記起動用ブロワの停止を行い、
前記起動用ブロワの停止後に前記過給機を排ガスのみで駆動して、前記加圧流動焼却炉へ導入される燃焼用空気量として前記第二の所定の流量設定値を確保する制御を行うように構成したことを特徴とする加圧流動焼却炉設備。
【請求項9】
流動床を有する加圧流動焼却炉と、
該加圧流動焼却炉で生じた排ガスにより燃焼用空気を圧送する過給機と、
前記加圧流動焼却炉の燃焼開始時の空気供給及び前記過給機の起動に用いる回転数制御の起動用ブロワとを有し、
前記過給機のコンプレッサから加圧流動焼却炉へ供給される燃焼用空気の流量を測定する流量計と、
前記過給機のコンプレッサの入口空気圧力を測定する圧力計と、
前記起動用ブロワから前記圧力計までの空気供給流路から分岐して直接外気に連通する外気側空気供給流路に備わる空気吸込弁と
前記流量計の測定値に基づいて前記起動用ブロワ回転数を制御する流量指示調節計と、
前記圧力計の測定値に基づいて前記空気吸込弁の開度を制御する圧力指示調節計とを有する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記加圧流動焼却炉の燃焼開始から通常運転へ移行する場合に、
前記加圧流動焼却炉燃焼開始時に前記起動用ブロワの運転を開始し、前記過給機のコンプレッサへ燃焼用空気を押し込み、前記流量計の測定値に基づき、起動用ブロワの回転数を調整して燃焼用空気の流量を第一の所定の流量設定値に到達させて、
その後、可燃性廃棄物及び/または補助燃料の導入により加圧流動焼却炉を流動床を流動させながら昇温・昇圧し、加圧流動焼却炉で生じた排ガスエネルギーにより過給機のタービン回転に駆動力を付与し、更に前記流量計の測定値に基づき、起動用ブロワ回転数を調整して前記加圧流動焼却炉へ導入する燃焼用空気の流量を第二の所定の流量設定値になるよう制御し、
しかる後に、前記加圧流動焼却炉の燃焼により排ガス量が増加し、排ガスエネルギーによる前記タービンの駆動に応じてコンプレッサが搬送する燃焼用空気量が前記第二の所定の流量設定値に近づいた結果、前記圧力計の測定値が規定値以下になった際に、前記空気吸込弁を前記圧力計の計測値に応じて開いて外気を吸い込み、前記起動用ブロワの回転数を減少させ規定回転数に達したことにより、前記起動用ブロワの停止を行い、
前記起動用ブロワの停止後に前記過給機を排ガスのみで駆動して、前記加圧流動焼却炉へ導入される燃焼用空気量として前記第二の所定の流量設定値を確保する制御を行うように構成したことを特徴とする加圧流動焼却炉設備。
【請求項10】
流動床を有する加圧流動焼却炉と、
該加圧流動焼却炉で生じた排ガスにより燃焼用空気を圧送する過給機と、
前記加圧流動焼却炉の燃焼開始時の空気供給及び前記過給機の起動に用いる起動用ブロワとを有し、
該起動用ブロワからの燃焼用空気の供給量を調整する起動用ブロワ空気弁と、
前記過給機のコンプレッサから加圧流動焼却炉へ供給される燃焼用空気の流量を測定する流量計と、
前記過給機のコンプレッサの入口空気圧力を測定する圧力計と、
前記起動用ブロワから前記圧力計までの空気供給流路から分岐して直接外気に連通する外気側空気供給流路に備わる空気吸込弁と
前記流量計の測定値に基づいて前記起動用ブロワ空気弁を制御する流量指示調節計と、
前記圧力計の測定値に基づいて前記空気吸込弁の開度を制御する圧力指示調節計とを有する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記加圧流動焼却炉の燃焼開始から通常運転へ移行する場合に、
前記加圧流動焼却炉燃焼開始時に前記起動用ブロワの運転を開始し、前記過給機のコンプレッサへ燃焼用空気を押し込み、前記流量計の測定値に基づき、起動用ブロワ空気弁の開度を調整して燃焼用空気の流量を第一の所定の流量設定値に到達させて、
その後、可燃性廃棄物及び/または補助燃料の導入により加圧流動焼却炉を流動床を流動させながら昇温・昇圧し、加圧流動焼却炉で生じた排ガスエネルギーにより過給機のタービン回転に駆動力を付与し、更に前記流量計の測定値に基づき、起動用ブロワ空気弁の開度を調整して前記加圧流動焼却炉へ導入する燃焼用空気の流量を第二の所定の流量設定値になるよう制御し、
しかる後に、前記加圧流動焼却炉の燃焼により排ガス量が増加し、排ガスエネルギーによる前記タービンの駆動に応じてコンプレッサが搬送する燃焼用空気量が前記第二の所定の流量設定値に近づいた結果、前記圧力計の測定値が規定値以下になった際に、前記空気吸込弁を前記圧力計の計測値に応じて開いて外気を吸い込み、前記空気吸込弁が所定開度で所定時間開いた後に前記起動用ブロワの停止を行い、
前記起動用ブロワの停止後に前記過給機を排ガスのみで駆動して、前記加圧流動焼却炉へ導入される燃焼用空気量として前記第二の所定の流量設定値を確保する制御を行うように構成したことを特徴とする加圧流動焼却炉設備。
【請求項11】
流動床を有する加圧流動焼却炉と、
該加圧流動焼却炉で生じた排ガスにより燃焼用空気を圧送する過給機と、
前記加圧流動焼却炉の燃焼開始時の空気供給及び前記過給機の起動に用いる起動用ブロワとを有し、
該起動用ブロワからの燃焼用空気の供給量を調整する起動用ブロワ空気弁と、
前記過給機のコンプレッサから加圧流動焼却炉へ供給される燃焼用空気の流量を測定する流量計と、
前記過給機のコンプレッサの入口空気圧力を測定する圧力計と、
前記起動用ブロワから前記圧力計までの空気供給流路から分岐して直接外気に連通する外気側空気供給流路に備わる空気吸込弁と
前記流量計の測定値に基づいて前記起動用ブロワ空気弁を制御する流量指示調節計と、
前記圧力計の測定値に基づいて前記空気吸込弁の開度を制御する圧力指示調節計とを有する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記加圧流動焼却炉の燃焼開始から通常運転へ移行する場合に、
前記加圧流動焼却炉燃焼開始時に前記起動用ブロワの運転を開始し、前記過給機のコンプレッサへ燃焼用空気を押し込み、前記流量計の測定値に基づき、起動用ブロワ空気弁の開度を調整して燃焼用空気の流量を第一の所定の流量設定値に到達させて、
その後、可燃性廃棄物及び/または補助燃料の導入により加圧流動焼却炉を流動床を流動させながら昇温・昇圧し、加圧流動焼却炉で生じた排ガスエネルギーにより過給機のタービン回転に駆動力を付与し、更に前記流量計の測定値に基づき、起動用ブロワ空気弁の開度を調整して前記加圧流動焼却炉へ導入する燃焼用空気の流量を第二の所定の流量設定値になるよう制御し、
しかる後に、前記加圧流動焼却炉の燃焼により排ガス量が増加し、排ガスエネルギーによる前記タービンの駆動に応じてコンプレッサが搬送する燃焼用空気量が前記第二の所定の流量設定値に近づいた結果、前記圧力計の測定値が規定値以下になった際に、前記空気吸込弁を前記圧力計の計測値に応じて開いて外気を吸い込み、前記起動用ブロワ空気弁の開度が規定の最低開度に達したことにより、前記起動用ブロワの停止を行い、
前記起動用ブロワの停止後に前記過給機を排ガスのみで駆動して、前記加圧流動焼却炉へ導入される燃焼用空気量として前記第二の所定の流量設定値を確保する制御を行うように構成したことを特徴とする加圧流動焼却炉設備。
【請求項12】
前記圧力指示調節計から出力される前記空気吸込弁を制御する制御信号は、前記コンプレッサの入口空気圧力計測値が前記規定値ならば開も閉もしない現状維持を出力し、前記コンプレッサの入口空気圧力計測値が前記規定値よりも負圧ならば開の信号を出力し、前記コンプレッサの入口空気圧力計測値が前記規定値よりも正圧ならば閉の信号を出力するように構成されたことを特徴とする請求項8乃至11の何れかに記載の加圧流動焼却炉設備。
【請求項13】
前記圧力指示調節計から出力される前記空気吸込弁を制御する制御信号は、更に、前記コンプレッサの入口空気圧力計測値の、前記規定値からの偏差によって弁開度の変化速度を比例制御するように信号を出力するように構成されたことを特徴とする請求項12に記載の加圧流動焼却炉設備。
【請求項14】
前記流量指示調節計から出力される起動用ブロワ回転数又は起動用ブロワ空気弁の開度を調整して燃焼用空気の流量を所定の流量設定値に到達させる流量制御信号について、起動用ブロワ停止信号を用いて前記流量指示調節計の設定を変更し、かつ、コンプレッサ出口で生じた余剰空気を逃がす加圧空気弁の開度を調整するように信号伝送路を切り替えることを特徴とする請求項8乃至13の何れかに記載の加圧流動焼却炉設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−137575(P2011−137575A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296790(P2009−296790)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 社団法人日本下水道協会、「第46回下水道研究発表会講演集 平成21年度」、表紙、目次、奥付、及び第778〜780ページの「過給式流動炉の実証運転(その3)」のコピー、発行日 平成21年6月30日
【出願人】(000001834)三機工業株式会社 (316)
【出願人】(000165273)月島機械株式会社 (253)
【Fターム(参考)】